特許第6589241号(P6589241)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6589241化合物、有機エレクトロルミネッセンス素子用材料、インク組成物、有機エレクトロルミネッセンス素子、電子機器、及び化合物の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6589241
(24)【登録日】2019年9月27日
(45)【発行日】2019年10月16日
(54)【発明の名称】化合物、有機エレクトロルミネッセンス素子用材料、インク組成物、有機エレクトロルミネッセンス素子、電子機器、及び化合物の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C07D 403/14 20060101AFI20191007BHJP
   H01L 51/50 20060101ALI20191007BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20191007BHJP
【FI】
   C07D403/14CSP
   H05B33/14 B
   H05B33/22 B
   H05B33/22 D
   !C07B61/00 300
【請求項の数】28
【全頁数】203
(21)【出願番号】特願2015-553594(P2015-553594)
(86)(22)【出願日】2014年12月17日
(86)【国際出願番号】JP2014083486
(87)【国際公開番号】WO2015093551
(87)【国際公開日】20150625
【審査請求日】2017年7月27日
(31)【優先権主張番号】特願2013-261799(P2013-261799)
(32)【優先日】2013年12月18日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2014-74090(P2014-74090)
(32)【優先日】2014年3月31日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000183646
【氏名又は名称】出光興産株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078732
【弁理士】
【氏名又は名称】大谷 保
(74)【代理人】
【識別番号】100131635
【弁理士】
【氏名又は名称】有永 俊
(72)【発明者】
【氏名】池田 潔
(72)【発明者】
【氏名】川上 宏典
【審査官】 伊藤 幸司
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2013/165192(WO,A1)
【文献】 国際公開第2012/134124(WO,A1)
【文献】 国際公開第2012/086170(WO,A1)
【文献】 特表2012−508718(JP,A)
【文献】 特表2012−503006(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/012297(WO,A1)
【文献】 国際公開第2015/020217(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
H01L
C07B
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(1)で表される化合物。
【化1】
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(式(1)において、
a及びbの一方は炭素原子c1に結合し、他方は炭素原子c2に結合し、
は置換もしくは無置換のフェニル基を表し、
はCRを表し、Rは水素原子又は置換基を表し、RはRに結合して芳香族炭化水素環を形成してもよく、
bが炭素原子c2に結合し、XがCRを表し、かつ、RがRに結合して芳香族炭化水素環を形成する場合、−R−R−は−X=X−X=X−を表し、
〜Xは、それぞれ独立して、CRを表し、Rは水素原子又は置換基を表し、隣接する2個のRは互いに結合して芳香族炭化水素環を形成してもよく、
は置換もしくは無置換のフェニレン基又はRと結合して芳香族炭化水素環を形成する原子群を表し、
nが0であり、Lは単結合を表し、
及びAは互いに異なり、下記式(2)、(2’)、(3)、(3’)、及び(3’’)のいずれかで表される基である。
【化2】
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(式(2)において、
2は式(1)の炭素原子c1、炭素原子c2、又は、Lに結合し、
〜X10の1つは3に結合する炭素原子であり、
12〜X16の1つは4に結合する炭素原子であり、
他のX〜X11、他のX12〜X16、X〜X、及びX17〜X21はCRを表し、
は水素原子又は置換基を表し、
とX11は互いに結合する炭素原子であり、X16とX21は互いに結合する炭素原子であってもよく、
22は、NRを表し、
は水素原子又は置換基を表す。)
【化3】
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(式(2’)において、
2、X〜X11、X12〜X16、X17〜X21、及びX22は前記と同様であり、
’〜X’の1つは3’に結合する炭素原子であり、
12’〜X16’の1つは4’に結合する炭素原子であり、
他のX’〜X’、他のX12’〜X16’、及びX17’〜X21’はCRを表し、
は前記と同様であり、
’とX11は互いに結合する炭素原子であり、X16とX21は互いに結合する炭素原子であってもよく、X16’とX21’は互いに結合する炭素原子であってもよく、
22’は、NRを表し、
は前記と同様である。)
【化4】
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(式(3)において、
5は式(1)の炭素原子c1、炭素原子c2、又は、Lに結合し、
37〜X40の1つは6に結合する炭素原子であり、
他のX37〜X41、X32〜X36、及びX42〜X51はCRを表し、
は水素原子又は置換基を表し、
36とX41は互いに結合する炭素原子であり、X46とX51は互いに結合する炭素原子であってもよい。)
【化5】
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(式(3’)において、
5、X37〜X41、及びX42〜X51は前記と同様であり、
32’〜X35’の1つは6’に結合する炭素原子であり、
他のX32’〜X36’及びX42’〜X51’はCRを表し、
は前記と同様であり、
36’とX41は互いに結合する炭素原子であり、X46とX51は互いに結合する炭素原子であってもよく、X46’とX51’は互いに結合する炭素原子であってもよい。)
【化6】
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(式(3’’)において、
5、X37〜X41、及びX42〜X51は前記と同様であり、
32’’〜X35’’の1つは3’’に結合する炭素原子であり、
12’’〜X16’’の1つは4’’に結合する炭素原子であり、
他のX32’’〜X36’’、他のX12’’〜X16’’、及びX17’’〜X21’’はCRを表し、
は前記と同様であり、
36’’とX41は互いに結合する炭素原子であり、X46とX51は互いに結合する炭素原子であってもよく、X16’’とX21’’は互いに結合する炭素原子であってもよく、
22’’は、NRを表し、
は前記と同様である。)
【請求項2】
下記式(1a)で表される請求項1に記載の化合物。
【化7】
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(式(1a)において、R、X、L、L、n、A、及びAは前記と同様である。)
【請求項3】
下記式(1b)で表される請求項1に記載の化合物。
【化8】
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(式(1b)において、R、X、L、L、n、A、及びAは前記と同様である。)
【請求項4】
下記式(1c)で表される請求項1又は3に記載の化合物。
【化9】
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(式(1b)において、X〜X、L、L、n、A、及びAは前記と同様である。)
【請求項5】
前記A及びAが下記式のいずれかで表される基である請求項1〜4のいずれか1項に記載の化合物。
【化10】
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(式(2a)〜(2c)において、2及びX〜X22は前記と同様である。)
【化11】
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【化12】
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(式(2’a)〜(2’i)において、2、X〜X22、X’〜X’、及びX12’〜X22’は前記と同様である。)
【化13】
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(式(3a)及び(3b)において、5及びX32〜X51は前記と同様である。)
【化14】
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(式(3’a)〜(3’c)において、5、X37〜X51、X32’〜X36’、及びX42’〜X51’は前記と同様である。)
【化15】
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【化16】
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(式(3’’a)〜(3’’f)において、5、X37〜X51、X32’’〜X36’’、及びX12’’〜X22’’は前記と同様である。)
【請求項6】
前記A及びAが下記式のいずれかで表される基である請求項1〜5のいずれか1項に記載の化合物。
【化17】
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(式(2a−1)〜(2a−2)において、2及び各X基は前記と同様である。)
【化18】
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(式(2b−1)〜(2b−2)において、2及び各X基は前記と同様である。)
【化19】
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(式(2c−1)〜(2c−2)において、2及び各X基は前記と同様である。)
【化20】
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(式(2’a−1)〜(2’a−3)において、2及び各X基は前記と同様である。)
【化21】
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(式(2’b−1)〜(2’b−4)において、2及び各X基は前記と同様である。)
【化22】
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(式(2’c−1)〜(2’c−4)において、2及び各X基は前記と同様である。)
【化23】
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(式(2’d−1)〜(2’d−3)において、2及び各X基は前記と同様である。)
【化24】
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(式(2’e−1)〜(2’e−4)において、2及び各X基は前記と同様である。)
【化25】
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(式(2’f−1)〜(2’f−4)において、2及び各X基は前記と同様である。)
【化26】
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(式(2’g−1)〜(2’g−3)において、2及び各X基は前記と同様である。)
【化27】
[この文献は図面を表示できません]
(式(2’h−1)〜(2’h−4)において、2及び各X基は前記と同様である。)
【化28】
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(式(2’i−1)〜(2’i−4)において、2及び各X基は前記と同様である。)
【化29】
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(式(3a−1)〜(3a−2)において、5及び各X基は前記と同様である。)
【化30】
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(式(3b−1)〜(3b−2)において、5及び各X基は前記と同様である。)
【化31】
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(式(3’a−1)〜(3’a−3)において、5及び各X基は前記と同様である。)
【化32】
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(式(3’b−1)〜(3’b−4)において、5及び各X基は前記と同様である。)
【化33】
[この文献は図面を表示できません]

(式(3’c−1)〜(3’c−3)において、5及び各X基は前記と同様である。)
【化34】
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(式(3’’a−1)〜(3’’a−4)において、5及び各X基は前記と同様である。)
【化35】
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(式(3’’b−1)〜(3’’b−4)において、5及び各X基は前記と同様である。)
【化36】
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(式(3’’c−1)〜(3’’c−4)において、5及び各X基は前記と同様である。)
【化37】
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(式(3’’d−1)〜(3’’d−4)において、5及び各X基は前記と同様である。)
【化38】
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(式(3’’e−1)〜(3’’e−4)において、5及び各X基は前記と同様である。)
【化39】
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(式(3’’f−1)〜(3’’f−4)において、5及び各X基は前記と同様である。)
【請求項7】
が表す置換基が、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜50のアルキル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数3〜50のシクロアルキル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜60のアリール基、環形成炭素数6〜50のアリール基を有する炭素数7〜51のアラルキル基、アミノ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜50のアルキル基及び置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜60のアリール基から選ばれる置換基を有するモノ置換又はジ置換アミノ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜50のアルコキシ基、置換もしくは無置換の環形成炭素数3〜50のシクロアルコキシ基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜60のアリールオキシ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜50のアルキルチオ基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜60のアリールチオ基、シリル基、置換もしくは無置換の炭素数1〜50のアルキル基及び置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜60のアリール基から選ばれる置換基を有するモノ置換、ジ置換又はトリ置換シリル基、置換もしくは無置換の環形成原子数5〜60のヘテロアリール基、及び、置換もしくは無置換の炭素数1〜50のハロアルキル基からなる群から選ばれる請求項1及び3〜6のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項8】
、R、R、及びR10が表す置換基が、それぞれ独立に、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜50のアルキル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数3〜50のシクロアルキル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜60のアリール基、環形成炭素数6〜50のアリール基を有する炭素数7〜51のアラルキル基、アミノ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜50のアルキル基及び置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜60のアリール基から選ばれる置換基を有するモノ置換又はジ置換アミノ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜50のアルコキシ基、置換もしくは無置換の環形成炭素数3〜50のシクロアルコキシ基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜60のアリールオキシ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜50のアルキルチオ基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜60のアリールチオ基、シリル基、置換もしくは無置換の炭素数1〜50のアルキル基及び置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜60のアリール基から選ばれる置換基を有するモノ置換、ジ置換又はトリ置換シリル基、置換もしくは無置換の環形成原子数5〜60のヘテロアリール基、及び、置換もしくは無置換の炭素数1〜50のハロアルキル基からなる群から選ばれる請求項1〜7のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項9】
が表す置換基が、それぞれ独立に、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜50のアルキル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数3〜50のシクロアルキル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜60のアリール基、環形成炭素数6〜50のアリール基を有する炭素数7〜51のアラルキル基、アミノ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜50のアルキル基及び置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜60のアリール基から選ばれる置換基を有するモノ置換又はジ置換アミノ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜50のアルコキシ基、置換もしくは無置換の環形成炭素数3〜50のシクロアルコキシ基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜60のアリールオキシ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜50のアルキルチオ基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜60のアリールチオ基、シリル基、置換もしくは無置換の炭素数1〜50のアルキル基及び置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜60のアリール基から選ばれる置換基を有するモノ置換、ジ置換又はトリ置換シリル基、置換もしくは無置換の環形成原子数5〜60のヘテロアリール基、及び、置換もしくは無置換の炭素数1〜50のハロアルキル基からなる群から選ばれる請求項1〜8のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項10】
が、m−フェニレン基又はp−フェニレン基である請求項1〜9のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項11】
がRと結合して形成する環が、縮合もしくは非縮合の環形成炭素数6〜50の芳香族炭化水素環である請求項2、5、6、及び8〜10のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項12】
がRと結合して形成する環が、縮合もしくは非縮合の環形成炭素数6〜50の芳香族炭化水素環である請求項1、2、5、6、及び8〜10のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項13】
隣接する2個のRが互いに結合して形成する環が、縮合もしくは非縮合の環形成炭素数6〜50の芳香族炭化水素環である請求項1、3〜6、及び7〜10のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項14】
〜XのすべてがCRを表し、Rが水素原子を表す請求項1、3〜6、及び7〜10のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項15】
請求項1〜14のいずれか1項に記載の化合物を含有する有機エレクトロルミネッセンス素子用材料。
【請求項16】
溶媒及び請求項1〜14のいずれか1項に記載の化合物を含むインク組成物。
【請求項17】
陰極、陽極、及び該陰極と該陽極の間に配置された一層以上の有機薄膜層を有する有機エレクトロルミネッセンス素子であって、
前記一層以上の有機薄膜層が発光層を含み、前記一層以上の有機薄膜層の少なくとも1層が請求項1〜14のいずれか1項に記載の化合物を含む有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項18】
前記発光層が、前記化合物をホスト材料として含む請求項17に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項19】
前記発光層が、燐光発光材料を含有する請求項17又は18に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項20】
前記燐光発光材料が、イリジウム(Ir),オスミウム(Os)及び白金(Pt)からなる群から選択される金属原子のオルトメタル化錯体である請求項19に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項21】
前記陰極と前記発光層の間に電子輸送層を有し、該電子輸送層が前記化合物を含む請求項17〜20のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項22】
前記陽極と前記発光層の間に正孔輸送層を有し、該正孔輸送層が前記化合物を含む請求項17〜21のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項23】
前記陰極と前記有機薄膜層との界面領域に、電子供与性ドーパントが添加されてなる請求項17〜22のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項24】
請求項17〜23のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を備える電子機器。
【請求項25】
下記カップリング反応1及び下記カップリング反応2を含む下記式(1)で表される化合物の製造方法であって、
【化40】
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(式(1)において、
a及びbの一方は炭素原子c1に結合し、他方は炭素原子c2に結合し、
は置換もしくは無置換のフェニル基を表し、
はCRを表し、Rは水素原子又は置換基を表し、RはRに結合して芳香族炭化水素環を形成してもよく、
bが炭素原子c2に結合し、XがCRを表し、かつ、RがRに結合して芳香族炭化水素環を形成する場合、−R−R−は−X=X−X=X−を表し、
〜Xは、それぞれ独立して、CRを表し、Rは水素原子又は置換基を表し、隣接する2個のRは互いに結合して芳香族炭化水素環を形成してもよく、
は置換もしくは無置換のフェニレン基又はRと結合して芳香族炭化水素環を形成する原子群を表し、
nが0であり、Lは単結合を表し、
及びAは互いに異なり、下記式(2)、(2’)、(3)、(3’)、(3’’)、及び(4)のいずれかで表される基である。
【化41】
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(式(2)において、
2は式(1)の炭素原子c1、炭素原子c2、又は、Lに結合し、
〜X10の1つは3に結合する炭素原子であり、
12〜X16の1つは4に結合する炭素原子であり、
他のX〜X11、他のX12〜X16、X〜X、及びX17〜X21はCRを表し、
は水素原子又は置換基を表し、
とX11は互いに結合する炭素原子であり、X16とX21は互いに結合する炭素原子であってもよく、
22は、NRを表し、
は水素原子又は置換基を表す。)
【化42】
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(式(2’)において、
2、X〜X11、X12〜X16、X17〜X21、及びX22は前記と同様であり、
’〜X’の1つは3’に結合する炭素原子であり、
12’〜X16’の1つは4’に結合する炭素原子であり、
他のX’〜X’、他のX12’〜X16’、及びX17’〜X21’はCRを表し、
は前記と同様であり、
’とX11は互いに結合する炭素原子であり、X16とX21は互いに結合する炭素原子であってもよく、X16’とX21’は互いに結合する炭素原子であってもよく、
22’は、NRを表し、
は前記と同様である。)
【化43】
[この文献は図面を表示できません]

(式(3)において、
5は式(1)の炭素原子c1、炭素原子c2、又は、Lに結合し、
37〜X40の1つは6に結合する炭素原子であり、
他のX37〜X41、X32〜X36、及びX42〜X51はCRを表し、
は水素原子又は置換基を表し、
36とX41は互いに結合する炭素原子であり、X46とX51は互いに結合する炭素原子であってもよい。)
【化44】
[この文献は図面を表示できません]

(式(3’)において、
5、X37〜X41、及びX42〜X51は前記と同様であり、
32’〜X35’の1つは6’に結合する炭素原子であり、
他のX32’〜X36’及びX42’〜X51’はCRを表し、
は前記と同様であり、
36’とX41は互いに結合する炭素原子であり、X46とX51は互いに結合する炭素原子であってもよく、X46’とX51’は互いに結合する炭素原子であってもよい。)
【化45】
[この文献は図面を表示できません]

(式(3’’)において、
5、X37〜X41、及びX42〜X51は前記と同様であり、
32’’〜X35’’の1つは3’’に結合する炭素原子であり、
12’’〜X16’’の1つは4’’に結合する炭素原子であり、
他のX32’’〜X36’’、他のX12’’〜X16’’、及びX17’’〜X21’’はCRを表し、
は前記と同様であり、
36’’とX41は互いに結合する炭素原子であり、X46とX51は互いに結合する炭素原子であってもよく、X16’’とX21’’は互いに結合する炭素原子であってもよく、
22’’は、NRを表し、
は前記と同様である。)
【化46】
[この文献は図面を表示できません]

(式(4)において、
7は式(1)の炭素原子c1、炭素原子c2、又はLに結合し、
67〜X70から選ばれる1つの隣接する対において、一方は8に結合する炭素原子を表し、他方は9に結合する炭素原子を表し、
他のX67〜X71、X62〜X66及びX72〜X75はCR10を表し、
10は水素原子又は置換基を表し、
66とX71は互いに結合する炭素原子であり、
76は、NR11、CR1213、O、S、Se、又はSiR1415を表し、
11〜R15はそれぞれ独立に水素原子又は置換基を表し、R12とR13及びR14とR15は互いに結合して環を形成してもよい。))。
の製造方法であって、
(1)前記カップリング反応1では、下記式(I)で表される化合物
【化47】
[この文献は図面を表示できません]

(式中、R、X、L、L、及びnは式(1)で定義したとおりであり、
c及びdの一方は炭素原子c1に結合し、他方は炭素原子c2に結合し、
Hal及びHalは同一又は異なるハロゲン原子を表す。)
と下記式(II)、(II’)、(III)、(III’)、(III’’)、及び(IV)のいずれかで表されるアミン化合物
【化48】
[この文献は図面を表示できません]
(式中、X〜X22、X32〜X51、X62〜X76、X’〜X’、X12’〜X22’、X32’〜X36’、X42’〜X51’、X32’’〜X36’’、及びX12’’〜X22’’は式(1)で定義したとおりであり、Hは式(I)のHalと反応する水素原子である。)
を塩基性触媒の存在下、かつ、遷移金属触媒の不存在下で、有機溶媒中で反応させて下記式(V)で表される化合物
【化49】
[この文献は図面を表示できません]

(式中、c、d、A、R、X、L、L、及びnは式(1)で定義したとおりであり、Halは前記と同様である。)
を合成し、
(2)前記カップリング反応2では、前記式(V)で表される化合物と前記式(II)、(II’)、(III)、(III’)、(III’’)、及び(IV)のいずれかで表されるアミン化合物(ただし、前記カップリング反応1で用いたアミン化合物とは異なる)を遷移金属触媒と配位子の存在下、かつ、塩基の存在下又は不存在下、有機溶媒中で反応させて、前記式(V)で表される化合物のHalと前記アミン化合物の水素原子Hの脱離下に前記式(V)で表される化合物と前記アミン化合物をカップリングさせて、式(1)で表される化合物を合成する。
【請求項26】
前記塩基性触媒が、アルカリ金属炭酸塩類、アルカリ金属炭酸水素塩類、アルカリ土類金属炭酸塩類、金属りん酸塩類、アルカリ金属ヒドリド類、及び属アミド類からなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項25に記載の製造方法。
【請求項27】
前記遷移金属触媒が、パラジウム、銅、白金、ロジウム、ルテニウム、ニッケル、及び鉄からなる群より選ばれる少なくとも1種の遷移金属を含む触媒である請求項25又は26に記載の製造方法。
【請求項28】
前記塩基が、アルコキシド類、炭酸塩類、及び燐酸塩類からなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項25〜27のいずれか1項に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化合物、有機エレクトロルミネッセンス素子用材料、有機エレクトロルミネッセンス素子、インク組成物、電子機器、及び前記化合物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
陽極と陰極との間に発光層を含む有機薄膜層を備え、発光層に注入された正孔と電子との再結合によって生じる励起子(エキシトン)エネルギーから発光を得る有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、「有機EL素子」と記載することもある)が知られている。
【0003】
有機EL素子は、自発光型素子としての利点を活かし、高発光効率、高画質、低消費電力さらには薄型のデザイン性に優れた発光素子として期待されている。発光層を、ホストにドーパントとして発光材料をドーピングしたホスト/ドーパント発光層にすることが知られている。
ホスト/ドーパント発光層では、ホストに注入された電荷から効率よく励起子を生成することができる。そして、生成された励起子のエネルギーをドーパントに移動させ、ドーパントから高効率の発光を得ることができる。
【0004】
近年では有機EL素子の性能向上を果たすべく、ホスト/ドーパントシステムに関してもさらなる研究が行われており、好適なホスト材料及びその他の有機EL素子用材料の探索が続いている。特許文献1〜10には、非縮合又は縮合アジン環にカルバゾール構造が直接又は連結基を介して結合している種々の化合物が記載されている。
【0005】
有機EL素子の各層を形成する方法は、真空蒸着法や分子線蒸着法等の蒸着法と、ディッピング法、スピンコーティング法、キャスティング法、バーコート法及びロールコート法等の塗布法に大別される。塗布法で層形成する材料は、例えば温度耐性や溶媒への可溶性など、蒸着法で用いられる材料とは異なる特性が求められる。したがって、蒸着法で有用な材料が塗布法においても有用であるとは限らない。更に、塗布法での層形成が可能な上で、有機EL素子として求められる多様な性能要求に応える必要がある。
特に、大型の有機ELディスプレイ、照明パネルなどの製造には塗布法による層形成が適用され得るため、塗布法に用いることができる有機EL素子用材料の開発が望まれている。
【0006】
特許文献1〜8には、非縮合含窒素環にビスカルバゾールまたはトリカルバゾール含有基が1個または複数個置換した化合物が開示されている。しかし、縮合含窒素環に複数の異なるビスカルバゾール含有基、複数の異なるトリカルバゾール含有基、又は、ビスカルバゾール含有基とトリカルバゾール含有基が置換した化合物は、特許文献1〜8には記載されていない。
特許文献9には、ビスカルバゾール含有基で置換された縮合含窒素環を有する化合物が記載されているが、ビスカルバゾール含有基を複数有する縮合含窒素環化合物は記載されていない。又、塗布法による層形成に関しても何ら記載されていない。
特許文献10には、非縮合又は縮合含窒素環にビスカルバゾールまたはトリカルバゾール含有基が複数置換した化合物が、有機EL素子に適用できることが検証されている。そして、その一部の化合物は溶媒に可溶であり、塗布法により層形成して有機EL素子を形成している。しかしながら、塗布法により層形成して有機EL素子に適用された化合物は、全て、非縮合含窒素環に置換する複数のビスカルバゾール含有基が、それぞれ同じ構造のものに留まっている。従って、特許文献10で検証された化合物の特性は、同一構造の複数のビスカルバゾール含有基と非縮合含窒素環とを組み合わせた範囲内に限定され、有機EL素子の多様な要求特性に応えるには不十分であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】WO2012/077520A1号公報
【特許文献2】WO2013/081088A1号公報
【特許文献3】WO2013/108589A1号公報
【特許文献4】KR2011−0011578A号公報
【特許文献5】KR2012−0122812A号公報
【特許文献6】KR2012−0122813A号公報
【特許文献7】特開2010−135467号公報
【特許文献8】特開2010−040830号公報
【特許文献9】WO2012/134124A1号公報
【特許文献10】WO2012/086170A1号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
一態様において、本発明は塗布法による層形成が可能であり、EL素子の多様な特性要求に応え得る化合物を提供する。また、他の態様において、本発明は該化合物を含む有機エレクトロルミネッセンス素子用材料、該化合物を用いた有機エレクトロルミネッセンス素子、及び該化合物を含むインク組成物を提供する。さらに他の態様において、本発明は該化合物を製造する方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者等は、塗布法により層形成可能であって、多様な置換基を有する下記式(1)で表される化合物を見出した。また、該化合物を効率よく簡便に製造する方法を見出した。本発明はこれらの知見に基づく。
【0010】
すなわち、本発明の一態様によれば、下記式(1)で表される化合物(以下、「化合物(1)」と記載することがある)が提供される。
【化1】
[この文献は図面を表示できません]
(式(1)において、
a及びbの一方は炭素原子c1に結合し、他方は炭素原子c2に結合し、
は水素原子又は置換基を表し、
はN又はCRを表し、Rは水素原子又は置換基を表し、RはRに結合して環を形成してもよく、
bが炭素原子c2に結合し、XがCRを表し、かつ、RがRに結合して環を形成する場合、−R−R−は−X=X−X=X−を表し、
〜Xは、それぞれ独立して、N又はCRを表し、Rは水素原子又は置換基を表し、隣接する2個のRは互いに結合して環を形成してもよく、
は連結基を表し、
は2価の連結基を表し、
nは0〜3の整数を表し、nが0の場合、Lは単結合を表し、
及びAは互いに異なり、下記式(2)、(2’)、(3)、(3’)、(3’’)、及び(4)のいずれかで表される基である。
【化2】
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(式(2)において、
2は式(1)の炭素原子c1、炭素原子c2、L(nが0である場合)、又は、L(nが1〜3の整数である場合)に結合し、
〜X11の1つは3に結合する炭素原子であり、
12〜X16の1つは4に結合する炭素原子であり、
他のX〜X11、他のX12〜X16、X〜X、及びX17〜X21はそれぞれ独立にN又はCRを表し、
は水素原子又は置換基を表し、複数のRが互いに結合して環を形成してもよく、
とX11は互いに結合する炭素原子であってもよく、X16とX21は互いに結合する炭素原子であってもよく、
22は、NR、CR、O、S、Se、又はSiRを表し、
〜Rはそれぞれ独立に水素原子又は置換基を表し、RとR又はRとRは互いに結合して環を形成してもよい。)
【化3】
[この文献は図面を表示できません]
(式(2’)において、
2、X〜X11、X12〜X16、X17〜X21、及びX22は前記と同様であり、
’〜X’の1つは3’に結合する炭素原子であり、
12’〜X16’の1つは4’に結合する炭素原子であり、
他のX’〜X’、他のX12’〜X16’、及びX17’〜X21’はそれぞれ独立にN又はCRを表し、
は前記と同様であり、
’とX11は互いに結合する炭素原子であってもよく、X16とX21は互いに結合する炭素原子であってもよく、X16’とX21’は互いに結合する炭素原子であってもよく、
22’は、NR、CR、O、S、Se、又はSiRを表し、
〜Rは前記と同様である。)
【化4】
[この文献は図面を表示できません]
(式(3)において、
5は式(1)の炭素原子c1、炭素原子c2、L(nが0である場合)、又は、L(nが1〜3の整数である場合)に結合し、
37〜X41の1つは6に結合する炭素原子であり、
他のX37〜X41、X32〜X36、及びX42〜X51はそれぞれ独立にN又はCRを表し、
は水素原子又は置換基を表し、複数のRは互いに結合して環を形成してもよく、
36とX41は互いに結合する炭素原子であってもよく、X46とX51は互いに結合する炭素原子であってもよい。)
【化5】
[この文献は図面を表示できません]
(式(3’)において、
5、X37〜X41、及びX42〜X51は前記と同様であり、
32’〜X36’の1つは6’に結合する炭素原子であり、
他のX32’〜X36’及びX42’〜X51’はそれぞれ独立にN又はCRを表し、
は前記と同様であり、
36’とX41は互いに結合する炭素原子であってもよく、X46とX51は互いに結合する炭素原子であってもよく、X46’とX51’は互いに結合する炭素原子であってもよい。)
【化6】
[この文献は図面を表示できません]
(式(3’’)において、
5、X37〜X41、及びX42〜X51は前記と同様であり、
32’’〜X36’’の1つは3’’に結合する炭素原子であり、
12’’〜X16’’の1つは4’’に結合する炭素原子であり、
他のX32’’〜X36’’、他のX12’’〜X16’’、及びX17’’〜X21’’はそれぞれ独立にN又はCRを表し、
は前記と同様であり、
36’’とX41は互いに結合する炭素原子であってもよく、X46とX51は互いに結合する炭素原子であってもよく、X16’’とX21’’は互いに結合する炭素原子であってもよく、
22’’は、NR、CR、O、S、Se、又はSiRを表し、
〜Rは前記と同様である。)
【化7】
[この文献は図面を表示できません]
(式(4)において、
7は式(1)の炭素原子c1、炭素原子c2、L(nが0である場合)、又は、L(nが1〜3の整数である場合)に結合し、
67〜X71から選ばれる1つの隣接する対において、一方は8に結合する炭素原子を表し、他方は9に結合する炭素原子を表し、
他のX67〜X71、X62〜X66及びX72〜X75はそれぞれ独立にNまたはCR10を表し、
10は水素原子又は置換基を表し、複数のR10は互いに結合して環を形成してもよく、
66とX71は互いに結合する炭素原子であってもよく、
76は、NR11、CR1213、O、S、Se、又はSiR1415を表し、
11〜R15はそれぞれ独立に水素原子又は置換基を表し、R11とR12及びR13とR14は互いに結合して環を形成してもよい。))。
【0011】
本発明の他の態様によれば、前記化合物(1)を含有する有機エレクトロルミネッセンス素子用材料が提供される。
【0012】
本発明のさらに他の態様によれば、溶媒及び前記化合物(1)を含むインク組成物が提供される。
【0013】
本発明のさらに他の態様によれば、陰極、陽極、及び該陰極と該陽極の間に配置された一層以上の有機薄膜層を有する有機エレクトロルミネッセンス素子であって、前記一層以上の有機薄膜層が発光層を含み、前記一層以上の有機薄膜層の少なくとも1層が前記化合物(1)を含む有機エレクトロルミネッセンス素子が提供される。
【0014】
本発明のさらに他の態様によれば、前記有機エレクトロルミネッセンス素子を備える電子機器が提供される。
【0015】
本発明のさらに他の態様によれば、下記カップリング反応1及び下記カップリング反応2を含む前記化合物(1)を製造する方法が提供される。
(1)前記カップリング反応1では、下記式(I)で表される化合物
【化8】
[この文献は図面を表示できません]
(式中、R、X、L、L、及びnは式(1)で定義したとおりであり、
c及びdの一方は炭素原子c1に結合し、他方は炭素原子c2に結合し、
Hal及びHalは同一又は異なるハロゲン原子を表す。)
と下記式(II)、(II’)、(III)、(III’)、(III’’)、及び(IV)のいずれかで表されるアミン化合物
【化9】
[この文献は図面を表示できません]
(式中、X〜X22、X32〜X51、X62〜X76、X’〜X’、X12’〜X22’、X32’〜X36’、X42’〜X51’、X32’’〜X36’’、及びX12’’〜X22’’は式(1)で定義したとおりであり、Hは式(I)のHalと反応する水素原子である。)
を塩基性触媒の存在下、かつ、遷移金属触媒の不存在下で、有機溶媒中で反応させて下記式(V)で表される化合物
【化10】
[この文献は図面を表示できません]
(式中、c、d、A、R、X、L、L、及びnは式(1)で定義したとおりであり、Halは前記と同様である。)
を合成し、
(2)前記カップリング反応2では、前記式(V)で表される化合物と前記式(II)、(II’)、(III)、(III’)、(III’’)、及び(IV)のいずれかで表されるアミン化合物(ただし、前記カップリング反応1で用いたアミン化合物とは異なる)を遷移金属触媒と配位子の存在下、かつ、塩基の存在下又は不存在下、有機溶媒中で反応させて、前記式(V)で表される化合物のHalと前記アミン化合物の水素原子Hの脱離下に前記式(V)で表される化合物と前記アミン化合物をカップリングさせて、式(1)で表される化合物を合成する。
【発明の効果】
【0016】
前記化合物(1)は塗布法による層形成が可能であり、有機EL素子の多様な特性要求に応えられる。また、該化合物(1)は、以下に記載する合成方法により効率よく簡便に製造することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一態様に係る有機EL素子の概略構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本明細書において、「置換もしくは無置換の炭素数XX〜YYのZZ基」という表現における「炭素数XX〜YY」は、ZZ基が無置換である場合の炭素数を表すものであり、ZZ基が置換されている場合の置換基の炭素数は含めない。
【0019】
本明細書において、「置換もしくは無置換の原子数XX〜YYのZZ基」という表現における「原子数XX〜YY」は、ZZ基が無置換である場合の原子数を表すものであり、置換されている場合の置換基の原子数は含めない。
【0020】
本明細書において、「置換もしくは無置換のZZ基」という場合における「無置換ZZ基」とは、ZZ基の水素原子が置換基で置換されていないことを意味する。
【0021】
本明細書において、「環形成炭素数」とは、原子が環状に結合した構造の化合物(例えば、単環化合物、縮合環化合物、架橋化合物、炭素環化合物、複素環化合物)の当該環自体を構成する原子のうちの炭素原子の数を表す。当該環が置換基によって置換される場合、置換基に含まれる炭素は環形成炭素には含まない。以下で記される「環形成炭素数」については、特筆しない限り同様とする。例えば、ベンゼン環は環形成炭素数が6であり、ナフタレン環は環形成炭素数が10であり、ピリジニル基は環形成炭素数5であり、フラニル基は環形成炭素数4である。また、ベンゼン環やナフタレン環に置換基として例えばアルキル基が置換している場合、当該アルキル基の炭素数は、環形成炭素数の数に含めない。また、フルオレン環に置換基として例えばフルオレン環が結合している場合(スピロフルオレン環を含む)、置換基としてのフルオレン環の炭素数は環形成炭素数に含めない。
【0022】
本明細書において、「環形成原子数」とは、原子が環状に結合した構造(例えば単環、縮合環、環集合)の化合物(例えば単環化合物、縮合環化合物、架橋化合物、炭素環化合物、複素環化合物)の当該環自体を構成する原子の数を表す。環を構成しない原子(例えば環を構成する原子の結合手を終端する水素原子)や、当該環が置換基によって置換される場合の置換基に含まれる原子は環形成原子数には含まない。以下で記される「環形成原子数」については、特筆しない限り同様とする。例えば、ピリジン環は環形成原子数は6であり、キナゾリン環は環形成原子数が10であり、フラン環の環形成原子数は5である。ピリジン環やキナゾリン環の環形成炭素原子にそれぞれ結合している水素原子や置換基を構成する原子は、環形成原子数の数に含めない。また、フルオレン環に置換基として例えばフルオレン環が結合している場合(スピロフルオレン環を含む)、置換基としてのフルオレン環の原子数は環形成原子数の数に含めない。
【0023】
本発明において、「水素原子」の定義には、中性子数が異なる同位体、すなわち、軽水素(protium)、重水素(deuterium)及び三重水素(tritium)が含まれる。
【0024】
本明細書において、「置換もしくは無置換」というときの任意の置換基は、特に断らない限り、炭素数1〜50、好ましくは1〜18、より好ましくは1〜8のアルキル基;環形成炭素数3〜50、好ましくは3〜10、より好ましくは3〜8、さらに好ましくは5又は6のシクロアルキル基;環形成炭素数6〜50、好ましくは6〜25、より好ましくは6〜18のアリール基;環形成炭素数6〜50、好ましくは6〜25、より好ましくは6〜18のアリール基を有する炭素数7〜51、好ましくは7〜30、より好ましくは7〜20のアラルキル基;アミノ基;炭素数1〜50、好ましくは1〜18、より好ましくは1〜8のアルキル基及び環形成炭素数6〜50、好ましくは6〜25、より好ましくは6〜18のアリール基から選ばれる置換基を有するモノ置換又はジ置換アミノ基;炭素数1〜50、好ましくは1〜18、より好ましくは1〜8のアルキル基を有するアルコキシ基;環形成炭素数6〜50、好ましくは6〜25、より好ましくは6〜18のアリール基を有するアリールオキシ基;炭素数1〜50、好ましくは1〜18、より好ましくは1〜8のアルキル基及び環形成炭素数6〜50、好ましくは6〜25、より好ましくは6〜18のアリール基から選ばれる置換基を有するモノ置換、ジ置換又はトリ置換シリル基;同一又は異なるヘテロ原子(窒素原子、酸素原子、硫黄原子)を1〜5個(好ましくは1〜3個、より好ましくは1〜2個)含む環形成原子数5〜50、好ましくは5〜24、より好ましくは5〜13のヘテロアリール基;1個以上、好ましくは1〜15個、より好ましくは1〜7個の水素原子又は全ての水素原子が同一又は異なるハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)で置換された炭素数1〜50、好ましくは1〜18、より好ましくは1〜8のハロアルキル基;ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子);シアノ基;ニトロ基;炭素数1〜50、好ましくは1〜18、より好ましくは1〜8のアルキル基及び環形成炭素数6〜50、好ましくは6〜25、より好ましくは6〜18のアリール基から選ばれる置換基を有するスルホニル基;炭素数1〜50、好ましくは1〜18、より好ましくは1〜8のアルキル基及び環形成炭素数6〜50、好ましくは6〜25、より好ましくは6〜18のアリール基から選ばれる置換基を有するジ置換ホスホリル基;アルキルスルホニルオキシ基;アリールスルホニルオキシ基;アルキルカルボニルオキシ基;アリールカルボニルオキシ基;ホウ素含有基;亜鉛含有基;スズ含有基;ケイ素含有基;マグネシウム含有基;リチウム含有基;ヒドロキシ基;アルキル置換又はアリール置換カルボニル基;カルボキシル基;ビニル基;(メタ)アクリロイル基;エポキシ基;並びにオキセタニル基からなる群より選ばれる少なくとも1つが好ましい。
上記置換基の中でも、より好ましくは、置換もしくは無置換の炭素数1〜50、好ましくは1〜18、より好ましくは1〜8のアルキル基;置換もしくは無置換の環形成炭素数3〜50、好ましくは3〜10、より好ましくは3〜8、さらに好ましくは5又は6のシクロアルキル基;置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜50、好ましくは6〜25、より好ましくは6〜18のアリール基;置換もしくは無置換の炭素数1〜50、好ましくは1〜18、より好ましくは1〜8のアルキル基及び置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜50、好ましくは6〜25、より好ましくは6〜18のアリール基から選ばれる置換基を有するモノ置換又はジ置換アミノ基;置換もしくは無置換の環形成原子数5〜50、好ましくは5〜24、より好ましくは5〜13のヘテロアリール基;ハロゲン原子;及びシアノ基である。
上記任意の置換基は、さらに上述の任意の置換基により置換されていてもよい。また、任意の置換基同士が結合して環を形成していてもよい。
【0025】
本発明の一態様において、下記式(1)で表される化合物(化合物(1))が提供される。
【化11】
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【0026】
本発明の一態様において、化合物(1)は好ましくは下記式(1a)、(1b)又は(1c)で表され、より好ましくは式(1a)又は(1c)で表される。
【化12】
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【0027】
は水素原子又は置換基を表す。
が表す置換基は、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜50、好ましくは1〜18、より好ましくは1〜8のアルキル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数3〜50、好ましくは3〜10、より好ましくは3〜8のシクロアルキル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜60、好ましくは6〜25、より好ましくは6〜18のアリール基、環形成炭素数6〜50、好ましくは6〜25、より好ましくは6〜18のアリール基を有する炭素数7〜51、好ましくは7〜30、より好ましくは7〜20のアラルキル基、アミノ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜50、好ましくは1〜18、より好ましくは1〜8のアルキル基及び置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜60、好ましくは6〜25、より好ましくは6〜18のアリール基から選ばれる置換基を有するモノ置換又はジ置換アミノ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜50、好ましくは1〜18、より好ましくは1〜8のアルコキシ基、置換もしくは無置換の環形成炭素数3〜50、好ましくは3〜10、より好ましくは3〜8のシクロアルコキシ基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜60、好ましくは6〜25、より好ましくは6〜18のアリールオキシ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜50、好ましくは1〜18、より好ましくは1〜8のアルキルチオ基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜60、好ましくは6〜25、より好ましくは6〜18のアリールチオ基、シリル基、置換もしくは無置換の炭素数1〜50、好ましくは1〜18、より好ましくは1〜8のアルキル基及び置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜60、好ましくは6〜25、より好ましくは6〜18のアリール基から選ばれる置換基を有するモノ置換、ジ置換又はトリ置換シリル基、置換もしくは無置換の環形成原子数5〜60、好ましくは5〜30、より好ましくは5〜26のヘテロアリール基、及び、置換もしくは無置換の炭素数1〜50、好ましくは1〜18、より好ましくは1〜8のハロアルキル基から選ばれる。
【0028】
前記ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、及びヨウ素原子が挙げられ、フッ素原子が好ましい。
【0029】
前記アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、及びドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、オクタデシル基、テトラコサニル基、及びテトラコンタニル基が挙げられる。前記各基は、存在する場合には、異性体基を含む。
好ましくは、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、及びオクタデシル基であり、より好ましくはメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、及びオクチル基である。前記各基は、存在する場合には、異性体基を含む。
【0030】
前記シクロアルキル基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、及びアダマンチル基が挙げられ、好ましくは、シクロペンチル基及びシクロヘキシル基である。
【0031】
前記アリール基としては、例えば、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、ナフチルフェニル基、ビフェニリル基、ターフェニリル基、クアテルフェニリル基、キンクフェニリル基、アセナフチレニル基、アントリル基、ベンゾアントリル基、アセアントリル基、フェナントリル基、ベンゾフェナントリル基、フェナレニル基、フルオレニル基、9,9’−スピロビフルオレニル基、ベンゾフルオレニル基、ジベンゾフルオレニル基、ピセニル基、ペンタフェニル基、ペンタセニル基、ピレニル基、クリセニル基、ベンゾクリセニル基、s−インダニル基、as−インダニル基、フルオランテニル基、ベンゾフルオランテニル基、テトラセニル基、トリフェニレニル基、ベンゾトリフェニレニル基、ペリレニル基、コロニル基、ジベンゾアントリル基、9,9−ジメチルフルオレニル基、及び9,9−ジフェニルフルオレニル基が挙げられる。前記各基は、存在する場合には、異性体基を含む。
好ましくは、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、ビフェニリル基、ターフェニリル基、フェナントリル基、ベンゾフェナントリル基、フルオレニル基、9,9’−スピロビフルオレニル基、ベンゾフルオレニル基、ジベンゾフルオレニル基、クリセニル基、ベンゾクリセニル基、s−インダニル基、as−インダニル基、トリフェニレニル基、ベンゾトリフェニレニル基、アントリル基、9,9−ジメチルフルオレニル基、及び9,9−ジフェニルフルオレニル基であり、より好ましくは、フェニル基、ビフェニリル基、ターフェニリル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、フェナントリル基、フルオレニル基、9,9’−スピロビフルオレニル基、クリセニル基、トリフェニレニル基、9,9−ジメチルフルオレニル基、及び9,9−ジフェニルフルオレニル基である。
【0032】
前記アラルキル基のアリール部分の具体例、好ましい例及びより好ましい例は上記アリール基と同様である。アルキル部分の具体例、好ましい例及びより好ましい例は上記アルキル基と同様である。
【0033】
前記モノ置換又はジ置換アミノ基のアルキル基の具体例、好ましい例及びより好ましい例、及び、アリール基の具体例、好ましい例及びより好ましい例は、上記アルキル基及びアリール基とそれぞれ同様である。
【0034】
前記アルコキシ基のアルキル部分の具体例、好ましい例及びより好ましい例は上記アルキル基と同様である。
【0035】
前記シクロアルコキシ基のシクロアルキル部分の具体例、好ましい例及びより好ましい例は上記シクロアルキルと同様である。
【0036】
前記アリールオキシ基のアリール部分の具体例、好ましい例及びより好ましい例は上記アリール基と同様である。
【0037】
前記アルキルチオ基のアルキル部分の具体例、好ましい例及びより好ましい例は上記アルキル基と同様である。
【0038】
前記アリールチオ基のアリール部分の具体例、好ましい例及びより好ましい例は上記アリール基と同様である。
【0039】
前記モノ置換、ジ置換又はトリ置換シリル基は、モノアルキルシリル基、ジアルキルシリル基、トリアルキルシリル基、モノアリールシリル基、ジアリールシリル基、トリアリールシリル基、アルキルジアリールシリル基、及びジアルキルアリールシリル基を含み、好ましくはモノアルキルシリル基、ジアルキルシリル基、トリアルキルシリル基、モノアリールシリル基、ジアリールシリル基、及びトリアリールシリル基であり、より好ましくはトリアルキルシリル基、及びトリアリールシリル基である。
アルキル基の具体例、好ましい例及びより好ましい例、及び、アリール基の具体例、好ましい例及びより好ましい例は、上記アルキル基及びアリール基とそれぞれ同様である。
より具体的には、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、t-ブチルジメチルシリル基、プロピルジメチルシリル基、イソプロピルジメチルシリル基、トリフェニルシリル基、フェニルジメチルシリル基、t-ブチルジフェニルシリル基、及びトリトリルシリル基が挙げられ、好ましくはトリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリフェニルシリル基、及びフェニルジメチルシリル基であり、より好ましくはトリメチルシリル基、及びトリフェニルシリル基である。
【0040】
前記ヘテロアリール基は少なくとも1個、好ましくは1〜5個、より好ましくは1〜3個、さらに好ましくは1〜2個の同一又は異なるヘテロ原子、例えば、窒素原子、硫黄原子、酸素原子、リン原子を含む。
該へテロアリール基としては、例えば、ピローリル基、フリル基、チエニル基、ピリジル基、ピリダジニル基、ピリミジニル基、ピラジニル基、トリアジニル基、イミダゾリル基、オキサゾリル基、チアゾリル基、ピラゾリル基、イソオキサゾリル基、イソチアゾリル基、オキサジアゾリル基、チアジアゾリル基、トリアゾーリル基、テトラゾリル基、インドリル基、イソインドリル基、ベンゾフラニル基、イソベンゾフラニル基、ベンゾチオフェニル基、イソベンゾチオフェニル基、インドリジニル基、キノリジニル基、キノリル基、イソキノリル基、シンノリル基、フタラジニル基、キナゾリニル基、キノキサリニル基、ベンゾイミダゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾチアゾリル基、インダゾリル基、ベンゾイソキサゾリル基、ベンゾイソチアゾリル基、ジベンゾフラニル基、ジベンゾチオフェニル基、カルバゾリル基、ビスカルバゾリル基、フェナントリジニル基、アクリジニル基、フェナントロリニル基、フェナジニル基、フェノチアジニル基、フェノキサジニル基、アザトリフェニレニル基、ジアザトリフェニレニル基、キサンテニル基、アザカルバゾリル基、アザジベンゾフラニル基、アザジベンゾチオフェニル基、ベンゾフラノベンゾチオフェニル基、ベンゾチエノベンゾチオフェニル基、ジベンゾフラノナフチル基、ジベンゾチエノナフチル基、ジナフトチエノチオフェニル基、及びジナフト[2’,3’:2,3:2’,3’:6,7]カルバゾリル基が挙げられる。
好ましくは、ピリジル基、ピリダジニル基、ピリミジニル基、ピラジニル基、トリアジニル基、イミダゾリル基、インドリル基、イソインドリル基、ベンゾフラニル基、イソベンゾフラニル基、ベンゾチオフェニル基、イソベンゾチオフェニル基、インドリジニル基、キノリジニル基、キノリル基、イソキノリル基、キナゾリニル基、キノキサリニル基、ベンズイミダゾリル基、ベンズオキサゾリル基、ベンズチアゾリル基、ベンズイソキサゾリル基、ベンズイソチアゾリル基、ジベンゾフラニル基、ジベンゾチオフェニル基、カルバゾリル基、ビカルバゾリル基、フェナントリジニル基、アクリジニル基、フェナントロリニル基、アザトリフェニレニル基、ジアザトリフェニレニル基、キサンテニル基、アザカルバゾリル基、アザジベンゾフラニル基、及びアザジベンゾチオフェニル基であり、より好ましくは、ピリジル基、ピリミジニル基、トリアジニル基、ベンゾフラニル基、イソベンゾフラニル基、キノリル基、イソキノリル基、キナゾリニル基、ベンゾチオフェニル基、イソベンゾチオフェニル基、インドリジニル基、ジベンゾフラニル基、ジベンゾチオフェニル基、カルバゾリル基、ビカルバゾリル基、アザトリフェニレニル基、ジアザトリフェニレニル基、キサンテニル基、アザカルバゾリル基、アザジベンゾフラニル基、及びアザジベンゾチオフェニル基である。
【0041】
本発明において、置換もしくは無置換のカルバゾリル基は、下記のカルバゾリル基、
【化13】
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及び上記した任意の置換基を有する置換カルバゾリル基に加えて、例えば、下記の置換カルバゾリル基も含む。
【化14】
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【0042】
本発明において、置換もしくは無置換のジベンゾフラニル基及び置換もしくは無置換のジベンゾチオフェニル基は、下記のジベンゾフラニル基及びジベンゾチオフェニル基、
【化15】
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及び上記した任意の置換基を有する置換ジベンゾフラニル基及び置換ジベンゾチオフェニル基に加えて、例えば、下記の置換ジベンゾフラニル基及び置換ジベンゾチオフェニル基も含む。
【化16】
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(式中、Xは酸素原子又は硫黄原子を表し、Yは酸素原子、硫黄原子、NH、NR(Rはアルキル基又はアリール基)、CH、又は、CR(Rはアルキル基又はアリール基)を表す。)
【0043】
前記ハロアルキル基は、アルキル基の1個以上、好ましくは1〜15個、より好ましくは1〜7個の水素原子又は全ての水素原子を同一又は異なるハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)で置換した基である。該アルキル基の具体例、好ましい例及びより好ましい例は上記アルキル基と同様である。具体的にはトリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ヘプタフルオロプロピル基が挙げられる。
【0044】
は、水素原子、前記置換もしくは無置換のアルキル基、前記置換もしくは無置換のアリール基、又は、前記置換もしくは無置換のヘテロアリール基であることが好ましく、水素原子、前記置換もしくは無置換のアリール基、又は、前記置換もしくは無置換のヘテロアリール基であることがより好ましく、水素原子、フェニル基、ナフチル基(異性基を含む)、ビフェニル基(異性基を含む)、ターフェニル基(異性基を含む)、フェニルターフェニル基(異性基を含む)、ジベンゾフラニル基(異性基を含む)、又は、ジベンゾチオフェニル基(異性基を含む)であることがさらに好ましく、フェニル基であることが特に好ましい。
【0045】
はN又はCRを表す。
は水素原子又は置換基を表し、RはRと結合して環を形成してもよい。
が表す置換基、その具体例、好ましい例、及びより好ましい例は、Rに関して記載した置換基、その具体例、好ましい例、及びより好ましい例から選択される。
は、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換のヘテロアリール基であることが好ましく、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、又は、置換もしくは無置換のアリール基であることがより好ましく、水素原子であることが特に好ましい。
【0046】
は、Rと結合して環を形成してもよい。このような環としては、縮合もしくは非縮合の環形成炭素数6〜50の芳香族環、部分的に水素化された縮合もしくは非縮合の環形成炭素数6〜50の芳香族環、縮合もしくは非縮合の環形成原子数5〜50の芳香族複素環、部分的に水素化された縮合もしくは非縮合の環形成原子数5〜50の芳香族複素環などが挙げられ、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ピリジン環、ピリミジン環、キノリン環、キナゾリン環、カルバゾール環、ジベンゾフラン環、又は、ジベンゾチオフェン環が好ましく、ベンゼン環、ナフタレン環、ピリジン環、又はピリミジン環がより好ましく、ベンゼン環が特に好ましい。これらの環は、上記した任意の置換基で置換されていてもよい。
【0047】
本発明の一態様において、bが炭素原子c2に結合し、XがCRを表し、かつ、RがRに結合して環を形成する場合、―R−Rは−X=X−X=X−を表わすことが好ましい。
【0048】
〜Xは、それぞれ独立して、N又はCR、好ましくはCRを表す。Rは水素原子又は置換基を表し、隣接する2個のRは互いに結合して環を形成してもよい。
が表す置換基、その具体例、好ましい例、及びより好ましい例は、Rに関して記載した置換基、その具体例、好ましい例、及びより好ましい例から選択される。
【0049】
は、水素原子、前記置換もしくは無置換のアルキル基、前記置換もしくは無置換のアリール基、又は、前記置換もしくは無置換のヘテロアリール基であることが好ましく、水素原子、前記置換もしくは無置換のアリール基、又は、前記置換もしくは無置換のヘテロアリール基であることがより好ましく、水素原子、フェニル基、ナフチル基(異性基を含む)、ビフェニル基(異性基を含む)、ターフェニル基(異性基を含む)、フェニルターフェニル基(異性基を含む)、ジベンゾフラニル基(異性基を含む)、又は、ジベンゾチオフェニル基(異性基を含む)であることがさらに好ましく、水素原子又はフェニル基であることがさらに好ましく、水素原子であることが特に好ましい。
【0050】
隣接する2個のRは互いに結合して環を形成してもよい。このような環の具体例、好ましい例、より好ましい例、特に好ましい例は、RとRが結合して形成する環に関して記載したとおりである。
【0051】
bが炭素原子c2に結合し、XがCRを表し、かつ、RがRに結合して環を形成する場合、化合物(1)は上記式(1c)で表され、式(1c)の下記式
【化17】
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で表される構造は、好ましくは、
【化18】
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であり、より好ましくは、
【化19】
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である。
【0052】
bが炭素原子c1に結合する場合、式(1)は式(1a)で表され、Lは、好ましくは置換もしくは無置換のアリーレン基又はRと結合して環を形成する原子群を表す。該アリーレン基の環形成炭素数は好ましくは6〜50、より好ましくは6〜25、さらに好ましくは6〜18である。
該アリーレン基は、Rに関して記載したアリール基の具体例、好ましい例及びより好ましい例から1個の水素原子を除くことによって得られるアリーレン基から選ばれ、フェニレン基が好ましく、m−フェニレン基及びp−フェニレン基が特に好ましい。
【0053】
がRと結合して環を形成する原子群を表す場合、化合物(1)及び(1a)は下記式(1’)で表される。
【化20】
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(式中、R、L、及びnは式(1)で定義したとおりであり、環Aは式(1)のLとRが互いに結合して形成する環であり、A及びAは後述する。)
【0054】
環Aとしては、縮合もしくは非縮合の環形成炭素数6〜50の芳香族環、部分的に水素化された縮合もしくは非縮合の環形成炭素数6〜50の芳香族環、縮合もしくは非縮合の環形成原子数5〜50の芳香族複素環、部分的に水素化された縮合もしくは非縮合の環形成原子数5〜50の芳香族複素環などが挙げられ、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ピリジン環、ピリミジン環、キノリン環、キナゾリン環、カルバゾール環、ジベンゾフラン環、又は、ジベンゾチオフェン環が好ましく、ベンゼン環、ナフタレン環、ピリジン環、又はピリミジン環がより好ましく、ベンゼン環が特に好ましい。これらの環は、上記した任意の置換基で置換されていてもよい。
(nが1〜3の整数の場合)又はA(nが0でありLが単結合を表す場合)が環Aに結合する位置は特に限定されない。
【0055】
bが炭素原子c2に結合する場合、式(1)は式(1b)又は(1c)で表され、Lは好ましくは2価の連結基を表す。該2価の連結基は、置換もしくは無置換の炭素数1〜50、好ましくは1〜18、より好ましくは1〜8のアルキレン基、置換もしくは無置換の環形成炭素数3〜50、好ましくは3〜10、より好ましくは3〜8のシクロアルキレン基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜60、好ましくは6〜25、より好ましくは6〜18のアリーレン基、及び、置換もしくは無置換の環形成原子数5〜60、好ましくは5〜30、より好ましくは5〜26のヘテロアリーレン基から選ばれる。
上記アルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基、及びヘテロアリーレン基の具体例、好ましい例及びより好ましい例は、Rに関して記載したアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、及びヘテロアリール基の具体例、好ましい例及びより好ましい例から1個の水素原子を除くことにより得られる基である。
は、好ましくは前記置換もしくは無置換の炭素数1〜50のアルキレン基又は前記置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜60のアリーレン基であり、より好ましくは前記置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜60のアリーレン基、さらに好ましくはフェニレン基、特に好ましくはm−フェニレン基又はp−フェニレン基である。
【0056】
が表す2価の連結基は、置換もしくは無置換の炭素数1〜50、好ましくは1〜18、より好ましくは1〜8のアルキレン基、置換もしくは無置換の環形成炭素数3〜50、好ましくは3〜10、より好ましくは3〜8のシクロアルキレン基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜60、好ましくは6〜25、より好ましくは6〜18のアリーレン基、及び、置換もしくは無置換の環形成原子数5〜60、好ましくは5〜30、より好ましくは5〜26のヘテロアリーレン基から選ばれる。
上記アルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基、及びヘテロアリーレン基の具体例、好ましい例及びより好ましい例は、Rに関して記載したアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、及びヘテロアリール基の具体例、好ましい例及びより好ましい例から1個の水素原子を除くことにより得られる基である。
は、好ましくは単結合、前記置換もしくは無置換の炭素数1〜50のアルキレン基又は前記置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜60のアリーレン基であり、より好ましくは前記置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜60のアリーレン基、さらに好ましくはフェニレン基、特に好ましくはm−フェニレン基又はp−フェニレン基である。
【0057】
nは0〜3の整数を表し、特に好ましくは0である。nが0の場合、Lは単結合を表す。
nが1である場合、LとLは同一でも異なっていてもよく、LとLは互いに架橋されていてもよい。例えば、Lが置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜50のアリーレン基であり、かつ、nが1である場合、LとLは同一でも異なっていてもよく、LとLは互いに架橋されていてもよい。
nが2又は3である場合、Lと2又は3個のLは同一でも異なっていてもよく、LとL及び2個のLは、互いに架橋されていてもよい。例えば、Lが置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜50のアリーレン基であり、かつ、nが2又は3である場合、Lと2又は3個のLは同一でも異なっていてもよく、LとL及び2個のLは、互いに架橋されていてもよい。
架橋基としては、メチレン基、ジメチルメチレン基、ジフェニルメチレン基、イミノ基(>NH)、フェニルイミノ基、−O−、−S−などが挙げられる。
【0058】
及びAは互いに異なり、下記式(2)、(2’)、(3)、(3’)、(3’’)、及び(4)のいずれかで表される基である。
【0059】
【化21】
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【0060】
式(2)において、2は式(1)の炭素原子c1、炭素原子c2、L(nが0である場合)、又は、L(nが1〜3の整数である場合)に結合し、
〜X11の1つは3に結合する炭素原子であり、
12〜X16の1つは4に結合する炭素原子であり、
他のX〜X11、他のX12〜X16、X〜X、及びX17〜X21はそれぞれ独立にN又はCR、好ましくはCRを表す。XとX11は互いに結合する炭素原子であることが好ましく、X16とX21は互いに結合する炭素原子であることが好ましい。
は水素原子又は置換基を表し、複数のRは互いに結合して環を形成してもよい。
が表す置換基、その具体例、好ましい例、及びより好ましい例は、Rに関して記載した置換基、その具体例、好ましい例、及びより好ましい例から選択される。
は好ましくは水素原子である。
【0061】
本発明の一態様において、X〜Xの1つ、好ましくはX又はXはCRを表し、Rはカルバゾリル基又はN−置換カルバゾリル基(好ましくはN−フェニルカルバゾリル基)である。
【0062】
22は、NR、CR、O、S、Se、又はSiRを表す。
〜Rはそれぞれ独立に水素原子又は置換基を表す。RとR又はRとRは互いに結合して環を形成してもよい。
〜Rが表す置換基は、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜50、好ましくは1〜18、より好ましくは1〜8のアルキル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数3〜50、好ましくは3〜10、より好ましくは3〜8のシクロアルキル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜60、好ましくは6〜25、より好ましくは6〜18のアリール基、環形成炭素数6〜50、好ましくは6〜25、より好ましくは6〜18のアリール基を有する炭素数7〜51、好ましくは7〜30、より好ましくは7〜20のアラルキル基、アミノ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜50、好ましくは1〜18、より好ましくは1〜8のアルキル基及び置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜60、好ましくは6〜25、より好ましくは6〜18のアリール基から選ばれる置換基を有するモノ置換又はジ置換アミノ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜50、好ましくは1〜18、より好ましくは1〜8のアルコキシ基、置換もしくは無置換の環形成炭素数3〜50、好ましくは3〜10、より好ましくは3〜8のシクロアルコキシ基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜60、好ましくは6〜25、より好ましくは6〜18のアリールオキシ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜50、好ましくは1〜18、より好ましくは1〜8のアルキルチオ基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜60、好ましくは6〜25、より好ましくは6〜18のアリールチオ基、シリル基、置換もしくは無置換の炭素数1〜50、好ましくは1〜18、より好ましくは1〜8のアルキル基及び置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜60、好ましくは6〜25、より好ましくは6〜18のアリール基から選ばれる置換基を有するモノ置換、ジ置換又はトリ置換シリル基、置換もしくは無置換の環形成原子数5〜60、好ましくは5〜30、より好ましくは5〜26のヘテロアリール基、及び、置換もしくは無置換の炭素数1〜50、好ましくは1〜18、より好ましくは1〜8のハロアルキル基から選ばれる。
〜Rが表す置換基の具体例、好ましい例、及びより好ましい例は、Rに関して記載した置換基の具体例、好ましい例、及びより好ましい例から選択される。
22はイミノ基(>NH)、フェニルイミノ基、メチレン基、ジメチルメチレン基、ジフェニルメチレン基、9,9−ジメチルフルオレニルイミノ基、ビフェニルイミノ基、ナフチルイミノ基、−O−、−S−、−Se−、シリレン(>SiH)、又はジメチルシリレン基であることが好ましく、イミノ基、フェニルイミノ基、ジメチルメチレン基、9,9−ジメチルフルオレニルイミノ基、ビフェニルイミノ基、ナフチルイミノ基、−O−、又は−S−であることがより好ましい。
【0063】
【化22】
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【0064】
式(2’)において、
2、X〜X11、X12〜X16、X17〜X21、及びX22は式(2)で定義したとおりであり、
’〜X’の1つは3’に結合する炭素原子であり、
12’〜X16’の1つは4’に結合する炭素原子であり、
他のX’〜X’、他のX12’〜X16’、及びX17’〜X21’はそれぞれ独立にN又はCR、好ましくはCRを表す。X’とX11は互いに結合する炭素原子であることが好ましく、X16とX21は互いに結合する炭素原子であることが好ましく、X16’とX21’は互いに結合する炭素原子であることが好ましい。
は式(2)で定義したとおりであり、好ましくは水素原子である。
22’は、NR、CR、O、S、Se、又はSiRを表す。
〜Rは式(2)で定義したとおりである。
【0065】
【化23】
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【0066】
式(3)において、5は式(1)の炭素原子c1、炭素原子c2、L(nが0である場合)、又は、L(nが1〜3の整数である場合)に結合し、
37〜X41の1つは6に結合する炭素原子であり、
他のX37〜X41、X32〜X36、及びX42〜X51はそれぞれ独立にN又はCR、好ましくはCRを表す。X36とX41は互いに結合する炭素原子であることが好ましく、X46とX51は互いに結合する炭素原子であることが好ましい。
は水素原子又は置換基を表し複数のRは互いに結合して環を形成してもよい。
が表す置換基、その具体例、好ましい例、及びより好ましい例は、Rに関して記載した置換基、その具体例、好ましい例、及びより好ましい例から選択される。
複数のRが互いに結合して形成する環は、Rに関して記載したものと同様である。
は好ましくは水素原子である。
【0067】
本発明の一態様において、X32〜X36の1つ、好ましくはX34はCRを表し、Rは、N−カルバゾリル基を表す。
【0068】
【化24】
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【0069】
式(3’)において、
5、X37〜X41、及びX42〜X51は式(3)で定義したとおりであり、
32’〜X36’の1つは6’に結合する炭素原子であり、
他のX32’〜X36’及びX42’〜X51’はそれぞれ独立にN又はCRを表す。
は式(3)で定義したとおりであり、好ましくは水素原子である。
36’とX41は互いに結合する炭素原子であることが好ましく、X46とX51は互いに結合する炭素原子であることが好ましく、X46’とX51’は互いに結合する炭素原子であることが好ましい。
【0070】
【化25】
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【0071】
式(3’’)において、
5、X37〜X41、及びX42〜X51式(3)で定義したとおりであり、
32’’〜X36’’の1つは3’’に結合する炭素原子であり、
12’’〜X16’’の1つは4’’に結合する炭素原子であり、
他のX12’’〜X16’’及びX17’’〜X21’’はそれぞれ独立にN又はCR、好ましくはCRを表す。他のX32’’〜X36’’はN又はCR、好ましくはCRを表す。
は式(2)で定義したとおりであり、好ましくは水素原子である。Rは式(3)で定義したとおりであり、好ましくは水素原子である。
36’’とX41は互いに結合する炭素原子であることが好ましく、X46とX51は互いに結合する炭素原子であることが好ましく、X16’’とX21’’は互いに結合する炭素原子であることが好ましい。
22’’は、NR、CR、O、S、Se、又はSiRを表し、
〜Rは式(2)で定義したとおりである。
【0072】
【化26】
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【0073】
式(4)において、7は式(1)の炭素原子c1、炭素原子c2、L(nが0である場合)、又は、L(nが1〜3の整数である場合)に結合する。
67〜X71から選ばれる1つの隣接する対において、一方は8に結合する炭素原子を表し、他方は9に結合する炭素原子を表す。
他のX67〜X71、X62〜X66及びX72〜X75はそれぞれ独立にN又はCR10、好ましくはCR10を表す。X66とX71は互いに結合する炭素原子であることが好ましい。
10は水素原子又は置換基を表し、複数のR10は互いに結合して環を形成してもよい。
10が表す置換基、その具体例、好ましい例、及びより好ましい例は、Rに関して記載した置換基、その具体例、好ましい例、及びより好ましい例から選択される。
複数のR10が互いに結合して形成する環は、Rに関して記載したものと同様である。
10は好ましくは水素原子である。
【0074】
76は、NR11、CR1213、O、S、Se、又はSiR1415を表す。
11〜R15はそれぞれ独立に水素原子又は置換基を表す。R12とR13又はR14とR15は互いに結合して環を形成してもよい。
11〜R15が表す置換基、その具体例、好ましい例、及びより好ましい例は、R〜Rに関して記載した置換基、その具体例、好ましい例、及びより好ましい例から選択される。
76は、イミノ基(>NH)、フェニルイミノ基、メチレン基、ジメチルメチレン基、ジフェニルメチレン基、−O−、−S−、−Se−、シリレン(>SiH)、又はジメチルシリレン基であることが好ましく、イミノ基、フェニルイミノ基、ジメチルメチレン基、−O−、又は−S−であることがより好ましい。
【0075】
化合物(1)において、「AとAが異なる」とは以下を意味する。
(1)AとAの一方が式(2)、(2’)、(3)、(3’)、(3’’)、及び(4)のいずれか1つの式から選ばれ、他方が残りの式から選ばれる。
(2)AとAが共に式(2)から選ばれ、
(2a)3と4の少なくとも一方の結合位置が異なる、
(2b)X〜X21の少なくとも1つが異なる、又は
(2c)X22が異なる。
(3)AとAが共に式(2’)から選ばれ、
(3a)3、3’、4及び4’の少なくとも1つの結合位置が異なる、
(3b)X〜X21、X’〜X’、及びX12’〜X21’の少なくとも1つが異なる、又は
(3c)X22及びX22’の少なくとも一方が異なる。
(4)AとAが共に式(3)から選ばれ、
(4a)6の結合位置が異なる、又は
(4b)X32〜X51の少なくとも1つが異なる。
(5)AとAが共に式(3’)から選ばれ、
(5a)6及び6’の少なくとも一方の結合位置が異なる、又は
(5b)X37〜X51、X32’〜X36’、及びX42’〜X51’の少なくとも1つが異なる。
(6)AとAが共に式(3’’)から選ばれ、
(6a)6、3’’及び4’’の少なくとも一方の結合位置が異なる、
(6b)X37〜X51、X32’’〜X36’’、及びX12’’〜X21’’の少なくとも1つが異なる、又は
(6c)X22’’が異なる。
(7)AとAが共に式(4)から選ばれ、
(7a)8と9の少なくとも一方の結合位置が異なる、
(7b)X62〜X75の少なくとも1つが異なる、又は
(7c)X76が異なる。
とAは(1)、(2a)、(2c)、(3a)、(3c)、(4a)、(5a)、(6a)、(6c)、(7a)、又は(7c)により異なることが好ましく、(1)、(2a)、(3a)、(4a)、(5a)、(6a)、又は(7a)により異なることがより好ましい。
【0076】
式(2)で表される基は、好ましくは下記式(2a)〜(2c)で表される。
【化27】
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(式中、2及びX〜X22は前記と同様である。)
【0077】
式(2a)で表される基は、好ましくは下記式(2a−1)〜(2a−3)で表される。
【化28】
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(式中、2及び各X基は前記と同様である。)
【0078】
式(2b)で表される基は、好ましくは下記式(2b−1)〜(2b−3)で表される。
【化29】
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(式中、2及び各X基は前記と同様である。)
【0079】
式(2c)で表される基は、好ましくは下記式(2c−1)〜(2c−3)で表される。
【化30】
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(式中、2及び各X基は前記と同様である。)
【0080】
式(2’)で表される基は、好ましくは下記式(2’a)〜(2’i)で表される。
【化31】
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【化32】
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(式中、2、X〜X22、X’〜X’、及びX12’〜X22’は前記と同様である。)
【0081】
式(2’a)で表される基は、好ましくは下記式(2’a−1)〜(2’a−5)で表される。
【化33】
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(式中、2及び各X基は前記と同様である。)
【0082】
式(2’b)で表される基は、好ましくは下記式(2’b−1)〜(2’b−7)で表される。
【化34】
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【化35】
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(式中、2及び各X基は前記と同様である。)
【0083】
式(2’c)で表される基は、好ましくは下記式(2’c−1)〜(2’c−7)で表される。
【化36】
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【化37】
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(式中、2及び各X基は前記と同様である。)
【0084】
式(2’d)で表される基は、好ましくは下記式(2’d−1)〜(2’d−5)で表される。
【化38】
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(式中、2及び各X基は前記と同様である。)
【0085】
式(2’e)で表される基は、好ましくは下記式(2’e−1)〜(2’e−7)で表される。
【化39】
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【化40】
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(式中、2及び各X基は前記と同様である。)
【0086】
式(2’f)で表される基は、好ましくは下記式(2’f−1)〜(2’f−7)で表される。
【化41】
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【化42】
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(式中、2及び各X基は前記と同様である。)
【0087】
式(2’g)で表される基は、好ましくは下記式(2’g−1)〜(2’g−5)で表される。
【化43】
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(式中、2及び各X基は前記と同様である。)
【0088】
式(2’h)で表される基は、好ましくは下記式(2’h−1)〜(2’h−7)で表される。
【化44】
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【化45】
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(式中、2及び各X基は前記と同様である。)
【0089】
式(2’i)で表される基は、好ましくは下記式(2’i−1)〜(2’i−7)で表される。
【化46】
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【化47】
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(式中、2及び各X基は前記と同様である。)
【0090】
式(3)で表される基は、好ましくは下記式(3a)又は(3b)で表される。
【化48】
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(式中、5及びX32〜X51は前記と同様である。)
【0091】
式(3a)で表される基は、好ましくは下記式(3a−1)〜(3a−3)で表される。
【化49】
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(式中、5及び各X基は前記と同様である。)
【0092】
式(3b)で表される基は、好ましくは下記式(3b−1)〜(3b−3)で表される。
【化50】
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(式中、5及び各X基は前記と同様である。)
【0093】
式(3’)で表される基は、好ましくは下記式(3’a)〜(3’c)で表される。
【化51】
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(式中、5、X37〜X51、X32’〜X36’、及びX42’〜X51’は前記と同様である。)
【0094】
式(3’a)で表される基は、好ましくは下記式(3’a−1)〜(3’a−5)で表される。
【化52】
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【化53】
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(式中、5及び各X基は前記と同様である。)
【0095】
式(3’b)で表される基は、好ましくは下記式(3’b−1)〜(3’b−7)で表される。
【化54】
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【化55】
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(式中、5及び各X基は前記と同様である。)
【0096】
式(3’c)で表される基は、好ましくは下記式(3’c−1)〜(3’c−5)で表される。
【化56】
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(式中、5及び各X基は前記と同様である。)
【0097】
式(3’’)で表される基は、好ましくは下記式(3’’a)〜(3’’f)で表される。
【化57】
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【化58】
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(式中、5、X37〜X51、X32’’〜X36’’、及びX12’’〜X22’’は前記と同様である。)
【0098】
式(3’’a)で表される基は、好ましくは下記式(3’’a−1)〜(3’’a−7)で表される。
【化59】
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【化60】
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(式中、5及び各X基は前記と同様である。)
【0099】
式(3’’b)で表される基は、好ましくは下記式(3’’b−1)〜(3’’b−7)で表される。
【化61】
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【化62】
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(式中、5及び各X基は前記と同様である。)
【0100】
式(3’’c)で表される基は、好ましくは下記式(3’’c−1)〜(3’’c−7)で表される。
【化63】
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【化64】
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(式中、5及び各X基は前記と同様である。)
【0101】
式(3’’d)で表される基は、好ましくは下記式(3’’d−1)〜(3’’d−7)で表される。
【化65】
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【化66】
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(式中、5及び各X基は前記と同様である。)
【0102】
式(3’’e)で表される基は、好ましくは下記式(3’’e−1)〜(3’’e−7)で表される。
【化67】
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【化68】
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(式中、5及び各X基は前記と同様である。)
【0103】
式(3’’f)で表される基は、好ましくは下記式(3’’f−1)〜(3’’f−7)で表される。
【化69】
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【化70】
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(式中、5及び各X基は前記と同様である。)
【0104】
式(4)で表される基は、好ましくは下記式(4a)〜(4f)で表される。
【化71】
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【化72】
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(式中、7及びX62〜X76は前記と同様。)
【0105】
式(4a)〜(4f)で表される基は、好ましくはそれぞれ下記式(4a−1)〜(4f−1)で表される。
【化73】
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(式中、7及び各X基は前記と同様。)
【0106】
化合物(1)の製造方法を以下に説明する。
通常、2つの活性部位を有する出発化合物の1つの活性部位に第1の置換基を導入し、他方の活性部位に第1の置換基とは異なる第2の置換基を導入する場合、2つの活性部位の双方に第1の置換基が導入されないように反応を制御する必要がある。
例えば、ハロゲン化アリールとアミンのカップリングに汎用されているウルマン反応やブッフバルト反応では、2つの活性部位の双方に第1の置換基が導入されないように反応を制御することが難しく、2つの活性部位に異なる置換基がそれぞれ導入された化合物を簡便かつ収率良く得ることは難しかった。
【0107】
本発明者等は上記問題を解決する合成方法について検討を重ねた結果、例えば、下記のジハライド:
【化74】
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(式中、Hal及びHalは同一又は異なるハロゲン原子を表す。)
では、特定の反応条件において、Halのアミン化合物及びカルバゾール化合物に対する反応活性がHalのそれより著しく低く、Halが結合する炭素原子のみに第1の置換基を選択的に導入できることを見出した。この知見に基づいて、本発明者等は、(1)前記特定の反応条件において、Halが結合する炭素原子のみに第1の置換基を選択的に導入し、次いで、(2)Halのアミン化合物及びカルバゾール化合物に対する反応活性が高くなる条件、例えば、ブッフバルト反応の条件で第1の置換基とは異なる第2の置換基をHalが結合する炭素原子に導入することにより、異なる置換基が導入された化合物を収率良く合成出来ることを見出した。
【0108】
例えば、化合物(1)は以下のようにして製造することが出来る。
合成方法1
【化75】
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【0109】
合成方法2
【化76】
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【0110】
以下、化合物(1)の製造方法をより詳しく説明する。
第1の反応
第1の反応では、下記式(I)で表される化合物(化合物(I)と記載することもある)
【化77】
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(式中、R、X、L、及びnは式(1)で定義したとおりであり、
c及びdの一方は炭素原子c1に結合し、他方は炭素原子c2に結合し、
Hal及びHalは同一又は異なるハロゲン原子を表し、フッ素、塩素、臭素、及びヨウ素から選ばれる、
nが0である場合、Lは1個、又は、同一又は異なる複数のハロゲン原子で置換されていてもよく、
nが1〜3の整数である場合、Lは1個、又は、同一又は異なる複数のハロゲン原子で置換されていてもよい。)
と下記式(II)、(II’)、(III)、(III’)、(III’’)、及び(IV)のいずれかで表されるアミン化合物を反応させる。
【0111】
【化78】
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(式中、X〜X22は式(2)で定義したとおりであり、Hは式(I)のHalと反応する水素原子である。)
【0112】
【化79】
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(式中、X〜X22、X’〜X’、及びX12’〜X22’は式(2’)で定義したとおりであり、Hは式(I)のHalと反応する水素原子である。)
【0113】
【化80】
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(式中、X32〜X51は式(3)で定義したとおりであり、Hは式(I)のHalと反応する水素原子である。)
【0114】
【化81】
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(式中、X37〜X51、X32’〜X36’、及びX42’〜X51’は式(3’)で定義したとおりであり、Hは式(I)のHalと反応する水素原子である。)
【0115】
【化82】
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(式中、X37〜X51、X32’〜X36’、及びX12’〜X22’は式(3’’)で定義したとおりであり、Hは式(I)のHalと反応する水素原子である。)
【0116】
【化83】
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(式中、X62〜X76は式(4)で定義したとおりであり、Hは式(I)のHalと反応する水素原子である。)
【0117】
第1の反応は、塩基性触媒の存在下かつ遷移金属触媒の不存在下、有機溶媒中、好ましくは非プロトン性極性有機溶媒中で行う。
塩基性触媒は、式(II)、(II’)、(III)、(III’)、(III’’)、及び(IV)のHの引き抜きを触媒するが、ハロゲン化芳香族炭素原子に対する求核性が低い触媒であることが好ましい。そのような塩基性触媒としては、KCO、NaCo等のアルカリ金属炭酸塩類;KHCO、NaHCO3等のアルカリ金属炭酸水素塩類;CaCO3、CsCO3等のアルカリ土類金属炭酸塩類;KPO等の金属りん酸塩類;KH,NaH,LiH等のアルカリ金属ヒドリド類;LDA(リチウムジイソプロピルアミド)等の金属アミド類等が挙げられるが、特にKCO、NaCO,CaCO3、CsCO3、KH,NaH,LiH、LDA等が好ましい。
第1の反応に使用する有機溶媒は、上記の塩基性触媒と反応しない溶媒であれば制限はないが、例えば、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等アミド系溶媒、ジメチルスルホキシドなどの非プロトン性極性有機溶媒が塩基性触媒の溶解性の点から好ましい。さらには非プロトン性極性有機溶媒とベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族溶媒とを混合して用いても良い。
【0118】
式(II)、(II’)、(III)、(III’)、(III’’)、及び(IV)のいずれかで表されるアミン化合物は、化合物(I)のアジン環に直結したHalの1モルに対して1〜2モル使用するのが好ましい。塩基性触媒の使用量は化合物(I)のアジン環に直結したHalの1モルに対して1〜10当量であるのが好ましい。有機溶媒の使用量は化合物(I)の溶解度によるが、概ねその濃度が0.01〜2.0モル/Lになるように用いるのが好ましい。
反応温度は室温〜200℃が好ましい。反応時間は使用する化合物(I)、アミン化合物、塩基性触媒の種類、使用量などにより異なるが、通常1〜24時間である。
【0119】
第1の反応により、下記式(V)で表されるハロゲン化物(化合物(V)と記載することもある)が得られる。
【化84】
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(式中、c、d、A、R、X、L、及びnは式(1)で定義したとおりであり、Halは式(I)で定義したとおりである。)
【0120】
第1の反応を上記反応条件で行うことにより、目的化合物(V)が50〜100%の高収率で得られる。
また、第1の反応をパラジウム、銅、白金、ロジウム、ルテニウム、ニッケル、鉄等の遷移金属触媒の存在下で行うと、式(I)のHalの反応活性が高くなり、Halが結合する炭素原子だけでなく、Halが結合する炭素原子にも前記アミン化合物(II)、(II’)、(III)、(III’)、(III’’)、及び(IV)が導入されてしまう場合がある。従って、第1の反応は遷移金属触媒の不存在下で行うことが望ましい。
例えば、第1の反応をPd(dba)(トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0))等の遷移金属触媒及びtBuONa(ナトリウムt−ブトキシド)等の強塩基の存在下で行うと、Hal、Hal双方のハロゲン原子がカルバゾール化合物で置換された化合物、一方のハロゲン原子がカルバゾール化合物で置換され、他方のハロゲン原子がtBuOで置換された化合物、一方のハロゲン原子がtBuOで置換された化合物などが副成し、分離、精製操作が煩雑になるだけでなく、式(V)で表される目的化合物を工業的実施に十分な程度の収率で得ることが出来ない。
【0121】
第2の反応
第2の反応では、化合物(V)と前記式(II)、(II’)、(III)、(III’)、(III’’)、及び(IV)のいずれかで表されるアミン化合物、ただし、第1の反応で用いたアミン化合物とは異なる、を反応させて前記化合物(1)を合成する。
【0122】
第2の反応は、Halの反応活性が第1の反応のときより高くなる条件、例えば、ブッフバルト反応、ウルマン反応などのアミノ化反応条件で行われる。
すなわち、第2の反応は、パラジウム、銅、白金、ロジウム、ルテニウム、ニッケル、鉄等から選ばれる遷移金属触媒と、モノホスフィン類、ジホスフィン類、ジアミン類、ピリジン類、キノリン類等の配位子と、また必要に応じてアルコキシド類、炭酸塩類、燐酸塩類等の塩基の存在下、有機溶媒中で行う。
ブッフバルト反応の場合、パラジウム触媒としては、Pd(dba)(トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0))、Pd(OAc)(酢酸パラジウム)等が通常用いられる。配位子としては、各種ホスフィン類が主に用いられ、例えばP(oTol)(トリ(オルトトリル)ホスフィン)、PtBu(トリ(t−ブチル)ホスフィン)、BINAP(ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル),DPPF(ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン),XantPhos(4,5−ビス(ジフェニルホスフィノ)−9,9−ジメチルキサンテン)、DPEPhos(オキシジ−2,1−フェニレン)ビス(ジフェニルホスフィン)、JhonPhos(2−(ジターシャリーブチルホスフィノ)ビフェニル)、DavePhos(2−ジシクロヘキシルホスフィノー2’−(N,N−ジメチルアミノ)ビフェニル)、X−Phos(2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,4’、6’−トリイソプロピルビフェニル)、AmPhos(N,N−ジメチル−4−(ジターシャリーブチルホスフィノ)アニリン)等が好適に用いることができる。また、あらかじめパラジウムにホスフィンが配位した錯体、例えばPdCl(P(oTol)、PdCl(dppf)等も好ましく用いることができる。塩基としてはtBuONa(ナトリウムターシャリーブトキシド)等の強塩基性のアルコキド類が最も好ましく用いられるが、強塩基と反応しやすい官能基が存在する場合等にはCsCO、KPO等の弱塩基を用いることも可能である。
ウルマン反応の場合、銅触媒としては、銅金属、塩化第一銅、臭化第一銅、沃化第一銅、酸化第一銅、酸化第二銅等が用いられ、配位子としては、テトラメチルエチレンジアミン、1,2−ビスジメチルアミノシクロヘキサン等のジアミン類、ピリジン類、キノリン類等が好適に用いられる。
いずれの反応に於いても有機溶媒としては一般的にはベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン等の芳香族炭化水素溶媒が好適に用いられるが、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン、1,4−ジオキサン、アニソール等のエーテル系溶媒、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド系溶媒も単独または共溶媒として用いることができる。
【0123】
式(II)、(II’)、(III)、(III’)、(III’’)、及び(IV)のいずれかで表されるアミン化合物は、化合物(V)のHalの1モルに対して、1〜1.5モル使用するのが好ましい。遷移金属触媒の使用量は、Halの1モルに対して0.01〜100モル、好ましくは0.5〜10モルであり、配位子の使用量は遷移金属触媒に対して1〜5当量であり、塩基の使用量はHalの1モルに対して1〜20当量であるのが好ましい。有機溶媒の使用量は化合物(V)の溶解度によるが、概ねその濃度が0.01〜2.0モル/Lになるように用いるのが好ましい。
【0124】
第2の反応は室温〜200℃で行うことが好ましい。反応時間は使用する化合物(V)、アミン化合物、遷移金属触媒、配位子、塩基の種類、使用量などにより異なるが、通常1〜24時間である。
【0125】
第2の反応により、化合物(V)のハロゲン原子と式(II)、(II’)、(III)、(III’)、(III’’)、及び(IV)のいずれかで表されるアミン化合物の水素原子Hが脱離して、前記化合物(1)が得られる。得られた化合物(1)は公知の分離操作、抽出操作、精製操作などにより反応混合物から単離される。第1の反応と第2の反応により得られる化合物(1)の全収率は、化合物(I)に基づいて、約50〜95%である。
【0126】
以上の製造方法により、式(2)、(2’)、(3)、(3’)、(3’’)、及び(4)から選ばれる異なる複数の置換基が含窒素複素環に導入された化合物(1)が高収率で得られる。このように異なる複数の置換基が導入されているので、同一の複数の置換基が含窒素複素環に導入された化合物と比較して、化合物(1)は特性の多様性が飛躍的に向上する。
有機EL素子においては、例えば、蒸着法や塗布法などの層形成方法の違い、蛍光発光層、燐光発光層、電子輸送層、正孔輸送層などの材料が使用される層の違い、発光層であっても発光色の違いなどにより、材料に求められる特性は異なる。化合物(1)はこのような多様な特性要求に応え得る化合物であり、上記製造方法によれば化合物(1)をより簡便な方法で高収率で提供することができる。
【0127】
以下に化合物(1)の具体例を示すが、これらに限定されるものではない。
【0128】
【化85】
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【0129】
【化86】
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【0130】
【化87】
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【0131】
【化88】
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【0132】
【化89】
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【0133】
【化90】
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【0134】
【化91】
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【0135】
【化92】
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【0136】
【化93】
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【0137】
【化94】
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【0138】
【化95】
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【0139】
有機EL素子
次に、本発明の一態様の有機EL素子について説明する。
有機EL素子は、陰極と陽極の間に一層以上の有機薄膜層を有する。この有機薄膜層は発光層を含み、有機薄膜層の少なくとも1層が前記式(1)で表される化合物(化合物(1))を含む。
前記化合物(1)が含まれる有機薄膜層の例としては、陽極と発光層との間に設けられる陽極側有機薄膜層(正孔輸送層、正孔注入層等)、発光層、陰極と発光層との間に設けられる陰極側有機薄膜層(電子輸送層、電子注入層等)、スペース層、障壁層等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。前記化合物(1)は、上記いずれの層に含まれていてもよく、例えば、蛍光発光ユニットの発光層におけるホスト材料やドーパント材料、燐光発光ユニットの発光層におけるホスト材料、発光ユニットの正孔輸送層材料、電子輸送層材料等として用いることができる。
【0140】
本発明の一態様において、有機EL素子は、蛍光又は燐光発光型の単色発光素子であっても、蛍光/燐光ハイブリッド型の白色発光素子であってもよいし、単独の発光ユニットを有するシンプル型であっても、複数の発光ユニットを有するタンデム型であってもよく、中でも、燐光発光型であることが好ましい。ここで、「発光ユニット」とは、一層以上の有機層を含み、そのうちの一層が発光層であり、注入された正孔と電子が再結合することにより発光することができる最小単位をいう。
【0141】
従って、シンプル型有機EL素子の代表的な素子構成としては、以下の素子構成を挙げることができる。
(1)陽極/発光ユニット/陰極
また、上記発光ユニットは、燐光発光層や蛍光発光層を複数有する積層型であってもよく、その場合、各発光層の間に、燐光発光層で生成された励起子が蛍光発光層に拡散することを防ぐ目的で、スペース層を有していてもよい。発光ユニットの代表的な層構成を以下に示す。
(a)正孔輸送層/発光層(/電子輸送層)
(b)正孔輸送層/第一燐光発光層/第二燐光発光層(/電子輸送層)
(c)正孔輸送層/燐光発光層/スペース層/蛍光発光層(/電子輸送層)
(d)正孔輸送層/第一燐光発光層/第二燐光発光層/スペース層/蛍光発光層(/電子輸送層)
(e)正孔輸送層/第一燐光発光層/スペース層/第二燐光発光層/スペース層/蛍光発光層(/電子輸送層)
(f)正孔輸送層/燐光発光層/スペース層/第一蛍光発光層/第二蛍光発光層(/電子輸送層)
(g)正孔輸送層/電子障壁層/発光層(/電子輸送層)
(h)正孔輸送層/発光層/正孔障壁層(/電子輸送層)
(i)正孔輸送層/蛍光発光層/トリプレット障壁層(/電子輸送層)
【0142】
上記各燐光又は蛍光発光層は、それぞれ互いに異なる発光色を示すものとすることができる。具体的には、上記積層発光ユニット(d)において、正孔輸送層/第一燐光発光層(赤色発光)/第二燐光発光層(緑色発光)/スペース層/蛍光発光層(青色発光)/電子輸送層といった層構成等が挙げられる。
なお、各発光層と正孔輸送層あるいはスペース層との間には、適宜、電子障壁層を設けてもよい。また、各発光層と電子輸送層との間には、適宜、正孔障壁層を設けてもよい。電子障壁層や正孔障壁層を設けることで、電子又は正孔を発光層内に閉じ込めて、発光層における電荷の再結合確率を高め、発光効率を向上させることができる。
【0143】
タンデム型有機EL素子の代表的な素子構成としては、以下の素子構成を挙げることができる。
(2)陽極/第一発光ユニット/中間層/第二発光ユニット/陰極
ここで、上記第一発光ユニット及び第二発光ユニットとしては、例えば、それぞれ独立に上述の発光ユニットと同様のものを選択することができる。
上記中間層は、一般的に、中間電極、中間導電層、電荷発生層、電子引抜層、接続層、中間絶縁層とも呼ばれ、第一発光ユニットに電子を、第二発光ユニットに正孔を供給する、公知の材料構成を用いることができる。
【0144】
図1に、前記有機EL素子の一例の概略構成を示す。有機EL素子1は、基板2、陽極3、陰極4、及び該陽極3と陰極4との間に配置された発光ユニット10とを有する。発光ユニット10は、燐光ホスト材料と燐光ドーパント材料(燐光発光材料)を含む少なくとも1つの燐光発光層を含む発光層5を有する。発光層5と陽極3との間に正孔注入・輸送層(陽極側有機薄膜層)6等、発光層5と陰極4との間に電子注入・輸送層(陰極側有機薄膜層)7等を形成してもよい。また、発光層5の陽極3側に電子障壁層(図示せず)を、発光層5の陰極4側に正孔障壁層(図示せず)を、それぞれ設けてもよい。これにより、電子や正孔を発光層5に閉じ込めて、発光層5における励起子の生成確率をさらに高めることができる。
【0145】
なお、本発明において、蛍光ドーパント材料(蛍光発光材料)と組み合わされたホスト材料を蛍光ホスト材料と称し、燐光ドーパント材料と組み合わされたホスト材料を燐光ホスト材料と称する。蛍光ホスト材料と燐光ホスト材料は分子構造のみにより区分されるものではない。すなわち、燐光ホスト材料とは、燐光ドーパント材料を含有する燐光発光層を形成する材料を意味し、蛍光発光層を形成する材料として利用できないことを意味しているわけではない。蛍光ホスト材料についても同様である。
【0146】
基板
本発明の一態様において、有機EL素子は透光性基板上に作製する。透光性基板は有機EL素子を支持する基板であり、400nm〜700nmの可視領域の光の透過率が50%以上で平滑な基板が好ましい。具体的には、ガラス板、ポリマー板等が挙げられる。ガラス板としては、特にソーダ石灰ガラス、バリウム・ストロンチウム含有ガラス、鉛ガラス、アルミノケイ酸ガラス、ホウケイ酸ガラス、バリウムホウケイ酸ガラス、石英等を原料として用いてなるものを挙げられる。またポリマー板としては、ポリカーボネート、アクリル、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルサルファイド、ポリサルフォン等を原料として用いてなるものを挙げることができる。
また、可撓性基板を用いてもよい。可撓性基板とは、折り曲げることができる(フレキシブル)基板のことであり、例えば、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニルからなるプラスチック基板等が挙げられる。
【0147】
陽極
基板上に形成される陽極は、正孔を正孔輸送層又は発光層に注入する役割を担うものであり、4.0eV以上、好ましくは4.5eV以上の仕事関数を有する金属、合金、電気伝導性化合物、およびこれらの混合物などを用いることが効果的である。陽極材料の具体例としては、酸化インジウム錫合金(ITO)、珪素若しくは酸化珪素を含有する酸化インジウム錫合金、酸化錫(NESA)、酸化インジウム亜鉛酸化物、酸化タングステン、グラフェン、金、銀、白金、銅、金属の窒化物(例えば、窒化チタン)等が挙げられる。陽極はこれらの電極物質を蒸着法やスパッタリング法等の方法で薄膜を形成させることにより作製することができる。発光層からの発光を陽極から取り出す場合、陽極の可視領域の光の透過率を10%より大きくすることが好ましい。また、陽極のシート抵抗は、数百Ω/□以下が好ましい。陽極の膜厚は、材料にもよるが、通常10nm〜1μm、好ましくは10nm〜200nmの範囲で選択される。
【0148】
陰極
陰極は電子注入層、電子輸送層又は発光層に電子を注入する役割を担うものであり、仕事関数の小さい(具体的には3.8eV以下)材料、例えば、金属、合金、電気伝導性化合物、およびこれらの混合物により形成するのが好ましい。陰極材料は特に限定されないが、具体的には、元素周期表の第1族または第2族に属する元素、すなわちリチウムやセシウム等のアルカリ金属、マグネシウム等のアルカリ土類金属、希土類金属等の金属、及びこれらの金属を含む合金など、例えば、インジウム、アルミニウム、マグネシウム、マグネシウム−インジウム合金、マグネシウム−アルミニウム合金、アルミニウム−リチウム合金、アルミニウム−スカンジウム−リチウム合金、マグネシウム−銀合金等が使用できる。陰極も、陽極と同様に、蒸着法やスパッタリング法等の方法で薄膜を形成させることにより作製することができる。また、必要に応じて、陰極側から発光を取り出してもよい。
【0149】
発光層
発光機能を有する有機層であって、ドーピングシステムを採用する場合、ホスト材料とドーパント材料(発光性の高い物質)を含んでいる。ドーパント材料としては、例えば、蛍光発光材料や燐光発光材料を用いることができる。蛍光発光材料は一重項励起状態から発光可能な化合物であり、燐光性化合物は三重項励起状態から発光可能な化合物である。ホスト材料は、主に電子と正孔の再結合を促し、励起子を発光層内に閉じ込める機能を有し、ドーパント材料は、再結合で得られた励起子を効率的に発光させる機能を有する。
燐光素子の場合、ホスト材料は主にドーパント材料で生成された励起子を発光層内に閉じ込める機能を有する。
【0150】
ここで、上記発光層は、例えば、電子輸送性のホスト材料と正孔輸送性のホスト材料を組み合わせるなどして、発光層内のキャリアバランスを調整するダブルホスト(ホスト・コホストともいう)を採用してもよい。
また、量子収率の高いドーパント材料を二種類以上入れることによって、それぞれのドーパント材料が発光するダブルドーパントを採用してもよい。具体的には、ホスト材料、赤色ドーパント材料及び緑色ドーパント材料を共蒸着することによって、発光層を共通化して黄色発光を実現する態様が挙げられる。
【0151】
上記発光層は、複数の発光層を積層した積層体とすることで、発光層界面に電子と正孔を蓄積させて、再結合領域を発光層界面に集中させて、量子効率を向上させることができる。
発光層への正孔の注入し易さと電子の注入し易さは異なっていてもよく、また、発光層中での正孔と電子の移動度で表される正孔輸送能と電子輸送能が異なっていてもよい。
【0152】
発光層を形成する燐光ドーパント材料(燐光発光材料)は三重項励起状態から発光することのできる化合物であり、三重項励起状態から発光する限り特に限定されないが、Ir,Pt,Os,Au,Cu,Re及びRuから選択される少なくとも一つの金属と配位子とを含む有機金属錯体であることが好ましい。例えば、青色系の燐光ドーパント材料として、イリジウム錯体、オスミウム錯体、白金錯体等の金属錯体、緑色系の燐光ドーパント材料としてイリジウム錯体等、赤色系の燐光ドーパント材料として、イリジウム錯体、白金錯体、テルビウム錯体、ユーロピウム錯体等の金属錯体が使用される。
前記配位子は、オルトメタル結合を有することが好ましい。燐光量子収率が高く、発光素子の外部量子効率をより向上させることができるという点で、Ir,Os及びPtから選ばれる金属原子を含有する金属錯体が好ましく、イリジウム錯体、オスミウム錯体、白金錯体等の金属錯体、特にオルトメタル化錯体がより好ましく、イリジウム錯体及び白金錯体がさらに好ましく、オルトメタル化イリジウム錯体が特に好ましい。
【0153】
燐光ドーパント材料の発光層における含有量は特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、0.1〜70質量%が好ましく、1〜30質量%がより好ましい。燐光ドーパント材料の含有量が0.1質量%以上であると十分な発光が得られ、70質量%以下であると濃度消光を避けることができる。
【0154】
燐光ドーパント材料として好ましい有機金属錯体の具体例を、以下に示す。
【化96】
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【0155】
【化97】
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【0156】
【化98】
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【0157】
さらに、燐光ドーパント材料として、下記式(X)又は(Y)で表される錯体が好ましい。
【化99】
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式(X)、(Y)において、R10は、水素原子又は置換基であり、kは、1〜4の整数である。Mは、Ir、Os、又はPtである。
10の示す置換基としては、上記式(1)のR〜R等で例示した置換基と同様のものが挙げられる。
【0158】
本発明の一態様において、有機EL素子は蛍光発光材料を含有する発光層、つまり蛍光発光層を有していてもよい。蛍光発光層としては、公知の蛍光発光材料を使用できる。
本発明の一態様においては、青色系の蛍光発光材料として、ピレン誘導体、スチリルアミン誘導体、クリセン誘導体、フルオランテン誘導体、フルオレン誘導体、ジアミン誘導体、トリアリールアミン誘導体等、緑色系の蛍光発光材料として、芳香族アミン誘導体等、赤色系の蛍光発光材料として、テトラセン誘導体、ジアミン誘導体等が使用される。
本発明の他の態様においては、該蛍光発光材料としては、アントラセン誘導体、フルオランテン誘導体、スチリルアミン誘導体及びアリールアミン誘導体から選択される少なくとも1種が好ましく、アントラセン誘導体、アリールアミン誘導体がより好ましい。特に、ホスト材料としてはアントラセン誘導体が好ましく、ドーパント材料としてはアリールアミン誘導体が好ましい。具体的には、国際公開第2010/134350号や国際公開第2010/134352号に記載する好適な材料が選択される。前記化合物(1)及び前記有機EL素子用材料は、蛍光発光層の蛍光発光材料として用いてもよく、蛍光発光層のホスト材料として用いてもよい。
【0159】
上述した発光性の高い物質(ドーパント材料)を他の物質(ホスト材料)に分散させてもよい。ホスト材料としては、各種のものを用いることができ、ドーパント材料よりも最低空軌道準位(LUMO準位)が高く、最高被占有軌道準位(HOMO準位)が低い物質を用いることが好ましい。
本発明の一態様において、ホスト材料としては、(1)アルミニウム錯体、ベリリウム錯体、亜鉛錯体等の金属錯体、(2)オキサジアゾール誘導体、ベンゾイミダゾール誘導体、フェナントロリン誘導体等の複素環化合物、(3)カルバゾール誘導体、アントラセン誘導体、フェナントレン誘導体、ピレン誘導体、クリセン誘導体等の縮合芳香族化合物、(4)トリアリールアミン誘導体、縮合多環芳香族アミン誘導体等の芳香族アミン化合物が使用される。
【0160】
燐光ホストは、燐光ドーパントの三重項エネルギーを効率的に発光層内に閉じ込めることにより、燐光ドーパントを効率的に発光させる機能を有する化合物である。前記化合物(1)及び該化合物(1)を含む有機EL素子用材料は燐光ホストとして有用であるが、前記化合物(1)以外の化合物も、燐光ホストとして、目的に応じて適宜選択することができる。また、前記化合物(1)及び有機EL素子用材料は、燐光ホストへの適用に限定されない。
前記化合物(1)とそれ以外の化合物を同一の発光層内の燐光ホスト材料として併用してもよいし、複数の発光層がある場合には、そのうちの一つの発光層の燐光ホスト材料として前記化合物(1)を用い、別の一つの発光層の燐光ホスト材料として前記化合物(1)以外の化合物を用いてもよい。また、前記化合物(1)は発光層以外の有機層にも使用しうるものであり、その場合には発光層の燐光ホストとして、前記化合物(1)以外の化合物を用いてもよい。
【0161】
前記化合物(1)以外の化合物で、燐光ホストとして好適な化合物の具体例としては、カルバゾール誘導体、トリアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体、ピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、芳香族第三アミン化合物、スチリルアミン化合物、芳香族ジメチリデン系化合物、ポルフィリン系化合物、アントラキノジメタン誘導体、アントロン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、カルボジイミド誘導体、フルオレニリデンメタン誘導体、ジスチリルピラジン誘導体、ナフタレンペリレン等の複素環テトラカルボン酸無水物、フタロシアニン誘導体、8−キノリノール誘導体の金属錯体やメタルフタロシアニン、ベンゾオキサゾールやベンゾチアゾールを配位子とする金属錯体に代表される各種金属錯体ポリシラン系化合物、ポリ(N−ビニルカルバゾール)誘導体、アニリン系共重合体、チオフェンオリゴマー、ポリチオフェン等の導電性高分子オリゴマー、ポリチオフェン誘導体、ポリフェニレン誘導体、ポリフェニレンビニレン誘導体、ポリフルオレン誘導体等の高分子化合物等が挙げられる。燐光ホストは単独で使用しても良いし、2種以上を併用しても良い。具体例としては、以下のような化合物が挙げられる。
【0162】
【化100】
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【0163】
電子供与性ドーパント
本発明の一態様において、陰極と発光ユニットとの界面領域に電子供与性ドーパントを有することも好ましい。このような構成によれば、有機EL素子における発光輝度の向上や長寿命化が図られる。ここで、電子供与性ドーパントとは、仕事関数3.8eV以下の金属を含有するものをいい、その具体例としては、アルカリ金属、アルカリ金属錯体、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属、アルカリ土類金属錯体、アルカリ土類金属化合物、希土類金属、希土類金属錯体、及び希土類金属化合物等から選ばれた少なくとも一種類が挙げられる。
【0164】
アルカリ金属としては、Na(仕事関数:2.36eV)、K(仕事関数:2.28eV)、Rb(仕事関数:2.16eV)、Cs(仕事関数:1.95eV)等が挙げられ、仕事関数が2.9eV以下のものが特に好ましい。これらのうち好ましくはK、Rb、Cs、さらに好ましくはRb又はCsであり、最も好ましくはCsである。アルカリ土類金属としては、Ca(仕事関数:2.9eV)、Sr(仕事関数:2.0eV〜2.5eV)、Ba(仕事関数:2.52eV)等が挙げられ、仕事関数が2.9eV以下のものが特に好ましい。希土類金属としては、Sc、Y、Ce、Tb、Yb等が挙げられ、仕事関数が2.9eV以下のものが特に好ましい。
【0165】
アルカリ金属化合物としては、LiO、CsO、KO等のアルカリ酸化物、LiF、NaF、CsF、KF等のアルカリハロゲン化物等が挙げられ、LiF、LiO、NaFが好ましい。アルカリ土類金属化合物としては、BaO、SrO、CaO及びこれらを混合したBaSr1−xO(0<x<1)、BaCa1−xO(0<x<1)等が挙げられ、BaO、SrO、CaOが好ましい。希土類金属化合物としては、YbF、ScF、ScO、Y、Ce、GdF、TbF等が挙げられ、YbF、ScF、TbFが好ましい。
【0166】
アルカリ金属錯体、アルカリ土類金属錯体、希土類金属錯体としては、それぞれ金属イオンとしてアルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、希土類金属イオンの少なくとも一つ含有するものであれば特に限定はない。また、配位子にはキノリノール、ベンゾキノリノール、アクリジノール、フェナントリジノール、ヒドロキシフェニルオキサゾール、ヒドロキシフェニルチアゾール、ヒドロキシジアリールオキサジアゾール、ヒドロキシジアリールチアジアゾール、ヒドロキシフェニルピリジン、ヒドロキシフェニルベンゾイミダゾール、ヒドロキシベンゾトリアゾール、ヒドロキシフルボラン、ビピリジル、フェナントロリン、フタロシアニン、ポルフィリン、シクロペンタジエン、β−ジケトン類、アゾメチン類、及びそれらの誘導体などが好ましいが、これらに限定されるものではない。
【0167】
電子供与性ドーパントは界面領域に層状又は島状に形成するのが好ましい。形成方法としては、抵抗加熱蒸着法により電子供与性ドーパントを蒸着しながら、界面領域を形成する有機化合物(発光材料や電子注入材料)を同時に蒸着させ、有機化合物に電子供与性ドーパントを分散する方法が好ましい。分散濃度はモル比で前記有機化合物:電子供与性ドーパント=100:1〜1:100、好ましくは5:1〜1:5である。
【0168】
電子供与性ドーパントを層状に形成する場合は、界面領域を形成する有機化合物(発光材料や電子注入材料)を層状に形成した後に、電子供与性ドーパントを単独で抵抗加熱蒸着法により蒸着し、好ましくは層の厚み0.1nm〜15nmで形成する。電子供与性ドーパントを島状に形成する場合は、界面領域を形成する有機化合物(発光材料や電子注入材料)を島状に形成した後に、電子供与性ドーパントを単独で抵抗加熱蒸着法により蒸着し、好ましくは島の厚み0.05nm〜1nmで形成する。
前記有機化合物と電子供与性ドーパントの割合は、モル比で5:1〜1:5であると好ましく、2:1〜1:2であるとさらに好ましい。
【0169】
電子注入層
電子注入層は、電子注入性の高い物質を含む層である。電子注入層には、リチウム(Li)、フッ化リチウム(LiF)、フッ化セシウム(CsF)、フッ化カルシウム(CaF2)、リチウム酸化物(LiOx)等のようなアルカリ金属、アルカリ土類金属、またはそれらの化合物を用いることができる。
【0170】
電子輸送層
電子輸送層は、発光層と陰極との間に形成される有機層であって、電子を陰極から発光層へ輸送する機能を有する。電子輸送層が複数層で構成される場合、陰極に近い有機層を電子注入層と定義することがある。電子注入層は、陰極から電子を効率的に有機層ユニットに注入する機能を有する。前記化合物(1)及び前記有機EL素子用材料は、電子輸送層に含有される電子輸送材料として用いることもできる。
【0171】
電子輸送層に用いることができる他の電子輸送性材料としては、(1)アルミニウム錯体、ベリリウム錯体、亜鉛錯体等の金属錯体、(2)イミダゾール誘導体、ベンゾイミダゾール誘導体、アジン誘導体、カルバゾール誘導体、フェナントロリン誘導体等の複素芳香族化合物、(3)高分子化合物を使用することができる。
【0172】
また、電子輸送層に用いる他の電子輸送性材料としては、分子内にヘテロ原子を1個以上含有する芳香族ヘテロ環化合物が好ましく用いられ、特に含窒素環誘導体が好ましい。また、含窒素環誘導体としては、含窒素6員環もしくは5員環骨格を有する芳香族環、又は含窒素6員環もしくは5員環骨格を有する縮合芳香族環化合物が好ましい。
この含窒素環誘導体としては、例えば、下記式(A)で表される含窒素環金属キレート錯体が好ましい。
【0173】
【化101】
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【0174】
式(A)におけるR101〜R106は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、アミノ基、炭素数1〜40(好ましくは1〜20、より好ましくは1〜10、さらに好ましくは1〜5)の炭化水素基、炭素数1〜40(好ましくは1〜20、より好ましくは1〜10、さらに好ましくは1〜5)のアルコキシ基、環形成炭素数6〜50(好ましくは6〜20、より好ましくは6〜12)のアリールオキシ基、炭素数2〜40(好ましくは2〜20、より好ましくは2〜10、さらに好ましくは2〜5)のアルコキシカルボニル基又は環形成原子数5〜50(好ましくは5〜30、より好ましくは5〜20)の芳香族複素環基であり、これらは置換されていてもよい。
【0175】
ハロゲン原子としては、例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等が挙げられる。
置換されていてもよいアミノ基の例としては、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、アラルキルアミノ基が挙げられる。
アルキルアミノ基及びアラルキルアミノ基は−NQと表される。Q及びQは、それぞれ独立に、炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数1〜20のアラルキル基を表す。Q及びQの一方は水素原子であってもよい。
アリールアミノ基は−NAr’Ar’と表され、Ar’及びAr’は、それぞれ独立に、炭素数6〜50の非縮合芳香族炭化水素基又は縮合芳香族炭化水素基を表す。Ar’及びAr’の一方は水素原子であってもよい。
【0176】
炭素数1〜40の炭化水素基はアルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、及びアラルキル基を含む。
アルコキシカルボニル基は−COOY’と表され、Y’は炭素数1〜20のアルキル基を表す。
Mは、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)又はインジウム(In)であり、Inであると好ましい。
100は、下記式(A’)又は(A”)で表される基である。
【0177】
【化102】
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【0178】
式(A’)中、R107〜R111は、それぞれ独立に、水素原子、又は置換もしくは無置換の炭素数1〜40(好ましくは1〜20、より好ましくは1〜10、さらに好ましくは1〜5)の炭化水素基であり、R107〜R111の2つ以上が結合して環状構造を形成していてもよい。また、前記式(A”)中、R112〜R126は、それぞれ独立に、水素原子又は置換もしくは無置換の炭素数1〜40(好ましくは1〜20、より好ましくは1〜10、さらに好ましくは1〜5)の炭化水素基であり、R112〜R126の2つ以上が結合して環状構造を形成していてもよい。
【0179】
式(A’)及び式(A”)のR107〜R126が示す炭素数1〜40の炭化水素基は、前記式(A)中のR101〜R106が示す炭化水素基と同様である。また、R107〜R111の2つ以上、又は、R112〜R126の2つ以上が結合して環状構造を形成した場合の2価の基としては、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、ジフェニルメタン−2,2’−ジイル基、ジフェニルエタン−3,3’−ジイル基、ジフェニルプロパン−4,4’−ジイル基等が挙げられる。
【0180】
電子輸送層に用いられる電子伝達性化合物としては、8−ヒドロキシキノリン又はその誘導体の金属錯体、オキサジアゾール誘導体、含窒素複素環誘導体が好適である。上記8−ヒドロキシキノリン又はその誘導体の金属錯体の具体例としては、オキシン(一般に8−キノリノール又は8−ヒドロキシキノリン)のキレートを含む金属キレートオキシノイド化合物、例えばトリス(8−キノリノール)アルミニウムを用いることができる。そして、オキサジアゾール誘導体としては、下記のものを挙げることができる。
【0181】
【化103】
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【0182】
前記式中、Ar17、Ar18、Ar19、Ar21、Ar22及びAr25は、それぞれ置換もしくは無置換の炭素数6〜50の芳香族炭化水素基又は縮合芳香族炭化水素基を示し、Ar17とAr18、Ar19とAr21、Ar22とAr25は、たがいに同一でも異なっていてもよい。芳香族炭化水素基又は縮合芳香族炭化水素基としては、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、アントラニル基、ペリレニル基、ピレニル基などが挙げられる。これらの置換基としては炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基又はシアノ基等が挙げられる。
【0183】
Ar20、Ar23及びAr24は、それぞれ置換もしくは無置換の炭素数6〜60の2価の芳香族炭化水素基又は縮合芳香族炭化水素基を示し、Ar23とAr24は、たがいに同一でも異なっていてもよい。2価の芳香族炭化水素基又は縮合芳香族炭化水素基としては、フェニレン基、ナフチレン基、ビフェニレン基、アントラニレン基、ペリレニレン基、ピレニレン基などが挙げられる。これらの置換基としては炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基又はシアノ基等が挙げられる。
【0184】
これらの電子伝達性化合物は、薄膜形成性の良好なものが好ましく用いられる。そして、これら電子伝達性化合物の具体例としては、下記のものを挙げることができる。
【0185】
【化104】
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【0186】
電子伝達性化合物としての含窒素複素環誘導体は、以下の式を有する有機化合物からなる含窒素複素環誘導体であって、金属錯体でない含窒素化合物が挙げられる。例えば、下記式(B)に示す骨格を含有する5員環もしくは6員環や、下記式(C)に示す構造のものが挙げられる。
【0187】
【化105】
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【0188】
前記式(C)中、Xは炭素原子もしくは窒素原子を表す。ZならびにZは、それぞれ独立に含窒素ヘテロ環を形成可能な原子群を表す。
【0189】
含窒素複素環誘導体は、さらに好ましくは、5員環もしくは6員環からなる含窒素芳香多環族を有する有機化合物である。さらには、このような複数窒素原子を有する含窒素芳香多環族の場合は、上記式(B)と(C)もしくは上記式(B)と下記式(D)を組み合わせた骨格を有する含窒素芳香多環有機化合物が好ましい。
【0190】
【化106】
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【0191】
前記の含窒素芳香多環有機化合物の含窒素基は、例えば、以下の式で表される含窒素複素環基から選択される。
【0192】
【化107】
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【0193】
前記各式中、R’’’は、環形成炭素数6〜40(好ましくは6〜30、より好ましくは6〜20、さらに好ましくは6〜12)の芳香族炭化水素基又は環形成炭素数6〜40(好ましくは6〜30、より好ましくは6〜20、さらに好ましくは6〜12)の縮合芳香族炭化水素基、環形成原子数5〜40(好ましくは5〜30、より好ましくは5〜20、さらに好ましくは5〜12)の芳香族複素環基又は環形成原子数5〜40(好ましくは5〜30、より好ましくは5〜20、さらに好ましくは5〜12)縮合芳香族複素環基、炭素数1〜20(好ましくは1〜10、より好ましくは1〜5)のアルキル基、又は炭素数1〜20(好ましくは1〜10、より好ましくは1〜5)のアルコキシ基である。
は0〜5の整数であり、nが2以上の整数であるとき、複数のR’’’は互いに同一又は異なっていてもよい。
【0194】
さらに、好ましい具体的な化合物として、下記式(D1)で表される含窒素複素環誘導体が挙げられる。
HAr−L101−Ar101−Ar102 (D1)
前記式(D1)中、HArは、置換もしくは無置換の環形成原子数5〜40(好ましくは5〜30、より好ましくは5〜20、さらに好ましくは5〜12)の含窒素複素環基であり、
101は単結合、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜40(好ましくは6〜30、より好ましくは6〜20、さらに好ましくは6〜12)の芳香族炭化水素基又は縮合芳香族炭化水素基、置換もしくは無置換の環形成原子数5〜40(好ましくは5〜30、より好ましくは5〜20、さらに好ましくは5〜12)の芳香族複素環基又は置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜40(好ましくは6〜30、より好ましくは6〜20、さらに好ましくは6〜12)の縮合芳香族複素環基である。
Ar101は置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜40(好ましくは6〜30、より好ましくは6〜20、さらに好ましくは6〜12)の2価の芳香族炭化水素基であり、Ar102は置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜40(好ましくは6〜30、より好ましくは6〜20、さらに好ましくは6〜14)の芳香族炭化水素基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜40(好ましくは6〜30、より好ましくは6〜20、さらに好ましくは6〜12)の縮合芳香族炭化水素基、置換もしくは無置換の環形成原子数5〜40(好ましくは5〜30、より好ましくは5〜20、さらに好ましくは5〜12)の芳香族複素環基又は置換もしくは無置換の環形成原子数5〜40(好ましくは5〜30、より好ましくは5〜20、さらに好ましくは5〜12)の縮合芳香族複素環基である。
【0195】
HArは、例えば、下記の群から選択される。
【化108】
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【0196】
101は、例えば、下記の群から選択される。
【化109】
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【0197】
Ar101は、例えば、下記式(D2)、式(D3)ので表される基から選択される。
【化110】
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【0198】
前記式(D2)、式(D3)中、R201〜R214は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは無置換の炭素数1〜20(好ましくは1〜10、より好ましくは1〜5)のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数1〜20(好ましくは1〜10、より好ましくは1〜5)のアルコキシ基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜40(好ましくは6〜30、より好ましくは6〜20、さらに好ましくは6〜12)のアリールオキシ基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜40(好ましくは6〜30、より好ましくは6〜20、さらに好ましくは6〜12)の芳香族炭化水素基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜40(好ましくは6〜30、より好ましくは6〜20、さらに好ましくは6〜12)の縮合芳香族炭化水素基、置換もしくは無置換の環形成原子数5〜40(好ましくは5〜30、より好ましくは5〜20、さらに好ましくは5〜12)の芳香族複素環基又は置換もしくは無置換の環形成原子数5〜40(好ましくは5〜30、より好ましくは5〜20、さらに好ましくは5〜12)の縮合芳香族複素環基である。
Ar103は、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜40(好ましくは6〜30、より好ましくは6〜20、さらに好ましくは6〜12)の芳香族炭化水素基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜40(好ましくは6〜30、より好ましくは6〜20、さらに好ましくは6〜12)の縮合芳香族炭化水素基、置換もしくは無置換の環形成原子数5〜40(好ましくは5〜30、より好ましくは5〜20、さらに好ましくは5〜12)の芳香族複素環基又は置換もしくは無置換の環形成原子数5〜40(好ましくは5〜30、より好ましくは5〜20、さらに好ましくは5〜12)の縮合芳香族複素環基である。
【0199】
Ar102は、例えば、下記の群から選択される。
【化111】
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【0200】
電子伝達性化合物としての含窒素芳香多環有機化合物には、この他、下記の化合物も好適に用いられる。
【0201】
【化112】
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【0202】
前記式(D4)中、R231〜R234は、それぞれ独立に、水素原子、置換もしくは無置換の炭素数1〜20の脂肪族基、置換もしくは無置換の炭素数3〜20の脂肪族式環基、置換もしくは無置換の炭素数6〜50の芳香族環基、置換もしくは無置換の炭素数3〜50の複素環基を表し、X21、X22は、それぞれ独立に、酸素原子、硫黄原子、又はジシアノメチレン基を表す。
【0203】
また、電子伝達性化合物として、下記の化合物も好適に用いられる。
【化113】
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【0204】
前記式(D5)中、R221、R222、R223及びR224は互いに同一の又は異なる基であって、下記式(D6)で表される芳香族炭化水素基又は縮合芳香族炭化水素基である。
【化114】
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【0205】
前記式(D6)中、R225、R226、R227、R228及びR229は互いに同一又は異なる基であって、水素原子、飽和もしくは不飽和の炭素数1〜20のアルコキシル基、飽和もしくは不飽和の炭素数1〜20のアルキル基、アミノ基、又は炭素数1〜20のアルキルアミノ基である。R225、R226、R227、R228及びR229の少なくとも1つは水素原子以外の基である。
【0206】
さらに、電子伝達性化合物は、該含窒素複素環基又は含窒素複素環誘導体を含む高分子化合物であってもよい。
【0207】
本発明の一態様において、有機EL素子の電子輸送層は下記式(E)〜(G)で表される含窒素複素環誘導体を少なくとも1種含むことが特に好ましい。
【化115】
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【0208】
(式(E)〜式(G)中、Z201、Z202及びZ203は、それぞれ独立に、窒素原子又は炭素原子である。
301及びR302は、それぞれ独立に、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜50(好ましくは6〜30、より好ましくは6〜20、さらに好ましくは6〜12)のアリール基、置換もしくは無置換の環形成原子数5〜50(好ましくは5〜30、より好ましくは5〜20、さらに好ましくは5〜12)のヘテロアリール基、置換もしくは無置換の炭素数1〜20のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数1〜20のハロアルキル基又は置換もしくは無置換の炭素数1〜20のアルコキシ基である。
vは、0〜5の整数であり、vが2以上の整数であるとき、複数のR301は互いに同一でも異なっていてもよい。また、複数のR301同士が互いに結合して、置換もしくは無置換の炭化水素環を形成していてもよい。
Ar201は、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜50(好ましくは6〜30、より好ましくは6〜20、さらに好ましくは6〜12)のアリール基又は置換もしくは無置換の環形成原子数5〜50(好ましくは5〜30、より好ましくは5〜20、さらに好ましくは5〜12)のヘテロアリール基である。
Ar202は、水素原子、置換もしくは無置換の炭素数1〜20(好ましくは1〜10、より好ましくは1〜5)のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数1〜20(好ましくは1〜10、より好ましくは1〜5)のハロアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数1〜20のアルコキシ基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜50(好ましくは6〜30、より好ましくは6〜20、さらに好ましくは6〜12)のアリール基又は置換もしくは無置換の環形成原子数5〜50(好ましくは5〜30、より好ましくは5〜20、さらに好ましくは5〜12)のヘテロアリール基である。
但し、Ar201、Ar202のいずれか一方は、置換もしくは無置換の環形成炭素数10〜50(好ましくは10〜30、より好ましくは10〜20)の縮合芳香族炭化水素環基又は置換もしくは無置換の環形成原子数9〜50(好ましくは9〜30、より好ましくは9〜20)の縮合芳香族複素環基である。
Ar203は、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜50(好ましくは6〜30、より好ましくは6〜20、さらに好ましくは6〜12)のアリーレン基又は置換もしくは無置換の環形成原子数5〜50(好ましくは5〜30、より好ましくは5〜20、さらに好ましくは5〜12)のヘテロアリーレン基である。
201、L202及びL203は、それぞれ独立に、単結合、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜50(好ましくは6〜30、より好ましくは6〜20、さらに好ましくは6〜12)のアリーレン基、又は置換もしくは無置換の環形成原子数9〜50(好ましくは9〜30、より好ましくは9〜20)の2価の縮合芳香族複素環基である。)
【0209】
環形成炭素数6〜50のアリール基としては、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、ナフタセニル基、クリセニル基、ピレニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、トリル基、フルオランテニル基、フルオレニル基などが挙げられる。
環形成原子数5〜50のヘテロアリール基としては、ピローリル基、フリル基、チエニル基、シローリル基、ピリジル基、キノリル基、イソキノリル基、べンゾフリル基、イミダゾリル基、ピリミジル基、カルバゾリル基、セレノフェニル基、オキサジアゾリル基、トリアゾーリル基、ピラジニル基、ピリダジニル基、トリアジニル基、キノキサリニル基、アクリジニル基、イミダゾ[1,2−a]ピリジニル基、イミダゾ[1,2−a]ピリミジニル基などが挙げられる。
炭素数1〜20のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、へキシル基などが挙げられる。
炭素数1〜20のハロアルキル基としては、前記アルキル基の1又は2以上の水素原子をフッ素、塩素、ヨウ素及び臭素から選ばれる少なくとも1のハロゲン原子で置換して得られる基が挙げられる。
炭素数1〜20のアルコキシ基としては、前記アルキル基をアルキル部位としては有する基が挙げられる。
環形成炭素数6〜50のアリーレン基としては、前記アリール基から水素原子1個を除去して得られる基が挙げられる。
環形成原子数9〜50の2価の縮合芳香族複素環基としては、前記ヘテロアリール基として記載した縮合芳香族複素環基から水素原子1個を除去して得られる基が挙げられる。
【0210】
電子輸送層の膜厚は、特に限定されないが、好ましくは1nm〜100nmである。
また、電子輸送層に隣接して設けることができる電子注入層の構成成分として、含窒素環誘導体の他に無機化合物として、絶縁体又は半導体を使用することが好ましい。電子注入層が絶縁体や半導体で構成されていれば、電流のリークを有効に防止して、電子注入性を向上させることができる。
【0211】
このような絶縁体としては、アルカリ金属カルコゲニド、アルカリ土類金属カルコゲニド、アルカリ金属のハロゲン化物及びアルカリ土類金属のハロゲン化物からなる群から選択される少なくとも一つの金属化合物を使用するのが好ましい。電子注入層がこれらのアルカリ金属カルコゲニド等で構成されていれば、電子注入性をさらに向上させることができる点で好ましい。具体的に、好ましいアルカリ金属カルコゲニドとしては、例えば、LiO、KO、NaS、NaSe及びNaOが挙げられ、好ましいアルカリ土類金属カルコゲニドとしては、例えば、CaO、BaO、SrO、BeO、BaS及びCaSeが挙げられる。また、好ましいアルカリ金属のハロゲン化物としては、例えば、LiF、NaF、KF、LiCl、KCl及びNaCl等が挙げられる。また、好ましいアルカリ土類金属のハロゲン化物としては、例えば、CaF、BaF、SrF、MgF及びBeF等のフッ化物や、フッ化物以外のハロゲン化物が挙げられる。
【0212】
また、半導体としては、Ba、Ca、Sr、Yb、Al、Ga、In、Li、Na、Cd、Mg、Si、Ta、Sb及びZnの少なくとも一つの元素を含む酸化物、窒化物又は酸化窒化物等の一種単独又は二種以上の組み合わせが挙げられる。また、電子注入層を構成する無機化合物が、微結晶又は非晶質の絶縁性薄膜であることが好ましい。電子注入層がこれらの絶縁性薄膜で構成されていれば、より均質な薄膜が形成されるために、ダークスポット等の画素欠陥を減少させることができる。なお、このような無機化合物としては、アルカリ金属カルコゲニド、アルカリ土類金属カルコゲニド、アルカリ金属のハロゲン化物及びアルカリ土類金属のハロゲン化物等が挙げられる。
【0213】
このような絶縁体又は半導体を使用する場合、その層の好ましい厚みは、0.1nm〜15nm程度である。また、本発明の一態様において、電子注入層は前述の電子供与性ドーパントを含有していても好ましい。
【0214】
正孔注入層
正孔注入層は、正孔注入性の高い物質を含む層である。正孔注入性の高い物質としては、モリブデン酸化物、チタン酸化物、バナジウム酸化物、レニウム酸化物、ルテニウム酸化物、クロム酸化物、ジルコニウム酸化物、ハフニウム酸化物、タンタル酸化物、銀酸化物、タングステン酸化物、マンガン酸化物、芳香族アミン化合物、又は高分子化合物(オリゴマー、デンドリマー、ポリマー等)等も使用できる。
【0215】
正孔輸送層
発光層と陽極との間に形成される有機層であって、正孔を陽極から発光層へ輸送する機能を有する。正孔輸送層が複数層で構成される場合、陽極に近い有機層を正孔注入層と定義することがある。正孔注入層は、陽極から正孔を効率的に有機層ユニットに注入する機能を有する。本発明の一態様において、前記化合物(1)及び前記有機EL素子用材料は、正孔輸送層を形成する材料(正孔輸送層材料)として用いることもできる。
【0216】
正孔輸送層を形成する他の材料としては、芳香族アミン化合物、カルバゾール誘導体、アントラセン誘導体、ポリ(N−ビニルカルバゾール)(略称:PVK)やポリ(4−ビニルトリフェニルアミン)(略称:PVTPA)等の高分子化合物を用いることができる。電子よりも正孔の輸送性の高い物質であれば、これら以外のものを用いてもよい。なお、正孔輸送性の高い物質を含む層は、単層のものだけでなく、上記物質からなる層が二層以上積層したものとしてもよい。
【0217】
正孔輸送層を形成する他の材料としては、芳香族アミン化合物、例えば、下記式(H)で表される芳香族アミン誘導体が好適に用いられる。
【化116】
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【0218】
前記式(H)において、Ar211〜Ar214は、それぞれ独立に、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜50(好ましくは6〜30、より好ましくは6〜20、さらに好ましくは6〜12)の芳香族炭化水素基又は置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜50(好ましくは6〜30、より好ましくは6〜20、さらに好ましくは6〜12)の縮合芳香族炭化水素基、置換もしくは無置換の環形成原子数5〜50(好ましくは5〜30、より好ましくは5〜20、さらに好ましくは5〜12)の芳香族複素環基又は置換もしくは無置換の環形成原子数5〜50(好ましくは5〜30、より好ましくは5〜20、さらに好ましくは5〜12)の縮合芳香族複素環基、又は、それら芳香族炭化水素基又は縮合芳香族炭化水素基と芳香族複素環基又は縮合芳香族複素環基が結合した基を表す。Ar211とAr212、Ar213とAr214は互いに結合して飽和もしくは不飽和の環構造を形成してもよい。
また、前記式(H)において、L211は、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜50(好ましくは6〜30、より好ましくは6〜20、さらに好ましくは6〜12)の芳香族炭化水素基又は置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜50(好ましくは6〜30、より好ましくは6〜20、さらに好ましくは6〜12)の縮合芳香族炭化水素基、又は置換もしくは無置換の環形成原子数5〜50(好ましくは5〜30、より好ましくは5〜20、さらに好ましくは5〜12)の芳香族複素環基又は置換もしくは無置換の環形成原子数5〜50(好ましくは5〜30、より好ましくは5〜20、さらに好ましくは5〜12)の縮合芳香族複素環基を表す。
【0219】
式(H)の化合物の具体例を以下に記す。
【0220】
【化117】
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【化118】
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【0221】
また、下記式(J)の芳香族アミンも正孔輸送層の形成に好適に用いられる。
【化119】
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【0222】
前記式(J)において、Ar221〜Ar223の定義は前記式(H)のAr211〜Ar214の定義と同様である。以下に式(J)の化合物の具体例を記すがこれらに限定されるものではない。
【0223】
【化120】
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【0224】
【化121】
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【0225】
【化122】
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【0226】
また、N,N,N’,N’−テトラフェニル−4,4’−ジアミノフェニル;N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−〔1,1’−ビフェニル〕−4,4’−ジアミン(TPD);2,2−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)プロパン;1,1−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)シクロヘキサン;N,N,N’,N’−テトラ−p−トリル−4,4’−ジアミノビフェニル;1,1−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)−4−フェニルシクロヘキサン;ビス(4−ジメチルアミノ−2−メチルフェニル)フェニルメタン;ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)フェニルメタン;N,N’−ジフェニル−N,N’−ジ(4−メトキシフェニル)−4,4’−ジアミノビフェニル;N,N,N’,N’−テトラフェニル−4,4’−ジアミノジフェニルエーテル;4,4’−ビス(ジフェニルアミノ)クオードリフェニル;N,N,N−トリ(p−トリル)アミン;4−(ジ−p−トリルアミノ)−4’−〔4−(ジ−p−トリルアミノ)スチリル〕スチルベン;4−N,N−ジフェニルアミノ−(2−ジフェニルビニル)ベンゼン;3−メトキシ−4’−N,N−ジフェニルアミノスチルベンゼン;N−フェニルカルバゾール;2個の縮合芳香族環を分子内に有するもの、例えば、4,4’−ビス〔N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ〕ビフェニル(NPD);トリフェニルアミンユニットが3つスターバースト型に連結された4,4’,4”−トリス〔N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ〕トリフェニルアミン(MTDATA)から選ばれる芳香族第3級アミン化合物及びスチリルアミン化合物を正孔輸送層に用いてもよい。
【0227】
本発明の一態様において、正孔輸送層は正孔輸送層材料と溶剤を含有する正孔輸送層用組成物を用いて形成してもよい。
正孔輸送層材料は重合体などの高分子化合物であっても、単量体などの低分子化合物であってもよい。また、電荷注入障壁の観点から4.5eV〜6.0eVのイオン化ポテンシャルを有する化合物が好ましい。正孔輸送層材料の例としては、芳香族アミン誘導体、フタロシアニン誘導体、ポルフィリン誘導体、オリゴチオフェン誘導体、ポリチオフェン誘導体、ベンジルフェニル誘導体、フルオレン基で3級アミンを連結した化合物、ヒドラゾン誘導体、シラザン誘導体、シラナミン誘導体、ホスファミン誘導体、キナクリドン誘導体、ポリアニリン誘導体、ポリピロール誘導体、ポリフェニレンビニレン誘導体、ポリチエニレンビニレン誘導体、ポリキノリン誘導体、ポリキノキサリン誘導体、カーボン等が挙げられる。
【0228】
ここで誘導体とは、例えば、芳香族アミン誘導体を例にするならば、芳香族アミンそのもの及び芳香族アミンを主骨格とする化合物を含むものであり、重合体であっても、単量体であってもよい。
上記例示した中でも非晶質性、可視光の透過率の点から、芳香族アミン化合物が好ましく、特に芳香族三級アミン化合物が好ましい。ここで、芳香族三級アミン化合物とは、芳香族三級アミン構造を有する化合物であって、芳香族三級アミン由来の基を有する化合物も含む。
芳香族三級アミン化合物の種類は特に制限されないが、表面平滑化効果による均一な発光の点から、重量平均分子量が1000以上、1000000以下の高分子化合物(繰り返し単位が連なる重合型化合物)がさらに好ましい。芳香族三級アミン高分子化合物の好ましい例として、下記式(I)で表される繰り返し単位を有する高分子化合物が挙げられる。
【0229】
【化123】
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【0230】
式(I)中、ArおよびArは、それぞれ独立して、置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基または置換もしくは無置換の芳香族複素環基を表す。Ar〜Arは、それぞれ独立して、置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基または置換もしくは無置換の芳香族複素環基を表す。また、Ar〜Arのうち、同一のN原子に結合する二つの基は互いに結合して環を形成してもよい。Yは、下記から選ばれる連結基を表す。
【0231】
【化124】
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【0232】
上記各式中、Ar〜Ar16は、それぞれ独立して、置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基または置換もしくは無置換の芳香族複素環基を表す。RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子または置換基を表す。
Ar〜Ar16の芳香族炭化水素基および芳香族複素環基としては、高分子化合物の溶解性、耐熱性、正孔注入・輸送性の点から、ベンゼン環、ナフタレン環、フェナントレン環、チオフェン環、及びピリジン環から選ばれる環を有する基が好ましく、ベンゼン環及びナフタレン環から選ばれる環を有する基がさらに好ましい。
【0233】
Ar〜Ar16の芳香族炭化水素基および芳香族複素環基の任意の置換基の分子量は、通常400以下、中でも250以下程度が好ましい。置換基としては、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、芳香族炭化水素基、芳香族複素環基などが好ましい。
およびRが表す置換基としては、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、シリル基、シロキシ基、芳香族炭化水素基、芳香族複素環基などが挙げられる。
【0234】
正孔輸送層材料としては、ポリチオフェンの誘導体である3,4−エチレンジオキシチオフェン)を高分子量ポリスチレンスルホン酸中で重合してなる導電性ポリマー(PEDOT/PSS)もまた好ましい。また、このポリマーの末端をメタクリレート等でキャップしたものであってもよい。
【0235】
正孔輸送層用組成物中の正孔輸送層材料の濃度は任意であるが、膜厚の均一性の点で通常0.01質量%以上、好ましくは0.1質量%以上、さらに好ましくは0.5質量%以上、また、通常70質量%以下、好ましくは60質量%以下、さらに好ましくは50質量%以下である。この範囲であれば、膜厚ムラが生じたり、正孔輸送層に欠陥が生じることが無い。
【0236】
上記正孔輸送層用組成物は、電子受容性化合物を含有しても良い。
電子受容性化合物とは、酸化力を有し、上述の正孔輸送層材料から一電子受容する能力を有する化合物が好ましく、具体的には、電子親和力が4eV以上である化合物が好ましく、5eV以上の化合物である化合物がさらに好ましい。
【0237】
このような電子受容性化合物としては、例えば、トリアリールホウ素化合物、ハロゲン化金属、ルイス酸、有機酸、オニウム塩、アリールアミンとハロゲン化金属との塩、アリールアミンとルイス酸との塩よりなる群から選ばれる1種または2種以上の化合物等が挙げられる。さらに具体的には、4−イソプロピル−4’−メチルジフェニルヨードニウムテトラキス(ペンダフルオロフェニル)ボラート、トリフェニルスルホニウムテトラフルオロボラート等の有機基を有するオニウム塩;塩化鉄(III)、ペルオキソ二硫酸アンモニウム等の高原子価の無機化合物;テトラシアノエチレン等のシアノ化合物、トリス(ペンダフルオロフェニル)ボラン等の芳香族ホウ素化合物;フラーレン誘導体;ヨウ素;ポリスチレンスルホン酸イオン、アルキルベンゼンスルホン酸イオン、ショウノウスルホン酸イオン等のスルホン酸イオン等が挙げられる。
【0238】
これらの電子受容性化合物は、正孔輸送材料を酸化することにより正孔輸送層の導電率を向上させることができる。
正孔輸送層用組成物中の電子受容性化合物の正孔輸送材料に対する含有量は、通常0.1モル%以上、好ましくは1モル%以上である。但し、通常100モル%以下、好ましくは40モル%以下である。
【0239】
上述の正孔輸送層材料や電子受容性化合物に加えて、さらに、その他の成分を正孔輸送層用組成物に含有させてもよい。その他の成分の例としては、各種の発光材料、電子輸送性化合物、バインダー樹脂、塗布性改良剤などが挙げられる。なお、その他の成分は、1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせおよび比率で併用してもよい。
【0240】
本発明の一態様において、塗布法に適した正孔輸送層材料が好ましく用いられる。このような正孔輸送層材料としては、ポリビニルカルバゾール若しくはその誘導体、ポリシラン若しくはその誘導体、側鎖若しくは主鎖に芳香族アミン残基を有するポリシロキサン誘導体、ピラゾリン誘導体、アリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、トリフェニルジアミン誘導体、ポリアニリン若しくはその誘導体、ポリチオフェン若しくはその誘導体、ポリピロール若しくはその誘導体、ポリアリールアミン若しくはその誘導体、ポリ(p−フェニレンビニレン)若しくはその誘導体、ポリフルオレン誘導体、芳香族アミン残基を有する高分子化合物、およびポリ(2,5−チエニレンビニレン)若しくはその誘導体が挙げられる。
【0241】
前記正孔輸送層材料は高分子化合物、例えば重合体であることが好ましい。高分子化合物であると成膜性が向上し、有機EL素子の発光性を均一にすることができるからである。例えば、このような正孔輸送層材料の標準ポリスチレンで検量した数平均分子量は、10000以上であり、好ましくは3.0×10〜5.0×10であり、より好ましくは6.0×10〜1.2×10である。また、正孔輸送層材料の重量平均分子量は、1.0×10以上であり、好ましくは5.0×10〜1.0×10であり、より好ましくは1.0×10〜6.0×10である。
【0242】
前記正孔輸送層材料としては、ポリビニルカルバゾール若しくはその誘導体、ポリシラン若しくはその誘導体、側鎖若しくは主鎖に芳香族アミン残基を有するポリシロキサン誘導体、ポリアニリン若しくはその誘導体、ポリチオフェン若しくはその誘導体、ポリフルオレン誘導体、芳香族アミン残基を有する高分子化合物、ポリ(p−フェニレンビニレン)若しくはその誘導体、およびポリ(2,5−チエニレンビニレン)若しくはその誘導体等の高分子化合物が好ましく、さらに好ましくはポリビニルカルバゾール若しくはその誘導体、ポリシラン若しくはその誘導体、側鎖若しくは主鎖に芳香族アミン残基を有するポリシロキサン誘導体、ポリフルオレン誘導体、芳香族アミン残基を有する高分子化合物である。正孔輸送層材料が低分子である場合には、高分子バインダーに分散させて用いることが好ましい。
【0243】
前記ポリビニルカルバゾール若しくはその誘導体は、例えばビニルモノマーをカチオン重合するか、またはラジカル重合することによって得られる。
【0244】
ポリシロキサン若しくはその誘導体としては、シロキサン骨格構造には正孔輸送性がほとんどないので、側鎖または主鎖に上記低分子正孔輸送層材料の残基を有する化合物が好適に用いられる。特に正孔輸送性の芳香族アミン残基を側鎖または主鎖に有する化合物が挙げられる。
【0245】
正孔輸送層材料としては、下記式(J)で表されるフルオレンジイルユニットを有する重合体が好ましい。縮合環または複数の芳香環を有する有機化合物と接触させて有機EL素子の正孔輸送層とした場合に、正孔注入効率が向上し、駆動時の電流密度が大きくなるからである。
【0246】
【化125】
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【0247】
式(J)中、R、Rは同一であっても異なっていてもよく、それぞれ独立に水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、1価の複素環基を表す。アルキル基としては、炭素原子数が1〜10の基が挙げられる。アルコキシ基としては炭素原子数が1〜10の基が挙げられる。アリール基の例としてはフェニル基、ナフチル基等が挙げられる。1価の複素環基の例としてはピリジル基等が挙げられる。アリール基、1価の複素環基は置換基を有していてもよく、置換基の例としては、高分子化合物の溶解性向上の観点から、炭素原子数が1〜10のアルキル基、炭素原子数が1〜10のアルコキシ基等が挙げられる。
【0248】
式(J)において、アリール基、1価の複素環基は架橋性基を有していてもよい。架橋基の例としては、ビニル基、エチニル基、ブテニル基、アクリル構造を有する基、アクリレート構造を有する基、アクリルアミド構造を有する基、メタクリル構造を有する基、メタクリレート構造を有する基、メタクリルアミド構造を有する基、ビニルエーテル構造を有する基、ビニルアミノ基、シラノール構造を有する基、小員環(例えばシクロプロパン、シクロブタン、エポキシド、オキセタン、ジケテン、エピスルフィド等)を有する基等が挙げられる。
【0249】
好ましいフルオレンジイルユニットの具体例を以下に示す。
【化126】
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【0250】
特に好ましい正孔輸送層材料は、繰り返し単位として上記フルオレンジイルユニットと芳香族3級アミン化合物ユニットとを含む重合体、例えばポリアリールアミン重合体である。
【0251】
芳香族3級アミン化合物ユニットとしては、下記式(K)で表される繰り返し単位が挙げられる。
【化127】
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【0252】
式(K)中、Ar、Ar、ArおよびArは、それぞれ独立に、アリーレン基または2価の複素環基を表す。Ar、ArおよびArは、それぞれ独立に、アリール基または1価の複素環基を表す。あるいは、ArとArは、ArとArが結合する窒素原子とともに環を形成していてもよい。mおよびnは、それぞれ独立に、0または1を表す。
アリーレン基の例としては、フェニレン基等が挙げられる。2価の複素環基の例としては、ピリジンジイル基等が挙げられる。これらの基は置換基を有していてもよい。
アリール基の例としては、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。1価の複素環基の例としては、ピリジル基等が挙げられる。これらの基は置換基を有していてもよい。
1価の複素環基の例としては、チエニル基、フリル基、ピリジル基等が挙げられる。
【0253】
アリーレン基、アリール基、2価の複素環基、1価の複素環基の任意の置換基としては、高分子化合物の溶解性の観点からは、アルキル基、アルコキシ基、アリール基が好ましく、アルキル基がより好ましい。アルキル基としては、炭素原子数が1〜10の基が挙げられる。アルコキシ基としては、炭素原子数が1〜10の基が挙げられる。アリール基の例としては、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。
【0254】
また置換基は、架橋性基を有していてもよい。架橋性基の例としては、ビニル基、エチニル基、ブテニル基、アクリル構造を有する基、アクリレート構造を有する基、アクリルアミド構造を有する基、メタクリル構造を有する基、メタクリレート構造を有する基、メタクリルアミド構造を有する基、ビニルエーテル構造を有する基、ビニルアミノ基、シラノール構造を有する基、小員環(例えばシクロプロパン、シクロブタン、エポキシド、オキセタン、ジケテン、エピスルフィド等)を有する基等が挙げられる。
【0255】
式(K)において、Ar、Ar、ArおよびArは、アリーレン基であることが好ましく、フェニレン基であることがより好ましい。Ar、ArおよびArはアリール基であることが好ましく、フェニル基であることがより好ましい。
さらにAr中の炭素原子とAr中の炭素原子とが直接結合するか、または−O−、−S−等の2価の基を介して結合していてもよい。
モノマーの合成し易さの観点からは、mおよびnが0であることが好ましい。
【0256】
式(K)で表される繰り返し単位の具体例としては、下記式で表される繰り返し単位等が挙げられる。
【化128】
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【0257】
正孔輸送層材料が架橋性基を有しない場合には、架橋性基を有する架橋剤を用いることが好ましい。架橋剤の例としては、ビニル基、アセチル基、ブテニル基、アクリル基、アクリルアミド基、メタクリル基、メタクリルアミド基、ビニルエーテル基、ビニルアミノ基、シラノール基、シクロプロピル基、シクロブチル基、エポキシ基、オキセタン基、ジケテン基、エピスルフィド基、ラクトン基、及びラクタム基からなる群から選ばれる重合可能な置換基を有する化合物を挙げることができる。架橋剤としては、例えば多官能アクリレートが好ましく、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)、トリスペンタエリスリトールオクタアクリレート(TPEA)などが挙げられる。
このように架橋性基を有する材料を用いるか、または架橋剤を用いることにより、下層(正孔輸送層)上にさらに別の機能層(上層)を塗布法により形成したとしても、上層形成用の溶媒等による下層の溶解を効果的に抑制することができる。
【0258】
本発明の一態様において、正孔輸送部位を有し、架橋性基を有する正孔輸送層材料が好ましく用いられる。正孔輸送部位としては、例えばトリアリールアミン構造、フルオレン環、アントラセン環、ピレン環、カルバゾール環、ジベンゾフラン環、ジベンゾチオフェン環、フェノキサジン環、フェナントロリン環などの3環以上の芳香族環構造、チオフェン環、シロール環などの芳香族複素環構造、及び金属錯体構造が挙げられる。
【0259】
中でも、電気化学的安定性及び正孔輸送能を向上させる点で、正孔輸送部位としてトリアリールアミン構造を有することが好ましい。
また、架橋反応によって有機溶剤に不溶になりやすい点で、重合体であることが好ましい。特に、電気化学的安定性及び正孔輸送能を向上させる点で、下記式(L)で表される繰り返し単位を含む重合体であることが好ましい。
【0260】
【化129】
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【0261】
式(L)中、mは0〜3の整数を表し、Ar及びArは、各々独立して、単結合、置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基又は置換もしくは無置換の芳香族複素環基を表し、Ar〜Arは、各々独立に、置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基又は置換もしくは無置換の芳香族複素環基を表す。但し、Ar及びArが同時に、単結合であることはない。
【0262】
前記芳香族炭化水素基としては、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ペリレン環、テトラセン環、ピレン環、ベンズピレン環、クリセン環、トリフェニレン環、アセナフテン環、フルオランテン環、フルオレン環などの、6員環の単環又は2〜5個の6員環を含む縮合環の一価の基が挙げられる。
前記芳香族複素環基としては、例えばフラン環、ベンゾフラン環、チオフェン環、ベンゾチオフェン環、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、オキサジアゾール環、インドール環、カルバゾール環、ピロロイミダゾール環、ピロロピラゾール環、ピロロピロール環、チエノピロール環、チエノチオフェン環、フロピロール環、フロフラン環、チエノフラン環、ベンゾイソオキサゾール環、ベンゾイソチアゾール環、ベンゾイミダゾール環、ピリジン環、ピラジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、トリアジン環、キノリン環、イソキノリン環、シノリン環、キノキサリン環、フェナントリジン環、ベンゾイミダゾール環、ペリミジン環、キナゾリン環、キナゾリノン環、アズレン環などの、5又は6員環の単環又は2〜4個の5又は6員環を含む縮合環の一価の基が挙げられる。
【0263】
溶剤に対する溶解性及び耐熱性の点から、Ar〜Arは、各々独立に、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、トリフェニレン環、ピレン環、チオフェン環、ピリジン環、フルオレン環からなる群より選ばれる環の一価の基が好ましい。
また、Ar〜Arとしては、前記群から選ばれる1種又は2種以上の環を単結合により連結した基も好ましく、ビフェニル基、ビフェニレン基及びターフェニル基、ターフェニレン基がさらに好ましい。
【0264】
前記芳香族炭化水素基及び芳香族複素環基の任意の置換基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、ドデシル基などの炭素数が1〜24、好ましくは1〜12である、直鎖、分岐、又は環状のアルキル基;ビニル基等の炭素数が2〜24、好ましくは2〜12であるアルケニル基;エチニル基等の炭素数が2〜24、好ましくは2〜12であるアルキニル基;メトキシ基、エトキシ基等の炭素数が1〜24、好ましくは1〜12であるアルコキシ基;フェノキシ基、ナフトキシ基、ピリジルオキシ基等の炭素数が4以上、好ましくは5以上であり、36以下、好ましくは24であるアリールオキシ基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等の炭素数が2〜24、好ましくは2〜12であるアルコキシカルボニル基;ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基等の炭素数が2〜24、好ましくは2〜12であるジアルキルアミノ基;ジフェニルアミノ基、ジトリルアミノ基、N−カルバゾリル基等の炭素数が10以上、好ましくは12以上であり、36以下、好ましくは24以下のジアリールアミノ基;フェニルメチルアミノ基等の炭素数が7〜36、好ましくは7〜24であるアリールアルキルアミノ基;アセチル基、ベンゾイル基等の炭素数が2〜24、好ましくは2〜12であるアシル基;フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子;トリフルオロメチル基等の炭素数が1〜12、好ましくは1〜6のハロアルキル基;メチルチオ基、エチルチオ基等の炭素数が1〜24、好ましくは1〜12のアルキルチオ基;フェニルチオ基、ナフチルチオ基、ピリジルチオ基等の炭素数が4以上、好ましくは5以上であり、36以下、好ましくは24以下であるアリールチオ基;トリメチルシリル基、トリフェニルシリル基等の炭素数が2以上、好ましくは3以上であり、36以下、好ましくは24以下であるシリル基;トリメチルシロキシ基、トリフェニルシロキシ基等の炭素数が2以上、好ましくは3以上であり、36以下、好ましくは24以下であるシロキシ基;シアノ基;フェニル基、ナフチル基等の炭素数が6〜36以下、好ましくは6〜24である芳香族炭化水素環基;及びチエニル基、ピリジル基等の炭素数が3以上、好ましくは4以上であり、36以下、好ましくは24以下である芳香族複素環基が挙げられる。
【0265】
上記任意の置換基の中でも、溶解性の点から、炭素数1〜12のアルキル基及び炭素数1〜12のアルコキシ基が好ましい。
また、上記各任意の置換基がさらに置換基を有していてもよく、その例としては任意の置換基として上記した基から選択される。
正孔輸送性に優れる点から、Ar〜Arは、置換基を含めて、その炭素数は3以上、好ましくは5以上、さらに好ましくは6以上であり、72以下、好ましくは48以下、さらに好ましくは25以下である。
【0266】
式(L)におけるmは、0〜3の整数を表し、成膜性が高められる点で、mは0であることが好ましい。また、正孔輸送能が向上する点で、mは1〜3であることが好ましい。
なお、mが2以上である場合、2個以上のAr及び2個以上のArは、それぞれ同じでも異なっていてもよい。さらに、Ar同士、Ar同士は、それぞれ互いに直接又は連結基を介して結合して環状構造を形成していてもよい。
【0267】
正孔輸送層材料が架橋性基を有すると、熱及び/又は活性エネルギー線の照射により起こる反応(不溶化反応)の前後で、溶媒に対する溶解性を大きく変化させることができる。
架橋性基とは、熱及び/又は活性エネルギー線の照射により近傍に位置するほかの分子の同一又は異なる基と反応して、新規な化学結合を生成する基のことをいう。
架橋性基としては、不溶化がしやすいという点で、例えば、下記の架橋性基が挙げられる。
【0268】
【化130】
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【0269】
上記式中、R21〜R23は、各々独立に、水素原子又は置換もしくは無置換のアルキル基を示す。Ar21は置換もしくは無置換の芳香族基を示す。
、X及びXは、各々独立して水素原子又はハロゲン原子を示す。
24は水素原子又はビニル基を示す。
ベンゾシクロブテン環は、置換基を有していてもよく、該置換基同士が、互いに結合して環を形成してもよい。
21〜R23のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基等の炭素数が1〜24、好ましくは1〜12であるアルキル基等が挙げられる。
【0270】
Ar21の芳香族基としては、前記Ar〜Arが表す芳香族基と同じ基等が挙げられる。
なお、R21〜R23、及びAr21の任意の置換基としては、特に制限はないが、例えば、前記した任意の置換基から選ばれる基が挙げられる。
さらに、架橋性基として、エポキシ基、オキセタン基等の環状エーテル基、ビニルエーテル基などのカチオン重合によって不溶化反応する基が、反応性が高く不溶化が容易な点で好ましい。中でも、カチオン重合の速度を制御しやすい点でオキセタン基が特に好ましく、カチオン重合の際に素子の劣化をまねくおそれのあるヒドロキシル基が生成しにくい点でビニルエーテル基が好ましい。
【0271】
シンナモイル基などアリールビニルカルボニル基、ベンゾシクロブテン環を有する基などの環化付加反応する基が、電気化学的安定性をさらに向上させる点で好ましい。
又、架橋性基の中でも、不溶化後の構造が特に安定な点で、ベンゾシクロブテン環を有する基が特に好ましい。
具体的には、下記式(M)で表される基であることが好ましい。
【0272】
【化131】
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【0273】
式(M)中のベンゾシクロブテン環は置換基を有していてもよい。又、該置換基同士が互いに結合して環を形成してもよい。
【0274】
架橋性基は分子内の1価又は2価の芳香族基に直接結合してもよいが、2価の基を介して結合してもよい。この2価の基としては、−O−、−C(=O)−、及び置換基を有していてもよい−CH−から選ばれる基を任意の順番で1〜30個連結してなる2価の基が好ましい。これら2価の基を介して結合する架橋性基の具体例を以下に示すが、これらに限定されるものではない。
【0275】
【化132】
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【0276】
【化133】
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【0277】
上記式中、mは0〜12の整数を示し、nは1〜12の整数を示す。
【0278】
他の架橋性基を含む基の具体例としては、次のものが挙げられる。
【化134】
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【0279】
【化135】
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【0280】
さらに、本発明の一態様において、正孔輸送層材料は、導電性ポリマーやオリゴマーを含むことが好ましい。この導電性ポリマーやオリゴマーは、通常、電子供与性化合物、電子受容性化合物、又は酸性化合物との混合物である。混合物は固体状でも液体状でもいいが、塗布法により成膜し、固体膜を得る方法に好適に用いられる溶液、分散液、コロイド、インク、ワニス等が好ましい。また、正孔輸送性の向上のためや、成膜性を向上させることを目的に、該混合物に添加剤を加えてもよい。
以下に本発明の一態様に用いることのできる導電性ポリマーやオリゴマーの例を示す。
前記電子供与性化合物の代表的な例としては、芳香族アミン誘導体、フタロシアニン誘導体、ポルフィリン誘導体、チオフェン誘導体、ベンジルフェニル誘導体、フルオレン基で3級アミンを連結した化合物、ヒドラゾン誘導体、シラザン誘導体、シラナミン誘導体、ホスファミン誘導体、キナクリドン誘導体、アニリン誘導体、ピロール誘導体、フェニレンビニレン誘導体、チエニレンビニレン誘導体、キノリン誘導体、キノキサリン誘導体、カーボン等が挙げられる。これらの誘導体は分子量が1000未満の低分子、分子量が1000〜10000のオリゴマー及びデンドリマー、及び分子量が10000以上の高分子のいずれであってもよい。中でも芳香族アミン誘導体やポリチオフェン誘導体、ポリアニリン誘導体、オリゴアニリン誘導体が好適に用いられる。
【0281】
前記電子受容性化合物及び酸性化合物の代表的な例としては、トリアリールホウ素化合物、ハロゲン化金属、ルイス酸、有機酸、オニウム塩、アリールアミンとハロゲン化金属との塩、アリールアミンとルイス酸との塩よりなる群から選ばれる1種又は2種以上の化合物が挙げられる。さらに具体的には、4−イソプロピル−4’−メチルジフェニルヨードニウムテトラキス(ペンダフルオロフェニル)ボラート、トリフェニルスルホニウムテトラフルオロボラート等の有機基を有するオニウム塩;塩化鉄(III)、ペルオキソ二硫酸アンモニウム等の高原子価の無機化合物;テトラシアノエチレン等のシアノ化合物;トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン等の芳香族ホウ素化合物;フラーレン誘導体;ヨウ素;ポリスチレンスルホン酸イオン、アルキルベンゼンスルホン酸イオン、ショウノウスルホン酸イオン等のスルホン酸イオン等が挙げられる。
電子供与性化合物の場合と同様に、これらの誘導体は分子量が1000未満の低分子、分子量が1000〜10000のオリゴマー及びデンドリマー、及び分子量が10000以上のポリマーのいずれであってもよい。
【0282】
これらの電子受容性化合物は、正孔輸送層材料を酸化することにより正孔輸送層の導電率を向上させることができる。正孔輸送層或いは正孔輸送層用組成物中の電子受容性化合物の正孔輸送層材料に対する含有量は、通常0.1モル%以上、好ましくは1モル%以上、通常100モル%以下、好ましくは40モル%以下である。
以下、本発明の一態様に用いることができる正孔輸送層材料の代表例(i)〜(x)を示す。なお、これらは単独、あるいは、混合して用いることもできるが、相対的に電子供与性のものと、相対的に電子受容性のものを混合することが望ましい。さらに、電子供与性化合物と電子受容性化合物との間での電荷移動を促進させたり、塗布成膜性を向上させるための添加剤などを第三の成分として添加することもできる。第三の成分は複数用いることもできる。
【0283】
【化136】
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【0284】
式中、RおよびR’は、それぞれ独立に、水素原子及び炭素数1〜4のアルキルから選択される。RおよびR’は互いに結合して、炭素数1〜4のアルキレン鎖を表してもよい。該アルキレン鎖は任意に炭素数1〜12のアルキル基、炭素数6〜12の芳香族基、または1,2−シクロヘキシレン基で置換されてもよい。nは約6よりも大きい数を表す。
【0285】
(ii)及び/又は(iii)のモノマー単位を有するポリアニリン
【化137】
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【0286】
上記式中、nは、0〜4の整数であり、
m−1は、1〜5の整数で、n+(m−1)=5であり、
は、同一又は異なり、それぞれ独立して、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、アルカノイル基、アルキルチオ基、アリールオキシ基、アルキルチオアルキル基、アルキルアリール基、アリールアルキル基、アミノ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、アリール基、アルキルスルフィニル基、アルコキシアルキル基、アルキルスルホニル基、アリールチオ基、アリールスルフィニル基、アルコキシカルボニル基、アリールスルホニル基、カルボキシル基、ハロゲン原子、シアノ基、または1つまたは複数のスルホン酸基、カルボキシル基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基もしくはエポキシ基によって置換されたアルキル基から選択される。隣接する2つのR基が互いに結合して、1つまたは複数の二価の窒素原子、イオウ原子または酸素原子を含んでもよい3、4、5、6または7員の芳香族環もしくは脂環式環を完成するアルキレン鎖またはアルケニレン鎖を形成してもよい。
【0287】
【化138】
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【0288】
上記式中、Rは、独立して、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、アルカノイル基、アルキルチオ基、アリールオキシ基、アルキルチオアルキル基、アルキルアリール基、アリールアルキル基、アミノ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、アリール基、アルキルスルフィニル基、アルコキシアルキル基、アルキルスルホニル基、アリールチオ基、アリールスルフィニル基、アルコキシカルボニル基、アリールスルホニル基、アクリル酸基、リン酸基、ホスホン酸基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシル基、エポキシ基、シリル基、シロキサン基、アルコール基、ベンジル基、カルボキシレート基、エーテル基、エーテルカルボキシレート基、アミドスルホネート基、エーテルスルホネート基、およびウレタン基から選択される。2つのR基は互いに結合して、3員環、4員環、5員環、6員環または7員環の芳香族環または脂環式環を完成するアルキレン鎖またはアルケニレン鎖を形成してもよく、この環は、1個または複数の二価の窒素、硫黄または酸素原子を含んでもよい。
は、独立して、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アルカノイル基、アルキルチオアルキル基、アルキルアリール基、アリールアルキル基、アミノ基、エポキシ基、シリル基、シロキサン基、アミドスルホネート基、アルコール基、ベンジル基、カルボキシレート基、エーテル基、エーテルカルボキシレート基、アミドスルホネート基、エーテルスルホネート基、およびウレタン基から選択される基である。
【0289】
【化139】
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【0290】
上記式中、Qは、S、Se、およびTeからなる群から選択され、Rは、独立して、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、アルカノイル基、アルキチオ基、アリールオキシ基、アルキルチオアルキル基、アルキルアリール基、アリールアルキル基、アミノ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、アリール基、アルキルスルフィニル基、アルコキシアルキル基、アルキルスルホニル基、アリールチオ基、アリールスルフィニル基、アルコキシカルボニル基、アリールスルホニル基、アクリル酸基、リン酸基、ホスホン酸基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシル基、エポキシ基、シリル基、シロキサン基、アルコール基、ベンジル基、カルボキシレート基、エーテル基、エーテルカルボキシレート基、アミドスルホネート基、エーテルスルホネート基、エステルスルホネート基、およびウレタン基から選択される。2つのR基は互いに結合して、3、4、5、6、または7員の芳香環または脂環式環を完成するアルキレン鎖またはアルケニレン鎖を形成してもよく、該環は、1つまたは複数の二価の窒素原子、セレン原子、テルル原子、硫黄原子、または酸素原子を含んでもよい。
【0291】
【化140】
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【0292】
上記式中、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子、置換もしくは無置換の一価炭化水素基、t−ブトキシカルボニル基、またはベンジルオキシカルボニル基を示し、R〜R34は、それぞれ独立して水素原子、水酸基、シラノール基、チオール基、カルボキシル基、リン酸基、リン酸エステル基、エステル基、チオエステル基、アミド基、ニトロ基、置換もしくは無置換の一価炭化水素基、オルガノオキシ基、オルガノアミノ基、オルガノシリル基、オルガノチオ基、アシル基、スルホン基またはハロゲン原子を示し、mおよびnは、それぞれ独立して1以上の整数で、m+n≦20を満足する。
【0293】
【化141】
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【0294】
上記式中、Xは、O、SまたはNHを表し、Aは、Xおよびn個のSOH基以外の置換基を有していてもよいナフタレン環またはアントラセン環を表し、Bは、置換もしくは無置換の炭化水素基、1,3,5−トリアジン基、または、置換もしくは無置換の下記式(vii−1)もしくは(vii−2)で示される基(式中、WおよびWは、それぞれ独立して、O、S、S(O)、S(O)、または、置換もしくは無置換のN、Si、P、P(O)を示す)を表し、nは1≦n≦4を満たす整数であり、qは1≦qを満たす整数である。
【化142】
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【0295】
Bとしては、耐久性向上および電荷輸送性向上を図ることを考慮すると、一つ以上の芳香環を含んでいる2価以上の置換もしくは無置換の炭化水素基、2価もしくは3価の1,3,5−トリアジン基、置換もしくは無置換の2価のジフェニルスルホン基が好ましく、特に、2価もしくは3価の置換もしくは無置換のベンジル基、2価の置換もしくは無置換のp−キシリレン基、2価もしくは3価の置換もしくは無置換のナフチル基、2価もしくは3価の1,3,5−トリアジン基、2価の置換もしくは無置換のジフェニルスルホン基、2〜4価のパーフルオロビフェニル基、2価の置換もしくは無置換の2,2−ビス((ヒドロキシプロポキシ)フェニル)プロピル基、置換もしくは無置換のポリビニルベンジル基が好ましい。
【0296】
式(vii)で表される化合物は式(vii−3)表されることが特に好ましい。
【化143】
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【0297】
【化144】
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【0298】
式中、R、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、アミノ基、シラノール基、チオール基、カルボキシル基、リン酸基、リン酸エステル基、エステル基、チオエステル基、アミド基、ニトロ基、一価炭化水素基、オルガノオキシ基、オルガノアミノ基、オルガノシリル基、オルガノチオ基、アシル基またはスルホン酸基を示し、AおよびBは、それぞれ独立して、式(viii−1)または(viii−2)で表される二価の基を示す。
【化145】
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【0299】
式中、R〜R11は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、アミノ基、シラノール基、チオール基、カルボキシル基、リン酸基、リン酸エステル基、エステル基、チオエステル基、アミド基、ニトロ基、一価炭化水素基、オルガノオキシ基、オルガノアミノ基、オルガノシリル基、オルガノチオ基、アシル基またはスルホン酸基を示す。mおよびnは、それぞれ独立して、1以上の整数で、m+n≦20を満足する。
【0300】
下記化合物の混合物(ix)
【化146】
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【0301】
下記化合物の混合物(x)
【化147】
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【0302】
本発明の一態様において、下記式(X)のフェニルアミン系ポリマーを正孔輸送層材料として用いることもできる。
【化148】
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nは、3以上の整数を表す。
【0303】
本発明の一態様において、正孔輸送層は第1正孔輸送層(陽極側)と第2正孔輸送層(陰極側)の2層構造にしてもよい。
正孔輸送層の膜厚は特に限定されないが、10〜200nmであるのが好ましい。
【0304】
本発明の一態様において、正孔輸送層又は第1正孔輸送層の陽極側にアクセプター材料を含有する層を接合してもよい。これにより駆動電圧の低下及び製造コストの低減が期待される。
前記アクセプター材料としては下記式(K)で表される化合物が好ましい。
【0305】
【化149】
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【0306】
(上記式(K)中、R311〜R316は互いに同一でも異なっていてもよく、それぞれ独立にシアノ基、−CONH、カルボキシル基、又は−COOR317(R317は炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数3〜20のシクロアルキル基を表す)を表す。ただし、R311及びR312、R313及びR314、並びにR315及びR316の1又は2以上の対が一緒になって−CO−O−CO−で示される基を形成してもよい。)
317としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。
アクセプター材料を含有する層の膜厚は特に限定されないが、5〜20nmであるのが好ましい。
前記アクセプター材料として下記の材料を用いてもよい。
【0307】
【化150】
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【0308】
【化151】
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【0309】
【化152】
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【0310】
【化153】
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【0311】
【化154】
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【0312】
【化155】
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【0313】
【化156】
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【0314】
【化157】
[この文献は図面を表示できません]
【0315】
【化158】
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【0316】
【化159】
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【0317】
【化160】
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【0318】
【化161】
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【0319】
n/pドーピング
上述の正孔輸送層や電子輸送層においては、特許第3695714号明細書に記載されているように、ドナー性材料のドーピング(n)やアクセプター性材料のドーピング(p)により、キャリア注入能を調整することができる。
nドーピングの代表例としては、電子輸送材料にLiやCs等の金属をドーピングする方法が挙げられ、pドーピングの代表例としては、正孔輸送材料にFTCNQ(2,3,5,6-Tetrafluoro-7,7,8,8-tetracyanoquinodimethane)等のアクセプター材料をドーピングする方法が挙げられる。
【0320】
スペース層
上記スペース層とは、例えば、蛍光発光層と燐光発光層とを積層する場合に、燐光発光層で生成する励起子を蛍光発光層に拡散させない、あるいは、キャリアバランスを調整する目的で、蛍光発光層と燐光発光層との間に設けられる層である。また、スペース層は、複数の燐光発光層の間に設けることもできる。
スペース層は発光層間に設けられるため、電子輸送性と正孔輸送性を兼ね備える材料であることが好ましい。また、隣接する燐光発光層内の三重項エネルギーの拡散を防ぐため、三重項エネルギーが2.6eV以上であることが好ましい。スペース層に用いられる材料としては、上述の正孔輸送層に用いられるものと同様のものが挙げられる。本発明の一態様において、前記化合物(1)及び前記有機EL素子用材料をスペース層用の材料として用いることもできる。
【0321】
障壁層
本発明の一態様において、電子障壁層、正孔障壁層、トリプレット障壁層などの障壁層を発光層に隣接して設けることが好ましい。ここで、電子障壁層とは、発光層から正孔輸送層へ電子が漏れることを防ぐ層であり、正孔障壁層とは、発光層から電子輸送層へ正孔が漏れることを防ぐ層である。本発明の一態様において、前記化合物(1)及び前記有機EL素子用材料を正孔障壁層用の材料として用いることもできる。
トリプレット障壁層は、発光層で生成する三重項励起子が、周辺の層へ拡散することを防止し、三重項励起子を発光層内に閉じ込めることによって三重項励起子の発光ドーパント以外の電子輸送層の分子上でのエネルギー失活を抑制する機能を有する。
トリプレット障壁層を設ける場合、燐光素子においては、発光層中の燐光発光性ドーパントの三重項エネルギーをE、トリプレット障壁層として用いる化合物の三重項エネルギーをETBとすると、E<ETBのエネルギー大小関係であれば、エネルギー関係上、燐光発光性ドーパントの三重項励起子が閉じ込められ(他分子へ移動できなくなり)、該ドーパント上で発光する以外のエネルギー失活経路が断たれ、高効率に発光することができると推測される。ただし、E<ETBの関係が成り立つ場合であってもこのエネルギー差ΔE=ETB−Eが小さい場合には、実際の素子駆動環境である室温程度の環境下では、周辺の熱エネルギーにより吸熱的にこのエネルギー差ΔEを乗り越えて三重項励起子が他分子へ移動することが可能であると考えられる。特に燐光発光の場合は蛍光発光に比べて励起子寿命が長いため、相対的に吸熱的励起子移動過程の影響が現れやすくなる。室温の熱エネルギーに対してこのエネルギー差ΔEは大きい程好ましく、0.1eV以上であるとさらに好ましく、0.2eV以上であると特に好ましい。本発明の一態様において、前記化合物(1)及び前記有機EL素子用材料を、国際公開WO2010/134350A1に記載するTTF蛍光素子のトリプレット障壁層用の材料として用いることもできる。
【0322】
また、トリプレット障壁層を構成する材料の電子移動度は、電界強度0.04〜0.5MV/cmの範囲において、10−6cm/Vs以上であることが望ましい。有機材料の電子移動度の測定方法としては、Time of Flight法等幾つかの方法が知られているが、ここではインピーダンス分光法で決定される電子移動度をいう。
電子注入層は、電界強度0.04〜0.5MV/cmの範囲において、10−6cm/Vs以上であることが望ましい。これにより陰極からの電子輸送層への電子注入が促進され、ひいては隣接する障壁層、発光層への電子注入も促進し、より低電圧での駆動を可能にするためである。
【0323】
本発明の一態様において、有機EL素子の各層は従来公知の真空蒸着法、スピンコーティング法等により形成することができる。例えば、真空蒸着法、分子線蒸着法(MBE法)、あるいは、層を形成する化合物の溶液を用いた、ディッピング法、スピンコーティング法、キャスティング法、バーコート法、ロールコート法等の塗布法による公知の方法で形成することができる。
【0324】
各有機層の膜厚は特に制限されないが、一般に膜厚が薄すぎるとピンホール等の欠陥が生じやすく、逆に厚すぎると高い駆動電圧が必要となり効率が悪くなるため、通常は数nmから1μmの範囲が好ましい。
【0325】
前記化合物(1)を含有する層(発光層、正孔輸送層、電子輸送層)は、前記化合物(1)及び必要に応じてドーパント等の他の材料を含む溶液(インク組成物)を用いて上記塗布法により成膜することが好ましい。
【0326】
成膜方法としては、公知の塗布法を有効に利用することができ、例えばスピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、スリットコート法、ワイアーバーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェット法、ノズルプリンティング法等が挙げられる。パターン形成をする場合には、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェット印刷法が好ましい。これらの方法による成膜は、当業者に周知の条件により行うことができる。
塗布後は、真空下に加熱(上限250℃)乾燥して、溶媒を除去すればよく、光や250℃を超える高温加熱による重合反応は不要である。従って、光や250℃を超える高温加熱による素子の性能劣化の抑制が可能である。
【0327】
成膜用溶液(インク組成物)は、少なくとも1種類の前記化合物(1)を含有していればよく、また公知の正孔輸送材料、電子輸送材料、発光材料、アクセプター材料、安定剤等の添加剤を含んでいてもよい。
成膜用溶液は、粘度及び/又は表面張力を調節するための添加剤、例えば、増粘剤(高分子量化合物等)、粘度降下剤(低分子量化合物等)、界面活性剤等を含有していてもよい。また、保存安定性を改善するために、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤等、有機EL素子の性能に影響しない酸化防止剤を含有していてもよい。
上記成膜用溶液(インク組成物)中の前記化合物(1)の含有量は、成膜用溶液全体に対して0.1〜15質量%が好ましく、0.5〜10質量%がより好ましい。
【0328】
増粘剤として使用可能な高分子量化合物としては、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、ポリスルホン、ポリメチルメタクリレート、ポリメチルアクリレート、セルロース等の絶縁性樹脂及びそれらの共重合体、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリシラン等の光導電性樹脂、ポリチオフェン、ポリピロール等の導電性樹脂が挙げられる。
【0329】
成膜用溶液の溶媒としては、例えば、クロロホルム、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン等の塩素系溶媒;テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジオキソラン、アニソール等のエーテル系溶媒;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒;シクロへキサン、メチルシクロへキサン、n−ペンタン、n−へキサン、n−へプタン、n−オクタン、n−ノナン、n−デカン等の脂肪族炭化水素系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、シクロへキサノン、べンゾフェノン、アセトフェノン等のケトン系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル、エチルセルソルブアセテート、安息香酸メチル、酢酸フェニル等のエステル系溶媒;エチレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジメトキシエタン、プロピレングリコール、ジエトキシメタン、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、グリセリン、1,2−へキサンジオール等の多価アルコール及びその誘導体;メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、シクロへキサノール等のアルコール系溶媒;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド系溶媒;N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド系溶媒が挙げられる。また、これらの溶媒は、1種を単独で又は2種以上を併用することができる。
【0330】
これらの溶媒のうち、溶解性、成膜の均一性及び粘度特性等の観点から、芳香族炭化水素系溶媒、エーテル系溶媒、脂肪族炭化水素系溶媒、エステル系溶媒、ケトン系溶媒が好ましく、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン、トリメチルベンゼン、n−プロピルベンゼン、イソプロピルベンゼン、n−ブチルベンゼン、イソブチルベンゼン、5−ブチルベンゼン、n−へキシルベンゼン、シクロへキシルベンゼン、1−メチルナフタレン、テトラリン、1,3−ジオキサン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、アニソール、エトキシベンゼン、シクロへキサン、ビシクロへキシル、シクロヘキセニルシクロヘキサノン、n−ヘプチルシクロへキサン、n−へキシルシクロヘキサン、デカリン、安息香酸メチル、シクロへキサノン、2−プロピルシクロへキサノン、2−へプタノン、3−へプタノン、4−へプタノン、2−オクタノン、2−ノナノン、2−デカノン、ジシクロへキシルケトン、アセトフェノン、ベンゾフェノンがより好ましい。
【0331】
本発明の一態様において、有機エレクトロルミネッセンス素子は、有機ELパネルモジュール等の表示部品、テレビ、携帯電話、パーソナルコンピュータ等の表示装置、及び、照明、車両用灯具の発光装置等の電子機器に使用できる。
【実施例】
【0332】
以下、実施例を用いて本発明の態様をさらに詳細に説明するが、本発明はそれら実施例に限定されるものではない。
【0333】
合成実施例1:化合物H−1の合成
化合物H−1を以下の合成ルートに従って合成した。
【化162】
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【0334】
アルゴン雰囲気下、4−フェニル−2,6−ジクロロピリミジン(9.00g、40mmol)、4−クロロフェニルボロン酸(6.26g、40mmol)、ジクロロ(ビストリフェニルホスフィン)パラジウム錯体(0.70g、1.0mmol)、1,4−ジオキサン(160mL)、2M炭酸カリウム水溶液(80mL)を順次加えて8時間加熱還流した。室温まで反応液を冷却した後、トルエンを加えて希釈し、水で洗浄し、減圧乾燥した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、ピリミジン中間体B1(9.76g,収率81%)を得た。
アルゴン雰囲気下、ビカルバゾリル中間体A1(12.26g、30mmol)、ピリミジン中間体B1(9.04g、30mmol)、炭酸カリウム(4.35g、31.5mmol)を乾燥DMF30mLに加え、120℃で8時間加熱撹拌した。室温まで反応液を冷却した後、水30mLを加え、析出した固体を濾取し、水及びメタノールで洗浄し、減圧乾燥した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、目的とする中間体C1(15.14g,収率75%)を得た。
アルゴン雰囲気下、中間体C1(2.02g、3.0mmol)、ビカルバゾリル中間体A2(1.23g、3.0mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0.055g、0.06mmol)、キサントホス(4,5−ビス(ジフェニルホスフィノ)−9,9−ジメチルキサンテン)(0.069g、0.12mmol)、t−ブトキシナトリウム(0.43g、4.5mmol)、無水キシレン(60mL)を順次加えて8時間加熱還流した。
室温まで反応液を冷却した後、不溶物を濾過して除き、有機溶媒を減圧下留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、化合物H−1(2.86g,収率91%)を得た。
HPLC:純度99.1%
FD−MS:calcd for C7648=1045、
found m/z=1045(M+,100)
【0335】
合成実施例2:化合物H−2の合成
化合物H−2を以下の合成ルートに従って合成した。
【化163】
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【0336】
アルゴン雰囲気下、4−フェニル−2,6−ジクロロピリミジン(9.00g、40mmol)、3−クロロフェニルボロン酸(6.26g、40mmol)、ジクロロ(ビストリフェニルホスフィン)パラジウム錯体(0.70g、1.0mmol)、1,4−ジオキサン(160mL)、2M炭酸カリウム水溶液(80mL)を順次加えて8時間加熱還流した。室温まで反応液を冷却した後、トルエンを加えて希釈し、水で洗浄し、減圧乾燥した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、ピリミジン中間体B2(9.40g,収率78%)を得た。
アルゴン雰囲気下、ビカルバゾリル中間体A1(12.26g、30mmol)、ピリミジン中間体B2(9.04g、30mmol)、炭酸カリウム(4.35g、31.5mmol)を乾燥DMF30mLに加え、120℃で8時間加熱撹拌した。室温まで反応液を冷却した後、水30mLを加え、析出した固体を濾取し、水及びメタノールで洗浄し、減圧乾燥した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、目的とする中間体C2(14.74g,収率73%)を得た。
アルゴン雰囲気下、中間体C2(2.02g、3.0mmol)、ビカルバゾリル中間体A2(1.23g、3.0mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0.055g、0.06mmol)、キサントホス(0.069g、0.12mmol)、t−ブトキシナトリウム(0.43g、4.5mmol)、無水キシレン(60mL)を順次加えて8時間加熱還流した。
室温まで反応液を冷却した後、不溶物を濾過して除き、有機溶媒を減圧下留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、化合物H−2(2.76g,収率88%)を得た。
HPLC:純度99.6%
FD−MS:calcd for C76H48N6=1045、
found m/z=1045(M+,100)
【0337】
合成実施例3:化合物H−3の合成
化合物H−3を以下の合成ルートに従って合成した。
【化164】
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【0338】
アルゴン雰囲気下、ビカルバゾリル中間体A2(12.26g、30mmol)、ピリミジン中間体B2(9.04g、30mmol)、炭酸カリウム(4.35g、31.5mmol)を乾燥DMF30mLに加え、120℃で8時間加熱撹拌した。室温まで反応液を冷却した後、水30mLを加え、析出した固体を濾取し、水及びメタノールで洗浄し、減圧乾燥した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、目的とする中間体C3(13.13g,収率65%)を得た。
アルゴン雰囲気下、中間体C3(2.02g、3.0mmol)、ビカルバゾリル中間体A1(1.23g、3.0mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0.055g、0.06mmol)、キサントホス(0.069g、0.12mmol)、t−ブトキシナトリウム(0.43g、4.5mmol)、無水キシレン(60mL)を順次加えて8時間加熱還流した。
室温まで反応液を冷却した後、不溶物を濾過して除き、有機溶媒を減圧下留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、化合物H−3(2.70g,収率86%)を得た。
HPLC:純度99.8%
FD−MS:calcd for C76H48N6=1045、
found m/z=1045(M+,100)
【0339】
合成実施例4:化合物H−4の合成
化合物H−4を以下の合成ルートに従って合成した。
【化165】
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【0340】
アルゴン雰囲気下、中間体C2(2.02g、3.0mmol)、トリカルバゾリル中間体A3(1.95g、3.0mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0.055g、0.06mmol)、キサントホス(0.069g、0.12mmol)、t−ブトキシナトリウム(0.43g、4.5mmol)、無水キシレン(60mL)を順次加えて8時間加熱還流した。
室温まで反応液を冷却した後、不溶物を濾過して除き、有機溶媒を減圧下留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、化合物H−4(1.85g,収率48%)を得た。
HPLC:純度99.2%
FD−MS:calcd for C94H59N7=1286、
found m/z=1286(M+,100)
【0341】
合成実施例5:化合物H−5の合成
化合物H−5を以下の合成ルートに従って合成した。
【化166】
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【0342】
アルゴン雰囲気下、中間体C2(2.02g、3.0mmol)、カルバゾール中間体A4(1.00g、3.0mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0.055g、0.06mmol)、キサントホス(0.069g、0.12mmol)、t−ブトキシナトリウム(0.43g、4.5mmol)、無水キシレン(60mL)を順次加えて8時間加熱還流した。
室温まで反応液を冷却した後、不溶物を濾過して除き、有機溶媒を減圧下留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、化合物H−5(1.85g,収率86%)を得た。
HPLC:純度98.8%
FD−MS:calcd for C70H44N6=969、
found m/z=969(M+,100)
【0343】
合成実施例6:化合物H−6の合成
化合物H−6を以下の合成ルートに従って合成した。
【化167】
[この文献は図面を表示できません]
【0344】
アルゴン雰囲気下、中間体C2(2.02g、3.0mmol)、カルバゾール中間体A5(0.85g、3.0mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0.055g、0.06mmol)、キサントホス(0.069g、0.12mmol)、t−ブトキシナトリウム(0.43g、4.5mmol)、無水キシレン(60mL)を順次加えて8時間加熱還流した。
室温まで反応液を冷却した後、不溶物を濾過して除き、有機溶媒を減圧下留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、化合物H−6(1.69g,収率61%)を得た。
HPLC:純度98.9%
FD−MS:calcd for C67H45N5=920、
found m/z=920(M+,100)
【0345】
合成実施例7:化合物H−7の合成
化合物H−7を以下の合成ルートに従って合成した。
【化168】
[この文献は図面を表示できません]
【0346】
アルゴン雰囲気下、ビカルバゾリル中間体A6(10.49g、20mmol)、ピリミジン中間体B2(6.02g、20mmol)、炭酸カリウム(3.32g、24mmol)を乾燥DMF20mLに加え、120℃で8時間加熱撹拌した。室温まで反応液を冷却した後、水30mLを加え、析出した固体を濾取し、水及びメタノールで洗浄し、減圧乾燥した。目的とする中間体C4(15.31g,収率97%)を得た。
アルゴン雰囲気下、中間体C4(2.37g、3.0mmol)、ビカルバゾリル中間体A1(1.23g、3.0mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0.055g、0.06mmol)、キサントホス(0.069g、0.12mmol)、t−ブトキシナトリウム(0.43g、4.5mmol)、無水キシレン(60mL)を順次加えて8時間加熱還流した。
室温まで反応液を冷却した後、不溶物を濾過して除き、有機溶媒を減圧下留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、化合物H−7(3.06g,収率88%)を得た。
HPLC:純度99.3%
FD−MS:calcd for C85H58N6=1161、
found m/z=1161(M+,100)
【0347】
合成実施例8:化合物H−8の合成
化合物H−8を以下の合成ルートに従って合成した。
【化169】
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【0348】
アルゴン雰囲気下、中間体C2(2.02g、3.0mmol)、カルバゾール中間体A7(1.46g、3.0mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0.055g、0.06mmol)、キサントホス(0.069g、0.12mmol)、t−ブトキシナトリウム(0.43g、4.5mmol)、無水キシレン(60mL)を順次加えて8時間加熱還流した。
室温まで反応液を冷却した後、不溶物を濾過して除き、有機溶媒を減圧下留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、化合物H−8(2.81g,収率83%)を得た。
HPLC:純度98.9%
FD−MS:calcd for C82H54N6=1123、
found m/z=1123(M+,100)
【0349】
合成実施例9:化合物H−9の合成
化合物H−9を以下の合成ルートに従って合成した。
【化170】
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【0350】
アルゴン雰囲気下、中間体C2(2.02g、3.0mmol)、カルバゾール中間体A8(1.38g、3.0mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0.055g、0.06mmol)、キサントホス(0.069g、0.12mmol)、t−ブトキシナトリウム(0.43g、4.5mmol)、無水キシレン(60mL)を順次加えて8時間加熱還流した。
室温まで反応液を冷却した後、不溶物を濾過して除き、有機溶媒を減圧下留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、化合物H−9(2.44g,収率74%)を得た。
HPLC:純度99.2%
FD−MS:calcd for C80H52N6=1097、
found m/z=1097(M+,100)
【0351】
合成実施例10:化合物H−10の合成
化合物H−10を以下の合成ルートに従って合成した。
【化171】
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【0352】
2−アミノ−4’−クロロベンゾフェノン(23.17g、100mmol)および尿素(12.01g、200mmol)を酢酸100mLに溶解し、8時間加熱還流した。室温まで反応液を冷却した後、水200mLを加え、析出した固体を濾取し、水およびメタノールで洗浄し、減圧乾燥した。ここに塩化ホスホリル200mLを加え、3時間加熱還流した。室温まで反応液を冷却した後、反応液を氷水中にそそぎ、塩化メチレンで抽出した。有機層を水洗後、硫酸マグネシウムで乾燥し、有機溶媒を減圧下留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、キナゾリン中間体B4(20.6g,収率75%)を得た。
アルゴン雰囲気下、ビカルバゾリル中間体A1(8.58g、21.0mmol)、キナゾリン中間体B4(5.50g、20.0mmol)、炭酸カリウム(2.76g、20.0mmol)を乾燥DMF20mLに加え、120℃で8時間加熱撹拌した。室温まで反応液を冷却した後、水10mLを加え、析出した固体を濾取し、水及びメタノールで洗浄し、減圧乾燥した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、目的とする中間体C6(9.06g,収率70%)を得た。
アルゴン雰囲気下、中間体C6(1.94g、3.0mmol)、トリカルバゾリル中間体A3(1.95g、3.0mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0.055g、0.06mmol)、キサントホス(4,5−ビス(ジフェニルホスフィノ)−9,9−ジメチルキサンテン)(0.069g、0.12mmol)、t−ブトキシナトリウム(0.43g、4.5mmol)、無水キシレン(60mL)を順次加えて8時間加熱還流した。
室温まで反応液を冷却した後、不溶物を濾過して除き、有機溶媒を減圧下留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、化合物H−10(2.76g,収率73%)を得た。
HPLC:純度99.4%
FD−MS:calcd for C92H57N7=1260、
found m/z=1260(M+,100)
【0353】
合成実施例11:化合物H−11の合成
化合物H−11を以下の合成ルートに従って合成した。
【化172】
[この文献は図面を表示できません]
【0354】
2−アミノ−5−クロロベンゾフェノン(23.17g、100mmol)および尿素(12.01g、200mmol)を酢酸100mLに溶解し、8時間加熱還流した。室温まで反応液を冷却した後、水200mLを加え、析出した固体を濾取し、水およびメタノールで洗浄し、減圧乾燥した。ここに塩化ホスホリル200mLを加え、3時間加熱還流した。室温まで反応液を冷却した後、反応液を氷水中にそそぎ、塩化メチレンで抽出した。有機層を水洗後、硫酸マグネシウムで乾燥し、有機溶媒を減圧下留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、キナゾリン中間体B5(19.3g,収率70%)を得た。
アルゴン雰囲気下、ビカルバゾリル中間体A1(8.58g、21.0mmol)、キナゾリン中間体B5(5.50g、20.0mmol)、炭酸カリウム(2.76g、20.0mmol)を乾燥DMF20mLに加え、120℃で8時間加熱撹拌した。室温まで反応液を冷却した後、水10mLを加え、析出した固体を濾取し、水及びメタノールで洗浄し、減圧乾燥した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、目的とする中間体C7(9.32g,収率72%)を得た。
アルゴン雰囲気下、中間体C7(1.94g、3.0mmol)、トリカルバゾリル中間体A9(1.49g、3.0mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0.055g、0.06mmol)、キサントホス(4,5−ビス(ジフェニルホスフィノ)−9,9−ジメチルキサンテン)(0.069g、0.12mmol)、t−ブトキシナトリウム(0.43g、4.5mmol)、無水キシレン(60mL)を順次加えて8時間加熱還流した。
室温まで反応液を冷却した後、不溶物を濾過して除き、有機溶媒を減圧下留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、化合物H−11(2.74g,収率82%)を得た。
HPLC:純度99.5%
FD−MS:calcd for C80H49N7=1108、
found m/z=1108(M+,100)
【0355】
合成実施例12:化合物H−12の合成
化合物H−12を以下の合成ルートに従って合成した。
【化173】
[この文献は図面を表示できません]
【0356】
2−(3−ブロモベンゾイル)−1−ナフトール(12.44g、50mmol)、水酸化ナトリウム(6.0g,150mmol)をN,N−ジメチルアセトアミド(DMA)(75mL)に溶解し、室温で1時間攪拌した後、2−ブロモイソブチルアミド(24.9g、150mmol)を加え、さらに室温で5時間撹拌した。反応液に水酸化ナトリウム(18.0g,450mmol)を追加し、50℃に加熱して1時間反応させ、その後水(75mL)を加え、さらに温度を上げて1時間加熱還流した。室温まで冷却し、酢酸エチルで抽出し、硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を溜去した後シリカゲルクロマトグラフィーにて精製し、中間体D(13.86g、収率85%)を得た。この中間体D(13.05g、40mmol)、尿素(4.80g、40mmol)を酢酸(20mL)中、加熱還流下5時間反応させた。100℃以下まで冷却した後に水(80mL)を加え、生成した粉末を濾取し、水で洗浄し、真空乾燥した。この粉末をオキシ塩化リン(20mL)に加えて、加熱還流下5時間反応させた。室温まで冷却した後、氷水200mL中に添加し、生じた粉末を水洗し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、ベンゾキナゾリン中間体B6(9.31g、収率63%)を得た。
アルゴン雰囲気下、トリカルバゾリル中間体A3(3.41g、5.25mmol)、キナゾリン中間体B6(1.85g、5.00mmol)、炭酸カリウム(0.83g、6.0mmol)を乾燥DMF5mLに加え、120℃で8時間加熱撹拌した。室温まで反応液を冷却した後、水10mLを加え、析出した固体を濾取し、水及びメタノールで洗浄し、減圧乾燥した。目的とする中間体C8(3.98g,収率81%)を得た。
アルゴン雰囲気下、中間体C8(2.95g、3.0mmol)、ビカルバゾリル中間体A1(1.23g、3.0mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0.055g、0.06mmol)、キサントホス(4,5−ビス(ジフェニルホスフィノ)−9,9−ジメチルキサンテン)(0.069g、0.12mmol)、t−ブトキシナトリウム(0.43g、4.5mmol)、無水キシレン(60mL)を順次加えて8時間加熱還流した。
室温まで反応液を冷却した後、不溶物を濾過して除き、有機溶媒を減圧下留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、化合物H−12(3.38g,収率86%)を得た。
HPLC:純度99.21%
FD−MS:calcd for C9659=1310、
found m/z=1310(M+,100)
【0357】
合成実施例13:化合物H−13の合成
【化174】
[この文献は図面を表示できません]
【0358】
塩化鉄(III)(6.45g、40mmol)を水200mLに溶解した中に2−アミノベンズアミド(2.72g、20mmol)、3−ブロモベンズアルデヒド(3.70g、20mmol)を順次加え、3時間加熱還流した。室温まで反応液を冷却した後、析出した固体を濾取し、水およびアセトンで洗浄し、減圧乾燥した。ここに塩化ホスホリル20mLを加え、3時間加熱還流した。室温まで反応液を冷却した後、反応液を氷水中にそそぎ、塩化メチレンで抽出した。有機層を水洗後、硫酸マグネシウムで乾燥し、有機溶媒を減圧下留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、中間体B7(2.88g,収率45%)を得た。
アルゴン雰囲気下、中間体A1(2.14g、5.25mmol)、中間体B7(1.60g、5.00mmol)、炭酸カリウム(0.83g、6.0mmol)を乾燥DMF5mLに加え、120℃で8時間加熱撹拌した。室温まで反応液を冷却した後、水10mLを加え、析出した固体を濾取し、水及びメタノールで洗浄し、減圧乾燥した。目的とする中間体C9(3.01g,収率87%)を得た。
アルゴン雰囲気下、中間体C9(2.07g、3.0mmol)、中間体A2(1.23g、3.0mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0.055g、0.06mmol)、キサントホス(4,5−ビス(ジフェニルホスフィノ)−9,9−ジメチルキサンテン)(0.069g、0.12mmol)、t−ブトキシナトリウム(0.43g、4.5mmol)、無水キシレン(60mL)を順次加えて8時間加熱還流した。
室温まで反応液を冷却した後、不溶物を濾過して除き、有機溶媒を減圧下留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、化合物H−13(2.85g,収率93%)を得た。
HPLC:純度99.4%
FD−MS:calcd for C7446=1019
found m/z=1019(M+,100)
HPLC:High performance liquid chromatography
FD−MS:Field Desorption Mass Spectrometry
【0359】
合成実施例14:化合物H−14の合成
【化175】
[この文献は図面を表示できません]
【0360】
塩化鉄(III)(6.45g、40mmol)を水200mLに溶解した中に2−アミノベンズアミド(2.72g、20mmol)、4−ブロモベンズアルデヒド(3.70g、20mmol)を順次加え、3時間加熱還流した。室温まで反応液を冷却した後、析出した固体を濾取し、水およびアセトンで洗浄し、減圧乾燥した。ここに塩化ホスホリル20mLを加え、3時間加熱還流した。室温まで反応液を冷却した後、反応液を氷水中にそそぎ、塩化メチレンで抽出した。有機層を水洗後、硫酸マグネシウムで乾燥し、有機溶媒を減圧下留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、中間体B8(3.26g,収率51%)を得た。
アルゴン雰囲気下、中間体A1(2.14g、5.25mmol)、中間体B8(1.60g、5.00mmol)、炭酸カリウム(0.83g、6.0mmol)を乾燥DMF5mLに加え、120℃で8時間加熱撹拌した。室温まで反応液を冷却した後、水10mLを加え、析出した固体を濾取し、水及びメタノールで洗浄し、減圧乾燥した。目的とする中間体C10(2.94g,収率85%)を得た。
アルゴン雰囲気下、中間体C2(2.07g、3.0mmol)、中間体A2(1.23g、3.0mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0.055g、0.06mmol)、キサントホス(4,5−ビス(ジフェニルホスフィノ)−9,9−ジメチルキサンテン)(0.069g、0.12mmol)、t−ブトキシナトリウム(0.43g、4.5mmol)、無水キシレン(60mL)を順次加えて8時間加熱還流した。
室温まで反応液を冷却した後、不溶物を濾過して除き、有機溶媒を減圧下留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、化合物H−14(2.90g,収率95%)を得た。
HPLC:純度99.3%
FD−MS:calcd for C7446=1019
found m/z=1019(M+,100)
【0361】
合成実施例15:化合物H−15の合成
【化176】
[この文献は図面を表示できません]
【0362】
アルゴン雰囲気下、中間体C9(2.07g、3.0mmol)、中間体A3(1.94g、3.0mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0.055g、0.06mmol)、キサントホス(4,5−ビス(ジフェニルホスフィノ)−9,9−ジメチルキサンテン)(0.069g、0.12mmol)、t−ブトキシナトリウム(0.43g、4.5mmol)、無水キシレン(60mL)を順次加えて8時間加熱還流した。
室温まで反応液を冷却した後、不溶物を濾過して除き、有機溶媒を減圧下留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、化合物H−15(3.37g,収率89%)を得た。
HPLC:純度99.4%
FD−MS:calcd for C9257=1260
found m/z=1260(M+,100)
【0363】
合成実施例15:化合物H−15の合成
【化177】
[この文献は図面を表示できません]
【0364】
アルゴン雰囲気下、中間体A3(2.14g、5.25mmol)、中間体B8(1.60g、5.00mmol)、炭酸カリウム(0.83g、6.0mmol)を乾燥DMF5mLに加え、120℃で8時間加熱撹拌した。室温まで反応液を冷却した後、水10mLを加え、析出した固体を濾取し、水及びメタノールで洗浄し、減圧乾燥した。目的とする中間体C11(4.01g,収率86%)を得た。
アルゴン雰囲気下、中間体C11(2.80g、3.0mmol)、中間体A1(1.23g、3.0mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0.055g、0.06mmol)、キサントホス(4,5−ビス(ジフェニルホスフィノ)−9,9−ジメチルキサンテン)(0.069g、0.12mmol)、t−ブトキシナトリウム(0.43g、4.5mmol)、無水キシレン(60mL)を順次加えて8時間加熱還流した。
室温まで反応液を冷却した後、不溶物を濾過して除き、有機溶媒を減圧下留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、化合物H−16(3.40g,収率90%)を得た。
HPLC:純度99.5%
FD−MS:calcd for C92H57N7=1260
found m/z=1260(M+,100)
【0365】
合成実施例17:化合物H−17の合成
【化178】
[この文献は図面を表示できません]
【0366】
アルゴン雰囲気下、中間体C9(2.07g、3.0mmol)、中間体A5(0.85g、3.0mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0.055g、0.06mmol)、キサントホス(4,5−ビス(ジフェニルホスフィノ)−9,9−ジメチルキサンテン)(0.069g、0.12mmol)、t−ブトキシナトリウム(0.43g、4.5mmol)、無水キシレン(60mL)を順次加えて8時間加熱還流した。
室温まで反応液を冷却した後、不溶物を濾過して除き、有機溶媒を減圧下留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、化合物H−17(2.33g,収率87%)を得た。
HPLC:純度99.1%
FD−MS:calcd for C6543=894
found m/z=894(M+,100)
【0367】
実施例1
(基板の洗浄)
25mm×25mm×厚さ1.1mmのITO透明電極付きガラス基板(ジオマテック株式会社製)をイソプロピルアルコール中で超音波洗浄を5分間行った後、UVオゾン洗浄を5分間行った。
(下地層の形成)
正孔輸送材料としてHERAEUS社製CLEVIOUS AI4083(商品名)を30nmの厚さで前記のITO基板上にスピンコート法により成膜した。成膜後、アセトンにより不要部分を除去し、次いで大気中200℃のホットプレートで10分間焼成し、下地基板を作製した。
(発光層の形成)
ホスト材料として合成実施例4で得た化合物H−4、ドーパント材料として下記化合物D−1を用い、化合物H−4:化合物D−1が重量比で90:10となるような混合比で、1.6質量%のトルエン溶液を作製した。このトルエン溶液を用い、前記下地基板上にスピンコート法により、50nmの膜厚になるように塗布積層した。塗布成膜後、不要部分をトルエンにて除去し、150℃のホットプレート上で加熱乾燥し、発光層を成膜した塗布積層基板を作製した。なお、発光層の成膜にかかる全ての操作は窒素雰囲気のグローブボックス中で実施した。
(蒸着、封止)
塗布積層基板を蒸着チャンバー中に搬送し、電子輸送層として下記化合物ET−1を50nm蒸着した。さらに、フッ化リチウムを1nm、アルミニウムを80nm蒸着積層した。全ての蒸着工程を完了させた後、窒素雰囲気のグローブボックス中でザグリガラスによる封止を行い、有機EL素子を製造した。
得られた有機EL素子を、直流電流駆動により発光させ、電流密度10mA/cmにおける外部量子収率(EQE)を測定した。測定結果を表1に示す。
【0368】
実施例2
ドーパント材料として化合物D−2を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法で有機EL素子を作製した。測定結果を表1に示す。
【0369】
比較例1
ホスト材料として下記比較化合物H−aを用いたこと以外は、実施例1と同様の方法で有機EL素子を作製した。測定結果を表1に示す。
【0370】
比較例2
ホスト材料として下記比較化合物H−aを用いたこと以外は、実施例2と同様の方法で有機EL素子を作製した。測定結果を表1に示す。
【0371】
実施例3
ホスト材料として合成実施例13で得た化合物H−13、ドーパント材料として下記化合物D−1を用い、化合物H−13:化合物D−1が重量比で95:5となるような混合比で1.6重量%のトルエン溶液を調製した以外は実施例1と同様の方法で機EL素子を作製した。測定結果を表1に示す。
【0372】
実施例4〜7
ホスト材料として合成実施例で得た化合物H−14(実施例4)、化合物H−15(実施例5)、化合物H−16(実施例6)、化合物H−17(実施例7)をそれぞれ用いたこと以外は、実施例3と同様の方法で有機EL素子を作製した。測定結果を表1に示す。
【0373】
比較例3
ホスト材料としてWO2012/086170に記載の化合物Q−1を用いたこと以外は、実施例3と同様の方法で有機EL素子を作製した。測定結果を表1に示す。
【0374】
比較例4
ホスト材料としてWO2012/086170に記載の化合物Q−2を用いたこと以外は、実施例3と同様の方法で有機EL素子を作製した。測定結果を表1に示す。
【化179】
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【0375】
【表1】
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【0376】
本発明の一態様による製造方法によれば、式(1)のAとAが異なる化合物、すなわち、多様な骨格を有する化合物を簡便かつ高収率で製造することができる。その結果、上記のように、異なるドーパント(即ち、異なる発光特性)を用いた有機EL素子に適用し得る化合物を容易に得ることができる。式(1)のAとAに相当する基が同一である化合物、すなわち、含窒素複素環に同一のビスカルバゾール含有基が複数置換した化合物(例えば比較化合物H−a、Q−1、Q−2)では、上記の効果を得ることは困難である。
【符号の説明】
【0377】
1 有機EL素子
2 基板
3 陽極
4 陰極
5 発光層
6 陽極側有機薄膜層
7 陰極側有機薄膜層
10 発光ユニット
図1
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