(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
中心画像要素位置の外側で、これに直接隣接した画像要素位置が、ユニットセルの外周に面して位置している周囲の画像要素位置より小さい、又はユニットセル中の中心画像要素を除いた画像要素の全てが、実質的に同一のサイズである、請求項2又は3に記載のセキュリティデバイス。
ユニットセルが、第一の方向及び第二の直交方向の両方に沿って配置された画像要素位置を含む、画像要素位置の2次元の組を規定する、請求項1〜5のいずれか1項に記載のセキュリティデバイス。
中心領域が、ユニットセルにより規定された画像要素位置の少なくとも2つのサブセットを含み、サブセット中の各画像要素位置が、中心画像の同一の画像要素の複製を伝えるように割り当てられている、請求項1に記載のセキュリティデバイス。
ユニットセルが、第一の方向及び第二の直交方向の両方に沿って配置された画像要素位置を含む、画像要素位置の2次元の組を規定し、サブセットが、画像要素位置の2次元のアレイを含む、請求項7に記載のセキュリティデバイス。
サブセットが、第一の方向に沿って配置された少なくとも2つの隣接した画像要素位置と、第二の方向に沿って配置された少なくとも2つの隣接した画像要素位置とを含む、請求項8に記載のセキュリティデバイス。
サブセットが、第二の方向に沿って配置された画像要素位置と実質的に同数の第一の方向に沿って配置された画像要素位置を含む、請求項9に記載のセキュリティデバイス。
集束要素のアレイ及び画像要素のアレイが、互いに位置合わせされていることにより、セキュリティデバイスの平面に対する垂線に沿ってセキュリティデバイスを観察したとき、中心画像が表示される、請求項1〜12のいずれか1項に記載のセキュリティデバイス。
集束要素のアレイ及び画像要素のアレイが、少なくとも第一の方向に沿って、垂線と閾値角度との間の全ての角度においてセキュリティデバイスを観察したときに、中心画像が表示されるように構成されており、閾値角度が垂線から2〜10度である、請求項13に記載のセキュリティデバイス。
光を集束させることのできる、第一及び/又は第二の方向に沿った全ての観察角度に関して、各集束要素の焦点距離が実質的に同じである、請求項1〜15のいずれか1項に記載のセキュリティデバイス。
集束要素が配置されたグリッドが直交グリッドであり、かつ、ユニットセルが正方形若しくは矩形であり、若しくは、集束要素が配置されたグリッドが六角グリッドであり、かつ、ユニットセルが六角形であり、及び/又は
集束要素が、球面又は非球面集束要素である、請求項1〜16のいずれか1項に記載のセキュリティデバイス。
集束要素のアレイ及び画像要素のアレイが、互いに位置合わせをして重なり合っていることにより、セキュリティデバイスの平面に対する垂線に沿ってセキュリティデバイスを観察したときに、中心画像が表示される、請求項25に記載の方法。
【発明の概要】
【0002】
貴重品、具体的には紙幣、小切手、パスポート、身分証明書、証明書及び許可証等の価値の文書は、偽造者や、それを不正に複製すること、及び/又はその中に含まれる任意のデータを変更することを望む人の標的であることが多い。典型的には、係る物品は、物品の真正性を検査するための多くの目に見えるセキュリティデバイスを備える。例としては、マイクロテキスト、微細なラインパターン、潜像、ベネチアンブラインドデバイス、レンティキュラーデバイス、モアレ干渉デバイス及びモアレ拡大デバイス等の1種又はそれより多くの以上のパターンに基づく特徴が挙げられ、その各々が安全な視覚的効果を生み出す。他の知られるセキュリティデバイスとしては、ホログラム、透かし模様、エンボス加工、ミシン目、及びカラーシフト又は発光/蛍光インクの使用が挙げられる。係るデバイス全てに関する共通点は、デバイスにより現れる視覚的効果を、写真複写等の利用可能な再生技術により複写することが極めて困難、又は不可能であることである。磁性材料等の目に見えない効果を呈するセキュリティデバイスが用いられる場合もある。
【0003】
セキュリティデバイスの1つの分類は、異なる観察角度においてデバイスの外観が異なるという光学的に変動する効果を作り出すものである。係るデバイスは、ダイレクトコピー(例えば写真複写)が光学的に変動する効果を作り出さないため、真正のデバイスと容易に区別することができることから、特に有効である。光学的に変動する効果は、ホログラム及び他の回折デバイスを含む種々のメカニズムに基づいて、またモアレ拡大デバイス、インテグラルイメージングデバイス及びいわゆるレンティキュラーデバイスを含む、レンズ等の集束要素を利用するデバイスに基づいて作り出すことができる。
【0004】
モアレ拡大デバイス(その例はEP‐A‐1695121、WO‐A‐94/27254、WO‐A‐2011/107782及びWO2011/107783に記載される)は、マイクロ集束要素(レンズ又はミラー等)のアレイ及び対応するマイクロ画像要素のアレイを利用し、マイクロ集束要素とマイクロ画像要素のアレイのピッチ及び/又はその相対的な位置は、マイクロ画像要素の拡大版がモアレ効果により生み出されるように、マイクロ集束要素のアレイと適合しない。各マイクロ画像要素は、最終的に観察される像の完全な縮小版であり、集束要素のアレイは、各下層のマイクロ画像要素の小さい部分を選択して拡大する働きをし、その部分は、全体の拡大画像が可視化されるように、人間の目によって組み合わされる。このメカニズムは、“合成拡大”と呼ばれることがある。
【0005】
インテグラルイメージングデバイスは、マイクロ画像要素のアレイが、対応するレンズのアレイの下に与えられるという点でモアレ拡大デバイスに類似し、各マイクロ画像要素は、表示される画像の縮小版である。しかし、ここでは、レンズ及びマイクロ画像間の不適合はない。むしろ視覚的効果は同一の物体の(ただし異なる視点からの)ビューである各マイクロ画像の配列により作り出される。デバイスを傾けたときに、異なる像の1つひとつは、3次元の画像の印象が与えられるように、レンズにより拡大される。
【0006】
他方、レンティキュラーデバイスは、倍率、合成に依存せず、又はその反対である。集束要素のアレイ(典型的には円柱レンズ)は、対応する画像要素のアレイ、すなわち“薄片”の上にあり、その各々は表示される画像の部分のみを示す。2つ又はそれより多くの異なる画像由来の画像薄片は交互に配置され、各観察角度において集束要素を通して観察したときに、選択された画像薄片だけが観察者に向けられる。このように、異なる角度において異なる複合画像を観察することができる。しかし、典型的に拡大は起きず、観察される得られた画像のサイズが、下層の画像薄片が形成されたものと実質的に同じあることは当然のことである。レンティキュラーデバイスの幾つかの例は、US‐A‐4892336、WO‐A‐2011/051669、WO‐A‐2011/051670、WO‐A‐2012/027779及びUS‐B‐6856462に記載される。レンティキュラーデバイスは、異なる画像を異なる観察角度において表示できるという利点を有し、モアレ拡大又はインテグラルイメージング技術では不可能なアニメーション及び他の印象的な視覚的効果の可能性を生み出す。
【0007】
周知のレンティキュラーデバイスのほとんどは、1次元のレンティキュラーデバイス(すなわち、一軸周りでのみ傾けたときに光学的に変動する効果を表示するデバイス)である。しかし、2次元のレンティキュラーデバイスも知られており、インテグラルイメージングデバイスのものと視覚的に比較可能な結果を達成しようとし、互いに織り混ぜられた少なくとも2つの画像由来の選択されたピクセルを含む、画像要素の2次元のアレイを提供することによりそれを行う例が、US‐A‐6483644に開示される。デバイスを傾けたときに、異なる像の1つひとつが表示されるように、フライアイ(半球面)レンズのアレイ等の観察面を通してアレイが観察される。これが、2次元のレンティキュラーデバイスである。
【0008】
上記のもの等の周知のレンティキュラーデバイス(1次元及び2次元の両方)は、ある観察角度において、観察者に向けられた画像要素アレイの領域が、単一の画像要素に対応しないのではなく、異なる画像に関連する2つ又は場合によってはそれより多くの画像要素間の交差を含む場合があるという問題を抱える。このことは、デバイスが全体的に平らでない場合があるため(これは、観察したときに観察形状に追加的な歪みを生じさせる)、(セキュリティ文書の分野では典型的な場合であるように)デバイスが柔軟な基材上に形成された場合に悪化する可能性がある。これは、2つ又はそれより多くの画像の混合が同時に表示され、典型的には互いに空間的に重なり合うため、視覚的混乱をもたらす。これは、セキュリティデバイスの視覚的影響を減少させる。
【0009】
本発明によれば、
集束要素のアレイと、集束要素のアレイと重なり合った画像要素のアレイとを含むセキュリティデバイスであって、
各集束要素が、少なくとも第一の方向において光を集束させるように適合しており、集束要素が、少なくとも1次元において規則的なグリッド上に配置されており、
画像要素が、画像要素位置を規定する繰り返しのユニットセルに基づいて配置されており、ユニットセルの周期性は、集束要素のアレイが配置されたグリッドの周期性と実質的に同一であり、ユニットセルが、ユニットセル内に画像要素位置の組を規定しており、ユニットセル内の各画像要素位置が、各々の対応する画像の画像要素を伝えるように割り当てられており、
それによって、デバイスを傾けたときに、異なる各々の画像が、選択された画像要素位置において、組み合わさって連続的に画像要素により表示されるように、集束要素のアレイは、選択された画像要素位置からの光を観察角度に応じて観察者に向け、
1つ又はそれより多くの画像要素位置を含む各ユニットセルの中心領域は、対応する中心画像の1つ又は複数の画像要素を伝えるように割り当てられており、中心領域はユニットセルの各外側の領域より大きく、外側の領域が中心領域の外側に位置しており、かつ、外側の領域が、中心画像が観察者に表示される観察角度の範囲が、各々の他の画像が表示される観察角度の範囲より大きいように、他の個々の画像の1つ又は複数の画像要素を伝えるように、割り当てられている、セキュリティデバイスが提供される。
【0010】
本発明は、セキュリティデバイスの製造方法であって、方法が、前記集束要素のアレイを提供することと、前記画像要素のアレイを形成することとを含む、セキュリティデバイスの製造方法も提供する。
【0011】
拡大された領域(中心領域)が中心画像の表示に割り当てられているユニットセルに基づいて画像要素を配置することにより、視覚的混乱は低減し、又は消滅し、またデバイスの全体の視覚的印象は向上する。なぜならば、各他の画像を表示するために与えられたものと比較して、ユニットセルのより大きい割合が、中心画像の表示のために与えられるためである。このような集束要素は、任意の1つの外側の領域からの光の場合より、中心領域内からの光を、より多くの観察位置において観察者に向ける。異なる画像に割り当てられた画像要素位置間の交差は、集束要素の傾斜により観察者に向けられたユニットセル表面の部分が、中心領域の外周に到達する程度にデバイスを傾けるまで起こらない。この結果は、わずかな傾斜角に亘ってくっきりとした強い静止画像を示し、かつさらに傾けることにより、研究の上では光学的に変動する効果を呈するデバイスである。
【0012】
各個々の画像が連続的に表示される観察角度の範囲は関連がある、すなわち、中心画像が観察者に連続的に表示される観察角度の範囲は、各々の他の画像が連続的に表示される観察角度の範囲より大きいことが理解されるであろう。例えば、1つの例において、中心画像は、垂線に沿って観察したときに観察される場合があり、一軸周りで傾けたときは、各側で最大+/−5度の角度(すなわち合計10度)にて観察したときに表示される場合がある。一方で、2つの同一の外側の画像は、−15度〜−10度の間、及び+10度〜+15度の間で見える場合がある。したがって、同一の外側の画像が−15度及び+15度で見える一方で、同一の外側の画像はその間の観察角度全てに亘って連続的に表示されるわけではない。したがって、中心画像が観察者に表示される観察角度の範囲(10度)は、外側の画像が表示される観察角度の範囲(同時に5度)より大きい。
【0013】
セキュリティデバイスはレンティキュラーデバイスの例であり、したがって各画像要素は対応する画像の部分(例えば個々のピクセル、又はピクセルの群)であり、(モアレ拡大又はインテグラルイメージング型のデバイスの場合のように)対応する画像の縮小版ではないことを理解されたい。画像要素の各組(1つのユニットセルの中身)は、各画像の1つの部分を与え、かつ、観察角度に応じて、観察者への表示に供する組から画像要素を選択する1つの集束要素に対応する。画像要素は、全て実質的に同一平面にあり、集束要素は、観察角度にのみ依存して、画像要素のいずれかからの光を向かわせることができる。集束要素のアレイに亘る選択された画像要素と、対応するユニットセルとは、組み合わさって、利用可能な画像の1つを全て表示し、選択される画像は観察角度に依存する。集束要素は、好ましくは任意の拡大を実行しない。デバイスにより表示される特定の画像によっては、画像要素アレイのあらゆるセル中の画像要素位置の全てが画像要素を最終的に伝えるとは限らないであろうということも理解されるであろう。対応する画像が要求する場合には、幾つかの画像要素位置は、空白のままであってよい。
【0014】
種々の方法で、ユニットセル内において中心領域を規定することができる。第一の好ましい実施態様において、中心領域は単一の中心画像要素位置を含み、それはユニットセルにより規定された他の画像要素位置の各々より大きい。したがって、中心画像は、デバイスにより表示される他の画像のいずれよりも、画像要素アレイへの組み入れのためにより大きい部分(画像要素)に分けられることになる。この実施は、中心領域の外側の画像要素位置の幾つか又はその全てのサイズが(従来知られている配列と比較して)減少する場合がある一方で、デバイスにより表示することのできる異なる画像の数が維持されるように、その数を減少させる必要がないため、利点である。この場合において、好ましくは、ユニットセルの各外側の領域(すなわち中心画像以外の各画像に割り当てられた領域)は、中心画像要素位置より小さい単一の画像要素位置を含む。
【0015】
中心領域の外側のものに対する中心画像要素位置のサイズの任意の増加は、上記のようにデバイスの視覚的印象を向上させるが、有利には、中心画像要素位置は、ユニットセルにより規定された他の画像要素位置の平均サイズより、少なくとも10%、好ましくは少なくとも25%大きい。“サイズ”は、ここでは少なくとも第一の方向に沿った画像要素位置のある面から他の面までの距離を指し、好ましくは第二の直交方向にも沿った距離を指すが、中心画像要素が、面積で他の画像要素より大きいことも好ましい。中心領域の外側の画像要素位置が種々のサイズである場合、中心画像要素位置は、他の画像要素位置の最大の寸法よりもなお、大きい寸法を有するのがよい。上記に示されたような割合が、(中心画像要素位置のサイズを増大させることにより促進される)向上した視覚的安定性と、所望の光学的に変動するレンティキュラー効果に必要な、他の画像を伝えるユニットセルの十分な間隔を維持することとの良好なバランスを与えることが見出されている。
【0016】
より一般的には、画像要素が細長い細片である1次元のデバイスにおいて、異なるサイズの画像要素位置は、異なる幅の画像細片により表され、それはその場合における第一の方向に沿った寸法である。レンティキュラー効果及び上記の視覚的安定性は、デバイスを第一の方向に傾けたときに観察される。2次元のデバイスにおいて、画像要素は、好ましくは細長くなく、例えば正方形又は矩形であってよい。この場合において、拡大された中心画像要素は、(他の画像要素位置に対して)増大した面間の寸法により少なくとも1つの方向(第一の方向)において統合されるが、両方の傾ける方向において視覚的安定性が達成されるように、好ましくは直交する第二の方向にも統合される。
【0017】
幾つかの実施態様において、中心画像要素位置の増大したサイズは、それに直接隣接する(adjacent)その画像要素位置のみのサイズを減少させることにより調整してよい。したがって、中心画像要素位置の外側で、これに直接隣接する画像要素位置は、好ましくはユニットセルの外周に面して位置する周囲の画像要素位置よりも小さいであろう。このことは、残りの画像要素位置が、その元々のサイズを維持することができるという利点を有する。しかし、この場合において、最小の画像要素位置に割り当てられた画像は、傾斜角の比較的短い範囲で表示されることになる。したがって、中心領域の外側の画像要素位置の全てを、拡大された中心画像要素位置に適合するようにサイズ変更することが好ましい場合があり、この場合において、ユニットセル中の中心画像要素を除いた画像要素の全てが実質的に同じサイズであることができる。
【0018】
拡大された画像要素位置を与えて中心領域を形成する代わりに、他の好ましい実施態様において、中心領域は、ユニットセルにより規定される画像要素位置の少なくとも2つのサブセットを含み、サブセット中の各画像要素位置は、中心画像の同一の画像要素のコピーを伝えるように割り当てられる。共通の画像(“中心”画像)から同一の画像要素のコピーを伝えるように割り当てられた各セルの中心において、複数の画像要素位置を与えること(“サブセット”を形成すること)により、中心領域は異なる画像要素間の交差を含まない。したがって、サブセットのどの位置もアレイを集束することにより観察者に向かい(観察角度に応じて)、同一の(中心)画像は、干渉なしに表示されることになる。サブセットの外側の画像要素位置が、集束要素により選択されるようにデバイスを傾けたときにだけ、光学的に変動する効果が見られる。この実施は、複数の位置がサブセットに割り当てられることができるように、各ユニットセル内に規定された比較的多数の画像要素位置がある一方、十分な数の画像要素位置が、中心画像と異なる個々の画像の部分を伝えるサブセットの外側にある場合が好ましい場合がある。(“サブセット”は、ユニットセル中の画像要素位置の全てを含まないことが理解されるであろう)。
【0019】
これは、1次元又は2次元のデバイスに適用することができ、2次元のデバイスの場合において、サブセットは、デバイスを2つの異なる方向に傾けたときに異なる効果が得られる場合に、それでもなお1つの方向のみに沿って広がるように配置することができる。しかし、好ましくは、ユニットセルは、第一の方向及び第二の直交する方向の両方に沿って配置された画像要素位置を含む2次元の画像要素位置の組を規定し、サブセットは、画像要素位置の2次元アレイを含み、例えばサブセットはm×nの画像要素位置のアレイであってよい(m及びnは少なくとも2の整数である)。したがって、サブセットは、第一の方向に沿って配置された少なくとも2つの隣接する画像要素位置、及び第二の方向に沿って配置された少なくとも2つの隣接する画像要素位置を含んでよい。このように、視覚的混乱は、両方の直交方向における傾斜角を減少させる。特に好ましい実施において、サブセットは、第二の方向に沿って配置された画像要素位置と実質的に同数の第一の方向に沿って配置された画像要素位置を含み、例えばサブセットはm×mの画像要素位置のアレイであってよい。これは、両方の軸において実質的に等しい角度により視覚的混乱を減少させることができるため望ましい。好ましくは、本実施態様において、ユニットセル内で規定された画像要素位置の全ては、実質的に同じサイズである。
【0020】
中心領域の外側において、画像要素位置は多数の異なる配列をとることができる。例えば、各画像要素位置を、異なる画像に割り当ててよく、又は複数の画像要素位置の群を、各々異なる画像に割り当てることができる。したがって、好ましくは、ユニットセルの各外側の領域は、単一の画像要素位置、又はサブセットの部分を形成する画像要素位置より少ない画像要素位置の群のいずれかを含む。後者の場合において、1つの群内の各画像要素位置は、典型的には対応する画像から同一の画像要素の複製を伝える。
【0021】
しかし、それは形成され、中心領域は、ユニットセルの中心を含むように配置される(例えば、正方形/矩形ユニットセルの対角線の交差部分、又は六角形のユニットセルの対向する角を結ぶ2本の線の交差部分)。これは、デバイスを軸上及び/又は軸上付近で観察したときに中心画像が表示されるように、各集束要素の中心付近の中心画像の1つ又は複数の画像要素を配置するためである。好ましくは、サブセットはユニットセルの中心に位置する。すなわち、サブセットの幾何学的中心はユニットセルの中心と一致する。
【0022】
中心領域が、単一の拡大された画像要素位置を含んでいても、(複数の)画像要素位置のサブセットを含んでいても、中心領域は、上記に与えられたものと同様の理由で、ユニットセルの外側の領域の平均サイズより少なくとも10%より大きく、好ましくは少なくとも25%大きいことが好ましい。上述のように、ここでは“サイズ”は、少なくとも第一の方向に沿った中心領域の1つの面から他の面までの距離を指す。外側の領域が種々のサイズである場合、中心領域はこの意味において、外側の領域の最大のものよりもなお大きいのがよい。2次元のデバイスにおいて、中心領域は、好ましくは第一及び第二の直交方向両方における外側の領域のいずれよりも大きい面間寸法を有する。
【0023】
好ましくは、ユニットセルの中心領域に対応する画像、及び各外側の領域に対応する画像は、互いに全て異なる画像である。または、幾つかの画像は同一であってよいが、好ましくは、画像要素アレイの2つ又はそれより多くの隣接する(中心及び/又は外側の)領域を、同一の画像を呈するように割り当てない。なぜなら、これは各々の領域のサイズを有効に増大させ、中心画像に割り当てられたものより大きい連続的な外側の領域を生じさせてしまう可能性があるからである。このことは、隣接する領域が、1つのユニットセル内にあっても、隣接するユニットセル中にあっても当てはまる。
【0024】
所望の視覚的効果に応じて、画像要素のアレイに対して集束要素のアレイを位置合わせすることは必須ではない:効果の制御は少ないものの、アレイ間の周期性の一致のために、光学的に変動する効果を位置合わせなしで達成することができる。したがって、好ましい実施態様において、集束要素のアレイ及び画像要素のアレイは互いに位置合わせされ、好ましくは、中心領域が、対応する集束要素の中心と揃うように位置合わせされることにより、セキュリティデバイスの平面に対する垂線に沿ってセキュリティデバイスを観察したとき、中心画像が表示される。2つのアレイを位置合わせすること、例えば、どの傾斜角においてどの画像が観察されるのかを特定することによって、光学的に変動する効果を制御することができる。上記のユニットセルの構成との組み合わせにおいて、これは特に強い効果を作り出す。なぜなら、望むように位置合わせされた場合、デバイスの垂線、及び垂線近傍の観察角度に沿って観察されたとき、また垂線付近の角度を観察したときに、“中心”画像が見えるからである。典型的には、文書はこの視点(少なくとも初めは)から試験されることになるため、これは、この初期の容易に特定できる位置において、デバイスが強い画像を表すことを確実にする。さらに、仕様を満たす偽造版の製造の難易度が増大するため、位置合わせの要求はデバイスのセキュリティレベルを増大させる。
【0025】
有利には、集束要素のアレイ及び画像要素のアレイは、少なくとも第一の方向に沿って、垂線と閾値角度との間の全ての角度においてセキュリティデバイスを観察したときに、中心画像が表示されるように構成されており、閾値角度は垂線から2〜10度、好ましくは垂線から2.5〜5度である。所定の閾値の角度を超えると、中心画像は表示されず、中心領域の外側の領域に割り当てられた画像に置き換わる。好ましくは、デバイスにより表示された画像の全範囲を、垂線から最大約+/−15度の傾斜角内で観察することができる。各画像が表示される観察角度は、例えばテーブル上にデバイスを載せること、及びカメラを配置してデバイスにより表示される画像を観察することにより測定することができる。テーブルとカメラとの間の相対角度が測定され、その相対角度は、テーブルを傾けること、又は適したアーム上でカメラを回転させることのいずれかによって変えることができる。したがって、任意の1つの画像の観察範囲を測定するために、カメラを所望の画像のビューを捕らえるように配置し、その画像がカメラにより観察されなくなるまでテーブル又はカメラを傾けた。テーブルに対してカメラが通過した角度を測定して記録する。
【0026】
中心領域は、ユニットセル中の画像要素位置の全てを含まないため、ユニットセルが、中心画像と異なる各々の画像の部分を伝えるように割り当てられた中心領域の外側の領域も含むということが理解されるであろう。既に説明したように、これらの“外側の領域”は、単一の画像要素位置又は係る位置の群を各々含んでよい。好ましくは、ユニットセルは、集束要素が少なくとも第一の方向において光を集束させることができるため、少なくとも第一の方向に沿った外側の領域を含む。最も簡易な場合において、単一の外側の領域を、中心領域の外側の各側に与えることができるが、好ましくは、デバイスを傾けたときに、幾つかの異なる画像の表示を与えることができるように、第一の方向に沿って、中心領域の各側に、少なくとも2つの外側領域を与える。特に好ましい場合において、同数の外側領域が、第一の方向に沿って、中心領域の各側に与えられる。これによって、デバイスを第一の方向に沿って傾けるどの場合においても、同数の異なる画像が表示されるようになる。これは、視覚的効果がアニメーション又は3次元の効果である場合に、特に利点である可能性がある。なぜなら、傾斜角に伴う(視覚的)変化の見かけの割合を、各側で均一に保持することができるからである。
【0027】
上記のように、ここで開示される画像要素の構成は、1次元及び2次元のデバイスの両方に適用することができる。したがって、幾つかの好ましい実施態様において、集束要素は、第一の方向にのみ光を集束させ、好ましくは、集束要素は半円柱レンズ又はミラーである。これは、1次元のレンティキュラーデバイスをもたらす。
【0028】
他の好ましい例において、集束要素を、少なくとも第一の方向及び直交する第二の方向において光を集束させるように各々適合させ(例えば球面レンズ‐他の例は以下で議論する)、かつ、規則的な2次元のグリッド上に配置する。係る2次元の集束要素は、1次元の集束要素と共に使用されるものと同一の型の画像要素アレイ、例えば、ユニットセル内で第一の方向のみに沿って配置された画像要素位置と共に使用することができ、この場合において、最終結果は、同様に1次元のレンティキュラーデバイスである。しかし、この場合において、好ましくは、ユニットセルは、第一及び第二の方向両方に沿って位置が配置されている画像要素位置の2次元の組を規定する。このようにして、2次元の光学的に変動する効果を達成することができる。
【0029】
2次元のデバイスにおいて、中心領域は、全ての方向ではないという条件で、1つ又はそれより多くの方向でユニットセルの端部まで広がることができる。しかし、好ましい実施態様において、ユニットセルは少なくとも第一の方向及び第二の方向、好ましくは全ての方向に沿って、中心領域の外側に外側の領域を含む。このことは、デバイスを第一及び第二の方向に、好ましくは全ての方向に傾けたときに、光学的に変動する効果を生み出すために望ましい。有利には、少なくとも2つの外側の領域は、第一及び第二の方向、好ましくは全ての方向に沿って、中心領域の各側に与えられる。好ましくは、ユニットセルは、少なくとも第一及び第二の方向、好ましくは全ての方向に沿って、中心領域の外側に同数の外側の領域を含む。1次元のデバイスの場合のように、これらの選択によって、幾つかの異なる画像が、各方向で傾きに応じて表示され、好ましくは各々の場合において同数の異なる画像が表示されるようになる。
【0030】
画像要素アレイの特定の配置は、少なくとも部分的に集束要素アレイの配置に依存することになるが、好ましくは、各ユニットセルは、実質的に集束要素の1つのフットプリントに対応する(サイズ及び/又は形状の観点で)。当然のことながら、集束要素のフットプリントは、主に要素のフォーカス面の形状によって必ずしも決定されない。例えば、球面又は非球面のレンズは、円形のフットプリントを有する必要はないが、矩形又は正方形であることができる(例を以下に示す)。
【0031】
各セル中の画像要素位置の数及び配列(有利には、1次元のデバイスに関して少なくとも3つ、2次元デバイスに関して少なくとも5つ)は、現れることが望まれる異なる画像の数を含む因子と、デバイスが1次元で動作するか、又は2次元で動作するかいうことに依存する。しかし、好ましくは画像要素位置の奇数の整数が、各ユニットセル内で規定される。この場合において、ユニットセルの中心点は、典型的には交差部分ではなく1つの画像要素位置内に収まる。したがって、各セルは例えば5、7、9、11、13・・・の異なる画像要素位置を規定することができる。理論上は、含まれることのできる画像要素位置の数に上限はないが、実際は、画像要素位置の数が増加するにつれて、画像の解像度は低下する。なぜなら、各々の画像の表示に利用できるユニットセル領域の(したがって全体としてデバイスの)絶対的な割合が減少するからである。また、実際の実施において、1つのユニットセル中で形成することのできる画像要素位置の数は、画像要素を形成することのできる解像度により制限される。
【0032】
例えば、最小の印刷寸法が15ミクロンである1次元のデバイスの画像要素を形成するために、インクベースの印刷法を用いる場合、45ミクロン幅のユニットセルに関して、最大で3つの画像細片をセルの幅に亘って与えることができる。ユニットセルが60×60ミクロンである類似の2次元デバイスにおいては、最大で16(=4×4)個の画像要素位置を含めることができる。しかし、(例えば、印刷により画像要素を形成するのではなく、レリーフ構造の使用により)最小の印刷寸法を約1ミクロンのレベルに下げることができることを考慮すると、画像要素の数は、所望の視覚的効果、及び印刷ツールの始まりの間に使うことのできる画像データファイルのサイズにより、制約される可能性がより高いであろう。多数のマトリックス位置を要求するデザイン効果の型としては、アニメーション効果、及び特に連続的かつ水平の視差効果が挙げられる。しかし、そのような場合でさえ、概して、観察者はより小さい角度増分を解像することができないため、傾斜角度当たり1つより多くの画像要素位置を有することの十分な利益はない。実際は、デバイスが、典型的には各直交軸において約30〜35度の範囲の観察角度に亘って観察されるため、各ユニットセル中の画像要素位置の数の実際の上限は、約30×30(すなわち900)であり、これにより滑らかな視差効果又はアニメーション効果を達成することができる。しかしこれは、30ミクロン寸法の集束要素及びユニットセルに関して、寸法が1ミクロンであるデータ要素を形成する能力を要求するであろう。
【0033】
しかし、実際には、2〜3度の角度幅でさえ、ざらざらしない外観のために十分小さい場合があり、したがって、データ要素を約3ミクロン寸法で形成することができるという条件で、ユニットセル当たり9×9又は11×11の画像要素のアレイは、良好な外観を与える。さらなる因子は、焦点(すなわち、各集束要素により観察者に向けられた画像要素アレイの部分)が、実際に典型的には、30ミクロンのレンズのベース寸法に関して1.5〜2ミクロン以上の有効幅又は直径を有するため、2ミクロン未満の寸法を有する画像要素が分解可能でないことである。したがって、30ミクロンの集束要素に関して、ユニットセル当たりの好ましい画像要素の最大数は、約15、11又は9(1次元のデバイスに関して)及び225(=15×15)、121(11×11)又は81(9×9)(2次元のデバイスに関して)である。
【0034】
中心領域は、ユニットセルのものと同様の形状を有してよく、又は有しなくてよい。2次元のデバイスにおいて、好ましくは、中心領域は細長いのではなく、例えば実質的に正方形、矩形、円形又は六角形であってよい。このようにして、2次元のデバイスにおいて、サブセットの効果は実質的に対称であることになる。
【0035】
上記のように、デバイスに亘る画像要素位置の幾つかは、画像に応じて空のままでよく、それは画像に寄与する。実際に、画像の1つ又はそれより多くは、少なくともデバイスの領域において空白であってよい。特に好ましい実施態様において、少なくとも外側の領域に対応する各々の画像が印を含むデバイスの領域に亘って、中心画像が空白であることにより、中心領域により伝えられる画像要素は、デバイスの領域に亘る各ユニットセルにおいて空である。観察者に対して、これはわずかな傾斜角において、デバイスの空白領域として見えることになり(中心領域を示した中心画像が表示されたとき)、それはデバイスをさらに傾けたときに、印により置き換えられる。デバイスを、ある端部から別の端部にその中心を通って傾けた場合、第一の画像により表示される印から第二の画像により表示される別の印に直接的に推移するのではなく、デバイスは、表示される印の間で空白になるように見える(そこでは中心画像が表示される)。これは、同じ領域に位置するが、重なっては見えない、第一及び第二の画像を視覚的に分離する。むしろ、ある画像は他の画像と明確に置き換わるであろう。
【0036】
中心画像が空白のない色である場合、類似の効果を達成することができる(“色”は、白色、灰色及び黒色等の無彩色のトーン、並びに赤色、緑色等のヒューを含む)。したがって、別の好ましい例において、少なくとも外側の領域に対応する個々の画像が印を含むデバイスの領域に亘って、中心画像が空白のない色であることにより、中心領域により伝えられる画像要素は、デバイスの領域に亘る各ユニットセル中の同一の空白のない色である。色は、背景材料、例えばデバイスが提供される、価値の文書の基材に合わせて選択することができ、この場合において、デバイスの存在は、中心画像が表示されたときに隠される場合がある。
【0037】
中心画像は、任意の他の形態、例えば3次元物体のビュー、アニメーションシーケンスにおけるステップ、又は文字、数、記号又は他の印をとることもできる。
【0038】
各ユニットセル内に規定された画像要素位置は、互いに離間することができるが、好ましい実施態様において、画像要素位置は互いに接し(abut)、かつ実質的にユニットセルを充填する。また、画像の解像度及び強度が高く維持されるため、これは強い視覚的影響に寄与する。
【0039】
全ての実施態様において、画像は任意の所望の形態を各々とることができる(上述のように空白のない色/空白を含む)が、好ましい例において、画像の少なくとも幾つか(例えば、中心画像又は外側の領域に対応する画像のいずれか)は、文字、数、記号、キャラクター、ロゴ、肖像、又は図形の1つを含む。種々の画像は、好ましくは互いに異なるが、その1つ又はそれより多く(全てではない)は、上述の更なる考察が考慮される場合に同一であることができる。各画像要素は、対応する画像の部分、例えばピクセルである。画像は、例えば文字又は数、例えば“A”、“B”、“C”、“D”及び“E”のシーケンス、又はアニメーションフレームのシーケンス、又は3次元の物体又はシーンの異なるビューを含むことができる。幾つかの好ましい例において、画像の全ては、全ての観察角度においてセキュリティデバイスにより表示される共通の画像成分(すなわち“キーライン”)を含む。デバイスを傾けたときに連続的に見える、そのような成分の存在は、互いに異なる角度においてデバイスの外観を比較することと、それによる視覚的効果の変化を評価することにおいて、観察者を助ける。1つの特に効果的な実施において、共通の画像成分は、領域を取り囲む輪郭であり、その領域の中身は異なる画像間で変化する(例えば色に関して)。したがって、キーラインはフレーミング要素として働くことができる。または、キーラインを、画像の内側部分の周囲の境界、又は画像のセクションとして形成することができる。
【0040】
2次元のデバイスにおいて、集束要素及び画像要素は、種々の方法で配置することができる。好ましい例において、集束要素が配置されるグリッドは直交グリッドであり、ユニットセルは正方形又は矩形である。他の好ましい実施において、集束要素が配置されるグリッドは、六角グリッドであり(例えば最密の)、ユニットセルは六角形、好ましくは正六角形である。視覚的変化の割合が、デバイスを直交方向に傾けたときに実質的に等しいためには、等しい面長さを有するユニットセルが好ましい。
【0041】
好ましい例において、集束要素はレンズ又はミラーであり、2次元のデバイスにおいて、有利には、球面又は非球面のフォーカス面を有する。集束要素は、(典型的には全て同一平面に存在する)アレイ中の画像要素のいずれかからの光を、観察角度に応じて観察者に対して向けることができるはずである。焦点能力は、例えばデバイスを1つの方向に傾けたときに、画像が焦点から出るように見える効果を得るために、異なる方向において異なることができるが、好ましくは、各集束要素は、少なくとも2つの直交方向の各々において実質的に等しい焦点能力を有する。特に好ましい実施態様において、集束要素は、球面レンズ及び幾つかの非球面レンズにおける場合のように、全ての方向において実質的に等しい焦点能力を有する(すなわち、各々が無限の回転対称性を有する)。好ましくは、焦点距離は、各方向に沿った全ての観察角度、最も好ましくは全ての方向において実質的に同一である(例えば、+/−10ミクロン以内、より好ましくは+/−5ミクロン以内)。
【0042】
集束要素アレイの周期性、したがって個々の集束要素の最大のベース寸法(フットプリント)は、デバイスの厚みと関係があり、好ましくは5〜200ミクロンの範囲、好ましくは10〜70ミクロン、最も好ましくは20〜40ミクロンである。これは、2つの寸法の両方に適用される。集束要素のf値は、好ましくは0.25〜16の範囲、より好ましくは0.5〜10の範囲である。典型的には、f値は0.7〜8、特に1〜4の範囲である。f値はf/Dに等しい(fは焦点距離、Dは集束要素のベース直径である)。fがr/(n−1)(nは屈折率(=約1.45〜1.5)であり、rは半径である)と近似されるため、f値は2rと近似される。平凸又は凹レンズに関して、f値は1.0未満であることができない(Dの最大値が2rであるため)。集束要素は、種々の方法で形成することができるが、好ましくは熱的エンボス加工又は注型硬化レプリケーションのプロセスを介して作製される。または、US‐B‐6856462に記載のように、印刷された集束要素を用いることができる。集束要素がミラーである場合、反射層を、フォーカス面に適用してもよい。
【0043】
幾つかの好ましい実施態様において、画像要素はインクにより規定される。画像要素を形成する好ましい印刷技術は、WO‐A‐2008/000350、WO‐A‐2011/102800、及びEP‐A‐2460667に開示のものを含む。したがって、画像要素は、基材上に単に印刷することができるが、レリーフ構造により画像要素を規定することも可能である。これは、デバイスをより薄く構成することを可能にし、このことは、セキュリティ文書と共に用いるときに特に利点である。好適なレリーフ構造は、基材中又は基材上にエンボス加工又は注型硬化することにより形成することができる。言及した2つのプロセスのうち、注型硬化により複製の忠実度がより高くなる。
【0044】
以下でより詳細に議論されるように、種々のレリーフ構造を用いることができる。しかし、画像要素は、回折格子の構造として画像をエンボス加工/注型硬化することにより作製することができる。画像の異なる部分は、異なる回折色を含む領域を与える、格子(grating)の異なるピッチ又は配向の使用により区別することができる。代替の(及び/又はさらに差異を生じさせる)画像構造は、モスアイ(例えばWO‐A‐2005/106601を参照)等の反射防止構造、ゼロ次元回折構造、Aztec構造(例えばWO‐A‐2005/115119を参照)として知られる段状表面のレリーフ光学構造、又は単純な散乱構造である。ほとんどの用途の場合、輝度とコントラストを高めるために、これらの構造を部分的に又は完全に金属化することができる。典型的には、各画像要素位置の幅は、50ミクロン未満、好ましくは40ミクロン未満、より好ましくは20ミクロン未満、最も好ましくは5〜10ミクロンであってよい。
【0045】
好ましくは、画像要素のアレイは、集束要素の焦点面におおよそ位置する。本発明に係るセキュリティデバイスの典型的な厚みは、5〜200ミクロン、より好ましくは10〜70ミクロンであり、レンズの高さは1〜70ミクロン、より好ましくは5〜25ミクロンである。例えば、厚みが50〜200ミクロンのデバイスは、運転免許証及び身分証明書の他の形態等のカードにおけるオーバーラミネート等の構造、並びに高度のセキュリティラベル等の他の構造での使用に好適である場合がある。好適な最大の画像要素幅(デバイスの厚みに関連する)は、したがって各々25〜50ミクロンである。厚みが65〜75ミクロンのデバイスは、例えばポリマー紙幣の窓化及び半窓化領域に亘って位置するデバイスに好適である場合がある。対応する最大の画像要素幅は、したがって各々約30〜37ミクロンである。最大厚みが35ミクロンであるデバイスは、細片、パッチ、又はセキュリティスレッドの形態の紙幣等の文書への応用に好適である場合があり、またレンズ及び画像要素の両方が、文書基材の同一面上に位置するポリマー紙幣に適用されるデバイスにも好適である場合がある。
【0046】
レリーフ構造として画像要素が形成される場合、レリーフ深さは、レリーフの形成に用いられる方法に依存する。レリーフが回折格子により与えられる場合、その深さは典型的には0.05〜1μmであり、よりざらざらした非回折レリーフ構造が用いられる場合、レリーフ深さは好ましくは0.5〜10μm、さらにより好ましくは1〜5μmである。
【0047】
好ましくは、セキュリティデバイスは、セキュリティスレッド、細片、フォイル、インサート、ラベル又はパッチとして形成される。窓化されたスレッドとして、又は文書中の開口部をカバーする細片として含める周知の技術を用いて、係るデバイスを価値の文書等の物品に適用し、又は組み入れることができる。好ましくは、物品は紙幣、小切手、パスポート、身分証明書、保証書、収入印紙及び価値又は個人情報の保護に関する他の文書から選択される。
【0048】
または、係る物品は、上記の分類の一体的に形成されたセキュリティデバイスを備えることができる。したがって、好ましい実施態様において、物品は、集束要素と画像要素が各々与えられる対向する面に、透明部分を備える基材を含む。
【0049】
既に記載したように、本発明は、さらに上記に示したようにセキュリティデバイスの製造方法を提供する。好ましくは、方法は、集束要素のアレイと画像要素のアレイを互いに位置合わせして重ね合わせることを含み、好ましくは、上述の更なる利点を与えるために、各ユニットセル中の中心領域が、対応する集束要素の中心と揃うことにより、セキュリティデバイスの平面に対する垂線に沿ってセキュリティデバイスを観察したときに、中心画像が表示されるように重ね合わせることを含む。
【0050】
セキュリティデバイスの例は、ここで記載され、添付の図面に関して比較例と対比される。
【発明を実施するための形態】
【0052】
ある種の動作原理を示すために、レンティキュラーデバイスの比較例が、
図1及び2に示される。
図1は、遠近法でデバイスを示し、円柱レンズ4のアレイが、透明基材2上に配置されていることがわかる。画像要素のアレイすなわち“細片”6は、円柱レンズの下の(かつこれと重なり合う)基材2の反対側の面上に与えられ、
図2の断面図に最もよく示されるように、画像細片の各々は、A〜Gでラベルされた幾つかの画像の1つの部分に対応する。画像細片の全ては、実質的に同一平面にある。レンティキュラーアレイの各レンズ4の下方において、領域A〜Gの各々から1つの画像薄片が与えられ、画像要素の組7を形成する。第一のレンズの下方において、組中の細片は、各々の画像A〜Gの第一のセグメントに各々対応し、次のレンズの下方において、次の組中の細片は、各々の画像A〜Gの第二のセグメントに各々対応し、以下同様である。各レンズ4は、1つの観察位置から各レンズ2を通して理想的には1つの細片だけを観察することができるように、画像細片6の面内で実質的に焦点を合わせるように配置される。したがって、いかなる観察角度でも、画像(A、B、C等)のうちの1つに対応する細片だけが、レンズを通して見えることとなる。例えば、
図2に示されるように、デバイスを直線上(すなわちZ軸に平行)で観察したとき、画像Dの各細片は、画像Dの複合画像が表示されるように見える(観察者O
1)。第一の方向において、Y軸周りでデバイスを傾けたときには、画像Eからの画像細片だけが見え(観察者O
2)、反対方向に傾けたときには、画像Cからの画像細片だけが見える(観察者O
3)。レンズは、画像細片の各々からの光を、観察角度に応じて観察者に向けることができる。
【0053】
細片は画像の薄片として配置され、すなわち、細片Aは全て1つの画像からの薄片であり、細片B、C等に関して同様である。結果として、デバイスを傾けたときに、一連の異なる画像が見えることになる。画像は関連付けられる場合もあり、関連付けられない場合もある。最も単純なデバイスは、デバイスを傾けたときに、互いの間で反転する2つの画像を有する。または、画像は、細片間で横方向にずらされた一連の画像であることができ、画像が動くように見えるようなレンティキュラーアニメーション効果を生じさせる。同様に、画像から画像への変化により、より複雑なアニメーション(例えば、画像の部分が準連続的に形態において変化する)、モーフィング(1つの画像がわずかなステップで別の画像に変形する)、又はズーミング(画像が次第に大きくなるか又は小さくなる)を生じさせることができる。
【0054】
実際上は、
図1及び2に示されるようなデバイスは、概して1つの画像から他の画像への表示の推移は期待されるほどには明確でない。なぜなら、ある観察角度において、各レンズによって、画像要素アレイの部分は、画像細片のただ1つのものに対応しないが、2つの細片間の交差線を含む場合があり、この場合において、観察者が2つの対応する画像の混合を見ることになり、その結果視覚的混乱とデバイスの有効性の減少をもたらすからである。これは、デバイスが観察されるときに全体に平らでない場合があり、このことが見える形状にさらなる歪みを生じさせるため、デバイスが柔軟な基材上に形成される場合(セキュリティ文書の分野において典型的な場合である)に悪化する。
【0055】
図3は、本発明によるセキュリティデバイス10の第一の実施態様を平面図で示す。デバイスの物理的構成は、
図1及び2に示されるものと同じであり、透明層上に配置され、かつ画像要素アレイ16と重なり合った円柱レンズ14のアレイを備える。アレイ16を構成する画像要素の全ては、実質的に同一面内にある。各レンズ14のフットプリントは太線により示され、対応する、画像要素18の組17は、各レンズ14にあてがわれることがわかる。画像要素の組17は、デバイスに亘って繰り返されるユニットセルの構成に従って配置される。したがって本例において、各ユニットセル17は、7つの画像要素18の位置を規定する(ただし、任意の数の画像要素を含むことができる)。比較例のように、ここでは各画像要素18は、対応する画像の部分を表す細長い画像細片である。したがって例えば、各ユニットセル17における一番左の画像要素位置は、本実施態様において画像“A”の細片を伝え、各ユニットセル17における一番右の画像要素位置は、異なる画像“F”の薄片を伝える。
【0056】
比較例とは異なり、ユニットセル17内で、画像要素位置18は全てが等しいサイズではない。ここでは画像要素位置19に対応する中心領域は、中心画像“X”の画像要素を伝えるように割り当てられ、これは、ここでは他の個々の画像要素18に対応する他の画像A、B、C、D、E及びFを伝えるように割り当てられた領域のいずれよりも大きい。この例において、中心画像要素19の拡大されたサイズは、各側の隣接する画像要素“C”と“D”のサイズの対応する減少(従来の配列と比較して)により調整される。例えば、中心画像要素位置19は、隣接する要素の各々に前もって割り当てられた空間の半分をさらに占める場合があり、中心画像要素19が、要素“A”、“B”、“E”及び“F”の各々の約2倍の幅であり、要素“C”及び“D”の各々の幅の約4倍であるという結果を伴う。
【0057】
他の画像の各々に対応する割合より大きいように、中心画像Xに寄与するユニットセル17の割合を調整することにより、中心画像は他の画像の各々より大きな連続的な観察角度に亘って表示されることになるため、デバイスにより示される視覚的混乱が低減する。レンズ14により観察者に向けられる中心画像要素位置19内の画像要素アレイ16のどの部分であっても、同一の画像“X”が表示される。すなわち、デバイスの柔軟性により、見える形状に関する歪みが生じていたある程度小さな傾斜角において、デバイスは、他の画像A、B、C、D、E又はFのいずれからも干渉されることなく、くっきりとした単一の画像(画像X)を連続的に表示することになる。故意にデバイスをより大きい傾斜角に傾けた場合にのみ、外側にある画像A、B、C、D、E及びFへの推移が表示される。この結果は、傾斜に応じた所望の光学的に変動する効果を維持したまま、強い視覚的影響を有するデバイスである。
【0058】
図3に示される配列では、他の外側の画像要素より、画像要素“C”と“D”が小さいため、各々の画像“C”と“D”は、相応にわずかな観察角度の範囲に亘って表示される。好ましい場合は、中心画像要素位置19の外側の画像要素位置18は、これを避けるために、代替的に全てが等しいサイズであることができる。
【0059】
中心画像要素19は、ユニットセル17の中心を含むように位置し、より好ましくは、
図3に示されるようにユニットセル17の中心点に位置する。これは、初期観察位置であるため、デバイスの垂線(すなわちZ軸)に沿うか、又は垂線に近い観察角度において、中心領域19により表示される画像を見えるようにするのに望ましい。最も好ましくは、デバイスを軸上で観察したときに、中心領域19により表示される画像が見えることを確実にするために、各集束要素の中心が各ユニットセルの中心と実質的に一致するように、集束要素(レンズ14)のアレイが画像要素16のアレイと位置合わせされるが、これは必須ではない。したがって、中心領域19により表示される画像は、便宜上“中心”画像と呼ばれる。
【0060】
ユニットセル17の異なる領域により表示される画像A、B、C、D、E、F及びXは、各画像要素が次のものから明確に区切られるように、全てが好ましくは互いに異なる。これは必須ではないが、2つ又はそれより多くの隣接する画像要素18が、同一の画像に割り当てられている場合には、事実上、それらは組み合わさって、全体と考えるべき、従って中心領域19より小さいことがよい、単一のより大きい要素を形成する。これは、2つ又はそれより多くの隣接する画像要素が、同じユニットセル17中に含まれていても、隣接するユニットセル中に含まれていても当てはまる。例えば、画像A及びFが互いに同一である場合、それは各ユニットセルとその隣との間の境界にて互いに隣にあるため、画像AとFに割り当てられた要素18の合計の幅を考えるべきである。さらに、例えば画像CとDが同一である場合、その画像に割り当てられた画像要素18は互いに隣接しないため、その2つは組み合わさってより大きな有効な要素を形成せず、各々は独立であると考えるべきである。画像C/Dは、要素Xが間にあるため、要素C、次いで要素Dが観察者に向けられる観察角度の全範囲に沿って、連続的に表れることはない。
【0061】
図4及び5は、異なる観察角度における
図3デバイスにより表示される場合のある画像の例示的な組を示す。線−xから+xは、デバイスをx軸において傾けたときの(すなわちy軸周りで)観察角度を表す。破線は、ある画像から次の画像に切り替わることが把握される観察角度を示す。これらの例の両方において、デバイスにより表示される7つの画像の全ては、互いに異なる。
【0062】
図4の例において、中心領域19により表示される中心画像20は、空白のない色(例えば、黒色、白色、灰色、赤色、青色、銀色等)であり、又は類似して全体に亘って空白である。各々の場合において、各ユニットセル17中の中心画像要素19は、デバイス10に亘って同一であり、空白のない色又は空のままである薄片を各々表示する。したがって、デバイスを軸上で観察したとき、デバイス10は空白のない色の領域として見えたり見えない場合があることになる。デバイスをX軸方向において(Y軸周りで)+/−X
1度以下のわずかな傾斜角で傾けたときにデバイスにより表示される画像は、観察者に向けられる各ユニットセル17内の画像要素アレイ16の部分が、中心画像要素19内に留まるため、変化しない。したがって、デバイスの意図しない動き又は柔軟性により生じる場合のある、軸上の観察位置からのわずかな逸脱に関して、デバイスの表示は変化しないままであり、かつ、干渉のない中心画像の強く、くっきりとした表示を表す。X方向に傾け続けると、観察者に向けられる画像要素アレイ16の部分は、最終的に中心画像要素19の外周に到達し、その箇所では、デバイスディスプレイが画像24(ここでは文字“D”を表す)、次いで画像25(文字“E”を示す)、最後に画像26(文字“F”)に推移する。反対方向にこの位置から傾けると、中心画像20に戻る前に、デバイスは画像25、次いで画像24に戻り、次いで傾け続けると、さらなる画像23(文字“C”)、次いで画像22(文字“B”)、そして最後に画像21(文字“A”)を表示する。
図4に示されるように、中心画像20が表示される角度の範囲は、他の画像21〜26のいずれか1つが表示される範囲より大きい。
【0063】
好ましい例において、画像の全範囲を、約30度の全観察角度に亘って見ることができる(すなわち垂線の各側において+/−15度)。中心画像20が見える範囲の角度は、見るべき異なる画像の数に依存するが、任意の他の画像が見える範囲より大きい。例えば、好ましい実施態様において、中心画像20は、最大で垂線から2〜10度、より好ましくは垂線から2.5〜5度の閾値角度(画像23又は24の切り替えが起こる角度)で表示されてよい。したがって、中心画像が表示される範囲の角度は、例えば4〜20度、より好ましくは5〜10度であってよい。
【0064】
この、及び全ての他の実施態様において、デバイスにより伝えられる各画像が表示される観察角度は、テーブル上にデバイスを置くことと、カメラを介して表示される画像を観察することと、テーブル及びカメラの間の角度を測定することとにより測定することができる。例えば、デバイスは垂直な支持体(平面)上にマウントされてよく、それは、好ましくは円形のベースにマウントされる。このベースは、その上に支持体に対して垂直な位置マーカーを有する。ベースの上側が、水平方向に対して垂直である回転軸周りで下側の表面に対して回転し、かつ支持体の面内にあるように、ベースは、下側の表面上に位置している回転軸中又は回転軸上に位置する。好ましくは、ベースの下側の外周は角度単位の度の目盛りがついている。カメラを、その光軸が支持体に対する垂線に沿って存在するように配置することができ、次いで画像の推移が起こるまでベースの上側を回転させることができる。対応する角度方向の動きは、下側の表面等から測り分けられる。
【0065】
空白のない色又は空白ボイドとして中心画像20を形成することにより、これらは、次から次へ直接的に推移しないことになるため、視覚的分離のさらなる程度が画像22と23との間に導入される。さらにいえば、デバイスを傾けたとき(例えば画像22から画像23に)、表示される文字“B”は消え、文字“C”の画像が見えるようになる前に、空白/空白のない色の背景が示される。これは2つの画像の任意の視覚的重なりを避けるため、さらに視覚的混乱を低減する。
【0066】
図5は、
図3デバイスにより表示される場合のある画像のさらなる例を示し、ここでは画像は3次元の物体の異なるビューである。デバイスを軸上で観察したときに表示される中心画像20は、物体の前面図(ここでは直方体)であり、各ユニットセル内の上述した拡大された中心画像要素19のために、わずかな傾斜角を通してデバイスが移動する際に変化しないままである。デバイスをX方向に傾けたとき、より大きい傾斜角で画像24への推移が見られることにより、同一の物体がこの時点で斜視図で現れ、次いで画像25と26が連続して表示され、その各々では、物体がさらに回転して現れる。同様に、デバイスを反対方向に傾けた場合、反対側の面から同一の物体の異なるビューが表示される(画像21、22及び23)。また、中心画像20に割り当てられた(外側の画像要素と比較して)比較的大きい中心画像要素19の提供は、デバイスを軸上又は軸付近で観察したときにくっきりとした安定な外観を与え、一方で光学的に変動する効果はより大きい傾斜角において保持される。
【0067】
これまでに示したデバイスにおいて、上述の光学的に変動する効果は、デバイスをY軸の周りで傾けたときに観察されるだけである(すなわち、これらは“1次元の”レンティキュラーデバイスである)。円柱レンズが1つの方向にだけ(X軸に平行)光を集束させるため、X軸の周りでデバイスを傾けることは、観察できる変化を作り出さない。対照的に、
図6は本発明のさらなる実施態様によるセキュリティデバイスを示し、それは2次元で、すなわち、少なくとも2つの垂直な軸のいずれか、好ましくはX軸及びY軸にデバイスを傾けたときに、光学的に変動する効果を生み出すことができる。実際上、下方の画像要素の配列に応じて、本例は、X‐Y平面にある任意の方向の周りでデバイスを傾けたときに、係る効果を生じさせることができる場合があるが、これは必須ではない。ここでは、セキュリティデバイス10は、規則的な直交グリッドパターンで配置された半球レンズの形態をとる集束要素14のアレイを含むが、他の実施態様において集束要素14はミラーであることができる。集束要素は、好ましい場合は非球面集束表面を有することもできる。したがって、各集束要素14は、少なくとも2つの直交方向、例えばX軸と平行、及びY軸と平行に光を集束させることができる(実際に、球面及び非球面レンズは全ての方向に光を集束させることができる。)。透明基材12の反対側の面上の下側の画像要素16のアレイは、以下でより詳細に記載される(
図6及び7で単に概略的に示される)が、例えばUS‐A‐6483644に記載の、複数の画像からの織り交ぜられた要素の同じ原理を用いて、X及びY方向両方で周期的なアレイにおいて配置された画像要素を含む。画像要素アレイの周期性及び配向は、集束要素アレイ14のものと実質的に同一であり、したがってこの場合においても直交グリッドを基礎とする。
【0068】
図7aは、X軸に沿ったデバイス10の部分を通る断面を示し、それは上述の
図2と比較できることがわかる。ここでは、観察者O
1(第一の軸から外れた位置からデバイスを観察する)は、レンズ14により観察者に向けられた画像要素Aからの光を有する。
図7bは、
図1のデバイスとは違って、Y軸に沿ったデバイス10の別の部分を通る断面を示し、ここでは断面はX軸に沿ったものと実質的に同一である。レンズ14は、この方向においてさらに光を集束させることができるため、ここでは、第二の、軸から外れた異なる位置からデバイスを観察する観察者O
2が、異なる画像Bが見えるように画像Bを把握することになるような光学的に変動する効果が、X軸の周りでデバイスを傾けたときにさらに観察されることになる。したがって、
図3及び4に示されるデバイスは、デバイスをX軸の周りで傾けたとき、及びデバイスをY軸の周りで傾けたときの両方で異なる画像間の推移を表示することができる。
【0069】
図8は、画像要素の配列、及び本発明の第二の実施態様によるレンズアレイに対するその位置を示し、それは
図6に示される型のデバイスにおいて用いることができる。この場合において、レンズアレイ14は、レンズの直交グリッドであり、その各々は実質的に正方形のフットプリント14aを有する。5つのレンズ(X軸方向において)×3つのレンズ(Y軸方向において)のアレイが示される。画像要素アレイ16は、レンズのフットプリント14aと実質的に同じ形状及びサイズ、すなわち実質的にこの例において正方形である繰り返しのユニットセル17上を基礎とする。また、5つのユニットセル(X軸方向において)×3つのユニットセル(Y軸方向において)のアレイが示される。
【0070】
画像要素位置18の数(すなわち“セクター”)は、ユニットセル17内に規定される。この例において、各セル17中に25個の画像要素位置18があり、中央の画像要素位置19が、外側の位置に対して拡大された5×5のアレイ中に配置される。上述のように、サブセット19が、
図8の場合のようにユニットセル17の中心点に位置することが好ましいが、このことは、それが中心点を含む限り必須ではない。この場合において、各画像要素位置18、19は、対応する画像に属する画像要素に割り当てられる。すなわち、中心画像要素位置19は、中心画像に割り当てられた中心領域を構成し、中心領域の外側の各個々の要素18は、各々の外側の画像に割り当てられた外側の領域を構成する。より一般的には、中心画像と異なる画像の要素を伝える係る外側の領域は、少なくとも1つの方向においてサブセット19の外側に存在するのがよいが、
図8に示されるもの等の好ましい例において、係る外側の領域は直交方向両方(例えばX軸及びY軸に沿って)において中心画像要素19の各側に与えられる。
【0071】
本例において、サブセット19の外側の画像要素位置18の各々は、異なる各画像に対応する異なる画像要素を伝える(したがってこの場合において、各画像要素位置は異なる“外側の領域”を構成する)。例えば、X軸に沿って、サブセット19の外側の画像要素位置18は、画像A、B、C及びD各々の要素を伝え、Y軸に沿って、画像E、F、G及びHに対応する外側の画像要素がある。角の画像要素位置が
図8中でラベルされていない一方で、典型的には、これらはさらなる画像の要素も伝えることに留意されたい。同様に、明確にするために、1つのユニットセル17のみの内容が
図8でラベルされており、当然これはデバイス全域で繰り返されることが理解されるであろう。
【0072】
図3の実施態様のように、本例において、画像要素19の大きくしたサイズは、直接隣接した画像要素18のサイズの減少により与えられるが、他の場合において、外側の要素は、全て上記と同様のサイズであることができる。本例において、中心画像要素は、ユニットセル17の外周における最も外側の画像要素の約4倍のサイズ(面積で)、かつ2倍の幅寸法(xとy方向両方で)である。
【0073】
また、
図8は種々の軸から外れた位置の4人の観察者O
a、O
b、O
c及びO
dの位置を概略的に示す。
図9は、
図8に示される種類のデバイスによりこれら及び他の視点から表示される場合のある例示的な画像を示すが、この場合において、選択された画像要素に割り当てられたある画像は、さらに以下で議論されるように互いに同一である。軸上でデバイスを観察したとき、中心画像20が表示され、本例においては画像は太陽の形をした記号を示す。わずかな角度でのみ任意の方向にデバイスを傾け、又は変形させたとき、表示される画像は、観察者に向かう画像要素アレイ16の部分が画像要素位置19の内側に残ったままであるため、変化しないままである。これは、上記のようにデバイスの視覚的安定性を確実にする。
【0074】
観察者O
aの位置に対して、デバイスをX軸方向に沿って(Y軸の周りで)傾けたとき、各ユニットセル中のCでラベルされた画像要素位置、次いでDでラベルされた画像要素位置が、連続的に観察者に向けられるため、画像23、次いで24は全体としてデバイスにより表示され、それらの画像は同一の太陽の形をした記号を示すが、そのサイズは減少している。観察者O
bの位置と反対側の方向にデバイスを傾けたとき、Bでラベルされた画像要素、次いでAでラベルされた画像要素が表示され、その結果は画像22、次いで21の連続した観察であり、それらの画像は同一の太陽の形をした記号を減少したサイズで再び示す。したがって、デバイスをX軸に沿って観察者O
a及びO
bの位置の間で傾けたとき、デバイスはサイズが増大したり減少したりする太陽の形をした記号を表示するように見える(“ズーミング”効果の例)。画像22及び23のように、画像21及び24は互いに同一であることに留意されたい。画像22/23を示す画像要素BとCは互いに離れているため、ユニットセルの傾けを考慮すると、それらは組み合わさって連続的な観察領域を形成しないため、個別に考えるべきである。しかし、画像21/24を示す要素AとDは、ユニットセルの端部に位置するため、それらは次のユニットセル中の同一の画像の要素と隣接している(例として要素D’を参照)。したがって、2つの要素(AとD)は、効果的に組み合わさって連続的な観察領域を形成する(ユニットセル自体においてそれらは互いに隣り合わないにもかかわらず)。その全面積は、太陽の記号の最も大きな画像を表示する中心画像20が、最も大きな連続的な観察角度範囲に亘って表示されるために、中心領域19のもの面積より小さいことがよい。観察者O
cの位置に対してY軸に沿って反対側の方向(すなわちX軸の周りで)にデバイスを傾けたとき、画像26と27に対応する画像要素F、次いでEが表示され、それらは太陽の形をした記号が月の記号に替わる(画像25)“モーフィング”シーケンス中の段階を示す。反対方向においては、画像27と28に対応する画像要素G、次いでHが表示され、太陽の形をした記号が星の記号にモーフィングする。また、太陽の形をした記号20は、画像25、26、27又は28より大きい角度の範囲に亘って表示される。この場合において、画像25〜28は全て異なるため、別のものと組み合わされる個々の画像要素E、F、G及びHはなく、それらは個別に考えることができる。中心画像20が表示される観察角度の好ましい範囲は、
図4に関して議論したものと同様であり、x及びy方向両方に適用される。
【0075】
他の画像要素(画像29等)により表示される画像は、
図9に表されていないが、例えばモーフィングシーケンス中の小さくしたサイズの関連する記号を含むことができ、例えば画像29は画像26中のものと、小さくしたサイズではあるが一致する丸の記号であることができる。これは、y軸傾斜により活性化されるモーフィング効果との組み合わせでx軸傾斜により活性化されるズーミング効果の印象を維持するであろう。
【0076】
図10は、同様に中心画像に対応する拡大された中心画像要素位置19と画像要素位置18の5×5アレイに基づく別のユニットセル17の例を示す。中心領域19の外側において、ユニットセルは8つの外側の領域30、31、32、33、34、35、36及び37に分けられ、その各々が複数の画像要素位置18を含む。各領域内において、画像要素位置の各々は、同一の画像からの画像要素が割り当てられる。したがって、領域30中の画像要素は、画像“A”の部分を伝える場合があり、領域31中の画像要素は画像“B”の部分を伝える場合があり、他も同様である。しかし、上述したような向上した視覚的安定性を維持するために、中心領域19は、外側の領域30、31等のいずれよりも大きいのがよい。
【0077】
図11は、さらなる実施態様において用いることのできる別のユニットセル17を示す。本例において、ユニットセルは正方形又は矩形ではなく六角形であり、同様に拡大された中心画像要素19を含む。本例において、中心画像要素19の外側の画像要素位置18の各々は、異なる各画像に対応する。本例において、外側の画像要素位置18の全ては同一のサイズであることに留意されたい。
【0078】
これまでの例において、その面積がユニットセル中の任意の他の画像要素位置の面積よりより大きい場合には、中心画像要素19は、他の画像要素位置18に対して拡大される。このことは、好ましいが、第一又は第二の方向(例えばx又はy軸)に沿った中心画像要素19の幅寸法が、対応する外側の画像要素位置のいずれの寸法よりも大きいならば必須ではない(少なくとも2次元のデバイスにおいて)。なぜなら、これは、デバイスをその方向に傾けたときに視覚的安定性を達成するからである。好ましくは、この基準は、どの方向にデバイスを傾けても安定性が達成されるように、第一及び第二の方向両方に適用される。このように任意の相対的な拡大は、対応する画像安定性の向上を達成する。しかし、好ましい場合において、中心画像要素は、画像要素位置の関連する幅寸法(例えば正方形/矩形の画像要素位置の端部の長さ、又は円形の画像要素位置の直径)に関して、外側の画像要素位置18のいずれよりも少なくとも第一の方向において、かつ、好ましくは第二の方向においても、少なくとも10%大きく、好ましくは少なくとも25%大きい。外側の画像要素位置のサイズが様々である場合、これは、外側の画像要素位置の平均サイズと比較してよい。
【0079】
上記の実施態様において、中心画像を伝えるために割り当てられたユニットセルの中心領域は、単一の画像要素位置19を含む。しかし、同様の視覚的な安定性の向上は、本発明の第三及び第四の実施態様に関して記載されるような別の方法における中心領域の形成により達成することもできる。
【0080】
図12は、本発明によるセキュリティデバイス100の第三の実施態様を平面図で示す。デバイスの物理的な構成は、透明層上に配置され、かつ画像要素アレイ160と重なり合った円柱レンズ140のアレイを備える、
図1と2に表されたものと同様である。各レンズ140のフットプリントは太線により示され、対応する画像要素180の組170が各レンズ140に与えられることがわかる。画像要素の組170は、デバイスに亘って繰り返されるユニットセルの構成に従って配置される。したがって、本例において、各ユニットセル170は、7つの画像要素18の位置を規定する(ただし、任意の数の画像要素を含むことができる)。第一の実施態様のように、ここでは各画像要素180は、対応する画像の部分を表す細長い画像細片である。したがって、例えば各ユニットセル170中の最も左の画像要素位置は、本実施態様において画像“A”の細片を伝え、各ユニットセル170中の最も右側の画像要素位置は、異なる画像“D”の薄片を伝える。
【0081】
ユニットセル170内において、画像要素位置180のサブセット190が規定され(
図12で点線により外形が示される)、それはユニットセルの中心領域を構成し、かつ中心画像を伝えるために割り当てられる。サブセット190は、複数の画像要素位置180(ここでは3つ)を含み、それらは中心画像“X”からの同一の画像要素の複製を伝えるために、各々割り当てられる。サブセット190の外側の残りの画像要素位置180は、上記とほとんど同じ方法で、異なる各画像A、B、C及びDの画像要素を伝えるように割り当てられる。
【0082】
複数の隣接する画像要素位置180を割り当てることにより、対応する画像(サブセット190)からの同一の画像要素を伝え、他の画像に割り当てられたユニットセルの面積に対して大きいサイズの中心領域が同様に形成されて、デバイスにより示される視覚的混乱の低減をもたらす。レンズ140により観察者に向けられるサブセット190内の画像要素アレイ160のどの部分であっても、同一の画像“X”が表示される。すなわち、デバイスの柔軟性により、見える形状に関する歪みが生じていたある程度小さな傾斜角において、デバイスは、他の画像A、B、C、又はDのいずれからも干渉されることなく、くっきりとした単一の画像(画像X)を連続的に表示することになる。故意にデバイスをより大きい傾斜角に傾けた場合にのみ、外側にある画像A、B、C及びDへの推移が表示される。この結果は、傾斜に応じた所望の光学的に変動する効果を維持したまま、強い視覚的影響を有するデバイスである。
【0083】
前述のように、サブセット190は、ユニットセル170の中心を含むように位置し、より好ましくは、
図12に示されるようにユニットセル170の中心点に位置する。これは、初期観察位置であるため、デバイスの垂線(すなわちZ軸)に沿うか、又は垂線に近い観察角度において、サブセット190により表示される画像を見えるようにするのに望ましい。最も好ましくは、デバイスを軸上で観察したときに、サブセット190により表示される画像が見えることを確実にするために、各集束要素の中心が各ユニットセルの中心と実質的に一致するように、集束要素(レンズ140)のアレイが画像要素160のアレイと位置合わせされるが、これは必須ではない。したがって、サブセット190により表示される画像は、便宜上“中心”画像と呼ばれる。
【0084】
図13及び14は、異なる観察角度で
図12のデバイスにより表示される場合のある例示的な画像の組を表す。
図13の例において、サブセット190により表示される中心画像200は、空白のない色(例えば、黒色、白色、灰色、赤色、青色、銀色等)であり、又は類似して全体に亘って空白である。各々の場合において、各ユニットセル170中のサブセット190内の画像要素180は、デバイス100に亘って同一であり、空白のない色又は空のままである薄片を各々表示する。したがって、デバイスを軸上で観察したとき、デバイス100は空白のない色の領域として見えたり見えない場合があることになる。デバイスをX軸方向において(Y軸周りで)わずかな傾斜角で傾けたときにデバイスにより表示される画像は、観察者に向けられる各ユニットセル170内の画像要素アレイ160の部分が、サブセット190内に留まるため変化せず、この場合、画像要素の全てによって同一の画像200が表示される。したがって、デバイスの意図しない動き又は柔軟性により生じる場合のある、軸上の観察位置からのわずかな逸脱に関して、デバイスの表示は変化しないままであり、かつ、干渉のない中心画像の強く、くっきりとした表示を表す。X方向に傾け続けると、観察者に向けられる画像要素アレイ160の部分は、最終的にサブセット190の外周に到達し、その箇所では、デバイスの表示が画像230(ここでは文字“C”を表す)、次いで画像240(文字“D”を示す)に推移する。反対方向にこの位置から傾けると、中心画像200に戻る前に、デバイスは画像230に戻り、次いで傾け続けると、さらなる画像220(文字“B”)、次いで画像210(文字“A”)を表示する。中心画像200が見える好ましい観察角度の範囲は、
図4に関して議論したものと同様である。
【0085】
空白のない色又は空白ボイドとして中心画像200を形成することにより、これらは、次から次へ直接的に推移しないことになるため、視覚的分離のさらなる程度が画像220と230との間に導入される。さらにいえば、デバイスを傾けたとき(例えば画像220から画像230に)、表示される文字“B”は消え、文字“C”の画像が見えるようになる前に、空白/空白のない色の背景が示される。これは2つの画像の任意の視覚的重なりを避けるため、さらに視覚的混乱を低減する。
【0086】
図14は、
図12のデバイスにより表示される場合のある画像のさらなる例を示し、ここでは画像は3次元の物体の異なるビューである。軸上でデバイスを観察したときに表示される中心画像200は、物体の前面図(ここでは立方体)であり、各ユニットセル内の同一の画像要素の上記のサブセット190のために、わずかな傾斜角に亘ってデバイスを動かしたときに変化しないままである。X軸においてデバイスを傾けたとき、より大きい傾斜角において画像230への推移が観察され、したがって同一の物体が斜視図で現れ、次いで画像24が表示され、このとき物体はさらに回転したように見える。同様に、反対方向にデバイスを傾けると、反対側から同一の物体の異なるビューが表示される(画像210及び220)。同様に、サブセット190を形成するための各ユニットセル内の同一の画像要素の複数の複製の提供が、軸上又はその近傍でデバイスを観察したときに、くっきりとし、かつ安定した外観を与える一方で、光学的可変効果はより大きい傾斜角において維持される。
【0087】
図12の実施態様は、
図3のデバイスに類似する1次元のデバイスである。
図15は、同様の原理が2次元のデバイスに適用される、本発明の第4の実施態様を示す。
【0088】
したがって、
図15は画像要素の配列及び本発明の実施態様によるレンズアレイに対するその位置を示し、それは、
図6に示される型のデバイスにおいて用いることができる。この場合において、レンズアレイ140は、レンズの直交グリッドであり、その各々は、実質的に正方形のフットプリント140aを有する。5つのレンズ(X軸方向において)×3つのレンズ(Y軸方向において)のアレイが示される。画像要素アレイ160は、レンズのフットプリント140aと実質的に同一の形状及びサイズ、すなわち本例においては実質的に正方形の繰り返しのユニットセル170を基礎とする。また、5つのユニットセル(X軸方向において)×3つのユニットセル(Y軸方向において)のアレイが示される。
【0089】
ユニットセル170内に規定されるのは、画像要素位置180の数である(又は“セクター”)。本例において、5×5アレイ中に配置された各セル17中の25個の画像要素位置180がある。上記の実施態様のように、各画像要素位置180は、対応する画像に属する画像要素を割り当てられ、画像要素18の中心サブセット190は、サブセット190内の画像要素位置180の全てが共通の“中心”画像Xの同一の画像要素を伝えるように規定されることにより、デバイスによって伝えられる他の画像の任意の1つに割り当てられた領域より大きい中心領域を形成する。上記のように、サブセット190は
図15の場合のように、ユニットセル170の中心に位置することが好ましいが、このことは必須ではない。少なくとも1つの方向において、サブセット190の外側にある中心画像と異なる画像の要素を伝える追加の画像要素位置180は、
図15に示されるもの等の好ましい例において、そのような画像要素位置は直交方向(例えばX軸及びY軸に沿う)両方でサブセット190の各側に与えられる。サブセット190の外側にある画像要素位置180は、異なる各々の画像の画像要素(すなわちユニットセルの連続的な“外側の領域”を構成する各々の要素)を伝えるように各々割り当てられてよく、又は以下で議論するように、同一の画像の要素を伝える画像要素の幾つかのさらなる群(中心画像とは異なる)が形成されてよく、この場合において、各群が“外側の領域”を形成する。この場合において、中心サブセット190に割り当てられた画像要素位置の数は、任意の1つの他のそのような群に含まれる数より大きい。この原理は、1次元のデバイスと同様に適用されることに留意されたい。
【0090】
本例において、サブセット190の外側の画像要素位置180の各々は、異なる各々の画像に対応する異なる画像要素を伝える。例えば、X軸に沿って、サブセット190の外側の2つの画像要素位置180が画像AとBの要素を各々伝えることにより、上下のこれらの画像要素位置、異なる画像A’、A”、B’及びB”の要素が与えられる。これらは、例えば好適に変位した観察角度からの3次元の物体のさらなる図を示す場合がある。同様に、Y軸に沿って、2つの画像CとDの要素は、サブセット190の外側、かつこれらの画像要素位置の各側に与えられ、追加で画像C、C”、D’及びD”が与えられる。角の画像要素位置が
図15にラベルされていない一方で、典型的にはこれらはさらなる画像の要素も伝えることに留意されたい。同様に、明確化のために、1つのユニットセル170のみの内容が
図15でラベルされ、これは、当然デバイス全域に亘って繰り返されることが理解されるであろう。
【0091】
また、
図15は、種々の軸から外れた位置における4人の観察者O
a、O
b、O
c及びO
dの位置も示す。
図16は、これらの観察位置から
図15に示される種類のデバイスにより表示される場合のある例示的な画像を示す。軸上でデバイスを観察したとき、中心画像200が表示され、本例において(
図4の実施態様の場合のように)、画像は空白のない色又は印のない空白の領域である。わずかな角度だけ任意の方向にデバイスを傾けたとき、観察者に向けられる画像要素アレイ160部分がサブセット190の内側に保持されるため、表示される画像は変化しないままであり、この場合、各画像要素位置180は、各ユニットセル170中の同一の画像要素を伝える。
【0092】
X軸方向に沿って(Y軸周りで)観察者O
aの位置へデバイスを傾けたとき、各ユニットセルにおいてAでラベルされた画像要素位置は観察者に向けられ、これらは合わさって、本例において文字“A”の表示である画像210を形成する。反対方向に、観察者O
bの位置へデバイスを傾けたとき、Bでラベルされた画像要素が表示され、その結果は、ここでは文字“B”の表示である画像220の観察である。X軸に沿ってこれらの2つの画像間でデバイスを傾けたときに、文字Aの表示と文字Bの表示との重なりがないように、これらの表示の間で中心画像200が表示される。Y軸に沿って(すなわちX軸周りで)反対方向にデバイスを傾けたとき、文字C及びDを各々示すさらなる画像230及び240が、より大きい傾斜角度において見える。中心画像200が表示される好ましい観察角度の範囲は、
図4に関して記載されたものと同様である。
【0093】
上述のように、本例において、サブセット190の外側の各画像要素位置は、異なる各々の画像の部分を伝えるように割り当てられるが、このことは必須ではない。例えば、A、A’及びA”でラベルされた3つの画像要素位置は、群(又は“外側の領域”)を形成することができ、この場合各位置は同一の画像Aの要素を伝える。同様にB、B’、B”でラベルされたものは第二の群を形成することができ、各々が同一の画像B等の画像を伝える。
【0094】
中心領域が単一の、拡大された画像要素位置19(
図3及び8のもの等)を含む実施態様において、US‐A‐6483644の例に開示された技術により、他の画像のいずれのものよりも大きい画像要素に中心画像20を分けること、及び、選択された要素を中心画像要素位置に割り当てることにより、画像要素アレイを形成することができる。
【0095】
図12及び15の実施態様のように、複数の画像要素位置のサブセット190として中心領域を形成するために、
図17に示されるように修正した技術が要求される。これは、対応する観察位置からデバイスを観察したときに、全体としてデバイスにより表示される中心画像200と、アレイ160を構成する画像要素との間の関係をより詳細に示す。また、本例において各ユニットセル170は、25個の画像要素位置180の組を規定する。上記のように、画像要素アレイ160の各ユニットセル170内において、画像要素位置180の所定のサブセット190は、対応する中心画像の同一の部分(“画像要素”)を伝えるように各々割り当てられ、一方でサブセットの外側の他の所定の位置は、他の各々の画像の部分を伝えるために用いることができる。したがって、
図17に示される配列において、デバイスは、デバイスが傾けられたときに最大17個の異なる画像(中心画像(サブセット190内の画像要素位置により伝達される)と、サブセットの外側の画像要素位置により伝えられる最大16個の他の画像(各画像要素位置が異なる画像を割り当てられた場合))を表示するように構成される。
【0096】
図4及び
図16に示されるもの等の例において、中心画像200は、空白のない色又は空白であり、この場合において、デバイス全域に亘る各々のユニットセル170のサブセット190内の画像要素位置の全ては、同一の(適切な色又は空の)画像要素を伝える。中心画像が空白のない色ではないが、印又はパターンを含む場合、画像要素の分布はより複雑であるが、同様の原理が適用される。本例において、
図17aは“太陽”の記号の画像であり、かつモノクロである(ただしこれは必須ではない)中心画像200の例を示す。本例において、太陽の画像を取り囲む矩形は、セキュリティデバイスの範囲を規定し(すなわち集束要素アレイ及び/又は画像要素アレイの範囲)、画像のサイズは使用者による拡大がない観察に関して適切であるものである。
図17bは、画像200の拡大詳細図を示し、そのセル170への分割を示す(ここでは矩形の直交グリッド上に配置されているが、このことは必須ではない)。このセルのセグメントの外周は、画像要素アレイと重なり合った集束要素アレイ140のものに対応するように選択され、すなわち、最終的に1つの集束要素がセル170の各々に整合することになる。各ユニットセル170内において、画像200は、画像要素(
図17(b)にはない)にさらに分割される。画像要素は、画像の個々のピクセルであることができ、又はより大きい、例えばピクセルの群であることができる。本例において、説明のために、各画像要素が異なる外観(例えば明度又は濃淡値)の領域を含むことができるように、画像要素は個々のピクセルより大きく表されている。しかし、このことは概してデバイス寸法が比較的大きい場合にのみ好適であるため、より典型的には、各画像要素は単一のピクセルに対応してその領域に亘って単一の値を伝達することになる(例えば全て黒色又は全て白色)。
【0097】
デバイスの中心画像のように、画像200は、画像要素アレイ160に亘って各ユニットセルにより規定されるサブセット190内の画像要素位置180により伝達される。このことは、画像200の各ユニットセルのセグメントから画像要素を選択すること、及び対応する画像要素アレイ160のユニットセル中のサブセット190内の各画像要素位置に、選択された画像要素の複製を適用することにより達成される。したがって、本例において、
図17cに表示されるアレイセクションの最も左のカラム300において、サブセット190の内側の各画像要素位置は、完全に満たされ、太陽の記号の中心を形成する円形形状の内側を表し、第二のカラム310についても同様である。カラム320において、サブセット190の内側の画像要素位置は、各々が部分的に塞がれ、かつ部分的に空白であるように、太陽の記号の円形の領域の端部から取り出され、空白の割合は示されたアレイセクションの底に向けて増加する。各個々のユニットセル170内において、サブセット190中の全ての画像要素が同一である一方で、カラム320に示されるように、これらは中心画像が印又はパターンを表示する場合には、ユニットセル間で変化することに留意されたい。
【0098】
カラム330中のサブセット190中の画像要素位置が、太陽の記号の中心の円形部分と、最も右側の三角形の“太陽光線”の形状との間にあるため、これらは空白のままであり、右側のカラム340及び350中のサブセット190は、その三角形の“太陽光線”の形状の始まりを示す。これは、観察に関して集束アレイによりサブセット190からどの画像要素180が選択されても(観察角度に応じて)、デバイス全域に亘る選択された画像要素位置の得られたアレイが完全な画像200を伝えるように、デバイス全体に亘って続く。したがって、軸上の位置又はこの近傍からデバイスを観察したとき、レンズ140のアレイは、サブセット190の内側から観察者へ、配置された画像要素だけを向かわせ、一方で全ての周囲の画像要素は、所望の中心画像200だけが表示されるように目立たないままである。
【0099】
異なる観察角度で示される他の画像は、典型的に各ユニットセル中の単一の画像要素位置180だけが、他の画像の各々の表示のために割り当てられることを除いて、同様の技術により、画像要素アレイ160に入力される。例えば、
図15に示される観察者O
aに対して表示される画像Aを構成する画像要素は、最も右側のカラム、各ユニットセルの3番目の列の画像要素位置に挿入され、他も同様である。したがって、
図17cに示される画像要素アレイが、各ユニットセル170の中心サブセット190中に存在する画像要素を示すのみである一方、実際には、他の画像に対応する画像要素は、周囲の画像要素位置にも与えられることが理解されるであろう(関連する画像が示された領域において空白でない限り)。
【0100】
複数の画像要素位置のサブセット190として中心領域を形成することは(
図12及び15の実施態様のように)、他の画像の表示に用いることのできる他の画像要素位置の数を減少させることが理解される。例えば、
図15の例に示されるように、ユニットセルが画像要素位置18の5×5のアレイを含む場合、対象19に対する中心の3×3の位置は、各側にサブセットの外側の画像要素位置18を1つだけ残す。したがって、使用可能な画像要素位置の総数は制限され、例えば、画像要素の形成に関して相対的に低い分解能技術を使用する必要性の結果として、上記の実施態様のように、単一の拡大された画像要素19として中心領域を形成することが好ましい。しかし、高解像度のイメージング技術が使用可能である場合、複数の画像要素をサブセット190に割り当てることができ、一方で他の画像に関して十分な他の画像要素位置が残される。
【0101】
したがって、
図18、19及び20は、
図15の実施態様の原理に基づく2次元のデバイスの代替的なユニットセルの3つの例を示す。
図18において、ユニットセル170は同様に正方形であり、ここでは10個の画像要素位置180により10のアレイを含む。実際には、多数の画像要素位置を、M×Nの画像要素位置(M及びNは各々2次元のデバイスに関して少なくとも2の整数である)のアレイ等のユニットセル内に規定することができる。上記のように、ユニットセル内において、サブセット190は、画像要素位置の全てが共通の中心画像“X”の同一の画像要素を伝える範囲内で規定される(外形が点線で描かれる)。2次元のデバイスにおいて、好ましくはサブセット190は、ここで示される例等の、各直交グリッド中に複数の画像要素位置を含む画像要素位置の2次元のアレイである。しかし、このことは、幾つかの場合において、1軸においてデバイスを傾け、他の方向には傾けないときに画像の安定性についての上記の向上を導入する、1つの方向のみにおいて広がるそのようなサブセットを与えるのに望ましい場合があるため、必須ではない。それにもかかわらず、
図18に示されるような対称のデバイスが、概して好ましい。
【0102】
画像要素を、種々の画像から割り当てることができ、デバイスは、例えばUS‐A‐6483644に開示された技術により各画像から画像要素を織り交ぜることにより表示するように構成される。このことは、
図17に関して議論したように、同一の画像要素の複製を各々伝えるサブセット190の部分を形成するものを除く、画像要素位置180の全てに適用される。
【0103】
上述のように、サブセット190の外側において、画像要素位置180の各々に異なる画像を割り当ててよく、又は所望の効果に応じて複数の位置に(群を形成する)同一の画像を割り当てることができる。例えば、
図11の実施態様において、中心サブセット190は、実質的に斜めの形状であり、4つの端部の各々に沿う画像要素位置180は、同一の画像に割り当てられる。例えば、A
1でラベルされた画像要素位置は、1つの画像に全て割り当てられ、B
1でラベルされたものは他の画像要素位置に、B
2でラベルされたものは第三の画像要素位置に割り当てられる。本例において、この配列は、サブセット190により伝達される中心画像が前面に現れ、サブセット190の外側の4つの四分円A、B等が、ユニットセル170の4つの角に向かうビューA
1、A
2等の増加する角度にて同一の物体の異なる4つの面を表示する場合、例えば3次元物体を表すのに用いることができる。
【0104】
図18の実施態様に例示されるように、サブセット190の外側の画像要素位置180の数は、サブセット190の各側で実質的に等しいことも好ましい。このことは、各側で、同じ数の異なる画像を伝達することを可能にし、デバイスの対称性を向上させる。
【0105】
上記に示されるもの等の正方形又は矩形のユニットセルは、直交グリッド上に配置された集束要素アレイに特に好適である。しかし、
図19に例が示される六角形のユニットセル等の別のユニットセルの配列を使用することもできる。また、画像要素位置180は、画像要素位置の全てが共通の中心画像から同一の画像要素の複製を伝える範囲内の中心サブセット190の範囲(点線で示される)を除いて、例えばUS‐A‐6483644の技術に従って各々の画像の画像要素を伝えるために割り当てられる。他の好ましい例のように、ここではサブセット190はユニットセルCの中心に位置する。サブセット190に取り込まれるユニットセル170の割合は、所望の光学的効果にしたがって選択される。サブセット190により占有されるユニットセルの割合が大きい程、相対的に大きい傾斜角にて表示され続けるため、デバイスにより表示される中心画像はより安定して見える。しかしこれは、デバイスの光学的に変動する性質を低減させる他の画像を表示するために使用可能な空間を減少させるため、2つの目的の間でバランスを見出す必要がある。本例において、サブセット19は、ユニットセル領域の25%近くを占有する(164個画像要素位置のうち40個)が、他の例において、この割合は典型的により少ない。概して、中心画像に割り当てられたユニットセル領域のサイズ(すなわちこの場合においてサブセット190)は、他の画像のいずれか1つに割り当てられたものに対して(すなわち構成に応じて単一の画像要素位置又はそのような位置の群を含んでよい各“外側の領域”に対して)少なくとも10%を上回り、より好ましくは少なくとも25%を上回ることが好ましい。上述のように、ここでは、“サイズ”は、各々の領域の幅寸法を指し、一方で中心領域は第一及び第二の方向両方における外側の領域の各々より寸法が大きいことが好ましいが、このことは必須ではない。中心領域の面積は、外側の領域より大きいことも好ましいが、このこともまた必須ではない(少なくとも2次元のデバイスにおいて)。
【0106】
図20の実施態様において、ユニットセル170は同様に正方形であり、ここでは11×11個の画像要素位置180のアレイを含み、サブセット190はユニットセル170の中心に位置する画像要素位置180の3×3のアレイを含む。当然サブセット190は、m及びnがユニットセルM×Nのサイズより小さいという条件で、m×n個の画像要素位置の任意のアレイを含むことができる。サブセット190の外側に隣接して位置する画像要素位置(サブセット190を規定する点線と示された破線との間のもの)は、中心画像の内容と、ユニットセルの外周に面して位置する画像要素位置により伝えられるものとの間の中間の段階を示す間の画像を伝えるために割り当てられる。例えば、本例において、画像要素位置A
18は、中心サブセット19により示されるものと、外側の画像要素位置A
13等により現れるものとの間の中間の段階である画像に対応し、他も同様である。中間の画像は、例えばアニメーション、モーション、モーフィング又はズーミングシーケンス中のフレームであってよい。
【0107】
したがって、上記の種々の技術は、各他の画像より大きい連続的な観察角度の範囲に亘って中心画像を表示するデバイスをもたらし(拡大された画像要素位置19又はサブセット190のいずれかの形で各ユニットセルの中心領域により伝えられる)、それはデバイスの視覚的安定性を向上させる。
図21は、これらの原理に基づいて形成された2次元のセキュリティデバイスを斜視図で概略的に示す。画像要素アレイは、例えば
図8又は15に示されるもの等のユニットセルに基づいて構成されてよい。5人の観察者O
1、O
a、O
b、O
c及びO
dの位置が示される。観察者O
1は、軸上で(デバイスに垂直に)デバイスを観察し、一方で観察者O
a、O
b、O
c及びO
dは軸から外れた異なる位置からデバイスを観察する。観察者O
aの観察位置を観察者O
cの位置に変更するために、正のX及びY軸を斜めに両断する線P‐P’周りでデバイスを傾け、観察者O
bの位置から観察者O
dの位置に推移させるために、負のX軸及び正のY軸を斜めに両断する線Q‐Q’周りでデバイスを傾ける。
【0108】
各観察者に表示される画像は、所望の視覚的効果に適切であるように選択することができ、かつ、上記の技術により画像要素アレイに入力することができる。好適な画像の幾つかのさらなる例を、
図22、23及び24に関して記載する。
【0109】
図22の実施態様において、中心画像20は、中心領域により伝えられる太陽の形をした記号であり、したがって、
図21に示される観察者O
1により軸上でデバイスを観察したとき、及び軸からわずかに逸脱してデバイスを観察したときに見える。第二の画像21は、星型の記号であり、この記号は観察者O
aの位置から見える。このことは、星の記号21を伝達するためのユニットセルの左上のセクション中の1つまたはそれより多くの画像要素位置を用いて達成される。観察者O
cの位置からは、第三の画像23が見え、ここでは画像は雷の記号を表し、それはユニットセル17の右下のセクション中の1つ又はそれより多くの画像要素位置により伝達される(例えば、
図18の画像要素位置B
1、B
2等)。したがって、観察者Oaの位置から軸上の観察位置O
1を通って観察者O
cの位置に、デバイスを線P‐P’周りで傾けると、デバイスは、順に星型記号の画像21、次いで太陽の形をした記号の画像20、最後に雷の形をした記号の画像23を表示するように見える。同様に、デバイスを逆方向に傾けた場合、同一の画像が逆の順番で表示される。他の画像のいずれよりも大きい観察角度の範囲に亘って、太陽の形をした記号の画像20が表示される。
【0110】
観察者O
bの位置からは、第四の画像22、ここでは月型の記号の形が見え、一方で観察者O
dの位置からは、第5の画像、ここでは雲形の記号24の形が表示される。したがって、観察者O
bの位置から軸上の観察位置O
1を通って観察者O
dの位置に、線Q‐Q’周りでデバイスを傾けると、デバイスは月形記号の画像22、次いで太陽の形をした画像20、最後に雲形の記号24を表示する。また、逆方向にデバイスを傾けた場合、同一の画像が逆の順番で表示される。
【0111】
図22は、デバイスをx及びy軸に沿って傾けたときに表示される画像を示すのみであり、異なる方向にデバイスを傾けたときに、種々の画像要素位置により伝えられる画像に応じて、異なる画像が表示される場合があることが理解されるであろう。例えば、星型の画像21を伝えるものと、月形の画像22を伝えるものとの間に位置する画像要素位置は、ある形状を別のものにモーフィングするアニメーションシーケンスにおける段階を示す画像の要素を伝えるために割り当てることができる。
【0112】
図22の例において、画像は概念的な類似性(天体の物体)を共有すること以外で互いに関連しない。しかし、好ましい例において、異なる観察角度でデバイスにより表示される画像は、ある種の視覚的効果を作り出すために互いに関連してよい。
【0113】
例えば、
図23に示されるように、
図5に示された1次元デバイスに相当するように、異なる画像は異なる視点からの同一の物体のビューであることができる。簡易な例として、
図23において、5つの画像は異なる角度から立方体の各々のビューを示す。中心画像20は、立方体の前面図であり、観察者に最も近い立方体の面だけが見える。4つのビュー21、22、23及び24は、異なる角度からの立方体の各々のビューである。この結果は、デバイスを傾けたときに物体の異なる図が使用者に現れ、3次元の物体の表示の全体の印象を与えることである。また、中心画像20が中心領域、したがって他のいずれの画像よりも大きい各ユニットセル内の領域の部分により伝えられるため、それは軸上の観察者、及びわずかな傾斜角において表示され、デバイスがさらに故意に傾けられるまで、くっきりとし、かつ安定した外観をもたらす。
【0114】
図1及び2に関連して上述したように、他の例において、画像はモーション、アニメーション、モーフィング又はズーミング効果を示すように構成することができる。
【0115】
図24は、ある観察位置においてデバイスにより表示することのできる、好適な画像のさらなる例を示す。ここでは、デバイスにより表示される画像の全ては、全ての画像に共通する輪郭39により規定される4頭の矢印の記号である。矢印の領域の内側は、5つの画像の各々において異なる。中心画像20において、軸上でデバイスを観察したときに見える矢印の4分の1の4つ全ては網掛けである。例えば各矢じりは異なる色である。第二の画像21において、観察者O
aに見えるものは、右下の矢じりの塗りつぶしのみであり、他の3つは空白である。第三の画像22において、左下の矢じりだけが網掛けである一方、第四の画像23においては、左上の矢じりだけが網掛けであり、第五の画像24においては、右上の矢じりだけが網掛けである。したがって、軸から外れてデバイスを観察したとき、網掛けの矢印は、デバイスを傾けたときに方向及び色を変えるように見える。
【0116】
輪郭39は、全ての画像の共通の成分であるため、デバイスを傾けたときに一定に保持される“キーライン”として働く。これは、光学的に変動する効果の位置の特定において、使用者を補助し、また、異なる画像が互いにいっそう容易に比較できるため、ある傾斜位置から別の傾斜位置への外観変化を強調する。他の例において、このようなキーラインは、
図22において太陽、星、月、雷及び雲の画像を取り囲む、示された矩形等の各画像を取り囲むフレームにより与えることができる。内側の線の代わりに、画像の部分又はセクションが、このようにキーラインとして働くことができ、例えば、
図24の画像の各々の4つの矢印の交わりにおいて形成された中心の正方形である。
【0117】
上述のように、好ましい例において、個々の集束要素は球状又は非球状の焦面を有してよい。しかし、このことは
図25に示されるように、各集束要素のフットプリントが円形であることを要求しない。
図25aは、説明のために、球面Sと14aでラベルされた表面の3次元のセグメントを示す。これは、
図25bに分離して示され、球面の部分がレンズ要素14aの焦面fsを形成する一方で、下にあるフットプリントfpは、セグメントの寸法に従う正方形又は矩形であることができることがわかる。このように集束要素を形成することは、アレイが、直交グリッド上で各集束要素間の十分なギャップなしに密に詰まることを可能にする。
【0118】
しかし、他の場合において、円形(又は長円形)のフットプリントを有する集束要素を用いてよく、そのような実施態様の例が
図26において示される。ここでは、個々の集束要素14は半球である。係る要素を、
図6に示されるように直交グリッド上に配置することができるが、ギャップのために、これは要素間に残る。
図26に示されるように六方最密グリッド中に係る要素を配置することが好ましい場合がある。この場合において、対応するユニットセル17、170は、正六角形である。ここでは、ユニットセルはレンズのフットプリントの形状と正確には一致しない。六角形ユニットセル中の画像要素位置の例示的なユニットセルの配列を
図11及び19に示した。
【0119】
全ての実施態様において、各集束要素の焦点距離は、好ましくは、それが光を集束させることのできる、1つ又はそれより多くの方向に沿った集束要素の開口角度内にある全ての観察角度について、実質的に同一であるのがよい(例えば、+/−10ミクロン以内、より好ましくは+/−5ミクロン以内)。すなわち、各集束要素は観察角度のみに応じて(互いに同一平面にある)画像要素アレイ中の画像要素のいずれかからの光を向けることができるはずである。これは、球面レンズの場合当然であり、非球面レンズの好ましい実施である。
【0120】
上記の例の全てにおいて、集束要素アレイ14、140は画像要素アレイ16、160と位置合わせされ、最も好ましくは示されたアライメントで位置合わせされる(すなわち、各集束要素14、140は、画像アレイユニットセル17、170の中心に位置する)ことが好ましい。しかし、このことは周期性及び配向の一致によりアレイ間の位置合わせがない場合に、光学的に変動する効果が依然として達成されるため、必須ではない。とはいえ、アレイ間の位置合わせは、得られる視覚的効果のより良好な制御を与え、特にそれが、軸上の観察位置に表示される中心領域により伝えられる画像であることを確実にする能力を与える。このことは、初期の観察位置にデバイスを保持したときに、安定化した“中心”画像が表示される、すなわち、軸上において、強い視覚的影響が伝達されることが確実になるため、極めて望ましい。さらに、2つのアレイ間の位置合わせを要求することは、偽造版製造の困難性を増大させるため、デバイスのセキュリティレベルを増大させる。
【0121】
図27は、以下に記載のように、制御された結果を達成するために、集束要素アレイと画像要素アレイとの間の位置合わせの必要性を低減させるのに用いることのできる、又は、追加の視覚的効果を与えるのに代替的に用いることのできる、本発明のさらなる実施態様による画像要素アレイ16を示す。
図20は、個々の画像要素位置18を示さないが、中心領域19の外形と、異なる個々の画像に割り当てられた4つの外側の領域A、B、C、Dを示すことに留意されたい。画像要素アレイをいかに実施するかに応じて、中心領域19は、単一の画像要素位置であることができ(
図8の実施態様のように)、又は複数の画像要素位置のサブセットであることができる(
図15の実施態様のように(そこでは、個々の画像要素位置は示されていない))。同様に、外側の領域A、B、C、Dは、単一の画像要素位置を各々含むことができ、又は同一の画像要素の群に対応することができる。
【0122】
上記の実施態様と異なり、さらなる中心領域19’が、ここではユニットセル17の角の1つに与えられる(このさらなる中心領域19’は、
図20に示されるユニットセル17の全てに関しては示されていないことに留意されたい)。第一の中心領域19のように、さらなる中心領域19’は、中心画像20に割り当てられた単一の拡大された画像要素位置、又は中心画像20の同一の画像要素を各々伝える複数の画像要素位置のサブセットを含んでよい。
【0123】
集束要素アレイ14(その1つのレンズは実線の輪郭14’による第一の位置及び破線の輪郭14”による第二の位置に現れる)は、次いで画像要素アレイ16に対して2つの位置に位置してよく、軸上及びわずかな傾斜角度で観察したときに、使用者に同一の中心画像が依然として現れる。このように、位置合わせの要求は低減する。
【0124】
しかし、
図28に関して記載されるように、
図27に示される画像要素アレイは、追加の視覚的効果を与えるために用いてもよい。ここで、デバイス40は2つの領域41と42に分けられる。第一の領域41において、
図27で実線の輪郭14’により示されるように、中心領域19が各レンズの中心に整合するような方法で、レンズアレイ14は、画像要素アレイ16と整合する。デバイスの第二の領域42において、
図27で破線の輪郭14”により示されるように、各レンズの中心がさらなる中心領域19’に整合するように、レンズアレイ14は、デバイス41の第一の領域中のレンズアレイに対してシフトする。
【0125】
軸上でデバイスを観察したときに、中心領域19及び19’内の画像要素位置が全て同一の画像を伝えるため、領域41及び42の両方は、使用者に同一の画像を表す。
図28の例において、わかりやすくするために、各画像は1種の空白のない色の均一な領域である。したがって、両方の領域41及び42は、同一の色を示し、(領域間で見える線がないとみなすと)互いに区別できない。しかし、デバイスを傾けたとき、2つの領域の外観は、互いに異なるように変化する。なぜならば、中心領域19’を取り囲む画像要素位置の順番と比較して、中心領域19を取り囲む画像要素位置の順番が逆だからである。したがって、観察者O
aの位置から軸上を外れてデバイスを観察したとき、デバイス41の第一の領域は、ユニットセルのセクターA内の位置により伝えられる色を変化させ、一方でデバイス42の第二の領域は、セクターCにより伝えられる異なる色を変化させる。デバイスを反対方向に傾けたとき(観察者O
c)、領域41及び42は、2つの領域間のコントラストが観察者O
aが見るものに対して逆に表れるように反対方向の変化をする。同様に、観察者O
bは、セクターBの色により決定される色で現れる第一の領域41を見るが、領域42はセクターDの色を有するように見える。デバイスを傾けたとき、反対方向において(観察者O
d)、異なる色が逆順に現れる。
【0126】
もちろん、これは簡易化した例であり、他の場合において、各要素位置により伝えらえる画像は空白のない色を必要としないが、上記のように記号、文字、3次元の物体等であることができる。デバイスの2つの領域41、42間の境界は、わかりやすくするためにここで用いられているような直線である必要はないが、デバイスの2つの領域(またはこれを上回る)は、情報の幾つかの項目を、ともに規定することができる(例えば、デバイスの第一の領域は文字又は数の形状をとることができ、デバイスの第二の領域は背景として働くことができる)ことも理解されるであろう。このデバイスの位置合わせのないものは、同様の光スイッチ効果を生み出すが、2つの領域が同一の画像を表示する位置は、制御されないため、軸上の観察位置と一致しない場合があることも理解されるであろう。
【0127】
上記の例の全てにおいて、画像要素は種々の異なる方法で形成することができる。例えば、画像要素はインクで形成することができ、例えば基材12上又は基材12に続いて隣接して位置する下側の層上に印刷される。しかし、他の例において、画像要素は、レリーフ構造により形成することができ、これに好適な種々のレリーフ構造を
図29に示す。したがって、
図29aは、画像要素(IM)の画像領域、例えば
図17cに示される画像要素180の網掛けの領域を、エンボス又はくぼみ領域の形で示す一方で、エンボスでない部分は要素の画像のない(NI)領域に対応する。
図29bは、デボス線又は突起の形で要素の画像領域を表す。
【0128】
別のアプローチにおいて、レリーフ構造は、回折格子の形であることができ(
図29c)、又はモスアイ/微細ピッチ格子(
図29d)であることができる。画像要素が回折格子により形成される場合、したがって画像の異なる画像部分(1つの画像要素内又は異なる要素において)を、特性が異なる格子により形成することができる。この違いは、格子又は回転のピッチにあってよい。これは、上記のメカニズムを通じてアニメーション等のレンティキュラー光学効果をも示す多色回折画像の達成のために用いることができる。例えば、各要素に関して異なる回折の跡を描くことによって画像要素が作りされる場合、デバイスを傾けたときに、画像の色が異なる回折格子のために次第に変化する間に、ある画像から別の画像へのレンティキュラー推移が上記のように生じる。係る格子を描くのに好ましい方法は、電子ビーム描画技術又はドットマトリックス技術の使用である。
【0129】
モスアイ/微細ピッチ格子の係る回折格子は、
図29e及びf各々に示されるように、
図29a及びbのもの等のくぼみ又は突起上に位置することもできる。
【0130】
図29gは色収差補正効果を与える単純な散乱構造の使用を示す。
【0131】
さらに幾つかの場合において、
図29aのくぼみはインクにより与えることができ、又は、
図29b中のデボス領域又は突起は、インクにより与えることができる。文字は、
図29hに示され、そこではインク層200は、突起210上に与えられる。したがって、各画像要素の画像領域は、
図6に示される項目12等の透明基材上に与えられた樹脂層において、適切に作られた領域又は突起を形成することにより作り出すことができる。これは、例えば注型硬化又はエンボス加工により達成することができる。色インクを次いで、典型的にはリソグラフィー、フレキソグラフィー又はグラビア印刷プロセスにより作られた領域に移す。幾つかの例において、幾つかの画像要素は1種の色で印刷することができ、他の画像要素を第二の色で印刷することができる。また、この方法において、上記のレンティキュラーアニメーション効果を作り出すためにデバイスを傾けたとき、画像は、観察者が1つの視点から他の視点へ移動する際に、色が変化して見える。別の例において、デバイスの1つの領域における画像要素の全てを、1種の色で与えることができ、次いでデバイスの別の領域において、全てを異なる色で与えることができる。
【0132】
最後に、
図29Iは、Aztec構造の使用を示す。
【0133】
さらに、画像及び画像のない領域は、異なる要素の型の組み合わせにより規定することができ、例えば画像領域はモスアイ構造により形成することができ、一方で画像のない領域は格子により形成することができる。または、画像及び画像のない領域は、異なるピッチ又は配向の格子により形成することもできる。
【0134】
画像要素が、主に格子又はモスアイ型の構造で形成される場合、レリーフ深さは、典型的には0.05ミクロン〜0.5ミクロンである。
図29a、b、e、f、h及びiに示されるもの等の構造に関して、突起/くぼみの高さ又は深さは、好ましくは0.5〜10μmの範囲、より好ましくは1〜2μmの範囲である。突起又はくぼみの典型的な幅は、図柄の性質により規定されるものであるが、典型的には100μm未満、より好ましくは50μm未満、いっそうより好ましくは25μm未満である。画像要素のサイズ、したがって突起又はくぼみのサイズは、要求される光学的効果の型、集束要素のサイズ及び所望のデバイスの厚みを含む因子に依存する。例えば、集束要素の直径が30μmである場合、各画像要素は約15μm幅又はそれ未満であってよい。または、滑らかなアニメーション効果に関して、できるだけ多くのビューを有することが好ましく、典型的には少なくとも5つ、理想的には30個のビューを有することが好ましい。この場合において、要素(及び関連する突起又はくぼみ)のサイズは、0.1〜6μmであるのがよい。理論上は、含むことのできる画像要素の数に制限はないが、実際は、デバイスの表面積のさらに減少した割合が、各画像の表示に使用可能であるため、数が増加すると表示される画像の解像度が下がる。
【0135】
しかし、実際は、画像要素は形成され、画像要素の幅は、2つの因子、すなわち、集束要素(例えばレンズ)アレイのピッチ、及び各レンズのピッチ又はレンズのベースの幅内で要求される画像要素の数により直接的に影響を受ける。しかし、前者はまたレンティキュラーデバイスの厚みにより間接的に決定される。なぜならば、平凸レンズアレイの焦点距離(レンズの凸部が空気に接しており、かつ上塗りされていないとみなす)は、式r/(n−1)により見積もられる(式中、rは曲率半径であり、nはレンズ樹脂の屈折率である)。後者は、典型的に1.45〜1.5の値を有するため、レンズの焦点距離を2rと見積もってもよいであろう。密に詰まったレンズアレイに関して、レンズのベース直径はレンズのピッチよりごくわずかに小さく、ベース直径の最大値が2rであることができるため、レンズのピッチの最大値は、レンズの焦点距離に近似する値2r、したがってデバイス厚みに近いことになる。
【0136】
例を与えるために、紙幣に組み入れられてよいセキュリティスレッドの成分に関して、レンティキュラー構造の厚み、したがってレンズの焦点距離は、望ましくは35μm未満である。本発明者らが目標とする厚み、したがって焦点距離は30μmであると仮定する。有することのできる最大のベース直径は、上記議論からレンズの焦点距離30μmに近似される2rに等しい。この状況において、(焦点距離/レンズベース直径)に等しいf値は、1にきわめて近い。レンズのピッチは、レンズの直径より数μmだけ大きい値を有するように選択することができる‐本発明者らはレンズのピッチに関して32μmの値を選択する。2チャンネルの1次元のレンティキュラーデバイスに関して(すなわち、ユニットセル当たり2つの画像要素細片)、2つの画像細片を32μmに適合させる、すなわち各細片は16μm幅とする必要があるということになる。係る細片又はライン幅は、セキュリティ印刷産業でさえ、印刷解像度がよくても50〜35μmレベルまで下がることが明らかとなっている、フレキソグラフィー、リソグラフィー(湿式、乾式及びUV)又はグラビア印刷等の従来のウェブベースの印刷技術の解像度を既によく下回っている。同様に、4チャンネルの1次元のレンティキュラーに関して、印刷解像度の問題は、印刷したライン幅の要求がより厳密となる、8μm(本例において)まで落ち、以下同様である。
【0137】
結果として、画像要素のインクベースの印刷に関して、与えられた構造の厚みに関するレンズのベース直径を最大にするために、レンズのf値は好ましくは最小であるのがよい。例えば、3より大きいf値を選択すると、結果としてレンズのベース直径は30/3すなわち10μmになる。そのようなレンズは、回折及び屈折特性の境界にある‐しかし、本発明者らがそれを主に回折デバイスであると考えている場合であっても、レンズのピッチを12μmとみなす場合がある。2チャンネルのデバイスの場合を再び考えると、わずか6μmの画像細片を印刷することが必要であり、4チャンネルのデバイスに関しては、わずか3μmの細片幅が必要である。従来の印刷技術は、係る高い解像度を達成するために、概して適合していない。しかし、画像要素の形成に好適な方法としては、WO‐A‐2008/000350、WO‐A‐2011/102800及びEP‐A‐2460667に記載のものが挙げられる。
【0138】
これは、画像要素を与えるために回折構造を用いる場合においても主要な解像度の利点を与える:インクベースの印刷は、概して反射によるコントラスト及び光源の不変性に関して好ましいが、最新のeビームリソグラフィー等の技術により1μm又はそれより小さい幅まで下がった回折画像細片を作り出すことができ、係る超高解像度構造は、UV注型硬化技術により効率的に複製することができる。
【0139】
上述のように、デバイス10の厚みは、集束要素のサイズに直接的に関係するため、透明層12の厚みを選択したときに光学形状を考慮に入れなければならない。好ましい例において、デバイスの厚みは5〜200ミクロンである。この範囲の上限における“厚み”のデバイスは、身分証明書及び運転免許証等の文書、並びにラベル及び類似のものに組み入れるのに好適である。紙幣等の文書に関して、より薄いデバイスが上記のように望まれる。該範囲の下限において、制限は、係る効果を伴う傾向のある、例えば10ミクロン未満のベース直径のレンズ(したがって焦点距離は約10ミクロン)、特に、5ミクロン未満(焦点距離が約5ミクロン)に集束要素直径が減少するときに生じる回折効果により設定される。したがって、係る構造の厚みの制限は、約5〜10ミクロンの間にあると考えられる。
【0140】
画像要素を形成するレリーズ構造の場合において、これらは、好ましくはレンズアレイ14に対して基材12の反対側の好適な樹脂層にエンボス加工され、又は注型硬化される。レンズアレイ14自体は、キャスト硬化又はエンボス加工プロセスにより作製することもでき、又は好適な透明基質を用いて印刷することもできる。周期性、したがってレンティキュラー集束要素の最大ベース直径は、好ましくは5〜200μm、より好ましくは10〜60μm、よりいっそう好ましくは20〜40μmの範囲である。レンティキュラー集束要素のf値は、好ましくは0.1〜16、より好ましくは0.5〜4の範囲である。
【0141】
上記の実施態様において、集束要素がレンズの形をとっていた一方で、全ての場合において、これらは集束ミラー要素のアレイにより置換することができる。好適なミラーは、例えば注型硬化又はエンボス加工レンズレリーフ構造に対し、好適な金属等の反射層を適用することにより形成することができる。ミラーを用いる実施態様において、画像要素アレイは、半透明であるのがよく、例えば、ミラーに光を到達させるのに十分に低い曲線因子を有し、したがって画像要素間のギャップをさかのぼって反射する。例えば、入射光の少なくとも50%が画像要素アレイを通過する2つの経路上の観察者へ反射して戻るように、曲線因子は1/√2未満である必要がある。
【0142】
上記の種類のセキュリティデバイスを、真正性検査が望まれる任意の物品に組み入れ、又は適用することができる。特に、係るデバイスは、紙幣、パスポート、運転免許証、小切手、身分証明書等の価値の文書に適用し、又は組み入れてよい。
【0143】
セキュリティデバイス又は物品は、細片又はパッチの場合のように、セキュリティ文書のベース基材の表面に全体的に各々配置することができ、又は文書基材の表面で部分的にだけ見えるようにする(例えば、窓付きセキュリティスレッドの形)ことができる。セキュリティスレッドは、現在では世界の紙幣、並びに証明書、パスポート、トラベラーズチェック及び他の文書の多くに存在する。多くの場合において、スレッドは部分的に埋め込まれ、又は窓付き形態で与えられ、そこでは、スレッドは紙にじぐざぐに織り込まれ、ベース基材の片面又は両面の窓において見える。いわゆる窓付きスレッドで紙を製造する1つの方法は、EP‐A‐0059056で見ることができる。EP‐A‐0860298及びWO‐A‐03095188は、紙基材への幅広く部分的に露出したスレッドの埋め込みに関して異なるアプローチを記載する。幅広いスレッド、典型的には2〜6mmの幅を有するスレッドは、特に、ここで開示したような光学的に変動するデバイスのより良好な使用を可能にする、追加の露出したスレッド表面領域として有用である。
【0144】
セキュリティデバイス又は物品は、最終的なセキュリティ基材の両側から見ることができるように、その後紙又はポリマーベース基材に組み入れられてよい。そのような方法でセキュリティ要素を組み入れる方法は、EP‐A‐1141480及びWO‐A‐03054297に記載されている。EP‐A‐1141480に記載の方法において、セキュリティ要素の片面は、基材の片面に全体的に露出しており、この場合、それは部分的に埋め込まれ、基材の他の面における窓において部分的に露出する。
【0145】
セキュリティ文書のセキュリティ基材の作製に好適なベース基材は、紙及びポリマーを含む任意の従来の材料から形成してよい。基材のこれらの型の各々において、実質的に透明な領域を形成する技術は、当分野で知られている。例えば、WO‐A‐8300659は、基材の両側に隠蔽性コーティングを含む透明基材で形成されるポリマー紙幣を記載する。隠蔽性コーティングは、透明な領域を形成する基材の両側の局所的な領域において除去される。この場合において、透明基材は、セキュリティデバイスの一体的な部分であることができ、又は、別個のセキュリティデバイスを、文書の透明基材に適用することができる。WO‐A‐0039391は、紙基材中の透明な領域の作製方法を記載する。紙基材における透明な領域を形成する他の方法は、EP‐A‐723501、EP‐A‐724519、WO‐A‐03054297及びEP‐A‐1398174に記載されている。
【0146】
セキュリティデバイスは、部分が紙基材中に形成された開口部に位置するように、紙基材の片面に適用されてもよい。係る開口部を製造する方法の例は、WO‐A‐03054297で見ることができる。紙基材の片面における開口部で見え、かつ紙基材の他の面上で全体的に露出したセキュリティ要素を組み入れる別の方法は、WO‐A‐2000/39391で見ることができる。
【0147】
価値の係る文書、及びセキュリティデバイスを組み入れる技術の例は、
図30〜33を参照して記載される。
【0148】
図30は、価値50の例示的な文書を、ここでは紙幣の形態で示す。
図30aが紙幣を平面図で示す一方、
図30bは、線X‐X’に沿った断面における同一の紙幣を示す。この場合において、紙幣は、透明基材51を有するポリマー(又はポリマー/紙の混合)紙幣である。白色インク等の隠蔽性コーティングの形をとってよい、又は、基材51に積層された紙の層であることができる2つの隠蔽層52a及び52bは、透明基材51の各面に適用される。
【0149】
隠蔽層52a及び52bは、セキュリティデバイスが位置する範囲内の窓を形成する、領域55に亘って除去される。
図30bの断面に良好に示されるように、集束要素56のアレイは、透明基材51のある面に与えられ、対応する画像要素アレイ57は、基材の反対側の面に与えられる。集束要素アレイ56及び画像要素アレイ57は、各々開示された実施態様のいずれかに関して上記で記載されたようなものである。レンズアレイ56の側から文書を見たとき、上述のレンティキュラー効果を、デバイスの傾きに応じて見ることができる。本実施態様の修正において、画像要素アレイ57に亘る窓の全て、又は部分に亘って続く隠蔽層52bにより、窓55は半窓であることができる。この場合において、窓は透明ではないが、依然としてその周囲と比較して相対的に半透明であってよい(又はそうでなくてよい)。紙幣は、セキュリティデバイスの領域が見える一連の窓又は半窓を含んでもよい。
【0150】
図31において、紙幣50は、セキュリティスレッドの形でセキュリティ物品60を備えた従来の紙ベースの紙幣であり、セキュリティ物品60は、紙53及び54の部分がスレッドの各面にあるように、紙にセキュリティ物品60が部分的に埋め込まれるように、紙の作製の間に挿入される。これは、EP0059056に記載された技術により実施することができ、そこでは、紙は紙の作製プロセスの間に窓領域において形成されないため、紙幣の窓領域65中のセキュリティスレッドを露出させる。または、窓領域65は、例えばスレッドの挿入後にこれらの領域において紙の表面を磨くことにより形成してよい。セキュリティデバイスはスレッド60上に形成され、それはある面上に与えられたレンズアレイ61、及び他の面上に与えられた画像要素アレイ62を備える透明基材63を含む。図中で、レンズアレイ61は、スレッドの各露出した領域間で不連続であるように示されているが、実際は、典型的にはこれは現実でなく、セキュリティデバイスはスレッドに沿って連続して形成される。または、幾つかのセキュリティデバイスは、スレッドに沿って互いに離間することができ、各々により、異なる又は同一の画像が表示される。1つの例において、2つの窓が傾きに応じて反対の効果を表示するように、第一の窓は、
図27の実施態様に示されるデバイスの第一の領域を含むことができ、第二の領域は、
図27の実施態様に示される第二の領域を含むことができる。
【0151】
また、
図32において、紙幣50は、細片要素又は挿入部60を備える従来の紙ベースの紙幣である。細片60は、透明基材63を基礎とし、紙53と54の2つの層の間に挿入される。セキュリティデバイスは、細片基材63のある面上のレンズアレイ61、及び他の面上の画像要素アレイ62により形成される。紙の層53及び54は、セキュリティデバイスを見せる領域65に亘って開口部を備えており、この場合において、それは細片60の全体に亘って存在してよく、又は開口領域65内に局在化することができる。
【0152】
図33(a)及び(b)が各々の文書の表面及び裏面を示す、さらなる実施態様が
図33に示され、
図33(c)は、線Z‐Z’に沿った断面である。セキュリティ物品60は、上記の実施態様のいずれかによるセキュリティデバイスを含む、細片又はバンドである。セキュリティ物品60は、EP‐A‐1141480に記載の方法により、繊維基材53を含むセキュリティ文書50中に形成される。細片は、それが、文書のある面上で完全に露出するように、セキュリティ文書中に組み入れられ(
図33(a))、文書の反対側の面上の1つ又はそれより多くの窓65で露出する(
図33(b))。また、セキュリティデバイスは、細片60上に形成され、それはある面上に形成されたレンズアレイ61と、他の面上に形成された画像要素アレイ62とを備える透明基材63を含む。
【0153】
または、類似する構成を、開口部65を備える紙53を与えること、及び開口部65に亘って紙53のある面上に細片要素60を接着させることにより達成することができる。開口部は、紙の作製中に形成してよく、又は、例えばダイカット若しくはレーザーカットによって紙の作製の後に形成してよい。
【0154】
概して、文書にセキュリティデバイスを伝える細片又はパッチ等のセキュリティ物品を適用したとき、レンズと接着剤との間の接触がレンズを使えなくする可能性があるため、レンズ側ではなく、文書基材に結合した画像要素アレイを伝えるデバイスの面を有することが好ましい。しかし、接着剤を、コートされていないレンズアレイの意図した窓ゾーンを残すパターンとしてレンズアレイに適用することができ、次いで細片又はパッチが位置合わせ(基材の機械方向において)に適用されるため、コートされていないレンズ領域は、基材の穴又は窓と位置合わせされる。ある面から観察したときに、デバイスは光学的効果を呈するのみであるため、窓領域に亘って適用することが特に有利ではなく、実際は、それを非窓化基材に亘って適用することができることも留意に値する。同様に、ポリマー基材の文脈において、デバイスは半窓の位置に配置されるのによく適している。
【0155】
本発明のセキュリティデバイスは、任意の層中の検出可能な材料の導入、又は別個の機械が読み取り可能な層の導入により、機械の読み取りを可能にすることができる。外部刺激に対して反応する検出可能な材料としては、以下に限定されないが、蛍光、りん光、赤外吸収、サーモクロミック、フォトクロミック、磁性、エレクトロクロミック、導電性及びピエゾクロミック材料が挙げられる。
【0156】
さらなる光学的可変デバイス又は材料は、薄膜干渉要素、液晶材料及びフォトニック結晶材料等のセキュリティデバイスに含まれることができる。係る材料は、フィルミック層の形態、又は印刷によるアプリケーションに好適な着色材料のようなものであってよい。これらの材料が透明である場合、それらは本発明のセキュリティ特性のように、デバイスの同一の領域において含まれてよく、または、それらが不透明である場合、デバイスの別個の横方向に離間した領域に位置してよい。
【0157】
セキュリティデバイスは、本発明のセキュリティ特性から横方向に離間した金属層を含んでよい。金属層の存在は、機械の読み取りが可能な暗い磁性層の存在を隠蔽するために用いることができる。磁性材料がデバイス中に組み入れられたとき、磁性材料に任意のデザインを適用することができるが、一般的な例としては、暗号化された構造を形成するための磁性トラムラインの使用、又は磁性ブロックの使用が挙げられる。好適な磁性材料としては、酸化鉄顔料(Fe
2O
3又はFe
3O
4)、バリウム若しくはストロンチウムフェライト、鉄、ニッケル、コバルト及びこれらの合金が挙げられる。この文脈において“合金”としては、ニッケル:コバルト、鉄:アルミニウム:ニッケル:コバルト等の材料が挙げられる。ニッケルフレーク材料を用いることができ、さらに鉄フレーク材料が好適である。典型的なニッケルフレークは、横方向の寸法が5〜50ミクロンであり、かつ厚みが2ミクロン未満である。典型的な鉄フレークは、横方向の寸法が10〜30ミクロンであり、かつ厚みが2ミクロン未満である。
【0158】
別の機械読み取りが可能な実施態様において、透明磁性層をデバイス構造内の任意の位置に組み入れることができる。あるサイズの磁性材料の粒子の分布を含み、かつ磁性層が透明性を維持する濃度で分布した好適な透明磁性層は、WO03091953及びWO03091952に記載される。
【0159】
負又は正の印を磁性層又は任意の好適な隠蔽層において作り出してよい。制御下で、金属が存在せず、領域を明確に規定した、部分的に金属化した/脱金属化したフィルムを製造する1つの方法は、US‐B‐4652015に記載のようなレジスト及びエッチング技術を用いて領域を選択的に脱金属化することである。類似の効果を達成するための他の技術は、例えばアルミニウムを、マスクを通して真空蒸着することができ、又はエキシマ−レーザーを用いてプラスチックキャリアとアルミニウムの複合細片からアルミニウムを選択的に除去することができる。金属領域は、代替的にEckartにより販売されるMetalstar(登録商標)インク等の金属外観を有する金属効果インクの印刷により与えてよい。
本開示は以下も包含する。
[1]
集束要素のアレイと、集束要素のアレイと重なり合った画像要素のアレイとを含むセキュリティデバイスであって、
各集束要素が、少なくとも第一の方向において光を集束させるように適合しており、集束要素が、少なくとも1次元において規則的なグリッド上に配置されており、
画像要素が、画像要素位置を規定する繰り返しのユニットセルに基づいて配置されており、ユニットセルの周期性は、集束要素のアレイが配置されたグリッドの周期性と実質的に同一であり、ユニットセルが、ユニットセル内に画像要素位置の組を規定しており、ユニットセル内の各画像要素位置が、各々の対応する画像の画像要素を伝えるように割り当てられており、
それによって、デバイスを傾けたときに、異なる各々の画像が、選択された画像要素位置において、組み合わさって連続的に画像要素により表示されるように、集束要素のアレイは、選択された画像要素位置からの光を観察角度に応じて観察者に向け、
1つ又はそれより多くの画像要素位置を含む各ユニットセルの中心領域は、対応する中心画像の1つ又は複数の画像要素を伝えるように割り当てられており、中心領域はユニットセルの各外側の領域より大きく、外側の領域が中心領域の外側に位置しており、かつ、外側の領域が、中心画像が観察者に表示される観察角度の範囲が、各他の画像が表示される観察角度の範囲より大きいように、他の各々の画像の1つ又は複数の画像要素を伝えるように、割り当てられている、セキュリティデバイス。
[2]
中心領域が、ユニットセルにより規定された他の画像要素位置の各々より大きい、単一の中心画像要素位置を含む、上記態様1に記載のセキュリティデバイス。
[3]
中心画像要素位置が、ユニットセルにより規定された他の画像要素位置の平均サイズより、少なくとも10%、好ましくは少なくとも25%大きい、上記態様1に記載のセキュリティデバイス。
[4]
中心画像要素位置の外側で、これに直接隣接した画像要素位置が、ユニットセルの外周に面して位置している周囲の画像要素位置より小さい、上記態様2又は3に記載のセキュリティデバイス。
[5]
ユニットセル中の中心画像要素を除いた画像要素の全てが、実質的に同一のサイズである、上記態様2又は3に記載のセキュリティデバイス。
[6]
ユニットセルの各外側の領域が、中心画像要素位置より小さい単一の画像要素位置を含む、上記態様2〜5のいずれかに記載のセキュリティデバイス。
[7]
ユニットセルが、第一の方向及び第二の直交方向の両方に沿って配置された画像要素位置を含む、画像要素位置の2次元の組を規定する、上記態様1〜6のいずれかに記載のセキュリティデバイス。
[8]
中心領域が、ユニットセルにより規定された画像要素位置の少なくとも2つのサブセットを含み、サブセット中の各画像要素位置が、中心画像の同一の画像要素の複製を伝えるように割り当てられている、上記態様1に記載のセキュリティデバイス。
[9]
ユニットセルが、第一の方向及び第二の直交方向の両方に沿って配置された画像要素位置を含む、画像要素位置の2次元の組を規定し、サブセットが、画像要素位置の2次元のアレイを含む、上記態様8に記載のセキュリティデバイス。
[10]
サブセットが、第一の方向に沿って配置された少なくとも2つの隣接した画像要素位置と、第二の方向に沿って配置された少なくとも2つの隣接した画像要素位置とを含む、上記態様9に記載のセキュリティデバイス。
[11]
サブセットが、第二の方向に沿って配置された画像要素位置と実質的に同数の第一の方向に沿って配置された画像要素位置を含む、上記態様10に記載のセキュリティデバイス。
[12]
ユニットセル内に規定された画像要素位置の全てが、実質的に同一のサイズである、上記態様8〜11のいずれかに記載のセキュリティデバイス。
[13]
ユニットセルの各外側の領域が、単一の画像要素位置、又はサブセットの部分を形成する画像要素位置より少ない画像要素位置の群のいずれかを含む、上記態様8〜12のいずれかに記載のセキュリティデバイス。
[14]
中心領域が、ユニットセルの中心に位置している、上記態様1〜13のいずれかに記載のセキュリティデバイス。
[15]
中心領域が、ユニットセルの外側の領域の平均サイズより、少なくとも10%、好ましくは少なくとも25%大きい、上記態様1〜14のいずれかに記載のセキュリティデバイス。
[16]
集束要素のアレイ及び画像要素のアレイが、互いに位置合わせされており、好ましくは各ユニットセルの中心領域が、対応する集束要素の中心と揃うように位置合わせされていることにより、セキュリティデバイスの平面に対する垂線に沿ってセキュリティデバイスを観察したとき、中心画像が表示される、上記態様1〜15のいずれかに記載のセキュリティデバイス。
[17]
集束要素のアレイ及び画像要素のアレイが、少なくとも第一の方向に沿って、垂線と閾値角度との間の全ての角度においてセキュリティデバイスを観察したときに、中心画像が表示されるように構成されており、閾値角度が垂線から2〜10度、好ましくは垂線から2.5〜5度である、上記態様16に記載のセキュリティデバイス。
[18]
ユニットセルが、第一の方向に沿って、中心領域の各側に、少なくとも2つの外側の領域を含み、好ましくは、第一の方向に沿って、中心領域の各側に、同数の外側の領域が与えられている、上記態様1〜17のいずれかに記載のセキュリティデバイス。
[19]
各集束要素の焦点距離が実質的に同じであり、好ましくは、それが光を集束させることのできる、第一及び/又は第二の方向に沿った全ての観察角度に関して+/−10ミクロン以内、より好ましくは+/−5ミクロン以内である、上記態様1〜18のいずれかに記載のセキュリティデバイス。
[20]
集束要素が、第一の方向にのみ光を集束させ、好ましくは、集束要素は半円柱レンズ又はミラーである、上記態様1〜19のいずれかに記載のセキュリティデバイス。
[21]
集束要素が、少なくとも第一の方向、及び直交する第二の方向に光を集束させるように各々適合しており、集束要素が、規則的な2次元のグリッド上に配置されている、上記態様1〜19のいずれかに記載のセキュリティデバイス。
[22]
集束要素が配置されたグリッドが直交グリッドであり、かつ、ユニットセルが正方形若しくは矩形であり、又は、集束要素が配置されたグリッドが六角グリッドであり、かつ、ユニットセルが六角形である、上記態様21に記載のセキュリティデバイス。
[23]
集束要素が、球面又は非球面集束要素である、上記態様21又は22に記載のセキュリティデバイス。
[24]
各集束要素が、少なくとも2つの直交方向の各々において、実質的に等しい焦点能力を有する、上記態様21〜23のいずれかに記載のセキュリティデバイス。
[25]
集束要素が、レンズ又はミラーである、上記態様1〜24のいずれかに記載のセキュリティデバイス。
[26]
集束要素アレイの周期性が、5〜200ミクロン、好ましくは10〜70ミクロン、最も好ましくは20〜40ミクロンである、上記態様1〜25のいずれかに記載のセキュリティデバイス。
[27]
ユニットセルが、少なくとも第一の方向及び第二の方向、好ましくは全ての方向に沿って、中心領域の外側に中心画像と異なる各々の画像に割り当てられた外側の領域を含む、上記態様21〜26のいずれかに記載のセキュリティデバイス。
[28]
少なくとも2つの外側の領域が、第一及び第二の方向、好ましくは全ての方向に沿って、中心領域の各側に与えられた、上記態様27に記載のセキュリティデバイス。
[29]
ユニットセルが、少なくとも第一及び第二の方向、好ましくは全ての方向に沿って、中心領域の外側に同数の外側の領域を含む、上記態様27又は28に記載のセキュリティデバイス。
[30]
中心領域が、実質的に正方形、矩形、円形又は六角形である、上記態様1〜29のいずれかに記載のセキュリティデバイス。
[31]
少なくとも外側の領域に対応する各々の画像が印を含むデバイスの領域に亘って、中心画像が空白であることにより、中心領域により伝えられる1つ又は複数の画像要素が、デバイスの領域に亘る各ユニットセルにおいて空である、上記態様1〜30のいずれかに記載のセキュリティデバイス。
[32]
少なくとも外側の領域に対応する各々の画像が印を含むデバイスの領域に亘って、中心画像が空白のない色であることにより、中心領域により伝えられる1つ又は複数の画像要素が、デバイスの領域に亘る各ユニットセルにおいて同一の空白のない色である、上記態様1〜30のいずれかに記載のセキュリティデバイス。
[33]
各ユニットセルが、集束要素の1つのフットプリントに実質的に対応する、上記態様1〜32のいずれかに記載のセキュリティデバイス。
[34]
各ユニットセル内に規定された画像要素位置が、互いに接し、かつ実質的にユニットセルを充填している、上記態様1〜33のいずれかに記載のセキュリティデバイス。
[35]
各々の画像の全てが、全ての観察角度においてセキュリティデバイスにより表示される共通の画像成分を含む、上記態様1〜34のいずれかに記載のセキュリティデバイス。
[36]
共通の画像成分が、領域を取り囲む輪郭であり、その領域の中身が、各々の画像間で変化する、上記態様35に記載のセキュリティデバイス。
[37]
各々の画像の少なくとも幾つかが、文字、数、記号、キャラクター、ロゴ、肖像、又は図形の1つを各々含む、上記態様1〜36のいずれかに記載のセキュリティデバイス。
[38]
画像要素が、インクにより規定された、上記態様1〜37のいずれかに記載のセキュリティデバイス。
[39]
画像要素が、レリーフ構造により規定されており、レリーフ構造が、好ましくは基材中若しくは基材上にエンボス加工又は注型硬化されている、上記態様1〜37のいずれかに記載のセキュリティデバイス。
[40]
レリーフ構造が、回折格子構造を含む、上記態様39に記載のセキュリティデバイス。
[41]
各画像要素位置の幅が、50ミクロン未満、好ましくは40ミクロン未満、より好ましくは20ミクロン未満、最も好ましくは5〜10ミクロンである、上記態様1〜40のいずれかに記載のセキュリティデバイス。
[42]
画像要素のアレイが、集束要素の焦面におおよそ位置している、上記態様1〜41のいずれかに記載のセキュリティデバイス。
[43]
集束要素が、熱的エンボス加工又は注型硬化レプリケーションのプロセスにより形成された、上記態様1〜42のいずれかに記載のセキュリティデバイス。
[44]
セキュリティデバイスが、セキュリティスレッド、細片、フォイル、インサート、ラベル又はパッチとして形成された、上記態様1〜43のいずれかに記載のセキュリティデバイス。
[45]
上記態様1〜44のいずれかに記載のセキュリティデバイスを備える物品。
[46]
物品が、紙幣、小切手、パスポート、身分証明書、保証書、収入印紙及び価値又は個人情報の保護に関する他の文書から選択された、上記態様45に記載の物品。
[47]
物品が、集束要素及び画像要素が各々与えられた面の反対側の面に、透明部分を備える基材を含む、上記態様45又は46に記載の物品。
[48]
集束要素のアレイを与えることと、集束要素のアレイと重なり合った画像要素のアレイを形成することとを含むセキュリティデバイスの製造方法であって、
各集束要素が、少なくとも第一の方向において光を集束させるように適合しており、集束要素が、少なくとも1次元において規則的なグリッド上に配置されており、
画像要素が、画像要素位置を規定する繰り返しのユニットセルに基づいて配置されており、ユニットセルの周期性は、集束要素のアレイが配置されたグリッドの周期性と実質的に同一であり、ユニットセルが、ユニットセル内の画像要素位置の組を規定しており、ユニットセル内の各画像要素位置が、各々の対応する画像の画像要素を伝えるように割り当てられており、
それによって、デバイスを傾けたときに、異なる各々の画像が、選択された画像要素位置において、組み合わさって連続的に画像要素により表示されるように、集束要素のアレイは、選択された画像要素位置からの光を観察角度に応じて観察者に向け、
1つ又はそれより多くの画像要素位置を含む各ユニットセルの中心領域は、対応する中心画像の1つ又は複数の画像要素を伝えるように割り当てられており、中心領域はユニットセルの各外側の領域より大きく、外側の領域が中心領域の外側に位置しており、かつ、外側の領域が、中心画像が観察者に表示される観察角度の範囲が、各他の画像が表示される観察角度の範囲より大きいように、他の各々の画像の1つ又は複数の画像要素を伝えるように、割り当てられている、セキュリティデバイスの製造方法。
[49]
集束要素のアレイ及び画像要素のアレイが、互いに位置合わせをして重なり合っており、好ましくは、各ユニットセル中の中心領域が、対応する集束要素の中心と揃っていることにより、セキュリティデバイスの平面に対する垂線に沿ってセキュリティデバイスを観察したときに、中心画像が表示されるように重なり合っている、上記態様48に記載の方法。
[50]
上記態様1〜44のいずれかに記載のセキュリティデバイスを製造するように適合した、上記態様48又は49に記載の方法。