特許第6576839号(P6576839)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6576839
(24)【登録日】2019年8月30日
(45)【発行日】2019年9月18日
(54)【発明の名称】パレット搬送装置及びシステム
(51)【国際特許分類】
   B65G 1/04 20060101AFI20190909BHJP
【FI】
   B65G1/04 565
【請求項の数】2
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-4886(P2016-4886)
(22)【出願日】2016年1月14日
(65)【公開番号】特開2017-124910(P2017-124910A)
(43)【公開日】2017年7月20日
【審査請求日】2018年7月31日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000099
【氏名又は名称】株式会社IHI
(73)【特許権者】
【識別番号】000198363
【氏名又は名称】IHI運搬機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118267
【弁理士】
【氏名又は名称】越前 昌弘
(72)【発明者】
【氏名】塙 裕彰
(72)【発明者】
【氏名】松尾 研吾
(72)【発明者】
【氏名】山田 圭介
【審査官】 松江川 宗
(56)【参考文献】
【文献】 特公平07−029681(JP,B2)
【文献】 特公昭37−017906(JP,B1)
【文献】 特開2014−020061(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 1/00−1/133,1/14−1/20
E04H 6/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体が載置される上面部と縦方向に延在する縦レール及び横方向に延在する横レールが井桁状に配置された下面部とを備えたパレットを搬送するパレット搬送装置であって、
前記縦レールと前記横レールとの交差部に対応する位置に配置され前記パレットを前記縦方向又は前記横方向に搬送する複数のパレット搬送ローラと、
前記複数のパレット搬送ローラを同時に前記縦方向又は前記横方向に転向させる転向装置と、を備え、
前記転向装置は、前記複数のパレット搬送ローラのうち対角線上に位置するパレット搬送ローラ同士を連結する複数の転向リンクと、該複数の転向リンクの交差部に配置され前記複数の転向リンクを回動可能に連結する連結ピンと、前記複数の転向リンクを移動させる駆動源と、を備え、
前記駆動源は、前記複数の転向リンクを前記縦方向に移動させるように配置されており、
前記複数の転向リンクのうち何れか一方の転向リンクは、前記連結ピンの挿通部が長孔形状を有している、
ことを特徴とするパレット搬送装置。
【請求項2】
物体を載置する複数のパレットと、該複数のパレットを縦方向又は横方向に搬送する複数のパレット搬送装置と、を備え、前記複数のパレット搬送装置を前記縦方向及び前記横方向に整列配置して、前記複数のパレット搬送装置上で前記複数のパレットを前記縦方向及び前記横方向に搬送することにより前記物体を搬出入するパレット搬送システムであって、
前記パレット搬送装置は、請求項1に記載のパレット搬送装置である、ことを特徴とするパレット搬送システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パレット搬送装置及びシステムに関し、特に、物体が載置されるパレットをパレットの縦方向及び横方向に搬送するパレット搬送装置及びパレット搬送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
物体をパレットに載置して所望の場所まで搬送するパレット搬送システムが種々の設備で採用されている。例えば、駐車装置では、パレットに自動車を載置した状態で所定の場所に搬送して収容し、あるいは、自動車を載置したパレットを収容場所から入出庫口まで搬送して利用者に供給している。また、物流センターや工場等の自動倉庫では、製品や部品をパレットに載置した状態で所定の場所に収容し、あるいは、製品や部品を所定の場所から取り出して作業者に供給している。
【0003】
これらのパレット搬送システムでは、物体を所定の場所に搬送するため、パレットを縦方向及び横方向に移動できるように構成されている。例えば、自動車が載置されるパレットの下面部に縦レール及び横レールを井桁状に配置し、これらのレールに係合してパレットを搬送する複数の搬送ローラを搬送方向に転向自在に構成した搬送装置がある(例えば、特許文献1及び2参照)。かかる搬送装置では、複数の搬送ローラを隣接する順に転向リンクで連結し、駆動源を用いて各転向リンクを連結された順に変位させることにより、各搬送ローラをパレットの搬送方向に転向させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特公平7−29681号公報
【特許文献2】特開2013−216442号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した特許文献1及び2に記載された装置では、複数の搬送ローラを隣接する順に転向リンクで連結する構成であるため、例えば、n個の搬送ローラを有する搬送装置であれば、(n−1)本の転向リンクが必要となる。この場合、例えば、上述した駐車装置や自動倉庫のように、多数の収容場所を必要とする設備では、各収容場所に配置される搬送装置毎に(n−1)本の転向リンクが必要となる。したがって、設備が複雑かつ高価となる不具合が指摘されている。
【0006】
本発明はかかる問題点に鑑み創案されたものであり、装置構成の簡略化及び装置価格の低廉化を図ることができるパレット搬送装置及びシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、物体が載置される上面部と縦方向に延在する縦レール及び横方向に延在する横レールが井桁状に配置された下面部とを備えたパレットを搬送するパレット搬送装置であって、前記縦レールと前記横レールとの交差部に対応する位置に配置され前記パレットを前記縦方向又は前記横方向に搬送する複数のパレット搬送ローラと、前記複数のパレット搬送ローラを同時に前記縦方向又は前記横方向に転向させる転向装置と、を備え、前記転向装置は、前記複数のパレット搬送ローラのうち対角線上に位置するパレット搬送ローラ同士を連結する複数の転向リンクと、該複数の転向リンクの交差部に配置され前記複数の転向リンクを回動可能に連結する連結ピンと、前記複数の転向リンクを移動させる駆動源と、を備え、前記駆動源は、前記複数の転向リンクを前記縦方向に移動させるように配置されており、前記複数の転向リンクのうち何れか一方の転向リンクは、前記連結ピンの挿通部が長孔形状を有している、ことを特徴とするパレット搬送装置が提供される。
【0008】
また、本発明によれば、物体を載置する複数のパレットと、該複数のパレットを縦方向又は横方向に搬送する複数のパレット搬送装置と、を備え、前記複数のパレット搬送装置を前記縦方向及び前記横方向に整列配置して、前記複数のパレット搬送装置上で前記複数のパレットを前記縦方向及び前記横方向に搬送することにより前記物体を搬出入するパレット搬送システムであって、前記パレット搬送装置は、前記物体が載置される上面部と縦方向に延在する縦レール及び横方向に延在する横レールが井桁状に配置された下面部とを備えたパレットを搬送するパレット搬送装置であり、前記縦レールと前記横レールとの交差部に対応する位置に配置され前記パレットを前記縦方向又は前記横方向に搬送する複数のパレット搬送ローラと、前記複数のパレット搬送ローラを同時に前記縦方向又は前記横方向に転向させる転向装置と、を備え、前記転向装置は、前記複数のパレット搬送ローラのうち対角線上に位置するパレット搬送ローラ同士を連結する複数の転向リンクと、該複数の転向リンクの交差部に配置され前記複数の転向リンクを回動可能に連結する連結ピンと、前記複数の転向リンクを移動させる駆動源と、を備え、前記駆動源は、前記複数の転向リンクを前記縦方向に移動させるように配置されており、前記複数の転向リンクのうち何れか一方の転向リンクは、前記連結ピンの挿通部が長孔形状を有している、ことを特徴とするパレット搬送システムが提供される。
【発明の効果】
【0012】
上述した本発明に係るパレット搬送装置及びシステムによれば、複数のパレット搬送ローラを転向装置により同時に転向させるようにしたことから、複数のパレット搬送ローラを順に転向させる多数の転向リンクを配置する必要がなく、装置構成の簡略化及び装置価格の低廉化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態に係るパレット搬送システムを示す平面断面図である。
図2図1に示したパレットの下面図である。
図3】パレット搬送ローラが横方向の搬送状態に設定されたパレット搬送装置の平面図である。
図4】パレット搬送ローラの転向中の状態を示すパレット搬送装置の平面図である。
図5】パレット搬送ローラが縦方向の搬送状態に設定されたパレット搬送装置の平面図である。
図6】パレット搬送装置の部分詳細説明図であり、(a)は図3におけるVI−VI線断面図、(b)は図3に示した転向リンクの連結部の裏面図、を示している。
図7】本発明の他の実施形態に係るパレット搬送装置を示す概略構成図であり、(a)は第二実施形態、(b)は第三実施形態、(c)は第四実施形態、を示している。
図8】本発明の他の実施形態に係るパレット搬送装置を示す概略構成図であり、(a)は第五実施形態、(b)は第六実施形態、(c)は第七実施形態、を示している。
図9】本発明の第八実施形態に係るパレット搬送装置を示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態に係るパレット搬送システムについて図1図6(b)を用いて説明する。なお、本実施形態に係るパレット搬送システムは、第一実施形態に係るパレット搬送装置を含んでいる。
【0015】
本発明の一実施形態に係るパレット搬送システム1は、例えば、図1に示したように、物体Wを載置する複数のパレット2と、複数のパレット2を縦方向(図のX方向)又は横方向(図のY方向)に搬送する複数のパレット搬送装置3と、を備えている。また、パレット搬送システム1は、複数のパレット搬送装置3を縦方向及び横方向に整列配置して、複数のパレット搬送装置3上で複数のパレット2を縦方向及び横方向に搬送することにより物体Wを搬出入するシステムである。
【0016】
図1に示したパレット搬送システム1は、例えば、立体駐車場や地下駐車場に設置され、物体Wである自動車を複数台収容可能な駐車装置である。なお、図示しないが、本実施形態に係るパレット搬送システム1は、部品や商品等の物体Wを所定の場所に収容し、必要に応じて取り出して供給する自動倉庫等の倉庫設備にも適用することができる。
【0017】
また、パレット搬送システム1は、例えば、収容空間を形成する床面11及び壁面12と、物体Wを搬出入する出入口13と、を有しており、床面11上(例えば、床面11に配置された台座11a上)にパレット搬送装置3が縦方向(図のX方向)及び横方向(図のY方向)に整列配置されている。図1に示した実施形態では、12台のパレット搬送装置3が縦方向に4列かつ横方向に3行に整列配置されており、出入口13にも同様のパレット搬送装置3が1台配置されているが、かかる配置に限定されるものではない。なお、本実施形態において、説明の便宜上、パレット2の長手方向を縦方向(図のX方向)、短手方向を横方向(図のY方向)としている。
【0018】
整列配置されたパレット搬送装置3上には、例えば、パレット搬送装置3の台数−1の枚数(ここでは、11枚)のパレット2が配置される。整列配置されたパレット搬送装置3の台数よりも少ない枚数のパレット2を配置することにより、パレット2が載置されていないパレット搬送装置3が必ず少なくとも1台は確保することができ、そのスペースを利用して、パレット2をスライディングブロックパズルのように移動させることによって、任意の位置に搬送することができる。なお、出入口13に配置されたパレット搬送装置3は、移動台車や昇降台車上に配置されていてもよい。
【0019】
パレット2は、上面部2aに物体Wを載置する部材である。パレット2は、例えば、図示したように、長方形の外形を有する板材であるが、かかる形状に限定されるものではなく、箱形状等であってもよい。パレット2の下面部2bには、例えば、図2に示したように、縦方向に延在する2本の縦レール21と横方向に延在する2本の横レール22とがそれぞれ直交するように井桁状に配置されている。
【0020】
また、縦レール21と横レール22との交差部には、例えば、図の矢印方向に回動可能な切替レール23が配置される。切替レール23は、図示したように、Y方向に延在するように配置されている場合には、横レール22に沿ってパレット2を搬送可能な状態にすることができる。また、切替レール23は、X方向に延在するように配置されている場合には、縦レール21に沿ってパレット2を搬送可能な状態にすることができる。
【0021】
パレット搬送装置3は、物体Wが載置される上面部2aと縦方向に延在する縦レール21及び横方向に延在する横レール22が井桁状に配置された下面部2bとを備えたパレット2を搬送する装置である。また、パレット搬送装置3は、縦レール21と横レール22との交差部に配置されパレット2を縦方向又は横方向に搬送する複数のパレット搬送ローラ31と、複数のパレット搬送ローラ31を同時に縦方向又は横方向に転向させる転向装置32と、を備えている。
【0022】
パレット搬送装置3は、例えば、図3図5に示したように、パレット2の切替レール23と対応する位置に配置された4個のパレット搬送ローラ31と、これらのパレット搬送ローラ31を転向させる転向装置32と、パレット搬送ローラ31及び転向装置32を支持する支持フレーム33と、備えている。支持フレーム33は、例えば、略四角形状の外形を有し、床面11上に配置されたフレーム構造体であるが、かかる構造に限定されるものではない。
【0023】
パレット搬送ローラ31は、パレット搬送装置3上に載置されたパレット2を縦方向(X方向)又は横方向(Y方向)に搬送する。例えば、図3に示したパレット搬送ローラ31は、パレット2を横方向(Y方向)に搬送可能な状態に設定されており、図5に示したパレット搬送ローラ31は、パレット2を縦方向(X方向)に搬送可能な状態に設定されている。
【0024】
パレット搬送ローラ31は、例えば、図6(a)に示したように、支持フレーム33に固定されるブラケット311と、ブラケット311にベアリング312を介して回動自在に軸支される転向プレート313と、転向プレート313に固定されパレット搬送ローラ31を回転自在に軸支する一対のブラケット314と、ブラケット314の上面部に配置されパレット2の縦レール21又は横レール22の側面部に当接するガイドローラ315と、を備えている。したがって、転向プレート313を回動させることによって、パレット搬送ローラ31を縦方向(X方向)又は横方向(Y方向)に転向させることができる。
【0025】
また、例えば、図3に示した4個のパレット搬送ローラ31のうち、対角線上に位置する2個のパレット搬送ローラ31には、図6(a)に示したように、駆動モータ316が配置された駆動ローラを構成している。一方、残りの2個のパレット搬送ローラ31には駆動モータ316が配置されておらず、従動ローラを構成している。なお、上述したパレット搬送ローラ31の構成は単なる例示であって、かかる構成に限定されるものではない。例えば、全てのパレット搬送ローラ31に駆動モータ316を配置するようにしてもよい。
【0026】
転向装置32は、例えば、図3に示したように、4個のパレット搬送ローラ31のうち対角線上に位置するパレット搬送ローラ31同士を連結する2本の転向リンク321と、これらの転向リンク321の交差部に配置され転向リンク321を回動可能に連結する連結ピン322と、転向リンク321を移動させる駆動源323と、を備えている。上述したパレット搬送ローラ31の転向プレート313は、図示したように、パレット搬送ローラ31から張り出した部分を有しており、その張り出した部分に転向リンク321の端部が回動可能にピン結合される。
【0027】
したがって、転向リンク321は、パレット搬送ローラ31の回動軸(XY平面に垂直な軸)に対して一定量だけオフセットされた位置に接続されていることになる。例えば、X方向のオフセット量は、全てのパレット搬送ローラ31について同じ方向(ここでは、X方向のマイナス側)に同じ量だけ設定され、Y方向のオフセット量は、Y方向に対峙するパレット搬送ローラ31の内向き方向(ここでは、図の上側に位置するパレット搬送ローラ31はY方向のマイナス側、図の下側に位置するパレット搬送ローラ31はY方向のプラス側)に同じ量だけ設定される。
【0028】
2本の転向リンク321は、同じ長さを有しており、連結ピン322によりX字状に配置されている。連結ピン322は、例えば、転向リンク321の中点に配置される。また、図6(b)に示したように、2本の転向リンク321のうち何れか一方(例えば、下側)の転向リンク321は、連結ピン322の挿通部324が転向リンク321の長手方向に垂直な方向に長軸が配置された長孔形状を有していてもよい。このように一方の転向リンク321の挿通部324を長孔形状とすることにより、製造公差、組立公差、動作時の負荷等に起因する転向リンク321のガタを吸収することができ、転向リンク321の円滑な駆動を促進することができ、応力集中を緩和することもできる。
【0029】
駆動源323は、例えば、伸縮可能なロッド325を有する電動アクチュエータであり、支持フレーム33に揺動可能に配置されている。駆動源323を揺動可能に配置することにより、駆動時におけるガタを容易に吸収することができる。ロッド325は、X方向に沿って延在するように配置されており、その先端は連結ピン322に接続されている。したがって、ロッド325を伸縮させることによって、連結ピン322をX方向に沿って移動させることができる。この連結ピン322の移動によって、2本の転向リンク321は、交差角度を変えながらX方向に移動することとなる。すなわち、駆動源323は、2本の転向リンク321を縦方向(X方向)に移動させるように配置されている。
【0030】
ここで、パレット搬送ローラ31の転向方法について、図3図5を参照しつつ説明する。いま、図3に示したように、パレット搬送ローラ31は、パレット2を横方向(Y方向)に搬送可能な状態に設定されているものとする。
【0031】
図4に示したように、駆動源323を作動させてロッド325を縮めることにより、連結ピン322はX方向(図の右方向)に移動することとなる。このとき、各転向リンク321の両端は、転向プレート313に回動可能に接続されていることから、各転向プレート313を図の矢印方向に回動させながらX方向に移動する。この転向プレート313の回動に伴って、パレット搬送ローラ31も同じ方向に転向することとなる。なお、転向リンク321は連結ピン322によって回動可能に連結されていることから、転向リンク321のX方向の移動に伴って交差角度が変化することとなる。
【0032】
また、上述したように、ガイドローラ315は切替レール23の側面部に当接していることから、転向プレート313の回動に伴って、切替レール23もパレット搬送ローラ31と同様に同じ方向に転向することとなる。
【0033】
そして、更にロッド325を縮めることにより、図5に示したように、各転向プレート313を90°だけ回動させ、その状態で駆動源323の作動を停止する。このとき、パレット搬送ローラ31及び切替レール23は、図示したように、パレット2を縦方向(X方向)に搬送可能な状態に設定される。
【0034】
ここでは、パレット搬送ローラ31を横方向の搬送状態から縦方向の搬送状態に転向させる場合について説明したが、パレット搬送ローラ31を縦方向の搬送状態から横方向の搬送状態に転向させる場合には、図5に示した状態からロッド325を伸ばして図3に示した状態にすればよい。
【0035】
かかるパレット搬送装置3によれば、複数のパレット搬送ローラ31を転向装置32により略同時に転向動作を開始することができ、複数のパレット搬送ローラ31を順に転向させる多数の転向リンクを配置する必要がなく、装置構成の簡略化及び装置価格の低廉化を図ることができる。また、かかるパレット搬送装置3をパレット搬送システム1に適用することにより、パレット2を任意に縦方向及び横方向に搬送することができ、物体Wの搬出入を効率よく処理することができる。
【0036】
次に、本発明の他の実施形態に係るパレット搬送装置3について、図7(a)〜図9を参照しつつ説明する。なお、上述した第一実施形態と同一の構成部品については、同一の符号を付して重複した説明を省略する。また、各図において、支持フレーム33を省略するとともに、パレット搬送ローラ31の構成を簡略化して図示している。
【0037】
図7(a)に示した第二実施形態は、駆動源323のロッド325の先端を転向リンク321に接続したものである。具体的には、ロッド325の先端は、転向リンク321の端部と中点との間に接続される。また、駆動源323は、ロッド325がX方向に延在するように配置される。このように、ロッド325の先端を転向リンク321に直に接続した場合であっても、ロッド325をX方向に伸縮させることにより転向プレート313、すなわち、パレット搬送ローラ31を縦方向又は横方向に転向させることができる。
【0038】
図7(b)に示した第三実施形態は、駆動源323のロッド325の先端を転向プレート313に接続したものである。具体的には、1つの転向プレート313をパレット搬送ローラ31の回動軸の反対側まで延設し、転向リンク321が接続された端部と反対側の端部にロッド325の先端を接続している。このように、ロッド325の先端を転向プレート313に接続した場合であっても、ロッド325をX方向に伸縮させることにより転向プレート313、すなわち、パレット搬送ローラ31を縦方向又は横方向に転向させることができる。
【0039】
図7(c)に示した第四実施形態は、図7(b)に示した第三実施形態の駆動源323を電動アクチュエータから歯車機構に変更したものである。具体的には、パレット搬送装置3は、パレット搬送ローラ31の回動軸(XY平面に垂直な軸)と同軸に配置された従動歯車326と、従動歯車326を回転させる駆動歯車327と、を備え、転向プレート313は従動歯車326に固定されている。従動歯車326は、例えば、傘歯車や冠歯車である。駆動歯車327は、従動歯車326に噛合可能なピニオンと、ピニオンを回転させる駆動モータと、を備えている。このように、駆動源323を歯車機構に変更した場合であっても、転向プレート313、すなわち、パレット搬送ローラ31を縦方向又は横方向に転向させることができる。
【0040】
図8(a)に示した第五実施形態は、転向装置32が、4個のパレット搬送ローラ31のそれぞれに同軸上に配置されたピニオン328と、4個のパレット搬送ローラ31のうち、対角線上に位置するパレット搬送ローラ31に配置されたピニオン328同士を連結する2本の駆動ロッド329と、2本の駆動ロッド329をそれぞれ移動させる駆動源323と、を備えたものである。駆動ロッド329は、例えば、ラックであり、互いに干渉しないように、上下方向に離隔した状態に配置されている。また、各ピニオン328は連結される駆動ロッド329と同じ高さに配置されている。また、駆動源323は同期させて駆動させることが好ましい。
【0041】
かかるラック・ピニオン機構を有する転向装置32であっても、リンク機構を有する転向装置(例えば、第一実施形態)と同様に、複数のパレット搬送ローラ31を転向装置32により略同時に転向動作を開始することができ、複数のパレット搬送ローラ31を順に転向させる多数の転向リンクを配置する必要がなく、装置構成の簡略化及び装置価格の低廉化を図ることができる。なお、転向装置32は、ラック・ピニオン機構に替えてボールねじ機構であってもよい。
【0042】
図8(b)に示した第六実施形態は、転向装置32が、4個のパレット搬送ローラ31のそれぞれに同軸上に配置されたピニオン328と、4個のパレット搬送ローラ31のうち、縦方向に位置するパレット搬送ローラ31に配置されたピニオン328同士を連結する2本の駆動ロッド329と、2本の駆動ロッド329をそれぞれ移動させる駆動源323と、を備えたものである。ここでは、縦方向に位置するパレット搬送ローラ31に配置されたピニオン328同士を駆動ロッド329で連結しているが、横方向に位置するパレット搬送ローラ31に配置されたピニオン328同士を駆動ロッド329で連結するようにしてもよい。なお、駆動源323は同期させて駆動させることが好ましい。かかる構成によっても、上述した第五実施形態と同様の効果を有する。
【0043】
図8(c)に示した第七実施形態は、図8(b)に示した第六実施形態の駆動ロッド329を連結部材320によって一体に構成し、連結部材320に駆動源323を接続したものである。かかる実施形態によれば、図8(b)に示した第六実施形態と比較して、駆動源323の個数を低減することができ、装置の軽量化及び低廉化を図ることができる。
【0044】
図9に示した第八実施形態は、6個のパレット搬送ローラ31を有するものである。かかる実施形態は、パレット2が下面部2bの6箇所に切替レール23を有する場合に適用される。具体的には、図示したパレット搬送装置3は、6個のパレット搬送ローラ31のうち隣接する4個のパレット搬送ローラ31同士を対角線上に連結する4本の転向リンク321を備えている。すなわち、本実施形態における転向装置32は、X字状に連結された転向リンク321をX方向に2つ連結した構成を有している。駆動源323は、例えば、1つの連結ピン322をX方向に移動させるように配置される。なお、2つの駆動源323を用意し、各駆動源323を2つの連結ピン322にそれぞれ接続するようにしてもよい。
【0045】
このように、6個以上のパレット搬送ローラ31を有する場合であっても、上述した第一実施形態と同様の構成により、複数のパレット搬送ローラ31を同時に縦方向又は横方向に転向させることができる。すなわち、パレット搬送装置3が、2n個(nは2以上の整数)のパレット搬送ローラ31を有する場合には、2(n−1)本の転向リンク321を配置すればよい。
【0046】
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更が可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0047】
1 パレット搬送システム
2 パレット
2a 上面部
2b 下面部
3 パレット搬送装置
11 床面
11a 台座
12 壁面
13 出入口
21 縦レール
22 横レール
23 切替レール
31 パレット搬送ローラ
32 転向装置
33 支持フレーム
311 ブラケット
312 ベアリング
313 転向プレート
314 ブラケット
315 ガイドローラ
316 駆動モータ
320 連結部材
321 転向リンク
322 連結ピン
323 駆動源
324 挿通部
325 ロッド
326 従動歯車
327 駆動歯車
328 ピニオン
329 駆動ロッド

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9