(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6602015
(24)【登録日】2019年10月18日
(45)【発行日】2019年11月6日
(54)【発明の名称】ワークの除塵装置
(51)【国際特許分類】
B08B 5/00 20060101AFI20191028BHJP
B08B 6/00 20060101ALI20191028BHJP
B08B 7/02 20060101ALI20191028BHJP
B08B 3/12 20060101ALI20191028BHJP
B08B 11/00 20060101ALI20191028BHJP
B06B 1/20 20060101ALI20191028BHJP
【FI】
B08B5/00 A
B08B6/00
B08B7/02
B08B3/12 D
B08B11/00 A
B06B1/20
【請求項の数】9
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-15136(P2015-15136)
(22)【出願日】2015年1月29日
(65)【公開番号】特開2016-36807(P2016-36807A)
(43)【公開日】2016年3月22日
【審査請求日】2018年1月23日
(31)【優先権主張番号】特願2014-159260(P2014-159260)
(32)【優先日】2014年8月5日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】391038475
【氏名又は名称】株式会社TRINC
(74)【代理人】
【識別番号】100079832
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 誠
(72)【発明者】
【氏名】高柳 真
【審査官】
青木 正博
(56)【参考文献】
【文献】
特開平06−162712(JP,A)
【文献】
特開平07−024427(JP,A)
【文献】
国際公開第1980/001358(WO,A1)
【文献】
特開2012−211951(JP,A)
【文献】
特開平03−034424(JP,A)
【文献】
特開2007−144368(JP,A)
【文献】
特開2002−126670(JP,A)
【文献】
特開2013−003436(JP,A)
【文献】
特開2013−071083(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B08B 1/00− 1/04
B08B 3/00− 3/14
B08B 5/00−13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面状の被除塵物体を除塵装置内で垂直に立て下から上に動かして被除塵物体に付着している異物を除塵装置内に配置した音波発生器によって横方向から音波を当てて無風で除塵する除塵装置であって、前記被除塵物体の表裏面について、除塵された異物を回収するための清浄風を発生する風力源を備え、前記風力源は、前記被除塵物体の表裏に気圧差が生じないように、均等なものが使用され、これによって前記表裏間を貫通する風が吹かないことを特徴とする除塵装置。
【請求項2】
請求項1記載の除塵装置において、除塵装置の上方から除塵装置内に清浄風を入れて除塵装置の下方で集塵することを特徴とする除塵装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の除塵装置において、風力源を有し、風力源からの正圧や負圧が外部に逃げないように除塵装置には被除塵物体に密接したフードを有することを特徴とする除塵装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1つに記載の除塵装置において、移動中の被除塵物体にイオンを当てるように音波発生器と被除塵物体との間の位置にイオナイザを配置したことを特徴とする除塵装置。
【請求項5】
平面状の被除塵物体を除塵装置内で垂直に立て横方向に動かして被除塵物体に付着している異物を除塵装置内に配置した音波発生器によって横方向から音波を当てて無風で除塵する除塵装置であって、前記被除塵物体の表裏面について、除塵された異物を回収するための清浄風を発生する風力源を備え、前記風力源は、前記被除塵物体の表裏に気圧差が生じないように、均等なものが使用され、これによって前記表裏間を貫通する風が吹かないことを特徴とする除塵装置。
【請求項6】
請求項5記載の除塵装置において、除塵装置の上方から除塵装置内に清浄風を入れて除塵装置の下方で集塵することを特徴とする除塵装置。
【請求項7】
請求項5または6に記載の除塵装置において、被除塵物体が幅広の場合、被除塵物体の幅を覆うように音波発生器を上下方向に複数並べて配置し、被除塵物体の上部を先に除塵するように上部の音波発生器を上流側に配置することを特徴とする除塵装置。
【請求項8】
請求項5〜7のいずれか1つに記載の除塵装置において、風力源を有し、風力源からの正圧や負圧が外部に逃げないように除塵装置には被除塵物体に密接したフードを有することを特徴とする除塵装置。
【請求項9】
請求項5〜8のいずれか1つに記載の除塵装置において、移動中の被除塵物体にイオンを与えるように音波発生器と被除塵物体の間の位置にイオナイザを配置したことを特徴とする除塵装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、不織布や布、紙など(以下、総称として不織布という)内部に空隙を多く含む被除塵物体(ワーク)に付着した異物および微小部品である被除塵物体(ワーク)に付着した異物を除去するワークの除塵装置に関する。
【背景技術】
【0002】
被除塵物体に付着した塵を除去する装置が実願平01−028989号公報に記載されている。この公報に記載の考案では、被除塵物体である、例えば、シートの表面に付着した塵を除去する装置に向けられており、除塵のための吐出空気部に超音波発生装置を設けられており、超音波を含む空気をシートの表面に当て、表面から塵を吸引する吸引口が設けられたものである。
【0003】
他の従来例としては、特開平05−168832号公報に記載の発明がある。この発明は、乾式濾布の表面に蓄積したダストを低周波音波による振動によって振い落す装置に向けられたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実願平01−028989号公報
【0005】
【特許文献2】特開平05−168832号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来例では、シートまたは濾布の表面に付着、堆積した塵を除去するものであり、不織布のような被除塵物体の内部の異物(塵等)を除去する装置は存在しなかった。
【0007】
したがって、本発明の目的は、空気などの空隙を多く含む不織布である被除塵物体に付着している異物(特に、内部で付着している異物)を無風で被除塵物体から剥離し、被除塵物体から剥離された異物を被除塵物体の表裏間の気圧差による気流で、または、振動で被除塵物体の外部に掃きだし、被除塵物体の外部に掃きだされた異物を気流で回収する除塵装置を提供することにある。また、本発明の目的は、微小部品に付着した異物を除去する除塵装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の除塵装置は、平面状の被除塵物体を除塵装置内で垂直に立て下から上に動かして被除塵物体に付着している異物を除塵装置内に配置した音波発生器によって横方向から音波を当てて無風で除塵する。
【発明の効果】
【0009】
空隙を多く含む不織布または布または紙などの被除塵物体に付着している異物の除去は、従来は人手により異物を見つけて、ピンセットなどで摘み出すしか方法がなかったが、本案は人手を介することなく自動で異物除去を可能にできる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図11】実施例10の変形例を説明するための図である。
【
図12】実施例11の原理を説明するための図である。
【
図13】実施例11の具体例を説明するための図であり、実施例11の正面図(断面図)である。
【
図14】実施例11の具体例を説明するための図であり、実施例11の側面図(断面図である。
【
図16】実施例12の他の例を説明するための図である。
【
図17】実施例13を説明するための図であり、実施例13の正面図(断面図)である。
【
図18】実施例13を説明するための図であり、実施例13の側面図(断面図)である。
【
図19】実施例14を説明するための図であり、実施例14の正面図(部分断面図)である。
【
図20】実施例14を説明するための図であり、実施例14の側面図(部分断面図)である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
除塵装置は被除塵物体(例えば、不織布)の表面および内部に付着している異物を音波で振動させて異物を被除塵物体から剥離する音波発生器を有する。好ましくは、音波発生器が超音波振動子または可聴周波数用スピーカーであり、除塵装置は、被除塵物体を支える支持体を有し、音波発生器から発生した音波を不織布に導く導波管を有し、静電気を除電する装置を有する。
【実施例1】
【0012】
実施例1
を、図1を参照して説明する。
図1は本発明の原理を説明する図である。
空隙を多く含む不織布または布または紙など(以下、不織布という)の被除塵物体10の表面または内部の繊維12に付着している異物14の除去は以下の3つの段階で行う。
まず第1に被除塵物体(すなわち、不織布)10の繊維12から異物14を剥離する。
第2に剥離した異物14を被除塵物体10の外部に掃きだす。
第3に掃きだした異物14を集塵する。
【実施例2】
【0013】
実施例2
を、図2を参照して説明する。
図2は本発明の無風で除塵する原理を説明するための図である。被除塵物体10の上部に音波体(スピーカーまたは超音波振動子)22を内部に有する音波発生器20を配置し、発生して出て来た音波24で被除塵物体10と異物14を振動させる。この音波24は
エアブローや真空吸引のように風を起こさないため、柔らかな不織布でも変形させたり風紋を付けることなく除塵処理できる。しかし音波を発生し外部に漏れるため騒音となり問題となることもある。
【実施例3】
【0014】
実施例3
を、図3を参照して説明する。
図3は音波発生器の反対側にも別の音波発生装置を設け、被除塵物体の位置で双方から発射された音波が互いに逆位相に衝突するように配置する。これにより、被除塵物体10と異物14は双方からの音波で
プッシュプルされるため、激しく加振され、異物は繊維から強力に剥離される。さらに、逆位相同士の音波がぶつかり合うため、互いに打ち消し合う結果となり、騒音は大幅に小さくなり騒音問題は解決できる。
【実施例4】
【0015】
実施例4
を、図4を参照して説明する。
図4は除電器を使用して振動により被除塵物体に発生する静電気を中和する図である。除電器は無風でイオンを放射するものが好ましい。除電器26は音波発生装置の前方の内部または近傍に配置されている。除電器26で発生されたイオン28は不織布(被除電物体)10の両側から不織布内に導かれ、不織布や異物に発生した静電気を中和する、すなわち、除電する。
【実施例5】
【0016】
実施例5
を、図5を参照して説明する。
図5はプッシュプル効果を単一のスピーカーの音波発生器20で実現する方法を示す図である。音波発生器20の両側から導波管32を用いて、音波を不織布10の両側に導く。被除塵物体の表側の気圧P1と裏側の気圧P2間に、気圧差ΔP(=p1−p2)を発生させる場合、スピーカーである音波発生器20のコーン紙30に気圧差がかかるため、音波発生器20にはバイアス圧力が発生する。したがってバイアス圧力に耐えうる音波発生器を用いるのが好ましい。なお、導波管は音波発生器と被除塵物体間の距離を音波の周波数に応じて、異物を最も強く振動させる長さを有することが好ましく、また、導波管は音波発生装置と被除塵物体間の空間を音波の周波数と、被除塵物体の大きさに応じて、異物を最も強く振動させる形状であることが好ましい。
【実施例6】
【0017】
実施例6
を、図6を参照して説明する。被除塵物体10を重力に対して支える支持体34が配置されている。支持体34は金網などである。その金網は音波に対し負荷にならない程度にメッシュが荒いことが好ましい。
【実施例7】
【0018】
実施例7
を、図7を参照して説明する。
図7は被除塵物体の繊維から剥離された異物を被除塵物体の表裏の気圧差で掃きだした後の集塵法を示す。被除塵物体10の上側の音波発生器20は清浄空気供給器36の内部に配置され、フィル
タ38は音波発生器20の上部に配置されている。清浄空気供給器36において、外気はフィル
タ38を通して清浄な空気として内部に吸入される。
【0019】
被除塵物体の下側の音波発生器20は集塵機46の内部に配置され、フィル
タ40が集塵機46の底部に配置されており、フィル
タ40の下端にはファン42が配置されている。集塵機46において、導入された異物を含む空気はファン42によって吸引され、フィルタ40において、異物が集塵される。
【0020】
集塵機46が動作すると、集塵機内部が負圧になるため、清浄空気供給器36から負圧に向かって被除塵物体を横切る気流が発生する。被除塵物体の繊維から剥離された異物は被除塵物体の外部に掃きだされる。掃きだされた異物は集塵風に乗って集められフィル
タ40によって濾過・捕捉される。被除塵物体から異物を掃きだすために重力を有効に活用するため、清浄空気供給器が上になり集塵機側が下になるのが好ましい。また被除塵物体は音波による振動で大きな静電気が発生するため無風型のイオナイザ26で静電気を中和しつつ除塵するのが好ましい。
【実施例8】
【0021】
実施例8
を、図8を用いて説明する。
図8は被除塵物体の表裏を同時にクリーニングする方法を示す。表面のみクリーニングが終えた後でロール状に巻くと裏面の異物が折角きれいにした表面に乗り移り台無しにしてしまう。したがって片面のクリーニング後、巻き取ることなくそのまま反対面のクリーニングをすることが重要である。まず表面側をクリーニングしたら、そのまま被除塵物体を反転させて裏面側をクリーニングする。クリーニング装置は集塵機が下側になるように配置するのが好ましい。弱い被除塵物体を支持しながら搬送する金網(チェーン)コンベアを被除塵物体の下側に配するのが好ましい。
【0022】
すなわち、不織布10がそのロール10aから引き出され、金網チェーンのようなコンベヤ48によって裏面用清浄空気供給器36と裏面用集塵機46の間を移送され、主に不織布10の裏面側の塵が集塵される。裏面用清浄空気供給器36と裏面用集塵機46は、実施例7に記載の清浄空気供給器36と集塵機46と同一の構成である。次に、不織布10は、裏面用清浄空気供給器36と裏面用集塵機46と同一構成の表面用清浄空気供給器36と表面用集塵機46の間をコンベヤ50によって移送され、主に不織布10の表面側の塵が集塵される。最後に、表裏の塵が除去された不織布10はロール10bとして巻き取られる。
【実施例9】
【0023】
実施例9
を、図9を用いて説明する。
図3〜
図8において音波発生器を落下異物から守る方法を示す。
図9aは音波発生器を用いたものを示し、
図9bは導波管を用いたものを示す。それぞれの上部に上から落下してくる異物14を受けるための薄いフィルム52を設ける。このフィルム52は音波の伝搬に抵抗にならない程度に薄いものであることが好ましい。なお、前述の実施例5、6、8でもイオナイザが用いられてもよいものである。
【実施例10】
【0024】
実施例10
を、図10、
図11を用いて説明する。
図10aは全体の構成を示し、
図10b、
図11aは発音体22A、22Bに印加する電流波形であり、音波体22A、22Bの出力音波波形を示し、
図10c、
図11bは不織布を通って流れる空気流を示す。
図10aにおいて、被除塵物体(不織布)の上側(表側)から音波体22Aに
図10bまたは
図11aの音波体22Aに印加する電流波形の電流を印加する。
図10bまたは
図11aの下向き音波の作り方には発音体に印加する電流を整流する場合(
図10b)とバイアス電流を流して実現する場合(
図11a)がある。すると、同形状の音波が出力される。被除塵物体には下向きの音波だけが印加される。同時に、
図10bまたは
図11aの音波体22Bに印加する電流波形の電流を印加する。すると、同形状の音波が出力される。被除塵物体には下向きの音波だけが印加される。
【0025】
結果として、
図10cまたは
図11bの整流波形またはバイアス波形のように、被除塵物体には上下から下向きの音波だけが印加されるため、その波形の平均値ΔFに相当する下向きの空気流が流されることになる。この方式によれば、
図7に示す清浄空気供給器36や集塵機46は不要になる。ただし、最終的に除塵した異物を集める集塵機は別途設けるのが好ましい。
【実施例11】
【0026】
実施例11
を、図12〜
図14を用いて説明する。
図12は原理を説明するためのものであり、
図13および
図14は具体例を説明するためのものである。
図12に示すように、被除塵物体10を垂直に立てた状態で、下から上に引き上げつつ除塵する。音波発生器20から発生された音波により振動を受けて被除塵物体から剥離された異物(ホコリ等)14は重力により下に向かって落ちると共に、上部から下部に向かって吹く風(図示せず)に乗って下降し集塵される。
【0027】
図13はワークを垂直に立てて下から上に動かす場合の正面図(断面図)であり、
図14は側面図(断面図)である。ワークを挟むように、音波発生器20、イオナイザ26等からなる除塵装置を配置する。音波発生器20は除塵装置の中央に配置され、上部のAから清浄風を入れて下部のBで除塵した異物を含んだ汚染風を回収する。風力源70は上部のAから清浄風を入れて下部のBで除塵した異物を含んだ汚染風を回収するためのものであり、フィルタ72、ファン74、フィルタ76から成る。ここで、風力源70から風が外部に逃げないように除塵装置の容器には被除塵物体に密接したフード62を有することが望ましい。
【0028】
この時、ワークを貫通する風(気流)が吹くとワークから剥離して外部に出てきた異物を再び内部に押し込むことになる。そのため、左右の風力源は同じものを用い、気圧差が発生しないようにする。音波発生器20とワーク10の間で、やや風上にイオナイザ26を配置する。ワークや異物は音波を受けて振動し静電気を発生するため、このイオナイザ20のイオン28で静電気を中和しつつ除塵動作を行う。
【実施例12】
【0029】
実施例12
を、図15、
図16を用いて説明する。
図15、
図16は被除塵物体を垂直に立てた状態で、横方向に(水平に)動かしつつ除塵する場合を示す。音波発生器20からの音波の振動を受けて被除塵物体10から剥離されてホコリ等の異物14は重力により下方に向かって落ちるとともに、上部から下部に向かって吹く風(図示せず)に乗って下降して集塵される。
【0030】
図15は狭幅の被除塵物体が垂直に立てられ状態で、右手から左手に動きつつ除塵する場合を示す。異物14は除塵装置の音波発生器20によりワーク(被除塵物体)10から剥離され、重力とともに、上から吹き込む清浄なイオン風(図示せず)で下方に掃き出され、集塵器(図示せず)で集塵される。
【0031】
図16は広幅の被除塵物体が垂直に立てられ状態で、右手から左手に動きつつ除塵する場合を示す。広幅のため除塵装置が複数台(
図16の場合2台)用いられる。異物14は除塵装置の音波発生器20によりワーク(被除塵物体)10から剥離され、重力とともに、上から吹き込む清浄なイオン風(図示せず)で下方に掃き出され、集塵器(図示せず)で集塵される。
【0032】
このとき、ワークの上部除塵装置で除塵された異物14は下方に落ち集塵されるが、上部除塵で集塵残りが発生した場合、下段の除塵装置で再度集塵し完全な集塵をするため、下段の集塵装置は上段の集塵装置の下流に位置するのが好ましい。
【実施例13】
【0033】
実施例13
を、図17および
図18を用いて説明する。
図17はワークを垂直に立てて横に(水平に)動かす場合(図面の右から左に動かす場合)の正面図(断面図)であり、
図18は側面図(断面図)である。
【0034】
ワークを挟むように左右に除塵装置を配置する。除塵装置の中央に音波発生器20を配置し、上部(A)から清浄風を入れて下部(B)で除塵した異物14を含んだ汚染風を回収する。風力源(図示せず)(
図14参照)からの正圧や負圧が外部に逃げないように除塵装置の容器には被除塵物体10に密接したフード62を有することが望ましい。
【0035】
この時、ワークを貫通する風が吹くとワークから剥離して外部に出てきた異物を再び内部に押し込むことになる。そのため、左右の風力源は同じものを用い、気圧差が発生しないようにする。音波発生器20とワーク10の間で、やや風上にイオナイザ26を配置する。ワークや異物は音波を受けて振動し静電気を発生するため、このイオナイザ20のイオン28で静電気を中和しつつ除塵動作を行う。
【実施例14】
【0036】
実施例14
を、図19および
図20を用いて説明する。実施例14は半導体のチップなど0.1mm角程の微小部品の除塵を行うための除塵装置に向けられたものであり、
図19は正面図(部分断面図)であり、
図20は側面図(部分断面図)である。微小部品は小径の真空吸引装置(ワーク保持機構:バキュウームチャック)82で保持され、運搬される。この時、微小部品に付着した異物をクリーニング(除去)したいが、エアブローまたは真空吸引すると小径故に保持力が弱いため、ワークが飛散したり外れてしまう。従って、ここで風を用いることはできずいままでは、適切な解決策がなかった。実施例14は微小部品を音波を用いて無風でクリーニングする除塵装置である。
【0037】
被除塵対象物(例えば、微小部品)を左右に挟むように除塵装置を配置し、各除塵装置の上下方向中央部に音波発生器20を有し、上部の清浄吹出し箇所90から清浄な風を供給し、音波発生器20の中央部でワーク(微小部品)80に音波を当て除塵する。除塵された異物14は重力と下降する清浄なイオン風で下降し、下部に配置されたフィルタ72によって集塵される。ここで、イオン風はイオナイザ26で発生されたイオン28と後述する風力源70に吸引される風から形成される。
【0038】
別途、清浄な空気を供給し、または異物を集塵する風力源70を有する。風力源で吸引する風はフィルタでろ過して清浄風として循環するのが好ましい。清浄吹出し箇所90にイオナイザ26を配置し、イオン風にして静電気を中和しつつ除塵動作をするのが好ましい。空気源からの正圧や負圧が外部に逃げないように除塵装置の容器には除塵域を覆うフード62を有するのが好ましい。
【符号の説明】
【0039】
10 不織布
12 繊維
14 異物(塵等)
20 音波発生器
22 音波体(スピーカーまたは超音波振動子)
24 音波
26 イオナイザ
28 イオン
32 導波管
34 金網
36 清浄空気供給器
46 集塵機
52 フィルム
62 フード
70 風力源