(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
車両制御装置と携帯機を相互に無線通信可能として構成された車両制御システムであって、前記車両制御装置から無線送信された応答要求信号に基づいて前記携帯機が応答信号を無線送信し、当該応答信号を受信したことを車両のエンジンを始動する条件の少なくとも一つとして前記車両制御装置が前記車両の所定機器を制御する車両制御システム、を介して前記所定機器を遠隔操作する車両遠隔操作システムであって、
前記車両に搭載されており、前記車両制御装置と通信可能な車載中継機と、
前記車載中継機と無線通信可能な携帯中継機と、を備え、
前記車載中継機又は前記携帯中継機は、
遠隔操作により前記車両のエンジンが始動している場合において、自動的に、前記車両制御装置を介して前記車両のエンジンを停止する停止制御手段と、
遠隔操作により前記車両のエンジンが始動している場合に、前記車両に対する前記携帯中継機の位置に関する検知を行う検知手段と、を備え、
前記停止制御手段は、前記検知手段の検知結果に基づいて、前記車両制御装置を介して前記車両のエンジンを停止し、
前記検知手段は、遠隔操作により前記車両のエンジンが始動している場合に、前記車両の周囲の領域である検知領域に前記携帯中継機が進入したか否かを検知し、
前記停止制御手段は、前記検知領域に前記携帯中継機が進入したことを前記検知手段が検知した場合に、前記車両制御装置を介して前記車両のエンジンを停止し、
前記停止制御手段は、前記検知領域に前記携帯中継機が進入したことを前記検知手段が検知しなかった場合に、前記車両制御装置を介して前記車両のエンジンを停止しない、
車両遠隔操作システム。
前記検知手段は、前記検知信号受信手段が無線受信した前記検知信号の強度と、閾値強度とを比較し、比較結果に基づいて前記検知領域に前記携帯中継機が進入したことを検知する、
請求項2に記載の車両遠隔操作システム。
前記検知手段は、前記検知信号受信手段が無線受信した前記検知信号の強度の統計値を演算し、演算した統計値に基づいて前記検知領域に前記携帯中継機が進入したことを検知する、
請求項2に記載の車両遠隔操作システム。
前記停止制御手段は、遠隔操作により前記車両のエンジンが始動してから所定時間が経過した場合、前記検知領域に前記携帯中継機が進入したことを前記検知手段が検知したか否かに関わらず、前記車両のエンジンを停止する、
請求項1から8のいずれか一項に記載の車両遠隔操作システム。
前記携帯機は、前記携帯機側操作手段を操作した場合に、前記携帯機側操作手段が操作されたことを示す信号である操作有信号を無線送信する操作有信号送信手段、を備え、
前記車載中継機又は前記携帯中継機は、前記操作有信号送信手段が無線送信した前記操作有信号を無線受信する操作有信号受信手段、を備え、
前記停止制御手段は、前記操作有信号受信手段が前記操作有信号を無線受信した場合に、前記車両制御装置を介して前記車両のエンジンを停止する、
請求項11に記載の車両遠隔操作システム。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下、本発明に係る車両遠隔操作システムについて図面を参照しつつ詳細に説明する。ただし、各実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0041】
本発明に係る車両遠隔操作システムは、車両を遠隔操作するシステムであり、特に、車両のエンジンを停止するシステムである。車両のエンジンの停止については、自動的に停止させる場合、携帯機側操作手段を操作することにより停止させる場合等が挙げられるが、以下に示す実施の形態1及び実施の形態2において、自動的に停止させる場合について説明し、実施の形態3において、携帯機側操作手段を操作することにより停止させる場合について説明する。
【0042】
〔実施の形態1〕
最初に、この発明の実施の形態1について説明する。この形態は、車両のエンジンを自動的に停止させる形態であり、特に、検知領域に携帯中継機が進入したことを検知してエンジンを停止させる形態である。
【0043】
(概要)
最初に、本実施の形態に係る車両遠隔操作システムの概要について説明する。
図1は、本実施の形態に係る車両遠隔操作システム1を車両制御システム100と共に示すブロック図である(なお、
図1において、有線通信経路は直線矢印で示し、無線通信経路は折れ線矢印で示す(なお、
図8も同様とする))。
【0044】
「車両遠隔操作システム」1は、車両の所定機器(つまり、車両の各種機器)を制御する車両制御システム100を介して、当該所定機器を遠隔操作するためのシステムである。ここで、「車両制御システム」100は、車両制御装置110と携帯機120とを相互に無線通信可能として構成されたシステムである。「車両制御装置」110は、車両の所定機器を制御するために車内に設置された装置であり、例えば、ECU(Engine Control Unit)に対してCAN(Controller Area Network)等にて通信可能に有線接続された装置である。「携帯機」120は、車両制御装置110を介して車両の所定機器を制御するために運転者(つまり、ユーザ)が携帯することが可能なものであり、いわゆるリモコンキーである。ここで、「所定機器」の具体的な種類や、この所定機器に対する具体的な制御内容は、任意であり、「所定機器の具体的な種類」としては、例えば、車両のエンジンが停止している場合にのみ遠隔操作することができる機器である前述の「要エンジン停止機器」に対応する種類を含んでおり、また、「所定機器に対する具体的な制御内容」としては、例えば、エンジンの始動や停止、エアコンの始動や停止、車両のドアのロック/アンロック、セキュリテーシステムの起動や解除、車内の室温等の各種の車両情報の出力等が該当する。そして、以下では、「要エンジン停止機器」が「車両のドアのロック/アンロックを制御する機器」である場合において、「エンジンの始動」を行った後に「エンジンの停止」を行う場合について例示する。
【0045】
「エンジンの始動」を行う場合については、エンジンの始動を行うための公知の処理として、車両制御システム100は、以下の処理を行うものとする。すなわち、この処理では、車両制御装置110が車内における携帯機120の存在を確認するための「起動シーケンス」と、車両制御装置110が携帯機120を認証するための「認証シーケンス」が、順次実行される。
【0046】
「起動シーケンス」においては、運転者又は任意の事象に基づく所定の起動操作(例えば、エンジンが停止している場合における、運転者による車内のエンジンスイッチの操作)が行われると、車両制御装置110は起動応答要求信号を応答要求周波数で無線送信する。ここで、「起動応答要求信号」は、車両制御装置110から携帯機120に対して応答を要求するための信号であり、そのフォーマットや情報内容は任意である。また、「応答要求周波数」は、例えば、送信範囲が車内のみとなるように調整可能な周波数であり、この場合には、運転者が保有する携帯機120が車両制御装置110に対する所定範囲内(代表的には、車内)に存在する場合にのみ、この起動応答要求信号が携帯機120にて受信される。
【0047】
この起動応答要求信号を受信した携帯機120は、起動応答信号を応答周波数で無線送信する。ここで、「起動応答信号」は、車両制御装置110から送信された起動応答要求信号を正当な携帯機120が受信したことを、携帯機120から車両制御装置110に報知するための信号であり、そのフォーマットや情報内容は任意であって、例えば、携帯機120に記憶された認証情報を起動応答信号に含めて送信することができる。この起動応答信号を受信した車両制御装置110は、当該起動応答信号を解析し、所定の認証シーケンス開始条件が満たされているか否かを判定し、所定の認証シーケンス開始条件が満たされている場合にのみ、認証シーケンスに移行する。
【0048】
「認証シーケンス」は、起動シーケンスと同様の通信を行うものであり、特記しない点については、起動シーケンスの説明における「起動」を「認証」に読み替えたものとして説明することができる。すなわち、車両制御装置110は認証応答要求信号を応答要求周波数で無線送信する。この認証応答要求信号を受信した携帯機120は、認証応答信号を応答周波数で無線送信する。認証応答信号を受信した車両制御装置110は、当該認証応答信号を解析し、所定の制御条件が満たされているか否かを判定し、所定の制御条件が満たされている場合にのみ、エンジンを始動するための所定制御を行う。
【0049】
「制御条件」の具体的内容は任意であるが、以下では、1)車両のエンジンスイッチ(イグニッションスイッチ)の操作とブレーキの操作とが行われており、2)認証応答信号に含まれる認証情報が車両制御装置110に予め記憶された認証情報と一致しており、かつ、3)起動応答要求信号を送信してから所定時間(例えば、1秒。以下、「条件充足時間」と称する)以内に、上記1)と2)の条件の充足を確認できたこと、を制御条件として説明する。なお、上記2)の条件に関しては、実際には、公知のローリングコード方式並びにチャレンジレスポンス方式等により認証情報が毎回変更される場合があり、本発明はこのような場合にも同様に適応可能なものであるが、以下では認証情報が固定されている場合について説明する。
【0050】
また、「エンジンの停止」を行う場合については、エンジンの停止を行うための公知の処理として、車両制御システム100は、以下の処理を行うものとする。すなわち、この処理では、車両のエンジンを停止するための「停止シーケンス」が実行される。「停止シーケンス」においては、運転者又は任意の事象に基づく所定の停止操作(例えば、エンジンが始動して作動している場合における、運転者による車内のエンジンスイッチの操作)が行われると、車両制御システム100の車両制御装置110は、エンジンを停止するための所定制御を行う。
【0051】
一方、
図1において、「車両遠隔操作システム」1は、上述したように、車両の所定機器を制御する車両制御システム100を介して、当該所定機器を遠隔操作するためのシステムである。この車両遠隔操作システム1は、車載中継機10と携帯中継機20とを相互に無線通信可能として構成されたシステムである。これら各機の詳細については後述する。
【0052】
以下の説明において、複数の機器の相互間における信号や情報の通信、送信、又は受信に関して、無線にて行う場合には、「無線通信」、「無線送信」、又は「無線受信」と特記するが、この特記がない場合には、無線と有線のいずれで行うこともできるものとする。また、複数の機器の相互間における無線通信方式に関して、「単信方式」とは、一方の機器から他方の機器への一方向の通信のみを一つの周波数を使用して行う方式を意味し、「半復信方式」とは、一方の機器から他方の機器への方向の通信とその逆方向の通信を一つの周波数を使用して行う方式を意味し、「復信方式」とは、一方の機器から他方の機器への方向の通信とその逆方向の通信を2つの周波数を使用して行う方式を意味するものとする。また、「起動応答要求信号」と「認証応答要求信号」を相互に特に区別する必要がない場合には、これらを「応答要求信号」と総称する。同様に、「起動応答信号」と「認証応答信号」を相互に特に区別する必要がない場合には、これらを「応答信号」と総称する。
【0053】
(構成−車両制御システム−車両制御装置)
次に、車両制御システム100と車両遠隔操作システム1の構成について説明する。最初に、車両制御システム100の構成について説明する。車両制御システム100の車両制御装置110は、基本送受信回路111を備えて構成されている。この基本送受信回路111は、応答要求信号及び応答信号の送受信を行うための基本送受信手段であり(以下、後述する基本送受信回路13、23、121についても同様)、応答要求信号を応答要求周波数で無線送信する応答要求信号送信回路112と、応答周波数で送信された応答信号を受信する応答信号受信回路113を備えている。また、図示は省略するが、車両制御装置110は、当該車両制御装置110の各部を制御するMPU(Micro Processing Unit)と、認証情報を不揮発的に記憶する記憶部と、無線通信を行うためのアンテナと、車両の各種の機器から有線出力を受け付ける接点端子を備える。この接点端子としては、車両のエンジンスイッチが操作された場合の出力(以下、エンジン操作出力)を受け付けるエンジン操作接点端子と、車両のブレーキが操作された場合の出力(以下、ブレーキ操作出力)を受け付けるブレーキ操作接点端子が設けられている。ただし、車両制御装置110は従来と同様に構成することができるので、その詳細な説明は省略する。
【0054】
(構成−車両制御システム−携帯機)
車両制御システム100の携帯機120は、基本送受信回路121を備えて構成されている。この基本送受信回路121は、応答要求周波数で送信された応答要求信号を受信する応答要求信号受信回路122と、応答信号を応答周波数で無線送信する応答信号送信回路123を備えている。また、図示は省略するが、携帯機120は、当該携帯機120の各部を制御するMPUと、認証情報を不揮発的に記憶する記憶部と、無線通信を行うためのアンテナと、車両のドアのロック/アンロックを操作するための操作ボタンである前述の「携帯機側ロック操作ボタン」と、電源となる電池を備える。ただし、携帯機120は従来と同様に構成することができるので、その詳細な説明は省略する。
【0055】
(構成−車両遠隔操作システム−車載中継機)
次に、車両遠隔操作システム1の構成について説明する。車両遠隔操作システム1の車載中継機10は、車両に設けられるものであり、車両制御装置110及び携帯中継機20と通信するための送受信回路11と、出力部12を備えて構成されている。
【0056】
送受信回路11は、具体的には、基本送受信回路13と、中継送受信回路14を備える。基本送受信回路13は、車両制御装置110との間で無線通信を行う基本送受信手段であって、応答要求信号受信回路15と応答信号送信回路16を備える。応答要求信号受信回路15は、車両制御装置110から応答要求周波数で無線送信された応答要求信号を受信する受信手段である。応答信号送信回路16は、携帯中継機20から送信された応答信号を応答周波数で車両制御装置110に無線送信する送信手段であり、また、検知信号を応答周波数で無線送信する(つまり、無線にて出力する)検知信号送信手段である。ここで、「検知信号」とは、携帯中継機20が車両(つまり、車載中継機10)に近づいたことを検知するための信号であり、具体的には、検知領域に携帯中継機20が進入したことを検知するための信号であり、予め定められている所定強度の信号である。この「検知信号」については、任意の周波数にて無線通信することが可能であるが、ここでは、例えば、応答信号送信回路16が無線送信する応答信号の周波数である「応答周波数」にて無線通信するものとして、以下説明する。なお、この検知信号についての無線通信を行う周波数が「第1無線周波数帯」に対応し、つまり、本実施の形態においては、「第1無線周波数帯」が「応答周波数」となっている。また、「検知領域」とは、携帯中継機20を検知する領域であり、具体的には、車両の周囲の領域である。この「検知領域」については、検知信号が出力される方向(つまり、検知信号の指向性)、検知信号の強度、及び後述する「閾値強度」等の相互間の関係に基づいて任意に設定することができるが、ここでは、例えば、車両(つまり、車載中継機10)を中心にして半径5メートルの範囲内の領域を検知領域として設定する場合について説明する。中継送受信回路14は、携帯中継機20との間で無線通信を行う中継送受信手段であって、第1中継受信回路17と第1中継送信回路18を備える。第1中継受信回路17は、携帯中継機20から所定の第1中継周波数で無線送信された始動操作信号及び応答信号を受信する受信手段であり、また、携帯中継機20から停止操作信号を無線受信する停止制御信号受信手段である。ここで、「始動操作信号」とは、操作するための信号であって、車載中継機10を介して車両制御装置110を制御することにより、起動シーケンスを開始させるための信号である。また、「停止操作信号」とは、操作するための信号であって、車載中継機10を介して車両制御装置110を制御して車両のエンジンを停止する停止制御信号である。この「停止操作信号」については、検知信号についての無線通信を行う周波数と異なる周波数である限りにおいて、任意の周波数にて無線通信することが可能であるが、ここでは、例えば、携帯中継機20が無線送信する始動操作信号及び応答信号の周波数である「第1中継周波数」にて無線通信するものとして、以下説明する。なお、この停止操作信号についての無線通信を行う周波数が「第2無線周波数帯」に対応し、つまり、本実施の形態においては、「第2無線周波数帯」が「第1中継周波数」となっている。第1中継送信回路18は、応答要求信号受信回路15にて受信された応答要求信号を第1中継周波数で携帯中継機20に無線送信する送信手段である。
【0057】
出力部12は、車両の所定機器に対する制御条件を構成する条件出力を車両制御装置110に行う出力手段であり、特に、車両制御装置110を介して車両のエンジンを停止する停止制御手段であり、本実施の形態では、エンジン操作出力及びブレーキ操作出力を同時に又は順次出力する。より具体的には、図示は省略するが、車載中継機10には、エンジン操作出力を行うためのエンジン操作接点端子と、ブレーキ操作出力を行うためのブレーキ操作接点端子が設けられており、このエンジン操作接点端子は車両制御装置110のエンジン操作接点端子に有線接続されると共に、ブレーキ操作接点端子は車両制御装置110のブレーキ操作接点端子に有線接続されている。そして、出力部12は、エンジン操作接点端子を介してエンジン操作出力を出力し、ブレーキ操作接点端子を介してブレーキ始動操作出力を出力する。
【0058】
また、図示は省略するが、車載中継機10は、当該車載中継機10の各部を制御するMPU(以下、車載中継機10のMPU)と、認証情報等を不揮発的に記憶する記憶部(以下、車載中継機10の記憶部)と、無線通信を行うためのアンテナを備える。「車載中継機10のMPU」は、車載中継機10の各部を制御する制御手段であり、「車載中継機10の記憶部」は、車載中継機10の動作に必要なプログラム及び各種のデータを記憶する記憶手段であり、具体的には、認証情報等を記憶するものである。なお、車載中継機10に対する電源は、車両から公知の方法で取得される。
【0059】
(構成−車両遠隔操作システム−携帯中継機)
車両遠隔操作システム1の携帯中継機20は、運転者によって携帯されるものであり、操作スイッチ21と、携帯機120及び車載中継機10と通信するための送受信回路22を備えて構成されている。
【0060】
操作スイッチ21は、車両の所定機器に対する操作指示を受け付けるための操作手段であり、本実施の形態においては、車両のエンジンを始動等の操作指示を受け付けるためのエンジンスイッチであって、例えば、公知の押しボタンスイッチとして構成されている。
【0061】
送受信回路22は、具体的には、基本送受信回路23と、中継送受信回路24を備える。基本送受信回路23は、携帯機120との間で無線通信を行う基本送受信手段であって、応答要求信号送信回路25と応答信号受信回路26を備える。応答要求信号送信回路25は、車載中継機10から送信された応答要求信号を携帯機120に応答要求周波数で無線送信する送信手段である。応答信号受信回路26は、携帯機120から応答要求信号に基づいて応答周波数で無線送信された応答信号を受信する受信手段であり、また、車載中継機10から検知信号を応答周波数で無線受信する検知信号受信手段である。中継送受信回路24は、車載中継機10との間で無線通信を行う中継送受信手段であって、第1中継送信回路27と第1中継受信回路28を備える。第1中継送信回路27は、始動操作信号及び応答信号を車載中継機10の第1中継受信回路17に第1中継周波数で無線送信する送信手段であり、また、停止操作信号を車載中継機10の第1中継受信回路17に第1中継周波数で無線送信する停止操作信号送信手段(停止制御信号送信手段)である。第1中継受信回路28は、車載中継機10の第1中継送信回路18から第1中継周波数で無線送信された応答要求信号を受信する受信手段である。
【0062】
また、図示は省略するが、携帯中継機20は、当該携帯中継機20の各部を制御するMPU(以下、携帯中継機20のMPU)と、各種情報を不揮発的に記憶する記憶部(以下、携帯中継機20の記憶部)と、無線通信を行うためのアンテナと、電源となる電池を備える。「携帯中継機20のMPU」は、携帯中継機20の各部を制御する制御手段であり、特に、検知領域に携帯中継機20が進入したことを検知する検知手段である。この「携帯中継機20のMPU」によって行われる携帯中継機20の検知については、任意の手法を用いて行うことができるが、ここでは、例えば、携帯中継機20にRSSI(Received Signal Strength Indicator)回路の如き信号の強度を検出する信号強度検出手段が設けられており、応答信号受信回路26が受信した検知信号の強度を当該信号強度検出手段が検出し、検出した検知信号の強度と後述する「閾値強度」とを比較し、比較結果に基づいて検知する手法を用いて行う場合について説明する。
【0063】
「携帯中継機20の記憶部」は、携帯中継機20の動作に必要なプログラム及び各種のデータを記憶する記憶手段であり、具体的には、閾値強度特定情報等を記憶するものである。ここで、「閾値強度特定情報」とは、「閾値強度」を特定する情報である。「閾値強度」とは、携帯中継機20が車両(つまり、車載中継機10)に近づいたことを検知するための閾値であり、具体的には、検知領域に携帯中継機20が進入したことを検知するための閾値であって、検知信号の強度の閾値である。この「閾値強度」については、車両のエンジンを停止させることについての運転者のニーズに従って任意に設定することができるが、ここでは、例えば、車両(つまり、車載中継機10)を中心にして半径5メートルの範囲内の領域に携帯中継機20が進入した場合に、車両のエンジンを停止させるという運転者のニーズに従って設定する場合について説明する。この「閾値強度」の設定手法については、任意の手法を用いることができるが、ここでは、例えば、受信強度‐距離グラフを用いて設定する場合について説明する。
図2は、受信強度‐距離グラフの一例である。ここで、「受信強度‐距離グラフ」とは、無線信号の送信元からの距離に対する当該送信元から無線送信された無線信号の受信強度を示すグラフであり、
図2について具体的には、車両(つまり、車載中継機10)からの距離に対する、車載中継機10の応答信号送信回路16から無線送信された検知信号の受信強度を示すものである。なお、「受信強度」とは、無線信号を無線受信した場合の当該無線受信した無線信号の強度であり、具体的には、検知信号を無線受信した場合の当該無線受信した検知信号の強度であって、例えば、前述の信号強度検出手段の検出結果に対応するものである。
図2についてより詳細には、縦軸は受信強度(単位:dBm)を示しており、紙面上側に向かう程大きな値になっており、横軸は車両からの距離(単位:メートル)を示しており、紙面右側に向かう程大きな値になっている。また、
図2において曲線C1は、車両からの距離に対する検知信号の受信強度を示しており、例えば、
図1の車載中継機10の応答信号送信回路16が無線送信する検知信号の強度(つまり、前述の所定強度)を用いた演算(つまり、シミュレーション)、あるいは、受信強度についての実験等を含む公知の手法を用いて求められるものである。このような
図2の「受信強度‐距離グラフ」を用いて行う「閾値強度」の設定手法について具体的には、
図2において「距離」=「5」(メートル)に対応する「受信強度」=「Pr1」(dBm)(なお、「Pr1」は実数であり、例えば「−90」に対応)を特定し、特定した「Pr1」を「閾値強度」に決定する。そして、携帯中継機20の製造時に、「Pr1(具体的には、「−90」)」=「閾値強度」を特定する閾値強度特定情報が、不図示の入力手段を介して入力されて「携帯中継機20の記憶部」に記憶されているものとして、以下説明する。
【0064】
このように構成された携帯中継機20は、携帯機120と応答要求周波数での無線通信が可能となるように、携帯機120に近い位置で保持される。例えば、このような保持を行うための工夫として、携帯中継機20の筐体には、キーホルダリングを挿通させるための孔が形成されており、携帯機120と携帯中継機20を共通のキーホルダリングで保持することで、携帯中継機20を携帯機120に対して近い位置に容易に保持することが可能となる。
【0065】
(周波数)
次に、無線通信に使用する周波数について説明する。車両制御装置110と車載中継機10との相互間や携帯機120と携帯中継機20との相互間における無線通信で使用する応答要求周波数と応答周波数は、それぞれ、車両制御装置110と携帯機120の相互間の無線通信で使用する応答要求周波数と応答周波数と同一の周波数に設定されている。ここで、これら応答要求周波数や応答周波数が、車両のメーカーや車種によって異なる場合には、これらの各周波数を各車両について試験により予め特定しておき、車両遠隔操作システム1を設置する車両のメーカーや車種に応じた周波数を、車載中継機10や携帯中継機20に設定する。以下では、応答要求周波数がLF(具体的には125kHz)であり、応答周波数がUHF(より一般的にはRF(Radio Frequency)であり、具体的には315MHz)であるものとして説明する。
【0066】
(処理)
次に、上記のように構成された車両遠隔操作システム1を用いて行われる車両遠隔操作処理について説明する。
図3及び
図4は、車両のエンジンを始動する場合の車両遠隔操作処理のフローチャートであり、
図5は、車両のエンジンを停止する場合の車両遠隔操作処理のフローチャートである。以下の処理の説明においては、車両のエンジンを始動する場合の処理として
図3の起動シーケンス及び
図4の認証シーケンスについて説明した後に、車両のエンジンを停止する場合の処理として
図5の停止シーケンスについて説明する。また、制御主体を特記しない処理については、車両制御装置110、携帯機120、車載中継機10、又は携帯中継機20のMPUにて実行されるものとし、情報の取得元や取得経路を特記しない場合については、公知のタイミング及び公知の方法にて、各機の記憶部に予め格納されており、あるいは、各機に設けた図示しない操作手段を介して運転者等が入力されるものとし、ステップを「S」と略記する(実施の形態2及び実施の形態3についても、同様とする)。
【0067】
(処理−起動シーケンス)
携帯機120及び携帯中継機20を保有する運手者は、車外において携帯中継機20の操作スイッチ21を押圧することによりエンジンの始動を指示する。携帯中継機20は、操作スイッチ21に対する運転者の操作の有無を監視しており、操作スイッチ21に対する操作を受け付けた場合(
図3のSA1)、起動シーケンス(図示は省略)を実行する。具体的には、最初に、携帯中継機20の第1中継送信回路27は、キャリアセンスを行った上で、始動操作信号を第1中継周波数(例:UHF=920MHz)にて送信する(SA2)。
【0068】
この始動操作信号が車載中継機10の第1中継受信回路17によって受信されると(SA3)、出力部12は条件出力を車両制御装置110に有線出力する(SA4)。この条件出力が車両制御装置110によって受け付けられると(SA5)、車両制御装置110は、このように有線出力された条件出力が、運転者が所定の起動操作を行った場合に行われる出力と同一の出力であることから、所定の起動操作が行われた際の出力を受け付けた場合と同様の処理を行う。すなわち、車両制御装置110の応答要求信号送信回路112は、起動応答要求信号を応答要求周波数で携帯機120に無線送信する(SA6)。この携帯機120に対する起動応答要求信号は、車外にある携帯機120には到達せず、車内にある車載中継機10の応答要求信号受信回路15により受信される。
【0069】
このように起動応答要求信号が応答要求信号受信回路15により受信されると(SA7)、第1中継送信回路18は、この起動応答要求信号を第1中継周波数に変調し(SA8)、変調した起動応答要求信号を携帯中継機20に無線送信する(SA9)。
【0070】
この起動応答要求信号が携帯中継機20の第1中継受信回路28によって受信されると(SA10)、第1中継受信回路28は起動応答要求信号を応答要求周波数に復調して応答要求信号送信回路25に送り(SA11)、携帯中継機20の応答要求信号送信回路25は起動応答要求信号を、応答要求周波数で携帯機120に無線送信する(SA12)。
【0071】
このSA12で無線送信された起動応答要求信号が携帯機120の応答要求信号受信回路122によって受信されると(SA13)、携帯機120は、このように携帯中継機20から無線送信された起動応答要求信号がSA6において車両制御装置110から無線送信された起動応答要求信号と内容や周波数に関して同一の信号であることから、車両制御装置110から送信された起動応答要求信号を直接受信した場合と同様の処理を行う。すなわち、携帯機120は、所定の起動応答信号を生成し、応答信号送信回路123がこの起動応答信号を応答周波数で車両制御装置110に無線送信する(SA14)。
【0072】
この起動応答信号が携帯中継機20の応答信号受信回路26によって受信されると(SA15)、第1中継送信回路27は起動応答信号を第1中継周波数に変調し(SA16)、当該変調した起動応答信号を第1中継周波数で車載中継機10に無線送信する(SA17)。この起動応答信号が車載中継機10の第1中継受信回路17によって受信されると(SA18)、第1中継受信回路17は起動応答信号を応答周波数に復調して応答信号送信回路16に送り(SA19)、応答信号送信回路16は起動応答信号を応答周波数で車両制御装置110に無線送信する(SA20)。
【0073】
この起動応答信号が車両制御装置110の応答信号受信回路113によって受信されると(SA21)、車両制御装置110は、このように車載中継機10から無線送信された起動応答信号がSA14において携帯機120から無線送信された起動応答信号と内容や周波数に関して同一の信号であることから、携帯機120から送信された起動応答信号を直接受信した場合と同様の処理を行う。すなわち、車両制御装置110は、起動応答信号に基づいて、所定の認証シーケンス開始条件が充足したか否かを判定し(図示省略)、所定の認証シーケンス開始条件が充足したと判定した場合には、認証シーケンスを実行する。なお、車両制御装置110は、認証シーケンス開始条件が一部でも充足していないと判定した場合には、認証シーケンスを実行することなく、車両遠隔操作処理を終了する。
【0074】
(処理−認証シーケンス)
この認証シーケンスにおいて、車両制御装置110の応答要求信号送信回路112は所定の認証応答要求信号を応答要求周波数で携帯機120に無線送信する(
図4のSA22)。この携帯機120に対する認証応答要求信号は、車外にある携帯機120には到達せず、車内にある車載中継機10の応答要求信号受信回路15により受信される。
【0075】
このように認証応答要求信号が応答要求信号受信回路15により受信されると(SA23)、第1中継送信回路18は、この認証応答要求信号を第1中継周波数に変調し(SA24)、第1中継周波数で携帯中継機20に無線送信する(SA25)。この認証応答要求信号が携帯中継機20の第1中継受信回路28によって受信されると(SA26)、第1中継受信回路28は認証応答要求信号を応答要求周波数に復調して応答要求信号送信回路25に送り(SA27)、応答要求信号送信回路25は認証応答要求信号を応答要求周波数で携帯機120に無線送信する(SA28)。SA28について具体的には、SA22で無線送信された認証応答要求信号と同一の認証応答要求信号を無線送信する。
【0076】
この認証応答要求信号が携帯機120の応答要求信号受信回路122によって受信されると(SA29)、携帯機120は、このように携帯中継機20から無線送信された認証応答要求信号がSA22において車両制御装置110から無線送信された認証応答要求信号と内容や周波数に関して同一の信号であることから、車両制御装置110から送信された認証応答要求信号を直接受信した場合と同様の処理を行う。すなわち、携帯機120は、例えば認証情報を含む所定の認証応答信号を生成し、応答信号送信回路123がこの認証応答信号を応答周波数で車両制御装置110に無線送信する(SA30)。
【0077】
この認証応答信号が携帯中継機20の応答信号受信回路26によって受信されると(SA31)、第1中継送信回路27は認証応答信号を第1中継周波数に変調し(SA32)、当該変調した認証応答信号を第1中継周波数で車載中継機10に無線送信する(SA33)。この認証応答信号が車載中継機10の第1中継受信回路17によって受信されると(SA34)、第1中継受信回路17は認証応答信号を応答周波数に復調して応答信号送信回路16に送り(SA35)、応答信号送信回路16は認証応答信号を応答周波数で車両制御装置110に無線送信する(SA36)。SA36について具体的には、SA30で無線送信された認証応答信号と同一の認証応答信号を無線送信する。
【0078】
この認証応答信号が車両制御装置110の応答信号受信回路113によって受信されると(SA37)、車両制御装置110は、このように車載中継機10から無線送信された認証応答信号がSA30において携帯機120から無線送信された認証応答信号と内容や周波数に関して同一の信号であることから、携帯機120から送信された認証応答信号を直接受信した場合と同様の処理を行う。すなわち、車両制御装置110は、認証応答信号に基づいて、所定の制御条件が充足したか否かを判定する(SA38)。具体的には、車両制御装置110は、車両のエンジンスイッチの操作とブレーキの操作とが行われているか否かを判定するが、SA5において条件出力を既に受信しているため、これらの操作が行われているものと判定する。また、例えば、車両制御装置110は、認証応答信号に含まれる認証情報が自己の記憶部に予め記憶された認証情報と一致するか否かを判定する。さらに、車両制御装置110は、SA6で起動応答要求信号を送信してからその時点までの経過時間が条件充足時間以内であるか否かを判定する。そして、車両制御装置110は、これらの制御条件が全て充足していると判定した場合には、エンジンを始動するための所定の制御を行う(SA39)。例えば、車両制御装置110は、エンジンを始動するための制御条件が充足したことを示す信号をECUに暗号化送信し、この信号を受信して復号化したECUがエンジンのスタータモータを起動することにより、エンジンを始動した後、車両のエンジンを始動する場合の車両遠隔操作処理を終了する。なお、車両制御装置110は、制御条件が一部でも充足していないと判定した場合には、何ら制御を行うことなく、車両のエンジンを始動する場合の車両遠隔操作処理を終了する。
【0079】
(処理−停止シーケンス)
次に、車両遠隔操作システム1は、停止シーケンスを実行する。この停止シーケンスの実行を開始するタイミングは、車両のエンジンが始動するステップを行った後のタイミングである限りにおいて任意であるが、ここでは、例えば、
図4のSA36を行った後に停止シーケンスの実行を開始するものとして、以下説明する。
【0080】
まず、
図5のSB1において車載中継機10のMPUは、応答信号送信回路16を介して検知信号を無線送信する。具体的には、予め定められている所定強度の検知信号を、応答周波数で車載中継機10(つまり、車両)を中心とした全方位に、無線送信する(つまり、無線にて出力する)。この検知信号の無線送信については、検知信号を送信するための電力消費量を低減させることを考慮して間欠的に行ってもよいし、検知領域に携帯中継機20が進入したことを検知する検知感度を向上させることを考慮して連続的に行ってもよいが、ここでは、例えば、比較的大量に蓄電(充電)されている車両の不図示のバッテリの電力を検知信号の無線送信に利用できるために、電力消費量を低減させる必要性が低いことを考慮して、検知信号を連続的に無線送信するものとして、以下説明する。
【0081】
一方、
図5のSB2において携帯中継機20のMPUは、検知信号を無線受信したか否かを判定する。具体的には、応答信号受信回路26を監視して判定する。そして、応答信号受信回路26が検知信号を無線受信しなかった場合(SB2のNO)、検知信号を無線受信しなかったものと判定し、検知信号を無線受信したものと判定するまでSB2を繰り返し実行する。また、応答信号受信回路26が検知信号を無線受信した場合(SB2のYES)、検知信号を無線受信したものと判定し、SB3に移行する。ここでは、例えば、携帯中継機20を携帯している運転者が車両に近づいた場合、応答信号受信回路26が検知信号を無線受信することになり、無線受信したものと判定する。
【0082】
次に、
図5のSB3において携帯中継機20のMPUは、検知信号の強度を取得する。具体的には、SB2において応答信号受信回路26が無線受信した検知信号の強度を、前述の信号強度検出手段を用いて検出し、当該信号強度検出手段が検出した強度を、検知信号の強度として取得する。ここでは、例えば、携帯中継機20を携帯している運転者が、車両から約3メートル離れた位置まで近づいており、検知信号の強度として例えば「−70」(dBm)を検出して取得する場合を例示して、以下説明する。
【0083】
次に、
図5のSB4において携帯中継機20のMPUは、検知領域に携帯中継機20が進入したか否かを判定する。具体的には、SB3で取得した検知信号の強度と、携帯中継機20の記憶部に記憶されている「閾値強度特定情報」が特定する「閾値強度」とを比較して、比較結果に基づいて判定する。そして、SB3で取得した検知信号の強度が「閾値強度」よりも低い場合(SB4のNO)、検知領域に携帯中継機20が進入していないものと判定して(つまり、検知領域に携帯中継機20が進入したことを検知せずに)、SB2に移行する。また、SB3で取得した検知信号の強度が「閾値強度」よりも高い場合(SB4のYES)、検知領域に携帯中継機20が進入したものと判定して(つまり、検知領域に携帯中継機20が進入したことを検知して)、SB5に移行する。ここでは、例えば、前述のように、SB3において検知信号の強度として例えば「−70」(dBm)を検出して取得した場合、前述したように「閾値強度」=「Pr1(具体的には、「−90」)」と設定されているために、SB3で取得した検知信号の強度が「閾値強度」よりも高いので、検知領域に携帯中継機20が進入したものと判定して(つまり、検知領域に携帯中継機20が進入したことを検知して)、SB5に移行する。
【0084】
次に、
図5のB5〜SB8の処理を実行した後にSB9の処理を実行するが、SB5〜SB8の処理については、
図3のSA2〜SA5と同様な処理を行う。この
図5のSB5〜SB8に加えてSB9について具体的には、携帯中継機20の第1中継送信回路27は、キャリアセンスを行った上で、停止操作信号を第1中継周波数(例:UHF=920MHz)にて送信する(SB5)。この停止操作信号が車載中継機10の第1中継受信回路17によって受信されると(SB6)、出力部12は条件出力を車両制御装置110に有線出力する(SB7)。この条件出力が車両制御装置110によって受け付けられると(SB8)、車両制御装置110は、このように有線出力された条件出力が、運転者が所定の停止操作を行った場合に行われる出力と同一の出力であることから、所定の停止操作が行われた際の出力を受け付けた場合と同様の処理を行う。すなわち、車両制御装置110は、車両のエンジンを停止するための公知の制御を行う(SB9)。
【0085】
このようにして、携帯中継機20を携帯している運転者が検知領域(例えば、車両を中心にして半径5メートルの範囲内の領域)に進入した場合に、エンジンが自動的に停止することになり、例えば車両のドアのロック/アンロックの遠隔操作を、携帯機120の携帯機側ロック操作ボタンを操作することにより行うことが可能になる。ただし、携帯機120の携帯機側ロック操作ボタンの操作による、車両のドアのロック/アンロックの遠隔操作については、従来と同様にして行うことができるので、その詳細な説明は省略する。
【0086】
(実施の形態1の効果)
このように本実施の形態によれば、
図1の携帯中継機20が進入したことを携帯中継機20のMPUが検知した場合に車両のエンジンを停止するので、例えば、「要エンジン停止機器」である「車両のドアのロック/アンロックを制御する機器」を遠隔操作する場合に(つまり、車両のドアのロック/アンロックを遠隔操作によって行う場合に)、運転者が(例えば携帯中継機20の操作スイッチ21を介して行う)マニュアル操作にて車両のエンジンを停止する手順を省略することができるために、要エンジン停止機器を含む車両の各種機器の遠隔操作を容易に行わせることを可能にする車両遠隔操作システム1を提供することができる。また、車両のエンジンが自動的に停止するので、例えば、要エンジン停止機器を遠隔操作するための操作手段(例えば、前述した、携帯中継機側ロック操作ボタン)を携帯中継機20に設けたり、当該操作手段を用いるために専用配線を用いて車載中継機10を車両に接続する接続作業を行ったりすることが不要となるために、当該操作手段自体、当該専用配線自体、及び当該接続作業を省略することができ、車両遠隔操作システム1を低コストで提供することができる。
【0087】
また、携帯中継機20のMPUが無線受信した検知信号の強度に基づいて、検知領域に携帯中継機20が進入したことを検知するので、例えば、車両の周囲の明るさ又は温度等の影響を受けずに携帯中継機20を検知することができるために、携帯中継機20を確実に検知することにより車両のエンジンを確実に停止することができ、車両の各種機器の遠隔操作についての利便性を向上させることができる。
【0088】
また、検知信号の強度と閾値強度とを比較し、比較結果に基づいて検知領域に携帯中継機20が進入したことを検知するので、例えば、閾値強度を調整することにより、携帯中継機20を検知する範囲を調整することができるために、携帯中継機20を検知することに関する運転者のニーズ(例えば、車両から5メートル以内の範囲にて検知したい等)に従って携帯中継機20を検知することができ、車両の各種機器の遠隔操作についての利便性を向上させることができる。
【0089】
また、検知信号を連続的に無線送信するので、例えば、無線送信された検知信号を確実且つ迅速に無線受信することができるために、携帯中継機20を確実且つ迅速に検知することにより車両のエンジンを確実に停止することができ、車両の各種機器の遠隔操作についての利便性を向上させることができる。
【0090】
また、応答周波数にて検知信号を無線送信し、第1中継周波数にて停止制御信号を無線送信するので、例えば、検知信号と停止制御信号とが互いに干渉するのを防止することができるために、携帯中継機20の検知及びエンジンの停止の両方を確実に行うことができ、車両の各種機器の遠隔操作についての利便性を向上させることができる。
【0091】
〔実施の形態2〕
次に、この発明の実施の形態2について説明する。この形態は、車両のエンジンを自動的に停止させる形態であり、特に、車両に対して携帯中継機が近づいていることを検知してエンジンを停止させる形態である。ただし、特に説明なき構成においては実施の形態1と同様であるものとし、実施の形態1と同様の構成要素には、必要に応じて、実施の形態1で使用したものと同一の符号を付する。
【0092】
(構成−車両遠隔操作システム−車載中継機)
最初に、本実施の形態に係る車両遠隔操作システムの構成について説明する。
図1に示す、本実施の形態に係る車両遠隔操作システム1aは、車載中継機10aと携帯中継機20aを備えて構成されている。車両遠隔操作システム1aの車載中継機10aは、車両に設けられるものであり、車両制御装置110及び携帯中継機20aと通信するための送受信回路11aと、出力部12を備えて構成されている。
【0093】
送受信回路11aは、具体的には、基本送受信回路13aと、中継送受信回路14を備える。基本送受信回路13aは、車両制御装置110との間で無線通信を行う基本送受信手段であって、応答要求信号受信回路15と応答信号送信回路16aを備える。応答信号送信回路16aは、携帯中継機20aから送信された応答信号を応答周波数で車両制御装置110に無線送信する送信手段であり、また、位置検知信号を応答周波数で無線送信する(つまり、無線にて出力する)位置検知信号送信手段である。ここで、「位置検知信号」とは、車両(つまり、車載中継機10a)に対する携帯中継機20aの位置を検知するための信号であり、予め定められている所定強度の信号である。この「位置検知信号」については、任意の周波数にて無線通信することが可能であるが、ここでは、例えば、応答信号送信回路16aが無線送信する応答信号の周波数である「応答周波数」にて無線通信するものとして、以下説明する。
【0094】
また、図示は省略するが、車載中継機10aは、当該車載中継機10aの各部を制御するMPU(以下、車載中継機10aのMPU)と、認証情報等を不揮発的に記憶する記憶部(以下、車載中継機10aの記憶部)と、無線通信を行うためのアンテナを備える。「車載中継機10aのMPU」は、車載中継機10aの各部を制御する制御手段であり、「車載中継機10aの記憶部」は、車載中継機10aの動作に必要なプログラム及び各種のデータを記憶する記憶手段であり、具体的には、認証情報等を記憶するものである。
【0095】
(構成−車両遠隔操作システム−携帯中継機)
車両遠隔操作システム1aの携帯中継機20aは、運転者によって携帯されるものであり、操作スイッチ21と、携帯機120及び車載中継機10aと通信するための送受信回路22aを備えて構成されている。
【0096】
送受信回路22aは、具体的には、基本送受信回路23aと、中継送受信回路24を備える。基本送受信回路23aは、携帯機120との間で無線通信を行う基本送受信手段であって、応答要求信号送信回路25と応答信号受信回路26aを備える。応答信号受信回路26aは、携帯機120から応答要求信号に基づいて応答周波数で無線送信された応答信号を受信する受信手段であり、また、車載中継機10aから位置検知信号を応答周波数で無線受信する位置検知信号受信手段である。
【0097】
また、図示は省略するが、携帯中継機20aは、当該携帯中継機20aの各部を制御するMPU(以下、携帯中継機20aのMPU)と、各種情報を不揮発的に記憶する記憶部(以下、携帯中継機20aの記憶部)と、無線通信を行うためのアンテナと、電源となる電池を備える。「携帯中継機20aのMPU」は、携帯中継機20aの各部を制御する制御手段であり、特に、車両に対して携帯中継機20aが近づいていること、又は、車両に対して携帯中継機20aが遠ざかっていること検知する検知手段である。この「携帯中継機20aのMPU」によって行われる携帯中継機20aの検知については、任意の手法を用いて行うことができるが、ここでは、例えば、携帯中継機20aにRSSI(Received Signal Strength Indicator)回路の如き信号の強度を検出する信号強度検出手段であって、信号の強度そのもの(単位:dBm)を電圧値(単位:V)に変換して出力する信号強度出力手段が設けられており、応答信号受信回路26aが受信した位置検知信号の強度を当該信号強度検出手段が検出し、検出した位置検知信号の強度の変化に基づいて検知する手法を用いて行う場合について説明する。なお、この信号強度検出手段については、受信した信号の強度が強い程、出力する電圧値が大きくなるように構成されているものとして、以下説明する。
【0098】
(処理)
次に、上記のように構成された車両遠隔操作システム1aを用いて行われる車両遠隔操作処理について説明する。
図6は、車両のエンジンを停止する場合の車両遠隔操作処理のフローチャートである。車両遠隔操作システム1aを用いて行われる起動シーケンス及び認証シーケンスについては、実施の形態1において説明した対応するシーケンスと同様であるので、ここでは、
図6の停止シーケンスについてのみ説明する。
【0099】
(処理−停止シーケンス)
まず、
図6のSC1において車載中継機10aのMPUは、応答信号送信回路16aを介して位置検知信号を無線送信する。具体的には、予め定められている所定強度の位置検知信号を、応答周波数で車載中継機10a(つまり、車両)を中心とした全方位に、無線送信する(つまり、無線にて出力する)。この位置検知信号の無線送信については、車両に対する携帯中継機20aの位置の変化を連続的に検知できるように、連続的に無線送信するものとして、以下説明する。また、位置検知信号の強度については、車両(車載中継機10a)の周辺において当該車両に対して、携帯中継機20aが近づいたこと又は遠ざかったことを検知できるように、以下に示すようにして設定するものとする。
図7は、RSSI特性グラフの一例である。ここで、「RSSI特性グラフ」とは、無線信号の受信レベルに対する、RSSI回路から出力される電圧値を示すグラフである。位置検知信号の強度の設定について具体的には、車両の周辺(例えば、車両を中心とした半径3又は10メートル等以内の領域等)において、車両に対して携帯中継機20aが近づいたり又は遠ざかったりした場合に、無線信号の受信レベルの変化に対して出力される電圧値がリニア(線形的)に変化する領域である
図7のリニア領域内において、無線信号の受信レベルが変化するように、設定するものとする。
【0100】
一方、
図6のSC2において携帯中継機20aのMPUは、位置検知信号を無線受信したか否かを判定する。具体的には、応答信号受信回路26aを監視して判定する。そして、応答信号受信回路26aが位置検知信号を無線受信しなかった場合(SC2のNO)、位置検知信号を無線受信しなかったものと判定し、位置検知信号を無線受信したものと判定するまでSC2を繰り返し実行する。また、応答信号受信回路26aが位置検知信号を無線受信した場合(SC2のYES)、位置検知信号を無線受信したものと判定し、SC3に移行する。ここでは、例えば、携帯中継機20aを携帯している運転者が車両の周辺に位置している場合、応答信号受信回路26aが位置検知信号を無線受信することになり、無線受信したものと判定する。
【0101】
次に、
図6のSC3において携帯中継機20aのMPUは、位置検知信号の強度を連続的に複数取得する。具体的には、SB2において応答信号受信回路26aが無線受信した位置検知信号の強度を、前述の信号強度検出手段が検出して当該信号強度検出手段が出力した電圧値を、所定時間毎(例えば、100(ms)、500(ms)、1(s)毎等)に連続的に複数取得する。
【0102】
次に、
図6のSC4において携帯中継機20aのMPUは、車両に対して携帯中継機20aが近づいているか否かを判定する。具体的には、SB3で連続的に取得した電圧値に基づいて、当該電圧値の変化を検出し、検出した変化に基づいて、車両に対して携帯中継機20aが近づいているか否かを判定する。そして、電圧値の変化として、電圧値が低下していることを検出した場合、又は、電圧値が一定であり変化していないことを検出した場合、車両に対して携帯中継機20aが近づいているわけではないものと判定し(SC4のNO)(つまり、車両に対して携帯中継機20aが移動していないこと、又は、車両に対して携帯中継機20aが遠ざかっていることを検知し)、SC2に移行する。また、電圧値の変化として、電圧値が上昇していることを検出した場合、車両に対して携帯中継機20aが近づいているものと判定し(SC4のNO)(つまり、車両に対して携帯中継機20aが近づいていることを検知し)、SC5に移行する。
【0103】
次に、
図6のSC5〜SC9において、
図5のSB5〜SB9と同様な処理を行って、車両のエンジンを停止するための制御を行う。
【0104】
このようにして、携帯中継機20aを携帯している運転者又は同乗者等が車両に近づく場合に、エンジンが自動的に停止することになり、例えば車両のドアのロック/アンロックの遠隔操作を、携帯機120の携帯機側ロック操作ボタンを操作することにより行うことが可能になる。
【0105】
(実施の形態2の効果)
このように本実施の形態によれば、車両に対して携帯中継機20aが近づいていることを検知した場合に、車両のエンジンを停止し、車両に対して携帯中継機20aが遠ざかっていることを検知した場合に、車両のエンジンを停止しないので、例えば、運転者が、車両の周辺の所定の位置で携帯中継機20aを用いて車両のエンジンを始動してから当該車両が遠ざかった場合、エンジンが始動した直後に運転者の意図に反して停止するのを防止することができ、運転者の意図に反してエンジンが自動的に停止するのを防止することができる。
【0106】
〔実施の形態3〕
次に、この発明の実施の形態3について説明する。この形態は、携帯機側操作手段を操作することにより車両のエンジンを停止させる形態である。ただし、特に説明なき構成においては実施の形態1と同様であるものとし、実施の形態1と同様の構成要素には、必要に応じて、実施の形態1で使用したものと同一の符号を付する。
【0107】
(構成−車両制御システム−携帯機)
最初に、本実施の形態に係る車両制御システム及び車両遠隔操作システムの構成について説明する。
図8は、本実施の形態に係る車両遠隔操作システム1bを車両制御システム100bと共に示すブロック図である。車両制御システム100bは、車両制御装置110と、携帯機120bを備えて構成されている。携帯機120bは、基本送受信回路121bを備えて構成されている。この基本送受信回路121bは、応答要求信号受信回路122と、応答信号送信回路123bを備えている。応答信号送信回路123bは、応答信号を応答周波数で無線送信する送信手段であり、また、操作有信号を応答周波数で無線送信する操作有信号送信手段である。ここで、「操作有信号」とは、操作されたことを示す信号であり、具体的には、後述する携帯機側ロック操作ボタンが操作されたことを示す信号である。また、図示は省略するが、携帯機120bは、当該携帯機120bの各部を制御するMPU(以下、携帯機120bのMPU)と、認証情報を不揮発的に記憶する記憶部と、無線通信を行うためのアンテナと、車両のエンジン停止専用の操作ボタン以外の操作ボタンであって、車両のドアのロック/アンロックを操作するための操作ボタンである携帯機側ロック操作ボタン(携帯機側操作手段)と、電源となる電池を備える。
【0108】
(構成−車両遠隔操作システム−車載中継機)
次に、車両遠隔操作システム1bの構成について説明する。車両遠隔操作システム1bの車載中継機10bは、車両に設けられるものであり、車両制御装置110及び携帯中継機20bと通信するための送受信回路11bと、出力部12を備えて構成されている。
【0109】
送受信回路11bは、具体的には、基本送受信回路13bと、中継送受信回路14を備える。基本送受信回路13bは、車両制御装置110との間で無線通信を行う基本送受信手段であって、応答要求信号受信回路15と応答信号送信回路16bを備える。応答信号送信回路16bは、携帯中継機20bから送信された応答信号を応答周波数で車両制御装置110に無線送信する送信手段である。
【0110】
また、図示は省略するが、車載中継機10bは、当該車載中継機10bの各部を制御するMPU(以下、車載中継機10bのMPU)と、認証情報等を不揮発的に記憶する記憶部(以下、車載中継機10bの記憶部)と、無線通信を行うためのアンテナを備える。「車載中継機10bのMPU」は、車載中継機10bの各部を制御する制御手段であり、「車載中継機10bの記憶部」は、車載中継機10bの動作に必要なプログラム及び各種のデータを記憶する記憶手段であり、具体的には、認証情報等を記憶するものである。
【0111】
(構成−車両遠隔操作システム−携帯中継機)
車両遠隔操作システム1bの携帯中継機20bは、運転者によって携帯されるものであり、操作スイッチ21と、携帯機120b及び車載中継機10bと通信するための送受信回路22bを備えて構成されている。
【0112】
送受信回路22bは、具体的には、基本送受信回路23bと、中継送受信回路24を備える。基本送受信回路23bは、携帯機120bとの間で無線通信を行う基本送受信手段であって、応答要求信号送信回路25と応答信号受信回路26bを備える。応答信号受信回路26bは、携帯機120bから応答要求信号に基づいて応答周波数で無線送信された応答信号を受信する受信手段であり、また、携帯機120bから応答周波数で無線送信された操作有信号を無線受信する操作有信号受信手段である。
【0113】
また、図示は省略するが、携帯中継機20bは、当該携帯中継機20bの各部を制御するMPU(以下、携帯中継機20bのMPU)と、各種情報を不揮発的に記憶する記憶部(以下、携帯中継機20bの記憶部)と、無線通信を行うためのアンテナと、電源となる電池を備える。「携帯中継機20bのMPU」は、携帯中継機20bの各部を制御する制御手段である。「携帯中継機20bの記憶部」は、携帯中継機20bの動作に必要なプログラム及び各種のデータを記憶する記憶手段である。
【0114】
(処理)
次に、上記のように構成された車両遠隔操作システム1bを用いて行われる車両遠隔操作処理について説明する。
図9は、車両のエンジンを停止する場合の車両遠隔操作処理のフローチャートである。車両遠隔操作システム1bを用いて行われる起動シーケンス及び認証シーケンスについては、実施の形態1において説明した対応するシーケンスと同様であるので、ここでは、
図9の停止シーケンスについてのみ説明する。
【0115】
(処理−停止シーケンス)
まず、
図9のSD1において携帯機120bのMPUは、携帯機側ロック操作ボタンが操作されたか否かを判定する。具体的には、携帯機側ロック操作ボタンを押下されたか否かを検出する任意の押下センサの検出値に基づいて判定する。そして、携帯機側ロック操作ボタンを押下されたことを押下センサが検出しなかった場合、携帯機側ロック操作ボタンが操作されなかったものと判定し(SD1のNO)、携帯機側ロック操作ボタンが操作されたものと判定するまで、繰り返しSD1の処理を行う。また、携帯機側ロック操作ボタンを押下されたことを押下センサが検出した場合、携帯機側ロック操作ボタンが操作されたものと判定し(SD1のYES)、SD2に移行する。ここでは、例えば、運転者が携帯機側ロック操作ボタンを押下した場合、携帯機側ロック操作ボタンが操作されたものと判定する。
【0116】
次に、
図9のSD2において携帯機120bのMPUは、操作有信号を、応答信号送信回路123bを介して応答周波数で無線送信する。
【0117】
一方、
図9のSD3において携帯中継機20bのMPUは、操作有信号を無線受信したか否かを判定する。具体的には、応答信号受信回路26bを監視して判定する。そして、応答信号受信回路26bが操作有信号を無線受信しなかった場合(SD3のNO)、操作有信号を無線受信しなかったものと判定し、操作有信号を無線受信したものと判定するまでSD3を繰り返し実行する。また、応答信号受信回路26bが操作有信号を無線受信した場合(SD3のYES)、操作有信号を無線受信したものと判定し、SD4に移行する。ここでは、例えば、運転者が携帯機側ロック操作ボタンを押下した場合、操作有信号が携帯機120bから無線送信されるので、操作有信号を無線受信したものと判定する。
【0118】
次に、
図9のSD4〜SD8において、
図5のSB5〜SB9と同様な処理を行って、車両のエンジンを停止するための制御を行う。
【0119】
このようにして、携帯中継機20bを携帯している運転者が携帯機側ロック操作ボタンを押下した場合に、エンジンが停止することになり、この後、携帯機側ロック操作ボタンを再度押下して、車両のドアのロック/アンロックの遠隔操作を行うことが可能になる。
【0120】
(実施の形態3の効果)
このように本実施の形態によれば、操作有信号を無線受信した場合に、車両のエンジンを停止するので、例えば、運転者が複数の機器(例えば、携帯機120b及び携帯中継機20b)を持ち替える必要がないために、要エンジン停止機器を含む車両の各種機器の遠隔操作を容易に行わせることを可能にする車両遠隔操作システム1bを提供することができる。また、例えば、携帯機側ロック操作ボタンのマニュアル操作により車両のエンジンを停止することができるので、運転者の意図に沿った適切なタイミングでエンジンを停止することができる。
【0121】
〔実施の形態に対する変形例〕
以上、本発明に係る実施の形態について説明したが、本発明の具体的な構成及び手段は、特許請求の範囲に記載した各発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。以下、このような変形例について説明する。
【0122】
(解決しようとする課題や発明の効果について)
まず、発明が解決しようとする課題や発明の効果は、前記した内容に限定されるものではなく、本発明によって、前記に記載されていない課題を解決したり、前記に記載されていない効果を奏することもでき、また、記載されている課題の一部のみを解決したり、記載されている効果の一部のみを奏することがある。例えば、本発明に係る車両遠隔操作システムによる遠隔操作性能が、従来の車両遠隔操作システムと同程度となる場合であっても、本発明に係る車両遠隔操作システムによって、車両を遠隔操作することが可能になる場合には、本発明の課題が解決されている。
【0123】
(分散や統合について)
また、上述した各電気的構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各部の分散や統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散又は統合して構成できる。本出願における「システム」とは、複数の装置によって構成されたものに限定されず、単一の装置によって構成されたものを含む。また、本出願における「装置」とは、単一の装置によって構成されたものに限定されず、複数の装置によって構成されたものを含む。例えば、実施の形態1の携帯中継機20における基本送受信回路23と中継送受信回路24を物理的には1つの回路により構成してもよい。また、例えば、車載中継機10における基本送受信回路13と中継送受信回路14を物理的には1つの回路により構成してもよい。
【0124】
(形状、数値、構造、時系列について)
各実施の形態や図面において例示した構成要素に関して、形状、数値、又は複数の構成要素の構造若しくは時系列の相互関係については、本発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。例えば、特記しない場合においても、上記実施の形態に記載されている事項と、変形例に記載されている事項とを任意に組み合わせてもよい。
【0125】
(携帯中継機の検知について)
上記実施の形態1では、
図1の車載中継機10が検知信号を無線送信し、携帯中継機20が検知信号を無線受信し、検知領域に携帯中継機20が進入したことを携帯中継機20が検知する場合について説明したが、これに限られない。例えば、実施の形態とは逆にして、
図1の携帯中継機20が検知信号を無線送信し、車載中継機10が検知信号を無線受信し、検知領域に携帯中継機20が進入したことを車載中継機10が検知するようにしてもよい。具体的には、車載中継機10において、検知信号を無線受信する検知信号受信手段を実現し、携帯中継機20において、検知信号を無線送信する検知信号送信手段を実現した上で、車載中継機10のMPU(検知手段)が、検知領域に携帯中継機20が進入したことを検知するようにしてもよい。検知信号送信手段及び検知信号受信手段の実現手法については任意であるが、例えば、以下に示す第1の実現手法、又は第2の実現手法を用いてもよい。
【0126】
まず、第1の実現手法は、機能を切り替えて実現する手法であり、具体的には、無線送信機能又は無線受信機能を切り替えて用いることができるICを各々用いて、
図1の応答信号送信回路16及び応答信号受信回路26各々を実現した上で、
図1の応答信号受信回路26を無線受信機能から無線送信機能に適宜切り替えることにより、携帯中継機20において検知信号送信手段を実現し、応答信号送信回路16を無線送信機能から無線受信機能に適宜切り替えることにより、車載中継機10において検知信号受信手段を実現する手法である。
【0127】
また、第2の実現手法は、回路を新たに設けて実現する手法であり、具体的には、
図1の応答信号送信回路16における検知信号を無線送信する機能に対応する機能を有する検知信号送信回路を、携帯中継機20に新たに設けることにより携帯中継機20において検知信号送信手段を実現し、応答信号受信回路26における検知信号を無線受信する機能に対応する機能を有する検知信号受信回路を、車載中継機10に新たに設けることにより車載中継機10において検知信号受信手段を実現する手法である。そして、車載中継機10の記憶部に「閾値強度特定情報」を記憶した上で、車載中継機10のMPUが、
図5のSB4と同様にして、検知領域に携帯中継機20が進入したことを検知し、検知領域に携帯中継機20が進入したことを検知した場合に、
図5のSB5〜SB9と同様な処理を行って、車両のエンジンを停止するように構成してもよい。
【0128】
(検知信号の無線送信の停止について)
また、「変形例」の「(携帯中継機の検知について)」にて説明した構成において、検知領域に携帯中継機20が進入したことを検知した後に、検知信号の無線送信を停止してもよい。具体的には、車載中継機10において、検知停止信号を無線送信する検知停止信号送信手段を実現し、携帯中継機20において、検知停止信号を無線受信する検知停止信号受信手段を実現した上で、検知停止信号送信手段が無線送信した検知停止信号を検知停止信号受信手段が無線受信した場合に、携帯中継機20のMPUが、検知信号送信手段による検知信号の無線送信を停止するようにしてもよい。ここで、「検知停止信号」とは、検知信号送信手段による検知信号の無線送信を停止するための信号である。検知停止信号送信手段及び検知停止信号受信手段の実現手法については任意であるが、例えば、以下に示す実現手法を用いてもよい。具体的には、車載中継機10の第1中継送信回路18が、検知停止信号を第1中継周波数にて無線送信するように構成することにより、車載中継機10において検知停止信号送信手段を実現し、携帯中継機20の第1中継受信回路28が、検知停止信号を第1中継周波数にて無線受信するように構成することにより、携帯中継機20において検知停止信号受信手段を実現する手法である。また、「変形例」の「(携帯中継機の検知について)」にて説明した「第2の実現手法」と同様にして、回路を新たに設けて実現してもよい。そして、車載中継機10のMPUが、検知領域に携帯中継機20が進入したことを検知した後に、第1中継送信回路18から検知停止信号を第1中継周波数にて無線送信するように構成した上で、携帯中継機20のMPUが、第1中継受信回路28が前述の無線送信された検知停止信号を無線受信した場合に、検知信号送信手段による検知信号の無線送信を停止するようにしてもよい。このように構成した場合、検知停止信号を無線受信した場合に検知信号の無線送信を停止するので、例えば、検知信号が無駄に無線送信され続けるのを防止することができるために、検知信号を無線送信するための電力消費量が無駄に増大するのを防止することができる。
【0129】
また、上記実施の形態1においても、検知領域に携帯中継機20が進入したことを検知した後に、検知信号の無線送信を停止してもよい。具体的には、
図5のSB6において停止操作信号を無線受信した場合に、車載中継機10のMPUが、応答信号送信回路16からの検知信号の無線送信を停止してもよい。この場合、
図5のSB6の停止操作信号が、前述の検知停止信号としても機能することになり、また、携帯中継機20の第1中継送信回路27が検知停止信号送信手段としても機能することになり、また、車載中継機10の第1中継受信回路17が検知停止信号受信手段としても機能することになる。
【0130】
(進入の判定について(その1))
また、上記実施の形態1では、
図5のSB4において、検知信号の強度そのものを用いて、検知領域に携帯中継機20が進入したか否かを判定する場合について説明したが、これに限られない。例えば、携帯中継機20のMPUが、SB3において取得したのと同様にして、検知信号の強度を複数回にわたって取得し、取得した複数の検知信号の強度に基づいて統計値を演算し、演算した統計値に基づいて判定してもよい(つまり、検知領域に携帯中継機20が進入したことを検知してもよい)。この統計値については、携帯中継機20が進入したことを確実に検知できる統計値である限りにおいて、任意の統計値を用いることができるが、ここでは、例えば、以下に示す統計値を用いてもよい。用いる統計値について具体的には、無線送信される検知信号に重畳するノイズを平滑化すること等を考慮して、平均値を統計値として用いてもよいし、
図2に示すように、距離に応じて受信強度が大きく変化することに着目して、予め定められている時間(例えば、1秒間等)内の検知信号の強度の変化量を統計値としても用いてもよい。そして、「閾値強度」と同様な閾値であって、このような統計値と比較する閾値である「統計閾値強度」を特定する情報を携帯中継機20の記憶部に記憶した上で、携帯中継機20のMPUが、統計値を演算し、演算した統計値と記憶した「統計閾値強度」とを比較して、比較結果に基づいて、検知領域に携帯中継機20が進入したか否かを判定してもよい。このように構成した場合、演算した統計値に基づいて検知領域に携帯中継機20が進入したことを検知するので、例えば、携帯中継機20を検知することに対する、検知信号に重畳するノイズ等の外乱による影響の度合いを低減することができるために、携帯中継機20を確実に検知することにより車両のエンジンを確実に停止することができ、車両の各種機器の遠隔操作についての利便性を向上させることができる。
【0131】
(進入の判定について(その2))
また、例えば、検知信号の強度そのものではなく、検知信号の強度に対応する電圧値(例えば、「−100」(dBm)に対して「0.5」(V)、「−90」(dBm)に対して「1.0」(V)等)に変換して、変換した電圧値、及び「閾値強度」を電圧値に変換した「閾値電圧」を用いて、
図5のSB4を実行してもよい。
【0132】
(閾値強度の設定について)
また、上記実施の形態1では、携帯中継機20の製造時に閾値強度特定情報が携帯中継機20の記憶部に記憶されている場合について説明したが、これに限られない。例えば、運転者が閾値強度特定情を任意に記憶できるようにすることにより、「閾値強度」を運転者のニーズに応じて任意に設定できるようにしてもよい。この「閾値強度」の設定手法については、任意の手法を用いることができるが、例えば、以下に示す第1の設定手法、又は第2の設定手法を用いてもよい。
【0133】
まず、第1の設定手法は、車外で設定する手法であり、具体的には、携帯中継機20の操作スイッチ21の所定操作(例えば、5秒以上の長押し等)を行った場合に、携帯中継機20の信号強度検出手段が検知信号の強度を検出し、「検出した検知信号の強度」=「閾値強度」となる閾値強度特定情報を、携帯中継機20の記憶部に記憶するように構成した上で設定する手法である。第1の設定手法についてより詳細には、車両に設けられている車載中継機10から検知信号を送信し続けた状態にしておき、運転者が車両を日常的に遠隔操作する車両の周辺位置にて、操作スイッチ21の所定操作を行うことによって、運転者が車両を日常的に遠隔操作する車両の周辺位置における検知信号の強度を「閾値強度」として設定する手法である。このような設定手法を用いることにより、運転者のニーズに従って車両のエンジンを停止することができ、例えば、車両のドアのロック/アンロックを遠隔操作することが可能になる。
【0134】
また、第2の設定手法は、車内で設定する手法であり、第1の設定手法の場合と同様に、携帯中継機20の操作スイッチ21の所定操作(例えば、5秒以上の長押し等)を行った場合に、携帯中継機20の信号強度検出手段が検知信号の強度を検出するように構成した上で、更に、検出した検知信号の強度を
図2の「距離」=「0」(メートル)とした上で、所定の演算を行って
図2の曲線C1が特定する情報と同様な情報を算出し、算出結果に基づいて車両から所定距離(例えば、5(メートル)等)だけ離れた位置における受信強度を特定し、「特定した受信強度」=「閾値強度」となる閾値強度特定情報を、携帯中継機20の記憶部に記憶するように構成した上で設定する手法である。第2の設定手法についてより詳細には、車両に設けられている車載中継機10から検知信号を送信し続けた状態にしておき、携帯中継機20を車内に設けた状態で、操作スイッチ21の所定操作を行うことによって、車両から所定距離だけ離れた位置のものであると推定される検知信号の強度を「閾値強度」として設定する手法である。このような設定手法を用いることにより、無線送信される検知信号の強度についての携帯中継機20の機差を考慮して、「閾値強度」を適切に設定することにより、検知領域に携帯中継機20が進入したことを検知する検知精度を向上させることができる。
【0135】
(エンジンの停止について)
また、上記実施の形態1では、検知領域に携帯中継機20が進入したことを検知した場合(つまり、
図5のSB4のYESの場合)に、車両のエンジンを停止することについて説明したが、これに限られない。例えば、検知領域に携帯中継機20が進入したことを検知したか否かに関わらず、遠隔操作により車両のエンジンを始動した時間から「設定アイドリング時間」だけ経過した場合に、車両のエンジンを停止するように構成してもよい。ここで、「設定アイドリング時間」とは、遠隔操作により車両のエンジンを始動して作動させた場合に、車両のエンジンが作動したままの状態で維持する最長の時間であり、具体的には、運転者によって設定可能な所定時間であり、例えば、10分、20分、又は30分等である。この構成について具体的には、
図1の車載中継機10又は携帯中継機20において実現してもよい。まず、車載中継機10において実現する場合については、車載中継機10の記憶部に任意の手法を用いて「設定アイドリング時間」を記憶できるように構成した上で、車載中継機10のMPUが、車両のエンジンが始動したことを任意の手法を用いて検出し、検出した時間(以下、エンジン始動時間)を不図示のタイマの如き計時手段を用いて取得し、取得したエンジン始動時間から車載中継機10の記憶部に記憶されている「設定アイドリング時間」が経過したか否かを計時手段の計時結果に基づいて判定し、取得したエンジン始動時間から「設定アイドリング時間」が経過したものと判定した場合に、車両のエンジンを停止するように構成してもよい。車両のエンジンが始動したことを検出する任意の手法については、例えば、エンジンが始動したことを示す始動信号を車両制御装置110が送信するように構成した上で、この出力される始動信号を車載中継機10が受信した場合に、車両のエンジンが始動したことを検出してもよいし、
図4のSA36を実行してから「設定アイドリング時間」+「オーバーヘッド時間」だけ経過した場合に、車両のエンジンが始動したことを検出してもよい。なお、「オーバーヘッド時間」とは、SA36を実行してからエンジンが実際に始動されるまでの時間に対応する時間であり、例えば、車両のメーカーや車種毎に行う「オーバーヘッド時間」を測定する実験の実験結果に基づいて設定することが可能な時間である。また、携帯中継機20において実現する場合については、車載中継機10において実現する場合と同様にして、携帯中継機20の記憶部に任意の手法を用いて「設定アイドリング時間」を記憶できるように構成した上で、携帯中継機20のMPUが、携帯中継機20のMPUと同様にして、「設定アイドリング時間」が経過したものと判定した場合に、車両のエンジンを停止するように構成してもよい。この場合における、車両のエンジンが始動したことを検出する任意の手法については、例えば、
図4のSA33を実行してから「設定アイドリング時間」+「オーバーヘッド時間」だけ経過した場合に、車両のエンジンが始動したことを検出してもよい。なお、ここでの「オーバーヘッド時間」とは、SA33を実行してからエンジンが実際に始動されるまでの時間に対応する時間であり、例えば、前述の車載中継機10において実現する場合において用いた「オーバーヘッド時間」と同様にして設定することが可能な時間である。このように構成した場合、車両のエンジンが始動してから「設定アイドリング時間」が経過した場合に、車両のエンジンを停止するので、例えば、車両のエンジンが作動し続けることにより、エンジンの損傷の可能性が引き起こされるのを防止したり、車両の燃料が消費され続けるのを防止したりすることができる。また、車両のエンジンが始動してから「設定アイドリング時間」が経過した場合、検知領域に携帯中継機20が進入したことを検知していなくても車両のエンジンを停止するので、例えば、車両のエンジンが始動してから「設定アイドリング時間」が経過した場合に、要エンジン停止機器を遠隔操作することが可能な状態にすることができるために、要エンジン停止機器を遠隔操作することが不可能な状態が継続するのを防止することができ、車両の各種機器の遠隔操作についての利便性を向上させることができる。
【0136】
(エンジンの自動停止機能の無効化について)
また、上記実施の形態1において、検知領域に携帯中継機20が進入したことを検知した場合(つまり、
図5のSB4のYESの場合)に車両のエンジンを停止する機能を適宜無効化してもよい。この構成について具体的には、
図1の携帯中継機20に、車両のエンジンを停止する制御を禁止するための停止制御禁止スイッチを設けて、停止制御禁止スイッチを押下した場合に、携帯中継機20のMPUが、車両のエンジンを停止する制御を禁止するための信号である禁止信号を車載中継機10に無線送信するように構成した上で、車載中継機10のMPUが、前述の無線送信された禁止信号を無線受信した場合に、
図5のSB1の処理を行わないように構成することにより実現してもよい。なお、無効化された車両のエンジンを停止する機能については、
図1の携帯中継機20の所定操作(例えば、停止制御禁止スイッチ及び操作スイッチ21を同時に5秒間以上長押しする等)を行うことにより、有効化されるようにしてもよい。これらのように構成した場合における、車載中継機10のMPU又は携帯中継機20のMPUが「禁止手段」に対応する。このように構成することにより、車両のエンジンを停止する制御を禁止するので、例えば、エンジンを停止させることを望んでいないにも関わらず、車両の周辺環境の制限(例えば、歩行用の通路が駐車場に近接している場合等)によって、携帯中継機20を携帯している運転者が検知領域に進入せざるを得ない場合に、運転者の意図に反してエンジンが自動的に停止するのを防止することができる。
【0137】
(検知信号の無線送信の手法について)
また、上記実施の形態1では、
図5のSB1において検知信号を連続的に無線送信する場合について説明したが、これに限られない。例えば、検知信号を間欠的に無線送信してもよい。このように検知信号を間欠的に無線送信する場合については、スリープ時間(つまり、無線送信が行われない時間)とウェイク時間(つまり、無線送信が行われる時間)との割合については任意に設定することが可能であるが、例えば、検知信号のデータレートを調整した上で、スリープ時間とウェイク時間との割合が、「500:1」、又は「1000:1」程度になるように設定してもよい。また、「変形例」の「(携帯中継機の検知について)」においても、同様にして、検知信号を間欠的に無線送信してもよい。このように構成することにより、例えば、検知信号を無線送信するための消費電力を低減することができる。
【0138】
また、上記実施の形態1では、
図5のSB1において検知信号を、車両を中心とした全方位に無線送信する場合について説明したが、これに限られない。例えば、検知信号に指向性を持たせて、
図1の携帯中継機20を携帯している運転者が、所定の方向(例えば、運転側)において車両に近づいた場合に、エンジンを停止するように構成するために、所定の方向に向かってのみ検知信号を無線送信してもよい。
【0139】
また、上記実施の形態1では、
図1の応答信号送信回路16が検知信号を応答周波数にて無線送信し、応答信号受信回路26が検知信号を応答周波数にて無線受信する場合について説明したが、これに限られない。例えば、第1中継送信回路18が検知信号を第1中継周波数にて無線送信し、第1中継受信回路28が検知信号を第1中継周波数にて無線受信するように構成してもよい。
【0140】
(停止操作信号の無線送信の手法について)
また、上記実施の形態1では、
図1の第1中継送信回路27が停止操作信号を第1中継周波数にて無線送信し、第1中継受信回路17が停止操作信号を第1中継周波数にて無線受信する場合について説明したが、これに限られない。例えば、「変形例」の「(携帯中継機の検知について)」において説明したように、無線送信機能又は無線受信機能を切り替えて用いることができるICを各々用いて、
図1の応答信号送信回路16及び応答信号受信回路26各々を実現した上で、応答信号受信回路26を無線受信機能から無線送信機能に適宜切り替えて、応答信号受信回路26が停止操作信号を応答周波数にて無線送信し、応答信号送信回路16を無線送信機能から無線受信機能に適宜切り替えて、応答信号送信回路16が停止操作信号を応答周波数にて無線受信するように構成してもよい。
【0141】
(携帯中継機の検知について)
また、上記実施の形態1では、検知信号の強度を用いて検知領域に
図1の携帯中継機20が進入したことを検知する場合について説明したが、これに限られない。例えば、携帯中継機20にカメラの如き撮像手段を設け、また、車両の外観の画像を事前に携帯中継機20に登録し、登録した画像と撮像手段の撮像結果とを比較して車両自体及び車両と携帯中継機20との間の距離を認識できるようにした上で、当該認識結果に基づいて、検知領域に携帯中継機20が進入したことを検知するように構成してもよい。また、例えば、車載中継機10又は携帯中継機20の一方に所定の温度にて発熱する発熱手段を設け、また、車載中継機10又は携帯中継機20の他方に赤外線サーモグラフィーの如き検温手段を設けた上で、検温手段の検温結果に基づいて、検知領域に携帯中継機20が進入したことを検知するように構成してもよい。
【0142】
(車両について)
車両の種類や構成は任意であり、四輪自動車の他、クレーン車や二輪自動車を含む。また、制御対象とする機器が原動機以外である場合には、原動機のない車両を対象としてもよく、例えば、二輪自転車を対象としてもよい。
【0143】
(車両制御システムの構成について)
車両制御システムの構成は任意である。例えば、上記実施の形態1では、車両制御装置110がECUに有線接続されるものとして説明したが、車両制御装置110自体がECUであってもよい。また、車両制御装置110が行うものとして説明した機能をECUに持たせてもよく、あるいはECUが行うものとして説明した機能を車両制御装置110に持たせてもよい。例えば、制御条件の充足判定の一部については、車両制御装置110ではなく、車両制御装置110に接続されたECUで行うようにしてもよい。また、車両制御装置110には、上記説明した機能以外にも公知の機能を持たせることができ、例えば、応答要求信号を送信してから所定時間以内に応答信号を受信できない場合には、応答要求信号を再送信するリトライ機能を持たせてもよい。このようにリトライを行う場合においても、上記のように接続確立を行った後、この接続を車両遠隔操作処理が終了するまで維持することで、リトライのための応答要求信号の再送信等に起因する遅延を最小化することができる。さらに、「起動シーケンス」と「認証シーケンス」のいずれか一方のみを行う場合や、さらに他のシーケンスを行う場合においても、本発明は同様に適応可能であり、この場合には、車両遠隔操作システムにおいても「起動シーケンス」と「認証シーケンス」のいずれか一方のみを行ったり、さらに他のシーケンスを行うための通信の中継を行ったりすることができる。
【0144】
(車両遠隔操作システムの構成について)
上記実施の形態1では、車両遠隔操作システム1が車載中継機10と携帯中継機20により構成される例について説明したが、その他の機器を含めて車両遠隔操作システム1を構成してもよく、例えば、車両から極めて遠い場所から遠隔操作を行うような場合に、車載中継機10と携帯中継機20との無線通信を中継する中継機をさらに設置してもよい。また、1台の車載中継機10に対して複数台の携帯中継機20を通信可能としてもよい。また、必要に応じて、車載中継機10を車両制御装置110以外の機器に無線又は有線で接続するようにしてもよい。なお、車両遠隔操作システム1の配置に関して、各実施の形態では、携帯中継機20を携帯機120と共に車外に配置した状態で操作するものとして説明したが、携帯中継機20を携帯機120と車内に配置してもよい。
【0145】
上記実施の形態1では、車両遠隔操作システム1が車載中継機10と携帯中継機20とが第1中継周波数にて無線通信する例について説明したが、他の周波数にて無線通信するようにしてもよい。例えば、第2中継周波数(例えば、429MHz)にて無線通信するようにしてもよく、第1中継周波数及び第2中継周波数にて無線通信するようにしてもよい。
【0146】
(接続形態について)
上記実施の形態1では、車両制御装置110と車載中継機10との相互間の通信(出力部12からの出力を除く)や、携帯機120と携帯中継機20との相互間の通信を、無線通信で行うものとして説明したが、有線接続してもよい。
【0147】
(周波数について)
上記の説明において数値にて示した周波数はあくまで例示であり、他の周波数を採用してもよい。また、起動シーケンスに使用する中継周波数と認証シーケンスに使用する中継周波数を相互に異なる周波数としてもよい。
【0148】
(処理について)
上記説明した処理の順序やタイミングは、適宜変更することが可能である。例えば、上記実施の形態1では、携帯中継機20からの始動操作信号をトリガとして、車両制御装置110が起動応答要求信号を送信する場合について説明したが、始動操作信号の有無に関わらず、車両制御装置110が所定間隔で起動応答要求信号を送信するように構成されている場合には、始動操作信号の送信に関する処理に先立って、起動応答要求信号の中継に関する処理を行うようにしてもよい。
【0149】
(各実施の形態と変形例について)
各変形例の特徴を実施の形態2又は実施の形態3に適宜適用してもよいし、実施の形態1〜3、及び変形例の各特徴を任意に選択して、選択した特徴を組み合わせてもよい。
【0150】
(付記)
付記1の車両遠隔操作システムは、車両制御装置と携帯機を相互に無線通信可能として構成された車両制御システムであって、前記車両制御装置から無線送信された応答要求信号に基づいて前記携帯機が応答信号を無線送信し、当該応答信号を受信したことを車両のエンジンを始動する条件の少なくとも一つとして前記車両制御装置が前記車両の所定機器を制御する車両制御システム、を介して前記所定機器を遠隔操作する車両遠隔操作システムであって、前記車両に搭載されており、前記車両制御装置と通信可能な車載中継機と、前記車載中継機と無線通信可能な携帯中継機と、を備え、前記車載中継機又は前記携帯中継機は、遠隔操作により前記車両のエンジンが始動している場合において、前記車両を遠隔操作するための操作手段であって、前記車両のエンジン停止用の操作手段以外の操作手段であり、前記携帯機に設けられている操作手段である携帯機側操作手段を操作した場合に、又は、自動的に、前記車両制御装置を介して前記車両のエンジンを停止する停止制御手段とを備える。
【0151】
また、付記2の車両遠隔操作システムは、付記1に記載の車両遠隔操作システムにおいて、遠隔操作により前記車両のエンジンが始動している場合に、前記車両に対する前記携帯中継機の位置に関する検知を行う検知手段、を備え、前記停止制御手段は、前記検知手段の検知結果に基づいて、前記車両制御装置を介して前記車両のエンジンを停止する。
【0152】
また、付記3の車両遠隔操作システムは、付記2に記載の車両遠隔操作システムにおいて、前記検知手段は、遠隔操作により前記車両のエンジンが始動している場合に、前記車両の周囲の領域である検知領域に前記携帯中継機が進入したことを検知し、前記停止制御手段は、前記検知領域に前記携帯中継機が進入したことを前記検知手段が検知した場合に、前記車両制御装置を介して前記車両のエンジンを停止する。
【0153】
付記4の車両遠隔操作システムは、付記3に記載の車両遠隔操作システムにおいて、前記検知領域に前記携帯中継機が進入したことを検知するための検知信号を無線送信する検知信号送信手段と、前記検知信号送信手段が無線送信した前記検知信号を無線受信する検知信号受信手段と、を備え、前記検知信号送信手段は、前記車載中継機又は前記携帯中継機の一方に設けられており、前記検知信号受信手段は、前記車載中継機又は前記携帯中継機の他方に設けられており、前記検知手段は、前記検知信号受信手段が無線受信した前記検知信号の強度に基づいて、前記検知領域に前記携帯中継機が進入したことを検知する。
【0154】
付記5の車両遠隔操作システムは、付記4に記載の車両遠隔操作システムにおいて、前記検知手段は、前記検知信号受信手段が無線受信した前記検知信号の強度と、閾値強度とを比較し、比較結果に基づいて前記検知領域に前記携帯中継機が進入したことを検知する。
【0155】
付記6の車両遠隔操作システムは、付記4に記載の車両遠隔操作システムにおいて、前記検知手段は、前記検知信号受信手段が無線受信した前記検知信号の強度の統計値を演算し、演算した統計値に基づいて前記検知領域に前記携帯中継機が進入したことを検知する。
【0156】
付記7の車両遠隔操作システムは、付記4から6のいずれか一項に記載の車両遠隔操作システムにおいて、前記検知信号送信手段は、前記検知信号を間欠的に無線送信する。
【0157】
付記8の車両遠隔操作システムは、付記4から6のいずれか一項に記載の車両遠隔操作システムにおいて、前記検知信号送信手段は、前記車載中継機に設けられており、前記検知信号受信手段は、前記携帯中継機に設けられており、前記検知信号送信手段は、前記検知信号を連続的に無線送信する。
【0158】
付記9の車両遠隔操作システムは、付記8に記載の車両遠隔操作システムにおいて、前記車両のエンジンを停止するための停止制御信号を無線送信する停止制御信号送信手段であって、前記携帯中継機に設けられている前記停止制御信号送信手段と、前記停止制御信号送信手段が無線送信した前記停止制御信号を無線受信する停止制御信号受信手段であって、前記車載中継機に設けられている前記停止制御信号受信手段と、を備え、前記検知信号送信手段は、第1無線周波数帯にて前記検知信号を無線送信し、前記停止制御信号送信手段は、前記検知領域に前記携帯中継機が進入したことを前記検知手段が検知した場合に、前記停止制御信号を前記第1無線周波数帯とは異なる周波数帯である第2無線周波数帯にて無線送信し、前記停止制御手段は、前記停止制御信号受信手段が前記停止制御信号を無線受信した場合に、前記車両のエンジンを停止する。
【0159】
付記10の車両遠隔操作システムは、付記4から9のいずれか一項に記載の車両遠隔操作システムにおいて、前記検知信号送信手段による前記検知信号の無線送信を停止するための検知停止信号を無線送信する検知停止信号送信手段と、前記検知停止信号送信手段が無線送信した前記検知停止信号を無線受信する前記検知停止信号受信手段と、を備え、前記検知停止信号受信手段は、前記車載中継機又は前記携帯中継機のうちの前記検知信号送信手段が設けられている一方、に設けられており、前記検知停止信号送信手段は、前記車載中継機又は前記携帯中継機のうちの前記検知信号受信手段が設けられている他方、に設けられており、前記検知信号送信手段は、前記検知停止信号送信手段が無線送信した前記検知停止信号を前記検知停止信号受信手段が無線受信した場合に、前記検知信号の無線送信を停止する。
【0160】
付記11の車両遠隔操作システムは、付記3から10のいずれか一項に記載の車両遠隔操作システムにおいて、前記停止制御手段は、遠隔操作により前記車両のエンジンが始動してから所定時間が経過した場合、前記検知領域に前記携帯中継機が進入したことを前記検知手段が検知したか否かに関わらず、前記車両のエンジンを停止する。
【0161】
付記12の車両遠隔操作システムは、付記3から11のいずれか一項に記載の車両遠隔操作システムにおいて、前記停止制御手段による前記車両のエンジンを停止する制御を禁止する禁止手段を備える。
【0162】
付記13の車両遠隔操作システムは、付記2から12のいずれか一項に記載の車両遠隔操作システムにおいて、前記車両に対する前記携帯中継機の位置を検知するための位置検知信号を無線送信する位置検知信号送信手段と、前記位置検知信号送信手段が無線送信した前記位置検知信号を無線受信する位置検知信号受信手段と、を備え、前記検知手段は、前記位置検知信号受信手段が無線受信した前記位置検知信号に基づいて、前記車両に対する前記携帯中継機の位置の変化を検知し、前記停止制御手段は、前記車両に対して前記携帯中継機が近づいていることを前記検知手段が検知した場合に、前記車両制御装置を介して前記車両のエンジンを停止し、前記車両に対して前記携帯中継機が遠ざかっていることを前記検知手段が検知した場合に、前記車両制御装置を介して前記車両のエンジンを停止しない。
【0163】
付記14の車両遠隔操作システムは、付記1から13のいずれか一項に記載の車両遠隔操作システムにおいて、前記携帯機は、前記携帯機側操作手段を操作した場合に、前記携帯機側操作手段が操作されたことを示す信号である操作有信号を無線送信する操作有信号送信手段、を備え、前記車載中継機又は前記携帯中継機は、前記操作有信号送信手段が無線送信した前記操作有信号を無線受信する操作有信号受信手段、を備え、前記停止制御手段は、前記操作有信号受信手段が前記操作有信号を無線受信した場合に、前記車両制御装置を介して前記車両のエンジンを停止する
【0164】
(付記の効果)
付記1に記載の車両遠隔操作システムによれば、携帯機側操作手段を操作した場合に、又は、自動的に、車両のエンジンを停止するので、例えば、車両のエンジンが停止している場合にのみ遠隔操作することができる機器(以下、要エンジン停止機器)を遠隔操作する場合に、運転者が複数の機器(例えば、携帯機及び携帯中継機)を持ち替える必要がないために、要エンジン停止機器を含む車両の各種機器の遠隔操作を容易に行わせることを可能にする車両遠隔操作システムを提供することができる。また、携帯機側操作手段を操作した場合に、又は、自動的に、車両のエンジンが停止するので、例えば、要エンジン停止機器を遠隔操作するための操作手段(例えば、前述した、携帯中継機の携帯中継機側ロック操作ボタン)を携帯中継機に設けたり、当該操作手段を用いるために専用配線を用いて車載中継機を車両に接続する接続作業を行ったりすることが不要となるために、当該操作手段自体、当該専用配線自体、及び当該接続作業を省略することができ、車両遠隔操作システムを低コストで提供することができる。
【0165】
付記2に記載の車両遠隔操作システムによれば、車両に対する携帯中継機の位置に関する検知を行う検知手段の検知結果に基づいて、車両のエンジンを停止するので、例えば、車両と携帯中継機との間の位置関係に基づいて、車両のエンジンを自動的に停止することができるので、運転者がマニュアル操作にて車両のエンジンを停止する手順を省略することができるために、1つのみの機器(例えば、携帯機)を1回のみ操作することにより、要エンジン停止機器を遠隔操作することができるので、使い勝手のよい車両遠隔操作システムを提供することができる。
【0166】
付記3に記載の車両遠隔操作システムによれば、携帯中継機が車両の周辺の領域である検知領域に進入したことを、検知手段が検知した場合に車両のエンジンを停止するので、例えば、携帯中継機が車両から遠く離れている場所に位置している場合に、運転者の意図に反してエンジンが停止するのを防止することができるので、運転者の意図に沿った適切なタイミングでエンジンを停止することができる。
【0167】
付記4に記載の車両遠隔操作システムによれば、検知信号受信手段が無線受信した検知信号の強度に基づいて、検知領域に携帯中継機が進入したことを検知するので、例えば、車両の周囲の明るさ又は温度等の影響を受けずに携帯中継機を検知することができるために、携帯中継機を確実に検知することにより車両のエンジンを確実に停止することができ、車両の各種機器の遠隔操作についての利便性を向上させることができる。
【0168】
付記5に記載の車両遠隔操作システムによれば、検知信号の強度と閾値強度とを比較し、比較結果に基づいて検知領域に携帯中継機が進入したことを検知するので、例えば、閾値強度を調整することにより、携帯中継機を検知する範囲を調整することができるために、携帯中継機を検知することに関する運転者のニーズ(例えば、車両から5メートル以内の範囲にて検知したい等)に従って携帯中継機を検知することができ、車両の各種機器の遠隔操作についての利便性を向上させることができる。
【0169】
付記6に記載の車両遠隔操作システムによれば、演算した統計値に基づいて検知領域に携帯中継機が進入したことを検知するので、例えば、携帯中継機を検知することに対する、検知信号に重畳するノイズ等の外乱による影響の度合いを低減することができるために、携帯中継機を確実に検知することにより車両のエンジンを確実に停止することができ、車両の各種機器の遠隔操作についての利便性を向上させることができる。
【0170】
付記7に記載の車両遠隔操作システムによれば、検知信号を間欠的に無線送信するので、例えば、検知信号を無線送信するための消費電力を低減することができる。
【0171】
付記8に記載の車両遠隔操作システムによれば、検知信号を連続的に無線送信するので、例えば、無線送信された検知信号を確実且つ迅速に無線受信することができるために、携帯中継機を確実に検知することにより車両のエンジンを確実且つ迅速に停止することができ、車両の各種機器の遠隔操作についての利便性を向上させることができる。
【0172】
付記9に記載の車両遠隔操作システムによれば、第1無線周波数帯にて検知信号を無線送信し、第2無線周波数帯にて停止制御信号を無線送信するので、例えば、検知信号と停止制御信号とが互いに干渉するのを防止することができるために、携帯中継機の検知及びエンジンの停止の両方を確実に行うことができ、車両の各種機器の遠隔操作についての利便性を向上させることができる。
【0173】
付記10に記載の車両遠隔操作システムによれば、検知停止信号を無線受信した場合に検知信号の無線送信を停止するので、例えば、検知信号が無駄に無線送信され続けるのを防止することができるために、検知信号を無線送信するための電力消費量が無駄に増大するのを防止することができる。
【0174】
付記11に記載の車両遠隔操作システムによれば、車両のエンジンが始動してから所定時間が経過した場合に、車両のエンジンを停止するので、例えば、車両のエンジンが作動し続けることにより、エンジンの損傷の可能性が引き起こされるのを防止したり、車両の燃料が消費され続けるのを防止したりすることができる。また、車両のエンジンが始動してから所定時間が経過した場合、検知領域に携帯中継機が進入したことを検知していなくても車両のエンジンを停止するので、例えば、車両のエンジンが始動してから所定時間が経過した場合に、要エンジン停止機器を遠隔操作することが可能な状態にすることができるために、要エンジン停止機器を遠隔操作することが不可能な状態が継続するのを防止することができ、車両の各種機器の遠隔操作についての利便性を向上させることができる。
【0175】
付記12に記載の車両遠隔操作システムによれば、車両のエンジンを停止する制御を禁止するので、例えば、エンジンを停止させることを望んでいないにも関わらず、車両の周辺環境の制限(例えば、歩行用の通路が駐車場に近接している場合等)によって、携帯中継機を携帯している運転者が検知領域に進入せざるを得ない場合に、運転者の意図に反してエンジンが自動的に停止するのを防止することができる。
【0176】
付記13に記載の車両遠隔操作システムによれば、車両に対して携帯中継機が近づいていることを検知手段が検知した場合に、車両のエンジンを停止し、車両に対して携帯中継機が遠ざかっていることを検知手段が検知した場合に、車両のエンジンを停止しないので、運転者が、車両の周辺の所定の位置で携帯中継機を用いて車両のエンジンを始動してから当該車両から遠ざかった場合、エンジンが始動した直後に運転者の意図に反して自動的に停止するのを防止することができる。
【0177】
付記14に記載の車両遠隔操作システムによれば、操作有信号受信手段が操作有信号を無線受信した場合に、車両制御装置を介して車両のエンジンを停止するので、例えば、運転者が複数の機器(例えば、携帯機及び携帯中継機)を持ち替える必要がないために、要エンジン停止機器を含む車両の各種機器の遠隔操作を容易に行わせることを可能にする車両遠隔操作システムを提供することができる。また、例えば、携帯機側操作手段のマニュアル操作により車両のエンジンを停止することができるので、運転者の意図に沿った適切なタイミングでエンジンを停止することができる。