特許第6623965号(P6623965)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6623965
(24)【登録日】2019年12月6日
(45)【発行日】2019年12月25日
(54)【発明の名称】車載電池パックの冷却装置
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/6563 20140101AFI20191216BHJP
   F04D 25/16 20060101ALI20191216BHJP
   H01M 10/613 20140101ALI20191216BHJP
   H01M 10/625 20140101ALI20191216BHJP
   H01M 10/647 20140101ALI20191216BHJP
   H01M 10/6557 20140101ALI20191216BHJP
   H01M 2/10 20060101ALI20191216BHJP
【FI】
   H01M10/6563
   F04D25/16
   H01M10/613
   H01M10/625
   H01M10/647
   H01M10/6557
   H01M2/10 S
【請求項の数】1
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2016-149239(P2016-149239)
(22)【出願日】2016年7月29日
(65)【公開番号】特開2018-18738(P2018-18738A)
(43)【公開日】2018年2月1日
【審査請求日】2018年8月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中山 琢朗
【審査官】 下林 義明
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−191306(JP,A)
【文献】 特開2013−110021(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/52 − 10/667
H01M 2/10
F04D 25/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
直方体形状の筐体であって、第1の短手側面側に設けられた電池モジュール収容スペースと、前記第1の短手側面に対向する第2の短手側面側に設けられた、送風機収容スペースと、前記電池モジュール収容スペース及び送風機収容スペースの底面側に設けられた、冷却風通路スペースと、を備えるケーシングと、
前記送風機収容スペースのうち、前記第2の短手側面とこれに接続される第1の長手側面とによって形成される第1の隅部に配置され、回転軸が前記ケーシングの高さ方向に設けられ取り込まれた冷却空気が前記冷却風通路スペースに吹き降ろされる、第1送風機と、
前記送風機収容スペースのうち、前記第2の短手側面と、前記第2の短手側面に接続され前記第1の長手側面と対向する第2の長手側面とによって形成される第2の隅部に配置され、回転軸が前記ケーシングの高さ方向に設けられ取り込んだ冷却空気が前記冷却風通路スペースに吹き降ろされる、第2送風機と、
を備え、
前記第1送風機は、前記第1の長手側面及び第2の長手側面の間の中央領域から前記第1の長手側面に向かう外回りに回転され、
前記第2送風機は、前記第1送風機とは反対方向であって前記中央領域から前記第2の長手側面に向かう外回りに回転され、
前記第1送風機から吐き出される旋回流のうち前記中央領域に向かう冷却風と、前記第2送風機から吐き出される旋回流のうち前記中央領域に向かう冷却風とが合流して前記冷却風通路スペースに流される、
ことを特徴とする、車載電池パックの冷却装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載電池パックの冷却装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車やハイブリッド車両等、回転電機を駆動源とする車両には、電池モジュール(バッテリーモジュール)及びその冷却機構が収容された、電池パックが搭載されている。
【0003】
空冷により電池モジュールを冷却する場合、特許文献1のように冷却機構はブロワやファン等の送風機を備える。加えて、冷却機構は送風機からの冷却空気を電池モジュールに送る冷却風通路を備える。
【0004】
冷却風通路は電池モジュール及び送風機のレイアウトに応じて設計される。例えば電池モジュール及び送風機を電池パックのケーシングに並べて(横並びに)配置する場合、電池モジュールを均等に冷却させるために、送風機から吐き出された冷却風を一旦電池モジュールの頂面または底面に回り込ませた後に吹き降ろすまたは吹き上げるように冷却風通路が形成される。
【0005】
例えば電池モジュールの底面に冷却風を回り込ませる場合、電池モジュール及び送風機の底面側、つまり、電池モジュール及び送風機の底面とケーシングの底板内面との間に空間を設けてこれを冷却風通路とする。送風機は例えば電池パック頂面から冷却空気を取り込んで底面側に冷却風を吹き降ろす。吹き降ろされた冷却風は、ケーシングの底板内面を這うようにして電池モジュールの底面に回り込む。電池モジュールは電池セル(単電池)と電池セル間に挟まれたスペーサを含んで構成され、スペーサに設けられたスリットを冷却風が通過する(吹き上がる)ことで電池モジュールが冷却される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2015−56354号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、送風機の回転により、冷却風は旋回流となって送風機から吐き出される。仮に、吐き出された旋回流を整流させずにそのまま冷却風通路に供給すると、冷却風は図5のように側面100とは非平行に流れ、その結果、冷却風通路内で冷却風流量が不均一となる。例えば図5の例では側面100A側の流量が側面100B側の流量よりも多くなる。その結果、電池モジュールの側面100A側と側面100B側とで冷却性能にばらつきが生じる。
【0008】
一方、送風機から吐き出された旋回流を均一化した流れ(側面100に平行な流れ)とするために、ダンパや静翼等の整流部材を設けると、電池パックの体格増に繋がるおそれがある。
【0009】
そこで本発明は、整流部材に代わって冷却風の流量の偏りを是正することの可能な、車載電池パックの冷却装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、車載電池パックの冷却装置に関する。当該冷却装置は、ケーシング、第1送風機、及び、第2送風機を備える。ケーシングは、直方体形状の筐体であって、第1の短手側面側に設けられた電池モジュール収容スペースと、前記第1の短手側面に対向する第2の短手側面側に設けられた、送風機収容スペースと、前記電池モジュール収容スペース及び送風機収容スペースの底面側に設けられた、冷却風通路スペースと、を備える。第1送風機は、前記送風機収容スペースのうち、前記第2の短手側面とこれに接続される第1の長手側面とによって形成される第1の隅部に配置され、回転軸が前記ケーシングの高さ方向に設けられ取り込まれた冷却空気が前記冷却風通路スペースに吹き降ろされる。第2送風機は、前記送風機収容スペースのうち、前記第2の短手側面と、前記第2の短手側面に接続され前記第1の長手側面と対向する第2の長手側面とによって形成される第2の隅部に配置され、回転軸が前記ケーシングの高さ方向に設けられ取り込んだ冷却空気が前記冷却風通路スペースに吹き降ろされる。前記第1送風機は、前記第1の長手側面及び第2の長手側面の間の中央領域から前記第1の長手側面に向かう外回りに回転される。また、前記第2送風機は、前記第1送風機とは反対方向であって前記中央領域から前記第2の長手側面に向かう外回りに回転される。このような構成において、前記第1送風機から吐き出される旋回流のうち前記中央領域に向かう冷却風と、前記第2送風機から吐き出される旋回流のうち前記中央領域に向かう冷却風とが合流して前記冷却風通路スペースに流される。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、第1送風機から吐き出される旋回流のうち中央領域に向かう、相対的に小流量の冷却風と、第2送風機から吐き出される旋回流のうち中央領域に向かう、相対的に小流量の冷却風とが合流して冷却風通路スペースに流される。その結果、中央領域の流量低下を抑制可能となり、冷却風の流量の偏りを是正できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本実施形態に係る電池パックを例示する斜視図である。
図2】本実施形態に係る電池パックを例示する側面断面図(A−A断面)である。
図3】ケーシングを例示する部分断面斜視図である。
図4】本実施形態に係る電池パックにおける、冷却風の流れを説明する模式図である。
図5】従来技術に係る電池パックにおける、冷却風の流れを説明する模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1には、本実施形態に係る電池パック10が例示されている。なお、図1図4では、電池パック10の高さ方向(鉛直方向)をZ軸で示し、長さ方向(厚さ方向)をX軸で示し、幅方向をY軸で示す。
【0014】
電池パック10は、電池モジュール12、第1送風機14A、第2送風機14B、ジャンクションブロック18、及びケーシング20を備える。電池パック10は、電気自動車やハイブリッド車両等に搭載され、駆動源である回転電機等の電源として機能する。
【0015】
電池モジュール12は、電池セル22(単電池)、スペーサ24、エンドプレート26A,26Bを含んで構成される。電池セル22は、充放電可能な二次電池、例えば、ニッケル水素電池やリチウムイオン電池等で、正面視略長方形の角型形状を有している。
【0016】
複数の電池セル22は、厚み方向(X軸方向)に積層される。このとき、複数の電池セル22は、正極端子と負極端子が積層方向に交互に並ぶように、その向きを交互に替えて配される。隣り合う電池セル22の正極端子と負極端子とを図示しないバスバーで接続することで、複数の電池セル22は直列に接続される。
【0017】
スペーサ24は、電池セル22と電池セル22との間に挟まれるように配置される。スペーサ24は絶縁性材料からなり、電池セル22と対向する面には、厚さ方向(X軸方向)に張り出し高さ方向(Z軸方向)に延びるリブが、幅方向(Y軸方向)に沿って複数本設けられ、隣り合うリブの間には図2に示すようにスリット28が形成される。後述するように、このスリット28に冷却風が通過することで、電池セル22が冷却される。
【0018】
エンドプレート26A,26Bは、複数の電池セル22及びスペーサ24の積層方向の両端に設けられた板部材であり、拘束バンド30により連結される。つまり、エンドプレート26A,26B及び拘束バンド30により複数の電池セル22及びスペーサ24が挟持される。
【0019】
ケーシング20は、電池モジュール12、第1送風機14A、第2送風機14B、及びジャンクションブロック18を収容する直方体形状の筐体である。図1及び図3に示す例では、ケーシング20は、頂面側が開放された身箱(受け箱)形状に形成されている。なお、電池モジュール12及びジャンクションブロック18を覆う蓋板をケーシング20に被せてもよい。
【0020】
図1及び図3に示されているように、ケーシング20の内部は、電池モジュール12、第1送風機14A、第2送風機14B、及びジャンクションブロック18を収容するスペースが割り当てられている。具体的には、ケーシング20の短手側面32(第1の短手側面)側は、電池モジュール12が収容される電池収容スペース34(電池モジュール収容スペース)となっている。
【0021】
図3に示すように、電池収容スペース34の長手両側面の底部には、高さ方向(Z軸方向)に張り出して電池モジュール12を支持する突条部36が長手方向(X軸方向)に沿って形成される。つまり、電池モジュール12の底面は、突条部36の高さ分、ケーシング20の底板内面52から底上げされることとなり、この電池モジュール12の底面とケーシング20の底板内面52との間には空間が生まれる。この空間が図2に示す冷却風通路スペース38となる。
【0022】
ケーシング20の、第1の短手側面32に対向する第2の短手側面40側には、第1送風機14A、第2送風機14B及びジャンクションブロック18が収容される。具体的には、図1及び図3に示すように、第2の短手側面40の両端部に送風機収容スペース42A,42Bが形成され、その間にジャンクションブロック18が配置される。
【0023】
送風機収容スペース42A(第1の隅部)は、第2の短手側面40とこれに接続される第1の長手側面44とによって形成され、ここに第1送風機14Aが収容される。送風機収容スペース42B(第2の隅部)は、第2の短手側面40とこれに接続され、第1の長手側面44と対向する第2の長手側面46とによって形成され、ここに第2送風機14Bが収容される。
【0024】
図2に示すように、送風機収容スペース42A,42B(第1及び第2の隅部)は、第1送風機14A及び第2送風機14Bより底面側に空間が設けられており、これが冷却風通路スペース48となっている。
【0025】
また、図2図3に示されているように、送風機収容スペース42A,42B(第1及び第2の隅部)は、ともに収容壁50に囲まれる。送風機収容スペース42Aの収容壁50は、第2の短手側面40と第1の長手側面44から延設されたL字形状となっている。送風機収容スペース42Bの収容壁50も同様にして、第2の短手側面40と第2の長手側面46から延設されたL字形状となっている。
【0026】
図3に示すように、この収容壁50の高さ(Z軸方向長さ)H1は、ケーシング20の側面高さ(箱の深さ)H0未満となっており、収容壁50の底面全周とケーシング20の底板内面52との間には隙間53が設けられる。後述するように、この隙間53を介して送風機14A,14B下の冷却風通路スペース48と電池モジュール12下の冷却風通路スペース38とが連通される。
【0027】
第1送風機14A及び第2送風機14Bは、例えばブロワやファン等から構成され、より詳細には、シロッコファンや遠心ターボファンから構成される。例えば第1送風機14A及び第2送風機14Bは、同一の機種から構成される。第1送風機14A及び第2送風機14Bは、例えばPID制御等による回転数制御が可能であってよく、電池モジュール12に取り付けられる温度センサ(図示せず)の検出温度に応じて、回転数を制御するようにしてもよい。
【0028】
図2に示すように、第1送風機14A及び第2送風機14Bは、それぞれ、ハウジング54、インペラ56、シャフト58、及びモータ60を含んで構成される。第1送風機14A及び第2送風機14Bの回転軸、つまりシャフト58は、ケーシング20の高さ方向、すなわち図2のZ軸方向に平行に設けられる。さらに第1送風機14A及び第2送風機14Bの吸い込み口62はケーシング20の頂面側に配置され、吐き出し口64はケーシング20の底板内面52側に配置される。このような配置において、ケーシング20の頂面側から第1送風機14A及び第2送風機14Bに取り込まれた冷却空気は、第1及び第2の送風機14A,14B直下の冷却風通路スペース48に吹き降ろされる。さらに冷却風は収容壁50の隙間53から電池モジュール12下の冷却風通路スペース38に流れ込む(吹き降ろされる)。
【0029】
図4には、冷却風通路スペース38,48を流れる冷却風を模式的に表した平面図が示されている。第1送風機14Aのインペラ56は、第1の長手側面44及び第2の長手側面46との間の中央領域66から第1の長手側面44に回る外回りに回転する。また、第2送風機14Bのインペラ56は、第1送風機14Aのインペラ56とは逆回転(反対方向)であり、中央領域66から第2の長手側面46に回る外回りに回転する。
【0030】
このとき、図4に示すように、第1送風機14Aのインペラ56により図示反時計回りの旋回流となった冷却風は、第1の長手側面44側に偏りながら第1の短手側面32に向かって流れる。また、第2送風機14Bのインペラ56により図示時計回りの旋回流となった冷却風は、第2の長手側面46側に偏りながら第1の短手側面32に向かって流れる。
【0031】
ここで、それぞれの送風機14A,14Bから吐き出された冷却風のうち、中央領域66に流れ込む、相対的に流量の少ない冷却風は、図4の一点鎖線円で示されるように合流した流れとなる。このように、第1送風機14A及び第2送風機14Bから吐き出され中央領域66に向かう、相対的に小流量の流れが合流することで、中央領域66を流れる冷却風の流量を稼ぐ、言い換えると流量の低下を抑制可能となる。
【0032】
<他の実施形態>
なお、図1図4で示した実施形態では、電池モジュール12の底面側に冷却風を回り込ませる構造であったが、この形態に限らない。例えば底面から冷却空気を取り込んで天井側に冷却風を回り込ませるようにしてもよい。
【0033】
具体的には、電池パック10の天井面全面を蓋板で覆うとともに、ケーシング20の送風機収容スペース42A,42Bの底板を貫通させて(抜いて)開口させる。さらに第1送風機14A及び第2送風機14Bを天地逆転させて、吸い込み口62を底板の開口に向け、吐き出し口64を蓋板内面に向ける。第1送風機14A、第2送風機14B、及び電池モジュール12と蓋板内面との間の空間が冷却風通路スペースとなり、電池モジュール12の頂面上に冷却風が回り込む。
【0034】
この形態においても、第1送風機14A及び第2送風機14Bの回転方向を外回りとする。それぞれの送風機14A,14Bから吐き出され旋回流となった冷却風は、第1の長手側面44側及び第2の長手側面46に偏る流れとなる一方で、中央領域66に向かう、相対的に小流量の流れが合流する。その結果、中央領域66を流れる冷却風の流量の低下を抑制可能となる。
【符号の説明】
【0035】
10 電池パック、12 電池モジュール、14A,14B 第1及び第2送風機、18 ジャンクションブロック、20 ケーシング、32 第1の短手側面、34 電池収容スペース、38 電池モジュール下の冷却風通路スペース、40 第2の短手側面、42A,42B 送風機収容スペース(第1及び第2の隅部)、44 第1の長手側面、46 第2の長手側面、48 送風機下の冷却風通路スペース、54 ハウジング、56 インペラ、58 シャフト、60 モータ、62 吸い込み口、64 吐き出し口、66 中央領域。
図1
図2
図3
図4
図5