特許第6597015号(P6597015)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6597015
(24)【登録日】2019年10月11日
(45)【発行日】2019年10月30日
(54)【発明の名称】遠隔測定補助装置
(51)【国際特許分類】
   G01B 21/00 20060101AFI20191021BHJP
   G01S 15/10 20060101ALI20191021BHJP
   G01S 15/88 20060101ALI20191021BHJP
   G01S 7/521 20060101ALI20191021BHJP
   G01C 15/00 20060101ALI20191021BHJP
【FI】
   G01B21/00 L
   G01S15/10
   G01S15/88
   G01S7/521 B
   G01C15/00 105R
【請求項の数】4
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-144523(P2015-144523)
(22)【出願日】2015年7月22日
(65)【公開番号】特開2017-26434(P2017-26434A)
(43)【公開日】2017年2月2日
【審査請求日】2018年7月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126561
【弁理士】
【氏名又は名称】原嶋 成時郎
(72)【発明者】
【氏名】小数賀 寛
(72)【発明者】
【氏名】山本 浩一
(72)【発明者】
【氏名】助永 雅秀
(72)【発明者】
【氏名】菅野 裕也
【審査官】 河内 悠
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−011447(JP,A)
【文献】 実開昭52−141357(JP,U)
【文献】 実開昭63−172905(JP,U)
【文献】 特開2009−222387(JP,A)
【文献】 米国特許第05884240(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 21/00−21/32
17/00−17/08
G01C 15/00
G01N 29/00−29/52
G01S 7/52− 7/64
15/00−15/96
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定作業員が被測定物の遠隔測定部位を計器で測定できるように補助する遠隔測定補助装置であって、
測定作業員によって把持される棒状部と、
前記棒状部の先端側で前記計器を保持する計器保持部と、
前記棒状部の手元側で前記計器の測定方向を調整するために操作される操作部と、
前記操作部の操作に応じて前記計器保持部を前記棒状部に対して変位させ、前記計器の測定方向を調整する測定方向調整部と、
前記計器保持部を前記遠隔測定部位に着脱可能に固定する計器固定部と、を備え、
前記操作部はワイヤリールを有し、また、前記測定方向調整部は回転体を有しており、前記ワイヤリールと前記回転体とにワイヤが掛けられて、前記操作部の操作により前記ワイヤリールが回転され、前記ワイヤを通じて前記測定方向調整部が調整される、
ことを特徴とする遠隔測定補助装置。
【請求項2】
前記棒状部の手元側には、前記計器の測定結果が表示される前記計器の表示部が取り付けられている
ことを特徴とする請求項1に記載の遠隔測定補助装置。
【請求項3】
前記計器固定部は、前記計器の外周に配された平面状の固定手段を有する面状固定部、もしくは前記計器の外周に配された複数の突起状の固定手段を有する突起状固定部である、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の遠隔測定補助装置。
【請求項4】
前記棒状部には、長手方向に沿って目盛りが設けられている
ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の遠隔測定補助装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被測定物の遠隔測定部位を測定作業員が計器で測定できるように補助する遠隔測定補助装置に関する。
【背景技術】
【0002】
水力発電所は、コンクリート構造物だけでなく、貯水池の洪水吐を開閉する洪水吐ゲートや、水車に導水する水圧鉄管など多くの鋼構造物を備えている。これらの鋼構造物の表面は、腐食などから保護するために塗装が施されて塗膜が形成されている。鋼構造物の塗膜は、経年による健全性を確認するために数年毎に膜厚測定が行われる。この膜厚測定では、鋼構造物の表面に膜厚計のセンサ部を固定し、センサ部から鋼構造物の素地までの距離を測定することによって塗膜の厚みを測定する。
【0003】
被測定物である洪水吐ゲートの水面から露呈している部分の膜厚を測定する場合には、測定作業員が船に乗って洪水吐ゲートの近くまで移動し、洪水吐ゲートの表面に膜厚計のセンサ部を当接させて膜厚測定を行うことができる。これに対し、測定作業員の手が届かない位置にある遠隔測定部位を測定する場合には、多大な費用と労力とが必要となる。例えば、洪水吐ゲートの水中に没している部分の膜厚を測定する場合には、潜水士が貯水池に潜って洪水吐ゲートの近くまで移動し、水中で洪水吐ゲートの表面に膜厚計を当接させて膜厚測定を行わなければならない。また、大型の水圧鉄管の膜厚測定では、水圧鉄管の天端部の膜厚を測定するために足場を設置しなければならず、やはり多大な費用と労力とが必要となる。
【0004】
従来、膜厚測定に関するものではなく、管路内の流体の濁度や色度を測定する装置に関するものではあるが、測定作業員が水面上から水中の測定作業を行えるようにした測定装置が発明されている(例えば、特許文献1参照)。この測定装置は、棒状部の先端に、この棒状部の軸方向と直行する方向に測定方向が向くように計器を取り付け、この棒状部を管路外から管路内に挿入して、管路の外、すなわち水面上から測定作業を行えるようにしている。この測定装置の技術を鋼構造物の膜厚測定に適用し、例えば長尺の棒状部の先端に膜厚計のセンサ部を固定した遠隔測定補助装置を利用すれば、水面上から水中の膜厚を測定し、高所の膜厚を測定することもできるので、潜水士や足場や不要となり、測定作業にかかる費用および労力を軽減することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特公平06−017871号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
膜厚計で塗膜の厚みを測定する際には、膜厚計のセンサ部を鋼構造物の被測定部位に当接させ、測定が終了するまでセンサ部をその当接位置で固定しなければならない。しかし、特許文献1の測定装置は、管路内に棒状部を挿入して流体の濁度などを測定することを目的としており、管路の内壁にセンサ部を当接させて固定することまでは考慮されていない。したがって、特許文献1の技術を適用しただけの遠隔測定補助装置では、水中内の洪水吐ゲートや、水圧鉄管の天端部の膜厚測定をする際に測定位置がずれてしまうので、正確な測定結果を得ることはできない。
【0007】
また、特許文献1の技術を適用しただけの遠隔測定補助装置では、膜厚計は棒状部の軸方向に対して直行する方向を向くことになるので、膜厚計のセンサ部を洪水吐ゲートの表面に当接させるには、船で洪水吐ゲートの近くまで行って停泊し、棒状部を鉛直方向から水中に挿入しなければならない。しかし、洪水吐ゲートの測定部位が貯水池の岸辺などに近い場所であれば船を接岸させて洪水吐ゲートに近い位置で停泊させられるが、岸辺から遠い洪水吐ゲートの中央付近では船を洪水吐ゲートの近くに停泊するのが難しくなり、センサ部を水中の洪水吐ゲートに当接できない状態が発生する可能性がある。また、洪水吐ゲートから離れた位置から膜厚計のセンサ部を洪水吐ゲートに当接させるために、棒状部を水中に対して斜めに挿入することも考えられるが、膜厚計の測定方向を洪水吐ゲートに向けられないため、膜厚を精度よく測定することはできない。
【0008】
本発明は、上記課題を解決するために、計器の測定方向が被測定物の遠隔測定部位を向き、かつ計器を遠隔測定部位で固定できるようにした遠隔測定補助装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の遠隔測定補助装置は、測定作業員が被測定物の遠隔測定部位を計器で測定できるように補助する遠隔測定補助装置であって、測定作業員によって把持される棒状部と、前記棒状部の先端側で前記計器を保持する計器保持部と、前記棒状部の手元側で前記計器の測定方向を調整するために操作される操作部と、前記操作部の操作に応じて前記計器保持部を前記棒状部に対して変位させ、前記計器の測定方向を調整する測定方向調整部と、前記計器保持部を前記遠隔測定部位に着脱可能に固定する計器固定部と、を備え、前記操作部はワイヤリールを有し、また、前記測定方向調整部は回転体を有しており、前記ワイヤリールと前記回転体とにワイヤが掛けられて、前記操作部の操作により前記ワイヤリールが回転され、前記ワイヤを通じて前記測定方向調整部が調整される、ことを特徴とする。
【0010】
請求項2に記載の遠隔測定補助装置は、棒状部の手元側に、計器の測定結果が表示される計器の表示部が取り付けられている。
【0011】
請求項3に記載の遠隔測定補助装置は、計器固定部として、計器の外周に配された平面状の固定手段を有する面状固定部、もしくは計器の外周に配された複数の突起状の固定手段を有する突起状固定部が用いられている。
【0012】
請求項4に記載の遠隔測定補助装置は、棒状部に長手方向に沿って目盛りが設けられている。
【発明の効果】
【0013】
請求項1記載の発明によれば、棒状部の手元側で計器の測定方向が被測定物の遠隔測定部位を向くように調整し、かつ測定が終了するまで計器を遠隔測定部位に固定することができるので、測定作業員の手が届かない位置にある遠隔測定部位を簡単に精度よく測定することができる。
また、操作部を回転操作すると同軸上でワイヤリールが同方向に回転し、ワイヤは、ワイヤリールによって牽引される。回転体と、この回転体に固定された計器保持部は、ワイヤの牽引に基づいて操作部と同方向に回転するので、棒状部の手元側からセンサ部の測定方向を調整することができる。
【0014】
請求項2記載の発明によれば、センサ部の測定結果が棒状部の手元側に取り付けられた表示部に表示されるので、測定結果をすぐに確認することができ、再測定や複数部位を測定する際の作業効率が向上する。
【0015】
請求項3記載の発明によれば、計器固定部として、平面状の固定手段を有する面状固定部、もしくは突起状の固定手段を有する突起状固定部を利用できるようにしたので、被測定物の表面形状に応じて計器保持部を遠隔測定部位にしっかりと固定することができる。
【0016】
請求項4記載の発明によれば、棒状部に目盛りを設けたので、遠隔測定部位までの水深や高さなどの測定に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】この発明の実施の形態に係る遠隔測定補助装置の構成を示す正面図および側面図である。
図2図1の遠隔測定補助装置のA−AおよびB−B断面図である。
図3図1の遠隔測定補助装置を先端側から見た斜視図である。
図4図1の遠隔測定補助装置のC−C断面図である。
図5図1の遠隔測定補助装置の計器固定部の別の実施形態を示す斜視図である。
図6図1の遠隔測定補助装置の計器固定部のさらに別の実施形態を示す斜視図である。
図7図1の遠隔測定補助装置のワイヤリールを示す断面図および側面図である。
図8図1の遠隔測定補助装置の回転体を示す断面図および側面図である。
図9】洪水吐ゲートの膜厚測定作業を示す斜視図である。
図10】洪水吐ゲートの膜厚測定作業を示す側面図である。
図11】この発明の第2の実施形態に係る遠隔測定補助装置の構成を示す正面図および側面図である。
図12図11の遠隔測定補助装置のA1−A1およびB1−B1断面図である。
図13図11の遠隔測定補助装置を先端側から見た斜視図である。
図14図11の遠隔測定補助装置のガイドリングを示す断面図および側面図である。
図15】この発明の第3の実施形態に係る遠隔測定補助装置の構成を示す正面図および側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、この発明を図示の実施の形態に基づいて説明する。
【0019】
(実施の形態1)
図1ないし図3は、本発明の実施の形態に係る遠隔測定補助装置1を示し、図1(A)、(B)は、遠隔測定補助装置1の正面図および側面図、図2(A)、(B)は、図1(B)、(A)のB−B断面図およびA−A断面図、図3は、遠隔測定補助装置1の先端側の斜視図である。この遠隔測定補助装置1は、測定作業員の手が届かない位置にある被測定物の遠隔測定部位を、測定作業員が計器で測定できるように補助するための装置であり、例えば、水力発電所の洪水吐ゲートの水中部分などの塗膜を膜厚計で測定する場合に用いられる。
【0020】
遠隔測定補助装置1は、測定作業員によって把持される長尺の棒状部2と、棒状部2の先端側で膜厚計3のセンサ部31を保持する計器保持部4と、棒状部2の手元側で膜厚計3の測定方向を調整するために操作される操作部5と、操作部5の操作に応じて計器保持部4を棒状部2に対して変位させ、膜厚計3の測定方向を調整する測定方向調整部6とを備える。また、計器保持部4には、遠隔測定部位に計器保持部4を着脱可能に固定できるようにするために、計器固定部7が設けられている。
【0021】
棒状部2は、測定作業員が遠隔測定補助装置1を操作して膜厚計3のセンサ部31を遠隔測定部位まで届かせることができる程度の長さ、例えば、数メートルの長さを有する長尺の棒状体である。棒状部2は、図1(A)のC−C断面図である図4に示すように、断面が円形のパイプ構造となっており、アルミやカーボンなどの材質を用いることにより、強度の維持と軽量化とが両立されている。なお、棒状部2の断面形状は、円形に限定されるものではなく、三角形、四角形および四角形以上の多角形を用いてもよい。また、棒状部2は、一定の長さである必要はなく、テレスコピック構造を利用して伸縮自在にしてもよいし、複数本の短尺の棒状部を適宜継ぎ足して長さを調整できるようにしてもよい。
【0022】
棒状部2内には、測定方向調整部6の一部を構成するワイヤ63が挿通されている。また、棒状部2の表面には、長手方向に沿って目盛り21が設けられている。この目盛り21は、遠隔測定部位までの水深や高さなどの測定に利用することができる。
【0023】
棒状部2の手元側には、測定作業員によって把持されるグリップ22が設けられている。また、グリップ22の近傍には、膜厚計3の表示部32が取り付けられている。表示部32は、膜厚計3の操作と、センサ部31による測定結果の表示とに用いられる。測定作業者は、表示部32がグリップ22の近傍に設置されているので、遠隔測定補助装置1を持ち替えることなく膜厚計3を操作して、測定結果を確認することができる。
【0024】
膜厚計3は、一般に市販されている超音波式の膜厚計であり、センサ部31、表示部32およびこれらを電気的に接続するケーブル33を備える。ケーブル33は、棒状部2の表面に固定された複数のケーブルクリップ23によって棒状部2の表面に固定されている。詳しくは図示しないが、センサ部31とケーブル33、およびケーブル33と表示部32の接続部分は、絶縁素材によって覆われて漏電が防止されている。また、これらの接続部分には、漏電による膜厚計3の故障を防止するために、漏電時に通電を停止させる漏電防止回路が設けられている。なお、センサ部31と表示部32との間を無線で接続する計器を利用する場合には、ケーブル33を省略してもよい。
【0025】
超音波式の膜厚計3は、塗膜表面に当接されたセンサ部31の先端から超音波を発信し、鋼構造物の素地で反射された超音波をセンサ部31で受信し、超音波の発信から受信までにかかった時間に基づいて塗膜の厚みを測定する。なお、膜厚計3は、超音波式に限定去れるものではなく、電磁式あるいは高周波式の膜厚計を用いてもよい。
【0026】
計器保持部4は、測定方向調整部6に対して着脱可能とされており、被測定物の種類や遠隔測定部位の状況、測定に使用する計器などに応じて適宜交換できるようになっている。計器保持部4は、例えば、円錐形状をしており、この円錐形状の大径端部側が外側を向くように、小径端部側が測定方向調整部6に固定されている。計器保持部4の内側には、膜厚計3のセンサ部31が収容される略円錐形状の空隙41が設けられている。空隙41内には、センサ部31が進退自在に挿入されるホルダ34と、ホルダ34内でセンサ部31を大経端部側に向けて付勢するバネ35とが設けられている。これにより、計器保持部4の大経端部が遠隔測定部位に当接された場合には、バネ35の付勢力によってセンサ部31が遠隔測定部位に当接する。なお、計器保持部4の当接による被測定物の破損や傷つきを防止するため、計器保持部4は、FRP(Fiber Reinforced Plastics)やゴムなど、被測定物や被測定物の塗膜よりも強度の低い材質で構成するのが好ましい。
【0027】
計器保持部4の外周面には、計器保持部4の位置を確認しやすくするために複数個の発光部42が設けられている。発光部42は、例えば、電球や発光ダイオードなどの発光素子からなり、図示しない電源およびスイッチによって使用時に発光される。なお、発光素子の代わりに、反射シートや蓄光シートなどを用いてもよい。
【0028】
計器保持部4を遠隔測定部位に着脱可能に固定する計器固定部7は、計器保持部4の大径端部内に設けられている。計器固定部7は、センサ部31の外周に配された平面状の電磁石(固定手段)が用いられた面状固定部である。グリップ22には、計器固定部7のオン/オフを切り換えるスイッチ24が設けられているので、測定作業者は、遠隔測定部位から離れている位置から計器保持部4の固定および固定解除をすることができる。詳しくは図示しないが、計器固定部7を駆動する電源は棒状部2内に設けられ、図示しないケーブルによって計器固定部7に接続されている。また、計器固定部7とケーブル、およびケーブルと電源の接続部分は、上述した膜厚計3と同様に絶縁素材によって覆われて漏電が防止されている。また、これらの接続部分には、漏電による計器固定部7の故障を防止するために、漏電時に通電を停止させる漏電防止回路が設けられている。
【0029】
計器固定部7は、計器保持部4の大径端部内に設けられた平面状の電磁石に限定されるものではなく、大径端部の端面にリング状に配した電磁石を用いてもよいし、図5に示す計器固定部7Aのように、大径端部の端面に所定間隔に配置した複数個の電磁石によって構成してもよい。また、図6に示す計器固定部7Bのように、計器保持部4の大径端部の端面に、センサ部31の測定方向に沿うように複数の突起43を所定間隔で形成し、各突起43の先端に電磁石を設けることにより、複数の突起状の固定手段を有する突起状固定部を構成してもよい。この突起状固定部からなる計器固定部7Bによれば、遠隔測定部位の表面に凹凸がある場合でも各電磁石が遠隔測定部位の表面に当接するので、計器保持部4をしっかりと固定することができる。
【0030】
操作部5は、棒状部2の手元側に回転操作が可能なように設けられたL字状の操作ハンドルである。測定方向調整部6は、棒状部2の手元側および先端側に設けられたワイヤリール61および回転体62と、ワイヤリール61および回転体62の外周に掛けられた1本のワイヤ63と、ワイヤリール61、回転体62およびワイヤ63をガイドする複数個のローラ64を備える。
【0031】
ワイヤリール61は、ワイヤ63が掛けられる胴部611および一対のフランジ612を有し、棒状部2の軸方向に直行するように配された回転軸613によって、棒状部2の後端に設けられた一対の軸受部25に回転自在に支持されている。回転軸613には、操作部5の一端が固定されているので、操作部5の回転操作によって同方向にワイヤリール61が回転する。
【0032】
回転体62は、外周面にワイヤ63が掛けられる溝621が設けられた円形板であり、回転軸613と平行に配された回転軸622によって、棒状部2の先端に設けられた一対の軸受部26に回転自在に支持されている。回転体62の外周には、計器保持部4が着脱可能に固定されているので、計器保持部4は回転体62とともに回転する。
【0033】
ワイヤ63は、両端が接続されずに開放されている。図7(A)、(B)に示すように、ワイヤ63の両端63A、63Bは、ワイヤリール61の胴部611に固定具614によって固定されてから巻き付けられている。また、図8(A)、(B)に示すように、ワイヤ63の長さ方向の中央部63Cは、回転体62の溝621に固定具623によって固定されている。ワイヤリール61と回転体62との間のワイヤ63は、棒状部2内に挿通されている。上記構成により、操作部5の回転操作によってワイヤリール61が同方向に回転し、ワイヤリール61により牽引されたワイヤ63によって回転体62および計器保持部4が同方向に回転するので、棒状部2の後願側からセンサ部31の測定方向を調整することができる。
【0034】
次に、上記遠隔測定補助装置1の作用について、水力発電所の洪水吐ゲートの膜厚測定を例にして説明する。図9および図10、に示すように、測定作業員Wは、水力発電所の洪水吐ゲートGの膜厚測定を行う場合には、遠隔測定補助装置1を携えて船Sに乗り、洪水吐ゲートGの近くまで移動する。測定作業員Wは、洪水吐ゲートGの近くに到達すると、船Sから洪水吐ゲートGまでの距離を考慮して棒状部2に対する測定方向調整量を決定し、操作部5を回転操作してセンサ部31の測定方向を調整する。操作部5が回転操作されると同軸上でワイヤリール61が同方向に回転し、ワイヤ63は、ワイヤリール61によって牽引される。回転体62と、この回転体62に固定された計器保持部4は、ワイヤ63の牽引に基づいて操作部5と同方向に回転するので、棒状部2の手元側からセンサ部31の測定方向を調整することができる。
【0035】
測定作業員Wは、グリップ22を把持して遠隔測定補助装置1の先端側を水中に挿入し、計器保持部4を洪水吐ゲートGの遠隔測定部位に当接させる。その際に、計器保持部4の発光部42を発光させておくことにより、計器保持部4の水中での位置が把握しやすくなるので、計器保持部4を遠隔測定部位の適切な位置に当接させることができる。なお、遠隔測定部位の位置が水面からの距離で指定されているような場合には、棒状部2の目盛り21を利用して水面から遠隔測定部位までの距離を測定することにより、計器保持部4を精度よくかつ簡単に指定された遠隔測定部位に当接させることができる。
【0036】
測定作業員Wは、計器保持部4を洪水吐ゲートGの遠隔測定部位に当接させた状態でスイッチ24を操作し、計器固定部7の電磁石を駆動させる。計器固定部7は、電磁石の磁力によって鋼構造物である洪水吐ゲートGに吸着する。これにより、膜厚計3のセンサ部31は、バネ35の付勢力によって洪水吐ゲートGの表面に当接する。なお、計器保持部4を洪水吐ゲートGに当接させる際に、センサ部31の測定方向の角度が洪水吐ゲートGの表面に合っていない場合でも、計器固定部7の吸着力によって計器保持部4が洪水吐ゲートGに倣うように回転体62が回転するので、洪水吐ゲートGの表面にセンサ部31を適切に当接させることができる。
【0037】
測定作業員Wは、計器保持部4の固定後、表示部32を操作して膜厚計3を作動させる。膜厚計3は、センサ部31の先端から超音波を発信し、洪水吐ゲートGの素地で反射された超音波をセンサ部31で受信し、超音波の発信から受信までにかかった時間に基づいて塗膜の厚みを測定し、グリップ22の近くに取り付けられた表示部32に測定結果を表示する。測定作業員Wは、計器保持部4を洪水吐ゲートGに固定した状態のまま、手元側に取り付けられた表示部32で測定結果を確認することができる。
【0038】
以上のように、本発明を実施した遠隔測定補助装置1によれば、膜厚計3の測定方向が洪水吐ゲートGの遠隔測定部位を向くように調整し、かつ膜厚測定が終了するまで膜厚計3を遠隔測定部位に固定することができるので、測定作業員Wの手が届かない位置にある洪水吐ゲートGの遠隔測定部位の膜厚を精度よく測定することができる。また、膜厚計3の測定結果は、棒状部2の手元側に取り付けられた表示部32に表示されるので、同じ遠隔測定部位の再測定や、複数箇所の遠隔測定部位を測定する際の作業効率が向上する。
【0039】
さらに、計器保持部4を洪水吐ゲートGに固定させる計器固定部7として、面状の電磁石を備える面状固定部や、突起状の電磁石を備える突起状固定部を利用できるようにしたので、被測定物である洪水吐ゲートGの表面形状に応じて、計器保持部4を洪水吐ゲートGにしっかりと固定することができる。また、棒状部2に設けた目盛り21により、メジャーや距離計などを利用しなくても遠隔測定部位までの水深や高さを測定することができる。したがって、水面からの距離が指定されている遠隔測定部位の膜厚を測定する場合には、目盛り21を利用して水中に挿入する棒状部2の長さを調整すれば、遠隔測定部位に計器保持部4を適切に当接させることができる。
【0040】
(実施の形態2)
図11ないし図13は、この発明の実施の形態2による遠隔測定補助装置80を示し、図11(A)、(B)は、遠隔測定補助装置80の正面図および側面図、図12(A)、(B)は、図11(B)、(A)のB1−B1断面図およびA1−A1断面図、図13は、遠隔測定補助装置80の先端側の斜視図である。なお、この実施の形態では、先に説明した実施の形態1と同一もしくは同一と見なされる構成要素には、それと同じ参照符号を付けて、その説明を省略する。
【0041】
この実施の形態による遠隔測定補助装置80は、実施の形態1とは構成が異なる測定方向調整部81を備える。測定方向調整部81は、実施の形態1と同構成であるワイヤリール61およびワイヤ63と、棒状部2の先端側に固定されて外周にワイヤ63が掛けられたガイドリング82とを備える。
【0042】
ガイドリング82は、中央に円形の開口821が設けられたリング状部材であり、外周面にはワイヤ63が掛けられる溝822が設けられている。ガイドリング82は、棒状部2の先端に設けられた一対の固定部28により挟み込まれて固定されているので、実施の形態1の回転体62とは異なり、回転はしない。
【0043】
計器保持部4は、両端面から挟み込むように開口821に挿入された断面がL字状の摺動ステー44により、外周面に沿って移動自在となるようにガイドリング82に取り付けられている。図14に示すように、ワイヤ63の長さ方向の中央部63Cは、計器保持部4の底面に固定具45によって固定されている。
【0044】
上記構成により、操作部5の回転操作によってワイヤリール61が同方向に回転すると、ワイヤリール61によりワイヤ63が牽引され、ガイドリング82の溝822内で移動する。ワイヤ63には、計器保持部4が固定されているので、ワイヤ63の移動に伴い、ガイドリング82の外周で計器保持部4が移動する。これにより、本実施の形態においても、棒状部2の後願側からセンサ部31の測定方向を調整することができる。
【0045】
この実施の形態によれば、棒状部2の先端側で回転する部材としてガイドリング82を利用するので、開口821の分だけ実施の形態1の回転体62よりも軽量化を図ることができ、遠隔測定補助装置80の携帯性および操作性を向上させることができる。
【0046】
(実施の形態3)
図15(A)、(B)は、この発明の実施の形態3による遠隔測定補助装置90の構成を示す側面図および正面図である。なお、この実施の形態では、先に説明した実施の形態1と同一もしくは同一と見なされる構成要素には、それと同じ参照符号を付けて、その説明を省略する。
この実施の形態による遠隔測定補助装置90は、実施の形態1とは構成が異なる測定方向調整部91を備える。測定方向調整部91は、操作部5の同軸上に設けられた第1かさ歯車911と、第1かさ歯車911に噛合された第2かさ歯車912と、第2かさ歯車912の回転軸915上に設けられた第3かさ歯車913と、回転体62の同軸上に設けられ、第3かさ歯車913に噛合された第4かさ歯車914とを備える。詳しくは図示していないが、測定方向調整部91は、長尺の棒状部内に収容されて外部から視認できないようになっている。
【0047】
上記構成により、操作部5の回転操作によって第1かさ歯車911が同方向に回転すると、これに噛合した第2かさ歯車912および第3かさ歯車913が回転軸915の周りで回転し、第3かさ歯車913に噛合された第4かさ歯車914が回転する。第4かさ歯車914が回転すると、同軸上に設けられた回転体62と、回転体62の外周に固定された計器保持部4も回転するので、本実施の形態においても、棒状部2の後願側からセンサ部31の測定方向を調整することができる。
【0048】
この実施の形態によれば、測定方向調整部91に複数のかさ歯車を利用しているので、実施の形態1のようにワイヤを利用する構成に比べ、測定方向の調整が精度よく行えるようになり、測定作業の効率化を図ることができる。
【0049】
以上、この発明の各実施の形態を詳述してきたが、具体的な構成はこの実施の形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても、この発明に含まれる。例えば、水力発電所の洪水吐ゲートの膜厚測定を例に説明したが、塗膜の付着力測定や、カメラを利用した塗膜のクラック検査など様々な測定作業に利用してもよいし、水力発電所以外の様々な構造物や装置の遠隔測定部位の測定にも利用することができる。また、操作部5の操作をワイヤや、かさ歯車によって棒状部2の先端側まで伝達するようにしたが、例えば、内視鏡の先端部のように、複数本のワイヤを利用して湾曲方向を調製できるようにしてもよい。さらに、棒状部2の先端内にモータを含む測定方向調整機構を組み込み、この測定方向調整機構を棒状部2の手元側の操作スイッチで操作するような構成を用いてもよい。
【符号の説明】
【0050】
1、80、90 遠隔測定補助装置
2 棒状部
3 膜厚計(計器)
4 計器保持部
5 操作部
6 測定方向調整部
7 計器固定部
21 目盛り
31 センサ部
32 表示部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15