特許第6481870号(P6481870)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6481870複数の配管吊下支持具からなる配管の吊下支持構造
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6481870
(24)【登録日】2019年2月22日
(45)【発行日】2019年3月13日
(54)【発明の名称】複数の配管吊下支持具からなる配管の吊下支持構造
(51)【国際特許分類】
   F16L 3/14 20060101AFI20190304BHJP
   F16L 3/08 20060101ALI20190304BHJP
   F16B 1/00 20060101ALI20190304BHJP
   F16B 2/08 20060101ALI20190304BHJP
   F16B 45/00 20060101ALI20190304BHJP
   F16B 41/00 20060101ALI20190304BHJP
   F16B 5/02 20060101ALI20190304BHJP
   F16B 7/06 20060101ALI20190304BHJP
【FI】
   F16L3/14 B
   F16L3/08 C
   F16B1/00 A
   F16B2/08 F
   F16B45/00 H
   F16B41/00 A
   F16B5/02 U
   F16B7/06 Z
   F16B2/08 H
【請求項の数】8
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2017-148935(P2017-148935)
(22)【出願日】2017年8月1日
(65)【公開番号】特開2019-27536(P2019-27536A)
(43)【公開日】2019年2月21日
【審査請求日】2017年8月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】591021958
【氏名又は名称】株式会社アカギ
(74)【代理人】
【識別番号】100073210
【弁理士】
【氏名又は名称】坂口 信昭
(72)【発明者】
【氏名】渋谷 隆次郎
【審査官】 大谷 光司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−222074(JP,A)
【文献】 特開2014−185723(JP,A)
【文献】 特開2005−312164(JP,A)
【文献】 特開2017−015155(JP,A)
【文献】 特開昭62−098015(JP,A)
【文献】 米国特許第04078752(US,A)
【文献】 米国特許第05295646(US,A)
【文献】 中国実用新案第205938191(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L3/08,3/133,3/14
F16B1/00,2/08,5/02,41/00,45/00
H02G3/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
配管類を抱持するバンド抱持部と、該バンド抱持部の開放両端部に連設されたバンド端部とを有し、
天井スラブやトンネル天井等の取付面から吊り下げられる吊りボルトに、タンバックルの如き吊下接続部材を介して前記バンド端部を接続して、前記バンド抱持部に抱持した配管を前記取付面に吊下支持する複数の配管吊下支持具からなる配管の吊下支持構造であって、
配管すべき略全域に亘って前記取付面から複数本の吊りボルトが所定間隔毎に吊り下げられ、この複数本の吊りボルトの各々に、前記配管吊下支持具が個々に接続されることにより、配管の長尺スパンにおける配管の吊下支持が可能な複数の配管吊下支持具からなる配管の吊下支持構造において、
前記配管吊下支持具のバンド抱持部には、配管軸に直交するバンド抱持部の左右の側方部から横方向外側に各々延伸する左係止部・右係止部が設けられ、且つ、これらの左係止部・右係止部には透孔が各々形成された構成であり、
更に、前記配管吊下支持具は、下記構成の(1)第一サポート支持構成を有するものと、(2)第二サポート支持構成を有するものと、の2種類のサポート支持構成を有する配管吊下支持具を、配管軸方向において交互に吊下配設した構成とすることによって、この隣接する配管吊下支持具同士が平面視した際に配管軸方向において対称のサポート支持構成を有する構成であること、を特徴とする複数の配管吊下支持具からなる配管の吊下支持構造
[2種類のサポート支持構成]
(1)第一サポート支持構成
バンド抱持部の左係止部の透孔には、前記取付面であって前記吊りボルトの吊下位置に対して配管軸方向の左前方位置と左後方位置に一端が固定されて斜めに吊下げられる2本の吊りボルトの如き左前方吊下支持杆・左後方吊下支持杆の各々の他端が直接又は間接的に接続取付された状態で係合される構成であり、
バンド抱持部の右係止部の透孔には、前記取付面であって前記吊りボルトの吊下位置に対して配管軸方向の右前方位置に一端が固定されて斜めに吊下げられる吊りボルトの如き右前方吊下支持杆の他端が直接又は間接的に接続取付された状態で係合される構成であり、
この左前方吊下支持杆・左後方吊下支持杆・右前方吊下支持杆による3点斜め吊下支持と、前記吊りボルトによる1点吊下支持と、によって合計4点吊下支持構成と成る第一サポート支持構成。
(2)第二サポート支持構成
バンド抱持部の左係止部の透孔には、前記取付面であって前記吊りボルトの吊下位置に対して配管軸方向の左後方位置に一端が固定されて斜めに吊下げられる吊りボルトの如き左前方吊下支持杆の他端が直接又は間接的に接続取付された状態で係合される構成であり、
バンド抱持部の右係止部の透孔には、前記取付面であって前記吊りボルトの吊下位置に対して配管軸方向の右前方位置と右後方位置に一端が固定されて斜めに吊下げられる2本の吊りボルトの如き右前方吊下支持杆・右後方吊下支持杆の各々の他端が直接又は間接的に接続取付された状態で係合される構成であり、
この左後方吊下支持杆・右前方吊下支持杆・右後方吊下支持杆による3点斜め吊下支持と、前記吊りボルトによる1点吊下支持と、によって合計4点吊下支持構成と成る第二サポート支持構成。
【請求項2】
前記第一サポート支持構成の左係止部・第二サポート支持構成の右係止部の各々の透孔に、少なくとも2つの透孔を有する板状部材から成る接続板部材が接続取付された状態であり、
第一サポート支持構成の左係止部に接続される接続板部材の2つの透孔に、前記左前方吊下支持杆・左後方吊下支持杆の各々の他端が挿通されてナット螺合された状態であり、
第二サポート支持構成の右係止部に接続される接続板部材の2つの透孔に前記右前方吊下支持杆・右後方吊下支持杆の各々の他端が挿通されてナット螺合された状態であること、
と特徴とする請求項1に記載の複数の配管吊下支持具からなる配管の吊下支持構造
【請求項3】
前記第一サポート支持構成の左係止部・第二サポート支持構成の右係止部の各々の透孔が2つの透孔から成り、
第一サポート支持構成の左係止部の2つの透孔の、一方の透孔に前記左前方吊下支持杆の他端が挿通されてナット螺合された状態であると共に、他方の透孔に前記左後方吊下支持杆の他端が挿通されてナット螺合された状態であり、
第二サポート支持構成の右係止部の2つの透孔の、一方の透孔に前記右前方吊下支持杆の他端が挿通されてナット螺合された状態であると共に、他方の透孔に前記右後方吊下支持杆の他端が挿通されてナット螺合された状態であること、
を特徴とする請求項1に記載の複数の配管吊下支持具からなる配管の吊下支持構造
【請求項4】
上接続板と下接続板との2枚一組から成る板状部材の各々が両端に透孔を有し、一端の透孔部分において上接続板と下接続板とを前記一端の透孔を連通させた状態で重層すると共に、この重層する一端の透孔を更に前記第一サポート支持構成の左係止部の透孔と連通させた状態でボルト・ナットにより螺合接続し、且つ、上接続板・下接続板の他端の透孔に、前記左前方吊下支持杆・左後方吊下支持杆の他端が挿通されてナット螺合接続する構成であり、
上記構成を有する2枚一組の上接続板・下接続板を更に一組用いて、一端の透孔部分において上接続板と下接続板とを前記一端の透孔を連通させた状態で重層すると共に、この重層する一端の透孔を更に前記第二サポート支持構成の右係止部の透孔と連通させた状態でボルト・ナットにより螺合接続し、且つ、上接続板・下接続板の他端の透孔に、前記右前方吊下支持杆・右後方吊下支持杆の他端が挿通されてナット螺合接続する構成であること、
を特徴とする請求項1に記載の複数の配管吊下支持具からなる配管の吊下支持構造
【請求項5】
前記上接続板と下接続板が、同形・同大の同一構成であることを特徴とする請求項4に記載の複数の配管吊下支持具からなる配管の吊下支持構造
【請求項6】
前記上接続板と下接続板との重層する一端の透孔に挿通したボルトに、該ボルトの螺旋部分に噛合うことによって該ボルトの透孔からの脱落を防止するボルトの脱落防止具が取り付けられる構成であることを特徴とする請求項5に記載の複数の配管吊下支持具からなる配管の吊下支持構造
【請求項7】
前記バンド抱持部が、相対向する半円形状の2つのバンド抱持部が円形に組合うことによって配管を抱持可能であり、該2つのバンド抱持部の下端部分は組式又は蝶番式の如き接続部により拡開可能に接続された構成であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の複数の配管吊下支持具からなる配管の吊下支持構造
【請求項8】
前記バンド抱持具が一本の帯状バンド体を環状に彎曲することによって配管を抱持可能であり、この帯状バンド体の開放両端部に前記バンド端部が各々連設された構成であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の複数の配管吊下支持具からなる配管の吊下支持構造
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は複数の配管吊下支持具からなる配管の吊下支持構造に関し、詳しくは天井スラブやトンネル天井等の取付面に、各種配管類を数mから数十m以上に及ぶ長尺スパンで吊下支持する複数の配管吊下支持具からなる配管の吊下支持構造に関する。
【背景技術】
【0002】
天井スラブやトンネル天井等の取付面に各種配管類を吊下支持するには、例えば、特許文献1〜3等に示すような、吊りボルトと配管バンドとから成る支持構成を一組とする同構成の吊下支持具、或いは、斜めに垂設した1本又は2本の吊下支持杆を更に付加した支持構成を一組とする同構成の吊下支持具を、数mないし数十m間隔で複数個配設することにより行われている。
【0003】
上記の吊下支持構成は、たとえ数百mないし数百m以上に及ぶトンネル内配管等のように超長尺スパンにおける吊下支持であっても、前記したような同構成の配管支持具を多数個用いることにより行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−150452号
【特許文献2】実用新案登録第2524340号
【特許文献3】登録実用新案第3148361号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
同構成の配管支持具を長尺スパンにおいて複数個ないし多数個用いて吊下支持した場合、地震等の揺れが発生すると、配管軸方向の振動負荷と配管軸直交方向の振動負荷とが同時に生じることに加えて、捻れを含む軸線回り方向に傾動・揺動する負荷・モーメント・応力・歪等をも生じることになり、揺れを収束させることができないことが多いだけでなく、複数個ないし多数個の配管支持具に掛かる負荷・モーメント・応力・歪等が同調して増幅されてしまうこともあり、配管支持具に歪みや破損が生じ易く、耐震強度の点で問題が起き易いことが判った。
【0006】
そこで本発明の課題は、トンネル天井への長尺スパンにおける配管吊下支持であっても地震時の防震性及び耐震性の高い複数の配管吊下支持具からなる配管の吊下支持構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決する本発明は下記構成を有する。
【0008】
1.配管類を抱持するバンド抱持部と、該バンド抱持部の開放両端部に連設されたバンド端部とを有し、
天井スラブやトンネル天井等の取付面から吊り下げられる吊りボルトに、タンバックルの如き吊下接続部材を介して前記バンド端部を接続して、前記バンド抱持部に抱持した配管を前記取付面に吊下支持する複数の配管吊下支持具からなる配管の吊下支持構造であって、
配管すべき略全域に亘って前記取付面から複数本の吊りボルトが所定間隔毎に吊り下げられ、この複数本の吊りボルトの各々に、前記配管吊下支持具が個々に接続されることにより、配管の長尺スパンにおける配管の吊下支持が可能な複数の配管吊下支持具からなる配管の吊下支持構造において、
前記配管吊下支持具のバンド抱持部には、配管軸に直交するバンド抱持部の左右の側方部から横方向外側に各々延伸する左係止部・右係止部が設けられ、且つ、これらの左係止部・右係止部には透孔が各々形成された構成であり、
更に、前記配管吊下支持具は、下記構成の(1)第一サポート支持構成を有するものと、(2)第二サポート支持構成を有するものと、の2種類のサポート支持構成を有する配管吊下支持具を、配管軸方向において交互に吊下配設した構成とすることによって、この隣接する配管吊下支持具同士が平面視した際に配管軸方向において対称のサポート支持構成を有する構成であること、を特徴とする複数の配管吊下支持具からなる配管の吊下支持構造
[2種類のサポート支持構成]
(1)第一サポート支持構成
バンド抱持部の左係止部の透孔には、前記取付面であって前記吊りボルトの吊下位置に対して配管軸方向の左前方位置と左後方位置に一端が固定されて斜めに吊下げられる2本の吊りボルトの如き左前方吊下支持杆・左後方吊下支持杆の各々の他端が直接又は間接的に接続取付された状態で係合される構成であり、
バンド抱持部の右係止部の透孔には、前記取付面であって前記吊りボルトの吊下位置に対して配管軸方向の右前方位置に一端が固定されて斜めに吊下げられる吊りボルトの如き右前方吊下支持杆の他端が直接又は間接的に接続取付された状態で係合される構成であり、
この左前方吊下支持杆・左後方吊下支持杆・右前方吊下支持杆による3点斜め吊下支持と、前記吊りボルトによる1点吊下支持と、によって合計4点吊下支持構成と成る第一サポート支持構成。
(2)第二サポート支持構成
バンド抱持部の左係止部の透孔には、前記取付面であって前記吊りボルトの吊下位置に対して配管軸方向の左後方位置に一端が固定されて斜めに吊下げられる吊りボルトの如き左前方吊下支持杆の他端が直接又は間接的に接続取付された状態で係合される構成であり、
バンド抱持部の右係止部の透孔には、前記取付面であって前記吊りボルトの吊下位置に対して配管軸方向の右前方位置と右後方位置に一端が固定されて斜めに吊下げられる2本の吊りボルトの如き右前方吊下支持杆・右後方吊下支持杆の各々の他端が直接又は間接的に接続取付された状態で係合される構成であり、
この左後方吊下支持杆・右前方吊下支持杆・右後方吊下支持杆による3点斜め吊下支持と、前記吊りボルトによる1点吊下支持と、によって合計4点吊下支持構成と成る第二サポート支持構成。
【0009】
2.前記第一サポート支持構成の左係止部・第二サポート支持構成の右係止部の各々の透孔に、少なくとも2つの透孔を有する板状部材から成る接続板部材が接続取付された状態であり、
第一サポート支持構成の左係止部に接続される接続板部材の2つの透孔に、前記左前方吊下支持杆・左後方吊下支持杆の各々の他端が挿通されてナット螺合された状態であり、
第二サポート支持構成の右係止部に接続される接続板部材の2つの透孔に前記右前方吊下支持杆・右後方吊下支持杆の各々の他端が挿通されてナット螺合された状態であること、
と特徴とする上記1に記載の複数の配管吊下支持具からなる配管の吊下支持構造
【0010】
3.前記第一サポート支持構成の左係止部・第二サポート支持構成の右係止部の各々の透孔が2つの透孔から成り、
第一サポート支持構成の左係止部の2つの透孔の、一方の透孔に前記左前方吊下支持杆の他端が挿通されてナット螺合された状態であると共に、他方の透孔に前記左後方吊下支持杆の他端が挿通されてナット螺合された状態であり、
第二サポート支持構成の右係止部の2つの透孔の、一方の透孔に前記右前方吊下支持杆の他端が挿通されてナット螺合された状態であると共に、他方の透孔に前記右後方吊下支持杆の他端が挿通されてナット螺合された状態であること、
を特徴とする上記1に記載の複数の配管吊下支持具からなる配管の吊下支持構造
【0011】
4.上接続板と下接続板との2枚一組から成る板状部材の各々が両端に透孔を有し、一端の透孔部分において上接続板と下接続板とを前記一端の透孔を連通させた状態で重層すると共に、この重層する一端の透孔を更に前記第一サポート支持構成の左係止部の透孔と連通させた状態でボルト・ナットにより螺合接続し、且つ、上接続板・下接続板の他端の透孔に、前記左前方吊下支持杆・左後方吊下支持杆の他端が挿通されてナット螺合接続する構成であり、
上記構成を有する2枚一組の上接続板・下接続板を更に一組用いて、一端の透孔部分において上接続板と下接続板とを前記一端の透孔を連通させた状態で重層すると共に、この重層する一端の透孔を更に前記第二サポート支持構成の右係止部の透孔と連通させた状態でボルト・ナットにより螺合接続し、且つ、上接続板・下接続板の他端の透孔に、前記右前方吊下支持杆・右後方吊下支持杆の他端が挿通されてナット螺合接続する構成であること、
を特徴とする上記1に記載の複数の配管吊下支持具からなる配管の吊下支持構造
【0012】
5.前記上接続板と下接続板が、同形・同大の同一構成であることを特徴とする上記4に記載の複数の配管吊下支持具からなる配管の吊下支持構造
【0013】
6.前記上接続板と下接続板との重層する一端の透孔に挿通したボルトに、該ボルトの螺旋部分に噛合うことによって該ボルトの透孔からの脱落を防止するボルトの脱落防止具が取り付けられる構成であることを特徴とする上記5に記載の複数の配管吊下支持具からなる配管の吊下支持構造
【0014】
7.前記バンド抱持部が、相対向する半円形状の2つのバンド抱持部が円形に組合うことによって配管を抱持可能であり、該2つのバンド抱持部の下端部分は組式又は蝶番式の如き接続部により拡開可能に接続された構成であることを特徴とする上記1〜6のいずれかに記載の複数の配管吊下支持具からなる配管の吊下支持構造
【0015】
8.前記バンド抱持具が一本の帯状バンド体を環状に彎曲することによって配管を抱持可能であり、この帯状バンド体の開放両端部に前記バンド端部が各々連設された構成であることを特徴とする上記1〜6のいずれかに記載の複数の配管吊下支持具からなる配管の吊下支持構造
【発明の効果】
【0016】
請求項1に示す発明によれば、トンネル天井への長尺スパンにおける配管吊下支持であっても地震時の防震性及び耐震性の高い複数の配管吊下支持具からなる配管の吊下支持構造を提供することができる。

【0017】
特に、2種類のサポート支持構成を有する配管吊下支持具を配管軸方向において交互に用いて配管を吊下支持することによって、この2種類の配管吊下支持具が、隣接するもの同士で平面視した際に配管軸方向において対称のサポート支持構成となるので、配管軸方向の振動負荷と配管軸直交方向の振動負荷とが同時に生じることに加えて、捻れを含む軸線回り方向に傾動・揺動する負荷・モーメント・応力・歪等をも生じた場合であっても、様々な方向における揺れを対称構成の2種類のサポート構成が互いに打ち消す作用効果を発揮し、揺れを収束させることができる。従って、長尺スパンにおける配管吊下支持であっても、複数個ないし多数個の配管支持具に掛かる負荷・モーメント・応力・歪等が同調して増幅されてしまうことを抑制することができ、配管支持具に歪みや破損が生じ難いという効果を有している。また、地震時に震源地の違いによって地震波の入射方向が変わっても、様々な振動方向にも対処することができるという、2種類のサポート支持構成による相乗効果を有している。
【0018】
以上の効果によって、配管支持具や吊りボルト等の配管支持構成のみならず、配管そのもの、配管の接続部分・継手部分の歪み・損傷・破損等を著しく抑制することができるので、一箇所の被災が全システムに影響を及ぼす水道管等に代表されるライフラインに特に有用である。
【0019】
請求項2に示す発明によれば、第一サポート支持構成の左係止部に左前方吊下支持杆・左後方吊下支持杆を、第二サポート支持構成の右係止部に右前方吊下支持杆・右後方吊下支持杆を、各々接続板部材を介して間接的に係合接続することができるので防振(防震)性を発揮した状態での複数点吊下支持が得られる。
【0020】
請求項3に示す発明によれば、第一サポート支持構成の左係止部に左前方吊下支持杆・左後方吊下支持杆を、第二サポート支持構成の右係止部に右前方吊下支持杆・右後方吊下支持杆を、各々直接係合接続することができるので防振(防震)性を発揮した状態での複数点吊下支持が得られる。
【0021】
請求項4に示す発明によれば、第一サポート支持構成の左係止部・第二サポート支持構成の右係止部の各々に2枚の板状部材から成る上接続板・下接続板を一端を重合させた状態で接続し、この上接続板・下接続板の他端に各吊下支持杆を係合接続することにより、防振(防震)性を発揮した状態での複数点吊下支持が得られる。しかも、上接続板・下接続板は一端を重合させた際の2枚の重合角度を吊下支持杆の斜め吊下支持の角度に応じて変更することができるので、より安定した状態での複数点吊下支持が得られる。
【0022】
請求項5に示す発明によれば、上接続板と下接続板とを全く同一構成の板部材を用いる構成なので、この2枚を重層する上下関係に注意を払うことなく、どちらが上でも下でも接続板部材として機能する。更に、その製造に際しては、金型等の製造設備が一種でよいために生産効率が高く、製造コストを下げることができ、一種類の板部材のみが製造されるため在庫管理・発注受注管理・納品管理が容易である。
【0023】
請求項6に示す発明によれば、上接続板と下接続板との重層部分の透孔に挿通したボルトにクリップ等の脱落防止具を装着することによってナットを外してもボルトが透孔から脱落することを防止できる。従って、取付け作業における作業性が良好であり、ボルト等のパーツ落下や紛失等を抑制することができるので、作業効率が高いだけでなく安全性向上にも寄与する。
【0024】
請求項7に示す発明によれば、一般的な組式の配管支持バンドを用いて製造することができるので容易に且つ低コストで提供することが可能である。
【0025】
請求項8に示す発明によれば、一般的な提灯式の配管支持バンドを用いて製造することができるので容易に且つ低コストで提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明に係る配管吊下支持具の使用状態の実施例を示す概略側面図(配管軸直交方向の側面から見た図)
図2図1の概略平面図(配管軸直交方向である上方から見た図(II−II線方向平面図))
図3図1の第一サポート支持構成の配管吊下支持具のみの概略正面図(配管軸方向から見た図)
図4図1の第二サポート支持構成の配管吊下支持具のみの概略正面図(配管軸方向から見た図)
図5】第一サポート支持構成の左係止部(第二サポート支持構成の右係止部)と左前方吊下支持杆(右前方吊下支持杆)・左後方吊下支持杆(右後方吊下支持杆)の接続構成の一例を示す要部拡大側面図
図6】第一サポート支持構成の左係止部(第二サポート支持構成の右係止部)と左前方吊下支持杆(右前方吊下支持杆)・左後方吊下支持杆(右後方吊下支持杆)の接続構成の他の例を示す要部拡大側面図
図7】第二サポート支持構成の右係止部(第一サポート支持構成の左係止部)と右前方吊下支持杆(左前方吊下支持杆)・右後方吊下支持杆(左後方吊下支持杆)の接続構成の更に他の例を示す要部概略平面図
図8図7の上接続板と下接続板とを重ね合わせた状態を示す側面図
図9図7の上接続板と下接続板とを一端部分において重層した状態を示す底面図
【発明を実施するための形態】
【0027】
次に、添付の図面に従って本発明を詳細に説明する。
【0028】
本発明に係る配管吊下支持具は、天井スラブやトンネル天井等の取付面に、給水管、排水管、送風管等の各種配管類を数mから数十mに及び長尺スパン、或いは数百m以上に及ぶ超長尺スパンで吊下支持するものであり、配管を抱持した配管バンドを取付面から垂設された釣りボルトと取付面から斜めに垂設した吊下支持杆とによって防振(防震)状態で多点吊下支持する支持構成を1組の吊下支持具とし、この吊下支持具を数mないし数十m間隔で複数個配設する構成である。
【0029】
固定支持する種々の配管としては、一般的な鋼管の他、鋼管に代わって近年多く用いられるようになった合成樹脂管(ポリエチレン管、架橋ポリエチレン管、ポリブデン管、塩化ビニル管、プロピレン管、ABS管等)の固定支持にも有効である。
【0030】
本発明の配管吊下支持具の具体的構成としては、図1図4に示すように、
配管類を抱持するバンド抱持部11と、該バンド抱持部11の開放両端部に連設されたバンド端部13・13とを有し、
天井スラブやトンネル天井等の取付面2から吊り下げられる吊りボルト3に、タンバックルの如き吊下接続部材31を介して前記バンド端部13・13を接続して、前記バンド抱持部11に抱持した配管Pを前記取付面2に吊下支持する配管吊下支持具1であって、
配管すべき略全域に亘って前記取付面2から複数本の吊りボルト3・3・3・・・が所定間隔毎に吊り下げられ、この複数本の吊りボルト3の各々に、前記配管吊下支持具1が個々に接続されることにより、配管Pの長尺スパンにおける吊下支持が可能なものであり、
前記配管吊下支持具1のバンド抱持部11には、配管軸に直交するバンド抱持部11の左右の側方部から横方向外側に各々延伸する左係止部14・右係止部15が設けられ、且つ、これらの左係止部14・右係止部15には透孔が各々形成された構成であり、
更に、前記配管吊下支持具1は、下記構成の(1)第一サポート支持構成Aを有するものと、(2)第二サポート支持構成Bを有するものと、の2種類のサポート支持構成A・Bを有する配管吊下支持具1を、配管軸方向において交互に吊下配設した構成とすることによって、この隣接する配管吊下支持具1・1同士が平面視した際に配管軸方向において対称のサポート支持構成を有する構成であることを主構成とするものである。
【0031】
2種類のサポート支持構成A・Bは下記構成を有する。
【0032】
(1)第一サポート支持構成A
バンド抱持部11の左係止部14の透孔には、前記取付面2であって前記吊りボルト3の吊下位置に対して配管軸方向の左前方位置と左後方位置に一端が固定されて斜めに吊下げられる2本の吊りボルトの如き左前方吊下支持杆6・左後方吊下支持杆7の各々の他端が直接又は間接的に接続取付された状態で係合される構成であり、
バンド抱持部11の右係止部15の透孔には、前記取付面2であって前記吊りボルト3の吊下位置に対して配管軸方向の右前方位置に一端が固定されて斜めに吊下げられる吊りボルトの如き右前方吊下支持杆8の他端が直接又は間接的に接続取付された状態で係合される構成であり、
この左前方吊下支持杆6・左後方吊下支持杆7・右前方吊下支持杆8による3点斜め吊下支持と、前記吊りボルト3による1点吊下支持と、によって合計4点吊下支持構成と成る第一サポート支持構成。
【0033】
(2)第二サポート支持構成B
バンド抱持部11の左係止部14の透孔には、前記取付面2であって前記吊りボルト3の吊下位置に対して配管軸方向の左後方位置に一端が固定されて斜めに吊下げられる吊りボルトの如き左前方吊下支持杆7の他端が直接又は間接的に接続取付された状態で係合される構成であり、
バンド抱持部11の右係止部15の透孔には、前記取付面2であって前記吊りボルト3の吊下位置に対して配管軸方向の右前方位置と右後方位置に一端が固定されて斜めに吊下げられる2本の吊りボルトの如き右前方吊下支持杆8・右後方吊下支持杆9の各々の他端が直接又は間接的に接続取付された状態で係合される構成であり、
この左後方吊下支持杆7・右前方吊下支持杆8・右後方吊下支持杆9による3点斜め吊下支持と、前記吊りボルト3による1点吊下支持と、によって合計4点吊下支持構成と成る第二サポート支持構成。
【0034】
尚、図1図4に示す本実施例において、左係止部14の透孔への左前方吊下支持杆6・左後方吊下支持杆7の各一端の接続取付はナット61・ナット71の螺合によって行われ、右係止部15の透孔への右前方吊下支持杆8・右後方吊下支持杆9の各一端の接続取付はナット81・ナット91の螺合によって行われる。
【0035】
尚また、符号16は吊下接続部材31にバンド端部13・13を接続固定するためのボルト・ナットを示し、符号12は2つのバンド抱持部11・11の下端部分を接続する組式又は蝶番式(本実施例では蝶番式)の如き接続部を示す。
【0036】
以下、本発明の構成について更に詳説する。
【0037】
本発明の配管吊下支持具1は、この種の配管吊下支持具に用いられる材料として公知公用のものを特別の制限なく用いることができ、好ましくはステンレスやその他の金属製である。
【0038】
第一サポート構成A・第二サポート構成Bの各々の配管吊下支持具1の左係止部14・右係止部15は、その形成に際しての基点位置が本実施例ではバンド抱持部11の左右の側方部の略中央位置であるが、略中央位置より上方位置或いは下方位置であってもよく、この基点の位置を含めて左係止部14・右係止部15の延伸角度については、左係止部14・右係止部15に螺合係止される左前方吊下支持杆6・左後方吊下支持杆7・右前方吊下支持杆8・右後方吊下支持杆9の吊下げ角度等の諸条件によって適宜設定される。
【0039】
左係止部14・右係止部15の形成構成としては、図1図4に示す本実施例では、バンド抱持部11と同素材であって別体構成である板材をバンド抱持部11の形成位置に溶接によって取り付けることによって、左係止部14・右係止部15が各々形成されている。
【0040】
以上の構成を有する本発明の配管吊下支持具1は、その使用に際して図1及び図2に示すように、
図3に示す第一サポート支持構成Aを有する配管吊下支持具1を、取付面2に一端が固定される吊りボルト3にタンバックルの如き吊下接続部材31を介してバンド端部13をボルト・ナット16により固定することで前記取付面2に吊下支持し(第1点目の吊下支持)、前記取付面2に一端が固定され、斜め吊下げする公知公用の吊りボルトの如き左前方吊下支持杆6・左後方吊下支持杆7の他端を左係止部14の透孔に挿通してナット61・71によって螺合緊締することによって斜め吊下支持する(第2点目・第3点目の斜め吊下支持)と共に、前記取付面2に一端が固定され、斜め吊下げする公知公用の吊りボルトの如き右前方吊下支持杆8の他端を右係止部15の透孔に挿通してナット81によって螺合緊締することによって斜め吊下支持する(第4点目の斜め吊下支持)ことにより、第一サポート支持構成Aにおける合計4点吊下支持構成と成ると共に、
次に、図4に示す第二サポート支持構成Bの配管支持具1を、上記の第一サポート構成Aを吊下支持する吊りボルト3の配管軸方向において隣接する吊りボルト3にタンバックルの如き吊下接続部材31を介してバンド端部13をボルト・ナット16により固定することで前記取付面2に吊下支持し(第1点目の吊下支持)、前記取付面2に一端が固定され、斜め吊下げする公知公用の吊りボルトの如き左後方吊下支持杆7の他端を左係止部14の透孔に挿通してナット71によって螺合緊締することによって斜め吊下支持する(第2点目の斜め吊下支持)と共に、前記取付面2に一端が固定され、斜め吊下げする公知公用の吊りボルトの如き右前方吊下支持杆8・右後方吊下支持杆9の他端を右係止部15の透孔に挿通してナット81・91によって螺合緊締することによって斜め吊下支持する(第3点目・第4点目の斜め吊下支持)ことにより、第二サポート支持構成Bにおける合計4点吊下支持構成と成り、
上記の第一サポート支持構成Aと第二サポート支持構成Bとを、配管軸方向において繰り返して吊下配設した構成とする。かかる構成によって、この隣接する配管吊下支持具1・1同士が図2に示すように平面視した際に配管軸方向において対称のサポート支持構成を有する構成となる。
【0041】
以上の構成、即ち、2種類のサポート支持構成A・Bを有する配管吊下支持具1を配管軸方向において交互に用いて配管Pを吊下支持することによって、この2種類(A・B)の配管吊下支持具1が、隣接するもの同士で平面視した際に配管軸方向において対称のサポート支持構成となるので、配管軸方向の振動負荷と配管軸直交方向の振動負荷とが同時に生じることに加えて、捻れを含む軸線回り方向に傾動・揺動する振動負荷をも生じた場合であっても、様々な方向における揺れを対称構成の2種類のサポート構成A・Bが互いに打ち消す作用効果を発揮し、揺れを収束させることができる。従って、長尺スパンや超長尺スパンにおける配管吊下支持であっても、複数個ないし多数個の配管支持具1・1・1・・・に掛かる負荷が同調して増幅されてしまうことを抑制することができ、配管支持具1に歪みや破損が生じ難いという、本発明に係る特定の2種類のサポート支持構成による相乗効果を有している。
【0042】
尚、図1図4では、第一サポート支持構成Aの左係止部14に対する左前方吊下支持杆6・左後方吊下支持杆7の接続と、第二サポート支持構成Bの右係止部15に対する第3吊下支持杆8・第4吊下支持杆9の接続とは、いずれも左係止部14・右係止部15の接続部分の面に対して斜めに各2本ずつが挿通状態で接続されるため、透孔・透孔は、各々2本の吊りボルト(左前方吊下支持杆6と左後方吊下支持杆7の2本、右前方吊下支持杆8と右後方吊下支持杆9の2本)の端部が挿通可能な直径及び/又は形状に穿かれていることが好ましく、本実施例では、透孔・透孔は長孔に穿かれている。尚、長孔に代えて、2本の吊りボルトの端部が挿通可能な大径の透孔であってもよい。
【0043】
上記の左係止部14に対する左前方吊下支持杆6・左後方吊下支持杆7の接続構成、右係止部15に対する右前方吊下支持杆8・右後方吊下支持杆9の接続構成としては、図5図6図7に示す態様を採ることもできる。
【0044】
図5に示す接続構成は、左係止部14(右係止部15)に、複数の透孔が設けられた板状部材から成る接続板部材10Aをボルト・ナット10Dにより接続し、この接続板部材10Aに設けられた2つの透孔の内の一方の透孔に左前方吊下支持杆6(右前方吊下支持杆8)を挿通してナット61(ナット81)により緊締すると共に、他方の透孔に左後方吊下支持杆7(右後方吊下支持杆9)を挿通してナット71(ナット91)により緊締する構成である。図5において、( )内に示す符号は、右係止部15の各構成、即ち、右係止部15、右前方吊下支持杆8、ナット81、右後方吊下支持杆9、ナット91を各々示す。尚、左係止部14に接続した接続板部材10Aは同構成のままで右係止部15に接続可能である。
【0045】
図6に示す接続構成は、左係止部14(右係止部15)の透孔を2つ形成することにより、2つの透孔から成る透孔の一方の透孔に左前方吊下支持杆6(右前方吊下支持杆8)を挿通してナット61(ナット81)により緊締すると共に、他方の透孔に左後方吊下支持杆7(右後方吊下支持杆9)を挿通してナット71(ナット91)により緊締する構成である。図6において、( )内に示す符号は、右係止部15の各構成、即ち、右係止部15、右前方吊下支持杆8、ナット81、右後方吊下支持杆9、ナット91を各々示す。
【0046】
図7に示す接続構成は、2つの透孔及び屈曲部を有する同一形状又は近似形状の2枚の板部材である上接続板10Bと下接続板10Cとを、各々の一方の端部を重層した状態で右係止部15(左係止部14)にボルト・ナット10Dにより接続し、上接続板10Bの他方の端部に設けられた透孔に右前方吊下支持杆8(左前方吊下支持杆6)を挿通してナット81(ナット61)により緊締すると共に、下接続板10Cの他方の透孔に右後方吊下支持杆9(左後方吊下支持杆7)を挿通してナット91(ナット71)により緊締する構成である。図7において、( )内に示す符号は、左係止部14の各構成、即ち、左係止部14、左前方吊下支持杆6、ナット61、左後方吊下支持杆7、ナット71を各々示す。図7に示す実施例に用いられる上接続板10B・下接続板10Cは、図8の重ね合わせた状態を示す側面図から判るように同形・同大の同一形状となっている。かかる構成によれば、上接続板10Bと下接続板10Cとを重層する際に上下関係に注意を払うことなく、どちらが上でも下でも接続板部材として機能し、更に、その製造に際しては金型等の製造設備が一種でよいために生産効率が高く、製造コストを下げることができ、一種類の板部材のみが製造されるため在庫管理・発注受注管理・納品管理が容易である。
【0047】
更に、図9に示すように、上接続板10Bと下接続板10Cの重層部分の透孔に挿通したボルトにクリップ等の脱落防止具10Eを装着することによってナットを外してもボルトが透孔から脱落することを防止できる。従って、取付け作業における作業性が良好であり、ボルト等のパーツ落下や紛失等を抑制することができるので、作業効率が高いだけでなく安全性向上にも寄与する。
【0048】
尚、本実施例に用いられる上接続板10Bと下接続板10Cとしては、図7図9に示す構成のものの他、例えば、実開昭64−25821号(吊りボルトの振れ止め金具)等を用いることができる。
【0049】
また、図1図4に示す上記実施例では、左係止部14・右係止部15はバンド抱持部11の側方部に溶接により接続された構成であるが、本発明はかかる構成に限定されず、融着・接着・ネジ留めの如き固着手段により止着した構成とすることもできるし、或いはバンド抱持部の一部を切起すことにより形成した構成とすることもできる。
【0050】
更に、図1図4に示す上記実施例では、配管吊下支持具1の本体が半円状の2本のバンド抱持部11を下方の蝶番式の接続部12で接続した構成であるが、この種の配管バンドとして公知公用の構成及び素材を有する種々仕様のものを特別の制限なく用いることができ。例えば、組式構成の接続部を有する配管バンドであってもよいし、1本の環状の帯状板材から形成された提灯式の配管バンドであってもよい。
【符号の説明】
【0051】
1 配管吊下支持具
10A 接続板部材
10B 上接続板
10C 下接続板
10D ボルト・ナット
10E 脱落防止具
11 バンド抱持部
12 接続部
13 バンド端部
14 左係止部
15 右係止部
16 ボルト・ナット
2 取付面
3 吊りボルト
31 吊下接続部材
6 左前方吊下支持杆
61 ナット
7 左後方吊下支持杆
71 ナット
8 右前方吊下支持杆
81 ナット
9 右後方吊下支持杆
91 ナット
P 配管
A 第一サポート支持構成
B 第二サポート支持構成
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9