特許第6611376号(P6611376)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6611376
(24)【登録日】2019年11月8日
(45)【発行日】2019年11月27日
(54)【発明の名称】位置検出システム
(51)【国際特許分類】
   G01S 5/02 20100101AFI20191118BHJP
   G01S 5/14 20060101ALI20191118BHJP
【FI】
   G01S5/02 A
   G01S5/14
【請求項の数】3
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2017-553681(P2017-553681)
(86)(22)【出願日】2016年10月6日
(86)【国際出願番号】JP2016079776
(87)【国際公開番号】WO2017094350
(87)【国際公開日】20170608
【審査請求日】2018年3月20日
(31)【優先権主張番号】特願2015-236852(P2015-236852)
(32)【優先日】2015年12月3日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000010098
【氏名又は名称】アルプスアルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】若菜 慶悟
(72)【発明者】
【氏名】山田 幸光
(72)【発明者】
【氏名】高井 大輔
【審査官】 安井 英己
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭64−006721(JP,A)
【文献】 特開2015−135249(JP,A)
【文献】 特開平01−312410(JP,A)
【文献】 特開2014−190827(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0018811(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0119086(US,A1)
【文献】 米国特許第8957812(US,B1)
【文献】 特開2014−009964(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 5/00− 5/14,
G01S 19/00−19/55,
H04W 64/00,
G01C 21/00−21/36,
G01C 23/00−25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の固定局と、移動体の移動履歴を検出する慣性センサ及び前記移動体と前記固定局との間の離間距離を検出する測距センサを有したセンサユニットと、を備え、
前記移動履歴に基づいて得られる第1到達位置と、前記離間距離に基づいて得られる第2到達位置と、前記第1到達位置と前記第2到達位置との間の相対距離と、を検出し、
前記移動履歴に基づいて得られる範囲値と前記相対距離とを比較することによって、前記移動体の位置を確定する位置検出システムであって、
前記移動履歴に伴って前記範囲値を大きくしていき、採用する前記移動体の位置が第1到達位置から、移動とは無関係に変動する誤差要因を有する第2到達位置に切り替わった時点で、前記範囲値の大きさを、前記範囲値の初期の大きさに戻す、
ことを特徴とする位置検出システム。
【請求項2】
前記相対距離が前記範囲値以内ならば、前記移動体の位置として前記第2到達位置を採用し、
前記相対距離が前記範囲値を超えるならば、前記移動体の位置として前記第1到達位置を採用する、
ことを特徴とする請求項1記載の位置検出システム。
【請求項3】
前記慣性センサは、移動体の移動時の角速度を検知して進行角度を検出する角速度センサと、前記移動体の移動時の加速度を検知して移動距離を検出する加速度センサと、を有して構成されている、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の位置検出システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車等の物品の位置を検出するための位置検出システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、GPS(Global Positioning System)を使用した移動体の位置検出システムが知られている。GPSを用いることによって正確に移動体の位置を検出することが可能となる。このような位置検出システムである移動体監視システム900が特許文献1に開示されている。図8に、第1従来例としての移動体監視システム900の構成を示す。
【0003】
移動体監視システム900は、テストコース902を走行する移動体車両(テスト車両)について、その走行状態を監視する車両監視システムである。図8において、複数台のテスト車両901(901−1、901−2、…)は、各種走行テストを行うことによって、性能試験や耐久試験を行うための自動二輪車である。コース外910には基地局無線装置903が設置される。基地局無線装置903は、コース外周に沿って所定の間隔で数箇所配置され(図では4つ)、無線LAN(Local Area Network)によって、テスト車両901との間で無線通信を行う。
【0004】
基地局無線装置903は、複数の電子基準局908(908−1、908−2、…)にネットワーク接続されており、電子基準局908にはGPSアンテナとGPS受信機が設置されている。各電子基準局908の受信データはコンピュータで計算処理されて、電子基準局908の正確な設置位置が特定されている。電子基準局908の有するGPS受信機は、GPS衛星911からGPS観測データを取得する。
【0005】
このように構成された移動体監視システム900は、テストコース内を走行する自動二輪車の転倒や、テストコースからの車両逸脱等の異常を検出するとともに、自動二輪車の正確な走行位置を特定することができる。即ち、屋外のテストコースを走行する移動体の位置を、GPSを用いることによって正確に検出することが可能である。
【0006】
しかしながら、このような位置検出システムを、移動体が倉庫内を移動するような位置検出システムに採用しようとした場合、倉庫の構造体によりGPSからの電波が遮られるためGPSを用いることができなかった。そのため、移動体監視システム900のような位置検出システムを採用することができなかった。
【0007】
そこで、移動体が倉庫内を移動するような位置検出システムの場合には、GPSを使用せず、慣性センサと測距センサ(RF(Radio Frequency)センサ)とを使用して位置を検出するシステムが考えられる。このような位置検出システムである第2従来例としての位置検出システム800の構成を図9に示す。
【0008】
位置検出システム800には、複数の固定局820(820−1、820−2、820−3、820−4)が倉庫860の4隅に設けられている。位置検出システム800では、慣性センサと測距センサとを有したセンサユニット810を移動体851である位置検出作業者が持った状態で、位置検出の対象物855に向かって倉庫内を移動する。
【0009】
位置検出システム800においては、慣性センサを使用した測位結果P81、及び複数の固定局820と測距センサとを使用した測位結果P82が得られる。
【0010】
しかし、慣性センサによる測位結果には少なからず誤差が生じる。また、測距センサによる測位結果は、マルチパスの影響を受ける可能性がある。従って、慣性センサによる測位結果P81及び測距センサによる測位結果P82が、どちらも実際の位置とは異なってしまう場合がある。そこで、移動体851の位置の検出方法として、慣性センサを用いて測位した位置P81と測距センサを用いて測位した位置P82とを比較することによって、実際の位置により近いと考えられる方を採用するという方法が用いられる。
【0011】
位置検出システム800では、まず、慣性センサを用いて測位した位置P81を中心として半径r1の円を設定し、半径r1の円内に測距センサを用いて測位した位置P82があるかどうかを判定する。上記半径r1は、慣性センサによる測位結果に生じる誤差を考慮して決定される。そして、半径r1の円内に測距センサを用いて測位した位置P82がある場合は、移動体851の位置として測距センサを用いて測位した位置P82を採用し、半径r1の円内に測距センサを用いて測位した位置P82がない場合は、移動体851の位置として慣性センサを用いて測位した位置P81を採用する。
【0012】
このように構成された位置検出システム800では、慣性センサと測距センサとを組み合わせて位置を確定させることによって、慣性センサによる測位結果、又は、測距センサによる測位結果のうちの、より正確な測位結果を検出することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2006−101290公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
位置検出システム800では、上述した慣性センサによる測位結果に生じる誤差を考慮して決定される半径r1の大きさが一定であった。しかしながら、慣性センサによる測位結果においては、移動体である作業者が倉庫内を移動した場合、移動する距離が長くなるに従って誤差が累積していくため、測位結果に生じる誤差が漸次増加してしまうという問題があった。
【0015】
従って、位置検出システム800のような位置検出システムでは、移動体の移動距離が長くなった時、測距センサによる測位結果の方が実際の位置に近い場合であっても、移動体の位置として慣性センサを用いて測位した位置を採用することになってしまっていた。その結果、その測位結果に大きな誤差が生じてしまうという問題があった。
【0016】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、移動体が倉庫内を移動する場合であっても、移動体の位置を正確に検出することが可能な位置検出システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
この課題を解決するために、本発明の位置検出システムは、複数の固定局と、移動体の移動履歴を検出する慣性センサ及び前記移動体と前記固定局との間の離間距離を検出する測距センサを有したセンサユニットと、を備え、前記移動履歴に基づいて得られる第1到達位置と、前記離間距離に基づいて得られる第2到達位置と、前記第1到達位置と前記第2到達位置との間の相対距離と、を検出し、前記移動履歴に基づいて得られる範囲値と前記相対距離とを比較することによって、前記移動体の位置を確定する位置検出システムであって、前記範囲値の大きさを、前記移動履歴に基づいて変化させる、という特徴を有する。
【0018】
このように構成された位置検出システムは、慣性センサが検出した移動履歴に基づく第1到達位置と測距センサが検出した離間距離に基づく第2到達位置との間の相対距離と、移動履歴に基づいて得られる範囲値と、を比較し、当該範囲値の大きさを、慣性センサによる誤差の大きさに対応させて変化させるので、移動体の位置を正確に検出することが可能となる。
【0019】
また、上記の構成において、前記相対距離が前記範囲値以内ならば、前記移動体の位置として前記第2到達位置を採用し、前記相対距離が前記範囲値を超えるならば、前記移動体の位置として前記第1到達位置を採用する、という特徴を有する。
【0020】
このように構成された位置検出システムは、移動体の位置が範囲値の大きさを基準として決定されるので、移動体の位置をより正確に検出することが可能となる。
【0021】
また、上記の構成において、前記移動履歴に伴って前記範囲値を大きくしていき、採用する前記移動体の位置が第1到達位置から第2到達位置に切り替わった時点で、前記範囲値の大きさを、前記範囲値の初期の大きさに戻す、という特徴を有する。
【0022】
このように構成された位置検出システムは、採用された移動体の位置が第1到達位置から第2到達位置に切り替わった時点で、範囲値の大きさを初期の範囲値の大きさに戻すので、移動体の移動距離が大きくなっても、移動体の位置を精度良く確定することができる。
【0023】
また、上記の構成において、前記慣性センサは、移動体の移動時の角速度を検知して進行角度を検出する角速度センサと、前記移動体の移動時の加速度を検知して移動距離を検出する加速度センサと、を有して構成されている、という特徴を有する。
【0024】
このように構成された位置検出システムは、慣性センサが角速度センサと加速度センサとを有しているので、移動体の位置の検出を容易に行なうことができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明の位置検出システムは、慣性センサが検出した移動履歴に基づく第1到達位置と測距センサが検出した離間距離に基づく第2到達位置との間の相対距離と、移動履歴に基づいて得られる範囲値と、を比較し、当該範囲値の大きさを、慣性センサによる誤差の大きさに対応させて変化させるので、移動体の位置を正確に検出することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の位置検出システムを示す模式図である。
図2】センサユニットの構成を示すブロック図である。
図3】固定局の構成を示すブロック図である。
図4】慣性センサによる位置検出方法を示す模式図である。
図5】測距センサによる位置検出方法を示す模式図である。
図6】検出位置の確定方法に関する模式図である。
図7】検出位置の確定方法に関するフローチャートである。
図8】第1従来例に関わる位置検出システムを示す模式図である。
図9】第2従来例に関わる位置検出システムを示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の位置検出システム100の実施形態について図面を参照しながら説明する。位置検出システム100は、例えば、倉庫内に搬入されている自動車等の物品の位置を検出するための位置検出システムであり、特に、移動体である位置検出作業者が対象物に向かって倉庫内を移動するような場合の位置検出システムに関する。尚、本発明の位置検出システム100の用途については、これに限定されるものではなく適宜変更が可能である。また、本明細書では、特に断りの無い限り、各図面のX1側を右側、X2側を左側、Y1側を奥側、Y2側を手前側として説明する。
【0028】
まず、位置検出システム100の概略構成について、図1を用いて説明する。また、センサユニット10の構成、及び固定局20の構成について、図2及び図3を用いて説明する。
【0029】
図1は、位置検出システム100の概略的な構成を示す模式図であり、位置検出の対象物55が搬入されている倉庫60を上方から見た時の模式図である。対象物55は、自家用車やトラック等の車両であることを想定しているが、それ以外にも、二輪車や物流基地における物品であっても良い。
【0030】
図1に示すように、車両等の対象物55が搬入されている倉庫60内において位置検出システム100が構成される。倉庫60の構造は鉄筋コンクリート造りであり、駐車スペース63は周囲をコンクリートで取り囲まれている。そのため、外部からの電波が遮断される状態になっており、GPSを使用した位置検出方法を採用することができない。
【0031】
倉庫60の駐車スペース63には、駐車位置の管理が必要な対象物55が、1台又は複数台運び込まれているが、その駐車位置は、予め決められているわけではない。そのため、管理が必要な対象物55及びその他の車両等はランダムに置かれていることになる。従って、管理すべき対象物55が駐車スペース63内のどの位置に駐車されているかを検出することが必要となる。
【0032】
図1に示すように、倉庫60内に搬入されている対象物55の位置を検出するために、移動体51である位置検出作業者が対象物55に向かって倉庫60内を移動する。移動体51は、位置検出のためのセンサユニット10を保持している。移動体51が対象物55の存在している位置に到達した時、移動体51のその時の位置を、対象物55の位置として判定する。
【0033】
図1に示す倉庫60の四隅の壁の上部には複数の固定局20が設けられている。複数の固定局20は、右側手前に設けられた第1固定局20−1と、右側奥に設けられた第2固定局20−2と、左側奥に設けられた第3固定局20−3と、左側手前に設けられた第4固定局20−4と、から成る。第1固定局20−1と第2固定局20−2と第3固定局20−3と第4固定局20−4それぞれの内部構成は、それぞれのIDを除いて全て同一である。尚、本発明の実施形態では、複数の固定局20が4ヶ所に設けられているが、固定局20は少なくとも3ヶ所に設けられておれば良い。また、倉庫60の内側に柱が設けられている場合には、柱による通信障害を解消するために、追加の固定局20が設けられていても良い。
【0034】
図2は、センサユニット10の構成を示すブロック図であり、図3は、固定局20の構成を示すブロック図である。
【0035】
センサユニット10は、図2に示すように、センサユニットRF回路部11と、センサユニット制御部13と、慣性センサ15と、センサユニットメモリ19と、を有して構成されている。慣性センサ15は、角速度センサ15aと加速度センサ15bと、を有している。センサユニットRF回路部11と角速度センサ15aと加速度センサ15bとセンサユニットメモリ19とは、それぞれセンサユニット制御部13に接続されている。
【0036】
センサユニットRF回路部11には、測距センサ11aと送受信アンテナ11bとが設けられており、図1に示した複数の固定局20との間で通信を行い、移動体51と各固定局20との間の離間距離を検出することができるように構成されている。
【0037】
慣性センサ15内の角速度センサ15aは、移動体51の移動時の角速度を検知して進行角度を検出する。また、加速度センサ15bは、Z方向(X方向とY方向とに垂直な方向)の衝撃を検出して歩数をカウントし、「歩数×歩幅(所定値) = 移動距離」として移動距離を検出する。尚、移動距離の算出方法として、加速度センサ15bが移動体51の移動時の加速度を検知して移動体51の移動時の速度を検出し、当該検出した速度によって移動距離を検出する方法もある。
【0038】
慣性センサ15は、このように検出された進行角度と移動距離とによって移動体51の位置を検出することができるように構成されている。即ち、慣性センサ15は、移動体51の移動履歴に基づいて移動体51の位置を検出する。センサユニット10内のセンサユニットメモリ19には、個々のセンサユニット10に付与されたIDが記憶されている。
【0039】
複数の固定局20、即ち第1固定局20−1、第2固定局20−2、第3固定局20−3、第4固定局20−4はそれぞれ、図3に示すように、固定局RF回路部21と、固定局制御部23と、固定局メモリ29と、を備えて構成されている。固定局RF回路部21と固定局メモリ29とは、それぞれ固定局制御部23に接続されている。固定局RF回路部21は、移動体51とそれぞれの固定局20との間の離間距離を検出するために設けられており、固定局RF回路部21には送受信アンテナ21aが取り付けられている。固定局メモリ29には、複数の固定局20それぞれに付与された個別のIDが記憶されている。また、センサユニット10に付与されたIDも固定局メモリ29に記憶されている。
【0040】
次に、移動体51の位置を検出し確定する方法について、図2乃至図7を用いて説明する。本発明では、慣性センサ15によって検出される、移動体51の移動履歴に基づいて得られる第1到達位置P1(図4参照)と、測距センサ11aと複数の固定局20との間の離間距離に基づいて得られる第2到達位置P2(図5参照)との、2つの到達位置を比較して位置を確定する方法を用いている。
【0041】
最初に、第1到達位置P1を検出する方法について、図2及び図4を用いて説明する。図4は、第1到達位置P1の位置検出方法を示す模式図である。
【0042】
図4に示すように、移動体51の最初の位置、即ち、センサユニット10のスタート位置を基準位置P0とする。センサユニット10を有する移動体51は、基準位置P0からスタートし、倉庫60内を対象物55に向けて移動して、第1到達位置P1に到達する。
【0043】
図2に示したセンサユニット10における慣性センサ15内の角速度センサ15aは、所定時間毎に移動軌跡31上における移動体51の移動時の角速度を検知し、検知した角速度を積分することによって基準位置P0を出発点として移動したそれぞれの位置における移動体51の進行角度を検出する。
【0044】
また、前述したように、加速度センサ15bは、Z方向(X方向とY方向とに垂直な方向)の衝撃を検出して歩数をカウントし、「歩数 ×歩幅(所定値) = 移動距離」として移動距離を検出する。尚、歩幅は、移動体51である位置検出作業者の身長に、所定の係数を予め掛けて算出しておく。
【0045】
上記角速度の積分は、図2に示したセンサユニット10内のセンサユニット制御部13で行われる。また、検出された移動体51の進行角度及び移動距離をセンサユニット制御部13で演算して基準位置P0に対する第1到達位置P1を算出する。このようにして、最初の第1到達位置P1が検出される。この第1到達位置P1は、図2に示したセンサユニット10内のセンサユニットメモリ19に記憶される。このような検出方法を繰り返すことにより、移動体51の最終の到達位置における第1到達位置P1を得ることができる。
【0046】
次に、第2到達位置P2を検出する方法について、図2図3及び図5を用いて説明する。図5は、センサユニット10と複数の固定局20との間の通信による位置検出方法を示す模式図である。尚、固定局20は、図5に示す複数の固定局20のうち、3つあれば良いため、本実施形態では、センサユニット10に比較的近い第1固定局20−1、第2固定局20−2、及び第3固定局20−3を使用する。
【0047】
図2で示したセンサユニット10のセンサユニットRF回路部11、及び図3で示した複数の固定局20の固定局RF回路部21は、通信信号(RF信号)を送受信可能な送受信部を、それぞれ備えている。
【0048】
図5に示すように、センサユニット10を有する移動体51は、倉庫60内を対象物55に向けて移動して、第2到達位置P2に到達する。この時、図2に示したセンサユニットRF回路部11は、移動体51と複数の固定局20、即ち第1固定局20−1、第2固定局20−2、及び第3固定局20−3それぞれとの間の離間距離D1、D2、D3を測定するための測定用信号を、送受信アンテナ11bを介して、センサユニット制御部13が指示したタイミングで送信する。
【0049】
前述したように、移動体51の保持するセンサユニット10にはIDが与えられており、センサユニットメモリ19には、このIDが予め記憶されている。上記測定用信号は、このIDが付加された状態で複数の固定局20それぞれに送信される。複数の固定局20それぞれでは、送信された測定用信号内のIDと、固定局20内の固定局メモリ29に記憶されている移動体51の保持するセンサユニット10に与えられたIDとを照合して、移動体51を確定することができる。
【0050】
図3に示した第1固定局20−1の固定局RF回路部21が、図2に示したセンサユニット10のセンサユニットRF回路部11から送信された測定用信号を送受信アンテナ21aによって受信すると、固定局制御部23は、受信した測定用信号の信号強度を測定し、その測定結果を応答信号として固定局RF回路部21及び送受信アンテナ21aを介して送信させる。
【0051】
この応答信号を図2に示すセンサユニット10のセンサユニットRF回路部11が送受信アンテナ11b及び測距センサ11aを介して受信すると、センサユニット制御部13は、第1固定局20−1の固定局RF回路部21で検出した信号強度に基づいてセンサユニット10と第1固定局20−1との間の離間距離D1を算出する。(図5参照)その後、この離間距離D1をセンサユニットメモリ19に記憶させる。尚、離間距離D1の算出方法としては、信号強度から算出する方法以外にも、位相差、光学式、超音波式などから算出する算出方法もある。
【0052】
第2固定局20−2及び第3固定局20−3についても、第1固定局20−1の場合と同様に、センサユニット10と第2固定局20−2との間の離間距離D2、及びセンサユニット10と第3固定局20−3との間の離間距離D3を算出し、それぞれセンサユニットメモリ19に記憶させる。
【0053】
上記のセンサユニット10と第1固定局20−1との間の離間距離D1は、図5に示すように、第1固定局20−1を中心点とした第1円弧20−1aで表すことができる。従って、センサユニット10は、この第1円弧20−1a上にある。また、センサユニット10と第2固定局20−2との間の離間距離D2は、第2固定局20−2を中心点とした第2円弧20−2aで表すことができる。従って、センサユニット10は、この第2円弧20−2a上にある。更に、センサユニット10と第3固定局20−3との間の離間距離D3は、第3固定局20−3を中心点とした第3円弧20−3aで表すことができる。従って、センサユニット10は、この第3円弧20−3a上にある。
【0054】
その結果、センサユニット10の倉庫60内の位置は、これらの第1円弧20−1a、第2円弧20−2a、及び第3円弧20−3aが交差する点となり、センサユニット10の第2到達位置P2を検出することができる。即ち、第2到達位置P2は、センサユニット10と複数の固定局20それぞれとの間の離間距離D1、D2、D3に基づいて得られる。
【0055】
尚、例えば、第1固定局20−1と第3固定局20−3の2つの固定局20による第1円弧20−1a及び第3円弧20−3aとの交点として位置P2‘も存在するが、この場合の位置P2‘は、正しい位置ではない。第1固定局20−1による第1円弧20−1aと第3固定局20−3による第3円弧20−3aとの2つの円弧の交点を、第2固定局20−2による第2円弧20−2aが交差する交点を求めることによって初めて、センサユニット10の正しい位置である第2到達位置P2を得ることができる。
【0056】
尚、前述した第1到達位置P1を検出する方法における、図4で示した、センサユニット10のスタート位置、即ち基準位置P0は、測距センサ11aと複数の固定局20とを使用した、上述した第2到達位置P2を検出する方法と同一の方法を用いて検出することができる。検出した基準位置P0は、センサユニットメモリ19及び複数の固定局20それぞれの固定局メモリ29に記憶される。
【0057】
ところで、前述したように、位置検出の対象物55が格納される倉庫60は、鉄筋コンクリートで構築されている。従って、前述したセンサユニットRF回路部11から送信される測定用信号及び固定局RF回路部21から送信される応答信号においては、倉庫60のコンクリートの天井、床、及び四方にある壁で反射するため、マルチパスが発生し易い。従って、上述した測距センサ11aで検出した第2到達位置P2は、マルチパスの影響を受けて、必ずしも正確な位置を示しているとは言えない。
【0058】
また、前述したように、第1到達位置P1を検出するための移動履歴は、移動体51の移動時の角速度及び加速度を検知し、検知した角速度を積分すること、及び検知した加速度から得られる歩数と所定値の歩幅によって得られる。一般的に、角速度又は加速度を積分すると、積分値には少なからず誤差が生じ、積分する度にその誤差が累積していく。従って、上述した慣性センサ15で検出した第1到達位置P1も、必ずしも正確な位置を示しているとは言えない。
【0059】
そこで、位置検出システム100では、第1到達位置P1と第2到達位置P2との間の相対距離を検出し、移動履歴に基づいて得られる範囲値と当該相対距離とを比較することによって、移動体51の位置を確定すると共に、当該範囲値の大きさを、移動体51の移動履歴に基づいて変化させることによって、確定する移動体51の位置がより正確になるようにした。
【0060】
移動体51の位置を確定するための具体的な方法について、図6及び図7を用いて説明する。図6は、検出位置の確定方法に関する模式図である。図7は、検出位置の確定方法に関するフローチャートである。図6には、移動体51の第1到達位置P1と第2到達位置P2と移動体51の実際の位置(P0〜P0N)とを同時に示している。それと共に、第1到達位置P1と第2到達位置P2との間の相対距離L1と、第1到達位置P1を中心点とした、半径が範囲値R1の大きさを有する円32とを、同時に示している。また、対象物55及び倉庫60の四隅にある複数の固定局20も示している。尚、範囲値R1は、第1到達位置P1を中心点とした円32の半径として表すことができる。また、円32の半径である範囲値R1の大きさは、第1到達位置P1の位置によって異なる。
【0061】
今後、上述した慣性センサ15を使用して移動体51の位置を検出する方法を第1検出方法、測距センサ11aと複数の固定局20との間の通信によって移動体51の位置を検出する方法を第2検出方法と称する。
【0062】
第1検出方法による移動体51の第1到達位置P1と、第2検出方法による移動体51の第2到達位置P2とは、必ずしも同一の位置にはならない。その理由は、前述したように、第1到達位置P1が角速度を積分すること、及び加速度から得られる歩数と所定値の歩幅によって生じる誤差の影響を受けるためであり、第2到達位置P2がマルチパスの影響を受けるためである。従って、第1到達位置P1と第2到達位置P2との間には、上述の相対距離L1が発生する。
【0063】
位置検出システム100では、図7に示すように、以下の手順を踏んで処理を行なう。尚、ステップ0の後、各測定タイミングの度にステップ1〜ステップ4の処理を行なう。ステップ0:基準位置P0を測定し、基準位置P0の位置を確定させる。
ステップ1:第1到達位置P1と第2到達位置P2との間の相対距離L1を測定する。
ステップ2:相対距離L1が範囲値R1以内ならば、到達位置として第2到達位置P2を採用し、相対距離L1が範囲値R1を超えるならば、第1到達位置P1を採用する。
ステップ3:採用されたデータ位置が第1到達位置P1から第2到達位置P2に変更になったら、範囲値R1を初期の範囲値R0に戻してステップ1に戻り、それ以外はステップ4に進む。
ステップ4:範囲値R1の値を拡げて、ステップ1に戻る。
【0064】
ステップ0における基準位置P0の測定は、前述した第2検出方法、即ち、測距センサ11a及び複数の固定局20を用いた方法で実施される。この測定により、移動体51の初期における位置である基準位置P0が確定される。
【0065】
センサユニット10を保持した移動体51は、基準位置P0からスタートし、倉庫60内を対象物55に向けて移動する。そして、図6に示すように、最初の移動位置P01(実際の位置)に到達する。この時、第1検出方法によって最初の第1到達位置P1が得られ、第2検出方法によって最初の第2到達位置P2が得られる。この時のステップ1における相対距離L1は、第1到達位置P1と第2到達位置P2との差を求めることによって得られる。尚、最初の移動位置P01では、まだ対象物55に到達していないものとする。
【0066】
この移動位置P01における範囲値R1を初期の範囲値R0とする。初期の範囲値R0は、角速度の積分及び歩数と歩幅によって生じる誤差が累積していないため、変化する範囲値R1の中で最も小さく設定されている。
【0067】
この移動位置P01におけるステップ2において、相対距離L1が範囲値R1以内即ち初期の範囲値R0以内かどうかが判定される。相対距離L1が初期の範囲値R0以内ならば、位置データとして第2到達位置P2が採用され、相対距離L1が初期の範囲値R0を超えるならば、位置データとして第1到達位置P1が採用される。
【0068】
図6に示す例では、相対距離L1が初期の範囲値R0以上であるため、位置データとして第1到達位置P1が採用される。尚、到達位置の検出が最初の検出であるため、採用データの変化はない。従って、ステップ3における判定において、“P1→P2“は生じていないため、ステップ4に進む。
【0069】
ステップ4としては、範囲値R1の大きさが初期の範囲値R0から所定の大きさの範囲値R1に拡げられて、その大きさに設定される。そして、ステップ1に戻る。
【0070】
次に、移動体51は、移動位置P01から移動して、図6に示すように、例えば、移動位置P02に移る。この時も、第1検出方法によって第1到達位置P1が得られ、第2検出方法によって第2到達位置P2が得られ、更に、ステップ1における相対距離L1が求められる。そして、相対距離L1の大きさによって、第1到達位置P1又は第2到達位置P2が採用される。
【0071】
例えば、図6に示すように、移動位置P02の時の相対距離L1がその時の範囲値R1以上である場合、位置データとして第1到達位置P1が採用される。そして、ステップ3における判定では、“P1→P2“となっていないため、ステップ4に進み、範囲値R1の大きさが拡げられ、所定の大きさの範囲値R1に設定される。そして、またステップ1に戻る。
【0072】
このようにして複数回処理を進めていくと、図6に示すように、例えば、移動体51が移動位置P0Lに移り、第1到達位置P1及び第2到達位置P2が検出され、ステップ1における相対距離L1が求められる。そして、移動位置P0Lの時の相対距離L1がその時の範囲値R1を超える場合がある。この場合、位置データとして第1到達位置P1が採用されるが、ステップ3における判定では、“P1→P2“とはなっていない。そのため、この場合もステップ4に進み、範囲値R1の大きさが拡げられ、所定の大きさの範囲値R1に設定される。そして、またステップ1に戻る。
【0073】
次に、図6に示すように、例えば、移動体51が移動位置P0Mに移り、第1到達位置P1及び第2到達位置P2が検出され、相対距離L1が求められる。そして、移動位置P0Mの時の相対距離L1がその時の範囲値R1以内になる場合がある。この場合、位置データとして第2到達位置P2が採用される。従って、ステップ3における判定で、“P1→P2“となる。そのため、この場合はステップ4に進まず、範囲値R1の大きさを拡げずに、初期の範囲値R0に戻した後にステップ1に戻る。
【0074】
そして、図6に示すように、例えば、移動位置P0Nに移り、第1到達位置P1及び第2到達位置が検出され、相対距離L1が求められて、位置の確定が行なわれる。この移動位置P0Nにおいては、範囲値R1の大きさが初期の範囲値R0となっている。それと共に、移動位置P0Nの前の位置、即ち移動位置P0Mにおける第2到達位置P2の位置が、新しい基準位置P0として採用される。その状態から、再び移動体51の位置の検出及び確定がなされる。
【0075】
このようにして、移動体51が最終的に対象物55に到達するまで、位置の検出及び確定が繰り返し行なわれる。その結果、位置検出の対象物55の位置が確定される。
【0076】
以下、本実施形態としたことによる効果について説明する。
【0077】
位置検出システム100は、慣性センサ15が検出した移動履歴に基づく第1到達位置P1と測距センサ11aが検出した離間距離(D1〜D3)に基づく第2到達位置P2との間の相対距離L1と、移動履歴に基づいて得られる範囲値R1と、を比較し、当該範囲値R1の大きさを、慣性センサ15による誤差の大きさに対応させて変化させるので、移動体51の位置を正確に検出することが可能となる。
【0078】
また、位置検出システム100は、移動体51の位置が範囲値R1の大きさを基準として決定されるので、移動体51の位置をより正確に検出することが可能となる。
【0079】
また、位置検出システム100は、採用された移動体51の位置が第1到達位置P1から第2到達位置P2に切り替わった時点で、範囲値R1の大きさを初期の範囲値R0の大きさに戻すので、移動体51の移動距離が大きくなっても、移動体51の位置を精度良く確定することができる。
【0080】
また、位置検出システム100は、慣性センサ15が角速度センサ15aと加速度センサ15bとを備えているので、移動体51の位置の検出を容易に行なうことができる。
【0081】
以上説明したように、本発明の位置検出システムは、慣性センサが検出した移動履歴に基づく第1到達位置と測距センサが検出した離間距離に基づく第2到達位置との間の相対距離と、移動履歴に基づいて得られる範囲値と、を比較し、当該範囲値の大きさを、慣性センサによる誤差の大きさに対応させて変化させるので、移動体の位置を正確に検出することが可能となる。
【0082】
本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲で種々変更して実施することが可能である。
【符号の説明】
【0083】
10 センサユニット
11 センサユニットRF回路部
11a 測距センサ
11b 送受信アンテナ
13 センサユニット制御部
15 慣性センサ
15a 角速度センサ
15b 加速度センサ
19 センサユニットメモリ
20 固定局
20−1 第1固定局
20−1a 第1円弧
20−2 第2固定局
20−2a 第2円弧
20−3 第3固定局
20−3a 第3円弧
20−4 第4固定局
21 固定局RF回路部
21a 送受信アンテナ
23 固定局制御部
29 固定局メモリ
31 移動軌跡
32 円
51 移動体
55 対象物
60 倉庫
63 駐車スペース
100 位置検出システム
P0 基準位置
P1 第1到達位置
P2 第2到達位置
P01 実際の位置
P02 実際の位置
P0L 実際の位置
P0M 実際の位置
P0N 実際の位置
D1 離間距離
D2 離間距離
D3 離間距離
L1 相対距離
R0 範囲値
R1 範囲値
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9