特許第6512031号(P6512031)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6512031
(24)【登録日】2019年4月19日
(45)【発行日】2019年5月15日
(54)【発明の名称】車両後部構造
(51)【国際特許分類】
   B62D 25/08 20060101AFI20190425BHJP
   B60R 19/04 20060101ALI20190425BHJP
   B60K 13/04 20060101ALI20190425BHJP
【FI】
   B62D25/08 M
   B60R19/04 M
   B60K13/04 A
【請求項の数】3
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-164048(P2015-164048)
(22)【出願日】2015年8月21日
(65)【公開番号】特開2016-216016(P2016-216016A)
(43)【公開日】2016年12月22日
【審査請求日】2017年11月8日
(31)【優先権主張番号】特願2015-103900(P2015-103900)
(32)【優先日】2015年5月21日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(74)【代理人】
【識別番号】100099025
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 浩志
(72)【発明者】
【氏名】黒川 博幸
【審査官】 林 政道
(56)【参考文献】
【文献】 特開平02−293275(JP,A)
【文献】 実開昭58−065124(JP,U)
【文献】 特開2008−291820(JP,A)
【文献】 特開2012−166611(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 17/00−25/08
B62D 25/14−29/04
B60K 11/00−15/10
B60R 19/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車室を構成するパネルの車体後方側に配置されたエンジンと、
車体前方側端部が前記パネルに結合されるとともに車体後方側端部に前記エンジンよりも車体後方側で車体上下方向に延在する上下延在部を有する左右一対のサイドメンバと、
前記エンジンに接続され、多重管構造の保護部と、車幅方向から見て少なくとも一部が前記保護部よりも車体後方側に配置されたサイレンサーと、を有する排気管と、
を備え、
前記保護部は、車幅方向から見て少なくとも一部が前記上下延在部よりも車体後方側へ突出している、車両後部構造。
【請求項2】
車室を構成するパネルの車体後方側に配置されたエンジンと、
車体前方側端部が前記パネルに結合され、前記エンジンよりも車体後方側で車体上下方向に延在する上下延在部を有する左右一対のサイドメンバと、
前記エンジンに接続され、車幅方向から見て少なくとも一部が前記上下延在部よりも車体後方側へ突出した多重管構造の保護部とされた排気管と、
前記排気管を構成するとともに、車幅方向から見て少なくとも一部が前記保護部よりも車体後方側に配置されたサイレンサーと、
前記サイレンサーの車幅方向外側に、車幅方向から見て前記サイレンサーと車体上下方向にオーバーラップして配置されたクラッシュボックスと、
前記サイレンサーの車体後方側に、車体前後方向から見て前記サイレンサーと車体上下方向にオーバーラップして配置されたバンパリインフォースメントと、
を備え車両後部構造。
【請求項3】
前記保護部が複数の排気管によって構成される、請求項1または2に記載の車両後部構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両後部構造に関する。
【背景技術】
【0002】
車両の排気管において、断熱性を向上させた2重管構造の排気管は、従来から知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−291820号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、排気管を用いて車両の後面衝突時の衝突安全性能を向上させる構造には、未だ改善の余地がある。
【0005】
そこで、本発明は、車両の後面衝突時の衝突安全性能を排気管によって向上できる車両後部構造を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、本発明に係る請求項1に記載の車両後部構造は、車室を構成するパネルの車体後方側に配置されたエンジンと、車体前方側端部が前記パネルに結合されるとともに車体後方側端部に前記エンジンよりも車体後方側で車体上下方向に延在する上下延在部を有する左右一対のサイドメンバと、前記エンジンに接続され、多重管構造の保護部と、車幅方向から見て少なくとも一部が前記保護部よりも車体後方側に配置されたサイレンサーと、を有する排気管と、を備え、前記保護部は、車幅方向から見て少なくとも一部が前記上下延在部よりも車体後方側へ突出している。
【0007】
請求項1に記載の発明によれば、車幅方向から見て、排気管の多重管構造とされた保護部が、サイドメンバの上下延在部よりも車体後方側へ突出している。したがって、車両の後面衝突時には、サイドメンバの上下延在部よりも先に排気管の保護部に衝突荷重が入力され、その保護部によって衝突荷重が吸収される。よって、サイドメンバに入力される衝突荷重が低減され、車両の衝突安全性能が向上される。
【0008】
また、請求項2に記載の車両後部構造は、車室を構成するパネルの車体後方側に配置されたエンジンと、車体前方側端部が前記パネルに結合され、前記エンジンよりも車体後方側で車体上下方向に延在する上下延在部を有する左右一対のサイドメンバと、前記エンジンに接続され、車幅方向から見て少なくとも一部が前記上下延在部よりも車体後方側へ突出した多重管構造の保護部とされた排気管と、前記排気管を構成するとともに、車幅方向から見て少なくとも一部が前記保護部よりも車体後方側に配置されたサイレンサーと、前記サイレンサーの車幅方向外側に、車幅方向から見て前記サイレンサーと車体上下方向にオーバーラップして配置されたクラッシュボックスと、前記サイレンサーの車体後方側に、車体前後方向から見て前記サイレンサーと車体上下方向にオーバーラップして配置されたバンパリインフォースメントと、を備えている。
【0009】
請求項2に記載の発明によれば、車幅方向から見て、排気管を構成するサイレンサーの少なくとも一部が保護部よりも車体後方側に配置されるとともに、サイレンサーの車幅方向外側に、そのサイレンサーと車体上下方向にオーバーラップして、クラッシュボックスが配置されている。そして、車体前後方向から見て、サイレンサーの車体後方側に、そのサイレンサーと車体上下方向にオーバーラップして、バンパリインフォースメントが配置されている。
さらに、請求項3に記載の車両後部構造は、請求項1または2に記載の車両後部構造において、前記保護部が複数の排気管によって構成される。
【0010】
したがって、車両の後面衝突時には、排気管の保護部よりも先にバンパリインフォースメント、クラッシュボックス及びサイレンサーに衝突荷重が入力される。つまり、排気管の保護部よりも先にバンパリインフォースメント、クラッシュボックス及びサイレンサーによって衝突荷重が吸収される。よって、排気管の保護部及びサイドメンバに入力される衝突荷重が低減され、車両の衝突安全性能が更に向上される。
【発明の効果】
【0011】
以上のように、本発明によれば、車両の後面衝突時の衝突安全性能を排気管によって向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本実施形態に係る車両後部構造を備えた車両の後部を示す斜視図である。
図2】本実施形態に係る車両後部構造を備えた車両の後部を示す側面図である。
図3】本実施形態に係る車両後部構造を備えた車両の後部を示す背面図である。
図4】本実施形態に係る車両後部構造を構成するエンジン及び排気管を示す側面図である。
図5】本実施形態に係る車両後部構造を構成するエンジン及び排気管を示す背面図である。
図6】本実施形態に係る車両後部構造を構成する排気管を示す斜視図である。
図7図4のX−X線矢視断面図である。
図8】(A)本実施形態に係る車両後部構造を構成するマフラー及びリアバンパリインフォースメントを示す側面図である。(B)本実施形態に係る車両後部構造を構成するマフラー及びリアバンパリインフォースメントの変形例を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係る実施の形態について、図面を基に詳細に説明する。なお、説明の便宜上、各図において適宜示す矢印UPを車体上方向、矢印REを車体後方向、矢印RHを車体右方向とする。また、以下の説明で、特記することなく上下、前後、左右の方向を記載した場合は、車体上下方向の上下、車体前後方向の前後、車体左右方向(車幅方向)の左右を示すものとする。
【0014】
図1図3に示されるように、本実施形態に係る車両後部構造10を備えた車両12の後部側には、車体後方側へ向かってストレートに延在するリアサイドメンバアッパ(以下「アッパメンバ」という)14が左右一対で配置されている。各アッパメンバ14は、一定断面とされたアルミニウム合金等の軽量金属材の押出成形によって矩形閉断面形状に形成されており、剛性及び強度の高い車両骨格部材となっている。
【0015】
各アッパメンバ14の前端部には、それぞれ略平板状のフランジ部16が溶接等によって固着されており、各フランジ部16が、リアパネル20の上部側における左右両側に、それぞれボルト締結によって取り付けられている。なお、リアパネル20は、車室Rの後壁を構成する剛性及び強度の高い車両骨格部材であり、例えば炭素繊維強化樹脂(CFRP)や金属で成形されている。
【0016】
また、リアパネル20の上部側には、車体後方側へ突出し、かつ車幅方向に延在する荷室ボックス22が一体に形成されている。荷室ボックス22は、車室R側が開口された中空状に形成されており、その左右の両側部が、それぞれ左右のアッパメンバ14の車幅方向内側を向く内壁に、ボルト締結によって固定されている。
【0017】
また、車両12の後部側で、かつ各アッパメンバ14の車体下方側には、車幅方向から見た側面視で略「L」字状に屈曲されたリアサイドメンバロア(以下「ロアメンバ」という)24が左右一対で配置されている。各ロアメンバ24は、一定断面とされたアルミニウム合金等の軽量金属材の押出成形によって矩形閉断面形状に形成されており、剛性及び強度の高い車両骨格部材となっている。
【0018】
各ロアメンバ24の前端部には、それぞれ略平板状のフランジ部26が溶接等によって固着されており、各フランジ部26が、リアパネル20の下部側における左右両側に、それぞれボルト締結によって取り付けられている。そして、ロアメンバ24の車体後方側へ向かって延在する部位が前後延在部24Aとされ、前後延在部24Aの後端部から車体上方側へ向かって延在する部位が上下延在部24Bとされている。
【0019】
上下延在部24Bは、側面視で、後述するエンジン50よりも車体後方側に配置されている。そして、各アッパメンバ14の後端部と、各上下延在部24B(ロアメンバ24)の上端部と、がそれぞれ左右一対の結合部材30によって結合されている。各結合部材30は、アルミニウム合金等の軽量金属材により、車体前方側、車体下方側及び車幅方向内側にそれぞれ開口部を有する筒状に形成されている。
【0020】
したがって、アッパメンバ14の後端部及び上下延在部24B(ロアメンバ24)の上端部は、それぞれ車体前方側及び車体下方側の開口部から結合部材30内へ挿入され、その開口部の縁部にアーク溶接等によって接合されている。これにより、アッパメンバ14の後端部と、ロアメンバ24の上端部と、が結合部材30を介して結合されるようになっている。
【0021】
また、左右の結合部材30同士が、車幅方向に延在するクロスメンバ34によって連結されている。クロスメンバ34は、一定断面とされたアルミニウム合金等の軽量金属材の押出成形によって矩形閉断面形状に形成されており、クロスメンバ34の左右両端部が、それぞれ車幅方向内側の開口部から結合部材30内へ挿入され、その開口部の縁部にアーク溶接等によって接合されている。
【0022】
なお、各結合部材30の上壁は、左右一対の連結ロッド32によって、それぞれリアパネル20とも連結されている。また、各ロアメンバ24の断面積は、各アッパメンバ14の断面積よりも大きく形成されている。つまり、各ロアメンバ24は、各アッパメンバ14よりも太い矩形閉断面形状に形成されている。そして、各アッパメンバ14は、各ロアメンバ24よりも車幅方向外側に配置されている(図3参照)。
【0023】
また、各上下延在部24Bの下端部には、車体後方側へ向かってストレートに延在する左右一対のエクステンションメンバ36の前端部が、それぞれボルト締結によって取り付けられている。そして、各エクステンションメンバ36の後端部には、車幅方向に延在するリアバンパリインフォースメント38が架設されている。
【0024】
各エクステンションメンバ36及びリアバンパリインフォースメント38は、一定断面とされたアルミニウム合金等の軽量金属材の押出成形によって略矩形閉断面形状に形成されており、各エクステンションメンバ36は、クラッシュボックスとして機能するようになっている。そして、リアバンパリインフォースメント38は、各エクステンションメンバ36の後端部にアーク溶接によって一体的に接合されている。
【0025】
また、図1図2に示されるように、各前後延在部24Aにおける上壁と、リアパネル20の車体上下方向中央部と、がそれぞれ左右一対の連結メンバ44によって連結されている。詳細に説明すると、各フランジ部26の上部が、車体上方側へ一体に延長された上側フランジ部27とされており、各上側フランジ部27に、それぞれ連結メンバ44の前端部が結合(溶接)されている。
【0026】
各連結メンバ44は、アルミニウム合金等の軽量金属材の押出成形によって、前端側が後端側よりも断面が小さくなる矩形閉断面形状に形成されており、車体後方下側(車体前方上側)に向かって延在されている。そして、各連結メンバ44の後端部が、それぞれ各前後延在部24Aの上壁に結合(溶接)されている。
【0027】
また、図2図3に示されるように、リアパネル20の車体後方側で、かつ各前後延在部24A及び各連結メンバ44の間には、車幅方向が長手方向とされた燃料タンク40が、リアパネル20やロアメンバ24等に支持された状態で配置されている。そして、燃料タンク40の車幅方向外側端部(例えば左側端部)には、燃料タンク40へ燃料を給油するための給油配管42が車幅方向外側上方へ向けて延在するように設けられている。
【0028】
また、荷室ボックス22の車体下方側で、かつ各前後延在部24Aの間(側面視で、リアパネル20及び燃料タンク40よりも車体後方側で、かつ上下延在部24Bよりも車体前方側)には、後述する排気管60が組み付けられたエンジン50が配置されている。エンジン50は、ゴム材を構成要素として含むマウント部(図示省略)を介して、ロアメンバ24等に支持された状態で配置されている。
【0029】
また、図1図3に示されるように、左右のロアメンバ24の車幅方向外側には、サスペンション46のロアアーム48によって支持され、エンジン50によって回転駆動される後輪52が配置されている。そして、図2に示されるように、各前後延在部24Aの下面には、それぞれロアアーム48を取り付けるためのロアブラケット28が設けられている。また、図1図3に示されるように、各アッパメンバ14の下面には、それぞれサスペンション46のショックアブソーバ54を取り付けるためのアッパブラケット18が設けられている。
【0030】
また、図1図2に示されるように、各アッパメンバ14の車幅方向外側を向く外壁には、アッパメンバ14の長手方向に沿って延在する溝部15が形成されている。この溝部15により、車室Rを開閉するスライドドア(図示省略)が支持される構成になっている。つまり、アッパメンバ14が、スライドドアのスライドドアレールとして活用できる構成になっている。
【0031】
また、図1図3に示されるように、エンジン50の車体後方側には、少なくとも一部が2重管構造とされた排気管60が配置されている。詳細に説明すると、図4図6に示されるように、排気管60は、エンジン50に接続される一端部側が、側面視で略「コ」字状に曲げられた複数の配管で構成されたエキゾーストマニホールド部62とされている。
【0032】
そして、そのエキゾーストマニホールド部62の少なくとも一部が、上下延在部24B(ロアメンバ24)よりも車体後方側へ突出する保護部63とされている。つまり、この保護部63は、図2に示される側面視で、上下延在部24B(ロアメンバ24)よりも車体後方側へ突出量Tだけ突出されている。
【0033】
また、排気管60は、その中途部にサイレンサーとしてのマフラー64を有している。なお、マフラー64の構造については、後で詳述する。更に、この排気管60は、エキゾーストマニホールド部62とマフラー64との間の排気方向上流側の部位(以下「上流部66」という)に、排気ガス中の有害物質を酸化又は還元により浄化する触媒部68を有している。
【0034】
そして、エキゾーストマニホールド部62と、エキゾーストマニホールド部62からマフラー64までの上流部66と、が2重管構造とされており、マフラー64からマフラーカッター70までの排気方向下流側の部位(排気管60の他端部側であり、以下「下流部67」という)が1重管構造になっている。
【0035】
なお、マフラーカッター70は、リアバンパリインフォースメント38の下面に図示しない支持ブラケットを介して取り付けられており、リアバンパリインフォースメント38に支持される構成になっている。そして、このマフラーカッター70は、図2に示されるように、側面視で、リアバンパリインフォースメント38よりも車体後方側へ突出しない構成になっている。
【0036】
図7に示されるように、排気管60の2重管構造とされたエキゾーストマニホールド部62及び上流部66は、それぞれ耐熱性のあるステンレス材で成形された内管56と外管58とで構成されており、その内管56の中を排気ガスが通るようになっている。一方、排気管60の1重管構造とされた下流部67は、例えば外管58のみで構成されており、その外管58の中を排気ガスが通るようになっている。
【0037】
そして、排気管60の2重管構造とされたエキゾーストマニホールド部62及び上流部66において、内管56の外周面と外管58の内周面との間には、空気層Sが形成されている。また、外管58の板厚は、内管56の板厚よりも厚く形成されており、内管56の端末部と外管58の端末部とは、スポット溶接によって接合固定されている。
【0038】
また、図2図4に示されるように、マフラー64は、側面視で、前傾姿勢に配置されており、その後壁64Aにおける少なくとも下部(一部)が、保護部63よりも車体後方側に位置するように配置されている。そして、そのマフラー64は、リアバンパリインフォースメント38の車体前方側で、かつ左右のエクステンションメンバ36の間に配置されている。
【0039】
換言すれば、図2に示される側面視及び図3に示される背面視で(車体前後方向から見て)、マフラー64の車幅方向外側に、そのマフラー64と車体上下方向にオーバーラップして、各エクステンションメンバ36が配置されるとともに、マフラー64の車体後方側に、そのマフラー64と車体上下方向にオーバーラップして、リアバンパリインフォースメント38が配置されている。
【0040】
また、図8(A)に示されるように、側面視で、マフラー64は、その略楕円形状とされた側壁64Cの中心部(図心)Omが、リアバンパリインフォースメント38の閉断面形状の中心部(図心)Obとほぼ同じ高さ位置になるように配置されている。そして、リアバンパリインフォースメント38の前壁38Aにおける下部が、マフラー64の後壁64Aにおける下部の外形状にほぼ沿った凹曲面形状に形成されている。
【0041】
また、図4図6に示されるように、マフラー64の前壁64Bにおける車幅方向両端部(各側壁64Cの前端部)には、側面視で略矩形枠状とされた左右一対の支持ブラケット72の後端部が溶接されている。そして、各支持ブラケット72の前端部は、エンジン50の後壁50Aにボルト締結されている。つまり、マフラー64は、各支持ブラケット72を介してエンジン50に支持される構成になっている。
【0042】
図5図6に示されるように、マフラー64の内部には、複数枚(例えば2枚)の隔壁74、76が所定の間隔を空けて各側壁64Cと平行になるように配置されている。詳細に説明すると、各隔壁74、76は、マフラー64の側壁64Cと同形状となる略楕円形状の本体部74A、76Aと、本体部74A、76Aの周縁部から、それぞれ車幅方向外側へ一体に延在されたフランジ部74B、76Bと、を有している。
【0043】
そして、左側の隔壁74における本体部74Aの上部には、排気管60の上流部66における下流側端部66Aが挿入されて接続される孔部74Cが形成されており、その下流側端部66Aにおける円形の開口は、右側の隔壁76に対向されている。なお、左側の隔壁74における本体部74Aの下部には、円形の孔部74Dが形成されている。
【0044】
一方、右側の隔壁76における本体部76Aの下部には、排気管60の下流部67における上流側端部67Aが挿入されて接続される孔部76Cが形成されており、その上流側端部67Aにおける円形の開口は、左側の隔壁74に形成された孔部74Dに対向されている。このような構成により、マフラー64が消音機能を有するようになっている。
【0045】
以上のような構成とされた本実施形態に係る車両後部構造10において、次にその作用について説明する。
【0046】
車両12が後面衝突すると、リアバンパリインフォースメント38には、車体後方側から衝突エネルギー(衝突荷重)が入力される。すると、リアバンパリインフォースメント38の両端部に結合されている各エクステンションメンバ36が軸方向(車体前後方向)に効率よく圧壊し、その衝突エネルギーの一部を吸収する。つまり、各エクステンションメンバ36は、エネルギー吸収体(クラッシュボックス)として機能する。
【0047】
また、車両12が後面衝突すると、各エクステンションメンバ36を介して各ロアメンバ24に入力される衝突エネルギーを除き、各ロアメンバ24よりも先に、排気管60に対して車体後方側から衝突エネルギーが入力される。詳細に説明すると、図2に示されるように、排気管60のエキゾーストマニホールド部62における保護部63は、側面視で、上下延在部24B(ロアメンバ24)よりも車体後方側へ突出量Tだけ突出している。
【0048】
そして、排気管60のマフラー64は、その後壁64Aの少なくとも下部が、側面視で、保護部63よりも車体後方側に配置されており、側面視及び背面視で、各エクステンションメンバ36及びリアバンパリインフォースメント38と上下方向にオーバーラップして配置されている。したがって、車両12が後面衝突すると、保護部63よりも先に(早期に)マフラー64に対して衝突エネルギーが入力される。
【0049】
具体的に説明すると、車両12の後面衝突により、各エクステンションメンバ36が圧壊しつつリアバンパリインフォースメント38が車体前方側へ移動すると、そのリアバンパリインフォースメント38がマフラー64の後壁64Aに当たり、そのリアバンパリインフォースメント38からマフラー64へ衝突エネルギーが入力される。
【0050】
ここで、図8(A)に示されるように、リアバンパリインフォースメント38の閉断面形状における中心部(図心)Obが、マフラー64の側壁64Cにおける中心部(図心)Omとほぼ同じ高さ位置に配置されている。そして、リアバンパリインフォースメント38の前壁38Aにおける下部が、マフラー64の後壁64Aにおける下部の外形状にほぼ沿った凹曲面形状に形成されている。
【0051】
したがって、リアバンパリインフォースメント38の閉断面形状における中心部(図心)Obが、マフラー64の側壁64Cにおける中心部(図心)Omとほぼ同じ高さ位置に配置されず、リアバンパリインフォースメント38の前壁38Aにおける下部が、マフラー64の後壁64Aにおける下部の外形状にほぼ沿った凹曲面形状に形成されていない構成に比べて、リアバンパリインフォースメント38がマフラー64の後壁64Aから外れることなく、その後壁64Aに確実に当たり、リアバンパリインフォースメント38からマフラー64へ確実に衝突エネルギーが入力される。
【0052】
一方、マフラー64の内部には、各側壁64Cと同形状とされた2枚の隔壁74、76が、各側壁64Cと平行に所定の間隔を空けて設けられている。そして、マフラー64の前壁64Bにおける車幅方向両端部(各側壁64Cの前端部)は、側面視で略矩形枠状とされた支持ブラケット72を介してエンジン50に支持されている。
【0053】
したがって、リアバンパリインフォースメント38により車体後方側からマフラー64に入力された衝突エネルギーの一部は、その後壁64Aが潰れたり、各側壁64C及び各隔壁74、76が、その法線方向(本実施形態の場合は車幅方向と同方向)と直交する方向に潰れたりすることによって効率よく吸収されるとともに、支持ブラケット72が潰れることによって効率よく吸収される。
【0054】
こうして、排気管60のマフラー64や支持ブラケット72が塑性変形することにより、衝突エネルギーの一部が効率よく吸収されるが、排気管60のマフラー64や支持ブラケット72で吸収しきれなかった衝突エネルギーは、上下延在部24B(ロアメンバ24)よりも先に(早期に)排気管60の保護部63に対して直接的に入力される。ここで、排気管60の保護部63を含むエキゾーストマニホールド部62は、2重管構造とされて、その剛性及び強度が向上されている。
【0055】
したがって、その衝突エネルギーを排気管60の保護部63(エキゾーストマニホールド部62)によって効率よく吸収することができる。つまり、車体後方側から入力された衝突エネルギーを、ロアメンバ24よりも先に、マフラー64及び保護部63を有する排気管60によって効率よく吸収することができる。よって、ロアメンバ24に直接的に入力される衝突エネルギーを低減させることができる。
【0056】
このように、本実施形態に係る車両後部構造10によれば、車両12の後面衝突時に入力された衝突エネルギーの吸収性能をロアメンバ24のみによって吸収する構成に比べて向上させることができる。よって、車両12における衝突安全性能を向上させることができる。なお、保護部63の突出量Tが大きければ大きい程、排気管60におけるエネルギー吸収性能を向上させることができる。
【0057】
また、排気管60の保護部63を含むエキゾーストマニホールド部62では、外管58の板厚が、内管56の板厚よりも厚く形成されている。したがって、外管58の板厚が、内管56の板厚と同じか、それよりも薄い場合に比べて、排気管60の保護部63におけるエネルギー吸収性能を高めることができる。よって、車両12における衝突安全性能を更に向上させることができる。
【0058】
なお、排気管60によって吸収しきれなかった衝突エネルギーは、ロアメンバ24等に入力されるが、各ロアメンバ24は、各アッパメンバ14よりも太く(断面積が大きく)形成されている。したがって、各ロアメンバ24に衝突エネルギーが入力されても、各ロアメンバ24は変形し難く(剛性及び強度が高く)、各ロアメンバ24が座屈(折曲変形)するのが抑制又は防止されている。
【0059】
よって、各ロアメンバ24に入力された衝突エネルギーは、各アッパメンバ14やリアパネル20に効率よく伝達されて分散され、各ロアメンバ24、各アッパメンバ14及びリアパネル20によって効率よく吸収される。すなわち、各ロアメンバ24や各アッパメンバ14へのエネルギー集中が軽減され、ロアメンバ24やアッパメンバ14を鋼板よりも強度の低いアルミニウム合金等の軽量金属材で構成しても、車両12における衝突安全性能を充分に確保することができる。
【0060】
そして、このような構成により、エンジン50が車体前方側へ移動するのを抑制することができるため、そのエンジン50によって燃料タンク40が損傷するのを抑制又は防止することができ、エンジン50や燃料タンク40がリアパネル20側、即ち車室R側へ移動するのを抑制又は防止することができる。つまり、車両12の後面衝突時において、車室R(リアパネル20)の変形を抑制又は防止することができるため、車両12における衝突安全性能をより一層向上させることができる。
【0061】
また、上記のような構成により、アッパメンバ14やロアメンバ24において、板厚の増加やリインフォースメントによる補強(部品点数の増加)などが不要となる(簡素な構造となる)ため、車両12の軽量化を実現することができる。そして、アッパメンバ14やロアメンバ24の製造工程を低減させることができるため、設備投資を削減できるとともに、アッパメンバ14やロアメンバ24の生産性を向上させることができる。
【0062】
また、振動により大きな荷重が掛かるエキゾーストマニホールド部62及び上流部66が2重管構造とされているため、それらが1重管構造とされている場合に比べて、排気管60全体の支持強度を向上させることができ、その耐久性能を向上させることができる。したがって、排気管60を構成する内管56及び外管58の板厚を低減することができるとともに、排気管60を支持する支持ブラケット72を小型化(又は省略)することができる。よって、車両12の更なる軽量化を図ることができる。
【0063】
また、エキゾーストマニホールド部62及び上流部66が2重管構造とされ、かつ外管58の板厚が、内管56の板厚よりも厚く形成されているため、エキゾーストマニホールド部62及び上流部66が外管58のみの1重管構造とされたり、外管58の板厚が、内管56の板厚と同じか、それより薄くされたりしている構成に比べて、外管58の外周面における表面温度を低下させることができる。よって、エキゾーストマニホールド部62や触媒部68付近の上流部66に人手が触れてしまっても、熱害(火傷)の発生を抑制又は防止することができる。
【0064】
以上、本実施形態に係る車両後部構造10について、図面を基に説明したが、本実施形態に係る車両後部構造10は、図示のものに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、適宜設計変更可能なものである。例えば排気管60の下流部67を内管56と外管58とで構成された2重管構造にしてもよい。また、排気管60(少なくともエキゾーストマニホールド部62及び上流部66)は、多重管構造とされていればよく、2重管構造に限定されるものではない。
【0065】
また、図8(B)に示されるように、側壁64Cの長径が略水平方向に沿うように、マフラー64を略90度傾倒させて配置し、リアバンパリインフォースメント38の前壁38Aを、そのマフラー64の後端部64Dの外形状にほぼ沿った凹曲面形状に形成してもよい。このような構成によれば、マフラー64における衝突エネルギーの吸収性能を更に向上させることができる。
【0066】
また、アッパメンバ14のフランジ部16及びロアメンバ24のフランジ部26(上側フランジ部27を含む)は、それぞれボルト締結によってリアパネル20に結合される構成に限定されるものではなく、リアパネル20が金属製とされている場合には、例えばアーク溶接等によってリアパネル20に接合される構成とされていてもよい。
【0067】
また、エクステンションメンバ36は、ボルト締結によってロアメンバ24に結合される構成に限定されるものではなく、例えばリベットやアーク溶接によってロアメンバ24に結合される構成とされていてもよい。また、リアバンパリインフォースメント38は、アーク溶接によって各エクステンションメンバ36に結合される構成に限定されるものではなく、例えばボルト締結によって各エクステンションメンバ36に結合される構成とされていてもよい。
【0068】
また、アッパメンバ14、ロアメンバ24、クロスメンバ34、エクステンションメンバ36及びリアバンパリインフォースメント38は、それぞれ一定断面とされた軽量金属材の押出成形によって形成される構成に限定されるものではなく、例えば図示しないアウタパネルとインナパネルとを接合することで閉断面形状に形成される構成とされていてもよい。
【0069】
また、アッパメンバ14、ロアメンバ24、クロスメンバ34、エクステンションメンバ36及びリアバンパリインフォースメント38は、それぞれ断面矩形状(断面略矩形状を含む)に形成される構成に限定されるものではなく、例えば断面円形状等に形成される構成とされていてもよい。また、アッパメンバ14やロアメンバ24に、車幅方向に延在するアッパクロスメンバ(図示省略)やロアクロスメンバ(図示省略)を架設して、それらの剛性及び強度を更に向上させるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0070】
10 車両後部構造
20 リアパネル(パネル)
24 ロアメンバ(サイドメンバ)
24B 上下延在部
36 エクステンションメンバ(クラッシュボックス)
38 リアバンパリインフォースメント(バンパリインフォースメント)
50 エンジン
60 排気管
63 保護部
64 マフラー(サイレンサー)
R 車室
図1
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図8