特許第6634041号(P6634041)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6634041
(24)【登録日】2019年12月20日
(45)【発行日】2020年1月22日
(54)【発明の名称】電力変換システムの制御装置
(51)【国際特許分類】
   H02M 3/28 20060101AFI20200109BHJP
   H02J 1/10 20060101ALI20200109BHJP
【FI】
   H02M3/28 W
   H02M3/28 C
   H02J1/10
【請求項の数】7
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2017-16076(P2017-16076)
(22)【出願日】2017年1月31日
(65)【公開番号】特開2018-125957(P2018-125957A)
(43)【公開日】2018年8月9日
【審査請求日】2019年3月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004695
【氏名又は名称】株式会社SOKEN
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】100121821
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 強
(74)【代理人】
【識別番号】100139480
【弁理士】
【氏名又は名称】日野 京子
(74)【代理人】
【識別番号】100125575
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100175134
【弁理士】
【氏名又は名称】北 裕介
(72)【発明者】
【氏名】居安 誠二
(72)【発明者】
【氏名】林 裕二
(72)【発明者】
【氏名】半田 祐一
【審査官】 小林 秀和
(56)【参考文献】
【文献】 特開平08−088971(JP,A)
【文献】 特開2012−244862(JP,A)
【文献】 特開2011−022960(JP,A)
【文献】 特開平08−149692(JP,A)
【文献】 特開2009−213239(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 3/28
G01R 31/02
H02J 1/10
H02M 1/32
H02M 3/155
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
共通の給電対象(60)に対して並列に接続された第1電力変換装置(10a)及び第2電力変換装置(10b)を備える電力変換システムに適用され、
出力電流が均等化されるよう前記第1電力変換装置の電圧指令値及び前記第2電力変換装置の電圧指令値の少なくともいずれかを出力補正電圧(VLB)により補正する均等化制御を実施する均等化制御部(S18)と、
前記均等化制御の実施下において、前記出力補正電圧に基づいて、前記第1電力変換装置の出力側(LO1,LO2,OUT1,OUT2)と前記第2電力変換装置の出力側(LO3,LO4,OUT3,OUT4)とのいずれかに断線異常が生じているかを判定する断線異常判定部(S19)と、を備え
前記第1電力変換装置が前記給電対象に供給する第1出力電流を取得する第1出力電流取得部(S10)と、
前記第2電力変換装置が前記給電対象に供給する第2出力電流を取得する第2出力電流取得部(S11)と、
前記出力補正電圧の前記第1出力電流又は前記第2出力電流の変化に対する傾き値を算出する傾き値算出部(S30)と、を備え、
前記断線異常判定部は、算出した前記傾き値に基づいて、前記第1電力変換装置の出力側と前記第2電力変換装置の出力側とのいずれかに断線異常が生じているかを判定する、電力変換システムの制御装置。
【請求項2】
前記断線異常判定部は、前記出力側が断線異常でない状態での前記傾き値と前記傾き値算出部により算出された前記傾き値との比較により、前記第1電力変換装置の出力側の断線異常と前記第2電力変換装置の出力側の断線異常とのうち、いずれが生じているかを判定する、請求項に記載の電力変換システムの制御装置。
【請求項3】
前記第1電力変換装置が前記給電対象に供給する第1出力電流を取得する第1出力電流取得部(S10)と、
前記第2電力変換装置が前記給電対象に供給する第2出力電流を取得する第2出力電流取得部(S11)と、を備え、
前記均等化制御部は、前記第1出力電流又は前記第2出力電流に、前記第1出力電流と前記第2出力電流との平均電流値をフィードバック制御するための操作量として前記出力補正電圧を算出する、請求項1又は2に記載の電力変換システムの制御装置。
【請求項4】
前記給電対象は蓄電池であって、
前記蓄電池の端子間電圧を取得する端子間電圧取得部(S40)と、
バッテリ電圧指令値に前記端子間電圧をフィードバック制御するための操作量として、前記バッテリ電圧指令値を補正するバッテリ補正電圧を算出するバッテリ補正電圧算出部(S41)と、を備え、
前記断線異常判定部は、前記出力補正電圧に基づいて前記第1電力変換装置及び前記第2電力変換装置の出力側の断線異常が生じていると判定しておらず、かつ前記バッテリ補正電圧が異常値であることを判定している場合に、前記第1電力変換装置の出力側と前記第2電力変換装置の出力側との双方に断線異常が生じていると判定する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の電力変換システムの制御装置。
【請求項5】
共通の給電対象(60)に対して並列に接続された第1電力変換装置(10a)及び第2電力変換装置(10b)を備える電力変換システムに適用され、
出力電流が均等化されるよう前記第1電力変換装置の電圧指令値及び前記第2電力変換装置の電圧指令値の少なくともいずれかを出力補正電圧(VLB)により補正する均等化制御を実施する均等化制御部(S18)と、
前記均等化制御の実施下において、前記出力補正電圧に基づいて、前記第1電力変換装置の出力側(LO1,LO2,OUT1,OUT2)と前記第2電力変換装置の出力側(LO3,LO4,OUT3,OUT4)とのいずれかに断線異常が生じているかを判定する断線異常判定部(S19)と、を備え、
前記給電対象は蓄電池であって、
前記蓄電池の端子間電圧を取得する端子間電圧取得部(S40)と、
バッテリ電圧指令値に前記端子間電圧をフィードバック制御するための操作量として、前記バッテリ電圧指令値を補正するバッテリ補正電圧を算出するバッテリ補正電圧算出部(S41)と、を備え、
前記断線異常判定部は、前記出力補正電圧に基づいて前記第1電力変換装置及び前記第2電力変換装置の出力側の断線異常が生じていると判定しておらず、かつ前記バッテリ補正電圧が異常値であることを判定している場合に、前記第1電力変換装置の出力側と前記第2電力変換装置の出力側との双方に断線異常が生じていると判定する電力変換システムの制御装置。
【請求項6】
前記第1電力変換装置及び前記第2電力変換装置の内部異常を判定する内部異常判定部(S51,S52)を備え、
前記断線異常判定部は、前記第1電力変換装置及び前記第2電力変換装置の出力側の断線異常が生じていると判定しておらず、かつ前記バッテリ補正電圧が前記異常値であることを判定しており、かつ前記内部異常判定部が前記第1電力変換装置及び前記第2電力変換装置の双方に内部異常が生じていると判定していない場合に、前記第1電力変換装置の出力側と前記第2電力変換装置の出力側との双方に断線異常が生じていると判定する、請求項4又は5に記載の電力変換システムの制御装置。
【請求項7】
前記電力変換システムが起動したことを判定する起動判定部(S61)を備え、
前記均等化制御部は、前記電力変換システムの起動が判定された場合に、前記均等化制御を実施し、
前記断線異常判定部は、前記電力変換システムの起動が判定された場合における前記均等化制御の実施中において、前記出力補正電圧に基づいて、前記第1電力変換装置の出力側と前記第2電力変換装置の出力側とのいずれかに断線異常が生じているかを判定する、請求項1〜6のいずれか一項に記載の電力変換システムの制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力変換システムの制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、共通の給電対象に対して並列接続された複数の電力変換装置を備え、給電対象に対して電力を供給する電力変換システムが知られている。電力変換システムとしては、下記特許文献1に記載されているように、給電対象に対して各電力変換装置の出力電流を均等化して出力するものもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5202268号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
2台の電力変換装置を共通の給電対象に対して並列に接続した場合、いずれかの電力変換装置の出力側に断線異常が発生しても、断線異常が生じていない電力変換装置から給電対象に対して出力電圧が供給される。そのため、出力側の電圧値を検出する手法では、どちらの電力変換装置に断線異常が生じているかの判定が難しい場合ある。また、出力側の電圧値を検出する手法では、出力側の抵抗値を大きくすることで断線異常が生じている場合と断線異常が生じていない場合とで検出電圧の差を大きくしておく必要がある。しかし、出力側の抵抗値を大きくすると、出力側で消費されるエネルギーが大きくなるため、効率の観点から問題が生じる。また、出力側の抵抗値を大きくすると、出力側の異常発熱が発生しやすくなるという問題が生じる。
【0005】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、2台の電力変換装置を給電対象に対して並列に接続した構成において、各電力変換装置の出力側の断線異常を検出することができる電力変換システムの制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために本発明では、共通の給電対象に対して並列に接続された第1電力変換装置及び第2電力変換装置を備える電力変換システムに適用され、出力電流が均等化されるよう前記第1電力変換装置の電圧指令値及び前記第2電力変換装置の電圧指令値の少なくともいずれかを出力補正電圧により補正する均等化制御を実施する均等化制御部と、前記均等化制御の実施下において、前記出力補正電圧に基づいて、前記第1電力変換装置の出力側と前記第2電力変換装置の出力側とのいずれかに断線異常が生じているかを判定する断線異常判定部と、を備える。
【0007】
第1電力変換装置の出力電流と第2電力変換装置の出力電流とが均等化されるよう電圧指令値の少なくともいずれかを出力補正電圧により補正する均等化制御を実施するものがある。このような構成の電力変換システムにおいて、本発明者は、第1電力変換装置及び第2電力変換装置の出力側の抵抗値の大小と、電圧指令値を補正する出力補正電圧との間に相関があることを発見した。具体的には、第1電力変換装置及び第2電力変換装置の出力側の抵抗値の差を傾き値とする出力電流の変化に応じて、出力補正電圧が変化することを発見した。
【0008】
ここで、第1電力変換装置と第2電力変換装置とのいずれかの出力側に断線異常が生じた場合、断線異常が生じた側の出力側の抵抗値が増加し、上記傾き値を変化させる。この傾き値の変化は出力補正電圧の変化として検出できる。このため、上記構成では、均等化制御の実施下において、出力補正電圧に基づいて、第1電力変換装置の出力側と第2電力変換装置の出力側とのいずれかに断線異常が生じているかを判定することとした。そのため、各電力変換装置の出力側のいずれかに断線異常が生じているかを適正に判定することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】電力変換システムの構成図。
図2】制御部の機能を説明する機能ブロック図。
図3】第1,第2DDCの出力電流及び電力変換効率の関係を説明する図。
図4】負荷に応じた第1,第2DDCの動作を説明する図。
図5】補正電圧の変化により断線異常を判定する原理を説明する図。
図6】横軸を出力電流とし、縦軸を出力補正電圧VLBとした場合に、補正電圧VLBの変化を説明する図である。
図7】上位制御部による各動作の切り替え処理を説明するフローチャート。
図8】第2DDCを単独動作させる場合の上位制御部の制御を説明する図。
図9】第1DDCを単独動作せる場合の上位制御部の制御を説明する図。
図10】均等化制御を実施する場合の上位制御部の制御を説明する図。
図11】第1,第2DDCを共同動作させる場合の出力電流の波形図。
図12図7のステップS19の詳細な処理を説明するフローチャート。
図13】出力電圧を用いた断線異常の判定と、本実施形態にかかる断線異常の判定の違いを説明する図。
図14】第2実施形態における断線異常の判定を説明するフローチャート。
図15】上位制御部の内、第1蓄電池の端子間電圧を設定するバッテリ電圧指令値VS*に基づいて上位電圧指令値VPを設定する機能を説明する図。
図16】第3実施形態にかかる上位制御部が実施する処理を説明するフローチャート。
図17】第4実施形態にかかる上位制御部が実施する処理を説明するフローチャート。
図18】均等化制御の他の実施例を示す図。
図19】均等化制御の他の実施例を示す図。
図20】均等化制御の他の実施例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る電力変換システム10の構成図である。電力変換システム10は、共通の給電対象としての第1蓄電池60に対して出力側が並列に接続された第1DC/DCコンバータ(以下、第1DDC10aと記載する。)及び第2DC/DCDCコンバータ(以下、第2DDC10bと記載する)を備えている。また、第1DDC10a及び第2DDC10bの入力側は、共通の直流電源である第2蓄電池100に並列接続されている。本実施形態では、第1DDC10aが第1電力変換装置に相当し、第2DDC10bが第2電力変換装置に相当する。
【0011】
第1DDC10aの第1端子T1は、第1出力側配線OUT1を介して第1蓄電池60のプラス側端子に接続されている。第1DDC10aの第2端子T2は、第2出力側配線OUT2を介して第1蓄電池60のマイナス側端子に接続されている。第2DDC10bの第3端子T3は、第3出力側配線OUT3及び第1出力側配線OUT1を介して第1蓄電池60のプラス側端子に接続されている。第2DDC10bの第4端子T4は、第4出力側配線OUT4及び第2出力側配線OUT2を介して第1蓄電池60のマイナス側端子に接続されている。
【0012】
本実施形態では、第2蓄電池100の出力電圧は、第1蓄電池60の出力電圧よりも高く設定されている。第1DDC10a及び第2DDC10bは、第2蓄電池100から供給される直流電圧を降圧することで出力電圧を生成する。本実施形態では、第1蓄電池60は、鉛蓄電池で構成されている。また、第2蓄電池100は、リチウムイオン蓄電池で構成されている。なお、第1蓄電池60には、電力変換システム10から供給される直流電力により駆動する各種装置が並列接続されていてもよい。
【0013】
次に、第1DDC10aの構成について詳しく説明する。第1DDC10aは、フルブリッジ型のDC/DCコンバータであり、平滑コンデンサ11、第1変換回路12、トランス13、第2変換回路14、リアクトル15、及びフィルタコンデンサ16を備えている。
【0014】
平滑コンデンサ11は、第2蓄電池100のプラス側端子とマイナス側端子との間に並列に接続されている。
【0015】
第1変換回路12は、第1〜第4スイッチQ1〜Q4を備えており、各スイッチQ1〜Q4のオン・オフを切り替えることで、第2蓄電池100からの直流電力を交流電力に変換してトランス13の一次側コイルL1に供給する。第1変換回路12は、第1スイッチQ1のソースと第3スイッチQ3のドレインとを直列接続した第1レグ、及び第2スイッチQ2のソースと第4スイッチQ4のドレインとを直列接続した第2レグを備えている。第1レグ及び第2レグは、第2蓄電池100に並列接続されている。また、第1スイッチQ1と第3スイッチQ3との接続点は、トランス13の一次側コイルL1の第1端に接続されており、第2スイッチQ2と第4スイッチQ4との接続点は、一次側コイルL1の第2端に接続されている。本実施形態では、各スイッチQ1〜Q4はMOS−FETによって構成されている。
【0016】
トランス13は、一次側コイルL1に加えて二次側コイルL2を備えている。二次側コイルL2には、第2変換回路14が接続されている。第1変換回路12から一次側コイルL1に交流電圧が供給されることで、二次側コイルL2には一次側コイルL1及び二次側コイルL2の巻数比に応じた交流電圧が生じる。
【0017】
第2変換回路14は、第5スイッチQ5及び第6スイッチQ6を備えている。第2変換回路14は、トランス13の二次側コイルL2に生じる交流電圧を直流電圧に変換する。また、第5スイッチQ5のドレインと第6スイッチQ6のドレインとは、二次側コイルL2の両端にそれぞれ接続されている。また、第5スイッチQ5のソースと第6スイッチQ6のソースとが接続されている。本実施形態では、各スイッチQ5,Q6はMOS−FETによって構成されている。
【0018】
二次側コイルL2の一端には、リアクトル15の第1端が接続されており、第2変換回路14により変換された直流電圧がリアクトル15に供給される。リアクトル15の第2端には、第1電気経路LO1を介して第1端子T1が接続されている。第5スイッチQ5と第6スイッチQ6との接続点には、第2電気経路LO2を介して第2端子T2が接続されている。フィルタコンデンサ16は、第1電気経路LO1と第2電気経路LO2との間に接続されている。これにより、フィルタコンデンサ16は、第1蓄電池60に対して並列接続されている。
【0019】
第1DDC10aは、第1下位制御部30aを備えている。第1下位制御部30aは、第1DDC10aにおける第1変換回路12及び第2変換回路14を構成する各スイッチQ1〜Q6をオン・オフする。なお、第1下位制御部30aは、例えば、複数の機能ブロックを備える集積回路により構成されていればよい。第1下位制御部30aの各機能については後述する。
【0020】
第1DDC10aは、第1入力電圧センサ21a、第1出力電圧センサ22a、及び第1電流センサ23aを備えている。第1入力電圧センサ21aは、第2蓄電池100と平滑コンデンサ11との間に接続されており、第2蓄電池100からの第1DDC10aに入力される電圧を第1入力電圧VH1として検出する。第1出力電圧センサ22aは、フィルタコンデンサ16と第1蓄電池60との間に接続されており、第1DDC10aの出力電圧を第1出力電圧VL1rとして検出する。第1電流センサ23aは、平滑コンデンサ11と第1変換回路12とを接続する電気経路に流れる電流を第1電流IH1として検出する。第1入力電圧センサ21a、第1出力電圧センサ22a、及び第1電流センサ23aが検出した各検出値VH1、VL1r及びIH1は、第1下位制御部30aに入力される。
【0021】
続いて、第2DDC10bの構成について説明する。なお、本実施形態において第1,第2DDC10a,10bは、基本的な構成が互いに同一であり、第2DDC10bの説明を適宜省略している。また、第2DDC10bの構成要素には第1DDC10aの構成要素と共通の符号を付しているものもある。
【0022】
第2DDC10bにおいて、リアクトル15の第2端には、第3電気経路LO3を介して第3端子T3が接続されている。第2DDC10bにおいて、第5スイッチQ5と第6スイッチQ6との接続点には、第4電気経路LO4を介して第4端子T4が接続されている。第2DDC10bにおいて、フィルタコンデンサ16は、第3電気経路LO3と第4電気経路LO4との間に接続されている。
【0023】
第2DDC10bは、第2下位制御部30b、第2入力電圧センサ21b、第2出力電圧センサ22b、及び第2電流センサ23bを備えている。第2入力電圧センサ21bは、第2蓄電池100から第2DDC10bに入力される電圧を第2入力電圧VH2として検出する。第2出力電圧センサ22bは、第2DDC10bの出力電圧を第2出力電圧VL2rとして検出する。第2電流センサ23bは、第2DDC10bにおける平滑コンデンサ11と第1変換回路12とを接続する電気経路に流れる電流を第2電流IH2として検出する。第2入力電圧センサ21b、第2出力電圧センサ22b、及び第2電流センサ23bが検出した各検出値VH2、VL2r及びIH2は、第2下位制御部30bに入力される。
【0024】
電力変換システム10は、上位制御部40を備えている。上位制御部40は周知のマイクロコンピュータにより構成されており、各下位制御部30a,30bと電気的に接続されている。第1DDC10aの各端子T1,T2と第1蓄電池60との間には、第1蓄電池60の端子間電圧を検出するバッテリ電圧検出部24が備えられている。バッテリ電圧検出部24は、第1出力側配線OUT1と第2出力側配線OUT2とにより第1蓄電池60に並列接続されることで、第1蓄電池60の端子間電圧VSrを検出する。バッテリ電圧検出部24により検出された端子間電圧VSrは、上位制御部40に出力される。
【0025】
次に、各下位制御部30a,30bの機能を説明する。図2(a)は、第1下位制御部30aを示し、図2(b)は、第2下位制御部30bを示している。第1下位制御部30aと第2下位制御部30bとは基本的には同じ構成であるため、以下では、第1下位制御部30aの機能ブロックのみを詳細に示し、第2下位制御部30bの機能ブロックを適宜省略して説明する。また、以降、各下位制御部30a,30b及び上位制御部40で用いられる第1,第2電流IH1,IH2は、第1,第2電流センサ23a,23bにより検出された第1,第2電流IH1,IH2が一次側コイルL1及び二次側コイルL2の巻数比に応じて変換された値とされている。上記変換された値は、第1,第2DDC10a,10bの出力電流に相当する。
【0026】
図2(a)に示すように、第1下位制御部30aは、定電圧制御部31a、定電流制御部32a、最小値選択部33a及びピーク電流制御部34aを備えている。
【0027】
定電圧制御部31aは、第1電圧指令値VL1*に第1出力電圧VL1rをフィードバック制御するための操作量として、第1DDC10aの出力電流の目標値である第1目標電流値Irefcv1を算出する。本実施形態では、上位制御部40から第1下位制御部30aに第1電圧指令値VL1*が出力される。また、上位制御部40から第2下位制御部30bに第2電圧指令値VL2*が出力される。
【0028】
定電圧制御部31aは、徐変器311、電圧偏差算出器312及びPI制御器313を備えている。まず、第1電圧指令値VL1*は、徐変器311に入力される。徐変器311は、第1電圧指令値VL1*の変化に応じて、この第1電圧指令値VL1*を徐変させた値を出力する。電圧偏差算出器312は、徐変器311により変換された第1電圧指令値VL1*から第1出力電圧センサ22aで検出された第1出力電圧VL1rを減算することにより偏差を算出する。電圧偏差算出器312により算出された偏差は、PI制御器313に入力される。PI制御器313は、入力された偏差に比例積分制御を施すことにより第1目標電流値Irefcv1を算出する。
【0029】
定電流制御部32aは、第1上限電流値Irefcc1を算出する。本実施形態では、第1上限電流値Irefcc1は第1DDC10aの定格電流(例えば120A)に設定されている。
【0030】
最小値選択部33aは、定電圧制御部31aから出力される第1目標電流値Irefcv1と、定電流制御部32aから出力される第1上限電流値Irefcc1とを比較し、いずれか小さい方の値を選択して出力する。そのため、第1目標電流値Irefcv1が第1上限電流値Irefcc1を上回る場合、最小値選択部33aは、第1上限電流値Irefcc1をピーク電流制御部34aへ出力する。以下では、Irefcv1及びIrefcc1の内、最小値選択部33aにより選択された電流値を第1電流指令値Iref1と記載する。
【0031】
ピーク電流制御部34aは、DA変換器341、コンパレータ342及び加算器343を備えている。まず、最小値選択部33aにより選択された第1電流指令値Iref1は、DA変換器341に入力される。DA変換器341は、入力された第1電流指令値Iref1をデジタル値からアナログ値に変換する。アナログ値に変換された第1電流指令値Iref1は、コンパレータ342の反転入力端子に入力される。加算器343は、第1電流IH1とスロープ補償信号とを加算し、補償後スイッチ電流として出力する。加算器343の出力信号は、コンパレータ342の非反転入力端子に入力される。なお、スロープ補償信号は、リアクトル15に流れる電流の変動に伴う発振を抑制するものである。
【0032】
コンパレータ342は、第1電流指令値Iref1と補償後スイッチ電流とを比較し、補償後スイッチ電流が第1電流指令値Iref1より小さい期間において、ロー状態の信号をRSフリップフロップ347のR端子に入力する。また、コンパレータ342は、補償後スイッチ電流が第1電流指令値Iref1より大きい期間において、ハイ状態の信号をRSフリップフロップ347のR端子に入力する。更に、RSフリップフロップ347のS端子には、クロック信号が入力される。RSフリップフロップ347の出力は、デューティ制限部348によってデューティの上限値を設定された上で、第1,第2,第3,第4スイッチQ1,Q2,Q3,Q4をオン・オフするための駆動信号G1,G2,G3,G4として出力される。
【0033】
第1下位制御部30aは、電流判定部35a及び出力判定部36aを備えている。電流判定部35a及び出力判定部36aは、最小値選択部33aにより選択された第1電流指令値Iref1が、第1DDC10aを安定的に動作させることができる電流値を下回る場合に、駆動信号G1〜G4として第1〜第4スイッチQ1〜Q4をオフするオフ駆動信号を出力する。そのため、第1電流指令値Iref1が第1〜第4スイッチQ1〜Q4を安定的に動作させることができないほど小さい場合は、第1〜第4スイッチQ1〜Q4がオフされ、第1DDC10aの動作が停止される。
【0034】
具体的には、電流判定部35aは、最小値選択部33aから出力される第1電流指令値Iref1が所定電流値以下であるか否かを判定する。出力判定部36aは、第1電流指令値Iref1が所定電流値を上回っている旨の判定結果を電流判定部35aから取得した場合、デューティ制限部348から出力された各駆動信号G1〜G4をそのまま第1〜第4スイッチQ1〜Q4のゲートに対して出力する。一方、出力判定部36aは、第1電流指令値Iref1が所定電流値以下である旨の判定結果を電流判定部35aから取得した場合、デューティ制限部348から出力された各駆動信号G1〜G4を全てオフ駆動信号に切り替えて出力する。このため、第1DDC10aの動作が停止される。
【0035】
なお、第2下位制御部30bは、図2(b)に示すように、第1下位制御部30aと同様に、定電圧制御部31b、定電流制御部32b、最小値選択部33b、ピーク電流制御部34b、電流判定部35b及び出力判定部36bを備えている。各部31b〜36bの機能は、第1DDC10aが備える各部31a〜36aの機能と同じであるが、入力及び出力される信号が異なる。すなわち、定電圧制御部31bは、第2電圧指令値VL2*に第2出力電圧VL2rをフィードバック制御するための操作量として、出力電流の目標値である第2目標電流値Irefcv2を算出する。また、定電流制御部32bは、第2上限電流値Irefcc2を算出する。本実施形態では、第2上限電流値Irefcc2は第2DDC10bの定格電流(例えば30A)に設定されている。最小値選択部33bは、第2目標電流値Irefcv2と第2上限電流値Irefcc2とを比較し、いずれか小さい方の値を選択して出力する。以下では、Irefcv2及びIrefcc2の内、最小値選択部33aにより選択された電流値を第2電流指令値Iref2と記載する。電流判定部35b及び出力判定部36bは、第2電流指令値Iref2が、第2DDC10bを安定的に動作させることができる電流値を下回る場合に、駆動信号G1〜G4として第2DDC10bの第1〜第4スイッチQ1〜Q4をオフするオフ駆動信号を出力する。
【0036】
次に、第1DDC10a及び第2DDC10bの電力変換効率について説明する。図3は、第1DDC10a及び第2DDC10bそれぞれの出力電流に対する電力変換効率[%]を示す図である。なお、本実施形態では、電力変換システム10の電力変換効率が下式(1)により定義されている。
【0037】
η=Pout/Pin×100 … (1)
上式(1)において、ηは電力変換効率を示し、0[%]〜100[%]の値である。Poutは、各DDC10a,10bの出力電力を示し、Pinは、各DDC10a,10bの入力電力を示す。
【0038】
第1DDC10aは、第2DDC10bと比べて電力変換効率が最大となる負荷が異なっている。図3に示すように、第2DDC10bは、第1負荷領域LA1での電力変換効率が最大となるよう設計され、第1DDC10aは、第1負荷領域LA1よりも負荷が大きい第2負荷領域LA2での電力変換効率が最大となるよう設計されている。また、第1負荷領域LA1の全域において、第2DDC10bの電力変換効率は第1DDC10aの電力変換効率よりも高くなっている。そして、第2負荷領域LA2の全域において、第1DDC10aの電力変換効率は第2DDC10bの電力変換効率よりも高くなっている。
【0039】
本実施形態において、第2DDC10bの定格電流は、第1DDC10aの定格電流よりも小さな値となる。第1負荷領域LA1は、0以上であってかつ第1電流閾値Th11以下の領域に設定され、第1電流閾値Th11は第2DDC10bの定格電流に設定されている。また、第2負荷領域LA2は、第1電流閾値Th11よりも大きくてかつ第2電流閾値Th12以下の領域に設定され、第2電流閾値Th12は第1DDC10aの定格電流よりも小さい値に設定されている。また、第3負荷領域LA3は、第2電流閾値Th12よりも大きい領域に設定されている。
【0040】
第3負荷領域LA3には、第3電流閾値Th13が設定されている。第3電流閾値Th13は、第2電流閾値Th12よりも大きく、かつ第2DDC10bの定格電流を2倍した値(例えば60A)に設定されている。
【0041】
上位制御部40は、図4に示すように、負荷に応じて第1DDC10a及び第2DDC10bの動作を切り替える。具体的には、第1負荷領域LA1では、第2DDC10bを単独動作させる。第2負荷領域LA2では、第1DDC10aを単独動作させる。そして、第3負荷領域LA3では、第1DDC10aと第2DDC10bとを動作させる。また、この第3負荷領域LA3において、負荷が第2電流閾値Th12よりも大きく、かつ第3電流閾値Th13よりも小さい場合に、第1DDC10aと第2DDC10bとの出力電流を均等化させる均等化制御を実施する。均等化制御により、第1DDC10a及び第2DDC10bの出力電流が同じ値となるよう第1DDC10a及び第2DDC10bが制御される。
【0042】
ここで、第1DDC10a又は第2DDC10bの出力側に断線異常が発生し得る。本実施形態において、第1DDC10aの出力側の断線異常には、第1電気経路LO1と、第2電気経路LO2と、第1出力側配線OUT1において第3出力側配線OUT3との接続箇所よりも第1端子T1側の配線と、第2出力側配線OUT2において第4出力側配線OUT4との接続箇所よりも第2端子T2側の配線とのうち、少なくとも1つが途中で断線することが含まれる。また、第1DDC10aの出力側の断線異常には、第1端子T1から第1出力側配線OUT1がはずれることと、第2端子T2から第2出力側配線OUT2がはずれることとのうち、少なくとも1つが含まれる。また本実施形態において、第2DDC10bの出力側の断線異常には、第3電気経路LO3と、第4電気経路LO4と、第3出力側配線OUT3と、第4出力側配線OUT4とのうち、少なくとも1つが途中で断線することが含まれる。また、第2DDC10bの出力側の断線異常には、第3端子T3から第3出力側配線OUT3がはずれることと、第4端子T4から第4出力側配線OUT4がはずれることとのうち、少なくとも1つが含まれる。
【0043】
2台のDDC10a,10bを共通の給電対象である第1蓄電池60に対して並列に接続する構成では、例えば、第1DDC10aの出力側に断線異常が発生しても、断線異常が生じていない第2DDC10bの出力側から第1蓄電池60に対して出力電圧が供給される。そのため、各出力電圧センサ22a、22bにより検出された出力電圧VL1r,VL2rを用いて断線異常を判定する手法では、どちらのDDC10a,10bに断線異常が生じているかの判定が難しい場合がある。そのため、本実施形態では、上位制御部40は、均等化制御で用いる出力補正電圧VLBにより各DDC10a,10bのいずれに断線異常が生じているかを判定する構成としている。
【0044】
図5は、電力変換システム10の各部を簡略化して示す回路図である。図5では、第1蓄電池60の端子間電圧をVo、第1DDC10の出力電圧をVL1r、及び第2DDCの出力電圧をVL2rとして示している。また、第1電気経路LO1と、第1出力側配線OUT1のうち第3出力側配線OUT3との接続箇所よりも第1端子T1側の配線との合成抵抗を第1抵抗値R1として示している。また、第3電気経路LO3と、第3出力側配線OUT3との合成抵抗を第2抵抗値R2として示している。なお図5において、RSは、第1出力側配線OUT1のうち第3出力側配線OUT3との接続箇所よりも第1蓄電池60側の配線の抵抗値を示している。ただし本実施形態では、RSがR1,R2と比較して非常に小さい値であるとし、RS≒0としている。
【0045】
各DDC10a,10bと第1蓄電池60とを繋ぐ各出力側配線OUT1,OUT3に電流が流れることで電圧降下が生じる。そのため、端子間電圧Vo,出力電圧VL1r,VL2rは下記式(2),(3)で示す関係となる。
VL1r=I1×R1+Vo … (2)
VL2r=I2×R2+Vo … (3)
ここで、I1は第1出力側配線OUT1に流れる電流を示し、I2は第3出力側配線OUT3に流れる電流を示している。
【0046】
上位制御部40が、第1DDC10a及び第2DDC10bの出力電流をI3で均等化するように、出力電圧VL1r,VL2rを出力補正電圧VLBで補正する場合、上記式(2),(3)から、下記式(4),(5)が導出される。
【0047】
VL1r+VLB=I3×R1+Vo … (4)
VL2r−VLB=I3×R2+Vo … (5)
上記式(4),(5)より、下記式(6)が導出される。
【0048】
VLB=(R1−R2)/2×I3−(VL1r−VL2r)/2 … (6)
上記式(6)より、下記式(7)が導出される。
【0049】
VLB=(R1−R2)/2×I3+Δoff … (7)
上記式(7)は、出力補正電圧VLBが、各抵抗値R1,R2の差を傾き値として均等化後の電流量I3により変化することを示している。なお、均等化制御の実施下における出力電圧VL1rと出力電圧VL2rとの差を検出ばらつきΔoffとして示している。
【0050】
図6は、横軸を各DDC10a,10bの出力電流の合計値とし、縦軸を出力補正電圧VLBとした場合に、上記式(7)に基づく出力補正電圧VLBの変化を説明する図である。
【0051】
各DDC10a,10bの断線異常が生じていない場合、第1出力側配線OUT1の第1抵抗値R1と第3出力側配線OUT3の第2抵抗値R2との差は、所定の範囲となる。そのため、図6では、各DDC10a,10bの断線異常が生じていない場合の出力補正電圧VLBが取り得る変化を正常範囲として規定している。この正常範囲は、上限値LH1及び下限値LH2によって規定される範囲である。そのため、上限値LH1及び下限値LH2は、出力電流が大きいほど大きくなる。
【0052】
図6では、出力電流の変化に対する上限値LH1の変化を第1傾き閾値SL1として示しており、出力電流の変化に対する下限値LH2の変化である第2傾き閾値SL2として示している。上限値LH1は下限値LH2よりも傾きが大きいため、第1傾き閾値SL1は第2傾き閾値SL2に対して大きな値となっている。
【0053】
一方、第1DDC10a及び第2DDC10bのいずれかの断線異常が生じている場合、各抵抗値R1,R2のうち断線異常が生じている方に対応する抵抗値が大きくなり、上記式(7)において傾き値(R1−R2)/2を変化させる。具体的には、第1DDC10aの断線異常が生じている場合、第1抵抗値R1が第2抵抗値R2よりも大きくなるため、傾き値(R1−R2)/2をプラス側に変化させる。そのため、図6において、出力補正電圧VLBは、正常範囲よりも高い値となる。また、第2DDC10bの断線異常が生じている場合、第2抵抗値R2が第1抵抗値R1よりも大きくなるため、傾き値(R1−R2)/2をマイナス側に変化させる。そのため、図6において、出力補正電圧VLBは、正常範囲よりも低い値となる。
【0054】
図5図6で示した特性を用いることにより、均等化制御で用いられる出力補正電圧VLBから、第1DDC10a又は第2DDC10bの断線異常が生じているかを判定することができる。本実施形態では、出力補正電圧VLBの出力電流に対する傾き値を算出し、この傾き値から、第1DDC10a又は第2DDC10bの断線異常を判定する。
【0055】
次に、上位制御部40により実施される第1DDC10aと第2DDC10bの動作の切替え処理と断線異常検出処理とを説明する。図7は、上位制御部40が各DDC10a,10bの動作を切り替える切替え処理及び断線異常検出処理を説明するフローチャートである。図7に示すフローチャートは、上位制御部40により所定周期で繰り返し実施される処理である。
【0056】
ステップS10では、第1入力電圧VH1,第1出力電圧VL1r、第1電流IH1を取得する。本実施形態では、第1下位制御部30aが取得した各検出値VH1,VL1r,IH1が上位制御部40に出力されることで、各検出値VH1,VL1r,IH1を取得する。ステップS10が第1出力電流取得部に相当する。
【0057】
ステップS11では、第2入力電圧VH2,第2出力電圧VL2r、第2電流IH2を取得する。本実施形態では、第2下位制御部30bが取得した各検出値VH2,VL2r,IH2が上位制御部40に出力されることで、各検出値VH2,VL2r,IH2を取得する。ステップS11が第2出力電流取得部に相当する。
【0058】
ステップS12では、第1蓄電池60への負荷出力としての出力電流Ioを推定する。出力電流Ioは、第1DDC10a及び第2DDC10bのそれぞれから第1蓄電池60へと出力される電流の合計値である。本実施形態では、ステップS10,S11で取得した各検出値と、一次側コイルL1と二次側コイルL2との巻数比とに基づいて、出力電流Ioを推定する。
【0059】
ステップS13,S15では、ステップS12により推定した出力電流Ioが、第1負荷領域LA1に含まれる値であるか、第2負荷領域LA2に含まれる値であるかを判定する。まず、ステップS13では、ステップS12で推定した出力電流Ioが第1電流閾値Th1以下であるか否かを判定する。第1電流閾値Th1は、第1負荷領域LA1と第2負荷領域LA2との境界を区別する値である。
【0060】
なお、第1電流閾値Th1は、第2DDC10bの定格電流に所定のマージンを加えた値としてもよい。この場合において、第1電流閾値Th1は、図3で示す第1DDC10aの電力変換効率が最大となる出力電流よりも大きい値であることが望ましい。
【0061】
ステップS13において、出力電流Ioが第1電流閾値Th1以下であると判定した場合、出力電流Ioが第1負荷領域LA1に含まれると判定し、ステップS14に進む。ステップS14では、第2DDC10bのみを単独動作させる。上位制御部40は、第1電圧指令値VL1*を第2電圧指令値VL2*よりも低い値に設定することで、第2DDC10bのみを単独動作させる。
【0062】
図8は、第2DDC10bを単独動作させる場合に、上位制御部40が実施する各電圧指令値VL1*,VL2*の設定処理を説明する図である。上位電圧指令値VPは、第1DDC10a及び第2DDC10b共に同じ値であり、例えば、第1蓄電池60の定格電圧に応じた電圧(例えば14V)に設定されている。この上位電圧指令値VPは、例えば、上位制御部40に接続された不図示のECUから出力される。
【0063】
上位制御部40は、上位電圧指令値VPから第1所定値ΔV1(例えば0.5V)を引いた値を第1DDC10aの第1電圧指令値VL1*(例えば13.5V)に設定する。一方、上位制御部40は、上位電圧指令値VPをそのまま第2DDC10bの第2電圧指令値VL2*として設定する。設定された第2電圧指令値VL2*に基づいて第2下位制御部30bの定電圧制御部31bが第2目標電流値Irefcv2を算出することで、第2出力電圧VL2rが第2電圧指令値VL2*に制御される。
【0064】
一方、設定された第1電圧指令値VL1*に基づいて第1下位制御部30aの定電圧制御部31aが第1目標電流値Irefcv1を算出する。ここで、第1電圧指令値VL1*が、第1出力電圧センサ22aにより検出された第1出力電圧VL1rよりも低い値となるため、先の図2の電圧偏差算出器312において、第1出力電圧VL1rと第1電圧指令値VL1*との偏差がマイナスの値となる。そのため、定電圧制御部31aから出力される第1目標電流値Irefcv1は、マイナスの偏差がPI制御器313において比例積分された値となる。この第1目標電流値Irefcv1は、最小値選択部33aにより選択され、第1電流指令値Iref1として電流判定部35aへと出力される。電流判定部35aは、入力された第1電流指令値Iref1が所定電流値以下になると判定する。その結果、出力判定部36aは、デューティ制限部348から出力された各駆動信号G1〜G4を全てオフ駆動信号に切り替えて出力する。これにより、第1DDC10aの動作が停止され、第2DDC10bのみが単独動作する。
【0065】
先の図7の説明に戻り、ステップS13において出力電流Ioが第1電流閾値Th11を超えていると判定した場合には、ステップS15に進み、出力電流Ioが第2電流閾値Th12以下であるか否かを判定する。第2電流閾値Th12は、第2負荷領域LA2と第3負荷領域LA3とを区別する値である。
【0066】
なお、第2電流閾値Th12は第1DDC10aの定格電流に所定マージンを加えたに設定されていてもよい。この場合において、第2電流閾値Th12は、図3で示す第1DDC10aの電力変換効率が最大となる出力電流よりも大きい値であることが望ましい。
【0067】
ステップS15において出力電流Ioが第2電流閾値Th12以下であると判定した場合には、出力電流が第2負荷領域LA2に含まれると判定し、ステップS16に進む。ステップS16では、第1DDC10aを単独動作させる。具体的には、上位制御部40は、第2電圧指令値VL2*を第1電圧指令値VL1*よりも低い値に設定することで、第1DDC10aを単独動作させる。
【0068】
図9は、第1DDC10bを単独動作させる場合に、上位制御部40により実施される各電圧指令値VL1*,VL2*の設定処理を説明する図である。図9においても、上位電圧指令値VPは、例えば、第1蓄電池60の定格電圧に応じた電圧に設定されている。
【0069】
上位制御部40は、上位電圧指令値VPから第2所定値ΔV2(例えば0.5V)を引いた値を第2DDC10aの第2電圧指令値VL2*(例えば13.5V)に設定する。一方、上位制御部40は、上位電圧指令値VPをそのまま第1DDC10bの第1電圧指令値VL1*として設定する。設定された第1電圧指令値VL1*に基づいて第1DDC10aの定電圧制御部31aが第1目標電流値Irefcv1を算出することで、第1出力電圧VL1rが第1電圧指令値VL1*に制御される。
【0070】
一方、設定された第2電圧指令値VL2*に基づいて第2DDC10bの定電圧制御部31bが第2目標電流値Irefcv2を算出する。ここで、第2電圧指令値VL2*が検出された第2出力電圧VL2rよりも低い値となるため、先の図2の電圧偏差算出器312において、第2出力電圧VL2rと第2電圧指令値VL2*との偏差がマイナスの値となる。そのため、定電圧制御部31bから出力される第2目標電流値Irefcv2は、マイナスの偏差がPI制御器313において比例積分された値となる。この第2目標電流値Irefcv2は、最小値選択部33bにより選択され、第2電流指令値Iref2として電流判定部35bへと出力される。電流判定部35bは、入力された第2電流指令値Iref2が所定電流値以下になると判定する。その結果、出力判定部36bは、デューティ制限部348から出力された各駆動信号G1〜G4を全てオフ駆動信号に切り替えて出力する。これにより、第2DDC10aの動作が停止され、第1DDC10bが単独動作する。
【0071】
先の図7の説明に戻り、ステップS15において出力電流Ioが第2電流閾値Th12を超えていると判定した場合、ステップS17に進み、出力電流Ioが第3電流閾値Th13以下であるか否かを判定する。出力電流Ioが第3電流閾値Th13以下であるため、均等化制御を実施する場合に、第2DDC10bの出力電流を定格電流以下にできる。そのため、ステップS17において出力電流Ioが第3電流閾値Th13以下であると判定した場合には、ステップS18に進み、均等化制御を実施する。
【0072】
図10は、均等化制御を実施する場合の上位制御部40の制御を説明する図である。図10においても、上位電圧指令値VPは、例えば、第1蓄電池60の定格電圧に応じた電圧に設定されている。上位制御部40は、第1電流IH1に、第1電流IH1と第2電流IH2との平均電流値をフィードバック制御するための操作量として出力補正電圧VLBを算出する。そのため、ステップS18が均等化制御部に相当する。
【0073】
電流偏差算出器401は、出力電流平均値Iave*から第1電流IH1を減算することにより偏差を算出する。ここで、出力電流平均値Iave*は、第1電流センサ23aで検出された第1電流IH1と、第2電流センサ23bで検出された第2電流IH2との平均値である。PI制御器402は、電流偏差算出器401により算出された偏差に基づく比例積分制御により、出力補正電圧VLBを算出する。徐変器403は、PI制御器402により算出された出力補正電圧VLBに徐変処理を施して出力する。第1加算器404は、徐変処理が施された出力補正電圧VLBと上位電圧指令値VPとの加算値を、第1電圧指令値VL1*に設定する。第2加算器405は、徐変処理が施された出力補正電圧VLBの符号反転値と上位電圧指令値VPとの加算値を、第2電圧指令値VL2*に設定する。
【0074】
電流偏差算出器401は、第1DDC10aのトランス13の巻数比に応じて第1電流IH1から算出される出力電流Io1と、出力電流平均値Iave*との偏差を算出するものであってもよい。この場合、出力電流平均値Iave*は、第2DDC10bのトランス13の巻数比に応じて第2電流IH2から算出される出力電流Io2と、出力電流Io1との平均値となる。
【0075】
図10に示す処理によれば、第1電圧指令値VL1*と第2電圧指令値VL2*とは、出力電流を均等化させる値に設定される。これにより、図11に示すように、第1DDC10aの出力電流と第2DDC10bの出力電流とが均等化されて出力される。
【0076】
図7の説明に戻り、ステップS19では、断線異常の判定を行う。本実施形態では、ステップS18で算出した出力補正電圧VLBを用いて、第1DDC10a及び第2DDC10bのいずれかに断線異常が生じているか否かを判定する。ステップS19が断線異常判定部に相当する。
【0077】
次に、図7のステップS19の詳細な処理を図12のフローチャートを用いて説明する。
【0078】
ステップS30では、出力補正電圧VLBの出力電流に対する傾き値Dvlbを算出する。本実施形態では、傾き値Dvlbを、第1電流IH1の変化に対する出力補正電圧VLBの微分値により算出する。ステップS20が傾き値算出部に相当する。傾き値Dvlbは下記式(8)を用いて算出される。
Dvlb=ΔVLB/Δi … (8)
ここで、Δiは、第1電流IH1の変化量を示す。ΔVLBは、第1電流IH1の変化量に対応する出力補正電圧VLBの変化量を示す。
【0079】
なお、上位制御部40は、均等化制御の実施下において、出力補正電圧VLBと、この出力補正電圧VLBを算出するのに用いた第1電流IH1とを複数回取得し、これらにより複数の微分値「ΔVLB/Δi」を算出する。そして、算出した複数の微分値「ΔVLB/Δi」の平均値を、傾き値Dvlbとして算出してもよい。また、第1電流IH1の変化量Δiが所定変化以上(主として0以上)であることを条件として、S30の傾き値Dvlbの算出処理を実施してもよい。
【0080】
ステップS31では、ステップS30で算出した傾き値Dvlbを第1傾き閾値SL1と比較する。第1傾き閾値SL1は、図6で示したように正常範囲の上限値SH1の傾き値である。ステップS31において傾き値Dvlbが第1傾き閾値SL1よりも大きいと判定した場合、ステップS32に進む。ステップS32では、第1DDC10aの断線異常が生じていると判定する。これにより、第1DDC10aの断線異常及び第2DDC10bの断線異常のうち、第1DDC10aの断線異常が生じていることを特定できる。
【0081】
ステップS31において傾き値Dvlbが第1傾き閾値SL1以下であると判定した場合、ステップS33に進む。ステップS33では、傾き値Dvlbを第2傾き閾値SL2と比較する。第2傾き閾値SLは、図6で示したように正常範囲の下限値LH2の傾き値である。ステップS33において傾き値Dvlbが第2傾き閾値SL2よりも小さいと判定した場合、ステップS34に進む。ステップS34では、第2DDC10bの断線異常が生じていると判定する。これにより、第1DDC10aの断線異常及び第2DDC10bの断線異常のうち、第2DDC10bの断線異常が生じていることを特定できる。
【0082】
ステップS33において、傾き値Dvlbが第2傾き閾値SL2以上であると判定した場合、ステップS35に進む。ステップS35では、第1DDC10a及び第2DDC10bの断線異常が共に生じていないと判定する。すなわち、第1DDC10aの出力側と第2DDC10bの出力側とが共に正常であると判定する。
【0083】
そして、図7の説明に戻り、ステップS17において出力電流Ioが第3電流閾値Th13を超えていると判定した場合には、ステップS20に進む。ステップS20では、第1DDC10aと第2DDC10bとを共同動作させる。本実施形態では、共同動作として、出力電流が定格電流となるよう第2DDC10bを動作させ、かつ第1DDC10aを第1電圧指令値VL1*に応じた出力電圧で動作させる。
【0084】
ステップS14,S16,S19,S20のいずれかの処理を終了した場合、図7の処理を一旦終了する。
【0085】
上記構成により、本実施形態に係る電力変換システム10は、以下の効果を奏する。
【0086】
図13は、出力電圧VL1r,VL2rを用いた断線異常の判定と、本実施形態に係る断線異常の判定の違いを説明する図である。図13では、縦軸に断線異常の判定に必要な各出力側配線OUT1,OUT3の抵抗値を示している。
【0087】
第1DDC10a及び第2DDC10bの出力側配線OUT1,OUT3に生じる出力電圧VL1r,VL2rを用いて断線異常を判定する場合、出力電圧VL1r,VL2rの検出誤差を考慮して、断線異常が生じていない場合と断線異常が生じている場合とで出力電圧VL1r,VL2rの電圧差を所定値以上に設定しておく必要がある。そのため、例えば、第1DDC10a及び第2DDC10bの出力側配線OUT1,OUT3の抵抗値R1,R2を大きな値(例えば、100mΩ)に設定しておく必要がある。
その結果、出力側配線OUT1,OUT3で生じるエネルギー損失が大きくなるといった問題が生じる。
【0088】
本実施形態では、出力補正電圧VLBを断線異常の判定に用いており、出力側配線OUT1,OUT3の抵抗値R1,R2を大きくする必要がなくなる。そのため、出力側配線OUT1,OUT3で生じるエネルギー損失を低減することができる。また、出力補正電圧VLBを用いて出力側配線OUT1,OUT3の断線異常を判定するため、出力電圧VL1r,VL2rを用いる場合と比べて、断線異常が生じている出力側配線OUT1,OUT3を適正に判定することが可能となる。すなわち、出力側の各抵抗値R1、R2の異常を高精度で検出可能となる。
【0089】
上位制御部40は、出力補正電圧VLBの第1電流IH1に対する傾き値Dvlbを算出し、算出した傾き値Dvlbに基づいて、第1DDC10aの出力側(LO1,LO2,OUT1,OUT2)と第2DDC10bの出力側(LO3,LO4,OUT3,OUT4)とのいずれの断線異常が生じているかを判定する。傾き値Dvlbは、基本的には、断線異常の判定において出力電流の値に対する依存性がない。このため、出力電流の値に関わらず、いずれの出力側に断線異常が生じているかを判定することができる。
【0090】
上位制御部40は、出力側が断線異常でない状態での傾き値を示す傾き閾値SL1,SL2と算出した傾き値Dvlbとの比較により、第1DDC10aの出力側の断線異常と、第2DDC10bの出力側の断線異常とのうち、いずれが生じているかを特定する。上記構成により、傾き値Dvlbと各傾き閾値SL1,SL2との比較という簡易な手法により、第1DDC10aと第2DDC10bとのいずれかの出力側の断線異常を特定することができる。
【0091】
上位制御部40は、第1電流IH1又は第2電流IH2に、第1電流IH1と第2電流IH2との平均値である出力電流平均値Iave*をフィードバック制御するための操作量として出力補正電圧VLBを算出する。上記構成により、第1DDC10aと第2DDC10bの出力電流を均等化させるための出力補正電圧VLBを精度よく算出することができる。
【0092】
(第2実施形態)
第2実施形態では、第1実施形態と異なる構成を中心に説明を行う。
【0093】
第1DDC10aと第2DDC10bとの双方に断線異常が生じている場合、各出力側の抵抗値R1,R2が共に大きな値となることで、上記式(7)において第1抵抗値R1と第2抵抗値R2との差が小さくなり出力補正電圧VLBが小さな値となる場合がある。このような場合、出力補正電圧VLBの変化が生じにくくなり、傾き値Dvlbが第1傾き閾値SL1より小さく、かつ第2傾き閾値SL2より大きな値となる場合がある。そのため、第1DDC10aと第2DDC10bとの双方に断線異常が生じている場合、出力補正電圧VLBによりこの断線異常を判定できない場合がある。
【0094】
一方で、第1DDC10aと第2DDC10bとの双方に断線異常が生じている場合、バッテリ補正電圧VLsが異常値となる。そのため、この第2実施形態では、出力補正電圧VLBの変化に加えて、バッテリ補正電圧VLsを用いることで、第1DDC10aと第2DDC10bの出力側の双方が断線異常であることを判定する。
【0095】
図14は、第2実施形態における断線異常の判定を説明するフローチャートである。図14のフローチャートは、図7のステップS19で実施される。なお、ステップS30〜S34の各処理は、図12で示す断線異常の判定と同様であるため、その説明を適宜省略する。
【0096】
傾き値Dvlbが第2傾き閾値SL2以上であると判定すると(ステップS33:NO)、ステップS40では、バッテリ電圧検出部24により検出された端子間電圧VSrを取得する。ステップS40が端子間電圧取得部に相当する。
【0097】
ステップS41では、バッテリ補正電圧VLsを算出する。図15は、上位制御部40の内、第1蓄電池60の端子間電圧VSrを設定するバッテリ電圧指令値VS*に基づいて上位電圧指令値VPを設定する機能を説明する図である。上位制御部40は、バッテリ電圧指令値VS*に端子間電圧VSrをフィードバック制御するための操作量として上位電圧指令値VPを算出する。ステップS41がバッテリ補正電圧算出部に相当する。
【0098】
電圧偏差算出器411は、バッテリ電圧指令値VS*から端子間電圧VSrを減算することにより偏差を算出する。PI制御器412は、電圧偏差算出器411により算出された偏差に基づく比例積分制御により、バッテリ補正電圧VLsを算出する。徐変器413は、PI制御器412により算出されたバッテリ補正電圧VLsに徐変処理を施して出力する。加算器414は、徐変処理が施されたバッテリ補正電圧VLsとバッテリ電圧指令値VS*との加算値を、上位電圧指令値VPに設定する。
【0099】
上記構成において、第1DDC10aと第2DDC10bとの出力側が共に断線異常である場合、各DDC10a,10bから第1蓄電池60に供給される出力電流が低い値となり、電圧偏差算出器411に加えられる端子間電圧VSrの変化が小さなものとなる。そのため、端子間電圧VSrとバッテリ電圧指令値VS*との偏差が大きくなる。そして、PI制御器412がこの偏差を比例積分してバッテリ補正電圧VLsを算出することで、バッテリ補正電圧は高い値を示す異常値となる。
【0100】
ステップS42では、バッテリ補正電圧VLsを補正閾値ThSと比較する。補正閾値ThSは、例えば、第1DDC10aと第2DDC10bとに断線異常が生じていない場合にバッテリ補正電圧VLsが取り得る上限値に設定されていればよい。
【0101】
ステップS42において、バッテリ補正電圧VLsが補正閾値ThSより大きいと判定した場合、ステップS43に進む。ステップS43では、第1DDC10aと第2DDC10bとの双方が断線異常であると判定する。この場合、例えば、上位制御部40は上位のECUに対して電力変換システム10の作動を停止させるよう信号を出力するものであってもよい。
【0102】
ステップS42において、バッテリ補正電圧VLsが補正閾値ThS以下であると判定した場合、ステップS44に進む。ステップS44では、第1DDC10aの出力側と第2DDC10bの出力側との双方が正常であると判定する。
【0103】
ステップS32,S34,S43、S44のいずれかの処理を終了した場合は、図7のフローチャートに戻る。
【0104】
上記構成により、本実施形態に係る電力変換システム10は、以下の効果を奏する。
【0105】
出力補正電圧VLBにより断線異常を判定できない場合でも、バッテリ補正電圧VLsが異常であれば、第1DDC10aの出力側と第2DDC10bの出力側との双方が断線異常である可能性が高くなる。上記構成では、上位制御部40は、出力補正電圧VLBに基づいて第1DDC10a及び第2DDC10bの出力側の断線異常を判定しておらず、かつバッテリ補正電圧VLsが補正閾値ThSよりも大きいと判定した場合に、第1DDC10aの出力側と第2DDC10bの出力側との双方が断線異常であると判定することとした。そのため、第1DDC10aの出力側と第2DDC10bの出力側との双方に断線異常が生じている状態を判定でき、断線異常の信頼性を高めることができる。
【0106】
(第3実施形態)
第3実施形態では、第2実施形態と異なる構成を中心に説明を行う。
【0107】
第1DDC10aと第2DDC10bとのいずれかに内部異常が生じていると、出力電圧VL1r,VL2rが異常値となる場合がある。出力電圧VL1r,Vl2rが異常値となることで出力補正電圧VLBの変化を大きくし、上位制御部40がこの出力補正電圧VLBの変化を第1DDC10aの出力側と第2DDC10bの出力側との断線異常として判定してしまうおそれがある。そこで、第3実施形態では、上位制御部40は、第1DDC10a及び第2DDC10bの内部異常を判定し、第1DDC10a及び第2DDC10bに内部異常が生じていないことを条件に、第1DDC10aと第2DDC10bとの断線異常を判定する。
【0108】
図16は、第3実施形態にかかる上位制御部40が実施する処理を説明するフローチャートである。図16のフローチャートは、図7のステップS19において上位制御部40により実施される処理である。なお、ステップS30〜S34、及びステップS40〜S44は、図14に示す処理と同様であるため、その説明を適宜省略する。
【0109】
ステップS42では、バッテリ補正電圧VLsを補正閾値ThSと比較する。ステップS42において、バッテリ補正電圧VLsが補正閾値ThS以下であると判定した場合、ステップS44に進む。ステップS44では、第1DDC10a及び第2DDC10bは共に正常であると判定し、図16の処理を終了する。
【0110】
一方、ステップS42で、バッテリ補正電圧VLsを補正閾値ThSよりも大きい値であると判定した場合、ステップS51に進む。ステップS51では、第1DDC10a及び第2DDC10bの内部異常が生じているか否かを検出する。内部異常には、例えば、各スイッチQ1〜Q6がオン状態又はオフ状態に固着する異常が含まれる。内部異常の検出手法としては、例えば、各電流センサ23a,23bにより検出される第1電流IH1及び第2電流IH2に基づいて各スイッチQ1〜Q4の故障を検出するものが挙げられる。具体的には、各スイッチQ1〜Q4のいずれかが故障している場合、各電流IH1,IH2の値が変化し、異常値を示す。そのため、上位制御部40は各電流IH1,IH2が電流値の正常値を示す範囲から外れた場合に、第1DDC10a又は第2DDC10bが内部異常であることを検出する。
【0111】
ステップS51において、第1DDC10a及び第2DDC10bの少なくとも一方の内部異常を検出した場合、ステップS52に進む。ステップS52では、第1DDC10a及び第2DDC10bの少なくとも一方に内部異常が生じていると判定する。この場合、例えば、上位ECU20に対して内部異常を通知してもよい。ステップS51,S52が内部異常判定部に相当する。
【0112】
ステップS51において、第1DDC10a及び第2DDC10bの少なくとも一方の内部異常を検出していない場合、ステップS43に進む。ステップS43に進む場合、バッテリ補正電圧VLsが補正閾値ThSよりも大きい値と判定しており(ステップS42:YES)、かつ内部異常を判定していない(ステップS51:NO)。そのため、ステップS43では、第1DDC10aの出力側と第2DDC10bの出力側との双方が断線異常であると判定する。
【0113】
ステップS32,S34,S52,S43,S44のいずれかの処理を終了した場合、図7のフローチャートに戻る。
【0114】
上記構成により、本実施形態に係る電力変換システム10は、以下の効果を奏する。
【0115】
第1DDC10a及び第2DDC10bに内部異常が生じている場合、出力補正電圧VLBの傾き値の変化がこの内部異常に起因するものか、出力側配線OUT1,OUT2の断線異常に起因するものかが判別しにくくなる。この点、上記構成では、上位制御部40は、第1DDC10a及び第2DDC10bの内部異常を判定する。そして、第1DDC10a及び第2DDC10bの内部異常を判定していないことを条件に、第1DDC10aの出力側と第2DDC10bの出力側との断線異常を判定することとした。そのため、出力補正電圧VLBの異常が第1DDC10a又は第2DDC10bの内部異常に起因するものか、各出力側の断線異常に起因するものかを区別することができ、断線異常の判定精度を高めることができる。
【0116】
(第4実施形態)
第4実施形態では、第1実施形態と異なる構成を中心に説明を行う。
【0117】
この第4実施形態では、上位制御部40は、電力変換システム10の起動を判定した場合に、均等化制御とこの均等化制御に伴う断線異常の判定とを強制的に実施する。
【0118】
図17は、第4実施形態にかかる上位制御部40が実施する処理を説明するフローチャートである。上位制御部40は図17に示す処理を所定周期で繰り返し実施する。図17では、ステップS10〜S20に示す各処理は、図7で示す各処理と同様であるため、その説明を適宜省略する。
【0119】
ステップS61では、電力変換システム10の起動の有無を判定する。例えば、電力変換システム10を搭載する車両のイグニッションがオンされることで、不図示のECUから上位制御部40に電力変換システム10を起動させるための起動信号が入力したとする。この場合、電力変換システム10が起動していると判定する。ステップS61が起動判定部に相当する。
【0120】
ステップS61において、電力変換システム10の起動を判定した場合、ステップS62に進む。ステップS62では、第1電流IH1を取得する。ステップS63では、第2電流IH2を取得する。
【0121】
ステップS64では、第1DDC10a及び第2DDC10bに対して均等化制御を実施する。ステップS64で実施される均等化制御は、図7のステップS18と同様の処理である。ステップS65では、出力補正電圧VLBの傾き値Dvlbを用いて断線異常を判定する。ステップS65で実施される断線異常の判定は、図7のステップS19と同様の処理である。
【0122】
一方、ステップS61において、電力変換システム10の起動状態を判定しない場合は、ステップS10に進む。ステップS10〜S20では、推定した出力電流Ioに応じて、第1DDC10a及び第2DDC10bの動作を切り替える。そして、均等化制御を実施する場合(ステップS18)、ステップS19では、この均等化制御の実施下において、出力補正電圧VLBに基づいて断線異常を判定する。
【0123】
上記構成により、本実施形態に係る電力変換システム10は、以下の効果を奏する。
【0124】
上位制御部40は、電力変換システム10の起動時において、均等化制御を強制的に実施し、この均等化制御の実施下において、第1DDC10aの出力側及び第2DDC10bの出力側の断線異常を判定することとした。このため、断線異常の有無を判定する機会を適正に確保することができる。
【0125】
(その他の実施形態)
・上位制御部40が均等化制御を実施する際の構成を以下の構成としてもよい。図18図20は、均等化制御の他の実施例を示す図である。
【0126】
図18,19では、第1DDC10a及び第2DDC10bのいずれかの上位電圧指令値VPのみを、出力補正電圧VLBで補正する。具体的には、図18では、上位制御部40の加算器406は、徐変処理が施された出力補正電圧VLBと上位電圧指令値VPとの加算値を、第1電圧指令値VL1*に設定する。また、上位制御部40は、上位電圧指令値VPをそのまま、第2電圧指令値VL2*に設定する。
【0127】
図19では、電流偏差算出器401は、出力電流平均値Iave*から第2電流IH2を減算することにより偏差を算出する。PI制御器402は、電流偏差算出器401により算出された偏差に基づく比例積分制御により、出力補正電圧VLBを算出する。上位制御部40の加算器407は、徐変処理が施された出力補正電圧VLBと上位電圧指令値VPとの加算値を、第2電圧指令値VL2*に設定する。一方、上位制御部40は、上位電圧指令値VPをそのまま、第1電圧指令値VL1*に設定する。
【0128】
図20では、電流偏差算出器401は、出力電流平均値Iave*から第2電流IH2を減算することにより偏差を算出する。PI制御器402は、電流偏差算出器401により算出された偏差に基づく比例積分制御により、出力補正電圧VLBを算出する。上位制御部40の第1加算器408は、徐変処理が施された出力補正電圧VLBと上位電圧指令値VPとの加算値を、第2電圧指令値VL2*に設定する。一方、第2加算器409は、徐変処理が施された出力補正電圧VLBの符号反転値と上位電圧指令値VPとの加算値を、第1電圧指令値VL1*に設定する。
【0129】
・上位制御部40は、各電流IH1,IH2に基づいて出力電流Ioを推定する以外にも、第1,第2DDC10a,10bの出力電流Ioを直接検出してもよい。この場合、第1,第2DDC10a,10bは、リアクトル15から出力される電流量を検出する電流検出部を備えており、第1,第2下位制御部30a,30bは、電流検出部の検出結果を出力電流として取得し、上位制御部40に出力する。
【0130】
・定電圧制御部31a,31bは、電圧指令値VL*と出力電圧VLrとの偏差を比例積分制御した値に基づいて目標電流値を算出することに代えて、電圧指令値VL*と出力電圧VLrとの偏差を比例制御及び積分制御した値のいずれかに基づいて目標電流値を算出するものであってもよい。
【0131】
・上位制御部40が推定する負荷出力としては、第1DDC10a及び第2DDC10bのそれぞれから出力される電力であってもよい。この場合、出力定格値として、定格電流に代えて、定格電力が用いられる。
【0132】
・制御装置を、上位制御部40、下位制御部30a,30bにより分割して構成したことは一例に過ぎない。これに代えて、一つの制御部が、上位制御部40及び下位制御部30a,30bの各機能を備える構成であってもよい。
【0133】
図1において、第2DDC10bと第1蓄電池60とが以下のように接続されていてもよい。第2DDC10bの第3端子T3と繋がる第3出力側配線OUT3が、第1蓄電池60のプラス側端子に接続され、第4端子T4と繋がる第4出力側配線OUT4が第1蓄電池60のマイナス側端子に接続される。この場合において、第1DDC10aの出力側の断線異常には、第1電気経路LO1と、第2電気経路LO2と、第1出力側配線OUT1と、第2出力側配線OUT2とのうち、少なくとも1つが途中で断線することが含まれる。そして、第2DDC10bの出力側の断線異常には、第3電気経路LO3と、第4電気経路LO4と、第3出力側配線OUT3と、第4出力側配線OUT4とのうち、少なくとも1つが途中で断線することが含まれる。
【0134】
上位制御部40は、出力補正電圧VLBの傾き値Dvlbに代えて、出力補正電圧VLBを用いて第1DDC10a及び第2DDC10bの断線異常を判定してもよい。この場合、上位制御部40は、出力補正電圧VLBを、図6に示す上限値LH1及び下限値LH2と比較することで、第1DDC10a及び第2DDC10bの断線異常を判定する。具体的には、図12のステップS31において、出力補正電圧VLBが上限値LH1より大きいと判定した場合に、第1DDC10aの出力側の断線異常を判定する。また、図12のステップS33において、出力補正電圧VLBが下限値LH2より小さいと判定した場合に、第2DDC10bの出力側の断線異常を判定する。ここで、断線異常の判定に用いられる上限値LH1及び下限値LH2は、出力電流Ioが大きい程その値が大きく設定されればよい。
【符号の説明】
【0135】
10…電力変換システム、10a…第1DC/DCコンバータ、10b…第2DC/DCコンバータ、30a,30b…下位制御部、40…上位制御部、60…第1蓄電池。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20