特許第6513796号(P6513796)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6513796一工程フッ素トレンチ及びオーバークラッドを有する光ファイバプリフォームの作製方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6513796
(24)【登録日】2019年4月19日
(45)【発行日】2019年5月15日
(54)【発明の名称】一工程フッ素トレンチ及びオーバークラッドを有する光ファイバプリフォームの作製方法
(51)【国際特許分類】
   C03B 37/018 20060101AFI20190425BHJP
   C03B 37/012 20060101ALI20190425BHJP
   C03B 37/014 20060101ALI20190425BHJP
   G02B 6/036 20060101ALI20190425BHJP
【FI】
   C03B37/018 C
   C03B37/012 A
   C03B37/014 Z
   G02B6/036
【請求項の数】13
【全頁数】27
(21)【出願番号】特願2017-514668(P2017-514668)
(86)(22)【出願日】2015年9月9日
(65)【公表番号】特表2017-534551(P2017-534551A)
(43)【公表日】2017年11月24日
(86)【国際出願番号】US2015049088
(87)【国際公開番号】WO2016044018
(87)【国際公開日】20160324
【審査請求日】2018年6月20日
(31)【優先権主張番号】62/050,907
(32)【優先日】2014年9月16日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】397068274
【氏名又は名称】コーニング インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【弁理士】
【氏名又は名称】柳田 征史
(74)【代理人】
【識別番号】100175042
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 秀明
(72)【発明者】
【氏名】ブックバインダー,ダナ クレイグ
(72)【発明者】
【氏名】イ,ミン−ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ストーン,ジェフリー スコット
(72)【発明者】
【氏名】タンドン,プシュカー
【審査官】 松本 瞳
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2013/003003(WO,A1)
【文献】 特表2004−514631(JP,A)
【文献】 特開2012−171802(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/035397(WO,A1)
【文献】 特開2012−078804(JP,A)
【文献】 特開2007−011366(JP,A)
【文献】 特開平08−225335(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C03B 37/00−37/16
G02B 6/02−6/036
6/10,6/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ファイバプリフォームを形成する方法において、
シリカ系スートをベイトロッド上に堆積させて低屈折率トレンチ領域を形成する工程であって、該シリカ系スートが、前記トレンチ領域が第1の密度を有するように堆積される、工程;
前記トレンチ領域の周りにシリカを含む内側バリア層を形成する工程であって、該内側バリア層が前記第1の密度より大きい第2の密度を有する、工程;
前記第1のバリア層の周りにシリカ系スートを堆積させて前記光ファイバプリフォームのオーバークラッド領域を第3の密度で形成する工程であって、前記第2の密度が前記第3の密度より大きい、工程;
前記トレンチ領域、前記内側バリア層及び前記オーバークラッド領域を有するトレンチ−オーバークラッド構造の中央チャネルから前記ベイトロッドを取り除く工程;
前記ベイトロッドを取り除く工程の後に、前記トレンチ−オーバークラッド構造の前記中央チャネル内にコアケーンを挿入する工程;
前記オーバークラッド領域の外側部分にシリカを含む外側バリア層を形成する工程であって、該外側バリア層が前記第3の密度より大きい第4の密度を有する、工程;
前記コアケーンを挿入する工程の後に、前記トレンチ−オーバークラッド構造の前記中央チャネルを通してダウンドーパント含有ガスを流す工程であって、前記トレンチ−オーバークラッド構造が、前記トレンチ領域に前記ダウンドーパントをドープするのに十分に加熱され、さらに、前記バリア層によって、前記オーバークラッド領域内への前記ダウンドーパントの拡散が緩和される、工程;及び
前記コアケーンを前記光ファイバプリフォーム内に挿入する工程の後に、前記トレンチ−オーバークラッド構造及び前記コアケーンを圧密化する工程
を含む、方法。
【請求項2】
前記ベイトロッドを取り除く工程及び前記コアケーンを挿入する工程が、外側バリア層を形成する工程の前に行われることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ベイトロッドを取り除く工程及び前記コアケーンを挿入する工程が、外側バリア層を形成する工程の後に行われることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記ダウン−ドーパントがフッ素であり、前記ダウンドーパント含有ガスがCF及びSiFのうち一方又は両方を含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記光ファイバプリフォームからシングルモード又はマルチモードの光ファイバを延伸する工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記内側バリア層の前記第2の密度及び前記外側バリア層の前記第4の密度が約1.5g/cmより大きいことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
外側バリア層を形成する工程が火炎研磨法で行われ、該火炎研磨法は、火炎含有シリカ粒子を、バーナーから前記オーバークラッド領域に対し又はその近位へと方向付ける工程を含み、前記バーナーが、前記トレンチ−オーバークラッド構造に対して横方向に約1cm/秒以下の速度で移動するように構成されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
外側バリア層を形成する工程が火炎研磨法で行われ、該火炎研磨法は、火炎含有シリカ粒子を、バーナーから前記オーバークラッド領域に対し又はその近位へと方向付ける工程を含み、前記バーナーが、前記トレンチ−オーバークラッド構造に対して横方向に約0.5cm/秒以下の速度で移動するように構成されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
光学プリフォームを形成する方法において、
シリカ系スートをベイトロッド上に堆積させて低屈折率トレンチ領域を形成する工程であって、該シリカ系スートが、前記トレンチ領域が第1の密度を有するように堆積される、工程;
前記トレンチ領域の周りにシリカを含む内側バリア層を形成する工程であって、前記内側バリア層が前記第1の密度より大きい第2の密度を有する、工程;
前記第1のバリア層の周りにシリカ系スートを堆積させて前記光ファイバプリフォームのオーバークラッド領域を第3の密度で形成する工程であって、前記第2の密度が前記第3の密度より大きく、かつ、トレンチ−オーバークラッド構造が、前記トレンチ領域、前記内側バリア層及び前記オーバークラッド領域を有する、工程;
前記オーバークラッド領域の外側部分にシリカを含む外側バリア層を形成する工程であって、前記外側バリア層が前記第3の密度より大きい第4の密度を有する、工程;
前記トレンチ−オーバークラッド構造から前記ベイトロッドを取り除く工程であって、該取り除く工程によって前記トレンチ−オーバークラッド構造内に中央チャネルが画成される、工程;
前記トレンチ−オーバークラッド構造の前記中央チャネルを通してダウンドーパント含有ガスを流し、かつ、前記トレンチ−オーバークラッド構造を十分に加熱して前記トレンチ領域に前記ダウンドーパントをドープする工程であって、前記バリア層によって、前記オーバークラッド領域内へのダウンドーパントの拡散が緩和される、工程;及び
前記ドープされたトレンチ領域を有する前記トレンチ−オーバークラッド構造を圧密化して中央チャネルを有する圧密化されたトレンチ−オーバークラッド構造を形成する工程
を含む、方法。
【請求項10】
前記ダウン−ドーパントがフッ素であり、前記ダウンドーパント含有ガスが、CF及びSiFのうち一方又は両方を含むことを特徴とする、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記内側バリア層の前記第2の密度及び前記外側バリア層の前記第4の密度が約1.5g/cmより大きいことを特徴とする、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記内側バリア層及び前記外側バリア層の各々が、約10〜700μmの範囲の厚さを有することを特徴とする、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
外側バリア層を形成する工程が火炎研磨法で行われ、該火炎研磨法は、火炎含有シリカ粒子を、バーナーから前記オーバークラッド領域に対し又はその近位へと方向付ける工程を含み、該バーナーが、前記トレンチ−オーバークラッド構造に対して横方向に約1cm/秒以下の速度で移動するように構成される、工程を含むことを特徴とする、請求項9に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、その内容が依拠され、その全体がここに参照することによって本願に援用される、2014年9月16日出願の米国仮特許出願第62/050,907号の米国法典第35編特許法第119条に基づく優先権の利益を主張する。
【技術分野】
【0002】
本開示は、概して光ファイバに関し、より詳細には、低屈折率トレンチを有する光ファイバプリフォームの作製方法に関する。
【背景技術】
【0003】
光ファイバのコアを取り囲む低屈折率トレンチを有する光ファイバは、低屈折率トレンチなしで形成された同等の光ファイバと比較して、改善された曲げ性能及び/又はより大きい有効面積を有しうる。したがって、このようなファイバの改善された光学的及び物理的特性により、これらのファイバは、さまざまな用途における使用に望ましいものになる。
【0004】
光ファイバのコアの周りに低屈折率トレンチを形成することにより、光ファイバプリフォームの作製方法に追加の工程が加えられることとなり、結果的に、光ファイバの作製方法にかなりのコストを上乗せすることになる。具体的には、低屈折率トレンチは、光ファイバのコア部分の周りにシリカ系スートを堆積し、光ファイバのコア部分と比較して圧密化されたシリカ系スート(すなわちシリカ系ガラス)の屈折率を低下させるダウン−ドーパントをシリカ系スートにドープすることによって形成することができる。しかしながら、ダウン−ドーパントを含むプリフォームの隣接部分の汚染を防止するためには、低屈折率トレンチは、コア部分が圧密化された後、かつ、ファイバのオーバークラッド部分を堆積する前に、別個に形成され、光ファイバのコア部分上に直接圧密化される。具体的には、光ファイバプリフォームのコア部分が最初に形成され、固体ガラスへと圧密化される。その後、低屈折率トレンチ部分がコア部分の周りに堆積され、次にドープされ、ドーパントがコア部分及びオーバークラッド部分に拡散するのを防ぐために、別の工程において圧密化される。最後に、オーバークラッドが低屈折率トレンチ層の周りに形成され、さらに別の工程において圧密化される。
【0005】
より少ない製造工程で光ファイバを作製する他の方法では、オーバークラッドは、トレンチ層が作製される前かつクラッド領域に関係する任意の圧密化工程の前に形成することができる。次に、低屈折率トレンチ層を作製するためにドーピングが行われ、低屈折率トレンチ層とオーバークラッド層が同時に圧密化される。これらの取り組みは製造時間及びコストを節約することができる一方、オーバークラッドを有するプリフォームの適所へのドーピングに関する問題が存在する。とりわけ、一部のドーピング前駆体材料(例えばSiF)は、意図される低屈折率トレンチ領域の外側のオーバークラッドの領域内に導入されかねない。結果的に、屈折率低下剤によってドープされることが意図されている低屈折率トレンチ領域の外側のオーバークラッド領域内に屈折率低下剤が存在することによって、ファイバの光学的特性に悪影響を及ぼしうる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、効率的、かつ、低屈折率トレンチ領域の外側のプリフォームの領域にドープする傾向のない、コア部分を取り囲む低屈折率トレンチ領域を有する光ファイバプリフォームを形成する代替方法が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の態様によれば、光ファイバプリフォームを形成する方法が提供され、該方法は、シリカ系スートをベイトロッド上に堆積させて低屈折率トレンチ領域を形成する工程であって、シリカ系スートが、トレンチ領域が第1の密度を有するように堆積される、工程;トレンチ領域の周りにシリカを含む内側バリア層を形成する工程であって、内側バリア層が第1の密度より大きい第2の密度を有する、工程;第1のバリア層の周りにシリカ系スートを堆積させて光ファイバプリフォームのオーバークラッド領域を第3の密度で形成する工程であって、第2の密度が第3の密度より大きい、工程;及び、トレンチ領域、内側バリア層及びオーバークラッド領域を有するトレンチ−オーバークラッド構造の中央チャネルからベイトロッドを取り除く工程を含む。本方法はまた、ベイトロッドを取り除く工程の後に、トレンチ−オーバークラッド構造の中央チャネル内にコアケーン(core cane)を挿入する工程;オーバークラッド領域の外側部分にシリカを含む外側バリア層を形成する工程であって、外側バリア層が第3の密度より大きい第4の密度を有する、工程;コアケーンを挿入する工程の後に、トレンチ−オーバークラッド構造の中央チャネルを通してダウンドーパント含有ガスを流す工程であって、トレンチ−オーバークラッド構造が十分に加熱されることによりトレンチ領域にダウンドーパントがドープされ、さらに、バリア層によってオーバークラッド領域内へのダウンドーパントの拡散が緩和される、工程;及び、コアケーンを光ファイバプリフォーム内に挿入する工程の後に、トレンチ−オーバークラッド構造とコアケーンとを圧密化する工程も含む。
【0008】
本開示の態様によれば、光学プリフォームを形成する方法が提供され、該方法は、シリカ系スートをベイトロッド上に堆積させて低屈折率トレンチ領域を形成する工程であって、シリカ系スートが、トレンチ領域が第1の密度を有するように堆積される、工程;トレンチ領域の周りにシリカを含む内側バリア層を形成する工程であって、内側バリア層が第1の密度より大きい第2の密度を有する、工程;及び、第1のバリア層の周りにシリカ系スートを堆積させて光ファイバプリフォームのオーバークラッド領域を第3の密度で形成する工程であって、第2の密度が第3の密度より大きく、かつ、トレンチ−オーバークラッド構造がトレンチ領域、内側バリア層及びオーバークラッド領域を有する、工程を含む。本方法はまた、オーバークラッド領域の外側部分にシリカを含む外側バリア層を形成する工程であって、外側バリア層が第3の密度より大きい第4の密度を有する、工程;トレンチ−オーバークラッド構造からベイトロッドを取り除く工程であって、該取り除く工程によってトレンチ−オーバークラッド構造内に中央チャネルが画成される、工程;トレンチ−オーバークラッド構造の中央チャネルを通してダウンドーパント含有ガスを流し、かつ、トレンチ−オーバークラッド構造を十分に加熱してトレンチ領域にダウンドーパントをドープする工程であって、バリア層によってオーバークラッド領域内へのダウンドーパントの拡散が緩和される、工程;及び、ドープされたトレンチ領域を有するトレンチ−オーバークラッド構造を圧密化して中央チャネルを有する圧密化されたトレンチ−オーバークラッド構造を形成する工程も含む。一部の実施では、本方法は、光ファイバプリフォームを形成するためのものであり、圧密化されたトレンチ−オーバークラッド構造の中央チャネル内にコアケーンを挿入する工程をさらに含む。一部の態様では、本方法はまた、圧密化されたトレンチ−オーバークラッド構造とコアケーンとを一緒に延伸して光ファイバプリフォームとする工程も含みうる。さらなる態様では、本方法は、光ファイバを形成することを対象とし、そのようなものとして、光ファイバプリフォームを延伸して光ファイバプリフォームから光ファイバを形成する工程を含む。
【0009】
さらなる特徴及び利点は、以下の詳細な説明において記載され、一部には、その説明から当業者に容易に明らかになり、又は、以下の詳細な説明、特許請求の範囲、並びに添付の図面を含めた、本明細書に記載される実施形態を実施することによって認識されよう。
【0010】
前述の概要及び以下の詳細な説明はいずれも、さまざまな実施形態を説明しており、特許請求される主題の本質及び特徴を理解するための概観又は枠組みを提供することが意図されていることが理解されよう。添付の図面は、さまざまな実施形態のさらなる理解を提供するために含まれ、本明細書に取り込まれてその一部を構成する。図面は、本明細書に記載されるさまざまな実施形態を示しており、その説明と共に、特許請求される主題の原理及び操作を説明する役割を担う。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1A】本明細書に示され、説明される1つ以上の実施形態に従った光ファイバプリフォームの断面の概略図
図1B】本明細書に示され、説明される一実施形態に従った図1Aの光ファイバプリフォームの相対屈折率プロファイルの概略図
図1C】本明細書に示され、説明される一実施形態に従った図1Aの光ファイバプリフォームの相対屈折率プロファイルの概略図
図2A】本明細書に示され、説明される代替的な実施形態に従った光ファイバプリフォームの断面の概略図
図2B】本明細書に示され、説明される一実施形態に従った図2Aの光ファイバプリフォームの相対屈折率プロファイルの概略図
図3A】光ファイバプリフォームのトレンチ−オーバークラッド構造の形成の概略図
図3B】光ファイバプリフォームのトレンチ−オーバークラッド構造の形成の概略図
図3C】光ファイバプリフォームのトレンチ−オーバークラッド構造の形成の概略図
図3D】光ファイバプリフォームのトレンチ−オーバークラッド構造の形成の概略図
図4】本明細書に示され、説明される1つ以上の実施形態に従った光ファイバプリフォームのトレンチ−オーバークラッド構造のドーピング及び圧密化を示す概略図
図4A】本明細書に示され、説明される1つ以上の実施形態に従った光ファイバプリフォームのトレンチ−オーバークラッド構造のドーピング及び圧密化を示す概略図
図5】本明細書に示され、説明される1つ以上の実施形態に従った光ファイバプリフォームのトレンチ−オーバークラッド構造に挿入された光ファイバプリフォームのコアアセンブリを示す概略図
図6】本明細書に記載される方法に従って形成された、内側バリアを有し、かつ、外側バリア層を有する及び有しない、光ファイバプリフォームの低屈折率トレンチ領域及びオーバークラッド領域の屈折率プロファイル
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、その例が添付の図面に示されている、低屈折率トレンチを有する光ファイバプリフォームを形成する方法の実施形態について詳細に説明する。図面全体を通して、同一又は同様の部分についての言及には、可能な限り、同一の参照番号が用いられる。光ファイバプリフォームを形成する方法の1つの例示的な実施形態が、図3A〜3Dに概略的に示されている。本方法は、概して、以下の工程によりベイトロッド上にトレンチ−オーバークラッド構造を形成する工程を含む:初期には実質的にドーパントを含んでいないシリカ系スートをベイトロッド上に堆積させて、第1の密度を有する低屈折率トレンチ領域を形成する工程;バリア層が第1の密度より大きい第2の密度を有するように、低屈折率トレンチ領域の周りにシリカを含むバリア層を形成する工程;バリア層の上にシリカ系スートを堆積させて、オーバークラッド領域を第2の密度より小さい第3の密度で形成する工程;及び、オーバークラッド領域の外側部分にシリカを含む外側バリア層を第3の密度より大きい第4の密度で形成する工程。その後、ベイトロッドはトレンチ−オーバークラッド構造から取り除かれ、コアケーンがトレンチ−オーバークラッド構造の中央チャネル内に挿入される。次に、両方の構造が圧密化され、低屈折率トレンチ領域にダウン−ドーパントがドープされて、低屈折率トレンチ領域の屈折率を低下させる。光ファイバプリフォームを形成する他の特定の方法、及び本開示の方法の態様に従って形成された光ファイバプリフォームについて、添付の図面を具体的に参照して、さらに詳細に説明される。
【0013】
以下の技術用語は、光ファイバプリフォーム及びそれから延伸される光ファイバを説明するために用いられる:
用語「屈折率プロファイル」とは、本明細書で用いられる場合、屈折率又は相対屈折率とファイバの半径との関係性である。
【0014】
用語「相対屈折率」は、本明細書で用いられる場合、次のように定義され、
Δ(r)%=100x[n(r) 2-nREF2]/2n(r)2
他に明記されない限り、式中、n(r)は半径rにおける屈折率である。相対屈折率は、他に明記されない限り、1550nmで定められる。一態様において、基準屈折率nREFは、純粋なシリカガラスである。別の態様では、nREFはクラッドの最大屈折率である。本明細書で用いられる場合、相対屈折率はΔで表され、その値は、他に明記されない限り、「%」単位で与えられる。ある領域の屈折率が基準屈折率nREF未満の場合には、相対屈折率パーセントは負であり、低下した領域又は低下した屈折率を有すると称され、最小相対屈折率は、他に明記されない限り、相対屈折率が最も負である地点で算出される。ある領域の屈折率が基準屈折率nREFより大きい場合には、相対屈折率パーセントは正であり、その領域は、増加している又は正の屈折率を有すると言うことができる。
【0015】
本明細書で用いられる用語「アップ−ドーパント」及び「アップドーパント」とは、純粋なドープされていないSiOと比較してガラスの屈折率を増加させるドーパントのことを指す。本明細書で用いられる用語「ダウン−ドーパント」及び「ダウンドーパント」とは、純粋なドープされていないSiOと比較してガラスの屈折率を低下させる傾向を有するドーパントのことを指す。アップ−ドーパントは、アップ−ドーパントではない他の1種類以上のドーパントを伴う場合に、負の相対屈折率を有する光ファイバの領域に存在しうる。同様に、アップ−ドーパントではない他の1種類以上のドーパントは、正の相対屈折率を有する光ファイバの領域に存在しうる。ダウン−ドーパントは、ダウン−ドーパントではない他の1種類以上のドーパントを伴う場合に、光ファイバの正の相対屈折率を有する領域内に存在してよい。同様に、ダウン−ドーパントではない他の1種類以上のドーパントは、光ファイバの負の相対屈折率を有する領域内に存在してもよい。
【0016】
用語「α−プロファイル」又は「アルファプロファイル」とは、本明細書で用いられる場合、「%」単位においてΔで表される相対屈折率プロファイルのことを指し、ここで、rは半径であり、次の方程式に従い、
【0017】
【数1】
【0018】
式中、Δは最大相対屈折率であり、rはコアの半径であり、rはr≦r≦rの範囲内にあり、Δは上記定義した通りであり、rはα−プロファイルの始点であり、rはα−プロファイルの終点であり、αは実数の指数である。ステップインデックス型プロファイルでは、アルファ値は10以上である。グレーデッドインデックス型プロファイルでは、アルファ値は10未満である。用語「放物形」とは、本明細書で用いられる場合、実質的に放物形状の屈折率プロファイルを含む。一部の実施形態では、アルファ値は約2であり、コアの1つ以上の地点において2の値とは僅かに異なっていてもよく、また、わずかな変化及び/又はセンターラインディップを有するプロファイルと僅かに異なっていてもよい。
【0019】
本明細書で用いられる用語「コアケーン」及び「コアアセンブリ」とは、光ファイバの製造に用いられるドープされたシリカケーンのことを指す。一部の実施形態では、コアケーン又はアセンブリは、ドープされた中心領域とシリカクラッドとを有する。
【0020】
本明細書で用いられる用語「μm」とは、ミクロンの距離のことを指す。
【0021】
本明細書で用いられる用語「低屈折率トレンチ領域」及び「トレンチ領域」とは、純粋なシリカと比較して、屈折率を低下させるドーパントを含んでいる光学プリフォーム又は光ファイバの部分のことを指す。本明細書で用いられる場合、「より低い屈折率トレンチ領域」及び「トレンチ領域」という用語には、まだ圧密化されてはいないが、最終的には屈折率を低下させるドーパントを含む圧密化された領域を画成する、ドープされたスートを含むファイバ又はプリフォームの暫定的な領域も含まれると解されるべきである。
【0022】
本明細書で用いられる用語「内側バリア層」及び「外側バリア層」とは、プリフォーム内でのドーパントの望ましくない拡散を低減、最小化、形は排除可能な、圧密化されていないプリフォーム内の層のことを指す。これらのバリア層は、圧密化の後にプリフォーム又はファイバ内に残留するであろうことが理解されるべきである。
【0023】
光学プリフォーム及び/又はファイバ内のドーパント濃度は、他に明記されない限り、本明細書では、質量に基づいて表される(例えば質量ppm、ppm(質量による)、質量パーセント、質量%)。
【0024】
気相中の成分の濃度は、本明細書では、体積に基づいて表される(例えば、体積ppm、ppm(体積による)、体積パーセント、体積%)。
【0025】
用語「シリカ系ガラススート」、「シリカ系スート」及び「スート」は、本明細書では同じ意味で用いられ、SiO又はドープされたSiO粒子のことを指す。個々のスート粒子は、概して、直径約5nm〜約10μm、一部の実施形態では、直径約5nm〜約1μmの大きさを有することも理解されるべきである。
【0026】
用語「スートプリフォーム」とは、少なくとも一部に開放多孔性を有する、スート粒子から作られた物品のことを指す。
【0027】
用語「圧密化されたガラス」とは、閉多孔性の状態のガラスのことを指す。一部の実施形態では、ガラスは空隙を含まない。
【0028】
用語「焼結」とは、多孔性ガラスの状態から閉多孔性の状態へと進行するステップのことを指す。一部の実施形態では、ガラスは、焼結ステップにおいて空隙を含まなくなる。
【0029】
用語「光ファイバプリフォーム」、「圧密化されたプリフォーム」、「焼結されたプリフォーム」及び「ブランク」とは、延伸して光ファイバとすることができるガラス物品のことを指す。用語「光ファイバプリフォーム」及び「光ファイバブランク」は、同じ意味で用いられる。
【0030】
図1Aを参照すると、本明細書に記載される1つ以上の実施形態に従った光ファイバプリフォーム100(例えばプリフォーム100が圧密化された状態で存在している状態)の断面が概略的に示されている。光ファイバプリフォーム100は、概して、トレンチ−オーバークラッドアセンブリ110(ここでは「トレンチ−オーバークラッド構造110」とも称される)内に位置づけられたコアアセンブリ102を備えている。図1Aに示される光ファイバプリフォームの実施形態において、コアアセンブリ102は、概して、コア領域104と内側クラッド領域106とを備えている。コア領域104は、内側クラッド領域106に取り囲まれ、かつ、内側クラッド領域106と直接接触している。本明細書に示され説明される実施形態において、コア領域104及び内側クラッド領域106は、シリカから、具体的にはシリカ系ガラスから形成される。光ファイバプリフォーム100は、概して、コア領域104の中心に対して円対称であり、コア領域104は半径Rを有しうる。内側クラッド領域106はコア領域104を取り囲み、かつ、内側クラッド領域106が径方向厚さTIC=RIC−Rを有するように、半径Rから半径RICまで延びる。コア領域104及び内側クラッド領域106は、概して、所望の径方向寸法を有する光ファイバが光ファイバプリフォーム100から延伸可能となるように、特定の径方向寸法を伴って形成される。
【0031】
本明細書に記載される実施形態において、コア領域104は、ステップインデックス型屈折率プロファイル又はグレーデッドインデックス型プロファイル(すなわち、アルファプロファイル)を有しうる。例えば、一実施形態において、コア領域104は、図1Bに概略的に示されるようにステップインデックス型プロファイルを有する。これらの実施形態において、コア領域104は、コア領域104の径方向断面を通して実質的に均一な、内側クラッド領域106に対する最大相対屈折率ΔCMAX%を有する。他の実施形態では、コア領域104は、コア領域104の中心から半径Rへと相対屈折率が低下するように、図1Cに示されるようなアルファプロファイルを有するグレーデッドインデックス型の屈折率を有してもよい。
【0032】
コア領域104は、光ファイバプリフォームが図1Bに示されるものと類似するステップインデックス型の屈折率を有する場合のように、純粋なシリカガラス(SiO)から形成されてもよい。あるいは、光ファイバプリフォーム100のコア領域104は、光ファイバプリフォーム100が、図1Bに示されるステップインデックス型プロファイル又は図1Cに示されるグレーデッドインデックス型プロファイルを有する場合のように、純粋なドープされていないシリカ系ガラスと比較してガラスコア領域の屈折率を増加させる1種類以上のドーパントを有するシリカ系ガラスから形成されてもよい。コア領域の屈折率を増加させるための適切なアップ−ドーパントとしては、GeO、Al、P、TiO、ZrO、Nb、Ta、Cl及び/又はそれらの組合せが挙げられるが、これらに限定されない。
【0033】
本明細書に記載される実施形態において、内側クラッド領域106は、ΔCMAX%>ΔICMAX%となるような、純粋なシリカガラスと比較した最大相対屈折率パーセントΔICMAX%を有する。コア領域104の最大相対屈折率ΔCMAX%が内側クラッド領域106の最大相対屈折率ΔICMAX%より大きい限りにおいて、内側クラッド領域106は、純粋なシリカガラス(SiO)から、内側クラッド領域106が「アップ−ドープ」される場合など、屈折率を増加させる1つ以上のアップ−ドーパント(例えばGeO、Al、P、TiO、ZrO、Nb、Cl及び/又はTa)を有するシリカ系ガラスから、又は、内側クラッドが「ダウン−ドープ」される場合など、フッ素、ホウ素等の屈折率を低下させるダウン−ドーパントを有するシリカ系ガラスから形成されてよい。例えば、一実施形態において、内側クラッド領域106は純粋なシリカガラスである。さらに別の実施形態では、内側クラッド領域106は、GeO、TiO、又は同様のアップ−ドーパントをアップ−ドープされたシリカ系ガラスを含みうる。
【0034】
図1Aを再び参照すると、トレンチ−オーバークラッドアセンブリ110は、概して、内側バリア層116aによって取り囲まれ、かつ、内側バリア層116aと直接接触する低屈折率トレンチ領域112を含む。次に、内側バリア層116aは、オーバークラッド領域114に取り囲まれ、かつ、オーバークラッド領域114と直接接触する。さらには、外側バリア層116bはオーバークラッド領域114を取り囲む。低屈折率トレンチ領域112、内側バリア層116a、オーバークラッド領域114、及び外側バリア層116bの各々は、シリカ系ガラスから形成される。
【0035】
低屈折率トレンチ領域112は、コアアセンブリ102を取り囲む、シリカ系ガラスの環状の領域である。一部の実施によれば、低屈折率トレンチ領域112の形成時(as-formed)密度(例えば低屈折率トレンチ領域112が圧密化される前)は、約0.5g/cmである。ひとたび圧密化されると、低屈折率トレンチ領域112は、光ファイバプリフォーム100から延伸された光ファイバの曲げ性能の改善に役立つ、及び/又は、光ファイバの有効面積の増大を補助する。図1Aに示されるように、光ファイバプリフォーム100が内側クラッド領域106を含む実施形態では、内側クラッド領域106は、低屈折率トレンチ領域112がコア領域104から間隔をあける(すなわち、低屈折率トレンチ領域112がコア領域104と直接接触しない)ように、コア領域104と低屈折率トレンチ領域112との間に位置づけられる。低屈折率トレンチ領域112は、半径RICから半径Rまでの間にあり、低屈折率トレンチ領域は径方向厚さT=R−RICを有する。
【0036】
本明細書に記載される実施形態において、低屈折率トレンチ領域112は、概して、純粋なシリカガラスに対して低屈折率トレンチ領域112の屈折率が低くなるようにダウン−ドープされたシリカ系ガラスを含む。例えば、低屈折率トレンチ領域112は、純粋なシリカガラスに対して低屈折率トレンチ領域112の相対屈折率ΔTMIN%を低下させるために、フッ素を用いてダウン−ドープされうる。したがって、本明細書に記載される実施形態において、低屈折率トレンチ領域の相対屈折率は、コア領域104の相対屈折率ΔCMAX%及び内側クラッド領域106の相対屈折率ΔICMAX%より低いと解されるべきである。
【0037】
一部の実施形態では、低屈折率トレンチ領域112は、純粋なシリカと比較して、−0.02%未満の屈折率を有しうる。一部の実施形態では、低屈折率トレンチ領域112は、純粋なシリカと比較して、−0.1%未満の屈折率を有しうる。一部の実施形態では、低屈折率トレンチ領域112は、純粋なシリカと比較して、−0.25%より小さい屈折率を有しうる。一部の実施形態では、低屈折率トレンチ領域112は、純粋なシリカと比較して、−0.4%より小さい屈折率を有しうる。一部の実施形態では、低屈折率トレンチ領域112は、純粋なシリカと比較して、−0.6%より小さい屈折率を有しうる。一部の実施形態では、低屈折率トレンチ領域112は、純粋なシリカと比較して、−0.02%より小さく、かつ−1%より大きい屈折率を有しうる。一部の実施形態では、低屈折率トレンチ領域112は、純粋なシリカと比較して、−0.2%より小さく、かつ−1%より大きい屈折率を有しうる。一部の実施形態では、低屈折率トレンチ領域112は、純粋なシリカと比較して、−0.2%より小さく、かつ−0.6%より大きい屈折率を有しうる。
【0038】
一部の態様において、低屈折率トレンチ領域112は、0.1質量%を超えるフッ素濃度を有しうる。一部の実施形態では、低屈折率トレンチ領域112は、0.4質量%を超えるフッ素濃度を有しうる。一部の実施形態では、低屈折率トレンチ領域112は、0.8質量%を超えるフッ素濃度を有しうる。一部の実施形態では、低屈折率トレンチ領域112は、1.4質量%を超えるフッ素濃度を有しうる。一部の実施形態では、低屈折率トレンチは、2質量%を超えるフッ素濃度を有しうる。
【0039】
内側バリア層116aは、低屈折率トレンチ領域112を取り囲み、かつ直接接触する。本明細書に記載される実施形態では、内側バリア層116aは、本明細書においてさらに詳細に説明されるように、トレンチ−オーバークラッドアセンブリ110が圧密化され、かつドープされる際に、低屈折率トレンチ領域112から、内側バリア層116aを取り囲むオーバークラッド領域114へのダウン−ドーパントの拡散を防ぐ。本明細書に記載される実施形態において、内側バリア層116aは、シリカから形成され、概して、オーバークラッド領域114と同じ組成を有する。したがって、図1B及び1Cに示される相対屈折率プロファイルにおいて、内側バリア層116aの相対屈折率は、オーバークラッド領域114のものである(すなわち、これらの領域は圧密化された状態で存在する)。本明細書に記載される実施形態において、内側バリア層116aは、1.5g/cm以上、より好ましくは1.75g/cm以上、さらに好ましくは2g/cm以上の形成時密度(すなわち、トレンチ−オーバークラッドアセンブリの圧密化前)を有する。一部の好ましい実施形態では、内側バリア層116aは、約1g/cm〜約1.5g/cmの範囲の形成時密度を有する。一部の他の実施形態では、内側バリア層116aは、約1.5g/cm〜約2.2g/cmの範囲の形成時密度を有する。内側バリア層116aの形成時密度は、概して、一部の実施に従った低屈折率トレンチ領域112の形成時密度より大きい。
【0040】
図1Aに示されるように、内側バリア層116aは、概して、半径Rから半径Rbaまでの間にあり、内側バリア層116aが径方向厚さTib=Rba−Rを有する。本明細書に記載される実施形態において、バリア層116aの径方向厚さTibは、概して、約10μmより大きく、より好ましくは約50μmより大きく、さらに好ましくは約100μmより大きい。一部の実施形態では、内側バリア層116aの径方向厚さTibは、100μm未満である。例えば、内側バリア層116aは、約10μm以上かつ約400μm以下でありうる。他の実施形態では、内側バリア層116aは、約50μm以上かつ約400μm以下でありうる。さらに他の実施形態では、内側バリア層116aは、約100μm以上かつ及約400μm以下でありうる。さらなる実施形態では、内側バリア層116aは、約100μm〜約700μmの範囲でありうる。しかしながら、内側バリア層116aの密度が2.0g/cmを超える場合、内側バリア層116aは、内側バリア層116aの厚さに関わらず、ドーパントの拡散を緩和するのに有効である。したがって、これらの実施形態では、任意の厚さの内側バリア層116aが使用されうると解されるべきである。
【0041】
図1Aをさらに参照すると、オーバークラッド領域114は、内側バリア層116aを取り囲み、かつ、内側バリア層116aと直接接触する。オーバークラッド領域114は、概して、半径Rbaから半径ROCまでの間にあり、オーバークラッド領域114は径方向厚さTOC=ROC−Rbaを有する。さらには、一部の実施形態において(例えば図1B参照)、オーバークラッド領域114は、内側バリア層116aを備え、かつTOC=ROC−Rである。オーバークラッド領域114は、概して、低屈折率トレンチ領域112の相対屈折率ΔTMIN%より大きく、かつ、コア領域104の最大相対屈折率ΔCMAX%より小さい、純粋なシリカガラスに対する相対屈折率ΔOC%を有する。一部の実施形態では、図1Bに示されるように、ΔOC%≧ΔIC%である。したがって、オーバークラッド領域114は、純粋なシリカガラス(SiO)(すなわち、ドーパントを実質的に含まないシリカガラス)又は、オーバークラッド領域114の相対屈折率ΔOC%がコア領域104の最大相対屈折率ΔCMAX%より小さく、かつ、低屈折率トレンチ領域112の最小相対屈折率ΔTMIN%より大きい限りにおいて、オーバークラッド領域114が「アップ−ドープ」される場合など、屈折率を増加させる1種類以上のドーパント(例えばGeO、Al、P、TiO、ZrO、Nb、Cl、及び/又はTa)を有するシリカ系ガラスを含みうる。
【0042】
外側バリア層116bは、オーバークラッド領域114を取り囲み、かつ、オーバークラッド領域114と直接接触する。外側バリア層116bは、オーバークラッド領域114の一部又はオーバークラッド領域114内のサブレイヤと考えられる。本明細書に記載される実施形態において、外側バリア層116bは、低屈折率トレンチ領域112の処理の間(例えば低屈折率トレンチ領域112が圧密化される前)に取り込まれるダウン−ドーパントの拡散が、トレンチ−オーバークラッドアセンブリ110の外側部分及び表面を通じた拡散によって、オーバークラッド領域114に到達するのを防ぐ。本明細書に記載される実施形態において、外側バリア層116bは、シリカから形成され、概して、オーバークラッド領域114及び内側バリア層116aと同じ組成を有する。したがって、図1B及び1Cに示される相対屈折率プロファイルにおいて、外側バリア層116bの相対屈折率は、オーバークラッド領域114のものである。本明細書に記載される実施形態において、外側バリア層116bは、1.5g/cm以上、より好ましくは1.75g/cm以上、さらに好ましくは、2g/cm以上の形成時密度(すなわち、トレンチ−オーバークラッドアセンブリの圧密化前)を有する。一部の好ましい実施形態では、外側バリア層116bは、約1g/cm〜約1.5g/cmの範囲の形成時密度を有する。一部の他の実施形態では、外側バリア層116bは、約1.5g/cm〜約2.2g/cmの範囲の形成時密度を有する。
【0043】
図1Aに示されるように、外側バリア層116bは、概して、半径Rbbから半径ROCまでの間にあり、外側バリア層116bが径方向厚さTob=ROC−Rbbを有する。本明細書に記載される実施形態において、外側バリア層116bの径方向厚さTobは、概して、約10μmより大きく、より好ましくは約50μmより大きく、さらに好ましくは約100μmより大きい。一部の実施形態では、外側バリア層116bの径方向厚さTobは100μm未満である。例えば、外側バリア層116bは、約10μm以上かつ約700μm以下でありうる。他の実施形態では、外側バリア層116bは、約50μm以上かつ約700μm以下でありうる。さらに他の実施形態では、外側バリア層116bは、約100μm以上かつ約400μm以下でありうる。さらなる実施形態では、外側バリア層116bは、約500μm〜約3000μmの範囲でありうる。しかしながら、外側バリア層116bの密度が2.0g/cmを超える場合、外側バリア層116bは、外側バリア層116bの厚さに関わらず、ドーパントの拡散を緩和するのに有効である。したがって、これらの実施形態では、任意の厚さの外側バリア層116bが使用されうると解されるべきである。
【0044】
次に図2Aを参照すると、光ファイバプリフォーム101の別の実施形態(例えばプリフォーム101が圧密化状態で存在する)が概略的に示されている。この実施形態において、コアアセンブリは、内側クラッド領域(例えば図1Aに示される内側クラッド領域106)を伴わずに形成される。したがって、この実施形態において、コア領域104は、図2Aに示されるように、低屈折率トレンチ領域112と直接接触している。コア領域104は、図2Bに図示されるステップインデックス型の屈折率プロファイルを伴って形成されてもよく、又は代替的に、上述のようにグレーデッドインデックス型の屈折率プロファイルを伴って形成されてもよい。この実施形態において、低屈折率トレンチ領域112、内側バリア層116a、外側クラッド114、及び外側バリア層116bは、図1Aに関して上述した通りでありうる。
【0045】
図1A及び2Aに示される光ファイバプリフォーム100、101を形成する方法について、次に図3A〜3D及び図4〜6に関してさらに詳細に説明する。上述の通り、本明細書に記載される実施形態の光ファイバプリフォームは、コアアセンブリとトレンチ−オーバークラッドアセンブリとによって構築され、これらは個別に形成され、その後に組み立てられて光ファイバプリフォームを構築する。本明細書に記載される実施形態において、コアアセンブリ及びトレンチ−オーバークラッドアセンブリの各々は、外付け気相堆積(OVD)法などの蒸着法を使用して、ベイトロッド上にシリカ系スートの連続した層を堆積させることによって形成される。
【0046】
例として図3Aを参照すると、低屈折率トレンチ領域112は、ベイトロッド120上にシリカ系スートを堆積させることによって形成される。一部の実施形態では、ベイトロッド120は、直径約10mmであり、Al又は別の適切な耐火性材料から本質的になる組成を有する。シリカ系スートは、SiCl又はオクタメチルシクロテトラシロキサン(OMCTS)などの気相シリカガラス前駆体材料をバーナー122に供給することによって形成される。ガス供給バーナー122には、燃焼されて火炎126を生じる、CH、D(重水素)、CD又はCOなどの燃料及び酸素が供給される。一部の実施形態では、気相シリカ前駆体材料はSiClであり、ガス供給バーナー122には、堆積されたシリカ系スート中の残留OHの量を制限するために、D、CD又はCOなどの燃料が供給される。このような組合せを使用してバリア層のシリカガラスを形成する場合、バリア層内の状態(mode)と残留水との間の相互作用は緩和される。気相シリカ前駆体材料が約4L/分〜約10L/分の流量でバーナーに送給されうると共に、燃料が約10L/分〜約40L/分の流量でバーナーに供給されうる。
【0047】
気相シリカ前駆体材料は、火炎126内で反応してシリカ系スート128を生成し、このシリカ系スート128は、ベイトロッドが約150rpm〜約400rpmの速度で回転される間にベイトロッド120上に堆積する。本明細書に記載される実施形態において、トレンチ領域112の形成に用いられる気相シリカ前駆体材料は、ドーパントを実質的に含まず、その結果、ベイトロッド120上に堆積したシリカ系スート128は、ベイトロッド120上に堆積されて低屈折率トレンチ領域112(すなわち、圧密化前の状態の領域112)を形成することから、ドーパントを実質的に含まない。ガス供給バーナー122の火炎126は、ベイトロッドが回転し、それによってベイトロッド120上にシリカ系スートを蓄積し、低屈折率トレンチ領域112を形成する際に、矢印124で示されるように、ベイトロッド120の軸方向長さにわたって第1の速度で前後に横断する。本明細書に記載される実施形態において、火炎126の横断速度は2cm/秒を超え、好ましくは3cm/秒以上である。
【0048】
本明細書に記載される実施形態において、シリカ系スートは、低屈折率トレンチ領域112が0.8g/cm未満、一部の実施形態では、0.5g/cm未満の第1の密度を有するように、ベイトロッド120上に堆積される。上述のように、堆積されて低屈折率トレンチ領域112を形成するシリカ系スート128は、領域112におけるシリカの屈折率(すなわち、圧密化後に測定して)を変更しうるドーパントを実質的に含まない。したがって、形成時の低屈折率トレンチ領域112は、少なくとも初期には実質的にドーパントを含まないと解されるべきである。
【0049】
図3Bを参照すると、内側バリア層116aが低屈折率トレンチ領域112の周りに形成されている。内側バリア層116aは、概して、低屈折率トレンチ領域112の第1の密度より大きい第2の密度を有する。上述したように、内側バリア層116aの密度は、内側バリア層116aの形成直後において、1.5g/cm以上、より好ましくは1.75g/cm以上、さらに好ましくは2g/cm以上である。さらには、一部の好ましい実施形態では、前に述べたように、内側バリア層116aは、約1g/cm〜約1.5g/cmの範囲の形成時密度を有する。一部の他の実施形態では、内側バリア層116aは、約1.5g/cm〜約2.2g/cmの範囲の形成時密度を有する。一実施形態では、内側バリア層116aは、ガス供給バーナー122の火炎126の温度を第1の温度から第2の温度へと上昇させ、かつ、バーナーの火炎の横断速度を第1の速度から第2の速度へと低下させることによって、低屈折率トレンチ領域112の周りに形成される。火炎126の温度は、ガス供給バーナー122に供給される燃料及び酸素の流量を増加させることによって上昇させることができる。一実施形態において、ガス供給バーナー122の火炎126の温度は、1500℃〜2000℃の範囲から2000℃超まで上昇する。バーナーの火炎の横断速度は、低屈折率トレンチ領域112を堆積させるのに用いられる第1の速度から、好ましくは1cm/秒未満、より好ましくは0.5cm/秒未満、さらに好ましくは0.25cm/秒未満である第2の速度へと低下させてよい。ガス供給バーナー122の火炎126の温度の上昇及び火炎の横断速度の低下により、ベイトロッド上に堆積されるスートの密度が増大し、それによって、低屈折率トレンチ領域112の周りに、透過性が低下したバリア層116が形成される。
【0050】
別の実施形態では、内側バリア層116aは、ガス供給バーナー122の火炎126の温度を第1の温度から第2の温度へと上昇させ、かつ、ガス供給バーナー122に供給される気相シリカ系ガラス前駆体材料の濃度を低下させることによって、低屈折率トレンチ領域112の周りに形成される。例えば、シリカ系ガラス前駆体材料の流れは、低屈折率トレンチ領域112の堆積の間のおおよそ4〜10L/分から内側バリア層116aの形成の間の1L/分未満まで低下させてよい。一実施形態において、気相シリカ系ガラス前駆体材料の濃度はゼロまで低下する。シリカ系ガラス前駆体材料の濃度の低下により、火炎温度が上昇し、かつ、低屈折率トレンチ領域112上のシリカ系ガラススートの堆積が遅延又は停止(例えばシリカ系ガラス前駆体材料の流れがゼロの場合)する。しかしながら、火炎126の温度の上昇は、低屈折率トレンチ領域112のシリカ系スートの外層の高密度化を生じさせ、したがってシリカ系スートの外層は、低屈折率トレンチ領域112の厚さの残余部分におけるシリカ系スートの密度より大きい密度を有する。スートのこの高密度化層は、内側バリア層116aを形成する。この実施形態において、火炎126の温度は、低屈折率トレンチ領域112のシリカ系スートの外層を高密度化するため、2000℃以上に上昇させてよい。
【0051】
さらに別の実施形態では、内側バリア層116aは、ガス供給バーナー122へと供給されるキャリアガス中の気相シリカ系前駆体材料の濃度を低下させるとともに、上述したように、ガス供給バーナー122の火炎126の温度を第1の温度から第2の温度へと上昇させ、かつ、バーナーの横断速度を第1の速度から第2の速度へと低下させることによって、低屈折率トレンチ領域112の周りに形成されうる。上述したように、シリカ系前駆体材料の濃度の低下により、上述の低屈折率トレンチ領域112上へのシリカ系スートの堆積は遅延又は停止する。しかしながら、火炎126の温度の上昇及び火炎126の横断速度の低下により、低屈折率トレンチ領域112のシリカ系スートの外層が高密度化し、したがって低屈折率トレンチ領域112の残余部分において、シリカ系スートの外層はシリカ系スートの密度より大きい密度を有するようになる。スートのこの高密度化層は内側バリア層116aを形成する。この実施形態において、火炎126の温度は、低屈折率トレンチ領域112のシリカ系スートの外層を高密度化するために、2000℃以上に上昇させてよい。この実施形態において、火炎126の横断速度は、低屈折率トレンチ領域112の堆積に用いられる第1の速度から、好ましくは1cm/秒未満、より好ましくは0.5cm/秒未満、さらに好ましくは、0.25cm/秒未満の第2の速度まで低下される。
【0052】
本明細書に記載される一部の実施形態では、内側バリア層116aは、スートを高密度化するために、堆積されたシリカ系スートは、ガス供給バーナーを用いて加熱することによって形成されるが、他の実施形態では、他の熱源を使用してよいと解されるべきである。例えば、代替的な実施形態では、COレーザーを利用して低屈折率トレンチ領域のシリカ系スートの外層を加熱し、それによってスートを高密度化してもよい。代替的な実施形態では、プラズマトーチ又はバーナー(熱プラズマが、例えば直流電流、交流電流及び/又は無線周波数等によって生成される場合)を利用して低屈折率トレンチ領域のシリカ系スートの外層を加熱し、それによってスートを高密度化してもよい。
【0053】
さらには、本明細書に記載される一部の実施形態では、ベイトロッドの回転速度は、所望の密度を有するバリア層を実現するために、内側バリア層116aの形成の間に調整されうると考えられる。具体的には、ベイトロッドの回転速度の低下によって、内側バリア層116aの密度の増大が補助されうる。
【0054】
次に図3Cを参照すると、低屈折率トレンチ領域112の周りに内側バリア層116aが形成された後、オーバークラッド領域114が内側バリア層116aの周りに形成される。本明細書に記載される実施形態において、オーバークラッド領域114は、形成時密度にほぼ等しい密度を含め、低屈折率トレンチ領域112と同様の方式で形成されてよい。具体的には、SiCl又はOMCTSなどの気相シリカ系ガラス前駆体材料がガス供給バーナー122に供給され、火炎126内で反応し、ベイトロッドが回転する際に、ベイトロッド120上の内側バリア層116aの周囲に堆積したシリカ系スートを形成する。ガス供給バーナー122の火炎126は、上述したように、ベイトロッドが回転する際に、矢印124によって示されるように、ベイトロッド120の軸方向長さにわたって、第1の速度で前後に横断し、それによってベイトロッド120上にシリカ系スートを蓄積し、オーバークラッド領域114を形成する。オーバークラッド領域114の形成に用いられるシリカ系スートは、純粋なシリカ系スート(すなわち、ドーパントを実質的に含まないシリカ系スート)、又はオーバークラッド領域114の屈折率を増加させる1種類以上のドーパントを含むシリカ系スートでありうる。
【0055】
次に図3Dを参照すると、ベイトロッド120を、形成時状態の内側バリア層116a、オーバークラッド領域114及び低屈折率トレンチ領域112から取り除くことができる。次いで、コアアセンブリ102が、領域112、114、116aの中心穴又はチャネル内に挿入されうる。次に、コアアセンブリ102、低屈折率トレンチ領域112、オーバークラッド領域114及び内側バリア層116aは、閉多孔性及び/又は空隙を含まないガラスへと圧密化されてよく、形成時のトレンチ−オーバークラッドアセンブリ100の中心線をコアアセンブリ102上に落ち込ませ、光ファイバプリフォーム100のトレンチ−オーバークラッドアセンブリ110が形成される。圧密化工程の間に、コアアセンブリ102及びトレンチ−オーバークラッドアセンブリ110は、これらのアセンブリの中心線を通じて、かつ外側マッフルに沿って、脱水ガス(例えば塩素ガス)を流すことによって脱水されうる。この工程の一部として、外側バリア層116bが、オーバークラッド領域114内に及び/又はオーバークラッド領域114を取り囲むように形成されうる。図3Dに示されるように、外側バリア層116bもまた、先に概説されかつ図3Bに概略的に示される、内側バリア層116aを調製する方法(例えば火炎研磨法)を使用して形成することができる。一部の実施形態によれば、外側バリア層116bは、内側バリア層116aの形成に関して先に説明した他の方法のいずれかを使用して形成されうる。
【0056】
先に述べたように、外側バリア層116bは、1.5g/cm以上、より好ましくは1.75g/cm以上、さらに好ましくは2g/cm以上の形成時密度(すなわち圧密化前)を有するように調製されうる。一部の好ましい実施形態では、外側バリア層116bは、約1g/cmから約1.5g/cmの範囲の形成時密度を有する。一部の他の実施形態では、外側バリア層116bは、約1.5g/cmから約2.2g/cmの範囲の形成時密度を有する。外側バリア層116bの形成時密度は、概して、一部の実施に従ったオーバークラッド領域114の形成時密度より大きい。
【0057】
本明細書に記載される方法の実施形態において、形成時の外側バリア層116bの径方向厚さTobは、概して、約10μmより大きく、より好ましくは約50μmより大きく、さらに好ましくは約100μmより大きい。一部の実施形態では、外側バリア層116bの径方向厚さTobは100μm未満である。例えば、外側バリア層116bは約10μm以上かつ約400μm以下でありうる。他の実施形態では、外側バリア層116bは約50μm以上かつ約400μm以下で形成されうる。さらに他の実施形態では、外側バリア層116bは約100μm以上かつ約400μm以下でありうる。さらなる実施形態では、外側バリア層116bは約500μm〜約3000μmの範囲で形成することができる。
【0058】
一実施によれば、外側バリア層116bは、オーバークラッド領域114の表面に閉多孔性の層を結果的に生じる研磨工程によって形成することができる。外側バリア層116bを生成するための研磨工程は、例えば、オーバークラッド領域114の所望の部分が必要な密度を有する外側バリア層116bへと高密度化されるまで、複数回、トレンチ−オーバークラッドアセンブリ110(及びトレンチ−オーバークラッドアセンブリ110内に挿入されたコアアセンブリ102)を約30〜60分間、加熱炉のホットゾーン(例えば約1450〜1550℃で)を通じて(例えば約25℃/分の温度ランプ速度で)下方へと、次に、約900℃まで(例えば100℃/分の冷却速度で)上方へと、横断する工程を含む。比較的速い横断速度でのトレンチ−オーバークラッドアセンブリ110の複数回の往復を利用することにより、焼結フロントがプリフォーム100内に顕著かつ有害な深さまで伝播することなく、オーバークラッド領域114の外側の高密度化が可能となる。圧密化工程の間に、コアアセンブリ102及びトレンチ−オーバークラッドアセンブリ110は、これらのアセンブリの中心線を通じて、かつ外側マッフルに沿って脱水ガス(例えば塩素ガス)を流すことによって脱水することができる。
【0059】
図3Dに示されるように、ベイトロッド120は、外側バリア層116bの形成の間にその場所に残されてよい。これらの実施において、外側バリア層116bは、圧密化工程の前に、先に概説された方法のいずれかを使用して形成される。外側バリア層116bが形成された後、ベイトロッド102が取り除かれ、コアアセンブリ102が領域112、114、116a及び116bの中心穴又はチャネル内に挿入される。コアアセンブリ102、低屈折率トレンチ領域112、オーバークラッド領域114、内側バリア層116a及び外側バリア層116bは、次に、ガラスへと圧密化されてよく、形成時状態のトレンチ−オーバークラッドアセンブリ100の中心線をコアアセンブリ102上へ落ち込ませ、光ファイバプリフォーム100のトレンチ−オーバークラッドアセンブリ110が形成される。
【0060】
内側クラッド(例えば内側クラッド106)を有する又は有しないコアアセンブリ(例えばコアアセンブリ102)は、トレンチ−オーバークラッドアセンブリと同様の方式で別個に構築される。具体的には、プリフォームのコア領域104に対応するシリカ系スートブランクが、概して単一のレイダウン工程での上述の外付け気相堆積(OVD)法を使用して、ベイトロッド上に堆積される。あるいは、軸蒸着(VAD)法を使用してコアアセンブリ102のコア領域104を生成してもよい。一部の実施において、コア領域104の直径は約40mm〜60mmであり、コアアセンブリ102の長さは約100cmである。
【0061】
コア領域104を形成するシリカ系スートは、純粋なシリカガラス(すなわち、ドーパントを実質的に含まないシリカガラス)と比較してコア領域の屈折率を増加させるドーパントでドープされてよく、あるいは代替的に、純粋なシリカガラスを含んでいてもよい。コア領域104の形成に用いられる気相シリカ系ガラス前駆体材料は、気相ドーパントと共にバーナーに供給されて、コア領域の所望のアップ−ドーピングを達成する。コアアセンブリ102が内側クラッド領域106をさらに備える実施形態では、内側クラッド領域は、同様の堆積技法を使用してベイトロッド上のコア領域104の周りに形成されうる。上述のように、内側クラッド領域は、純粋なシリカ系ガラスから、又は、内側クラッド領域の相対屈折率がコア領域の相対屈折率未満である限りにおいて、アップ−ドーパント又はダウン−ドーパントでドープされたシリカ系ガラスから形成されうる。
【0062】
一部の実施形態では、コア領域104の密度は、コアアセンブリ102全体にわたるダウン−ドーパント(例えばフッ素)の移動を緩和するために、約0.8g/cmより大きく、又は、さらに好ましくは約1g/cmより大きくなることを目標とする。最も好ましくは、コア領域104は、特にダウン−ドーパントの移動を最小限に抑えるために、約1〜1.6g/cmの形成時密度を有するように処理される。概して、コアアセンブリ102は、OVD/VAD法を使用して、2000〜5000グラムの範囲の質量を有するように処理される。
【0063】
コアアセンブリ102がひとたびベイトロッド上に形成されると、ベイトロッドはコアアセンブリから取り除かれ、コアアセンブリ102は固体ガラスへと圧密化される。具体的には、コアアセンブリ102は、塩素などの流動する脱水ガス中で最初に乾燥される。その後、コアアセンブリは約1450℃〜1550℃に十分な時間(例えば約3時間)加熱されて、コアアセンブリは焼結されて固体ガラスとなる。焼結されたコアアセンブリ102は、トレンチ−オーバークラッドアセンブリ(例えばトレンチ−オーバークラッド構造100)と一体化させる前に、さらなる加工のために再び延伸されて、より小さい直径のコアケーンとしてもよい。
【0064】
次に図4を参照すると、低屈折率トレンチ領域112、内側バリア層116a、オーバークラッド領域114及び外側バリア層116bが堆積又は他の方法でベイトロッド120上に形成され、それによって光ファイバプリフォームのトレンチ−オーバークラッドアセンブリ110が形成された後、ベイトロッド120はトレンチ−オーバークラッドアセンブリ110から取り除かれて、トレンチ−オーバークラッドアセンブリ110を通って延びる中央チャネル118が残される。先に説明したように、本方法の一部の実施では、内側バリア層116bの形成前に、ベイトロッド120が取り除かれている。これらの取り組みのいずれかにおいて、圧密化されたコアアセンブリ102がトレンチ−オーバークラッドアセンブリ110の中央チャネル内に挿入される。圧密化されたコアアセンブリ102がベイトロッド120の除去によって残された中央チャネル内に位置づけられる場合には、トレンチ−オーバークラッドアセンブリは完全に高密度のガラスへと十分には圧密化されていないことから、圧密化されたコアアセンブリ102と低屈折率トレンチ領域112との間にはわずかな間隙が存在する。
【0065】
トレンチ−オーバークラッドアセンブリ110及び圧密化されたコアアセンブリ102は、次に、圧密化用加熱炉130内に設置され、トレンチ−オーバークラッドアセンブリが固体ガラスへと圧密化され、それによってトレンチ−オーバークラッドアセンブリ110をコアアセンブリ102と接着させる。圧密化の間、トレンチ−オーバークラッドアセンブリ110は、圧密化されたコアアセンブリとトレンチ−オーバークラッドアセンブリ110との間(すなわち、中央チャネル118を通じて)及びトレンチ−オーバークラッドアセンブリ110の外面の周りに脱水ガスを流すことによってまず乾燥される。一実施形態において、脱水ガスは、ヘリウムガス中、2%〜6%の塩素ガスの混合物を含む。該混合物は、トレンチ−オーバークラッドアセンブリ110が0.5〜4時間の間、約800℃〜約1250℃の温度へと加熱される際に、約5L/分〜約20L/分の流量で、トレンチ−オーバークラッドアセンブリを通って及びその周りへと導かれる。トレンチ−オーバークラッドアセンブリ110内及び周りの両方での塩素ガスの流れは、単一工程における低屈折率トレンチ領域112とオーバークラッド領域114の両方の乾燥を促進する。
【0066】
その後、図4に示されるように、低屈折率トレンチ領域112は、トレンチ−オーバークラッド並びにコアアセンブリ110及び102のそれぞれが、約1400℃〜約1500℃の温度に加熱される際に、フッ素などのドーパントを含む流動する前駆体ガス132をトレンチ−オーバークラッドアセンブリ110を通じて中央チャネル118内に導くことによってドープされる。一実施形態において、前駆体ガスは、例えば、SiF又はCFなどのドーパントと残りのHeガスとの混合物を含む。この実施形態において、混合物は、25%のドーパント及び75%のヘリウムガスを含みうる。前駆体ガスは、約0.1L/分〜約1.0L/分の流量でトレンチ−オーバークラッドアセンブリ110を通じて導かれる。前駆体ガスは低屈折率トレンチ領域112内に拡散し、それによって低屈折率トレンチ領域112にフッ素がドープされる。しかしながら、内側バリア層116a及び外側バリア層116bの密度の増加は、前駆体ガスのオーバークラッド領域114内への拡散を防ぐ。結果的に、前駆体ガス132によるオーバークラッド領域114の汚染が防止される。さらには、コアアセンブリ102が十分に圧密化されることにより、前駆体ガス132はコアアセンブリ102内に拡散せず、したがってコアアセンブリ102の汚染を防ぐ。
【0067】
一部の実施形態では、前駆体ガス132に加えて、ヘリウム、窒素又はアルゴンなどの不活性のマッフルガス134が圧密化用加熱炉内に導入され、図4に示されるトレンチ−オーバークラッドアセンブリ110を通って導かれる。マッフルガス134は、約2L/分〜約50L/分の流量(例えば一部の態様では5L/分の流量が許容される)でトレンチ−オーバークラッドアセンブリ110の外面の周囲に導かれ、それによって中央チャネル118を出る前駆体ガス132を希釈し、トレンチ−オーバークラッドアセンブリ110の外側からオーバークラッド領域114内への前駆体ガス132の拡散を抑制する。加えて、外側バリア層116bもまた、オーバークラッド領域114内への前駆体ガス132由来のドーパントの拡散を防止するか、あるいは抑制する。
【0068】
その後、トレンチ−オーバークラッドアセンブリ110は、約5mm/分〜50mm/分の速度で圧密化用加熱炉130のホットゾーンを通してトレンチ−オーバークラッドアセンブリ110及びコアアセンブリ102を下方駆動することによって固体ガラスへと焼結される(図4参照)。ホットゾーンは、概して、約1400℃〜約1500℃の温度を有する。下方駆動工程の後、トレンチ−オーバークラッドアセンブリ110及びコアアセンブリ102は、単一の固体ガラス光ファイバプリフォーム100である(図5参照)。
【0069】
図4Aを参照すると、低屈折率トレンチ領域112はまた、チャネル118内にコアアセンブリ102が存在しない状態でドープされ、圧密化されうる。これらの実施において、コアアセンブリ102は、トレンチ−オーバークラッドアセンブリ110とは別個に、十分に圧密化される。ひとたびドーピング工程が完了して低屈折率トレンチ領域112が形成されると、十分に圧密化されたコアアセンブリ102が圧密化されたトレンチ−オーバークラッドアセンブリ110内に挿入されうる。これらのアセンブリは共に再延伸されて、組合せブランク、さらには光ファイバプリフォーム(例えば図5に示される光ファイバプリフォーム100)とすることができる。ある特定の実施形態では、トレンチ−オーバークラッドアセンブリ110は、コアアセンブリ102などのコアアセンブリが存在しない状態で十分に圧密化される。このように、アセンブリ110は、管状構造内に存在する光学プリフォーム製品として形成される。このプリフォームは、例えば、当業者に理解されるロッド・イン・チューブ法を使用して光ファイバプリフォームへとさらに加工することができる。
【0070】
図6を参照すると、「比較例1」のプロットは、光ファイバプリフォーム100(例えば図1Aに構成される)のトレンチ−オーバークラッドアセンブリ110であるが外側バリア層116bを有しないものについての例示的な相対屈折率プロファイルを提供する比較例である。具体的には、「比較例1」は、比較例についてのトレンチ−オーバークラッドアセンブリの径方向厚さの関数としての低屈折率トレンチ領域112の相対屈折率及びオーバークラッド領域114の相対屈折率を示している。図6に示されるように、「比較例1」の比較例の内側バリア層116aは、低屈折率トレンチ領域112からオーバークラッド領域114内へのダウン−ドーパントを含む前駆体ガスの拡散を防止している。しかしながら、比較例1は外側バリア層を有しないことから、加熱炉雰囲気134に入る前駆体ドーパントガス132のドープが可能であり(例えばF−ドープシリカを形成)、結果的に、オーバークラッド領域の相対屈折率は、オーバークラッド領域の径方向厚さ全体にわたり、実質的に低下する。
【0071】
再び図6を参照すると、「実施例1」及び「実施例2」は、外側バリア層116bを備えた光ファイバプリフォーム100(例えば図1Aに構成される)のトレンチ−オーバークラッドアセンブリ110の例示的な相対屈折率プロファイルである、本発明に係る実施例1及び2を反映している。具体的には、「実施例1」及び「実施例2」は、本発明の実施例1及び2についてのトレンチ−オーバークラッドアセンブリの径方向厚さの関数としての低屈折率トレンチ領域112の相対屈折率及びオーバークラッド領域114の相対屈折率を示している。図6に示されるように、「実施例1」及び「実施例2」のファイバプリフォームの内側バリア層116a及び外側バリア層116bは、協働して、プリフォームの処理の間に、低屈折率トレンチ領域112からオーバークラッド領域114内への、及びプリフォーム100の外側からオーバークラッド領域内へのダウン−ドーパントを含む前駆体ガスの拡散を防止した。結果として、オーバークラッド領域114の相対屈折率は、本発明に係るこれらの実施例におけるオーバークラッド領域の径方向厚さ全体にわたり、実質的に均一である。
【0072】
図6に示される比較例1、実施例1及び実施例2のプロファイルは、それぞれ、内側バリア層を備えた光ファイバプリフォーム及び内側及び外側バリア層を備えた光ファイバプリフォームのプロファイルに対応する。比較例1のプロファイルに関しては、おおよそRの径方向位置におけるオーバークラッド領域の内側部分は、−0.05%の相対屈折率を示し、次に、オーバークラッド領域にわたる径方向距離の増大位置では約−0.16%に下降する。比較例1のプロファイルにおけるオーバークラッド領域の相対屈折率の僅かな降下(Rから、あるいは0.0%の相対屈折率を下回る)は、おそらくは、低屈折率トレンチ領域の処理及びその後の高温処理の間にオーバークラッド領域内に拡散したダウン−ドーパント(すなわちフッ素)の幾らかの残量に起因する。比較例1のプロファイルにおけるオーバークラッド領域内の残りのダウン−ドーパントの有意なパーセンテージは、おそらくは、圧密化用加熱炉130の外側に沿った前駆体ガスによるトレンチ−オーバークラッドアセンブリの最外部を通じたダウン−ドーパントの拡散に起因する(図4参照)。
【0073】
比較例1とは対照的に、内側バリア層と外側バリア層の両方を有する光ファイバプリフォームを示す実施例1のプロファイルは、オーバークラッド領域における相対屈折率の「降下」の軽減を示している。Rにおいて、実施例1のプロファイルの相対屈折率は0.0%よりわずかに低い。オーバークラッド領域内の径方向位置の増大につれて、相対屈折率は約−0.08%から約−0.12%へと僅かに降下する。したがって、実施例1のプロファイルのオーバークラッド領域における相対屈折率の0.0%からの降下は、オーバークラッド領域における実施例1のプロファイルのオーバークラッド領域に見られる降下よりかなり少ない。その結果として、実施例1のプロファイルの生成に用いられた光ファイバプリフォームに存在する外側バリア層は、オーバークラッド領域内の有害なダウン−ドーパントの拡散を著しく低下させるのに役立つ。
【0074】
比較例1とは対照的に、内側及び外側バリア層の両方を有する光ファイバプリフォームを示す実施例2のプロファイルもまた、オーバークラッド領域における相対屈折率の「降下」が本質的に存在しないことを示している。その結果として、実施例2のプロファイルの生成に用いられた光ファイバプリフォームに存在する外側バリア層は、オーバークラッド領域内の有害なダウン−ドーパントの拡散を著しく低下させるのに役立つ。
【0075】
本明細書に記載されるように構成されたプリフォームは、図1B、1C又は2Bに示されるものと同様の相対屈折率プロファイルを有する光ファイバへと延伸されうる。
【実施例】
【0076】
本発明は次の実施例によってさらに明らかになるであろう。
【0077】
実施例1
外付け気相堆積(OVD)法を用いて、バリア層を有するトレンチ−オーバークラッドアセンブリを、1m長の2000gのシリカスートプリフォームの形態で作製した。旋盤において10mmの外径を有する回転するアルミナのベイトロッド上に、約200gの実質的に純粋なシリカ系スートを堆積させることによって、トレンチ−オーバークラッドアセンブリの低屈折率トレンチ領域を形成した。ガス供給バーナーの火炎中での気相シリカ系ガラス前駆体材料の吸熱の加水分解反応を経て、シリカ系スートを形成した。シリカ系ガラス前駆体材料は、バーナーに供給されたSiClであった。各々がバーナーに供給されるCHとOとの混合物によって、火炎を生成した。バーナーの火炎中でのSiClの反応は、次式に従って進行した:
SiCl+2HO→SiO+HCl
シリカ系ガラススートを火炎中で生成させる際、ベイトロッドをおおよそ150rpm〜約400rpmの速度で回転させつつ、バーナーの火炎を約2cm/秒を超える速度でベイトロッド上を横断させ、それによってベイトロッドの周囲にスートを堆積させた。この反応によって生じたシリカ系ガラススートを、低屈折率トレンチ領域が約0.4〜0.5g/cmの密度を有するように、ベイトロッド上に堆積させた。
【0078】
その後、SiClのバーナーへの流れをゼロまで低下させ、それによってSiOスートの堆積を低減又は排除し、かつ火炎の温度を上昇させることによって、低屈折率トレンチ領域上に内側バリア層を形成した。10回の通過の間に、火炎によってスートプリフォームを火仕上げし(fire-polished)、かつトレンチ領域のスートの最外層を高密度化し、約2〜2.2g/cmの密度及び約0.1〜0.7mmの厚さを有する内側バリア層を形成した。
【0079】
その後、オーバークラッド領域をバリア層上に堆積させた。具体的には、約2000gのシリカ系スート(約0.4〜0.5g/cmの密度を有する)が内側バリア層上に堆積されてトレンチ−オーバークラッドアセンブリのオーバークラッド領域を形成するように、バーナーへの気相SiClの流れを回復させた。
【0080】
次に、アルミナベイトロッドをトレンチ−オーバークラッドアセンブリから取り除き、アルミナベイトロッドによって残された中央チャネル内に直径8.5mmのガラスコアケーンアセンブリを挿入した。コアケーンアセンブリは、7.5質量%のGeOをドープされたSiOコア及びSiO内側クラッドで構成され、約0.4のコア/クラッド比を有していた。コアケーンアセンブリが所望の屈折率プロファイルを有するように、OVD法によってコアケーンアセンブリを別個に形成した。次に、コアケーンアセンブリが挿入されたトレンチ−オーバークラッドアセンブリを、プリフォームの外側の周囲を、及びSiOハンドル、ひいてはコアケーンとスートプリフォームとの間の環状体を通じて流れる約3体積%のClガス及び残りのHeガスを含む雰囲気中、900℃で乾燥することを含む圧密化のために、圧密化用加熱炉内に導入した。
【0081】
次に、アセンブリを、約1500℃のピーク温度を有するホットゾーンを通じて約25℃/分の温度ランプ速度で横断(下方駆動)させ、次いでホットゾーンを通じて上方駆動させ、100℃/分で約900℃に戻るまで冷却させた。この下方駆動及び上方駆動の手順をさらに2回繰り返し、結果として、オーバークラッド領域内の内側バリア層と外側バリア層の間のプリフォームのドーピングを防ぐ又は制限するように構成された、約1.7g/cmの密度を有するおおよそ1mm厚の外側バリア層を生じた。
【0082】
その後、アセンブリを約900℃まで冷却し、SiOハンドル、ひいては中央チャネル(すなわちコアアセンブリと低屈折率トレンチ領域との間)を通じて10体積%のSiF及び残りのHeガスの混合物を流してコアケーンと内側バリア層との間のシリカスートに1.1L/分の流量でフッ素をドープし、圧密化用加熱炉の底部を通じて5L/分の流量でHeガスを流すことによって、低屈折率トレンチ領域をF焼結ドープ(F-sinter doped)した。5℃/分の温度ランプ速度で1500℃のピーク温度を有する圧密化用加熱炉の焼結ゾーンへとトレンチ−オーバークラッドアセンブリを下方駆動して、内側環状体SiOスートにフッ素をドープし、かつSiOスートをコアケーン上へ落ち込ませることによって、これらのガス及び流量に曝露しつつ、トレンチ−オーバークラッドアセンブリを圧密化した。具体的には、GeOをドープされたSiOコア、SiO内側クラッド、フッ素をドープされたSiO低屈折率トレンチ領域及びSiOオーバークラッド領域を有する、十分に高密度化された光ファイバプリフォームを調製した。さらには、このような方式で調製されたトレンチ−オーバークラッドアセンブリは、図6に示される(すなわち、「実施例1」のプロファイルに反映される)相対屈折率プロファイルを有していた。
【0083】
実施例2
実施例2の光ファイバプリフォームをモデル化した。具体的には、実施例2の光ファイバプリフォームを、アセンブリ以外は実施例1に記載した方式と同一の方式で作製し、次に、合計4回、ホットゾーンを通じて下方駆動及び上方駆動の手順を使用して横断させて、オーバークラッド領域における内側バリア層と外側バリア層との間のプリフォームのドーピングを防ぐ又は制限するように構成された、約2.1g/cmの密度を有するおおよそ1mm厚の外側バリア層を得た。次に、プリフォームにフッ素をドープし、実施例1に記載の方法で焼結した。この方式で調製されたトレンチ−オーバークラッドアセンブリは、図6に示される(すなわち、「実施例2」のプロファイルを反映させた)相対屈折率プロファイルを有していた。
【0084】
比較例1
同様の工程を使用して、外側バリア層を用いない以外は実施例1に記載されたように、比較例の光ファイバアセンブリを製造した。すなわち、ベイトロッド上にシリカスートを堆積させてトレンチ領域を形成し、バーナーを用いてバリア層の形成を達成し、追加のシリカスートを堆積させてオーバークラッドを形成し、ベイトロッドを取り除き、中心線環状体(例えば中央チャネル)内にコアケーンアセンブリを挿入した。次に、圧密化用加熱炉内にこのアセンブリを設置し、塩素乾燥工程をプリフォームアセンブリに施して、同一の量のSiFにヘリウムを加えたものを中心線環状体を通して流し、圧密化用加熱炉の底部を通じてヘリウムを流した。内側環状体にフッ素をドープし、かつプリフォームを焼結するために、ホットゾーンを通じてプリフォームアセンブリを下方駆動しつつ、これらのガスを導いた。具体的には、GeOをドープされたSiOコア、SiO内側クラッド、フッ素をドープされたSiO低屈折率トレンチ領域、及び部分的にF−ドープされたSiOオーバークラッド領域を有する十分に高密度化された光ファイバプリフォームを調製した。さらには、この方式で調製されたトレンチ−オーバークラッドアセンブリは、図6に示される相対屈折率プロファイル(すなわち、比較例1のプロファイル)を有する。
【0085】
上記に基づき、本明細書に記載される方法を使用して、工程数を低減した、コアを取り囲む低屈折率トレンチ領域を備えた光ファイバプリフォームを形成することができることが理解されよう。具体的には、低屈折率トレンチ領域とオーバークラッド領域との間に位置づけられた高密度のバリア層を有する別個のトレンチ−オーバークラッドアセンブリを形成することにより、低屈折率トレンチ領域及びオーバークラッド領域が1つのアセンブリとして形成可能になり、かつ、オーバークラッド領域がダウン−ドーパントで汚染されることなく、低屈折率トレンチ領域にダウン−ドープ可能になる。この構造により、低屈折率トレンチ領域及びオーバークラッド領域を単一工程で乾燥可能になり、それによって両方の領域における水による汚染を排除することが可能になる。したがって、トレンチ−オーバークラッドアセンブリにおけるバリア層の取り込みにより、低屈折率トレンチ領域及びオーバークラッド領域を別々に形成し、圧密化する必要性が回避されることが理解されよう。
【0086】
以下、本発明の好ましい実施形態を項分け記載する。
【0087】
実施形態1
光ファイバプリフォームを形成する方法において、
シリカ系スートをベイトロッド上に堆積させて低屈折率トレンチ領域を形成する工程であって、該シリカ系スートが、前記トレンチ領域が第1の密度を有するように堆積される、工程;
前記トレンチ領域の周りにシリカを含む内側バリア層を形成する工程であって、該内側バリア層が前記第1の密度より大きい第2の密度を有する、工程;
前記第1のバリア層の周りにシリカ系スートを堆積させて前記光ファイバプリフォームのオーバークラッド領域を第3の密度で形成する工程であって、前記第2の密度が前記第3の密度より大きい、工程;
前記トレンチ領域、前記内側バリア層及び前記オーバークラッド領域を有するトレンチ−オーバークラッド構造の中央チャネルから前記ベイトロッドを取り除く工程;
前記ベイトロッドを取り除く工程の後に、前記トレンチ−オーバークラッド構造の前記中央チャネル内にコアケーンを挿入する工程;
前記オーバークラッド領域の外側部分にシリカを含む外側バリア層を形成する工程であって、該外側バリア層が前記第3の密度より大きい第4の密度を有する、工程;
前記コアケーンを挿入する工程の後に、前記トレンチ−オーバークラッド構造の前記中央チャネルを通してダウンドーパント含有ガスを流す工程であって、前記トレンチ−オーバークラッド構造が、前記トレンチ領域に前記ダウンドーパントをドープするのに十分に加熱され、さらに、前記バリア層によって、前記オーバークラッド領域内への前記ダウンドーパントの拡散が緩和される、工程;及び
前記コアケーンを前記光ファイバプリフォーム内に挿入する工程の後に、前記トレンチ−オーバークラッド構造及び前記コアケーンを圧密化する工程
を含む、方法。
【0088】
実施形態2
前記ベイトロッドを取り除く工程及び前記コアケーンを挿入する工程が、外側バリア層を形成する工程の前に行われることを特徴とする、実施形態1に記載の方法。
【0089】
実施形態3
前記ベイトロッドを取り除く工程及び前記コアケーンを挿入する工程が、外側バリア層を形成する工程の後に行われることを特徴とする、実施形態1に記載の方法。
【0090】
実施形態4
前記ダウン−ドーパントがフッ素であり、前記ダウンドーパント含有ガスがCF及びSiFのうち一方又は両方を含むことを特徴とする、実施形態1に記載の方法。
【0091】
実施形態5
前記光ファイバプリフォームからシングルモード又はマルチモードの光ファイバを延伸する工程をさらに含む、実施形態1に記載の方法。
【0092】
実施形態6
前記内側バリア層の前記第2の密度及び前記外側バリア層の前記第4の密度が、約1.5g/cmより大きいことを特徴とする、実施形態1に記載の方法。
【0093】
実施形態7
前記内側バリア層の前記第2の密度及び前記外側バリア層の前記第4の密度が、約1.75g/cmより大きいことを特徴とする、実施形態1に記載の方法。
【0094】
実施形態8
前記内側バリア層の前記第2の密度及び前記外側バリア層の前記第4の密度が、約2g/cmより大きいことを特徴とする、実施形態1に記載の方法。
【0095】
実施形態9
前記内側バリア層及び前記外側バリア層の各々が約10〜700μmの範囲の厚さを有することを特徴とする、実施形態1に記載の方法。
【0096】
実施形態10
外側バリア層を形成する工程が火炎研磨法で行われ、該火炎研磨法は、火炎含有シリカ粒子を、バーナーから前記オーバークラッド領域に対し又はその近位へと方向付ける工程を含み、該バーナーが、前記トレンチ−オーバークラッド構造に対して横方向に約1cm/秒以下の速度で移動するように構成されることを特徴とする、実施形態1に記載の方法。
【0097】
実施形態11
外側バリア層を形成する工程が火炎研磨法で行われ、該火炎研磨法は、火炎含有シリカ粒子を、バーナーから前記オーバークラッド領域に対し又はその近位へと方向付ける工程を含み、該バーナーが、前記トレンチ−オーバークラッド構造に対して横方向に約0.5cm/秒以下の速度で移動するように構成されることを特徴とする、実施形態1に記載の方法。
【0098】
実施形態12
光学プリフォームを形成する方法において、
シリカ系スートをベイトロッド上に堆積させて低屈折率トレンチ領域を形成する工程であって、該シリカ系スートが、前記トレンチ領域が第1の密度を有するように堆積される、工程;
前記トレンチ領域の周りにシリカを含む内側バリア層を形成する工程であって、該内側バリア層が前記第1の密度より大きい第2の密度を有する、工程;
前記第1のバリア層の周りにシリカ系スートを堆積させて前記光ファイバプリフォームのオーバークラッド領域を第3の密度で形成する工程であって、前記第2の密度が前記第3の密度より大きく、かつ、トレンチ−オーバークラッド構造が、前記トレンチ領域、前記内側バリア層及び前記オーバークラッド領域を有する、工程;
前記オーバークラッド領域の外側部分にシリカを含む外側バリア層を形成する工程であって、該外側バリア層が前記第3の密度より大きい第4の密度を有する、工程;
前記トレンチ−オーバークラッド構造から前記ベイトロッドを取り除く工程であって、該取り除く工程が、前記トレンチ−オーバークラッド構造内に中央チャネルを画成する、工程;
前記トレンチ−オーバークラッド構造の前記中央チャネルを通してダウンドーパント含有ガスを流し、かつ、前記トレンチ−オーバークラッド構造を十分に加熱して、前記トレンチ領域に前記ダウンドーパントをドープする工程であって、さらに前記バリア層によって、前記オーバークラッド領域内へのダウンドーパントの拡散が緩和される、工程;及び
前記ドープされたトレンチ領域を有する前記トレンチ−オーバークラッド構造を圧密化して、中央チャネルを有する圧密化されたトレンチ−オーバークラッド構造を形成する工程
を含む、方法。
【0099】
実施形態13
前記ダウン−ドーパントがフッ素であり、前記ダウンドーパント含有ガスが、CF及びSiFのうち一方又は両方を含むことを特徴とする、実施形態12に記載の方法。
【0100】
実施形態14
前記圧密化されたトレンチ−オーバークラッド構造の前記中央チャネル内にコアケーンを挿入する工程をさらに含む、実施形態12に記載の方法。
【0101】
実施形態15
前記光ファイバプリフォームからシングルモード又はマルチモードの光ファイバを延伸する工程をさらに含む、実施形態12に記載の方法。
【0102】
実施形態16
前記内側バリア層の前記第2の密度及び前記外側バリア層の前記第4の密度が約1.5g/cmより大きいことを特徴とする、実施形態12に記載の方法。
【0103】
実施形態17
前記内側バリア層の前記第2の密度及び前記外側バリア層の前記第4の密度が約1.75g/cmより大きいことを特徴とする、実施形態12に記載の方法。
【0104】
実施形態18
前記内側バリア層の前記第2の密度及び前記外側バリア層の前記第4の密度が約2g/cmより大きいことを特徴とする、実施形態12に記載の方法。
【0105】
実施形態19
前記内側バリア層及び前記外側バリア層の各々が、 約10〜700μmの範囲の厚さを有することを特徴とする、実施形態12に記載の方法。
【0106】
実施形態20
外側バリア層を形成する工程が火炎研磨法で行われ、該火炎研磨法は、火炎含有シリカ粒子を、バーナーから前記オーバークラッド領域に対して又はその近位へと方向付ける工程を含み、該バーナーが、前記トレンチ−オーバークラッド構造に対して横方向に約1cm/秒以下の速度で移動するように構成されることを特徴とする、実施形態12に記載の方法。
【符号の説明】
【0107】
100、101 光ファイバプリフォーム
102 コアアセンブリ
104 コア領域
106 内側クラッド領域
110 トレンチ−オーバークラッドアセンブリ/構造
112 低屈折率トレンチ領域
114 オーバークラッド領域
116a 内側バリア層
116b 外側バリア層
120 ベイトロッド
122 ガス供給バーナー
126 火炎
128 シリカ系スート
130 圧密化用加熱炉
132 前駆体ガス/前駆体ドーパントガス
134 加熱炉雰囲気
図1A
図1B
図1C
図2A
図2B
図3A
図3B
図3C
図3D
図4
図4A
図5
図6