(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
指部から甲部までの手の平全体に亘るベース生地と、甲部面側にあって、上記ベース生地の指部外周縁に対して指挿入空間を形成するように縫い付けられる指カバー部と、上記ベース生地の甲部外周縁に対して甲部挿入空間を形成するように縫い付けられる甲部カバー部とからなる作業用手袋であって、上記指カバー部は、相互に分断された、挿入される指の先端から第1の関節に至る伸縮性のある第1のパーツ生地と、第1の関節から第2の関節に至る伸縮性のある第2のパーツ生地と、第2の関節から甲部側第3の関節に至る伸縮性のある第3のパーツ生地と、該第1〜第3のパーツ生地中に挿入された第1〜第3のプロテクター片と、上記第1、第2のパーツ生地の分断部内側にあって、上記第1、第2のパーツ生地と相互に重なり合う状態で、上記第1の関節部を覆う伸縮性のある第4のパーツ生地と、該第4のパーツ生地の中に挿入された第4のプロテクター片とからなり、上記第1〜第4のパーツ生地は、それぞれ隣接するものが相互に伸縮可能に接合されているとともに、上記甲部カバー部は、上記第3の関節部で指カバー部と分断された伸縮性のある第5のパーツ生地と該第5のパーツ生地中に挿入された第5のプロテクター片とからなっていて、上記第5のパーツ生地は、上記第3のパーツ生地に対して伸縮可能に接合されていることを特徴とする作業用手袋。
指カバー部側第3のパーツ生地と甲部カバー部側第5のパーツ生地との接合部には、上記第3のパーツ生地と第5のパーツ生地とに重なり合う状態で、指カバー部と甲部カバー部との間の第3の関節部を覆う伸縮性のある表側第6のパーツ生地と裏側第7のパーツ生地が設けられ、第6のパーツ生地には第6のプロテクター片が、また第7のパーツ生地には第7のプロテクター片が挿入され、それぞれ上記第3のパーツ生地と第5のパーツ生地に対して接合されていることを特徴とする請求項1記載の作業用手袋。
第1〜第3のパーツ生地、第4のパーツ生地、第5のパーツ生地、第6および第7のパーツ生地は、それぞれプロテクター片挿入用の開口部を残して2枚重ねの生地の周囲をヒートシールすることによって袋状に形成されており、プロテクター片挿入用の開口部は、プロテクター片が挿入され、成形された後にヒートシールされるようになっていることを特徴とする請求項2記載の作業用手袋。
人差し指から小指までの各指部の第2関節と甲部側第3関節との間の指部をカバーする第3のパーツ生地および第3のプロテクター片は、それぞれ相互に一体に連接されてベース生地に縫い付けられていることを特徴とする請求項1、2又は3記載の作業用手袋。
人差し指から小指までの各指部の第2関節と甲部側第3関節との間の指部をカバーする第3のパーツ生地および第3のプロテクター片は、それぞれ相互に独立に分断された形でベース生地に縫い付けられているとともに、上記人差し指から小指までの各指部の第2関節と甲部側第3関節との間の指部間には、断面V字状の股部カバー部が設けられていることを特徴とする請求項1,2または3記載の作業用手袋。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかし、上記後者のような構成の作業用手袋の場合、指や甲部の上面側を覆う複数の金属製のプロテクターを直接カシメ合わせて連結しており、それらプロテクター間の屈伸(曲げ伸ばし)の自由度が低く、作業時においてスムーズな指の屈伸を行うことができない。そのために、ウオータジェット・ハンドガンの操作部を強く握ることもできないので、作業時の操作性が悪く、また作業時において上記複数の金属同士の接触による異音が生じる、などの欠点がある。また、複数の金属プロテクター同士の高精度なカシメ加工が必要であるため、製造も複雑で、製造コストも高くなる。
【0012】
したがって、同構成の作業用手袋は、ウオータージェット作業用の手袋としては適していない。
【0013】
本願発明は、このような事情に基づいてなされたものであり、手の指や甲部部分を確実にカバーしながら、しかも、それらの関節部分を自由、かつ静粛に(スムーズに)屈伸することができるウオータージェット作業等に適した操作性の良い作業用の手袋を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本願発明は、上述の問題を解決するために、次のような有効な課題解決手段を備えて構成されている。
【0015】
(1)請求項1の発明の課題解決手段
この発明の課題解決手段は、指部から甲部までの手の平全体に亘るベース生地と、甲部面側にあって、上記ベース生地の指部外周縁に対して指挿入空間を形成するように縫い付けられる指カバー部と、上記ベース生地の甲部外周縁に対して甲部挿入空間を形成するように縫い付けられる甲部カバー部とからなる作業用手袋であって、上記指カバー部は、
相互に分断された、挿入される指の
先端から第1の関節に至る伸縮性のある第1のパーツ生地と、第1の関節から第2の関節に至る伸縮性のある第2のパーツ生地と、第2の関節から甲部側第3の関節に至る伸縮性のある第3のパーツ生地と、該第1〜第3のパーツ生地中に挿入された第1〜第3のプロテクター片と、上記第1、第2のパーツ生地の分断部内側にあって、上記第1、第2のパーツ生地と相互に重なり合う状態で、
上記第1の関節部を覆う伸縮性のある第4のパーツ生地と、該第4のパーツ生地の中に挿入された第4のプロテクター片とからなり、上記第1〜第4のパーツ生地は、それぞれ隣接するものが相互に伸縮可能に接合されているとともに、上記甲部カバー部は、
上記第3の関節部で指カバー部と分断された伸縮性のある第5のパーツ生地
と該第5のパーツ生地中に挿入された第5のプロテクター片とからなっていて、上記第5のパーツ生地は、上記第3のパーツ生地に対して伸縮可能に接合されていることを特徴としている。
【0016】
このような構成によると、作業者の手の指部
、関節部、甲部が、それぞれ第1〜第3のプロテクター片、第4のプロテクター片、第5のプロテクター片を挿入した第1〜第3のパーツ生地、第4のパーツ生地、第5のパーツ生地によって、それぞれ確実にカバーされることになり、ウオータージェット作業時の水の反射やコンクリートの破砕片の飛び散りがあっても安全となる。
【0017】
そして、それら第1〜第3のパーツ生地、第4のパーツ生地、第5のパーツ生地は、それぞれ伸縮性のある生地により形成されている。したがって、そのプロテクター片挿入用の開口部および生地の全体が容易に伸び縮みし、プロテクター片挿入用の開口部を介して、上記第1〜第3のパーツ生地、第4のパーツ生地、第5のパーツ生地内にそれぞれ第1〜第3のプロテクター片、第4のプロテクター片、第5のプロテクター片を容易に挿入することができ、また同プロテクター片を挿入した後も各パーツ生地は自由に伸縮する。
【0018】
また、それに加えて、上記第1、第2のパーツ生地は、上記第1の関節部に位置する上記第4のパーツ生地を介して相互に伸縮可能に接合されているとともに、上記第2のパーツ生地は第3のパーツ生地と伸縮可能に接合されており、さらに上記甲部カバー部の第5のパーツ生地が、上記指カバー部側の第3のパーツ生地に対して伸縮可能に接合されている。
【0019】
したがって、それら相互に分断された各パーツ生地の下部側が上記ベース生地の外周縁に対して縫付けられて、確実に連結されていることに加え、上部側でも相互に伸縮可能な状態で確実に連接されている。
【0020】
その結果、上記指の各関節部における指節部の曲げ伸ばし操作が自由でありながら、それぞれのパーツ生地が安定した一体状態に維持されるようになり、防護性、作業性共に優れた作業用の手袋が形成される。
【0021】
(2)請求項2の発明の課題解決手段
この発明の課題解決手段は、上記請求項1の発明の課題解決手段において、指カバー部側第3のパーツ生地と甲部カバー部側第5のパーツ生地との接合部には、上記第3のパーツ生地と第5のパーツ生地とに重なり合う状態で、指カバー部と甲部カバー部との間の第3の関節部を覆う伸縮性のある表側第6のパーツ生地と裏側第7のパーツ生地が設けられ
、第6のパーツ生地には第6のプロテクター片が、また第7のパーツ生地には第7のプロテクター片が挿入され、それぞれ上記第3のパーツ生地と第5のパーツ生地に対して接合されていることを特徴としている。
【0022】
指カバー部側第3のパーツ生地と甲部カバー部側第5のパーツ生地との接合部は、指部側と甲部側との間の第3の関節部に対応している。しかも、そこはウオータージェット作業時などに最も水の反射やコンクリート破砕片の飛び散りを受けやすい部分である。
【0023】
したがって、同部分の場合には、その内側と外側の両方に位置して、上記第3のパーツ生地と第5のパーツ生地とに重なり合うように、指部との間の第3の関節部を覆う伸縮性のある
表側第6のパーツ生地と
裏側第7のパーツ生地を設け、第6のパーツ生地には第6のプロテクター片を、第7のパーツ生地には第7のプロテクター片を挿入し、表面側と裏面側で上記第3のパーツ生地と第5のパーツ生地との間にかけて接合する。
【0024】
これにより、上記指カバー部側第3のパーツ生地と甲部カバー部側第5のパーツ生地との分断部である指部と甲部との間の第3の関節部が保護される。
【0025】
(3)請求項3の発明の課題解決手段
この発明の課題解決手段は、上記請求
項2の発明の課題解決手段の構成において、第1〜第3のパーツ生地、第4のパーツ生地、第5のパーツ生地、第6および第7のパーツ生地は、それぞれプロテクター片挿入用の開口部を残して2枚重ねの生地の周囲をヒートシールすることによって袋状に形成されており、プロテクター片挿入用の開口部は、プロテクター片が挿入され、成形された後にヒートシールされるようになっていることを特徴としている。
【0026】
このように、第1〜第3のパーツ生地、第4のパーツ生地、第5のパーツ生地、第6および第7のパーツ生地は、それぞれプロテクター片挿入用の開口部を残して2枚重ねの生地の周囲をヒートシールすることにより袋状に形成される。
【0027】
そして、同袋状態において、それらの内、第1〜第3のパーツ生地、第4のパーツ生地、第5のパーツ生地が、上記ベース生地に縫い付けられ、縫い付け後にプロテクター
片挿入用の開口部からプロテクター
片が挿入される。
【0028】
この場合、第1〜第3のパーツ生地、第4のパーツ生地、第5のパーツ生地は、縫い付けによってトンネル状態に形成されており、プロテクター
片挿入用の開口部の大きさも、プロテクター
片よりも小さいが、上記のように、各生地には伸縮性があり、開口部も自由に伸縮して口径が拡大される。したがって、容易に必要な大きさのプロテクター片を挿入することができる。そして、プロテクター片挿入用の開口部は、プロテクター片を挿入した後に目的とする形状に成形され、ヒートシールによりシールされる。
【0029】
他方、
指カバー部と甲部カバー部との間の第3の関節部を覆う表側第6のパーツ生地は、必要な大きさのプロテクター片を挿入した後に、目的とする形状に成形され、プロテクター片挿入用の開口部をヒートシールによりシールする。そして、その上で上記指カバー部側第3のパーツ生地と甲部カバー部側第5のパーツ生地との間に、それらの間を
上面側から覆う形で熱溶着により接合一体化される。また、
同様の第7のパーツ生地も、必要な大きさのプロテクター片を挿入した後に、目的とする形状に成形され、プロテクター片挿入用の開口部をヒートシールによりシールする。そして、その上で上記指カバー部側第3のパーツ生
地と甲部カバー部側第5のパーツ生
地との
間を裏面側から覆う形で熱溶着により一体に接合される。
【0030】
これにより、親指から、人差し指、中指、薬指、小指の全て、およびそれらの各関節部分、それら各指と甲部との関節部分が自由に屈伸可能で、外部からの衝撃にも強い作業用手袋が実現される。
【0031】
(4)請求項4
の発明の課題解決手段
この発明の課題解決手段は、上記請求項1,2又は3の発明の課題解決手段の構成において、人差し指から小指までの各指部の第2関節と甲部側第3関節との間の指部をカバーする第3のパーツ生地および第3のプロテクター片は、それぞれ相互に一体に連接されてベース生地に縫い付けられていることを特徴としている。
【0032】
人差し指から小指までの各指部の第1関節、第2関節の部分は、ウオータージェット作業時の操作性から言って、屈伸角度も大きく、屈伸頻度も高い。したがって、同部分における第1〜第3のパーツ生地、第4のパーツ生地は、相互に独立分断された形でベース生地に縫い付けられていることが好ましい。
【0033】
しかし、人差し指から小指までの各指部の甲部側第3関節部分は、屈伸頻度は同じでも、屈伸角度は小さい。したがって、人差し指から小指までの各指部の第2関節と甲部側第3関節との間の指部をカバーする第3のパーツ生地や第3のプロテクター片は、相互につながっていても、十分に自由な屈伸操作が可能である。
【0034】
また、相互につながっていると、それら各指部間の断面V字状の連接部が各指部間の基部(股部)を安全に保護することになるし、甲部側パーツ生地との伸縮可能な状態での接合性も良くなるなど、指部基部部分の強度、耐久性、安全性が向上する。
【0035】
(5)請求項5
の発明の課題解決手段
この発明の課題解決手段は、上記請求項1,2又は3の発明の課題解決手段の構成において、人差し指から小指までの各指部の第2関節と甲部側第3関節との間の指部をカバーする第3のパーツ生地および第3のプロテクター片は、それぞれ相互に独立に分断された形でベース生地に縫い付けられているとともに、上記人差し指から小指までの各指部の第2関節と甲部側第3関節との間の指部間には、断面V字状の股部カバー部が設けられていることを特徴としている。
【0036】
人差し指から小指までの各指部の第2関節と甲部側第3関節部分の屈伸角度は小さいとは言いながらも、相互の自由度が高い方が手袋としての操作性は向上する。したがって、この発明の場合には、各指部の第2関節と甲部側第3関節との間の指部をカバーする第3のパーツ生地や第3のプロテクター片についても、それぞれ相互に独立に分断された形でベース生地に縫い付けて、十分に自由な屈伸操作を可能とする。
【0037】
他方、上記人差し指から小指までの各指部の第2関節と甲部側第3関節との間の指部間には、上記連接部に代わる形で断面V字状の股部カバー部を設けて、各指部間の基部(股部)を安全に保護するとともに、指部基部部分の強度、耐久性、安全性を向上させる。
【発明の効果】
【0038】
以上の結果、本願発明によると、手の指(関節部を含めて)や甲部部分を確実にカバーしながらも、指部および指と甲部間の各関節部分を自由に曲げたり、伸ばしたりすることができるウオータージェット作業等に適した作業用の手袋を提供することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【
図1】本願発明の実施の形態に係る作業用手袋(左手用)の全体的な構成を示す甲部の右上面側から見た斜視図である。
【
図2】同作業用手袋の全体的な構成を示す親指側の側方から見た側面図である。
【
図3】同作業用手袋の中指カバー部分の先端から甲部カバー部分中央部までの各パーツ生地の接合構造を示す左右両端側中央部位置で前後方向に切断した断面図である。
【
図4】同作業用手袋の手の平側ベース生地部分の全体的な構成を示す平面図(指カバー部および甲部カバー部等が縫い付けられる前のベース生地の平面図)である。
【
図5】同作業用手袋の中指カバー部分の先端側第1のパーツ生地のベース生地に対する縫い付け状態の構成を示す要部の斜視図である。
【
図6】同作業用手袋の中指カバー部分の指側第1関節に対応する第4のパーツ生地のベース生地に対する縫い付け状態の構成を示す要部の斜視図である。
【
図7】同作業用手袋の中指カバー部分の中央部側第2のパーツ生地のベース生地に対する縫い付け状態の構成を示す要部の斜視図である。
【
図8】同作業用手袋の中指カバー部分の後端側第3のパーツ生地のベース生地に対する縫い付け状態の構成を示す要部の斜視図である。
【
図9】同作業用手袋において、上記
図5の第1のパーツ生地、
図6の第4のパーツ生地、
図7の第2のパーツ生地、
図8の第3のパーツ生地中に、それぞれ金属製の第1のプロテクター片、第4のプロテクター片、第2のプロテクター片、第3のプロテクター片を挿入し、成形機で成形するとともに、プロテクター片挿入用の開口部をヒートシールした後の断面構造を順番に(a)〜(d)として示した断面図である。
【
図10】同作業用手袋の上記
図5の第1のパーツ生地、
図6の第4のパーツ生地、
図7の第2のパーツ生地、
図8の第3のパーツ生地中に各々収納される第1のプロテクター片、第4のプロテクター片、第2のプロテクター片、第3のプロテクター片の成形前の形状を順番に(a)〜(d)で示す平面図である。
【
図11】同作業用手袋の上記
図5〜
図8の各パーツ生地中に収納される
図10の(a)〜(d)の各プロテクター片の成形後の形状(生地内部における形状)を順番に(a)〜(d)で示す斜視図である。
【
図12】同作業用手袋の第5のプロテクター片が収納された甲部カバー部側第5のパーツ生地の成形前の構成を示す図である。
【
図13】同作業用手袋の第6のプロテクター片が収納された甲部カバー部および指カバー部間の接合部補強用の第6のパーツ生地(表面側補強生地)の成形前の構成を示す図である。
【
図14】同作業用手袋の第7のプロテクター片が収納された甲部カバー部および指カバー部間の接合部補強用の第7のパーツ生地(裏面側補強生地)の成形前の構成を示す図である。
【
図15】上記本願発明の実施の形態において、上記第3のプロテクター片の形状を相互に連結されたものではなくて、それぞれ独立した構造のものに形成した変形例1に係る作業用手袋において使用される第1〜第7のプロテクター片の成形前の形状の一例(切断パターン)を示す図である。
【
図16】同変形例1に係る作業用手袋における第3のパーツ生地のベース生地に対する縫い付け状態の構成を示す斜視図である。
【
図17】同変形例1に係る作業用手袋における
図16の第3のパーツ生地中に
図15の形状の第3のプロテクター片を挿入し、生地部分全体を成形した上でプロテクター片挿入用の開口部をシールした状態における断面構造を示す断面図である。
【
図18】上記本願発明の実施の形態において、上記第3のプロテクター片の形状を上記
図15〜
図17の変形例1の構成と同様に、それぞれ独立した構造のものに形成する一方、それに加えて、第2のパーツ生地および第2のプロテクター片と第3のパーツ生地および第3のプロテクター片の下部側にそれらの間を保護する第8のパーツ生地および第8のプロテクター片を設け、さらに人差し指と中指間、中指と薬指間、薬指と小指間の基部側股部部分に当該股部保護用の第9のパーツ生地および第9のプロテクター片を設けた本願発明の変形例2に係る作業用手袋において使用される第1〜第9の各プロテクター片の成形前の形状の一例(切断パターン)を示す図である。
【
図19】同変形例2に係る作業用手袋の第1のパーツ生地、第4のパーツ生地、第2のパーツ生地、第8のパーツ生地、第3のパーツ生地中に各々収納される第1のプロテクター片、第4のプロテクター片、第2のプロテクター片、第8のプロテクター片、第3のプロテクター片の成形前の形状を順番に(a)〜(e)で示す平面図である。
【
図20】同変形例2に係る作業用手袋の第9のパーツ生地中に収納される第9のプロテクター片の成形前の形状を示す平面図である。
【
図21】同作業用手袋の上記第1のパーツ生地、第4のパーツ生地、第2のパーツ生地、第8のパーツ生地、第3のパーツ生地中に各々収納される上記第1のプロテクター片、第4のプロテクター片、第2のプロテクター片、第8のプロテクター片、第3のプロテクター片(
図19の(a)〜(e))の成形後の形状(生地内部における形状)を順番に(a)〜(e)で示す斜視図である。
【
図22】同変形例2に係る作業用手袋の第9のパーツ生地中に収納される第9のプロテクター片の成形後の形状を示す平面図である。
【
図23】同変形例2に係る作業用手袋の股部保護用の第9のパーツ生地中に収納される第9のプロテクター片と第3のパーツ生地中に収納される第3のプロテクター片相互の重なり状態を示す説明用の斜視図である。
【
図24】同変形例2に係る作業用手袋の股部保護用の第9のパーツ生地中に収納される第9のプロテクター片と第3のパーツ生地中に収納される第3のプロテクター片相互の重なり状態と実際の指との関係を示す説明用の斜視図である。
【
図25】同作業用手袋の中指カバー部分の先端から甲部カバー部分中央部までの各パーツ生地の接合構造を示す左右両端側中央部位置で前後方向に切断した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
図1〜
図4は、本願発明の実施の形態に係る作業用手袋の手袋全体の構成を、また
図5〜
図14は、同作業用手袋の要部の構成を示している。
【0041】
この実施の形態は、手の指や甲部、手首部分を確実にカバーしながら、しかも、それらの関節部分を自由に屈伸(曲げ伸ばし)することができるウオータージェット作業等に適した安全で作業性の良い作業用手袋を実現することを目的として構成されている。
【0042】
<指部から甲部、手首部に至る手袋全体の基本的な構成>
この実施の形態に係る作業用手袋は、大きく分けると、例えば
図1〜
図4に示されるように、手の平面側(
図1の紙面裏側)にあって、その指部から甲部、手首部までの掌面全体に亘る大きさのフラットなベース生地(基布)1(
図4参照)と、手の背面側(上面側)にあって、上記ベース生地1の親指ないし小指の5本の指に対応する指部生地1A〜1Eの外周縁部1a〜1eに対して指挿入空間2、2・・(
図3参照)を形成するようにトンネル構造に縫い付けられた5本の指カバーよりなる指カバー部3と、上記ベース生地1の甲部生地1Fの外周縁部1fに対して甲部挿入空間5を形成するようにトンネル構造に縫い付けられた甲部カバー部4と、上記ベース生地1の手首部生地1Gの外周縁部1gに対して手首部挿入空間(甲部挿入空間5に連続するものであるため、甲部挿入空間5で代表させて示す)を形成するようにトンネル構造に縫い付けられた手首カバー部(甲部カバー部4に連続するものであるため、甲部カバー部4で代表させて示す)とから構成されている。
【0043】
この場合、上記ベース生地1としては、例えば高密度ポリエステル繊維その他の強度が高く、比較的厚さが厚い1枚構造の合成繊維製の生地が採用されている。このベース生地1は、必ずしも伸縮性を必要とするものではないが、必要な場合には、強度が高くて、縦および横の両方向に伸縮性のあるニット系の素材(2ウエイ生地)を採用しても良い。そのようにすると、握持性等の作業性が良くなる。
【0044】
<指カバー部分の構成>
上記指カバー部3は、第1〜第3の3つの関節部がある人差し指、中指、薬指、小指に対応する指カバー部分の場合と、第1、第2の2つの関節部しかない親指に対応する指カバー部分の場合とでは、少し構成が異なっている。
【0045】
(1)人差し指、中指、薬指、小指に対応する指カバー部分の場合
すなわち、先ず、第1〜第3の3つの関節部がある人差し指、中指、薬指、小指部分の場合には、それぞれ挿入される指の末節部(先端部)、中節部(中間部)、基節部(根元部)に対応し、上記第1、第2の関節部に対応する位置で相互に独立に分断されている2枚重ね構造で伸縮性のある第1、第2、第3の3組のパーツ生地31、32、33と、該第1、第2、第3の2枚重ねのパーツ生地31、32、33中に挿入された第1、第2、第3の各金属製のプロテクター片31a、32a、33aと、上記第1、第2のパーツ生地31、32相互の分断部(隣接部)の内側にあって、上記第1、第2のパーツ生地31、32の端部と相互に所定の幅だけ重なり合う状態で、上記第1の関節部を覆う2枚重ね構造で伸縮性のある第4のパーツ生地34と、該第4のパーツ生地34中に挿入された第4の金属製のプロテクター片34aとからなっている。
【0046】
上記プロテクター片31a〜34aには、例えばSUS304などの比較的成形性の高いステンレス材が用いられる(厚さ0.2mm程度)。以下の各プロテクター片においても同様である。
【0047】
上記第1、第2、第3のパーツ生地31、32、33および第4のパーツ生地34は、それぞれ縦および横の2方向に伸縮性のあるニット製の上下2枚の生地(2ウエイ生地)を1枚状態に重合し、その左右両縁部および前後両縁部の何れか一方をヒートシールして袋状に構成されており、その前後両縁部の何れか一方側のヒートシールされていない部分に、それぞれ上記第1、第2、第3のプロテクター片31a、32a、33aおよび第4のプロテクター片34aを挿入するための所定の幅の開口部30・・を形成している。
【0048】
そして、先ず上記第1、第2、第3のプロテクター片31a、32a、33aおよび第4のプロテクター片34aを挿入する前の袋状態において、例えば
図5〜
図8に示すように、それぞれヒートシールされている前端側縁部Hおよび左右両側縁部H、H(第1のパーツ生地31の場合)、左右両側縁部H、H(第2、第3、第4のパーツ生地32、33、34の場合)を上記ベース生地1の各指部生地1B〜1Eの外周縁部1b〜1e部分に対して、全体として袋構造(第1のパーツ生地の場合)、トンネル構造(第2、第3、第4のパーツ生地32、33、34の場合)を形成するように縫い付ける。この縫い付け方は、第3のパーツ生地33の場合、相互に隣接する指のものが相互に連接されているので、左右両側を縫い付けると言っても、第2、第4のパーツ生地32、34の場合とは若干異なるが、この点については後に改めて説明する。
【0049】
なお、
図5〜
図8の例では、人差し指から小指までの4本の指カバー部のうち、最も長さが長い中指部分の指カバー部の構成で代表させてその構成を示しているが、人差し指、薬指、小指部分の場合にも基本的な構成は全く同様である。
【0050】
そして、この場合、上記第1、第2、第3のパーツ生地31、32、33および第4のパーツ生地34としては、前述のようなニット生地、例えばレオタードに使用されているような縦および横の何れの方向にも伸縮性があって、その引張り強さも一定値以上の強靭なものが選ばれる。また、破れにくく、撥水性があることも必要である。
【0051】
したがって、例えば
図5〜
図8のように外周囲がヒートシールされ、かつベース生地1に対して縫い付けられた状態においても、上記プロテクター片挿入用の開口部30、30・・を含めて上記第1、第2、第3のパーツ生地31、32、33および第4のパーツ生地34は、その全体が所定の引張強度を維持した状態で、縦および横、斜め方向にも容易に伸び縮みし、上記各開口部30、30・・を介して当該袋構造、トンネル構造で2枚重ねの袋状の第1、第2、第3のパーツ生地31、32、33および第4のパーツ生地34内にそれぞれ所望の形状に成形加工した上記第1、第2、第3のプロテクター片31a、32a、33aおよび第4のプロテクター片34aを容易に挿入することができ、また同第1、第2、第3のプロテクター片31a、32a、33aおよび第4のプロテクター片34aを挿入した後も、当該各パーツ生地31、32、33および34が前後左右に自由に相対移動し得るようになる。これは、上記第4のパーツ生地34と第1、第2のパーツ生地31、32との重なり合う部分においても全く同様であり、自由に相対摺動することができる。また、後述するように、それら第1、第2、第3、第4のパーツ生地31、32、33、34が舌部32b、34b、34bを介して、また舌部を介さずに直接にヒートシール部同士が熱溶着されて接合された場合にも同様である。
【0052】
この場合、指部先端側に位置する上記第1のパーツ生地31は、例えば
図5に示すように、先ず先端側縁部Hおよび左右両縁部H、H外周囲の全体がベース生地1の指部1C外周縁部1cに縫い付けられて全体として袋状の指袋構造に形成され、その後端部側ヒートシールしていない部分に第1のプロテクター片31a挿入用の開口部30が形成されている(残されている)。そして、この後端部側の開口部30を利用して、例えば
図11の(a)に示す形状に成形された第1のプロテクター片31aが挿入され、該第1のプロテクター片31aが上記第1のパーツ生地31と一体になって、当該第1のパーツ生地31の全体を例えば
図5および
図9の(a)に示すような、前端側が狭くなった指挿入空間(指の末節部挿入空間)2を形成した指袋型の塑性形状に維持する。そして、その後、上記開口部30が最終的にヒートシールされて閉じられる。
【0053】
上記第1のプロテクター片31aは、例えば所定の裁断工程において
図10(a)のような形状に裁断された平板上の金属片を、所定のプレス工程(成形工程)にかけて、
図11の(a)のような所望の形状に成形する。
【0054】
また、指の第1関節部に位置して第1関節部を保護する上記第4のパーツ生地34は、例えば
図6に示すように、そのヒートシールされている左右両側の縁部H、Hのみが上記ベース生地1両側の縁部1c、1cに縫い付けられて前端側から後端側にかけて若干径が拡大した筒状に形成されているが、その中央部(天面部)の前後両端部分には所定の長さの連結用の舌部34b、34bが設けられており、また同舌部34bを有する例えばヒートシールされていない後端側には、第4のプロテクター片34a挿入用の開口部30が形成されている。そして、この後端側の開口部30を利用して、
図11の(b)に示す形状の第4のプロテクター片34aが挿入され、該第4のプロテクター片34aにより、当該第4のパーツ生地34の全体が
図6および
図9の(b)に示すような指挿入空間(指の第1関節部挿入空間)2を形成した筒型の塑性形状に維持される。そして、その後、上記開口部30が最終的にヒートシールされて閉じられる。
【0055】
上記第4のプロテクター片34aは、例えば所定の裁断工程において
図10の(b)のような形状に裁断された平板上の金属片を、所定のプレス工程(成形工程)にかけて、
図11の(b)のような所望の形状に成形する。
【0056】
この第4のパーツ生地34は、上記第1のパーツ生地31と後述する第2のパーツ生地32の内側に相対摺動可能な状態で嵌装される関係で、その前後および全体の外径が上記第1のパーツ生地31の後端側内径および後述する第2のパーツ生地32の前端側内径よりも適度に小さく形成されている。
【0057】
また、指部中節部に位置する上記第2のパーツ生地32は、例えば
図7に示すように、そのヒートシールされた左右両側の縁部H、Hが上記ベース生地1の左右両側の縁部1c、1cに縫い付けられて前端側から後端側に欠けて若干径が拡大する筒状に形成され、その天面部中央部の後端側には所定の長さの連結用の舌部32bが設けられている一方、また舌部の無い前端側にはヒートシールしないことによって第2のプロテクター片32a挿入用の開口部30が形成されている。そして、この前端側の開口部30を利用して、
図11の(c)に示す形状の第2のプロテクター片32aが挿入され、該挿入された第2のプロテクター片32aにより、当該第2のパーツ生地32の全体が
図7および
図9の(c)に示す指挿入空間(指の中節部挿入空間)2を形成した筒型の塑性形状に維持される。そして、その後、上記開口部30が最終的にヒートシールされて閉じられる。
【0058】
上記第2のプロテクター片32aは、例えば所定の裁断工程において
図10の(b)のような形状に裁断された平板上の金属片を、所定のプレス工程(成形工程)にかけて、
図11の(b)のような所望の形状に成形する。
【0059】
また、人差し指から小指までの各指部の基節部および甲部側中手骨部分に対応する上記第3のパーツ生地33、33・・は、例えば
図8に示すように、それら4本の指カバー部を形成する4組の各パーツ生地33、33・・が、それぞれその左右両側の縁部H、H部分で上記ベース生地1の縁部1c、1cに縫い付けられて前端側から後端側にかけて若干径が拡大する筒状に形成され(前端側は上記第2のパーツ生地32の後端側に外嵌されるために、上記第2のパーツ生地32の後端側の外径よりも若干大きく形成されている)、それら各部の後端側には同部分の全体をヒートシールしないことによって、第3のプロテクター片33a、33a・・挿入用の幅の広い開口部30が形成されている。
【0060】
そして、同開口部30を利用して、例えば
図11の(d)に示すような形状の第3のプロテクター片33a、33a・・が挿入され、該挿入された第3のプロテクター片33a、33a・・により、当該第3のパーツ生地33、33・・の全体が、例えば
図8および
図9(d)に示すような指挿入空間(指の基節部挿入空間)2、2・・を形成した筒型の塑性形状に維持される。そして、その後、上記後端側の幅広の開口部30が最終的にヒートシールされて閉じられる。
【0061】
しかし、これら各指の基部側に位置する第3のパーツ生地33、33・・は、各指間で全く別個に独立して形成されている上記第1、第2、第4のパーツ生地31、32、34の場合と異なり、その途中から後半部側では、それぞれ相互につながって一体となっており、それらの中に入れられる上記第3のプロテクター片33a、33a・・も、例えば
図11の(d)に示されるように、その途中から後半部側で、それぞれ相互につながって一体のものとなっている。
【0062】
これらの相互につながった第3のプロテクター片33a、33a・・は、例えば裁断工程で裁断された平面状態では、
図10の(d)に示すような形状をしており、この
図10の(d)の形状の金属板を相互の間の折り曲げ部(折り曲げライン)33b、33b・・部分で
図11の(d)のように各々山形に折り曲げることによって、上記第3のパーツ生地33、33・・と一緒に立体形状に成形し、それによって上記第3のパーツ生地33a、33a・・の全体を同様の山形の塑性形状に形成している(
図8および
図9の(d)を参照)。
【0063】
各指部の第1関節、第2関節の部分は、ウオータージェット作業時の操作性から言って、屈伸角度も大きく、屈伸頻度も高い。したがって、同部分における第1、第2のパーツ生地31、32、第4のパーツ生地34は、相互に独立
に分断された形でベース生地1に縫い付けられている方が好ましい。
【0064】
しかし、人差し指から小指までの各指部の甲部カバー部4側第3関節部分は、屈伸頻度は同じでも、屈伸角度は小さい。また、各指の独立した動きの角度は小さく、全体が一緒に動くと見ても良い位である。したがって、各指部の第2関節と甲部カバー部4側第3関節部との間の基節部をカバーする第3のパーツ生地33、33・・や第3のプロテクター片33a、33a・・は、図示のように相互につながっていても、十分に自由な屈伸操作が可能である。
【0065】
また、相互につながっている方が、甲部カバー部4側第5のパーツ生地41との伸縮可能な状態での接合性も良く、指部基部としての強度、耐久性も向上する。そのため、同部分における第3のパーツ生地33、33・・および同生地33、33・・中の金属製のプロテクター片33a、33a・・は、そのベース生地1に対する縫い付け強度や後述する甲部カバー部4との接合強度などを考えて、相互に一体となったものに構成する。
【0066】
以上のように上記指部先端側から基部側(根元側)にかけて順次配設された上記第1、第4、第2、第3のパーツ生地31、34、32、33は、例えば
図3の断面図に示すように、それぞれ裏面側では、第4のパーツ生地34の舌部34b、34bを利用して上記第1のパーツ生地31と第2のパーツ生地32が、また第2のパーツ生地32の舌部32bを利用して上記第2のパーツ生地32と第3のパーツ生地33が、それぞれ相互に所定の幅と長さで熱溶着されて伸縮可能に接合連結されている一方、表面側では、第1のパーツ生地31の後端側ヒートシールされた周方向の縁部Hと第2のパーツ生地32の前端側ヒートシールされた周方向の縁部Hが上記第4のパーツ生地34の中間部外周面に対して周方向の全体に亘って熱溶着されることによって、相互に伸縮可能に接合連結されており、また第3のパーツ生地33の前端側ヒートシールされた周方向の縁部Hが上記第2のパーツ生地32の外周面に対して周方向に亘って熱溶着されて、それぞれ相互に伸縮可能な状態に接合連結されている。
【0067】
したがって、上記指カバー部3の人差し指から小指までの各指の末節部、第1関節部、中節部、第2関節部、基節部は、それぞれ第1、第4、第2、第3の各金属製プロテクター片31a、34a、32a、33aが収納された第1、第4、第2、第3の各パーツ生地31、34、32、33によって確実に保護されることになり、作業時の安全性が保たれる。
【0068】
しかも、上記第1、第4、第2、第3の各金属製プロテクター片31a、34a、32a、33aが収納された第1、第4、第2、第3の各パーツ生地31、34、32、33は、それぞれ相互に分断、独立して形成され、構造的に相互に独立に設けられており、前述した従来例(特許文献2)の場合とは異なり、それら金属製のプロテクター片31a、34a、32a、33a同士の間には、何ら直接的な連結構造は採用されておらず(先の従来例では複数の金属プレートを相互にカシメ付けて機械的に連結している)、それらを収納した弾力性、伸縮性の高いニット構造の第1、第4、第2、第3の各パーツ生地31、34、32、33同士が相互に独立した状態で伸縮可能に接合されることによって、屈伸(曲げ伸ばし)可能に連結されているだけである。
【0069】
したがって、作業時における指部の屈伸(曲げ伸ばし)は非常に自由、かつスムーズであり、また屈伸時のプロテクター片間の接触による騒音も無く、非常に静粛である。
【0070】
また、先の従来例のように、複数の金属プレート同士を相互にカシメ付けて機械的に連結するような必要がなく、基本的には各パーツ生地周縁のヒートシール、各パーツ生地相互の熱溶着のみで手袋全体を製造することができるので、同従来例の構造を採用して、ウオータージェット作業対応の作業用手袋を製造する場合に比べて、製造も容易で、製造コストも安価である。
【0071】
(2)親指に対応する指カバー部分の場合
次に、親指の場合には、挿入される親指の先端側末節部、根元側基節部、甲部側中手骨部分に対応し、同親指の第1の関節部に対応する位置で相互に分断された伸縮性のある第1、第2のパーツ生地31、32と、挿入される親指の甲部側中手骨部分に対応し、同親指の第2の関節部分で上記第2のパーツ生地32と分断されている第3のパーツ生地33と、これら第1、第2、第3のパーツ生地31、32、33中に挿入された第1、第2、第3のプロテクター片31a、32a,33aと、上記第1、第2のパーツ生地31、32の分断部の内側にあって、上記第1、第2のパーツ生地31、32の端部と相互に所定の幅だけ重なり合う状態で、上記親指の第1の関節部分を覆う伸縮性のある第4のパーツ生地34と、該第4のパーツ生地34中に挿入された第4のプロテクター片34aとからなり、上記第1、第2、第3のパーツ生地31、32、33は、それぞれ裏面側では上記人差し指、中指、薬指等の場合と同様の第4のパーツ生地34の前後両端側の舌部34b、34bによって第1のパーツ生地31と第2のパーツ生地32が相互に熱溶着されて伸縮可能に接合連結され、また第2のパーツ生地32後端側の舌部32bによって第2のパーツ生地32と第3のパーツ生地が相互に熱溶着されて伸縮可能に接合連結されている一方、また表面側では、上記第1のパーツ生地31の後端側縁部(第1のプロテクター片31aを収納した後に開口部30がヒートシールされ、かつ成形された縁部)Hと第2のパーツ生地32の前端側縁部(第2のプロテクター片32aを収納した後に開口部30がヒートシールされ、かつ成形された縁部)Hが上記第4のプロテクター片34aが収納され、かつ成形された第4のパーツ生地34の外周面に対して周方向の全体に熱溶着されることによって相互に伸縮可能に接合連結されており、また第3のパーツ生地33の前端側縁部(第3のプロテクター片33aを収納した後にヒートシールされ、かつ成形された縁部)Hが上記第2のパーツ生地32の後部側外周面の周方向の全体に対して熱溶着されることによって、相互に伸縮可能に接合連結されている。
【0072】
これらの構成は、基本的に上記人差し指から小指までの指カバー部分の構成と同様である。そのため、同親指に対応した指カバー部分の構成の場合にも、上記人差し指から小指までの指カバー部分の構成の場合と全く同様の作用、効果、メリットを得ることができる。
【0073】
なお、この親指カバー部分の第1〜第4のプロテクター片31a〜34aの成形前の形状は、後述する変形例の
図15に示すものと同様である。
【0074】
したがって、以上の構成によって、上記親指から小指までの各指カバー部分の第1、第4、第2、第3のパーツ生地31、34、32、33相互が自由に屈伸可能な状態に接合連結され、かつ、それらの中に挿入された親指から小指までの各指の指節部および関節部が、それら各パーツ生地31、34、32、33内のプロテクター片31a、34a、32a、33aによって確実に保護される。
【0075】
ただし、上記親指部分の場合、上記第3のパーツ生地33は親指単独で独立しており、他の指の第3のパーツ生地33、33・・とつながってはいない。また、後述するよう
な、甲部カバー部4との接合部を表裏両面側でカバーする第
6、第
7のパーツ生地35、36は設けられていない。
【0076】
これは、親指の場合、ウオータージェットガン等のハンドルを持った場合に、同部分が前面側に出ないこと、また親指の第3のパーツ生地33部分の外径は比較的太く、周囲と独立した安定した状態で、甲部カバー部4側縁部Hの内の円弧状の縁部H2(
図12参照)と周方向の全体に亘って強固に接合できることなどによる。
【0077】
<甲部カバー部分の構成>
さらに、上記甲部カバー部4は、例えば
図1〜
図3および
図12に示すように、上記指カバー部3側基部の第3の関節部に対応する位置で当該指カバー部3側第3のパーツ生地33、33・・と分断されている伸縮性のある第5のパーツ生地41と、該第5のパーツ生地41中に挿入された第5のプロテクター片41aとからなっていて、上記第5のパーツ生地41は、第5のプロテクター片41aが収納されてヒートシールされ、かつ成形された周方向の縁部Hの内の人差し指から小指部分に対応する前端側縁部H1部分を、上記相互につながった第3のパーツ生地33、33・・の後端側縁部(第3のプロテクター片33a、33a・・を収納した後に開口部30がヒートシールされ、かつ
図1、
図8のように波形に成形された縁部)Hの左右方向の全体に対して均等に熱溶着されて伸縮可能に接合連結されている。
【0078】
すなわち、この甲部カバー部4の構成も、基本的には上記指部カバー部3の第1〜第4のパーツ生地31〜34の構成と同様であり、例えば
図12に示すように、その外周縁部Hに外形形状に応じた所定の幅のヒートシールされた縁部H1〜H5を有して全体として袋状に形成され、後端側縁部H5に所定の幅のヒートシールしていない部分を残すことによって、上記第5のプロテクター片41aを挿入するための所定の幅の開口部30を形成している。
【0079】
そして、同開口部30を有する後端側縁部H5と前端側指カバー部3側との接合縁部H1、H2を除く左右両端側各縁部H3およびH4を、上記
図4のベース生地1の甲部生地1Fの左右両端側縁部1f、1fに対して、上述した各指カバー部の場合と同様にトンネル構造を形成するように縫い付ける。
【0080】
その後、上記後端側の開口部30を介して、当該縫い付けられた生地41中に成形(
図15のH1〜H5で囲まれた形状に)された第5のプロテクター片41aを挿入し、開口部30をヒートシールする。そして、それにより
図1〜
図3のような甲部挿入空間5を形成した塑性形状に維持する。
【0081】
そして、その後、その前端側縁部H1を上記人差し指から小指部分に対応する上記第3のパーツ生地33、33・・の後端側縁部(第3のプロテクター片33a、33a・・を収納した後に開口部30がヒートシールされ、かつ
図1、
図8のように波形に成形された縁部)Hの左右方向の全体に対して均等に熱溶着することによって伸縮可能に接合連結する。また、親指に対応する前端側縁部H2を、上記親指の第3のパーツ生地33の外周面(第3のプロテクター片33aを収納した後に開口部30がヒートシールされ、かつ筒形に維持された生地外周面)に対して周方向に均等に熱溶着することによって伸縮可能に接合連結する。
【0082】
これらによって、上記親指から小指までの第1〜第3のパーツ生地31〜33、第4のパーツ生地34よりなる指カバー部3と甲部カバー部4とが、相互に伸縮可能な状態で、かつ強固に連結される。
【0083】
<人差し指から小指までの第3のパーツ生地と甲部カバー部側第5のパーツ生地との接合部補強構造>
この実施の形態の構成では、さらに上記人差し指から小指までの第3のパーツ生地33、33・・と甲部カバー部4側第5のパーツ生地41との分断部の外周面側(上面側)には、上記第3のパーツ生地33、33・・と第5のパーツ生地41前端の接合部に重なり合う状態で、上記人差し指から小指までの各指カバー部3と甲部カバー部4との間の第3の関節部(および甲部側中手骨部分)を覆う伸縮性のある
図13のような第6のパーツ生地35が設けられている。該第6のパーツ生地35には第6のプロテクター片35aが挿入され、その上で上記相互に連接する第3のパーツ生地33、33・・の外周面と第5のパーツ生地41の前端側接合縁部H1に対して、前端側接合用の舌部35b、35b・・と後端側接合用の縁部H4が伸縮可能に接合されており、さらに左右両端側の縁部H2、H3は、ベース生地1の甲部生地1Fの前端部左右に上記第3のパーツ生地33、33の縁部H、Hと合わせて縫い付けられている。
【0084】
そして、これにより上記人差し指から小指までの第3のパーツ生地33、33・・と甲部カバー部4側第5のパーツ生地41との接合部が保護され、また補強されている。
【0085】
また、同様に同部分の内周面側(裏面側)には、上記第3のパーツ生地33、33・・と第5のパーツ生地41に重なり合う状態で、上記人差し指から小指までの各指部と甲部との間の第3の関節部を覆う伸縮性のある
図14のような第7のパーツ生地36が接合されている。該第7のパーツ生地36中には第7のプロテクター片36aが挿入され、上記第3のパーツ生地33,33・・と第5のパーツ生地41の前端部に対して伸縮可能に接合されている。
【0086】
該第7のパーツ生地36には第7のプロテクター片36aが挿入され、その上で上記相互に連接する第3のパーツ生地33、33・・の内周面と第5のパーツ生地41の前端側接合縁部H1の内周面に対して、その前端側接合用舌部36b、36b・・と後端側接合縁部H4が伸縮可能に接合されており、さらに左右両端側の縁部H2、H3は、ベース生地1の甲部生地1Fの前端部左右に上記第3のパーツ生地33、33の縁部H、Hと合わせて縫い付けられている。
【0087】
そして、これにより上記人差し指から小指までの第3のパーツ生地33、33・・と甲部カバー部4側第5のパーツ生地41との接合部が保護され、また補強されている。
【0088】
第3のパーツ生地33、33・・と甲部カバー部4側第5のパーツ生地41との分断部は、指部と甲部との間の第3の関節部に対応している。しかも、そこはウオータージェット作業時などに最も水の反射やコンクリート破砕片の飛び散りを受けやすい部分である。
【0089】
したがって、同部分の場合には、その内側と外側の両方に位置して、上記第3のパーツ生地33、33・・と第5のパーツ生地41とに重なり合うように、指部との間の第3の関節部を覆う第6のパーツ生地35と第7のパーツ生地36とを設け、それぞれ第6のプロテクター片35a、第7のプロテクター片36aを挿入し、表面側と裏面側で上記第3のパーツ生地33、33・・と第5のパーツ生地41との間に接合保持させている。これにより、上記第3のパーツ生地33,33・・と甲部側第5のパーツ生地41との分断部である指部と甲部との間の第3の関節部が一層確実に保護される。
【0090】
この第6のパーツ生地35、第7のパーツ生地36は、それぞれ上記第3のパーツ生地33、33・・と甲部カバー部4側第5のパーツ生地41との間の分断部の幅を覆うに十分な幅を有し、かつ人差し指から小指までに亘る長さの物に形成されており、同様の大きさ、形状のプロテクター片35a、36aを挿入した後に、プロテクター片挿入用の開口部30をヒートシールする。そして、その上で上記第3のパーツ生地33、33・・と甲部カバー部4側第5のパーツ生地41との間に、それらの間を覆う形で熱溶着により接合一体化される。
【0091】
<第1〜第4のパーツ生地および第5、第6、第7のパーツ生地の縫製、並びにそれら各部の溶着について>
以上の説明では、第1〜第4のパーツ生地31〜34、第5、第6、第7のパーツ生地41、36、37の縫製について、それぞれ個別に説明してきたが、実際には、それらすべての部分を縫製用の治具に対して縫製可能な一体状態に取り付け(保持させ)、第1〜第4のパーツ生地31〜34、第5、第6、第7のパーツ生地41、36、37の各部をベース生地1に対して連続的に縫製してゆき、縫製完了後に、それらの各開口部30、30・・を介して、
図11の(a)〜(d)、
図12〜
図14の第1〜第4の各プロテクター片31a〜34a、第5、第6、第7の各プロテクター片41a、36a、37aを挿入し、生地全体を最終的な製品形状に維持させた上で、それぞれを相互に熱溶着することによって、効率良く最終製品に仕上げるようになっている。したがって、効率良く製造してゆくことができる。
【0092】
なお、この実施の形態における上記作業用手袋は、上記のように構成された最終段階で、さらに内側には、所望の素材の全体に連続する形の内面生地が設けられる。
【0093】
<この実施の形態に係る作業用手袋の作用>
以上のような構成によれば、上記親指から小指部分までの各指カバーおよび各指カバーと甲部カバー部分の作業性の良い防護機能に加えて、それら各指部から甲部および手首部までの確実な防護が可能となる。
【0094】
すなわち、以上の構成では、ウオータージェットを用いたコンクリート等の斫り作業に際し、作業者の手の指部および関節部、甲部が、それぞれ上記第1、第2、第3、第4のプロテクター片31a、32a、33a、34a、および第5のプロテクター片41aが挿入され、かつ前後に隣接するもの同士の間で相互に独立に重なり合う第1、第2、第3、第4のパーツ生地31、32、33、34、および第5のパーツ生地41によって、それぞれ屈状態、伸状態の何れにおいても確実にカバーされることになり、ウオータージェット作業時の水の反射やコンクリートの破砕片の飛び散りがあっても安全となる。
【0095】
また、上記第1、第2、第3、第4のプロテクター片31a、32a、33a、34a、および第5のプロテクター片41aが挿入され、かつ前後に隣接する上記第1、第2、第3のパーツ生地31、32、33、および第5のパーツ生地41は、それぞれその下端側が、上記厚さが厚く、強度が高いベース生地1の外周縁部1a、1b、1c、1d、1e、1fにしっかりと縫い付けられるとともに、必要に応じ、舌部32b、34b、34b、接合用の縁部H、H・・を介して、それぞれ相互に伸縮可能な状態で強固に接合されて、相対摺動可能に連結されている。
【0096】
したがって、挿入された指の第1、第2、第3の関節部における曲げ伸ばしが自由でありながら、それぞれのパーツ生地31、32、33、34は全体として一体に連結された安定した状態に維持されるようになり、防護性、作業性、耐久性に優れた作業用の手袋が形成される。
【0097】
しかも、上記第1、第4、第2、第3の各金属製プロテクター片31a、34a、32a、33aが収納された第1、第4、第2、第3の各パーツ生地31、34、32、33は、それぞれ相互に分断、独立して形成され、構造的に相互に独立に設けられており、前述した従来例(特許文献1)の場合とは異なり、それら金属製のプロテクター片31a、34a、32a、33a同士の間には、何ら直接的な連結構造は採用されておらず(先の従来例では複数の金属プレートを相互にカシメ付けて機械的に連結している)、それらを収納した弾力性、伸縮性の高いニット構造の第1、第4、第2、第3の各パーツ生地31、34、32、33同士が相互に独立した状態で伸縮可能に接合されることによって、屈伸(曲げ伸ばし)可能に連結されているだけである。
【0098】
したがって、作業時における指部の屈伸(曲げ伸ばし)は非常に自由、かつスムーズであり、また屈伸時のプロテクター片間の接触による騒音も無く、非常に静粛である。
【0099】
また、先の従来例のように、複数の金属プレート同士を相互にカシメ付けて機械的に連結するような必要がなく、基本的には各パーツ生地周縁のヒートシール、各パーツ生地相互の熱溶着のみで手袋全体を製造することができるので、同従来例の構造を採用して、ウオータージェット作業対応の作業用手袋を製造する場合に比べて、製造も容易で、製造コストも安価である。
【0100】
また、この実施の形態では、人差し指から小指までの各指部の第3のパーツ生地33および第3のプロテクター片33aは、
図8〜
図11に示すように、それぞれ相互に一体に連接されている。
【0101】
人差し指から小指までの各指部の第1関節、第2関節の部分は、ウオータージェット作業時の操作性から言って、屈伸角度も大きく、屈伸頻度も高い。したがって、同部分における第1〜第3のパーツ生地31〜33、第4のパーツ生地34は、相互に独立分断された形でベース生地に縫い付けられていることが好ましい。
【0102】
しかし、人差し指から小指までの各指部の甲部側第3関節部分は、屈伸頻度は同じでも、屈伸角度は小さい。したがって、人差し指から小指までの各指部の第2関節と甲部側第3関節との間の指部をカバーする第3のパーツ生地33や第3のプロテクター片33aは、相互につながっていても、十分に自由な屈伸操作が可能である。
【0103】
また、相互につながっていると、それら各指部間の断面V字状の連接部が各指部間の基部(股部)を安全に保護することになるし、甲部側第5のパーツ生地41との伸縮可能な状態での接合性も良くなるなど、指部基部部分の強度、耐久性、安全性が向上する。
【0104】
なお、以上の構成では、指の第1の関節部に対応した第1のパーツ生地31と第2のパーツ生地32との分断部間にのみ関節部保護用の第4のパーツ生地34を設けるようにしたが、必要な場合には、後述の変形例2の構成のように、第2の関節部に対応した第2のパーツ生地32と第3のパーツ生地33との分断部間にも当該第2の関節部保護用の同様の構造の第8のパーツ生地38(第8のプロテクター片38a)を設けるようにしても良い。
【0105】
<変形例1>
次に、
図15〜
図17は、上記実施の形態の変形例1に係る構成を示している。上記実施の形態の構成では、人差し指から小指までの指基節部側の第3のパーツ生地33、33・・および第3のプロテクター片33a、33a・・について、隣り合うもの同士が相互に連接する
図8、
図9(d)、
図10(d)、
図11(d)のような構成に形成した。
【0106】
しかし、この部分の構成は、必ずしも同構成に限定されるものではなく、例えば
図15〜
図17に示すように、上記の親指部分の構成の場合と同様に、各指で独立したパーツ生地構成、プロテクター片構成にすることも可能である。
【0107】
図15は、そのような構成にした場合の各プロテクター片の31a、32a、33a、34a、35a、36a、41aのレイアウトパターンを示しており、また
図16は、そのように構成した場合の第3のパーツ生地33のベース生地1に対する縫い付け状態の構成、
図17は同
図16の状態の第3のパーツ生地33中に第3のプロテクター片33aを収納し、成形した上記
図9と同様の状態の断面図を示している。
【0108】
人差し指から小指までの各指部の第2関節と甲部側第3関節部分の屈伸角度は小さいとは言いながらも、相互の自由度が高い方が手袋としての操作性は向上する。したがって、この変形例のように、各指部の第2関節と甲部側第3関節との間の指部をカバーする第3のパーツ生地33や第3のプロテクター片33aについても、親指の場合と同様に、それぞれ相互に独立に分断された形でベース生地に縫い付けて、十分に自由な屈伸操作を可能とする。
【0109】
このような構成にすると、人差し指から小指までの各指部の第2関節と甲部側第3関節部分の屈伸の自由度が向上し、手袋としての操作性が向上するとともに、加工、縫製等が容易になるメリットがある。
<変形例2>
図18〜
図25は、本願発明の実施の形態の変形例2に係る作業用手袋の構成を示している。
【0110】
上記実施の形態1の構成では、指の第1の関節部に対応した第1のパーツ生地31(第1のプロテクター片31a)と第2のパーツ生地32(第2のプロテクター片32a)との分断部間にのみ関節部保護用の第4のパーツ生地34(第4のプロテクター片34a)を設けるようにしたが、好ましくは、第2の関節部に対応した第2のパーツ生地32(第2のプロテクター片32a)と第3のパーツ生地33(第3のプロテクター片33a)の分断部間の下部にも、当該第2の関節部保護用の同様の構造の第8のパーツ生地38(第8のプロテクター片38a)を設けることができる。
【0111】
図18、
図19、
図21、
図25は、そのようにした場合の構成(第8のパーツ生地38(第8のプロテクター片38a)の追加)を示している。このような構成によれば、上記第2の関節部をより効果的に保護することが可能になる。
【0112】
また、この変形例2の構成の場合、上記変形例1の場合と同様に、人差し指から小指までの各指部の第2関節と甲部側第3関節との間の指部をカバーする第3のパーツ生地33および第3のプロテクター片33aは、それぞれ相互に独立に分断された形でベース生地1に縫い付けられているとともに、上記人差し指から小指までの各指部の第2関節と甲部側第3関節との間の指部間に、まず股部カバーとしての断面V字状の第9のパーツ生地39(第9のプロテクター片39a)を設け、それに対して第3のパーツ生地33(第3のプロテクター片33a)を重ね合わせるようにしている(
図23、
図24参照)。
【0113】
人差し指から小指までの各指部の第2関節と甲部側第3関節部分の屈伸角度は小さいとは言いながらも、相互の自由度が高い方が手袋としての操作性は向上する。したがって、この変形例2の場合には、各指部の第2関節と甲部側第3関節との間の指部をカバーする第3のパーツ生地33や第3のプロテクター片33aについても、変形例1の場合と同様に、それぞれ相互に独立に分断された形でベース生地に縫い付けて、十分に自由な屈伸操作を可能とする。
【0114】
他方、上記人差し指から小指までの各指部の第2関節と甲部側第3関節との間の指部間には、上記実施の形態の連接部に代わる形で断面V字状の股部カバー部材である第9のパーツ生地39(第9のプロテクター片39a)を設けて、各指部間の基部(股部)を安全に保護するとともに、指部基部部分の強度、耐久性、安全性を向上させるようにしている。この第9のパーツ生地39の第3のプロテクター片39aの股部側Y部分は、斜め上方に絞られ、かつ左右幅も次第に狭く形成されて、指間の股部部分に適切にフィットするように構成されている(
図23、
図24参照)。
【0115】
このような構成によれば、実施の形態および変形例1の構成に比べて、操作性、補強性が、一層有効に向上するようになる。なお、
図21〜
図24の構成では、それぞれ各プロテクター片を収納するパーツ生地を省略した状態で示しているが、それぞれのプロテクター片38a,38a・・および39a,39a、39aが対応するパーツ生地38,38・・および39,39,39内にヒートシールで収納され、対応する部分と熱融着により接合されるのは、その他の部分と全く同様である(
図25参照)。