(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記偏向信号は、初期偏向サブ信号及び最終偏向サブ信号を含み、前記メモリは、前記タイムスロットの開始時、分析液滴が存在する場合に前記分析液滴を偏向させるように前記偏向器を構成する初期偏向サブ信号を前記細胞ソーターに送信することにより、前記偏向信号を生成するための命令を含むことを特徴とする請求項2に記載のシステム。
前記偏向信号を生成するための前記命令は、前記タイムスロットの終了時、分析液滴を偏向しないように前記偏向器を構成する最終偏向サブ信号を前記細胞ソーターに送信することを更に含むことを特徴とする請求項3に記載のシステム。
前記偏向信号を生成するための前記命令は、1つの分析液滴が前記タイムスロット中に偏向された後、最終偏向サブ信号を前記細胞ソーターに送信することを更に含み、前記最終偏向サブ信号は、分析液滴を偏向しないように前記偏向器を構成することを特徴とする請求項3に記載のシステム。
前記メモリは、前記細胞ソーターからの偏向液滴の前記頻度の変化に応答して、前記支持ステージの速度を自動的に調整するための命令を含むことを特徴とする請求項7に記載のシステム。
前記支持ステージは2つ以上の容器を備え、及び前記システムは、X−Y平面での前記支持ステージの連続的な移動を介して、Z次元において前記2つ以上の容器を前記偏向液滴受け取り場所に自動的に且つ順次位置合わせするように構成されることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載のシステム。
【発明を実施するための形態】
【0009】
定義
例示的な実施形態を更に詳細に説明する前に、以下の定義を記載して、説明で使用される用語の意味及び範囲を示し、定義する。
【0010】
別段のことが定義される場合を除き、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者により一般に理解される意味と同じ意味を有する。SingletonらのDICTIONARY OF MICROBIOLOGY AND MOLECULAR BIOLOGY,2D ED.,John Wiley and Sons,New York(1994)及びHale&MarkhamのTHE HARPER COLLINS DICTIONARY OF BIOLOGY,Harper Perennial,N.Y.(1991)は、本明細書に使用される用語の多くの一般的な意味を当業者に提供する。それでもなお、特定の用語が明確性及び参照しやすさのために以下に定義される。
【0011】
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、及び「その(the)」は、文脈により明確に別段のことが示される場合を除き、複数形を含むことに留意しなければならない。例えば、「プライマー」という用語は1つ又は複数のプライマー、すなわち、単数のプライマー及び複数のプライマーを指す。特許請求の範囲が任意選択的な要素を除外するように起草され得ることに更に留意する。したがって、この記述は、請求項の要素の記載に関連する「単に」、「のみ」等の排他的用語の使用又は「否定的な」限定の使用の先行詞として機能することが意図される。
【0012】
「プロセッサ」は、必要とされる機能を実行する任意のハードウェア及び/又はソフトウェアの組合せを指す。例えば、本明細書での任意のプロセッサは、電子コントローラ、メインフレーム、サーバ、又はパーソナルコンピュータ(デスクトップ又はポータブル)の形態で利用可能等のプログラマブルデジタルマイクロプロセッサであり得る。プロセッサはプログラム可能である場合、好適なプログラミングをリモートロケーションからプロセッサに通信することができるか、又はコンピュータプログラム製品(磁気ベースであれ、光学ベースであれ、それとも固体状態デバイスベースであれ関係なく、ポータブル若しくは固定コンピュータ可読記憶媒体等)に事前に保存することができる。例えば、磁気媒体又は光学ディスクはプログラミングを運ぶことができ、対応するステーションでの各プロセッサと通信する好適なリーダにより読み取ることができる。
【0013】
「コンピュータベースのシステム」は、本発明の情報の分析に使用されるハードウェア手段、ソフトウェア手段、及びデータ記憶手段を指す。コンピュータベースのシステムの最小ハードウェアは、中央演算処理装置(CPU)、入力手段、出力手段、及びデータ記憶手段を含む。任意の好都合なコンピュータベースのシステムを使用し得る。データ記憶手段は、本明細書に記載される本情報の記録を含む任意の製造物又はそのような製造物にアクセスすることができるメモリアクセス手段を含み得る。
【0014】
本明細書で使用される場合、データ、プログラミング、及び他の情報をコンピュータ可読媒体に「記録」することは、任意の好都合な方法を使用して情報を記憶するプロセスを指す。記憶された情報へのアクセスに使用される手段に基づいて、任意の好都合なデータ記憶構造を選び得る。様々なデータプロセッサプログラム及びフォーマット、例えば、言語処理テキストファイル、データベースフォーマット等を記憶に使用することができる。
【0015】
本明細書で使用される場合、「試料」という用語は、関心のある1つ又は複数の検体を含む、場合によっては液体の形態の材料又は材料の混合物を指す。幾つかの実施形態では、最も広義の意味で使用されるこの用語は、例えば、個人から分離された組織若しくは流体(限定ではなく、血漿、血清、髄液、リンパ液、涙、唾液、及び組織切片を含む)又は生体外細胞培養成分から分離された組織若しくは流体、並びに環境からの試料等の細胞を含むか、又は細胞代謝物を生成する任意の植物材料、動物材料、又はバクテリア材料を指す。「試料」という用語は、「生物学的試料」を指すこともできる。本明細書で使用される場合、「生物学的試料」という用語は、有機体全体又はその組織、細胞、若しくは成分部分(例えば、血液、粘液、リンパ液、滑液、脳脊髄液、唾液、羊膜液、羊膜帯血液、尿、膣液、及び精液を含むが、これらに限定されない体液)のサブセットを指す。「生物学的試料」は、血漿、血清、髄液、リンパ液、皮膚、気道、腸管及び尿生殖管の外側切片、涙、唾液、乳、血液細胞、腫瘍、並びに器官を含むが、これらに限定されない、全有機体及びその組織、細胞、若しくは成分部分のサブセット、又はその画分若しくは一部から調製されたホモジネート、溶解物、又は抽出物を指すこともできる。特定の実施形態では、試料は、動物又は植物から取り出されている。生物学的試料は細胞を含み得る。「細胞」という用語は、従来の意味において、少なくとも細胞核及び細胞膜を有する、真核生物及び原核生物の両方の生存生物の基本構造単位を指すために使用される。特定の実施形態では、細胞は、バクテリア等からの原核細胞を含む。他の実施形態では、細胞は、動物、植物、又は真菌類からの生物学的試料から得られる細胞等の真核細胞を含む。
【0016】
本明細書で使用される場合、「特定する」、「測定する」、「評価する」、及び「検定する」という用語は、同義で使用され、定量的特定及び定性的特定の両方を含む。
【0017】
本明細書で使用される場合、「分離」という用語は、精製前に部分が関連付けられる他の成分が少なくとも60%ない、少なくとも75%ない、少なくとも90%ない、少なくとも95%ない、少なくとも98%ない、及び少なくとも99%ない、関心のある部分を指す。
【0018】
「複数」は、少なくとも2つのメンバを含む。特定の場合、複数は、100以上、1000以上、10,000以上、100,000以上、10
6 以上、10
7 以上、10
8 以上、又は10
9 以上のメンバ等の10以上のメンバを含み得る。
【0019】
数値範囲は、その範囲を定義する数を包含する。
【0020】
「分ける」という用語は、本明細書で使用される場合、2つの要素の物理的な分離(例えば、サイズ又は親和性等による)、及び他の要素がそのままの状態でのある要素の分解を指す。
【0021】
本明細書に記載の方法は、複数のステップを含む。各ステップは、必要に応じて、ステップ間で所定量の時間が経過した後、実行し得る。したがって、各ステップを実行する間の時間は、1秒以上、10秒以上、30秒以上、60秒以上、5分以上、10分以上、60分以上であり得、5時間以上を含み得る。特定の実施形態では、各後続ステップは、前のステップの完了直後に実行される。他の実施形態では、ステップは、前のステップの完了後、潜伏時間及び待機時間後、例えば数分〜一晩という待機時間後に実行し得る。
【0022】
用語の他の定義が、本明細書全体を通して出現し得る。
【0023】
上記で概説したように、細胞をソートするシステムが提供される。システムは、分析液滴を偏向液滴受け取り場所に偏向させることが可能な偏向器を含む細胞ソーターと、容器を含み、且つ二次元において連続的に移動するように構成される支持ステージとを含み得る。システムの態様は、容器の偏向液滴受け取り場所との位置合わせを特定し、且つ容器が位置合わせされると、細胞ソーターに偏向信号を送信するための命令を有するメモリに動作可能に結合されるプロセッサを更に含み得る。X−Y平面において支持ステージを連続的に移動させるための命令と、偏向液滴受け取り場所との容器の位置合わせを特定するアルゴリズムと、偏向信号を細胞ソーターに送信するための命令とを有するメモリを含むコンピュータ可読媒体も提供される。細胞を容器にソートする方法も提供される。
【0024】
様々な実施形態を更に詳細に説明する前に、本開示の教示は、説明される特定の実施形態に限定されず、したがって、当然ながら変更可能であることを理解されたい。本教示の範囲は添付の特許請求の範囲によってのみ限定されるため、本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明することのみを目的とし、限定を意図しないことも理解されたい。
【0025】
本明細書で使用されるセクション見出しは、編成のみを目的とし、記載される趣旨の限定として決して解釈されるべきではない。本教示は、様々な実施形態と併せて説明されるが、本教示がそのような実施形態に限定されることは意図されない。逆に、本教示は、当業者により理解されるように、様々な変更形態、変形形態、及び均等物を包含する。
【0026】
別段のことが定義される場合を除き、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本開示が属する技術分野の当業者により一般に理解される意味と同じ意味を有する。本明細書に記載されるものと同様又は同等の任意の方法及び材料を本教示の実施又はテストに使用することもできるが、幾つかの例示的な方法及び材料についてこれより説明する。
【0027】
任意の刊行物の引用は、出願日前の開示のためであり、本特許請求の範囲が、先行発明によりそのような刊行物に先行する権利を有さないことを認めるものとして解釈されるべきではない。更に、提供される刊行物の日付けは、独立して確認することができる実際の公開日と異なり得る。
【0028】
本開示を読んだうえで当業者に明らかになるように、本明細書に記載され示される個々の各実施形態は、本教示の範囲又は趣旨から逸脱せずに、他の幾つかの任意の実施形態の特徴から容易に分けることができるか、又は組み合わせることができる個別の構成要素及び特徴を有する。記載される任意の方法は、記載されるイベントの順序で、又は論理的に可能な任意の他の順序で実行することができる。
【0029】
本明細書で参照される全ての特許及び刊行物は、そのような特許及び刊行物内で開示される全てのシーケンスを含め、参照により本明細書に明示的に援用される。
【0030】
本発明の更なる説明では、まず、システムが更に詳細に説明される。次に、本システムで使用し得るコンピュータ可読媒体が検討される。本システムが用途を有する関心のある方法も説明される。
【0031】
細胞ソートシステム
本発明の態様は、細胞をソートするシステム及びその使用方法を含む。幾つかの場合、システムは、細胞の混合物を含む試料が装填されたフローチャネルを有するフローサイトメーターシステムであり、細胞が検出され及び/又は識別(すなわち、分析)される検知領域を、細胞は実質的に一度に1つずつ通過する。次に、この分析細胞のフローストリームをソートして、所望の分析細胞の母集団を細胞受け取り場所に送ることができ、その間、フローストリームの残りの部分は破棄されるか、又は別個に収集される。
【0032】
したがって、システムは、所望の分析細胞を細胞受け取り場所に向ける(すなわち、細胞ソートする)細胞ソーターを含み得、細胞ソーターでは、支持ステージに搭載されるトレイの複数の容器に望ましい分析細胞を収集するように位置決めされた連続移動支持ステージを構成し得る。連続的な移動で移動する支持ステージは、より長寿命の機械的パーツ及び/又はより低いシステムメンテナンスを提供し得、その理由は、ストップアンドゴー移動(例えば、速度が0ウェル/秒である期間を含む移動)で移動するステージと比較して、連続移動ステージで生じる支持ステージのモータ及び移動機構の他の機械的パーツの摩耗が低減するためである。システムは、マルチウェルトレイの連続的な移動を細胞ソーターからの細胞の順次送出と同期させるコントローラを含み得る。コントローラの論理は、マルチウェルトレイが軌跡に沿って移動する際、マルチウェルトレイの位置に従って分析細胞を特定の容器に収集することができる容器の軌跡におけるタイムスロットを識別する。そのようなタイムスロットが開始されると、容器への細胞の収集が可能であり、適切なコマンドが細胞ソーターのソート機構に発行されて、望ましい細胞を細胞受け取り場所に実際に向ける(例えば、細胞を含む液滴を偏向させることにより)。タイムスロットが終わると、コントローラは、細胞ソートを回避するコマンドを発行し得る。幾つかの場合、コントローラは、特定のタイムスロットが終了したか否かに関係なく、所望数の液滴及び/又は細胞が容器に収集された場合、細胞ソートを回避するコマンドを発行し得る。
【0033】
幾つかの実施形態では、システムは、液滴分析ストリームを生成するように構成され、且つ分析液滴を液滴分析ストリームから偏向液滴受け取り場所に偏向させることが可能な偏向器を備える細胞ソーターと、容器を備え、且つ二次元で連続的に移動するように構成される支持ステージと、容器の偏向液滴受け取り場所との位置合わせを特定し、且つ容器が偏向液滴受け取り場所と位置合わせされたときに、偏向信号を細胞ソーターに送信するための記憶された命令を含むメモリに、動作可能に結合されるプロセッサとを含む、細胞をソートするシステムである。
【0034】
細胞ソーター
本システムは、試料から望ましい細胞母集団を分け、分離することが可能な細胞ソーターを含み得る。機械的ソート、静電的ソート、又は磁気的ソートが可能な細胞ソーター等の標的粒子(例えば、細胞)を分析し、及び/又は分けるために好都合な任意の細胞ソーターが、本システムにおいて用途を有し得る。幾つかの場合、細胞ソーターは、フローサイトメーターシステムの一部である。特定の場合、システムは、液滴ストリームを生成するように構成され、この場合、液滴は分析細胞を含む。関心のある液滴を受け取り場所に逸らすことは、液滴を静電荷電し、静電場を印加することにより荷電液滴をフローストリームから偏向させることを介して、細胞ソーターにより達成し得る。そのような静電場は、フローストリームに隣接して位置決めされる偏向板により生成し得る。本明細書で使用される場合、「偏向」又は「偏向された」という用語は、関心のある液滴が液滴分析フローストリームから静電的に偏向されることを指し、それにより、細胞ソーターは、フローストリーム中の関心のある細胞を識別して追跡し、関心のある細胞を含むフローストリームの液滴のみ逸らして、容器に収集し得る。幾つかの場合、システムは、1つの液滴を各容器に偏向するように構成される。
【0035】
システムの幾つかの実施形態では、細胞ソーターは、液滴分析ストリームを生成し、分析液滴を液滴分析ストリームから偏向液滴受け取り場所に偏向させるように構成される。したがって、細胞ソーターは、分析液滴を液滴ストリームから偏向液滴受け取り場所に偏向させることが可能な偏向器を含み得る。本明細書で使用される場合、「偏向液滴受け取り場所」という用語は、細胞ソーターにより偏向した後、関心のある細胞を含むソートされた液滴を収集し得るシステム内の場所を指す。幾つかの場合、細胞ソーターは、任意選択的なノズルを介して、関心のある液滴を収集容器に偏向させ得る。ノズルは、容器を保持する支持ステージの上(すなわち、z軸に沿って垂直)に構成し得、この場合、支持ステージは連続的に移動するように構成される(すなわち、x−y平面において)。偏向液滴受け取り場所は、偏向液滴のフローストリームにより画定されるz軸が交差する、支持ステージにより画定されるx−y平面における位置に対応する。支持ステージが連続的に移動する際、偏向液滴受け取り場所もx−y平面において連続的に移動する。
【0036】
細胞ソーターによる関心のある液滴の偏向のみが、偏向液滴受け取り場所での試料材料の収集に繋がる。仮に1つの容器が偏向液滴受け取り場所に位置決めされると、その容器は、細胞ソーターから関心のある分析細胞の豊富な母集団を収集するように位置決めされる。幾つかの場合、非偏向液滴は、電場による影響を受けない細胞ソーターのフローストリーム又は液滴受け取り場所への偏向を回避する極性及び/又は強度を有する電場の印加により影響を受けるフローストリームを辿る。非偏向液滴は、破棄するか、又は別個に収集し得る。
【0037】
関心のある細胞は、関心のある細胞への特定の蛍光標識の取り付けを介して識別される表現型特性等の様々なパラメータに従って、細胞ソーターのフローストリームから分ける標的とし得る。任意の好都合な細胞を本システムの細胞ソーターでの偏向の標的とし得る。幾つかの実施形態では、システムは、標的細胞を含むと判断される分析液滴を偏向するように構成される。
【0038】
支持ステージ
システムは、容器を搭載する支持ステージを含み得る。支持ステージは、容器を所定位置に保持し、容器を細胞ソーターのフローストリームに相対して移動させるように構成される任意の好都合な搭載デバイスであり得る。支持ステージは、他のタイプの支持構造の中でも特に、平坦な基板、輪郭を有する搭載デバイス、円筒形又は管状支持構造、又はレーザ若しくはLEDホルダーを含み得る。幾つかの場合、支持ステージはマルチウェルトレイ用のマウントである。本明細書で使用される場合、「マルチウェルトレイ」及び「マルチウェルプレート」という用語は、任意の好都合なフォーマットで構成し得る収集容器、例えば、ウェル、バイアル、管等の二次元アレイを指すために同義で使用される。関心のあるマルチウェルトレイとしては、容器の12ウェル、24ウェル、96ウェル、及び384ウェルプレート又はトレイ等のX−Y平面において一連の行及び列(例えば、2×3、2×6、3×4、8×12、16×24)で配置されるウェル、管、及び/又はバイアルの構成を含む構造が挙げられるが、これらに限定されない。本明細書で使用される場合、「容器」という用語は、容器の構成(例えば、マルチウェルトレイ内のウェル、バイアル、管等)のうちの1つであり得る離散容器を指す。本システム内の容器の数に応じて、2つ以上、3つ以上、又は4つ以上等、及び5つ以上の支持ステージを含め、支持ステージの数も必要に応じて変更し得る。特定の実施形態では、関心のあるシステムは、搭載容器、例えば、搭載マルチウェルトレイを有する支持ステージ等の1つの支持ステージを含む。特定の実施形態では、支持ステージは、6つ以上、12以上、24以上、48以上、96以上、又は384以上の離散した搭載容器等の2つ以上の搭載容器を含む。
【0039】
支持ステージは移動可能であり得る。支持ステージは、連続的に移動して、細胞ソーターからの関心のある分析細胞のフローストリームとの容器の位置合わせを調整し得る。本明細書で使用される場合、「連続」移動とは、細胞がソートされ、収集されているとき、連続的な移動の期間中、支持ステージが特定の位置に静止しない(すなわち、速度0を有さない)ことを意味する。支持ステージの連続的な移動は、線形、曲線、又は角度的であり得、1つ又は複数の移動方向変更を含み得る。幾つかの場合、支持ステージは、一定速度で連続的に移動する。特定の場合、支持ステージは、様々な速度で連続的に移動し、ここで、支持ステージの速度は、幾つかの場合、適切な閾値未満に低下しない。そのような場合、支持ステージの速度は平均速度であり得る。特定の実施形態では、支持ステージは、0.2ウェル/秒以上、0.5ウェル/秒以上、1ウェル/秒以上、例えば、2ウェル/秒以上、3ウェル/秒以上、4ウェル/秒以上、5ウェル/秒以上、6ウェル/秒以上、7ウェル/秒以上、8ウェル/秒以上、9ウェル/秒以上、又は10ウェル/秒以上の速度で連続的に移動する。連続的な移動の速度は、マルチウェルトレイでの容器の間隔及びソートされる液滴の頻度等の様々な要因に応じて、支持ステージの軌跡中に変更し得る。特定の場合、支持ステージは連続的に移動するが、速度を変更する(すなわち、移動方向を変更する)。
【0040】
本明細書で使用される場合、「位置合わせ」という用語は、分析細胞のフローストリームの受け取り場所との支持ステージに搭載される容器の相対位置を指す。支持ステージは、ステージに搭載された容器が細胞ソーターから関心のある偏向液滴を受け取るか、又は収集することが可能な場合、偏向液滴受け取り場所と位置合わせされたと言える。幾つかの場合、支持ステージは、細胞ソーターからの関心のある分析細胞のフローストリームの軸(例えば、Z軸)に直交するX−Y平面等、二次元で連続的に移動可能である。したがって、支持ステージは、連続的に移動しながら、マルチウェルトレイのウェルを偏向液滴受け取り場所に順次位置合わせするように構成し得る。「二次元での連続的な移動」という用語は、x次元での移動(行Aに沿って
図3に示されるように、A1からA6)後、y方向での線形移動(例えば、行Aから行Bへ)が続き、その後、x方向での線形移動が続く(例えば、行Bに沿ってB6からB1へ、又はB1からB6へ)等のx−y平面での線形移動を包含することが意図される。幾つかの場合、支持ステージは2つ以上の容器を含み、システムは、X−Y平面での支持ステージの連続的な移動を介してZ次元において2つ以上の容器を偏向液滴受け取り場所に自動的に順次位置合わせするように構成される。
【0041】
図3は、細胞ソーターに相対して連続的に移動している支持ステージに搭載されたマルチウェルトレイとの偏向液滴受け取り場所の位置合わせを表す軌跡(301)を示す。
図5は、ステージが連続的に移動する際の偏向液滴受け取り場所とのウェルA4(
図3)の空間的位置合わせ(領域501)及び時間的位置合わせ(領域502)を示す。簡潔にするために、偏向液滴受け取り場所とのウェルA1〜A3、A5、及びA6(
図3)の空間的及び時間的位置合わせに対応する領域は、グラフでは示されていない。
【0042】
幾つかの場合、支持構造は3次元で移動可能である。支持ステージが移動するように構成される場合、支持ステージは、連続的に又は離散した間隔で移動するように構成し得る。幾つかの実施形態では、支持ステージは、搭載されたマルチウェルトレイが細胞ソーターから液滴を受け取っているか、又は収集している時間中、連続的な移動により移動可能である。
【0043】
特定の場合、支持ステージは、細胞ソーターからの細胞の収集中、離散間隔で移動しないように、例えば、
図4のグラフで示されるようにストップアンドゴー移動で移動しないように構成される。特定の実施形態では、支持ステージは、離散間隔、例えば、0.01μm以上の増分等、0.05μm以上の増分等、0.1μm以上の増分等、0.5μm以上の増分等、1μm以上の増分等、10μm以上の増分等、100μm以上の増分等、500μm以上の増分等、1mm以上の増分等、5mm以上の増分等、10mm以上の増分等、及び25mm以上の増分を含め、移動可能である。
【0044】
他のタイプのモータの中でも特にステッパモータ、サーボモータ、ブラシレス電気モータ、ブラシ付きDCモータ、マイクロステップ駆動モータ、高分解能ステッパモータを利用する等のモータ作動並進移動ステージ、リードスクリュー並進移動組立体、ギヤ式並進移動デバイスを用いて支持ステージを移動させる等、任意の変位プロトコルを利用して、支持構造を移動させ得る。
【0045】
特定の実施形態では、本システムは、容器及び/又は支持ステージの偏向液滴受け取り場所との位置合わせを直接又は間接的に評価するように構成される。任意の好都合な構成要素及び方法を利用して、位置合わせを評価し得る。幾つかの実施形態では、本システムは、位置合わせを示す光信号を検出する1つ又は複数の光検出器を含む。本システム内の光検出器は、他の光検出器の中でも特に、能動ピクセルセンサ(APS)、クワッドフォトダイオード、イメージセンサ、電荷結合素子(CCD)、インテンシファイア電荷結合素子(ICCD)、発光ダイオード、光子カウンタ、ボロメータ、焦電検出器、光抵抗器、光起電力電池、フォトダイオード、光電子倍増管、フォトトランジスタ、量子ドット光伝導体又はフォトダイオード、及びそれらの組合せ等の光センサ又は光検出器を含むが、これらに限定されない任意の好都合な位置検知検出プロトコルであり得る。支持ステージに搭載される全ての容器の相対的な位置決めは、支持ステージの任意の一点の相対的な位置合わせ又は位置決めを評価することにより、細胞ソーターの自然なフローストリーム又はフローストリーム受け取り場所に相対してマッピングし得る。
【0046】
コントローラ
本システムは、支持ステージ(したがって、搭載マルチウェルトレイ)の連続的な移動を細胞ソーターからの細胞の送出と同期させるコントローラを含み得る。幾つかの実施形態では、制御論理が記憶されたコンピュータ使用可能媒体を含むコンピュータプログラム製品が記載される。制御論理は、コンピュータのプロセッサにより実行されると、プロセッサに本明細書に記載される機能を実行させる。コントローラの論理は、マルチウェルトレイが移動する際、マルチウェルトレイの相対位置に従って、分析細胞を特定のウェルに向けることができ、収集することができるタイムスロットを識別し得る。本明細書で使用する場合、「同期」という用語は、逸らされたフローストリームを受け取るように容器が適宜位置決めされる場合のみ、関心のあるフローストリームを受け取り場所に逸らすことが行われるプロセスを指す。容器は、フローストリームからその場所に逸らされた液体が容器の口内部で収集されるときは随時、受け取り場所に位置決めされていると見なされる。本明細書で使用される場合、「タイムスロット」という用語は、1つの離散した搭載容器が細胞ソーターの逸らされたフローストリームを受け取り収集する(例えば、偏向液滴受け取り位置において偏向液滴を受け取る)ために適切な位置にある、支持ステージの軌跡中の時間期間を指す。幾つかの場合、支持ステージの軌跡は、x−y平面でのステージの(例えば、提案される)連続的な移動との偏向液滴受け取り場所(直交するz軸から射影される)の相対位置をプロットすることにより特定される。
【0047】
任意の好都合なコントローラデバイスを本システムで利用し得る。コントローラは、支持ステージ及び/又は細胞ソーターに動作可能に結合し得、システムの機能(例えば、本明細書に記載のような)を実行するための命令を提供し得る。幾つかの実施形態では、システムは、偏向液滴受け取り場所との容器の時間的及び空間的位置合わせを特定するための記憶された命令を含むメモリに動作可能に結合されるプロセッサを含む。
図5は、支持ステージが連続的に移動する際の偏向液滴受け取り位置とのウェルA4(
図3)の空間的位置合わせ(領域501)及び時間的位置合わせ(領域502)の特定期間(すなわち、タイムスロット)を示す。簡潔にするために、偏向液滴受け取り場所とのウェルA1〜A3、A5、及びA6(
図3)の空間的及び時間的位置合わせの期間に対応する領域は、グラフに示されていない。ステージが連続的に移動するにつれて、偏向細胞をマルチウェルトレイの特定の場所で収集し得る空間的及び時間的位置合わせの期間(すなわち、タイムスロット)は、必要に応じて、幾つかの変数に依存し得る。空間的及び時間的位置合わせの領域を特定するために、支持ステージの速度及び提案される軌跡、使用される特定の容器(例えば、ウェル、管、又はバイアル)の口幅、及び細胞ソートと細胞収集との間の距離及び/又は時間遅延等の変数を考慮に入れ得る。
【0048】
幾つかの場合、命令は、偏向液滴受け取り場所に相対する支持ステージの軌跡をマッピングすることと、支持ステージに搭載された複数の容器が偏向細胞を受け取るように適宜位置決めされるタイムスロットを特定することとを含む。したがって、タイムスロットは、容器が偏向液滴受け取り場所と空間的に位置合わせされる時間期間を指す。幾つかの場合、容器の時間的及び空間的位置合わせを特定することは、偏向液滴受け取り場所に相対する支持ステージの軌跡を特定するための命令と、各容器の時間的及び空間的位置合わせの領域を特定するための命令とを含む。特定の実施形態では、容器は、支持ステージに搭載されるマルチウェルトレイのうちの1つのウェルである。
【0049】
システムは、細胞ソーターからの細胞の送出を、偏向液滴を受け取る容器の適切な位置決めと同期するように構成し得る。幾つかの場合、システムは、容器が液滴を受け取るために適切な位置にあるときのみ、関心のある液滴を偏向させるように構成される。幾つかの実施形態では、システムは、容器が偏向液滴受け取り場所と位置合わせされたときに、偏向信号を細胞ソーターに送信するための記憶された命令を含むメモリに動作可能に結合されたプロセッサを含む。容器が、偏向液滴受け取り場所に偏向された液滴を受け取ることができるように受け取り場所に時間的及び空間的に存在する場合、容器は、偏向液滴受け取り場所と位置合わせされていると見なされる。プロセッサは、各タイムスロット中、所望の数の液滴を偏向させることを提供する、メモリに記憶された実行可能命令に従って細胞ソーターの偏向器を制御するように構成し得る。偏向信号とは、所望の時間期間(例えば、タイムスロット)中、関心のある液滴が存在する場合にその関心のある液滴を偏向液滴受け取り場所に偏向させるように細胞ソーターを構成する任意の好都合な直接又は間接的命令又は信号を意味する。偏向信号は、偏向を開始するように動作し得るか、又は更なる偏向を回避するように動作し得る2つ以上の部分又はサブ信号に分け得る。
【0050】
システムの幾つかの実施形態では、偏向信号は、初期偏向サブ信号及び最終偏向サブ信号を含む。メモリは、タイムスロットの開始時、分析液滴が存在する場合に分析液滴を偏向するように偏向器を構成する初期偏向サブ信号を細胞ソーターに送信することにより、偏向信号を生成するための命令を含み得る。偏向信号を生成するための命令は、タイムスロットの終了時、分析液滴を偏向しないように偏向器を構成する最終偏向サブ信号を細胞ソーターに送信することを更に含む。システムの幾つかの実施形態では、偏向信号を生成するための命令は、1つの分析液滴がタイムスロット中に偏向された後、最終偏向サブ信号を細胞ソーターに送信することを更に含み、最終偏向サブ信号は、分析液滴を偏向しないように偏向器を構成する。幾つかの場合、システムが容器毎に標的数の液滴を偏向させるように構成される場合、最終偏向サブ信号は、タイムスロット中に送信されて、それ以上の偏向液滴が偏向液滴受け取り場所に偏向されないようにする。特定の場合、システムは、容器毎に5滴、4滴、3滴、2滴、又は1滴等の容器毎に5滴以下を偏向させるように構成される。
【0051】
フローサイトメーターシステムは、試料中の関心のある細胞の濃度、フローストリームの速度及び容量、フローストリーム中の細胞を検出し、及び/又は識別する手段、及び液滴形成手段等の様々な要因に応じて偏向液滴の頻度を提供し得る細胞ソーターを含む。タイムスロット中、関心のある細胞を含む液滴が偏向に利用可能であるか否かは、分析液滴フローストリーム中のそのような細胞の頻度及び容器が偏向液滴受け取り場所での適切な位置にあるタイムスロットの頻度に依存する。タイムスロットの頻度は、支持ステージの速度及び提案される軌跡、使用される特定の容器(例えば、ウェル、管、又はバイアル)の口幅、及び支持ステージ上の容器の間隔等の様々な要因に依存する。幾つかの場合、関心のあるマルチウェルトレイは、ウェル間に一定の間隔を有し、これは、支持ステージの連続的な移動中、一定の時間スロット頻度を提供する。幾つかの実施形態では、支持ステージは複数の容器を含み、システムは、X−Y平面での支持ステージの連続的な移動を介して、Z次元において2つ以上の容器を偏向液滴受け取り場所に自動的に且つ順次位置合わせするように構成される。
【0052】
プロセッサは、空間的及び時間的位置合わせ及びそれを制御するパラメータを特定する場合、細胞ソーターからの偏向液滴の頻度を考慮に入れる、メモリに記憶された実行可能命令に従って支持ステージの連続的な移動を制御するように構成し得る。したがって、システムの幾つかの場合、メモリは、細胞ソーターからの偏向液滴の頻度を特定するアルゴリズムを含む。メモリは、タイムスロットの長さ及び/又は頻度を偏向液滴の頻度と合わせるアルゴリズムを含み得、それにより、細胞ソーターは、タイムスロット中、1つの液滴を偏向させるように決定される。本明細書で使用される場合、「合わせる」という用語は、移動速度及びx−y平面での空間経路等の支持ステージの連続的な移動を制御する1つ又は複数のパラメータを選択する際、細胞ソーターからの偏向液滴の特定された頻度を考慮に入れ、したがって、望ましい長さ及び/又は頻度のタイムスロットを提供するアルゴリズムを指す。したがって、幾つかの場合、偏向液滴受け取り場所との複数の容器の空間的及び時間的位置合わせの領域を特定するための命令は、タイムスロットの望ましい頻度を選択することを含む。幾つかの場合、偏向液滴受け取り場所(z軸)に相対するx−y平面での支持ステージの提案される空間経路は、マルチウェルトレイの構成(例えば、
図3参照)に従ってデフォルトにより選択し得る。そのような場合、命令は、細胞ソーターからの液滴偏向の特定された頻度に合う頻度のタイムスロットを提供するために望ましい支持ステージ速度を自動的に選択するアルゴリズムを含み得る。支持ステージの連続的な移動が、細胞ソーターからの偏向細胞の頻度の変化又は容器当たりの望ましい偏向細胞数の変化等の状況変化に応答して、調整し得ることが更に理解される。システムの任意の好都合なパラメータは、状況変化及び/又は所望のパラメータに応答して自動的に調整し得る。幾つかの場合、メモリは、細胞ソーターからの偏向液滴の頻度の変化に応答して、支持ステージの速度(例えば、束1組の空間的経路に沿った)を自動的に調整するための命令を含む。したがって、偏向液滴の頻度が1/2に低減する場合、メモリは、支持ステージの速度を低減させ、それにより、タイムスロットの頻度を同様の1/2に低減するための命令を含み得る。幾つかの場合、メモリは、細胞ソーターの1つ又は複数のパラメータを自動的に調整して、液滴を収集し得るタイムスロットの頻度に合った偏向液滴頻度を提供するための命令を含む。自動的に調整し得る関心のある細胞ソーターパラメータとしては、シース流圧、液滴荷電電圧、偏向板電圧、電荷補正値、降下遅延、降下駆動周波数、降下振幅、及び電荷位相が挙げられるが、これらに限定されない。
【0053】
メモリは、磁気記憶デバイス、光学記憶デバイス、又は固体状態記憶デバイス(磁気若しくは光学ディスク、テープ、若しくはRAM、又は固定であれ、ポータブルであれ、任意の他の好適なデバイスを含む)等のプロセッサがデータを記憶し、検索することができる任意の好適なデバイスであり得る。プロセッサは、必要なプログラムコードを運ぶコンピュータ可読媒体から適宜プログラムされる汎用デジタルマイクロプロセッサを含み得る。プログラミングは、通信チャネルを通してプロセッサにリモートに提供することができるか、又はメモリ若しくは何らかの他のポータブル若しくは固定コンピュータ可読記憶媒体等のコンピュータプログラム製品に、メモリに関連してそれらのデバイスの任意のものを使用して事前に保存することができる。例えば、磁気ディスク又は光ディスクはプログラミングを有し得、ディスクライタ/リーダにより読み取ることができる。本システムは、本システムを制御して、本明細書に記載の方法を実施するにあたり使用する、例えば、コンピュータプログラム製品、コンピュータ可読媒体、アルゴリズム等の形態のプログラミングも含む。
【0054】
コンピュータ可読媒体
記憶された命令(例えば、本明細書に記載のような)を含むメモリを含むコンピュータ可読媒体も提供される。本明細書に記載の命令及びアルゴリズムは、任意の好都合なコンピュータ可読媒体、例えば、コンピュータにより直接読み取りアクセスすることができる任意の媒体に記録することができる。そのような媒体としては、フロッピーディスク、ハードディスク記憶媒体、及び磁気テープ等の磁気記憶媒体;CD−ROM等の光学記憶媒体;RAM及びROM等の電気記憶媒体;ポータブルフラッシュドライブ;並びに磁気/光学記憶媒体等のこれらのカテゴリのハイブリッドが挙げられるが、これらに限定されない。
【0055】
幾つかの実施形態では、命令は、X−Y平面において容器を含む支持ステージを連続的に移動させるための命令、偏向液滴受け取り場所との容器の時間的及び空間的位置合わせを特定するアルゴリズム、並びに容器が偏向液滴受け取り場所と位置合わせされたときに、液滴分析ストリームから偏向液滴受け取り場所に分析液滴を偏向させることが可能な偏向器を含む細胞ソーターに偏向信号を送信するための命令を含む。
【0056】
特定の実施形態では、メモリは、容器が偏向液滴受け取り場所と位置合わせされるタイムスロットを特定するための命令を含む。幾つかの場合、偏向信号は、初期偏向サブ信号及び最終偏向サブ信号を含み、メモリは、タイムスロットの開始時、分析液滴が存在する場合に分析液滴を偏向するように偏向器を構成する初期偏向サブ信号を細胞ソーターに送信することにより、偏向信号を生成するための命令を含む。特定の場合、メモリは、タイムスロットの終了時、分析液滴を偏向しないように偏向器を構成する最終偏向サブ信号を細胞ソーターに送信することにより、偏向信号を生成するための命令を更に含む。幾つかの場合、メモリは、1つの分析液滴がタイムスロット中に偏向された後、最終偏向サブ信号を細胞ソーターに送信するための命令を更に含み、最終偏向サブ信号は、分析液滴を偏向しないように偏向器を構成する。特定の場合、命令は、タイムスロット中、容器に2つ以上の分析液滴の収集を提供し得る。
【0057】
幾つかの実施形態では、メモリは、X−Y平面において支持ステージを自動的に且つ連続的に移動させて、Z次元において2つ以上の容器を偏向液滴受け取り場所に順次位置合わせするための命令を含む。特定の実施形態では、メモリは、タイムスロットの長さを偏向液滴の頻度に合わせ、それにより、細胞ソーターがタイムスロット中に1つの液滴を偏向することが特定されるアルゴリズムを含む。
【0058】
幾つかの場合、メモリは、細胞ソーターからの偏向液滴の頻度の変化に応答して、支持ステージの速度を調整するための命令を含む。
【0059】
フローサイトメーター
特定の実施形態では、システムはフローサイトメーターを含む。そのような実施形態の幾つかの場合、本システムは、例えば、光散乱によりフローストリームからの液滴の偏向及び/又は収集を検出するように構成し得る。前方散乱光を、照射されたフローストリームから1つ又は複数の前方散乱検出器により収集し得る。特定の実施形態では、前方散乱検出器は、光源からフローストリームの逆側に位置決めされ、前方散乱光を収集し検出するように位置決めされる。特定の実施形態では、本システムは、内部全反射により上流を伝搬する光から光信号を検出することにより、フローストリームとの位置合わせを評価するように構成される。
【0060】
特定の態様では、システムは、光をフローチャネルのアッセイ領域に向けるように構成される光源を含むこともできる。システムは、フローチャネルのアッセイ領域から信号を受信するように構成される検出器を含み得、信号は、蛍光組成物により提供される。任意選択的に、更に、試料分析システムは、1つ又は複数の追加の信号を検出する1つ又は複数の追加の検出器及び/又は光源を含み得る。特定の態様では、システムは、蛍光信号の存在を検出するように構成されるコンピュータベースのシステムを更に含み得る。本システムは、データ出力デバイス、例えば、モニタ及び/又はスピーカ、データ入力デバイス、例えば、インタフェースポート、キーボード等、流体処理構成要素、電源等の幾つかの追加の構成要素を含み得る。
【0061】
本発明の実施形態(例えば、上述したような)に従って液滴ソート場所に相対した容器の連続的な移動を含むように変更し得る、関心のあるフローサイトメーターとしては、Ormerod(ed.),Flow Cytometry:A Practical Approach,Oxford Univ.Press(1997);Jaroszeski et al.(eds.),Flow Cytometry Protocols,Methods in Molecular Biology No.91,Humana Press(1997);Practical Flow Cytometry,3rd ed.,Wiley−Liss(1995);Virgo,et al.(2012)Ann Clin Biochem.Jan;49(pt 1):17−28;Linden,et al.,Semin Throm Hemost.2004 Oct;30(5):502−11;Alison,et al.J Pathol,2010 Dec;222(4):335−344;及びHerbig,et al.(2007)Crit Rev Ther Drug Carrier Syst.24(3):203−255に記載されるものが挙げられるが、これらに限定されず、これらの開示は参照により本明細書に援用される。特定の場合、関心のあるフローサイトメトリーシステムとしては、BD Biosciences FACSCanto(登録商標)フローサイトメーター、BD Biosciences FACSVantange(登録商標)、BD Biosciences FACSort(登録商標)、BD Biosciences FACSCount(登録商標)、BD Biosciences FACScan(登録商標)、及びBD Biosciences FACSCalibur(登録商標)システム、BD Biosciences Influx(登録商標)細胞ソーター、BD ACCURI(登録商標)C6、BD FACSVERSE(登録商標)、BD LSRFORTESSA(登録商標)X−20、BD LSRFORTESSA(登録商標)、BD Biosciences Jazz(登録商標)細胞ソーター、及びBD Biosciences Aria(登録商標)細胞ソーター等が挙げられる。
【0062】
特定の実施形態では、本システムは、米国特許第3,960,449号明細書、同第4、347,935号明細書、同第4,667,830号明細書、同第4,704,891号明細書、同第4,770,992号明細書、同第5,030,002号明細書、同第5,040,890号明細書、同第5,047,321号明細書、同第5,245,318号明細書、同第5,317,162号明細書、同第5,464,581号明細書、同第5,483,469号明細書、同第5,602,039号明細書、同第5,620,842号明細書、同第5,627,040号明細書、同第5,643,796号明細書、同第5,700,692号明細書、同第6,372,506号明細書、同第6,809,804号明細書、同第6,813,017号明細書、同第6,821,740号明細書、同第7,129,505号明細書、同第7,201,875号明細書、同第7,544,326号明細書、同第8,140,300号明細書、同第8,233,146号明細書、同第8,753,573号明細書、同第8,975,595号明細書、同第9,092,034号明細書、同第9,095,494号明細書、及び同第9,097,640号明細書に記載のフローサイトメーターの1つ又は複数の構成要素を組み込んだフローサイトメーターシステムであり、これらの開示は参照により本明細書に援用される。
【0063】
方法
これまでに概説したように、本発明の態様は、本システムを使用して細胞を容器にソートする方法を含む。幾つかの実施形態では、方法は、例えば、上述したように、細胞を含む試料を、細胞をソートするシステムに装填することと、システムが動作して、支持ステージを二次元で連続的に移動させ、容器が偏向液滴受け取り場所と位置合わせされると、偏向信号を細胞ソーターに送信するようにシステムを動作させながら、細胞をソートすることとを含む。
【0064】
任意の好都合なプロトコルを利用して、細胞をソートするシステム(例えば、本明細書に記載のような)に試料に装填し得る。幾つかの場合、システムはフローサイトメーターであり、試料を装填することは、フローサイトメーターのフローストリームに試料を導入することを含む。関心のある細胞を含む(又は関心のある細胞を含むと疑われる)任意の好都合な試料が、本システムを使用したソートの標的であり得る。関心のある細胞は、関心のある細胞への特定の蛍光標識付けを介して識別される表現型特性等の様々なパラメータに従って、細胞ソーターのフローストリームから分ける標的とし得る。幾つかの実施形態では、システムは、標的細胞を含むと判断された分析液滴を偏向させるように構成される。様々な細胞が、本方法を使用したソートの標的とされ得る。関心のある標的細胞としては、幹細胞、T細胞、樹状細胞、B細胞、顆粒球、白血病細胞、リンパ腫細胞、ウィルス細胞(例えば、HIV細胞)、NK細胞、マクロファージ、単球、線維芽細胞、上皮細胞、内皮細胞、及び赤血球細胞が挙げられるが、これらに限定されない。関心のある標的細胞は、好都合な親和剤又はその共役により捕捉又は標識し得る好都合な細胞表面マーカー又は抗原を有する細胞を含む。例えば、標的細胞は、CD11b、CD123、CD14、CD15、CD16、CD19、CD193、CD2、CD25、CD27、CD3、CD335、CD36、CD4、CD43、CD45RO、CD56、CD61、CD7、CD8、CD34、CD1c、CD23、CD304、CD235a、T細胞受容体アルファ/ベータ、T細胞受容体ガンマ/デルタ、CD253、CD95、CD20、CD105、CD117、CD120b、Notch4、Lgr5(N末端)、SSEA−3、TRA−1−60抗原、ジシアロガングリオシドGD2及びCD71等の細胞表面抗原を含み得る。幾つかの実施形態では、標的細胞は、HIV含有細胞、Treg細胞、抗原特異性T細胞母集団、腫瘍細胞、又は全血、骨髄、若しくは臍帯血からの造血前駆細胞(CD34+)から選択される。
【0065】
本方法は、本システム(例えば、本明細書に記載のような)を動作させながら、細胞をソートすることを含む。システムは、部分的又は完全に自動的に動作し得る。幾つかの場合、システムは動作して、支持ステージを二次元で連続的に移動させ、容器が偏向液滴受け取り場所と位置合わせされると、偏向信号を細胞ソーターに送信する。「自動的」とは、支持ステージの連続的な移動及び細胞ソーターからの液滴の偏向が、人的介入又は手動入力をごくわずかにのみ必要とするか、又は全く必要としないことを意味する。幾つかの実施形態では、関心のあるシステムは、部分的又は完全に自動化し得、それにより、支持ステージの連続的な移動及び細胞ソーターからの液滴の偏向は、プロセッサ制御される。特定の実施形態では、本システムは、いかなる人間の入力もなしで支持ステージの連続的な移動と、細胞ソーターからの液滴の偏向とを同期させるように構成される。特定の場合、人間の入力は、支持ステージに搭載するマルチウェルトレイを選択することと、支持ステージの空間的軌跡(例えば、
図3及び
図2参照)を特定することとを含み得る。
【0066】
方法の特定の実施形態では、システムは動作して、容器が偏向液滴受け取り場所と位置合わせされるタイムスロットを特定する。方法の幾つかの場合、偏向信号は、初期偏向サブ信号及び最終偏向サブ信号を含み、システムは動作して、タイムスロットの開始時、分析液滴が存在する場合に分析液滴を偏向させるように偏向器を構成する初期偏向サブ信号を細胞ソーターに送信することにより、偏向信号を生成する。方法の特定の場合、システムは動作して、タイムスロットの終了時、分析液滴を偏向しないように偏向器を構成する最終偏向サブ信号を細胞ソーターに送信する。方法の幾つかの実施形態では、システムは動作して、1つの分析液滴がタイムスロット中に偏向された後、最終偏向サブ信号を細胞ソーターに送信し、最終偏向サブ信号は、分析液滴を偏向しないように偏向器を構成する。方法の特定の実施形態では、支持ステージは2つ以上の容器を含み、方法は、X−Y平面において支持ステージを自動的に連続的に移動させて、Z次元において2つ以上の容器を偏向液滴受け取り場所に順次位置合わせし、それにより、分析細胞を2つ以上の容器に収集することを含む。方法の特定の場合、支持ステージは12以上の容器を含む。
【0067】
方法の幾つかの場合、液滴の分析ストリームは、ソートされた標的細胞を含むと判断される。方法の特定の実施形態では、細胞ソーターは、標的細胞が存在すると判断される場合のみ、分析液滴を偏向させる。特定の場合、方法は、2つ以上の容器のそれぞれに1つの液滴を偏向させることを含む。特定の場合、方法は、1つの標的細胞を12以上の容器のそれぞれに収集することを含む。
【0068】
方法の幾つかの実施形態では、システムは動作して、タイムスロットの長さ及び/又は頻度を偏向液滴の頻度に合わせ、それにより、細胞ソーターは、タイムスロット中に1つの液滴を偏向させることが決定される。特定の場合、方法は、細胞ソーターからの偏向液滴の頻度変化に応答して、支持ステージの速度を調整することを更に含む。
【0069】
幾つかの場合、6つ以上の容器(12以上、24以上、48以上、96以上、又は384以上の離散容器等)に細胞をソートするために経過する時間は、同じ速度の断続的な移動を用いて支持ステージを移動させることを含む制御方法(例えば、ステージが移動しているとき、連続移動ステージと同じ速度で移動する
図4で説明されるようなストップアンドゴー移動を用いる場合)よりも少なくとも3倍高速、5倍高速、又は10倍高速等、少なくとも2倍高速である。「経過時間」とは、支持ステージが、第1のウェルと受け取り場所との位置合わせ位置から、マルチウェルトレイの最後の「ウェル」との位置合わせ位置まで移動するためにかかる時間を意味する。
【0070】
方法の特定の実施形態では、方法は、標的細胞を検出及び/又は分析することを更に含む。幾つかの場合、方法は、標的細胞をフローサイトメトリー分析することを更に含む。フローサイトメーターにおいて細胞を検出することは、フローサイトメーターの監視点において1つ又は複数のレーザを用いて蛍光染料を励起させ、続けて、1つ又は複数の光学検出器を使用して染料からの蛍光放射を検出することを含み得る。粒子の検出に加えて、ソート又は分けられた粒子(例えば、細胞)の数を特定することが望ましいことがある。したがって、幾つかの実施形態では、方法は、標識された粒子(例えば、標的細胞)をカウント及び/又はソートすることを更に含む。粒子を検出、カウント、及び/又はソートすることにおいて、粒子を含む液体媒体はまず、フローサイトメーターの流路に導入される。粒子は、流路にあるとき、1つ又は複数の検知領域(例えば、監視点)を一度に実質的に1つずつ通過し、検知領域において、各粒子は個々に単一の波長の光源に露出され、必要に応じて光散乱パラメータ及び/又は蛍光放射の測定(例えば、2つ以上の光散乱パラメータ及び1つ又は複数の蛍光放射の測定)が、各粒子で別個に記録される。各粒子に記録されたデータは、必要に応じて、リアルタイムで分析されるか、又はコンピュータ等のデータ記憶及び分析手段に記憶される。米国特許第4,284,412号明細書には、単一の光源を備えた関心のあるフローサイトメーターの構成及び使用が記載されており、一方、米国特許第4,727,020号明細書には、2つの光源を備えたフローサイトメーターの構成及び使用が記載されている。3つ以上の光源を有するフローサイトメーターを利用することもできる。
【0071】
より詳細には、フローサイトメーターでは、粒子は、懸濁して、1つ又は複数の検知領域(又は「監視点」)を通る流路において実質的に一度に1つずつ通過し、各検知領域において、各粒子はエネルギー源により照明される。エネルギー源は、レーザ(例えば、He/Ne又はアルゴン)又は適切なフィルタを有する水銀アーク灯により提供される等の単一波長の光を発する照明器を含み得る。例えば、488nmの光は、単一検知領域を有するフローサイトメーターにおいて放射波長として使用し得る。2つの別個の波長で光を発するフローサイトメーターでは、追加の波長の放射光を利用し得、関心のある特定の波長としては、535nm、635nm等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0072】
検知領域と直列に、検出器、例えば、光電子増倍管(又は「PMT」)等の集光器を使用して、粒子が検知領域を通り、エネルギー源により照明される際、各粒子を通る光(特定の場合、前方光散乱と呼ばれる)、検知領域を通る粒子フローの方向に直交して反射される光(幾つかの場合、直交又は側方光散乱と呼ばれる)、及び蛍光マーカーで標識される場合、粒子から発せられる蛍光を記録する。前方光散乱(又はFSC)、直交光散乱(SSC)、及び蛍光放射(FL1、FL2等)はそれぞれ、各粒子(又は各「イベント」)に別個のパラメータを含む。したがって、例えば、2つ、3つ、又は4つのパラメータを2つの異なる蛍光マーカーで標識された粒子から収集(及び記録)することができる。
【0073】
したがって、粒子のフローサイトメトリーアッセイでは、粒子は、粒子を励起光に露出させ、必要に応じて1つ又は複数の検出チャネルで各粒子の蛍光を測定することにより、検出して一意に識別し得る。励起光は、1つ又は複数の光源からのものであり得、狭帯域又は広帯域であり得る。励起光源の例としては、レーザ、発光ダイオード、及びアーク灯が挙げられる。粒子及びそれに関連する結合複合体の識別に使用される検出チャネルで発せられる蛍光は、単一光源を用いての励起後、測定してもよく、又は別個の光源を用いた励起後、別個に測定してもよい。粒子標識の励起に別個の励起光源が使用される場合、標識は、全ての標識が、使用される励起光源のそれぞれにより励起可能なように選択し得る。
【0074】
フローサイトメーターは、コンピュータ等のデータ取得、分析及び記録手段を更に含み、複数のデータチャネルが、粒子が検知領域を通過する際、各粒子による光散乱及び各粒子により発せられる蛍光について各検出器からデータを記録する。分析システムの目的は、粒子を分類してカウントすることであり、各粒子は、1組のデジタル化パラメータ値としてそれ自体を提示する。本発明の方法での粒子のフローサイトメトリーアッセイ(例えば、検出、カウント、及び/又はソート)では、フローサイトメーターは、関心のある粒子を背景及びノイズから区別するために、選択されたパラメータでトリガーするように設定し得る。「トリガー」は、パラメータの検出に閾値を予め設定することを指し、レーザビームを通る粒子の通過を検出する手段として使用し得る。選択されたパラメータの閾値を超えるイベントの検出は、粒子の光散乱及び蛍光データの取得をトリガーする。データは、閾値を下回る反応を生じさせる、アッセイ中の媒質中の粒子又は他の成分では、データは取得されない。トリガーパラメータは、粒子が光線を通過することにより生じる前方散乱光の検出であり得る。次に、フローサイトメーターは、粒子の光散乱及び蛍光データを検出して収集する。
【0075】
次に、関心のある特定の部分母集団は、母集団全体で収集されるデータに基づいて「ゲーティング」することにより更に分析される。適切なゲートを選択するために、データをプロットして、可能な限り最良の部分母集団の分離を得る。この手順は、二次元ドットプロットで前方光散乱(FSC)と側方(すなわち、直交)光散乱(SSC)とをプロットすることにより実行し得る。次に、フローサイトメーターのオペレータは、粒子の所望の部分母集団(すなわち、ゲート内の細胞)を選択し、ゲート内にない粒子を除外する。必要に応じて、オペレータは、コンピュータ画面上でカーソルを使用して、所望の部分母集団の周囲に線を描くことによりゲートを選択し得る。次に、ゲート内の粒子のみが、蛍光等のこれらの粒子の他のパラメータをプロットすることにより更に分析される。
【0076】
上述したような粒子のフローサイトメーター分析は、粒子についての定性的及び定量的情報をもたらす。必要に応じて、上記分析は、試料内の関心のある粒子のカウントをもたらす。したがって、上記フローサイトメーター分析プロトコルは、試料内の1つ又は複数の異なるタイプの粒子の数に関するデータを提供する。
【0077】
有用性
本明細書に記載される本システム、本方法、及び本コンピュータ可読媒体は、フローサイトメーターでのマルチウェルトレイへの偏向液滴の収集等の粒子の収集を自動化することが望ましい様々な異なる用途における使用を見出す。本開示は、生物学的試料から準備された細胞が、研究、研究所でのテスト、及び治療での使用に望ましいことがある用途における使用も見出す。幾つかの実施形態では、本方法及び本デバイスは、標的流体試料又は組織生物学的試料から準備された個々の細胞の取得を促進し得る。例えば、本方法及び本システムは、ガン等の疾病の研究又は診断用試料として使用される流体試料又は組織試料からの細胞の取得を促進する。同様に、本方法及び本システムは、治療に使用される流体試料又は組織試料からの細胞の取得を促進する。本開示の方法及びデバイスでは、従来のフローサイトメトリーシステムと比較して、強化された効率及び低コストで生物学的試料(例えば、器官、組織、組織断片、流体)からの細胞を分けて収集することができる。
【0078】
以下の例は、限定ではなく例示として提供される。
【実施例】
【0079】
実験
例1:システムの設計
ソーター機器(例えば、
図1の101)、容器トレイを担持し、且つソーターに対して連続的に移動することができるステージ(例えば、
図1の102)と、ソーター及びステージの相互作用を調整するコントローラ(例えば、
図1の103)とを含むシステム(例えば、
図1の100)が設計される。
図1は、このシステムのブロック図を示す。ソーターは、ソートする準備ができたときをコントローラに通知する。次に、コントローラはステージの移動を開始する。特定のウェルへの細胞の堆積が可能であり、十分に可能且つ確実である位置にステージがあるとき、コントローラは、液滴をウェルに逸らすようにソーターに通知する。
【0080】
ストップアンドゴー軌跡
図2は、上から見た24ウェルトレイ(200)の概略図を示す。破線201は、ストップアンドゴー設計でのトレイに対するソーターのノズルの軌跡を示す。軌跡は、ウェルA1の中心202で開始し、D1で終了する。
【0081】
図4は、ストップアンドゴー実装形態での1つの軸に沿ったステージの経時変位を示す。時間0において、ノズルは第1のウェルA1の中心に接して配置される。ノズルはそこに約0.75秒間にわたり静止し、次に、0.25秒以内にA2の中心に移り、再び0.75秒間にわたり静止し、以下同様である。6つのウェルを処理するために約6秒かかる。
【0082】
連続軌跡
図3は、本発明の実施形態での24ウェルトレイ(300)の断片及びノズルの軌跡(破線301)の断片の概略図を示す。軌跡のこの断片は、点302から開始してウェルA1の左側に延び、ウェルA6を超えて延びる。陰影付きエリア304は、ウェルへの液滴の堆積が可能且つ確実な領域を表わす。ノズルがそのようなエリア内部に配置される場合、ソーターは、堆積を可能にするコマンドをコントローラから取得する。
【0083】
図5は、1つの軸に沿ったステージの時間の経過に伴う連続的な変位軌跡を示す。ノズルは、ウェルA1の左縁部から開始して、ウェルA6(
図3参照)の右縁部まで連続的に移動し、
図4に示されるストップアンドゴー実装形態では、移動する際、速度は同じである。6つのウェルを処理するためにかかる時間は、1/4の1.5秒である。2つの破線間の垂直軸上の領域501は、ウェルA4への細胞の堆積(y軸)が確実である変位範囲を示す。2つの破線間の水平軸上の領域502は、ウェルA4への細胞の堆積(y軸)が確実である、対応する時間間隔である約0.5秒を示す。
【0084】
添付の請求項にもかかわらず、本明細書に記載される開示は、以下の付記によっても定義される。
1.細胞をソートするシステムであって、
分析液滴ストリームを生成するように構成され、且つ分析液滴ストリームからの分析液滴を偏向液滴受け取り場所に偏向させることが可能な偏向器を備える細胞ソーターと、
容器を備え、且つ二次元で連続的に移動するように構成される支持ステージと、
前記偏向液滴受け取り場所との前記容器の位置合わせを特定し、且つ前記容器が前記偏向液滴受け取り場所と位置合わせされたときに、偏向信号を前記細胞ソーターに送信するための記憶された命令を含むメモリに、動作可能に結合されるプロセッサと
を備えるシステム。
2.メモリは、容器が偏向液滴受け取り場所と位置合わせされるタイムスロットを特定するための命令を含む付記1に記載のシステム。
3.偏向信号は、初期偏向サブ信号及び最終偏向サブ信号を含み、メモリは、タイムスロットの開始時、分析液滴が存在する場合に分析液滴を偏向させるように偏向器を構成する初期偏向サブ信号を細胞ソーターに送信することにより、偏向信号を生成するための命令を含む付記1又は2に記載のシステム。
4.偏向信号を生成するための命令は、タイムスロットの終了時、分析液滴を偏向しないように偏向器を構成する最終偏向サブ信号を細胞ソーターに送信することを更に含む付記3に記載のシステム。
5.偏向信号を生成するための命令は、1つの分析液滴がタイムスロット中に偏向された後、最終偏向サブ信号を細胞ソーターに送信することを更に含み、最終偏向サブ信号は、分析液滴を偏向しないように偏向器を構成する付記3に記載のシステム。
6.メモリは、細胞ソーターからの偏向液滴の頻度を決定するアルゴリズムを含む付記1〜5のいずれか一つに記載のシステム。
7.メモリは、タイムスロットの長さを偏向液滴の頻度に合わせ、それにより、細胞ソーターがタイムスロット中に1つの液滴を偏向することが決定されるアルゴリズムを含む付記6に記載のシステム。
8.メモリは、細胞ソーターからの偏向液滴の頻度の変化に応答して、支持ステージの速度を自動的に調整するための命令を含む付記7に記載のシステム。
9.支持ステージは2つ以上の容器を備え、システムは、X−Y平面での支持ステージの連続的な移動を介して、Z次元において2つ以上の容器を偏向液滴受け取り場所に自動的に且つ順次位置合わせするように構成される付記1〜8のいずれか一つに記載のシステム。
10.標的細胞を含むと判断される分析液滴を偏向するように構成される付記1〜9のいずれか一つに記載のシステム。
11.1つの液滴を容器に偏向するように構成される付記1に記載のシステム。
12.支持ステージは、マルチウェルトレイとして構成される2つ以上の容器を備える付記1〜11のいずれか一つに記載のシステム。
13.フローサイトメーターシステムである付記1〜12のいずれか一つに記載のシステム。
14.記憶された命令を含むメモリを備えるコンピュータ可読媒体であって、命令は、
X−Y平面において、容器を備える支持ステージを連続的に移動させるための命令と、
偏向液滴受け取り場所との容器の位置合わせを特定するアルゴリズムと、
容器が偏向液滴受け取り場所と位置合わせされたときに偏向信号を細胞ソーターに送信するための命令であって、細胞ソーターは、分析液滴ストリームからの分析液滴を偏向液滴受け取り場所に偏向させることが可能な偏向器を備える、命令と
を含む媒体。
15.メモリは、容器が偏向液滴受け取り場所と位置合わせされるタイムスロットを特定するための命令を含む付記14に記載の媒体。
16.偏向信号は、初期偏向サブ信号及び最終偏向サブ信号を含み、
メモリは、タイムスロットの開始時、分析液滴が存在する場合に分析液滴を偏向させるように偏向器を構成する初期偏向サブ信号を細胞ソーターに送信することにより、偏向信号を生成するための命令を含む付記15に記載の媒体。
17.メモリは、タイムスロットの終了時、分析液滴を偏向しないように偏向器を構成する最終偏向サブ信号を細胞ソーターに送信することにより、偏向信号を生成するための命令を更に含む付記16に記載の媒体。
18.メモリは、1つの分析液滴がタイムスロット中に偏向された後、最終偏向サブ信号を細胞ソーターに送信するための命令を更に含み、最終偏向サブ信号は、分析液滴を偏向しないように偏向器を構成する付記16に記載の媒体。
19.支持ステージは2つ以上の容器を備える付記14〜18のいずれか一つに記載の媒体。
20.メモリは、X−Y平面において支持ステージを自動的に且つ連続的に移動させて、Z次元において2つ以上の容器を偏向液滴受け取り場所に順次位置合わせするための命令を含む付記19に記載の媒体。
21.メモリは、タイムスロットの長さを偏向液滴の頻度に合わせ、それにより、細胞ソーターがタイムスロット中に1つの液滴を偏向させることが決定されるアルゴリズムを含む付記14〜20のいずれか一つに記載の媒体。
22.メモリは、細胞ソーターからの偏向液滴の頻度変化に応答して、支持ステージの速度を調整するための命令を含む付記21に記載の媒体。
23.細胞を容器にソートする方法であって、
(a)細胞を含む試料を、細胞をソートするシステムに装填することとし、前記システムは、
分析液滴ストリームを生成するように構成され、且つ分析液滴を偏向液滴受け取り場所に偏向させることが可能な偏向器を備える細胞ソーターと、
容器を備え、且つ二次元で連続的に移動するように構成される支持ステージと、
前記偏向液滴受け取り場所との前記容器の位置合わせを特定し、且つ前記容器が前記偏向液滴受け取り場所と位置合わせされたときに、偏向信号を前記細胞ソーターに送信するための記憶された命令を含むメモリに、動作可能に結合されるプロセッサと
を備えており、
(b)前記システムが動作して、前記支持ステージを二次元で連続的に移動させ、且つ前記容器が前記偏向液滴受け取り場所と位置合わせされたときに前記偏向信号を前記細胞ソーターに送信するように前記システムを動作させている間に、前記細胞をソートすることと
を含む方法。
24.システムは、容器が偏向液滴受け取り場所と位置合わせされるタイムスロットを特定するように動作する付記23に記載の方法。
25.偏向信号は、初期偏向サブ信号及び最終偏向サブ信号を含み、
システムは、タイムスロットの開始時、分析液滴が存在する場合に分析液滴を偏向させるように偏向器を構成する初期偏向サブ信号を細胞ソーターに送信することにより、偏向信号を生成するように動作する付記24に記載の方法。
26.システムは、タイムスロットの終了時、最終偏向サブ信号を細胞ソーターに送信するように動作し、最終偏向サブ信号は、分析液滴を偏向しないように偏向器を構成する付記25に記載の方法。
27.システムは、1つの分析液滴がタイムスロット中に偏向された後、最終偏向サブ信号を細胞ソーターに送信するように動作し、最終偏向サブ信号は、分析液滴を偏向しないように偏向器を構成する付記25に記載の方法。
28.支持ステージは2つ以上の容器を備え、X−Y平面において支持ステージを自動的に且つ連続的に移動させて、Z次元において2つ以上の容器を偏向液滴受け取り場所に順次位置合わせし、それにより、2つ以上の容器において分析細胞を収集することを含む付記23〜27のいずれか一つに記載の方法。
29.支持ステージは12以上の容器を備える付記23〜28のいずれか一つに記載の方法。
30.分析液滴ストリームは、ソートされた標的細胞を含むように特定される付記23〜29のいずれか一つに記載の方法。
31.細胞ソーターは、標的細胞が存在すると判断される場合にのみ分析液滴を偏向する付記23〜30のいずれか一つに記載の方法。
32.1つの液滴を2つ以上の容器のそれぞれに偏向させることを含む付記28に記載の方法。
33.12以上の容器のそれぞれにおいて標的細胞を収集することを含む付記29に記載の方法。
34.システムは、タイムスロットの長さを偏向液滴の頻度を合わせ、それにより、細胞ソーターがタイムスロット中に1つの液滴を偏向させることが決定されるように動作する付記23〜33のいずれか一つに記載の方法。
35.細胞ソーターからの偏向液滴の頻度変化に応答して、支持ステージの速度を調整することを更に含む付記34に記載の方法。
36.細胞を12以上の容器にソートするために経過する時間は、支持ステージを断続的に移動させることを含む制御方法の少なくとも1/2である付記29に記載の方法。
【0085】
上記の本発明は、理解を明確にするために、例示及び例として幾らか詳細に説明されたが、本発明の教示に鑑みて、添付の特許請求の範囲の趣旨及び範囲から逸脱せずに、特定の変更形態及び変形形態をなし得ることが当業者には容易に明らかである。
【0086】
したがって、上記は単に本発明の原理を示す。当業者が、本明細書に明示的に記載又は示されていないが、本発明の原理を実施し、本発明の趣旨及び範囲内に含まれる様々な構成を考案可能なことが理解される。更に、本明細書に記載される全ての例及び条件用語は、主に、本発明の原理及び当技術分野を進化させるために本発明者らにより寄与された概念を理解するにあたり読者を支援することが意図され、そのような特に記載される例及び条件に限定されないものとして解釈されるべきである。更に、本発明の原理、態様、及び実施形態並びにその特定の例を記載する本明細書での全ての記述は、構造的及び機能的均等物の両方を包含することが意図される。更に、そのような均等物が、現在既知の均等物及び将来開発される均等物、すなわち、構造に関係なく、同じ機能を実行する開発されたあらゆる要素の両方を包含することが意図される。したがって、本発明の範囲は、本明細書に示され記載される例示的な実施形態に限定されることが意図されない。むしろ、本発明の範囲及び趣旨は以下により実施される。
【0087】
関連出願の相互参照
本願は、2014年12月4日に出願された米国仮特許出願第62/087,662号明細書に対する優先権を主張するものであり、この出願の開示は参照により本明細書に援用される。