特許第6599235号(P6599235)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6599235IRタッチスクリーン用途のための低Feガラス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6599235
(24)【登録日】2019年10月11日
(45)【発行日】2019年10月30日
(54)【発明の名称】IRタッチスクリーン用途のための低Feガラス
(51)【国際特許分類】
   C03C 3/04 20060101AFI20191021BHJP
   C03C 3/12 20060101ALI20191021BHJP
   C03C 21/00 20060101ALI20191021BHJP
   G06F 3/041 20060101ALI20191021BHJP
【FI】
   C03C3/04
   C03C3/12
   C03C21/00 101
   G06F3/041 495
   G06F3/041 602
【請求項の数】10
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2015-545424(P2015-545424)
(86)(22)【出願日】2013年11月27日
(65)【公表番号】特表2016-501818(P2016-501818A)
(43)【公表日】2016年1月21日
(86)【国際出願番号】US2013072157
(87)【国際公開番号】WO2014085535
(87)【国際公開日】20140605
【審査請求日】2015年7月22日
【審判番号】不服-1549(P-1549/J1)
【審判請求日】2018年2月5日
(31)【優先権主張番号】61/731,671
(32)【優先日】2012年11月30日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】397068274
【氏名又は名称】コーニング インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【弁理士】
【氏名又は名称】柳田 征史
(72)【発明者】
【氏名】キング,ジェフリー ステープルトン
【合議体】
【審判長】 豊永 茂弘
【審判官】 菊地 則義
【審判官】 宮澤 尚之
(56)【参考文献】
【文献】 特表2011−513171(JP,A)
【文献】 特表2012−500177(JP,A)
【文献】 特表2012−509246(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C03C 1/00-29/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
高光透過アルカリアルミノシリケートガラスであり、
a.20ppm未満のFeと、
b.40〜70重量%のSiO、12〜20重量%のAl、および3〜12重量%のMgOとを含み、かつ、
当該ガラスの吸収係数が900nmにおいて2.0m−1未満であり、
当該ガラスの吸収係数が約400〜約800nmにおいて2.0m−1未満であること、
を特徴とするガラス
【請求項2】
が添加されていない請求項に記載のガラス。
【請求項3】
55〜60重量%のSiO、12〜15重量%のAl、および3〜4重量%のMgOを含む請求項1または2に記載のガラス。
【請求項4】
イオン交換されたガラスである請求項1〜3のいずれか1項に記載のガラス。
【請求項5】
0.7MPa m1/2以上の破壊靭性を有する請求項に記載のガラス。
【請求項6】
600kgf/mm以上の200g負荷下のビッカース硬さを有する請求項又は請求項に記載のガラス。
【請求項7】
600MPa以上の圧縮応力、又は30GPa以上のせん断弾性率を有する請求項4〜6のいずれか1項に記載のガラス。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載のガラスを有する電子タッチスクリーンデバイス。
【請求項9】
タッチイベントを特定するために減衰内部全反射システムを利用する請求項に記載の電子デバイス。
【請求項10】
減衰内部全反射システムが、単一又は複数のタッチ位置、タッチ圧力、又はこれら全てを特定することができる請求項又は請求項に記載の電子デバイス。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の説明】
【0001】
本出願は2012年11月30日出願の米国特許仮出願第61/731,671号明細書の米国特許法第119条の下の優先権の利益を請求し、その内容を根拠とし、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【技術分野】
【0002】
本開示は光学タッチスクリーン、特に光学タッチスクリーンシステムのためのガラス材料に関する。
【背景技術】
【0003】
タッチスクリーン機能はモバイルデバイス用途、例えばスマートフォン、電子書籍リーダー、ラップトップコンピューター及びタブレットコンピューターにおいて広範に使用されてきており、その結果、タッチスクリーン機能を有するディスプレイ市場が注目されている。更に、ラージフォーマットのディスプレイ、例えばデスクトップコンピューター及び壁掛け型スクリーンのサイズは大型化し続けている。このディスプレイサイズの大型化は投影型静電容量方式タッチ(PCAP)技術のような従来のタッチスクリーン技術を用いるとディスプレイコストの増大を伴う。
【0004】
最終的には、最小のハンドヘルドデバイスから最大のディスプレイまで、広範な用途のためのタッチスクリーンの全体的な厚み及び重量を最小限にする必要がある。更に、タッチスクリーンはより頑健な機能、例えば進歩したタッチ位置精度、指紋免疫及びマルチタッチ能力を有する必要がある。その結果、ディスプレイがタッチスクリーン機能を有することができるように種々のセンシング手法が開発されている。これらの手法のため、方法を完全に現実化させ最適な効率及び有効性を得るための新材料の開発がますます必要になっている。
【発明の概要】
【0005】
本発明の1つの側面はタッチスクリーン用途のための高光透過ガラスを含む。高光透過ガラスは減衰全内部反射(FTIR)系の方法をタッチスクリーン用途のために使用可能とする。一部の実施形態においては、ガラスは、使用される光が紫外線、可視光又は赤外領域の電磁スペクトルにあるFTIR方式の方法の使用を可能とする。一部の実施形態においては、ガラスは、使用される光が約750nm〜約2500nmであるFTIR方式の方法の使用を可能とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
1つの実施形態は200ppm未満のFeを含む高光透過ガラスを含み、ここでガラスの吸収係数は900nmで5.0m−1未満であり;そしてガラスの吸収係数は約400〜約800nmで5.0m−1未満である。一部の実施形態においては、ガラスは100ppm未満のFeを含む。一部の実施形態においては、ガラスの吸収係数は900nmで2.0m−1未満である。一部の実施形態においては、ガラスの吸収係数は約400〜約800nmで2.0m−1未満である。一部の実施形態においては、ガラスは2.45g/cm以上の密度を有する。一部の実施形態においては、ガラスは0.7MPa m1/2以上の破壊靭性を有する。一部の実施形態においては、ガラスは600kgf/mm以上の200g負荷下のビッカース硬さを有する。一部の実施形態においては、ガラスは30GPa以上のせん断弾性率を有する。一部の実施形態においては、ガラスは600MPa以上の圧縮応力を有する。一部の実施形態においては、ガラスは10マイクロメートル以上の層深さを有する。一部の実施形態においては、ガラスは2mm以下の厚みを有する。一部の実施形態においては、ガラスはイオン交換される。一部の実施形態においては、ガラスは0.2mm−1〜0.9mm−1のβ−OH値を有する。一部の実施形態においては、ガラスはガラスシートを研磨していない場合に、≦20オングストローム、好ましくは≦10オングストロームの平均表面粗さ(R)を有する。一部の実施形態においては、ガラスは3mm未満の厚みを有し、ガラス基板は0.5マイクロメートル/cm未満の反り変形Wを有し、これは式W=D/Lで表され、式中、Dはmm単位におけるガラス基板の最大反りであり、Lはcm単位におけるガラス基板の対角線の長さである。
【0007】
その他の特徴及び利点は、以下に記載する詳細な説明中に示され、そして部分的にはその説明から当業者には容易に明確化されるものであるか、又は以下に示す詳細な説明、請求項並びに添付する図面を包含する本明細書に記載した開示を実施することにより認識されるものである。請求項は後述する詳細な説明の一部にも組み込まれ、そしてその一部を構築する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本開示によるタッチスクリーンシステムの透明シートの断面図
図2】NaO−CaO−MgO−SiOガラスにおけるFe3+及びFe2+イオンの特徴的吸収スペクトルを示した図
図3】Fe約30〜50ppmを含むSiO、Fe約100ppmを含むAl、及びFe約400ppmを含むMgOを配合したGorilla Glass(登録商標)に関するX線蛍光データを示した図
図4】導波管減衰係数の計測の説明図
図5】(a)IR吸収境界、(b)LED、及び光ダイオード(d)の計測位置(c)を示す、導波管減衰係数計測機構を示した図
図6】2つのGorilla Glass試料の吸収係数を示した図(試料は全ての側面が研磨されている10mm×20mm×50mmのブランクである)
図7】試料A〜Gの全ての側面が研磨されている10mm×20mm×50mmのブランクの吸収係数を比較した図
図8】Harrodsburg、KYより入手した標準的な厚み1.1mmのGorilla Glass(グラフ「A」)、及び日本より入手した低Fe成分よりなる厚み0.7mmの「特殊」Gorilla Glass(グラフ「B」)試料に関して、850nmでの導波管減衰係数計測から得られたデータを示した図(直線フィットの傾きから得られたαwgはそれぞれ9.6m−1及び3.0m−1であった)
図9】試料Gの全ての側面が研磨されている10mm×20mm×50mmのブランクの吸収係数を示した図
図10】試料Aの全ての側面が研磨されている10mm×20mm×50mmのブランクの吸収係数を示した図
図11】試料Bの全ての側面が研磨されている10mm×20mm×50mmのブランクの吸収係数を示した図
図12】試料Cの全ての側面が研磨されている10mm×20mm×50mmのブランクの吸収係数を示した図
図13】試料Dの全ての側面が研磨されている10mm×20mm×50mmのブランクの吸収係数を示した図
図14】試料Eの全ての側面が研磨されている10mm×20mm×50mmのブランクの吸収係数を示した図
図15】試料Fの全ての側面が研磨されている10mm×20mm×50mmのブランクの吸収係数を示した図
【発明を実施するための形態】
【0009】
その他の特徴及び利点は、以下に記載する詳細な説明中に示され、そしてその説明から当業者には容易に明確化されるものであるか、又は請求項及び添付する図面と共に本明細書に記載した開示を実施することにより認識されるものである。
【0010】
以下の詳細な説明において、本発明の実施形態を十分理解するために多くの特定的な詳細事項が記載されている。しかしながら、これらの特定的詳細事項の一部又は全てがなくてもどうすれば本発明の実施形態を実施できるかは、当業者には明らかである。他の場合においては、本発明を不必要に不明確化しないために、よく知られた特徴やプロセスは詳述しない場合がある。更にまた、共通又は同様の要素を同定するために同様又は同一の参照番号を使用する場合がある。更にまた、特段の記載が無い限り、本明細書において使用する技術的又は科学的な用語は全て、本発明が属する技術分野の当業者により一般的に理解されている意味と同じ意味を有する。矛盾がある場合は用語を定義している本明細書が優先される。
【0011】
他の方法等も本発明の実施又は試験において使用できるが、特定の好適な方法と材料を本明細書で説明する。
【0012】
開示されるものは、開示した方法及び組成物のために使用できる、又はそれと組み合わせて使用できる、又はその調製のために使用できる、又はその実施形態である、材料、化合物、組成物及び成分である。これら及びその他の材料を本明細書に開示し、そしてこれらの材料の組み合わせ、サブセット、相互作用、グループ等を、これらの化合物の各々の種々の個別的及び集合的な組み合わせ及び順列を明示的に開示することなく開示した場合、各々が具体的に意図され、そして本明細書に記載されているものとする。
【0013】
即ち置換基A、B及びCのクラス並びに置換基D、E及びFのクラスが開示され、そして組み合わせの実施形態の例A−Dが開示される場合、各々が個別的及び集合的に意図される。即ち、この例においては、組み合わせA−E、A−F、B−D、B−E、B−F、C−D、C−E及びC−Fの各々は具体的に意図され、そしてA、B及び/又はC;D、E及び/又はF;及び組み合わせ例A−Dの開示から開示されているものと考えなければならない。同様にこれらのいずれのサブセット又は組み合わせも具体的に意図される。即ち、例えば、A−E、B−F及びC−Eのサブグループが具体的に意図され、そしてA、B及び/又はC;D、E及び/又はF;及び組み合わせ例A−Dの開示から開示されているものと考えなければならない。この概念は、組成物のいずれかの成分、及び、開示した組成物の製造及び使用の方法における工程を包含するがこれらに限定されない本開示の全ての側面に適用される。即ち、実施することができる種々の追加的工程がある場合、これらの追加的工程の各々は開示した方法のいずれかの特定の実施形態又は実施形態の組み合わせとともに実施することができ、そして、各々のそのような組み合わせが具体的に意図され、そして開示されているものと考えなければならないと理解するものとする。
【0014】
更に、高値又は低値を含む数値の範囲が記載されている場合、特定の状況において特段の記載が無い限り、範囲はその終点、及び、範囲内の全ての整数及び分数を包含することを意図している。範囲を規定する場合、記載された特定の数値に本発明の範囲が限定されることを意図していない。更に、量、濃度又は他の値又はパラメーターが、範囲、1つ以上の好適な範囲、又は、より上の好適な値及びより下の好適な値のリストとして与えられる場合、これは、いずれかのより上の範囲限度又は好ましい値といずれかのより下の範囲限度又は好ましい値との任意の対から形成される、具体的に開示された全ての範囲と理解すべきであり、その際、そのような対が別々に開示されていてもかまわない。最後に、ある値又はある範囲の終点を記載する場合に「約」という用語を使用する場合、開示は記載されている特定の値又は終点を包含するものと理解しなければならない。
【0015】
本明細書においては、「約」という用語は、量、大きさ、配合、パラメーター及び他の数量や特性が厳密である必要はなく、許容誤差範囲、変換ファクター、切捨て、測定誤差等、及び当業者が知る他のファクターを反映している概数及び/又は必要に応じて高値又は低値であってよいことを意味する。一般的に、量、大きさ、配合、パラメーター又は他の数量又は特性は、それがそのように明示されているか否かに関わらず「約」又は「概ね」のものである。
【0016】
本明細書においては、「又は」という用語は包括的であり;更に特記すれば、「A又はB」という句は「A、B、又はAとBの両方」を意味する。排他的な「又は」は、本明細書においては、例えば「A又はBのいずれか」及び「A又はBの一方」のような用語により示す。
【0017】
不定冠詞「a」及び「an」(「1つの」、「ある」等)は、本発明の要素及び成分を記載するために使用する。これらの冠詞の使用はこれらの要素又は成分の1つ又は少なくとも1つが存在することを意味する。これらの冠詞は修飾された名詞が単数の名詞であることを表明するために従来使用されているが、本明細書においては、特定の例において特段の記載が無い限り、冠詞「a」及び「an」は複数も包含する。同様に、定冠詞「the」(「その」、「前記」、「上記の」等)は、本明細書においてはやはり、特定の例において特段の記載が無い限り、修飾された名詞が単数又は複数であってよいことを表明する。
【0018】
実施形態を記載する目的のためには、あるパラメーター又は別の変数の「関数」である変数に言及する場合、その変数が記載したパラメーター又は変数のみの関数であることを意図しないことに留意しなければならない。むしろ、記載したパラメーターの関数である変数に言及する場合、制限がないことを意図しており、これによりその変数は単一のパラメーター又は複数のパラメーターの関数であってよい。
【0019】
「好ましくは」、「一般的に」及び「典型的には」といった用語は、本明細書において使用する場合、請求項記載の本発明の範囲を制限するか、又は特定の特徴が請求項記載の本発明の構造又は機能にとって決定的、必須、更には重要であることを意味するために使用するわけではないことに留意しなければならない。むしろ、これらの用語は、本開示の実施形態の特定の側面を識別するか、又は、本開示の特定の実施形態において利用される又は利用されない代替又は追加の特徴を強調することを単に意図している。
【0020】
請求項記載の本発明を説明及び定義する目的のためには、「実質的に」及び「概ね」という用語は、本明細書においては、いずれかの定量的比較、値、計測、又は他の表示に起因する場合がある不確実性の固有の程度を表すために利用される。「実質的に」及び「概ね」という用語はまた、本明細書においては、問題となる要件の基本的機能を変化させることなく、定量的表示が明記した参照値から変動する程度を表すためにも利用される。
【0021】
1つ以上の請求項が「wherein」(「ここで」等)という用語を移行句として利用する場合がある。本発明を規定する目的のためには、この用語は構造の一連の特徴の詳説を導入するために使用される制限のない移行句として請求項内に導入されるものであり、より一般的に使用されている制限のない前文用語「comprising」(「含む」、「備える」)と同様に解釈すべきであるものとする。
【0022】
本発明のガラス組成物を製造するために使用する原料及び/又は機材の理由により、意図的に添加しない特定の不純物又は成分が最終ガラス組成物中に存在する場合がある。そのような物質は少量だけガラス組成物中に存在し、本明細書においては「トランプ物質」と称する。
【0023】
本明細書においては、ある化合物0重量%を有するガラス組成物は、その化合物、分子又は元素が組成物に意図的には添加されていないが、組成物がなおその化合物を典型的にはトランプ量又は痕跡量で含み得ることを意味するものとして定義される。同様に、「ナトリウム非含有」、「アルカリ非含有」、「カリウム非含有」等は、その化合物、分子又は元素が組成物に意図的には添加されていないが、組成物がなおそのナトリウム、アルカリ、又はカリウムを、概ねトランプ量又は痕跡量ではあるが含み得ることを意味するものとして定義される。
【0024】
タッチスクリーンは商業的及び個人的な使用の両方に置いてますます多用されてきており、この機能をスマートフォン、タブレット及び大型ディスプレイに付加させるため、多くの方策が存在している。そのような方策の1つは透明材料を通過して電磁放射を導波させる減衰内部全反射(FTIR)に基づいた光学タッチスクリーンである。ある物体の材料表面との接触による放射の減衰は、位置及び接触圧力等に関する情報を提供するために使用できる。タッチスクリーンシステムにおいてFTIRを利用するための方策の一例は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許出願第13/686,571号明細書、13/686,426号明細書及び米国特許仮出願第61/744,878号明細書及び61/640,605号明細書に記載されているLightTouch(登録商標)である。
【0025】
LightTouchの設計の一例においては、発光ダイオード(LED)及びフォトダイオードが透明材料シート、典型的にはGorilla Glassの周囲に沿って配置されている(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許出願第13/686,571号明細書参照)。図1に示す通り、LEDからの光はシート内部に発射され、全内部反射の条件に合致する光線がスクリーンを横切って伝播する。指又は他の適当な物体がシート表面に接触すると、導波モードの光が接触物体とカップリングするために伝播光線は減衰する。タッチ感知と位置及び/又は圧力への相関付けは、反対側及び隣接するシート端部のフォトダイオード中の光電流をモニタリングすることにより達成される(例えば参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許出願第13/686,571号明細書、13/686,426号明細書及び米国特許仮出願第61/640,605号明細書参照)。
【0026】
透過媒体中の光学的損失は主に、1)欠陥に起因する散乱、及び2)媒体中の化合物に起因する吸収が原因である。このことは更に、より大きな発射力の必要性、ノイズの増大及び/又は受容側でのシグナル低下をもたらし、これらは全て現実的な設計の観点から望ましくない。更に、光学的成分は典型的にはスクリーンの周囲に沿って配置されているため、光路長の差に起因する顕著な光学的損失はLEDとフォトダイオードの間のシグナル強度に大きな差をもたらし、フォトダイオードと関連の電子成分のダイナミックレンジに対する要求を増大させる。
【0027】
吸収は波長依存性の特性であり、ケイ酸塩ガラスでは典型的には多くのFTIRタッチシステムで使用されている近赤外線(NIR)領域において吸収が増大する。約800〜1000nmの波長は光を使用者には不可視とするため、そしてこの領域のために設計された安価なLEDやフォトダイオードが多く存在するため、典型的に使用されている。しかしながら、ここで実施形態とするガラスを用いたデバイスはFTIR用の電磁放射のいかなる波長を使用してもよい。一部の実施形態においては、電磁照射の波長は約350nm〜約25,000nmである。一部の実施形態においては、電磁照射は約350nm〜約850nmである。一部の実施形態においては、電磁照射は約750nm〜約2500nmである。一部の実施形態においては、電磁照射は約800nm〜約1000nmである。
【0028】
約800〜約1000nmの波長におけるケイ酸塩ガラスで典型的な上記吸収増大(図2参照)は主に一般的不純物である鉄の存在に起因する。ガラス中のFeはFe2+又はFe3+のいずれかとして存在する。Fe2+は約1000nmを中心に強力で広い吸収帯を有し、これは600nm近辺でテーリングが終了し、400nm未満にも強力な吸収を有する。Fe3+は主に400nm未満に吸収を示す。即ち、光学タッチスクリーンに関するIR吸収を最小限にするためには適切なレベルまでガラスの全体的鉄含有量を低下させるか、又は、鉄イオンの大部分が3価であるように酸化状態を制御することが望ましい。後者は通常の工業的環境では達成することが一般的により困難であるため、前者の方策が好ましい。この検討のために、Fe2+/Fe3+比は一定に保たれると仮定した。一部の実施形態においては、Fe2+/Fe3+の比は約0:100、約10:90、約20:80、約30:70、約40:60、約50:50、約60:40、約70:30、約80:20、約90:10、又は約100:0である。一部の実施形態においては、比はGorilla(登録商標)型ガラスにつき約90%Fe3+である。他の実施形態においては、比はGorilla型ガラスにつきFe3+で約0.4〜約0.55である。
【0029】
FTIR用途の場合、媒体中の光路長は極めて長く(数百ミリメートル)、そしてこのため、シートガラスの厚み(典型的には数ミリメートル以下)に渡って行う透過率測定では典型的には潜在的減衰の問題は十分解決されない。例えば、1mmの厚みのガラスシートにおいて、1m−1から3m−1までの吸収係数の顕著な増大は、わずか0.2%の透過率減少をもたらす。FTIRの状況をより正確にシミュレートするためには、多光路長の透過実験に基づいた吸収係数の計測を用いることができ、より正確な結果が得られ、フレネル反射を考慮する必要性がなくなる。
【0030】
ある材料の吸収係数αは、典型的には研磨された直方体上の多数の経路に関して吸光度を計測することにより特性化される。一部の実施形態においては、10mm×20mm×50mmの研磨ブロックをUV−Vis−NIR分光光度計で計測した。この形状構造においては、2つの界面における反射損失を除いて、計測された光は空気/ガラスの界面と更に衝突又は相互作用することなく試料内を伝播する。散乱による損失を無視できるものと仮定すれば、ガラスの基本的吸収、バルク材料特性の計測が可能となる。吸光度はBeer−Lambertの法則:
【0031】
【数1】
【0032】
により表され、式中、Iは初期強度であり、αは吸収係数であり、xは位置xからの距離である。即ち、多数の光路長に関する透過率計測を行えば、α、即ち上記10mm×20mm×50mm試料の計算が可能となる。
【0033】
しかしながら、多くの用途については、FTIRタッチスクリーンは導波管形状構造にあり、空気/ガラス界面で光が複数回衝突することを意味する。例えば、LightTouchは導波管形状構造に設定されている。従って、同様の態様で吸収損失を特性化することが、上記した直線光路法によるよりはむしろ現実的である。得られるデータは減衰係数の計測であり、計測される試料の幾何形状及び表面特性に起因する損失を考慮していることを意味する。明確化のために、この計測値を導波管減衰係数、αwgと称する。この手法はコリメート光及び研磨光学ブロックを使用した上記計測とは異なる結果をもたらすことが期待できる。実際、一部の実施形態においては、αwgは約2αであることが判った。
【0034】
本開示の1つの側面は、タッチスクリーン用途のための高光透過ガラスを含む。高光透過ガラスは減衰全内部反射(FTIR)方式の方法をタッチスクリーン用途のために使用可能とする。
【0035】
本開示の第1の側面は、少ない欠陥を含むタッチスクリーン用途のための高光透過ガラスを含む。欠陥は、気体及び固体の包有物、吸蔵物、付着物、気流跡、亀裂、ひび割れ、押出部、節、窪み、空隙、粒子、結晶、火脹れ、チップ、コード状物、破砕片、皺、種子状物、石状物、引っ掻き部分、汚染部分及び線条跡、及びこれらの組み合わせを包含するがこれらに限定されない。一部の実施形態においては、欠陥の数はcm当たり約0.00001〜約1000欠陥であり、ここで欠陥の大きさは欠陥の最長寸法の軸に沿って約500、400、300、200、100、50、25、10、1、0.5、0.25、0.1マイクロメートル未満である。一部の実施形態においては、欠陥の数はcm当たり約0.00001、0.00005、0.0001、0.0005、0.001、0.005、0.01、0.1、0.5、1、2、3、4、5、10、25、50又は100、500又は1000欠陥未満であり、ここで欠陥の大きさは欠陥の最長寸法の軸に沿って約500、400、300、200、100、50、25、10、1、0.5、0.25、0.1マイクロメートル未満である。欠陥が包有物、気泡又は気流跡を含む一部の実施形態においては、欠陥の数はcm当たり約0.00001〜約1000欠陥であり、欠陥の大きさは欠陥の最長寸法の軸に沿って約500、400、300、200、100、50、25、10、1、0.5、0.25、0.1マイクロメートル未満である。
【0036】
一部の実施形態においては、欠陥の減少は、FTIR用に使用される波長における電磁放射の減衰を起こす欠陥を対象としている。一部の実施形態においては、欠陥の減少は約750〜約2500nmの波長の光の減衰を起こす欠陥を対象としている。一部の実施形態においては、欠陥の大きさはFTIRに使用する光の波長より小さい。一部の実施形態においては、欠陥の大きさはFTIRに使用する光の波長と概ね等しい(一部の実施形態においては、概ね等しいとは平均の波長の±5、10、15、20又は25%を意味する)。一部の実施形態においては、欠陥の大きさはFTIRに使用する光の波長より大きい。一部の実施形態においては、欠陥により生じる散乱はRayleigh散乱、Mie散乱又はこれらの組み合わせを含む。一部の実施形態においては、Rayleigh散乱、Mie散乱のいずれか、又はRayleigh散乱とMie散乱の両方を制限するために粒径を制御する。
【0037】
別の側面は、FTIRで使用する波長において吸収する成分の濃度又は量の減少を含む、タッチスクリーン用途のための高透過率ガラスを含む。一部の実施形態においては、濃度を低下させる成分は、鉄、マグネシウム又はアルミニウムを含む化合物を含む。例えば、化合物は、酸化鉄Fe、酸化マグネシウムMgO、又は酸化アルミニウムAlを包含するがこれらに限定されない。種々の金属酸化物の赤外スペクトルが、参照によりその全体が本明細書に組み込まれるD.W.Sheibley and M.H.Fowler、NASA Technical Note D−3750、Lewis Research Center、1966年12月に記載されている。
【0038】
一部の実施形態は低濃度の鉄を含むタッチスクリーン用途のための高透過率ガラスを含む。一部の実施形態においては、典型的にはFeとして計測される鉄含有量の低下は、一部の実施形態に対する影響の順にSiO(砂)、Al及びMgOを包含するより純度の高いバッチ材料を置換することにより達成できる。例えば例に示すガラス組成物において、砂は60重量%超を構成する。
【0039】
ガラスの形成に関与する酸化物であるシリカSiOはガラスのネットワーク構造を安定化させる機能を有する。一部の実施形態においては、ガラス組成物は0〜約70重量%のSiOを含む。一部の実施形態においては、ガラス組成物は0〜約45重量%のSiOを含む。一部の実施形態においては、ガラス組成物は約35〜約45重量%のSiOを含むことができる。一部の実施形態においては、ガラス組成物は約40〜約70重量%のSiOを含むことができる。一部の実施形態においては、ガラス組成物は約50〜約70重量%のSiOを含むことができる。一部の実施形態においては、ガラス組成物は約55〜約65重量%のSiOを含むことができる。一部の実施形態においては、ガラス組成物は約40〜約70重量%、約40〜約65重量%、約40〜約60重量%、約40〜約55重量%、約40〜50重量%、約40〜45重量%、50〜約70重量%、約50〜約65重量%、約50〜約60重量%、約50〜約55重量%、約55〜約70重量%、約60〜約70重量%、約65〜約70重量%、約55〜約65重量%、又は約55〜約60重量%のSiOを含むことができる。一部の実施形態においては、ガラス組成物は0〜約45重量%、0〜約40重量%、0〜約35重量%、0〜約30重量%、0〜約25重量%、0〜約20重量%、0〜約15重量%、0〜約10重量%、0〜約5重量%、約5〜約45重量%、約5〜約40重量%、約5〜約35重量%、約5〜約30重量%、約5〜約25重量%、約5〜約20重量%、約5〜約15重量%、約5〜約10重量%、約10〜約45重量%、約10〜約40重量%、約10〜約35重量%、約10〜約25重量%、約10〜約20重量%、約10〜約15重量%、約15〜約45重量%、約15〜約40重量%、約15〜約35重量%、約15〜約30重量%、約15〜約25重量%、約15〜約20重量%、約20〜約45重量%、約20〜約40重量%、約20〜約35重量%、約20〜約30重量%、約20〜約25重量%、約25〜約45重量%、約25〜約40重量%、約25〜約35重量%、約25〜約30重量%、約30〜約45重量%、約30〜約40重量%、約30〜約35重量%、約35〜約45重量%、約35〜約40重量%、又は約40〜約45重量%のSiOを含むことができる。一部の実施形態においては、ガラス組成物は約0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69又は70重量%のSiOを含むことができる。
【0040】
シリカ中の鉄含有量は砂の入手元の関数である場合があり、場所によりシリカ中の鉄の量の多少が変動する。一部の実施形態においては、高透過率ガラスを形成するために使用されるシリカは0ppm〜約200ppmのFeを含む。一部の実施形態においては、高透過率ガラスは約0.1、0.5、1、2、3、4、5、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、120、140、160、180、200又は250ppmのFeを含むシリカを含む。
【0041】
Alはa)可能な最低の液相温度を維持すること、b)膨張係数を低下させること、又はc)歪み点を増強することを可能とする。一部の実施形態においては、ガラス組成物は0〜約35重量%のAlを含むことができる。一部の実施形態においては、ガラス組成物は0〜約30重量%のAlを含むことができる。一部の実施形態においては、ガラス組成物は約8〜約20重量%のAlを含むことができる。一部の実施形態においては、ガラス組成物は約5〜約15重量%のAlを含むことができる。一部の実施形態においては、ガラス組成物は0〜約35重量%、0〜約30重量%、0〜25重量%、0〜20重量%、0〜約15重量%、0〜約10重量%、0〜約5重量%、約5〜約35重量%、約5〜約30重量%、約5〜約25重量%、約5〜約20重量%、約5〜約15重量%、約5〜約10重量%、約10〜約35重量%、約10〜約25重量%、約10〜約20重量%、約10〜約15重量%、約15〜約35重量%、約15〜約30重量%、約15〜約25重量%、約15〜約20重量%、約20〜約35重量%、約20〜約30重量%、約20〜約25重量%、約25〜約35重量%、約25〜約30重量%、又は約30〜約35重量%のAlを含むことができる。一部の実施形態においては、ガラス組成物は約8〜約20重量%、約8〜約18重量%、約8〜約15重量%、約8〜約12重量%、約8〜約10重量%、約10〜約20重量%、約10〜約18重量%、約10〜約15重量%、約10〜約12重量%、12〜約20重量%、約12〜約18重量%、約12〜約15重量%、約15〜約20重量%、約15〜約18重量%、又は約18〜約20重量%のAlを含むことができる。一部の実施形態においては、ガラス組成物は約0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34又は35重量%のAlを含むことができる。
【0042】
アルミナは以下に示す実施例では10重量%超を構成する。一部の実施形態においては、高透過率ガラスは0〜約400ppmのFeを含むアルミナを含む。一部の実施形態においては、高透過率ガラスは約0.1、0.5、1、2、3、4、5、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、120、140、160、180、200、250、300、350又は400ppmのFeを含むアルミナを含む。
【0043】
MgOはより高い温度においてガラスの粘度を低下させ、より低い温度においてガラスの粘度を増大させる場合に有効であり、溶融特性の向上及び歪み点の増強のために使用してよい。しかしながら、過剰な量のMgOを使用するとガラスの相分離及び失透を起こしやすくなる。一部の実施形態においては、MgOは融点を低下させ、歪み点を増大させ、又は、他のアルカリ土類金属化合物(例えばCaO、SrO及びBaO)とともに使用する場合はCTEを調節するためにガラスに添加できる。一部の実施形態においては、ガラスは約0〜約12重量%のMgOを含むことができる。一部の実施形態においては、ガラス組成物は0重量%より多く約5重量%までのMgOを含むことができる。一部の実施形態においては、ガラス組成物は0〜約12重量%、0〜約10重量%、0〜約8重量%、0〜約5重量%、0〜約4重量%、0〜約3重量%、0〜約2重量%、0〜約1重量%、約1〜約12重量%、約1〜約10重量%、約1〜約8重量%、約1〜約5重量%、約1〜約4重量%、約1〜約3重量%、約1〜約2重量%、約2〜約12重量%、約2〜約10重量%、約2〜約8重量%、約2〜約5重量%、約2〜約4重量%、約2〜約3重量%、約3〜約12重量%、約3〜約10重量%、約3〜約8重量%、約3〜約5重量%、約3〜約4重量%、約4〜約12重量%、約4〜約10重量%、約4〜約8重量%、約4〜約5重量%、約5〜約12重量%、約4〜約10重量%、約5〜約8重量%、約8〜約12重量%、約8〜約10重量%、約10〜約12重量%のMgOを含むことができる。一部の実施形態においては、ガラス組成物は約0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11又は12重量%のMgOを含むことができる。
【0044】
例におけるMgOの含有量は4重量%程度であるが、他のバッチ材料よりも顕著に高い鉄不純物レベルを有する場合があるため、全体的な鉄のレベルに対しては、なお多大な寄与度を有する場合がある。市販のMgOは製造元及び地域に応じて約400ppm〜約1500ppmのFe含有量を呈する場合がある。
【0045】
追加的な成分をガラス組成物に配合することにより追加的な利点を得ることができる。例えば、追加的な成分を清澄剤(例えばガラスを製造するために使用する溶融バッチ材料からの気体状の包有物の除去を促進するため)として、及び/又は他の目的のために添加できる。一部の実施形態においては、ガラスは紫外線吸収剤として有用な化合物1つ以上を含んでよい。一部の実施形態においては、ガラスは3重量%以下のTiO、MnO、ZnO、Nb、MoO、Ta、WO、ZrO、Y、La、HfO、CdO、SnO、Fe、CeO、As、Sb、Cl、Br又はこれらの組み合わせを含むことができる。一部の実施形態においては、ガラスは0〜約3重量%、0〜約2重量%、0〜約1重量%、0〜0.5重量%、0〜0.1重量%、0〜0.05重量%、又は、0〜0.01重量%のTiO、MnO、ZnO、Nb、MoO、Ta、WO、ZrO、Y、La、HfO、CdO、SnO、Fe、CeO、As、Sb、Cl、Br又はこれらの組み合わせを含むことができる。一部の実施形態においては、ガラスは0〜約3重量%、0〜約2重量%、0〜約1重量%、0〜約0.5重量%、0〜約0.1重量%、0〜約0.05重量%、又は0〜約0.01重量%のTiO、CeO又はFe又はこれらの組み合わせを含むことができる。
【0046】
一部の実施形態によるガラス組成物(例えば上記したガラスのいずれか)は、例えばガラスが清澄剤として、又はFe2+/Fe3+比を変動するために、Cl及び/又はBrを含む場合のように、F、Cl又はBrを包含できる。
【0047】
高透過率ガラスは、一般的に薄い平面状シートに成形することができるガラス組成物であって、散乱又は吸収に起因する大きな損失を伴うことなくその本体内部の光の透過を支援する任意の適当なガラス組成物から作成してよい。ある実施形態においては、高透過率ガラスはソーダライム型ガラスのような化学的に強化されたガラスであってよい。高透過率ガラスのためのガラスの例は、イオン交換を通して硬化されたアルカリアルミノシリケートガラスである。これらの種類のガラスはNaO(ソーダ)、CaO(ライム)及びSiO(シリカ)を含むことができるが、MgO、LiO、KO、ZnO及びZrOのような酸化物も包含できる。イオン交換を通して硬化された後、これらの種類のガラスは、タッチスクリーン用途並びに他の用途(例えばカバーガラス)のために望ましい特定の特性を呈する。高透過率ガラスとしての使用に適するソーダライム型ガラスの配合又は製造又はそれら両方に関するより詳細な情報は、全て参照によって本明細書に組み込まれる2007年7月31日出願の米国特許出願第11/888,213号明細書;2009年8月7日出願の米国特許出願第12/537,393号明細書;2009年8月21日出願の米国特許出願第12/545,475号明細書;及び2009年2月25日出願の米国特許出願第12/392,577号明細書の1つ以上に記載されている。1つの可能な実施される高透過率ガラスはCorning Inc.(Corning、NY)の超低Fe Gorilla Glassである。ガラス組成物、例えば低Fe Gorilla Glass又は本開示の高透過率要件に合致する他の低Feイオン交換ガラスは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第7,666,511号明細書、米国特許公開第2009/0202808号明細書、2009/0215607号明細書、2012/0159991号明細書、2011/0045961号明細書、2011/0294647号明細書及び米国特許出願第13/533,298号明細書、13/408、169号明細書、13/678,013号明細書、13/417,835号明細書及び13/677,805号明細書に記載されている。
【0048】
高透過率ガラスは記載した実施形態のために合理的に有用な任意の厚みであることができる。しかしながら、構造的剛性をなお維持しながら可能な限り軽量なデバイスを作成することが理想である場合が多い。更に、より薄いガラスを使用すれば透過モードにおける光の損失が少ない(即ちガラスシートに直交的に伝播する光)。ガラスシート実施形態は約4mm以下、約3mm以下、約2.9mm以下、約2.8mm以下、約2.7mm以下、約2.6mm以下、約2.5mm以下、約2.4mm以下、約2.3mm以下、約2.2mm以下、約2.1mm以下、約2.0mm以下、約1.9mm以下、約1.8mm以下、約1.7mm以下、約1.6mm以下、約1.5mm以下、約1.4mm以下、約1.3mm以下、約1.2mm以下、約1.1mm以下、約1.0mm以下、0.9mm以下、0.8mm以下、0.7mm以下、0.6mm以下、0.5mm以下、0.4mm以下、0.3mm以下、0.2mm以下、0.1mm以下、約900マイクロメートル以下、約800マイクロメートル以下、約700マイクロメートル以下、約600マイクロメートル以下、約500マイクロメートル以下、約400マイクロメートル以下、約300マイクロメートル以下、約200マイクロメートル以下、約100マイクロメートル以下、約90マイクロメートル以下、約80マイクロメートル以下、約70マイクロメートル以下、約60マイクロメートル以下、又は約50マイクロメートル以下の厚みを有してよい。
【0049】
一部の実施形態による高透過率ガラスはフロート、フュージョン又はローリングのような任意の適切なガラス作成プロセスを介して作成できる。一部の実施形態においては、高透過性ガラスはダウンドロー可能であり、即ち、ガラス加工技術の当業者が知るフュージョンドロー及びスロットドロー法のような、ただしこれらに限定されないダウンドロー法を用いてガラスをシートに形成できる。このようなダウンドロープロセスはフラットガラス、例えばディスプレイガラス又はイオン交換ガラスの大規模製造において使用される。
【0050】
フュージョンドロープロセスは溶融ガラス原料を受容するためのチャネルを有するアイソパイプを使用する。チャネルは、チャネルの両側に、チャネルの長さに沿って上が開口した堰を有する。チャネルが溶融材料で充填されると、溶融ガラスは堰を超えて溢れる。重力により、溶融ガラスはアイソパイプの外側表面を流下する。これらの外側表面は下方内側に伸長することによりドロータンク下のエッジにおいて会合している。2つの流動ガラス表面はこのエッジで会合することにより融合し、単一の流動シートを形成する。フュージョンドロー法は、チャネル上を流動する2つのガラスフィルムが融合するため、得られるガラスシートのいずれの外側表面も器具の如何なる部分にも接触しないという利点をもたらす。即ち、そのような接触により表面特性が影響されることがない。
【0051】
スロットドロー法はフュージョンドロー法とは異なる。ここでは溶融原料ガラスをコンジットに供給する。コンジットの底部は、別の方向よりもある1つの方向において幅広となっている開口スロットを有し、スロットの長さ方向に伸長するノズルを有する。溶融ガラスはスロット/ノズルを通過して流動し、そこを通過する連続シートとして下方にドローされ、アニーリング領域に至る。フュージョンドロープロセスと比較すれば、スロットドロープロセスでは、フュージョンダウンドロープロセスの場合のように2つのシートが融合するのではなくスロットを通過して単一のシートがドローされるため、より薄いシートが得られる。
【0052】
一部の実施形態はFTIRタッチスクリーン用途における使用を可能にする波長において十分低い吸収係数を有する高光透過ガラスを含む。一部の実施形態においては、吸収係数は900nmにおいて約5.0m−1、4.5m−1、4.0m−1、3.5m−1、3.0m−1、2.5m−1、2.0m−1、1.5m−1、1.0m−1、又は0.5m−1未満である。一部の実施形態においては、吸収係数は約400〜約800nmにおいて約5.0m−1、4.5m−1、4.0m−1、3.5m−1、3.0m−1、2.5m−1、2.0m−1、1.5m−1、1.0m−1、又は0.5m−1未満である。一部の実施形態においては、吸収係数は主としてガラスの鉄含有量の関数である。一部の実施形態においては、高透過率ガラスは200、180、160、140、120、100、80、70、60、50、40、30、20又は10ppm未満のFeを含み;そしてここでガラスの吸収係数は900nmにおいて約5.0m−1、4.5m−1、4.0m−1、3.5m−1、3.0m−1、2.5m−1、2.0m−1、1.5m−1、1.0m−1、又は0.5m−1未満であり;そしてガラスの吸収係数は約400〜約800nmにおいて5.0m−1、4.5m−1、4.0m−1、3.5m−1、3.0m−1、2.5m−1、2.0m−1、1.5m−1、1.0m−1、又は0.5m−1未満である。一部の実施形態においては、ガラスは100ppm未満のFeを含み、ここでガラスの吸収係数は900nmにおいて2.0m−1、1.5m−1、1.0m−1、又は0.5m−1未満であり、ガラスの吸収係数は約400〜約800nmにおいて約2.0m−1、1.5m−1、1.0m−1、又は0.5m−1未満である。
【0053】
ダウンドロープロセスに適合するために、本明細書に記載した高透過率ガラス組成物は、高い液相粘度を有し得る。一部の実施形態においては、ガラス組成物は約10,000ポアズ(1,000Pa・s)以上、約20,000ポアズ(2,000Pa・s)以上、約30,000ポアズ(3,000Pa・s)以上、約40,000ポアズ(4,000Pa・s)以上、約50,000ポアズ(5,000Pa・s)以上、約60,000ポアズ(6,000Pa・s)以上、約70,000ポアズ(7,000Pa・s)以上、約80,000ポアズ(8,000Pa・s)以上、約90,000ポアズ(9,000Pa・s)以上、約100,000ポアズ(10,000Pa・s)以上、約110,000ポアズ(11,000Pa・s)以上、約1200,000ポアズ(120,000Pa・s)以上、約130,000ポアズ(13,000Pa・s)以上、約140,000ポアズ(14,000Pa・s)以上、約150,000ポアズ(15,000Pa・s)以上、約160,000ポアズ(16,000Pa・s)以上、約170,000ポアズ(17,000Pa・s)以上、約180,000ポアズ(18,000Pa・s)以上、約190,000ポアズ(19,000Pa・s)以上、約200,000ポアズ(20,000Pa・s)以上、約225,000ポアズ(22,500Pa・s)以上、約250,000ポアズ(25,000Pa・s)以上、約275,000ポアズ(27,500Pa・s)以上、約300,000ポアズ(30,000Pa・s)以上、約325,000ポアズ(32,500Pa・s)以上、約350,000ポアズ(35,000ポアズPa・s)以上、約375,000ポアズ(37,500Pa・s)以上、約400,000ポアズ(40,000Pa・s)以上、約425,000ポアズ(42,500Pa・s)以上、約450,000ポアズ(45,000Pa・s)以上、約475,000ポアズ(47,500Pa・s)以上、又は約500,000ポアズ(50,000Pa・s)以上の液相粘度を有することができる。
【0054】
一部の実施形態においては、ガラス組成物は約500℃以上、約510℃以上、約520℃以上、約530℃以上、約540℃以上、約550℃以上、約560℃以上、約570℃以上、約580℃以上、約590℃以上、約600℃以上、約610℃以上、約620℃以上、約630℃以上、約640℃以上、約650℃以上、約660℃以上、約670℃以上、約680℃以上、又は約690℃以上の歪み点を有することができる。
【0055】
一部の実施形態においては、高透過率ガラスは約25×10−7以上、約26×10−7以上、約27×10−7以上、約28×10−7以上、約29×10−7以上、約30×10−7以上、約31×10−7以上、約32×10−7以上、約33×10−7以上、約34×10−7以上、約35×10−7以上、約36×10−7以上、約37×10−7以上、約38×10−7以上、約39×10−7以上、約40×10−7以上、約41×10−7以上、約42×10−7以上、約43×10−7以上、約44×10−7以上、約45×10−7以上、約46×10−7以上、約47×10−7以上、約48×10−7以上、約49×10−7以上、約50×10−7以上、約51×10−7以上、約52×10−7以上、約53×10−7以上、約54×10−7以上、約55×10−7以上、約56×10−7以上、約57×10−7以上、約58×10−7以上、約59×10−7以上、約60×10−7以上、約61×10−7以上、約62×10−7以上、約63×10−7以上、約64×10−7以上、約65×10−7以上、約66×10−7以上、約67×10−7以上、約68×10−7以上、約69×10−7以上、約70×10−7以上、約71×10−7以上、約72×10−7以上、約73×10−7以上、約74×10−7以上、約75×10−7以上、約76×10−7以上、約77×10−7以上、約78×10−7以上、約79×10−7以上、約80×10−7以上、約81×10−7以上、約82×10−7以上、約83×10−7以上、約84×10−7以上、約85×10−7以上、約86×10−7以上、約87×10−7以上、約88×10−7以上、約89×10−7以上、又は約90×10−7以上の熱膨張係数を有することができる。
【0056】
一部の実施形態においては、高透過率ガラスは、歪み点≧540℃、熱膨張係数6.5〜10.5ppm/℃を有し、また50,000ポアズ(5,000Pa・s)超の液相粘度を有することを特徴とするものであってもよい。このためこれらはフュージョンプロセスによるシート形成に理想的に適合している。
【0057】
或いは、高透過率ガラスは当該分野で知られたフロート又はローリングプロセスにより形成してもよい。
【0058】
β−OHは、本明細書においては、赤外スペクトル分析により計測されるガラスのヒドロキシル含有量の尺度であり、ガラスに関する基礎ヒドロキシル吸収を用いて特定される(参照によってその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第6,128,924号明細書)。β−OHはガラス中の水の含有量を計測する1つの方法である。水含有量は、ガラス組成物の特性並びにデバイス性能に影響する可能性に関与する場合がある。一部の実施形態においては、高透過率ガラスは0.1〜約1、0.1〜0.9、0.1〜0.8、0.1〜0.7、0.1〜0.6、0.1〜0.5、0.1〜0.4、0.1〜0.3、0.1〜0.2、0.2〜0.10、0.2〜0.9、0.2〜0.8、0.2〜0.7、0.2〜0.6、0.2〜0.5、0.2〜0.4、0.2〜0.3、0.3〜約1、0.3〜0.9、0.3〜0.8、0.3〜0.7、0.3〜0.6、0.3〜0.5、0.3〜0.4、0.4〜約1、0.4〜0.9、0.4〜0.8、0.4〜0.7、0.4〜0.6、0.4〜0.5、0.5〜約1、0.5〜0.9、0.5〜0.5、0.5〜0.7、0.5〜0.6、0.6〜約1、0.6〜0.9、0.6〜0.8、0.6〜0.7、0.7〜約1、0.7〜0.9、0.7〜0.8、0.8〜約1、0.8〜0.9又は0.9〜約1のβ−OH値を有する。一部の実施形態においては、β−OH値は0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9又は1である。
【0059】
本明細書に記載した高透過率ガラスの別の側面において、ガラスシートが研磨されていない場合に、ガラスシートは20オングストローム以下、好ましくは10オングストローム以下の平均表面粗さ(R)を有する。本明細書に記載した高透過率ガラスの別の側面において、ガラス基板は3mm未満の厚みを有し、ガラス基板は0.5マイクロメートル/cm未満の反り変形Wを有し、これは式W=D/Lで表され、式中Dはマイクロメートル単位におけるガラス基板の最大反りであり、Lはcm単位におけるガラス基板の対角線の長さである。
【0060】
タッチ感応性ディスプレイのための高透過率ガラスは、単独で、又は従来の静電容量方式タッチディスプレイと組み合わせて使用してよい。タッチ感応性ディスプレイは端部に沿って透明シートの表面上に位置する場合があるベゼルを包含してよい。タッチスクリーンシステムはディスプレイ上に作動可能に配置することができ、一例においてはタッチスクリーンシステムを構成する種々の成分を支持するシャシーを包含する。
【0061】
タッチ感応性デバイス内に組み込んでよい別の成分は、バックライト、薄膜トランジスタ(TFT)ガラス層、液晶層、フレーム、回路網、カラーフィルターガラス層、集積回路及び上部偏光層を包含するがこれらに限定されない。
【0062】
本開示の別の側面はタッチスクリーン用途における使用のためのガラスの透過率を特定する方法を含む。高透過率の製品を製造するためには、その透過率が欠陥の減少により得られるものであるか、又は光吸収化合物の減少により得られるものであるかに関わらず、品質管理プロトコルの確立が重要である。一部の実施形態においては、使用波長が約750〜2500nmの範囲にあるFTIRにおいて使用される予定のガラスに対してモニタリングを行う。そのような実施形態において、減衰をモニタリングする1つの方法はFeの濃度を計測することである。一部の実施形態においては、所望の特性は所定の波長に関する光吸収である場合が多いが、これはFeの総濃度よりも計測が困難である。上記において考察した通り、吸収係数は存在する鉄の量と酸化還元状態の両方に依存している。後者が一定であると仮定すれば、全体的鉄含有量に関する定期的試験で十分であるはずである。一部の実施形態においては、X線蛍光分析(XRF)を用いてフュージョンドロー機から得られたガラス試料を計測することができる。この計測はほぼ10ppmの精度までの結果を与えることができる。より高い分解能が必要であれば誘導結合プラズマ質量スペクトル分析(ICP−MS)のような方策を使用できる。新しい組成のガラスが導入されれば、全体的鉄含有量及び酸化状態に対する作用の慎重な分析が必要になる。
【実施例】
【0063】
研究用溶融機並びにクルーシブル溶融において製造された試料について吸収係数(α)の計測を実施した。試料は「典型的な」Gorilla組成物、又はより清浄なバッチ材料を基本的に使用している低Feの変種のいずれかとした。バッチの詳細仕様を表1に示す。
【0064】
【表1】
【0065】
2つの異なる方法、即ち1つは250〜2500nmの波長に対する材料の固有光吸収(α)に起因する減衰を計測するための方法、1つは850nmの赤外光に対する導波管形状構造(αwg)内の総光減衰を計測するための方法を用いた。
【0066】
吸収係数の計測
吸収係数の計測は、「典型的な」Gorilla Glass、及びGorilla Glassの低Feの変種を包含する溶融試料について実施した。提出された試料は全側面が研磨された10mm×20mm×50mmの直方体よりなるものとした。計測の前に、HPLC等級試薬アルコールで湿潤させたTexwipe(登録商標)TX−609ワイバーを用いて試料の表面を清浄化した。これらの試料を60mm直径の積分球検出器を有する日立分光光度計を用いて計測した。計測は3つの試料の光路長の各々に対して250〜2500nmの波長領域で行うことにより、各ガラスの吸収係数の計算を行った。
【0067】
以下の図6はGorilla Glassの2つの「典型的な」変種 (「A」及び「B」と記載)に関する典型的な結果を示す。結果によれば、これらの試料中のFe2+の存在に起因する約1000nmにおける広い吸収帯が、明らかに観察される。図7はより高純度のバッチ材料の使用によりFe含有量が制御された多くの試料について得られた吸収係数を示す。図に示されている通り、これらの変種の各々について後にIR吸収の低下が観察されており、試料Gが最も大きい減少を示し、850nmにおける吸収係数が94%低下した。しかしながらこのバッチは、試料A〜Fで使用されている商業用等級の砂と比較して、光学製品等級の砂であるIOTA−6のような原材料からなるものである。
【0068】
導波管減衰係数の計測
αwgの計測を図4に記載する通り850nmで実施した。赤外LEDを用いて光を透明材料シート内に発射し、LEDから幾つかの異なる距離にある直線に沿った一連の点においてフォトダイオードを用いて光の強度を計測する。図5は典型的な計測機構を示す。計測の前に、シートの端部、及び周辺近傍の表面部分を、黒色絶縁テープで被覆する。このテープの目的は端部からの光の反射を最小限にするためである。計測の手法は迷光に敏感であるため、これを排除するための対策を講じ、例えば前述の黒色テープに加えて十分な表面の清浄化を行った。計測すべきシートの表面にエポキシ又はUV硬化型の光学接着剤のいずれかを用いて、850nmのLEDを接着させる(図5は異なる複数のLEDを示しているが、この例では多数の波長を計測したためである)。この形状構造において、LEDの垂直軸から41.8°より大きい角度でLEDから発射された光がシートによりキャプチャされる。LEDは100mAで定格化されたThorlabsLDC200レーザーダイオード電流コントローラーを用いて駆動した。Agilent81150A 任意波形発生器を用いて1kHz矩形波でLDC200をトリガーする。矩形の7.5mmの放射感受性領域及び一体型の昼光遮蔽フィルターを有するVishay半導体TEMD5110X01 シリコンフォトダイオードを用いて、異なる範囲のスラブにおける光強度を計測する。UV硬化型の光学接着剤を用いてフォトダイオードを一時的にシート表面に接着する。各計測の後、フォトダイオードを剃刀で取り外し、図に示す通りLEDからより遠い位置まで移動する。吸収係数の計算はx(範囲)をln(x(I(x)))に対してプロットすることにより行い、式中I(x)は各範囲に対する光電流計測値である。得られる軌跡は直線であり、その傾きがαwgである。
【0069】
典型的な試料の計測は、厚み1.1mmのGorilla及び厚み0.7mmの低FeGorillaに関する850nmにおける吸光度データを示す、図8に示す通りである。表2はこの試験におけるすべての計測の結果をまとめたものである。
【0070】
【表2】
【0071】
表2の厚み0.7mmの低FeGorillaのFeレベルは80ppmと測定された(図3も参照)。比較のためEagleXG(登録商標)、「低Fe」ソーダライム(PPG Starphire(登録商標))、Schott Borofloat(登録商標)33、アクリル(McMaster−Carr)及びポリカーボネート(Bayer)を包含する数種の他の材料についてもαwgを計測した。比較すると、ICP−MSで計測した場合に最低Fe含有試料である試料Gは26ppmの鉄を含有しており、これは13ppmのFe濃度に相当する(総Fe含有量を[Fe]として報告することは標準的な内部慣行である)。より清浄なバッチ材料のほかに、この特定の溶融物はまた、清澄剤としてNaClを添加していた。
【0072】
低Fe溶融物の結果はGorillaにおけるIR吸収の最低3倍低下(「典型的な」レベルに対して)が得られることを示している。更に、試料Gは鉄含有量及びαを極めて低いレベルとすることは可能であるが、原料費の上昇を伴うことがわかった。追加の計測によれば、PPGのStarphire(登録商標)のような材料は、実際にはFTIR用途における使用には高すぎるIR吸収を示すことがわかった。
【0073】
特定の側面及び特徴を参照しながら本明細書において実施形態を記載したが、これらの実施形態は所望の原理及び用途の単なる例示に過ぎないと理解すべきである。従って、多数の変更が例示実施形態に対して可能であり、他様式も添付の請求項の精神及び範囲を逸脱することなく考えられると理解すべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
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