特許第6571045号(P6571045)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特許6571045荷電粒子ビーム装置及び荷電粒子ビーム装置を用いた画像の生成方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6571045
(24)【登録日】2019年8月16日
(45)【発行日】2019年9月4日
(54)【発明の名称】荷電粒子ビーム装置及び荷電粒子ビーム装置を用いた画像の生成方法
(51)【国際特許分類】
   H01J 37/22 20060101AFI20190826BHJP
   H01J 37/28 20060101ALI20190826BHJP
【FI】
   H01J37/22 502B
   H01J37/28 B
   H01J37/22 502H
【請求項の数】10
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-120617(P2016-120617)
(22)【出願日】2016年6月17日
(65)【公開番号】特開2017-224553(P2017-224553A)
(43)【公開日】2017年12月21日
【審査請求日】2018年8月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】501387839
【氏名又は名称】株式会社日立ハイテクノロジーズ
(74)【代理人】
【識別番号】110001689
【氏名又は名称】青稜特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】池田 一樹
(72)【発明者】
【氏名】李 ウェン
(72)【発明者】
【氏名】西元 琢真
(72)【発明者】
【氏名】高橋 弘之
【審査官】 鳥居 祐樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−226842(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0092231(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01J 37/22
H01J 37/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子銃と、
前記電子銃から発射された電子ビームを偏向させることにより試料に走査して照射する偏向電極部と、
前記電子ビームが走査して照射された試料から発生した二次電子を検出する検出部と、
前記二次電子を検出した前記検出部の出力を受けて前記二次電子によるパルス数をカウントするパルスカウント部と、
前記二次電子によるパルス数をカウントした前記パルスカウント部からの出力信号を処理して前記試料の画像を形成する信号処理・画像生成部と、
前記信号処理・画像生成部で処理した結果を受けて前記偏向電極部を制御する偏向電極制御部と、
前記信号処理・画像生成部で形成した前記試料の画像を表示する表示部と、
を備えた荷電粒子ビーム装置であって、
前記信号処理・画像生成部は、前記パルスカウント部からの出力信号を処理して前記試料からの二次電子を検出しなかった領域を抽出して前記抽出した領域に前記偏向電極部で前記電子ビームを走査して照射するように前記偏向電極制御部を制御することを特徴とする荷電粒子ビーム装置。
【請求項2】
請求項1記載の荷電粒子ビーム装置であって、前記信号処理・画像生成部は、前記パルスカウント部からの出力信号を処理して形成した前記試料の画像と、前記偏向電極制御部を制御して前記抽出した前記試料からの二次電子を検出しなかった領域に前記偏向電極部で前記電子ビームを走査して照射することにより得られた画像に重みつけ処理を行った画像と重ね合わせて合成画像を生成することを特徴とする荷電粒子ビーム装置。
【請求項3】
請求項1記載の荷電粒子ビーム装置であって、前記信号処理・画像生成部は、前記パルスカウント部からの出力信号を処理して生成した画像から前記試料からの二次電子を検出しなかった領域を抽出し、前記抽出した領域に前記偏向電極部で前記電子ビームを走査して照射するように前記偏向電極制御部を制御することを特徴とする荷電粒子ビーム装置。
【請求項4】
請求項1記載の荷電粒子ビーム装置であって、前記信号処理・画像生成部は、前記パルスカウント部からの出力信号を処理して前記パルスカウント部からの出力信号がない領域を抽出し、前記抽出した領域に前記偏向電極部で前記電子ビームを走査して照射するように前記偏向電極制御部を制御することを特徴とする荷電粒子ビーム装置。
【請求項5】
電子銃から発射された電子ビームを偏向電極部で偏向させることにより試料に走査して照射し、
前記電子ビームが走査して照射された試料から発生した二次電子を検出部で検出し、
前記二次電子を検出した前記検出部の出力を受けてパルスカウント部で前記二次電子によるパルス数をカウントし、
前記二次電子によるパルス数をカウントした前記パルスカウント部からの出力信号を信号処理・画像生成部で処理して前記試料の画像を形成し、
前記信号処理・画像生成部で、前記パルスカウント部からの出力信号を処理して前記試料からの二次電子を検出しなかった領域を抽出し、
前記信号処理・画像生成部で前記抽出した領域に前記電子ビームを走査して照射するように偏向電極制御部で前記偏向電極部を制御した状態で前記電子ビームを走査して照射して前記抽出した領域の画像を取得し、
前記形成した前記試料の画像と前記取得した前記抽出した領域の画像とを重ね合わせて合成画像を生成する
することを特徴とする荷電粒子ビーム装置を用いた画像の生成方法。
【請求項6】
請求項5記載の荷電粒子ビーム装置を用いた画像の生成方法であって、前記信号処理・画像生成部で、前記パルスカウント部からの出力信号を処理して前記試料からの二次電子を検出しなかった領域を抽出し、前記抽出した領域に前記電子ビームを走査して照射するように偏向電極制御部で前記偏向電極部を制御した状態で前記電子ビームを走査して照射して前記抽出した領域の画像を取得することを、前記試料からの二次電子を検出しなかった領域が抽出されなくなるまで繰り返し行うことを特徴とする荷電粒子ビーム装置を用いた画像の生成方法。
【請求項7】
請求項5記載の荷電粒子ビーム装置を用いた画像の生成方法であって、前記信号処理・画像生成部において、前記パルスカウント部からの出力信号を処理して形成した前記試料の画像に対して前記抽出した領域の画像に重みつけ処理を行って重ね合わせて合成画像を生成することを特徴とする荷電粒子ビーム装置を用いた画像の生成方法。
【請求項8】
請求項5記載の荷電粒子ビーム装置を用いた画像の生成方法であって、前記信号処理・画像生成部において、前記パルスカウント部からの出力信号を処理して生成した画像から前記試料からの二次電子を検出しなかった領域を抽出し、前記抽出した領域に前記偏向電極部で前記電子ビームを走査して照射するように前記偏向電極制御部を制御することを特徴とする荷電粒子ビーム装置を用いた画像の生成方法。
【請求項9】
請求項5記載の荷電粒子ビーム装置を用いた画像の生成方法であって、前記信号処理・画像生成部において、前記パルスカウント部からの出力信号を処理して前記パルスカウント部からの出力信号がない領域を抽出し、前記抽出した領域に前記偏向電極部で前記電子ビームを走査して照射するように前記偏向電極制御部を制御することを特徴とする荷電粒子ビーム装置を用いた画像の生成方法。
【請求項10】
請求項5記載の荷電粒子ビーム装置を用いた画像の生成方法であって、前記信号処理・画像生成部において、前記パルスカウント部からの出力信号をメモリにデータとして保存し、前記メモリに保存したデータから前記試料からの二次電子を検出しなかった領域を抽出し、前記抽出した領域を前記電子ビームで走査して得られた前記パルスカウント部からの出力信号を前記メモリに保存したデータに加算して前記加算した信号を前記メモリに保存することを、前記試料からの二次電子を検出しなかった領域がなくなるまで繰り返し、前記メモリに保存した前記データから画像を生成することを特徴とする荷電粒子ビーム装置を用いた画像の生成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、荷電粒子ビーム装置及び荷電粒子ビーム装置を用いた画像の生成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
荷電粒子ビーム装置におけるパルスカウンティング方式に関係する先行技術例として、特開2012−226842号公報(特許文献1)、WO2012/039206(特許文献2)に記載された技術がある。
【0003】
特許文献1では、以下の内容が記載されている。多層レイヤにおける下層領域やホールパターンの穴底など,試料から十分な信号量が得られにくい領域に対しても高画質である画像を撮像する。荷電粒子顕微鏡装置を用いた試料の画像撮像方法であって,前記荷電粒子顕微鏡装置の検出器のゲインを第一のゲイン値に設定して前記試料に対して荷電粒子ビームの走査を行い,第一の画像を取得する第一画像取得ステップと,前記検出器のゲインを前記第一のゲイン値とは異なる第二のゲイン値に設定して前記試料に対して荷電粒子ビームの走査を行い,第二の画像を取得する第二画像取得ステップと,前記第一のゲイン値と前記第二のゲイン値を用いて,前記第一の画像と前記第二の画像を合成する画像合成ステップと、を有することを特徴とする画像撮像方法である。
【0004】
特許文献2では、以下の内容が記載されている。本発明の荷電粒子ビーム顕微鏡は、検出粒子(118)の計測処理法の選択手段(153、155)を備え、前記手段は、試料(114)から放出される2次電子(115)数が多い走査領域と、2次電子数の少ない走査領域とで、異なる計測処理法を選択することを特徴とする。これにより、荷電粒子ビーム顕微鏡を用いた試料検査において、放出される2次電子数が少ない孔底や溝底のコントラストを強調した像、及び陰影コントラストを強調した像を短時間で取得することが可能となった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2012−226842号公報
【特許文献2】国際公開WO2012/039206号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
半導体製造プロセスにおいて、半導体基板(ウェハ)上に形成される回路パターンの微細化が急速に進んでおり、それらのパターンが設計通りに形成されているか否か等を監視するプロセスモニタリングの重要性が益々増加している。例えば、半導体製造プロセスにおける異常や不良(欠陥)の発生を早期に或いは事前に検知するために、各製造工程の終了時に、ウェハ上の回路パターン等の計測及び検査が行われる。
【0007】
上記計測・検査の際、走査型電子ビーム方式を用いた電子顕微鏡装置(SEM)などの計測・検査装置及び対応する計測・検査方法においては、対象のウェハ(試料)に対して電子ビーム(電子線)を走査(スキャン)しながら照射し、これにより発生する二次電子・反射などを検出する。そしてその検出に基づき信号処理・画像処理などにより画像(計測画像や検査画像)を生成し、当該画像に基づいて計測、観察又は検査が行われる。
【0008】
従来例のSEM等の計測・検査装置及び方法における電子ビーム走査方式について以下に説明する。例えばCD−SEM(測長SEM)における通常の走査を、TV走査またはラスタ走査などと呼ぶ。またTV走査を基準としてそのn倍速とした走査をn倍速走査などと呼ぶ。
【0009】
従来例のラスタ走査方式またはTV走査方式では、電子ビームの走査方向や走査速度、試料上に形成されたパターンの形状などに応じて、試料の帯電量に違いが生じるという課題がある。すなわち、試料の帯電量の違いにより、二次電子を検出して得た画像において、画像コントラストが低下、あるいは回路パターンのエッジが消失する等、試料表面状態の観察すなわち測定や検査の精度が低下するまたは不可能となる。
【0010】
上記計測・検査の精度低下に関して、単位領域あたりの電子ビーム照射時間を短くし、即ち照射電荷密度を小さくし、試料の帯電量を下げる又は適切にすることが有効である。このためには、電子ビーム照射走査速度をn倍速のように速くすること即ち高速走査を実現することが有効である。しかし、上記電子ビームの高速走査による照射電荷密度低下に伴い、試料から生じる二次電子・反射電子などの発生頻度が減少、すなわち二次電子等の検出頻度が低下する。
【0011】
二次電子・反射電子などの検出方式として、アナログ検出方式とパルスカウンティング方式がある。アナログ検出方式は、二次電子等を信号に変換して平均化した信号強度を検出する方式である。一方、パルスカウンティング方式は、二次電子等を信号に変換して二次電子数に相当する信号数を検出する方式である。二次電子等の発生頻度低下に対して、パルスカウンティング方式は、アナログ検出方式と比較して高い信号対雑音比で検出でき、低頻度の二次電子等検出に有効である。
【0012】
パルスカウンティング方式の電子顕微鏡では、深溝・深穴等の視認性を向上させるため、低頻度で発生する二次電子・反射電子等を漏れなく検出するとともに、二次電子・反射電子等の発生頻度が低下する穴底と、比較的発生頻度の高い表面等の異なる発生頻度の領域を有する検出画像において視認性を両立させることが要求される。特に、二次電子・反射電子等の発生頻度が極端に低下する深穴・深溝の視認性向上に対する要求が高い。
【0013】
前記特許文献1には、第一の画像を取得し、事前に設定した目標信号量と第一の画像から得られた信号量とを比較し、信号量の少ない領域を判定し、再度走査して第二の画像を取得し、第一の画像と第二の画像との合成画像を生成する画像撮像方法において、第二の画像を取得する際、第一の画像の取得条件から、検出器のゲイン、または、試料への照射電流量、照射時間を変更することが記載されている。しかし、この方法では、信号強度を信号量とするアナログ検出方式への適用を前提にしているため、信号数を信号量とするパルスカウンティング方式に適用した場合、信号量の少ない領域を誤判定してしまう可能性がある。
【0014】
前記特許文献2に記載された方法は、二次電子等の発生数を照射電流、照射時間などから算出し、その発生数に応じて処理方式をアナログ検出方式、または、パルスカウンティング方式、交流方式に変更する方法である。しかし、パルスカウンティング方式の信号処理方法に関する記述はない。
【0015】
本発明は、上記した従来技術の課題を解決して、パルスカウンティング方式により二次電子・反射電子等の発生頻度が極端に低下する深穴・深溝の視認性を向上させる可能にする荷電粒子ビーム装置及び荷電粒子ビーム装置を用いた画像の生成方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記した従来技術の課題を解決するために、本発明では、荷電粒子ビーム装置を、電子銃と、この電子銃から発射された電子ビームを偏向させることにより試料に走査して照射する偏向電極部と、電子ビームが走査して照射された試料から発生した二次電子を検出する検出部と、二次電子を検出した検出部の出力を受けて二次電子によるパルス数をカウントするパルスカウント部と、二次電子によるパルス数をカウントしたパルスカウント部からの出力信号を処理して試料の画像を形成する信号処理・画像生成部と、信号処理・画像生成部で処理した結果を受けて偏向電極部を制御する偏向電極制御部と、信号処理・画像生成部で形成した試料の画像を表示する表示部とを備えて構成し、信号処理・画像生成部は、パルスカウント部からの出力信号を処理して試料からの二次電子を検出しなかった領域を抽出してこの抽出した領域に偏向電極部で電子ビームを走査して照射するように偏向電極制御部を制御するようにした。
【0017】
また、上記した課題を解決するために、本発明では、荷電粒子ビーム装置を用いた画像の生成方法において、電子銃から発射された電子ビームを偏向電極部で偏向させることにより試料に走査して照射し、電子ビームが走査して照射された試料から発生した二次電子を検出部で検出し、二次電子を検出した検出部の出力を受けてパルスカウント部で二次電子によるパルス数をカウントし、二次電子によるパルス数をカウントしたパルスカウント部からの出力信号を信号処理・画像生成部で処理して試料の画像を形成し、信号処理・画像生成部で、パルスカウント部からの出力信号を処理して試料からの二次電子を検出しなかった領域を抽出し、信号処理・画像生成部で抽出した領域に電子ビームを走査して照射するように偏向電極制御部で偏向電極部を制御した状態で電子ビームを走査して照射して抽出した領域の画像を取得し、形成した試料の画像と取得した抽出した領域の画像とを重ね合わせて合成画像を生成するようにした。
【発明の効果】
【0018】
本発明のうち代表的な形態によれば、計測・検査装置において、計測・検査画像の視認性を向上することができる。すなわち、荷電粒子ビーム装置及び荷電粒子ビーム装置を用いた画像の生成方法において、パルスカウンティング方式の検出システムにより二次電子・反射電子等の発生頻度が極端に低下する深穴・深溝の視認性を向上させることができるようになった。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】実施例1の走査型電子顕微鏡を用いた計測・観察検査装置の概略の構成を示すブロック図である。
図2】実施例1の二次電子等に相当する信号が検出されない画素を判定し、その画素を再度走査して画像を取得し、取得した画像から合成画像を生成する方法を説明するフローチャートの例である。
図3A】実施例1において計測・観察の対象とする深溝パターンの断面図である。
図3B】実施例1の合成画像を生成する方法を説明する図である。
図4】実施例2の検出信号をもとに、信号処理によって画像を生成するフローチャートの例である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明は、パルスカウンティング方式の検出システムによって画像を取得し、その画像から二次電子等に相当する信号が検出されない画素を判定し、その画素を再度走査して画像を取得し、それを繰り返すことで信号の検出されない画素を削減し、取得した画像から合成画像を生成する処理方法を特徴とする。
【0021】
即ち、本発明では、まず、計測領域全体を電子ビームで走査して全体画像を生成するとともに画像信号から低信号頻度領域を抽出し、この抽出した低信号頻度領域に限定して電子ビームを走査して部分画像を生成するとともにこの部分画像から更に低信号頻度領域を抽出する。次に、全体画像と部分画像を合成し,信号頻度の異なる領域の画像を生成する。この部分画像を生成することと全体画像と部分画像を合成することとを繰り返し行い,低信号頻度領域の信号量を増加させて、計測・検査画像の画質を向上させるようにしたものである。
【0022】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。なお、実施形態の説明するための全図において、同一部には原則として同一符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。以下、計測・観察検査装置および計測・観察検査方法とは、計測、観察、検査のうち何れか一つ又はそれらの組み合わせた場合を含む。
【実施例1】
【0023】
本実施例では、収束させた電子ビームを試料に走査しながら照射して試料から発生する二次電子を検出器で検出する場合に、検出器からの出力で二次電子等(反射電子も含めて、以下、二次電子と記す)に相当する信号が検出されない画素を判定し、その画素に対応する領域を電子ビームで再度走査して信号を取得し、それを繰り返すことで信号の検出されない画素を削減し、取得した信号から合成画像を生成するための方法について説明する。
【0024】
図1に、走査型電子顕微鏡を用いた計測・観察検査装置の一例(概略)を示す。計測・観察検査装置は、走査型電子顕微鏡100とコンピュータ120で構成される。
【0025】
走査型電子顕微鏡100には、電子ビーム102を発射する電子銃101、電子銃101から発射された電子ビーム102を走査するための偏向電極103、計測又は観察又は検査の対象である試料104、電子ビーム102の照射により試料104から発生した二次電子等106を検出して信号107に変換して出力する検出器105、信号107から二次電子等106の個数に相当する信号数を検出・計数して検出信号109を出力するパルスカウント検出システム108、パルスカウント検出システム108から出力された検出信号109から画像情報111および偏向走査情報112を生成する信号処理・画像生成ブロック110、信号処理・画像生成ブロック110で生成された偏向走査情報112から偏向電極103に印加する偏向信号114を生成する偏向走査システム113を備える。
【0026】
信号処理・画像生成ブロック110から出力される計測又は観察又は検査の画像情報111はコンピュータ120に伝送され、計測・観察検査画像121としてユーザインタフェース画面122に表示される。
【0027】
図2に、二次電子等に相当する信号が検出されない画素を判定し、その画素を再度走査して画像を取得し、取得した画像から合成画像を生成する方法を説明するフローチャートを示す。
【0028】
図3Aに、計測・観察対象パターンの断面図を示し、図3Bに計測・観察検査画像121を生成するための合成画像の生成方法を説明する図を示す。
【0029】
本実施例における、二次電子等に相当する信号が検出されない画素を判定し、その画素を再度走査して画像を取得し、取得した画像から合成画像を生成する方法について、図1図3Bを用いて説明する。
【0030】
まず、図2に示したフロー図において、コンピュータ120より走査型電子顕微鏡100を操作して試料104の計測条件および試料104上での電子ビーム102の走査領域300を設定する(S201)。
【0031】
次に、試料104上の設定された走査領域300に電子ビーム102を照射して走査する。図3Aに,走査領域300の一例として、試料104に形成された深溝パターン1041の断面を示す。電子ビーム102を照射して走査した走査領域300から発生した二次電子106のうち検出器105で検出された二次電子は、検出器105で信号107に変換されてパルスカウント検出システム108に入力する。
【0032】
信号107が入力したパルスカウント検出システム108からは、検出信号109が出力されて、信号処理・画像生成ブロック110に入力される。信号処理・画像生成ブロック110では、検出信号109をもとに画像を生成し、第一の画像301を取得する(S202)。
【0033】
信号処理・画像生成ブロック110では、取得した第一の画像301から、第一の画像の検出信号なしの領域302(図3参照)の検出処理を実行し(S203)、この検出処理の結果に基づいて当該領域の有無を判定する(S204)。
【0034】
次に、取得した第一の画像301に検出信号なしの領域302がある場合(S204で「あり」の場合)、カウンタiをインクリメントし(S205)、信号処理・画像生成ブロック110から第一の画像301の検出信号なしの領域302の情報を元に偏向走査情報112を生成する。この生成した偏向走査情報112は偏向走査システム113に伝送され、偏向走査システム113で偏向電極103を制御する偏向信号114に変換して第二の画像の走査領域310を設定する(S206)。
【0035】
偏向電極103は、偏向走査システム113から出力された偏向信号114で制御されて、第二の画像の走査領域310に電子ビーム102を走査し、検出器105で二次電子106を検出して得た信号107をパルスカウント検出システム108に入力し、パルスカウント検出システム108から出力された検出信号109を信号処理・画像生成部ロック110で処理することによって、第二の画像311を取得する(S207)。
【0036】
信号処理・画像生成ブロック110では、取得した第二の画像311から第二の画像の検出信号なしの領域312の検出処理を実行し(S208)、この検出処理の結果に基づいて当該領域の有無を判定する(S209)。
【0037】
S209における判定の結果、第二の画像の検出信号なしの領域312があると判定した場合、S205に戻ってS209までの処理を実施する。第iの画像321に検出信号なしの領域がなくなるまで、S205からS209までの処理を繰り返し実施する。
【0038】
S209における判定の結果、第iの画像に検出信号なしの領域がないと判定した場合、第一の画像301から第iの画像321を元に、カウンタiに応じた重み付けし(具体的には、第iの画像321の輝度をカウンタiの値で除算する:S210)、信号処理・画像生成ブロック110で、図3Bに示す合成画像330を生成する(S211)。その後、合成画像330の画像情報111をコンピュータ120に伝送し、計測・観察検査画像121としてユーザインタフェース画面122に表示する(S212)。
【0039】
以上、本実施例によれば、検出信号なしの領域において、検出信号が得られるまで繰り返し画像を取得し、それらの画像を元に合成画像を生成することで、未検出領域のない計測・観察検査画像を生成することができ、視認性を向上することができる。また、走査領域を限定して画像を取得することにより、画像取得時間を短縮できる。
【0040】
また、電子ビームの照射条件を変えずに複数枚の画像を取得して合成画像を生成するので、同じ画質の複数枚の画像を得ることができ、また、この複数枚の画像間に位置ずれが発生しない。
【0041】
これにより、本発明を適用せずに照射条件を変えて取得した複数枚の画像を重ね合わせて合成画像を生成する場合と比べて、重ね合わせる画像間の重なりの境界領域の明るさ(輝度勾配)がそろっているので、より鮮明でコントラストが良好な合成画像を比較的容易に生成することができる。
【0042】
また、本実施例によれば、信号頻度の異なる計測領域において,高信号頻度領域の信号過多を抑制し,低信号頻度領域の検出信号量を増加でき,計測画像の画質向上を実現することができた。また、低信号頻度領域に限定した走査により,計測領域全体の走査に対して時間短縮でき,スループット向上を実現することができた。
【実施例2】
【0043】
本実施例では、使用メモリ領域の節約と、画像生成時間削減による時間短縮のため、検出信号109を信号処理し、画像を生成する方法について説明する。
【0044】
本実施例における走査型電子顕微鏡を用いた計測・観察検査装置の構成は実施例1で説明した図1の構成と同じである。図4に、検出信号109をもとに、信号処理によって画像を生成するフローチャートを示す。
【0045】
本実施例における、計測・観察検査画像を生成する動作について、図1図4を用いて説明する。
【0046】
まず、コンピュータ120より走査型電子顕微鏡100を操作して試料104の計測条件および走査領域を設定する(S401)。
【0047】
次に、試料104の設定した走査領域に電子ビーム102を照射して走査するように偏向電極103を制御し、発生した二次電子106のうち検出器105で検出された二次電子を検出器105で信号107に変換してパルスカウント検出システム108に入力し、パルスカウント検出システム108から検出信号109を出力して信号処理・画像生成ブロック110に入力する。
【0048】
信号処理・画像生成ブロック110では、入力された検出信号109をカウンタiが1のときの検出信号(i=1)として取得し(S402)、この検出信号(i=1)を図示していない信号処理・画像生成ブロック110のメモリ(1)に保存する(S403)。信号処理・画像生成ブロック110では、メモリ(1)の検出信号なしの領域を検出する処理を実行し(S404)、この検出処理の結果に基づいて検出信号なしの領域の有無を判定する(S405)。
【0049】
次に、検出信号なしの領域がある場合(S405で「あり」の場合)、カウンタiをインクリメントし(S406)、S404においてメモリ(1)から検出された検出信号なしの領域をもとに、第2の走査範囲を設定し(S407)、この設定した第2の走査範囲に電子ビーム102を照射して走査することにより、S402で説明したのと同じ方法で処理して、検出信号(2)を取得する(S408)。
【0050】
信号処理・画像生成ブロック110で、検出信号(2)をカウンタiに応じた重み付けをし(具体的には、カウンタiの値で除算する)(S409)、メモリ(2)に保存する(S410)。その後、メモリ(1)にメモリ(2)を加算し(S411)、メモリ(1)に保存する(S412)。保存されたメモリ(1)から、検出信号なしの領域を検出し(S413)、検出信号なしの領域の有無を判定する(S414)。
【0051】
S414における判定の結果、メモリ(1)に検出信号なしの領域があると判定した場合、S406からS414までに処理を繰り返し実施する。
【0052】
S414における判定の結果、メモリ(1)に検出信号なしの領域がないと判定した場合、信号処理・画像生成ブロック110で、メモリ(1)に保存された信号をもとに画像を生成し(S415)、生成した画像の画像情報111をコンピュータ120に伝送し、計測・観察検査画像121としてユーザインタフェース画面122に表示する(S416)。
【0053】
以上、本実施例によれば、検出信号なしの領域毎に画像を生成することなく、計測・観察検査画像を生成することでき、使用メモリ領域の節約と、画像生成時間削減による時間短縮が可能となる。
【0054】
また、電子ビームの照射条件を変えずに取得した複数枚の画像から合成画像を生成するので、同じ画質の複数枚の画像を得ることができ、また、この複数枚の画像間に位置ずれが発生しない。
【0055】
これにより、本発明を適用せずに照射条件を変えて取得した複数枚の画像を重ね合わせて合成画像を生成する場合と比べて、重ね合わせる画像間の重なりの境界領域の明るさ(輝度勾配)がそろっているので、より鮮明でコントラストが良好な合成画像を比較的容易に生成することができる。
【0056】
また、本実施例によれば、信号頻度の異なる計測領域において,高信号頻度領域の信号過多を抑制し,低信号頻度領域の検出信号量を増加でき,計測画像の画質向上を実現することができた。また、低信号頻度領域に限定した走査により,計測領域全体の走査に対して時間短縮でき,スループット向上を実現することができた。
【0057】
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。
【0058】
また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。また、上記の各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等によりハードウェアで実現してもよい。また、上記の各構成、機能等は、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによりソフトウェアで実現してもよい。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリや、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の記録装置、または、ICカード、SDカード、DVD等の記録媒体に置くことができる。
【符号の説明】
【0059】
100…走査型電子顕微鏡 101…電子銃 102…電子ビーム 103…偏向電極 104…試料 105…検出器 106…二次電子 108…パルスカウント検出システム 109…検出信号 110…信号処理・画像生成ブロック
113…偏向走査システム 120…コンピュータ 121…計測・観察検査画像
122…ユーザインタフェース画面。
図1
図2
図3A
図3B
図4