特許第6426057号(P6426057)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特許6426057クラック検知方法、クラック検知装置および基板処理装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6426057
(24)【登録日】2018年11月2日
(45)【発行日】2018年11月21日
(54)【発明の名称】クラック検知方法、クラック検知装置および基板処理装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 29/12 20060101AFI20181112BHJP
   H01L 21/66 20060101ALI20181112BHJP
   H01L 21/677 20060101ALI20181112BHJP
【FI】
   G01N29/12
   H01L21/66 K
   H01L21/68 A
【請求項の数】15
【全頁数】28
(21)【出願番号】特願2015-121036(P2015-121036)
(22)【出願日】2015年6月16日
(65)【公開番号】特開2017-3547(P2017-3547A)
(43)【公開日】2017年1月5日
【審査請求日】2017年12月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【弁理士】
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【弁理士】
【氏名又は名称】有田 貴弘
(72)【発明者】
【氏名】北澤 貴宏
(72)【発明者】
【氏名】瀬川 聡
【審査官】 小澤 瞬
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−300276(JP,A)
【文献】 特開2005−142495(JP,A)
【文献】 特開平4−287921(JP,A)
【文献】 特開2013−207033(JP,A)
【文献】 特開2009−164451(JP,A)
【文献】 特開平11−198034(JP,A)
【文献】 特開2015−64376(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0016600(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 29/00−29/52
H01L 21/64−21/683
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に存在しているクラックを検知するクラック検知方法であって、
基板の端部に沿って接触プローブを摺動させることによって前記基板に音響を発生させる音響発生工程と、
発生した音響をマイクロフォンにて集音する集音工程と、
前記集音工程にて集音された音響に対する周波数解析を行う解析工程と、
前記解析工程にて得られた周波数スペクトルから前記基板のクラックの有無を判定する判定工程と、
を備えることを特徴とするクラック検知方法。
【請求項2】
請求項1記載のクラック検知方法において、
前記判定工程では、クラックの存在していない基板についての周波数解析により得られた基準周波数スペクトルと、処理対象となる基板についての周波数解析により得られた対象周波数スペクトルとの比較から当該処理対象となる基板のクラックの有無を判定することを特徴とするクラック検知方法。
【請求項3】
請求項2記載のクラック検知方法において、
前記判定工程では、前記基準周波数スペクトルにおける基準ピークと、前記対象周波数スペクトルに含まれるピークとの対比に基づいて当該処理対象となる基板のクラックの有無を判定することを特徴とするクラック検知方法。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれかに記載のクラック検知方法において、
基板に対して所定の基板処理を実行する前に当該基板のクラックを検知し、前記判定工程での判定結果に基づいて当該基板に対する前記基板処理を実行するか否かを決定することを特徴とするクラック検知方法。
【請求項5】
請求項4記載のクラック検知方法において、
前記基板処理が実行された後の前記基板のクラックを検知し、前記判定工程での判定結果に基づいて前記基板に対する前記基板処理の後工程を実行するか否かを決定することを特徴とするクラック検知方法。
【請求項6】
請求項1から請求項3のいずれかに記載のクラック検知方法において、
基板に対して所定の基板処理を実行した後に当該基板のクラックを検知し、前記判定工程での判定結果に基づいて前記基板に対する前記基板処理の後工程を実行するか否かを決定することを特徴とするクラック検知方法。
【請求項7】
基板に存在しているクラックを検知するクラック検知装置であって、
基板の端部に当接する接触プローブと、
前記接触プローブと前記基板とを相対移動させて前記基板の端部に沿って前記接触プローブを摺動させる駆動機構と、
前記基板の端部に沿って前記接触プローブが摺動したときに前記基板に発生する音響を集音するマイクロフォンと、
前記マイクロフォンによって集音された音響に対する周波数解析を行う解析部と、
前記周波数解析によって得られた周波数スペクトルから前記基板のクラックの有無を判定する判定部と、
を備えることを特徴とするクラック検知装置。
【請求項8】
請求項7記載のクラック検知装置において、
前記判定部は、クラックの存在していない基板についての周波数解析により得られた基準周波数スペクトルと、処理対象となる基板についての周波数解析により得られた対象周波数スペクトルとの比較から当該処理対象となる基板のクラックの有無を判定することを特徴とするクラック検知装置。
【請求項9】
請求項8記載のクラック検知装置において、
前記判定部は、前記基準周波数スペクトルにおける基準ピークと、前記対象周波数スペクトルに含まれるピークとの対比に基づいて当該処理対象となる基板のクラックの有無を判定することを特徴とするクラック検知装置。
【請求項10】
請求項7から請求項9のいずれかに記載のクラック検知装置において、
種類の異なる複数の接触プローブのうちのいずれかを選択して前記基板の端部に当接させる選択機構をさらに備えることを特徴とするクラック検知装置。
【請求項11】
請求項7から請求項10のいずれかに記載のクラック検知装置において、
前記駆動機構は、前記基板の中心部を支持して前記基板を回転させる回転支持機構を含むことを特徴とするクラック検知装置。
【請求項12】
請求項11記載のクラック検知装置において、
前記マイクロフォンを前記回転支持機構内に設けることを特徴とするクラック検知装置。
【請求項13】
請求項7から請求項12のいずれかに記載のクラック検知装置と、
基板に所定の基板処理を行う基板処理部と、
を備え、
基板に対して前記基板処理部での基板処理を実行する前に当該基板のクラックを検知し、前記判定部の判定結果に基づいて当該基板に対する前記基板処理を実行するか否かを決定することを特徴とする基板処理装置。
【請求項14】
請求項13記載の基板処理装置において、
前記基板処理部での基板処理が実行された後の前記基板のクラックを検知することを特徴とする基板処理装置。
【請求項15】
請求項7から請求項12のいずれかに記載のクラック検知装置と、
基板に所定の基板処理を行う基板処理部と、
を備え、
前記基板処理部での基板処理が実行された後の前記基板のクラックを検知することを特徴とする基板処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウェハー等の薄板状精密電子基板(以下、単に「基板」と称する)に存在しているクラックを検知するクラック検知方法およびクラック検知装置、並びに、そのクラック検知装置を組み込んだ基板処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスの製造プロセスにおいて、極めて短時間で半導体ウェハーを加熱するフラッシュランプアニール(FLA)が注目されている。フラッシュランプアニールは、キセノンフラッシュランプ(以下、単に「フラッシュランプ」とするときにはキセノンフラッシュランプを意味する)を使用して半導体ウェハーの表面にフラッシュ光を照射することにより、半導体ウェハーの表面のみを極めて短時間(数ミリ秒以下)に昇温させる熱処理技術である。
【0003】
キセノンフラッシュランプの放射分光分布は紫外域から近赤外域であり、従来のハロゲンランプよりも波長が短く、シリコンの半導体ウェハーの基礎吸収帯とほぼ一致している。よって、キセノンフラッシュランプから半導体ウェハーにフラッシュ光を照射したときには、透過光が少なく半導体ウェハーを急速に昇温することが可能である。また、数ミリ秒以下の極めて短時間のフラッシュ光照射であれば、半導体ウェハーの表面近傍のみを選択的に昇温できることも判明している。
【0004】
このようなフラッシュランプアニールは、極短時間の加熱が必要とされる処理、例えば半導体ウェハーに注入された不純物の活性化に好適である。イオン注入法によって不純物が注入された半導体ウェハーの表面にフラッシュランプからフラッシュ光を照射すれば、当該半導体ウェハーの表面を極短時間だけ活性化温度にまで昇温することができ、不純物を深く拡散させることなく、不純物活性化のみを実行することができるのである。
【0005】
ところが、フラッシュランプアニールでは、半導体ウェハーの表面近傍のみが急速に昇温する一方で裏面はほとんど昇温しないため、表面近傍のみに急激な熱膨張が生じる。そうすると、半導体ウェハーに表面を凸面とするように反る応力が作用する。このとき、半導体ウェハーの内部にクラックが存在していると、応力によってクラックが進展し、ウェハー割れに至るおそれがある。また、クラックが無い場合であっても、フラッシュ光照射時に半導体ウェハーに作用する応力によって新たなクラックが発生することもある。
【0006】
そこで、従来より、半導体ウェハーのクラックの有無を検知する種々の技術が提案されている。例えば、特許文献1には、シリコンウェハーに向けて赤外光を照射したときの反射光を偏光フィルタを介して撮像し、得られた画像に所定の演算処理を行うことによってクラック等の欠陥の有無を検出する技術が開示されている。また、特許文献2には、シリコンウェハーに衝撃を与えて振動を発生させ、その振動周波数からクラックの有無を検出する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2013−36888号公報
【特許文献2】特開2004−28859号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に開示されるような光学的或いは画像処理技術を用いたクラック検知方式では、クラックによるウェハー表面の傷を検出している場合が多く、クラックによる傷とウェハー表面に形成されたパターンとの区別が困難であるために、誤検知が生じやすいという問題があった。また、ウェハー表面に傷がなくとも、赤外線によって内部クラックを検出可能な方式も検討されているが、赤外線照射によるウェハーの熱膨張によってクラックが閉じてしまうという場合もあった。
【0009】
一方、特許文献2に開示されるようなウェハーに衝撃を与えて振動を発生させる方式では、その衝撃によってウェハー表面に形成されたパターン或いはウェハーそのものに損傷を与える可能性があった。
【0010】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、簡易な構造にて基板に存在しているクラックを検知することができるクラック検知方法およびクラック検知装置、並びに、そのクラック検知装置を組み込んだ基板処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため、請求項1の発明は、基板に存在しているクラックを検知するクラック検知方法において、基板の端部に沿って接触プローブを摺動させることによって前記基板に音響を発生させる音響発生工程と、発生した音響をマイクロフォンにて集音する集音工程と、前記集音工程にて集音された音響に対する周波数解析を行う解析工程と、前記解析工程にて得られた周波数スペクトルから前記基板のクラックの有無を判定する判定工程と、を備えることを特徴とする。
【0012】
また、請求項2の発明は、請求項1の発明に係るクラック検知方法において、前記判定工程では、クラックの存在していない基板についての周波数解析により得られた基準周波数スペクトルと、処理対象となる基板についての周波数解析により得られた対象周波数スペクトルとの比較から当該処理対象となる基板のクラックの有無を判定することを特徴とする。
【0013】
また、請求項3の発明は、請求項2の発明に係るクラック検知方法において、前記判定工程では、前記基準周波数スペクトルにおける基準ピークと、前記対象周波数スペクトルに含まれるピークとの対比に基づいて当該処理対象となる基板のクラックの有無を判定することを特徴とする。
【0014】
また、請求項4の発明は、請求項1から請求項3のいずれかの発明に係るクラック検知方法において、基板に対して所定の基板処理を実行する前に当該基板のクラックを検知し、前記判定工程での判定結果に基づいて当該基板に対する前記基板処理を実行するか否かを決定することを特徴とする。
【0015】
また、請求項5の発明は、請求項4の発明に係るクラック検知方法において、前記基板処理が実行された後の前記基板のクラックを検知し、前記判定工程での判定結果に基づいて前記基板に対する前記基板処理の後工程を実行するか否かを決定することを特徴とする。
【0016】
また、請求項6の発明は、請求項1から請求項3のいずれかの発明に係るクラック検知方法において、基板に対して所定の基板処理を実行した後に当該基板のクラックを検知し、前記判定工程での判定結果に基づいて前記基板に対する前記基板処理の後工程を実行するか否かを決定することを特徴とする。
【0017】
また、請求項7の発明は、基板に存在しているクラックを検知するクラック検知装置において、基板の端部に当接する接触プローブと、前記接触プローブと前記基板とを相対移動させて前記基板の端部に沿って前記接触プローブを摺動させる駆動機構と、前記基板の端部に沿って前記接触プローブが摺動したときに前記基板に発生する音響を集音するマイクロフォンと、前記マイクロフォンによって集音された音響に対する周波数解析を行う解析部と、前記周波数解析によって得られた周波数スペクトルから前記基板のクラックの有無を判定する判定部と、を備えることを特徴とする。
【0018】
また、請求項8の発明は、請求項7の発明に係るクラック検知装置において、前記判定部は、クラックの存在していない基板についての周波数解析により得られた基準周波数スペクトルと、処理対象となる基板についての周波数解析により得られた対象周波数スペクトルとの比較から当該処理対象となる基板のクラックの有無を判定することを特徴とする。
【0019】
また、請求項9の発明は、請求項8の発明に係るクラック検知装置において、前記判定部は、前記基準周波数スペクトルにおける基準ピークと、前記対象周波数スペクトルに含まれるピークとの対比に基づいて当該処理対象となる基板のクラックの有無を判定することを特徴とする。
【0020】
また、請求項10の発明は、請求項7から請求項9のいずれかの発明に係るクラック検知装置において、種類の異なる複数の接触プローブのうちのいずれかを選択して前記基板の端部に当接させる選択機構をさらに備えることを特徴とする。
【0021】
また、請求項11の発明は、請求項7から請求項10のいずれかの発明に係るクラック検知装置において、前記駆動機構は、前記基板の中心部を支持して前記基板を回転させる回転支持機構を含むことを特徴とする。
【0022】
また、請求項12の発明は、請求項11の発明に係るクラック検知装置において、前記マイクロフォンを前記回転支持機構内に設けることを特徴とする。
【0023】
また、請求項13の発明は、基板処理装置において、請求項7から請求項12のいずれかの発明に係るクラック検知装置と、基板に所定の基板処理を行う基板処理部と、を備え、基板に対して前記基板処理部での基板処理を実行する前に当該基板のクラックを検知し、前記判定部の判定結果に基づいて当該基板に対する前記基板処理を実行するか否かを決定することを特徴とする。
【0024】
また、請求項14の発明は、請求項13の発明に係る基板処理装置において、前記基板処理部での基板処理が実行された後の前記基板のクラックを検知することを特徴とする。
【0025】
また、請求項15の発明は、基板処理装置において、請求項7から請求項12のいずれかの発明に係るクラック検知装置と、基板に所定の基板処理を行う基板処理部と、を備え、前記基板処理部での基板処理が実行された後の前記基板のクラックを検知することを特徴とする。
【発明の効果】
【0026】
請求項1から請求項6の発明によれば、基板の端部に沿って接触プローブを摺動させることによって基板に音響を発生させ、発生した音響をマイクロフォンにて集音し、集音された音響に対する周波数解析を行って得られた周波数スペクトルから基板のクラックの有無を判定するため、接触プローブとマイクロフォンを設けるだけの簡易な構造にて基板に存在しているクラックを検知することができる。
【0027】
請求項7から請求項15の発明によれば、接触プローブと基板とを相対移動させ、基板の端部に沿って接触プローブが摺動したときに基板に発生する音響をマイクロフォンにて集音し、集音された音響に対する周波数解析を行って得られた周波数スペクトルから基板のクラックの有無を判定するため、接触プローブとマイクロフォンを設けるだけの簡易な構造にて基板に存在しているクラックを検知することができる。
【0028】
特に、請求項12の発明によれば、マイクロフォンを回転支持機構内に設けるため、雑音を遮音してSN比を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本発明に係る基板処理装置を示す平面図である。
図2図1の基板処理装置の正面図である。
図3】フラッシュ加熱部の構成を示す縦断面図である。
図4】保持部の全体外観を示す斜視図である。
図5】保持部のサセプターを上面から見た平面図である。
図6】保持部を側方から見た側面図である。
図7】移載機構の平面図である。
図8】移載機構の側面図である。
図9】複数のハロゲンランプの配置を示す平面図である。
図10】アライメント部の構成を示す縦断面図である。
図11】制御部の構成を示すブロック図である。
図12】クラック検知処理の処理手順を示すフローチャートである。
図13】クラックの存在していない基準ウェハーについての基準周波数スペクトルの一例を示す図である。
図14】処理対象となる半導体ウェハーについての周波数スペクトルの一例を示す図である。
図15】複数の接触プローブを設ける構成例を示す図である。
図16】マイクロフォンを回転支持機構の内部に設ける構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0031】
まず、本発明に係る基板処理装置100の全体概略構成について簡単に説明する。図1は、本発明に係る基板処理装置100を示す平面図であり、図2はその正面図である。基板処理装置100は基板として円板形状の半導体ウェハーWにフラッシュ光を照射してその半導体ウェハーWを加熱するフラッシュランプアニール装置である。処理対象となる半導体ウェハーWのサイズは特に限定されるものではないが、例えばφ300mmやφ450mmである。基板処理装置100に搬入される前の半導体ウェハーWには不純物が注入されており、基板処理装置100による加熱処理によって注入された不純物の活性化処理が実行される。なお、図1および以降の各図においては、理解容易のため、必要に応じて各部の寸法や数を誇張または簡略化して描いている。また、図1,2および以降の各図においては、それらの方向関係を明確にするためZ軸方向を鉛直方向とし、XY平面を水平面とするXYZ直交座標系を必要に応じて付している。
【0032】
図1および図2に示すように、基板処理装置100は、未処理の半導体ウェハーWを外部から装置内に搬入するとともに処理済みの半導体ウェハーWを装置外に搬出するためのインデクサ部101、未処理の半導体ウェハーWの位置決めを行うアライメント部130、加熱処理後の半導体ウェハーWの冷却を行う冷却部140、半導体ウェハーWにフラッシュ加熱処理を施すフラッシュ加熱部160並びにアライメント部130、冷却部140およびフラッシュ加熱部160に対して半導体ウェハーWの搬送を行う搬送ロボット150を備える。また、基板処理装置100は、上記の各処理部に設けられた動作機構および搬送ロボット150を制御して半導体ウェハーWのフラッシュ加熱処理を進行させる制御部3を備える。
【0033】
インデクサ部101は、複数のキャリアC(本実施形態では2個)を並べて載置するロードポート110と、各キャリアCから未処理の半導体ウェハーWを取り出すとともに、各キャリアCに処理済みの半導体ウェハーWを収納する受渡ロボット120とを備えている。未処理の半導体ウェハーWを収容したキャリアCは無人搬送車(AGV、OHT)等によって搬送されてロードポート110に載置されるともに、処理済みの半導体ウェハーWを収容したキャリアCは無人搬送車によってロードポート110から持ち去られる。また、ロードポート110においては、受渡ロボット120がキャリアCに対して任意の半導体ウェハーWの出し入れを行うことができるように、キャリアCが図2の矢印CUにて示す如く昇降移動可能に構成されている。なお、キャリアCの形態としては、半導体ウェハーWを密閉空間に収納するFOUP(front opening unified pod)の他に、SMIF(Standard Mechanical Inter Face)ポッドや収納した半導体ウェハーWを外気に曝すOC(open cassette)であっても良い。
【0034】
また、受渡ロボット120は、図1の矢印120Sにて示すようなスライド移動、矢印120Rにて示すような旋回動作および昇降動作が可能とされている。これにより、受渡ロボット120は、2つのキャリアCに対して半導体ウェハーWの出し入れを行うとともに、アライメント部130および冷却部140に対して半導体ウェハーWの受け渡しを行う。受渡ロボット120によるキャリアCに対する半導体ウェハーWの出し入れは、ハンド121のスライド移動、および、キャリアCの昇降移動により行われる。また、受渡ロボット120とアライメント部130または冷却部140との半導体ウェハーWの受け渡しは、ハンド121のスライド移動、および、受渡ロボット120の昇降動作によって行われる。
【0035】
アライメント部130は、半導体ウェハーWを水平面内で回転させて続くフラッシュ加熱に適切な向きに向ける処理部である。アライメント部130は、アルミニウム合金製の筐体であるアライメントチャンバー131の内部に、半導体ウェハーWを水平姿勢に支持して回転させる機構、半導体ウェハーWの周縁部に形成されたノッチやオリフラ等を光学的に検出する機構、および、半導体ウェハーWに音響を発生させて集音する機構などを設けて構成される。受渡ロボット120からアライメントチャンバー131へはウェハー中心が所定の位置に位置するように半導体ウェハーWが渡される。アライメント部130では、インデクサ部101から受け取った半導体ウェハーWの中心部を回転中心として鉛直方向軸まわりで回転させ、ノッチ等を光学的に検出することによって半導体ウェハーWの向きを調整する。また、アライメント部130では、半導体ウェハーWを回転させつつ、その端部に接触プローブを摺動させることによって半導体ウェハーWに音響を発生させてクラックの有無を検知しているが、その詳細についてはさらに後述する。
【0036】
基板処理装置100の主要部であるフラッシュ加熱部160は、予備加熱を行った半導体ウェハーWにキセノンフラッシュランプFLからの閃光(フラッシュ光)を照射してフラッシュ加熱処理を行う基板処理部である。
【0037】
冷却部140は、アルミニウム合金製の筐体であるクールチャンバー141の内部に、金属製の冷却プレートの上面に石英板を載置して構成されている。フラッシュ加熱部160にてフラッシュ加熱処理が施された直後の半導体ウェハーWは温度が高いため、冷却部140にて上記石英板上に載置されて冷却される。
【0038】
搬送ロボット150は、鉛直方向に沿った軸を中心に矢印150Rにて示すように旋回可能とされるとともに、複数のアームセグメントからなる2つのリンク機構を有し、それら2つのリンク機構の先端にはそれぞれ半導体ウェハーWを保持する搬送ハンド151a,151bが設けられる。これらの搬送ハンド151a,151bは上下に所定のピッチだけ隔てて配置され、リンク機構によりそれぞれ独立して同一水平方向に直線的にスライド移動可能とされている。また、搬送ロボット150は、2つのリンク機構が設けられるベースを昇降移動することにより、所定のピッチだけ離れた状態のまま2つの搬送ハンド151a,151bを昇降移動させる。
【0039】
また、搬送ロボット150による半導体ウェハーWの搬送空間として搬送ロボット150を収容する搬送チャンバー170が設けられており、アライメントチャンバー131、クールチャンバー141およびフラッシュ加熱部160のチャンバー6が搬送チャンバー170に連結されて配置されている。搬送ロボット150がアライメントチャンバー131、クールチャンバー141またはフラッシュ加熱部160のチャンバー6を受け渡し相手として半導体ウェハーWの受け渡し(出し入れ)を行う際には、まず、両搬送ハンド151a,151bが受け渡し相手と対向するように旋回し、その後(または旋回している間に)昇降移動していずれかの搬送ハンドが受け渡し相手と半導体ウェハーWを受け渡しする高さに位置する。そして、搬送ハンド151a(151b)を水平方向に直線的にスライド移動させて受け渡し相手と半導体ウェハーWの受け渡しを行う。
【0040】
アライメント部130のアライメントチャンバー131および冷却部140のクールチャンバー141とインデクサ部101との間にはそれぞれゲートバルブ181,182が設けられている。また、搬送チャンバー170とアライメントチャンバー131、クールチャンバー141およびフラッシュ加熱部160のチャンバー6との間にはそれぞれゲートバルブ183,184,185が設けられる。基板処理装置100内にて半導体ウェハーWが搬送される際には、適宜これらのゲートバルブが開閉される。また、アライメントチャンバー131、クールチャンバー141および搬送チャンバー170の内部が清浄に維持されるようにそれぞれに窒素ガス供給部(図示省略)から高純度の窒素ガスが供給され、余剰の窒素ガスは適宜排気管から排気される。
【0041】
次に、フラッシュ加熱部160の構成について説明する。図3は、フラッシュ加熱部160の構成を示す縦断面図である。フラッシュ加熱部160は、半導体ウェハーWを収容するチャンバー6と、複数のフラッシュランプFLを内蔵するフラッシュランプハウス5と、複数のハロゲンランプHLを内蔵するハロゲンランプハウス4と、を備える。チャンバー6の上側にフラッシュランプハウス5が設けられるとともに、下側にハロゲンランプハウス4が設けられている。また、フラッシュ加熱部160は、チャンバー6の内部に、半導体ウェハーWを水平姿勢に保持する保持部7と、保持部7と搬送ロボット150との間で半導体ウェハーWの受け渡しを行う移載機構10と、を備える。
【0042】
チャンバー6は、筒状のチャンバー側部61の上下に石英製のチャンバー窓を装着して構成されている。チャンバー側部61は上下が開口された概略筒形状を有しており、上側開口には上側チャンバー窓63が装着されて閉塞され、下側開口には下側チャンバー窓64が装着されて閉塞されている。チャンバー6の天井部を構成する上側チャンバー窓63は、石英により形成された円板形状部材であり、フラッシュランプFLから出射されたフラッシュ光をチャンバー6内に透過する石英窓として機能する。また、チャンバー6の床部を構成する下側チャンバー窓64も、石英により形成された円板形状部材であり、ハロゲンランプHLからの光をチャンバー6内に透過する石英窓として機能する。
【0043】
また、チャンバー側部61の内側の壁面の上部には反射リング68が装着され、下部には反射リング69が装着されている。反射リング68,69は、ともに円環状に形成されている。上側の反射リング68は、チャンバー側部61の上側から嵌め込むことによって装着される。一方、下側の反射リング69は、チャンバー側部61の下側から嵌め込んで図示省略のビスで留めることによって装着される。すなわち、反射リング68,69は、ともに着脱自在にチャンバー側部61に装着されるものである。チャンバー6の内側空間、すなわち上側チャンバー窓63、下側チャンバー窓64、チャンバー側部61および反射リング68,69によって囲まれる空間が熱処理空間65として規定される。
【0044】
チャンバー側部61に反射リング68,69が装着されることによって、チャンバー6の内壁面に凹部62が形成される。すなわち、チャンバー側部61の内壁面のうち反射リング68,69が装着されていない中央部分と、反射リング68の下端面と、反射リング69の上端面とで囲まれた凹部62が形成される。凹部62は、チャンバー6の内壁面に水平方向に沿って円環状に形成され、半導体ウェハーWを保持する保持部7を囲繞する。
【0045】
チャンバー側部61および反射リング68,69は、強度と耐熱性に優れた金属材料(例えば、ステンレススチール)にて形成されている。また、反射リング68,69の内周面は電解ニッケルメッキによって鏡面とされている。
【0046】
また、チャンバー側部61には、チャンバー6に対して半導体ウェハーWの搬入および搬出を行うための搬送開口部(炉口)66が形設されている。搬送開口部66は、ゲートバルブ185によって開閉可能とされている。搬送開口部66は凹部62の外周面に連通接続されている。このため、ゲートバルブ185が搬送開口部66を開放しているときには、搬送開口部66から凹部62を通過して熱処理空間65への半導体ウェハーWの搬入および熱処理空間65からの半導体ウェハーWの搬出を行うことができる。また、ゲートバルブ185が搬送開口部66を閉鎖するとチャンバー6内の熱処理空間65が密閉空間とされる。
【0047】
また、チャンバー6の内壁上部には熱処理空間65に処理ガス(本実施形態では窒素ガス(N))を供給するガス供給孔81が形設されている。ガス供給孔81は、凹部62よりも上側位置に形設されており、反射リング68に設けられていても良い。ガス供給孔81はチャンバー6の側壁内部に円環状に形成された緩衝空間82を介してガス供給管83に連通接続されている。ガス供給管83はガス供給源85に接続されている。また、ガス供給管83の経路途中にはバルブ84が介挿されている。バルブ84が開放されると、ガス供給源85から緩衝空間82に窒素ガスが送給される。緩衝空間82に流入した窒素ガスは、ガス供給孔81よりも流体抵抗の小さい緩衝空間82内を拡がるように流れてガス供給孔81から熱処理空間65内へと供給される。なお、処理ガスは窒素ガスに限定されるものではなく、アルゴン(Ar)、ヘリウム(He)などの不活性ガス、または、酸素(O)、水素(H)、塩素(Cl)、塩化水素(HCl)、オゾン(O)、アンモニア(NH)などの反応性ガスであっても良い。
【0048】
一方、チャンバー6の内壁下部には熱処理空間65内の気体を排気するガス排気孔86が形設されている。ガス排気孔86は、凹部62よりも下側位置に形設されており、反射リング69に設けられていても良い。ガス排気孔86はチャンバー6の側壁内部に円環状に形成された緩衝空間87を介してガス排気管88に連通接続されている。ガス排気管88は排気部190に接続されている。また、ガス排気管88の経路途中にはバルブ89が介挿されている。バルブ89が開放されると、熱処理空間65の気体がガス排気孔86から緩衝空間87を経てガス排気管88へと排出される。なお、ガス供給孔81およびガス排気孔86は、チャンバー6の周方向に沿って複数設けられていても良いし、スリット状のものであっても良い。また、ガス供給源85および排気部190は、基板処理装置100に設けられた機構であっても良いし、基板処理装置100が設置される工場のユーティリティであっても良い。
【0049】
また、搬送開口部66の先端にも熱処理空間65内の気体を排出するガス排気管191が接続されている。ガス排気管191はバルブ192を介して排気部190に接続されている。バルブ192を開放することによって、搬送開口部66を介してチャンバー6内の気体が排気される。
【0050】
図4は、保持部7の全体外観を示す斜視図である。また、図5は保持部7のサセプター74を上面から見た平面図であり、図6は保持部7を側方から見た側面図である。保持部7は、基台リング71、連結部72およびサセプター74を備えて構成される。基台リング71、連結部72およびサセプター74はいずれも石英にて形成されている。すなわち、保持部7の全体が石英にて形成されている。
【0051】
基台リング71は円環形状の石英部材である。基台リング71は凹部62の底面に載置されることによって、チャンバー6の壁面に支持されることとなる(図3参照)。円環形状を有する基台リング71の上面に、その周方向に沿って複数の連結部72(本実施形態では4個)が立設される。連結部72も石英の部材であり、溶接によって基台リング71に固着される。なお、基台リング71の形状は、円環形状から一部が欠落した円弧状であっても良い。
【0052】
サセプター74は基台リング71に設けられた4個の連結部72によって支持される。サセプター74は、保持プレート75および複数の支持ピン77を備える。保持プレート75は、石英にて形成された円形の平板状部材である。保持プレート75の直径は半導体ウェハーWの直径よりも大きい。すなわち、保持プレート75は、半導体ウェハーWよりも大きな平面サイズを有する。
【0053】
保持プレート75の上面には、複数の支持ピン77が立設されている。本実施形態においては、円形の保持プレート75の外周円と同心円の円周に沿って45°間隔で計8本の支持ピン77が立設されている。8本の支持ピン77を配置した円の径(対向する支持ピン77間の距離)は半導体ウェハーWの径よりも小さい。複数の支持ピン77のそれぞれは石英にて形成されている。複数の支持ピン77は、保持プレート75の上面に穿設された凹部に嵌着して立設すれば良い。
【0054】
また、保持プレート75の上面には複数個(本実施形態では5個)のガイドピン76も立設されている。5個のガイドピン76は保持プレート75の外周円と同心円の円周に沿って設けられている。5個のガイドピン76を配置した円の径は半導体ウェハーWの径よりも若干大きい。よって、5個のガイドピン76を配置した円の径は、8本の支持ピン77を配置した円の径よりも大きい。各ガイドピン76も石英にて形成されている。なお、ガイドピン76の個数は5個に限定されるものではなく、半導体ウェハーWの位置ずれを防止できる数であれば良い。
【0055】
基台リング71に立設された4個の連結部72とサセプター74の保持プレート75の下面周縁部とが溶接によって固着される。すなわち、サセプター74と基台リング71とは連結部72によって固定的に連結されている。このような保持部7の基台リング71がチャンバー6の壁面に支持されることによって、保持部7がチャンバー6に装着される。保持部7がチャンバー6に装着された状態においては、サセプター74の保持プレート75は水平姿勢(法線が鉛直方向と一致する姿勢)となる。チャンバー6に搬入された半導体ウェハーWは、チャンバー6に装着された保持部7のサセプター74の上に水平姿勢にて載置されて保持される。このとき、半導体ウェハーWは保持プレート75上に立設された8本の支持ピン77によって点接触にて下面から支持されてサセプター74に載置される。すなわち、半導体ウェハーWは8本の支持ピン77によって保持プレート75の上面から所定の間隔を隔てて支持されることとなる。また、支持ピン77の高さよりもガイドピン76の高さの方が大きい。従って、複数の支持ピン77によって支持された半導体ウェハーWの水平方向の位置ずれはガイドピン76によって防止される。
【0056】
また、図4および図5に示すように、サセプター74の保持プレート75には、上下に貫通して開口部78および切り欠き部73が形成されている。開口部78は、放射温度計220がサセプター74に保持された半導体ウェハーWの下面から放射される放射光(赤外光)を受光するために設けられている。すなわち、放射温度計220が開口部78を介してサセプター74に保持された半導体ウェハーWの下面から放射された光を受光し、別置のディテクタによってその半導体ウェハーWの温度が測定される。一方、切り欠き部73は、熱電対を使用した接触式温度計230のプローブ先端部を通すために設けられている。接触式温度計230は、切り欠き部73を通過してプローブを半導体ウェハーWの下面に接触させて温度測定を行う。さらに、サセプター74の保持プレート75には、後述する移載機構10のリフトピン12が半導体ウェハーWの受け渡しのために貫通する4個の貫通孔79が穿設されている。
【0057】
図7は、移載機構10の平面図である。また、図8は、移載機構10の側面図である。移載機構10は、2本の移載アーム11を備える。移載アーム11は、概ね円環状の凹部62に沿うような円弧形状とされている。それぞれの移載アーム11には2本のリフトピン12が立設されている。各移載アーム11は水平移動機構13によって回動可能とされている。水平移動機構13は、一対の移載アーム11を保持部7に対して半導体ウェハーWの移載を行う移載動作位置(図7の実線位置)と保持部7に保持された半導体ウェハーWと平面視で重ならない退避位置(図7の二点鎖線位置)との間で水平移動させる。水平移動機構13としては、個別のモータによって各移載アーム11をそれぞれ回動させるものであっても良いし、リンク機構を用いて1個のモータによって一対の移載アーム11を連動させて回動させるものであっても良い。
【0058】
また、一対の移載アーム11は、昇降機構14によって水平移動機構13とともに昇降移動される。昇降機構14が一対の移載アーム11を移載動作位置にて上昇させると、計4本のリフトピン12がサセプター74の保持プレート75に穿設された貫通孔79(図4,5参照)を通過し、リフトピン12の上端が保持プレート75の上面から突き出る。一方、昇降機構14が一対の移載アーム11を移載動作位置にて下降させてリフトピン12を貫通孔79から抜き取り、水平移動機構13が一対の移載アーム11を開くように移動させると各移載アーム11が退避位置に移動する。一対の移載アーム11の退避位置は、保持部7の基台リング71の直上である。基台リング71は凹部62の底面に載置されているため、移載アーム11の退避位置は凹部62の内側となる。なお、移載機構10の駆動部(水平移動機構13および昇降機構14)が設けられている部位の近傍にも図示省略の排気機構が設けられており、移載機構10の駆動部周辺の雰囲気がチャンバー6の外部に排出されるように構成されている。
【0059】
図3に戻り、チャンバー6の上方に設けられたフラッシュランプハウス5は、筐体51の内側に、複数本(本実施形態では30本)のキセノンフラッシュランプFLからなる光源と、その光源の上方を覆うように設けられたリフレクタ52と、を備えて構成される。また、フラッシュランプハウス5の筐体51の底部にはランプ光放射窓53が装着されている。フラッシュランプハウス5の床部を構成するランプ光放射窓53は、石英により形成された板状の石英窓である。フラッシュランプハウス5がチャンバー6の上方に設置されることにより、ランプ光放射窓53が上側チャンバー窓63と相対向することとなる。フラッシュランプFLはチャンバー6の上方からランプ光放射窓53および上側チャンバー窓63を介して熱処理空間65にフラッシュ光を照射する。
【0060】
複数のフラッシュランプFLは、それぞれが長尺の円筒形状を有する棒状ランプであり、それぞれの長手方向が保持部7に保持される半導体ウェハーWの主面に沿って(つまり水平方向に沿って)互いに平行となるように平面状に配列されている。よって、フラッシュランプFLの配列によって形成される平面も水平面である。
【0061】
キセノンフラッシュランプFLは、その内部にキセノンガスが封入されその両端部にコンデンサーに接続された陽極および陰極が配設された棒状のガラス管(放電管)と、該ガラス管の外周面上に付設されたトリガー電極とを備える。キセノンガスは電気的には絶縁体であることから、コンデンサーに電荷が蓄積されていたとしても通常の状態ではガラス管内に電気は流れない。しかしながら、トリガー電極に高電圧を印加して絶縁を破壊した場合には、コンデンサーに蓄えられた電気がガラス管内に瞬時に流れ、そのときのキセノンの原子あるいは分子の励起によって光が放出される。このようなキセノンフラッシュランプFLにおいては、予めコンデンサーに蓄えられていた静電エネルギーが0.1ミリセカンドないし100ミリセカンドという極めて短い光パルスに変換されることから、ハロゲンランプHLの如き連続点灯の光源に比べて極めて強い光を照射し得るという特徴を有する。
【0062】
また、リフレクタ52は、複数のフラッシュランプFLの上方にそれら全体を覆うように設けられている。リフレクタ52の基本的な機能は、複数のフラッシュランプFLから出射されたフラッシュ光を熱処理空間65の側に反射するというものである。リフレクタ52はアルミニウム合金板にて形成されており、その表面(フラッシュランプFLに臨む側の面)はブラスト処理により粗面化加工が施されている。
【0063】
チャンバー6の下方に設けられたハロゲンランプハウス4の内部には複数本(本実施形態では40本)のハロゲンランプHLが内蔵されている。複数のハロゲンランプHLはチャンバー6の下方から下側チャンバー窓64を介して熱処理空間65への光照射を行う。図9は、複数のハロゲンランプHLの配置を示す平面図である。本実施形態では、上下2段に各20本ずつのハロゲンランプHLが配設されている。各ハロゲンランプHLは、長尺の円筒形状を有する棒状ランプである。上段、下段ともに20本のハロゲンランプHLは、それぞれの長手方向が保持部7に保持される半導体ウェハーWの主面に沿って(つまり水平方向に沿って)互いに平行となるように配列されている。よって、上段、下段ともにハロゲンランプHLの配列によって形成される平面は水平面である。
【0064】
また、図9に示すように、上段、下段ともに保持部7に保持される半導体ウェハーWの中央部に対向する領域よりも周縁部に対向する領域におけるハロゲンランプHLの配設密度が高くなっている。すなわち、上下段ともに、ランプ配列の中央部よりも周縁部の方がハロゲンランプHLの配設ピッチが短い。このため、ハロゲンランプHLからの光照射による加熱時に温度低下が生じやすい半導体ウェハーWの周縁部により多い光量の照射を行うことができる。
【0065】
また、上段のハロゲンランプHLからなるランプ群と下段のハロゲンランプHLからなるランプ群とが格子状に交差するように配列されている。すなわち、上段の各ハロゲンランプHLの長手方向と下段の各ハロゲンランプHLの長手方向とが直交するように計40本のハロゲンランプHLが配設されている。
【0066】
ハロゲンランプHLは、ガラス管内部に配設されたフィラメントに通電することでフィラメントを白熱化させて発光させるフィラメント方式の光源である。ガラス管の内部には、窒素やアルゴン等の不活性ガスにハロゲン元素(ヨウ素、臭素等)を微量導入した気体が封入されている。ハロゲン元素を導入することによって、フィラメントの折損を抑制しつつフィラメントの温度を高温に設定することが可能となる。したがって、ハロゲンランプHLは、通常の白熱電球に比べて寿命が長くかつ強い光を連続的に照射できるという特性を有する。また、ハロゲンランプHLは棒状ランプであるため長寿命であり、ハロゲンランプHLを水平方向に沿わせて配置することにより上方の半導体ウェハーWへの放射効率が優れたものとなる。
【0067】
上記の構成以外にもフラッシュ加熱部160は、半導体ウェハーWの熱処理時にハロゲンランプHLおよびフラッシュランプFLから発生する熱エネルギーによるハロゲンランプハウス4、フラッシュランプハウス5およびチャンバー6の過剰な温度上昇を防止するため、様々な冷却用の構造を備えている。例えば、チャンバー6の壁体には水冷管(図示省略)が設けられている。また、ハロゲンランプハウス4およびフラッシュランプハウス5は、内部に気体流を形成して排熱する空冷構造とされている。また、上側チャンバー窓63とランプ光放射窓53との間隙にも空気が供給され、フラッシュランプハウス5および上側チャンバー窓63を冷却する。
【0068】
次に、アライメント部130の構成について説明する。図10は、アライメント部130の構成を示す縦断面図である。アライメント部130は、アライメントチャンバー131の内部に、半導体ウェハーWを水平姿勢に支持して回転させる回転支持機構330、半導体ウェハーWの周縁部に形成されたノッチやオリフラ等を光学的に検出する光学機構340、半導体ウェハーWの端部に当接する接触プローブ350、および、半導体ウェハーWに発生する音響を集音するマイクロフォン360を備える。アライメントチャンバー131とインデクサ部101との間の搬出入口にはゲートバルブ181が設けられ、アライメントチャンバー131と搬送チャンバー170との間の搬出入口にはゲートバルブ183が設けられている。
【0069】
回転支持機構330は、スピンチャック331およびスピンモータ332を備える。スピンチャック331は、半導体ウェハーWの下面中心部を支持する。スピンチャック331としては、負圧によって半導体ウェハーWを吸着する減圧チャック、クーロン力によって半導体ウェハーWを吸着する静電チャック、気体を噴出してベルヌーイの原理により半導体ウェハーWを吸引するベルヌーイチャックなどの吸着機能を有するものを用いることが好ましい。スピンモータ332は、鉛直方向に沿った軸を回転中心としてスピンチャック331を回転させる。スピンチャック331に水平姿勢に支持された半導体ウェハーWもスピンモータ332によって水平面内にて回転される。スピンモータ332としては、回転角度および回転速度を正確に制御することができるパルスモータを用いることが好ましい。
【0070】
光学機構340は、一対の投光部341および受光部342を備え、半導体ウェハーWの周縁部に形成されたノッチ等を検出する。一般に、φ300mmの半導体ウェハーWの周縁部には、シリコンの結晶方位を示す切り欠きであるノッチが形成されている(φ200mmの半導体ウェハーWであればオリフラ)。回転支持機構330によって半導体ウェハーWを水平姿勢に支持して鉛直方向軸まわりで回転させつつ、その半導体ウェハーWの周縁部に投光部341からレーザ光を投射する。半導体ウェハーWの周縁部のノッチを除く部位では投光部341から投射されたレーザ光が当該周縁部によって遮光されるが、投光部341の直下にノッチが位置しているときには投光部341から投射されたレーザ光がノッチを通過して受光部342によって受光される。従って、投光部341および受光部342によって半導体ウェハーWのノッチを光学的に検出することができ、ノッチを検出することによって半導体ウェハーWの向きが一定方向に調整される。
【0071】
接触プローブ350は、円柱形状または球形の部材である。接触プローブ350は、その外面が回転支持機構330に支持される半導体ウェハーWの端部に当接するように設けられる。なお、接触プローブ350の設置位置は、回転支持機構330に支持される半導体ウェハーWの端部に当接する位置と当該端部から隔離した位置とで切り替え可能とされているのが好ましい。
【0072】
接触プローブ350は、硬質のゴムにて形成される。接触プローブ350のゴムとしては、例えばフッ素ゴム、シリコンゴム、メチルシリコーンゴム、ビニル・メチルシリコーンゴム、フェニル・メチルシリコーンゴムを用いることができる。接触プローブ350の外周面は粗面とされていることが好ましい。
【0073】
マイクロフォン360は、回転支持機構330に支持されて回転される半導体ウェハーWから発生した音響を集音して電気信号に変換する。本実施形態においては、マイクロフォン360は、回転支持機構330に支持される半導体ウェハーWの下面に対向する位置であって、接触プローブ350の近傍に設置される。マイクロフォン360としては、回転支持機構330に支持される半導体ウェハーWに対して感度が良好な指向性を有するものを採用するのが好ましい。適正な指向性を有するマイクロフォン360を使用することにより、半導体ウェハーWに発生する音響以外の雑音を集音することが抑制され、SN比を向上することができる。
【0074】
図1に戻り、制御部3は、基板処理装置100に設けられた種々の動作機構を制御する。図11は、制御部3の構成を示すブロック図である。制御部3のハードウェアとしての構成は一般的なコンピュータと同様である。すなわち、制御部3は、各種演算処理を行う回路であるCPU、基本プログラムを記憶する読み出し専用のメモリであるROM、各種情報を記憶する読み書き自在のメモリであるRAMおよび制御用ソフトウェアやデータなどを記憶しておく磁気ディスクを備えている。制御部3のCPUが所定の処理プログラムを実行することによって基板処理装置100における処理が進行する。
【0075】
図11に示すように、制御部3は音響解析部371および判定部372を備える。音響解析部371および判定部372は、制御部3のCPUが所定の処理プログラムを実行することによって実現される機能処理部である。音響解析部371は、アライメント部130に設置されたマイクロフォン360に接続される。音響解析部371および判定部372の処理内容についてはさらに後述する。
【0076】
また、制御部3には、表示部373が接続されている。表示部373は、例えば基板処理装置100の外壁に設けられた液晶ディスプレイ等の表示パネルである。表示部373としては、タッチパネルを採用するようにしても良い。なお、図1においては、インデクサ部101内に制御部3を示しているが、これに限定されるものではなく、制御部3は基板処理装置100内の任意の位置に配置することができる。
【0077】
次に、本発明に係る基板処理装置100による半導体ウェハーWの処理動作について説明する。ここでは、まず、基板処理装置100全体における半導体ウェハーWの処理フローについて簡単に説明した後、アライメント部130におけるクラック検知処理およびフラッシュ加熱部160におけるフラッシュ加熱処理について説明する。処理対象となる半導体ウェハーWはイオン注入法により不純物(イオン)が添加された半導体基板である。その不純物の活性化が基板処理装置100によるフラッシュ光照射加熱処理(アニール)により実行される。以下に説明する基板処理装置100の処理手順は、制御部3が基板処理装置100の各動作機構を制御することにより進行する。
【0078】
基板処理装置100では、まず、不純物注入後の半導体ウェハーWがキャリアCに複数枚収容された状態でインデクサ部101のロードポート110に載置される。そして、受渡ロボット120がキャリアCから半導体ウェハーWを1枚ずつ取り出し、アライメント部130のアライメントチャンバー131に搬入する。アライメントチャンバー131に半導体ウェハーWが搬入された時点で、ゲートバルブ181がアライメントチャンバー131とインデクサ部101との間を閉鎖する。
【0079】
アライメント部130では、半導体ウェハーWをその中心部を回転中心として水平面内にて鉛直方向軸まわりで回転させ、ノッチ等を光学的に検出することによって半導体ウェハーWの向きを調整する。また、半導体ウェハーWを回転させるときに、その端部に接触プローブ350を当接させて音響を発生させてクラックの有無を検知している。
【0080】
次に、ゲートバルブ183がアライメントチャンバー131と搬送チャンバー170との間を開放し、搬送ロボット150が上側の搬送ハンド151aによってアライメントチャンバー131から向きが調整された半導体ウェハーWを搬出する。半導体ウェハーWを取り出した搬送ロボット150はフラッシュ加熱部160を向くように旋回する。また、半導体ウェハーWの搬出後に、ゲートバルブ183がアライメントチャンバー131と搬送チャンバー170との間を閉鎖する。
【0081】
続いて、ゲートバルブ185がチャンバー6と搬送チャンバー170との間を開放し、搬送ロボット150が半導体ウェハーWをチャンバー6に搬入する。このときに、先行する加熱処理済みの半導体ウェハーWがチャンバー6に存在している場合には、下側の搬送ハンド151bによって当該加熱処理済みの半導体ウェハーWを取り出してから上側の搬送ハンド151aによって未処理の半導体ウェハーWをチャンバー6に搬入してウェハー入れ替えを行う。
【0082】
チャンバー6に搬入された半導体ウェハーWには、ハロゲンランプHLによって予備加熱が行われた後、フラッシュランプFLからのフラッシュ光照射によってフラッシュ加熱処理が行われる。フラッシュ加熱処理により不純物の活性化が行われる。
【0083】
フラッシュ加熱処理が終了した後、搬送ロボット150が搬送ハンド151bによってチャンバー6からフラッシュ加熱後の半導体ウェハーWを搬出する。半導体ウェハーWを取り出した搬送ロボット150は、チャンバー6から冷却部140に向くように旋回する。また、ゲートバルブ185がチャンバー6と搬送チャンバー170との間を閉鎖するとともに、ゲートバルブ184がクールチャンバー141と搬送チャンバー170との間を開放する。
【0084】
その後、搬送ロボット150が搬送ハンド151bを前進させてフラッシュ加熱直後の半導体ウェハーWを冷却部140のクールチャンバー141に搬入する。クールチャンバー141にフラッシュ加熱後の半導体ウェハーWが搬入された後、ゲートバルブ184がクールチャンバー141と搬送チャンバー170との間を閉鎖する。冷却部140では、フラッシュ加熱処理後の半導体ウェハーWの冷却処理が行われる。フラッシュ加熱部160のチャンバー6から搬出された時点での半導体ウェハーW全体の温度は比較的高温であるため、これを冷却部140にて常温近傍にまで冷却するのである。所定の冷却処理時間が経過した後、ゲートバルブ182がクールチャンバー141とインデクサ部101との間を開放し、受渡ロボット120が冷却後の半導体ウェハーWをクールチャンバー141から搬出し、キャリアCへと返却する。キャリアCに所定枚数の処理済み半導体ウェハーWが収容されると、そのキャリアCはインデクサ部101のロードポート110から搬出される。
【0085】
次に、アライメント部130におけるクラック検知処理について説明する。図12は、クラック検知処理の処理手順を示すフローチャートである。受渡ロボット120によってアライメント部130のアライメントチャンバー131に搬入された未処理の半導体ウェハーWは、回転支持機構330のスピンチャック331(図10参照)によって水平姿勢にて支持される。そして、回転支持機構330に支持された半導体ウェハーWの端部に接触プローブ350の外周面が当接する(ステップS1)。なお、アライメント部130に半導体ウェハーWが搬入された後、アライメントチャンバー131とインデクサ部101との間の搬出入口はゲートバルブ181によって閉鎖される。また、アライメントチャンバー131と搬送チャンバー170との間の搬出入口もゲートバルブ183によって閉鎖されている。
【0086】
続いて、半導体ウェハーWの端部に接触プローブ350が当接した状態のまま回転支持機構330によって半導体ウェハーWが水平面内にて回転される(ステップS2)。半導体ウェハーWを回転させつつ、光学機構340によって半導体ウェハーWの周縁部に形成されたノッチ等を検出することにより、半導体ウェハーWの向きが調整される(アライメント処理)。また、外周面が粗面である接触プローブ350が半導体ウェハーWの端部に当接した状態のまま半導体ウェハーWが回転することにより、半導体ウェハーWの端部に沿って接触プローブ350が摺動し、接触プローブ350の外周面の微小な凹凸が半導体ウェハーWに僅かな振動を与える。これにより、半導体ウェハーWにその固有振動数に応じた共鳴周波数の音響が発生する。
【0087】
マイクロフォン360は、回転する半導体ウェハーWに発生した音響を集音する(ステップS3)。マイクロフォン360は、集音した音響を電気信号に変換して制御部3の音響解析部371(図11参照)に伝達する。音響解析部371は、高速フーリエ変換(FFT:Fast Fourier Transform)を用いて、マイクロフォン360によって集音された音響に対する周波数解析を行う(ステップS4)。高速フーリエ変換は、音の信号を周波数成分に変換するアルゴリズムである。すなわち、音響解析部371は、マイクロフォン360によって集音された音響についての周波数スペクトルを取得するのである。得られた周波数スペクトルは制御部3の記憶部(メモリまたは磁気ディスク等)に格納される。
【0088】
次に、音響解析部371による周波数解析結果に基づいて、判定部372が半導体ウェハーWのクラックの有無を判定する(ステップS5)。制御部3の記憶部には、クラックの存在していない基準ウェハーについて、ステップS1〜ステップS4の測定および周波数解析を行って得られた基準周波数スペクトルが予め格納されている。図13は、基準周波数スペクトルの一例を示す図である。
【0089】
クラックの存在していない基準ウェハーとしては、基板処理装置100に搬入されるまでに半導体ウェハーWに施された処理と同様の処理工程を経たものが好ましい。特に、基板処理装置100に搬入されるまでの半導体ウェハーWに成膜処理やパターン形成がなされている場合には、基準ウェハーにも同様の成膜処理およびパターン形成を行っておくのが好ましい。これは、半導体ウェハーWに成膜処理やパターン形成がなされると固有振動数が変化し、上記の周波数解析によって得られる周波数スペクトルも変動するためである。
【0090】
例えば基板処理装置100のメンテナンス時等に、クラックの存在していない基準ウェハーをアライメント部130に搬入し、上記のステップS1〜ステップS4と同様の音響測定および周波数解析を行って基準周波数スペクトルを取得し、制御部3の記憶部に格納しておく。基準周波数スペクトルは、基準ウェハーについての周波数スペクトル、すなわちウェハーにクラックが存在していない場合の周波数スペクトルである。なお、複数枚の基準ウェハーについてステップS1〜ステップS4の音響測定および周波数解析を行って複数の周波数スペクトルを取得し、それらの平均値、中央値、或いは最頻値などの統計学的代表値を基準値として基準周波数スペクトルを構成するようにしても良い。このようにすれば、比較の基準となる基準周波数スペクトルの信頼性が向上する。
【0091】
判定部372は、クラックの存在していない基準ウェハーについての基準周波数スペクトルと上述のようにして取得された処理対象となる半導体ウェハーWについての周波数スペクトルとを比較することによって当該半導体ウェハーWのクラックの有無を判定する。図14は、処理対象となる半導体ウェハーWについての周波数スペクトル(対象周波数スペクトル)の一例を示す図である。
【0092】
図13図14とを比較すると明らかなように、図13の基準周波数スペクトルにおける最も強いピークである基準ピークP1が図14の周波数スペクトルでは消失している。その代わりに、図14の処理対象となる半導体ウェハーWについての周波数スペクトルには基準周波数スペクトルには存在していなかった新たなピークP2が出現している。判定部372は、基準周波数スペクトルにおける基準ピークP1と、処理対象となる半導体ウェハーWについての周波数スペクトルに新たに出現したピークP2との対比に基づいて処理対象となる半導体ウェハーWのクラックの有無を判定する。具体的には、判定部372は、基準ピークP1の消失の有無、新たなピークP2の出現の有無、基準ピークP1から新たなピークP2への周波数シフト、基準ピークP1と新たなピークP2との強度比、基準ピークP1と新たなピークP2との半減値幅の比などのうちの1以上の判定項目を用いて半導体ウェハーWのクラックの有無を判定する。例えば、基準ピークP1から新たなピークP2への周波数シフトに基づいて判定する場合には、判定部372は、基準ピークP1から新たなピークP2にシフトした周波数が予め設定された所定の閾値よりも大きい場合にはクラック有りと判定し、当該閾値未満である場合にはクラック無しと判定する。クラックの有無の判定結果は表示部373に表示するようにしても良い。
【0093】
次に、判定部372による判定結果に基づいて、制御部3が半導体ウェハーWに対するフラッシュ加熱処理を実行するか否かを決定する(ステップS6)。本実施形態では、判定部372によって半導体ウェハーWにクラック有りと判定された場合には、制御部3は当該半導体ウェハーWに対するフラッシュ加熱処理は実行しないと決定する(ステップS7)。制御部3は、基板処理装置100における当該半導体ウェハーWについての処理を中断するとともに、表示部373にクラック検出および処理中断のエラー発報を行う。クラックが存在している半導体ウェハーWに対してフラッシュ加熱処理を行うと、フラッシュ光照射時に半導体ウェハーWに作用する応力によってクラックが進展し、半導体ウェハーWが割れるおそれがあるが、クラック有りと判定された半導体ウェハーWについての処理を中断することにより、フラッシュ加熱部160内でのウェハー割れを未然に防止することができる。
【0094】
一方、判定部372によって半導体ウェハーWにクラック無しと判定された場合には、制御部3は当該半導体ウェハーWに対するフラッシュ加熱処理の実行を決定する(ステップS8)。制御部3は、搬送ロボット150に当該半導体ウェハーWをフラッシュ加熱部160に搬送させ、フラッシュ加熱部160内にて当該半導体ウェハーWに対するフラッシュ加熱処理を行わせる。
【0095】
フラッシュ加熱部160におけるフラッシュ加熱処理について説明を続ける。チャンバー6への半導体ウェハーWの搬入に先立って、給気のためのバルブ84が開放されるとともに、排気用のバルブ89,192が開放されてチャンバー6内に対する給排気が開始される。バルブ84が開放されると、ガス供給孔81から熱処理空間65に窒素ガスが供給される。また、バルブ89が開放されると、ガス排気孔86からチャンバー6内の気体が排気される。これにより、チャンバー6内の熱処理空間65の上部から供給された窒素ガスが下方へと流れ、熱処理空間65の下部から排気される。
【0096】
また、バルブ192が開放されることによって、搬送開口部66からもチャンバー6内の気体が排気される。さらに、図示省略の排気機構によって移載機構10の駆動部周辺の雰囲気も排気される。なお、フラッシュ加熱部160における半導体ウェハーWの熱処理時には窒素ガスが熱処理空間65に継続的に供給されており、その供給量は処理工程に応じて適宜変更される。
【0097】
続いて、ゲートバルブ185が開いて搬送開口部66が開放され、搬送ロボット150により搬送開口部66を介して処理対象となる半導体ウェハーWがチャンバー6内の熱処理空間65に搬入される。搬送ロボット150は、半導体ウェハーWを保持する搬送ハンド151aを保持部7の直上位置まで進出させて停止させる。そして、移載機構10の一対の移載アーム11が退避位置から移載動作位置に水平移動して上昇することにより、リフトピン12が貫通孔79を通ってサセプター74の上面から突き出て搬送ハンド151aから半導体ウェハーWを受け取る。このとき、リフトピン12はサセプター74の支持ピン77の上端よりも上方にまで上昇する。
【0098】
半導体ウェハーWがリフトピン12に載置された後、搬送ロボット150が搬送ハンド151aを熱処理空間65から退出させ、ゲートバルブ185によって搬送開口部66が閉鎖される。そして、一対の移載アーム11が下降することにより、半導体ウェハーWは移載機構10から保持部7のサセプター74に受け渡されて水平姿勢にて下方より保持される。
【0099】
保持プレート75上に立設された8本の支持ピン77は、半導体ウェハーWの下面を点接触にて支持する。これにより、半導体ウェハーWは水平姿勢にてサセプター74に載置される。半導体ウェハーWは、パターン形成がなされて不純物が注入された表面を上面としてサセプター74に載置される。8本の支持ピン77によって支持された半導体ウェハーWの下面と保持プレート75の上面との間には所定の間隔が形成される。また、半導体ウェハーWは、サセプター74の保持プレート75の上面にて5個のガイドピン76の内側に保持される。サセプター74の下方にまで下降した一対の移載アーム11は水平移動機構13によって退避位置、すなわち凹部62の内側に退避する。
【0100】
半導体ウェハーWが保持部7のサセプター74に水平姿勢にて載置された後、40本のハロゲンランプHLが一斉に点灯して予備加熱(アシスト加熱)が開始される。ハロゲンランプHLから出射されたハロゲン光は、石英にて形成された下側チャンバー窓64およびサセプター74を透過して半導体ウェハーWの下面から照射される。ハロゲンランプHLからの光照射を受けることによって半導体ウェハーWが予備加熱されて温度が上昇する。なお、移載機構10の移載アーム11は凹部62の内側に退避しているため、ハロゲンランプHLによる加熱の障害となることは無い。
【0101】
ハロゲンランプHLによる予備加熱を行うときには、半導体ウェハーWの温度が放射温度計220によって測定されている。すなわち、サセプター74に保持された半導体ウェハーWの下面から開口部78を介して放射された赤外光を放射温度計220が受光して昇温中のウェハー温度を測定する。測定された半導体ウェハーWの温度は制御部3に伝達される。制御部3は、ハロゲンランプHLからの光照射によって昇温する半導体ウェハーWの温度が所定の予備加熱温度T1に到達したか否かを監視する。その予備加熱温度T1は、半導体ウェハーWに添加された不純物が熱により拡散する恐れのない、200℃ないし800℃程度、好ましくは350℃ないし600℃程度とされる(本実施の形態では600℃)。
【0102】
半導体ウェハーWの温度が予備加熱温度T1に到達した後、制御部3は半導体ウェハーWをその予備加熱温度T1に暫時維持する。具体的には、放射温度計220によって測定される半導体ウェハーWの温度が予備加熱温度T1に到達した時点にて制御部3がハロゲンランプHLの出力を制御して半導体ウェハーWの温度をほぼ予備加熱温度T1に維持している。
【0103】
このようなハロゲンランプHLによる予備加熱を行うことによって、半導体ウェハーWの全体を予備加熱温度T1に均一に昇温している。ハロゲンランプHLによる予備加熱の段階においては、より放熱が生じやすい半導体ウェハーWの周縁部の温度が中央部よりも低下する傾向にあるが、ハロゲンランプハウス4におけるハロゲンランプHLの配設密度は、半導体ウェハーWの中央部に対向する領域よりも周縁部に対向する領域の方が高くなっている。このため、放熱が生じやすい半導体ウェハーWの周縁部に照射される光量が多くなり、予備加熱段階における半導体ウェハーWの面内温度分布を均一なものとすることができる。さらに、チャンバー側部61に装着された反射リング69の内周面は鏡面とされているため、この反射リング69の内周面によって半導体ウェハーWの周縁部に向けて反射する光量が多くなり、予備加熱段階における半導体ウェハーWの面内温度分布をより均一なものとすることができる。
【0104】
半導体ウェハーWの温度が予備加熱温度T1に到達して所定時間が経過した時点にてフラッシュランプFLが半導体ウェハーWの上面にフラッシュ光照射を行う。このとき、フラッシュランプFLから放射されるフラッシュ光の一部は直接にチャンバー6内へと向かい、他の一部は一旦リフレクタ52により反射されてからチャンバー6内へと向かい、これらのフラッシュ光の照射により半導体ウェハーWのフラッシュ加熱が行われる。
【0105】
フラッシュ加熱は、フラッシュランプFLからのフラッシュ光(閃光)照射により行われるため、半導体ウェハーWの表面温度を短時間で上昇することができる。すなわち、フラッシュランプFLから照射されるフラッシュ光は、予めコンデンサーに蓄えられていた静電エネルギーが極めて短い光パルスに変換された、照射時間が0.1ミリセカンド以上100ミリセカンド以下程度の極めて短く強い閃光である。そして、フラッシュランプFLからのフラッシュ光照射によりフラッシュ加熱される半導体ウェハーWの表面温度は、瞬間的に1000℃以上の処理温度T2まで上昇し、半導体ウェハーWに注入された不純物が活性化された後、表面温度が急速に下降する。このように、半導体ウェハーWの表面温度を極めて短時間で昇降することができるため、半導体ウェハーWに注入された不純物の熱による拡散を抑制しつつ不純物の活性化を行うことができる。なお、不純物の活性化に必要な時間はその熱拡散に必要な時間に比較して極めて短いため、0.1ミリセカンドないし100ミリセカンド程度の拡散が生じない短時間であっても活性化は完了する。
【0106】
ところで、フラッシュ光照射時には、半導体ウェハーWの表面近傍のみが急速に処理温度T2にまで昇温する一方で裏面は予備加熱温度T1からほとんど昇温しない。このため、半導体ウェハーWの表面近傍のみに急激な熱膨張が生じ、半導体ウェハーWに表面を凸面とするように反る応力が作用する。このとき、半導体ウェハーWの内部にクラックが存在していると、応力によってクラックが進展して半導体ウェハーWが割れるおそれがあるが、フラッシュ加熱処理の対象となっているのはクラック無しと判定された半導体ウェハーWであるため、ウェハー割れを防止することができる。
【0107】
フラッシュ加熱処理が終了した後、所定時間経過後にハロゲンランプHLが消灯する。これにより、半導体ウェハーWが予備加熱温度T1から急速に降温する。降温中の半導体ウェハーWの温度は接触式温度計230または放射温度計220によって測定され、その測定結果は制御部3に伝達される。制御部3は、測定結果より半導体ウェハーWの温度が所定温度まで降温したか否かを監視する。そして、半導体ウェハーWの温度が所定以下にまで降温した後、移載機構10の一対の移載アーム11が再び退避位置から移載動作位置に水平移動して上昇することにより、リフトピン12がサセプター74の上面から突き出て熱処理後の半導体ウェハーWをサセプター74から受け取る。続いて、ゲートバルブ185により閉鎖されていた搬送開口部66が開放され、リフトピン12上に載置された半導体ウェハーWが搬送ロボット150の下側の搬送ハンド151bにより搬出される。搬送ロボット150は、下側の搬送ハンド151bをリフトピン12によって突き上げられた半導体ウェハーWの直下位置にまで進出させて停止させる。そして、一対の移載アーム11が下降することにより、フラッシュ加熱後の半導体ウェハーWが搬送ハンド151bに渡されて載置される。その後、搬送ロボット150が搬送ハンド151bをチャンバー6から退出させて半導体ウェハーWを搬出する。
【0108】
本実施形態においては、接触プローブ350が半導体ウェハーWの端部に当接した状態で半導体ウェハーWが回転することによって、半導体ウェハーWの端部に沿って接触プローブ350が摺動して半導体ウェハーWに微弱な振動が与えられて音響が発生する。そして、発生した音響をマイクロフォン360によって集音して音響解析部371にて周波数解析を行うことにより周波数スペクトルを取得する。判定部372は、クラックの存在していない基準ウェハーについての周波数解析により得られた基準周波数スペクトルと、処理対象となる半導体ウェハーWについての周波数解析により得られた周波数スペクトルとの比較から当該半導体ウェハーWのクラックの有無を判定する。すなわち、接触プローブ350とマイクロフォン360を設けるだけの簡易な構造にて半導体ウェハーWに存在しているクラックを検知することができる。
【0109】
音響測定時に半導体ウェハーWには微弱な振動が与えられるものの、大きな衝撃が作用することは無く、半導体ウェハーWの表面に形成されたパターン或いは半導体ウェハーWそのものを損傷するおそれは皆無である。また、半導体ウェハーWに微弱な振動を与えて音響を発生させることによりクラック検知を行っているため、光学的検知方式に比べてウェハー表面に形成されたパターンの影響を受けにくく誤検知を少なくすることができる。
【0110】
また、本実施形態では、アライメント部130にて半導体ウェハーWを回転させて向きを調整するアライメント処理と並行して音響測定を行っている。このため、音響を集音するための別途の工程を設ける必要が無く、基板処理装置100におけるスループットの増大を抑制することができる。
【0111】
また、フラッシュ加熱部160でのフラッシュ加熱処理を実行する前に半導体ウェハーWのクラックの有無を検知し、クラック有りと判定された半導体ウェハーWについては処理を中断してフラッシュ加熱処理を行っていないため、フラッシュ加熱処理時における半導体ウェハーWの割れを未然に防止することができる。これにより、ウェハー割れによる他の半導体ウェハーへの汚染を防止することができるとともに、チャンバー6のクリーニング作業を削減して装置のダウンタイムを最小限にすることができる。
【0112】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、この発明はその趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。例えば、上記実施形態においては、フラッシュ加熱部160でのフラッシュ加熱処理を実行する前に半導体ウェハーWのクラックの有無を検知していたが、フラッシュ加熱処理を実行した後に半導体ウェハーWのクラックの有無を検知するようにしても良い。そして、クラックの有無の判定結果に基づいて、フラッシュ加熱処理の後工程を半導体ウェハーWに対して実行するか否かを決定する。この決定は、制御部3にて行うようにしても良いし、表示部373に表示された判定結果に基づいてオペレータが行うようにしても良い。なお、フラッシュ加熱処理後にクラックの有無を検知する場合、半導体ウェハーWを支持して回転させる機構、半導体ウェハーWの端部に当接する接触プローブ、マイクロフォン等を備えた音響測定部を基板処理装置100に別途設ける必要がある。
【0113】
また、フラッシュ加熱部160でのフラッシュ加熱処理を実行する前と後の双方にて半導体ウェハーWのクラックの有無を検知するようにしても良い。フラッシュ加熱処理前にはクラックが無かった半導体ウェハーWであっても、フラッシュ加熱処理時に半導体ウェハーWに作用する応力によって新たなクラックが発生する場合がある。フラッシュ加熱処理を実行する前と後の双方にて半導体ウェハーWのクラックの有無を検知すれば、そのようなフラッシュ加熱処理時に発生した新たなクラックをも検出することができる。この場合も、フラッシュ加熱処理後のクラックの有無の判定結果に基づいて、フラッシュ加熱処理の後工程を半導体ウェハーWに対して実行するか否かを決定する。
【0114】
また、上記実施形態においては、基板処理装置100にてフラッシュ加熱処理を行っていたが、これに限定されるものではなく、半導体ウェハーWに洗浄処理等の他の基板処理を行うようにしても良い。洗浄処理であっても、半導体ウェハーWの高温処理を行う場合があり、その場合半導体ウェハーWに熱応力が作用するため、本発明に係る技術を好適に適用することができる。すなわち、半導体ウェハーWに何らかの応力が作用する基板処理を行う場合に本発明に係る技術は好適である。なお、フラッシュ加熱処理以外の基板処理を行う場合には、フラッシュ加熱部160に代えてその基板処理を行うユニット(例えば、洗浄処理であれば洗浄処理ユニット)を基板処理装置100に搭載する。
【0115】
また、種類の異なる複数の接触プローブを設けるようにしても良い。図15は、複数の接触プローブを設ける構成例を示す図である。図15の例では、3種類の接触プローブ350a,350b,350cが設けられている。3種類の接触プローブ350a,350b,350cは素材や表面粗さ等が異なる。3つの接触プローブ350a,350b,350cは、選択機構351によって互いに位置を換えながら回転される。選択機構351は、3つの接触プローブ350a,350b,350cのうちのいずれかを選択して回転支持機構330に支持された半導体ウェハーWの端部に当接させる。選択機構351としてはモータ等を用いることができる。
【0116】
接触プローブの材質や表面粗さ、或いは半導体ウェハーWに内在しているクラックの数や大きさによっては、接触プローブを半導体ウェハーWの端部に沿って摺動させても半導体ウェハーWが共鳴しない、または共鳴音が小さいことがある。このような場合は、選択機構351によって半導体ウェハーWの端部に当接する接触プローブを切り替えるようにする。また、測定精度向上のため、異なる接触プローブを半導体ウェハーWの端部に沿って順次に摺動させて複数の周波数スペクトルを取得するようにしても良い。
【0117】
また、上記実施形態においては、半導体ウェハーWを回転させていたが、これに代えて固定支持された半導体ウェハーWの端部に沿って接触プローブ350を移動させて摺動させるようにしても良い。特に、処理対象となる基板が太陽電池用途の多結晶シリコンウェハーなどである場合にはウェハー形状が円形ではなく矩形であるため、ウェハーを回転させて接触プローブ350を摺動させることは困難である。このような場合は、ウェハーの端部に沿って接触プローブ350を移動させて摺動させるのが好適である。すなわち、基板の端部に沿って接触プローブ350を相対移動させて摺動させる形態であれば良い。
【0118】
また、マイクロフォン360を回転支持機構330の内部に設けるようにしても良い。図16は、マイクロフォン360を回転支持機構330の内部に設ける構成例を示す図である。この例では、回転支持機構330のスピンチャック331は、円筒の壁部分を減圧して半導体ウェハーWの下面を吸着支持する減圧チャックである。そのスピンチャック331の内側空間にマイクロフォン360を設ける。このようにすれば、外部の雑音(例えば、搬送ロボット150の駆動音)をスピンチャック331の壁面によって遮音することができ、SN比を向上させることができる。特に、スピンチャック331が減圧チャックである場合には、遮音効果が高いため、マイクロフォン360による雑音の集音をより効果的に抑制することができる。
【0119】
また、上記実施形態においては、高速フーリエ変換による周波数解析を行っていたが、これに限定されるものではなく、例えばオクターブ解析等の他の周波数解析手法を採用するようにしても良い。
【0120】
また、クラックの存在していない基準ウェハーとしてパターン形成のなされていないベアウェハーを用いるようにしても良い。もっとも、処理対象の半導体ウェハーWに成膜処理やパターン形成がなされている場合には、ベアウェハーとは固有振動数が異なることが多いため、上記実施形態のように、半導体ウェハーWに施された処理と同様の処理工程を経たものを基準ウェハーとするのが好ましい。
【0121】
また、基準ウェハーについての基準周波数スペクトルと比較するのに代えて、処理対象の半導体ウェハーWの直前に処理された半導体ウェハーについて周波数解析により得られた周波数スペクトルと当該半導体ウェハーWについての周波数スペクトルとの比較により当該半導体ウェハーWのクラックの有無を判定するようにしても良い。すなわち、順次に処理される半導体ウェハーWの全てについて周波数解析により周波数スペクトルが取得されており、それらを相互比較することによってクラックの有無を検知する。同じロットに含まれる半導体ウェハーWであれば、同様のパターン形成がなされているため、クラックが無ければ周波数スペクトルも同じとなるため、相互比較は好適である。
【0122】
また、接触プローブ350を半導体ウェハーWの端部に沿って摺動させていない状態の背景雑音を予め測定しておき、マイクロフォン360が集音した音響の信号からバックグラウンドの影響を消去するようにしても良い。具体的には、例えば背景雑音の周波数帯域をカットするフィルタ(アナログフィルタまたはデジタルフィルタ)を設けるようにしても良いし、マイクロフォン360が集音した音響の信号から背景雑音を減算するフィルタを設けるようにしても良い。このようにすれば、SN比を向上させることができる。また、背景雑音は稼働環境や時間帯によっても変化するため、安定性向上の観点からはロット毎或いは検査毎に背景雑音を測定してフィルタを逐次較正するのが好ましい。
【0123】
また、上記実施形態においては、音響解析部371による周波数解析結果に基づいて、判定部372が半導体ウェハーWのクラックの有無を判定していたが、この判定を装置のオペレータが行うようにしても良い。具体的には、クラックの存在していない基準ウェハーについての基準周波数スペクトル(図13)と、処理対象となる半導体ウェハーWについての周波数スペクトル(図14)と、を表示部373に表示し、それらをオペレータが目視で比較することによって半導体ウェハーWのクラックの有無を判定する。クラックの数や大きさによっては、周波数スペクトルにおけるピークに変動が生じにくい場合もあり、このようば場合であれば豊富な経験を有するオペレータが判断した方がクラックの有無を適切に検出できることもある。
【0124】
半導体ウェハーWに対するフラッシュ加熱処理を実行するか否かの決定もオペレータが行うようにしても良い。特に、半導体ウェハーWに存在しているクラックの程度によってはフラッシュ加熱処理を行うと規定している場合には、オペレータによって決定した方が好ましい。
【0125】
また、基板処理装置100に複数の音響測定部を搭載し、それらによって並列的に半導体ウェハーWのクラックの有無を検知するようにしても良い。各音響測定部は、アライメント部130と同様に、半導体ウェハーWを支持して回転させる機構、半導体ウェハーWの端部に当接する接触プローブ、マイクロフォン等を備える。
【0126】
また、上記実施形態においては、ハロゲンランプHLからの光照射によって半導体ウェハーWの予備加熱を行うようにしていたが、これに代えて半導体ウェハーWを保持するサセプターをホットプレート上に載置し、そのホットプレートからの熱伝導によって半導体ウェハーWを予備加熱するようにしても良い。
【0127】
また、上記実施形態においては、フラッシュランプハウス5に30本のフラッシュランプFLを備えるようにしていたが、これに限定されるものではなく、フラッシュランプFLの本数は任意の数とすることができる。また、フラッシュランプFLはキセノンフラッシュランプに限定されるものではなく、クリプトンフラッシュランプであっても良い。また、ハロゲンランプハウス4に備えるハロゲンランプHLの本数も40本に限定されるものではなく、上段および下段に複数する配置する形態であれば任意の数とすることができる。
【0128】
また、本発明に係る基板処理装置によって処理対象となる基板は半導体ウェハーに限定されるものではなく、液晶表示装置などのフラットパネルディスプレイに用いるガラス基板や太陽電池用の基板であっても良い。また、本発明に係る技術は、金属とシリコンとの接合、或いはポリシリコンの結晶化に適用するようにしても良い。上述したように、処理対象となる基板の形状が円形以外である場合には、接触プローブ350を基板の端部に沿って移動させるのが好ましい。
【符号の説明】
【0129】
3 制御部
4 ハロゲンランプハウス
5 フラッシュランプハウス
6 チャンバー
7 保持部
10 移載機構
74 サセプター
100 基板処理装置
101 インデクサ部
130 アライメント部
140 冷却部
150 搬送ロボット
160 フラッシュ加熱部
330 回転支持機構
331 スピンチャック
332 スピンモータ
340 光学機構
350 接触プローブ
351 選択機構
360 マイクロフォン
371 音響解析部
372 判定部
373 表示部
FL フラッシュランプ
HL ハロゲンランプ
W 半導体ウェハー
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