特許第6439813号(P6439813)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ マツダ株式会社の特許一覧
<>
  • 特許6439813-車両用灯具 図000002
  • 特許6439813-車両用灯具 図000003
  • 特許6439813-車両用灯具 図000004
  • 特許6439813-車両用灯具 図000005
  • 特許6439813-車両用灯具 図000006
  • 特許6439813-車両用灯具 図000007
  • 特許6439813-車両用灯具 図000008
  • 特許6439813-車両用灯具 図000009
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6439813
(24)【登録日】2018年11月30日
(45)【発行日】2018年12月19日
(54)【発明の名称】車両用灯具
(51)【国際特許分類】
   F21S 41/143 20180101AFI20181210BHJP
   F21S 45/43 20180101ALI20181210BHJP
   F21V 29/503 20150101ALI20181210BHJP
   F21V 29/60 20150101ALI20181210BHJP
   F21V 29/74 20150101ALI20181210BHJP
   F21V 29/71 20150101ALI20181210BHJP
   F21W 102/30 20180101ALN20181210BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20181210BHJP
【FI】
   F21S41/143
   F21S45/43
   F21V29/503
   F21V29/60
   F21V29/74
   F21V29/71
   F21W102:30
   F21Y115:10
【請求項の数】4
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2017-32917(P2017-32917)
(22)【出願日】2017年2月24日
(65)【公開番号】特開2018-137202(P2018-137202A)
(43)【公開日】2018年8月30日
【審査請求日】2018年3月23日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000003137
【氏名又は名称】マツダ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121603
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 元昭
(74)【代理人】
【識別番号】100141656
【弁理士】
【氏名又は名称】大田 英司
(74)【代理人】
【識別番号】100182888
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100196357
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 吉章
(74)【代理人】
【識別番号】100067747
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 良昭
(72)【発明者】
【氏名】中矢 喜昭
【審査官】 河村 勝也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−187081(JP,A)
【文献】 特開2006−080044(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/085024(WO,A1)
【文献】 韓国公開特許第10−2015−0106688(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 41/00
F21S 45/00
F21V 29/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と、該光源に熱的に接続されるヒートシンクと、送風装置とを備えた車両用灯具において、
上記ヒートシンクは、
上記光源に対して、該光源の前方へ延びる光軸に交差する交差方向の外側へ延びる基部と、
該基部の上記交差方向の外側に設けられ、上記送風装置の送風によって放熱される放熱部とを有し、
上記放熱部は、上記光源よりも前方に延設する前方延設部を少なくとも備え
上記基部の背面に熱的に接続され、上記ヒートシンクよりも熱伝導率が高い熱拡散部材が設けられ、
上記放熱部の上記交差方向の外側部位は、該交差方向の内側部位よりも表面積が大きく形成された表面積拡大部が設けられ、上記放熱部の上記交差方向の内側部位には前後方向に延びる上記熱拡散部材を備えた
車両用灯具。
【請求項2】
光源と、該光源に熱的に接続されるヒートシンクと、送風装置とを備えた車両用灯具において、
上記ヒートシンクは、
上記光源に対して、該光源の前方へ延びる光軸に交差する交差方向の外側へ延びる基部と、
該基部の上記交差方向の外側に設けられ、上記送風装置の送風によって放熱される放熱部とを有し、
上記放熱部は、上記光源よりも前方に延設する前方延設部を少なくとも備え
上記基部の背面に熱的に接続され、上記ヒートシンクよりも熱伝導率が高い熱拡散部材が設けられ、
上記熱拡散部材は板状に形成され、その板面方向よりも板厚方向の熱伝導率が低い異方性を有し、上記熱拡散部材の背方に、上記ヒートシンクと上記送風装置とのうち少なくとも一方を灯具本体部材に取り付ける熱可塑性を有する取付部材が設けられた
車両用灯具。
【請求項3】
上記熱拡散部材は、上記基部の背面の上記交差方向において上記光源の側から上記放熱部と熱的に接するように上記交差方向に延設された
請求項1又は2に記載の車両用灯具。
【請求項4】
上記放熱部は、その周方向に設けられた放熱部本体と、該放熱部本体から上記交差方向の外方に起立して前後方向に延びるとともに周方向に配設された複数の放熱フィンとで構成され、
上記基部の板厚は、上記放熱フィンの板厚の2倍以下である
請求項1乃至のいずれか1項に記載の車両用灯具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、光源と、該光源に熱的に接続されるヒートシンクと、送風装置とを備えた車両用灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の車両用灯具としては、特許文献1に例示されるように、光源の背方にヒートシンクが配設され、さらにそのヒートシンクの背方に送風装置が配設された構成のものがよく知られており、このような車両用灯具は、光源から熱が伝導されたヒートシンクに向けて送風装置から送風することが行われるが、ヒートシンクの放熱性を高めるうえではヒートシンクに放熱フィン等を設ける等してその表面積を出来るだけ大きくする方が好ましい。
【0003】
しかし、上記構成においてヒートシンクの放熱性を高めるためにその表面積を拡大すると、光源の背方においてヒートシンクが大型化するとともに重量化するため、ヒートシンクの表面積を単純に拡大するだけではヒートシンクの放熱性を高めるうえで限界があった。一方で、車両用灯具をコンパクト化、軽量化するためにヒートシンクの表面積を縮小すると、所望の放熱性が得ることが困難となることから車両用灯具のコンパクト化、軽量化を図るうえで限界があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−254099号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこでこの発明はヒートシンクの表面積を増やして放熱性を高めつつ、車両用灯具全体をコンパクト化することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、光源と、該光源に熱的に接続されるヒートシンクと、送風装置とを備えた車両用灯具において、上記ヒートシンクは、上記光源に対して、該光源の前方へ延びる光軸に交差する交差方向の外側へ延びる基部と、該基部の上記交差方向の外側に設けられ、上記送風装置の送風によって放熱される放熱部とを有し、上記放熱部は、上記光源よりも前方に延設する前方延設部を少なくとも備え、上記基部の背面に熱的に接続され、上記ヒートシンクよりも熱伝導率が高い熱拡散部材が設けられ、上記放熱部の上記交差方向の外側部位は、該交差方向の内側部位よりも表面積が大きく形成された表面積拡大部が設けられ、上記放熱部の上記交差方向の内側部位には前後方向に延びる上記熱拡散部材を備えたものである。
【0007】
上記構成によれば、放熱部を光源よりも後方へさらに延設せずとも放熱部の表面積を増やすことができるため、放熱部の放熱性を高めつつ、車両用灯具の前後長の短縮化により車両用灯具全体のコンパクト化、軽量化に寄与することができる。
【0008】
ここで、上記前方とは光源の照射方向を示すとともに、上記背方とは照射方向と反対方向を示し、前後方向は光源の光軸と平行な方向を示す。
【0009】
さらに上記構成によれば、基部と放熱部との板厚差が大きいと製造時に空気層が形成されてヒートシンクの熱効率が低下する虞があるが、基部の背面に熱拡散部材を設けることで、基部自体の放熱性、熱伝達性を確保しつつその板厚を抑制することができるため、ヒートシンクの板厚差を抑制して効率的な放熱と生産性とを両立することができる。さらに、基部の板厚増加を抑制することでヒートシンクの重量化も防ぐことができる。
【0010】
上記熱拡散部材としては例えば、銅又は銅合金、グラファイトシートを採用することができる。
【0011】
さらにまた上述したように、上記放熱部の上記交差方向の外側部位は、該交差方向の内側部位よりも表面積が大きく形成された表面積拡大部が設けられ、上記放熱部の上記交差方向の内側部位には前後方向に延びる上記熱拡散部材を備えたものであるため、上記放熱部の内側部位に前後方向に延びる上記熱拡散部材を備えることで該放熱部の内側部位における前後方向における熱伝導性を高めることができる。
またこの発明は、光源と、該光源に熱的に接続されるヒートシンクと、送風装置とを備えた車両用灯具において、上記ヒートシンクは、上記光源に対して、該光源の前方へ延びる光軸に交差する交差方向の外側へ延びる基部と、該基部の上記交差方向の外側に設けられ、上記送風装置の送風によって放熱される放熱部とを有し、上記放熱部は、上記光源よりも前方に延設する前方延設部を少なくとも備え、上記基部の背面に熱的に接続され、上記ヒートシンクよりも熱伝導率が高い熱拡散部材が設けられ、上記熱拡散部材は板状に形成され、その板面方向よりも板厚方向の熱伝導率が低い異方性を有し、上記熱拡散部材の背方に、上記ヒートシンクと上記送風装置とのうち少なくとも一方を灯具本体部材に取り付ける熱可塑性を有する取付部材が設けられたものである。
【0012】
上記構成によれば、取付部材は、熱可塑性を有しているため熱変形の影響が懸念されるが、前後方向の熱伝導率が低い異方性を有する上記熱拡散部材の背面に設けることにより、熱変形することなくヒートシンクや送風装置をしっかりと灯具本体部材に取り付けることができる。
【0013】
またこの発明の態様として、上記熱拡散部材は、上記基部の背面の上記交差方向において上記光源の側から上記放熱部と熱的に接するように上記交差方向に延設されたものである。
【0014】
上記構成によれば、熱拡散部材に伝導された熱は、放熱部へと効率的に伝達されるため、熱拡散部材を設けたことによる光源の冷却性能を高めることができる。
【0015】
またこの発明の態様として、上記放熱部は、その周方向に設けられた放熱部本体と、該放熱部本体から上記交差方向の外方に起立して前後方向に延びるとともに周方向に配設された複数の放熱フィンとで構成され、上記基部の板厚は、上記放熱フィンの板厚の2倍以下としたものである。
【0016】
上記構成によれば、上記基部の板厚が上記放熱フィンの板厚に対して2倍以下になるように抑えることができるため、上記基部と上記放熱フィンとの板厚差を極力減らして製造時に放熱部に空気層が形成されることを防いで放熱部の優れた熱効率を確保することができる。
【0017】
なお、上記の表面積拡大部は、上記放熱フィンで形成する、放熱フィン以外の表面積を拡大するもので形成する、或いはその双方で形成してもよい。
【発明の効果】
【0018】
この発明によれば、ヒートシンクの表面積を増やして放熱性を高めつつ、車両用灯具全体をコンパクト化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本実施形態の車両用灯具の縦断面図。
図2】本実施形態の車両用灯具の要部の斜視図。
図3】本実施形態の車両用灯具の要部を示す斜視断面図。
図4】本実施形態の車両用灯具の要部の正面図。
図5図4中のC−C線断面図。
図6】送風装置の要部を示す外観図(a)、図2中のA−A線拡大断面図(b)。
図7】本実施形態におけるヒートシンクを流れる風を可視化した解析図。
図8】LED、基板裏面、ヒートシンクの夫々における風速に応じた温度変化を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面に基づいて本発明の実施形態を詳述する。
図1は本実施形態の車両用灯具の車幅方向の中央部における一部縦断面図であって、図4中のB−B線矢視に対応する本実施形態の車両用灯具の断面図、図2は本実施形態の車両用灯具の要部の斜視図、図3は本実施形態の車両用灯具の車幅方向の中央部縦断面における斜視断面図であって、図4中のB−B線矢視における斜視断面図、図4は本実施形態の車両用灯具の要部の正面図、図5図4中のC−C線断面図、図6(a)は送風装置の要部を示す外観図、図6(b)は図2中のA−A線拡大断面図である。
【0021】
本実施形態に係る車両用灯具1,1は、車両の前部左右に配置されるフォグランプとして使用されるものであって、その基本構成は左右で同じであるため、以下、一方の車両用灯具1についてのみ説明する。図中、矢印Fは車両前方を示し、矢印Wは車幅方向を示し、矢印Uは車両上方を示すものとする。なお、本実施形態においては、車両用灯具1に備えた光源としてのLEDの照射方向と車両の前方とが一致するものとする。
【0022】
本実施の形態に係る車両用灯具1は、前方に向けて開口された不図示の凹状のランプハウジングと、図1に示すように、その前面開口部を覆う透明なアウタレンズ2とを備え、該ランプハウジングとアウタレンズ2によって画成された内部空間が灯室3として形成されている。
【0023】
灯室3には図1に示すように、ランプユニット4が配設されている。図2図3に示すように、ランプユニット4は、光源としてのLED5と、該LED5を実装する平板状の銅製の基板6と、LED5に熱的に接続されるヒートシンク10と、送風部としての送風開口27(図2参照)が設けられた送風装置20とを備えている。
【0024】
基板6は、前後方向に直交するように(すなわちアウタレンズ2と対向するように)配置され、図4に示すように、該基板6の前面6fの正面視(すなわちアウタレンズ2側から見て)中央部には、照射範囲を広げるために複数のLED5を備えており、いずれも前方を向くように(すなわちLED5の光軸Xが前後方向と一致するように)取り付けられている。
【0025】
複数のLED5は、車幅方向に延びる列状に配設されており、これらLED5によって光源配列部30(30u,30d)が構成されている。LED5の個数や配置は、車両用灯具1として要求される輝度等に応じて適宜設定されており、当例では基板6の前面に2つの光源配列部30が、上下各側に互いに平行に実装されている。これら2つの光源配列部30によってLEDモジュール31が形成されており、これらのうち上側の光源配列部30uには9個のLED5が、下側の光源配列部30dには12個のLED5が夫々所定の配列パターンで配設されている。
【0026】
ヒートシンク10はアルミ又はアルミ合金で形成され、LEDモジュール31の背方に配設されるとともに、LEDモジュール31に対して径方向外側へ延びる基部11と、該基部11の径方向(すなわち光軸Xに交差する方向)の外側部位に備えた放熱部12とで一体に構成されている。上記の基板6は、熱伝導性を有する接着剤として例えば、Si系伝導グリス8(図3参照)によって基部11の前面に貼り着ける等によって基部11に取り付けられている。これにより基部11は、基板6との間で熱交換してLED5の熱を放熱するとともに放熱部12に熱伝導する。
【0027】
送風装置20は基部11よりも背方に設けられ、送風開口27は、放熱部12よりも背方に備えている。
【0028】
放熱部12は、基部11の少なくともLEDモジュール31よりも径方向外側部位に、ヒートシンク10の下部を除く全周に渡って備えている。
【0029】
放熱部12は、略前後方向に延びる円筒状の下部が、下方向に向けて開口した正面視で略C字形状に形成されている(図4参照)。放熱部12の下方に向けて開口した下方開口部7は、該放熱部12の前後方向の全長に渡って形成されている。さらに、下方開口部7の周縁部のうち、放熱部12の周方向の両縁部7a,7bに相当する部位は、下方へ向けて突出形成している。すなわち、放熱部12の周方向の一方の縁部には、下方へ突出する一方の開口縁部7aが形成されるとともに、他方の縁部には、他方の開口縁部7bが形成されている(同図参照)。
【0030】
図1図2に示すように、放熱部12は、基部11に対して前方へアウタレンズ2の手前まで延設された前方延設部13と、後方に延設された後方延設部14とを備えている。前方延設部13は、その前端12tがLED5よりも前方に位置するように延設されている。これにより前方延設部13は、基板6(LEDモジュール31)を、下部を除いて周方向において取り囲むように配設されている。
【0031】
後方延設部14は、前方延設部13よりも長い前後長で延設されている。そして、後方延設部14及び基部11によって、後方延設部14の径方向内側、かつ基部11の背方には、後方及び下方へ向けて開口するヒートシンク内部空間10Aが構成されている。
【0032】
放熱部12について換言すると、図2図5に示すように、該放熱部12は、その径方向内側に位置する放熱部本体15と、該放熱部本体15から径方向外方に起立する複数の放熱フィン16とで一体に構成されている。
【0033】
放熱部本体15は、放熱部12の周方向において同じ肉厚(板厚)を有して連続して形成されている(図5参照)。放熱部本体15は、放熱部12の前後方向における、前方延設部13の後部、基部11及び後方延設部14に相当する部位に前後方向に連続して形成されている。
【0034】
放熱フィン16は、放熱部本体15の外周面において前後方向に直線状に連続して延びるとともに周方向に等ピッチで配設されている。
【0035】
さらに図1図3に示すように、放熱フィン16は、前方延設部13の前後方向における、後部に備えた放熱部本体15に相当する部位だけでなく、該放熱部本体15に相当する部位から前方延設部13の前端12tまで前方へ延設されている。すなわち、放熱フィン16は、放熱部12の前後方向の全長に渡って同じ板厚(t16)で連続して形成されている。
【0036】
これにより、前方延設部13の放熱部本体15よりも前方の放熱フィン16,16間は、放熱部本体15を有していないため、径方向に連通している(図3図5参照)。
なお、前方延設部13に設けた放熱フィン16は、前方に向けて先細りになるようにその径方向の肉厚を徐々に薄く形成されている。
【0037】
図5に示すように、後方延設部14に設けた放熱フィン16は、基部11の厚さ(板厚)(t11)よりも長い突出長さ(径方向長さ)(h16)で設けられている。また図4図5に示すように、基部11は、放熱部本体15と放熱フィン16との夫々よりも肉厚に形成されているが(t11>t15,t16)、基部11の厚さ(t11)は、放熱部本体15と放熱フィン16との各板厚(t15,t16)に対して共に2倍以下に留めて設けられている。
【0038】
放熱部12は、送風開口27から送風された空気に放熱しつつ少なくとも放熱フィン16,16の前端12tまで指向するように前後方向に延びている。
【0039】
すなわち図2図5に示すように、放熱部12の周方向における隣接する放熱フィン16,16間には、その前端12tから後端に渡って前後方向に直線状に延びる導風路17が構成されている。この導風路17は、後述する送風開口27から噴流する風(空気)を前方のアウタレンズ2側へ指向するように、隣接する放熱フィン16によって両側壁部が形成された流路である。
【0040】
導風路17は、放熱部12の前後方向における放熱部本体15を有する部位には、周方向において隣接する放熱フィン16,16と、これらの間に位置する放熱部本体15の径外面15aとで、前後方向の直交方向視で放熱フィン16の先端に対して径方向内側に凹んだ凹状に形成されている。
【0041】
これにより、送風開口27から送風された空気は、図5図7の空気wの流のように、放熱フィン16によってガイドしながら導風路17に沿って少なくとも放熱フィン16,16の前端12tまで指向し、ヒートシンク10の放熱を促進する。
【0042】
図1図2図5に示すように、送風装置20は、ヒートシンク内部空間10Aの後方開口から該ヒートシンク内部空間10Aに嵌め込まれた状態でヒートシンク10に装着されており、図5に示すように、ピエゾファンユニット21と、該ピエゾファンユニット21が収容される筐体22とで構成されている。
【0043】
筐体22は、ハウジング23とバックカバー24とで構成され、ハウジング23は、ヒートシンク内部空間10Aに嵌め込まれるとともに、前面23fが閉塞され、後方が開口する内部空間23Aを有する有底円筒状に形成されている。
【0044】
バックカバー24は、後面24rが閉塞され、前方が開口する内部空間24Aを有するハウジング23よりも底浅の有底円筒状に形成されている。バックカバー24の前面24fの中央部には開口部が形成されている。ハウジング23の内部空間23Aとバックカバー24の内部空間24Aは、前後方向に互いに連通し、筐体22の内部空間22Aを構成している。
【0045】
バックカバー24の外周部には、ヒートシンク10の後端面10rに後方から係合可能にハウジング23の外径よりも周方向全体が径方向外側へ突出形成したフランジ部25が設けられている。
【0046】
フランジ部25の円環状の前面25aは、図5図6(a)に示すように、バックカバー24の前面24fにおける中央部に設けられた開口部に対して径方向側部位によって形成され、筐体22の内部空間22Aと筐体22の外部とを連通するように後方へ向けて開口した複数の送風開口27が周方向に配設されている。これら複数の送風開口27は、図2図4図5に示すように、放熱部12の周方向における導風路17に対応する部位(すなわち、隣接する放熱フィン16,16間に相当する部位)に設けられており、筐体22内部に配設したピエゾファンユニット21から送風された空気を送風開口27から噴流させる構成としている。
【0047】
さらに図6(a)、(b)に示すように、バックカバー24のフランジ部25の周方向における所定部位には、ボルト挿通孔25cが形成されるとともに、ヒートシンク10の後端面10rの周方向における、ボルト挿通孔25cに対応する部位にも、ボルト挿通孔10cが形成されており、送風装置20は、フランジ部25をヒートシンク10の後端面10rに係合した状態でボルトB1等を用いて取付けられる。
【0048】
ピエゾファンユニット21は、ピエゾの逆電圧効果を利用して風を発生させる公知のファンであり、図示省略するがピエゾ(圧電素子)と、該ピエゾに対して片持ち状に連接されたブレード状の送風板と、ピエゾに対して交流電圧を印加することで、送風板を励振させ、該送風板の先端(自由端)を板厚方向に振動させる交流電圧印加手段とを備えたものである。本実施形態において、ピエゾファンユニット21は、送風板の振動によって後方に向けて風を発生するように筐体22の内部空間22Aに設置されている。
【0049】
これにより送風装置20は、筐体22内部において、ピエゾファンユニット21から送風された空気が一旦、バックカバー24の後面24rに当たってから径方向外側(フランジ部25の側)へ回り込むようにして流れ、送風開口27から噴流する構成としている。
【0050】
上述したランプユニット4には、図1に示すように、ヒートシンク内部空間10Aを構成する内周面に、該ヒートシンクよりも熱伝導率が高い熱拡散部材60が設けられている。熱拡散部材60は、基部11側に備えた板状の基部側熱拡散部材61と、放熱部12側に備えた後面視下方へ開口したC字状の放熱部側熱拡散部材62とを備えている。
【0051】
基部側熱拡散部材61は、基部11の背面の略全体に、耐熱性及び熱伝導性を有する不図示の伝導グリス等の接着剤で接着することによって該基部11と熱的に接続されている。
【0052】
基部側熱拡散部材61は、基部11の正面視中心部から基部11の背面に沿って径外側へ延設され、放熱部側熱拡散部材62の前端に接続されている。これにより、基部側熱拡散部材61は、放熱部12と熱的に接するように延設されている。基部側熱拡散部材61は、径方向(板面方向)よりも前後方向(板厚方向)の熱伝導率が低い異方性を有するグラファイトシートで形成されている。
【0053】
放熱部側熱拡散部材62は、放熱部12の後方延設部14における放熱部本体15の内周面の略全体に、基部側熱拡散部材61と同様に耐熱性及び熱伝導性を有する接着剤等で接着することによって該放熱部12と熱的に接続されている。これにより、放熱部側熱拡散部材62は、放熱部本体15の内周面における、後方延設部14の前端から後端に渡って前後方向に延設されている。放熱部側熱拡散部材62は、前後方向(板面方向)よりも径方向(板厚方向)の熱伝導率が低い異方性を有するグラファイトシートで形成されている。
【0054】
上述したランプユニット4は、部品連結部材としてのインナーブラケット40を介してランプユニットベース部100(図1参照)に設置した状態でボルト等により取付けられている。このランプユニットベース部100は、ランプハウジング23の底部に設けられ、不図示の灯具本体部材に備えた部材である。
【0055】
なお、図1中の符号51は、バッテリ等の電源からLED5に電流供給する電源コード及び点消灯制御する制御回路の制御信号を送信する制御コード等であり、符号52は、バッテリ等の電源から送風装置20に電流供給する電源コード及びピエゾファンユニット21を制御する制御回路の制御信号を送信する制御コード等である。
【0056】
インナーブラケット40は、図1図5図3においては図示省略)に示すように、ヒートシンク内部空間10Aを取り囲むように後方へ向けて開口するように凹設形成されている。具体的には、ヒートシンク内部空間10Aの前面部に相当する部位に配設された板状のブラケット前壁部41と、ヒートシンク内部空間10Aの下部を除く周面に配設されたブラケット周壁部42と、下方開口部7を覆うように配設された板状のブラケットベース部43とで熱可塑性樹脂により一体に形成されている。
【0057】
ブラケット前壁部41は、基部側熱拡散部材61の背面に当接するように配置され、基部11との前後方向の間で該基部側熱拡散部材61を介在させた状態で基部11に対してボルト等で一体に取り付けられている。すなわち、ブラケット前壁部41は、ブラケットベース部43の前端とブラケット周壁部42の前端とを一体に接続するように径方向に延びている。
【0058】
ブラケット周壁部42は、図5に示すように、放熱部12を径内側から支持するように後方延設部14において放熱部側熱拡散部材62の内周面に当接するように配置されている。すなわち、ブラケット周壁部42は、径方向において放熱部側熱拡散部材62を介在させた状態で放熱部本体15に対してボルト等で一体に取り付けられており、後方延設部14の前端から送風装置20の手前まで前後方向に延設されている。
【0059】
ブラケットベース部43は、ブラケット前壁部41の下端から後方へ延設された板状に形成され、ランプユニットベース部100に設置した状態でボルト等によって取り付けられている。
【0060】
このように、ヒートシンク10は、インナーブラケット40を介してランプユニットベース部100に取り付いているが、LED5、基板6及び基部側熱拡散部材61は、基部11に取り付けられ、送風装置20および放熱部側熱拡散部材62は、放熱部12に取り付けられているため、これらLED5、基板6、送風装置20および熱拡散部材60についても、ヒートシンク10及びインナーブラケット40を介してランプユニットベース部100に取り付いている。
【0061】
なお、送風装置20は、このようにヒートシンク10を介してインナーブラケット40に取り付けた構成に限らず、ヒートシンク10を介さずにインナーブラケット40に直接取り付けた構成や、これら双方を備えた構成、すなわちヒートシンク10への取付部とインナーブラケット40への取付部との双方を備えた構成を採用してもよい。
【0062】
上述した本実施形態の車両用灯具1は、光源としてのLED5と、該LED5に熱的に接続されるヒートシンク10と、送風装置20とを備えた車両用灯具において、ヒートシンク10は、LED5に対して、該LED5の光軸Xに交差する方向の外側、すなわち径方向の外側へ延びる基部11と、該基部11の径方向の外側に設けられ、送風装置20の送風によって放熱される放熱部12とを有し、放熱部12は、LED5よりも前方に延設する前方延設部13を少なくとも備えたものである。
【0063】
上記構成によれば、放熱部12に、LED5よりも前方に延設する前方延設部13を備えることで、限られた灯室3内の空間、すなわちアウタレンズ2とLED5との間の前後長を有効に活用してコンパクト化することができつつ、放熱部12の表面積を拡大して放熱性を高めることができる(図1中の熱の伝達方向の一部を示すDhf参照)。
【0064】
しかも、放熱部12は、LED5に対して径方向の外側に設けたため、LED5よりも前方に延びる前方延設部13を設けてもLED5からの光の照射が遮られることがない。
【0065】
またこの発明の態様として、基部11の背面に熱的に接続され、ヒートシンク10よりも熱伝導率が高い熱拡散部材60(基部側熱拡散部材61)が設けられたものである。
【0066】
基部11は、LED5の背方に設けられている、すなわち放熱部12よりもLED5により近い位置に設けられているため、LED5の熱をより迅速に吸収・拡散する必要があることから該基部11の板厚は厚い方が好ましい。
【0067】
一方で単純に基部11を板厚にするとヒートシンク10自体が重量化する虞があるが、基部11に熱拡散部材60を設けることによって、基部11の板厚増加を抑制しながらLED5の背方に備えた熱拡散部材60を含めたヒートシンク10の熱伝導性を高めることができるため、効率的な放熱とヒートシンク10の軽量化とを両立することができる。
【0068】
さらに、基部11と放熱部12との板厚差が大きいと製造時に空気層が形成されてヒートシンク10の熱効率が低下する虞があるが、上述のとおり、基部11の板厚増加を抑制することで、放熱部12と、該放熱部12よりも元々板厚である基部11との板厚差を抑制し、効率的な放熱と生産性(量産性)とを両立することができる。
【0069】
またこの発明の態様として、熱拡散部材60は、基部11の背面の径方向においてLED5の側から放熱部12と熱的に接するように径方向に延設されたものである。
【0070】
上記構成によれば、熱拡散部材60によって吸収した熱は、放熱部12へと効率的に伝達されるため(図1中の熱の伝達方向の一部を示すDh1参照)、熱拡散部材60を設けたことによるLED5の冷却性能を高めることができる。
【0071】
またこの発明の態様として、放熱部12の径方向の外側部位は、該径方向の内側部位よりも表面積が大きく形成された表面積拡大部としての放熱フィン16が設けられ、放熱部12の径方向の内側部位には前後方向に延びる熱拡散部材60(すなわち放熱部側熱拡散部材62)を備えたものである。
【0072】
上記構成によれば、放熱部12の内側部位に前後方向に延びる放熱部側熱拡散部材62を備えることで該放熱部12の内側部位における前後方向における熱伝導性を高めることができる(図1中の熱の伝達方向の一部を示すDh2参照)。
【0073】
さらに、放熱部側熱拡散部材62を放熱部12の内側部位に備えることで、該放熱部側熱拡散部材62を、表面積が大きく形成された複数の放熱フィン16が設けられた外側部位に対して取り付けるよりも、しっかりと取り付けた状態で備えることができるとともに、放熱部側熱拡散部材62を放熱部12の外側部位に備えた場合のように、表面積が拡大するように形成された放熱フィン16の表面積が縮小され、放熱部側熱拡散部材62を備えることでかえって該放熱フィン16自体が有する優れた放熱性を阻害することを防ぐことができる。
【0074】
またこの発明の態様として、熱拡散部材60のうち基部側熱拡散部材61は、径方向よりも前後方向の熱伝導率が低い異方性を有し、基部側熱拡散部材61の後方に、ヒートシンク10と送風装置20とのうち少なくとも一方を灯具本体部材のランプユニットベース部100に取り付ける熱可塑性を有した取付部材としてのインナーブラケット40が設けられたものである。
【0075】
すなわち当例では、ヒートシンク10と送風装置20との双方を、インナーブラケット40を介して灯具本体部材に備えたランプユニットベース部100(図1参照)に取り付ける構成としたものである。
【0076】
上記構成によれば、インナーブラケット40は、熱可塑性樹脂製であるため熱に対して膨張する等熱変形の影響が懸念されるが、熱拡散部材60の基部側熱拡散部材61は、その板面方向よりも板厚方向の熱伝導率が低い異方性を有しているため、このような特性を利用して該基部側熱拡散部材61の背面に、熱可塑性樹脂製のインナーブラケット40を設けても熱変形することなく、該インナーブラケット40によってヒートシンク10や送風装置20をしっかりと灯具本体部材(ハウジング)に取り付けることができる。
【0077】
またこの発明の態様として、放熱部12は、その周方向に設けられた放熱部本15と、該放熱部本15から径方向外方に起立して前後方向に延びるとともに周方向に配設された複数の放熱フィン16とで構成され、基部11の板厚(t11)は、放熱フィン16の板厚(t16)の2倍以下としたものである(図4図5参照)。
【0078】
上記構成によれば、基部11の板厚が放熱フィン16の板厚に対して2倍以下になるように抑えることができるため、基部11と放熱フィン16との板厚差を極力減らして製造時に放熱部12に空気層が形成されることを防いで放熱部12の優れた熱効率を確保することができる。
【0079】
なお、上述したように、ヒートシンク10の前方延設部13を設けるとともに、基部11の背面に基部側熱拡散部材61、放熱部12の径方向の内側部位に放熱部側熱拡散部材62を夫々設けることにより、ヒートシンク10の放熱が促進されるとともにLED5及び基板6側からヒートシンク10への熱伝導が促進されるため、LED5の冷却効果を高めることができるが、この効果は、図8に示すように、送風開口27から送風する風の風速を速めるに従って高めることができる。
【0080】
図8は、LED5、基板6、ヒートシンク10の夫々の部位における送風開口27から吹き出す風速に応じた温度変化の様子を示し、図5中の実線で示した波形l5は、LED5、同様に破線で示した波形l6は、基板6の背面、一点鎖線で示した波形l10は、ヒートシンク10の基部11における風速に応じた温度変化を示す。
【0081】
この発明は、上述の実施例の構成のみに限定されるものではなく様々な実施形態で形成することができる。
また、本発明において前方とは光源の照射方向を示すとともに、背方(後方)とは光源の照射方向と反対方向を示すものであって、上述した実施形態では、LED5の照射方向と車両の前方とが一致する例、並びに、LED5の照射方向と灯具ユニットの照射方向が一致する例について説明したが、必ずしも一致しなくてもよい。
【0082】
具体的には、車両用灯具にリフレクタ(図示省略)を備えた構成の場合には、本発明の前方とは、LED5から照射された光が、リフレクタによって屈折するまではリフレクタに向かう方向を示すとともにリフレクタによって屈折後は、アウタレンズ(車両用灯具の外側)に向かう方向を示すものとする。
【符号の説明】
【0083】
1…車両用灯具
5…LED(光源)
10…ヒートシンク
11…基部
11r…後面
12…放熱部
13…前方延設部
15…放熱部本体
16…放熱フィン(表面積拡大部)
20…送風装置
40…インナブラケット(取付部材)
60…熱拡散部材
61…基部側熱拡散部材
62…放熱部側熱拡散部材
X…光軸
t11…基部の厚さ
t16…放熱フィンの板厚
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8