特許第6637245号(P6637245)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6637245
(24)【登録日】2019年12月27日
(45)【発行日】2020年1月29日
(54)【発明の名称】衛生薄葉紙及び衛生薄葉紙の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B31F 1/07 20060101AFI20200120BHJP
   A47K 10/16 20060101ALI20200120BHJP
   B31F 1/24 20060101ALI20200120BHJP
【FI】
   B31F1/07
   A47K10/16 A
   A47K10/16 D
   B31F1/24 Z
【請求項の数】3
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2015-60466(P2015-60466)
(22)【出願日】2015年3月24日
(65)【公開番号】特開2016-179582(P2016-179582A)
(43)【公開日】2016年10月13日
【審査請求日】2018年2月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】390029148
【氏名又は名称】大王製紙株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100093045
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 良男
(72)【発明者】
【氏名】森脇 哲平
【審査官】 米村 耕一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−072156(JP,A)
【文献】 特許第6077796(JP,B2)
【文献】 特開2002−125880(JP,A)
【文献】 特開2013−202217(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B31F 1/00
A47K 10/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方の面が他方の面から押し出された形状を有する複数のエンボスが施された原紙と、
前記エンボスの頂部における前記他方の面側のみに付与されたポリエチレンオキシドからなるエンボス保持部と、
を備えたことを特徴とする衛生薄葉紙。
【請求項2】
前記原紙の米坪は、JIS P 8124:2011に準じた方法により測定された値で、13g/m以上21g/m以下であることを特徴とする請求項に記載の衛生薄葉紙。
【請求項3】
エンボスロールによって原紙の一方の面が他方の面から押し出された形状の複数のエンボスを形成する工程において、前記エンボスの頂部における前記他方の面側のみにポリエチレンオキシドを含む溶液を塗布してエンボス保持部を形成することを特徴とする衛生薄葉紙の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衛生薄葉紙及び衛生薄葉紙の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近時、エンボス加工が施されたトイレットペーパーやキッチンペーパー等の衛生薄葉紙が広く使われている(例えば、特許文献1〜3参照。)。
衛生薄葉紙にエンボス加工を施すことによって、その衛生薄葉紙の吸液性が向上し、また風合いが柔らかになるというメリットがある。
【0003】
トイレットペーパー等の衛生薄葉紙は、芯材にロール状に巻かれた態様の製品として使用されることが多いが、中心側に巻かれた衛生薄葉紙のエンボスの凹凸がつぶれてしまうことがあり、外側に巻かれていた衛生薄葉紙と内側に巻かれていた衛生薄葉紙とで風合いなどに差が生じていることがある。
そこで、衛生薄葉紙に形成したエンボスの凹凸形状を保持するためにエンボスの凹凸に接着剤を塗布するなどし、その凹凸に形態安定加工を施す検討が行われている。例えば、2枚の薄葉紙を接着して2プライのトイレットペーパーを形成する際にも接着剤は使用されているので、それら接着剤を衛生薄葉紙に塗布することは可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3705781号公報
【特許文献2】特開2010−173267号公報
【特許文献3】特許第4180263号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、これまで検討した技術では衛生薄葉紙のエンボス形状を好適に保持することは難しく、またエンボス形状を保持することはできても、硬化した接着剤によって衛生薄葉紙の風合いが損なわれてしまうことがあった。特にトイレットペーパーの場合には、その水解性が悪化してしまうことがあったため、更なる技術改良が望まれていた。
【0006】
本発明の目的は、エンボス形状の保持性能に優れ、好適に使用できる衛生薄葉紙及びその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以上の課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、衛生薄葉紙であって、
一方の面が他方の面から押し出された形状を有する複数のエンボスが施された原紙と、
前記エンボスの頂部における前記他方の面側のみに付与されたポリエチレンオキシドからなるエンボス保持部と、
を備えたことを特徴とする
【0009】
請求項に記載の発明は、請求項に記載の衛生薄葉紙において、
前記原紙の米坪は、JIS P 8124:2011に準じた方法により測定された値で、13g/m以上21g/m以下であることを特徴とする。
【0010】
請求項に記載の発明は、衛生薄葉紙の製造方法であって、
エンボスロールによって原紙の一方の面が他方の面から押し出された形状の複数のエンボスを形成する工程において、前記エンボスの頂部における前記他方の面側のみにポリエチレンオキシドを含む溶液を塗布してエンボス保持部を形成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、エンボス形状の保持性能に優れ、好適に使用できる衛生薄葉紙及びその製造方法が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】第1の製造方法で用いるトイレットペーパー製造装置を示す概略図(a)と、第1の製造方法により製造したトイレットペーパーを示す拡大断面図(b)と、トイレットペーパーの変形例を示す拡大断面図(c)である。
図2】第2の製造方法で用いるトイレットペーパー製造装置を示す概略図(a)と、第2の製造方法により製造したトイレットペーパーを示す拡大断面図(b)と、トイレットペーパーの変形例を示す拡大断面図(c)である。
図3】第3の製造方法で用いるトイレットペーパー製造装置を示す概略図(a)と、第3の製造方法により製造したトイレットペーパーを示す拡大断面図(b)と、トイレットペーパーの変形例を示す拡大断面図(c)である。
図4】剥離強度に関する試験の態様を示す説明図であり、正面図(a)と、側面図(b)である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図を参照して、本発明に係る衛生薄葉紙及び衛生薄葉紙の製造方法の具体的な態様を詳細に説明する。ただし、発明の範囲は、図示例に限定されない。
【0018】
本実施の形態では、衛生薄葉紙としてトイレットペーパーを例示して説明することとする。トイレットペーパーは、一定幅の帯状ペーパーがロール状に巻かれた状態となっており、ペーパーホルダーに取り付けられて使用される。
なお、トイレットペーパーには、1枚の原紙から構成される1プライペーパー、2枚の原紙が積層されてなる2プライペーパーの他、3プライ以上のものもある。
【0019】
<トイレットペーパー>
トイレットペーパーを構成する原紙は、原料パルプを主原料とする薄葉紙用抄紙原料により製造できる。その原料パルプは、特に限定されるものではなく、トイレットペーパーの具体的な用途に応じて適宜の原料パルプを選択し、また適宜配合して使用することができる。
【0020】
原料パルプを例示すれば、木材パルプ、非木材パルプ、合成パルプ、古紙パルプなどがあり、より具体的には、砕木パルプ(GP)、ストーングランドパルプ(SGP)、リファイナーグランドパルプ(RGP)、加圧式砕木パルプ(PGW)、サーモメカニカルパルプ(TMP)、ケミサーモメカニカルパルプ(CTMP)、ブリーチケミサーモメカニカルパルプ(BCTMP)等の機械パルプ(MP)、化学的機械パルプ(CGP)、半化学的パルプ(SCP)、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)等のクラフトパルプ(KP)、またそれらの未漂白パルプ、ソーダパルプ(AP)、サルファイトパルプ(SP)、溶解パルプ(DP)等の化学的パルプ(CP)、ナイロン、レーヨン、ポリエステル、ポリビニルアルコール(PVA)等を原料とする合成パルプ、脱墨パルプ(DIP)、ウエストパルプ(WP)等の古紙パルプ、かすパルプ(TP)、木綿、アマ、麻、黄麻、マニラ麻、ラミー等を原料とするぼろパルプ、わらパルプ、エスパルトパルプ、バガスパルプ、竹パルプ、ケナフパルプ等の茎稈パルプ、靭皮パルプ等の補助パルプなどから、一種又は数種を適宜選択して使用することができる。
【0021】
特に、原料パルプは、NBKPとLBKPとを配合したものが好ましい。適宜古紙パルプが配合されていてもよいが、風合いなどの点で、NBKPとLBKPのみから構成されているのがよく、その場合、配合割合としては、NBKP:LBKP=30:70〜50:50がよく、特に、NBKP:LBKP=40:60が望ましい。
【0022】
原料パルプ等の原料は、例えば、公知の抄紙工程、具体的には、ワイヤパート、プレスパート、ドライヤパート、サイズプレス、カレンダパート等を経るなどして薄葉紙とする。抄紙に際しては、例えば、分散剤、苛性ソーダ、アンモニア水等のpH調整剤、消泡剤、防腐剤、蛍光染料、離型剤、耐水化剤、流動変性剤、歩留向上剤などの薬品を適宜添加することができる。
【0023】
また、トイレットペーパーの原紙の米坪は、その用途によって適宜調整することができるが、その米坪は13g/m以上21g/m以下の範囲内にあるものを使用するのが望ましい。原紙の米坪が13g/m未満では、柔らかさの向上の観点からは好ましいものの、使用に耐えうる十分な強度を適正に確保することが困難となる。逆に、原紙の米坪が21g/mを超えると紙全体が硬くなるとともに、ゴワ付き感が生じてしまい肌触りが悪くなる。なお、米坪(坪量)の測定方法としては、例えば、JIS P 8124:2011に準じた方法等が挙げられる。
【0024】
本実施形態に係るトイレットペーパーを構成する原紙は、従来の湿式方法により製造されるものである。即ち、原紙は、原料から繊維(原料パルプ)の懸濁液である紙料を調整する紙料調整工程と、紙料から繊維を抄いて繊維ウェブを形成し、当該形成した繊維ウェブを搬送しながら乾燥する抄紙工程と、を経て製造される。そして、抄造された原紙を巻き取ることで、一次原反ロールが製造される。トイレットペーパーは、一次原反ロールから引き出された原紙に対してエンボスを付与するエンボス加工工程等を経て、最後に巻取り軸に巻き取られることにより製造される。
【0025】
<トイレットペーパーの製造方法>
(第1の製造方法)
第1の製造方法で用いるトイレットペーパー製造装置100は、例えば図1(a)に示すように、外周面に複数の凸部21aが設けられているエンボスロール21と、エンボスロール21に対向配置された受けロール22と、ポリエチレンオキシド水溶液2aが貯留されるタンク23と、タンク23内のポリエチレンオキシド水溶液2aをエンボスロール21に供給するアニロックスロール24と、乾燥用ヒーター25等を備えている。
なお、ポリエチレンオキシド水溶液2aの濃度は、1質量%以上2.5質量%以下が好適である。また、ポリエチレンオキシドはその分子量により性状が異なるが、本実施形態においては分子量10万〜40万のものが好適である。
【0026】
第1の製造方法は、エンボスロール21によって原紙1の一方の面1aが他方の面1bから押し出された形状の複数のエンボスを形成する工程において、そのエンボスにおける他方の面1bにポリエチレンオキシド水溶液2aを塗布してエンボス保持部2を形成し、トイレットペーパー10を製造する方法である。
具体的には、エンボスロール21の凸部21aにポリエチレンオキシド水溶液2aを付着させた状態で、エンボスロール21と受けロール22の間を通す原紙1に、例えば0.05MPa〜0.4MPaの圧力を加えることで、原紙1の一方の面1a(表面1a)が他方の面1b(裏面1b)から押し出されて隆起したエンボス加工を施すとともに、そのエンボス部分の他方の面1b(裏面1b)にポリエチレンオキシド水溶液2aを塗布してエンボス保持部2を形成するようになっている。
また、好適なエンボス態様としては、エンボス凸部の面積が0.5mm〜5.0mmであり、そのエンボス高さが0.5〜1.5mmであることが望ましい。個々のエンボス凸部面積が0.5mm未満であった場合、ポリエチレンオキシド水溶液2aの付与が十分ではなく、プライ剥離しやすくなる。反対に、凸部の面積が5.0mmを超えた場合、接着過剰となって、紙の柔らかさが損なわれる。また、エンボス高さが0.5mm未満であった場合、トイレットペーパーとして必要な紙の嵩高さが発現し難くなる。他方、エンボス高さが1.5mmを超えた場合、ロール状に巻き取った際、エンボス部分の潰れを引き起こすため、好ましくない。
【0027】
エンボスロール21へのポリエチレンオキシド水溶液2aの供給は、アニロックスロール24及びタンク23を用いて行うことができる。
アニロックスロール24は、エンボスロール21の幅と略同幅(同一幅も含む)に形成された円柱状のロールであり、外周面がエンボスロール21の凸部21aと当接するように配置されている。
タンク23は、ポリエチレンオキシド水溶液2aを貯留可能に形成され、アニロックスロール24の外周面が、タンク23に貯留されているポリエチレンオキシド水溶液2aに浸るように配置されている。特に、タンク23は図示しない加熱ヒーターを備えており、ポリエチレンオキシド水溶液2aを所定の温度(例えば70℃)に加温した状態で貯留することができる。
【0028】
このトイレットペーパー製造装置100を作動させると、各ローラーがそれぞれ所定方向に回転し、原紙1が所定の方向に搬送される。
アニロックスロール24が軸回りに回転することに伴い、タンク23からアニロックスロール24の外周面にポリエチレンオキシド水溶液2aが供給される。アニロックスロール24の外周面に供給されたポリエチレンオキシド水溶液2aは、アニロックスロール24の外周面と当接するエンボスロール21の凸部21aに供給される。
【0029】
そのエンボスロール21が軸回りに回転することにより、エンボスロール21と受けロール22の間を通過する原紙1にエンボス加工が施されると同時に、原紙1にポリエチレンオキシド水溶液2aが塗布される。ここでは、タンク23において所定の温度(例えば70℃)に加温したポリエチレンオキシド水溶液2aを原紙1に塗布している。
なお、ポリエチレンオキシド水溶液2aは、常温では粘性が高いためにアニロックスロール24やエンボスロール21によって原紙1のエンボス部分に塗布することが困難であるが、ポリエチレンオキシド水溶液2aを70℃程度に加温して、その流動性を上げるようにすることで、原紙1への塗布が可能になっている。
【0030】
そして、エンボスが形成されてポリエチレンオキシド水溶液2aが塗布された原紙1は搬送経路下流側に送られ、原紙1に塗布されたポリエチレンオキシド水溶液2aが乾燥用ヒーター25によって乾燥されてエンボス保持部2となる。
こうして、原紙1のエンボス部分にエンボスの凹凸形状を保持するエンボス保持部2が設けられ、トイレットペーパー10が製造される。
【0031】
このように第1の製造方法で製造されたトイレットペーパー10は、図1(b)に示すように、一方の面1a(表面1a)が他方の面1b(裏面1b)から押し出された形状を有する複数のエンボスが施された原紙1と、その原紙1のエンボスの頂部における他方の面1b(裏面1b)に付与されたポリエチレンオキシドからなるエンボス保持部2を備えた構成をとっている。
エンボス保持部2は、エンボス形成時に原紙1の裏面1bに塗布されたポリエチレンオキシド水溶液2aが固化することで原紙1のエンボス部分を接着するとともに、凹凸部が固化されることで、トイレットペーパー10に施されているエンボスの凹凸形状を保持する機能を有している。
【0032】
特に、このトイレットペーパー10は、エンボスの裏面1bにエンボス保持部2が設けられているので、トイレットペーパー10の表面1a(エンボスの凸部)の風合いは原紙1に由来するものであり、トイレットペーパー10のエンボスの凸部は比較的柔らかい肌触りを有している。
また、エンボス保持部2は、トイレットペーパー10の裏面1bであってエンボスの凹部に押し込められるように設けられているため、エンボス保持部2は原紙1から脱離し難いので、トイレットペーパー10に施されているエンボスの凹凸形状はエンボス保持部2によって良好に保持されるようになっている。
従って、このトイレットペーパー10は、エンボス形状の保持性能に優れ、好適に使用できる優れた衛生薄葉紙である。
【0033】
また、2枚重ねの原紙1をエンボスロール21と受けロール22の間を通すようにすれば、図1(c)に示すように、2プライのトイレットペーパー10を製造することができる。
この2プライのトイレットペーパー10をトイレットペーパー製造装置100で製造する場合、エンボスロール21が原紙1に加える圧力を調整することで、ポリエチレンオキシド水溶液2aを塗布する裏側の原紙1から僅かにしみ出させたポリエチレンオキシド水溶液2aを表側の原紙1の裏面1bにつけ、2枚の原紙1を接着させることができるので、好適に2プライペーパーとして使用できる。
【0034】
(第2の製造方法)
第2の製造方法で用いるトイレットペーパー製造装置101は、例えば図2(a)に示すように、原紙1にエンボスを施す第1ユニット101aと、原紙1にポリエチレンオキシド水溶液2aを塗布する第2ユニット101bとを備えている。
第1ユニット101aは、外周面に複数の凸部21aが設けられているエンボスロール21と、エンボスロール21に対向配置された受けロール22等を備えている。
第2ユニット101bは、ポリエチレンオキシド水溶液2aが貯留されるタンク23と、タンク23内のポリエチレンオキシド水溶液2aを転写ロール26に供給するアニロックスロール24と、乾燥用ヒーター25等を備えている。
なお、ポリエチレンオキシド水溶液2aの濃度は、1質量%以上2.5質量%以下が好適である。また、ポリエチレンオキシドはその分子量により性状が異なるが、本実施形態においては分子量10万〜40万のものが好適である。
【0035】
第2の製造方法は、エンボスロール21によって原紙1の一方の面1aが他方の面1bから押し出された形状の複数のエンボスを形成する工程と、原紙1に形成したエンボスにおける一方の面1aにポリエチレンオキシド水溶液2aを塗布してエンボス保持部2を形成する工程とにより、トイレットペーパー11を製造する方法である。
具体的には、エンボスロール21と受けロール22の間を通す原紙1に、例えば0.05MPa〜0.4MPaの圧力を加えることで、原紙1の一方の面1a(表面1a)が他方の面1b(裏面1b)から押し出されて隆起したエンボス加工を施した後、原紙1に施したエンボス部分の一方の面1a(表面1a)に転写ロール26によってポリエチレンオキシド水溶液2aを塗布してエンボス保持部2を形成するようになっている。
また、好適なエンボス態様としては、エンボス凸部の面積が0.5mm〜5.0mmであり、そのエンボス高さが0.5〜1.5mmであることが望ましい。個々のエンボス凸部面積が0.5mm未満であった場合、ポリエチレンオキシド水溶液2aの付与が十分ではなく、プライ剥離しやすくなる。反対に、凸部の面積が5.0mmを超えた場合、接着過剰となって、紙の柔らかさが損なわれる。また、エンボス高さが0.5mm未満であった場合、トイレットペーパーとして必要な紙の嵩高さが発現し難くなる。他方、エンボス高さが1.5mmを超えた場合、ロール状に巻き取った際、エンボス部分の潰れを引き起こすため、好ましくない。
【0036】
転写ロール26へのポリエチレンオキシド水溶液2aの供給は、アニロックスロール24及びタンク23を用いて行うことができる。
転写ロール26は、その外周面が第1の原紙1の一方の面1a(表面1a)に接するように配置されている。
アニロックスロール24は、転写ロール26の幅と略同幅(同一幅も含む)に形成された円柱状のロールであり、外周面が転写ロール26の外周面と当接するように配置されている。
タンク23は、ポリエチレンオキシド水溶液2aを貯留可能に形成され、アニロックスロール24の外周面が、タンク23に貯留されているポリエチレンオキシド水溶液2aに浸るように配置されている。特に、タンク23は図示しない加熱ヒーターを備えており、ポリエチレンオキシド水溶液2aを所定の温度(例えば70℃)に加温した状態で貯留することができる。
【0037】
このトイレットペーパー製造装置101を作動させると、各ローラーがそれぞれ所定方向に回転し、原紙1が所定の方向に搬送される。
エンボスロール21と受けロール22が軸回りに回転することにより、エンボスロール21と受けロール22の間を通過する原紙1にエンボス加工が施される。
また、アニロックスロール24が軸回りに回転することに伴い、タンク23からアニロックスロール24の外周面にポリエチレンオキシド水溶液2aが供給される。アニロックスロール24の外周面に供給されたポリエチレンオキシド水溶液2aは、アニロックスロール24の外周面と当接する転写ロール26の外周面に供給される。
【0038】
第1ユニット101aでエンボスが施された原紙1が第2ユニット101bに到達すると、原紙1に施されたエンボス部分の一方の面1a(表面1a)に転写ロール26によってポリエチレンオキシド水溶液2aが塗布される。ここでは、タンク23において所定の温度(例えば70℃)に加温したポリエチレンオキシド水溶液2aを原紙1に塗布している。
なお、ポリエチレンオキシド水溶液2aは、常温では粘性が高いためにアニロックスロール24や転写ロール26によって原紙1のエンボス部分に塗布することが困難であるが、ポリエチレンオキシド水溶液2aを70℃程度に加温して、その流動性を上げるようにすることで、原紙1への塗布が可能になっている。
【0039】
そして、エンボスが形成されてポリエチレンオキシド水溶液2aが塗布された原紙1は搬送経路下流側に送られ、原紙1に塗布されたポリエチレンオキシド水溶液2aが乾燥用ヒーター25によって乾燥されてエンボス保持部2となる。
こうして、原紙1のエンボス部分にエンボスの凹凸形状を保持するエンボス保持部2が設けられ、トイレットペーパー11が製造される。
【0040】
このように第2の製造方法で製造されたトイレットペーパー11は、図2(b)に示すように、一方の面1a(表面1a)が他方の面1b(裏面1b)から押し出された形状を有する複数のエンボスが施された原紙1と、その原紙1のエンボスの頂部における一方の面1a(表面a)に付与されたポリエチレンオキシドからなるエンボス保持部2を備えた構成をとっている。
エンボス保持部2は、原紙1の表面1aに塗布されたポリエチレンオキシド水溶液2aが固化することで原紙1のエンボス部分を接着するとともに、凹凸部が固化されることで、トイレットペーパー11に施されているエンボスの凹凸形状を保持する機能を有している。
【0041】
このトイレットペーパー11も、エンボス形状の保持性能に優れ、好適に使用できる。
また、2枚重ねの原紙1をエンボスロール21と受けロール22の間を通すようにすれば、図2(c)に示すように、2プライのトイレットペーパー11を製造することができる。
【0042】
(第3の製造方法)
第3の製造方法で用いるトイレットペーパー製造装置102は、例えば図3(a)に示すように、第1の原紙1にエンボスを施す第1ユニット102aと、第1の原紙1にポリエチレンオキシド水溶液2aを塗布した後、第1の原紙1に第2の原紙3を貼り合わせる第2ユニット102bとを備えている。
第1ユニット102aは、外周面に複数の凸部21aが設けられているエンボスロール21と、エンボスロール21に対向配置された受けロール22等を備えている。
第2ユニット102bは、ポリエチレンオキシド水溶液2aが貯留されるタンク23と、タンク23内のポリエチレンオキシド水溶液2aを転写ロール26に供給するアニロックスロール24と、転写ロール26の下流側に第2の原紙3を送り込む搬送ロール27と、乾燥用ヒーター25等を備えている。
なお、ポリエチレンオキシド水溶液2aの濃度は、1質量%以上2.5質量%以下が好適である。また、ポリエチレンオキシドはその分子量により性状が異なるが、本実施形態においては分子量10万〜40万のものが好適である。
【0043】
第3の製造方法は、エンボスロール21によって第1の原紙1の一方の面1aが他方の面1bから押し出された形状の複数のエンボスを形成する工程と、第1の原紙1に形成したエンボスにおける一方の面1aにポリエチレンオキシド水溶液2aを塗布する工程と、ポリエチレンオキシド水溶液2aを塗布した第1の原紙1の一方の面1a側に第2の原紙3を重ねて接着した後にエンボス保持部2を形成する工程とにより、トイレットペーパー12を製造する方法である。
具体的には、エンボスロール21と受けロール22の間を通す第1の原紙1に、例えば0.05MPa〜0.4MPaの圧力を加えることで、第1の原紙1の一方の面1a(表面1a)が他方の面1b(裏面1b)から押し出されて隆起したエンボス加工を施した後、原紙1に施したエンボス部分の一方の面1a(表面1a)に転写ロール26によってポリエチレンオキシド水溶液2aを塗布し、そのポリエチレンオキシド水溶液2aが塗布された第1の原紙1の一方の面1a側に第2の原紙3を貼り合わせた後に、ポリエチレンオキシドからなるエンボス保持部2を形成するようになっている。
また、好適なエンボス態様としては、エンボス凸部の面積が0.5mm〜5.0mmであり、そのエンボス高さが0.5〜1.5mmであることが望ましい。個々のエンボス凸部面積が0.5mm未満であった場合、ポリエチレンオキシド水溶液2aの付与が十分ではなく、プライ剥離しやすくなる。反対に、凸部の面積が5.0mmを超えた場合、接着過剰となって、紙の柔らかさが損なわれる。また、エンボス高さが0.5mm未満であった場合、トイレットペーパーとして必要な紙の嵩高さが発現し難くなる。他方、エンボス高さが1.5mmを超えた場合、ロール状に巻き取った際、エンボス部分の潰れを引き起こすため、好ましくない。
【0044】
つまり、第3の製造方法で用いるトイレットペーパー製造装置102は、第2の製造方法で用いるトイレットペーパー製造装置101に、第2の原紙3を送り込むための搬送ロール27が設けられた構造を有している。
【0045】
このトイレットペーパー製造装置102を作動させると、各ローラーがそれぞれ所定方向に回転し、第1の原紙1が所定の方向に搬送される。
エンボスロール21と受けロール22が軸回りに回転することにより、エンボスロール21と受けロール22の間を通過する第1の原紙1にエンボス加工が施される。
また、アニロックスロール24が軸回りに回転することに伴い、タンク23からアニロックスロール24の外周面にポリエチレンオキシド水溶液2aが供給される。アニロックスロール24の外周面に供給されたポリエチレンオキシド水溶液2aは、アニロックスロール24の外周面と当接する転写ロール26の外周面に供給される。
【0046】
第1ユニット102aでエンボスが施された第1の原紙1が第2ユニット102bに到達すると、第1の原紙1に施されたエンボス部分の一方の面1a(表面1a)に転写ロール26によってポリエチレンオキシド水溶液2aが塗布される。ここでは、タンク23において所定の温度(例えば70℃)に加温したポリエチレンオキシド水溶液2aを原紙1に塗布している。
なお、ポリエチレンオキシド水溶液2aは、常温では粘性が高いためにアニロックスロール24や転写ロール26によって原紙1のエンボス部分に塗布することが困難であるが、ポリエチレンオキシド水溶液2aを70℃程度に加温して、その流動性を上げるようにすることで、原紙1への塗布が可能になっている。
【0047】
そして、エンボスが形成されてポリエチレンオキシド水溶液2aが塗布された第1の原紙1は搬送経路下流側に送られ、搬送ロール27によって経路に送り込まれた第2の原紙3と重ね合わされる。
ポリエチレンオキシド水溶液2aを介して重ねられた第1の原紙1と第2の原紙3は、さらに搬送経路下流側に送られ、第1の原紙1と第2の原紙3の間のポリエチレンオキシド水溶液2aが乾燥用ヒーター25によって乾燥されてエンボス保持部2となる。
こうして、第1の原紙1のエンボス部分にエンボスの凹凸形状を保持するエンボス保持部2が設けられるとともに、第1の原紙1と第2の原紙3とがエンボス保持部2を介して接着されたトイレットペーパー12が製造される。
【0048】
このように第3の製造方法で製造されたトイレットペーパー12は、図3(b)に示すように、一方の面1a(表面1a)が他方の面1b(裏面1b)から押し出された形状を有する複数のエンボスが施された第1の原紙1と、その第1の原紙1のエンボスの頂部における一方の面1a(表面a)に付与されたポリエチレンオキシドからなるエンボス保持部2と、エンボス保持部2を介して第1の原紙1に接着された第2の原紙3とを備えた2プライの構成をとっている。
エンボス保持部2は、第1の原紙1の表面1aに塗布されたポリエチレンオキシド水溶液2aが固化することで第1の原紙1のエンボス部分を接着するとともに、凹凸部が固化されることで、トイレットペーパー12に施されているエンボスの凹凸形状を保持する機能を有している。
【0049】
特に、このトイレットペーパー12は、第1の原紙1と第2の原紙3とがエンボス保持部2を介して接着された2プライのトイレットペーパー12であり、トイレットペーパー12の表裏の風合いは第1の原紙1と第2の原紙3に由来するものであるので、このトイレットペーパー12は比較的柔らかい肌触りを有している。
また、エンボス保持部2は、第1の原紙1と第2の原紙3とに挟まれているため、エンボス保持部2は原紙の間から脱離し難いので、トイレットペーパー12に施されているエンボスの凹凸形状はエンボス保持部2によって良好に保持されるようになっている。
従って、このトイレットペーパー12は、エンボス形状の保持性能に優れ、好適に使用できる優れた衛生薄葉紙である。
【0050】
また、2枚重ねの第1の原紙1をエンボスロール21と受けロール22の間を通すようにすれば、図3(c)に示すように、3プライのトイレットペーパー12を製造することができる。
【0051】
以下、本発明に係る衛生薄葉紙であるトイレットペーパーの実施例のサンプル、および比較例のサンプルを作製し、その性能評価を行った結果を示す。
【0052】
本実施形態では、米坪が14.5g/mに調整して抄いた原紙と、米坪が19.5g/mに調整して抄いた原紙の2種類を用意し、それぞれの原紙を用いて第3の製造方法に準じた2プライのトイレットペーパー(衛生薄葉紙)を試作し、そのサンプルの性能評価を行った。
230mm(TD)×120mm(CD)のサイズにカットした原紙をポリカーボネート樹脂製のエンボス版に被せ、その上に硬度70°のブチルゴムプレートを載せて0.07MPaの圧力をかけて、原紙にエンボスを形成した。なお、エンボス版の凸部の高さは1.4mm、頂部は半径0.5mmの円形であり、エンボス版の凸部の面積率は平面視で7%であった。
その原紙(第1の原紙)に形成したエンボス頂部の表面に、接着剤の水溶液を塗布し、直ちに対をなす他の原紙(第2の原紙)を被せた後、ブチルゴムプレートを載せて0.07MPaの圧力をかけて、2枚の原紙の接着を促した。
2枚の原紙を圧着した後、市販のドライヤーで70℃×10秒の乾燥処理を行い、2プライの原紙で1枚のシートを構成するトイレットペーパー(衛生薄葉紙)のサンプルを作製した。
【0053】
サンプル作製するために、エンボス頂部の表面に塗布する接着剤としては、1.5質量%のポリエチレンオキシド(PEO)の水溶液、1.5質量%のカルボキシメチルセルロース(CMC)の水溶液、10質量%のポリビニルアルコール(PVA)の水溶液の3種類を用意し、3タイプのエンボス保持部について比較を行うこととした。
なお、ここで用いたポリエチレンオキシドは分子量18万〜20万のものであり、その水溶液は70℃に加温して使用した。
【0054】
具体的に、米坪が14.5g/mの原紙を1.5質量%のポリエチレンオキシド(PEO)の水溶液で接着したものを実施例1のサンプル、米坪が14.5g/mの原紙を1.5質量%のカルボキシメチルセルロース(CMC)の水溶液で接着したものを比較例1のサンプル、米坪が14.5g/mの原紙を10質量%のポリビニルアルコール(PVA)の水溶液で接着したものを比較例2のサンプル、米坪が14.5g/mの原紙を1.5質量%のポリビニルアルコール(PVA)の水溶液で接着したものを比較例3のサンプルとした。
また、米坪が19.5g/mの原紙を1.5質量%のポリエチレンオキシド(PEO)の水溶液で接着したものを実施例2のサンプル、米坪が19.5g/mの原紙を1.5質量%のカルボキシメチルセルロース(CMC)の水溶液で接着したものを比較例4のサンプル、米坪が19.5g/mの原紙を10質量%のポリビニルアルコール(PVA)の水溶液で接着したものを比較例5のサンプル、米坪が19.5g/mの原紙を1.5質量%のポリビニルアルコール(PVA)の水溶液で接着したものを比較例6のサンプルとした。
これらサンプルに対して3つの性能評価試験を行い、その優劣を比較した。
【0055】
(エンボス保持試験)
5名のテスターが、それぞれのサンプルのエンボスを手で潰し、その潰れにくさを官能評価した。
その評価は、CMC水溶液を用いて調整されたエンボス保持部を有するサンプル(比較例1、比較例3)を基準の4点とし、潰れやすいもの1点、潰れにくいもの7点と評価する7点法にて行い、テスター5名の平均をとった。平均値が4.5点を超えたものが、エンボスの保持性が好ましく高まったサンプルであると判定した。
評価結果を表1に示す。
【0056】
(水解性試験)
JIS P 4501:2006に準じてサンプルの水解性(ほぐれやすさ)試験を行った。結果は秒単位で測定した。結果が30秒未満のものが、水解性に優れていると判定した。
この評価結果を表1に示す。
【0057】
(プライ剥離強度試験)
図4(a)(b)に示すように、各サンプルから幅20mm×長さ100mmのスリップ片を作製し、スリップ片における2枚の原紙を片方の端部から30mm分予め剥離させ、各原紙を引張試験機(JIS P 8113:2006に準拠)のつかみ具に各々取り付け、一方のつかみ具を100mm/minの速度で、50mm引張った際の強度を測定した。
この測定値が20cN以下であれば実使用上問題ないと判定できる。また、測定値が5cN以上であれば十分な接着強度があるものと判定できる。
この評価結果を表1に示す。
【0058】
【表1】
【0059】
表1に示した結果から明らかなように、エンボス保持性能は、PEOからなるエンボス保持部を有するサンプル(実施例1、実施例2)が優れていることがわかる。
特に、PEOからなるエンボス保持部を有するサンプル(実施例1、実施例2)は、CMCからなるエンボス保持部を有するサンプル(比較例1、比較例4)よりもエンボス保持性能に優れていることに加え、水解性も優れていることがわかる。
これは、エンボスの凹凸形状を保持するために原紙のエンボス部分に塗布する接着剤としてPEOが優れているだけでなく、エンボスの凹凸形状を保持するために接着剤を塗布したエンボス付きの衛生薄葉紙はトイレットペーパーとして使用することに適していることがわかる。
【0060】
これに対し、PVAからなるエンボス保持部を有するサンプル(比較例2、比較例5)は、CMCからなるエンボス保持部を有するサンプル(比較例1、比較例4)よりもエンボス保持性能に優れているものの、水解性では劣っていることがわかる。また、PVAの濃度をCMCと同等まで薄めたサンプル(比較例3、比較例6)は、プライの接着強度が十分でなく、トイレットペーパーのプライを接着するには不適切であった。
つまり、エンボスの凹凸形状を保持するために原紙のエンボス部分に塗布する接着剤としてPVAを使用したエンボス付きの衛生薄葉紙は、トイレットペーパーとしてはあまり適さないものであることがわかる。
【0061】
また、プライ剥離強度の試験結果によれば、PEOからなるエンボス保持部を有するサンプル(実施例1、実施例2)と、CMCからなるエンボス保持部を有するサンプル(比較例1、比較例4)は、実使用上問題ない強度であるものの、PVAからなるエンボス保持部を有するサンプル(比較例2、比較例5)はその強度が高いことから、比較的かたく肌触りに劣る性状であることがわかる。
【0062】
これまで、CMCとPVAは、2枚の原紙を貼り合わせて2プライのトイレットペーパーを製造する際の接着剤として使用されていたため、エンボスの凹凸形状を保持するための接着剤としての使用を検討したものの、CMCでは接着性に劣り、PVAでは水解性に劣るという評価であった。
一方、PEOの水溶液は、常温では粘性が高く、CMCやPVAを使用する設備を使ってPEOの水溶液を原紙に塗布することが困難であったため、PEOをエンボスの凹凸形状を保持するための接着剤としての使用することは考え難かった。そして今回、PEOの水溶液を70℃程度に加温して使用すれば、CMCやPVAと同様の設備によってPEO水溶液を原紙に塗布することが可能であることを見出したため、本願発明を実現するに至った。
【0063】
次に、原紙を接着するのに用いるPEOの水溶液の濃度毎に、その性能評価を行った結果を示す。ここでも上述の性能評価と同様に、第3の製造方法に準じた2プライのトイレットペーパー(衛生薄葉紙)を試作し、そのサンプルの性能評価を行った。
【0064】
表2は、米坪が14.5g/mの原紙を接着したサンプルの評価結果である。
1質量%のPEO水溶液で接着したものが実施例3のサンプル、2質量%のPEO水溶液で接着したものが実施例4のサンプル、2.5質量%のPEO水溶液で接着したものが実施例5のサンプル、0.1質量%のPEO水溶液で接着したものが比較例7のサンプル、0.5質量%のPEO水溶液で接着したものが比較例8のサンプル、5質量%のPEO水溶液で接着したものが比較例9のサンプルである。
【0065】
表3は、米坪が19.5g/mの原紙を接着したサンプルの評価結果である。
1質量%のPEO水溶液で接着したものが実施例6のサンプル、2質量%のPEO水溶液で接着したものが実施例7のサンプル、2.5質量%のPEO水溶液で接着したものが実施例8のサンプル、0.1質量%のPEO水溶液で接着したものが比較例10のサンプル、0.5質量%のPEO水溶液で接着したものが比較例11のサンプル、5質量%のPEO水溶液で接着したものが比較例12のサンプルである。
【0066】
【表2】
【0067】
【表3】
【0068】
表2、表3に示した結果から明らかなように、0.1質量%のPEO水溶液で接着した比較例5と比較例8のサンプルは、2枚の原紙を接着できなかった。そのため、比較例5と比較例8のサンプルについては、縦紙力、官能評価、水抜け試験を実施できなかった。
また、表2、表3に示した結果から明らかなように、0.5質量%のPEO水溶液で接着した比較例6と比較例9のサンプルは、剥離強度がそれぞれ3cN、5cNであり、2枚の原紙をほぼ接着できていない状態であるため、2プライのトイレットペーパーとして使用に適さないことがわかった。そのため、比較例6と比較例9のサンプルについては、縦紙力、官能評価、水抜け試験を実施しないこととした。
また、表2、表3に示した結果から明らかなように、5質量%のPEO水溶液で接着した比較例7と比較例10のサンプルは、剥離強度がそれぞれ27cN、31cNと強固なものであった。但し、5質量%のPEO水溶液は粘性が高いために、トイレットペーパー製造装置による操業性が悪化する可能性が高いという問題が明らかになった。
【0069】
一方、1質量%のPEO水溶液で接着した実施例3および実施例6のサンプル、2質量%のPEO水溶液で接着した実施例4および実施例7のサンプル、2.5質量%のPEO水溶液で接着した実施例5および実施例8のサンプルは、エンボス保持性能、水解性、プライ剥離強度の試験結果のいずれも好適な値が得られており、トイレットペーパーとして使用するのに適していることがわかる。
【0070】
以上のように、ポリエチレンオキシドからなるエンボス保持部2を有するトイレットペーパー12(10、11)は、そのエンボス形状の保持性能に優れ、好適に使用できる衛生薄葉紙である。
【0071】
なお、本発明の適用は上述した実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0072】
1 原紙(第1の原紙)
1a 一方の面(表面)
1b 他方の面(裏面)
2 エンボス保持部
2a ポリエチレンオキシド水溶液
3 第2の原紙
10、11、12 トイレットペーパー(衛生薄葉紙)
21 エンボスロール
21a 凸部
22 受けロール
23 タンク
24 アニロックスロール
25 乾燥用ヒーター
26 転写ロール
27 搬送ロール
100、101、102 トイレットペーパー製造装置
図1
図2
図3
図4