特許第6536762号(P6536762)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6536762
(24)【登録日】2019年6月14日
(45)【発行日】2019年7月3日
(54)【発明の名称】水流設備
(51)【国際特許分類】
   E02B 9/04 20060101AFI20190625BHJP
   G21D 1/00 20060101ALI20190625BHJP
【FI】
   E02B9/04 Z
   G21D1/00 R
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2019-502116(P2019-502116)
(86)(22)【出願日】2018年10月2日
(86)【国際出願番号】JP2018036890
【審査請求日】2019年1月16日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(72)【発明者】
【氏名】齊藤 直
(72)【発明者】
【氏名】安野 孝生
(72)【発明者】
【氏名】玉井 孝謙
(72)【発明者】
【氏名】梶田 拓志
【審査官】 苗村 康造
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−140815(JP,A)
【文献】 特開2014−206311(JP,A)
【文献】 特開平10−331605(JP,A)
【文献】 米国特許第08011854(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02B 9/04
F28F 9/00〜 9/26
F28B 1/02
F01K 9/00
G21D 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水域における第1位置に設置される取水口と、
前記水域における前記第1位置と異なる第2位置に設置される放水口と、
前記取水口から取水され、陸域に設置された発電設備内の被冷却装置を冷却し、前記放水口から放水される流体が流れる流水路と、
前記流水路の途中であって、前記水域における前記第1位置及び前記第2位置と異なる第3位置に設けられた水圧変動吸収部と、を備え、
前記水圧変動吸収部は、前記被冷却装置の前記取水口側における、前記水域の前記第1位置よりも浅い領域に設けられている水流設備。
【請求項2】
前記水圧変動吸収部は、前記水域の一部の外周を囲むことで形成されている、
請求項1に記載の水流設備。
【請求項3】
前記取水口と前記被冷却装置との間に取水槽を備え、
前記取水槽に給水ポンプが配置されている、
請求項1または2に記載の水流設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、火力発電所や原子力発電所の被冷却装置を冷却する水流設備に関する。
【背景技術】
【0002】
火力発電所や原子力発電所などでは、海から取水した海水を冷却水として用い、復水器等の被冷却装置に送り、被冷却装置と熱交換を行い、温度が上昇した海水を海に放水している。このような取水や放水を行う水流設備において、水を循環させるポンプの起動・停止時に、サージング等の水圧変動が発生する(例えば、特許文献1参照)。
従来、水流設備において、取水管や放水管での水圧変動を吸収するため、取水管や放水管の途中に接合井が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−140815号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、水圧変動を十分に吸収するには、かなりの大きさの接合井が必要であり、取水管や放水管の途中にそのような接合井を建設するには、かなりの費用がかかる。
【0005】
本発明は、接合井を設けることなく水圧変動を吸収可能な水流設備を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を達成するために、本発明は、水域における第1位置に設置される取水口と、前記水域における前記第1位置と異なる第2位置に設置される放水口と、前記取水口から取水され、陸域に設置された発電設備内の被冷却装置を冷却し、前記放水口から放水される流体が流れる流水路と、前記流水路の途中であって、前記水域における前記第1位置及び前記第2位置と異なる第3位置に設けられた水圧変動吸収部と、を備える水流設備を提供する。
【0007】
前記水圧変動吸収部は、前記被冷却装置の前記取水口側における、前記水域の前記第1位置よりも浅い領域に設けられていることが好ましい。
【0008】
前記水圧変動吸収部は、前記水域の一部の外周を囲むことで形成されていることが好ましい。
【0009】
前記取水口と前記被冷却装置との間に取水槽を備え、前記取水槽にポンプが配置されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、接合井を設けることなく水圧変動を吸収可能な水流設備を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施形態の水流設備1を説明する概略平面図である。
図2】水流設備1の図1に示すA−B領域の縦断面図である。
図3】比較形態の水流設備10Aの一部の概略縦断面図である。
図4】実施形態の水流設備10の一部の概略縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について説明する。図1は、実施形態の水流設備1を説明する概略平面図である。図2は水流設備1の図1に示すA−B領域の縦断面図である。
【0013】
実施形態の水流設備1は、例えば火力発電所又は原子力発電所等の発電設備内の被冷却部を冷却するために用いられるものである。
【0014】
発電設備は、実施形態において、陸域21に建設されている火力発電所20で、ボイラ22と、タービン23と、被冷却装置の一例としての復水器24と、を備える。ボイラ22で生成された蒸気はタービン23に送られ、タービン23で使用された蒸気が復水器24で凝縮されて復水となる。復水器24で生成された復水は、ボイラ22に送られて再び蒸気となる。
【0015】
復水器24には、タービン23から送られてくる蒸気と熱交換を行って、その蒸気を冷却して水に戻すための冷却水が供給される。冷却水は、実施形態では海域2から取水される海水である。ただし、本発明で冷却水を取水する領域は、海域2に限らず、復水器24と比較して十分に広い領域であれば、湖沼、河川等の他の水域であってもよい。
【0016】
水流設備1は、取水口3と、水圧変動吸収部4と、取水槽5と、放水口11とを備える。また、取水口3と水圧変動吸収部4とを接続する第1取水管6と、水圧変動吸収部4と取水槽5とを接続する第2取水管7と、取水槽5と復水器24とを接続する第3取水管8と、被冷却装置と放水口11とを接続する放水管9とを備え、取水口3から放水口11までの延びる流水路1aが形成されている。
【0017】
取水口3は、図2に示すように海中における、水圧変動吸収部4よりも深い海底に設けられ、比較的低温の海水を取水可能となっている。実施形態で取水口3は、上方側面に開口した開口部より、海水を取り込む鉛直取水口方式である。ただし、これに限らず、取水口3の上流側にカーテンウォールを設け、海水面付近に浮遊する異物のプラントへの侵入を防止しつつ海水を取り込むカーテンウォール方式であってもよい。
【0018】
水圧変動吸収部4は、取水口3よりも水深が浅い海域2の一部を、例えば矢板やコンクリートの壁部4aで囲んで形成されている。
水圧変動吸収部4のサイズは、発電所20の単位発電出力当たりの水平面積として0.5m/万KW〜1.0m/万KWの範囲が好ましい。また、単位発電出力当たりの体積において、9m/万KW〜13m/万KWの範囲が好ましい。
水平面積及び体積の下限値は、水圧変動を十分に吸収するために好ましい値であり、水平面積及び体積の上限値は、取水口3から取水された海水の低温状態を保ったまま取水槽5へ送るために好ましい値である。
【0019】
また、水圧変動吸収部4は、壁部4aによって壁部4aの外部に対して密閉され、海水の外部への流出,または外部の海水の流入は妨げられる。
これによって、取水口3から取水された比較的温度の低い海水は、低温状態を保ちつつ、第2取水管7を通って取水槽5へと送られる。
【0020】
取水槽5は、内部にポンプPが設けられており、このポンプPを作動させることより取水口3より海水が取水され、取水した海水は取水槽5に流入されて、復水器24へと送られる。
【0021】
復水器24は、上述のように、例えば、タービン23を駆動した蒸気を熱交換により冷却して水に戻す装置である。復水器24の内部には海水が流れる海水用チューブが配管されており、復水器24に設けられた蒸気入口24aから流入した蒸気は、海水用チューブ内を通る海水と熱交換して復水され、復水器24に設けられた復水出口24bから流出してボイラ22へと送られる。
【0022】
放水口11は、復水器24内で蒸気と熱交換して温度が上昇した海水が送られる。放水口11は、海域2における、取水口3及び水圧変動吸収部4が設けられている位置から離れた位置に設けられ、高温の海水を海域に放水する。放水方法としては、海中の表面に放水する表層放流や、海中へ放水する水中放流がある。
このように、放水口11が、水圧変動吸収部4や取水口3と離れたところに設けられているので、放水口11からは放水された高温の海水が、取水口3から取水される海水の温度を上昇させることがない。
【0023】
ポンプPが作動すると、海底に設けられた取水口3から低温の海水が取水され、流水路1aを海水が流れる。
すなわち、取水口3から取水された海水は、第1取水管6を通って、水圧変動吸収部4に流入される。取水口3及び水圧変動吸収部4は、放水口11から離れているので、高温の海水が入り込むことがない。次いで、海水は、水圧変動吸収部4から第2取水管7を通って取水槽5に流れ込む。取水槽5に流れた海水は、第3取水管8より復水器24に流れる。復水器24において海水は、タービン23から流入する蒸気が流れる管を冷却することで蒸気と熱交換する。蒸気は復水して再びボイラ22に送られる。温度が上昇した海水は、放水管9を通って放水口11から海域2に放水される。
【0024】
(比較形態)
図3は比較形態の水流設備10Aの一部の概略縦断面図である。比較形態では、第1取水管6Aと第2取水管7Aとの間の陸域21に接合井4Aが設けられている。比較形態の接合井4Aは、陸域21を掘削することにより形成されるため、費用やスペース的に水平面積が実施形態の水圧変動吸収部4と比べて限定された狭い領域となる。
【0025】
ポンプPの起動・停止時において、取水槽5Aでサージング等の水圧変動(水撃圧)Sが発生する。そうすると、その水圧変動Sは、第2取水管7Aを伝わって接合井4Aへと伝達される。しかし、接合井4Aは、水平面積が限定された狭い領域である場合、水圧変動Sを十分に吸収することができない。
【0026】
そうすると、水圧変動Sは十分に減衰されずに第1取水管6Aへ伝わり、また第2取水管7Aへと戻る。この場合、高水位においては、取水槽A5、第2取水管7A及び第1取水管6Aの上部からの漏水が生じる。また、低水位において、取水槽5A、第2取水管7A及び第1取水管6Aの水系が呑口以下となると、出発地点より高い地点を通って海水を導く構造であるクローズサイフォン構造が破たんし、大規模な修理が必要となる。
【0027】
一方、図4は実施形態における水流設備10の一部の概略縦断面図である。実施形態は、上述のように、第1取水管6と第2取水管7との間に、広大な海域2の一部を区切ることにより形成された、水平面積の広い水圧変動吸収部4が設けられている。
【0028】
実施形態では、ポンプPの起動・停止時において、取水槽5Aでサージング等の水圧変動Sが発生すると、比較形態と同様に、その水圧変動Sは、第2取水管7Aを伝わって水圧変動吸収部4へと伝達される。
しかし、水圧変動Sが伝達されても、水圧変動吸収部4の水平面積が大きいので、水圧変動Sが非常に小さくなる。したがって、第2取水管7を戻ったり第1取水管6に伝達したりする水圧変動Sが小さくなる。ゆえに、第1取水管6や第2取水管7が破損する可能性が低く、水流設備1の耐久性が向上する。
また、第1取水管6や第2取水管7を伝わる水圧変動Sが小さくなるので、比較形態と比べて第1取水管6や第2取水管7の強度を強固にする必要はなく、製造コストも削減される。
【0029】
また、比較形態のような接合井4Aは、陸域21を掘削することにより製造されるので、製造に多大な費用がかかり、また、設備の条件等によっては、必要面積の確保がスペース的に困難である場合がある。しかし、実施形態では、海域2を矢板やコンクリート壁で囲うことで水圧変動吸収部4を設けているので、簡易な構造で製造可能で、安価な製造が可能である。
【0030】
水圧変動吸収部4より先の第1取水管や取水口3が仮に損傷しても、水圧変動吸収部4において取水が可能である。このため、発電設備20としての機能維持に必要な構造設計が必要な設備を、水圧変動吸収部4が設けられた水域よりも発電設備20側に限定することができる。ゆえにコスト削減が可能となる。
【0031】
(変形形態)
実施形態では海域2を利用して水圧変動吸収部4を設けたが、これに限らず、自由水面を有し、且つ広大な面積を有する場所であれば、水圧変動吸収部4を設ける箇所は、他の河川、湖沼等であってもよい。
【0032】
また、実施形態では水変動吸収部を取水槽5と取水口3との間に設ける形態について説明した、取水槽5と放水口11との間に設けてもよく、また両方に設けてもよい。
【符号の説明】
【0033】
1 水流設備
1a 流水路
2 海域
3 取水口
4 水圧変動吸収部
4A 接合井
4a 壁部
5 取水槽
6 第1取水管
6A 第1取水管
7 第2取水管
7A 第2取水管
8 第3取水管
9 放水管
10 水流設備
10A 水流設備
11 放水口
20 火力発電所
21 陸域
22 ボイラ
23 タービン
24 復水器
【要約】
接合井を設けることなく水圧変動を吸収可能な水流設備を提供すること。
本発明の水流設備1は、水域2における第1位置に設置される取水口3と、前記水域2における前記第1位置と異なる第2位置に設置される放水口11と、前記取水口3から取水され、陸域に設置された発電設備20内の被冷却装置24を冷却し、前記放水口11から放水される流体が流れる流水路と、前記流水路の途中であって、前記水域2における前記第1位置及び前記第2位置と異なる第3位置に設けられた水圧変動吸収部4と、を備える。
図1
図2
図3
図4