特許第6639909号(P6639909)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ JSR株式会社の特許一覧
<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6639909
(24)【登録日】2020年1月7日
(45)【発行日】2020年2月5日
(54)【発明の名称】タイヤ用部材
(51)【国際特許分類】
   C08L 15/00 20060101AFI20200127BHJP
   B60C 1/00 20060101ALI20200127BHJP
   C08K 3/04 20060101ALI20200127BHJP
   C08K 3/36 20060101ALI20200127BHJP
   C08L 23/00 20060101ALI20200127BHJP
   F16F 1/36 20060101ALI20200127BHJP
【FI】
   C08L15/00
   B60C1/00 A
   B60C1/00 B
   C08K3/04
   C08K3/36
   C08L23/00
   F16F1/36 C
【請求項の数】9
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2015-545273(P2015-545273)
(86)(22)【出願日】2014年10月29日
(86)【国際出願番号】JP2014078781
(87)【国際公開番号】WO2015064646
(87)【国際公開日】20150507
【審査請求日】2017年7月21日
【審判番号】不服-10820(P-10820/J1)
【審判請求日】2018年8月7日
(31)【優先権主張番号】特願2013-227214(P2013-227214)
(32)【優先日】2013年10月31日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004178
【氏名又は名称】JSR株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121821
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 強
(74)【代理人】
【識別番号】100122390
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 美穂
(74)【代理人】
【識別番号】100139480
【弁理士】
【氏名又は名称】日野 京子
(72)【発明者】
【氏名】澤田 幸廣
(72)【発明者】
【氏名】千賀 寛文
(72)【発明者】
【氏名】阿部 慈
【合議体】
【審判長】 近野 光知
【審判官】 大熊 幸治
【審判官】 武貞 亜弓
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2009/060931(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 15/00-15/02
C08L 23/00-23/36
C08K 3/00- 3/40
B60C 1/00
F16F 1/00- 1/54
F16G 1/00- 1/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブタジエンに由来する構造単位とスチレンに由来する構造単位とのランダム共重合部分を有する重合体の水添物であり、片末端又は両末端に、アミノ基及びヒドロカルビルオキシシリル基の少なくとも一方を有する水添共役ジエン系重合体、オレフィン系ゴム、架橋剤、並びに、シリカ及びカーボンブラックから選ばれる1種以上のフィラーを含むゴム組成物を架橋処理して得られる架橋ゴムからなるタイヤ用部材。
【請求項2】
前記水添共役ジエン系重合体のブタジエン由来の構造単位の水添率が70%以上である請求項1に記載のタイヤ用部材。
【請求項3】
前記水添共役ジエン系重合体は、スチレンに由来する構造単位が8個以上連なった連鎖の含有割合が、スチレンに由来する構造単位の全体に対して10質量%以下である、請求項1または2に記載のタイヤ用部材。
【請求項4】
前記水添共役ジエン系重合体は、ブタジエン以外の共役ジエン系化合物に由来する構造単位をさらに有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載のタイヤ用部材。
【請求項5】
前記ブタジエン以外の共役ジエン系化合物がイソプレンである、請求項4に記載のタイヤ用部材。
【請求項6】
前記水添共役ジエン系重合体はポリイソプレンブロックを有する、請求項1〜5のいずれか一項に記載のタイヤ用部材。
【請求項7】
前記ポリイソプレンブロックの1,4−結合/3,4−結合の比が、60/40〜98/2である、請求項6に記載のタイヤ用部材。
【請求項8】
前記水添共役ジエン系重合体は、ブタジエンを50〜90質量部、スチレンを10〜50質量部、及び、ブタジエン以外の共役ジエン系化合物を0〜40質量部含むモノマーの重合体である、請求項1〜3のいずれか一項に記載のタイヤ用部材。
【請求項9】
前記水添共役ジエン系重合体中の、ブタジエン由来の構造中の1,2−ビニル含量が5〜70%である、請求項1〜8のいずれか一項に記載のタイヤ用部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイヤ用部材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
空気入りタイヤにおいては、低燃費性の向上が要求されており、かかる要求に応えるべく、末端変性ジエン系ゴムが開発されている(下記特許文献1参照)。末端変性ジエン系ゴムは、未変性の一般的なジエン系ゴムと比べて、カーボンブラックやシリカ等の補強剤としてのフィラーとの相性が良いことから、発熱を抑えて低燃費性を向上させることができる。
【0003】
一方、低燃費性のみならずタイヤの寿命を延ばすことも環境負荷の低減に寄与するため、耐摩耗性に優れた材料が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭61−103904号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、以上を鑑みてなされたものであり、従来にも増して高強度で耐摩耗性に優れた架橋ゴムからなるタイヤ用部材を提供することを一つの目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記のような従来技術の課題を解決するべく鋭意検討した結果、ブタジエンを含有するモノマーを重合して得られ、かつ片末端又は両末端に、アミノ基及びヒドロカルビルオキシシリル基の少なくとも一方を有する重合体の水添物である水添共役ジエン系重合体、オレフィン系ゴム及び架橋剤を含有するゴム組成物を架橋処理することにより、上記課題を解決可能であることを見出し、本発明を解決するに至った。具体的には、本発明により以下の架橋ゴム、タイヤ用部材、防振用部材及びゴム組成物が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、末端変性した水添共役ジエン系重合体、オレフィン系ゴム及び架橋剤をゴム組成物に配合することで、高強度、かつ、低摩耗な架橋ゴムを得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施に関連する事項について詳細に説明する。
【0009】
<水添共役ジエン系重合体>
本発明に係る水添共役ジエン系重合体は、ブタジエンを含有するモノマーを重合して活性末端を有する共役ジエン系重合体を得る工程(重合工程)、得られた共役ジエン系重合体の末端を変性する工程(変性工程)、共役ジエン系重合体を水添する工程(水添工程)を含む方法により製造することができる。
【0010】
<重合工程>
本発明に係る水添共役ジエン系重合体の製造に使用される、水添前の共役ジエン系重合体は、ブタジエンに由来する構造単位を有する重合体であり、ブタジエンに由来する構造単位と芳香族ビニル化合物に由来する構造単位とを有する重合体であることが好ましい。
本発明に係る重合工程は、共役ジエン化合物、好ましくは共役ジエン化合物と芳香族ビニル化合物とを含むモノマーを重合して、活性末端を有する共役ジエン系重合体を得る工程である。
ここで、上記重合に用いる共役ジエン化合物としては、必須成分である1,3−ブタジエンの他、1,3−ブタジエン以外の共役ジエン系化合物を用いてもよい。この様な共役ジエン系化合物は、1,3−ブタジエン及び芳香族ビニル化合物と共重合可能であれば特に限定されないが、例えば、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン、1,3−ヘプタジエン、2−フェニル−1,3−ブタジエン、3−メチル−1,3−ペンタジエン、2−クロロ−1,3−ブタジエン等を挙げることができる。1,3−ブタジエン以外の共役ジエン系化合物としては、これらの中でもイソプレンが好ましい。なお、共役ジエン化合物としては、一種を単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
【0011】
また、芳香族ビニル化合物としては、例えばスチレン、2−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、α−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、2,4−ジイソプロピルスチレン、4−t−ブチルスチレン、5−t−ブチル−2−メチルスチレン、ビニルエチルベンゼン、ジビニルベンゼン、トリビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、t−ブトキシスチレン、ビニルベンジルジメチルアミン、(4−ビニルベンジル)ジメチルアミノエチルエーテル、N,N−ジメチルアミノエチルスチレン、N,N−ジメチルアミノメチルスチレン、2−エチルスチレン、3−エチルスチレン、4−エチルスチレン、2−t−ブチルスチレン、3−t−ブチルスチレン、4−t−ブチルスチレン、ビニルキシレン、ビニルナフタレン、ビニルピリジン、ジフェニルエチレン、1−(4−N,N−ジメチルアミノフェニル)−1−フェニルエチレンなどの3級アミノ基含有ジフェニルエチレン等が挙げられる。芳香族ビニル化合物としては、これらの中でも、スチレン及びα−メチルスチレンから選ばれる1種以上の化合物であることが特に好ましい。なお、芳香族ビニル化合物としては、一種を単独で又は二種以上を組み合わせて使用することができる。
【0012】
本重合工程により得られる共役ジエン系重合体は、1,3−ブタジエンの単独重合体であってもよいし、1,3−ブタジエンと芳香族ビニル化合物との共重合体であってもよいし、1,3−ブタジエンと1,3−ブタジエン以外の共役ジエン系化合物と芳香族ビニル化合物の共重合体であってもよい。アニオン重合におけるリビング性が高い点からすると、当該共役ジエン系重合体としては、中でも、1,3−ブタジエンとスチレンとを使用した共重合体であることが好ましい。
共役ジエン化合物と芳香族ビニル化合物との共重合体において、芳香族ビニル化合物の使用量は、架橋ゴムの低ヒステリシスロス特性を良好にする観点から、重合に使用するモノマーの全体量に対して、10〜50質量%であることが好ましく、15〜40質量%であることがより好ましい。また、ブタジエン含量を上記範囲内にすることで、生産性と強度の両立が可能となる。
水添前の共役ジエン系重合体の製造に使用されるモノマーは、好ましくは、ブタジエンを50〜90質量部、芳香族ビニル化合物を10〜50質量部、及び、ブタジエン以外の共役ジエン系化合物を0〜40質量部含む。こうした配合量とすることにより、変性水添共役ジエン系重合体とオレフィン系ゴムの組み合わせにおいて架橋ゴムの生産性と強度の両立を図る点で好ましい。
【0013】
なお、上記で例示した共役ジエン化合物及び芳香族ビニル化合物は、活性末端を有する共役ジエン系重合体を得ることが可能である点において、いずれも同様の作用を有するものである。したがって、後述の実施例に記載されていないものであっても、本発明において使用することが可能である。
【0014】
重合に際しては、共役ジエン化合物及び芳香族ビニル化合物以外の他のモノマーを使用することができる。他のモノマーとしては、例えばアクリロニトリル、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル等を挙げることができる。他のモノマーの使用量は、重合に使用するモノマーの全体量に対して、40質量%以下であることが好ましく、30質量%以下であることがより好ましく、20質量%以下であることが更に好ましい。
【0015】
本発明に係る共役ジエン系重合体は、モノマーとして、ブタジエンを単独で、又は必要に応じて上記芳香族ビニル化合物やブタジエン以外の共役ジエン化合物、上記他のモノマーを併用した重合により製造することができる。ここで、重合法としては、溶液重合法、気相重合法、バルク重合法のいずれを用いてもよいが、溶液重合法が特に好ましい。また、重合形式としては、回分式及び連続式のいずれを用いてもよい。
溶液重合法を用いる場合、具体的な重合方法の一例としては、有機溶媒中において、共役ジエン化合物を含むモノマーを、重合開始剤及び必要に応じて用いられるランダマイザーの存在下、重合を行う方法が挙げられる。
【0016】
重合開始剤としては、アルカリ金属化合物及びアルカリ土類金属化合物のうち少なくともいずれかを用いることができる。アルカリ金属化合物及びアルカリ土類金属化合物としては、アニオン重合の開始剤として通常用いるものを使用することができ、例えばメチルリチウム、エチルリチウム、n−プロピルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、t−ブチルリチウムなどのアルキルリチウム、1,4−ジリチオブタン、フェニルリチウム、スチルベンリチウム、ナフチルリチウム、ナフチルナトリウム、ナフチルカリウム、ジ−n−ブチルマグネシウム、ジ−n−ヘキシルマグネシウム、エトキシカリウム、ステアリン酸カルシウム等を挙げることがきる。これらの中でも、リチウム化合物が好ましい。
【0017】
また、重合反応は、上記のアルカリ金属化合物及びアルカリ土類金属化合物のうち少なくともいずれかと、シリカと相互作用する官能基を有する化合物(B1)とを混合して得られる化合物(R)の存在下で行ってもよい。当該化合物(R)の存在下で重合を行うことにより、共役ジエン系重合体の重合開始末端に、シリカと相互作用を有する官能基を導入することができる。なお、本明細書において「相互作用」とは、分子間で共有結合を形成するか、又は共有結合よりも弱い分子間力(例えば、イオン−双極子相互作用、双極子−双極子相互作用、水素結合、ファンデルワールス力等といった分子間に働く電磁気学的な力)を形成することを意味する。また、「シリカと相互作用する官能基」は、窒素原子、硫黄原子、リン原子、酸素原子などのシリカと相互作用する原子を少なくとも1つ有する基を示す。
【0018】
上記化合物(R)としては、中でもアルキルリチウム等のリチウム化合物と、第2級アミン化合物などの窒素含有化合物との反応生成物であることが好ましい。当該窒素含有化合物の具体例としては、例えばジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、ドデカメチレンイミン、N,N’−ジメチル−N’−トリメチルシリル−1,6−ジアミノヘキサン、ピペリジン、ピロリジン、ヘキサメチレンイミン、ヘプタメチレンイミン、ジシクロヘキシルアミン、N−メチルベンジルアミン、ジ−(2−エチルヘキシル)アミン、ジアリルアミン、モルホリン、N−(トリメチルシリル)ピペラジン、N−(tert−ブチルジメチルシリル)ピペラジン、1,3−ジトリメチルシリル−1,3,5−トリアジナン等が挙げられる。なお、化合物(R)の存在下で重合を行う場合、アルカリ金属化合物又はアルカリ土類金属化合物と、化合物(B1)とを予め混合することにより化合物(R)を調製し、その調製した化合物(R)を重合系中に添加して重合を行ってもよい。あるいは、重合系中に、アルカリ金属化合物又はアルカリ土類金属化合物と、化合物(B1)とを添加し、重合系中で両者を混合することにより化合物(R)を調製して重合を行ってもよい。
【0019】
ランダマイザーは、ビニル結合(1,2−結合及び3,4−結合)の含有率(ビニル含量)の調整等を目的として用いることができる。ランダマイザーの例としては、ジメトキシベンゼン、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、2,2−ジ(テトラヒドロフリル)プロパン、2−(2−エトキシエトキシ)−2−メチルプロパン、トリエチルアミン、ピリジン、N−メチルモルホリン、テトラメチルエチレンジアミン等が挙げられる。これらは、一種を単独で又は二種以上を組み合わせて使用することができる。
【0020】
重合に使用する有機溶媒としては、反応に不活性な有機溶剤であればよく、例えば脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、芳香族炭化水素などを用いることができる。中でも、炭素数3〜8の炭化水素が好ましく、その具体例としては、例えばプロパン、n−ブタン、イソブタン、n−ペンタン、イソペンタン、n−へキサン、シクロへキサン、プロペン、1−ブテン、イソブテン、トランス−2−ブテン、シス−2−ブテン、1−ペンチン、2−ペンチン、1−ヘキセン、2−ヘキセン、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、ヘプタン、シクロペンタン、メチルシクロペンタン、メチルシクロヘキサン、1−ペンテン、2−ペンテン、シクロヘキセン等を挙げることができる。なお、有機溶媒としては、一種を単独で又は二種以上を組み合わせて使用することができる。
【0021】
溶液重合を用いる場合、反応溶媒中のモノマー濃度は、生産性と重合コントロールの容易性のバランスを維持する観点から、5〜50質量%であることが好ましく、10〜30質量%であることがより好ましい。重合反応の温度は、−20〜150℃であることが好ましく、0〜120℃であることがより好ましく、20〜100℃であることが特に好ましい。また、重合反応は、モノマーを実質的に液相に保つのに十分な圧力の下で行うことが好ましい。このような圧力は、重合反応に対して不活性なガスによって、反応器内を加圧する等の方法によって得ることができる。
【0022】
このようにして、活性末端を有する共役ジエン系重合体を得ることができる。当該共役ジエン系重合体の重量平均分子量(Mw)は、好ましくは1.0×10〜2.0×10である。Mwが1.0×10よりも小さいと、得られる架橋ゴムの耐摩耗性及び当該架橋ゴムをタイヤに適用した場合の低燃費性能が低下しやすい傾向にあり、2.0×10よりも大きいと、加工性が低下しやすい傾向にある。より好ましくは、1.5×10〜1.5×10であり、更に好ましくは、1.7×10〜1.0×10である。
また、ブタジエンに由来する構造単位における、1,2−ビニル含量は、5〜70質量%であることが好ましく、10〜60質量%であることがより好ましく、25〜50質量%であることが更に好ましい。1,2−ビニル含量が5質量%未満であると、グリップ特性が低くなりすぎる傾向があり、70質量%を超えると、耐摩耗性が悪化しやすくなる傾向にある。なお、ビニル含量は、H−NMRによって測定した値である。
【0023】
本重合工程により得られる共役ジエン系重合体はポリイソプレンブロックを有していてもよい。ポリイソプレンブロックを有することで、高水添率の重合体を効率よく加硫することが可能となる。共役ジエン系重合体中におけるポリイソプレンブロックの位置は特に限定されないが、該重合体の片末端又は両末端にポリイソプレンブロックを有することが好ましい。ポリイソプレンブロックにおける、1,4−結合/3,4−結合の比率は、60/40〜98/2の範囲であることが好ましい。1,4−結合/3,4−結合の比率が上記範囲にあることで、架橋ゴムの柔軟性と架橋効率の両立が可能となる。
【0024】
本発明に係る水添共役ジエン系重合体の製造に使用される、水添前の共役ジエン系重合体は、ブタジエンに由来する構造単位と芳香族ビニル化合物に由来する構造単位とのランダム共重合部分を有することが好ましい。こうした特定のランダム共重合部分を有することで、フィラーの分散性を良好にすることが可能になる。具体的には、フィラーの分散性の改善効果を好適に得る観点から、水添前及び水添後の共役ジエン系重合体において、芳香族ビニル化合物に由来する構造単位が8個以上連続した連鎖が、当該共役ジエン系重合体が有する芳香族ビニル化合物由来の構造単位の全体に対して、10質量%以下であることが好ましい。より好ましくは8質量%以下であり、さらに好ましくは5質量%以下である。
【0025】
なお、共役ジエン系重合体において、芳香族ビニル化合物に由来する構造単位が8個以上連続した連鎖の含有量は、水添前又は水添された共役ジエン系重合体を、重クロロホルムを溶媒として測定したH−NMRスペクトルで、以下の(a)〜(c)の各化学シフト範囲の積分値の合計に対する、(a)の範囲の積分値の割合で計算することができる。例えば、芳香族ビニル化合物がスチレンの場合、(a)〜(c)の各範囲の積分値の合計に対する(a)の範囲の積分値の割合を求め、その値を2.5倍することでスチレンの割合を計算できる。これにより、芳香族ビニル化合物に由来する構造単位の連鎖の状態を把握できる。
(a)芳香族ビニル化合物の連鎖8個以上: 6.00≦S<6.68
(b)芳香族ビニル化合物の連鎖2〜7個: 6.68≦S<6.89
(c)芳香族ビニル化合物の短連鎖 : 6.89≦S≦8.00
【0026】
<変性工程>
変性工程は、上記重合工程により得られた共役ジエン系重合体の活性末端と、シリカと相互作用する官能基を有する化合物(B2)とを反応させる工程である。同工程により、共役ジエン系重合体の重合終了末端に、シリカと相互作用する官能基を導入することができる。なお、本発明において活性末端とは、分子鎖の端に存在する、炭素−炭素二重結合を有するモノマーに由来する構造以外の部分を意味する。
【0027】
変性工程における変性反応(以下、末端変性反応ともいう。)に用いる共役ジエン系重合体は、活性末端を有している限り、重合開始末端が未変性のものでもよいし、変性されたものでもよい。また、化合物(B2)は、重合終了末端にアミノ基及びヒドロカルビルオキシシリル基の少なくとも一方を導入可能であって、かつ重合活性末端と反応し得る化合物であれば特に限定しない。化合物(B2)の好ましい具体例としては、例えば、下記式(1)で表される化合物(B2−1)などが挙げられる。
【化1】
(式(1)中、Aは、窒素原子を有し、活性水素を有さず、かつRに対して窒素原子で結合する1価の官能基である。R及びRはヒドロカルビル基であり、Rはヒドロカルビレン基であり、nは0〜2の整数である。但し、R及びRが複数存在する場合、複数のR及びRは、それぞれ同じでも異なっていてもよい。)
【0028】
上記式(1)において、R及びRのヒドロカルビル基としては、炭素数1〜20の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、炭素数3〜20のシクロアルキル基又は炭素数6〜20のアリール基であることが好ましい。
は、炭素数1〜20の直鎖状若しくは分岐状のアルカンジイル基、炭素数3〜20のシクロアルキレン基又は炭素数6〜20のアリーレン基であることが好ましい。
nは、共役ジエン系重合体との反応性を高める観点から、0又は1が好ましい。
は、窒素原子、リン原子及び硫黄原子からなる群より選択される少なくとも一種の原子(以下、特定原子ともいう。)を有し、これら特定原子を介してRに結合する。また、特定原子は活性水素を有しておらず、例えば3置換のヒドロカルビルシリル基等の保護基で保護されていることが好ましい。なお、ここでいう「活性水素」とは、炭素原子以外の原子に結合した水素原子をいい、好ましくはポリメチレンの炭素−水素結合よりも結合エネルギが低いものを指す。「保護基」とは、Aを重合活性末端に対して不活性な官能基に変換しておく官能基である。
【0029】
としては、オニウム塩生成剤によってオニウムイオンになり得る基であってもよい。化合物(B2)がこのような基(A)を有することにより、変性共役ジエン系重合体に対して優れた形状保持性を付与することができる。
の具体例としては、例えば1級アミノ基の2つの水素原子が2つの保護基によって置換されてなる窒素含有基、2級アミノ基の1つの水素原子が1つの保護基によって置換されてなる窒素含有基、3級アミノ基、イミノ基、ピリジル基、1級ホスフィノ基の2つの水素原子が2つの保護基によって置換されてなるリン含有基、2級ホスフィノ基の1つの水素原子が1つの保護基によって置換されてなるリン含有基、3級ホスフィノ基、及び、チオール基の1つの水素原子が1つの保護基によって置換されてなる硫黄含有基等が挙げられる。これらの中でも、シリカとの親和性が良好である観点から、窒素原子を有する基であることが好ましく、1級アミノ基の2つの水素原子が2つの保護基によって置換されてなる窒素含有基であることがより好ましい。
化合物(B2)の好ましい具体例としては、例えば、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルトリメトキシシラン、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N,N’,N’−トリス(トリメチルシリル)−N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−(4−トリメチルシリル−1−ピペラジノ)プロピルメチルジメトキシシラン等を挙げることができる。
【0030】
上記の末端変性反応は、例えば溶液反応として行うことができる。この溶液反応は、上記重合工程における重合反応の終了後の未反応モノマーを含む溶液を用いて行ってもよく、当該溶液に含まれる共役ジエン系重合体を単離し、シクロヘキサン等の適当な溶媒に溶解した上で行ってもよい。また、末端変性反応は、回分式及び連続式のいずれを用いて行ってもよい。このとき、化合物(B2)の添加方法は特に制限されず、一括して添加する方法、分割して添加する方法、連続的に添加する方法などが挙げられる。
【0031】
末端変性反応に使用する化合物(B2)の量は、反応に使用する化合物の種類に応じて適宜設定すればよいが、重合開始剤が有する重合反応に関与する金属原子に対し、好ましくは0.1モル当量以上、より好ましくは0.3モル当量以上である。0.1モル当量以上とすることにより、変性反応を十分に進行させることができ、シリカの分散性を好適に改良することができる。
末端変性反応の温度は、通常、上記重合反応の温度と同じであり、−20〜150℃であることが好ましく、0〜120℃であることがより好ましく、20〜100℃であることが特に好ましい。変性反応の温度が低いと、変性共役ジエン系重合体の粘度が上昇する傾向がある。一方、変性反応の温度が高いと、重合活性末端が失活しやすくなる。変性反応の反応時間は、好ましくは1分〜5時間であり、より好ましくは2分〜1時間である。
【0032】
<水添反応>
本発明に係る水添共役ジエン系重合体は、上記で得られた変性共役ジエン系重合体を水添して得られる。水添反応の方法及び条件は、所望の水添率の共役ジエン系重合体が得られるのであれば、いずれの方法及び条件を用いることも可能である。それらの水添方法の例としては、チタンの有機金属化合物を主成分とする触媒を水添触媒として使用する方法、鉄、ニッケル、コバルトの有機化合物とアルキルアルミニウム等の有機金属化合物からなる触媒を使用する方法、ルテニウム、ロジウム等の有機金属化合物の有機錯体を使用する方法、パラジウム、白金、ルテニウム、コバルト、ニッケル等の金属を、カーボン、シリカ、アルミナ等の担体に担持した触媒を使用する方法などがある。各種の方法の中では、チタンの有機金属化合物単独またはそれとリチウム、マグネシウム、アルミニウムの有機金属化合物とから成る均一触媒(特公昭63−4841号公報、特公平1−37970号公報)を用い、低圧、低温の穏和な条件で水添する方法は工業的に好ましく、またブタジエンの二重結合への水添選択性も高く本発明の目的に適している。
【0033】
変性共役ジエン系重合体の水添は、触媒に不活性で、共役ジエン系重合体が可溶な溶剤中で実施される。好ましい溶媒としては、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−オクタンのような脂肪族炭化水素、シクロヘキサン、シクロヘプタンのような脂環族炭化水素、ベンゼン、トルエンのような芳香族炭化水素、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランのようなエーテル類の単独またはそれらを主成分とする混合物である。
【0034】
水添反応は、一般には共役ジエン系重合体を水素または不活性雰囲気下、所定の温度に保持し、攪拌下または不攪拌下にて水添触媒を添加し、次いで水素ガスを導入して所定圧に加圧することによって実施される。不活性雰囲気とは、水添反応の関与体と反応しない雰囲気を意味し、例えばヘリウム、ネオン、アルゴン等が挙げられる。空気や酸素は、触媒を酸化したりして触媒の失活を招くので好ましくない。また、窒素は水添反応時に触媒毒として作用し、水添活性を低下させるので好ましくない。特に、水添反応器内は水素ガス単独の雰囲気であることが最も好適である。
【0035】
水添共役ジエン系重合体を得る水添反応プロセスは、バッチプロセス、連続プロセス、それらの組合せのいずれでも用いることができる。また、水添触媒としてチタノセンジアリール系化合物を用いる場合は、単独でそのまま反応溶液に加えても良いし、不活性有機溶媒の溶液として加えてもよい。触媒を溶液として用いる場合に使用する不活性有機溶媒は、水添反応の関与体と反応しない各種溶媒を用いることができる。好ましくは水添反応に用いる溶媒と同一の溶媒である。また、触媒の添加量は、水添前共役ジエン系重合体100g当り0.02〜20ミリモルである。
【0036】
本発明に係る水添共役ジエン系重合体を得る最も好ましい方法は、水添前共役ジエン系重合体を有機リチウム触媒を用いて溶液重合し、得られた重合体溶液をそのまま次の水添反応に用いることであり、工業的に極めて有用である。本発明に係る水添共役ジエン系重合体は、上記で得られた溶液から溶媒を除去し、重合体を単離して得られる。
【0037】
本発明に係る水添共役ジエン系重合体は、ブタジエンに由来する構造の不飽和結合に対する水添率が70%以上であることが好ましい。水添率を70%以上とすることで、高強度な水添共役ジエン系重合体を得ることができる。この様な理由から、水添率は80%以上であることがより好ましく、85%以上であることがさらに好ましい。なお、水添率は、H−NMRで測定することができる。
【0038】
<オレフィン系ゴム>
本発明で使用されるオレフィン系ゴムは、繰り返し単位として、オレフィンからなる繰り返し単位を有する。本発明に係るゴム組成物は、かかるオレフィン系ゴムを含有することにより、ジエン系ゴム、特に天然ゴム(NR)と比較して、耐熱性及び耐候性を向上させることができる。オレフィン系ゴムとしては、エチレン−α−オレフィン共重合体を好ましく使用できる。オレフィン系ゴムは1種のみを用いてもよく、又は2種以上を併用してもよい。
【0039】
上記α−オレフィンとして、通常は、炭素数3〜12のα−オレフィンを用いる。上記α−オレフィンは、例えば、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン、5−メチル−1−ヘキセン、1−オクテン、1−ノネン、5−エチル−1−ヘキセン、1−デセン、1−ドデセン、及び3−メチル−1−ブテン等が挙げられる。この中で、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、及び1−オクテンよりなる群から選ばれる少なくとも一種が好ましい。上記α−オレフィンは1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0040】
また、上記オレフィン系ゴムは、エチレン単位と、α−オレフィンからなる繰り返し単位に加え、更に非共役ジエンからなる繰り返し単位を有するものでもよい。この場合、上記非共役ジエンは1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。上記非共役ジエンとしては、例えば、1,4−ヘキサジエン、1,6−ヘキサジエン及び1,5−ヘキサジエン等の直鎖状の非環状ジエン;5−メチル−1,4−ヘキサジエン、3,7−ジメチル−1,6−オクタジエン、5,7−ジメチルオクタ−1,6−ジエン、3,7−ジメチル−1,7−オクタジエン、7−メチルオクタ−1,6−ジエン、及びジヒドロミルセン等の分岐鎖状の非環状ジエン;テトラヒドロインデン、メチルテトラヒドロインデン、ジシクロペンタジエン、ビシクロ−(2,2,1)−ヘプタ−2,5−ジエン、5−メチレン−2−ノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−プロペニル−2−ノルボルネン、5−イソプロピリデン−2−ノルボルネン、5−シクロヘキシリデン−2−ノルボルネン、及び5−ビニル−2−ノルボルネン等の脂環式ジエン等が挙げられる。上記非共役ジエンとして特に好ましくは、1,4−ヘキサジエン、ジシクロペンタジエン及び5−エチリデン−2−ノルボルネン等が挙げられる。
【0041】
上記オレフィン系ゴムとして具体的には、例えば、エチレン−プロピレン共重合ゴム、エチレン−1−ブテン共重合ゴム、エチレン−1−ペンテン共重合ゴム、エチレン−1−ヘキセン共重合ゴム、エチレン−1−オクテン共重合ゴム等が挙げられる。また、更に非共役ジエン単位を有する共重合ゴムとしては、エチレン−プロピレン−5−エチリデン−2−ノルボルネン共重合ゴム等が挙げられる。
【0042】
本発明に係るゴム組成物中の上記オレフィン系ゴムの含有量は、使用目的に応じて適宜決定すればよく、また最適な配合割合も用途に依って異なる。例えば、タイヤのトレッドに使用する場合は、上記水添共役ジエン系重合体及びオレフィン系ゴムの含有量の合計を100質量部としたとき、オレフィン系ゴムの含有量は、40〜99質量部、好ましくは50〜99質量部、さらに好ましくは65〜97質量部、よりさらに好ましくは70〜97質量部、特に好ましくは75〜97質量部、最も好ましくは80〜95質量部である。上記オレフィン系ゴムの含有量が40質量部未満では十分な加工性が得られにくい。一方、前記オレフィン系ゴムの含有量が99質量部を超えると、水添共役ジエン系重合体の含有量が少なすぎる結果、強度・耐摩耗性を改善することが困難となるため好ましくない。
【0043】
<架橋剤>
本実施形態に係る架橋ゴムは、動的熱処理されてなるものである。その動的熱処理に際して用いられる架橋剤の種類は、特に限定されない。但し、上記水添共役ジエン系共重合体又は上記オレフィン系ゴムの融点以上の温度における動的熱処理により、少なくとも上記水添共役ジエン系共重合体又は上記オレフィン系ゴムの少なくとも一方を架橋し得る化合物であることが好ましい。
【0044】
架橋剤の具体例としては、有機過酸化物、フェノール樹脂、硫黄、硫黄化合物、p−キノン、p−キノンジオキシムの誘導体、ビスマレイミド化合物、エポキシ化合物、シラン化合物、アミノ樹脂、ポリオール、ポリアミン、トリアジン化合物、金属石鹸等を挙げることができる。なかでも、有機過酸化物、フェノール樹脂及び硫黄よりなる群から選ばれる少なくとも一種であることが好ましい。これらは一種単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
【0045】
有機過酸化物としては、例えば1,3−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキセン−3、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,2’−ビス(t−ブチルパーオキシ)−p−イソプロピルベンゼン、ジクミルパーオキシド、ジ−t−ブチルパーオキシド、t−ブチルパーオキシド、p−メンタンパーオキシド、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、ジラウロイルパーオキシド、ジアセチルパーオキシド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキシド、p−クロロベンゾイルパーオキシド、ベンゾイルパーオキシド、ジ(t−ブチルパーオキシ)パーベンゾエート、n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレレート、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート等を挙げることができる。なかでも、1,3−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、α,α−ビス(t−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、ジクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイドが好ましい。これらは一種単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
【0046】
フェノール樹脂としては、例えば、下記一般式(8)で表されるp−置換フェノール系化合物、o−置換フェノール・アルデヒド縮合物、m−置換フェノール・アルデヒド縮合物、臭素化アルキルフェノール・アルデヒド縮合物等を挙げることができる。なかでも、p−置換フェノール系化合物が好ましい。これらは一種単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
【0047】
【化2】
【0048】
一般式(8)中、Xはヒドロキシル基、ハロゲン化アルキル基、又はハロゲン原子であり、Rは炭素数1〜15の飽和炭化水素基であり、nは0〜10の整数である。なお、p−置換フェノール系化合物は、アルカリ触媒の存在下における、p−置換フェノールとアルデヒド(好ましくはホルムアルデヒド)との縮合反応により得ることができる。
【0049】
フェノール樹脂の市販品としては、商品名「タッキロール201」(アルキルフェノールホルムアルデヒド樹脂、田岡化学工業社製)、商品名「タッキロール250−I」(臭素化率4%の臭素化アルキルフェノールホルムアルデヒド樹脂、田岡化学工業社製)、商品名「タッキロール250−III」(臭素化アルキルフェノールホルムアルデヒド樹脂、田岡化学工業社製)、商品名「PR−4507」(群栄化学工業社製)、商品名「ST137X」(ローム&ハース社製)、商品名「スミライトレジンPR−22193」(住友デュレズ社製)、商品名「タマノル531」(荒川化学工業社製)、商品名「SP1059」、商品名「SP1045」、商品名「SP1055」、商品名「SP1056」(以上、スケネクタディ社製)、商品名「CRM−0803」(昭和ユニオン合成社製)を挙げることができる。なかでも、「タッキロール201」が好ましく使用される。
【0050】
架橋剤の使用量は、架橋ゴムを製造するためのゴム組成物中に含まれる水添共役ジエン系重合体とオレフィン系ゴムの合計100質量部に対して、0.01〜20質量部とすることが好ましく、0.1〜15質量部とすることがより好ましく、1〜10質量部とすることが更に好ましい。
【0051】
架橋剤として有機過酸化物を使用する場合において、有機過酸化物の使用量は、架橋ゴムを製造するためのゴム組成物中に含まれる水添共役ジエン系重合体とオレフィン系ゴムの合計100質量部に対して、0.05〜10質量部とすることが好ましく、0.1〜5質量部とすることがより好ましい。有機過酸化物の使用量が10質量部超であると、架橋度が過度に高くなり、成形加工性が低下し、得られる架橋ゴムの機械的物性が低下する傾向にある。一方、有機過酸化物の使用量が0.05質量部未満であると、架橋度が不足し、得られる架橋ゴムのゴム弾性及び機械的強度が低下する傾向にある。
【0052】
また、架橋剤としてフェノール樹脂を使用する場合において、フェノール樹脂の使用量は、架橋ゴムを製造するためのゴム組成物中に含まれる水添共役ジエン系重合体とオレフィン系ゴムの合計100質量部に対して、0.2〜10質量部とすることが好ましく、0.5〜5質量部とすることがより好ましい。フェノール樹脂の使用量が10質量部超であると、成形加工性が低下する傾向にある。一方、フェノール樹脂の使用量が0.2未満であると、架橋度が不足し、得られる架橋ゴムのゴム弾性及び機械的強度が低下する傾向にある。
架橋剤として硫黄を使用する場合において、硫黄の使用量は、架橋ゴムを製造するためのゴム組成物中に含まれる水添共役ジエン系重合体とオレフィン系ゴムの合計100質量部に対して、0.1〜5質量部とすることが好ましく、0.5〜3質量部とすることがより好ましい。
【0053】
架橋剤とともに、架橋助剤及び/又は架橋促進剤を用いると、架橋反応を穏やかに行うことができ、均一な架橋を形成することができるために好ましい。架橋剤として有機過酸化物を用いる場合には、架橋助剤として、硫黄、硫黄化合物(粉末硫黄、コロイド硫黄、沈降硫黄、不溶性硫黄、表面処理硫黄、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド等)、オキシム化合物(p−キノンオキシム、p,p’−ジベンゾイルキノンオキシム等)、多官能性モノマー類(エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジアリルフタレート、テトラアリルオキシエタン、トリアリルシアヌレート、N,N’−m−フェニレンビスマレイミド、N,N’−トルイレンビスマレイミド、無水マレイン酸、ジビニルベンゼン、ジ(メタ)アクリル酸亜鉛等)等を用いることが好ましい。なかでも、p,p’−ジベンゾイルキノンオキシム、N,N’−m−フェニレンビスマレイミド、ジビニルベンゼンが好ましい。これらを一種単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。なお、N,N’−m−フェニレンビスマレイミドは、架橋剤としての作用を示すものであるため、架橋剤として単独で使用することもできる。
【0054】
架橋剤として有機過酸化物を使用する場合における、架橋助剤の使用量は、混合物に含まれる水添共役ジエン系重合体とオレフィン系ゴムの合計100質量部に対して、10質量部以下とすることが好ましく、0.2〜5質量部とすることが更に好ましい。架橋助剤の使用量が10質量部超であると、架橋度が過度に高くなり、成形加工性が低下し、得られる架橋ゴムの機械的物性が低下する傾向にある。
【0055】
架橋剤としてフェノール樹脂を用いる場合には、架橋促進剤として、金属ハロゲン化物(塩化第一スズ、塩化第二鉄等)、有機ハロゲン化物(塩素化ポリプロピレン、臭化ブチルゴム、クロロプレンゴム等)等を用いると、架橋速度を調節することができるために好ましい。また、架橋促進剤の他に、酸化亜鉛等の金属酸化物やステアリン酸等の分散剤を使用することが更に望ましい。
【0056】
<架橋工程>
本発明に係るゴム組成物をゴム成形品とする場合、通常、ゴム組成物を用いて所定形状に成形した後、架橋剤と、必要に応じて架橋助剤とを加えて上記水添共役ジエン系重合体とオレフィン系ゴムの架橋を行う。本発明に係るゴム成形品は、架橋剤により、本発明に係るゴム組成物中の上記水添共役ジエン系重合体とオレフィン系ゴムの架橋を行うことにより得られるものであり、例えば、上記に記載のゴム組成物を用いて所定の形状に成形した後、加熱架橋を行って製造する。ゴム成形品の製造は、常法に従い行うことができる。例えばタイヤの製造は、上記ゴム組成物を、ロールやミキサー等の混合機で混合し、所定の形状に成形にしたものを、常法に従い外側に配して加硫成形することにより、トレッド、又は、サイドウォールゴムが形成され、空気入りタイヤが得られる。なお、架橋剤及び架橋助剤としては、上述の架橋剤及び架橋助剤を用いることができる。
【0057】
本発明に係るゴム組成物には、上記水添共役ジエン系重合体及びオレフィン系ゴムに加えて、本発明の効果を損なわない範囲で、他のゴム成分を配合してもよい。かかるゴム成分の種類としては、特に限定されないが、ブタジエンゴム(BR。例えば、シス−1,4結合90%以上のハイシスBR、シンジオタクチック−1,2−ポリブタジエン(SPB)含有BRなど)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、スチレンイソプレン共重合体ゴム、ブタジエンイソプレン共重合体ゴム等が挙げられ、より好ましくはBR、SBRである。
また、本発明に係るゴム組成物には、他の樹脂成分を配合してもよい。樹脂成分の種類としては特に限定されないが、例えばポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂等が挙げられる。
【0058】
本発明に係るゴム組成物において、フィラーとして、カーボンブラック、シリカ、クレー、炭酸カルシウムなどの各種の補強性充填剤を用いることができる。好ましくは、カーボンブラック、シリカ、又は、カーボンブラックとシリカの併用である。シリカは静動比の点から好ましく、カーボンブラックはゴム組成物及び架橋ゴムの強度の点から好ましい。シリカとしては、例えば湿式シリカ(含水ケイ酸)、乾式シリカ(無水ケイ酸)、コロイダルシリカ等が挙げられ、中でも湿式シリカが好ましい。カーボンブラックとしては、例えばファーネスブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、チャンネルブラック、グラファイト等が挙げられ、中でもファーネスブラックが好ましい。
フィラーの配合量は、使用目的に応じて適宜決定すればよいが、例えば、ゴム組成物中に配合されるゴム成分100質量部に対し、5〜150質量部である。ゴム組成物中におけるシリカ及びカーボンブラックの合計量は、ゴム組成物中に含まれるゴム成分の全体量100質量部に対して、好ましくは20〜130質量部、より好ましくは25〜110質量部である。
【0059】
本発明に係るゴム組成物には、上記した成分の他に、例えばタイヤ用、ホース用、防振用、ベルト用等の各種用途の架橋ゴムを得るためのゴム組成物において一般に使用される各種添加剤を配合することができる。該添加剤としては、例えば老化防止剤、亜鉛華、ステアリン酸、軟化剤、硫黄、加硫促進剤などが挙げられる。
【0060】
以上よりなる架橋ゴムは、高強度であるため各種ゴム成型品に適用することができる。具体的には、タイヤのトレッド、サイドウォール用の材料;産業機械用や設備用などの防振ゴム類;ダイヤフラム、ロール、ラジエータホース、エアーホース等の各種ホース及びホースカバー類;パッキン、ガスケット、ウェザーストリップ、O−リング、オイルシール等のシール類;動力伝達用ベルトなどのベルト類;ライニング、ダストブーツ、等の材料として用いることができる。中でも、タイヤ用部材、防振用部材及びベルト用部材として好適に用いることができ、高強度及び耐摩耗性に加え、低ヒステリシスロス特性が良好である点でタイヤ用部材として特に好適である。
【実施例】
【0061】
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例、比較例中の「部」及び「%」は、特に断らない限り質量基準である。また、各種物性値の測定方法を以下に示す。
【0062】
<水添共役ジエン系重合体の製造の実施例、比較例>
〈水添触媒の製造〉
以下の方法により、水添触媒(触媒A)を製造した。
【0063】
〔製造例1〕触媒A
撹拌機、滴下漏斗を備えた1L容量の三つ口フラスコを乾燥窒素で置換し、無水テトラヒドロフラン200ml及びテトラヒドロフルフリルアルコール0.2モルを加えた。その後、n−ブチルリチウム(以下「n−BuLi」ともいう。)/シクロヘキサン溶液(0.2モル)を三つ口フラスコ中に15℃にて滴下して反応を行い、テトラヒドロフルフリルオキシリチウムのテトラヒドロフラン溶液を得た。
次に、撹拌機、滴下漏斗を備えた1L容量の三つ口フラスコを乾燥窒素で置換し、ビス(η5−シクロペンタジエニル)チタニウムジクロライド49.8g(0.2モル)及び無水テトラヒドロフラン250mlを加えた。そして、上記記載の方法により得られたテトラフルフリルオキシリチウムのテトラヒドロフラン溶液を室温撹拌下にて約1時間で滴下した。約2時間後、赤褐色液を濾過し、不溶部をジクロロメタンで洗浄した。
その後、ろ液及び洗浄液を合わせて減圧下にて溶媒を除去することにより、触媒A[ビス(η5−シクロペンタジエニル)チタニウム(テトラヒドロフルフリルオキシ)クロライド](「[クロロビス(2,4−シクロペンタジエニル)チタン(IV)テトラヒドロフルフリルアルコキシド]」ともいう。)を得た。なお、収率は95%であった。
【0064】
実施例1〔共役ジエン系ゴムAの合成、およびその評価〕
窒素置換された内容積10リットルのオートクレーブ反応器に、シクロヘキサン5000g、テトラヒドロフラン150.0g、スチレン250g、1,3−ブタジエン730gを仕込んだ。反応器内容物の温度を10℃に調整した後、n−ブチルリチウム(11.60mmol)を含むシクロヘキサン溶液を添加して重合を開始した。重合は断熱条件で実施し、最高温度は85℃に達した。
重合転化率が99%に達した時点で、ブタジエン20gを追加し、さらに5分重合させ、重合体を含む反応液を得た。そして、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルメチルジエトキシシラン8.5gを加え、前記重合体の活性点に30分間反応させた。
次いで、反応液を80℃以上にして系内に水素を導入した。
次いで、上記触媒A0.32g、テトラクロロシラン0.39gを加え、水素圧1.0MPaを保つようにして1時間反応させた。反応後、反応液を常温、常圧に戻して反応容器より抜き出し、重合体溶液を得た。
次いで、pH調整剤であるアンモニアによりpH8.5(ガラス電極法による、80℃におけるpH、以下同じ。)に調整した水溶液(温度:80℃)を脱溶媒槽に入れ、さらに上記重合体溶液を加え(重合体溶液100質量部に対して、前記水溶液200質量部の割合)、脱溶媒槽の液相の温度:95℃で、2時間スチームストリッピング(スチーム温度:190℃)により脱溶媒を行い、110℃に調温された熱ロールにより乾燥を行うことで、共役ジエン系ゴムAを得た。
共役ジエン系ゴムAの重合処方を表1に、得られた共役ジエン系ゴムAの性質を表2に示す。また、また、共役ジエン系ゴムAとオレフィン系ゴム(JSR製エチレン−プロピレン共重合ゴムJSR EP51)を用いて、表3に示す3種類の配合処方によりそれぞれ調製したゴム組成物を加硫し、物性評価を行った。その結果を表4に示す。
【0065】
実施例2〔共役ジエン系ゴムBの合成、およびその評価〕
窒素置換された内容積10リットルのオートクレーブ反応器に、シクロヘキサン5000g、テトラヒドロフラン50.0g、イソプレン100gを仕込んだ。反応器内容物の温度を10℃に調整した後、n−ブチルリチウム(11.60mmol)を含むシクロヘキサン溶液を添加して重合を開始した。重合は断熱条件で実施し、最高温度は25℃に達した。
次いでスチレン250g、1,3−ブタジエン730gを追加し重合させた。重合は断熱条件で実施し、最高温度は80℃に達した。
重合転化率が99%に達した時点で、ブタジエン20gを追加し、さらに5分重合させ、重合体を含む反応液を得た。そして、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルメチルジエトキシシラン8.5gを加え、前記重合体の活性点に30分間反応させた。
次いで、反応液を80℃以上にして系内に水素を導入した。
次いで、上記触媒A0.32g、テトラクロロシラン0.39gを加え、水素圧1.0MPaを保つようにして1時間反応させた。反応後、反応液を常温、常圧に戻して反応容器より抜き出し、重合体溶液を得た。
次いで、pH調整剤であるアンモニアによりpH8.5(ガラス電極法による、80℃におけるpH、以下同じ。)に調整した水溶液(温度:80℃)を脱溶媒槽に入れ、さらに上記重合体溶液を加え(重合体溶液100質量部に対して、前記水溶液200質量部の割合)、脱溶媒槽の液相の温度:95℃で、2時間スチームストリッピング(スチーム温度:190℃)により脱溶媒を行い、110℃に調温された熱ロールにより乾燥を行うことで、共役ジエン系ゴムBを得た。
共役ジエン系ゴムBの重合処方を表1に、得られた共役ジエン系ゴムBの性質を表2に示す。また、共役ジエン系ゴムB及びオレフィン系ゴム(JSR EP51)を用いて、表3に示す3種類の配合処方によりそれぞれ調製したゴム組成物を加硫し、物性評価を行った。その結果を表4に示す。
【0066】
実施例3〔共役ジエン系ゴムCの合成、およびその評価〕
窒素置換された内容積10リットルのオートクレーブ反応器に、シクロヘキサン5000g、テトラヒドロフラン50.0g、スチレン300g、1,3−ブタジエン680gを仕込んだ。反応器内容物の温度を10℃に調整した後、n−ブチルリチウム(11.60mmol)を含むシクロヘキサン溶液を添加して重合を開始した。重合は断熱条件で実施し、最高温度は85℃に達した。
重合転化率が99%に達した時点で、ブタジエン20gを追加し、さらに5分重合させ、重合体を含む反応液を得た。そして、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルメチルジエトキシシラン8.5gを加え、前記重合体の活性点に30分間反応させた。
次いで、反応液を80℃以上にして系内に水素を導入した。
次いで、上記触媒A0.32g、テトラクロロシラン0.39gを加え、水素圧1.0MPaを保つようにして1時間反応させた。反応後、反応液を常温、常圧に戻して反応容器より抜き出し、重合体溶液を得た。
次いで、pH調整剤であるアンモニアによりpH8.5(ガラス電極法による、80℃におけるpH、以下同じ。)に調整した水溶液(温度:80℃)を脱溶媒槽に入れ、さらに上記重合体溶液を加え(重合体溶液100質量部に対して、前記水溶液200質量部の割合)、脱溶媒槽の液相の温度:95℃で、2時間スチームストリッピング(スチーム温度:190℃)により脱溶媒を行い、110℃に調温された熱ロールにより乾燥を行うことで、共役ジエン系ゴムCを得た。
共役ジエン系ゴムCの重合処方を表1に、得られた共役ジエン系ゴムCの性質を表2に示す。また、共役ジエン系ゴムC及びオレフィン系ゴム(JSR EP51)を用いて、表3に示す3種類の配合処方によりそれぞれ調製したゴム組成物を加硫し、物性評価を行った。その結果を表4に示す。
【0067】
比較例1〔共役ジエン系ゴムSの合成、およびその評価〕
窒素置換された内容積5リットルのオートクレーブ反応器に、シクロヘキサン2,750g、テトラヒドロフラン50.0g、スチレン125g、1,3−ブタジエン365gを仕込んだ。反応器内容物の温度を10℃に調整した後、n−ブチルリチウム(5.80mmol)を含むシクロヘキサン溶液を添加して重合を開始した。重合は断熱条件で実施し、最高温度は85℃に達した。
重合転化率が99%に達した時点で、ブタジエン10gを追加し、さらに5分重合させた。次に、得られたポリマー溶液に2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール2.0gを添加した。次いで、水酸化ナトリウムでpH=9に調整した熱水を用いてスチームストリッピングを行うことにより脱溶媒を行い、110℃に調温された熱ロールによりゴムを乾燥し、共役ジエン系ゴムSを得た。
共役ジエン系ゴムSの重合処方を表1に、得られた共役ジエン系ゴムSの性質を表2に示す。また、変性共役ジエン系ゴムSを用いて、表3に示す3種類の配合処方によりそれぞれ調製したゴム組成物を加硫し、物性評価を行った。その結果を表4に示す。
【0068】
【表1】
【0069】
[結合スチレン含量(%)]:500MHzのH−NMRによって求めた。
[1,2−ビニル含量(%)]:500MHzのH−NMRによって求めた。
[ガラス転移温度(℃)]:ASTM D3418に準拠して測定した。
[変性前分子量]:ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)(HLC−8120GPC(商品名(東ソー社製)))を使用して得られたGPC曲線の最大ピークの頂点に相当する保持時間から、ポリスチレン換算で求めた。
(GPCの条件)
カラム;商品名「GMHXL」(東ソー社製)2本
カラム温度;40℃
移動相;テトラヒドロフラン
流速;1.0ml/分
サンプル濃度;10mg/20ml
[ムーニー粘度(ML1+4,100℃)]:JIS K6300に準拠し、Lローターを使用して、予熱1分、ローター作動時間4分、温度100℃の条件で求めた。
[コールドフロー値]:共重合体を温度50℃に保持し、圧力24.1kPaの条件で、6.35mmのオリフィスから押し出した。押し出された時点から10分後(押し出し速度が一定になった後)に、90分間、共重合体の30分毎の押し出し量(mg)を測定し、その平均値をコールドフロー値(mg/分)とした。数値が大きいほど、ゴムの形状安定性が悪く、取扱いが困難となる。
[水添率(%)]:500MHzのH−NMRによって求めた。
[スチレン長鎖割合(質量%)]:重合体中の全スチレン構造単位に対する、スチレン構造単位が8個以上連なった連鎖の割合であるスチレン長鎖割合θstを次のように求めた。重クロロホルムを溶媒として測定した500MHzのH−NMRスペクトルから、以下の(a)〜(c)の各化学シフト範囲の積分値の合計Σ(a,b,c)に対する(a)の範囲の積分値Σ(a)の割合を求め、その値を2.5倍し、これをスチレン長連鎖の含有割合θstとした(下記数式(1))。
(a)スチレン長連鎖8以上: 6.00≦S<6.68
(b)スチレン長連鎖2〜7: 6.68≦S<6.89
(c)スチレン短連鎖 : 6.89≦S≦8.00
θst[wt%]=(Σ(a)/Σ(a,b,c))×2.5 …(1)
【0070】
【表2】
【0071】
【表3】
【0072】
【表4】
【0073】
[ゴム組成物の混練り方法、及び特性評価]:
温度制御装置を付属したプラストミル(内容量250cc)を使用し、一段目の混練として、充填率72%、回転数60rpmの条件で、本発明の変性共役ジエン系ゴム、ブタジエンゴム、天然ゴム、伸展油、カーボンブラック、シリカ、シランカップリング剤、ステアリン酸、老化防止剤、亜鉛華を混練した。ついで、二段目の混練として、上記で得た配合物を室温まで冷却後、硫黄、加硫促進剤を混練した。これを成型し、160℃で所定時間、加硫プレスにて加硫し、以下のタイヤ性能を表す特性評価を実施した。
【0074】
(i)ムーニー粘度:加硫前のゴム組成物を測定用試料とし、JIS K6300−1に準拠し、Lローターを使用して、予熱1分、ローター作動時間4分、温度100℃の条件で測定した。
(ii)引張強度:JISK6301に従って300%モジュラスを測定した。指数で表示し、数値が大きいほど、引張強度が大きく、良好である。
(iii)0℃tanδ:加硫ゴムを測定用試料とし、動的スペクトロメーター(米国レオメトリックス社製)を使用し、引張動歪0.14%、角速度100ラジアン毎秒、0℃の条件で測定した。指数で表示し、数値が大きいほどウェットスキッド抵抗性が大きく良好である。
(iv)70℃tanδ:加硫ゴムを測定用試料とし、動的スペクトロメーター(米国レオメトリックス社製)を使用し、引張動歪0.7%、角速度100ラジアン毎秒、70℃の条件で測定した。指数で表示し、数値が大きいほど低ヒステリシスロス特性が小さく良好である。
(v)耐摩耗性:加硫ゴムを測定用試料とし、DIN摩耗試験機(東洋精機社製)を使用し、JIS K 6264に準拠し、荷重10Nで25℃にて測定した。指数で表示し、数値が大きいほど耐摩耗性が良好である。
【0075】
表4から明らかなように、変性水添共役ジエン系ゴムとオレフィン系ゴムを使用したゴム組成物は、ウェットスキッド抵抗性と低ヒステリシスロス特性のバランスを損なうことなく、引張強度や耐摩耗性が著しく改良された。また、比較例1の共役ジエン系ゴムSの物性評価結果から、上記変性工程及び水添工程が架橋ゴムの引張強度や耐摩耗性改良に重要であることが分かった。
【産業上の利用可能性】
【0076】
本発明は、タイヤ用部材、ホース、防振材、動力伝達用ベルト等に好適に用いることができる。