(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記動作制御部は、前記判定部により前記トナー収納容器が前記過負荷状態であると判定された場合に、前記駆動部により前記攪拌部材を繰り返し正逆回転させるリトライ動作を実行し、前記リトライ動作の実行後に前記判定部により前記トナー収納容器が前記正常状態であると判定された場合に、前記トナー供給動作とともに前記トナー排出動作を実行する、
請求項1又は請求項2に記載の画像形成装置。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。なお、説明の便宜上、画像形成装置10が使用可能に設置された状態(
図1に示される状態)で鉛直方向を上下方向と定義し、
図1に示される面を画像形成装置10の正面として前後方向を定義し、画像形成装置10の正面を基準にして左右方向を定義する。
【0011】
[画像形成装置10の構成]
まず、本発明の実施形態に係る画像形成装置10の構成について説明する。
図1に示されるように、画像形成装置10は、画像読取部1、画像形成部3、給紙部4、制御部5等を備える。なお、画像形成装置10は、本発明の画像形成装置の一例に過ぎず、本発明の画像形成装置は、プリンター、FAX装置、複写機、或いはこれらの機能を備えた複合機であってもよい。
【0012】
画像読取部1は、ADF(Automatic Document Feeder)2を備える。画像読取部1は、ADF2或いはコンタクトガラス11にセットされた原稿Pの画像を読み取って画像データを取得する。画像読取部1は、例えば、CCD(Charge Coupled Device)やCIS(Contact Image Sensor)などの撮像素子、光学レンズ、光源等を備える。
【0013】
給紙部4は、画像形成部3において画像が形成される用紙S(本発明の「被転写体」の一例)を給送する。給紙部4には給紙カセットが設けられており、給紙部4は、この給紙カセットに収容された複数の用紙Sを一枚ずつ取り出して画像形成部3に給送する。
【0014】
画像形成部3は、画像読取部1で読み取られた画像データ、又は外部のパーソナルコンピューター等の情報処理装置から入力された画像データに基づいて電子写真方式による画像形成処理(印刷処理)を実行する。画像形成部3は、感光体ドラム31、帯電器32、LSU(Laser Scanner Unit)33、現像器34、転写ローラー35(本発明の「転写部」の一例)、クリーニングブレード30(本発明の「清掃部材」の一例)、除電器36、定着ローラー37、加圧ローラー38、及びトナーコンテナ39(本発明の「トナー収納容器」の一例)等を備える。
【0015】
画像形成部3では、画像形成動作時において、給紙部4から給送された用紙Sに以下の手順で画像が形成される。まず、帯電器32によって感光体ドラム31が所定の電位(以下、「背景部電位」と称する)に一様に帯電される。次に、LSU33によって感光体ドラム31の表面に画像データに基づく光が照射される。その結果、光が照射された部分(以下、「画像部」と称する)の電位が前記背景部電位から所定の電位(以下、「画像部電位」と称する)に変化し、感光体ドラム31の表面に静電潜像が形成される。そして、感光体ドラム31上の静電潜像は、モーター(不図示)により駆動される現像器34によってトナー像として現像(可視像化)される。具体的には、感光体ドラム31の前記画像部にトナーが付着して、前記トナー像が形成される。続いて、感光体ドラム31に形成されたトナー像は、転写バイアス回路(不図示)により転写バイアスが印加された転写ローラー35によって、用紙Sに転写される。その後、用紙Sに転写されたトナー像は、その用紙Sが定着ローラー37及び加圧ローラー38の間を通過する際に、定着ローラー37で加熱されて用紙Sに溶融定着する。用紙Sに転写されずに感光体ドラム31の外周面上に残存したトナーは、クリーニングブレード30によって除去される。感光体ドラム31の電位は除電器36で除電される。このように画像が形成された用紙Sは、その後、排紙トレイ40に排出される。なお、トナーコンテナ39にはトナーが収容されており、現像によって現像器34の内部のトナーが減少すると、トナーコンテナ39からトナーが供給される。
【0016】
制御部5は、画像形成装置10を統括的に制御するものであり、例えば、CPU、ROM、RAM等を有する。
【0017】
[トナーコンテナ39及びコンテナ駆動ユニット60の構成]
次に、
図2〜
図6を参照して、トナーコンテナ39及びコンテナ駆動ユニット60(本発明の「駆動部」の一例)の構成について説明する。
【0018】
図2に示されるように、トナーコンテナ39は、現像器34の上方に設けられている。トナーコンテナ39の後端にはコンテナ駆動ユニット60が接続される。トナーコンテナ39は、画像形成装置10の本体部に着脱可能に装着されている。
【0019】
図3に示されるように、トナーコンテナ39の下面の前部には排出口70が設けられている。トナーコンテナ39に収納されているトナーは、排出口70及びパイプ61を通じて現像器34に供給される。排出口70は、シャッター(不図示)によって開閉可能となっている。
【0020】
排出口70の上方には搬送スクリュー71が回転可能に設けられている。搬送スクリュー71は、トナーコンテナ39の前後両側壁に軸支された回転軸と、前記回転軸上に設けられたスパイラルフィンとを備えている。搬送スクリュー71の前端部には搬送ギア72(
図4参照)が設けられている。
【0021】
搬送スクリュー71の上方には、トナーコンテナ39内のトナーを攪拌するための第1攪拌パドル73(本発明の「攪拌部材」の一例)及び第2攪拌パドル74(本発明の「攪拌部材」の一例)が回転可能に設けられている。第1攪拌パドル73及び第2攪拌パドル74は、支持枠と、当該支持枠に取り付けられた複数の攪拌部材とを備えている。第1攪拌パドル73の後端部には第1攪拌ギア75が設けられており、第2攪拌パドル74の後端部には第2攪拌ギア76が設けられている。
【0022】
トナーコンテナ39には、第1アイドルギア77及び第2アイドルギア78が設けられている。第1アイドルギア77は、搬送ギア72、第2攪拌ギア76、及び第2アイドルギア78と噛み合っており、第2アイドルギア78は、第1アイドルギア77及び第1攪拌ギア75と噛み合っている。
【0023】
トナーコンテナ39の後面にはICタグ79が取り付けられている。ICタグ79は不揮発性の記憶部を備えており、当該記憶部には、トナーコンテナ39の型番、シリアル番号など、トナーコンテナ39に関する情報が格納されている。
【0024】
図6に示されるように、コンテナ駆動ユニット60には、駆動モーター62が設けられている。駆動モーター62は、例えば、DCブラシモーターである。駆動モーター62の回転駆動力は、複数のギアを介して出力軸63に伝達される。出力軸63の前端部にはジョイント部64が設けられている。トナーコンテナ39が画像形成装置10の本体部に装着されると、ジョイント部64と第1アイドルギア77とが連結される。これにより、駆動モーター62の回転駆動力は、トナーコンテナ39のギア機構に伝達されて、搬送スクリュー71、第1攪拌パドル73、及び第2攪拌パドル74が回転駆動される。
【0025】
出力軸63の後端部には、出力軸63の回転を検知するための回転検知部65(本発明の「検知部」の一例)が設けられている。回転検知部65は、出力軸63と一体的に回転するパルス板66と、パルス板66の近くに固定されたPIセンサー(Photo Interrupter Sensor)67とを備えている。パルス板66には複数のスリットが設けられている。PIセンサー67は発光部及び受光部を備えており、パルス板66が回転すると、前記発光部と前記受光部との間を前記複数のスロットが通過する。その結果、パルス板66の回転に伴って、前記受光部により受光される光量が変化する。このようにして、回転検知部65は、パルス板66の回転(すなわち、第1攪拌パドル73及び第2攪拌パドル74の回転)を検知することが可能である。
【0026】
図5に示されるように、コンテナ駆動ユニット60の前面には、画像形成装置10に装着されたトナーコンテナ39のICタグ79と対向する位置に、基板93が取り付けられている。基板93は、ICタグ79に対するリーダーライターとしての機能を有する。
【0027】
[現像器34の構成]
次に、
図7を参照して、現像器34の構成について説明する。現像器34は、トナーと磁性キャリアとを主要成分とする所謂2成分現像剤(以下、単に「現像剤」と称する)を用いて感光体ドラム31の静電潜像を現像するものである。
図7に示されるように、現像器34は、現像剤が収納される現像容器80を備える。現像容器80は仕切壁80Aによって2つの収容室、すなわち、第1収容室80B及び第2収容室80Cに区画されている。第1収容室80B及び第2収容室80Cは、完全に仕切り分けられているのではなく、前後方向における両端部に両室を連通する連通路(不図示)が設けられている。すなわち、現像器34には、第1収容室80B及び第2収容室80Cと、これらを連通する連通路とによって、トナーコンテナ39から供給されたトナーが磁性キャリアと一緒に攪拌されつつ搬送される循環経路が設けられている。
【0028】
第1収容室80Bには第1攪拌スクリュー81Aが回転可能に設けられている。第2収容室80Cには第2攪拌スクリュー81Bが回転可能に設けられている。第1攪拌スクリュー81A及び第2攪拌スクリュー81Bは、モーター(不図示)からギアなどの伝達機構を介して伝達された回転駆動力を受けることにより回転する。これにより、補給口80Dを通じてトナーコンテナ39(
図2参照)から補給(供給)されたトナー及び磁性キャリアを含む現像剤が攪拌されつつ軸方向へ搬送される。また、第1攪拌スクリュー81A及び第2攪拌スクリュー81Bによって現像剤が攪拌されることにより、現像に必要な電荷がトナーに帯電する。現像剤は、仕切壁80Aに形成された前記連通路を介して第1収容室80B及び第2収容室80C間を循環搬送される。
【0029】
現像容器80の内部に磁気ローラー82及び現像ローラー83が設けられている。磁気ローラー82は、トナー及び磁性キャリアを含む現像剤がローラー表面に保持されるものである。現像ローラー83は、磁気ローラー82と対向するように配置されている。磁気ローラー82及び現像ローラー83は、その対向位置において所定のギャップを隔てた状態で互いの表面が対向するように設けられている。現像ローラー83は、感光体ドラム31に非接触で対向配置されている。つまり、現像ローラー83は、感光体ドラム31の外周面に対向するように配置されている。
【0030】
磁気ローラー82は、非磁性の回転スリーブ82Aと、複数の磁極を有する磁気ローラー側磁極82Bとにより構成されている。回転スリーブ82Aは、現像器34の図示しないフレームに回転可能に支持されている。磁気ローラー側磁極82Bは、回転スリーブ82Aの内部で図示しないフレームに固定されている。磁気ローラー側磁極82Bは、主極、規制極、搬送極、剥離極、及び汲上極の5極の磁極を有する。これらの磁極は、第2収容室80Cの現像剤を磁気ローラー82に汲み上げたり、現像後に残存する現像剤を磁気ローラー82から剥離させたりする用途に用いられる。
【0031】
現像容器80には、磁気ローラー82上の現像剤の層厚を規制するための規制ブレード85が設けられている。規制ブレード85の先端部と磁気ローラー82のローラー面との間には所定のギャップ(間隙)が形成されている。磁気ローラー82に付着した現像剤層が、磁気ローラー82の回転に伴って搬送されると、現像剤層の層厚が規制ブレード85によって規制される。これにより、磁気ローラー82の表面には所定厚さの均一な現像剤層が形成される。
【0032】
現像ローラー83は、円筒状の現像スリーブ83Aと、現像ローラー側磁極83Bとにより構成されている。現像スリーブ83Aは、現像器34の図示しないフレームに回転可能に支持されている。現像ローラー側磁極83Bは、現像スリーブ83Aの内部で図示しないフレームに固定されている。
【0033】
磁気ローラー側磁極82Bの主極と現像ローラー側磁極83Bとの間の磁界によって、磁気ローラー82における現像ローラー83との対向位置に、現像ローラー83へ延びるブラシ状の現像剤(磁気ブラシ)が形成される。なお、磁気ローラー82には搬送バイアス回路(不図示)により搬送バイアスが印加され、現像ローラー83には現像バイアス回路(不図示)により現像バイアスが印加される。これにより、磁気ローラー82と現像ローラー83との間に電位差が生じる。前記磁気ブラシによって現像ローラー83との対向領域に運ばれたトナーは、前記電位差によって磁気ローラー82から現像ローラー83に移動して、現像ローラー83の表面にトナー薄層が形成される。
【0034】
現像ローラー83上に形成されたトナー薄層は、現像ローラー83の回転によって、感光体ドラム31と現像ローラー83との対向部分である現像領域に搬送される。前記現像領域に到達したトナーの一部は、前記現像バイアスによって現像ローラー83から感光体ドラム31の前記画像部に移動する。こうして、感光体ドラム31上の静電潜像が現像される。
【0035】
[制御システム]
次に、
図8を参照して、画像形成装置10の制御システムについて説明する。
【0036】
制御部5は、CPU、ROM、及びRAMなどの制御機器を備える。前記CPUは、各種の演算処理を実行するプロセッサーである。前記ROMは、前記CPUに各種の処理を実行させるための制御プログラムなどの情報が予め記憶される不揮発性の記憶部である。前記RAMは、前記CPUが実行する各種の処理の一時記憶メモリー(作業領域)として使用される揮発性又は不揮発性の記憶部である。
【0037】
具体的に、制御部5は、判定部51及び動作制御部52を含む。なお、制御部5は、前記制御プログラムに従って各種の処理を実行することによりこれらの各処理部として機能する。また、制御部5は、各処理部の一部又は複数の処理機能を実現する電子回路を備えるものであってもよい。
【0038】
制御部5は、操作表示部90、記憶部91(本発明の「判定結果記憶部」の一例)、モーター駆動部92、回転検知部65、基板93等に接続されている。
【0039】
操作表示部90は、情報を表示する液晶ディスプレーなどの表示部と、ユーザー操作を受け付けるタッチパネル及び操作ボタンなどの操作部とを備える。前記タッチパネルは、前記表示部の表示面上に設けられている。前記表示部には、各種の設定画面、及びエラーメッセージなどが表示される。
【0040】
記憶部91は、ハードディスク又はEEPROM(登録商標)などの不揮発性の記憶部である。記憶部91には、制御部5によって実行される各種の制御プログラム及びデータなどが記憶される。
【0041】
モーター駆動部92は、制御部5からの駆動指令信号に基づいて駆動モーター62に電流を流して駆動モーター62のモーター軸を回転させる。
【0042】
判定部51は、コンテナ駆動ユニット60による回転駆動時の第1攪拌パドル73及び第2攪拌パドル74の状態に基づいて、トナーコンテナ39が過負荷状態であるか正常状態であるかを判定する。なお、過負荷状態とは、トナーコンテナ39内のトナーが凝集して流動性が低下し、第1攪拌パドル73及び第2攪拌パドル74によるトナーの攪拌が困難な状態である。例えば、長期間放置された新品のトナーコンテナ39をユーザーが十分に振ることなく画像形成装置10に装着した場合、又は画像形成装置10において画像形成動作が長期間実行されなかった場合などに、トナーコンテナ39が過負荷状態になっていることがある。判定部51における判定方法の詳細については後述する。
【0043】
制御部5の動作制御部52は、トナーコンテナ39から現像器34にトナーを供給するトナー供給動作を実行する。トナー供給動作の詳細については後述する。
【0044】
なお、制御部5は、基板93を通じて、ICタグ79に格納されている情報を読み出すことができる。また、制御部5は、基板93を通じて、ICタグ79に任意の情報を書き込むことができる。
【0045】
[トナー供給動作]
次に、画像形成装置10において実行されるトナー供給動作について説明する。前記トナー供給動作は、例えば、現像器34に設けられたトナー濃度センサー(不図示)により現像器34内のトナー量が少ないことが検知されたときに開始される。
【0046】
前記トナー供給動作が開始されると、まず、制御部5からモーター駆動部92に駆動指令信号が送信され、モーター駆動部92が駆動モーター62に電流を流す。
【0047】
ここで、トナーコンテナ39が正常状態である場合には、駆動モーター62のモーター軸が回転して、回転検知部65から制御部5に回転検知信号が送信される。一方、トナーコンテナ39が過負荷状態である場合には、トナーコンテナ39内の凝集トナーにより駆動モーター62に過大な負荷トルクがかかるため、駆動モーター62のモーター軸は回転しない。そのため、回転検知部65から制御部5に回転検知信号は送信されない。
【0048】
判定部51は、モーター駆動部92に駆動指令信号が送信されてから(すなわち、コンテナ駆動ユニット60による第1攪拌パドル73及び第2攪拌パドル74の回転駆動が開始されてから)予め定められた時間(例えば200ms)が経過する前に回転検知部65により第1攪拌パドル73及び第2攪拌パドル74の回転が検知された場合には、トナーコンテナ39が正常状態であると判定する。また、判定部51は、モーター駆動部92に駆動指令信号が送信されてから予め定められた時間(例えば200ms)が経過しても回転検知部65により第1攪拌パドル73及び第2攪拌パドル74の回転が検知されない場合には、トナーコンテナ39が過負荷状態であると判定する。
【0049】
判定部51によりトナーコンテナ39が正常状態であると判定された場合には、動作制御部52は、通常のトナー供給動作を実行する。そして、例えば、現像器34に設けられたトナー濃度センサー(不図示)により現像器34内のトナー量が十分になったことが検知されると、前記トナー供給動作は終了する。
【0050】
一方、判定部51によりトナーコンテナ39が過負荷状態であると判定された場合には、動作制御部52は、まずリトライ動作を実行する。リトライ動作とは、トナーコンテナ39内の凝集トナーを解すために、コンテナ駆動ユニット60により第1攪拌パドル73及び第2攪拌パドル74を繰り返し正逆回転させる動作である。当該リトライ動作では、例えば、駆動モーター62が、所定時間(例えば500ms)停止→所定時間(例えば200ms)逆転→所定時間(例えば500ms)停止→所定時間(例えば200ms)正転というサイクルを繰り返すように制御される。そして、前記リトライ動作中に回転検知部65から回転検知信号を受信すると、判定部51は、トナーコンテナ39が正常状態であると判定する。
【0051】
ところで、前記リトライ動作によって第1攪拌パドル73及び第2攪拌パドル74を繰り返し正逆回転させたとしても、トナーコンテナ39における排出口70近傍(例えば、凹み部)の凝集トナーには第1攪拌パドル73及び第2攪拌パドル74が届かない。しかも、排出口70近傍の凝集トナーは、搬送スクリュー71によって排出口70に向けて搬送される他のトナーによって押し出されることにより、更に凝集した状態となって現像器34に供給されてしまう。このようにして現像器34に供給された凝集トナーは、紙面上におけるトナー汚れなどの画像不良を引き起こすことがある。このような画像不良は、特に、トナーコンテナ39の長手方向において排出口70が設けられている端部側を下向きにした縦置き姿勢で長期間放置された新品のトナーコンテナ39を、ユーザーが十分に振ることなく画像形成装置10に装着した場合に生じやすい。
【0052】
そこで、本実施形態では、判定部51によりトナーコンテナ39が過負荷状態から正常状態に変化したと判定された場合に、動作制御部52が、前記トナー供給動作とともに、後述するトナー排出動作を実行する。これにより、トナーコンテナ39から供給される凝集トナーによる画像不良の発生が抑制される。以下、トナー排出動作について詳細に説明する。
【0053】
トナー排出動作は、現像器34内の凝集トナーを現像器34から感光体ドラム31に搬送して、クリーニングブレード30により除去する動作である。トナー排出動作は、例えば、前記リトライ動作の実行後に判定部51によりトナーコンテナ39が正常状態であると判定された場合に、動作制御部52により実行される。
【0054】
トナー排出動作では、画像形成動作時と同じ現像条件で現像器34による現像動作が行われる。すなわち、画像形成動作時の搬送バイアスが磁気ローラー82に印加され、画像形成動作時の現像バイアスが現像ローラー83に印加される。そして、画像形成動作時と同じ回転方向に第1攪拌スクリュー81A、第2攪拌スクリュー81B、磁気ローラー82、及び現像ローラー83が回転される。
【0055】
また、トナー排出動作では、画像形成動作時と同じ回転方向に感光体ドラム31が回転されて、帯電器32によって感光体ドラム31の表面が画像形成動作時の静電潜像形成前の帯電電位(すなわち、前記背景部電位)に一様に帯電される。なお、LSU33による光の照射は行われない。
【0056】
また、トナー排出動作では、給紙部4による用紙Sの給送は行われず、画像形成動作時とは逆向きの転写バイアスが転写ローラー35に印加される。
【0057】
すなわち、トナー排出動作は、転写処理を行うことなしに白紙状態の画像(すなわち、画像全体が背景であるような画像)を連続して印字する動作(紙無し白紙印字動作)に相当する。
【0058】
ところで、正常なトナーであれば、現像ローラー83から感光体ドラム31の前記画像部にのみ移動し、前記背景部に移動することはない。しかしながら、凝集トナーは、現像ローラー83から感光体ドラム31の前記背景部に移動してしまうことがある。その理由としては、凝集トナーが正常な状態のトナーに比べて帯電性が悪化していること、及び、大きな塊となった凝集トナーが感光体ドラム31の前記背景部に接触して付着してしまうことが考えられる。画像形成動作時に凝集トナーが前記背景部に移動してしまうことによって、紙面上におけるトナー汚れが発生してしまう。
【0059】
トナー排出動作では、感光体ドラム31の表面が画像形成動作時の静電潜像形成前の帯電電位に一様に帯電されるので、前記現像領域に搬送されたトナーのうち、凝集トナーだけを感光体ドラム31に移動させることができる。そして、こうして感光体ドラム31の表面に移動した凝集トナーは、用紙Sに転写されることなく、クリーニングブレード30によって感光体ドラム31の表面から除去される。
【0060】
このように、トナーコンテナ39から現像器34に供給された凝集トナーは、前記トナー排出動作によって現像器34から排出されるので、その後に実行される画像形成動作時におけるトナー汚れの発生を抑制することができる。
【0061】
[トナー供給処理]
次に、
図9を参照しつつ、制御部5によって実行されるトナー供給処理の手順の一例について説明する。ここで、ステップS1,S2,・・・は、制御部5により実行される処理手順(ステップ)の番号を表している。なお、前記トナー供給処理は、例えば、画像形成装置10の電源がオンされたことに応じて開始され、その後、画像形成装置10の電源がオフされたことに応じて終了される。
【0062】
<ステップS1>
まず、ステップS1において、制御部5は、トナーコンテナ39から現像器34へのトナー供給が必要であるか否かを判断する。例えば、制御部5は、現像器34に設けられたトナー濃度センサー(不図示)により現像器34内のトナー量が少ないことが検知されたときに、トナー供給が必要であると判断してもよい。また、制御部5は、空のトナーコンテナ39が新品のトナーコンテナ39に交換されたときに、トナー供給が必要であると判断してもよい。
【0063】
ステップS1において、トナー供給が必要であると判断されると(S1:Yes)、処理がステップS2に移行する。一方、トナー供給が必要ではないと判断されると(S1:No)、トナー供給が必要であると判断されるまで、ステップS1の処理が繰り返される。
【0064】
<ステップS2>
ステップS2において、制御部5は、モーター駆動部92に駆動指令信号を送信する。これにより、駆動モーター62に電流が流れる。
【0065】
<ステップS3>
ステップS3において、制御部5は、トナーコンテナ39が過負荷状態であるか否かを判断する。例えば、制御部5は、前記ステップS2でモーター駆動部92に駆動指令信号を送信してから予め定められた時間(例えば200ms)が経過しても回転検知部65により第1攪拌パドル73及び第2攪拌パドル74の回転が検知されない場合には、トナーコンテナ39が過負荷状態であると判定する。一方、制御部5は、前記ステップS2でモーター駆動部92に駆動指令信号を送信してから予め定められた時間(例えば200ms)が経過する前に回転検知部65により第1攪拌パドル73及び第2攪拌パドル74の回転が検知された場合には、トナーコンテナ39が正常状態であると判定する。
【0066】
ステップS3において、トナーコンテナ39が過負荷状態であると判断されると(S3:Yes)、処理がステップS6に移行する。一方、トナーコンテナ39が正常状態であると判断されると(S3:No)、処理がステップS4に移行する。
【0067】
<ステップS4>
ステップS4において、制御部5は、画像形成装置10に現在装着されているトナーコンテナ39に対応する過負荷情報(本発明の「判定結果情報」の一例)が記憶部91に記憶されているか否かを判断する。なお、過負荷情報とは、トナーコンテナ39が過負荷状態であるか否かを判定したときの判定結果を示す情報である。例えば、前記ステップS3においてトナーコンテナ39が過負荷状態であると判定された場合には、後述するステップS6において過負荷情報が記憶部91に記憶される。
【0068】
ステップS4において、前記過負荷情報が記憶部91に記憶されていると判断されると(S4:Yes)、処理がステップS10に移行する。一方、前記過負荷情報が記憶部91に記憶されていないと判断されると(S4:No)、処理がステップS5に移行する。
【0069】
<ステップS5>
ステップS5において、制御部5は、通常のトナー供給動作を実行する。そして、例えば、現像器34に設けられたトナー濃度センサー(不図示)により現像器34内のトナー量が十分になったことが検知されると、前記トナー供給動作は終了する。前記トナー供給動作が終了すると、処理がステップS1に戻る。
【0070】
<ステップS6>
ステップS6において、制御部5は、トナーコンテナ39が過負荷状態であると判定されたことを示す過負荷情報を、当該トナーコンテナ39の識別情報と対応付けて記憶部91に記憶する。なお、前記識別情報としては、例えば、ICタグ79から読み出したシリアル番号を利用することができる。
【0071】
<ステップS7>
ステップS7において、制御部5は、前記リトライ動作を実行する。具体的には、制御部5は、所定時間(例えば500ms)停止→所定時間(例えば200ms)逆転→所定時間(例えば500ms)停止→所定時間(例えば200ms)正転というサイクルを所定回数(例えば20回)繰り返すように、モーター駆動部92を介して駆動モーター62を制御する。
【0072】
<ステップS8>
ステップS8において、制御部5は、ステップS7のリトライ動作の結果、トナーコンテナ39が過負荷状態から正常状態に変化したか否かを判断する。具体的には、制御部5は、ステップS3と同様にして、トナーコンテナ39が過負荷状態であるか正常状態であるかを判定する。
【0073】
ステップS8において、トナーコンテナ39が過負荷状態から正常状態に変化したと判断されると(S8:Yes)、処理がステップS10に移行する。一方、トナーコンテナ39が依然として過負荷状態であると判断されると(S8:No)、処理がステップS9に移行する。
【0074】
<ステップS9>
ステップS9において、制御部5は、操作表示部90にエラーメッセージを表示する。前記エラーメッセージは、例えば、「トナーコンテナをよく振ってから再び装着して下さい。」というメッセージ、又は「サービスセンターに電話して下さい。」というメッセージである。そして、処理がステップS1に戻る。
【0075】
なお、前記エラーメッセージを見たユーザーが、画像形成装置10からトナーコンテナ39を取り出して、よく振ってから画像形成装置10に再装着した結果、トナーコンテナ39が過負荷状態から正常状態に変化することがある。この場合には、前記ステップS1及びステップS2を経て、前記ステップS3においてトナーコンテナ39が正常状態であると判断されて、さらに、前記ステップS4において過負荷情報が記憶部91に記憶されていると判断されて、処理がステップS10に移行する。
【0076】
なお、前記過負荷情報は不揮発性の記憶部91に記憶されるので、例えば、前記エラーメッセージを見たユーザーが画像形成装置10からトナーコンテナ39を取り出すときに、画像形成装置10の電源がオフされた場合でも、前記過負荷情報は保持される。
【0077】
<ステップS10>
ステップS10において、制御部5は、通常のトナー供給動作とともに、前記トナー排出動作を実行する。そして、例えば、現像器34に設けられたトナー濃度センサー(不図示)により現像器34内のトナー量が十分になったことが検知されると、前記トナー供給動作は終了する。
【0078】
ところで、前記トナー排出動作では、その実行時間が長いほど、より多くの凝集トナーを排出することができる。しかしながら、前記トナー排出動作の実行時間が長いほど、消費電力が増えるとともに、画像形成処理が開始可能になるまでの待ち時間が長くなってしまう。よって、前記トナー排出動作の実行時間は、凝集トナーによって発生するトナー汚れの発生頻度が許容範囲に収まり、且つなるべく短い時間であることが望ましい。
【0079】
図10は、トナーの塊であるトナー凝集体を現像器34の補給口80Dに50mg投入し、その後、前記トナー排出動作を行わずに、複数枚の用紙Sに白紙画像を連続印字したときに確認されたトナー汚れの発生個数を示す実験結果である。
図10に示すように、トナー凝集体を投入してから4〜8枚目の用紙Sにおいて複数のトナー汚れが確認された。また、21枚目以降の用紙Sにおいては、1mm
2以上のサイズのトナー汚れは確認されなかった。なお、本実施形態の現像器34では、トナーが前記循環経路を1周するのに要する時間は、13枚分の連続印字時間に相当する。よって、
図10に示す実験結果から、トナーが前記循環経路を略2周するのに要する時間だけ前記トナー排出動作を実行すれば、1mm
2以上のトナー汚れ(すなわち、目立つトナー汚れ)の発生を抑制できることが分かる。
【0080】
そこで、本実施形態では、ステップS10において前記トナー供給動作が開始されてから、トナーが前記循環経路を略2周するのに要する時間が経過した時点で、前記トナー排出動作は終了する。そして、前記トナー供給動作及び前記トナー排出動作が終了すると、処理がステップS11に移行する。
【0081】
<ステップS11>
ステップS11において、制御部5は、記憶部91に記憶されている過負荷情報を消去する。そして、処理がステップS1に戻る。
【0082】
なお、前記ステップS3,S4,S8の処理は、制御部5の判定部51によって実行される。前記ステップS5,S7,S10の処理は、制御部5の動作制御部52によって実行される。
【0083】
以上のように、本実施形態によれば、判定部51によりトナーコンテナ39が過負荷状態から正常状態に変化したと判定された場合に、動作制御部52が、前記トナー供給動作とともに前記トナー排出動作を実行する。よって、判定部51によって高負荷状態であると一旦判定されたトナーコンテナ39が、前記リトライ動作、又はユーザーにより振られることによって正常状態に変化した場合に、当該トナーコンテナ39から現像器34に供給される凝集トナーがトナー排出動作によって排出される。これにより、トナーコンテナ39から供給される凝集トナーによる画像不良の発生が抑制される。
【0084】
なお、前記トナー排出動作によって、凝集トナーが排出されるので、用紙上のトナー汚れは抑制できる。しかしながら、前記トナー排出動作によって排出される前の凝集トナーが、規制ブレード85の先端部と磁気ローラー82のローラー面との間のギャップに詰まる可能性がある。前記ギャップに凝集トナーが詰まると、凝集トナーが詰まった位置(用紙の幅方向における位置)においてトナーの供給量が減ってしまうため、例えばハーフ濃度画像やソリッド画像において白い縦筋が生じる可能性がある。そこで、このような画像不良を防止するために、動作制御部52は、前記トナー排出動作の直後(すなわち、
図9のステップS10の直後)に、前記ギャップにおける凝集トナーの詰まりを解消するための詰まり解消動作を行うようにしてもよい。
【0085】
前記詰まり解消動作としては、例えば、前記トナー排出動作の直後に、動作制御部52が、以下で説明する2つの工程を順次実行することが考えられる。
【0086】
第1工程では、動作制御部52は、磁気ローラー82及び現像ローラー83に対して前記搬送バイアス及び前記現像バイアスが印加されていない状態で、磁気ローラー82、第1攪拌スクリュー81A及び第2攪拌スクリュー81Bを所定時間(例えば0.6秒間)だけ逆回転させる。これにより、もし前記ギャップに凝集トナーが詰まっていた場合には、当該凝集トナーが前記ギャップから第2攪拌スクリュー81B側に回収される。
【0087】
前記第1工程に続く第2工程では、動作制御部52は、磁気ローラー82及び現像ローラー83に対して前記搬送バイアス及び前記現像バイアスが印加されていない状態で、磁気ローラー82、第1攪拌スクリュー81A及び第2攪拌スクリュー81Bを所定時間(例えば1.2秒間)だけ正回転させる。これにより、前記第1工程において第2攪拌スクリュー81B側に回収された凝集トナーが現像剤とともに撹拌されて、凝集トナーが解される。よって、前記第1工程において第2攪拌スクリュー81B側に回収された凝集トナーが前記ギャップに再度詰まることを抑制することができる。
【0088】
なお、発明者による実験では、前記第1工程において、磁気ローラー82を1周以上逆回転させることによって、前記ギャップにおける凝集トナーの詰まりが十分に解消されることが確認された。
【0089】
また、前記第2工程において、磁気ローラー82を3周以上正回転させることによって、前記第1工程において第2攪拌スクリュー81B側に回収された凝集トナーが前記ギャップに再度詰まることが十分に抑制されることが確認された。
【0090】
[変形例]
なお、本実施形態では、コンテナ駆動ユニット60による第1攪拌パドル73及び第2攪拌パドル74の回転駆動が開始されてから予め定められた時間が経過しても回転検知部65により第1攪拌パドル73及び第2攪拌パドル74の回転が検知されない場合に、トナーコンテナ39が過負荷状態であると判定されるが、本発明はこれに限定されない。他の実施形態では、判定部51は、駆動モーター62に流れる電流が予め定められた閾値以上である場合に、トナーコンテナ39が過負荷状態であると判定してもよい。
【0091】
また、本実施形態では、トナーと磁性キャリアとを主要成分とする2成分現像剤を用いて感光体ドラム31の静電潜像を現像する現像器34が用いられているが、本発明はこれに限定されない。他の実施形態では、1成分現像剤を用いて感光体ドラム31の静電潜像を現像する現像器が用いられてもよい。
【0092】
また、本実施形態では、前記過負荷情報が記憶部91に記憶されるが、他の実施形態では、前記過負荷情報がICタグ79に記憶されてもよい。これにより、前記過負荷情報とトナーコンテナ39との対応関係が明確になる。また、例えば、或る画像形成装置10において過負荷状態であると判定されたトナーコンテナ39を、ユーザーがよく振ってから別の画像形成装置10に装着した場合でも、前記トナー排出動作を確実に行うことができる。
【0093】
また、本実施形態では、モノクロ画像を生成する画像形成装置10を例示しているが、本発明はこれに限定されず、カラー画像を生成する画像形成装置にも本発明を適用することができる。この場合、互いに異なる色のトナーを収納する複数のトナーコンテナの各々について、
図9に示したトナー供給処理が個別に実行される。