特許第6602873号(P6602873)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6602873
(24)【登録日】2019年10月18日
(45)【発行日】2019年11月6日
(54)【発明の名称】自動分析装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 35/02 20060101AFI20191028BHJP
   G01N 33/86 20060101ALI20191028BHJP
【FI】
   G01N35/02 G
   G01N33/86
【請求項の数】12
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2017-538909(P2017-538909)
(86)(22)【出願日】2016年7月25日
(86)【国際出願番号】JP2016071657
(87)【国際公開番号】WO2017043196
(87)【国際公開日】20170316
【審査請求日】2018年11月1日
(31)【優先権主張番号】特願2015-179052(P2015-179052)
(32)【優先日】2015年9月11日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】501387839
【氏名又は名称】株式会社日立ハイテクノロジーズ
(74)【代理人】
【識別番号】110001829
【氏名又は名称】特許業務法人開知国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】牧野 彰久
(72)【発明者】
【氏名】稲邊 利幸
(72)【発明者】
【氏名】藪谷 千枝
【審査官】 長谷 潮
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−133917(JP,A)
【文献】 特開2011−137680(JP,A)
【文献】 特開2010−217114(JP,A)
【文献】 特開2001−004639(JP,A)
【文献】 特開平10−339734(JP,A)
【文献】 特開平07−092171(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/035418(WO,A1)
【文献】 国際公開第2015/093166(WO,A1)
【文献】 国際公開第2007/004466(WO,A1)
【文献】 特開2012−032371(JP,A)
【文献】 特開2009−150859(JP,A)
【文献】 特表平08−506888(JP,A)
【文献】 特開2003−279582(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 35/00−35/10
G01N 33/86
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
検体が保持された検体容器を収容した検体ラックを搬送する搬送ラインと、
前記搬送ラインに沿って配置され、検体分注待ちの前記検体ラックを複数待機することができる分注ラインと、
前記分注ライン上で分注された検体と試薬との反応時間が検体により異なる血液凝固時間項目が分析可能な複数の血液凝固分析部と、
前記検体に対する分析依頼情報を読み取る読取部と、
当該読み取った情報に基づいて、前記検体ラックの搬送動作を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、
当該複数の血液凝固分析部のそれぞれについて分析中の検体、および待機中の検体に依頼された測定項目の予想測定時間の合計を求め、当該求めた予想測定時間の合計に基づいて、前記検体ラックの搬送先を決定することを特徴とする自動分析装置。
【請求項2】
請求項1に記載された自動分析装置において、
前記制御部は、
前記複数の血液凝固分析部のうち、当該求めた予想測定時間の合計が最も小さい血液凝固分析部に前記検体ラックを搬送することを特徴とする自動分析装置。
【請求項3】
請求項1に記載された自動分析装置において、
前記制御部は、
各測定項目におけるインキュベーションの時間と、予め設定した標準測定時間との合計に基づいて、前記予想測定時間の合計を求めることを特徴とする自動分析装置。
【請求項4】
請求項3に記載された自動分析装置において、
前記制御部は、
当該複数の血液凝固分析部のそれぞれにおいて実施された各測定項目の測定に要した時間の平均値に基づいて、前記標準測定時間を設定することを特徴とする自動分析装置。
【請求項5】
請求項3に記載された自動分析装置において、
前記制御部は、
前記読取部が読み取った各検体の患者ID情報に基づいて同定される当該患者の過去の測定結果に基づいて、前記標準測定時間を設定することを特徴とする自動分析装置。
【請求項6】
請求項5に記載された自動分析装置において、
前記制御部は、当該同定された患者の過去の測定結果に基づいて、当該測定に要した時間の平均値に基づいて、前記標準測定時間を設定することを特徴とする自動分析装置。
【請求項7】
請求項3に記載された自動分析装置において、
前記制御部は、
前記検体の測定目的に応じて、前記標準測定時間を通常の測定よりも延長または短縮するように設定することを特徴とする自動分析装置。
【請求項8】
請求項2に記載された自動分析装置において、
前記制御部は、
当該複数の血液凝固分析部のそれぞれについて、前記検体ラックにおける各検体の測定が完了するたびに、実際の測定に要した測定時間に基づいて前記予想測定時間の合計を減算し、
かつ、新たに検体ラックが供給されるたびに、当該供給された検体ラックにおける各検体に依頼される測定項目に基づいて、前記予想測定時間の合計に加算することを特徴とする自動分析装置。
【請求項9】
請求項1に記載された自動分析装置において、
表示部をさらに備え、
前記制御部は、当該求めた予想測定時間の合計のうち、各検体についての予想測定時間に基づいて当該各検体の予想測定終了時間を取得し、当該取得された予想測定終了時間を前記表示部に表示することを特徴とする自動分析装置。
【請求項10】
請求項9に記載された自動分析装置において、
前記制御部は、
各測定項目におけるインキュベーションの時間と、予め設定した標準測定時間との合計に基づいて求められる合計の予想測定時間と、
前記予想測定時間と、検体ごとに異なる延長測定時間との合計に基づいて求められる合計の延長測定時間と、に基づいて、
測定時間の変動幅を求め、
当該求めた変動幅を、前記予想測定終了時間と併せて前記表示部に表示することを特徴とする自動分析装置。
【請求項11】
請求項1に記載された自動分析装置において、
前記制御部は、
緊急検体を分析するときには、
当該複数の血液凝固分析部のそれぞれについて分析中の検体に依頼された測定項目の予想測定時間の合計を求め、当該求めた予想測定時間の合計に基づいて、前記緊急検体を収容する検体ラックを搬送することを特徴とする自動分析装置。
【請求項12】
検体が保持された検体容器を収容した検体ラックを搬送する搬送ラインと、
前記搬送ラインに沿って配置され、検体分注待ちの前記検体ラックを複数待機することができる分注ラインと、
前記分注ライン上で分注された検体と試薬との反応時間が検体により異なる血液凝固時間項目が分析可能な複数の血液凝固分析部と、
前記検体に対する分析依頼情報を読み取る読取部と、
当該読み取った情報に基づいて、前記検体ラックの搬送動作を制御する制御部と、を備えた自動分析装置の分析方法であって、
前記制御部は、
当該複数の血液凝固分析部のそれぞれについて分析中の検体、および待機中の検体に依頼された測定項目の予想測定時間の合計を求め、当該求めた予想測定時間の合計に基づいて、前記検体ラックの搬送先を決定することを特徴とする分析方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血液や尿などの生体サンプルに含まれる成分量を自動的に分析する自動分析装置に係り、特に、血液凝固検査項目の測定(以下、血液凝固分析ということがある)が可能な自動分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
血液等の生体サンプル(以下、検体ということがある)に含まれる目的の成分を分析する装置として、光源からの光を、分析対象である、検体と試薬とが混合した反応液に照射して得られる単一または複数の波長の透過光や散乱光の光量を測定する自動分析装置が広く用いられている。
【0003】
自動分析装置には、生化学検査や血液学検査の分野等で生体検体中の目的成分の定量、定性分析を行う生化学分析用の装置や、検体である血液の凝固能を測定する血液凝固分析用の装置等(以下、血液凝固分析装置ということがある)がある。
【0004】
このような、血液凝固能には血管外に漏れ出した血液が凝固する外因性のものと、血管内で血液が凝固する内因性のものが存在する。血液凝固能(血液凝固時間)に関する測定項目としては、外因系血液凝固反応検査のプロトロンビン時間(PT)、内因系血液凝固反応検査の活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)と、血液凝固反応全般に関連するフィブリノゲン量(Fbg)等が存在する。
【0005】
血液凝固分析装置では、これらの項目に対し、血液凝固反応を開始させる試薬を添加することにより析出するフィブリンを、光学的手法をはじめとする種々の手法により検出している。光学的手法を用いる場合には、反応液に光を照射し、反応液中に析出してくるフィブリンによる散乱光や透過光の経時的な光量の強度の変化を検出し、検出された結果に基づいて、血液凝固時間を求めている。血液凝固時間項目は0.1秒間隔での測光データが必要なため反応は独立した測光ポートで行われ、反応液が凝固してしまうと洗浄による反応容器の再利用は不可能であるため反応容器は使い捨てである。
【0006】
血液凝固・線溶検査分野には、このような血液凝固時間測定のほか、血液凝固因子測定、血液凝固・線溶マーカ測定も含まれる。後者の血液凝固・線溶マーカは、発色性合成基質を用いる合成基質法や、表面に抗体を感作(結合)させたラテックス粒子を含有した試薬を用いるラテックス凝集法による分析が行われる。血液凝固時間項目としては、PT、APTT、Fbg等がある。血液凝固・線溶マーカ項目としては、Dダイマーやフィブリン/フィブリノゲン分解産物(FDP)に加え、可溶性フィブリンモノマー複合体(SFMC)やプラスミン−α2プラスミンインヒビター(PIC)など、播種性血管内凝固症候群(DIC)等の早期診断・治療の要求から今後も増加が見込まれ、自動分析装置の処理能力向上や効率化が望まれている。血液凝固時間測定は、通常2〜4分で完了するが、血液凝固能が低下している場合の反応時間は6分以上となる場合がある。一方、合成基質法、ラテックス凝集法は、通常10分反応であり、上述した生化学分析と同様に、反応時間は固定されている。
【0007】
ところで、臨床検査のための自動分析装置には、それぞれ独立した装置として運用されるスタンドアローンタイプのものや、検査室の業務合理化のために、生化学分析や免疫分析等の複数の分野の分析部を検体ラック搬送ラインで接続し、1つの装置として運用するモジュールタイプのものが知られている。モジュールタイプの自動分析装置は、検体と試薬を混合、反応させた反応液を分析する複数の分析部を有し、その分析部に検体を供給する方法としては、検体容器を収容した検体ラックを、搬送ラインを経由して搬送し、分析部の検体分注位置に位置づける方法がある。
【0008】
複数の分析部をモジュール化し統合することで、検体管理フローの改善、装置管理の省力化等のメリットが期待できるため、効率的に測定を進める様々な技術が考案されてきた。
【0009】
特許文献1には、検体容器の搬送順序を各分析部の処理能力に対応させて可変とすることにより、各分析部における分析処理時間を平均化し、システムとしての分析処理時間を短縮化する技術が紹介されている。
【0010】
特許文献2では、分析項目情報に基づいて検体ラックの搬送先を複数の分析部の中から決定して搬送し、同じ分析項目が割り当てられている分析部のうち早く受け入れることが可能な分析部に検体ラックを搬送することで、効率的に分析を行う技術が開示されている。
【0011】
特許文献3には、依頼された各測定項目に基づいて、測定予約数が最も少ない分析ユニットを検体ラックの搬送先として決定する検体処理システムについて説明されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開平7−92171号公報
【特許文献2】特開平10−339734号公報
【特許文献3】特開2010−133917号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
上記の特許文献1〜3は、いずれもモジュールタイプもしくは複数の分析装置が接続された検体搬送システムにおいて、効率的に検体を処理するための技術に関する。これらの技術は、予め反応時間が決められている生化学項目や、免疫項目が測定できる複数の分析部が接続されている場合において、効率的に検体を処理できる。
【0014】
ここで、上述の通り血液凝固時間測定については、その反応時間は検体の血液凝固能に依存し、固定されているものではない。このように反応時間が検体により異なる血液凝固時間項目が測定できる複数の血液凝固分析部がモジュールタイプの装置に組み込まれている場合には、分析部間で検体処理や測定数や測定時間の偏りが発生する可能性があり、装置全体の処理能力を低下させることが考えられる。また、血液凝固時間項目の試薬には生体由来のものがあるため、使用期限が1週間程度と短いものも存在する。分析部間で測定数の偏りが生じると、試薬を使用期限内に使いきれない場合が生じ、無駄が発生することとなる。
【0015】
しかしながら、特許文献1〜3にて説明される構成では、いずれも、血液凝固時間項目のように反応時間が検体毎に異なる項目を測定する血液凝固分析部を組み込むことが考慮されていないため、上述した装置全体の処理能力の低下や、試薬の無駄の発生を招いてしまうことがある。
【0016】
本発明の目的は、反応時間が検体毎に異なる血液凝固時間項目を測定する複数の血液凝固分析部を有するモジュールタイプの構成においても、装置全体の処理能力を高く保ち、かつ試薬の無駄を低減した高効率の分析を実現することに関する。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記課題を解決するための一態様として、本発明では、検体が保持された検体容器を収容した検体ラックを搬送する搬送ラインと、前記搬送ラインに沿って配置され、検体分注待ちの前記検体ラックを複数待機することができる分注ラインと、前記分注ライン上で分注された検体と試薬との反応時間が検体により異なる血液凝固時間項目が分析可能な複数の血液凝固分析部と、前記検体に対する分析依頼情報を読み取る読取部と、当該読み取った情報に基づいて、前記検体ラックの搬送動作を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、当該複数の血液凝固分析部のそれぞれについて分析中の検体、および待機中の検体に依頼された測定項目の予想測定時間の合計を求め、当該求めた予想測定時間の合計に基づいて、前記検体ラックの搬送先を決定することを特徴とする装置、及び当該装置を用いた分析方法を提供する。
【発明の効果】
【0018】
上記一態様によれば、反応時間が検体毎に異なる血液凝固時間項目を測定する複数の血液凝固分析部を有するモジュールタイプの構成においても、検体処理の平均化、効率化によって装置全体の処理能力を高く保ち、かつ試薬の無駄を低減した高効率の分析を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本実施の形態に係る2モジュールの血液凝固分析部を備えた自動分析装置の基本構成を示す図。
図2】本実施の形態に係る血液凝固分析部の基本構成を示す図。
図3】本実施の形態に係る検体ラックの予想測定時間の算出例を示す図。
図4】本実施の形態に係るラック供給部からの検体ラックの搬送経路の例を示す図。
図5】本実施の形態に係るラック待機部からの検体ラックの搬送経路の例を示す図。
図6】本実施の形態に係る分析動作を示すフローチャート。
図7】本実施の形態に係る分析部の検体の分注動作を示すフローチャート。
図8】本実施の形態に係るラック待機部でのラック待機動作を示すフローチャート。
図9】本実施の形態に係る再検査のシステム動作を示すフローチャート。
図10】本実施の形態に係る血液凝固分析部の分注ライン上のサンプリングエリアとラック退避エリアの基本構成を示す図。
図11】本実施の形態に係る緊急検体の分析のシステム動作を示すフローチャート。
図12】本一実施の形態に係る、分析部の緊急検体の分注動作を示すフローチャートである。
図13】本実施の形態に係る、複数の血液凝固分析部と、生化学分析部とを備える自動分析装置の基本構成を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を実施するための形態について図面を用いて詳細に説明する。なお、全体を通して、本実施の形態を説明するための各図において同一の機能を有する各構成部分については原則として同一の符号を付すようにし、説明を省略することがある。
【0021】
また、以下の説明において、血液凝固検査項目における合成基質項目又はラテックス項目を第1検査項目、血液凝固時間項目を第2検査項目ということがある。また、生化学測定項目を第3検査項目ということがある。
【0022】
第1検査項目の例として、Dダイマー、FDP、SFMC、PIC等が挙げられる。第2検査項目の例として、PT、APTT、Fbg等が挙げられる。第3検査項目の例として、ALT(アラニンアミノ基移転酵素)、AST(アスパラギン酸アミノ基移転酵素)等が挙げられる。
【第1の実施の形態】
【0023】
〈装置の全体構成〉
図1は、本実施の形態に係る2モジュールの血液凝固分析部を備えた自動分析装置の基本構成を示す図である。
【0024】
本図に示すように、モジュールタイプの自動分析装置100は、サンプルと試薬との混合液である反応液を分析する複数の分析部である、第1血液凝固分析部112、第2血液凝固分析部117を有し、各分析部に検体を供給するために、検体を収容する検体容器を搭載する検体ラック101を搬送する搬送ライン104、帰還ライン105を備えている。分析の対象となる血漿などの検体が入った検体容器を搭載した検体ラック101を搬送する搬送系の構成要素の一例として、検体ラック101を各分析部に搬送する搬送ライン104、帰還ライン105と、搬送ライン104上へ検体ラック101を供給するラック供給部102、分析が終了し、帰還ライン105上を移動してきた検体ラック101を収容するラック収納部103、分注待ちの検体ラックを待機させるラック待機部106、搬送ライン104、帰還ライン105とラック待機部106との間及びラック待機部106内で検体ラック101を移載するラックハンドリング機構107、検体ラック101の情報に基づいて帰還ライン105の上のラックの行き先を振り分けるラック振り分け機構109、振り分けられた検体ラック101をラック収納部103へ移動するラック戻し機構108、緊急の分析を要する検体ラック101を投入する緊急検体ラック投入部110、搬送ライン104上の検体ラック101に付されたバーコード等の情報を読み取る読取部(搬送ライン)111を示す。
【0025】
搬送ライン104に沿って配置される第1血液凝固分析部112の搬送系は、搬送ライン104から検体ラック101に収容されている検体に対する分析依頼情報を照合するための読取部(第1血液凝固分析部)116と、搬送ライン104から検体ラック101を受け取る第1ラック搬入機構114と、検体の分注が行われるサンプリングエリアを含むとともに検体の分注開始まで検体ラック101を待機可能である第1分注ライン113と、検体分注後の検体ラック101を搬送ライン104または帰還ライン105に搬送する第1ラックハンドリング機構115を備える。ここで、第1分注ライン113は、検体ラック101を検体ラック101の進行方向に対して同じ方向、反対の方向の双方向に移動可能な検体ラック搬送機構を備える。
【0026】
搬送ライン104に沿って配置される第2血液凝固分析部117の搬送系も、第1血液凝固分析部112の搬送系の構成と同様に、搬送ライン104から検体ラック101に収容されている検体に対する分析依頼情報を照合するための読取部(第2血液凝固分析部)121と、搬送ライン104から検体ラック101を受け取る第2ラック搬入機構119と、検体の分注が行われるサンプリングエリアを含むとともに検体の分注開始まで検体ラック101を待機可能である第2分注ライン118と、検体分注後の検体ラック101を帰還ライン105に搬送する第2ラックハンドリング機構120を備える。第2分注ライン118は、検体ラック101を検体ラック101の進行方向に対して同じ方向、反対の方向の双方向に移動可能な検体ラック搬送機構を備える。
【0027】
ここで、検体ラックの搬送は、上述した搬送ライン104の方式に限定されるものではなく、ベルトコンベア方式、ラックの後端部を押し出して移送する押し出しアーム方式等、ラックを移動させることができるものであればどのような方法でも適用可能である。
【0028】
また全体を通して、制御部122は、上述した検体ラック101の搬送動作や検体、試薬の分注動作、読取った情報に基づく検体ラック101の振り分け、搬入・搬出の動作等、検出結果に基づく血液凝固時間や目的成分の濃度の演算などのデータ処理動作等、自動分析装置を構成する種々の構成の動作や条件設定等の制御を実施する。また、制御部122には、分析条件に関する各種データや、オペレータからの指示等が入力されるキーボード等の入力部125と、入力された情報やサンプル、試薬などから読取った情報、検出結果に関する情報等を記憶する記憶部123、検出結果、及び自動分析装置の各種操作に係るグラフィカルユーザーインターフェース(GUI)等を表示する表示部124と接続されている。なお、本図において制御部122は各々の構成部に接続され、自動分析装置の全体を制御するものとしたが、構成部ごとに各々独立した制御部を備えるように構成することもできる。
【0029】
次に、図2を用いて上述した血液凝固分析部の構成についてより詳細に説明する。図2は、本実施の形態に係る血液凝固分析部の基本構成を示す図である。本図において、検体ラック101上の検体容器内に収容される検体を、測定に使用される反応容器201に分注する検体分注機構217と、この検体分注動作の対象となる反応容器201を配置でき、第1試薬分注機構219による希釈液や前処理液の分注を実施するためのボルテックス撹拌機能を備える検体分注ポート216と、待機状態の反応容器201を配置できる待機ポート210を複数備え、温調機能を有さない待機ブロック211と、反応容器201が複数個ストックされる反応容器マガジン202と、反応容器201を移送し、必要に応じて各ポジションへの搬入、搬出を行う反応容器移送機構212と、37℃に温度調整され、血液凝固時間を測定する直前に検体や希釈等の処理が施された前処理検体を昇温するプリヒートポート208を複数個備えたプリヒートブロック209と、同じく37℃に温調され血液凝固時間を測定する検出ポート206を複数個備えた検出ブロック207と、試薬が封入された試薬ボトルが内蔵されている試薬カセット203が円周状に配置され、約10℃に温度調整された試薬ディスク204と、試薬カセット供給部213に配置された試薬カセット203を試薬ディスク204に移送する試薬カセット移送機構215と、試薬ディスク204に移設された試薬カセット203の測定項目や使用期限等が入力されたバーコードやRFIDなどの媒体から試薬情報を読み取る試薬情報読取部205と、試薬カセット移送機構215により試薬ディスク204から取り出され、使用済みの試薬カセット203を収納する試薬カセット収納部214と、使用済みの反応容器201を廃棄する反応容器廃棄部223と、検体プローブを洗浄する検体プローブ洗浄槽218と、第1試薬分注機構219の試薬プローブを洗浄する第1試薬プローブ洗浄槽220と、第2試薬分注機構221の試薬プローブを洗浄する第2試薬プローブ洗浄槽222と、を備えている。
【0030】
ここで、本図には示していないが、検出ブロック207における検出ポート206の各々には、反応容器201に収容される検体と試薬との混合液である反応液に対して光を照射する光源と、光源からの光の散乱光または透過光を検出する受光部(検出器)とからなる光学系を備えている。
【0031】
血液凝固時間の測定は、検出された光のデータに基づいて制御部122において演算により求められる。
【0032】
第1血液凝固分析部112、第2血液凝固分析部117は、少なくとも第2検査項目の分析を実行することができる。
【0033】
図3は、本実施の形態に係る検体ラックの予想測定時間の算出例を示す図である。血液凝固測定に必要な時間を、(1)検体昇温時間、(2)インキュベート時間、(3)標準測定時間、(4)延長測定時間の4つに分類し、予想測定時間の算出に用いる。(1)検体昇温時間は、プリヒートブロック209にて予め昇温するため、検出ブロック207における測定時間に加える必要が無いため含めないようにすることができる。(2)インキュベート時間は、検体に前処理液を添加した後のインキュベートに要する各測定項目ごとに決められた固定の時間である。(3)標準測定時間は、臨床的な見地から任意に決定してもよいし(時間は固定となる)、過去の測定結果の平均値から自動で決定(この場合、時間は変動することがある)してもよい。(4)延長測定時間は、検体ごとに変動する時間である。代表的な測定項目として、PT、APTT、Fbg、ATIII、D−Dimerに対し、前記の4つの時間に分類した例を示した。
【0034】
それらの項目が、検体ラック101に搭載されている検体1〜検体5に対し、本図に示した内容で分析することがそれぞれ依頼されているとすると、(2)インキュベーション時間と、(3)標準測定時間を基に算出した合計標準測定時間と、(2)インキュベーション時間と、(3)標準測定時間と、(4)延長測定時間を基に算出した合計延長測定時間が得られる。合計標準測定時間を算出する際に、(3)標準測定時間を、記憶部123に記憶された過去の各々の項目についての測定結果に基づいて求められる平均値から自動で決定することもできる。このように構成することにより、自動分析装置を使用する施設に応じて最適化された予想測定時間の設定が可能となり、予想測定時間の正確性を向上することができる。
【0035】
また、記憶部123に記憶される、各検体の患者ID情報により同定される患者の過去の測定結果に基づいて、各検体の(3)標準測定時間を決定することもできる。患者ID情報から(3)標準測定時間を決定する方法としては、過去の全測定結果の平均値や、最近の複数回の測定結果の平均値や、最新の測定結果をそのまま用いる等の手法が考えられる。さらに、測定目的に応じて(3)標準測定時間を切り替える運用も考えられる。例えば、血栓症治療におけるワルファリン等の抗凝固薬効果のモニタリングが目的のPT測定の場合、血液凝固時間は通常の場合よりも延長されるため、通常測定より所定時間分だけ延長した標準測定時間を設定するモードに切り替えることで、予想測定時間の正確性を高めることができる。
【0036】
また、各検体の患者ID情報により同定される、患者の背景情報(所属する病院、病棟等)を利用して、上述した血栓症である可能性が高いと判断される場合には、同じように通常測定より所定時間分だけ延長した標準測定時間を設定するようにモードを切り替えることもできる。あるいは、反対に所定時間分だけ標準測定時間を短縮して設定するようにモードを切り替えることもできる。
【0037】
このように検体ラック101ごとに算出した合計標準測定時間を基に、各血液凝固分析部における予想測定時間(合計測定時間)を求め、制御部122は、合計の予想測定時間が最も短い分析部に検体ラック101を搬送するように搬送動作を制御する。
【0038】
ここで、制御部122は、第1血液凝固分析部112、第2血液凝固分析部117のそれぞれについて、検体ラック101における検体の測定が完了するたびに、実際の測定に要した測定時間に基づいて予想測定時間の合計を減算し、
かつ、新たに検体ラック101が供給されるたびに、当該供給された検体ラック101における各検体に依頼される測定項目に基づいて、予想測定時間の合計に加算することができる。
【0039】
また、算出した予想測定時間に基づいて取得される各検体や各検体ラックの予想測定終了時間を表示部124に表示することで、オペレータが測定終了までの時間を把握することが可能となる。
【0040】
このとき、合計延長測定時間と合計標準測定時間の差である測定時間変動幅を考慮して、予想測定時間に幅を持たせて表示すれば、オペレータに正しく測定終了時間を伝達することができる。
【0041】
上述した手法により求められた合計測定時間に基づいた、制御部122の搬送動作の制御により、検体ラック101は、図4に示すようなラック供給部102からの搬送経路や、図5に示すようなラック待機部からの搬送経路を経由して、合計測定時間の短い分析部に搬送される。
【0042】
ここで、図4は本実施の形態に係るラック供給部からの検体ラックの搬送経路の例を示す図である。本図に示すように、ラック供給部102から搬送ライン104上に移載された検体ラック101は、搬送ライン104上を経由して、第2ラック搬入機構119により第2血液凝固分析部117の第2分注ライン118に搬送される。
【0043】
また、図5は本実施の形態に係るラック待機部からの検体ラックの搬送経路の例を示す図である。本図に示すように、ラック待機部106から待機部ハンドリング機構107によって搬送されて搬送ライン104上に移載された検体ラック101は、搬送ライン104上を経由して、第2ラック搬入機構119により第2血液凝固分析部117の第2分注ライン118に搬送される。
【0044】
図6は、本実施の形態に係る分析動作を示すフローチャートである。入力部125により分析が依頼されると分析が開始し(図6a)、制御部122は、ラック供給部102に並べられた検体ラック101を搬送ライン104に移動する(図6b)。その後、検体ラック101及び検体ラック101に収容される検体容器に貼り付けられたバーコードラベル等の識別媒体を読取部(搬送ライン)111により読み取ることで、検体ラック番号及び検体容器番号が認識される。読取部(搬送ライン)111によって認識された検体ラック番号及び検体容器番号は、制御部122に伝達され、制御部122は、検体ラック101の種別、各検体容器に対し指示されている分析項目の種類等が、検体受付番号と対応させて入力部125から予め指示されている測定依頼情報と照合する(図6c)。照合結果は、記憶部123に記憶されてその後の検体ラック101の処理に利用される。さらに制御部122は、当該検体ラック101の合計の予想合計測定時間を算出した後(図6d)、各血液凝固分析部の合計測定時間を確認し(図6e)、検体ラック101の送り先が制御部122によって決定される(図6f)。ここで、図6eにおいては、各血液凝固分析部について求められた合計の予想測定時間が最も小さくなる血液凝固分析部を検体ラック101の搬送先として決定する。
【0045】
制御部122は、第1血液凝固分析部112の第1分注ライン113、または第2血液凝固分析部117の第2分注ライン118に空きがあるか否かを確認し(図6g)、空きが有れば検体ラック101を第1血液凝固分析部112または第2血液凝固分析部へと搬送し、検体の分注を開始する(図6i)。一方、第1分注ライン113または第2分注ライン118に空きが無い場合、制御部122は、待機部ハンドリング機構107を制御し、検体ラック101をラック待機部106に移動して待機させる(図6h)。
【0046】
ここで、ラック待機動作(図6h)について、図8を用いてより詳細に説明する。図8は、本実施の形態に係るラック待機部でのラック待機動作を示すフローチャートである。
【0047】
制御部122が検体ラック101をラック待機部106に移動させた後(図8a〜c)、制御部122は、随時、第1血液凝固分析部112の第1分注ライン113、または第2血液凝固分析部117の第2分注ライン118に空きがあるか否かを確認する(図8d)。空きが無い場合には、検体ラック101をラック待機部106で待機させる。空きが有る場合には、制御部122は、検体ラック101をラック待機部106から搬送ラインへ移動させる(図8e)。つまり、検体ラック101は、第1分注ライン113または第2分注ライン118に空きが生ずるまで待機する。
【0048】
次に、検体分注(図6i)について、図7を用いてより詳細に説明する。図7は、本実施の形態に係る分析部の検体の分注動作を示すフローチャートである。
【0049】
第1血液凝固分析部112へと搬送された検体ラック101(図7b)は、読取部(第1血液凝固分析部)116により検体ラック情報が照合され(図7c)、分析情報が確認される。制御部122は、第1ラック搬入機構114を制御し、搬送ライン104上から第1分注ライン113に検体ラック101を移動する(図7d)。制御部122は、分注位置まで検体ラック101を搬送し、その位置で分析が指示されている検体容器内に検体分注機構の分注ノズルを挿入して、検体を吸引し、第1血液凝固分析部112に備えられた反応容器への分注を行うように制御する(図7e)。同じ検体容器について2項目以上の検査が指示されている場合、及び、同じ検体ラック101上の他の検体容器に対し検査項目が指示されている場合には、引き続き同様に検体の分注動作が繰り返される。
【0050】
第1血液凝固分析部112について指示されている全ての分析項目に関する検体の分注が終了した検体ラック101を、制御部122は、第1ラックハンドリング機構115の対応位置まで分注位置から移動させる。その後、制御部122は、検体ラック101を第1分注ライン113から搬送ライン104に移動させる(図7f)。若しくは、制御部122は、後述のように検体ラック101を第1分注ライン113から帰還ライン105に移動させる(図6j)。
【0051】
指示されている全ての分析項目に関する検体の採取が終了した検体ラック101は、第1ラックハンドリング機構115の対応位置まで移動され、第1ラックハンドリング機構115によって帰還ライン105に移送される(図6j)。制御部122は、帰還ライン105によりラック振分機構109まで検体ラック101を搬送する(図6k)。ラック振分機構109まで搬送された検体ラック101の検体ラック番号は記憶部123に記憶されているため、コントロール検体用ラック、標準試料用ラック、及び洗浄液用ラック等の再検査が不要な検体ラック101か、再検査の可能性のある検体ラック101かは制御部122により既に判断されている。
【0052】
検体ラック101はその判断に基づいて、再検査が不要で有れば、制御部122の制御信号を受けたラック振分機構109によりラック戻し機構108に移送され、ラック戻し機構108によりラック収納部103へ収納される。
【0053】
一方、検体ラック101に再検査の可能性が有れば、待機部ハンドリング機構107に受け渡されラック待機部106へ運ばれ、再検査の要否が決定するまで待機する(図6l)。
【0054】
一方、各々の分析部の反応容器に採取された検体は、試薬分注機構によって分注された試薬と反応され、測定された各分析項目に対応するデータが制御部122へ出力される。制御部122は、予め設定されている判定規準と分析検査データを照合し、測定データが不適性である場合は、再検査が必要な検体であることを検体ラック番号及び検体容器番号と対応させて記憶部123に記憶され、再検査が実施される(図6m)。
【0055】
ここで、測定データが不適性である場合とは、例えば、測定データが予め設定されている判定規準を上回る、若しくは、下回る場合とがある。再検査が終了した検体ラック101は、待機部ハンドリング機構107にてラック待機部106から帰還ライン105に移送され(図6n)、帰還ライン105にてラック戻し機構108まで搬送され、ラック戻し機構108によりラック収納部103へ収納される(図6o)。第1回目の分析検査データ及び再検査の分析検査データは、制御部122によりマージされ(図6p)、表示部124に表示され(図6q)、分析終了となる(図6r)。
【0056】
第1分注ライン113は、検体ラック101を進行方向に対して前後に移動可能な検体ラック搬送機構を備えており、検体分注機構217は、順不同で検体ラック101上の検体にアクセスすることができる。そのため、検体によって反応時間が異なる凝固時間項目において、順不同で再検査を実施することができる。例えば、検体ラック101の進行方向に対して前から検体容器A、B、C、D、Eと並んでいるとすると、これまでの自動分析装置においては、検体容器A、B、C、D、Eの順番にアクセスしていたが、順不同とはこの順番に限らず、検体容器C、B、A、E、Dの順番などのあらゆる順番でもサンプリング機構はアクセスすることができることを意味する。例えば、制御部122は、第1分注ライン113の検体ラック搬送機構により、検体ラック101は進行方向とは逆の後ろに移動させることができ、検体容器C、BやE、Dの順番でサンプリング機構はアクセスすることができる。第2血液凝固分析部117での分析動作も、第1血液凝固分析部112と同様のため、説明は省略する。
【0057】
以下、再検査が行われる場合の制御について図9を用いて説明する。図9は、本実施の形態に係る再検査のシステム動作を示すフローチャートである。第1血液凝固分析部112や第2血液凝固分析部117の測定結果に基づき、制御部122により再検査が必要と判断された項目が検体ラック101の検体に存在する場合(図9a)、制御部122は、当該検体ラック101の合計測定時間を算出した後(図9b)、各血液凝固分析部の合計測定時間を確認し(図9c)、検体ラック101の送り先が制御部122によって決定される(図9d)。ここでは、再検査においても合計測定時間による搬送先分析部の選択を行ったが、初回の分析部にて再検査するように制御してもよい。
【0058】
制御部112は、第1血液凝固分析部112の第1分注ライン113、または第2血液凝固分析部117の第2分注ライン118に空きがあるか否かを確認し(図9e)、空きが有れば検体ラック101は第1血液凝固分析部112または第2血液凝固分析部117へと搬送され(図9g)、検体の分注が開始される(図9h)。分第1分注ライン113または第2分注ライン118に空きが無い場合、そのままラック待機部106にて、分注ラインに空きが生ずるまで待機する(図9f)。
【0059】
制御部122は、すべての項目の再検査に関する検体の分注が終了した検体ラック101を帰還ライン105によりラック振分機構109まで搬送し(図9i)、待機部ハンドリング機構107に検体ラック101を受け渡し、ラック待機部106へ運ぶ(図9j)。制御部122は、すべての項目の再検査要否が決定したかどうかを確認する(図9k)。すべての項目の再検査の要否が決定していないと確認された場合には、ラック待機部106で待機する(図9l)。
【0060】
以下、本実施の形態に係る緊急検体分析におけるシステム動作について、図10〜12を用いて説明する。ここで、図10は、本実施の形態に係る血液凝固分析部の分注ライン上のサンプリングエリアとラック退避エリアの基本構成を示す図である。本図に示すように、第1血液凝固分析部112または第2血液凝固分析部117における、第1分注ライン113または第2分注ライン118上のそれぞれにおいて、検体の分注が行われるサンプリングエリア224と、サンプリングエリア224の上流側(ここで、上流側とは、ラック供給部102に近い側をいうものとする)に位置するラック退避エリア225が設けられている。
【0061】
図11は、本実施の形態に係る緊急検体の分析のシステム動作を示すフローチャートである。
【0062】
入力部125により緊急検体分析が依頼されると分析が開始し、緊急検体ラック投入部110に検体ラック101が設置されると、緊急検体ラック投入部110にある検体ラック101がラック供給部102に存在する検体ラック101に優先して搬送ライン104に移載される(図11a〜b)。
【0063】
検体ラック101は搬送ライン104に移載された後、検体ラック101及び検体ラック101に収容される検体容器に貼り付けられたバーコードラベル等の識別媒体を読取部(搬送ライン)111により読み取ることで、検体ラック番号及び検体容器番号が認識される(図11c)。読取部(搬送ライン)111によって認識された検体ラック番号及び検体容器番号は、制御部122に伝達され、検体ラック101の種別や、各検体容器に対し指示されている分析項目の種類等が、検体受付番号と対応させて入力部125から予め指示されている分析情報と照合され、その照合結果に基づいて検体ラック101の送り先が制御部122によって決定される。ここで、これらの分析項目の種類等の分析情報や、検体ラック101の搬送先情報は、記憶部123に記憶されてその後の検体ラック101の処理に利用される。
【0064】
制御部122は、当該検体ラック101の合計測定時間を算出した後(図11d)、各凝固分析部での測定中項目の合計測定時間を確認し(図11e)、検体ラック101の送り先が制御部122によって決定される(図11f)。測定中項目の合計測定時間は、検出ポート206、およびプリヒートポート208上の測定中項目の測定時間を用いて算出される。また、検出ポート206や、プリヒートポート208や、待機ポート210に、緊急検体用のポートを確保しておくと、より迅速な緊急検体分析が可能となる。
【0065】
図12は、本実施の形態に係る分析部における緊急検体の分注動作を示すフローチャートである。
【0066】
検体ラック101は搬送先の分析部の読取部まで搬送され、読取部により分析情報が照合される(図12a〜c)。サンプリングエリア224に検体分注中の検体ラック101が存在するか確認され(図12d)、検体ラック101が存在しない場合、該検体ラック101はラック搬入機構の対応位置まで搬送ライン104によって搬送される(図12h)。搬送ライン104上に停止された検体ラック101はラック搬入機構により分注ライ
ンに移載され(図12i)、移載された検体ラック101は、サンプリングエリア224に移動され(図12j)、分析が指示されている検体容器内に検体分注機構の分注ノズルが挿入されて反応容器への分注がなされる(図12k)。
【0067】
サンプリングエリア224に検体ラック101が存在する場合は、サンプリングエリア224にある検体ラック101をラック退避エリア225に後退させて、サンプリングエリア224を空ける(図12e)。緊急検体が搭載された検体ラック101は、搬送ライン104によりラックハンドリング機構まで搬送され(図12f)、ラックハンドリング機構によりサンプリングエリア224に移送され(図12g)、分析が指示されている検体容器内に検体分注機構の分注ノズルが挿入されて反応容器への分注がなされる(図12k)。
【0068】
サンプリング中の検体ラック101と緊急検体が搭載された検体ラック101の移送は、各々実施してもよいし、緊急検体が搭載された検体ラック101が分注ラインに移送された後に、両方の検体ラック101を同時に移動させてもよい。
【0069】
指示されている全ての分析項目に関する検体の分注が終了した検体ラック101は、ラックハンドリング機構の対応位置まで移動され(図12l)、ラックハンドリング機構によって搬送ライン104上へ移載される(図12m)。さらに、当該検体ラック101は、ラックハンドリング機構によって帰還ライン105に移送され(図11h)、帰還ライン105によりラック振分機構109まで搬送される。
【0070】
搬送された検体ラック101は、再検査が不要で有れば、制御部122の制御信号を受けたラック振分機構109によりラック戻し機構108に移送され、ラック戻し機構108によりラック収納部103へ収納される。検体ラック101に再検査の可能性が有れば、待機部ハンドリング機構107に受け渡されラック待機部106へ運ばれ、再検査の要否が決定するまで待機する(図11i)。制御部122は、予め設定されている判定規準と分析検査データを照合し、測定データが不適性な場合は、再検査が必要な検体であることを検体ラック番号及び検体容器番号と対応させて記憶部123に記憶する(図11k)。再検査が不要と判定された検体ラック101は、待機部ハンドリング機構107にてラック待機部106から帰還ライン105に移送され、帰還ライン105にてラック戻し機構108まで搬送され、ラック戻し機構108によりラック収納部103へ収納される。第1回目の分析検査データ及び再検査の分析検査データは、表示部124に表示される(図11l〜n)。
【0071】
また、全ての再検査について、上述した緊急検体分析と同様の動作を用いることで、再検査も含めた検査結果報告までの時間を短縮することができる。
【0072】
図13は、本実施の形態に係る、複数の血液凝固分析部と、生化学分析部と、を備えた自動分析装置の基本構成を示す図である。
【0073】
生化学分析部301は、公知の構成から成り、主に、検体ラック101から検体を吸引する検体分注機構と、吸引した検体を吐出する反応セル、反応セルをその円周上に複数個配置することができ、時計回り、反時計回りに回転自在なディスク状のユニットである反応ディスク302、反応セル内で検体と混合させる試薬を保持する試薬保管庫であり、時計回り、反時計回りに回転自在なディスク状のユニットであって試薬を収容する試薬容器をその円周上に複数個配置できる試薬ディスク303と、当該試薬を反応セルに吐出する試薬分注機構と、反応セル内の検体と試薬の混合液に光を照射して、吸光度を測定する検出器とその光源からなる光学系と、当該検出器から得られるデータから当該混合液に含まれる所定の成分濃度を算出する演算部とを備える。
【0074】
生化学分析部301は、少なくとも第3検査項目の分析ができる。分析部の配置は、検体ラック101の渋滞を抑制するために、一般的に検体処理能力の高い生化学分析部301を血液凝固分析部112、117の上流側に配置することが望ましい。また、第1検査項目や第3検査項目は、第2検査項目と異なり項目によって反応時間が決まっているため測定のスケジューリングが容易であるという観点からも、生化学分析部301を血液凝固分析部112、117の上流側に配置することが望ましい。
【0075】
本実施の形態によれば、同一検体ラック中に第1検査項目と第2検査項目の測定依頼があった場合に、制御部は、第1検査項目を生化学分析部で測定し、第2検査項目を凝固時間分析部で測定するよう検体ラックの搬送経路を決定し、搬送ラインを制御することで、処理能力の高い自動分析装置を提供することができる。
【0076】
また、同一検体ラック中に第1検査項目と第2検査項目の測定依頼があった場合に、制御部は、生化学分析部での検体吸引を行った後、血液凝固時間分析部での検体吸引を行うよう検体ラックの搬送経路を決定し、搬送ラインを制御することで、処理能力の高い自動分析装置を提供することができる。しかしながら、分析部の配置に関しては、血液凝固時間分析部112,117が生化学分析部301の下流側に配置される必要性はなく、血液凝固分析部112、117が生化学分析部301の上流側に配置される構成も可能である。
【0077】
また、同一検体ラック中に第1検査項目と第2検査項目の測定依頼があった場合に、制御部は、生化学分析部301での検体吸引を行った後、第1分注ライン113または第2分注ライン118に空きがある場合は分注ラインに当該検体ラックを搬送し、分注ラインに空きがない場合はラック待機部106に当該検体ラック101を搬送するよう搬送ライン104を制御し、分注ラインに空きが生じた後に当該検体ラック101をラック待機部106から第1分注ライン113または第2分注ライン118に搬送することで、処理能力の高い自動分析装置を提供することができる。
【0078】
また、当該検体ラック101には、複数の検体容器が搭載され、制御部は、当該複数の検体容器のうち、第2検査項目においては再検査が必要と判断した順番に検体容器から検体を分注するよう分注ラインにおける当該検体ラック101の位置を制御することで、処理能力の高い自動分析装置を提供することができる。
【0079】
また、同一検体ラックにおいて、前記第1、第2、第3検査項目のすべての測定依頼があった場合に、制御部は、当該検体ラックの第2検査項目のすべての検査項目の再検査要否が決定した時点で、当該検体ラックの第2検査項目の再検査のための検体吸引の終了時間が、第1および第3検査項目のすべての再検査の要否が決定するまでの時間よりも早い場合に、当該検体ラックを第2分注ラインに搬送するよう前記搬送ラインを制御することで、処理能力の高い自動分析装置を提供することができる。
【符号の説明】
【0080】
100・・・自動分析装置
101・・・検体ラック
102・・・ラック供給部
103・・・ラック収納部
104・・・搬送ライン
105・・・帰還ライン
106・・・ラック待機部
107・・・待機部ハンドリング機構
108・・・ラック戻し機構
109・・・ラック振分機構
110・・・緊急検体ラック投入部
111・・・読取部(搬送ライン)
112・・・第1血液凝固分析部
113・・・第1分注ライン
114・・・第1ラック搬入機構
115・・・第1ラックハンドリング機構
116・・・読取部(第1血液凝固分析部)
117・・・第2血液凝固分析部
118・・・第2分注ライン
119・・・第2ラック搬入機構
120・・・第2ラックハンドリング機構
121・・・読取部(第2血液凝固分析部)
122・・・制御部
123・・・記憶部
124・・・表示部
125・・・入力部
201・・・反応容器
202・・・反応容器マガジン
203・・・試薬カセット
204・・・試薬ディスク
205・・・試薬情報読取部
206・・・検出ポート
207・・・検出ブロック
208・・・プリヒートポート
209・・・プリヒートブロック
210・・・待機ポート
211・・・待機ブロック
212・・・反応容器移送機構
213・・・試薬カセット供給部
214・・・試薬カセット収納部
215・・・試薬カセット移送機構
216・・・検体分注ポート
217・・・検体分注機構
218・・・検体プローブ洗浄槽
219・・・第1試薬分注機構
220・・・第1試薬プローブ洗浄槽
221・・・第2試薬分注機構
222・・・第2試薬プローブ洗浄槽
223・・・反応容器廃棄部
224・・・サンプリングエリア
225・・・ラック退避エリア
301・・・生化学分析部
302・・・反応ディスク
303・・・試薬ディスク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13