特許第6566815号(P6566815)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特許6566815吸引制御部材、バキュームロールの吸引構造、及びウエブ巻取機
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6566815
(24)【登録日】2019年8月9日
(45)【発行日】2019年8月28日
(54)【発明の名称】吸引制御部材、バキュームロールの吸引構造、及びウエブ巻取機
(51)【国際特許分類】
   B65H 19/28 20060101AFI20190819BHJP
   B65H 20/12 20060101ALI20190819BHJP
【FI】
   B65H19/28 A
   B65H20/12
【請求項の数】7
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2015-191239(P2015-191239)
(22)【出願日】2015年9月29日
(65)【公開番号】特開2017-65841(P2017-65841A)
(43)【公開日】2017年4月6日
【審査請求日】2018年8月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】390029148
【氏名又は名称】大王製紙株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082647
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 義久
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 博明
【審査官】 冨江 耕太郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開平05−116820(JP,A)
【文献】 特開2003−276917(JP,A)
【文献】 特許第5543564(JP,B2)
【文献】 国際公開第2005/082609(WO,A1)
【文献】 実開平4−68042(JP,U)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0250706(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H5/08−5/14、18/00−18/28、20/10−20/14、21/00−23/16、23/24−23/34、27/00、75/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロール本体の表面に幅方向に延在する吸引口が備わり、かつウエブを供給しながら巻取中の紙管を回転させるバキュームロールに取り付けられる吸引制御部材であり、
前記幅方向に間隔をあけて複数の凸部が備わり、
この凸部は、前記吸引口を塞ぎ、この塞いだ部分を吸引力が作用しない非吸引部にし、
前記凸部間の凹部は、前記吸引口を塞がず、この塞がない部分を吸引力が作用する吸引部にする、
ことを特徴とする吸引制御部材。
【請求項2】
前記凹部が、
端部側の凹部の深さ≧中心側の凹部の深さ、の関係を満たす、
請求項1記載の吸引制御部材。
【請求項3】
前記凸部の前記幅方向の両端部が、所定の曲率半径の曲面である、
請求項1又は請求項2記載の吸引制御部材。
【請求項4】
前記曲率半径が、0.75mmを上回り、3.9mmを下回る、
請求項3記載の吸引制御部材。
【請求項5】
ロール本体の表面に幅方向に延在する吸引口が備わり、かつウエブを供給しながら巻取中の紙管を回転させるバキュームロールの吸引構造であって、
請求項1〜4のいずれか1項に記載の吸引制御部材と、この吸引制御部材を押さえる押さえ部材と、が備わり、
この押さえ部材が、前記幅方向に延在し、かつ前記吸引口の前記幅方向に延在する両端縁の一方を構成し、
当該両端縁の他方を、前記ロール本体が構成する、
ことを特徴とするバキュームロールの吸引構造。
【請求項6】
前記吸引制御部材は、
前記凸部及び前記凹部が備わる本体部と、
この本体部から延出し、前記押さえ部材によって押さえられるつば部と、を有し、
前記吸引制御部材と前記押さえ部材との間に、前記吸引部に連通する連通空間が備わる、
請求項5記載のバキュームロールの吸引構造。
【請求項7】
ウエブを供給しながら巻取中の紙管を回転させる第1巻取ロールと、
前記巻取中の紙管を支えながら回転させる第2巻取ロールと、
前記巻取中の紙管を抑える第3巻取ロールと、
前記第1巻取ロール、前記第2巻取ロール、及び前記第3巻取ロールで囲まれた巻取空間に紙管を供給する紙管供給手段と、
が備わるウエブ巻取機であって、
前記第1巻取ロールが、ロール本体の表面に幅方向に延在する吸引口が備わるバキュームロールであり、
このバキュームロールに、請求項1〜4のいずれか1項に記載の吸引制御部材が取り付けられている、
ことを特徴とするウエブ巻取機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バキュームロールに取り付けられる吸引制御部材、バキュームロールの吸引構造、及びウエブ巻取機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
トイレットペーパー等のウエブは、ウエブ巻取機(ワインダー)において紙管に巻き取られ、断裁されてログと呼ばれる巻物にされる。ウエブ巻取機には、ウエブを供給しながら巻取中の紙管を回転させる第1巻取ロールと、巻取中の紙管を支えながら回転させる第2巻取ロールと、巻取中の紙管を抑える第3巻取ロールと、これらの巻取ロールで囲まれた巻取空間に紙管を供給する紙管供給手段と、が備わる。第1巻取ロールとしては、例えば、ロール本体の表面に吸引口が備わるバキュームロールが使用される。バキュームロールの吸引口としては、様々なものが存在する。その1つに吸引口が、ロール本体の幅方向(以下、単に「幅方向」ともいう。)の一端から他端まで連続的に延在するものがある(例えば、特許文献1等参照。)。
【0003】
しかるに、バキュームロールは、ウエブ巻取機が大型の場合、幅方向の長さが4m以上にもなる。したがって、吸引口も長く延在することになり、延在方向(ロール本体の幅方向)に関して吸引力が不均一になる。また、吸引口が長く延在することになると、吸引を開始したり、停止したりするタイミングも、幅方向に関してずれることになる。吸引力が不均一になったり、吸引のタイミングがずれたりすると(以下、吸引力や吸引のタイミングを所望の値にしようとすることを「吸引制御」という。)、ウエブが破れたり、ウエブにしわが入ったりし、操業が不安定になる。この問題は、巻取速度が高速になればなるほど顕著なものとなる。現在では、730m/分以上という高速での巻取りが可能になっており、より大きな問題になっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−247237号公報(図8図10
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする主たる課題は、吸引制御の幅方向に関する不均一を抑制することができるバキュームロールに取り付けられる吸引制御部材、バキュームロールの吸引構造、及びウエブ巻取機を提案することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための手段は、次のとおりである。
(手段1)
ロール本体の表面に幅方向に延在する吸引口が備わり、かつウエブを供給しながら巻取中の紙管を回転させるバキュームロールに取り付けられる吸引制御部材であり、
前記幅方向に間隔をあけて複数の凸部が備わり、
この凸部は、前記吸引口を塞ぎ、この塞いだ部分を吸引力が作用しない非吸引部にし、
前記凸部間の凹部は、前記吸引口を塞がず、この塞がない部分を吸引力が作用する吸引部にする、
ことを特徴とする吸引制御部材。
【0007】
(手段2)
前記凹部が、
端部側の凹部の深さ≧中心側の凹部の深さ、の関係を満たす、
前記手段1の吸引制御部材。
【0008】
(手段3)
前記凸部の前記幅方向の両端部が、所定の曲率半径の曲面である、
前記手段1又は前記手段2の吸引制御部材。
【0009】
(手段4)
前記曲率半径が、0.75mmを上回り、3.9mmを下回る、
前記手段3の吸引制御部材。
【0010】
(手段5)
ロール本体の表面に幅方向に延在する吸引口が備わり、かつウエブを供給しながら巻取中の紙管を回転させるバキュームロールの吸引構造であって、
前記手段1〜4のいずれか1項に記載の吸引制御部材と、この吸引制御部材を押さえる押さえ部材と、が備わり、
この押さえ部材が、前記幅方向に延在し、かつ前記吸引口の前記幅方向に延在する両端縁の一方を構成し、
当該両端縁の他方を、前記ロール本体が構成する、
ことを特徴とするバキュームロールの吸引構造。
【0011】
(手段6)
前記吸引制御部材は、
前記凸部及び前記凹部が備わる本体部と、
この本体部から延出し、前記押さえ部材によって押さえられるつば部と、を有し、
前記吸引制御部材と前記押さえ部材との間に、前記吸引部に連通する連通空間が備わる、
前記手段5のバキュームロールの吸引構造。
【0012】
(手段7)
ウエブを供給しながら巻取中の紙管を回転させる第1巻取ロールと、
前記巻取中の紙管を支えながら回転させる第2巻取ロールと、
前記巻取中の紙管を抑える第3巻取ロールと、
前記第1巻取ロール、前記第2巻取ロール、及び前記第3巻取ロールで囲まれた巻取空間に紙管を供給する紙管供給手段と、
が備わるウエブ巻取機であって、
前記第1巻取ロールが、ロール本体の表面に幅方向に延在する吸引口が備わるバキュームロールであり、
このバキュームロールに、前記手段1〜4のいずれかの吸引制御部材が取り付けられている、
ことを特徴とするウエブ巻取機。
【発明の効果】
【0013】
本発明によると、吸引制御の幅方向に関する不均一を抑制することができるバキュームロールに取り付けられる吸引制御部材、バキュームロールの吸引構造、及びウエブ巻取機となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】ウエブの巻取方法の説明図である。
図2】バキュームロールの模式的な平面図である。
図3図2のIII−III断面図である。
図4図3のIV−VI断面図である。
図5】吸引制御部材の正面図である。
図6】吸引制御部材の平面図である。
図7】基本例に係る吸引制御部材の説明図である。
図8】応用例に係る吸引制御部材の説明図である。
図9】吸引制御部材及び押さえ部材を斜めから見た場合の写真である。
図10】吸引制御部材及び押さえ部材を正面から見た場合の写真である。
図11】吸引制御部材及び押さえ部材を裏面から見た場合の写真である。
図12】吸引制御部材及び押さえ部材を側面から見た場合の写真である。
図13】押さえ部材を裏面から見た場合の写真である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、本発明を実施するための形態を説明する。
(定義・用途等)
巻取りの客体となるウエブとは、連続する帯状のシートを意味する。ウエブの坪量、密度、引裂強さ、引張強さ等の強度、等は特に限定されない。ただし、ウエブがトイレットペーパー等の薄葉紙である場合には、薄葉紙はコシが弱く、厚薄により透気性が異なるから幅方向に吸引制御が不均一になり操業に影響が生じ易い。つまり、ウエブが破れたり、ウエブにしわが入ったりしやすい。したがって、ウエブが薄葉紙である場合は、本形態が特に有用である。
【0016】
本形態が有用であるウエブの物性を例示すると、次のとおりとなる。
坪量(JIS P 8124:2011):11.0〜25.0g/m2
紙厚(JIS P 8111:1998で調湿後、JIS P 8111:1998環境下において、尾崎製作所製ダイヤルシックネスゲージ ピーコックG型 により測定した値、1m2中の任意の10点平均):1プライ当たり120〜180μm
乾燥引裂強さ(JIS P 8113:2006):縦方向220〜370cN/25mm、横方向50〜150cN/25mm
伸び率(JIS P 8113:2006):12.0〜20.0%
【0017】
(ウエブ巻取機)
図1に示すように、本形態のウエブ巻取機1には、第1巻取ロール10、第2巻取ロール20、及び第3巻取ロール30が備わる。これら第1巻取ロール10、第2巻取ロール20、及び第3巻取ロール30で囲まれた空間は、ウエブWを紙管C(図中においては、符号C1,C2で示す。)に巻き取るための巻取空間Sである。なお、図中において、符号C1は先に巻取りの対象となる紙管を示し、符号C2は次に巻取りの対象となる紙管を示す。図1の(1)においては、紙管C1が巻取中、紙管C2が巻取前の状態にある。図1の(2)においては、紙管C1が巻取終了、紙管C2が巻取空間Sへ移動中の状態にある。図1の(3)においては、紙管C1が巻取後、紙管C2が巻取開始の状態にある。
【0018】
(第1巻取ロール)
第1巻取ロール10は、ウエブWを巻取空間Sに供給しながら巻取中の紙管Cを回転させる機能を有する。第1巻取ロール10としては、吸引構造部10Xを有するバキュームロールを使用している(バキュームロールは、サクションロール等と呼ばれることもある。以下、バキュームロールと表現するときも符号10を使用する。)。バキュームロール10の詳細については、後述する。
【0019】
(第2巻取ロール)
第2巻取ロール20は、巻取中の紙管Cを支えながら回転させる機能を有する。第2巻取ロールは20としては、ワインディングドラムを使用している(以下、ワインディングドラムと表現するときも符号20を使用する。)。
【0020】
ワインディングドラム20は、円筒状である。ワインディングドラム20は、軸心を中心に回転する。この軸心は、水平方向を向く。ワインディングドラム20は、バキュームロール10の斜め下方に位置している。ワインディングドラム20は、バキュームロール10との間に紙管Cが通るように、紙管Cの直径よりも広い間隔をあけて配置されている。
【0021】
(第3巻取ロール)
第3巻取ロール30は、巻取中の紙管Cを上から抑える機能を有する。第3巻取ロール30としては、ライダーロールを使用している(以下、ライダーロールと表現するときも符号30を使用する。)。
【0022】
ライダーロール30は、円筒状である。ライダーロール30は、軸心を中心に回転する。この軸心は、水平方向を向く。ライダーロール30は、バキュームロール10の側方であってワインディングドラム20の上方に位置している。ライダーロール30は、図示しないカム等の移動手段によって、バキュームロール10及びワインディングドラム20に近付けたり、両者10,20から遠ざけたりすることができる。
【0023】
(巻取方法)
ウエブWは、図示しないアンワインダー等において一次原反ロールから繰り出される。繰り出されたウエブWは、適宜、エンボスの付与、ミシン目の形成等が行われた後、ウエブ巻取機1に到達する。ウエブ巻取機1において、ウエブWは、トゥーイングロール50の表面に沿って流された後、バキュームロール10の表面に沿って流されて、巻取空間Sに供給される。この巻取空間Sには、図示しない紙管供給手段によって紙管Cが供給される。
【0024】
巻取空間Sに供給される紙管Cの表面には、図2中に拡大して示すように、ピック糊Gが帯状に塗布されている。この塗布は、紙管Cの周方向に、かつ複数本が紙管Cの幅方向(CD方向)に間隔をあけて行われている。例えば、幅114mmの製品(トイレットロール)の場合は、ピック糊Gの本数は1〜2本の割合である。したがって、紙管Cが20個取りの場合は、20〜40本のピック糊Gが塗布される。
【0025】
なお、図2に示すように、バキュームロール10のロール本体11の表面11Aには、ビック糊Gの塗布位置に対応する位置に、窪み11Bが備わると好適である。この窪み11Bにより、ピック糊Gがバキュームロール10に転写するのが防止される。
【0026】
ピック糊Gは、紙管Cの幅方向(CD方向)に帯状に塗布されていてもよい。ピック糊の主成分は、例えば、水溶性高分子や変性澱粉等である。
【0027】
巻取空間Sに供給されたウエブWは、紙管Cに巻き取られる(巻き付けられる)。ウエブWの巻取りが所定の段階(例えば、巻取径100〜200mm)になったら、ウエブWが断裁される。この断裁は、カットオフロール40の表面に備わる断裁刃41が、ウエブWの上からバキュームロール10の表面に備わる断裁口10Yに入り込む(突入する)ことで行われる。なお、カットオフロール40は、円筒状である。カットオフロール40は、軸心を中心に回転する。この軸心は、水平方向を向く。カットオフロール40は、ワインディングドラム20とは反対側のバキュームロール10の斜め下方に位置している。ウエブWの断裁によって、図1の(3)に示すように、ログLが出来上がる。このログLは、ワインディングドラム20及びライダーロール30によって巻取空間Sから排出される。
【0028】
図1の(2)に示すように、断裁されたウエブWのテール部分Wtは、バキュームロール10の表面に備わる吸引構造部10Xに吸引される。この吸引構造部10X及び吸引のメカニズムの詳細については、後述する。
【0029】
ウエブWのテール部分Wtは、バキュームロール10の表面に沿って流されて、巻取空間Sに供給される。図1の(3)に示すように、巻取空間Sに供給されたテール部分Wtは、紙管Cの表面に塗布されたピック糊Gによって紙管Cに接着される。この接着に続いて、ウエブWが紙管Cに巻き取られる。テール部分Wtが紙管Cに接着される際に、あるいは直前に吸引構造部10Xにおける吸引が止められる。バキュームロール10の幅方向(CD方向)に関しては、この吸引停止にタイムラグが生じやすい。吸引停止にタイムラグが生じると、テール部分Wtが紙管Cに接着される際に、ウエブWが破れたり、ウエブWにしわが入ったりする。この問題を解決したのが、本形態である。
【0030】
(バキュームロール)
次に、バキュームロール10の詳細について、説明する。
図2図4に模式的に示すように、バキュームロール10は、ロール本体(いわゆるロールセル)11及び内部ボックス12を、主な構成要素とする。
【0031】
ロール本体11は、円筒状である。ロール本体11の軸心は、水平方向を向く。ロール本体11の幅方向(軸方向、CD方向)の長さは、例えば1.2m以上、必要によっては4m以上にすることができる。ロール本体11の長さが長い場合は、本形態による効果がいかんなく発揮される。
【0032】
ロール本体11の表面には、吸引構造部10Xが備わる。吸引構造部10Xは、図2に示すように、ロール本体11の幅方向(CD方向)の一端から他端まで延在する。吸引構造部10Xの両端縁は、ロール本体11の両端縁と一致していても、図示例のように一致していなくてもよい。吸引構造部10Xの詳細については、後述する。
【0033】
内部ボックス12は、幅方向(CD方向)の中心部がロール本体11の内空部に位置する。他方、内部ボックス12は、幅方向(CD方向)の両端部がロール本体11の両端面から延出している。内部ボックス12は、円筒状である。ただし、内部ボックス12の径は、ロール本体11内(上記中心部)において広がっている。内部ボックス12の軸心は、水平方向を向く。内部ボックス12の軸心部には、軸方向(幅方向(CD方向))に沿う吸引路12Aが備わる。吸引路12Aは、図示しない吸引ポンプ等に接続されている。吸引路12Aは、連通孔12Bと連通する。連通孔12Bは、内部ボックス12の径方向に延在する。連通孔12Bは、内部ボックス12の外周面12Xにおいて開口する。
【0034】
ロール本体11及び内部ボックス12は、同軸的な位置関係にある。ただし、ロール本体11が軸心を中心に回転R(図3参照)するのに対し、内部ボックスは回転しない(固定)。
【0035】
(吸引構造部)
次に、バキュームロール10の表面に備わる吸引構造部10Xについて説明する。
吸引構造部10Xには、図9図12に示すように、吸引制御部材60及び押さえ部材70が備わる。吸引構造部10Xは、図3に示すように、ロール本体11の窪んだ部分に嵌め込まれた状態にある。つまり、当該窪んだ部分の底面と、吸引制御部材60及び押さえ部材70の底面とが当接した状態にある。吸引制御部材60及び押さえ部材70をも利用して、ロール本体11の表面に吸引口D(図2参照)が形成されている。吸引口Dの詳細は、後述する。
【0036】
吸引制御部材60は、図5及び図6に示すように、本体部61及びつば部65を有する。本体部61は、帯状である。ただし、本体部61は、上端部に凸部62及び凹部63が備わる。本体部61は、吸引構造部10Xの長さ、つまり、ロール本体11の幅方向(CD方向)の一端から他端まで延在する長さを有する。本体部61は、幅方向(CD方向)に連続する1つの部材で形成されている。ただし、本体部61は、複数の部材が幅方向(CD方向)に連結されて形成されていてもよい。
【0037】
つば部65も、帯状である。つば部65は、本体部61と同じ長さを有する。すなわち、つば部65は、ロール本体11の幅方向(CD方向)の一端から他端まで延在する長さを有する。つば部65は、幅方向(CD方向)に連続する1つの部材で形成されている。ただし、つば部65は、複数の部材が幅方向(CD方向)に連結されて形成されていてもよい。
【0038】
図9に示すように、つば部65は、本体部61の下端部から一方に延出している。したがって、本体部61及びつば部65は、断面がほぼL字状である。ただし、つば部65は、押さえ部材70によって吸引制御部材60を押さえるのに必要な部位である。したがって、つば部65は、本体部61の下端部から両方に延出していても、本体部61の途中から延出していてもよい。本体部61及びつば部65で構成される吸引制御部材60は、帯状の部材がL字状に折り曲げられて形成されていても、別部材が溶接等によって連結されて形成されていてもよい。
【0039】
押さえ部材70は、吸引制御部材60と同じ長さを有する。すなわち、押さえ部材70は、ロール本体11の幅方向(CD方向)の一端から他端まで延在する長さを有する。押さえ部材70は、幅方向(CD方向)に連続する1つの部材で形成されている。ただし、押さえ部材70は、複数の部材が幅方向(CD方向)に連結されて形成されていてもよい。
【0040】
吸引制御部材60の本体部61に備わる凸部62は、ロール本体11の幅方向(CD方向)に間隔をあけて複数が備わる。相互に隣接する凸部62の間は、それぞれが凹部63である。凸部62は、吸引口Dを塞ぎ、この塞いだ部分を吸引力が作用しない非吸引部D1として機能させる(図2参照)。凹部63は、吸引口Dを塞がず、この塞がない部分を吸引力が作用する吸引部D2として機能させる(図2参照)。したがって、凸部62及び凹部63の存在によって、ロール本体11の幅方向(CD方向)の一端から他端まで連続する1本であった吸引口Dが、複数の吸引口に分割された状態なる。この複数の吸引口は、点線状に一列に並ぶ。吸引口が点線状に並ぶと、ロール本体11の幅方向(CD方向)に関するどの位置においても、吸引力がウエブWに対して斜め方向に作用することがなくなり、垂直に作用するようになる。結果、ロール本体11の幅方向(CD方向)に関する吸引力の不均一が抑制される。また、幅方向(CD方向)に関して、吸引を開始したり、吸引を停止したりするタイミングがずれ難くなる。特に吸引を停止するタイミングがずれると、ウエブWがピック糊Gによって紙管Cに貼り付けられるタイミングもずれることになり、製品(ログL)の品質に大きな影響がでるため、本形態は有用である。
【0041】
以上の効果を得るにあたっては、吸引制御部材60を使用することなく、ロール本体11の表面に複数の吸引口を点線状に形成するということも考えられる。しかるに、相互に隣接する吸引口の離間距離等は、ウエブWに対する吸引の強さや、ウエブWの物性、ウエブWの紙管Cへの巻取速度等に依存する。したがって、本形態のように吸引制御部材60を使用して、吸引部(吸引口)D2の離間距離等を容易に変更することができるようにしておくと好適である。また、凹部63においては吸引力が作用するものの、当該凹部63は貫通しておらず、深さを有する。後述するように、この凹部63の深さを調節することで、吸引制御の不均一をより完全に抑制することができ、この点でも、吸引制御部材60の使用は有用である。
【0042】
ここで、凸部62が吸引口Dを塞ぐとは、好ましくは吸引口(非吸引部D1)を透過する気体の流量が0m3/分となるようにすることを意味する。ただし、気体の透過は、ウエブWの吸引に影響がない範囲で許容することができる。この観点からすれば、ウエブWの吸引に影響がない場合も、実質的には吸引口Dを塞いでいるということができる。したがって、吸引口Dを塞ぐとは、吸引口Dでの吸引を吸引制御部材の凸部62が塞いでいる面積(D1)が、吸引口Dで吸引している吸引制御部材の凹部63で開口している面積(D2)の1%以下、好ましくは0.1%以下であることを意味するものとする。
【0043】
ところで、本形態の吸引構造部10Xは、前述したように吸引力がウエブWに対して垂直に作用することを1つの狙いとする。このような観点からは、図9図10図13に示すように、押さえ部材70の裏面の本体部61側の端部に、複数のスリットからなるフィン74を設けると好適である。このフィン74は、押さえ部材70の幅方向(CD方向)に、凹凸が繰り返し形成されてなるものである。この各凹凸は、幅方向(CD方向)に直交する方向に延在している。したがって、この延在方向に沿って吸引部D2に作用する気体が流れるようになり、吸引力がウエブWに対してより確実に垂直に作用するようになる。
【0044】
以上のように、吸引制御部材60に備わる凸部62及び凹部63の存在によって、吸引口Dは点線状に連続する複数の吸引口に分割される。しかるに、分割の基となる吸引口D自体は、図2に示すように、ロール本体11の幅方向(CD方向)の一端から他端まで連続する1本の開口である。そして、本形態においては、吸引口Dの幅方向(CD方向)に延在する両端縁DX,DYのうち一方の端縁DXを押さえ部材70が構成し、他方の端縁DYをロール本体11が構成する。この形態によると、押さえ部材70を適宜変更することで、吸引口Dの幅(ロール本体11の幅方向(CD方向)に直交する方向の長さ)DZを変更することができる。吸引口Dの幅DZを変更すると、吸引部D2の大きさが変わる。吸引部D2の大きさは、ウエブWに対する吸引の強さや、ウエブWの物性、ウエブWの紙管Cへの巻取速度等の操業条件に応じて適宜変更する必要がある。したがって、本形態によると、このような操業条件の変更に対して、ロール本体11、あるいはバキュームロール10を変えることなく、吸引制御部材60及び押さえ部材70を変えるのみで、柔軟に対応することができる。
【0045】
吸引構造部10Xは、内部ボックス12の吸引路12A及び連通孔12B、並びにロール本体11に形成された貫通孔11C(図3参照)と連通する。以下、この連通形態を、詳細に説明する。
まず、図9図12に示すように、押さえ部材70は、吸引制御部材60を構成する本体部61側の端面71が吸引口から内側方向に傾斜している。端面71は、上端部(ロール本体11の周面側端部)において吸引制御部材の本体部61に当接し、下端部(ロール本体11の軸心側端部)において吸引制御部材の本体部61から離間している。これにより、押さえ部材70と吸引制御部材60との間が、つまり端面71、本体部61、及びつば部65で囲まれた部位が空間(以下、「連通空間」という。)70Aになっている。この連通空間70Aは、ロール本体11の幅方向(CD方向)に延在する。連通空間70Aの断面形状は、三角形状である。連通空間70Aは、吸引部D2及びロール本体11の貫通孔11Cに連通する。
【0046】
一方、図13に示すように、押さえ部材70は、裏面の本体部61側の部位が凹んでいる(以下、この凹んだ部分を「凹み部」といい、符号72で示す。)。凹み部72は、ロール本体11の幅方向(CD方向)に延在している。凹み部72には、つば部65が嵌まり込む。凹み部72には、ロール本体11の幅方向(CD方向)に所定の間隔をあけて(例えば、50〜200mm)垂直穴73が形成されている。凹み部72はつば部65と当接しているが、垂直穴73はつば部65と当接していない。つまり、垂直穴73は、凹み部72よりも更に凹んでいる。垂直穴73は、凹み部72よりも、本体部61とは反対側へ延出している(以下、この延出する部分を「延出部」といい、符号73Aで示す。)。図11に示すように、垂直穴73の延出部73Aは、つば部65によって覆われておらず、内部ボックス12側の面に露出している。延出部73Aは、平面視で半円状である。垂直穴73のつば部65で覆われた部分は、平面視で四角形状である。延出部73Aは、ロール本体11の貫通孔11Cを介して、内部ボックス12の連通孔12Bと連通する。
【0047】
以上により、吸引ポンプ等によって吸引されて吸引路12A内が負圧になると、連通孔12B、貫通孔11C、延出部73A、及び連通空間70Aを通して、吸引口Dの吸引部D2に吸引力が作用する。結果、ウエブWが、ロール本体11の表面に引き寄せられる。
【0048】
次に、凸部62及び凹部63の形状等について、2つの例(基本例及び応用例)を対比しながら、説明する。なお、図7に基本例を、図8に応用例を、それぞれ示す。
【0049】
図7に示すように、基本例の凸部62は、凹部63と隣接する両端(ロール本体11の幅方向(CD方向)に関する両端)62Xが、直角になっている。これに対し、図8に示すように、応用例の凸部62は、凹部63と隣接する両端62Xが、所定の曲率半径の曲面になっている。この曲率半径は、0.75mmを上回り、3.9mmを下回るのが好ましく、0.76〜3.8mmであるのがより好ましく、0.89〜2.5mmであるのが更に好ましく、1.0〜2.0mmであるのが特に好ましい。曲率半径が0.75mm以下であると、凸部62のウエブWに対する密着性が悪く、幅方向(CD方向)に関して吸引が安定しない。他方、曲率半径が3.9mm以上であると、凸部62とウエブWとの間において吸引ロスが生じやすく、幅方向CDに関して吸引が安定しない。
【0050】
基本例の凹部63の深さL1は、すべてが同一(例えば、4〜6mm)である。これに対し、応用例の凹部63の深さは、幅方向(CD方向)に関して相互に隣接する凹部63の深さが「端部側の凹部63の深さ≧中心側の凹部63の深さ」の関係を満たす。図8の例では、L4≧L3≧L2の関係にある。つまり、すべての凹部63の深さが同一というわけではなく、幅方向(CD方向)に関して、端部側から中心部側に向けて凹部63が浅くなる。このように凹部63の深さを変化させることで、幅方向(CD方向)に関する吸引制御の不均一が抑制される。
【0051】
中心部における凹部63の深さ(L2)は、例えば2.0〜6.0mm、好ましくは3.0〜5.0mm、より好ましくは3.5〜4.5mmである。また、端部における凹部63の深さ(L4)は、例えば4.0〜8.0mm、好ましくは4.5〜7.5mm、より好ましくは5.0〜7.0mmである。さらに、端部及び中心部における凹部63の深さの差(L4−L2)は、例えば1〜4mm、好ましくは1.25〜3.5mm、より好ましくは1.5〜3.0mmである。なお、複数の凸部62の先端縁は、ロール本体11の表面と面一である。
【0052】
なお、凹部63の幅は、例えば30〜120mm、好ましくは30〜80mm、より好ましくは40〜50mmである。また、凸部62の幅は、例えば5〜30mm、好ましくは7〜20mm、より好ましくは8〜15mmである。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明は、バキュームロールに取り付けられる吸引制御部材、バキュームロールの吸引構造、及びウエブ巻取機として適用可能である。
【符号の説明】
【0054】
1…ウエブ巻取機、10…第1巻取ロール(バキュームロール)、10X…吸引構造部、10Y…断裁口、11…ロール本体、11A…表面、11B…窪み、11C…貫通孔、12…内部ボックス、12A…吸引路、12B…連通孔、12X…外周面、20…第2巻取ロール(ワインディングロール)、30…第3巻取ロール(ライダーロール)、40…カットオフロール、41…断裁刃、50…トゥーイングロール、60…吸引制御部材、61…本体部、62…凸部、62X…両端、63…凹部、65…つば部、70…押さえ部材、70A…連通空間、71…端面、72…凹み部、73…垂直穴、73A…延出部、C,C1,C2…紙管、D…吸引口、D1…非吸引部、D2…吸引部、DX…吸引口の一方の端縁、DY…吸引口の他方の端縁、DZ…吸引口の幅、G…ピック糊、L…ログ、R…回転、S…巻取空間、W…ウエブ、Wt…テール部分。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13