特許第6623093号(P6623093)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6623093
(24)【登録日】2019年11月29日
(45)【発行日】2019年12月18日
(54)【発明の名称】車体の側部構造
(51)【国際特許分類】
   B60J 5/00 20060101AFI20191209BHJP
   B62D 25/04 20060101ALI20191209BHJP
【FI】
   B60J5/00 P
   B62D25/04 A
   B62D25/04 B
【請求項の数】5
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-56934(P2016-56934)
(22)【出願日】2016年3月22日
(65)【公開番号】特開2017-171002(P2017-171002A)
(43)【公開日】2017年9月28日
【審査請求日】2018年12月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】株式会社SUBARU
(74)【代理人】
【識別番号】110000383
【氏名又は名称】特許業務法人 エビス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】長澤 勇
【審査官】 宮地 将斗
(56)【参考文献】
【文献】 特表2007−504980(JP,A)
【文献】 特開2013−154784(JP,A)
【文献】 特開2008−230458(JP,A)
【文献】 特開平10−258767(JP,A)
【文献】 特開2005−138661(JP,A)
【文献】 特開2001−206244(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2002/0043817(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60J 5/00
B62D17/00−25/08
B62D25/14−29/04
B60R21/00、21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フロントピラーとリアピラーとの間に乗員室の乗降口が形成されるとともに前記乗降口がセンタピラーにより前後に分断される車体と、
前記フロントピラーと前記センタピラーとの間を開閉可能に塞ぐフロントドアと、
前記センタピラーと前記リアピラーとの間を開閉可能に塞ぐリアドアと、
前記フロントドア内において前後方向に沿って延在するフロントドアビームであって、前記センタピラー側の後端が前記フロントピラー側の前端より車幅方向外側に位置するように設けられるフロントドアビームと、
前記フロントドアまたは前記フロントピラーにおいて前記フロントドアビームの前端と高さ位置を揃えて設けられるフロント受部と、
前記リアドア内において前記フロントドアビームと高さ位置を揃えて前後方向に沿って延在するリアドアビームであって、前記センタピラー側の前端が前記リアピラー側の後端より車幅方向外側に位置するように設けられるリアドアビームと、
前記リアドアまたは前記リアピラーにおいて前記リアドアビームの前端と高さ位置を揃えて設けられるリア受部と、
を有し、
前記フロントドアおよび前記リアドアに対して側方から他の車体などの構造物が衝突した場合に、前記フロントドアビームおよび前記リアドアビームが、前記センタピラーの外側において又は前記センタピラーを間に挟んで互いに連結されるとともに、前記フロント受部および前記リア受部を介して前記フロントピラーと前記リアピラーとに支持され、前記フロントピラーと前記リアピラーとの間で車幅方向外方へ向かって凸となるアーチ形状を形成する、
車体の側部構造。
【請求項2】
前記フロント受部として、前記フロントドアにおいて前記フロントドアビームの前端と高さ位置を揃えて設けられるドア側フロント受部と、前記フロントピラーにおいて前記フロントドアビームの前端と高さ位置を揃えて設けられる車体側フロント受部とを有し、
前記ドア側フロント受部と前記車体側フロント受部とは、互いに係合する形状を有する、
請求項1記載の車体の側部構造。
【請求項3】
前記リア受部として、前記リアドアにおいて前記リアドアビームの前端と高さ位置を揃えて設けられるドア側リア受部と、前記リアピラーにおいて前記リアドアビームの前端と高さ位置を揃えて設けられる車体側リア受部とを有し、
前記ドア側リア受部と前記車体側リア受部とは、互いに係合する形状を有する、
請求項1または2記載の車体の側部構造。
【請求項4】
前記フロントピラー内において前記フロント受部と高さ位置を揃えて前後方向に沿って延在するフロント伝達部材であって、後端が前端より車幅方向外側に位置するように設けられるフロント伝達部材と、
前記リアピラー内において前記リア受部と高さ位置を揃えて前後方向に沿って延在するリア伝達部材であって、前端が後端より車幅方向外側に位置するように設けられるリア伝達部材と、
を有する、
請求項1から3のいずれか一項記載の車体の側部構造。
【請求項5】
前記車体を構成する高剛性部材と、
前記車体において前記フロント伝達部材または前記リア伝達部材と高さ位置を揃えて、前記高剛性部材と前記フロントピラーまたは前記リアピラーとの間に設けられる荷重伝達部材と、
を有する、
請求項4記載の車体の側部構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車体の側部構造に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車などの車両の車体では、乗員が乗車してシートに着座する乗員室を有する。また、乗員室には、乗員が乗降するための乗降口が形成される。
このような乗降口に対してたとえば他の車体が衝突する場合、乗降口による大きな開口が形成されているため、衝撃荷重を車体の基本的な構造で吸収し難い。
そこで、特許文献1では、乗降口に対して開閉可能に設けられたドア内にドアビームを設ける。これにより、乗降口から乗員室内へ他の車体がそのまま突入し難くなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012−206619号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1のようなドアビームは、ドア内において単に前後方向に沿って延在するだけである。
このため、ドアが変形すると、ドアビームは、最善でも、その両端がたとえば乗降口の前側の縁に沿って設けられるフロントピラーの外側と乗降口の中央に縦に立設されるセンタピラーとの外側に当たるだけである。その結果、他の車体が側方から強く当たる場合、ドアビームが折れ曲がり、乗降口から乗員室内へ他の車体が侵入する可能性がある。
また、ドアビームの長さがフロントピラーからセンタピラーまでの間隔より短い場合には、ドアビームはそのような機能も果たし得ない。
【0005】
このように車両では、側面衝突での衝撃吸収性能を向上させることが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る車体の側部構造は、フロントピラーとリアピラーとの間に乗員室の乗降口が形成されるとともに前記乗降口がセンタピラーにより前後に分断される車体と、前記フロントピラーと前記センタピラーとの間を開閉可能に塞ぐフロントドアと、前記センタピラーと前記リアピラーとの間を開閉可能に塞ぐリアドアと、前記フロントドア内において前後方向に沿って延在するフロントドアビームであって、前記センタピラー側の後端が前記フロントピラー側の前端より車幅方向外側に位置するように設けられるフロントドアビームと、前記フロントドアまたは前記フロントピラーにおいて前記フロントドアビームの前端と高さ位置を揃えて設けられるフロント受部と、前記リアドア内において前記フロントドアビームと高さ位置を揃えて前後方向に沿って延在するリアドアビームであって、前記センタピラー側の前端が前記リアピラー側の後端より車幅方向外側に位置するように設けられるリアドアビームと、前記リアドアまたは前記リアピラーにおいて前記リアドアビームの前端と高さ位置を揃えて設けられるリア受部と、を有し、前記フロントドアおよび前記リアドアに対して側方から他の車体などの構造物が衝突した場合に、前記フロントドアビームおよび前記リアドアビームが、前記センタピラーの外側において又は前記センタピラーを間に挟んで互いに連結されるとともに、前記フロント受部および前記リア受部を介して前記フロントピラーと前記リアピラーとに支持され、前記フロントピラーと前記リアピラーとの間で車幅方向外方へ向かって凸となるアーチ形状を形成する。
【0007】
好適には、前記フロント受部として、前記フロントドアにおいて前記フロントドアビームの前端と高さ位置を揃えて設けられるドア側フロント受部と、前記フロントピラーにおいて前記フロントドアビームの前端と高さ位置を揃えて設けられる車体側フロント受部とを有し、前記ドア側フロント受部と前記車体側フロント受部とは、互いに係合する形状を有する、とよい。
【0008】
好適には、前記リア受部として、前記リアドアにおいて前記リアドアビームの前端と高さ位置を揃えて設けられるドア側リア受部と、前記リアピラーにおいて前記リアドアビームの前端と高さ位置を揃えて設けられる車体側リア受部とを有し、前記ドア側リア受部と前記車体側リア受部とは、互いに係合する形状を有する、とよい。
【0009】
好適には、前記フロントピラー内において前記フロント受部と高さ位置を揃えて前後方向に沿って延在するフロント伝達部材であって、後端が前端より車幅方向外側に位置するように設けられるフロント伝達部材と、前記リアピラー内において前記リア受部と高さ位置を揃えて前後方向に沿って延在するリア伝達部材であって、前端が後端より車幅方向外側に位置するように設けられるリア伝達部材と、を有する、とよい。
【0010】
好適には、前記車体を構成する高剛性部材と、前記車体において前記フロント伝達部材または前記リア伝達部材と高さ位置を揃えて、前記高剛性部材と前記フロントピラーまたは前記リアピラーとの間に設けられる荷重伝達部材と、を有する、とよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明では、フロントドアビームは、センタピラー側の後端がフロントピラー側の前端より車幅方向外側に位置するように設けられ、リアドアビームは、フロントドアビームと高さ位置を揃えてセンタピラー側の前端がリアピラー側の後端より車幅方向外側に位置するように設けられ、フロントドアおよびリアドアに対して側方から他の車体などの構造物が衝突した場合に、フロントドアビームおよびリアドアビームが、センタピラーの外側において又はセンタピラーを間に挟んで互いに連結されるとともに、フロント受部およびリア受部を介してフロントピラーとリアピラーとに支持され、フロントピラーとリアピラーとの間で車幅方向外方へ向かって凸となるアーチ形状を形成する。
このようにフロントピラーとリアピラーとに支持された状態で、フロントピラーとリアピラーとの間に、車幅方向外方へ向かって凸となるアーチ形状の衝撃吸収構造を形成することにより、乗降口へ向かって側方から他の車体などの構造物が衝突する場合、その衝撃を外凸のアーチ形状の衝撃吸収構造により吸収することができる。
また、衝撃の一部を、フロント受部およびリア受部を介してフロントピラーおよびリアピラーへ伝え、フロントピラーおよびリアピラーから車体へ伝達することができる。
その結果、乗降口における車体変形を抑えて、単にドアビームの両端がフロントピラーの外側とセンタピラーとの外側とに当たるだけの場合と比べて、高い衝撃吸収性能を得ることができる。他の車体などの構造物が乗員室に入り込む前に、その構造物のエネルギーを吸収でき、安全性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、本発明の実施形態に係る自動車の車体の側面を透視した概略図である。
図2図2は、図1の車体の横断面の概略図である。
図3図3は、図1の車体の車幅方向での縦断面の概略図である。
図4図4は、図1の車体に適用される側部構造の説明図である。
図5図5は、図4のフロントドアビームおよびリアドアビームを含む、側面衝突の際のドアの変形動作説明図である。
図6図6は、側面衝突の衝撃荷重とその吸収構造の説明図である。
図7図7は、第1の変形例に係る側部構造の説明図である。
図8図8は、第2の変形例に係る側部構造の説明図である。
図9図9は、第3の変形例に係る側部構造の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態を、図面に基づいて説明する。
【0014】
図1は、本発明の実施形態に係る自動車1の車体2の側面を透視した概略図である。
図2は、図1の自動車1の車体2の横断面の概略図である。
図3は、図1の自動車1の車幅方向での縦断面の概略図である。
【0015】
図1から図3に示す車体2は、乗員が着座するシート6が設置される乗員室4、乗員室4の前側に位置する前室3、乗員室4の後側に位置する後室5、を有する。
乗員室4の下面には、フロアパネル11が設けられる。フロアパネル11の車幅方向両側には、一対のサイドシル12が設けられる。
乗員室4の上面には、ルーフパネル13が設けられる。ルーフパネル13の車幅方向両側には、一対のルーフレール14が設けられる。
乗員室4と前室3とは、トーボード15により仕切られる。トーボード15は、フロアパネル11の前縁に立設される。トーボード15の車幅方向両側には、一対のフロントピラー16が設けられる。フロントピラー16は、サイドシル12の前端の位置からルーフレール14の前端の位置へ向かって、乗員室4の前隅に沿って上下方向に延在する。フロントピラー16は、インナパネル16Aとアウタパネル16Bとを中空状態で互いの外周縁をかしめたものでよい。トーボード15から前には、前室3において、一対のフロントサイドフレーム31が延在する。
乗員室4と後室5とは、リアパネル17により仕切られている。リアパネル17は、フロアパネル11の後縁に立設される。リアパネル17の車幅方向両側には、一対のリアピラー18が設けられる。リアピラー18は、サイドシル12の後端の位置からルーフレール14の後端の位置へ向かって、乗員室4の後隅に沿って上下方向に延在する。リアピラー18は、インナパネル18Aとアウタパネル18Bとを中空状態で互いの外周縁をかしめたものでよい。リアパネル17から後には、後室5において、一対のリアサイドフレーム32が延在する。
乗員室4の左右両側面には、一対の乗降口19が設けられる。乗降口19は、サイドシル12、フロントピラー16、リアピラー18およびルーフレール14により囲われる。
サイドシル12の中央部とルーフレール14の中央部との間には、センタピラー20が設けられる。センタピラー20により、乗降口19は前後に分断される。センタピラー20は、インナパネル20Aとアウタパネル20Bとを中空状態で互いの外周縁をかしめたものでよい。
乗降口19には、フロントピラー16とセンタピラー20との間を開閉可能に塞ぐフロントドア21と、センタピラー20とリアピラー18との間を開閉可能に塞ぐリアドア22と、が設けられる。
フロントドア21は、インナパネル21Aとアウタパネル21Bとを中空状態で互いの外周縁をかしめたものでよい。フロントドア21の前縁は、ヒンジ部材によりフロントピラー16の外面に対して回転可能に取り付けられる。フロントドア21の後縁には、センタピラー20に係止するためのロック機構が設けられる。フロントドア21は、閉じられた状態で、その外周縁が、フロントピラー16、ルーフレール14、センタピラー20、およびサイドシル12と重なる。
リアドア22は、インナパネル22Aとアウタパネル22Bとを中空状態で互いの外周縁をかしめたものでよい。リアドア22の前縁は、ヒンジ部材によりセンタピラー20の外面に対して回転可能に取り付けられる。リアドア22の後縁には、リアピラー18に係止するためのロック機構が設けられる。フロントドア21は、閉じられた状態で、その外周縁が、センタピラー20、ルーフレール14、リアピラー18、およびサイドシル12と重なる。
【0016】
ところで、このような車体2において、乗員室4に対して車体2の側方からたとえば他の車体が衝突することが考えられる。乗員室4の車幅方向両側には、乗降口19による大きな開口が形成されているため、衝撃荷重を車体2の基本的な構造で吸収し難い。
そこで、たとえば図1に示すように、乗降口19に対して開閉可能に設けられたフロントドア21およびリアドア22に対して、前後方向に沿って延在するフロントドアビーム23およびリアドアビーム24を設けることが考えられる。
しかしながら、単に、ドア内に前後方向に沿って延在するドアビームを設けた場合、最善でも、ドアビームの前端および後端がピラーの外側に当たるだけである。そして、ドアビームは、ドアに対して固定されているものの、ピラーそのものに対しては固定されていない。そして、他の車体が側方から強く当たる場合、ドアビームが折れ曲がり、変形するドアとともにドアビームが乗降口19から乗員室4内へ押し込まれてしまう可能性がある。
また、図1と異なり、ドアビームの長さがピラー同士の間隔より短い場合には、ドアビームの端部がピラーの外側に当たることも期待できない。
このように車両では、側面衝突での衝撃吸収性能を向上させることが求められている。
【0017】
図4は、図1の車体2に適用される側部構造の説明図である。
【0018】
図4に示すように、フロントドア21内にはフロントドアビーム23が設けられ、リアドア22内にはリアドアビーム24が設けられる。
フロントドアビーム23およびリアドアビーム24は、たとえば高剛性金属を棒形状に形成したものである。フロントドアビーム23およびリアドアビーム24は、図1に示すように、互いの高さ位置を揃えて、他の車体のバンパーの高さ位置において一直線状に配置される。
フロントドアビーム23は、フロントピラー16の後面から、センタピラー20の外面に重なる位置までの長さを有する。フロントドアビーム23の前端は、フロントドア21のインナパネル21A寄りに設けられ、後端は、フロントドア21のアウタパネル21B寄りに設けられる。これにより、フロントドアビーム23は、センタピラー20側の後端が、フロントピラー16側の前端より、車幅方向外側に位置する。
リアドアビーム24は、センタピラー20の外面に重なる位置から、リアピラー18の前面までの長さを有する。リアドアビーム24の前端は、リアドア22のアウタパネル22B寄りに設けられ、後端は、リアドア22のインナパネル22A寄りに設けられる。これにより、リアドアビーム24は、センタピラー20側の前端が、リアピラー18側の後端より、車幅方向外側に位置する。
また、後述する図5に示すように、フロントドアビーム23の後端面には、その中央部分がえぐられて、嵌合凹部25が形成される。リアドアビーム24の前端部は、円錐状にとがった形状に形成されて、嵌合凸部26が形成される。
【0019】
また、フロントドア21には、フロントドアビーム23の前端と高さ位置を揃えてドア側フロント受部33が設けられる。フロントピラー16には、フロントドアビーム23の前端と高さ位置を揃えて車体側フロント受部34が設けられる。ドア側フロント受部33および車体側フロント受部34は、L字型に屈曲させた鋼板からなり、互いに重ね合わせることにより係合する形状を有する。
また、フロントピラー16内には、車体側フロント受部34と高さ位置を揃えてフロント伝達部材35が設けられる。フロント伝達部材35は、フロントピラー16内で前後方向に沿って延在し、後端が前端より車幅方向外側に位置するように設けられる。
【0020】
また、リアドア22には、リアドアビーム24の後端と高さ位置を揃えてドア側リア受部36が設けられる。リアピラー18には、リアドアビーム24の前端と高さ位置を揃えて車体側リア受部37が設けられる。ドア側リア受部36および車体側リア受部37は、L字型に屈曲させた鋼板からなり、互いに重ね合わせることにより係合する形状を有する。
また、リアピラー18内には、車体側リア受部37と高さ位置を揃えてリア伝達部材38が設けられる。リア伝達部材38は、リアピラー18内で前後方向に沿って延在し、前端が後端より車幅方向外側に位置するように設けられる。
【0021】
図5は、図4のフロントドアビーム23およびリアドアビーム24を含む、側面衝突の際のドアの変形動作説明図である。
図5において、左側には、フロントピラー16の周辺部分が図示され、右側には、センタピラー20の周辺部分が図示されている。
【0022】
図5(A)に示すように、衝突前においては、閉じたフロントドア21およびリアドア22は変形していない。この場合、フロントドアビーム23およびリアドアビーム24は、フロントドア21およびリアドア22の内部の所定の位置にある。すなわち、フロントドアビーム23の後端、およびリアドアビーム24の前端は、センタピラー20の外側に位置する。また、フロントドアビーム23の嵌合凹部25とリアドアビーム24の嵌合凸部26とは、前後方向に離間している。
【0023】
図5(B)に示すように、側面への衝突が開始すると、閉じたフロントドア21およびリアドア22は、他の車体などの構造物が側面から内側へ突入する荷重により、変形し始める。
そして、まず、閉じたフロントドア21のアウタパネル21Bおよびリアドア22のアウタパネル22Bが、車幅方向の内側へ変形し、フロントドアビーム23の後端およびリアドアビーム24の前端に接触する。また、更に他の車体が突入すると、フロントドアビーム23の後端およびリアドアビーム24の前端は、アウタパネル21B,22Bとともに車幅方向の内側へ変形し始める。そして、図5(C)に示すように、リアドアビーム24の前端の嵌合凸部26は、リアドア22の前面を突き破ってリアドア22から前外へ突出する。なお、衝突の状況によっては、フロントドアビーム23の後端も、フロントドア21の後面を突き破ってフロントドア21から後外へ突出する。
【0024】
更に他の車体が突入すると、図5(D)に示すように、リアドアビーム24の前端の嵌合凸部26は、フロントドア21の後面を突き破ってフロントドア21内へ侵入し、フロントドアビーム23の後端の嵌合凹部25内へ入る。このように他の車体が大きく突入すると、フロントドアビーム23とリアドアビーム24とが、センタピラー20の外側で離間した位置において、互いに連結される。
このように、フロントドア21とリアドア22との内部に設けられたフロントドアビーム23とリアドアビーム24とは、他の車体が突入することによる衝突荷重により車幅方向内側へ向かって変形し、フロントドア21とリアドア22とを突き抜け、センタピラー20から外側へ離れた位置において互いに連結され、フロントピラー16とリアピラー18との間に車幅方向外方へ向かって凸となるアーチ形状の骨格を形成する。
【0025】
よって、互いに連結されたフロントドアビーム23とリアドアビーム24とは、他の車体が更に突入することにより互いに連結された状態のままで車幅方向内側へ押し込まれて、フロントピラー16の後面とリアピラー18の前面との間においてこれらに両側から挟まれて支持される状態となる。なお、フロントドアビーム23とリアドアビーム24とは、図5(D)に示すように、フロントピラー16とリアピラー18との間に挟まれて支持された状態において、センタピラー20から外側へ離間している。
【0026】
また、フロントドアビーム23は、図5(C)に示すように、リアドアビーム24と連結された状態で車幅方向内側へ押し込まれることにより、少しずつ前へ押される。その結果、図5(D)に示すように、フロントドアビーム23の前端は、ドア側フロント受部33に圧接され、さらにドア側フロント受部33を車体側フロント受部34に圧接する。
【0027】
また、リアドアビーム24も同様に、フロントドアビーム23と連結された状態で車幅方向内側へ押し込まれることにより、少しずつ後へ押される。その結果、リアドアビーム24の前端は、ドア側リア受部36に圧接され、さらにドア側リア受部36を車体側リア受部37に圧接する。
【0028】
よって、車幅方向外方へ向かって凸となるアーチ形状の骨格構造は、フロントピラー16とリアピラー18との間に嵌まり込む。
【0029】
図6は、側面衝突の衝撃荷重とその吸収構造の説明図である。
【0030】
フロントドアビーム23とリアドアビーム24とは、図6に示すように、センタピラー20の外側に離れた位置において互いに連結されるようにフロントピラー16とリアピラー18との間に挟み込まれ、車幅方向外方へ向かって凸となるアーチ形状の骨格構造を形成する。
また、凸となるアーチ形状の骨格構造を支えるフロントピラー16には、フロント伝達部材35が、その後端が前端より車幅方向外側に位置するように設けられている。リアピラー18には、リア伝達部材38が、その前端が後端より車幅方向外側に位置するように設けられている。
このため、側方から車体2に衝突する他の車体の衝突荷重は、センタピラー20に作用する前に、まず、このアーチ形状の荷重受け構造に作用する。衝突荷重の一部は、外凸のアーチ形状の骨格構造を通じて、車体2のフロントピラー16およびリアピラー18に作用する。フロントピラー16およびリアピラー18に作用した力は、フロント伝達部材35またはリア伝達部材38を通じて、車体2の高剛性部材へ伝達される。よって、側面衝突の衝突荷重の一部をフロントピラー16およびリアピラー18を通じて車体2へ逃がし、これにより吸収することができる。車体2のたとえばトーボード15、フロントサイドフレーム31、リアパネル17、リアサイドフレーム32などの高剛性部材へ逃がすことができる。その分、フロントピラー16、センタピラー20、およびリアピラー18が変形し難くなる。
【0031】
以上のように、本実施形態では、フロントドアビーム23は、センタピラー20側の後端がフロントピラー16側の前端より車幅方向外側に位置するように設けられ、リアドアビーム24は、フロントドアビーム23と高さ位置を揃えてセンタピラー20側の前端がリアピラー18側の後端より車幅方向外側に位置するように設けられ、フロントドア21およびリアドア22に対して側方から他の車体などの構造物が衝突した場合に、フロントドアビーム23およびリアドアビーム24が、センタピラー20の外側において又はセンタピラー20を間に挟んで互いに連結されるとともに、フロント受部33,34およびリア受部36,37を介してフロントピラー16とリアピラー18とに支持され、フロントピラー16とリアピラー18との間で車幅方向外方へ向かって凸となるアーチ形状を形成する。
このようにフロントピラー16とリアピラー18とに支持された状態で、フロントピラー16とリアピラー18との間に、車幅方向外方へ向かって凸となるアーチ形状の衝撃吸収構造を形成することにより、乗降口19へ向かって側方から他の車体などの構造物が衝突する場合、その衝撃を外凸のアーチ形状の衝撃吸収構造により吸収することができる。
また、衝撃の一部を、フロント受部33,34およびリア受部36,37を介してフロントピラー16およびリアピラー18へ伝え、フロントピラー16およびリアピラー18から車体2へ伝達することができる。
その結果、乗降口19における車体2変形を抑えて、単にドアビームの両端がフロントピラー16の外側とセンタピラー20との外側とに当たるだけの場合と比べて、高い衝撃吸収性能を得ることができる。他の車体などの構造物が乗員室4に入り込む前に、その構造物のエネルギーを吸収でき、安全性を高めることができる。
【0032】
また、本実施形態では、フロント受部として、フロントドア21においてフロントドアビーム23の前端と高さ位置を揃えて設けられるドア側フロント受部33と、フロントピラー16においてフロントドアビーム23の前端と高さ位置を揃えて設けられる車体側フロント受部34とを有し、ドア側フロント受部33と車体側フロント受部34とは、互いに係合する形状を有する。よって、フロントドアビーム23に作用する荷重は、互いに係合したドア側フロント受部33と車体側フロント受部34とを通じて、フロントピラー16へ好適に伝達し得る。
【0033】
また、本実施形態では、リア受部として、リアドア22においてリアドアビーム24の前端と高さ位置を揃えて設けられるドア側リア受部36と、リアピラー18においてリアドアビーム24の前端と高さ位置を揃えて設けられる車体側リア受部37とを有し、ドア側リア受部36と車体側リア受部37とは、互いに係合する形状を有する。よって、リアドアビーム24に作用する荷重は、互いに係合したドア側リア受部36と車体側リア受部37とを通じて、リアピラー18へ好適に伝達し得る。
【0034】
また、本実施形態では、フロントピラー16内に、フロント受部と高さ位置を揃えて前後方向に沿って延在するフロント伝達部材35であって、後端が前端より車幅方向外側に位置するように設けられるフロント伝達部材35が設けられる。よって、フロントピラー16は、フロントドアビーム23を通じて入力される荷重を、フロントピラー16を通じて車体2に伝えることができる。
また、リアピラー18内に、リア受部と高さ位置を揃えて前後方向に沿って延在するリア伝達部材38であって、後端が前端より車幅方向外側に位置するように設けられるリア伝達部材38が設けられる。よって、リアピラー18は、リアドアビーム24を通じて入力される荷重を、リアピラー18を通じて車体2に伝えることができる。
【0035】
以上の実施形態は、本発明に好適な実施形態の例であるが、本発明は、これに限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変形または変更が可能である。
【0036】
図7は、第1の変形例に係る側部構造の説明図である。
【0037】
図7では、フロントサイドフレーム31は、フロントピラー16より車幅方向内側にずれて、トーボード15に連結され、リアサイドフレーム32は、リアピラー18より車幅方向内側にずれて、リアパネル17に連結されている。
この場合、フロントサイドフレーム31といった車体2の高剛性部材とフロントピラー16との間と、リアサイドフレーム32とリアピラー18との間とに、荷重伝達部材39を設けてよい。荷重伝達部材39は、たとえばフロント伝達部材35、またはリア伝達部材38と高さ位置を揃えて設けてよい。これにより、フロントピラー16またはリアピラー18に作用する荷重を、荷重伝達部材39を通じてフロントサイドフレーム31またはリアサイドフレーム32へ逃がすことができる。
【0038】
図8は、第2の変形例に係る側部構造の説明図である。
【0039】
図8では、トーボード15がフロントピラー16から前へ離間し、リアパネル17がリアピラー18から後ろへ離間している。
この場合、トーボード15とフロントピラー16との間と、リアパネル17とリアピラー18との間とに、荷重伝達部材39を設けてよい。荷重伝達部材39は、たとえばフロント伝達部材35、またはリア伝達部材38と高さ位置を揃えて設けてよい。これにより、フロントピラー16またはリアピラー18に作用する荷重を、荷重伝達部材39を通じてトーボード15またはリアパネル17へ逃がすことができる。
【0040】
図9は、第3の変形例に係る側部構造の説明図である。
【0041】
図9では、フロントドアビーム23およびリアドアビーム24は、メインビーム部23A,23Aと、屈曲部23B,24Bと、を有する。また、センタピラー20内には、センタ連結部材27が設けられる。
この場合でも、側面からの衝突が開始すると、フロントドアビーム23およびリアドアビーム24が車幅方向内側へ向かって変形し、フロントドアビーム23の屈曲部23Bの後端と、リアドアビーム24の屈曲部24Bの前端とが、センタピラー20のセンタ連結部材27を前後から挟み込む。これにより、フロントドアビーム23とリアドアビーム24とは、センタ連結部材27を介して互いに連結される。また、フロントドアビーム23は、フロントピラー16とセンタピラー20との間で車幅方向外方へ向かって凸となるアーチ形状を形成し、リアドアビーム24は、リアピラー18とセンタピラー20との間で車幅方向外方へ向かって凸となるアーチ形状を形成する。センタピラー20の湾曲形状と合わせて、外に凸の十字のアーチ形状を形成できる。
【符号の説明】
【0042】
1…自動車(車両)
2…車体
3…前室
4…乗員室
5…後室
6…シート
11…フロアパネル
12…サイドシル
13…ルーフパネル
14…ルーフレール
15…トーボード
16…フロントピラー
16A…インナパネル
16B…アウタパネル
17…リアパネル
18A…インナパネル
18B…アウタパネル
18…リアピラー
19…乗降口
20…センタピラー
20A…インナパネル
20B…アウタパネル
21…フロントドア
21A…インナパネル
21B…アウタパネル
22…リアドア
22A…インナパネル
22B…アウタパネル
23…フロントドアビーム
23A…メインビーム部
23B…屈曲部
24…リアドアビーム
24A…メインビーム部
24B…屈曲部
25…嵌合凹部(嵌合部)
26…嵌合凸部(嵌合部)
27…センタ連結部材
28…弾性部材
31…フロントサイドフレーム(高剛性部材)
32…リアサイドフレーム(高剛性部材)
33…ドア側フロント受部(フロント受部)
34…車体側フロント受部(フロント受部)
35…フロント伝達部材
36…ドア側リア受部(リア受部)
37…車体側リア受部(リア受部)
38…リア伝達部材
39…荷重伝達部材

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9