特許第6428871号(P6428871)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6428871
(24)【登録日】2018年11月9日
(45)【発行日】2018年11月28日
(54)【発明の名称】車両のフロントサスペンション周辺構造
(51)【国際特許分類】
   B60K 11/04 20060101AFI20181119BHJP
   B62D 21/00 20060101ALI20181119BHJP
   B62D 25/20 20060101ALI20181119BHJP
【FI】
   B60K11/04 L
   B62D21/00 A
   B62D25/20 C
   B60K11/04 K
【請求項の数】6
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2017-149068(P2017-149068)
(22)【出願日】2017年8月1日
【審査請求日】2018年2月28日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000003137
【氏名又は名称】マツダ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121603
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 元昭
(74)【代理人】
【識別番号】100141656
【弁理士】
【氏名又は名称】大田 英司
(74)【代理人】
【識別番号】100182888
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100196357
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 吉章
(74)【代理人】
【識別番号】100067747
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 良昭
(72)【発明者】
【氏名】芝 義博
(72)【発明者】
【氏名】小宮 勝行
(72)【発明者】
【氏名】吉村 匡史
(72)【発明者】
【氏名】西園寺 康裕
(72)【発明者】
【氏名】岡本 哲
(72)【発明者】
【氏名】西田 周平
(72)【発明者】
【氏名】坂下 泰靖
【審査官】 畔津 圭介
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−014232(JP,A)
【文献】 特開2010−274675(JP,A)
【文献】 特開平05−330457(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0020388(US,A1)
【文献】 特開2014−12488(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 11/04
B62D 21/00
B62D 25/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の車両前後方向に延びる左右一対のフロントサイドフレームと、
車両上方へ膨出したフロアトンネルを有するフロアパネルと、
前記フロントサイドフレームの車両下方で、車両前後方向に延びる左右一対の前後メンバを有するサブフレームと、
前記車両の前輪を軸支する前車軸よりも車両後方の位置で、前記フロントサイドフレーム、及び前記前後メンバを車両上下方向に連結するフレーム連結部とを備えた車両のフロントサスペンション周辺構造であって、
前記前車軸よりも車両後方において、前記サブフレームの前記前後メンバと前記フロントサイドフレームとの間を覆う左右一対の導風部材を備え、
該導風部材が、
平面視において、前記フロアトンネルへ向けて延設された側壁部を備えた
車両のフロントサスペンション周辺構造。
【請求項2】
前記導風部材が、前記フレーム連結部に装着された
請求項1に記載の車両のフロントサスペンション周辺構造。
【請求項3】
前記導風部材が、前記側壁部の前端に設けられるとともに、前記フレーム連結部における車幅方向内側の面に固定される固定部を備え、
該固定部が、
平面視において、その前端から前記フロアトンネルへ向けて延設された
請求項1または請求項2に記載の車両のフロントサスペンション周辺構造。
【請求項4】
前記サブフレームの上面に固定されたスタビライザを備え、
該スタビライザが、
前記前車軸よりも車両後方の位置で車幅方向に延びるとともに、その両端が前記導風部材よりも車幅方向外側に位置するトーション部と、
該トーション部の両端から車両前方上方へ向けて延設された左右一対のアーム部とで構成された
請求項1から請求項3のいずれか1つに記載の車両のフロントサスペンション周辺構造。
【請求項5】
前記前車軸よりも車両後方の位置で前記前輪に連結されるとともに、前記サブフレームに固定されたステアリングギヤボックスを備え、
前記導風部材が、
前記ステアリングギヤボックスと重合する部分を開口形成した開口部と、
該開口部における車両前方側の開口縁から車幅方向内側へ延設された開口縁壁部とを備えた
請求項1から請求項4のいずれか1つに記載の車両のフロントサスペンション周辺構造。
【請求項6】
前記前車軸よりも車両前方における前記サブフレームの前記前後メンバと前記フロントサイドフレームとの間を覆う左右一対のスプラッシュシールドを備え、
該スプラッシュシールドが、
その後端から車幅方向内側へ向けて延設されたフランジ部を備えた
請求項1から請求項5のいずれか1つに記載の車両のフロントサスペンション周辺構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば自動車などの車両において、左右のフロントサイドフレームの間で、かつフロントサイドフレームよりも車両下方を、車両後方へ流下する外気の流れを制御するような車両のフロントサスペンション周辺構造に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車などの車両では、エンジンや排気管などが発する熱によって、エンジンルーム内やフロアトンネル内の空気が高温になり易いため、熱気による熱害が懸念される。そこで、自動車などの車両では、例えば、フロントバンパに開口形成したバンパ開口部を介して、車両前方から外気を導入するとともに、導入した外気によってエンジンルーム内やフロアトンネル内の熱気を車外に排出している。
【0003】
ところで、例えば、特許文献1のように、車両前後方向に延びる左右一対のフロントサイドフレームと、フロントサイドフレームの下方に配設されたサブフレームとで構成された車両前部の場合、フロントサイドフレームとサブフレームとの間に大きな開口が形成されることになる。
【0004】
このような構造の場合、車両前方から導入した外気が、フロントサイドフレームとサブフレームとの間の開口を通って車両側方から車外に排出されるため、フロアトンネルへ導入される外気の流量が低下するおそれがあった。さらに、車両側方から車外へ排出される外気の流量が増加すると、車両の空気抵抗係数(以下、Cd値と呼ぶ)が悪化する傾向がある。
【0005】
このため、車両前方から導入された外気は、できるだけ多くフロアトンネルへ向けて流下させる方が望ましいとされている。
そこで、例えば、特許文献1のスプラッシュシールドを、前輪を軸支する前車軸を挟んで、フロントサイドフレームとサブフレームとの間に配置することで、フロントサイドフレームとサブフレームとの間から車両側方へ外気が排出されることを阻止できる。
【0006】
しかしながら、特許文献1のスプラッシュシールドには外気の流れを制御する指向性がないため、前車軸よりも車両後方を流下する外気を、フロアパネルの下面を介して車両側方から車外に排出させるおそれがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2013−14232号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上述の問題に鑑み、左右のフロントサイドフレームの間において、車幅方向外側を流下する外気を、フロアトンネルへ向けて案内できる車両のフロントサスペンション周辺構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明は、車両の車両前後方向に延びる左右一対のフロントサイドフレームと、車両上方へ膨出したフロアトンネルを有するフロアパネルと、前記フロントサイドフレームの車両下方で、車両前後方向に延びる左右一対の前後メンバを有するサブフレームと、前記車両の前輪を軸支する前車軸よりも車両後方の位置で、前記フロントサイドフレーム、及び前記前後メンバを車両上下方向に連結するフレーム連結部とを備えた車両のフロントサスペンション周辺構造であって、前記前車軸よりも車両後方において、前記サブフレームの前記前後メンバと前記フロントサイドフレームとの間を覆う左右一対の導風部材を備え、該導風部材が、平面視において、前記フロアトンネルへ向けて延設された側壁部を備えたことを特徴とする。
【0010】
この発明により、左右のフロントサイドフレームの間において、車幅方向外側を流下する外気を、フロアトンネルへ向けて案内することができる。
具体的には、前車軸よりも車両後方に設けた導風部材により、車両のフロントサスペンション周辺構造は、フロントサイドフレームの間における車幅方向外側を流下する外気が、前車軸よりも車両後方の開口を介して、車両側方から車外へ排出されることを抑制できる。
【0011】
さらに、平面視においてフロアトンネルへ向けて延設された側壁部を導風部材が備えているため、車両のフロントサスペンション周辺構造は、フロントサイドフレームの間における車幅方向外側を流下する外気を、フロアトンネルへ向けて案内することができる。
【0012】
これにより、車両のフロントサスペンション周辺構造は、フロアトンネル内へ導入される外気の流量を増加することができる。このため、車両のフロントサスペンション周辺構造は、フロアトンネル内の熱気による熱害を防止できるとともに、車両のCd値の悪化を阻止することができる。
【0013】
加えて、車両のフロントサスペンション周辺構造は、前輪によって巻き上がられた泥水が、前車軸よりも車両後方のフロントサイドフレームとサブフレームとの間から入り込むことを、導風部材によって阻止することができる。
従って、車両のフロントサスペンション周辺構造は、左右のフロントサイドフレームの間において、車幅方向外側を流下する外気を、フロアトンネルへ向けて案内することができる。
【0014】
この発明の態様として、前記導風部材が、前記フレーム連結部に装着されたものである。
この発明により、車両のフロントサスペンション周辺構造は、導風部材を支持するための支持部材を別途設けることなく、導風部材の支持剛性を向上することができる。
【0015】
このため、車両のフロントサスペンション周辺構造は、車両前方からの外気によって、導風部材の側壁部がガタつくことを防止できる。
従って、車両のフロントサスペンション周辺構造は、フレーム連結部に導風部材を装着したことにより、フロントサイドフレームの間における車幅方向外側を流下する外気を、フロアトンネルへ向けて安定して案内することができる。
【0016】
またこの発明の態様として、前記導風部材が、前記側壁部の前端に設けられるとともに、前記フレーム連結部における車幅方向内側の面に固定される固定部を備え、該固定部が、平面視において、その前端から前記フロアトンネルへ向けて延設されたものである。
【0017】
この発明により、車両のフロントサスペンション周辺構造は、フロントサイドフレームの間における車幅方向内側を流下する外気を、フレーム連結部から導風部材の側壁部へ容易に案内することができる。このため、車両のフロントサスペンション周辺構造は、フロントサイドフレームの間における車幅方向外側を流下する外気を、フロアトンネルへ向けてより確実に案内することができる。
【0018】
またこの発明の態様として、前記サブフレームの上面に固定されたスタビライザを備え、該スタビライザが、前記前車軸よりも車両後方の位置で車幅方向に延びるとともに、その両端が前記導風部材よりも車幅方向外側に位置するトーション部と、該トーション部の両端から車両前方上方へ向けて延設された左右一対のアーム部とで構成されたものである。
【0019】
この発明により、車両のフロントサスペンション周辺構造は、車両前方上方へ延びるスタビライザのアーム部によって、車両前方から導入した外気の流れが乱れることを防止できる。このため、車両のフロントサスペンション周辺構造は、フロントサイドフレームの間における車幅方向外側を流下する外気を、フロアトンネルへ向けてさらに確実に案内することができる。
【0020】
またこの発明の態様として、前記前車軸よりも車両後方の位置で前記前輪に連結されるとともに、前記サブフレームに固定されたステアリングギヤボックスを備え、前記導風部材が、前記ステアリングギヤボックスと重合する部分を開口形成した開口部と、該開口部における車両前方側の開口縁から車幅方向内側へ延設された開口縁壁部とを備えたものである。
【0021】
この発明により、車両のフロントサスペンション周辺構造は、フロントサイドフレームの間における車幅方向外側を流下する外気が、直接的に開口部に流入することを開口縁壁部によって阻止できる。このため、車両のフロントサスペンション周辺構造は、フロアトンネルにより安定した流量の外気を案内することができる。
【0022】
またこの発明の態様として、前記前車軸よりも車両前方における前記サブフレームの前記前後メンバと前記フロントサイドフレームとの間を覆う左右一対のスプラッシュシールドを備え、該スプラッシュシールドが、その後端から車幅方向内側へ向けて延設されたフランジ部を備えたものである。
【0023】
この発明により、車両のフロントサスペンション周辺構造は、フロントサイドフレームの間における車幅方向外側を流下する外気を、フロアトンネルへ向けてより確実に案内でき、フロアトンネルに導入される外気の流量を増加することができる。
【0024】
具体的には、フロントサイドフレームとサブフレームとの間にスプラッシュシールドを配置したことにより、車両のフロントサスペンション周辺構造は、フロントサイドフレームの間における車幅方向外側を流下する外気が、前車軸よりも車両前方の開口から車外へ排出されることを防止できる。
【0025】
さらに、スプラッシュシールドにフランジ部を設けたことにより、車両のフロントサスペンション周辺構造は、スプラッシュシールドに沿って車両後方へ流下する外気の流れを、車幅方向内側へ偏向させることができる。
【0026】
このため、車両のフロントサスペンション周辺構造は、スプラッシュシールドが導風部材よりも車幅方向外側に位置している場合であっても、導風部材の車幅方向外側を、スプラッシュシールドに沿って流下する外気が流下することを阻止できる。これにより、車両のフロントサスペンション周辺構造は、導風部材の側壁部に対してより多くの外気を導風することができる。
【0027】
従って、車両のフロントサスペンション周辺構造は、前車軸よりも車両前方に配置したスプラッシュシールドにフランジ部を設けたことにより、フロントサイドフレームの間における車幅方向外側を流下する外気を、フロアトンネルへ向けてより確実に案内でき、フロアトンネルに導入される外気の流量を増加することができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明により、左右のフロントサイドフレームの間において、車幅方向外側を流下する外気を、フロアトンネルへ向けて案内できる車両のフロントサスペンション周辺構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】車両のフロントサスペンション周辺構造の外観を示す外観斜視図。
図2】車幅方向略中央から見たフロントサスペンション周辺構造の外観を示す側面図。
図3】後側フレーム連結部、及びスタビライザの外観を示す外観斜視図。
図4図2中のA−A矢視断面図。
図5図4中の要部を拡大した要部拡大断面図。
図6】導風部材の外観を示す外観斜視図。
図7】強電系ワイヤーハーネスが固定された導風部材の外観を示す外観斜視図。
図8図2中のA−A矢視断面において、外気の流れを説明する説明図。
【発明を実施するための形態】
【0030】
この発明の一実施形態を以下図面と共に説明する。
なお、図1は車両1のフロントサスペンション周辺構造の外観斜視図を示し、図2は車幅方向略中央から見たフロントサスペンション周辺構造の側面図を示し、図3は後側フレーム連結部9、及びスタビライザ17の外観斜視図を示し、図4図2中のA−A矢視断面図を示し、図5図4中の要部を拡大した要部拡大断面図を示し、図6は導風部材19の外観斜視図を示し、図7は強電系ワイヤーハーネス14が固定された導風部材19の外観斜視図を示している。
【0031】
また、図示を明確にするため、図1中において、車両左側のフロントサイドフレーム4、マッドガード12、フロントサスダンパ13、及びスプラッシュシールド18の図示を省略するとともに、図2中において第2アンダーカバー11、マッドガード12、フロントサスダンパ13、及び強電系ワイヤーハーネス14の図示を省略している。
【0032】
また、図中において、矢印Fr及びRrは前後方向を示しており、矢印Frは前方を示し、矢印Rrは後方を示している。さらに、矢印Rh及びLhは幅方向を示しており、矢印Rhは右方向を示し、矢印Lhは左方向を示し、車幅方向における車室内側を車幅方向内側とし、車幅方向における車両外側を車幅方向外側とする。加えて、図1中の上方を上方とし、図1中の下方を下方とする。
【0033】
また、本実施形態における車両1のフロントサスペンション周辺構造は、車幅方向略中央を車両前後方向に延びる仮想線を中心とした左右対称形状のため、本実施形態では、主に車両右側について説明する。
【0034】
本実施形態における車両1は、図1に示すように、乗員が乗り込む車室の床面をなすフロアパネル2と、車室の前壁をなすダッシュパネル3と、車幅方向に所定間隔を隔てたフロアパネル2の前端から車両前方へ延びる左右一対のフロントサイドフレーム4と、フロントサイドフレーム4の車両下方に配置されたサブフレーム5と、サブフレーム5の前端に配設された左右一対のロアクラッシュカン6と、ロアクラッシュカン6の前端を車幅方向に連結するロアバンパレインフォースメント7とで、車両前部の骨格を構成している。
【0035】
フロアパネル2は、図1に示すように、車幅方向略中央部分が車両上方に突出するととともに、車両前後方向に延びるフロアトンネル21を有する形状に形成されている。このフロアトンネル21の前端近傍は、車幅方向に沿った水平断面において、車両後方から車両前方にかけて車幅方向に拡幅した断面形状となるよう形成されている(図4参照)。
【0036】
換言すると、フロアトンネル21の前端近傍は、車幅方向に沿った水平断面において、前端に対して後端が車幅方向内側に位置するように傾斜した断面形状に形成されている。
ダッシュパネル3は、図1に示すように、フロアパネル2の前端から車両上方へ延設され、車室とエンジンルームとの間の隔壁をなすよう形成されている。なお、ダッシュパネル3におけるフロアトンネル21との接合部分は、フロアトンネル21の前端形状に応じた形状に形成されている。
【0037】
フロントサイドフレーム4は、図1及び図2に示すように、車幅方向に沿った縦断面形状が断面略矩形の閉断面形状を、ダッシュパネル3の下部から車両前方上方へ延設したのち、車両前方へ向けて延設した形状に形成されている。
【0038】
サブフレーム5は、図1及び図2に示すように、フロントサイドフレーム4の車両下方において、車両前後方向に延びる左右一対の前後メンバ51と、前後メンバ51の前端を車幅方向に連結する前側クロスメンバ52と、前後メンバ51の後端を車幅方向に連結する後側クロスメンバ53とで、平面視略井桁状に構成されている。
【0039】
このサブフレーム5は、図1から図3に示すように、前後メンバ51の前端近傍に立設した前側フレーム連結部8と、前後メンバ51の後端近傍に立設した後側フレーム連結部9を介して、フロントサイドフレーム4の下面に連結されている。
【0040】
具体的には、前後メンバ51は、図1図2、及び図4に示すように、車幅方向に沿った縦断面形状が略矩形の閉断面形状であって、フロントサイドフレーム4の車両下方に位置する前端から車両後方へ延設されたのち、車両前後方向略中央近傍から車幅方向内側へ向けて屈曲した形状に形成されている。
【0041】
前側クロスメンバ52は、図2に示すように、車両前後方向に沿った縦断面形状が、車両下方が開口した断面略門型形状であって、左右の前後メンバ51における前端下部同士を車幅方向に連結するように延設した形状に形成されている。
【0042】
後側クロスメンバ53は、図2に示すように、車両前後方向に沿った縦断面形状が、車両前後方向に長い断面略矩形の閉断面形状に形成されている。この後側クロスメンバ53は、車両前後方向におけるフロントサイドフレーム4の後部と略同じ車両前後方向の位置に配置されている。
【0043】
前側フレーム連結部8は、図1及び図2に示すように、車両前後方向に沿った水平断面形状が断面略矩形の閉断面形状を、車両上下方向に延設した形状に形成されている。
後側フレーム連結部9は、図3及び図4に示すように、車両前後方向に沿った水平断面形状が断面略三角形の閉断面形状を、前後メンバ51の上面から車両上方、かつ車幅方向外側へ延設した形状に形成されている。
【0044】
なお、後側フレーム連結部9は、図3から図5に示すように、車両前後方向に沿った水平断面において、車両前後方向に厚みを有する略平板状の前面部分91と、前面部分91における車幅方向内側の端部から車幅方向内側、かつ車両後方へ向けて延設された、具体的にはフロアトンネル21へ向けて延設された略平板状の側面部分92と、前面部分91における車幅方向外側の端部、及び側面部分92の後端を連結する略平板状の後面部分93とを有する断面形状に形成されている。
【0045】
また、サブフレーム5の後側クロスメンバ53とロアバンパレインフォースメント7との間には、図1に示すように、開口部分を車両下方から覆う第1アンダーカバー10、及び第2アンダーカバー11が配設されている。
【0046】
具体的には、第1アンダーカバー10は、図1に示すように、サブフレーム5の前側クロスメンバ52、ロアバンパレインフォースメント7、及び左右のロアクラッシュカン6で囲われた開口部分を覆う形状に形成される。
第2アンダーカバー11は、図1に示すように、サブフレーム5の前側クロスメンバ52、後側クロスメンバ53、及び左右の前後メンバ51で囲われた開口部分を覆う形状に形成されている。
【0047】
上述した構成の前部車体構造の車両1において、フロントサスペンション周辺の構造は、図1に示すように、左右一対の前輪(図示省略)と、前輪を覆うマッドガード12と、前輪を回転自在に支持するナックル(図示省略)に連結されたフロントサスダンパ13とを、フロントサイドフレーム4よりも車幅方向外側に配設している。
【0048】
さらに、車両1のフロントサスペンション周辺構造は、図1及び図2に示すように、サブフレーム5に沿って配索された強電系ワイヤーハーネス14と、エンジン(図示省略)の駆動力を前輪に伝達する左右一対のドライブシャフト15と、ナックルに先端連結されたステアリングギヤボックス16と、スタビリンク(図示省略)を介してナックルに連結されたスタビライザ17とを、フロントサイドフレーム4とサブフレーム5との間に配設している。
【0049】
加えて、車両1のフロントサスペンション周辺構造は、図1及び図2に示すように、側面視におけるフロントサイドフレーム4とサブフレーム5との間に、車幅方向外側からの泥の侵入を阻止する左右一対のスプラッシュシールド18と、車両後方へ向けて流下する外気の流れをフロアトンネル21へ偏向させる左右一対の導風部材19とを配設している。
【0050】
強電系ワイヤーハーネス14は、図1に示すように、前側クロスメンバ52、及び車両右側の前後メンバ51に沿うように配索されている。なお、強電系ワイヤーハーネス14は、ステアリングギヤボックス16、後述する導風部材19、及びサブフレーム5の前後メンバ51に固定されている。
【0051】
具体的には、強電系ワイヤーハーネス14は、車両後部に配置されたバッテリ(図示省略)に一端が接続され、フロアパネル2の車両下方を介して、サブフレーム5の車両上方において、車両右側の前後メンバ51に沿うように車両前後方向に配索されている。
【0052】
さらに、強電系ワイヤーハーネス14は、前後メンバ51よりも車両前方へ延びる部分に設けた分岐ボックス141が、前側クロスメンバ52における車幅方向右側の上面に固定されている。
この分岐ボックス141から分岐した2つの強電系ワイヤーハーネス14のうち、一方が車両左側のフロントサイドフレーム4よりも車幅方向外側に配置したDC/DCコンバータ(図示省略)に接続され、他方が左右のフロントサイドフレーム4の間に配置したモーター機能付き発電機(図示省略)に接続されている。
【0053】
ドライブシャフト15は、図1及び図2に示すように、車両前後方向において、前後メンバ51の後部と略同位置に配置され、車幅方向外側の一端が前輪に連結され、車幅方向内側が変速機(図示省略)に連結されている。
【0054】
また、ステアリングギヤボックス16は、図2図4、及び図5に示すように、ドライブシャフト15よりも車両後方において、サブフレーム5の後側クロスメンバ53における前部上面に固定されている。なお、ステアリングギヤボックス16には、図5から図7に示すように、強電系ワイヤーハーネス14が固定される固定ブラケット161が一体形成されている。
【0055】
また、スタビライザ17は、図1から図3に示すように、ステアリングギヤボックス16よりも車両後方において、サブフレーム5の後側クロスメンバ53における後部上面に固定されている。
このスタビライザ17は、図3及び図4に示すように、後側クロスメンバ53の上面に固定されるトーション部171と、先端がスタビリンク(図示省略)を介してナックルに連結される左右一対のアーム部172とで一体形成されている。
【0056】
具体的には、トーション部171は、後側クロスメンバ53の上面において、後述する導風部材19よりも車幅方向外側に、その両端が位置する車幅方向の長さで形成されている。
アーム部172は、ステアリングギヤボックス16のラックエンドを覆うダストブーツ162を跨ぐように、トーション部171の両端からそれぞれ車両前方側へ延設されている。
【0057】
より詳しくは、アーム部172は、図3及び図4に示すように、後述する導風部材19よりも車幅方向外側において、トーション部171の先端から車両前方上方へ延設されたのち、車両下方へ向けて延設された先端を、車幅方向外側へ向けて屈曲させた形状に形成されている。
【0058】
また、スプラッシュシールド18は、図1及び図2に示すように、側面視において、フロントサイドフレーム4、サブフレーム5、前側フレーム連結部8、及びドライブシャフト15で囲われた開口を覆う形状に形成されている。
【0059】
具体的には、スプラッシュシールド18は、図2及び図4に示すように、車幅方向外側に位置するアウタパネル181と、アウタパネル181に対して車幅方向内側に位置するとともに、車幅方向内側へ膨出したインナパネル182とで構成されている。
【0060】
アウタパネル181は、フロントサイドフレーム4における車幅方向外側の面に上端が接合されるとともに、サブフレーム5の前後メンバ51における車幅方向外側の面に下端が接合されている。
このアウタパネル181は、図4に示すように、車両前後方向に沿った水平断面において、前端に対して後端が僅かに車幅方向内側に位置するとともに、車両前後方向略中央が車幅方向内側へ突設するように緩やかに湾曲した断面形状に形成されている。
【0061】
なお、アウタパネル181の後端は、図2に示すように、側面視において、下端から車両上方へ延びたのち、二点鎖線で示したドライブシャフト15の外径に沿うように、車両上方後方へ湾曲した略円弧状部分を上部に有する形状に形成されている。
【0062】
さらに、アウタパネル181には、図2及び図4に示すように、後端縁を車幅方向内側へ向けて延設したフランジ部183が形成されている。このフランジ部183は、車両前後方向に沿った水平断面において、インナパネル182における車幅方向内側の面(後述する内側面182a)の後端よりも車幅方向内側へ僅かに突出する車幅方向の長さに形成されている。
【0063】
インナパネル182は、図2及び図4に示すように、車幅方向外側が開口するとともに、車幅方向でアウタパネル181に接合されることで、内部中空の略ボックス形状をなすように形成されている。
このインナパネル182における車幅方向内側の面である内側面182aは、図4に示すように、車両前後方向に沿った水平断面において、サブフレーム5の前後メンバ51よりも車幅方向内側に突出しない範囲で、車両前後方向略中央が車幅方向内側へ突設するように緩やかに湾曲した断面形状に形成されている。
【0064】
導風部材19は、図1及び図2に示すように、側面視において、フロントサイドフレーム4、サブフレーム5の後側クロスメンバ53、ドライブシャフト15、及びダッシュパネル3で囲われた開口を、フロントサイドフレーム4よりも車幅方向内側から覆うような形状に形成されている。
【0065】
なお、導風部材19は、図6に示すように、成形性の観点から2つに分割した合成樹脂部材を、樹脂クリップ19aで連結して構成されているが、本実施形態では説明を容易にするため、2つの合成樹脂部材を組み合わせた状態に基づいて説明する。
【0066】
具体的には、導風部材19は、図5及び図6に示すように、後側フレーム連結部9の側面部分92に固定される第1固定部191と、第1固定部191に対して車両後方側に隣接して配置された導風面部192と、導風面部192の後端から車幅方向外側へ延設した後壁部193と、導風面部192の上端から車幅方向外側へ延設した天板部194と、導風面部192の下部から延設するとともに、ステアリングギヤボックス16、及びスタビライザ17を一体的に覆う囲繞部195とで一体形成されている。
【0067】
第1固定部191は、図2図5、及び図6に示すように、車両上下方向に長い側面視略矩形の略平板状であって、車両前後方向に沿った水平断面において、前端に対して後端が車幅方向内側に位置するように、前端からフロアトンネル21へ向けて延設された断面形状に形成されている。
この第1固定部191は、後側フレーム連結部9の側面部分92(図3参照)に、その上端、及び下端が固定されている。
【0068】
より詳しくは、第1固定部191の上端は、後側フレーム連結部9の側面部分92における上部に、強電系ワイヤーハーネス14の取付けブラケット142を挟んで、締結固定されている。一方、第1固定部191の下端は、後側フレーム連結部9の側面部分92における下部に、樹脂クリップ19bによって固定されている。
【0069】
導風面部192は、図5及び図6に示すように、車幅方向内側へ僅かに延設した第1固定部191の後端部分から、車両後方へ向けて延設して形成されている。なお、導風面部192は、フロントサイドフレーム4、スプラッシュシールド18の内側面182a、及びスタビライザ17のアーム部172よりも車幅方向内側の位置に位置するように配設されている。
【0070】
具体的には、導風面部192は、図5及び図6に示すように、車両前後方向に沿った水平断面において、前端に対して後端が車幅方向内側に位置するように、前端からフロアトンネル21へ向けて延設された略平板状の傾斜部分192aと、傾斜部分192aの後端から車両後方へ延設された略平板状の後方延設部分192bとで一体形成されている。
【0071】
後壁部193の下部には、図5及び図6に示すように、後側クロスメンバ53の上面に固定される第2固定部196が形成されている。
天板部194は、図6に示すように、傾斜部分192aから後方延設部分192bの前部に至る導風面部192の上端から車幅方向外側へ向けて延設した略平板状に形成されている。この天板部194の前部は、後側フレーム連結部9の上面に、樹脂クリップ19cによって固定されている。
【0072】
囲繞部195は、図6に示すように、導風面部192の下端よりも車幅方向内側において、ステアリングギヤボックス16、及びスタビライザ17を、それぞれ挿通可能な開口を有する形状に形成されている。
【0073】
具体的には、囲繞部195は、図5及び図6に示すように、導風面部192の下端、及び後壁部193における車幅方向内側の端部を、車幅方向内側へ延設した囲繞本体部分195aと、ステアリングギヤボックス16とスタビライザ17との間において、囲繞本体部分195aにおける車幅方向内側の縁端を車両下方へ延設した側壁部分195bとで形成されている。
【0074】
そして、囲繞部195は、囲繞本体部分195aと側壁部分195bとで、ステアリングギヤボックス16が挿通される前側開口部S1と、スタビライザ17が挿通される後側開口部S2とを形成している(図2参照)。
【0075】
さらに、囲繞部195には、図5及び図6に示すように、前側開口部S1に挿通されたステアリングギヤボックス16を覆う前方縁壁部分195cと、後側開口部S2に挿通されたスタビライザ17を覆う後方縁壁部分195dとが形成されている。
【0076】
囲繞本体部分195aの後面には、図5及び図6に示すように、後側クロスメンバ53に締結固定される第3固定部197が一体形成されている。なお、囲繞本体部分195aの上面は、図7に示すように、車両前方から車両後方へ向けて配索された強電系ワイヤーハーネス14が載置可能な大きさで形成されている。
【0077】
前方縁壁部分195cは、図5及び図6に示すように、前側開口部S1の縁端における車両前方側の部分、及び車両後方側の部分を、車幅方向内側に延設した形状に形成されている。
後方縁壁部分195dは、図5及び図6に示すように、後側開口部S2の縁端における車両上方から車両後方に至る部分を、車幅方向内側へ延設した形状に形成されている。この後方縁壁部分195dは、図5に示すように、前方縁壁部分195cよりも車幅方向内側に突出する車幅方向の長さで形成されている。
【0078】
引き続き、上述したフロントサスペンション周辺構造を有する車両1において、図示を省略したフロントバンパの開口から導入された外気のうち、左右のフロントサイドフレーム4の間で、かつフロントサイドフレーム4よりも車両下方の空間に導入された外気の流れについて、図8を用いて詳しく説明する。
【0079】
より詳しくは、左右のフロントサイドフレーム4の間において、車幅方向略中央よりも車幅方向外側を車両後方へ流下する外気W1の流れと、外気W1よりも車幅方向外側を流下する外気W2の流れと、スプラッシュシールド18の近傍を流下する外気W3の流れとについて説明する。
なお、図8は、図2中のA−A矢視断面において、外気の流れを説明する説明図を示している。
【0080】
まず、左右のフロントサイドフレーム4の間において、車幅方向略中央よりも車幅方向外側を車両後方へ流下する外気W1は、図8に示すように、車両後方から車両前方にかけて拡幅されたフロアトンネル21の前端部分へ向けて流下している。
【0081】
このため、外気W1がフロアトンネル21の前端部分に到達すると、外気W1の流れは、図8に示すように、フロアトンネル21の拡幅部分における傾斜に沿うように、車幅方向内側、かつ車両後方へ向けて、その流下方向が偏向される。これにより、車幅方向略中央よりも車幅方向外側を車両後方へ流下する外気W1が、フロアトンネル21の内部へ導入される。
【0082】
また、外気W1よりも車幅方向外側を流下する外気W2は、図8に示すように、後側フレーム連結部9の側面部分92、より詳しくは導風部材19の前端部分へ向けて流下している。
上述したように、車両前後方向に沿った水平断面において、導風部材19の第1固定部191、及び導風面部192の傾斜部分192aは、それぞれ、その前端からフロアトンネル21へ向けて延設した断面形状に形成されている。
【0083】
このため、外気W2が導風部材19に到達すると、外気W2は、図8に示すように、導風部材19の第1固定部191、及び導風面部192の傾斜部分192aに沿うようにして、車幅方向内側、かつ車両後方へ向けて、その流下方向が偏向される。
【0084】
この際、導風面部192に沿って流下する外気W2の一部が、導風部材19の前方縁壁部分195c、及び後方縁壁部分195dに沿って流下することで、前側開口部S1、及び後側開口部S2への外気W2の流入が阻止される。
【0085】
そして、導風部材19によって、車幅方向内側、かつ車両後方へ向けて偏向された外気W2は、図8に示すように、フロアトンネル21の近傍において、フロアトンネル21へ向けて流下する外気W1と合流する。これにより、外気W1よりも車幅方向外側を流下する外気W2が、フロアトンネル21の内部へ導入される。
【0086】
また、スプラッシュシールド18の近傍を流下する外気W3は、図8に示すように、導風部材19よりも車幅方向外側の範囲へ向けて流下している。この際、外気W3は、スプラッシュシールド18の内側面182aに沿うようにして、車両後方へ流下する。
【0087】
このため、スプラッシュシールド18のフランジ部183に到達すると、外気W3は、フランジ部183との衝突によって、その流下方向が車幅方向内側へ偏向される。そして、スプラッシュシールド18のフランジ部183によって偏向された外気W3は、図8に示すように、外気W1よりも車幅方向外側を流下する外気W2と合流して、導風部材19へ向けて流下する。
【0088】
このようにスプラッシュシールド18の近傍を流下する外気W3は、図8に示すように、車幅方向略中央よりも車幅方向外側を車両後方へ流下する外気W1、及び外気W1よりも車幅方向外側を流下する外気W2とともに、フロアトンネル21の内部へ向けて流下する。
【0089】
これにより、スプラッシュシールド18の近傍を流下する外気W3が、フロアトンネル21の内部へ導入される。
このようして、外気W1よりも車幅方向外側を流下する外気W2と、スプラッシュシールド18の近傍を流下する外気W3が、フロアトンネル21の内部へ導入される。
【0090】
以上のようにしてフロアトンネル21へ外気を導入する車両1のフロントサスペンション周辺構造は、左右のフロントサイドフレーム4の間において、車幅方向外側を流下する外気を、フロアトンネル21へ向けて案内することができる。
【0091】
具体的には、ドライブシャフト15よりも車両後方に設けた導風部材19により、車両1のフロントサスペンション周辺構造は、フロントサイドフレーム4の間における車幅方向外側を流下する外気が、ドライブシャフト15よりも車両後方の開口を介して、車両側方から車外へ排出されることを抑制できる。
【0092】
さらに、平面視においてフロアトンネル21へ向けて延設された導風面部192を導風部材19が備えているため、車両1のフロントサスペンション周辺構造は、フロントサイドフレーム4の間における車幅方向外側を流下する外気を、フロアトンネル21へ向けて案内することができる。
【0093】
これにより、車両1のフロントサスペンション周辺構造は、フロアトンネル21内へ導入される外気の流量を増加することができる。このため、車両1のフロントサスペンション周辺構造は、フロアトンネル21内の熱気による熱害を防止できるとともに、車両1のCd値の悪化を阻止することができる。
【0094】
加えて、車両1のフロントサスペンション周辺構造は、前輪によって巻き上がられた泥水が、ドライブシャフト15よりも車両後方のフロントサイドフレーム4とサブフレーム5との間から入り込むことを、導風部材19によって阻止することができる。
従って、車両1のフロントサスペンション周辺構造は、左右のフロントサイドフレーム4の間において、車幅方向外側を流下する外気を、フロアトンネル21へ向けて案内することができる。
【0095】
また、導風部材19が、後側フレーム連結部9に装着されたことにより、車両1のフロントサスペンション周辺構造は、導風部材19を支持するための支持部材を別途設けることなく、導風部材19の支持剛性を向上することができる。このため、車両1のフロントサスペンション周辺構造は、車両前方からの外気によって、導風部材19の導風面部192がガタつくことを防止できる。
【0096】
従って、車両1のフロントサスペンション周辺構造は、後側フレーム連結部9に導風部材19を装着したことにより、フロントサイドフレーム4の間における車幅方向外側を流下する外気を、フロアトンネル21へ向けて安定して案内することができる。
【0097】
また、導風部材19の第1固定部191が、平面視において、その前端からフロアトンネル21へ向けて延設されたことにより、車両1のフロントサスペンション周辺構造は、フロントサイドフレーム4の間における車幅方向内側を流下する外気を、後側フレーム連結部9から導風部材19の導風面部192へ容易に案内することができる。
【0098】
このため、車両1のフロントサスペンション周辺構造は、フロントサイドフレーム4の間における車幅方向外側を流下する外気を、フロアトンネル21へ向けてより確実に案内することができる。
【0099】
また、スタビライザ17のアーム部172が、導風部材19よりも車幅方向外側に位置するトーション部171の両端から車両前方上方へ向けて延設されたことにより、車両1のフロントサスペンション周辺構造は、車両前方上方へ延びるスタビライザ17のアーム部172によって、車両前方から導入した外気の流れが乱れることを防止できる。
【0100】
このため、車両1のフロントサスペンション周辺構造は、フロントサイドフレーム4の間における車幅方向外側を流下する外気を、フロアトンネル21へ向けてさらに確実に案内することができる。
【0101】
また、導風部材19が、前側開口部S1から延設された前方縁壁部分195cと、後側開口部S2から延設された後方縁壁部分195dとを備えたことにより、車両1のフロントサスペンション周辺構造は、フロントサイドフレーム4の間における車幅方向外側を流下する外気が、直接的に前側開口部S1、及び後側開口部S2に流入することを前方縁壁部分195c、及び後方縁壁部分195dによって阻止できる。このため、車両1のフロントサスペンション周辺構造は、フロアトンネル21により安定した流量の外気を案内することができる。
【0102】
また、スプラッシュシールド18が、その後端から車幅方向内側へ向けて延設されたフランジ部183を備えたことにより、車両1のフロントサスペンション周辺構造は、車両1のフロントサスペンション周辺構造は、フロントサイドフレーム4の間における車幅方向外側を流下する外気を、フロアトンネル21へ向けてより確実に案内でき、フロアトンネル21に導入される外気の流量を増加することができる。
【0103】
具体的には、フロントサイドフレーム4とサブフレーム5との間にスプラッシュシールド18を配置したことにより、車両1のフロントサスペンション周辺構造は、フロントサイドフレーム4の間における車幅方向外側を流下する外気が、ドライブシャフト15よりも車両前方の開口から車外へ排出されることを防止できる。
【0104】
さらに、スプラッシュシールド18にフランジ部183を設けたことにより、車両1のフロントサスペンション周辺構造は、スプラッシュシールド18の内側面182aに沿って車両後方へ流下する外気の流れを、車幅方向内側へ偏向させることができる。
【0105】
このため、車両1のフロントサスペンション周辺構造は、スプラッシュシールド18の内側面182aが導風部材19よりも車幅方向外側に位置している場合であっても、導風部材19の車幅方向外側を、スプラッシュシールド18に沿って流下する外気が流下することを阻止できる。これにより、車両1のフロントサスペンション周辺構造は、導風部材19の導風面部192に対してより多くの外気を導風することができる。
【0106】
従って、車両1のフロントサスペンション周辺構造は、ドライブシャフト15よりも車両前方に配置したスプラッシュシールド18にフランジ部183を設けたことにより、フロントサイドフレーム4の間における車幅方向外側を流下する外気を、フロアトンネル21へ向けてより確実に案内でき、フロアトンネル21に導入される外気の流量を増加することができる。
【0107】
この発明の構成と、上述の実施形態との対応において、
この発明の前車軸は、実施形態のドライブシャフト15に対応し、
以下同様に、
フレーム連結部は、後側フレーム連結部9に対応し、
固定部は、第1固定部191に対応し、
フレーム連結部における車幅方向内側の面は、後側フレーム連結部9の側面部分92に対応し、
開口部は、前側開口部S1に対応し、
開口縁壁部は、前方縁壁部分195cに対応するが、
この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施の形態を得ることができる。
【0108】
例えば、上述した実施形態において、サブフレーム5にスタビライザ17を備えた車両1のフロントサスペンション周辺構造としたが、これに限定せず、スタビライザを備えていない車両のフロントサスペンション周辺構造であってもよい。
【0109】
また、アウタパネル181とインナパネル182とで構成されたスプラッシュシールド18としたが、これに限定せず、車両外側からの泥や泥水などの侵入を阻止する構成であれば、適宜の構成としてもよい。なお、スプラッシュシールド18を備えていない構成であってもよい。
【0110】
また、前側開口部S1と後側開口部S2とを備えた導風部材19としたが、これに限定せず、側壁部分195bを除去して、前側開口部S1と後側開口部S2とを一体化した開口部を有する導風部材としてもよい。
【0111】
また、前側開口部S1の縁端における車両前方側の部分、及び車両後方側の部分を、車幅方向内側に延設した前方縁壁部分195cと、後側開口部S2の縁端における車両上方から車両後方に至る部分を、車幅方向内側へ延設した後方縁壁部分195dとを有する導風部材19としたが、これに限定せず、開口部の縁端における車両前方側の部分から延設された縁壁部分を少なくとも有する導風部材であれば、適宜の形状の縁壁部分を有する導風部材としてもよい。
【0112】
また、2つの合成樹脂部材で構成された導風部材19としたが、これに限定せず、フロアトンネル21へ向けて外気を案内可能な導風面部192を有するとともに、成形性を確保できる構成であれば適宜の構成の導風部材としてもよい。
また、強電系ワイヤーハーネス14を固定可能な導風部材19としたが、これに限定せず、ブレーキ配管などの各種配管などが固定される導風部材、あるいはワイヤーハーネスなどが固定されない導風部材としてもよい。
【符号の説明】
【0113】
1…車両
2…フロアパネル
4…フロントサイドフレーム
5…サブフレーム
9…後側フレーム連結部
15…ドライブシャフト
16…ステアリングギヤボックス
17…スタビライザ
18…スプラッシュシールド
19…導風部材
21…フロアトンネル
51…前後メンバ
92…側面部分
171…トーション部
172…アーム部
183…フランジ部
191…第1固定部
192…導風面部
195c…前方縁壁部分
S1…前側開口部
【要約】
【課題】左右のフロントサイドフレーム4の間において、車幅方向外側を流下する外気を、フロアトンネル21へ向けて案内できる車両1のフロントサスペンション周辺構造を提供することを目的とする。
【解決手段】左右一対のフロントサイドフレーム4と、フロアトンネル21を有するフロアパネル2と、左右一対の前後メンバ51を有するサブフレーム5と、前輪を軸支するドライブシャフト15よりも車両後方の位置で、フロントサイドフレーム4、及び前後メンバ51を車両上下方向に連結する後側フレーム連結部9とを備えた車両1のフロントサスペンション周辺構造であって、ドライブシャフト15よりも車両後方において、サブフレーム5の前後メンバ51とフロントサイドフレーム4との間を覆う左右一対の導風部材19を備え、導風部材19が、平面視において、フロアトンネル21へ向けて延設された導風面部192を備えたことを特徴とする。
【選択図】図4
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8