(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
酸化インジウムをベースとするターゲット材に、ランタノイド系金属の様な原子半径の大きな元素を添加すると、酸化インジウムの格子定数が変化したり、焼結密度が上がらずターゲット材の強度が低下したり、大パワーでのスパッタリング中に熱応力によりマイクロクラックを発生したり、チッピングや異常放電が発生したりする場合がある。これらの現象は得られる酸化物薄膜に欠陥を発生させTFT性能の劣化を引き起こす。
【0012】
本発明者らは、上記問題点を解決するため、ターゲット材として用いることができるランタノイド系金属元素を含む酸化インジウムをベースとする新たな物質を見出すべく鋭意探索を行い、ランタノイド系金属元素を含む新規なガーネット化合物を見出した。そして、前記ガーネット化合物(ガーネット相)とIn
2O
3で表されるビックスバイト相を含む酸化物焼結体を用いたスパッタリングターゲットは焼結密度が高い、バルク抵抗が低い、ターゲットの反りが少ない、ボンディング率が高い等のターゲット材として有利な特性を有することを見出した。これらのターゲット特性により、大パワーでのスパッタリングでも異常放電が生じ難く安定したスパッタリングが可能となる。また、このスパッタリングターゲットをスパッタして得られる薄膜は、TFTに用いたときに優れたTFT性能(保護膜又は絶縁膜を化学蒸着法(CVD)で形成する際の加熱等での特性変化が小さい、高速応答性等)を発揮することを見出した。
【0013】
本発明の一実施形態に係るガーネット化合物(以下、本発明のガーネット化合物という)は、
Ln
3In
2Ga
3−XAl
XO
12 (I)
(式中、
Lnは、La、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb及びLuから選ばれた一種以上の金属元素を表す。
Xは、0≦X<3である。)
で表される新規化合物である。
【0014】
本発明において、「ガーネット化合物」とは、ガーネット構造(柘榴石型構造)の結晶構造型を有する化合物をいうものとする。
【0015】
式(I)中のLnは、La(ランタン)、Nd(ネオジム)、Sm(サマリウム)、Eu(ユウロピウム)、Gd(ガドリニウム)、Tb(テルビウム)、Dy(ジスプロシウム)、Ho(ホロミウム)、Er(エルビウム)、Tm(ツリウム)、Yb(イッテルビウム)及びLu(ルテチウム)から選ばれた一種以上の金属元素である。これらのうち、Sm、Ndが好ましい。
【0016】
Lnは、Nd及びSmのいずれか一方又は両方を含むことが好ましく、Nd及びSmのいずれかであることがより好ましい。
【0017】
本発明のガーネット化合物は、単結晶構造でも多結晶構造でもよい。
【0018】
本発明の一実施形態に係る酸化物焼結体(以下、本発明の第1の酸化物焼結体という)は、一般式(I):
Ln
3In
2Ga
3−XAl
XO
12 (I)
(式中、
Lnは、La、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb及びLuから選ばれた一種以上の金属元素を表す。
Xは、0≦X<3である。)
で表されるガーネット相を含むことを特徴とする新規物質である。
当該酸化物焼結体は、上記新規なガーネット化合物(ガーネット相)のみからなっていてもよいし、上記新規なガーネット化合物(ガーネット相)以外の化合物(相)を含んでいてもよい。
【0019】
本発明の一実施形態に係る酸化物焼結体(以下、本発明の第2の酸化物焼結体という)は、一般式(I):
Ln
3In
2Ga
3−XAl
XO
12 (I)
(式中、
Lnは、La、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb及びLuから選ばれた一種以上の金属元素を表す。
Xは、0≦X<3である。)
で表されるガーネット相、及び、In
2O
3で表されるビックスバイト相を含むことを特徴とする新規物質である。
【0020】
上記本発明の第1の酸化物焼結体及び第2の酸化物焼結体をまとめて本発明の酸化物焼結体ということがある。
【0021】
本発明の酸化物焼結体における一般式(I)で表されるガーネット相におけるLnは、Nd及びSmのいずれか一方又は両方を含むことが好ましく、Nd及びSmのいずれかであることがより好ましい。
【0022】
本発明の一実施形態に係るスパッタリングターゲット(以下、本発明のスパッタリングターゲットという)は、上記本発明の第2の酸化物焼結体を有していることを特徴とする。
【0023】
本発明のスパッタリングターゲットは、本発明の第2の酸化物焼結体を、ターゲット材としてバッキングプレートに貼り合わせて製造される。スパッタリングターゲットの製造方法は後述する。
【0024】
本発明の第2の酸化物焼結体は、前記一般式(I)で表されるガーネット相、及び、In
2O
3で表されるビックスバイト相を含むことにより、焼結密度(相対密度)及び体積抵抗率(バルク抵抗)を向上させることができる。また、線膨張係数を小さく、熱伝導度を大きくすることができる。また、雰囲気焼成炉を用いて酸素雰囲気下という特殊な条件下や、大気下等で行うような簡便な方法で焼成した場合でも、体積抵抗率も低く焼結体密度も高い酸化物焼結体とすることができる。上記特性を有する本発明の第2の酸化物焼結体は、ターゲット材として好ましい。
【0025】
本発明の第2の酸化物焼結体をターゲット材として用いることにより、ターゲットの強度が高い。また熱伝導率が高く、線膨張係数が小さいため、熱応力を抑えることができ、その結果、ターゲットのマイクロクラックやチッピングの発生を抑制し、ノジュールや異常放電の発生を抑制することができ、大パワーでのスパッタリングが可能なスパッタリングターゲットを得ることができる。
加えて、本発明の第2の酸化物焼結体をターゲット材として用いることにより、高移動度で、TFT製造プロセス過程で酸化物半導体層の積層後に行われる化学気相成長プロセス(CVDプロセス)やTFT作製後の加熱処理等での熱による特性への劣化が少なく、高性能のTFTを得ることができる。
【0026】
本発明のガーネット化合物、酸化物焼結体中のガーネット相及びIn
2O
3で表されるビックスバイト相は、例えば、X線回折(XRD)法により、XRDチャートから検出することができる。
【0027】
本発明の第2の酸化物焼結体における、In
2O
3で表されるビックスバイト相の存在比率は、1〜99wt%であることが好ましく、10〜98wt%であることがより好ましい。In
2O
3で表されるビックスバイト相の存在比率が上記範囲であれば、新規化合物であるLn
3In
2(Ga
3−xAl
x)
3O
12がIn
2O
3結晶中に分散しており、さらに希土類元素をドーピングする等により、後述するターゲット素材以外の蛍光材料等への応用も考えられる。
【0028】
本発明のスパッタリングターゲットに用いる酸化物焼結体においては、In
2O
3で表されるビックスバイト相が主成分であることが好ましい。ビックスバイト構造以外の結晶構造が主成分として析出すると、移動度の低下を招くおそれがある。「In
2O
3で表されるビックスバイト相が主成分である」とは、In
2O
3で表されるビックスバイト相の存在比率が50wt%超であることを意味し、好ましくは70wt%以上、より好ましくは80wt%以上、さらに好ましくは90wt%以上である。
【0029】
本発明のスパッタリングターゲットに用いる酸化物焼結体は、焼結密度が6.5〜7.1g/cm
3の範囲内であることが好ましく、6.6〜7.1g/cm
3の範囲内であることがより好ましい。焼結密度が6.5〜7.1g/cm
3の範囲内であれば、ターゲットとして用いた際に、異常放電の原因やノジュール発生の起点となる空隙を減少させることができる。
焼結密度は、例えば、アルキメデス法で測定することができる。
【0030】
本発明のスパッタリングターゲットに用いる酸化物焼結体は、In
2O
3で表されるビックスバイト相に、前記Lnで表される金属元素(La、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb及びLu;以下、「Ln」と表す。)、Al元素及びGa元素のうちの一種以上が固溶していてもよい。Ln及びGa、又はLn、Ga及びAlが固溶していることが好ましい。固溶は、置換型固溶が好ましい。
これにより、安定したスパッタを行うことができる。
【0031】
Ln及びGa、又はLn、Ga及びAlの固溶は、例えばXRD測定を用いて、ビックスバイト相の格子定数から同定することができる。
In
2O
3で表されるビックスバイト相の格子定数が、例えば、In
2O
3で表されるビックスバイト相のみの格子定数よりも小さくなっていれば、Ga、又はGa及びAlの固溶が優位的に作用しており、In
2O
3で表されるビックスバイト相のみの格子定数よりも大きくなっていれば、Lnの固溶が優位的に作用している。
【0032】
ここで、「格子定数」とは、単位格子の格子軸の長さと定義され、例えばX線回折法によって求めることができる。
【0033】
また、本発明のスパッタリングターゲットに用いる酸化物焼結体においては、一般式(I)で表されるガーネット相に、Ln及びGa、又はLn、Ga及びAlが固溶していてもよい。
これにより、安定したスパッタを行うことができる。
【0034】
本発明のスパッタリングターゲットに用いる酸化物焼結体においては、一般式(I)で表されるガーネット相の平均粒径は、15μm以下が好ましく、より好ましくは10μm以下であり、さらに好ましくは8μm以下であり、特に好ましくは5μm以下である。下限値に特に制限はないが、通常0.1μm以上である。
一般式(I)で表されるガーネット相の平均粒径が15μm以下の場合、放電を安定化しやすくなる。
一般式(I)で表されるガーネット相の平均粒径は、例えば、電子プローブ微小分析器(EPMA)により、一般式(I)で表されるガーネット相を特定し、その最大径を直径とする円を仮定し、その直径の平均値として、求めることができる。
【0035】
本発明のスパッタリングターゲットに用いる酸化物焼結体においては、原子比In/(In+Ln+Ga+Al)は、0.60以上0.97以下であることが好ましく、0.70以上0.96以下がより好ましく、0.75以上0.95以下がさらに好ましい。
0.60未満の場合、形成する酸化物半導体薄膜を含むTFTの移動度が小さくなるおそれがある。0.97超の場合、TFTの安定性が得られないおそれや、導電化して半導体になりにくいおそれがある。
【0036】
本発明のスパッタリングターゲットに用いる酸化物焼結体においては、Alを含む場合の原子比(Ga+Al)/(In+Ln+Ga+Al)は、0.01以上0.20以下であることが好ましく、0.02以上0.15以下がより好ましく、0.02以上0.12以下がさらに好ましい。
(Ga+Al)/(In+Ln+Ga+Al)が0.01未満の場合、一般式(I)で表されるガーネット相が形成されず、酸化物焼結体のバルク抵抗が高くなったり、焼結密度及び焼結体強度が低く、そのためスパッタ時の熱による割れ等が発生しやすくなったり、安定したスパッタリングができなくなるおそれがある。一方、0.20超の場合、形成する酸化物半導体薄膜を含むTFTの移動度が小さくなるおそれがある。
【0037】
本発明のスパッタリングターゲットに用いる酸化物焼結体においては、Alを含まない場合の原子比Ga/(In+Ln+Ga)は、0.01以上0.40以下であることが好ましい。
【0038】
本発明の酸化物焼結体及び本発明のスパッタリングターゲットに用いる酸化物焼結体において、原子比Ln/(In+Ln+Ga+Al)は、0.02以上0.20以下であることが好ましく、0.02以上0.18以下がより好ましく、0.03以上0.16以下がさらに好ましい。
0.02未満の場合、一般式(I)で表されるガーネット相が形成されず、酸化物焼結体のバルク抵抗が高くなったり、焼結密度及び焼結体強度が低く、そのためスパッタ時の熱による割れ等が発生しやすくなったり、安定したスパッタリングができなくなるおそれがある。一方、0.20超の場合、形成する酸化物半導体薄膜を含むTFTの移動度が小さくなるおそれがある。
【0039】
また、本発明の酸化物焼結体及び本発明のスパッタリングターゲットに用いる酸化物焼結体は、さらに正四価の金属元素を含有していてもよい。
本発明の酸化物焼結体及び本発明のスパッタリングターゲットに用いる酸化物焼結体は、正四価の金属元素を含むことが好ましい。
これにより、より安定的にスパッタリングを行うことができる。
【0040】
正四価の金属元素としては、Si、Ge、Sn、Ti、Zr、Hf及びCeが挙げられ、Snが好ましい。Snのドーピング効果によりバルク抵抗が低下し、より安定的にスパッタリングを行うことができる。
【0041】
本発明のスパッタリングターゲットに用いる酸化物焼結体においては、正四価の金属元素は、In
2O
3で表されるビックスバイト相又は一般式(I)で表されるガーネット相に固溶していることが好ましく、In
2O
3で表されるビックスバイト相に固溶していることがより好ましい。固溶は、置換型固溶が好ましい。
これにより、より安定的にスパッタリングを行うことができる。
【0042】
正四価の金属元素の固溶については、例えばXRD測定の格子定数から同定することができる。
また、正四価の金属元素が固溶したIn
2O
3で表されるビックスバイト相について、Ln及びGa、又はLn、Ga及びAlの固溶を、例えば上述のIn
2O
3で表されるビックスバイト相への固溶と同様に、XRD測定を用いて、ビックスバイト相の格子定数から、同定できる。
【0043】
本発明のスパッタリングターゲットに用いる酸化物焼結体においては、正四価の金属元素の含有量は、酸化物焼結体中の全金属元素に対して、原子濃度で100〜10000ppmが好ましく、より好ましくは500ppm以上8000ppm以下であり、さらに好ましくは800ppm以上6000ppm以下である。
100ppm未満の場合、バルク抵抗が上昇するおそれがある。一方、10000ppm超の場合、形成する酸化物半導体薄膜を含むTFTが導通するおそれや、オン/オフ値が小さくなるおそれがある。
【0044】
本発明のスパッタリングターゲットに用いる酸化物焼結体は、バルク抵抗が、30mΩ・cm以下であることが好ましく、より好ましくは15mΩ・cm以下であり、さらに好ましくは10mΩ・cm以下である。下限値に、特に制限はないが、通常1mΩ・cm以上、又は5mΩ・cm以上である。
30mΩ・cm以下の場合、大パワーでの成膜時に、ターゲットの帯電による異常放電が発生しにくく、また、プラズマ状態が安定し、スパークが発生しにくくなる。また、パルスDCスパッタ装置を用いる場合、さらにプラズマが安定し、異常放電等の問題もなく、安定してスパッタできるようになる。
バルク抵抗は、例えば、四探針法に基づき測定することができる。
【0045】
本発明のスパッタリングターゲットに用いる酸化物焼結体は、3点曲げ強度が、120MPa以上であることが好ましく、140MPa以上がより好ましく、150MPa以上がさらに好ましい。
上限値は、特に制限はないが、通常200MPa以下である。
120MPa未満の場合、大パワーでスパッタ成膜した際に、ターゲットの強度が弱く、ターゲットが割れたり、チッピングを起こして、チッピングした破片がターゲット上に飛散し、異常放電の原因となるおそれがある。
【0046】
3点曲げ強度は、例えばJIS R 1601「ファインセラミックスの室温曲げ強さ試験」に準じて、試験することができる。
具体的には、幅4mm、厚さ3mm、長さ40mmの標準試験片を用いて、一定距離(30mm)に配置された2支点上に試験片を置き、支点間の中央からクロスヘッド速度0.5mm/分にて荷重を加え、破壊した時の最大荷重より、曲げ強さを算出することができる。
【0047】
本発明のスパッタリングターゲットに用いる酸化物焼結体は、線膨張係数が8.0×10
−6K
−1以下であることが好ましく、7.5×10
−6K
−1以下がより好ましく、7.0×10
−6K
−1以下がさらに好ましい。下限値に、特に制限はないが、通常5.0×10
−6K
−1以上である。
8.0×10
−6K
−1を超える場合、大パワーでスパッタリング中に加熱され、応力によりターゲットにマイクロクラックが入ったり、割れやチッピングにより、異常放電の原因となるおそれがある。
線膨張係数は、例えば幅5mm、厚さ5mm、長さ10mmの標準試験片を用いて、昇温速度を5℃/分にセットし、300℃に到達した時の熱膨張による変位を、位置検出機で検出することにより求めることができる。
【0048】
本発明のスパッタリングターゲットに用いる酸化物焼結体は、熱伝導率が5.0W/m・K以上であることが好ましく、5.5W/m・K以上がより好ましく、6.0W/m・K以上がさらに好ましく、6.5W/m・K以上が最も好ましい。
上限値は、特に制限はないが、通常10W/m・K以下である。
5.0W/m・K未満の場合、大パワーでスパッタリング成膜した際に、スパッタ面とボンディングされた面の温度が異なり、内部応力によりターゲットにマイクロクラックや割れ、チッピングが発生するおそれがある。
熱伝導率は、例えば直径10mm、厚さ1mmの標準試験片を用いて、レーザーフラッシュ法により比熱容量と熱拡散率を求め、これに試験片の密度を乗算することにより算出できる。
【0049】
本発明のスパッタリングターゲットに用いる酸化物焼結体の金属元素は、本質的に、In、Ln、Ga、及び任意にSnからなっているか、あるいは、本質的に、In、Ln、Ga、Al及び任意にSnからなっており、本発明のスパッタリングターゲットの効果を損なわない範囲で他に不可避不純物を含んでもよい。
本発明のスパッタリングターゲットに用いる酸化物焼結体の金属元素の、例えば、90原子%以上、95原子%以上、98原子%以上、99原子%以上又は100原子%が、In、Ln及びGa、あるいは、In、Ln、Ga及びAl、あるいは、In、Ln、Ga及びSn、あるいは、In、Ln、Ga、Al及びSnからなっていてもよい。
【0050】
本発明のガーネット化合物及び本発明の酸化物焼結体は、インジウムを含む原料粉末、前記一般式(I)における元素Lnを含む原料粉末、及びGaを含む原料粉末の混合粉末、又はインジウムを含む原料粉末、前記一般式(I)における元素Lnを含む原料粉末、Gaを含む原料粉末、及びAlを含む原料粉末の混合粉末を調製する工程、混合粉末を成形して成形体を製造する工程、及び成形体を焼成する工程を経ることで製造できる。具体的には実施例に示す方法に準拠して製造すればよい。
原料粉末は、酸化物粉末が好ましい。
【0051】
原料粉末の混合比は、例えば得ようとする酸化物焼結体の原子比に対応させればよい。
さらにSn等の上記任意成分を含む酸化物焼結体を製造する場合には、Sn等の上記任意成分を含む原料粉末を混合粉末に添加すればよい。
【0052】
原料粉末の平均粒径は、好ましくは0.1〜1.2μmであり、より好ましくは0.5〜1.0μm以下である。原料粉末の平均粒径はレーザー回折式粒度分布装置等で測定することができる。
【0053】
原料の混合、成形方法は特に限定されず、公知の方法を用いて行うことができる。例えば、混合した原料粉末に、水系溶媒を配合し、得られた原料粉末スラリーを12時間以上混合した後、固液分離・乾燥・造粒し、引き続き、この造粒物を型枠に入れて成形する。
【0054】
混合については、湿式又は乾式によるボールミル、振動ミル、ビーズミル等を用いることができる。
【0055】
ボールミルによる混合時間は、好ましくは15時間以上、より好ましくは19時間以上とする。
【0056】
また、混合する際にはバインダーを任意量だけ添加し、同時に混合を行うと好ましい。バインダーには、ポリビニルアルコール、酢酸ビニル等を用いることができる。
【0057】
次に、原料粉末スラリーから造粒粉を得る。造粒に際しては、スプレイドライやフリーズドライを行うことが好ましく、スプレイドライを行うのがより好ましい。
【0058】
得られた混合粉末(造粒粉)を加圧成形して成形体とすることができる。この工程により、製品の形状(例えば、スパッタリングターゲットとして好適な形状)に成形することができる。
具体的には、造粒粉をゴム型等の成形型に充填し、通常、金型プレス又は冷間静水圧プレス(CIP)により、例えば100MPa以上の圧力で成形を施して成形体を得る。
【0059】
得られた成形体を1200〜1650℃の焼結温度で10時間以上焼結して酸化物焼結体を得ることができる。
焼結温度は好ましくは1350〜1600℃、より好ましくは1400〜1600℃、さらに好ましくは1450〜1600℃である。焼結時間は好ましくは10〜50時間、より好ましくは12〜40時間、さらに好ましくは13〜30時間である。
【0060】
焼結温度が1200℃未満又は焼結時間が10時間未満であると、焼結が十分進行しないため、ターゲットの電気抵抗が十分下がらず、異常放電の原因となるおそれがある。一方、焼成温度が1650℃を超えるか、又は、焼成時間が50時間を超えると、著しい結晶粒成長により平均結晶粒径の増大や、粗大空孔の発生を来たし、焼結体強度の低下や異常放電の原因となるおそれがある。
【0061】
本発明で用いる焼結方法としては、常圧焼結法の他、ホットプレス、酸素加圧、熱間等方圧加圧等の加圧焼結法も採用することができる。
【0062】
常圧焼結法では、成形体を大気雰囲気、又は酸化ガス雰囲気、好ましくは酸化ガス雰囲気にて焼結する。酸化ガス雰囲気とは、好ましくは酸素ガス雰囲気である。酸素ガス雰囲気は、酸素濃度が、例えば10〜100体積%の雰囲気であることが好ましい。上記酸化物焼結体の製造方法においては、昇温過程にて酸素ガス雰囲気を導入することで、焼結体密度をより高くすることができる。
【0063】
さらに、焼結に際しての昇温速度は、800℃から焼結温度(1200〜1650℃)までを0.1〜2℃/分とすることが好ましい。
本発明の酸化物焼結体において800℃から上の温度範囲は、焼結が最も進行する範囲である。この温度範囲での昇温速度が0.1℃/分より遅くなると、結晶粒成長が著しくなって、高密度化を達成することができないおそれがある。一方、昇温速度が2℃/分より速くなると、成形体に温度分布が生じ、酸化物焼結体が反ったり割れたりするおそれがある。
800℃から焼結温度における昇温速度は、好ましくは0.1〜1.3℃/分、より好ましくは0.1〜1.1℃/分である。
【0064】
本発明のスパッタリングターゲットは、前記本発明の第2の酸化物焼結体を切削研磨して、板状や円筒状、半円筒状等に加工したターゲット部材を、銅板等からなる板状や円筒状のバッキングプレート(ターゲット支持体)に金属インジウム等によりボンディングして得ることができる。
例えば、切断加工することで、酸化物焼結体表面の、高酸化状態の焼結部や、凸凹した面を除くことができる。また、指定の大きさにすることができる。
表面を#200番、もしくは#400番、さらには#800番の研磨を行ってもよい。これにより、スパッタリング中の異常放電やパーティクルの発生を抑えることができる。
ボンディングの方法としては、例えば金属インジウムにより接合することが挙げられる。
【0065】
スパッタリング時の冷却効率を保つ上でボンディング率は、90%以上とすることが好ましく、95%以上がより好ましく、99%以上がさらに好ましい。ここでいうボンディング率とは、ターゲット部材とターゲット支持体との重なり合った面の面積に対して、ターゲット部材とターゲット支持体とが接合層を介して接合されている面の面積割合を示す。ボンディング率は、通常、超音波探傷装置等により測定することができる。
【0066】
ターゲット部材とターゲット支持体との接合方法について説明する。
所定の形状に加工したターゲット部材における、ターゲット支持体との接合面に対して、表面処理を行う。表面処理に使用される装置は、一般に市販されているブラスト装置を使用することができる。例えば、不二製作所製、商品名「ニューマブラスター・SGF−5−B」を挙げることができる。ブラスト法に用いられる粉末としては、ガラス、アルミナ、ジルコニア、SiC、等が使用できるが、これらはターゲット部材の組成、硬度等に併せて適宜選択される。
【0067】
得られた表面処理済みのターゲット部材表面を、必要に応じて洗浄した後、接合面に金属インジウム半田等の接合材料を塗布する。同じく必要に応じて洗浄処理を施したバッキングプレートの接合面に、金属インジウム半田等の接合材料を塗布する。この際に、ターゲット部材が直接接合材料に溶着しない材料で構成されている場合には、予めターゲット部材の接合面に接合材料との濡れ性に優れた銅、ニッケル等の薄膜層を、スパッタリング法、メッキ法等により形成した後、このターゲット部材を使用する接合材料の融点以上に加熱して接合材料を塗布するか、あるいは超音波を用いてターゲット部材の接合面に直接接合材料を塗布してもよい。
【0068】
次に、接合材料を塗布したターゲット支持体を、使用された接合材料の融点以上に加熱して表面の接合材料層を融解させた後、上述の粉末をその表面に配置し、ターゲット部材とターゲット支持体を接合した後、室温まで冷却してスパッタリングターゲットを得ることができる。
【0069】
本発明のスパッタリングターゲットは、直流(DC)スパッタリング法、高周波(RF)スパッタリング法、交流(AC)スパッタリング法、パルスDCスパッタリング法等に適用することができる。
【0070】
上記本発明のスパッタリングターゲットを用いて成膜することにより、異常放電等が発生することなく、酸化物半導体薄膜を得ることができる。
【0071】
上記本発明のスパッタリングターゲットを用いて成膜された酸化物半導体薄膜は、例えばTFTのチャネル層として好適に使用でき、TFTに用いたときに優れたTFT性能が発揮される。
上記酸化物半導体薄膜を用いるTFTの素子構成は特に限定されず、公知の各種の素子構成を採用することができる。
得られるTFTは、例えば液晶ディスプレイや有機エレクトロルミネッセンスディスプレイ等の表示装置等の電子機器に用いることができる。
【0072】
図1に、本発明のスパッタリングターゲットを用いて成膜された酸化物半導体薄膜を適用できるTFTの一例を示す。このTFTでは、シリコンウエハー(ゲート電極)20上にあるゲート絶縁膜30に、本発明のスパッタリングターゲットを用いて得られる酸化物半導体薄膜40を形成し、層間絶縁膜70,70aが形成されている。酸化物半導体薄膜40上の70aはチャネル層保護層としても作用するものである。酸化物半導体薄膜上にソース電極50とドレイン電極60が設けられている。
【0073】
図2に、本発明のスパッタリングターゲットを用いて成膜された酸化物半導体薄膜を適用できるTFTの別の例を示す。このTFTでは、シリコンウエハー(ゲート電極)20上にあるゲート絶縁膜(例えばSiO
2)30に、本発明のスパッタリングターゲットを用いて得られる酸化物半導体薄膜40を形成し、酸化物半導体薄膜40上にソース電極50とドレイン電極60を設け、酸化物半導体薄膜40、ソース電極50及びドレイン電極60上に保護層70b(例えばCVD成膜したSiO
2膜)が設けられている。
シリコンウエハー20及びゲート絶縁膜30は、熱酸化膜付きシリコンウエハーを用いて、シリコンウエハーをゲート電極とし、熱酸化膜(SiO
2)をゲート絶縁膜としてもよい。
【0074】
また、
図1及び
図2において、ガラス等の基板上にゲート電極20を形成してもよい。
【0075】
酸化物半導体薄膜は、バンドギャップが3.0eV以上であることが好ましい。バンドギャップが3.0eV以上の場合、波長が420nm付近から長波長側の光を吸収しなくなる。これにより、有機ELやTFT−LCDの光源からの光を光吸収することがなく、TFTのチャネル層として用いた際に、TFTの光による誤作動等がなく、光安定性を向上させることができる。好ましくは3.1eV以上、より好ましくは3.3eV以上である。
【0076】
本発明のスパッタリングターゲットを用いて成膜された酸化物半導体薄膜を適用できるTFTにおいて、ドレイン電極、ソース電極及びゲート電極の各電極を形成する材料に特に制限はなく、一般に用いられている材料を任意に選択することができる。例えば、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化インジウム亜鉛(IZO)、ZnO、SnO
2等の透明電極や、Al、Ag、Cu、Cr、Ni、Mo、Au、Ti、Ta等の金属電極、又はこれらを含む合金の金属電極や積層電極を用いることができる。また、シリコンウエハーを基板として用いてもよく、その場合はシリコンウエハーが電極としても作用する。
【0077】
本発明のスパッタリングターゲットを用いて成膜された酸化物半導体薄膜を適用できるTFTにおいて、バックチャネルエッチ型(ボトムゲート型)のTFTの場合、ドレイン電極、ソース電極及びチャネル層上に保護膜を設けることが好ましい。保護膜を設けることにより、TFTの長時間駆動した場合でも耐久性が向上しやすくなる。尚、トップゲート型のTFTの場合、例えばチャネル層上にゲート絶縁膜を形成した構造となる。
保護膜又は絶縁膜は、例えばCVDにより形成することができるが、その際に高温度によるプロセスになる場合がある。また、保護膜又は絶縁膜は、成膜直後は不純物ガスを含有していることが多く、加熱処理(アニール処理)を行うことが好ましい。加熱処理によりそれらの不純物ガスを取り除くことにより安定した保護膜又は絶縁膜となり、耐久性の高いTFT素子を形成しやすくなる。
本発明のスパッタリングターゲットを用いて成膜された酸化物半導体薄膜を用いることにより、CVDプロセスにおける温度の影響、及びその後の加熱処理による影響を受けにくくなるため、保護膜又は絶縁膜を形成した場合であっても、TFT特性の安定性を向上させることができる。
【実施例】
【0078】
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は、下記実施例に限定されず、本発明の趣旨に適合し得る範囲で適切に変更を加えて実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に含まれる。
【0079】
実施例1〜5
[酸化物焼結体の製造]
表1に示す割合となるようにランタノイド系酸化物粉末、酸化インジウム粉末、酸化アルミニウム粉末及び酸化ガリウム粉末を秤量し、ポリエチレン製のポットに入れて、乾式ボールミルにより72時間混合粉砕し、混合粉末を作製した。
この混合粉末を金型に入れ、500kg/cm
2の圧力でプレス成型体とした。この成型体を2000kg/cm
2の圧力でCIPにより緻密化を行った。次に、この成型体を常圧焼成炉に設置して、大気雰囲気下で、350℃で3時間保持した後に、50℃/時間にて昇温し、1450℃にて、20時間焼結し、その後、放置して冷却して酸化物焼結体を得た。
【0080】
(酸化物焼結体の特性評価)
(1)XRDの測定
得られた酸化物焼結体について、X線回折測定装置Smartlabにより、以下の条件で、酸化物焼結体のX線回折(XRD)を測定した。得られたXRDチャートを粉末X線回折パターン総合回析ソフトウェアJADE6(株式会社リガク)により分析し、酸化物焼結体中の結晶相を求めた。結果を表1に示す。
【0081】
・装置:Smartlab(株式会社リガク製)
・X線:Cu−Kα線(波長1.5418Å、グラファイトモノクロメータにて単色化)
・2θ−θ反射法、連続スキャン(2.0°/分)
・サンプリング間隔:0.02°
・スリットDS(発散スリット)、SS(散乱スリット)、RS(受光スリット):1.0mm
【0082】
実施例1〜7で得た酸化物焼結体のXRDチャートをそれぞれ
図3〜7に示す。
図3〜7から、各実施例で得た酸化物焼結体が表1に示したガーネット相、又はガーネット相及びビックスバイト相を有することがわかった。
【0083】
(2)得られた酸化物焼結体についてIn
2O
3の存在比率(wt%)は、XRDチャートから、全パターンフィッティング(WPF)法によりIn
2O
3の存在比として求めた。結果を表1に示す。
【0084】
(3)得られた酸化物焼結体について、アルキメデス法で焼結密度(g/cm
3)を測定した。結果を表1に示す。
【0085】
【表1】
【0086】
実施例1、及び実施例4のXRDチャートは、JCPDSカードには存在しないピークであり、新規化合物と考えられ、原子組成比及びXRD類似のパターンとの比較や得られたXRDパターンの構造解析より、それぞれ、Sm
3In
2Ga
3O
12、及びSm
3In
2AL
1.5Ga
1.5O
12と同定した。
【0087】
[スパッタリングターゲットの製造]
実施例6〜8
下記表2に示す割合で原料酸化物を混合した他は実施例1〜5と同様にして酸化物焼結体を製造し、評価した。
実施例6〜8で得た酸化物焼結体のXRDチャートをそれぞれ
図8〜10に示す。
さらに、得られた酸化物焼結体について、バルク抵抗(mΩ・cm)を、抵抗率計ロレスタ(三菱化学株式会社製、ロレスタAX MCP-T370)を使用して、四探針法(JISR1637)に基づき測定した。結果を表2に示す。
【0088】
実施例6〜8で得られた酸化物焼結体の表面を平面研削盤で♯40、♯200、♯400、♯1000の順に研削し、側辺をダイヤモンドカッターで切断し、バッキングプレートに金属インジウムを用いて貼り合わせ、直径4インチのスパッタリングターゲットを作製した。
【0089】
(スパッタリングターゲットの特性評価)
(1)得られたターゲットについて、反り(mm)を下記方法により測定した。結果を表2に示す。
反りは、ストレートエッジをバッキングプレート裏面に当て、隙間ゲージにて隙間を計測した。
【0090】
(2)得られたターゲットについて、ボンディング率(%)を下記方法により測定した。
ボンディング率は、超音波探傷機によりボンディングされていないボイド部分を計測し、ターゲット面積基準にボンディングされている部分の比率を計測した。
結果を表2に示す。
【0091】
【表2】
【0092】
[酸化物薄膜の製造]
実施例9
以下の工程で
図11に示す構造を有する薄膜トランジスタを製造した。
(1)成膜工程
実施例8で製造したスパッタリングターゲットを用いて、スパッタリングによって、熱酸化膜(ゲート絶縁膜30)付きのシリコンウエハー(ゲート電極20)上に、メタルマスクを介して50nmの薄膜(酸化物半導体層40)を形成した。スパッタガスとして、高純度アルゴン及び高純度酸素の混合ガス(不純物濃度:0.01体積%)を用い、下記成膜条件でスパッタリングを行った。
雰囲気ガス:Ar+O
2
成膜時の酸素分圧:20%
成膜前の背圧:5.0×10
−4Pa
成膜時のスパッタ圧:0.3Pa
成膜時の基板温度:室温
尚、スパッタリング中に異常放電は観察されなかった。
【0093】
(2)加熱工程
得られた積層体を大気中にて、昇温速度10℃/分で昇温し、温度350℃にて120分間保持して加熱処理した。
【0094】
(3)保護絶縁膜の形成
加熱処理後の半導体薄膜の上に、基板温度350℃で化学蒸着法(CVD)により、SiO
2膜(保護絶縁膜;層間絶縁膜70、チャネル部層間絶縁膜70a(ただし、この時点ではコンタクトホールはなく連続した膜である))を形成し、大気中にて、350℃で60分間加熱処理を行った。
【0095】
(4)ソース・ドレイン電極の形成
加熱処理後のSiO
2膜の上に、コンタクトホールを形成し、メタルマスクを用いてソース・ドレイン電極50,60としてモリブデン金属をスパッタ成膜で付けた後、各種熱処理を行って、薄膜トランジスタ(TFT)を完成し、下記のTFTの特性を評価した。
【0096】
<TFTの特性評価>
得られたTFTの下記特性について評価を行った。
・飽和移動度は、ドレイン電圧に5V印加した場合の伝達特性から求めた。具体的には、伝達特性Id−Vgのグラフを作成し、各Vgのトランスコンダクタンス(Gm)を算出し、線形領域の式により飽和移動度を導いた。尚、Gmは∂(Id)/∂(Vg)によって表され、Vgは−15〜25Vまで印加し、その範囲での最大移動度を飽和移動度と定義した。本発明において特に断らない限り、飽和移動度はこの方法で評価した。上記Idはソース・ドレイン電極間の電流、Vgはソース・ドレイン電極間に電圧Vdを印加したときのゲート電圧である。
得られたTFTの飽和移動度は、41.6cm
2/(V・sec)であった。
・閾値電圧(Vth)は、伝達特性のグラフよりId=10
−9AでのVgと定義した。
得られたTFTの閾値電圧は、−0.2Vであった。
・on−off比は、Vg=−10VのIdの値をOff電流値とし、Vg=20VのIdの値をOn電流値として比[On/Off]を決めた。
得られたTFTのOn/Off比は、>10
8であり、Off電流値は<10
−12Aであった。
【0097】
実施例10〜12
[酸化物焼結体の製造]
表3に示す割合となるように酸化ネオジム粉末、酸化インジウム粉末及びガリウム粉末を用いて、実施例1〜5の方法と同様に操作して、酸化物焼結体を得た。評価も実施例1〜5と同様に実施し、結果を表3に示した。実施例10のXRDチャートは、JCPDSカードには存在しないピークであり、新規化合物と考えられ、原子組成比及びXRD類似のパターンとの比較や得られたXRDパターンの構造解析より、Nd
3In
2Ga
3O
12と同定した。
【0098】
【表3】