(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記磁気センサ素子と前記基板との間、及び、前記基板と前記支持部材との間に導電性樹脂層が介在し、前記磁気センサ素子の電気的に出力する端子以外の部分と前記基板とが前記導電性樹脂層により固定され、さらに前記基板と前記支持部材とが前記導電性樹脂層により固定されている請求項1に記載の磁気センサ。
磁気センサ素子取付部を弾性的に支持する弾性部を有する支持部材と、前記磁気センサ素子取付部に設けられた、磁界を検出し電気的に出力する磁気センサ素子と、前記磁気センサ素子に電気的に接続された可撓性を有する配線部材と、前記支持部材と前記配線部材とを接続する接続部材と、前記配線部材の少なくとも上面上の、前記接続部材に対応する位置に設けられたキャップ部材と、前記支持部材と前記磁気センサ素子との間に、配線部を有する基板と、を備える磁気センサを作製する方法であって、
前記支持部材と前記基板とを固定し、さらに、前記基板と前記磁気センサ素子とを固定する工程と、
前記基板の配線部を介して前記磁気センサ素子と前記配線部材の配線部とを電気的に接続する工程と、
前記配線部材と前記支持部材との間に接続部材を形成する工程と、
前記接続部材に対応する位置にキャップ部材を形成する工程と、を備える磁気センサの製造方法。
前記接続部材を形成する工程及び/又は前記キャップ部材を形成する工程は、紫外線硬化性樹脂を用いて、紫外線を紫外線硬化性樹脂に照射して当該紫外線硬化性樹脂を硬化させ形成する工程である請求項12又は13に記載の磁気センサの製造方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、前記磁気センサをレンズ鏡筒などに組み付ける際、レンズ鏡筒にはスペースが少なく、配線部材を無理に湾曲させたり、屈曲させたりしてレンズ鏡筒に取り付けようとすることが多い。このとき、配線部材が引っ張られ、接続部材から配線部材を引き剥がす力が加わる。これにより配線部材が接続部材から剥離され、その先にある磁気センサ素子の位置がずれたり、板バネを曲げてしまうことがあった。その結果、磁気エンコーダの検出する位置精度が著しく低下するか、最悪の場合、支持部材が変形し、磁気エンコーダが故障して使用できなくなるという問題があった。
本発明は、上記課題に鑑み成されたものであり、その目的とするところは、接続部材と配線部材との剥離が起こりにくく、信頼性が極めて高い磁気センサ、及び、その製造方法を提供することにある。また、この磁気センサを用いた磁気エンコーダ、レンズ鏡筒、及びカメラを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明の一の態様は、磁気センサ素子取付部を弾性的に支持する弾性部を有する支持部材と、
前記磁気センサ素子取付部に設けられた、磁界を検出し電気的に出力する磁気センサ素子と、
前記磁気センサ素子に電気的に接続された可撓性を有する配線部材と、
前記支持部材と前記配線部材とを接続する接続部材と、
前記配線部材の少なくとも上面上の、前記接続部材に対応する位置に設けられたキャップ部材と、を備える磁気センサである。
【0009】
上記磁気センサにおいて、ある態様では、前記接続部材及び/又は前記キャップ部材は樹脂である。
【0010】
さらに別の態様では、前記接続部材及び/又は前記キャップ部材を構成する樹脂は光硬化性樹脂である。
【0011】
前記光硬化性樹脂は、紫外線硬化性樹脂であることが好ましい。
【0012】
上記磁気センサにおいて、前記キャップ部材の高さは、好適には、0.1mm以上である。
【0013】
上記磁気センサは、上記磁気センサ素子取付部と上記磁気センサ素子との間に配線部を有する基板あるいは配線部を有さない基板をさらに有し、前記基板上に前記磁気センサ素子が設けられていてもよい。
【0014】
好適には、前記接続部材の高さは、前記基板の厚さに対して、0.85倍〜1.15倍である。
【0015】
上記磁気センサにおいて、前記磁気センサ素子と前記基板との間、及び、前記基板と前記支持部材との間に導電性樹脂層が介在し、前記磁気センサ素子の電気的に出力する端子以外の部分と前記基板とが前記導電性樹脂層により固定され、さらに前記基板と前記支持部材とが前記導電性樹脂層により固定されていてもよい。
【0016】
本発明の別の態様は、磁気スケールと、前記磁気スケール上を相対的に摺動可能な上述の磁気センサと、を備える磁気エンコーダである。
【0017】
また、本発明の別の態様は、上述の磁気エンコーダを備えるレンズ鏡筒である。
【0018】
また、本発明のさらに別の態様は、上述のレンズ鏡筒を備えるカメラである。
【0019】
また、本発明のさらに別の態様は、磁気センサ素子取付部を弾性的に支持する弾性部を有する支持部材と、前記磁気センサ素子取付部に設けられた、磁界を検出し電気的に出力する磁気センサ素子と、前記磁気センサ素子に電気的に接続された可撓性を有する配線部材と、前記支持部材と前記配線部材とを接続する接続部材と、前記配線部材の少なくとも上面上の、前記接続部材に対応する位置に設けられたキャップ部材と、を備える磁気センサを作製する方法であって、
前記磁気センサ素子と前記支持部材とを固定する工程と、
前記磁気センサ素子と前記配線部材とを電気的に接続する工程と、
前記配線部材と前記支持部材との間に接続部材を形成する工程と、
前記接続部材に対応する位置にキャップ部材を形成する工程と、を備える磁気センサの製造方法である。
【0020】
前記磁気センサが、さらに、前記支持部材と前記磁気センサ素子との間に、配線部を有する基板を備え、
前記磁気センサを作製する方法において、前記磁気センサ素子と前記支持部材とを固定する工程は、前記支持部材と前記基板とを固定し、さらに、前記基板と前記磁気センサ素子とを固定する工程であり、
前記磁気センサ素子と前記配線部材の配線部とを電気的に接続する工程は、前記基板の配線部を介して磁気センサ素子と前記配線部材の配線部とを電気的に接続する工程である。
【0021】
本発明に係る磁気センサの製造方法において、前記接続部材を形成する工程と、前記キャップ部材を形成する工程とを、同時に行ってもよい。
【0022】
また、本発明に係る磁気センサの製造方法において、前記接続部材を形成する工程及び/又は前記キャップ部材を形成する工程は、液状の樹脂を硬化させて接続部材及び/又はキャップ部材を形成する工程であってもよい。
【0023】
本発明に係る磁気センサの製造方法において、前記樹脂は35,000(mPa・s)以上の粘度を有することが好ましい。
【0024】
また、本発明に係る磁気センサの製造方法において、前記接続部材を形成する工程及び/又は前記キャップ部材を形成する工程は、紫外線硬化性樹脂を用いて、紫外線を紫外線硬化性樹脂に照射して当該紫外線硬化性樹脂を硬化させ形成する工程であってもよい。
【0025】
さらに、本発明に係る磁気センサの製造方法において、前記接続部材を形成する工程及び/又は前記キャップ部材を形成する工程は、紫外線を、前記接続部材及び/又は前記キャップ部材の両側から照射する工程であってもよい。
【0026】
本発明に係る磁気センサの製造方法において、前記磁気センサ素子の電気的に出力する端子以外の部分と前記基板とを導電性樹脂により固定し、及び、前記基板と前記支持部材とを導電性樹脂により固定してもよい。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、接続部材と配線部材との剥離が起こりにくく、信頼性が極めて高い磁気センサ、及び、その製造方法を提供することができる。また、この磁気センサを用いた磁気エンコーダ、レンズ鏡筒、及びカメラを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図面に基づいて本発明の実施形態を詳細に説明する。なお、以下の説明では、必要に応じて特定の方向や位置を示す用語(例えば、「上」、「下」、「右」、「左」およびそれらの用語を含む別の用語)を用いるが、それらの用語の使用は図面を参照した発明の理解を容易にするためであって、それらの用語の意味によって本発明の技術的範囲が制限されるものではない。複数の図面に表れる同一符号は、特に断らない限り同一の部分又は部材を示す。
以下、本発明の実施の形態に係る磁気センサ、及び当該磁気センサを用いた磁気エンコーダ、レンズ鏡筒及びカメラ、並びに、当該磁気センサの製造方法について詳細に説明する。
【0030】
(1)磁気センサ
図1(a)は、本発明の実施の形態1に係る磁気センサ1の上面図であり、
図1(b)はその斜視図である。本発明の実施の形態1に係る磁気センサ1は、磁気センサ素子取付部21と支持部材取付本体部23とを有し、磁気センサ素子取付部21と支持部材取付本体部23との相対的位置が変化するように弾性変形する支持部材3と、支持部材3に設けられた、磁界を検出する磁気センサ素子5と、磁気センサ素子5に接続された可撓性(すなわち、柔軟性)を有する配線部材7と、支持部材3と配線部材7とを接続する接続部材9と、配線部材7の上面上の、接続部材9に対応する位置に設けられたキャップ部材11と、を備えることを特徴とする。本件において、磁気センサ素子5と、磁気センサ1とは異なる部材を指し示している。磁気センサ1とは、磁気センサ素子5を含むセンサ装置全体を意味する。一方、磁気センサ素子5とは、磁気センサ1に含まれる素子であって、例えば磁気スケールからの漏洩磁場を検出する素子を意味する。また、図示した基板13は必ずしも必要ではなく、備えていない例は追って説明する。以下、各構成要素について詳細に説明する。
【0031】
1.キャップ部材及び接続部材
本発明の実施の形態1に係るキャップ部材11は、配線部材7の上面上に設けられ、配線部材7と当該配線部材7の下部に設けられた接続部材9との剥離を防止するためのものである。本実施の形態1においては、キャップ部材11は、配線部材7の上面に設けられているが、本発明においては、配線部材7が接続部材9から剥離することをキャップ部材11が抑制することが可能な位置(すなわち、後述する「接続部材9に対応する位置」)にあればキャップ部材11は如何なる場所に設けられていてもよい。
【0032】
図2〜4は、キャップ部材11が接続部材9と配線部材7との剥離を抑制する原理を説明するための図面である。
図2〜4を用いながら、キャップ部材11が如何にして接続部材9と配線部材7との剥離を抑制しているかについての考察を詳細に説明する。
【0033】
図2は、本発明の実施の形態1に係るキャップ部材11周辺の概略断面図である。
図2に示すように、配線部材7と支持部材3との間に間隙を設けるように接続部材9が設けられ、接続部材9により配線部材7と支持部材3とが接続されている。そして、配線部材7の上面上の、接続部材9に対応する位置にキャップ部材11が設けられている。キャップ部材11は図示のように接続部材に対して配線部材の上にかぶせるキャップ状であることが望ましいが、後述するようにこれに限定されるものではない。
【0034】
本発明者らは、配線部材7と接続部材9との剥離について鋭意研究を重ねた結果、以下の知見を得た。すなわち、
図3(a)〜(c)に示すように、キャップ部材11が配線部材7の上に存在しない場合、可撓性を有する配線部材7(固定されていない自由端側)を、接続部材9が設けられた側と反対方向(すなわち、
図3(a)〜(c)においては上方向)に湾曲させると、接続部材9と配線部材7との接合部のうち最外部Nに応力が集中する。ここで、配線部材7を接続部材9に対して上方向に湾曲させる場合について説明するが、配線部材7を接続部材9から剥離させる力が配線部材7および/または接続部材9に付与されている状況であれば如何なる状況であってもよく、配線部材7の端子を接続するときの配線部材7を引っ張る力や、エンコーダ動作時に磁気センサ1が配線部材7を引っ張る力などにより、配線部材7が変形したり配線部材7に張力がかかる状況全てを含む。当該応力が接続部材9と配線部材7との接着力を超えると、
図3(b)に示すように、配線部材7が接続部材9から剥離し始め、配線部材7をさらに湾曲させると、
図3(c)に示すように、配線部材7が接続部材9から離れていく。すなわち、キャップ部材11が、配線部材7の上面上の、接続部材9に対応する位置に設けられていない場合、キャップ部材11が配線部材7を介して接続部材9を押し返す下方向の力(本明細書において、このような力をキャップ部材11による反力又は単に反力と称する)が存在しない。そのため、
図3(b)、(c)に示すように、接続部材9を湾曲させることによる、接続部材9から配線部材7が離れようとする力(本明細書において、このような力を、配線部材7を湾曲させることによる応力又は単に応力と称し、湾曲した状態とは応力がかかった状態とする。)が、接続部材9と配線部材7との接着力(本明細書において、このような力を、単に接着力と称することがある)を容易に超えやすく、接続部材9の最外部Nにおいて接続部材9から離れる方向に力が加わって接続部材9と配線部材7との剥離が発生しやすい。
【0035】
しかしながら、
図4(a)に示すように、接続部材9と配線部材7との界面の端部に合わせるように、キャップ部材11を配線部材7の上面上に設けることで、接続部材9と配線部材7との剥離が発生しにくくなる効果が得られる。それについて
図4(a)〜(c)を用いて説明する。まず、
図4(a)に示すように、キャップ部材11を、配線部材7の上面上の、接続部材9に対応する位置に設ける。それにより、
図4(b)〜(c)に示すように、配線部材7を上述のように湾曲させたとしても、キャップ部材11の剛性による反力(
図4において反力はMにより示す)が働いているため、接続部材9と配線部材7との接合部の最外部(接続部材9と配線部材7との接合部のうち、配線部材7に接続された磁気センサ素子5又は基板13が用いられる場合は磁気センサ素子5が設けられた基板13から最も離れた部分)Nに掛かる応力(
図4において応力はPにより示す)が、キャップ部材11による反力Mと、接着部材と配線部材7との接着力(
図4において接着力はOにより示す)とを合わせた力を超えにくくなり、接続部材9と配線部材7との剥離が発生しにくくなる。この効果は力をかけた向きに反力Mが加わることが条件となるため、
図4(b)〜(c)のように上向きに力が加わった場合、接続部材9の端部とキャップ部材11の端部が同じ位置か、キャップ部材11の端部が接続部材9の端部の外側にあることが好ましい。その逆方向の力も考慮するならば、接続部材9の端部とキャップ部材11の端部とは同じ位置にあることが好ましい。また、センサ側の動きに対しても剥離しにくくなる効果を得るためには右側の端部だけでなく左側の端部も同じ位置にあることが好ましい。
【0036】
以上の考察に基いて、本発明者らは、接続部材9に対応する位置にキャップ部材11を設けることにより、接続部材9と配線部材7との剥離が減少するという知見を得、本発明を完成させるに至ったものである。
【0037】
したがって、本発明の実施の形態1に係るキャップ部材11は、配線部材7の上面上の、接続部材9に対応する位置に設けられている。ここで、「配線部材7の上面上の、接続部材9に対応する位置」とは、配線部材7の上面のうち、キャップ部材11及び配線部材7を上面視した場合にキャップ部材11の投影図が接続部材9の投影図の少なくとも一部と重なり合うような位置を意味するものとする。このように、キャップ部材11が、配線部材7の上面上の、接続部材9に対応する位置にあれば、上述のように配線部材7と接続部材9との剥離を抑制することができる。より好ましくは、キャップ部材11の投影図が、配線部材7と接続部材9との接合部分の最外部(すなわち、配線部材7を接続部材9と反対方向(すなわち、
図3において上方向)に湾曲させた場合に最も応力を受ける部分)Nを含むように当該部分Nと重なり合っていることである。このように、キャップ部材11の投影図と接続部材9の投影図とが、上述の最も応力を受ける部分Nを含むように重なっていることにより、当該応力を受けやすい部分にキャップ部材11の反力が働き、配線部材7と接続部材9との剥離を最も効率的に抑制することができる。但し、キャップ部材11の最外周部が支持部材3の最外端Rよりも外側にはみ出すと、配線部材7を引き回して組み付ける作業に支障が出るので避けるべきである。
【0038】
以下、本発明の実施の形態1に係るキャップ部材11の詳細について説明する。
【0039】
本発明の実施の形態1に係るキャップ部材11及び接続部材9は、接続部材9に対して反力を及ぼすことができるように配線部材7との接着面に十分な剛性を有していれば、如何なる材料または接続形態であってもよい。また、それぞれが同じ材質であっても異なる材質であっても良い。例えば、金属、合金、セラミックス、樹脂、ゴム等を少なくとも一つ以上使用することができる。金属や合金、セラミックスなどの固体についてはエポキシ樹脂等の接着剤や粘着テープなどを用いて接着したり、金属やセラミックスを混合した樹脂などを使用しても良い。樹脂を用いてキャップ部材11又は接続部材9を作製した場合、剛性を有する、即ち反力が大きく、さらに安価で、かつ任意の位置への形成が容易であるため好ましい。また、キャップ部材11及び接続部材9を樹脂で作製した場合、キャップ部材11を形成する工程と、接続部材9を形成する工程と、を同時に行えるため、効率よくキャップ部材11と接続部材9とを形成することができて好ましい。キャップ部材11及び接続部材9として用いることができる金属、合金、セラミックス、樹脂、ゴム等としては、現在公知となっている全てのものを使用することができる。樹脂については次の段落で詳細に説明するが、他の材料について例示すれば、金属(金属には合金も含まれる)としては、ステンレス鋼(SUS)、アルミニウム、リン青銅等が挙げられる。セラミックスとしては、アルミナ、二酸化ケイ素などのケイ素酸化物、AlTiCなどの混合焼結体等、それらを含む多結晶焼結体、および、ガラス状焼結体等が挙げられる。これらの材料は、特にキャップ部材11及び/又は接続部材9として用いた場合に反力が大きく好ましい。
【0040】
また、樹脂を用いてキャップ部材11及び接続部材9を作製した場合、安価で、かつ任意の位置への形成が容易であるため好適に用いられる。そのうえ、接続部材として適度な強度を有しつつ弾性変形する樹脂を用いた場合、当該樹脂からなる接続部材により配線部材にかかる張力を緩和できるため好ましい。また、キャップ部材11及び接続部材9をそれぞれ異なる材質により作製したり、異なる工程でこれらの部材を作製した後に組み付ける等の工程が必要ではなく、手間やコストを低減することができ、配線部材との接着面に十分な剛性を有するキャップ部材11及び接続部材9を容易に作製することができるため好ましい。樹脂としては、アクリレート樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂等を好適に使用することができ、中でも硬化後の剛性が高く、温度等による寸法変化も小さいため、エポキシ樹脂が好ましい。硬化方法としては熱硬化型や光硬化型などを使用できる。特に光硬化型であれば、硬化時間が短く、熱による粘度の低下や樹脂の流出などの影響を受けないため、上述したキャップ部材の高さや径などの寸法を保ちやすいため好ましい。さらに、硬化時間が短く、磁気センサ全体を短時間で作製することができるため、磁気センサの製造コストを抑えることができる。
【0041】
本発明の実施の形態1に係るキャップ部材11は、上述の剥離抑制効果がある限り如何なる高さを有していても良い。好適には、キャップ部材11の高さの下限値は、0.1mm以上であり、より好ましくは、0.15mm以上であり、さらに好ましくは0.20mm以上である。キャップ部材11の高さがこのような範囲にあれば、キャップ部材11は接続部材9に対して反力を与えることができる。また、キャップ部材11の高さの上限値は、特に限定されるものではないが、キャップ部材11の高さが大きすぎると無駄なスペースが増えるため、キャップ部材11の高さの上限値は、0.40mm以下、より好ましくは0.35mm以下、さらに好ましくは0.30mm以下である。ここで、キャップ部材11の高さとは、キャップ部材11の最大高さ、すなわち、キャップ部材11の高さが最大となる位置におけるキャップ部材11の高さを意味する。キャップ部材11の高さは、測長顕微鏡でキャップ部材11を側面から観測して、キャップ部材11の頂点部分から、キャップ部材11と配線部材7との界面までの距離を計測することにより算出する。
【0042】
本発明の実施の形態1に係るキャップ部材11は、上述の剥離抑制効果がある限り如何なる径を有していてもよい。ここで、キャップ部材11の径とは、キャップ部材11を上面視した場合の内接円の径を意味する。したがって、キャップ部材11を上面視した場合の形状が略円形状である場合は、キャップ部材11の径とは直径に相当する。また、キャップ部材11を上面視した場合の形状が矩形状(正方形状を含む)である場合は、矩形形状の辺と対向する辺の間の距離である。
【0043】
本発明の実施の形態1に係るキャップ部材11の直径と、接続部材9の直径(接続部材9の直径のうち、接続部材9と配線部材7とが接する部分における接続部材9の直径)との比率は、上述の剥離抑制効果がある限り如何なる値であってもよいが、好適には、当該比率は、3:1〜1:3であり、より好ましくは、2:1〜1:2であり、さらに好ましくは、1.5:1〜1:1.5である。このような範囲にあれば、接続部材9と配線部材7との剥離を良好に抑えることができる。しかしながら、キャップ部材11の直径が接続部材9の直径より大きすぎると、上述したように支持部材3の最外端Rよりはみ出してしまうことになりかねない。また、配線部材7が湾曲しにくくなり、キャップ部材11の高さが大きくなるため無駄なスペースが増えてしまう。また、キャップ部材11の直径が接続部材9の直径より小さすぎると、接続部材9と配線部材7との接合部分の最外部(すなわち、配線部材7を湾曲させた場合に最も大きな応力を受ける部分)において、キャップ部材11からの反力が働きにくくなると考えられ、配線部材7が接続部材9から剥離しやすい。センサ素子の動きに伴ってかかる力と、配線部材の組み立てなどの際にかかる力を考慮すると両側のキャップ部材及び接続部材の端面が一致するほうが好ましく、すなわち当該比率は、略1:1に近いほうが好ましい。
【0044】
硬化性樹脂を用いてキャップ部材11を作製する場合、好ましくは、硬化性樹脂は硬化する直前の液体の状態で35,000(mPa・s)以上の粘度を有し、より好ましくは、40,000(mPa・s)以上の粘度を有し、さらに好ましくは、45,000(mPa・s)以上の粘度を有する。硬化する直前に硬化性樹脂の液体の状態の粘度がこのような範囲にあれば、上述した十分な高さを有するようにキャップ部材11を形成しやすいため好ましい。一方、硬化する直前の硬化性樹脂の液体の状態の粘度の上限値は特に限定されるものではないが、液体で塗布する時の粘度が高すぎると、樹脂を塗布する装置のシリンジなどの塗布口からの吐出に時間がかかるなど、磁気センサ1の生産性が低下する。そのため、液体で塗布する時の硬化性樹脂の液体の状態の粘度は、好ましくは、60,000(mPa・s)以下、より好ましくは、55,000(mPa・s)以下、さらに好ましくは、53,000(mPa・s)以下である。ここで、硬化性樹脂には、紫外線硬化性樹脂等の光硬化性樹脂、熱硬化性樹脂などが含まれる。また、硬化性樹脂の粘度とは、硬化性樹脂が硬化される前の液体の樹脂の粘度を意味する。硬化する直前の液体の状態、および塗布する時の液体の状態の硬化性樹脂の粘度が上述の範囲にあれば、磁気センサ1の生産性、ひいては磁気エンコーダの生産性を向上させることができる。樹脂は温度によって粘度が変化するため、塗布時や硬化時に温度調整が可能な光硬化型の樹脂の方が好ましい。特に紫外線は可視光の中でエネルギーが高く、短時間で硬化が可能であり、十分な高さを保持して形成できるため好ましい。
【0045】
本発明の実施の形態1に係るキャップ部材11は、配線部材7の絶縁部と同じポリイミドなどの材料により、同じ工程において配線部材7と一体的に形成してもよいし、キャップ部材11及び配線部材7を別の工程で形成し、このように別の工程で形成されたキャップ部材11と配線部材7とを接着手段により接着してもよい。このようにキャップ部材11と配線部材7とを別体として作製することにより、精度良くキャップ部材11を接続部材9に対応する位置に配置することができる。このような接着手段としては、キャップ部材11と配線部材7とを適切な強度で接着させることができれば如何なるものを使用してもよく、例示すれば、樹脂接着剤、両面テープ等が挙げられる。
【0046】
本発明の実施の形態1に係るキャップ部材11は、如何なる形状を有していてもよい。例示すれば、
図2に示すような中心部が盛り上がった山状であってもよい。このような形状は例えば樹脂やゴムを単に滴下して硬化させれば容易に形成することができるため好ましい。また、他のキャップ部材11の形状としては、円柱状、多角形の角柱状、円錐状、多角形の角錐状等を挙げることができる。特に、キャップ部材11の、配線部材7との接触面が、円状または楕円などの丸みを帯びた曲線により形成されるような形状を有する場合(例えば、円柱状、円錐状)、角を起点とした割れが発生しにくく、キャップ部材11が破損しにくいと考えられるため好ましい。
【0047】
本発明の実施の形態1に係るキャップ部材11は、配線部材7の幅方向に拡がりながら、配線部材7の下側に設けられた接続部材9まで配線部材7を超えて延在し、当該接続部材9と結合している部分(以下、延在部分と称する。当該延在部分は図面には示していない。)を有していてもよい。また、接続部材9側を配線部材7を超えて延在しキャップ部材11と結合しても良い。これらにより、上述のキャップ部材11の反力による剥離抑制効果に加えて、当該延在部分により物理的に配線部材7と接続部材9とが強固に接続され、配線部材7と接続部材9との接合強度を向上させることができる。このような延在部分は、キャップ部材11の材料、及び/又は接続部材9の材料と同じ材料により構成されていてもよい。延在部分の材料とキャップ部材11の材料と接続部分の材料とが異なっていてもよい。しかしながら、延在部分を形成するための材料及び工数がかかるため、製造コストを考慮すると、延在部分を設けることなく、キャップ部材11と接続部材9のみで形成することが好ましい。
【0048】
以上、詳細に説明したように、キャップ部材11を、配線部材7の上面上の、接続部材9に対応する位置に設けることにより、配線部材7を上述のように湾曲させたとしても、キャップ部材11の反力が働くことにより、接続部材9と配線部材7との剥離を防止することができる。このため、信頼性が極めて高い磁気センサを提供することができ、このような磁気センサを磁気エンコーダに用いれば、剥離により配線部材7にかかった張力が支持部材3を変形させるなどして磁気センサ1と磁気スケールとの距離が変わって、磁気センサ素子の出力が変化することが無いため、磁気センサ1に対する磁気スケールの位置精度が良好な磁気エンコーダを提供することができる。
【0049】
2.支持部材
本発明の実施の形態1に係る支持部材3は、磁気センサ1を磁気スケール(以下磁気媒体と称することもある。後に説明するが、
図6に磁気スケール32を示す。)に相対的に摺動(すなわち、磁気センサ1を磁気スケールに対して摺動させてもよいし、磁気スケールを磁気センサ1に対して摺動させてもよい)させる際に、磁気センサ素子1と磁気スケール32の距離が変わらないように使用されるものである。例えば第1のレンズ鏡筒35に磁気スケール32を設置し、前記磁気スケール32に対して相対的に摺動するように、第2のレンズ鏡筒37に磁気センサ1が設置されている状況において、
図20に示すように、支持部材3は、磁気センサ素子5が取り付けられる磁気センサ素子取付部21と、支持部材3を第2のレンズ鏡筒に取り付けるための支持部材取付本体部23と、を有する。さらに、磁気センサ素子取付部21と支持部材取付本体部23とを弾性可能に接続する弾性部25を有していてもよい。弾性部25の作用により、支持部材3は、磁気センサ素子取付部21と支持部材取付本体部23との相対的位置が変化して、磁気センサ1と磁気スケールの距離を一定に保つように弾性変形する。
【0050】
ここで、
図5(a)は、本発明の実施の形態に係る磁気センサ1をカメラのレンズ鏡筒に取り付ける前の状態を示しており、
図5(b)は、磁気センサ1をレンズ鏡筒に取り付けた後の状態を示している。
図5(a)においては、磁気センサ素子5は磁気スケールにより押圧されておらず、変位していない。これに対して、
図5(b)においては、磁気センサ素子5は磁気スケール32により押圧され、上方に変位している。この状態において、配線部材7は、支持部材3を固定するための固定部材により隠れた部分において略S字状に撓んでいる。このように磁気センサ素子5が変位できるように、支持部材3は、磁気センサ素子取付部21の位置が支持部材取付本体部23の位置に対して相対的に変化するように弾性変形可能である。このような構成を有することにより、弾性部25の付勢力によって磁気センサ素子5を常に磁気スケール32に接触させることで、距離を一定に保つことができるため、磁気センサ素子5は磁気スケール32からの漏洩磁界を良好に検出することができる。
【0051】
弾性部25は、如何なる形状を有していてもよいが、例えば
図1(a)に示すように、支持部材取付本体部23から磁気センサ素子取付部21に向かって段階的に幅が狭くなり、弾性部が蛇行する形状であることが好ましい。弾性部25がこのような形状を有することにより、当該弾性部材25に接合された磁気センサ素子取付部21を介して磁気センサ1を磁気スケール32に押し付けながら磁気センサ1を磁気スケール32に対して摺動させるときに、磁気センサ1と磁気スケール32との距離を一定に保つことができる。これにより、出力が安定し、磁気センサで検出する位置の精度が高度となるため好ましい。弾性部25は、磁気スケール32が磁気センサ1に対して摺動する方向又は磁気センサ1が磁気スケール32に対して摺動する方向(以下、摺動方向と称することがある)、すなわち、磁気スケール32と磁気センサ1が相対的に移動する方向に、設けることが好ましい。支持部材取付本体部23の両端には、当該支持部材取付本体部23を固定するための穴27が設けられており、ねじ等で支持部材取付本体部23を例えば
図6の第2のレンズ鏡筒37等に固定することができる。
【0052】
本発明の実施の形態1に係る支持部材3は、如何なる材料により構成されていてもよいが、支持部材3は弾性部25を同一材質で構成する場合には、支持部材3の材料は、好適には、金属又は合金が好ましい。金属又は合金を用いた支持部材3は打ち抜きやエッチングなどにより形成され、さらにバネ形状に成形しても良い。ただし、成形によるコストを考慮すると、平面でバネの効果が得られるように形成するほうが好ましい。また、支持部材3に金属または合金を用いた場合、磁気センサ素子5の帯電を抑制することができるため好ましい。例えば、磁気センサ素子と支持部材3との間を導電性樹脂などで電気的に接続することにより、磁気センサ素子5において発生した電気を、貫通電極及び支持部材3を介して放電することができ、磁気センサ素子5の帯電による破壊を抑制することができる。
【0053】
3.磁気センサ素子及び基板
磁気センサ素子5は、例えば磁気スケール32からの磁気信号(例えば電圧と時間や変位量との関係は正弦曲線に近い波形の信号などとなる)を読み取るためのものである。実際の磁気信号は磁気センサ1の角度のズレや位置のズレなどにより、十分な強度を得られないことがある。そのため、複数の磁気抵抗効果膜を組み合わせることで、多少磁気センサ1がずれたりしても、信号強度のずれが小さくなるように磁気センサ1が構成されていることが好ましい。磁気センサ素子5としては、磁気スケール32からの磁気信号を読み取ることができれば如何なるものであってもよい。磁気センサ素子5としては、例えば特許第5365744号などに記載の、少なくとも1つの磁気抵抗効果素子を有する磁気センサなど、公知のものを使用することができる。
【0054】
また、本発明の実施の形態1に係る磁気センサ1は、さらに、基板13を有していてもよいが、基板13を必ずしも有している必要はない。例えば特許文献1の
図2などに記載のように、支持部材の形状に応じて、適宜設計できる。一例として、
図1に示すように、当該基板13は、支持部材3の磁気センサ素子取付部21上に設けられ、当該基板13上に磁気センサ素子5が設けられている。基板13は、好ましくは基板13の上面に、配線部を有する。磁気センサ素子5と基板13の配線部はワイヤーボンディングにより接続されている。また、配線部材7の配線と、基板13の配線部とが電気的に接続されている。これにより、磁気センサ素子5からの電気信号が基板13の配線部及び配線部材7を介して電気的に出力される。
【0055】
基板13は磁気センサ素子5から支持部材3まで導通する貫通電極を有することが好ましい。磁気センサ素子5は、磁気スケール上を摺動するため、帯電しやすい。このため、上記同様、支持部材3が導電性であり、さらに、基板13が磁気センサ素子5から支持部材3まで導通する貫通電極を有することにより、磁気センサ素子5の帯電による破壊を抑制することができる。
【0056】
磁気センサ素子5と基板13、基板13と支持部材3とは如何なる接着手段により固定してもよいが、導電性樹脂を用いて固定することが好ましい。磁気センサ素子5と基板13との固定、及び基板13と支持部材3との固定に導電性樹脂を用いれば、上述したように貫通電極を有する基板13を用いた場合に、磁気センサ素子5に帯電した電気を貫通電極、導電性樹脂、支持部材3を介して放電することができる。これにより、上記同様、磁気センサ素子5の帯電による破壊を抑制することができる。
【0057】
4.配線部材
本発明の実施の形態1に係る配線部材7は、上述した磁気センサ素子5と電気的に接続されることにより、磁気センサ素子5から磁気信号を受領するとともに、磁気センサ素子5に電力を供給するものでもある。配線部材7は、磁気センサ素子5から磁気信号を受領するためだけのものであってもよい。また、配線部材7は、磁気センサ素子5に電力を供給するためだけのものであってもよい。
【0058】
上述したように、支持部材3の磁気センサ素子取付部21上に基板13が設けられ、さらに基板13上に磁気センサ素子5が設けられ、磁気センサ素子5が電気的に基板13と接続されている。配線部材7が基板13の電極に接続されることにより、配線部材7は、磁気センサ素子5と電気的に接続されている。また、配線部材7が基板13に物理的に接続されることにより、配線部材7と磁気センサ1との固定が図られている。そのため、配線部材7の厚さは磁気センサ素子5の動きを阻害しない可撓性を有する厚さであれば良い。通常は20μm〜300μm程度の厚さである。
【0059】
さらに、上述したように、支持部材3と配線部材7とが接続部材9により接続されることにより、配線部材7と磁気センサ1とのさらなる固定が図られている。このように、少なくとも2点で配線部材7と磁気センサ1とが固定されている。
【0060】
配線部材7は、磁気センサ素子5から磁気信号を受領することができ、又は、磁気センサ素子5に電力を供給することができ、若しくはその両方が可能である限り、如何なるものを使用してもよいが、具体的には、それぞれ電気的に絶縁された複数の導線が、可撓性を有する配線板の内部若しくはその表面に設けられたフレキシブル配線板(FPC:Flexible Printed Circuits)を使用することが好ましい。また、配線部材7の断面はキャップ部材11を載置しやすいように平板状であることが望ましい。
【0061】
(2)磁気エンコーダ
つづいて、磁気エンコーダ31について説明する。本発明の実施の形態1に係る磁気エンコーダ31は、磁気スケール32と、磁気スケール32上を相対的に摺動可能な上述の磁気センサ1と、を備える。例えば、
図6に示すように、第1のレンズ鏡筒35に取り付けられたレンズ群と第2のレンズ鏡筒37に取り付けられたレンズ群が、レンズ鏡筒同士の相対的な回転に応じて前後に移動し、その移動量を検知するための磁気エンコーダ31として、磁気スケール32を第1のレンズ鏡筒35に取り付け、磁気センサ1を第2のレンズ鏡筒37に取り付け、磁気センサ1を磁気スケール32に対して相対的に摺動可能に配置したものを使用する。磁気スケール32は、磁気スケール32が磁気センサ1に対して摺動する方向、又は、磁気センサ1が磁気スケール32に対して摺動する方向(摺動方向)に沿って、例えば正反対の磁化方向を有する2種類の着磁領域が交互に配置されることにより構成されている。例えば、レンズ鏡筒30に磁気スケール32がレンズ鏡筒30の回転方向に沿って設けられ、レンズ鏡筒30を回転させることにより、磁気スケール32上を磁気センサ1が摺動し、磁気スケール32からの磁気変化を当該磁気センサ1で検出する磁気エンコーダ31をレンズ鏡筒30に用いることによりレンズ鏡筒30の回転角度を検出することができる。さらにレンズ鏡筒30を用いたカメラであれば検出された回転角度から焦点位置補正手段などに用いることができるため好ましい。
【0062】
本発明の実施の形態1に係る磁気エンコーダ31によれば、キャップ部材11が、配線部材7の上面上の、接続部材9に対応する位置に設けられているため、キャップ部材11の反力が配線部材7を介して接続部材9に働くことにより、接続部材9と配線部材7との剥離を抑制することができる。よって、位置精度が良好な磁気エンコーダを提供することができる。尚、レンズ鏡筒に形成したロータリーエンコーダの例を示したが、他には一方向の直線の移動量を検出するリニアエンコーダなどが挙げられる。中でもロータリーエンコーダであれば、押し付けられる荷重が回転体の一点に限られるため、摺動時に引っかかりにくくなり好ましい。
【0063】
また、本発明の実施の形態1に係る磁気センサ1の別の態様では、
図7に示すように、基板13を有せず、配線部材7の配線が磁気センサ素子5に直接接続されていてもよい。上記の
図1の態様では、配線部を有する基板13が含まれ、当該配線部を介して、磁気センサ素子5と配線部材7の配線とが電気的に接続されているのに対して、ここで説明する
図7の態様においては、配線部を有する基板13を有せず、配線部材7の配線が磁気センサ素子5に直接接続されている点で、
図7の態様は
図1の態様と異なる。
図7の態様においては、配線部を有する基板13を有しないため、磁気センサ素子取付部21の上に直接磁気センサ素子5が取り付けられ、磁気センサ素子5に、配線部材7が接続されている。磁気センサ素子取付部21は磁気センサ素子の厚さが小さい場合、磁気センサ取付部21を台座状に厚さを有する構造としても良い。上記同様、支持部材3と配線部材7とは接続部材9により接続され、キャップ部材11が、配線部材7の上面上の、接続部材9に対応する位置に設けられている。この
図7の態様においては、配線部を有する基板13が含まれず、磁気センサ素子取付部21の上に直接磁気センサ素子5が取り付けられていることにより、部品点数を減らせるためコストが抑えられる。さらに配線部を有する基板13として樹脂基板を使用していた場合、磁気センサ素子と樹脂基板の合計の厚み精度であったのに対して、磁気センサ素子の厚み精度のみとなるため、組み立てた後の支持部材に対する磁気センサ素子の位置精度がよくなる。
【0064】
また、本発明の実施の形態1に係る磁気センサ1のさらに別の態様では、
図8に示すように、基板13を有するが、基板13は配線部を有しなくてもよい。上記の
図1の態様では、基板13は配線部を有し、当該配線部を介して磁気センサ素子5と配線部材7の配線とが接続されているのに対して、
図8の態様では、磁気センサ1は基板13を有するものの基板13は配線部を有しないため、磁気センサ素子5と配線部材7の配線とはワイヤーボンディング40により直接接続されている点で、
図8の態様は、
図1の態様と異なる。
図8の態様においては、磁気センサ素子取付部21の上に基板13が取り付けられ、基板13の上に磁気センサ素子5が取り付けられている。基板13の上面であって磁気センサ素子5に近接する位置に配線部材7が取り付けられ、配線部材7の配線と磁気センサ素子5とがワイヤーボンディング40により接続されている。上記同様、支持部材3と配線部材7とは接続部材9により接続され、キャップ部材11が、配線部材7の上面上の、接続部材9に対応する位置に設けられている。この態様においては、基板13に配線部が含まれず、配線部材7と磁気センサ素子5とがワイヤーボンディング40により接続されていることにより、基板13として配線部を有する必要が無い。様々な材質を用いることができるため、安価な材質を用いても良いし、高精度に加工できる材質を用いることで組み立てた後の支持部材に対する磁気センサ素子の位置精度がよくなる。
【0065】
ここまで説明してきた支持部材3とは異なる支持部材3´として、
図9に示すように、磁気センサ素子取付部21が、支持部材取付本体部23に対して上方に変位して配置された支持部材3´を用いてもよい。このとき、磁気センサ素子取付部21と支持部材取付本体部23とを弾性的に接続する弾性部25は、当該磁気センサ1を磁気エンコーダとして磁気スケールと組み合わせたときに、磁気センサ素子取付部21に取り付けた磁気センサ素子5を磁気スケールに押し付ける力を付与している。磁気センサ素子取付部21が、支持部材取付本体部23に対して上方に変位して配置されていることにより、磁気センサ1を磁気スケールに対して摺動させた場合に、支持部材取付本体部23を磁気スケールに必要以上に接近させずとも弾性部25により押し付ける力が加わるため磁気センサ1と磁気スケールとの接触が良好となり、信頼性の高い磁気エンコーダを得ることができる。
【0066】
このような磁気センサ1を含む磁気エンコーダをレンズ鏡筒に取り付けた場合、
図10に示すように、磁気センサ素子5が磁気スケール32に押し付けられた状態となり、磁気センサ素子5は磁気スケール32からの漏洩磁界を良好に検出することができる。分解能を高めるために、一つあたりの磁化領域を小さくした場合に漏洩磁界が小さくなるため、分解能の高い磁気エンコーダにおいて特に有効である。
【0067】
本発明の実施の形態1に係る磁気センサ1を含む磁気エンコーダは上述のようにロータリーエンコーダとしてレンズ鏡筒に適用することができる(
図6参照)。本発明の実施の形態1に係る磁気センサ1においては、上述のように、キャップ部材11により配線部材7は接続部材9から剥離しにくい。配線部材7が接続部材9から剥離しやすい場合、配線部材7を急峻に湾曲させると配線部材7が接続部材9から剥離してしまうため、配線部材7を急峻に湾曲させることは難しい。しかしながら、上述のように配線部材7は接続部材9から剥離しにくいため、配線部材7を急峻に湾曲させることが可能である。このように急峻に配線部材7を湾曲させれば、デッドスペースを減らすことができ、省スペース化が可能となる。したがって、実施の形態1に係る磁気センサ1を含む磁気エンコーダを備えるレンズ鏡筒は、その中に含まれるデッドスペースを減らすことができ、コンパクト化が可能となる。また、このようなレンズ鏡筒を備えるカメラについても、デッドスペースを減らすことができるため、同様に、コンパクト化が可能である。
【0068】
(3)磁気センサの製造方法
以下、本発明の実施の形態1に係る磁気センサの製造方法について説明する。
図11を用いて工程毎に説明するが、各工程は、以下に記載された順番で行わなければならないというものではない。可能な範囲で工程を入れ替えてもよいことは理解されよう。
【0069】
I.磁気センサ素子の準備(工程(a))
例えばシリコン基板上に磁性膜パターンを形成し、配線パターンを形成する。その後、配線パターン上に保護膜を形成する。その後、このように磁性膜パターン等を形成したシリコン基板をダイシングして個片化して磁気センサ素子5を作製する。磁気センサ素子の大きさとしては、例えば0.6mm×3mmなどである。ダイシングされた磁気センサ素子5の接触面を面取りしてもよい。このようにして磁気センサ素子5を作製することにより準備する。
また、このような磁気センサ素子5を購入することにより準備してもよい。
【0070】
II.磁気センサ素子のマウント(工程(b))
複数の貫通電極が整列して形成された一枚の基板13を準備する。上述のようにして得られた複数の磁気センサ素子5を上記一枚の基板13上に整列させて配置する。この際、貫通電極と磁気センサ素子5は導通するように、且つ、磁気センサ素子5の方向が一致するように配置する。磁気センサ素子5を基板13上に固定する際、導電性樹脂(例えば、銀の粉末を含む樹脂など)を用いることが好ましい。上記したように、磁気センサ素子5の帯電を抑制することができるとともに、静電耐圧が向上する。
【0071】
III.ワイヤーボンディング(工程(c))
磁気センサ素子5に設けられた電極と基板13の電極との導通を図るため、これらの電極をワイヤーボンディングにより電気的に接続する。また、ワイヤーボンディングだけでなく、バンプ接続でも良い。
【0072】
IV.封止樹脂による封止及びダイシング(個片化)(工程(d))
上述のワイヤーボンディング部分を絶縁樹脂15により封止する。これにより、ワイヤー同士の不意の接触を抑制することができる。その後、一枚の基板13を少なくとも1つの磁気センサ素子5が含まれるようにダイシングして個片化する。基板の大きさとしては、例えば1.5mm×4.5mmなどである。
【0073】
V.個片化された基板の支持部材へのマウント(工程(e))
個片化された基板13を支持部材3の磁気センサ素子取付部21にマウントする。基板13を支持部材3の磁気センサ素子取付部21上に固定する際、上記同様、導電性樹脂を用いることが好ましい。上記したように、磁気センサ素子5の帯電を抑制することができるとともに、静電耐圧が向上する。
【0074】
VI.フレキシブル配線板の接合(工程(f))
フレキシブル配線板を基板13の電極と半田により接続する。その後、この接続部分に絶縁樹脂15を塗布して端子部を補強する。
【0075】
VII.接続部材の形成及びキャップ部材の形成
配線部材7と支持部材3との間に接続部材9を配置して配線部材7と支持部材3とを接続する。また、キャップ部材11を配線部材7の上面上の接続部材9に対応する領域に形成する。具体的には、
図12に示すように、支持部材3と配線部材7との間に、接続部材9の原料となる硬化前の例えば紫外線硬化性樹脂を配置し、さらに配線部材7の上面の、接続部材9の真上の領域に同じ硬化前の紫外線硬化性樹脂を配置する。そして、2つ以上の光(例えば紫外線)照射装置17により、キャップ部材11及び接続部材9となる原料に対して両側から光を照射する。照射される光の交差位置が接続部材9又はキャップ部材11となる部分内にあることが好ましい。照射の角度は、
図12に示すように斜め上方向から照射した場合に、配線部材7の裏側において反射や屈折により硬化が可能であるような角度であり、配線部材に遮られないように、放射される光が配線部材7の裏面に対して平行であってもよい。このように設定することにより光の未到達部分が減少し未硬化の樹脂を減少させることができる。
【0076】
以上、詳細に説明したように、本発明の実施の形態1に係る磁気センサの作製方法によれば、キャップ部材11を、配線部材7の上面上の、接続部材9に対応する位置に設けることができ、これにより、配線部材7を上述のように湾曲させたとしても、キャップ部材11の反力が働くことにより、接続部材9と配線部材7との剥離を抑制することができる。
【実施例】
【0077】
本発明の実施の形態に基づき磁気センサ、磁気エンコーダを作製した。このようにして作製された磁気センサ、磁気エンコーダについて様々な実験を行い、キャップ部材11を設けたことによる効果を確認した。
【0078】
(キャップ部材の高さと接合強度(ピール強度)との関係)
図13は、キャップ部材の高さHs(キャップ高さHs)と、配線部材7と接続部材9との間の接合強度(すなわちピール強度)との関係を示したグラフである。横軸をキャップ部材の高さHsとし、縦軸をピール強度としている。横軸のキャップ部材の高さHsの単位はミリメートル(mm)、ピール強度の単位はグラム重(gf)である。
【0079】
配線部材7として、ポリイミドで被覆されたフレキシブル配線板を用いた。また、支持部材3として銅板を用い、
図1に示すような支持部材3を作製した。支持部材3と配線部材7とを接続部材9で固定し、配線部材7の上面の接続部材9と対応する位置にキャップ部材11を形成した。接続部材9及びキャップ部材11としては紫外線硬化性エポキシ樹脂を用いた。
【0080】
図13に示すように、キャップ部材11の高さが0mm、すなわち、キャップ部材11が存在しない場合のピール強度は、34gf(333.2mN)、39gf(382.2mN)であった。しかしながら、キャップ部材11の高さが高くなるにしたがって、ピール強度は大きくなっていった。具体的には、キャップ部材11の高さが0.104mmである場合、ピール強度は71gf(695.8mN)であったのに対して、キャップ部材11の高さが0.20mmである場合、ピール強度は130gf(1274mN)、キャップ部材11の高さが0.303mmである場合、ピール強度は295gf(2891mN)であった。
【0081】
以上のことから、キャップ部材11を設けることにより、ピール強度が向上することが確認された。また、キャップ部材11の高さを大きくするにしたがってピール強度は極めて高くなることが確認できた。特に、キャップ部材11の高さが0.1mm以上であれば、ピール強度は少なくとも70gf(686mN)以上となり、キャップ部材11を用いない場合のピール強度34gf(333.2mN)の約2倍となった。
【0082】
(接続部材の高さと磁気センサ素子の追随性との関係)
図14は、接続部材9の高さHtと、磁気センサ素子5の磁気スケール32への追随性との関係を示したグラフである。横軸は接続部材9の高さHtであり、縦軸は磁気センサ素子5の磁気スケール32への追随性、すなわち、磁気センサ素子5が磁気スケール32に良好に接触しているか(良好に接触している場合をOKとする)、磁気センサ素子5と磁気スケール32との接触が良好でないか(良好に接触していない場合をNGとする)を示している。磁気センサ素子5が磁気スケール32に良好に接触している場合、磁気センサ素子5から磁気信号の出力が良好に読み取れる。一方、磁気センサ素子5が磁気スケール32との接触が良好でない場合、磁気センサ素子5からの磁気信号の出力が著しく低下し、磁気信号の出力が読み取れない。
【0083】
図14では、基板厚さが0.8mmである場合について接続部材9の高さHtと、磁気センサ素子5の磁気スケール32への追随性との関係を示している。
【0084】
図14に示すように、接続部材9の高さHtが0.71mm以下では、磁気センサ素子5が磁気スケール32に良好に接触しておらず、磁気センサ素子5からの磁気信号を読み取れない。一方、接続部材9の高さHtが0.72mm以上では、磁気センサ素子5が磁気スケール32に良好に接触し、磁気センサ素子5からの磁気信号を良好に読み取れる。
【0085】
したがって、接続部材9の高さHtは、0.72mm以上であることが好ましい。ここで、基板13自体、約±0.05mm程度のばらつきを有するため、接続部材9の高さHtは約0.67mm以上であることが好ましい。接続部材9の高さHtを基板厚さ0.8mmで除して規格化すると、接続部材9の高さは、基板13の厚さに対して、0.85倍以上となる。
一方、省スペース化を図るためには、接続部材9の高さは基板13の厚さに対して、1.15倍以下であることが好ましい。
以上のことから、接続部材9の高さ/基板13の厚さは、0.85〜1.15であることが好ましいことが分かった。
さらに配線部を有しない基板であって、より厚さ精度の良い材質を使用することで、上述した基板13の厚さのばらつきが小さくなるため、より厚さ精度の良い材質からなる、配線部を有しない基板を使用することが好ましい。接続部材9の高さも基板13の厚さに対して0.9倍以上がより好ましく、さらに0.95倍以上が好ましい。また、別の態様では、基板13が配線部を有するか否かに拘わらず、接続部材9の高さ/基板13の厚さは、上記と同様、0.85〜1.15であることが好ましい。
【0086】
(B−A寸法と最大押込み量との関係)
図15(a)は、B−A寸法を説明するための図面であり、
図15(b)は、B−A寸法と最大押込み量との関係を示したグラフである。最大押込み量とは、磁気センサ素子5が磁気スケール32に良好に接触した状態の最大の押込み量である。
図15(b)において、横軸をB−A寸法とし、縦軸を最大押込み量とする。B−A寸法の単位は、ミリメートル(mm)であり、最大押込み量の単位はマイクロメートル(μm)である。
【0087】
図15(a)において、B−A寸法は、接続部材9と封止樹脂15との最短距離を示している。すなわち、B−A寸法は、配線部材7がキャップ部材11、支持部材3、封止樹脂15により被覆されておらず自由に湾曲可能な部分(可動部分)の長さに相当する。
【0088】
図15(b)に示すように、B−A寸法が増加するにしたがって最大押込み量は増加した。特に、磁気エンコーダをレンズ鏡筒において使用する場合、最大押込み量は少なくとも500μm以上であることが要求される。したがって、最大押込み量を500μm以上とするためにはB−A寸法を2.5mm以上とする必要があることが分かった。
【0089】
(樹脂粘度とキャップ部材の高さとの関係)
図16は、樹脂粘度と高さHsとの関係を示したグラフである。横軸を樹脂粘度とし、縦軸を高さとする。樹脂粘度の単位はミリパスカル秒(mPa・s)であり、高さの単位はミリメートル(mm)である。
【0090】
樹脂粘度が上昇するにしたがって、高さが上昇することが分かった。特に、樹脂が35,000(mPa・s)以上の粘度を有する場合、配線部材の幅を超えない径の範囲で、高さを0.20mm以上とすることができるため、樹脂の粘度は35,000(mPa・s)以上であることが好ましいことが分かった。ここで、樹脂の粘度とは、樹脂の硬化前の粘度を意味する。
【0091】
(放射強度又は積算放射量と接着強度との関係)
図17(a)は、放射強度と接着強度との関係を示したグラフである。横軸を放射強度とし、縦軸を接着強度とする。放射強度の単位は、ミリワット/平方センチメートル(mW/cm
2)であり、接着強度の単位はグラム重(gf)である。
【0092】
また、
図17(b)は、放射強度を積算放射量に換算したものであり、積算放射量と接着強度との関係を示したグラフである。横軸を積算放射量とし、縦軸を接着強度とする。積算放射量の単位は、ミリジュール/平方センチメートル(mJ/cm
2)であり、接着強度の単位はグラム重(gf)である。
樹脂としては、上記同様、紫外線硬化性エポキシ樹脂を用いた。
【0093】
図17(a)に示すように、放射強度1000mW/cm
2までは放射強度が上昇するにしたがって接着強度は上昇し(約235gf(2303mN)まで上昇する)、放射強度1000mW/cm
2を超えると放射強度が上昇するにしたがって接着強度は下降した。また、
図17(b)に示すように、積算放射量3000mJ/cm
2までは積算放射量が上昇するにしたがって接着強度は上昇し(約235gf(2303mN)まで上昇する)、積算放射量が上昇するにしたがって接着強度は下降した。
【0094】
図17(a)より、この紫外線硬化性エポキシ樹脂において、十分な強度(150〜170gf(1470〜1666mN))を得るためには、500mW/cm
2以上の放射強度が必要であることが分かった。また、
図17(b)より、1500mJ/cm
2以上の積算放射量が必要であることが分かった。
【0095】
(照射時間と接着強度との関係)
図18は、照射時間と接着強度との関係を示したグラフである。横軸を照射時間とし、縦軸を接着強度とする。照射時間の単位は秒(s)であり、接着強度の単位はグラム重(gf)である。照射時間が0〜3秒の領域においては、接着強度は照射時間が長くなるにしたがって上昇する(144gf(1411.2mN)から226gf(2214.8mN)まで上昇)。そして、照射時間が3〜15秒の領域では、接着強度は略一定であり220gf(2156mN)〜250gf(2450mN)の範囲に含まれる。照射時間が15〜20秒の領域では、接着強度は照射時間が長くなるにしたがって下降する(224gf(2195.2mN)から60gf(588mN)まで下降)。
【0096】
したがって、
図18より、高い接着強度(220gf(2156mN)〜250gf(2450mN))を確保するためには照射時間が3〜15秒が好ましいことが分かった。
【0097】
(印加電圧と抵抗変化率との関係)
図19は、印加電圧と抵抗変化率との関係を示したグラフである。横軸を印加電圧とし、縦軸を抵抗変化率とする。印加電圧の単位は、キロボルト(kV)であり、抵抗変化率の単位は、パーセント(%)である。
【0098】
図19に示すように、○は本発明について示しており、●は従来の製品について示している。具体的には、本発明として、支持部材の磁気センサ素子取付部に貫通電極を有する基板を介して導電性樹脂を用いて磁気センサ素子を固定した磁気センサと、従来の製品として、支持部材の磁気センサ素子取付部に貫通電極を有しない基板を介して絶縁性樹脂を用いて磁気センサ素子を固定した磁気センサとを比較した。従来の製品については印加電圧が0.6kVを超えると抵抗変化率が低下する。一方、本発明については印加電圧が0.9kVまでは抵抗変化率は低下せず一定(約12.3%)に保たれている。したがって、本発明では高い印加電圧耐性を有することが分かった。
【0099】
(キャップ部材の材質について)
キャップ部材としてSUS304を使用し、板状の部材から円形状に切り抜き、接続部材の投影面上に合わせて、樹脂で接着したところ上述した実施例と同様の効果が得られた。