特許第6533954号(P6533954)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6533954
(24)【登録日】2019年6月7日
(45)【発行日】2019年6月26日
(54)【発明の名称】調整装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 7/182 20060101AFI20190617BHJP
   G01C 1/00 20060101ALI20190617BHJP
【FI】
   G02B7/182 100
   G01C1/00 Z
【請求項の数】4
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2015-195650(P2015-195650)
(22)【出願日】2015年10月1日
(65)【公開番号】特開2017-68152(P2017-68152A)
(43)【公開日】2017年4月6日
【審査請求日】2018年9月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】一色国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】福本 直紀
【審査官】 堀井 康司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−144360(JP,A)
【文献】 特開昭60−160234(JP,A)
【文献】 特開2012−242491(JP,A)
【文献】 特開平11−273424(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 7/00
G02B 7/18−7/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽光の反射光が目標地点に向かうように前記反射光の反射方向を調整する調整装置であって、
前記太陽光を反射する平面鏡と、
前記平面鏡から得られる前記反射光の反射方向が所定平面に沿って変化するように、前記平面鏡を回動させる第1回動機構と、
前記目標地点を確認するための照準用望遠鏡と、
前記照準用望遠鏡の望遠方向が前記所定平面に沿って変化するように、前記平面鏡が第1角度だけ回動することに連動して、前記平面鏡の回動方向と同じ方向に前記第1角度の2倍である第2角度だけ前記照準用望遠鏡を回動させる第2回動機構と、
前記平面鏡の法線方向と前記照準用望遠鏡の望遠方向が前記太陽光の入射方向と実質的に同じ方向になるように、前記平面鏡と前記照準用望遠鏡の回動初期位置を設定する設定機構と、
を備えたことを特徴とする調整装置。
【請求項2】
支持脚と、
前記支持脚に設けられ、交差する2方向に沿う軸にて各々回動自在な継手と、
前記継手から一方向に伸延する柱形状の部材と、
を有し、
前記平面鏡と前記照準用望遠鏡とは、前記平面鏡の法線方向、前記照準用望遠鏡の望遠方向、及び、前記柱形状の部材の伸延方向が実質的に同じ方向になる状態で、前記柱形状の部材と一体に回動可能であることを特徴とする請求項1に記載の調整装置。
【請求項3】
前記平面鏡及び前記照準用望遠鏡が回動する軸は、前記柱形状の部材と直交していることを特徴とする請求項2に記載の調整装置。
【請求項4】
前記柱形状の部材は、前記伸延方向と垂直な平面を形成するように取り付けられた板部材を有することを特徴とする請求項2または請求項3に記載の調整装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽光の反射光の反射方向を調整する調整装置に関する。
【背景技術】
【0002】
無線通信回線において、マイクロ波等の指向性の高い電波が用いられる場合がある。指向性の高い電波は長距離通信が可能である一方、通信局間に障害物がある場合には正確に通信を行うことができないという特質がある。そのため、新たに通信局を設ける際には、新局の設置箇所と対向局の設置箇所の間の見通し確認として、ミラー試験が実施されている。
【0003】
ミラー試験は、図8に示すように、新局の設置箇所(反射地点)から対向局の設置箇所(目標地点)に向けて太陽光を平面鏡10で反射させ、対向局の設置箇所で当該太陽光の反射光が確認できるか否かにより見通しの確認をするものである。ミラー試験の際には、反射地点にいる作業者が手作業で平面鏡10を微調整して太陽光を目標地点の方向に反射させ、目標地点にいる作業者がカメラ11を反射地点の方向を向けて太陽光の反射光を撮影できるか確認することにより行う。そして、カメラ11で太陽光の反射光を撮影できた場合、新局の設置箇所と対向局の設置箇所の間に障害物がないと判断される。一方、カメラ11で太陽光の反射光を撮影できない場合、新局の設置箇所と対向局の設置箇所の間に障害物があるため、新局の設置箇所としては不適切であると判断される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
新局の設置箇所と対向局の設置箇所の間の距離は、50km程度離れている場合もあり、ミラー試験を行う前段階として手作業で太陽光を確実に目標地点の方向に反射させることに困難性が伴うものとなっている。そのため、太陽光を反射地点から目標地点の方向に反射させていても、目標地点の方向からずれた方向(例えば、図8のA方向やB方向)に太陽光を反射させてしまっている場合も生じ、その場合にはミラー試験による適切な結果をうることができないという課題がある。
そこで、本発明は、太陽光の反射光が目標地点に向かうように、反射光の反射方向を調整可能な調整装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前述した課題を解決する主たる本発明である調整装置は、太陽光の反射光が目標地点に向かうように前記反射光の反射方向を調整する調整装置であって、太陽光を反射する平面鏡と、前記平面鏡から得られる前記反射光の反射方向が所定平面に沿って変化するように、前記平面鏡を回動させる第1回動機構と、前記目標地点を確認するための照準用望遠鏡と、前記照準用望遠鏡の望遠方向が前記所定平面に沿って変化するように、前記平面鏡が第1角度だけ回動することに連動して、前記平面鏡の回動方向と同じ方向に前記第1角度の2倍である第2角度だけ前記照準用望遠鏡を回動させる第2回動機構と、前記平面鏡の法線方向と前記照準用望遠鏡の望遠方向が前記太陽光の入射方向と実質的に同じ方向になるように、前記平面鏡と前記照準用望遠鏡の回動初期位置を設定する設定機構と、を備えている。
本発明の他の特徴については、添付図面及び本明細書の記載により明らかとなる。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、太陽光の反射光が目標地点に向かうように、反射光の反射方向を調整することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本実施形態に係る調整装置の斜視図である。
図2】本実施形態に係る調整部の第1回動機構と第2回動機構の構成の一例を示す図である。
図3A】照準用望遠鏡の望遠方向と平面鏡の法線方向とが、太陽光の入射方向を向くように設定された状態を示す図である。
図3B図3Aの状態から、照準用望遠鏡の望遠方向F及び平面鏡の法線方向MをX軸周りに回動させた状態を示す図である。
図4】調整装置を用いたミラー試験のイメージ図である。
図5A】調整装置の方角の確認を行う工程を調整装置の+X方向から見た図である。
図5B図5Aに示す工程の後、調整装置の初期の状態を確認するための工程を調整装置の+X方向から見た図である。
図5C図5Bに示す工程の後、調整装置の太陽方向確認支柱の指示方向が太陽光の入射方向を向くように調整する工程を調整装置の+X方向から見た図である。
図5D図5Cに示す工程の後、調整装置の平面鏡の平面鏡の法線方向及び照準用望遠鏡の望遠方向Fが目標地点を向くように調整する工程を調整装置の+X方向から見た図である。
図6A図5Aを調整装置の−Y方向から見た図である。
図6B図5Bを調整装置の−Y方向から見た図である。
図6C図5Cを調整装置の−Y方向から見た図である。
図6D図5Dを調整装置の−Y方向から見た図である。
図7A】太陽光により太陽方向確認支柱の影がX方向に形成された状態を示す図である。
図7B】太陽光により太陽方向確認支柱の影がY方向に形成された状態を示す図である。
図7C】太陽方向確認支柱の影が見えなくなった状態を表す図である。
図8】従来のミラー試験における課題を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の本実施形態に係る調整装置について図面を参照して説明する。
===調整装置の構成について===
本実施形態に係る調整装置は、上記したミラー試験に用いられ、ミラー試験における太陽光の反射方向の調整作業を効率化するものである。
本実施形態に係る調整装置の構成の一例を図1に示す。
【0009】
図1は、本実施形態に係る調整装置の斜視図である。本実施形態に係る調整装置1は、太陽光の反射光が目標地点に向かうように、反射光の反射方向を調整する調整装置であり、太陽光を反射する平面鏡100、目標地点を確認するための照準用望遠鏡200、平面鏡100の法線方向と照準用望遠鏡200の望遠方向とを調整する調整部400、が支持台300に取り付けられて構成され、平面鏡100および照準用望遠鏡200が調整部400を介して支持台300に支持される状態で調整装置1は反射地点に設置される。
【0010】
尚、図中のX軸、Y軸、Z軸はそれぞれ、調整装置1が設置された状態において、Z軸が高さ方向、X軸がZ軸と直交し平面鏡100及び照準用望遠鏡200を回動させる回転軸の伸びる方向、Y軸はX軸及びZ軸に対していずれも直交する方向を示す軸である。以下の説明では、それぞれ単に「X方向」、「Y方向」、「Z方向」と表し、矢印の示す方向を+方向、矢印と逆の方向を−方向と表す。又、X軸とY軸により形成される平面を「XY平面」、X軸とZ軸により形成される平面を「XZ平面」、Y軸とZ軸により形成される平面を「YZ平面」と表す。
【0011】
本実施形態に係る調整装置1は、支持台300の設定機構を用いて平面鏡100の法線方向と照準用望遠鏡の望遠方向とが太陽光の入射方向と実質的に同じ方向になる回動初期位置に設定されたのち、平面鏡100と照準用望遠鏡200を夫々1対2の回転比で連動してX軸周りに回動させることにより、照準用望遠鏡200の望遠方向を太陽光の反射方向と一致させながら、平面鏡100と照準用望遠鏡200を調整するものである。尚、以下、太陽光が平面鏡100に向かって入射する方向を「入射方向L」、太陽光が平面鏡100により反射する方向を「反射方向L’」と言う。
【0012】
平面鏡100は、太陽光を反射する反射面を有する部材である。平面鏡100の反射面は略平坦な形状をなし、太陽光の入射角Lに対して略同一の角度の反射角をなすように太陽光を反射する。調整装置1は、太陽光の入射方向Lに対応させて設定し、当該入射方向Lに対する平面鏡100の傾き角を後述する第1回動機構400Aを用いて調整することにより、平面鏡100に入射する太陽光を所望の反射方向L’に反射させる。尚、以下、平面鏡100の反射面の法線方向を「平面鏡の法線方向M」と言う。
【0013】
支持台300は、平面鏡100、照準用望遠鏡200、調整部400が取り付けられる土台である。支持台300は、支持脚301、接続部302、太陽方向確認支柱303、太陽方向確認板304を備えて構成される。そして、支持台300は、これらの構成により、調整前において平面鏡100の法線方向Mと照準用望遠鏡200の望遠方向Fが太陽光の入射方向Lと実質的に同じ方向になるように、平面鏡100と照準用望遠鏡200の回動初期位置を設定する設定機構の役割を担う。
【0014】
具体的には、支持台300は、地面に設置される支持脚301に、接続部302を介して太陽方向確認支柱303及び太陽方向確認支柱303と一体となった板部材としての太陽方向確認板304が取り付けられた構成となっている。そして、支持台300の太陽方向確認支柱303には、調整部400が取り付けられており、調整部400を介して平面鏡100及び照準用望遠鏡200が取り付けられている。
【0015】
接続部302は、支持脚301と太陽方向確認支柱303の間を連結して、支持脚301に対して太陽方向確認支柱303の向きを調整することが可能な連結機構により構成される。
【0016】
具体的には、接続部302は、太陽方向確認支柱303をX軸周りに回動させる第1連結機構と、太陽方向確認支柱303をZ軸周りに回動させる第2連結機構とを有している。すなわち、第1連結機構と第2連結機構とが交差する2方向に沿う軸にて各々回動自在な継手に相当する。第1連結機構は、作業者の調整操作により、支持脚301を地面に固定した状態で接続部302を回動の中心として太陽方向確認支柱303をX軸周りに回動させることができる構成となっている(図中では、R1の矢印で表す)。接続部302の当該第1連結機構は、例えば、接続部302と太陽方向確認支柱303の接続部分に設けられX軸周りに回動するピンジョイントにより構成される。
【0017】
又、第2連結機構は、作業者の調整操作により、支持脚301を地面に固定した状態で接続部302を回動の中心として太陽方向確認支柱303をZ軸周りに回動させることができる構成となっている(図中では、R2の矢印で表す)。接続部302の当該第2連結機構は、例えば、接続部302と支持脚301の接続部分に設けられZ軸周りに回動するピンジョイントにより構成される。ここで、接続部302は、第1連結機構と第2連結機構とが一体となった自在継手を備えている構成であっても構わない。
【0018】
又、接続部302は、クランプレバー(図示せず)を備え、支持脚301に対して太陽方向確認支柱303の向きを調整した後、上記の第1連結機構及び第2連結機構の回動を固定させることができる構成となっている。
【0019】
太陽方向確認支柱303は、接続部302から一方向に伸延する柱形状の部材である。そして、太陽方向確認支柱303の伸延する方向が太陽光の入射方向Lを向くように、太陽方向確認支柱303の向きを調整することにより、太陽方向確認支柱303に調整部400を介して取り付けられている平面鏡100及び照準用望遠鏡200の初期位置を設定することができるように構成されている。尚、平面鏡100及び照準用望遠鏡200の初期位置の設定方法の詳細は後述する。
ここで、太陽方向確認支柱303の向きは、上記したとおり、接続部302の連結機構を用いて調整される。尚、以下、太陽方向確認支柱303の伸延する方向を「指示方向T」と言う。
【0020】
太陽方向確認板304は、太陽方向確認支柱303に取り付けられた薄板部材である。そして、太陽方向確認板304は、太陽方向確認支柱303の影を写すための部材である。太陽方向確認板304は、太陽方向確認支柱303の柱形状の先端位置と接続部302の間に、指示方向Tと垂直な平面を形成するように取り付けられ、太陽方向確認支柱303の指示方向Tの変化に応じて、形状が変化された太陽方向確認支柱303の影303Sが映される。これより、本実施形態に係る調整装置1では、太陽方向確認板304に映る太陽方向確認支柱303の影303Sを利用して、太陽方向確認支柱303の指示方向Tを太陽光の入射方向Lに設定する。すなわち、影303Sがなくなる方向に太陽方向確認支柱303の指示方向Tを向けることにより、太陽方向確認支柱303の指示方向Tが太陽光の入射方向Lに設定される。尚、調整操作の詳細については後述する。
【0021】
調整部400は、太陽方向確認支柱303に取り付けられ、平面鏡100と照準用望遠鏡200を支持するとともに、平面鏡100と照準用望遠鏡200を連動して、太陽方向確認支柱303の伸延方向と直交するX軸周りに回動させる部材である。
【0022】
具体的には、調整部400は、平面鏡100を回動させる第1回動機構400Aと、照準用望遠鏡200を第1回動機構400Aと連動して回動させる第2回動機構400Bとを備える。そして、第2回動機構400Bは、第1回動機構400A(平面鏡100)がX軸周りに第1角度としての角度θだけ回動した場合、照準用望遠鏡200をX軸周りの同じ方向に第2角度としての角度2θだけ回動させる構成となっている。
【0023】
尚、調整部400は、太陽方向確認支柱303に固定されており、調整部400と調整部400に支持される平面鏡100及び照準用望遠鏡200は、太陽方向確認支柱303の向きの調整がなされる場合、太陽方向確認支柱303と一体となって回動する。
【0024】
照準用望遠鏡200は、ミラー試験において、太陽光を反射する反射地点から目標地点の位置および反射光の到達位置を確認するための部材である。照準用望遠鏡200は、例えば、凸レンズと凹レンズの組み合わせにより遠方の物体を拡大して見ることを可能とする。具体的には、照準用望遠鏡200は、筒形状をなし、当該筒形状の一端に凹レンズが嵌め込まれた覗き窓201、当該筒形状の他端に凸レンズが嵌め込まれた受光窓202を備える。そして、照準用望遠鏡200は、受光窓202が望遠する方向から受ける光に基づいて、覗き窓201で当該方向の物体を拡大して観察させる。調整装置1は、後述する第1回動機構400A及び第2回動機構400Bを用いて、照準用望遠鏡200と平面鏡100とを連動して回動させることにより、照準用望遠鏡200の望遠方向と平面鏡100による太陽光の反射方向L’が同じ方向になるように調整する。尚、以下、照準用望遠鏡200の受光窓202が望遠する方向を「望遠方向F」と言う。
【0025】
=調整部の第1回動機構と第2回動機構の構成について=
ここで、図2図3A図3Bを参照して、本実施形態に係る調整部400の第1回動機構400Aと第2回動機構400Bについて説明する。
図2は、本実施形態に係る調整部400の第1回動機構400Aと第2回動機構400Bの構成の一例を示す図である。
【0026】
第1回動機構400Aは、軸部材401A、歯車402Aを有し、軸部材401Aの一方の端部に平面鏡100の側部が連結されるとともに、平面鏡100から得られる反射光の反射方向L’が所定平面としてのYZ平面に沿って変化するように平面鏡100を回動させる。
【0027】
軸部材401Aは、X方向に伸延する柱状体であり、X軸周りに自由に回動可能な構成となっている。そして、軸部材401Aには、軸部材401Aとともに回動する歯車402Aを備えている。すなわち、歯車402Aと平面鏡100は、軸部材401Aに支持され、軸部材401Aを回動の中心として一体となってX軸周りに回動する。そして、平面鏡100の回動に伴って、平面鏡100から得られる反射光の反射方向L’は、YZ平面に沿って変化する。
歯車402Aは、平歯車であり、軸部材401Aと一体となってX軸周りに回動する。
【0028】
第2回動機構400Bは、軸部材401B、歯車402B、軸部材401B’、歯車402B’を有し、軸部材401Bの一方の端部に照準用望遠鏡200の側部が連結されるとともに、照準用望遠鏡200の望遠方向Fが所定平面としてのYZ平面に沿って変化するように照準用望遠鏡200を回動させる。
【0029】
軸部材401Bは、X方向に伸延する柱状体であり、X軸周りに自由に回動可能な構成となっている。そして、軸部材401Bには、軸部材401Bとともに回動する歯車402Bを備えている。すなわち、歯車402Bと照準用望遠鏡200は、軸部材401Bに支持され、軸部材401Bを回動の中心として一体となってX軸周りに回動する。すなわち、照準用望遠鏡200は、軸部材401BがX軸周りに回動することにより、照準用望遠鏡200の受光窓202がX軸周りに回動する。
歯車402Bは、平歯車であり、軸部材401Bと一体となってX軸周りに回動する。
【0030】
歯車402B’は、X方向に伸延する柱状体である軸部材401B’に設置され、両端が軸受(図示せず)に支持されてX軸周りに自由に回動が可能な構成となっている。
【0031】
歯車402B’は、平歯車であり、歯車402Aと歯車402Bとを同一方向に回動させるため、遊び歯車として設置されている。すなわち、歯車402B’は、歯車402A及び歯車402Bとかみ合う状態で配置され、歯車402A又は歯車402Bの一方が回動したとき、他方の歯車に回転力を働かせて、他方の歯車を回動させる。
【0032】
より具体的には、歯車402Aは、歯車402B’と噛み合う状態で配置され、軸部材401Aの回動により歯車402AがX軸周りに回動した場合、歯車402Aと噛み合っている歯車402B’は歯車401Aと反対方向に回動する。又、歯車402B’は、歯車402Bと噛み合う状態で配置され、歯車402B’がX軸周りに回動した場合、歯車402B’ と噛み合っている歯車402Bは、歯車402B’と反対方向に回動する。
【0033】
そして、本実施形態に係る第1回動機構400Aと第2回動機構400Bでは、歯車402Aと歯車402Bの歯数比を2対1とすることにより、歯車402AをX軸周りに第1角度としての角度θだけ回動させた場合、歯車402BがX軸周りの同じ方向に第2角度としての角度2θだけ回動する構成となっている。
【0034】
すなわち、当該機構により、平面鏡100をX軸周りに角度θだけ回動させた場合、照準用望遠鏡200がX軸周りの同じ方向に角度2θだけ回動する構成としている。言い換えると、当該機構により、平面鏡100から得られる反射光の反射方向L’がYZ平面に沿って変化するように平面鏡100を角度θだけ回動させることによって、照準用望遠鏡200の望遠方向Fは、YZ平面に沿って変化するように平面鏡100の回動方向と同じ方向に角度2θだけ回動する。尚、図1中では、平面鏡100及び照準用望遠鏡200のX軸周りの回転方向をR3の矢印で表している。
【0035】
図3A図3Bは、第1回動機構400Aと第2回動機構400Bにより平面鏡100及び照準用望遠鏡200を回動させた場合における望遠方向F、平面鏡の法線方向M、太陽光の反射方向L’の関係を示す図である。
【0036】
図3Aは、照準用望遠鏡200の望遠方向Fと平面鏡100の法線方向Mとが、太陽光の入射方向Lを向くように設定された状態を示す。尚、第1回動機構400Aと第2回動機構400Bは、平面鏡100又は照準用望遠鏡200をX軸周りに回動させたとき、いずれかの位置で、照準用望遠鏡200の望遠方向F、平面鏡100の法線方向M、太陽方向確認支柱303の指示方向Tが同一方向を向くように、平面鏡100と照準用望遠鏡200を支持している(以下、望遠方向F、法線方向M、指示方向Tが同一方向を向いた状態を「初期状態」と言う。)。
【0037】
そして、図3Bは、図3Aの状態から、照準用望遠鏡200の望遠方向F及び平面鏡100の法線方向MをX軸周りに回動させた状態を示す。尚、図3Bは、第1回動機構400Aと第2回動機構400Bにより、照準用望遠鏡200の望遠方向Fと平面鏡100による太陽光の反射方向L’を、YZ平面において、同一方向に向けることができることを表している。
【0038】
具体的には、平面鏡100の法線方向Mが太陽光の入射方向Lを向くように設定された状態から、第1回動機構400Aに従って平面鏡100をX軸周りに角度θだけ回動させた場合、入射方向Lは、YZ平面内において、平面鏡の法線方向Mに対して角度θの入射角を形成する。又、平面鏡100によって反射する太陽光の反射方向L’も同様に、YZ平面内において、平面鏡100の法線方向Mに対して角度θの反射角を形成する。これより、平面鏡100の法線方向Mが太陽光の入射方向Lを向くように設定された状態から、第1回動機構400Aに従って平面鏡100をX軸周りに角度θだけ回動させた場合、平面鏡100による太陽光の反射方向L’は、YZ平面内で入射方向Lに対して角度2θの角度を形成する。
【0039】
一方、照準用望遠鏡200の望遠方向Fは、平面鏡100の法線方向MをX軸周りに角度θだけ回動させた場合、第2回動機構400Bにより、X軸周りに角度2θだけ回動するように構成されている。
【0040】
従って、照準用望遠鏡200の望遠方向Fと平面鏡100の法線方向Mとが太陽光の入射方向Lを向くように設定された状態から、平面鏡100の法線方向MをX軸周りに角度θだけ回動させた場合、照準用望遠鏡200の望遠方向FはX軸周りに角度2θだけ回動し、照準用望遠鏡200の望遠方向Fと反射方向L’はYZ平面内において同一方向を向くことになる。
【0041】
以上のように、本実施形態に係る調整装置1は、第1回動機構400Aと第2回動機構400Bにより、照準用望遠鏡200の望遠方向Fを太陽光の反射方向L’を同一方向に向けながら、照準用望遠鏡200又は平面鏡100を回動できる構成としている。
【0042】
===調整装置の操作手順について===
以下、図4図5A図5D図6A図6D図7A図7Cを参照して、本実施形態に係る調整装置を用いてミラー試験を行う際の操作手順について説明する。
図4は、調整装置を用いたミラー試験のイメージ図である。
図5A図5Dは、ミラー試験を行うための操作手順を調整装置の側面図(+X方向から見た図)により示した図である。
【0043】
ここで、図5Aは、調整装置の方角の確認を行う工程を表す(以下、「第1工程」と言う。)。又、図5Bは、図5Aに示す工程の後、調整装置の初期の状態を確認するための工程を表す(以下、「第2工程」と言う。)。又、図5Cは、図5Bに示す工程の後、調整装置の太陽方向確認支柱303の指示方向Tが太陽光の入射方向Lを向くように調整する工程を表す(以下、「第3工程」と言う。)。又、図5Dは、図5Cに示す工程の後、調整装置の平面鏡100の平面鏡の法線方向M及び照準用望遠鏡200の望遠方向Fが目標地点を向くように調整する工程を表す(以下、「第4工程」と言う。)。
又、図6A図6Dは、図5A図5Dに示す各工程を、調整装置の正面図(−Y方向から見た図)により示した図である。
【0044】
又、図7A図7Cは、太陽方向確認板304に映る太陽方向確認支柱303の影303Sを示した図である。尚、図7A図7Cは、太陽方向確認支柱303の指示方向Tから見た図である。
以下、上記の各工程について説明する。
【0045】
本実施形態に係るミラー試験は、図4に示すように、調整装置1を新局の設置箇所(図4の反射地点)に設置し、対向局の設置箇所(図4の目標地点)に向けて太陽光を平面鏡100により反射させ、対向局の設置箇所で当該太陽光の反射光が確認できるか否かにより行う。
図5A図6Aに示す第1工程は、調整装置1を反射地点に設置した状態で、照準用望遠鏡200を目標地点の方角に向ける工程である。
【0046】
本工程は、作業者が調整装置1の照準用望遠鏡200を用いて、目標地点を観察できるように調整装置1の接続部302を水平方向(R2)に回動させることにより行う。そして、作業者が照準用望遠鏡200の覗き窓201を覗いて目標地点が観察できたときの方角を、YZ平面(平面鏡100及び照準用望遠鏡200を回動させる回転軸と垂直な平面)として設定する。そして、第2工程から第4工程では、当該YZ平面において、太陽方向確認支柱303、第1回動機構400A、第2回動機構400Bにより、太陽光を反射させる反射方向L’を調整する。
【0047】
尚、YZ平面を設定するための本工程は、第4工程の準備として、第1回動機構400Aと第2回動機構400Bにより平面鏡100及び照準用望遠鏡200を回動させる基準平面を確定する意義を有する。尚、YZ平面とは、上記したとおり、平面鏡100及び照準用望遠鏡200を回動させる回転軸と垂直な平面を意味しており、必ずしも地面に対して垂直な面である必要はない。
【0048】
図5B図6Bに示す第2工程は、太陽方向確認支柱303の指示方向T、照準用望遠鏡200の望遠方向F、平面鏡100による平面鏡の法線方向Mを同一方向に向け、初期状態にセットする工程である。
本工程は、具体的には、作業者が第1回動機構400Aと第2回動機構400Bを回動させることにより行う。
【0049】
尚、本工程は、第3工程で、照準用望遠鏡200の望遠方向F及び平面鏡100の法線方向Mを、入射方向Lと同一方向に向けるための準備工程である。本工程においては照準用望遠鏡200と平面鏡100は、太陽方向確認支柱303と一体として回動する。そのため、本工程で指示方向T、望遠方向F、平面鏡の法線方向Mを同一方向に向けることによって、太陽方向確認支柱303の指示方向Tを入射方向Lに向けた場合に、同時に望遠方向F、平面鏡の法線方向Mを入射方向Lに向けることができる。
図5C図6Cに示す第3工程は、太陽方向確認支柱303により太陽光の入射方向Lを確定する工程である。
【0050】
本工程は、上記したように、望遠方向F及び平面鏡の法線方向Mを入射方向Lと実質的に同じ方向になるように、平面鏡100と照準用望遠鏡200の回動初期位置を設定するための工程である。尚、実質的に同じ方向にするとは、YZ平面において照準用望遠鏡200の望遠方向F及び平面鏡100の法線方向Mが、太陽光の入射方向Lと同じ方向になるようにすることを意味している。
【0051】
本工程は、具体的には、太陽光により太陽方向確認板304に映る太陽方向確認支柱303の影303Sを利用して、太陽方向確認支柱303の指示方向Tを太陽光の入射方向Lに向けることにより行う。太陽方向確認支柱303は一方向に伸延する柱形状の部材であるから、板状の太陽方向確認板304には、図7A図7Bに示すように、太陽光により太陽方向確認支柱303の影303Sが形成される。そして、影303Sの形状は、太陽光の入射方向Lと、太陽方向確認支柱303の指示方向Tとの関係で定まる。
【0052】
従って、図7Cに示すように、太陽方向確認板304に映る太陽方向確認支柱303の影303Sが見えなくなるように接続部302を調整して太陽方向確認支柱303の向きを変えることによって、太陽方向確認支柱303の指示方向Tを太陽光の入射方向Lに向けることができる。
【0053】
尚、図7Cは、図7Bの状態から、太陽方向確認支柱303をX軸周り(R1)に回動することにより太陽方向確認支柱303の影303Sが見えなくなった状態を表す。
図5D図6Dに示す第4工程は、照準用望遠鏡200を用いて目標地点を確認し、反射光の反射方向L’を目標地点に向ける工程である。
【0054】
本工程は、作業者が、照準用望遠鏡200の覗き窓201により望遠方向Fを観察しながら、照準用望遠鏡200を第2回動機構400BによりX軸周りに回動させることにより行う。本工程において、作業者が、照準用望遠鏡200を第2回動機構400Bにより当該YZ平面に沿って角度2θだけ回動させたとき、平面鏡100は第1回動機構400Aにより当該YZ平面に沿って同じ方向に角度θだけ回動する。これにより、照準用望遠鏡200の望遠方向Fを目標地点の方向へ向けたとき、平面鏡100による反射光の反射方向L’を目標地点の方向へ向けることができる。
尚、本工程では、太陽方向確認支柱303は、第3工程で指示方向Tを確定した状態のまま固定している。
【0055】
以上、本実施形態に係る調整装置1によれば、作業者が、反射光を目標地点に向けて確実に照射することができる。これによって、太陽光の反射方向L’を調整するための煩雑な作業を簡略化し、作業効率を向上させることができる。
【0056】
具体的には、入射方向Lに対する太陽光の反射方向L’は、入射方向Lと平面鏡100の法線方向Mとがなす角度θの2倍の角度2θをなすので、本実施形態の調整装置1にように、第1回動機構400Aにより平面鏡100が角度θだけ回動することに連動して、照準用望遠鏡200が第2回動機構400Bにより第1角度の2倍である角度2θだけ回動することにより、太陽光の平面鏡100に対する入射角度Lに対して照準用望遠鏡200の望遠方向Fを反射方向L’と合わせることが可能である。このため、照準用望遠鏡200により平面鏡100により反射した反射光の到達位置を確認することが可能である。このとき、調整前の平面鏡100の法線方向Mと照準用望遠鏡200の望遠方向Fが太陽光の入射方向Lと実質的に同じ方向を向いていなければならないが、本実施形態の調整装置1は、平面鏡100の法線方向Mと、照準用望遠鏡200の望遠方向Fとが太陽光の入射方向Lと実質的に同じ方向になるように設定する設定機構を備えているので、設定機構により設定された回動初期位置を基準として調整を行うことが可能である。このため、太陽光の反射光が目標地点に向かうように、反射光の反射方向L’を調整することが可能である。
【0057】
また、支持脚301に支持されて、平面鏡100の法線方向M、照準用望遠鏡200の望遠方向F、及び、太陽方向確認支柱303の伸延方向が実質的に同じ方向になる状態で、接続部302から伸延する太陽方向確認支柱303を回動させることにより、平面鏡100の法線方向Mと照準用望遠鏡200の望遠方向Fとを容易に太陽光の入射方向Lと実質的に同じ方向になるように設定することが可能である。
【0058】
また、平面鏡100及び照準用望遠鏡200がいずれも太陽方向確認支柱303と直交するX軸周りに回動するので、設定された回動初期位置からYZ平面に沿って回動させることが可能である。すなわち、平面鏡100の法線方向M及び照準用望遠鏡200の望遠方向FをいずれもYZ平面に沿って変化させることが可能である。
【0059】
また、太陽方向確認支柱303に、伸延方向と垂直な平面を形成するように太陽方向確認板304が取り付けられているので、太陽方向確認支柱303の伸延方向が太陽に向いていると、太陽方向確認支柱303の影303Sが太陽方向確認支柱303と重なって太陽方向確認板304に映る影303Sがなくなる。このため、太陽方向確認板304に映る太陽方向確認支柱303の影303Sがなくなる方向に太陽方向確認支柱303の伸延方向を合わせることにより、より正確に回動初期位置に設定することが可能である。
【0060】
尚、上記実施形態では、調整装置1から目標地点へ向かう方角と、調整装置1から太陽へ向かう方角が同一方向である場合について説明した。言い換えると、図6B図6Dに示すように、太陽光の入射方向Lが、XZ平面で見たときに平面鏡100の法線方向Mと同一の方向を向く場合について説明している。一方、目標地点の方角によっては、XZ平面で見た場合に入射方向Lと平面鏡100の法線方向Mとが同一方向とならない場合がある。
【0061】
しかし、そのような場合であっても、本実施形態に係る調整装置1によれば、特に問題なくミラー試験を実施することができる。具体的には、太陽光の入射方向は完全な同一方向を向くものではなく、又、乱反射や散乱により反射方向も変化することから、調整装置により、図5Dに示すようにYZ平面で見た場合に反射方向L’を目標地点に向けることができれば、一定量の反射光は確実に目標地点に照射することができるためである。すなわち、本実施形態に係る調整装置1では、第3工程で、YZ平面において照準用望遠鏡200の望遠方向F及び平面鏡100の法線方向Mが太陽光の入射方向Lと同じ方向になるように調整するため、XZ平面で見た場合に入射方向Lと平面鏡100の法線方向Mとが同一方向とならない場合でも、上記の効果を得ることができる。
【0062】
他方、目標地点に照射する反射光の光量を多くするため、XZ平面で見た場合の入射方向Lと平面鏡100の法線方向Mのずれを調整するべく、平面鏡100に角度調整可能な機構を設ける構成としてもよい。例えば、平面鏡100の側部が連結されている軸部材401Aとの間に、平面鏡100をY軸周りに傾けることが可能なピンジョイントを設ける構成とすればよい。
【0063】
又、目標地点に照射する反射光の光量を多くするための他の態様として、調整装置の接続部302の連結機構に太陽方向確認支柱303をY軸周りにも回動が可能な構成を設けてもよい。当該構成により、調整装置と目標地点の方角と調整装置と太陽の方角によらず、第3工程において太陽方向確認支柱303の指示方向Tと入射方向Lを完全に一致させることができる。但し、当該構成の場合、第1工程で確定したYZ平面にずれが生ずるため、太陽方向確認支柱303のY軸周りの太陽方向確認支柱303の向きを固定した状態で、再度、第1工程から行うのが望ましい。
【0064】
尚、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本発明にはその等価物も含まれる。
【符号の説明】
【0065】
1 調整装置
100 平面鏡
200 照準用望遠鏡
201 覗き窓
202 受光窓
300 支持台
301 支持脚
302 接続部
303 太陽方向確認支柱
303S 影
304 太陽方向確認板
400 調整部
400A 第1回動機構
400B 第2回動機構
401A 軸部材
401B 軸部材
402 歯車
402A 歯車
402B 歯車
F 望遠方向
L 入射方向
L’ 反射方向
M 法線方向
T 指示方向
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5A
図5B
図5C
図5D
図6A
図6B
図6C
図6D
図7A
図7B
図7C
図8