(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記コンプレッサ行き弁は、前記弁体が前記コンプレッサ行き流路の入口に近づくことで閉弁し、前記弁体が前記コンプレッサ行き流路の入口から遠ざかることで開弁するように構成されている、請求項1記載の統合弁装置。
前記弁本体の外周には、前記挿入端部側から前記挿入端部とは反対側の露出端部に向けて、前記貯液器内側との気密性を確保するためのシール部材(706,707,708,709,710)が複数配置されており、
複数の前記シール部材は、少なくとも、前記第1流路の流入口(71)及び流出口(76)を挟んで一対、前記第2流路の流入口(75)及び流出口(72)を挟んで一対、それぞれ設けられている、請求項1記載の統合弁装置。
前記弁本体の外周には、前記挿入端部から前記露出端部に向けて互いに段差のある段差面(7a,7b,7c,7d,7e)が複数設けられており、複数の前記シール部材は互いに異なる前記段差面に配置されている、請求項10記載の統合弁装置。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の符号を付して、重複する説明は省略する。
【0012】
図1に示されるように、本発明の実施形態に係る統合弁装置6は、車両に搭載され車室内の空調を行う車両用空調装置2に用いられる。車両用空調装置2は、冷凍サイクル装置3と、水サイクル装置4と、空調ユニット5と、を備えている。空調ユニット5は、車室内に温風を吹き出したり、冷風を吹き出したりするためのユニットである。冷凍サイクル装置3及び水サイクル装置4は、空調ユニット5から吹き出される空気の温度を調整するためのヒートポンプユニットとして構成されている。
【0013】
最初に、冷凍サイクル装置3及び統合弁装置6について説明する。冷凍サイクル装置3は、冷媒流路30と、コンプレッサ31と、コンデンサ32と、第1熱交換器34と、第2熱交換器35と、貯液器36と、膨張弁37と、エバポレータ38と、統合弁装置6と、を備えている。統合弁装置6は、固定絞り61と、第1弁62と、第2弁64と、第3弁63と、を備えている。水サイクル装置4は、水流路40と、ウォータポンプ41と、水側熱交換器42と、ヒータコア43と、を備えている。空調ユニット5は、ケーシング51と、エアミックスドア52と、送風ファン53と、内外気切替ドア54と、を備えている。
【0014】
冷媒流路30は、コンプレッサ31と、コンデンサ32と、第1熱交換器34と、第2熱交換器35と、貯液器36と、膨張弁37と、エバポレータ38と、を繋ぎ、内部に冷媒を通す流路である。冷媒としては、例えばHFC系冷媒やHFO系冷媒を用いることができる。冷媒には、コンプレッサ31を潤滑するためのオイルが混入されている。
【0015】
コンプレッサ31は、電動式圧縮機であって、吸入口311と吐出口312とを有する。コンプレッサ31は、吸入口311から冷媒を吸入して圧縮する。コンプレッサ31は、圧縮されることにより過熱状態となった冷媒を吐出口312から吐出する。吐出口312から吐出された冷媒は、コンデンサ32に流れる。
【0016】
コンデンサ32は、周知の熱交換器であって、流入口321と流出口322とを有する。コンデンサ32は、水側熱交換器42と熱交換するように構成されている。コンデンサ32と水側熱交換器42とは、互いに熱交換可能なように構成されているので、水−冷媒熱交換器を構成している。コンプレッサ31から吐出された高温高圧の冷媒は、流入口321からコンデンサ32内に流入する。流入した冷媒は、水側熱交換器42を流れる水との間で熱交換し、温度が下がった状態で流出口322から流出する。流出口322から流出した冷媒は、統合弁装置6を構成する固定絞り61及び第1弁62に流れ込む。
【0017】
第1弁62が閉じられていると、冷媒は固定絞り61を通って減圧され、低圧の冷媒となって第1熱交換器34に流れ込む。一方、第1弁62が開かれていると、冷媒は減圧されずに高圧の冷媒として第1熱交換器34に流れ込む。
【0018】
第1熱交換器34は、車室外に配置される室外熱交換器であって、外気との間で熱交換するように構成されている。第1熱交換器34に流れ込んだ冷媒は、外気との間で熱交換して貯液器36に流れ込む。
【0019】
貯液器36は、気相冷媒と液相冷媒とを分離し、液相冷媒を貯めるものである。分離された気相冷媒は、第3弁63に流れ込む。第3弁63に流れ込んだ気相冷媒は、第3弁63が開かれているとコンプレッサ31に向かって流れる。一方、分離された液相冷媒は、貯液器36内に溜められると共に、第2熱交換器35に流出する。
【0020】
第2熱交換器35は、車室外に配置される室外熱交換器であって、外気との間で熱交換するように構成されている。第2熱交換器35は、流入する液相冷媒と外気との間で熱交換することにより、第1熱交換器34との協働によって冷媒の熱交換効率を更に高めるものである。第2熱交換器35から流出した冷媒は、第2弁64に流れ込む。
【0021】
第2弁64は、流入した冷媒をコンプレッサ31側か膨張弁37側かに向けて選択的に流す三方弁として構成されている。膨張弁37は、流入した冷媒を減圧して吐出する。膨張弁37から吐出された冷媒は、エバポレータ38に向かって流れる。膨張弁37は、エバポレータ38から吐出される冷媒の過熱度が所定範囲内となるように、エバポレータ38に流入する冷媒を減圧膨張させる温度感応型の機械式膨張弁である。
【0022】
エバポレータ38は、流入口381と流出口382とを有する。エバポレータ38に向かって流れる冷媒は、流入口381からエバポレータ38内に流入する。エバポレータ38は、ケーシング51内に配置されているので、ケーシング51内を流れる空気と熱交換する。エバポレータ38内を流れる冷媒は、ケーシング51内を流れる空気と熱交換して流出口382からコンプレッサ31に向けて流出する。
【0023】
続いて、水サイクル装置4について説明する。水流路40は、ウォータポンプ41と、水側熱交換器42と、ヒータコア43と、を繋ぎ、内部に水を通す流路である。ウォータポンプ41は、吸入口411と吐出口412とを有する。ウォータポンプ41は、吸入口411から水を吸入し、吐出口412から吐出する。ウォータポンプ41を駆動することで、水流路40に水の流れを形成することができる。
【0024】
ウォータポンプ41の駆動により吐出口412から吐出された水は、水側熱交換器42に向かって流れる。水側熱交換器42は、上記したようにコンデンサ32ととともに水−冷媒熱交換器を構成している。水側熱交換器42は、流入口421と流出口422とを有している。流入口421から水側熱交換器42の内部に流れこんだ水は、コンデンサ32を流れる冷媒と熱交換し、流出口422から流出する。コンデンサ32を流れる冷媒は、高温高圧の冷媒なので、水側熱交換器42を流れる水は加温されてヒータコア43に向かって流れる。
【0025】
ヒータコア43は、空調ユニット5のケーシング51内に配置されている。ヒータコア43は、ケーシング51内を流れる空気と熱交換するためのものである。ヒータコア43は、流入口431と流出口432とを有している。流入口431には、水側熱交換器42を通って加温された水が流入する。ヒータコア43に流入した水は、ケーシング51内を流れる空気と熱交換する。ヒータコア43内を流れた水は、温度が降下して流出口432からウォータポンプ41に向かって流れ出る。
【0026】
続いて、空調ユニット5について説明する。ケーシング51は、車室内に流れる空調風を流す流路を形成し、その内部に上流側から、内外気切替ドア54と、送風ファン53と、エバポレータ38と、エアミックスドア52と、ヒータコア43と、が配置されている。
【0027】
内外気切替ドア54は、ケーシング51内を流れる空気を車室外から取り入れるか、車室内を循環させるかを切り替えるドアである。送風ファン53は、ケーシング51内に空気流を形成し、車室内に空調風を送り出すためのものである。エアミックスドア52は、ケーシング51内を流れる空気が、ヒータコア43を通るか否かを切り替えるためのドアである。
【0028】
車両用空調装置2は、統合弁装置6の各弁を開閉して冷凍サイクル装置3を流れる冷媒を調整し、ウォータポンプ41を駆動して水サイクル装置4を流れる水を調整し、送風ファン53を駆動して空調ユニット5を流れる空気を調整することで、車室内を冷暖房する装置である。
【0029】
図2を参照しながら、車両用空調装置2が冷房運転する場合の動作について説明する。
図2においては、冷媒の流れをFLcで示している。冷房運転時においては、ウォータポンプ41は駆動されないので、水サイクル装置4内には水の流れが発生しない。従って、コンプレッサ31から吐出される高温高圧の気相冷媒は、そのまま統合弁装置6に向かって流れる。冷房運転時において、第1弁62は、開かれた状態となっている。従って、コンデンサ32から流れ込む冷媒は、減圧されずにそのまま第1熱交換器34に向かって流れる。
【0030】
第1熱交換器34に流れ込む高温高圧の気相冷媒は、外気との間で熱交換して温度が低下し、冷却されて気液二相の冷媒となって貯液器36に流出する。貯液器36は、冷房運転の場合には主として液相冷媒を流出させるレシーバとして機能している。第3弁63は閉じられているので、貯液器36からは液相冷媒が第2熱交換器35に流出する。
【0031】
冷房運転時において、第2熱交換器35は過冷却器として機能する。第2熱交換器35に流入した冷媒は、外気との熱交換により更に冷却される。冷房運転時においては、冷凍サイクル装置3の凝縮器としての機能は第1熱交換器34及び第2熱交換器35が果たしている。
【0032】
第2熱交換器35から流出した液相冷媒は、第2弁64に流れ込む。冷房運転時において第2弁64は、流入する冷媒を膨張弁37に向かってのみ流すように切り替えられている。膨張弁37によって減圧された冷媒は、エバポレータ38に流れ込む。
【0033】
冷房運転時においては、送風ファン53が駆動され、エアミックスドア52はヒータコア43側を塞ぐように位置している。従って、ケーシング51内を流れる空気は、エバポレータ38において低温の冷媒と熱交換し冷却される。冷却された空気は、ケーシング51内を流れて車室内に供給される。
【0034】
図3を参照しながら、車両用空調装置2が暖房運転する場合の動作について説明する。
図3においては、冷媒の流れをFLhで示している。暖房運転時においては、ウォータポンプ41が駆動されるので、水サイクル装置4内には水の流れが発生する。従って、コンプレッサ31から吐出される高温高圧の気相冷媒は、コンデンサ32において水側熱交換器42内を流れる水と熱交換し冷却され、統合弁装置6に向かって流れる。暖房運転時において、第1弁62は、閉じられた状態となっている。従って、コンデンサ32から流れ込む冷媒は、減圧されて第1熱交換器34に向かって流れる。
【0035】
第1熱交換器34に流れ込む低圧の気液二相冷媒は、外気との間で熱交換して蒸発し、貯液器36に流出する。貯液器36は、暖房運転の場合は主として気相冷媒を流出させるアキュムレータとして機能している。第3弁63は開かれているので、気相冷媒がコンプレッサ31に向けて流出する。
【0036】
貯液器36においては、流入した冷媒を気液分離し、液相冷媒を貯めている。液相冷媒は第2熱交換器35側に流出する。第2弁64は、吸入口311に向かう流路を開いているので、液相冷媒とオイルは徐々にコンプレッサ31に戻る。
【0037】
暖房運転時においては、送風ファン53が駆動され、エアミックスドア52はヒータコア43側を開くように位置している。従って、ケーシング51内を流れる空気は、ヒータコア43において高温の水と熱交換し加温される。加温された空気は、ケーシング51内を流れて車室内に供給される。
【0038】
本実施形態の統合弁装置6は、固定絞り61、第1弁62、第2弁64、及び第3弁63を一体のものとして形成すると共に、貯液器36の内部に収容することができるように構成されている。
図4を参照しながら、統合弁装置6について説明する。
【0039】
統合弁装置6は、弁本体7と、固定絞り61と、第1弁62と、第2弁64と、第3弁63と、アクチュエータ65と、ロッド66と、を備えている。弁本体7には、第1流入口71と、第1流出口76と、第2流入口75と、第2流出口72と、第3流入口74と、第3流出口73と、が設けられている。弁本体7は、挿入端部90と露出端部91とを有する。挿入端部90は、貯液器36に統合弁装置6を挿入する際に、最も奥まで入り込む部分である。露出端部91は、挿入端部90とは反対側に設けられている端部であり、貯液器36に統合弁装置6を挿入する際に、貯液器36の外側に露出する端部である。
【0040】
露出端部91には、アクチュエータ65が設けられている。アクチュエータ65は、ロッド66を進退自在に駆動するための機構部である。アクチュエータ65はステッピングモータを含み、ステッピングモータの回転によってギア機構部を駆動し、ロッド66を進退自在に駆動する。
【0041】
ロッド66は、第1弁62、第2弁64、及び第3弁63を駆動するためのものである。ロッド66は、大径部661と小径部662とを有している。大径部661と小径部662との段差部分には、係合段差663が設けられている。
【0042】
第1弁62は、ロッド66の小径部662が貫通している。第1弁62は、係合段差663と係合輪664との間に挟まれて保持されているので、ロッド66の進退に応じて開閉するように構成されている。第1弁62は、第1弁体622と、第1弁座621とを有している。ロッド66が図中z軸負方向に駆動されると、第1弁体622は第1弁座621から離れる。一方、ロッド66が図中z軸正方向に駆動されると、第1弁体622は第1弁座621に近づき当接する。
【0043】
第2弁64は、小径部662が貫通している。第2弁64は、係合輪665と係合輪666とに挟まれて小径部662に固定されている。第2弁64の固定は、多少の緩みが発生するように、係合輪665と係合輪666との間に余裕を持たせている。第2弁64は、第2弁体642と、第2弁座641と、第4弁座643と、を有している。ロッド66が図中z軸負方向に駆動されると、第2弁体642は第2弁座641から離れ、第4弁座643に近づき当接する。一方、ロッド66が図中z軸正方向に駆動されると、第2弁体642は第4弁座643から離れ、第2弁座641に近づき当接する。
【0044】
第3弁63は、第3弁体632と、第3弁座631と、付勢部材であるコイルスプリング633と、を有している。第3弁体632には、小径部662の先端部分が差し込まれている。ロッド66が図中z軸負方向に駆動されると、第3弁体632はロッド66によって図中下方に押し下げられ、第3弁座631に近づき当接する。ロッド66が図中z軸正方向に駆動されると、第3弁体632はコイルスプリング633の復元力によって押し上げられる。
【0045】
第1流入口71には、コンデンサ32を通った高圧の冷媒が流入する。第1流入口71に流入した高圧の冷媒は、第1室77に流入する。第1室77に続く第2室78へ繋がる流路を閉止できるように、第1弁62が設けられている。
【0046】
第1弁62は、第1弁体622と、第1弁座621とを有している。第1弁体622には固定絞り61が設けられている。固定絞り61は、第1弁体622の第1弁座621に臨む当接面から反対側の面まで貫通するように設けられた貫通穴によって形成されている。
【0047】
第1弁体622が第1弁座621と当接していない開放状態の場合、第1室77に流入した高圧の冷媒は高圧のまま第2室78に流れ込む。第1弁体622が第1弁座621と当接している閉止状態の場合、第1室77に流入した高圧の冷媒は固定絞り61を通って低圧状態となって第2室78に流れ込む。第2室78に流れ込んだ冷媒は、第1流出口76から第1熱交換器34に向けて流れ出る。
【0048】
第2流入口75には、第2熱交換器35を通った冷媒が流入する。第1弁62が閉止状態で冷媒が固定絞り61を通る場合には、第2流入口75には低圧の冷媒が流入する。第1弁62が開放状態の場合には、第2流入口75には高圧の冷媒が流入する。第2流入口75に流入した冷媒は、第3室80に流入する。第3室80に続く第4室79に繋がる流路を閉止できるように、第2弁64が設けられている。第2弁64は、第3室80に続く第5室81に繋がる流路も閉止できるように構成されている。
【0049】
第2弁体642が第2弁座641と当接せず、第2弁体642が第4弁座643と当接している場合、第3室80と第4室79とを繋ぐ流路が開放され、第3室80と第5室81とを繋ぐ流路が閉止される。第2流入口75に流れ込んだ冷媒は、第3室80から第4室79に向かって流れ、第2流出口72から膨張弁37に向けて流れ出る。このように、第2流入口75に流れ込んだ冷媒が第2流出口72から膨張弁37に向けて流れ出る場合は、第2流入口75に流れ込む冷媒が高圧冷媒の場合である。
【0050】
第2弁体642が第2弁座641と当接し、第2弁体642が第4弁座643と当接していない場合、第3室80と第4室79とを繋ぐ流路が閉止され、第3室80と第5室81とを繋ぐ流路が開放される。第2流入口75に流れ込んだ冷媒は、第3室80から第5室81に向かって流れ、第6室82を経由して第3流出口73からコンプレッサ31に向けて流れ出る。このように、第2流入口75に流れ込んだ冷媒が第3流出口73からコンプレッサ31に向けて流れ出る場合は、第2流入口75に流れ込む冷媒が低圧冷媒の場合である。
【0051】
第3流入口74は、挿入端部90に設けられ、図中z軸正方向に流路が延びるように設けられている。第3流入口74には、貯液器36を通った冷媒が流入する。第1弁62が閉止状態で冷媒が固定絞り61を通る場合には、第3流入口74には低圧の冷媒が流入する。第1弁62が開放状態の場合には、第3流入口74には高圧の冷媒が流入する。第3流入口74に流入した冷媒は、第6室82に流入する。第6室82に繋がる流路を閉止できるように、第3弁63が設けられている。
【0052】
第3弁体632が第3弁座631と当接していない場合、第6室82繋がる流路が開放される。第3弁体632は、閉止部632aと流路調整部632bとを有している。閉止部632aが第3弁座631から離れると、流路調整部632bが第5室81に入り込み、第3室80側から流れ込む冷媒の流路断面積を調整する。第3流入口74に流れ込んだ冷媒は、第6室82から第3流出口73からコンプレッサ31に向けて流れ出る。このように、第3流入口74に流れ込んだ冷媒が第3流出口73からコンプレッサ31に向けて流れ出る場合は、第3流入口74に流れ込む冷媒が低圧冷媒の場合である。
【0053】
弁本体7の側面は、各流入口及び各流出口にあわせて段差が形成されている。第1流入口71は、第1面7aに形成されている。第1面7aからロッド66側に後退した第2面7bが形成されている。第2面7bには、第1流出口76が形成されている。第2面7bからロッド66側に後退した第3面7cが形成されている。第3面7cには、第2流入口75及び第2流出口72が形成されている。第3面7cからロッド66側に後退した第4面7dが形成されている。第4面7dからロッド66側に後退した第5面7eが形成されている。第5面7eには、第3流出口73が形成されている。
【0054】
弁本体7の外側には、シール部材706,707,708,709,710が設けられている。シール部材706は、第1面7aに設けられた凹部の中に配置されている。シール部材707は、第2面7bに設けられた凹部の中に配置されている。シール部材708は、第3面7cに設けられた凹部の中に配置されている。シール部材709は、第4面7dに設けられた凹部の中に配置されている。シール部材710は、第5面7eに設けられた凹部の中に配置されている。
【0055】
弁本体7の外側には、シール部材706,707,708,709,710との密着面が形成された中間部材70が配置されている。中間部材70には、第1内面701と、第2内面702と、第3内面703と、第4内面704と、第5内面705とが設けられている。弁本体7の挿入端部90には、回り止め突起901が設けられている。回り止め突起901が中間部材70と嵌合することで、相互の位置関係が決められている。
【0056】
シール部材706は、第1内面701と第1面7aとの双方に密接している。シール部材707は、第2内面702と第2面7bとの双方に密接している。シール部材708は、第3内面703と第3面7cとの双方に密接している。シール部材709は、第4内面704と第4面7dとの双方に密接している。シール部材710は、第5内面705と第5面7eの双方に密接している。
【0057】
中間部材70にも弁本体7に設けられた流入口及び流出口にあわせて開口部が設けられているところ、上記したように中間部材70及び弁本体7の双方に段差を形成して、異なる面にシール部材706,707,708,709,710を当接させることで、中間部材70に対する弁本体7の挿入作業性が向上する。また、中間部材70側に設けた開口部にシール部材706,707,708,709,710が接触しないので、シール部材706,707,708,709,710の破損を防止できる。
【0058】
続いて、
図5を参照しながら、
図2を参照しながら説明した冷房運転時の開閉弁状態及び流路形成状態について説明する。
図5に示されるように、第1弁体622は第1弁座621から離隔し、第1弁62は開弁されている。第1流入口71に流入する高圧冷媒は、減圧されずにそのまま第1流出口76から流出する。第2弁体642は、第2弁座641から離れ第4弁座643に当接している。第2流入口75に流入する高圧冷媒は、第2流出口72から流出する。第2弁体642はロッドに対して遊びをもって接合されているが、高圧冷媒による背圧がかかることで第4弁座643に密着する。第3弁体632は、第3弁座631に当接している。貯液器36側からは高圧冷媒が第3流入口に流入しようとするが、第3弁体632は図中z軸負方向に向けてロッド66によって押し下げられているので、高圧冷媒が流入することはない。
【0059】
続いて、
図6を参照しながら、
図3を参照しながら説明した暖房運転時の開閉弁状態及び流路形成状態について説明する。
図6に示されるように、ロッド66は、冷房運転時に比較して図中z軸正方向に引き上げられている。第1弁体622は第1弁座621に当接し、第1弁62は閉弁されている。第1流入口71に流入する高圧冷媒は、固定絞り61を通り減圧されて、第1流出口76から流出する。第2弁体642は、第4弁座643から離れ第2弁座641側に近づいている。この場合、第2流路側が完全に閉塞されている必要はなく、第2流路の流路断面積に対して第4流路の流路断面積が十分大きくなっていればよい。第2弁体642を挟んで双方ともに低圧となっているので、第2弁体642を挟んだ圧力差は小さく、第2流路側が完全に閉塞されていなくても支障がない。第2流入口75に流入する低圧冷媒は、成り行きで第3流出口73から流出する。第3弁体632は、第3弁座631から離れており、第3弁63は開弁されている。貯液器36側から流入する低圧冷媒は、そのまま上昇しながら第3流入口74内に入り、第3流出口73から流出する。
【0060】
図7に示されるように、貯液器36内に統合弁装置6を挿入配置する場合、挿入端部90が最も奥まで挿入される。統合弁装置6の一側方に第1熱交換器34及び第2熱交換器35が配置されるので、第1熱交換器34及び第2熱交換器35と冷媒の授受を行う流出口及び流入口は第1熱交換器34及び第2熱交換器35側に配置することが好ましい。この観点から、第1熱交換器34に冷媒を流出させる第1流出口76は、第1熱交換器34側の上方に配置されている。第2熱交換器35から冷媒が流れ込む第2流入口75は、第2熱交換器35側であって、第1流出口76よりも下方に配置されている。第1流入口71、第2流出口72、及び第3流出口73は、第1熱交換器34及び第2熱交換器35に対向する側面とは反対側に設けられている。
【0061】
図8に示されるように、第3弁座631Aを挿入端部90よりも突出させた第3弁63Aを用いることができる。
図7に示されるように、第1熱交換器34から流入する冷媒が挿入端部90の近傍に供給されるような構造であっても、第3弁座631Aを挿入端部90よりも突出させることで、液相冷媒の巻き込みを低減することができる。この観点からは、
図9に示されるように、第3弁座631Bを挿入端部90よりも突出させるとともに、開口端に向かうに従って拡径することも好ましい。
【0062】
上記したように本実施形態に係る統合弁装置6は、冷凍サイクルを構成する貯液器36の内部に配置されるものである。統合弁装置6は、貯液器36からコンプレッサ31に流れる冷媒を通すコンプレッサ行き流路である第3流入口74から第3流出口73に至る流路が形成されてなる弁本体7と、コンプレッサ行き流路を流れる冷媒の流量を調整する第3弁体632及び第3弁座631を有するコンプレッサ行き弁としての第3弁63と、を備える。弁本体7は、統合弁装置6が貯液器36の内部に配置される場合に、最も奥まで挿入される挿入端部90を有している。コンプレッサ行き流路の入口である第3流入口74は挿入端部90に形成されている。
【0063】
第3流入口74を挿入端部90に形成することで、貯液器36から流入する冷媒の圧損を少なくすることができ、第3流出口73に向けて円滑に冷媒を流すことができる。
【0064】
また本実施形態では、コンプレッサ行き弁としての第3弁63は、第3弁体632がコンプレッサ行き流路の入口である第3流入口74に近づくことで閉弁し、第3弁体632がコンプレッサ行き流路の入口である第3流入口74から遠ざかることで開弁するように構成されている。このように、第3弁体632をz軸正方向に引き上げることで開弁するように構成しているので、冷媒から第3弁体632が受ける力を阻害せずに開弁することができる。
【0065】
上記したように本実施形態では、弁本体7には、貯液器36よりも上流側に配置された第1熱交換器34にコンプレッサから流れる冷媒を通す第1流路と、貯液器36よりも下流側に配置された第2熱交換器35から膨張弁37に流れる冷媒を通す第2流路と、コンプレッサ行き流路としての第3流路と、が形成されている。第1流路は、第1流入口71から第1流出口76に至る流路である。第2流路は、第2流入口75から第2流出口72に至る流路である。第3流路は、第3流入口74から第3流出口73に至る流路である。
【0066】
弁本体7には、第1流路を流れる冷媒の流量を調整する第1弁体622及び第1弁座621を有する第1弁62と、第2流路を流れる冷媒の流量を調整する第2弁体642及び第2弁座641を有する第2弁64と、第3流路を流れる冷媒の流量を調整する第3弁体632及び第3弁座631を有しコンプレッサ行き弁として機能する第3弁63と、が設けられている。
【0067】
また本実施形態では、弁本体7には、第2熱交換器35からコンプレッサ31に流れる冷媒を通す第4流路が形成されており、第4流路を流れる冷媒の流量は、第2弁64によって調整される。第4流路は、第2流入口75から第3流出口73に至る流路である。
【0068】
また本実施形態では、第2弁64は、第2弁体642を挟んで第2弁座641とは反対側に設けられてなる第4弁座643を有している。第2弁体642が第4弁座643に当接すると、第2熱交換器35から流入する冷媒が膨張弁37に向けて流れる。この場合、第2流路側が高圧となるので、第2弁体642が第4弁座643に押し付けられて、確実に閉弁する。一方、第2弁体642が第2弁座641に当接すると第2熱交換器35から流入する冷媒がコンプレッサ31に向けて流れる。この場合、第2流路側が完全に閉塞されている必要はなく、第2流路の流路断面積に対して第4流路の流路断面積が十分大きくなっていればよい。第2弁体642を挟んだ圧力差が小さいので、第2流路側へのリークは無視できる程度となる。
【0069】
また本実施形態では、第1弁体622、第2弁体642、及び第3弁体632は、弁本体7内に挿入されるロッド66によって駆動されるものである。ロッド66を進退自在に駆動するアクチュエータ65は、挿入端部90とは反対側の露出端部91において弁本体7に隣接するように設けられている。
【0070】
また本実施形態では、第3弁体632を第3弁座631から離隔する方向に付勢する付勢部材としてのコイルスプリング633が設けられており、第3弁体632は、コイルスプリング633の付勢力に対抗してロッド66によって第3弁座631側に押されることで第3弁座631と当接するように構成されている。
【0071】
また本実施形態では、ロッド66は、第3弁体632を第3弁座631側に押すように駆動されると、第2弁体642を第4弁座643側に移動させ、この移動によって、第2熱交換器35から膨張弁37に向かって冷媒が流れ、第2弁体642を第4弁座643に向かわせる差圧が発生する。差圧によって、第2弁体642を第4弁座643に密接させることができるので、第2弁体642を第4弁座643に押し付ける機構を設ける必要がなく、構造が簡単なものとなる。
【0072】
また本実施形態では、ロッド66は、第1弁体622を第1弁座621側に移動させるように駆動されると、第2弁体642を第2弁座641側に移動させ、この移動によって、第2流路よりも第4流路の断面積が十分広くなる。
【0073】
また本実施形態では、第2弁体642が第2弁座641側に移動した場合に、第2弁体642が第4弁座643に当接した場合よりも、第2弁体642を挟んだ圧力差が小さい。
【0074】
また本実施形態では、弁本体7の外周には、挿入端部90側から挿入端部90とは反対側の露出端部91に向けて、貯液器内側との気密性を確保するためのシール部材706,707,708,709,710が複数配置されている。複数のシール部材706,707,708,709,710は、少なくとも、第1流路の第1流入口71及び第1流出口76を挟んで一対、第2流路の第2流入口75及び第2流出口72を挟んで一対、それぞれ設けられている。
【0075】
また本実施形態では、弁本体の外周には、挿入端部90から露出端部91に向けて互いに段差のある複数の段差面である、第1面7a、第2面7b、第3面7c、第4面7d、第5面7eが設けられており、複数のシール部材706,707,708,709,710は互いに異なる面に配置されている。
【0076】
以上、具体例を参照しつつ本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。これら具体例に、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。前述した各具体例が備える各要素およびその配置、条件、形状などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。前述した各具体例が備える各要素は、技術的な矛盾が生じない限り、適宜組み合わせを変えることができる。