(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に添付の図面を参照して説明した本発明の実施例から、本発明の構成、作用及び他の特徴が容易に理解されるであろう。
【0021】
本明細書において基地局の名称は、RRH(remote radio head)、eNB、TP(transmission point)、RP(reception point)、中継機(relay)などを含む包括した用語として使うことができる。また、搬送波併合が適用される場合には、本願発明で説明する基地局の動作はコンポーネントキャリア(CC)又はセルに対して適用されてもよい。ビームフォーミングはプリコーディング概念を包括し、ビームフォーミングのための重みベクトル/行列はプリコーディングベクトル/行列の概念を包括する。
【0022】
(MIMO環境)
図1を参照して一般のMIMO(multi−input−multi−ouput)環境について説明する。
【0025】
の送信アンテナが設けられており、受信端には
【0027】
の受信アンテナが設けられている。このように、送信端及び受信端で共に複数のアンテナを使う場合には、送信端又は受信端のいずれか一方でのみ複数のアンテナを使う場合より理論的なチャネル伝送容量が増加する。チャネル伝送容量の増加はアンテナの数に比例する。よって、伝送レートが向上し、周波数効率が向上する。一つのアンテナを用いる場合の最大伝送レートを
【0029】
と言うと、多重アンテナを使うときの伝送レートは、理論的に下記の式1のように最大伝送レート
【0033】
を掛けた値の分だけ増加することができる。ここで、
【0037】
例えば、4個の送信アンテナと4個の受信アンテナを用いるMIMO通信システムにおいては、単一アンテナシステムに比べ、理論上4倍の伝送レートを取得することができる。このような多重アンテナシステムの理論的容量の増加が90年代半ばに証明されて以来、実質的にデータ伝送率を向上させるための様々な技術が現在まで活発に研究されている。これらの技術の中でいくつかの技術は既に3世代移動通信と次世代無線LANなどの多様な無線通信の標準に反映されている。
【0038】
現在までの多重アンテナ関連研究動向を調べると、多様なチャネル環境及び多重接続環境での多重アンテナ通信容量計算などについての情報理論側面研究、多重アンテナシステムの無線チャネル測定及びモデル導出研究、そして伝送信頼度向上及び伝送率向上のための時空間信号処理技術研究など、多様な観点で活発な研究が進行されている。
【0039】
多重アンテナシステムにおける通信方法をより具体的な方法で説明するためにこれを数学的にモデリングする場合は次のように表すことができる。
図7に示すように、
【0043】
の受信アンテナが存在することを仮定する。まず、送信信号について説明すると、
【0045】
の送信アンテナがある場合、伝送可能な情報は最大で
【0047】
であるので、伝送情報を下記の式2のようなベクトルで示すことができる。
【0051】
において伝送電力を互いに異ならせることができる。この際、それぞれの伝送電力を
【0053】
とすると、伝送電力が調整された伝送情報をベクトルで示せば下記の式3の通りである。
【0059】
を用いて示せば下記の式4の通りである。
【0061】
一方、伝送電力が調整された情報ベクトル
【0067】
の送信信号(transmitted signal)
【0069】
が構成される場合を考慮してみよう。ここで、重み行列は、伝送情報を伝送チャネル状況などに応じて各アンテナに適宜分配する役目を担う。このような伝送信号
【0073】
を用いて下記の式5のように示すことができる。ここで
【0079】
は重み行列(Weight Matrix)又はプリコーディング行列(Precoding Matrix)と呼ばれる。
【0081】
一般に、チャネル行列のランクの物理的な意味は、与えられたチャネルで相異なる情報を送信し得る最大数と言える。したがって、チャネル行列のランク(rank)は互いに独立した(independent)行(row)又は列(column)の個数のうち最小の個数と定義されるので、行列のランクは行(row)又は列(column)の個数より大きくなり得ない。数式的に例を挙げると、チャネル行列Hのランク(rank(H))は式6のように制限される。
【0083】
また、多重アンテナ技術で送信する相異なる情報のそれぞれを「伝送ストリーム(Stream)」又は簡単に「ストリーム」と定義する。このような「ストリーム」は「レイヤー(Layer)」ということができる。すると、伝送ストリームの個数は当然ながら、相異なる情報を送り得る最大数であるチャネルのランクよりは大きくなり得ない。よって、チャネル行列Hは、下記の式7のように示すことができる。
【0085】
ここで、“# of streams”はストリームの数を表す。一方、ここで、1つのストリームは1つ以上のアンテナを介して送信され得るということに留意されたい。
【0086】
1つ以上のストリームを多数のアンテナに対応付ける様々な方法があり得る。この方法を多重アンテナ技術の種類によって次のように説明することができる。1つのストリームが多くのアンテナを介して送信される場合は空間ダイバーシチ方式と見なすことができ、多くのストリームが多くのアンテナを介して送信される場合は空間マルチプレクシング方式と見なすことができる。もちろん、これらの中間形態である、空間ダイバーシチ及び空間マルチプレクシングの混合(Hybrid)の形態も可能である。
【0087】
一般のMIMO環境において最大の送受信アンテナは8個と仮定する。しかし、マッシブMIMOへと進化するに伴ってアンテナの個数は数十又は数百個以上に増加し得る。
【0088】
図2に大規模MIMO環境の一実施例を示す。特に、
図2は、基地局又は端末が能動アンテナシステムベースの3Dビームフォーミングが可能な複数の送/受信アンテナを有するシステムを図式化したものである。
【0089】
図2を参照すると、送信アンテナ観点で3次元ビームパターンを活用する場合、ビームの水平方向だけでなく垂直方向への準静的又は動的なビームフォーミングを行うことができ、垂直方向のセクター形成などの応用を考慮することができる。また、受信アンテナ観点では、大規模受信アンテナを活用して受信ビームを形成するとき、アンテナ配列利得(antenna array gain)による信号電力上昇の効果を期待することができる。したがって、上りリンクの場合、基地局が複数のアンテナで端末から送信される信号を受信することができ、この際、端末は干渉影響を減らすために、大規模受信アンテナの利得を考慮して自身の送信電力を非常に低く設定できるという長所がある。
【0090】
(アナログビームフォーミング及びデジタルビームフォーミング)
図3は、アナログビームフォーミング技法を例示する図である。アナログビームフォーミング技法は初期の多重アンテナ構造に適用されたビームフォーミング技法の代表である。デジタル信号処理が完了した後にアナログ信号を複数の経路に分岐し、分岐された各経路ごとに位相遷移(phase−shift;PS)と電力増幅(Power amplifier;PA)設定を用いてビームフォーミングを行う。
【0091】
図3を参照すると、単一デジタル信号から出力されたアナログ信号を、各アンテナに接続されている電力増幅器及び位相遷移器でプロセシングすることによってアナログビームフォーミングを行う。アナログ端において位相遷移器と電力増幅器は複素重み(complex weight)をアナログ信号に適用する。
図3でRF(Radio Frequency)チェーン(chain)は、単一のデジタル信号がアナログ信号に変換される処理ブロックを意味する。
【0092】
しかし、アナログビームフォーミング技法は、位相遷移器及び電力増幅器の素子の特性によってビームの正確度が決定されるが、位相遷移器及び電力増幅器素子を制御する側面では狭帯域伝送に適している。アナログビームフォーミング技法において多重ストリーム伝送を具現する場合にはハードウェア構造の複雑性が大幅に増加するため、多重化利得によって伝送率を向上させることが困難であり、直交リソース割り当てに基づいてユーザ別にビームフォーミングを行い難い。
【0093】
図4は、デジタルビームフォーミング技法を例示する図である。デジタルビームフォーミング技法ではベースバンド(Baseband)プロセスを用いてデジタル端でビームフォーミングを行う。したがって、アナログビームフォーミング技法と違い、デジタルビームフォーミング技法はMIMO環境でダイバーシチ及び多重化利得を最大化することに適している。
【0094】
図4を参照すると、重み行列(又はプリコーディング行列)の適用、例えば、プリコーディングがベースバンドプロセスで行われる。デジタルビームフォーミングの場合、
図3のアナログビームフォーミングと違い、RFチェーンが電力増幅器を含む。これは、ビームフォーミングのための複素重みが送信データに直接適用されるためである。
【0095】
また、デジタルビームフォーミング技法を用いる場合にはユーザ別に異なるビームが形成可能であるが、例えば、多重ユーザに対するビームを同時に形成することができる。直交リソースが割り当てられたユーザ別に独立したデジタルビームフォーミングが可能なため、スケジューリングが相対的に自由であり、システム目的に応じて容易に伝送端を運用することができる。また、広帯域伝送環境でMIMO−OFDM(Othogonal Frequency Division Multiplexing)技術が適用されると、副搬送波(subcarrier)別に独立したビームを形成することができる。このようにデジタルビームフォーミング技法ではシステム容量とビーム利得が向上するため、各ユーザに対する伝送率を極大化することができる。
【0096】
マッシブMIMO環境においてデジタルビームフォーミング技術を適用するためには、ベースバンドプロセッサが数百個のアンテナに対するプリコーディング処理を全て行わなければならず、デジタル信号処理複雑度が非常に大きくなる。また、アンテナ数だけのRFチェーンが必要なため、ハードウェア具現複雑度が非常に大きくなる。特に、FDD(Frequency Division Duplex)システムの場合、全アンテナに対する巨大なMIMOチャネルに関するフィードバック情報が必要なため、リファレンス信号(又はパイロット信号)の伝送及びそれに対するフィードバックオーバーヘッドが非常に増加するという短所ある。
【0097】
マッシブMIMO環境でアナログビームフォーミング技術を適用すると、送信端のハードウェア複雑度は相対的に低いが、複数アンテナを用いた性能増加の程度がわずかであり、リソース割り当ての柔軟性が低下する。特に、広帯域伝送時には周波数別にビームを制御することが非常に困難である。
【0098】
表1に、アナログビームフォーミング技法及びデジタルビームフォーミング技法の性能利得と複雑度の関係を示す。
【0100】
(ハイブリッドビームフォーミングのモデリング)
本発明の一実施例に係るマッシブMIMO環境では、アナログビームフォーミング又はデジタルビームフォーミング技法のいずれかを選択的に適用する代わりに、アナログビームフォーミング及びデジタルビームフォーミング構造を融合したハイブリッドビームフォーミングを適用することができる。送信端のハードウェア具現の複雑度を下げ、マッシブMIMOを用いたビームフォーミング利得が極力得られるハイブリッドタイプの送信端構造の設計が必要である。
【0101】
図5は、ハイブリッドビームフォーミングの概念を説明するための図である。ハイブリッドビームフォーミングによれば、1次的にデジタルビームフォーミング技法が適用された基底帯域のデジタル信号がRF帯域のアナログ信号に変換され、アナログ信号に2次的にアナログビームフォーミング技法が適用される。したがって、ハイブリッドビームフォーミング技法のためには、送信端がデジタルビームフォーミング技法もアナログ技法も支援できる必要がある。
【0102】
ハイブリッドビームフォーミングのために考慮すべき事項は次のとおりである。
【0103】
− アナログ及びデジタルビームフォーミングが同時に最適化することは困難である。基本的に、デジタルビームフォーミングは、同一の時間−周波数リソースでユーザ別独立したビームフォーミング技法を適用することができる。これに対し、アナログビームフォーミングは、同一の時間−周波数リソースでユーザ共通のビームフォーミング技法を適用しなければならないという制約がある。このようなアナログビームフォーミングの制約は、ハイブリッドビームフォーミングにおいて支援可能なランク数、ビーム制御の柔軟性、ビームフォーミング分解能を最適化する上で困難を招く。
【0104】
− 同一の時間−周波数リソースで特定方向にのみビームを形成するアナログビームフォーミング技法は、同時に全端末方向に複数のビームを形成し難い。したがって、セル内の全領域に分布し得る全端末に上り/下り制御チャネル、参照信号、同期信号などを同時に送信することができないという問題点がある。
【0105】
− アナログ/デジタルビームに対するチャネル推定を行う場合、デジタルビームフォーミング技法では既存の直交パイロット割り当て方式がそのまま用いられてもよい。しかし、アナログビームフォーミング技法ではビーム候補(candidate)数だけの所定の時間間隔(time−duration)が要求され、アナログビームのチャネル推定にかかる時間遅延が相対的に大きい。デジタルビーム及びアナログビームを同時に推定する場合、複雑度が大幅に増加する。
【0106】
− デジタルビームフォーミング技法では多重ユーザ/ストリームのためのビームフォーミングを自由に行えるが、アナログビームフォーミング技法では全伝送帯域に対して同一の重みベクトル/行列によるビームフォーミングが行われるため、ユーザ別又はストリーム別に独立したビームフォーミングを行い難い。特に、直交周波数リソース割り当てを用いてFDMA(例:OFDMA)を支援し難いため、周波数リソースの最適化が困難である。
【0107】
以下、以上の特性を考慮してハイブリッドビームフォーミングのためのフィードバック方法について説明する。アナログ又はデジタルビームフォーミング技法のいずれか一技法だけを用いている既存の移動通信システムでは閉ループベースのビームフォーミング(又はプリコーディング)を行うことが容易だった。例えば、端末は、基地局が送信する参照信号を受信して、PMI(precoding matrix index)、RI(Rank Indicator)、CQI(Channel Quality Indicator)を決定する。端末は、PMI、CQI及び/又はRIを含むCSI(Channel State Information)を基地局にフィードバックする。基地局は、端末の送信したPMIを用いてビームフォーミングを行ったり、又は、端末の送信したPMIにかかわらず、他のPMIを用いてビームフォーミングを行う。
【0108】
このような既存の方式をハイブリッドビームフォーミングにそのまま適用する場合、端末はアナログビームフォーミングのためのPMIとデジタルビームフォーミングのためのPMIをそれぞれ測定及び報告しなければならない。したがって、測定及び報告に対するオーバーヘッドが2倍に増加する。その上、アナログビームフォーミングのためのPMIとデジタルビームフォーミングのためのPMIとが異なる値を示し得るという問題もある。例えば、アナログビームフォーミングのための最適のPMIが0°方向を示し、デジタルビームフォーミングのための最適のPMIが30°方向を示すとすれば、アナログビームの方向とデジタルビームの方向とが異なるため、ハイブリッドビームフォーミングの利得が著しく低下しうる。
【0109】
本発明の一実施例によれば、アナログビームに対する測定に基づいてデジタルビームフォーミングのためのPMIを決定することができる。例えば、端末はアナログビームに対する測定結果だけを基地局にフィードバックし、デジタルビームフォーミングのためのPMIはフィードバックしなくてもよい。他の例示として、端末はアナログビームに対する測定結果を用いてデジタルビームフォーミングのためのPMIを決定してもよい。アナログビームの測定結果とデジタルビームフォーミングのためのPMIを基地局にフィードバックすることができる。
【0110】
図6には、本発明の一実施例によってハイブリッドビームフォーミングを行う送信端の構造を例示する。本実施例では、RFチェーン別に
【0112】
の独立したアンテナを具備することを仮定するが、これに限定されない。例えば、RFチェーンごとに具備されたアンテナの個数が異なってもよい。
【0113】
本実施例において、全アンテナ数(N
t)、RFチェーンの数(N
RF)及びRFチェーン別アンテナ数
【0115】
の関係を有する。各RFチェーン別に位相遷移器及び電力増幅器を通過した信号が独立して送信アンテナに送られるため、システムモデルを式8のように定義することができる。
【0118】
は、副搬送波インデックスである。副搬送波インデックス
【0124】
は、システムが支援する最大FFT(Fast Fourier Transform)サイズであり、全副搬送波の個数はFFTサイズ内に制限され得る。
【0140】
であるRFプリコーダ(アナログビームフォーミングのための重み行列)を意味し、RFプリコーダ(アナログビームフォーミング)は全副搬送波に対して同一に適用され得る。
【0146】
のベースバンドプリコーダ(デジタルビームフォーミングのための重み行列)を意味し、ベースバンドプリコーダ(デジタルビームフォーミング)は副搬送波別にそれぞれ設定され得る。
【0164】
は、RFチェーン別に具備された送信アンテナ数を表す。
【0169】
式8の各ターム(term)を詳細化すると、式9のとおりである。
【0171】
RFチェーンに続く位相遷移器と電力増幅器によって行われるアナログビームフォーミングの
【0179】
においてRFチェーンiに属するt個のアンテナのそれぞれに対する重みを表すベクトルは式11のように定義される。
【0181】
(ハイブリッドビームフォーミングのビーム放射パターン)
本発明のハイブリッドビームフォーミング技法は、例えば、1次元アレイ、2次元アレイ、環形アレイなどの様々な形態のアンテナに基づいて行うことができる。以下、説明の便宜のためにULA(Uniform linear array)アンテナに基づいてハイブリッドビームフォーミングのビーム放射パターンについて説明する。ULAアンテナが例示されるが、本発明の権利範囲はULAアンテナに限定されない。ULAアンテナには複数のアンテナ素子が等間隔dの距離で線形に配置されている。
【0182】
ULAアンテナのアレイ応答ベクトル(array response vector)は、下記の式12のとおりである。
【0186】
は波長(wave−length)を、
【0188】
はアンテナ間距離を表す。ハイブリッドビームフォーマのアンテナ放射パターンを表すために、便宜上、RFチェーンの数N
RFは4であり、各RFチェーン別アナログアンテナ数
【0191】
図7には、4個のRFチェーンで構成された16ULAアンテナ構造を示す。特に、
図7で、全送信アンテナ数N
tは16であり、
【0193】
である。
図7の実施例でアナログビームフォーミングのためのプリコーディング行列は式13のように定義される。
【0195】
ボアサイト(Boresight)、すなわち、アンテナから放射される電波のメインローブ(lobe)中心方向にビームを形成するために、ビームのステアリング角度は0°に設定する。このため、アナログプリコーディング行列の重みベクトルのエレメントの値はいずれも1になる。この時にデジタルビームフォーミング端で適用する、任意のランク1である重みベクトルを、下記の式14のように定義する。説明の便宜のためにランク1を仮定するが、本発明はこれに限定されない。
【0199】
で式14のデジタルビームフォーミングが適用された全アンテナアレイ応答ベクトル(antenna array response vector)を式15のように表現することができる。このとき、アンテナ間距離
【0203】
式15は式16のようにまとめられる。
【0207】
は、式17のように表現され、ビームバウンドベクトル(Beam bound vector)と呼ぶものとする。また、式16で、tは、式18のように表現され、ビーム利得及びステアリングベクトル(Beam gain and steering vector)、又はビームステアリングベクトル(Beam gain and steering vector)と呼ぶものとする。
【0210】
ビームバウンドベクトルsは、ハイブリッドビームフォーミングにおいてアナログビームのパターンを表す。ビームステアリングベクトルtは、ハイブリッドビームフォーミングにおいてハイブリッドビームの利得値とデジタルビームのパターンを表す。
【0211】
ビームバウンドベクトルsは、ハイブリッドビームフォーミング技法によってハイブリッドビームが有効に形成され得る範囲及び境界を決定する。このため、アナログビームフォーミングの範囲の他、デジタルビームフォーミングの範囲もビームバウンドベクトル内に制限される。例えば、ビームバウンドベクトルの範囲を外れるアナログビームが有効に形成されず、ビームバウンドベクトルの範囲を外れるハイブリッドビームフォーミングを行うことができない。結果として、デジタルビームフォーミングもビームバウンドベクトルの範囲内で行われる場合にのみ、ハイブリッドビームフォーミングを行うことができる。
【0212】
図8には、所定の平面においてビームバウンドベクトル及びビームステアリングベクトルによるアナログビームとデジタルビームのパターンを2次元で示す。アナログビームとデジタルビームは3次元パターンで表されるが、説明の便宜のために水平方向断面で示していることが当業者にとっては理解できる。
図8で、
【0214】
と仮定し、ビームバウンドベクトルのビームパターンは太い実線で表し、ビームステアリングベクトルのビームパターンは細い実線で表している。ビームバウンドベクトルのメインローブのボアサイトは0°(又は180°)である。
【0215】
各ビームのパターンは、ビームステアリング角(メインローブのボアサイト)で最大利得を示し、ビームステアリング角を離脱するにつれてビーム利得が減少する。ビーム利得は、
図8の円の中心からの距離で表現される。ビームのステアリング角は0°を基準に反時計回り方向に増加するとしている。
【0216】
ビームステアリングベクトルは、0°、30°、90°、150°、180°、210°、270°又は330°でビームを形成することができる。ビームバウンドベクトル及びビームステアリングベクトルのビームパターンが交差する領域でハイブリッドビームフォーミングを行うことができる。例えば、ステアリング角が0°(又は180°)のとき、ビームバウンドベクトルによる利得とビームステアリングベクトルによる利得がいずれも最大となるため、ステアリング角が0°(又は180°)である地点でハイブリッドビームフォーミングを行うことが適切である。一方、ステアリング角が30°のとき、ビームバウンドベクトルの利得が0であるため、ステアリング角30°に対してはハイブリッドビームフォーミングを行うことができない。
【0217】
図9には、アナログビームのステアリング角が0°、30°、60°にシフトするときにアンテナアレイ応答を示す。
図8でも
【0221】
を適用した結果を示している。
図8及び
図9で説明したとおり、有効ビームの範囲がビームバウンドベクトルsに制約される。
【0222】
(リファレンスビーム(reference beam)の形成)
本発明の一実施例によってリファレンスビーム(reference beam)が提案される。
図10に示すように、全方向に対して同じビーム利得を有するようにリファレンスビームを設計することができる。例えば、基地局は無指向性(Omni)アンテナを用いてリファレンスビームを形成することができる。他の実施例において基地局は単一アンテナを用いてビーム利得が0dBである全方向ビームを形成してもよい。更に他の実施例で基地局は複数のアンテナを用いて指向性ビームを生成するが、所定の領域に対しては近似的に全方向のビームを形成してもよい。
【0223】
基地局はリファレンスビームを周期的に送信することができ、リファレンスビームの伝送周期はRRCシグナリングによって端末に設定されてもよく、又はシステム情報の一部としてブロードキャストされてもよい。リファレンスビームを参照信号に基づいて生成することができるが、これに限定されるわけではない。
【0224】
隣接セル又は他の端末からの干渉、ノイズ、伝搬障害を招く環境を無視する場合、リファレンスビームの利得は全ステアリング角に対して同一である。基地局と端末との間の直線距離が同一である全ての方向に対して、リファレンスビームの利得値は同一である。リファレンスビームを形成するための基地局の伝送電力は一定に固定されてもよく、又はセル特定値に固定されてもよい。リファレンスビームの利得は基地局からの距離によって変化し得るが、基地局からの距離が遠いほどリファレンスビームの利得は減少する。したがって、リファレンスビームの利得を基地局と端末との直線距離に対する指標として用いることもできる。
【0225】
(リファレンスビームとバウンデッドビームとの利得差)
上述したように、アナログビームフォーミング方向を固定し(例えば、
【0227】
固定)、全方向に対してデジタルビームフォーミングを行っても、結局、形成可能なハイブリッドビームの範囲はビームバウンドベクトルの範囲内に制約される。以下、ビームバウンドベクトルのビームをバウンデッドビーム(bounded beam)と称する。バウンデッドビームは、デジタルビームフォーミング成分が除かれているため、ハイブリッドビームフォーミングにおけるバウンデッドビームは等価的なアナログビームフォーミングによって形成することができる。
【0228】
本発明の一実施例によれば、端末によって測定されたリファレンスビームの利得と端末によって測定されたバウンデッドビームの利得との差から、基地局から端末が位置している方向を推定することができる。例えば、基地局は、アナログビームフォーミングによってバウンデッドビーム
【0230】
を形成する。ここで、バウンデッドビームのステアリング角は様々に変更されてもよい。解像度を増加させる場合、30°より小さい単位でビームフォーミングが行われてもよい。
【0231】
基地局は、各ステアリング角に対して順次にバウンデッドビームを形成したり、又は個別のアナログ素子を用いて同時に複数の方向にバウンデッドビームを形成することができる。例えば、基地局がどの時点にどの角でバウンデッドビームを形成するかを事前に定義してもよく、システム情報でブロードキャストしてもよく、RRCシグナリングで端末に設定してもよい。
【0232】
図10には、リファレンスビームとバウンデッドビーム間の利得差を算出する方法を例示する。UEは、推定されるUE方向(estimated UE direction)の直線上に位置する。端末の位置する方向を表す直線、リファレンスビームを表す円が交差する地点でリファレンスビームの利得(G
ref)が現れる。これと類似に、UEの位置する方向を表す直線とバウンデッドビーム(0°)とが交差する地点上で、バウンデッドビームの利得(G
mea)が現れる。一方、他のステアリング角度、例えば、30°、60°などで形成されるバウンデッドビームは端末にとって測定できないため、ビームの利得が現れない。
【0233】
リファレンスビームの利得(G
ref)とバウンデッドビームの利得(G
mea)との差は、式19のように定義される。
【0235】
本発明の一実施例によれば、端末は、リファレンスビームの利得(G
ref)とバウンデッドビームの利得(G
mea)との差(G
diff)に基づいて基地局にフィードバック情報を送信する。例えば、端末は差(G
diff)を基地局に送信することができる。本発明の他の実施例によれば、端末はリファレンスビームの利得(G
ref)とバウンデッドビームの利得(G
mea)をそれぞれ測定し、同時に又は個別にフィードバックすることもできる。
【0236】
(高速アナログビームスキャニング(Fast analog beam scanning))
送信端と受信端の位置及び無線チャネル環境に最適化されたアナログビームフォーミングの重みを取得するためには、送信端と受信端との間では複数の候補アナログビームを試験的に送信し測定(又は推定)する過程が必要である。このような過程をアナログビームスキャニング又はアナログビーム調律(training)という。
【0237】
本発明の一実施例によってアナログビームフォーミングのためのビームスキャニング複雑度及び検索時間を減らし得る高速アナログビームスキャニング(Fast analog beam scanning)方案を提案する。アナログビームフォーミングは、純粋なアナログビームフォーミング送受信端又はハイブリッドビームフォーミング送受信端で行うことができる。一般に、1回のアナログビームフォーミングごとに1つのアナログビームをスキャンすることができる。したがって、全アナログビームスキャニングに必要な調律(training)時間は全候補アナログビーム数に比例する。
【0238】
上述したように、純粋アナログビームフォーミングは、送受信端におけるビーム推定のためにも時間領域でビームスキャニング過程が必須である。すなわち、アナログビーム推定のためには送信ビーム及び受信ビームのそれぞれの個数の積である
【0240】
の時間が必要である。端末は、アナログビーム推定プロセスが終了すると、最高の信号強度を有するビーム識別子(ID)を基地局にフィードバックすることができる。
【0241】
1つのアナログビームをスキャンするためにかかる時間を
【0243】
とすれば、全送受信アナログビームをスキャンするためにかかる時間
【0245】
は、下記の式20のように表すことができる。
【0251】
と仮定すれば、全候補アナログビームの個数は、合計
【0253】
となる。したがって、全体ビームスキャニングのために時間領域で
【0256】
図11は、アナログビームトラッキング(tracking)のために要求される時間領域におけるビーム推定区間を例示する図である。
【0257】
図11を参照すると、アナログビーム推定のためには単一の時間区間で1個のビーム推定だけが可能であり、全
【0261】
の時間区間が必要であることが分かる。言い換えると、送受信アンテナ数の増加による個別ビーム数が増加するほどより長い調律時間が必要であることが分かる。
【0262】
アナログビームフォーミングは、デジタル−アナログコンバート(DAC)されたアナログ連続波形(Continuous waveform)の大きさ及び位相角を時間領域で変化させることであるから、デジタルビームフォーミングと違い、個別ビームに対する調律区間が保障される必要がある。この調律区間が長くなるほどシステムのスループット損失が増加し、端末の移動及びチャネル変化を追加ビームスキャニングする時、システムのスループット損失はより一層増加しうる。
【0263】
ハイブリッドビームフォーマのうち、ビーム調律区間が必須であるアナログビームフォーミング端は、ビームの検索空間(Search space)の数に比例して調律時間が増加する。将来、送受信端の物理アンテナの増加によってよりシャープ(Sharp)なビームの生成が予想されるため、送受信ビーム幅(beam width)及び既存の2Dチャネルから3Dチャネルへのアンテナ構造を考慮すれば、次表2のように、ビーム検索空間がより一層増加することになる。
【0265】
また、検索空間の増加による概略的なビーム調律時間、すなわち、検索時間を推定すれば、下記のとおりである。ただし、次表3は説明の便宜のために2Dチャネルに限定したものである。次表3を参照して、ビームの幅が10゜である場合と1゜である場合とを比較すれば、検索空間の個数が10倍増加すると検索時間は100倍増加することが分かる。
【0267】
上述したように、アナログビームスキャニングは、与えられた時間領域の調律区間が必須であり、ビーム調律区間ではデータ伝送が不可能なため、システム伝送率上の損失が発生する。また、送信端ベースのビームスキャニングは、受信端が最適ビーム選択に関する情報を送信端にフィードバックしなければならず、フィードバック手順にかかる時間だけのデータ伝送遅延が発生する。
【0268】
基本的に、物理アンテナ数Mが増加すると、Mに比例して
【0270】
倍のビーム利得があるが、ビームの解像度(resolution)も共に増加することになる。言い換えると、ビームの解像度増加によってビーム幅が狭くなると、送受信両端のビームフォーマではアナログビーム調律に長い時間がかかる。このように、デジタル端のプロセシングに先立ってアナログビーム調律によってオーバーヘッドが多く発生し、推定されたビーム情報のフィードバックによってデータ伝送の遅延が発生すると、ハイブリッドビームフォーミングの最終利得が急に減少する。
【0271】
以下の実施例では、ビームスキャニング情報のフィードバックを省略し、ビームスキャニング遅延を減少できるアナログ受信ビームスキャニング方法を提案する。本発明の一実施例によれば、送信端はチャネルの相互性(reciprocity)に基づく受信ビームスキャニングを用いてアナログビームとデジタルビームの重み(又は係数)を取得し、これを用いてアナログビームフォーミング又はデジタルビームフォーミングを行う。提案する方法では、ビーム検索空間の個数を減少させることによってビーム調律時間を減少させる。また、推定されたビーム情報に対するフィードバックは省略する。
【0272】
図12には、本発明の一実施例に係るリファレンスビーム測定方法を示す。
図12で、受信端は基地局であり、送信端は端末であると仮定するか、これに限定されない。
【0273】
端末は、送信ビームフォーミングを用いて最初の1回だけ又は相対的に長い周期で全方向無指向性ビーム又は擬似−無指向性(Quasi−omni)ビームを送信する。端末の送信した全方向無指向性ビーム又は擬似−無指向性ビームはリファレンスビーム(リファレンス信号)に対応する。
【0274】
基地局は、受信ビームフォーミングを用いて全方向無指向性ビーム又は擬似−無指向性(Quasi−omni)ビームを形成して、端末から受信したリファレンスビームの信号強度を測定する。
【0275】
一般的なアナログビームスキャニング方法と違い、擬似−無指向性パターンを放射することによって、基地局はリファレンスビームの信号強度(Gref)を取得する。擬似−無指向性パターンの放射はビームスキャニング過程において最初の1回だけ行えばよい。また、擬似−無指向性パターンは、端末のRSRP(reference signal received power)やSINR値が基準値以上に変化する場合に送信されたり又は相対的に長い周期で間欠的に送信される。
【0276】
図13には、本発明の一実施例に係るセクタービームのスキャニング方法を示す。
図13で、受信端は基地局であり、送信端は端末であるとしたが、これに限定されない。
図13のセクタービームは、
図10に示す目標ビーム(target beam)に対応する。セクタービームは目標ビーム、コースビーム(coarse beam)、又は指向性ビームと呼ぶことができる。
【0277】
端末は擬似−無指向性ビームを基地局に送信する。この時、基地局は受信ビームフォーミングを用いてセクタービームを形成する。限られた個数のセクタービームによって全方向をカバーすることができる。基地局は、各セクタービームのうち、受信ビームフォーミングの利得が最大であるセクターを検出する。基地局は受信ビームフォーミングの利得が最大であるセクタービームを用いて、受信された信号強度(G
mea)と
図12で取得されたリファレンスビームの信号強度(G
ref)との差(Gdiff)を計算する。これによって、別のフィードバック無しでビームスキャニングが終了する。基地局は利得差に基づいてビームフォーミングの係数を取得し、それを次のビームフォーミングに適用する。
【0278】
図14は、本発明の実施例に係るアナログビーム係数を取得する方法を説明する図である。アナログビーム制御のためのPS(phase shifter)とPA(power amp)値のようなアナログ係数を計算された利得差に基づいて取得することができる。得られたアナログビーム係数はPS及びPAに直接適用される。
【0279】
アナログビーム係数を等価のプリコーディング重みと表現することができ、これは下記の式21のとおりである。
【0283】
は、アナログプリコーディング重みを示すPMIである。受信ビームフォーミングの利得が最大となるセクターID及びビーム利得差
【0285】
を用いて最終アナログプリコーディング重みを導出する。
【0288】
に対応するPMI又はアナログビームフォーミングベクトルを選択する。また、基地局は利得差に基づいて選択されたアナログビーム内の端末の正確な位置を推定することができる。したがって、基地局は、ハイブリッドビームフォーミングによる最終的なビームの方向が推定した端末の位置と一致するようにアナログビームフォーミング係数を選択する。表4には、利得差
【0290】
によってアナログビームフォーミングのPMIを取得するためのコードブックを例示する。
【0292】
図15には、本発明の実施例によって、ビーム利得差に基づいて導出されたアナログビームのPMIを例示する。上述した過程は、セクタービームによって取得された利得差に基づいて最終的なアナログビームのPMIを選択したことを意味する。したがって、基地局はアナログビームフォーミングのためのPMIを用いてPS及びPAの値を設定する。
【0293】
一方、利得差(G
diff)だけでは正確なPMI判断が難しい場合(例えば、NLOS環境、高いドップラ(High Doppler)環境、低いリファレンスビーム密度など)には、利得差(G
diff)を複数のPMIにマップした表5のようなコードブックを用いることができる。
【0295】
以上の内容を要約すると、端末は送信ビームフォーミングを用いて端末の擬似−無指向性ビームを反復的に形成し、基地局は受信ビームフォーミングを用いて基地局の擬似−無指向性ビームを形成した後(すなわち、リファレンスビーム測定)、それぞれのセクタービームを順次に形成する(すなわち、セクタービーム測定)。基地局はセクタービームのそれぞれに対してのみビームスキャニングを行い、シャープな最終ビームの係数は前述した差に基づいて推定することができる。これは、シャープな最終ビームに対するアナログビームスキャニングのためには多すぎるシンボルが要求されるためである。
【0296】
本発明の一実施例によれば、上りリンクのチャネル状態測定や周波数選択的スケジューリングに用いられているSRSを、受信ビームフォーミングにおけるアナログビームの信号強度又はRSRP(Received signal received power)を測定するために用いることができる。例えば、端末はN+1個のSRS(sounding reference signal)シンボルを用いてN+1個の擬似−無指向性ビームを送信することができる。Nはセクタービームの個数を意味する。
【0297】
チャネル状態測定や周波数選択的スケジューリングに用いられているSRSは周波数ホップによって全帯域にわたって送信されるが、これは擬似−無指向性ビーム伝送時には無線リソース管理効率性の側面で好適でないため、SRSが必ずしも全帯域にわたって送信されない。
【0298】
図16には本発明の一実施例に係る基地局と端末のビームスキャニングを示す。
【0299】
端末は、周期的に配置されている‘N+1’個のシンボルでSRSを送信する。
図16でSRS伝送周期は2サブフレームである。例えば、サブフレーム#0,#2,#4,#6,#8...サブフレームの最後のOFDMAシンボルでSRSを送信する。
【0300】
基地局はN個のセクタービームに対して受信ビームフォーミングを行う。基地局はサブフレーム#0で送信される最初のSRSシンボルに対してはビームフォーミングを行わないか、擬似−無指向性受信ビームフォーミングを行う。その後、残りN個のSRSシンボルに対してはアナログビームフォーミングを用いてあらかじめ定義された方向にセクタービームを形成することによってビームスキャニングを行う。
図16で基地局は4個のサブフレーム#2、#4、#6、#8のそれぞれのSRSシンボルでセクタービームを形成して、ビームをスキャンする。
【0301】
基地局は上位層シグナリングを用いて、アナログビームスキャニング用途のSRSを端末に設定することができる。表6に、SRS設定に含まれるパラメータを例示する。
【0303】
一方、PMIの取得にLTE/LTE−AシステムのMCSテーブルを用いることができる。例えば、基地局はMCSテーブルから無指向性ビームの信号強度に対応するMCS値
【0305】
を取得する。また、基地局はMCSテーブルから各アナログセクタービームの信号強度に対応するMCS値
【0307】
を取得する。基地局は表7のようなコードブックを用いて、
【0311】
ハイブリッドビームフォーミングにおいてアナログビームとデジタルビームとの様々な組み合わせの構成が可能なため、アナログビーム調律時間とデジタルビーム候補数は高い複雑度を誘発する。本発明では基地局が受信ビームフォーミングを行い、アナログビームフォーミングのフィードバックが省略され、また、デジタルビームフォーミングのためのPMIが暗黙的に推定されてもよい。端末のフィードバックが省略されるため、送受信端の運用手順が単純化し、ビーム制御の複雑度が低くなる。
【0312】
図17は、本発明の一実施例に係るアナログビームスキャニング方法の流れを示す図である。上述の内容と重複する説明は省略される。
【0313】
まず、基地局は、全方向に均等に形成される第1無指向性ビーム(omni−directional beam)の反復伝送のための設定を端末にシグナルする(S1705)。第1無指向性ビームはSRS(sounding reference signal)で送信される擬似(Quasi)−無指向性ビームに対応し得る。例えば、第1無指向性ビームは上述のリファレンスビームの役割を担うことができる。
【0314】
第1無指向性ビームの反復伝送のための設定は、第1無指向性ビームの反復伝送の回数、第1無指向性ビームの伝送周期、第1無指向性ビームの伝送のための周波数帯域の大きさに関する情報のうち少なくとも一つを含むことができる。第1無指向性ビームの反復伝送回数は、基地局が形成する複数の指向性ビームによる検索空間の個数又は上記複数の指向性ビームのビーム幅に基づいて決定することができる。本実施例で、第1無指向性ビームの反復伝送回数は総N+1であり、複数の指向性ビームによる検索空間個数はNであるとする。
【0315】
端末は、第1無指向性ビームの設定に従ってN+1回反復して第1無指向性ビームを送信する(S1710、S1715、S1720)。
【0316】
基地局は第2無指向性ビームを形成し、第2無指向性ビームを用いて、端末の最初送信した第1無指向性ビームを受信及び測定する(S1711)。
【0317】
基地局は、受信ビームフォーミングを用いてN個の指向性ビームを形成することによって、最初伝送に続いてN回送信される第1無指向性ビームを受信及び測定する(S1716、S1721)。N個の指向性ビームは、個別の方向に形成されたセクタービーム(目標ビーム又はコースビーム)であってもよい。本実施例では、説明の便宜上、複数の指向性ビームのうち第1指向性ビームを用いて受信した第1無指向性ビームの受信利得が最大であると仮定する。
【0318】
基地局は、第2無指向性ビームを用いて受信した上記第1無指向性ビームと上記複数の指向性ビームのうち第1指向性ビームを用いて受信した上記第1無指向性ビームとの利得差に基づいて、ハイブリッドビームフォーミングのための重みを決定する(S1725)。例えば、基地局は、コードブックから第1指向性ビームのインデックス及び利得差の組み合わせに対応するPMIを選択することができる。基地局は、選択されたPMIに基づいて、ハイブリッドビームフォーミングに含まれたアナログビームフォーミングのための位相遷移器(PS)の係数及びパワー増幅器(PA)の係数を取得することができる。
【0319】
基地局は、上記決定された重みを用いてアナログビームフォーミング及びデジタルビームフォーミングが階層的に結合された(coupled)上記ハイブリッドビームフォーミングを行って端末に下りリンクデータを送信する(S1730)。
【0320】
一方、以上の実施例の適用範囲は必ずしもハイブリッドビームフォーミングに限定されない。例えば、アナログビームフォーミング端がデジタルビームフォーミング端に代替される形態においても本実施例を適用することができる。アンテナサブグルーピング(sub−grouping)を用いて各アンテナサブグループ別にデジタルビームフォーミングを順次的、直列的に行うこともできる。このように階層的(hierarchical)構造を有するデジタルビームフォーミング技法においても本実施例を適用することができる。
【0321】
以上では説明の便宜のために下りリンクを基準に記述したが、これに限定されない。本実施例は様々な形態の送信機及び受信機の組み合わせに適用可能である。例えば、端末が基地局に送信する上りリンク伝送シナリオ、端末間信号伝送(D2D、V2Vなど)シナリオ、或いは基地局間信号伝送(リレー、無線バックホールなど)シナリオに適用されてもよい。
【0322】
図18は、本発明の一実施例に係る端末及び基地局の構造を示す図である。
図18の基地局10及び端末20は前述の方法を実行することができ、重複する内容は説明を省略する。
【0323】
基地局10は、受信器11、送信器12、プロセッサ13、メモリ14及び複数個のアンテナ15を含むことができる。複数個のアンテナ15はMIMO送受信を支援する基地局を意味する。受信器11は、端末からの上りリンク上の各種信号、データ及び情報を受信することができる。送信器12は、端末への下りリンク上の各種信号、データ及び情報を送信することができる。プロセッサ13は基地局10の動作全般を制御することができる。
【0324】
基地局10のプロセッサ13は、その他にも、基地局10の受信した情報、外部に送信する情報などを演算処理する機能を果たし、メモリ14は、演算処理された情報などを所定時間記憶することができ、バッファ(図示せず)などの構成要素に代替されてもよい。
【0325】
一実施例に係る基地局の送信器は、全方向に均等に形成される第1無指向性ビーム(omni−directional beam)の反復伝送のための設定を端末にシグナルする。受信器は、第2無指向性ビームを形成することによって端末から第1無指向性ビームを受信する。また、受信器は複数の方向に対応する複数の指向性ビーム(directional beams)を順次に形成することによって端末から第1無指向性ビームを反復受信する。プロセッサは、第2無指向性ビームを用いて受信した第1無指向性ビームと複数の指向性ビームのうち第1指向性ビームを用いて受信した第1無指向性ビームとの利得差に基づいて、ハイブリッドビームフォーミングのための重みを決定する。
【0326】
端末20は、受信器21、送信器22、プロセッサ23、メモリ24及び複数個のアンテナ25を含むことができる。複数個のアンテナ25はMIMO送受信を支援する端末を意味する。受信器21は、基地局からの下りリンク上の各種信号、データ及び情報を受信することができる。送信器22は、基地局への上りリンク上の各種信号、データ及び情報を送信することができる。プロセッサ23は端末20の動作全般を制御することができる。
【0327】
端末20のプロセッサ23は、その他にも、端末20の受信した情報、外部に送信する情報などを演算処理する機能を果たし、メモリ24は、演算処理された情報などを所定時間記憶することができ、バッファ(図示せず)などの構成要素に代替されてもよい。
【0328】
一実施例に係る端末の受信器は、基地局から全方向に均等に形成される第1無指向性ビーム(omni−directional beam)の反復伝送のための設定を受信する。送信器は、受信した設定にしたがって第1無指向性ビームを複数回反復送信する。複数回反復送信された上記第1無指向性ビームの最初伝送は、上記基地局の形成した第2無指向性ビームによって測定される。最初伝送以降の第1無指向性ビームの伝送は、基地局の形成した複数の指向性ビーム(directional beams)によって測定される。
【0329】
本発明の実施例は、多様な手段、例えば、ハードウェア、ファームウェア(firmware)、ソフトウェア又はそれらの組合せなどによって具現することができる。
【0330】
ハードウェアによる具現の場合、本発明の一実施例は、一つ又はそれ以上のASICs(application specific integrated circuits)、DSPs(digital signal processors)、DSPDs(digital signal processing devices)、PLDs(programmable logic devices)、FPGAs(field programmable gate arrays)、プロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、マイクロプロセッサなどによって具現することができる。
【0331】
ファームウェアやソフトウェアによる具現の場合、本発明の一実施例は、以上で説明した機能又は動作を行うモジュール、手続、関数などの形態に具現することができる。ソフトウェアコードは、メモリユニットに格納してプロセッサによって駆動することができる。前記メモリユニットは、前記プロセッサの内部又は外部に位置し、既に公知の多様な手段によって前記プロセッサとデータをやり取りすることができる。
【0332】
上述したように、開示された本発明の好ましい実施例に関する詳細な説明は、当業者が本発明を具現し実施できるように提供された。上記では本発明の好ましい実施例を参照して説明したが、当該技術の分野における熟練した当業者にとっては、本発明の領域から逸脱しない範囲内で本発明を多様に修正及び変更させることができるということが理解できる。例えば、当業者は上述の実施例に記載された各構成を互いに組み合わせる方式で用いることができる。したがって、本発明は、ここに開示した実施の形態に制限しようとするものではなく、ここに開示した原理及び新規な特徴と一致する最も広い範囲を与えようとするものである。
【0333】
本発明の精神及び必須特徴から逸脱しない範囲で本発明を他の特定の形態として具体化してもよい。したがって、上記の詳細な説明はいずれの面においても制限的に解釈されてはならず、例示的なものとして考慮されるべきである。本発明の範囲は、添付の請求項の合理的解釈によって決定しなければならず、本発明の同等な範囲内における変更はいずれも本発明の範囲に含まれる。また、特許請求の範囲において明示的な引用関係を有しない請求項を結合して実施例を構成してもよく、出願後の補正によって新しい請求項として含めてもよい。