特許第6460622号(P6460622)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6460622鉄骨パイプ構造の耐震補強構造とその耐震補強工法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6460622
(24)【登録日】2019年1月11日
(45)【発行日】2019年1月30日
(54)【発明の名称】鉄骨パイプ構造の耐震補強構造とその耐震補強工法
(51)【国際特許分類】
   E04G 23/02 20060101AFI20190121BHJP
【FI】
   E04G23/02 F
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-167542(P2013-167542)
(22)【出願日】2013年8月12日
(65)【公開番号】特開2015-36478(P2015-36478A)
(43)【公開日】2015年2月23日
【審査請求日】2016年7月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】000241474
【氏名又は名称】トヨタT&S建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101535
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 好道
(74)【代理人】
【識別番号】100161104
【弁理士】
【氏名又は名称】杉山 浩康
(72)【発明者】
【氏名】高瀬 一雄
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 崇晃
(72)【発明者】
【氏名】米谷 栄順
【審査官】 前田 敏行
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−102877(JP,A)
【文献】 特開2013−042622(JP,A)
【文献】 特開2008−002268(JP,A)
【文献】 特開2001−207532(JP,A)
【文献】 特開2011−149230(JP,A)
【文献】 特開2007−303066(JP,A)
【文献】 特開昭55−020807(JP,A)
【文献】 特開2009−243173(JP,A)
【文献】 特開2008−019662(JP,A)
【文献】 特開2009−235817(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0134155(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04G 23/02
E04B 1/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
既存の鉄骨パイプ部材に耐震補強部材を連結する構造であって、
前記鉄骨パイプ部材の外周にガセットを、周方向において複数個に分割して配置し、
分割された分割ガセットは、前記鉄骨パイプ部材の外面に沿って嵌合する内面を有する挟着部と、該挟着部の周方向の両端に固着されて鉄骨パイプ部材の径方向の外側へ突出する平板状の取付部とを有し、
前記隣接する両取付部相互を、高力ボルトとナットの締め付けにより摩擦接合させて、前記各挟着部の内面を前記鉄骨パイプ部材の外面に圧着させ、
前記複数に分割された分割ガセットのうち所望の分割ガセットに前記耐震補強部材を固着したことを特徴とする鉄骨パイプ構造の耐震補強構造。
【請求項2】
前記取付部に、前記耐震補強部材を固着したことを特徴とする請求項1記載の鉄骨パイプ構造の耐震補強構造。
【請求項3】
既存の鉄骨パイプ部材に耐震補強部材を連結する耐震補強工法であって、
前記鉄骨パイプ部材の外周にガセットを、周方向において複数個に分割して配置し、
分割された分割ガセットは、前記鉄骨パイプ部材の外面に沿って嵌合する内面を有する挟着部と、該挟着部の周方向の両端に固着されて鉄骨パイプ部材の径方向の外側へ突出する平板状の取付部とを有し、
前記挟着部を前記鉄骨パイプ部材の外面に無圧接で嵌合した状態では、隣接する分割ガセットの取付部の相互間に所定の隙間が生じるように前記分割されたガセットを形成し、
前記隣接する両取付部相互を、高力ボルトとナットの締め付けにより摩擦接合させて、前記各挟着部の内面を前記鉄骨パイプ部材の外面に圧着させ、
前記複数に分割された分割ガセットのうち所望の分割ガセットに前記耐震補強部材を固着したことを特徴とする鉄骨パイプ構造の耐震補強工法。
【請求項4】
前記取付部に、前記耐震補強部材を固着したことを特徴とする請求項3記載の鉄骨パイプ構造の耐震補強工法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄骨パイプ構造の耐震補強構造とその耐震補強工法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、金属パイプで建物の骨組を構築する鉄骨パイプ構造において、既存の鉄骨パイプ部材の中間に補強部材を連結して耐震補強をしたいとの要望がある。
【0003】
しかし、鉄骨パイプ部材の外周面にガセットプレートを直接溶接し、該ガセットプレートに補強部材を固着する工法を採用すると、ガセットプレートの溶接時の熱により鉄骨パイプ部材が損傷したり、強度が低下する問題があり、無溶接工法で十分な剛性と耐力を有する耐震補強が要望されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、本発明は、溶接工法を採用することなく、鉄骨パイプ部材に耐震補強部材を連結でき、かつ、その連結部での剛性、耐力を十分確保できる鉄骨パイプ構造の耐震補強構造とその補強工法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記の課題を解決するために、請求項1記載の発明は、既存の鉄骨パイプ部材に耐震補強部材を連結する構造であって、
前記鉄骨パイプ部材の外周にガセットを、周方向において複数個に分割して配置し、
分割された分割ガセットは、前記鉄骨パイプ部材の外面に沿って嵌合する内面を有する挟着部と、該挟着部の周方向の両端に固着されて鉄骨パイプ部材の径方向の外側へ突出する平板状の取付部とを有し、
前記隣接する両取付部相互を、高力ボルトとナットの締め付けにより摩擦接合させて、前記各挟着部の内面を前記鉄骨パイプ部材の外面に圧着させ、
前記複数に分割された分割ガセットのうち所望の分割ガセットに前記耐震補強部材を固着したことを特徴とする鉄骨パイプ構造の耐震補強構造である。
【0006】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の鉄骨パイプ構造の耐震補強構造において、前記取付部に、前記耐震補強部材を固着したことを特徴とするものである。
【0008】
請求項記載の発明は、既存の鉄骨パイプ部材に耐震補強部材を連結する耐震補強工法であって、
前記鉄骨パイプ部材の外周にガセットを、周方向において複数個に分割して配置し、
分割された分割ガセットは、前記鉄骨パイプ部材の外面に沿って嵌合する内面を有する挟着部と、該挟着部の周方向の両端に固着されて鉄骨パイプ部材の径方向の外側へ突出する平板状の取付部とを有し、
前記挟着部を前記鉄骨パイプ部材の外面に無圧接で嵌合した状態では、隣接する分割ガセットの取付部の相互間に所定の隙間が生じるように前記分割されたガセットを形成し、
前記隣接する両取付部相互を、高力ボルトとナットの締め付けにより摩擦接合させて、前記各挟着部の内面を前記鉄骨パイプ部材の外面に圧着させ、
前記複数に分割された分割ガセットのうち所望の分割ガセットに前記耐震補強部材を固着したことを特徴とする鉄骨パイプ構造の耐震補強工法である。
【0009】
請求項記載の発明は、請求項記載の鉄骨パイプ構造の耐震補強工法において、前記
取付部に、前記耐震補強部材を固着したことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、隣接する両取付部相互をボルト及びナットで締め付けて接合することにより、各分割ガセットの挟着部を鉄骨パイプ部材の外面に圧着接合できるので、溶接工法が採用できない鉄骨パイプ部材に耐震補強部材を、十分な剛性と耐力で接合ですることができ、かつ、既存の鉄骨パイプ部材において、耐震補強部材の接合が容易にできるとともに、その接合部の剛性と耐力も高めることができる。
【0012】
また、高力ボルト摩擦接合により、更に一層、前記剛性と耐力を高めることができる。
【0014】
請求項4乃至6記載の発明よれば、前記請求項1乃至3記載の発明の効果を発揮する耐震補強工法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施例1を示す連結部の斜視図。
図2図1におけるA−A線断面図。
図3】本発明の実施例1における鉄骨パイプ部材とガセットの接合前の状態を示す断面図。
図4図3の状態からガセットの挟着部を鉄骨パイプ部材に接合した図。
図5】本発明の実施例2を示す要部断面図。
図6図5の実施例2における説明断面図。
図7】本発明の実施例3を示す断面図。
図8】本発明の実施例4を示す正面図。
図9】本発明の実施例5を示すもので、鉄骨パイプ部材とガセットを分離した断面図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明を実施するための形態を、図1乃至図9に示す実施例に基づいて説明する。
[実施例1]
【0017】
図1乃至図4は、本発明の実施例1を示すもので、既存の鉄骨パイプ構造における鉄骨パイプ部材1の軸方向中間部に耐震補強部材、例えば、引張力に対抗する補強部材2を接合する場合の実施例である。
【0018】
本実施例における鉄骨パイプ部材1は、建物の骨組を構築する部材で、外周面が所望の直径の真円で形成された金属製の中空管である。
【0019】
前記鉄骨パイプ部材1における前記耐震補強部材2が取り付けられる部位には、ガセット3が取り付けられる。該ガセット3は、本実施例1では、鉄骨パイプ部材1の周方向において2分割して成る第1の分割ガセット3Aと第2の分割ガセット3Bで構成されている。
【0020】
前記第1の分割ガセット3Aは、前記鉄骨パイプ部材1の周方向の外面1aに沿った円弧状の内面3aを有する半円状の挟着部3bと、該挟着部3bの周方向の両端部に固設されて鉄骨パイプ部材1の径方向の外側へ突出する平板状の取付部3c,3dとから成る。前記挟着部3bの内部には、前記鉄骨パイプ部材1の略半周部分を嵌合できる嵌合空間3eが形成されている。
【0021】
また、前記挟着部3b及び前記取付部3c,3dにおける軸方向X−X、すなわち、鉄骨パイプ部材1の軸方向X−Xでの長さは、夫々所望の長さに設定されている。
【0022】
更に、前記挟着部3bと取付部3c,3dは溶接3fにより固着され、前記両取付部3c,3dにはボルト挿通穴3gが、鉄骨パイプ部材1の軸方向X−Xに沿って所定数形成されている。図の実施例では、各取付部3c,3dに4個等間隔で形成した。
【0023】
前記第2の分割ガセット3Bは、前記第1の分割ガセット3Aと同一構造で形成されている。そのため、該第2の分割ガセット3Bについては、前記第1の分割ガセット3Aと同一部材、同一部分に前記と同一の符号を付してその説明を省略する。
【0024】
なお、前記第2の分割ガセット3Bにおける取付部3dは、前記第1の分割ガセット3Aの取付部3dよりも外方へ長く形成され、前記耐震補強部材2の取付部材となっている。
【0025】
また、前記第1の分割ガセット3Aの挟着部3bと第2の分割ガセット3Bの挟着部3bの夫々の周方向の長さは、これら挟着部3b,3bを、図4に示すように、前記鉄骨パイプ部材1の外面に対して、双方から圧接することなく嵌合接触させた状態(無圧接状態)においては、第1の分割ガセット3Aの挟着部3bの両端面と、第2の分割ガセット3Bの挟着部3bの両端面との間に所定の隙間Dが生じる長さに設定されている。
【0026】
更に、取付部3c,3dは、前記の無圧接状態においては、第1の分割ガセット3Aの取付部3c,3dと第2の分割ガセット3Bの取付部3c,3dとの間に前記の隙間Dと同様の所定の隙間Dが生じるように設けられている。
【0027】
前記の隙間Dは、所定に設定するが、本実施例として約2mmに設定した。
また、前記両分割ガセット3A,3Bに形成した挿通穴3g,3gは、両分割ガセット3A,3Bを前記のように、鉄骨パイプ部材1に嵌合した場合、相互に合致する位置に形成されている。
【0028】
図4に示すように、前記鉄骨パイプ部材1に嵌合した両ガセット3A,3Bは、図2に示すように、高力ボルト5により所定量締め付けて摩擦接合される。
【0029】
該高力ボルト5は、ボルト5aとナット5bとからなり、該ボルト5aを両分割ガセット3A,3Bのボルト挿通穴3g,3gに挿通し、該ボルト5にナット5bを締め付け機器により所定量締め付け、第1の分割ガセット3Aの取付部3c(3d)と、第2の分割ガセット3Bの取付部3c(3d)を高力摩擦接合する。
【0030】
前記のように、両分割ガセット3A,3Bにおける取付部3c,3c(3d,3d)が隙間D分離間した状態から隙間D分移動して相互に圧接すると、両分割ガセット3A,3Bの挟着部3b,3bの内面3a,3aが鉄骨パイプ部材1の外面1aに圧着され、両分割ガセット3A,3Bは、鉄骨パイプ部材1に高力摩擦接合によって強固に固着される。
【0031】
前記耐震補強部材2は、引張力に対抗する鋼棒等からなり、その一端にプレート6が溶接で固設され、該プレート6が前記第2の分割ガセット3Bの取付部3dに、ボルト或いはピン等の適宜連結手段7で連結されている。なお、該プレート6も耐震補強部材2の一部として以下説明する。
【0032】
前記耐震補強部材2の他端は、図示しない既存の構造材等に連結されている。
したがって、前記のように、鉄骨パイプ部材1とガセット3が連結されることにより耐震補強部材2が鉄骨パイプ部材1に連結される。
【0033】
次に、前記実施例1の構造において、既存の鉄骨パイプ部材1に耐震補強部材2を取付ける工法について説明する。
【0034】
先ず、第2の分割ガセット3Bの取付部3dに、プレート6を介して耐震補強部材2を固設する。
【0035】
次いで、第1の分割ガセット3Aと、第2の分割ガセット3Bを、図3に示すように、既存の鉄骨パイプ部材1を挟んで対向させた状態から、図4に示すように、夫々の挟着部3b,3bを鉄骨パイプ部材1の外面1aに嵌合して対向配置する。このとき、両挟着部3b,3bの内面3aと鉄骨パイプ部材1の外面1aとの無圧接での接触状態においては、対向する取付部3c,3c(3d,3d)間に隙間Dが生じる。
【0036】
次いで、図2に示すように、第1の分割ガセット3Aのボルト挿通穴3gと第2の分割ガセット3Bのボルト挿通穴3gに高力ボルト5のボルト5aを挿通し、ナット5bを周知の締め付け機器により、両取付部3c,3c(3d,3d)相互が所定の高圧で密着するように締め付ける。これにより、両取付部3c,3c(3d,3d)相互が高力摩擦接合され、かつ、両ガセット3A,3Bにおける取付部3c,3c(3d,3d)が隙間D分、近接方向に移動することにより、両挟着部3b,3bの内面3aが鉄骨パイプ部材1の外面1aに圧着され、両分割ガセット3A,3Bは鉄骨パイプ部材1に高力摩擦接合により強固に固着される。
【0037】
以上のようであるから、本実施例1においては、溶接工法が採用できない鉄骨パイプ部材1と耐震補強部材2とを強固に接合することが出来る。しかも、鉄骨パイプ部材1と耐震補強部材2との接合部に両分割ガセット3A,3Bが高力ボルト摩擦接合により配置されることにより、その接合部の十分な剛性と耐力を確保できる。
【0038】
[実施例2]
図5及び図6は本発明の実施例2を示す。
【0039】
前記実施例1における鉄骨パイプ部材1において、前記耐震補強部材2との接合位置の外面1aに、図6に示すようにキズによる凹面10や、その他の凸面があると、前記ガセット3の挟着部3bと鉄骨パイプ部材1との密着度が低下する恐れがある。
【0040】
そこで、本実施例2においては、接合工程の前工程として、前記鉄骨パイプ部材1の外面1aと前記ガセット3の挟着部3bの内面3aの何れか一方或いは双方に、図5に示すように、樹脂、例えば、エポキシ樹脂11を塗布して介在させたものである。
【0041】
その他の構造及び工法は、前記実施例1と同様であるため、その構造及び説明を省略する。
そして、本実施例2において、流動性の樹脂を塗布した後、前記実施例1と同様に、第1、第2の分割ガセット3A,3Bをボルト締めして挟着部3bを鉄骨パイプ部材1へ圧着することにより、前記樹脂11が前記凹面10の隙間に充填され、その樹脂の硬化により、ガセット3と鉄骨パイプ部材1の外面1aとの密着度が向上し、接合部の十分な剛性と耐力を確保でき、前記実施例1と同様の効果を発揮できる。
【0042】
[実施例3]
図7は、本発明の実施例3の一例を示す。
【0043】
前記実施例1においては、ガセット3を周方向に2分割した2個の分割ガセット3A,3Bで構成したが、2個に限るものではなく、2個以上の複数に分割された分割ガセットを用いて構成しても良い。例えば、図7に示すように、ガセット3を周方向に4分割した第3の分割ガセット3C〜第6の分割ガセット3Fで構成しても良い。
【0044】
前記各分割ガセット3C〜3Fは、周方向に4分割された形状以外の構造は、前記実施例1と同様であるため、前記と同一部材には前記と同一符号を付してその説明を省略する。また、本実施例の工法も前記実施例1と同様である。
【0045】
本実施例3によれば、前記耐震補強部材2を、4方向において、所望の数と方向に連結できる。更に、前記実施例1と同様の効果を発揮できる。
【0046】
[実施例4]
前記実施例1〜3は、耐震補強部材2として鋼棒を用いた例であるが、その他、耐震補強部材として、図8に示すような耐震補強用の構造材、例えば、アングル材13を用い、これを前記第2の分割ガセット3Bの取付部3dに連結するようにしても良い。
【0047】
その他の構造は、前記実施例1と同様であるため、前記と同一部材には前記と同一符号を付して、その説明を省略する。
本実施例4についても、前記実施例1と同様の効果を発揮できる。
【0048】
[実施例5]
前記実施例1〜4は、鉄骨パイプ部材1が中空円管のものに、本発明を適用した例であるが、鉄骨パイプ部材として横断面が多角形の中空管のものに本発明を適用しても良い。
【0049】
図9は、横断面が四角形の鉄骨パイプ部材1Aに本発明を適用した実施例5を示す。
図9に示す実施例は、鉄骨パイプ部材1Aの横断面における中心を通る線Y−Yで2分割された一方の側のコ字状外面1aに沿った内面3aを有する一方の分割ガセット3Gと、他方の側のコ字状外面1aに沿った内面3aを有する他方の分割ガセット3Hを用いている。
【0050】
すなわち、分割ガセット3G,3Hは、断面コ字状の挟着部3bと、該挟着部3bの両端に前記実施例と同様の取付部3c,3dを固設して形成されている。
【0051】
その他の構造及び工法は、前記実施例1と同様であるため、前記と同一部材には前記と同一符号を付して、その説明を省略する。
【0052】
本実施例5において、前記と同様に、両分割ガセット3G,3Hを鉄骨パイプ部材1Aに嵌合して、両取付部3c,3c(3d,3d)を高力ボルト等の摩擦接合することにより、前記と同様の作用、効果を発揮できる。
【0053】
[実施例6]
前記実施例3〜5において、前記実施例2のように、樹脂11を接合前に塗布しても良い。
【0054】
更に、前記実施例1,3〜6において、鉄骨パイプ部材1の接合部の外面をブラスト処理しても良い。該ブラスト処理により、鉄骨パイプ部材1とガセット3との接合部の摩擦抵抗を高め、その剛性と耐力を高めることができる。
【0055】
[その他の実施例]
前記実施例は、各分割ガセットの取付部相互の接合を高力ボルトによる高力摩擦接合としたが、この取付部相互を、高力ボルトを使用することなく、通常のボルト及びナットを用いて接合しても良い。
【0056】
この通常のボルト接合であっても、その締め付けにより、各分割ガセットの挟着部が鉄骨パイプ部材の外面に圧着して前記と同様の作用、効果を発揮できる。
【符号の説明】
【0057】
1 鉄骨パイプ部材
1a 外面
2 耐震補強部材
3 ガセット
3A〜3H 分割ガセット
3a 内面
3b 挟着部
3c,3d 取付部
5 高力ボルト
5a ボルト
5b ナット
11 樹脂
D 隙間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9