特許第6641954号(P6641954)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特許6641954レジスト上層膜形成用組成物及び該組成物を用いたパターン形成方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6641954
(24)【登録日】2020年1月8日
(45)【発行日】2020年2月5日
(54)【発明の名称】レジスト上層膜形成用組成物及び該組成物を用いたパターン形成方法
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/11 20060101AFI20200127BHJP
   C08G 63/682 20060101ALI20200127BHJP
   H01L 21/027 20060101ALI20200127BHJP
   G03F 7/20 20060101ALI20200127BHJP
【FI】
   G03F7/11 501
   C08G63/682
   H01L21/30 565
   G03F7/20 521
【請求項の数】4
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2015-240008(P2015-240008)
(22)【出願日】2015年12月9日
(65)【公開番号】特開2017-107032(P2017-107032A)
(43)【公開日】2017年6月15日
【審査請求日】2018年7月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004178
【氏名又は名称】JSR株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112874
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 薫
(74)【代理人】
【識別番号】100147865
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 美和子
(72)【発明者】
【氏名】大澤 壮祐
(72)【発明者】
【氏名】大▲崎▼ 仁視
【審査官】 外川 敬之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−002045(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/11
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルカリ性液を用いて現像を行う工程を含むリソグラフィープロセスに用いるレジスト上層膜形成用組成物であって、
アルカリ解離性を有する部分構造を含み、少なくとも下記一般式(1)又は(2)で表される構造単位(I)を有する[A]重合体を含むレジスト上層膜形成用組成物。
【化1】
(一般式(1)中、Lは単結合、炭素数1〜4の脂肪族炭化水素から2つの水素原子を除いた基、又は炭素数1〜4のフッ素化炭化水素から2つのフッ素原子を除いた基であり、Lは2価の有機基である。
但し、L炭素数1〜4の脂肪族炭化水素から2つの水素原子を除いた基、又は炭素数1〜4のフッ素化炭化水素から2つのフッ素原子を除いた基である場合、LとLの少なくとも一方はフッ素原子を含む2価の有機基である。
一般式(2)中、L及びLは単結合又は2価の有機基である。但し、LとLの少なくとも一方はフッ素原子を含む2価の有機基である。)
【請求項2】
下記数式(1)で示される膜厚変化率が、80%以上である、請求項1に記載のレジスト上層膜形成用組成物。
【数1】
(数式(1)中、Tは前記レジスト上層膜形成用組成物を用いて形成されるレジスト上層膜の現像前の膜厚であり、Tは現像後の膜厚である。)
【請求項3】
液浸露光する工程を含むリソグラフィープロセスに用いる請求項1又は2に記載のレジスト上層膜形成用組成物。
【請求項4】
(1)フォトレジスト組成物を用いて基板の上面側にフォトレジスト膜を形成する工程、
(2)請求項1〜3に記載のレジスト上層膜形成用組成物を用いて前記フォトレジスト膜上にレジスト上層膜を形成する工程、
(3)前記フォトレジスト膜及び前記レジスト上層膜を露光する工程、及び
(4)アルカリ性液を用いて、前記露光されたフォトレジスト膜の少なくとも一部及び前記露光されたレジスト上層膜を除去する工程、
を少なくとも行うパターン形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レジスト上層膜形成用組成物及び該組成物を用いたパターン形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイス、液晶デバイス等の各種電子デバイス構造の微細化に伴って、リソグラフィー工程におけるパターンの微細化が要求されている。このような要求に対し、レンズとレジスト膜との間を純水やフッ素系不活性液体等の液浸媒体で満たして露光を行う液浸露光法が利用されている。液浸露光法によれば、レンズの開口数(NA)の拡大が可能となり高い解像性が得られるといった利点がある。
【0003】
液浸露光法によるパターン形成方法では、レジスト膜成分の液浸媒体への溶出や、レジスト膜表面に残存した液浸媒体の液滴によるパターン欠陥を抑制すること等が要求されている。
これらの要求を満たすための技術として、レジスト膜と液浸媒体との間に保護膜(液浸上層膜)を設けることが提案されている(例えば、特許文献1〜3を参照)。特許文献1〜3には、非水溶性、かつアルカリ可溶性の液浸上層膜形成用組成物を用いて、レジスト膜上に液浸上層膜を形成し、露光時には、この液浸上層膜が有する撥水性によりレジスト膜成分の溶出抑制等を図ると共に、その後の現像工程において、液浸上層膜をアルカリ性液に溶解させることで、レジスト膜表面から液浸上層膜を除去することが開示されている。
【0004】
また、最近では、更に微細なパターンを形成する方法として、EUV、電子線等(以下、「EUV等」ともいう)を用いたリソグラフィーが検討されている(例えば、特許文献4〜6参照)。しかし、EUV等を用いたリソグラフィーの場合、露光を真空下で行う必要があるため、レジスト膜から発生するアウトガスを低減することが求められ、そのための技術として、レジスト膜の表面を被覆するEUV等用の上層膜を設けることが提案されている。この上層膜は、EUV等の露光時には下の層からのアウトガスを遮断し、その後の現像工程においては、現像液により溶解され、レジスト膜表面から剥離される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−91798号公報
【特許文献2】国際公開第2008/047678号パンフレット
【特許文献3】国際公開第2009/041270号パンフレット
【特許文献4】特開2006−171440号公報
【特許文献5】特開2011−016746号公報
【特許文献6】特開2010−204634号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
パターン形成において上層膜を設けた場合、現像時に上層膜形成用組成物に起因する残渣欠陥が発生することが問題となっていた。残渣欠陥が発生する原因の一つとして、現像時に用いられるアルカリ性液に対する上層膜形成用組成物の溶解性が悪いことが挙げられる。
【0007】
本発明では、アルカリ性液に対して優れた溶解性を示すレジスト上層膜形成用組成物及び該組成物を用いたパターン形成方法を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願発明者らは、上記課題を解決するために、レジスト上層膜形成用組成物を構成する重合体の構造に着目し、鋭意研究を行った結果、構造単位に特定の構造を含む重合体を用いることで、アルカリ性液に対して優れた溶解性を示すことを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0009】
本発明では、まず、アルカリ性液を用いて現像を行う工程を含むリソグラフィープロセスに用いるレジスト上層膜形成用組成物であって、
アルカリ解離性を有する部分構造を含み、少なくとも下記一般式(1)又は(2)で表される構造単位(I)を有する[A]重合体を含むレジスト上層膜形成用組成物を提供する。
【化1】
(一般式(1)中、Lは単結合又は2価の有機基であり、Lは2価の有機基である。但し、Lが2価の有機基である場合、LとLの少なくとも一方はフッ素原子を含む2価の有機基である。
一般式(2)中、L及びLは単結合又は2価の有機基である。但し、LとLの少なくとも一方はフッ素原子を含む2価の有機基である。)
また、本発明では、下記数式(1)で示される膜厚変化率を、80%以上とすることもできる。
【数1】
(数式(1)中、Tは前記レジスト上層膜形成用組成物を用いて形成されるレジスト上層膜の現像前の膜厚であり、Tは現像後の膜厚である。)
更に、本発明に係るレジスト上層膜形成用組成物は、液浸露光する工程を含むリソグラフィープロセスに用いることができる。
【0010】
次に、本発明では、(1)フォトレジスト組成物を用いて基板の上面側にフォトレジスト膜を形成する工程、
(2)本発明に係るレジスト上層膜形成用組成物を用いて前記フォトレジスト膜上にレジスト上層膜を形成する工程、
(3)前記フォトレジスト膜及び前記レジスト上層膜を露光する工程、及び
(4)アルカリ性液を用いて、前記露光されたフォトレジスト膜の少なくとも一部及び前記露光されたレジスト上層膜を除去する工程、
を少なくとも行うパターン形成方法を提供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、アルカリ性液に対して優れた溶解性を示すレジスト上層膜形成用組成物及び該組成物を用いたパターン形成方法を提供することができる。なお、ここに記載された効果は、必ずしも限定されるものではなく、本明細書中に記載されたいずれかの効果であってもよい。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための好適な実施形態について説明する。以下に説明する実施形態は、本発明の代表的な実施形態の一例を示したものであり、これにより本発明の範囲が狭く解釈されることはない。
【0013】
1.レジスト上層膜形成用組成物
本実施形態に係るレジスト上層膜形成用組成物は、少なくとも一般式(1)又は(2)で表される構造単位(I)を有する[A]重合体を含む。また、必要に応じて、[B]重合体、[C]溶媒、その他の成分等を含んでいてもよい。以下、詳細に説明する。
【0014】
<[A]重合体>
[A]重合体は、少なくとも一般式(1)又は(2)で表される構造単位(I)を有する。
【0015】
[A]重合体は、構造単位(I)を有する。構造単位(I)はアルカリ解離性を有する部分構造を含む。[A]重合体において、アルカリ解離性を有する部分構造は、構造単位(I)中に含まれていればよく、構造単位(I)以外の部分に更に含まれていてもよい。また、[A]重合体中には、1種又は2種以上のアルカリ解離性を有する部分構造が含まれていてもよい。構造単位(I)を有するレジスト上層膜形成用組成物は、アルカリ性液を用いて現像を行う工程を含むリソグラフィープロセスに対して好適に用いることができる。
【0016】
「アルカリ解離性を有する」とは、アルカリの存在下で解離する結合を有していることをいう。(例えば、23℃の2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液中)で解離する結合がこれに該当する性質をいう。また、「アルカリ解離性を有する2価の有機基」とは、2価の有機基の中で、アルカリの存在下で解離する結合をこの性質を有する基をいう。
【0017】
[A]重合体は、構造単位(I)を少なくとも有していれば、より具体的な構造は特に限定されない。また、必要に応じて、構造単位(II)や他の構造単位をその構造中に有していてもよい。
【0018】
[構造単位(I)]
構造単位(I)は、一般式(1)又は(2)で表される。
【0019】
[A]重合体中の構造単位(I)は、アルカリ性液と反応して加水分解し、開裂する。 この開裂によって、反応性が高い極性基(R−CО−:カルボキシラートアニオン)が発生すると同時に、[A]重合体全体の分子量もダウンすることで、アルカリ性液への溶解性が高まる。したがって、アルカリ性液に対するレジスト上層膜形成用組成物の溶け残りが減少し、該レジスト上層膜形成用組成物に起因する残渣欠陥の発生を抑制することができる。特に、[A]重合体が構造単位(I)を主鎖中に含むことが、分子量の低下幅が大きくなる点で好ましい。
【0020】
以上のことから、本実施形態に係るレジスト上層膜形成用組成物は、アルカリ性液を用いて現像を行う工程を含むリソグラフィープロセスに対して好適に用いることができる。該レジスト上層膜形成用組成物を液浸上層膜の形成に用いた場合、高い撥水性を維持しつつも、優れた残渣欠陥抑制性を示す。また、EUV、電子線等の露光におけるコート剤等として用いた場合、レジスト膜からのアウトガス遮断に優れた効果を発揮し、さらに残渣欠陥抑制性にも優れる。
【0021】
一般式(1)中のLは、単結合又は2価の有機基である。
「有機基」とは、少なくとも1つの炭素原子を含む基をいう。
【0022】
が単結合である場合、その両側に位置する2つのカルボニル炭素は、原子団等を介さず直接結合されている。
2価の有機基としては、例えば、炭素数1〜30の2価の炭化水素基、ヘテロ原子を含む炭素数1〜30の2価の有機基、又は炭素数1〜30の2価の炭化水素基及びヘテロ原子を含む炭素数1〜30の2価の有機基が有する一部又は全部の水素原子を置換基で置換した基等が挙げられる。
【0023】
炭素数1〜30の2価の炭化水素基としては、例えば、炭素数1〜30の2価の鎖状炭化水素基、炭素数3〜30の2価の脂環式炭化水素基、芳香環を含む炭素数6〜30の炭化水素基、又はこれらの基を組み合わせた2価の炭化水素基等が挙げられる。
【0024】
炭素数1〜30の2価の鎖状炭化水素基としては、例えば、メタンジイル基、エタンジイル基、プロパンジイル基、ブタンジイル基、エテンジイル基、プロペンジイル基、ブテンジイル基、エチンジイル基、プロピンジイル基、ブチンジイル基、イソプロピリデン基等が挙げられる。
【0025】
炭素数3〜30の2価の脂環式炭化水素基としては、例えば、シクロプロパンジイル基、シクロブタンジイル基、シクロペンタンジイル基、シクロヘキサンジイル基等の単環のシクロアルカンジイル基;シクロプロペンジイル基、シクロブテンジイル基等の単環のシクロアルケンジイル基;ノルボルナンジイル基、アダマンタンジイル基、トリシクロデカンジイル基、テトラシクロドデカンジイル基等の多環のシクロアルカンジイル基;ノルボルネンジイル基、トリシクロデセンジイル基等の多環のシクロアルケンジイル基等が挙げられる。
【0026】
芳香環を含む炭素数6〜30の炭化水素基としては、例えば、ベンゼン、ビフェニル、ナフタレン、アントラセン、フルオレン、フェナントレイン、インダセン、ターフェニル、アセナフチレン、フェナレン等の芳香族性を有する化合物から水素原子を2つ除いた2価の基が挙げられる。
【0027】
ヘテロ原子を含む炭素数1〜30の2価の有機基としては、例えば、エーテル基、オキシカルボニル基(エステル基)、アミド基、尿素基、スルトン基等のヘテロ原子含有基を炭素−炭素間又は末端に含む2価の有機基等が挙げられる。
【0028】
炭素数1〜30の2価の炭化水素基及びヘテロ原子を含む炭素数1〜30の2価の有機基が有する一部又は全部の水素原子を置換する置換基としては、例えば、ハロゲン原子、炭素数1〜5の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、炭素数1〜5の直鎖状若しくは分岐状のアルコキシ基等が挙げられる。
【0029】
ハロゲン原子としては、例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等が挙げられる。
炭素数1〜5の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、2−メチルプロピル基、1−メチルプロピル基、tert−ブチル基等が挙げられる。
炭素数1〜5の直鎖状若しくは分岐状のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、2−メチルプロポキシ基、1−メチルプロポキシ基、tert−ブトキシ基等が挙げられる。
これらのアルキル基やアルコキシ基は、置換基によって置換されていてもよい。該置換基としては、例えば、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ヒドロキシル基、メトキシ基、エトキシ基、フェノキシ基、アミノ基、ジメチルアミノ基等が挙げられる。
【0030】
水素原子を置換する置換基としては、フッ素原子が好ましい。これにより、形成されるレジスト上層膜の撥水性を高めることができ、かつ、構造単位(I)のアルカリ解離性を高め、残渣欠陥の発生をより抑制することができる。また、レジスト上層膜がフッ素原子を含むことにより、加熱時や露光時にレジスト樹脂等から発生するガスの透過率が低下する。これにより、半導体製造装置の汚染を抑制することができる。
【0031】
は、単結合、炭素数1〜4の脂肪族炭化水素から2つの水素原子を除いた基、又は炭素数1〜4のフッ素化炭化水素から2つのフッ素原子を除いた基が好ましい。中でも、下記化学式(L−1)で表される基が好ましい。下記化学式(L−1)において、nは1〜4の整数を示す。下記化学式(L−1)中、*は一般式(1)中のカルボニル炭素との結合部位を示す。
【0032】
【化2】
【0033】
一般式(1)中のLは、2価の有機基である。
は、エタンジイル基、下記化学式(L−2)、又は(L−3)で表される基が好ましい。下記化学式(L−2)において、mは1〜4の整数を示す。下記化学式(L−3)において、rは0〜8の整数、sは0〜8の整数であり、r+s=2〜8の整数を示し、p及びqは0又は1であり、p+q=1又は2を示す。また、Rは、Rf−OCO−、又はRf−COO−であり、Rが複数存在する場合、複数のRは同一でも異なっていてもよく、下記化学式(L−3)におけるRの総数は1〜4である。Rfは、炭素数1〜6のフッ素原子を1つ以上含むフッ素炭化水素基であり、Rfが複数存在する場合、複数のRfは同一でも異なっていてもよい。下記化学式(L−2)及び(L−3)中、*は一般式(1)中の酸素原子との結合部位を示す。
【0034】
【化3】
【0035】
は、フッ素原子を含む基であることが好ましい。フッ素原子は電子求引力が高く、アルカリの存在下でLが解離し易くなるため、残渣欠陥の発生がより抑制されると考えられる。また、形成されるレジスト上層膜の撥水性を高めることができる。
【0036】
また、一般式(1)において、Lが2価の有機基である場合、LとLの少なくとも一方はフッ素原子を含む2価の有機基である。LとLの少なくとも一方を、フッ素原子を含む2価の有機基とすることで、フッ素原子の電子求引力により、構造単位(I)のアルカリ解離性を更に高めることができる。
なお、この場合、L及びLは同一でも異なっていてもよい。
【0037】
また、一般式(1)において、Lが単結合である場合も、Lはフッ素原子を含む基であることが好ましい。Lがフッ素原子を含む基であることにより、形成されるレジスト上層膜の撥水性を高めることができる。また、構造単位(I)のアルカリ解離性を更に高めることができる。
【0038】
一般式(2)中、L及びLは単結合又は2価の有機基である。但し、LとLの少なくとも一方はフッ素原子を含む2価の有機基である。
なお、L及びLは同一でも異なっていてもよい。
【0039】
及びLの、単結合又は2価の有機基としては、前述したLで記載したものと同様であるため、その詳細な説明は省略する。
【0040】
及びLは、単結合、炭素数1〜4の脂肪族炭化水素から2つの水素原子を除いた基、炭素数1〜4のフッ素化炭化水素から2つのフッ素原子を除いた基、エタンジイル基、又は化学式(L−1)〜(L−3)で表される基が好ましい。化学式(L−1)〜(L−3)中、*は一般式(2)中のカルボニル炭素又は酸素原子との結合部位を示す。
【0041】
また、一般式(2)において、LとLの少なくとも一方はフッ素原子を含む2価の有機基である。LとLの少なくとも一方を、フッ素原子を含む2価の有機基とすることで、フッ素原子の電子求引力により、形成されるレジスト上層膜の撥水性を高めることができ、かつ、構造単位(I)のアルカリ解離性を高めることができる。
【0042】
構造単位(I)の具体例としては、例えば、下記化学式(I−1)〜(I−5)で表される構造単位等が挙げられる。
【0043】
【化4】
【0044】
構造単位(I)は、化学式(I−1)〜(I−5)で表される構造単位が好ましい。
【0045】
[A]重合体における構造単位(I)の含有割合としては、[A]重合体を構成する全構造単位に対して、20モル%以上100モル%以下が好ましく、30モル%以上80モル%以下がより好ましい。構造単位(I)の含有率を30モル%以上80モル%以下とすることで、より効果的に残渣欠陥の発生を抑制できる。
【0046】
[A]重合体は、必要に応じて、カルボキシ基やスルホ基を有していてもよい。[A]重合体が、カルボキシ基やスルホ基を更に有することで、形成されるレジスト上層膜とレジスト膜との密着性を向上させることができかつ、残渣欠陥の発生を更に抑制できる。
【0047】
[その他の構造単位]
[A]重合体は、必要に応じて、構造単位(I)以外に、その他の構造単位を有していてもよい。
【0048】
その他の構造単位としては、例えば、撥水性を向上させる観点からは、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ラウリル等の(メタ)アクリル酸アルキルに由来する構造単位等が挙げられる。
また、[A]重合体の分子量、ガラス転移点、溶媒への溶解性などを制御する観点からは、酸解離性基を有する構造単位等が挙げられる。
なお、これらその他の構造単位は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0049】
[A]重合体におけるその他の構造単位の含有割合としては、[A]重合体を構成する全構造単位に対して、通常30モル%以下であり、20モル%以下が好ましい。
【0050】
<重量平均分子量(Mw)>
「重量平均分子量(Mw)」とは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下、「GPC」ともいう。)により測定される、ポリスチレン換算の値をいう。
本実施形態に係るレジスト上層膜形成用組成物に含有される[A]重合体の重量平均分子量(Mw)は特に限定されないが、3,000以上50,000以下が好ましく、5,000以上30,000以下がより好ましく、7,500以上20,000以下が更に好ましい。[A]重合体のMwを3,000以上50,000以下とすることで、良好な成膜性と、残渣欠陥の抑制を両立することができる。
【0051】
[A]重合体のMwとGPC法によるポリスチレン換算数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)としては、5以下が好ましく、4以下がより好ましく、3.5以下が更に好ましい。
【0052】
<ガラス転移温度(Tg)>
「ガラス転移温度(Tg)」とは、非結晶固体材料にガラス転移が起きる温度であって、示差走査熱量分析法により昇温速度20℃/minで測定された値をいう。
レジスト上層膜形成用組成物に含有される[A]重合体のガラス転移温度(Tg)は特に限定されないが、30℃以上150℃以下が好ましく、35℃以上120℃以下がより好ましく、35℃以上100℃以下が更に好ましい。Tgを30℃以上150℃以下とすることで、良好な成膜性と、残渣欠陥の抑制を両立することができる。
【0053】
[A]重合体のTgの上限としては、150℃以下が好ましく、120℃以下がより好ましく、100℃以下が更に好ましく、70℃以下が特に好ましい。
【0054】
[A]重合体のTgの下限としては、30℃以上が好ましく、35℃以上がより好ましい。
【0055】
<[B]重合体>
本実施形態に係るレジスト上層膜形成用組成物は、本発明の効果を損なわない限り、[B]重合体を含んでいてもよい。
【0056】
[B]重合体は、スルホ基を含む構造単位(II)を有することが好ましい。
構造単位(II)としては、例えば、下記一般式(3)又は(4)で表される構造単位等が挙げられる。
【0057】
【化5】
(一般式(3)及び(4)中、Rは、それぞれ独立に、水素原子、メチル基、フッ素原子、又はトリフルオロメチル基であり、Rは、それぞれ独立に、単結合、酸素原子、硫黄原子、炭素数1〜6の直鎖状若しくは分岐状の2価の炭化水素基、炭素数4〜12の2価の脂環式炭化水素基、又は炭素数6〜12の2価の芳香族炭化水素基である。)
【0058】
炭素数1〜6の直鎖状若しくは分岐状の2価の炭化水素基としては、例えば、メチレン基、エチレン基;1,3−プロピレン基、1,2−プロピレン基等のプロピレン基;テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、1−メチル−1,3−プロピレン基、2−メチル−1,3−プロピレン基、2−メチル−1,2−プロピレン基、1−メチル−1,4−ブチレン基、2−メチル−1,4−ブチレン基、エチリデン基、プロピリデン基、2−プロピリデン基等を挙げることができる。
【0059】
炭素数4〜12の2価の脂環式炭化水素基としては、例えば、単環式炭化水素基、架橋環式炭化水素基等が挙げられる。
単環式炭化水素基としては、1,3−シクロブチレン基等のシクロブチレン基、1,3−シクロペンチレン基等のシクロペンチレン基、1,4−シクロヘキシレン基等のシクロヘキシレン基、1,5−シクロオクチレン基等のシクロオクチレン基等の炭素数4〜12のシクロアルキレン基等が挙げられる。
架橋環式炭化水素基としては、例えば、1,4−ノルボルニレン基、2,5−ノルボルニレン基等のノルボルニレン基、1,5−アダマンチレン基、2,6−アダマンチレン基等のアダマンチレン基等の炭素数4〜12の2〜4環式炭化水素基等が挙げられる。
【0060】
炭素数6〜12の2価の芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニレン基、トリレン基等のアリーレン基等が挙げられる。
【0061】
は、この中でも特に、一般式(3)においては、単結合、炭素数6〜12の2価の芳香族炭化水素が好ましく、単結合、メチレン基、フェニレン基が特に好ましい。一般式(4)においては、炭素数1〜6の直鎖状若しくは分岐状の2価の炭化水素基が好ましく、2−メチルプロパンー2,3−ジイル基が特に好ましい。
【0062】
構造単位(II)の具体例としては、例えば、下記化学式(II−1)〜(II−4)で表される構造単位等が挙げられる。下記化学式(II−1)〜(II−4)中のRは、一般式(3)及び(4)と同義である。
【0063】
【化6】
【0064】
構造単位(II)は、化学式(II−1)〜(II−4)で表される構造単位が好ましい。
【0065】
[B]重合体における構造単位(II)の含有割合としては、[B]重合体を構成する全構造単位に対して、3モル%以上40モル%以下が好ましく、5モル%以上30モル%以下がより好ましい。構造単位(II)の含有率を5モル%以上30モル%以下とすることで、形成されるレジスト上層膜とレジスト膜との密着性を向上させることができ、かつ、残渣欠陥の発生を更に抑制できる。
【0066】
[B]重合体は、必要に応じて、構造単位(II)以外に、その他の構造単位を有していてもよい。
【0067】
<各重合体の合成方法>
各重合体はそれぞれ公知の方法により合成できる。[A]重合体は、例えば(1)ジカルボン酸化合物等とジヒドロキシ化合物等、又はヒドロキシカルボン酸等を縮重合させる方法や、(2)アルカリ解離性を有する部分構造を含みかつ分子間で共有結合を形成することができる基を少なくとも2つ有する化合物を同じ又は異なる化合物と結合させる方法により合成することができる。
【0068】
(1)の方法としては、例えばジカルボン酸ジハロゲン化化合物とジヒドロキシ化合物を反応させてエステル結合を生成させる方法や、ジカルボン酸化合物とジヒドロキシ化合物とを触媒の存在下脱水縮合させる方法が挙げられる。上記(2)の方法における分子間で共有結合を形成することができる基としては、例えばオキシラニル基、オキセタニル基等のエポキシ基、アルコキシメチル基、アセトキシメチル基、ベンゾイルオキシメチル基、ヒドロキシ基、アミノ基、シリル基、アルケニル基、イソシアネート基、ホルミル基、シアノ基、イソチオシアネート基等が挙げられる。これらの中で、分子間の共有結合をより簡便に形成することができる観点から、エポキシ基及びヒドロキシ基が好ましい。
[B]重合体については、例えば、適宜選択された重合開始剤や連鎖移動剤の存在下、重合溶媒中で、所定の単量体をラジカル重合等の重合をさせることによって合成することができる。
【0069】
重合における反応温度としては、通常40℃〜150℃であり、好ましくは50℃〜120℃である。反応時間としては、通常1時間〜48時間であり、好ましくは1時間〜24時間である。
【0070】
本実施形態に係るレジスト上層膜形成用組成物は、ハロゲンイオン、金属等の不純物が少ないほど好ましい。不純物を少なくすることにより、レジスト上層膜としての塗布性とアルカリ現像液への均一な溶解性とを改善することができる。
不純物を少なくするために、各重合体を精製する方法としては、例えば、水洗、液々抽出、脱メタルフィルター通液等の化学的精製法、これら化学的精製法と限外ろ過、遠心分離等の物理的精製法との組み合わせ等が挙げられる。
【0071】
[A]重合体の含有量としては、レジスト上層膜形成用組成物中の全固形分に対して、60質量%以上100質量%以下が好ましい。また、[B]重合体の含有量としては、レジスト上層膜形成用組成物中の全固形分に対して、50質量%以下とすることが好ましく、40質量%以下とすることがより好ましい。
【0072】
<[C]溶媒>
本実施形態に係るレジスト上層膜形成用組成物は、[A]重合体以外に、[A]重合体を溶解又は分散させるために、[C]溶媒を含有していてもよい。
なお、[C]溶媒は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0073】
[C]溶媒としては、例えばアルコール系溶媒、エーテル系溶媒、ケトン系有機溶媒、アミド系溶媒、エステル系有機溶媒、炭化水素系溶媒等が挙げられる。
【0074】
アルコール系溶媒としては、例えば
4−メチル−2−ペンタノール、n−ヘキサノール等の炭素数1〜18の脂肪族モノアルコール系溶媒;
シクロヘキサノール等の炭素数3〜18の脂環式モノアルコール系溶媒;
1,2−プロピレングリコール等の炭素数2〜18の多価アルコール系溶媒;
プロピレングリコールモノメチルエーテル等の炭素数3〜19の多価アルコール部分エーテル系溶媒などが挙げられる。
【0075】
エーテル系溶媒としては、例えば
ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジペンチルエーテル、ジイソアミルエーテル、ジヘキシルエーテル、ジヘプチルエーテル等のジアルキルエーテル系溶媒;
テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン等の環状エーテル系溶媒;
ジフェニルエーテル、アニソール等の芳香環含有エーテル系溶媒などが挙げられる。
【0076】
ケトン系溶媒としては、例えば
アセトン、メチルエチルケトン、メチル−n−プロピルケトン、メチル−n−ブチルケトン、ジエチルケトン、メチル−iso−ブチルケトン、2−ヘプタノン、エチル−n−ブチルケトン、メチル−n−ヘキシルケトン、ジ−iso−ブチルケトン、トリメチルノナノン等の鎖状ケトン系溶媒:
シクロペンタノン、シクロヘキサノン、シクロヘプタノン、シクロオクタノン、メチルシクロヘキサノン等の環状ケトン系溶媒:
2,4−ペンタンジオン、アセトニルアセトン、アセトフェノン等が挙げられる。
【0077】
アミド系溶媒としては、例えば
N,N’−ジメチルイミダゾリジノン、N−メチルピロリドン等の環状アミド系溶媒;
N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルプロピオンアミド等の鎖状アミド系溶媒などが挙げられる。
【0078】
エステル系溶媒としては、例えば
酢酸n−ブチル、乳酸エチル等のモノカルボン酸エステル系溶媒;
プロピレングリコールアセテート等の多価アルコールカルボキシレート系溶媒;
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等の多価アルコール部分エーテルカルボキシレート系溶媒;
シュウ酸ジエチル等の多価カルボン酸ジエステル系溶媒;
ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート等のカーボネート系溶媒などが挙げられる。
【0079】
炭化水素系溶媒としては、例えば
n−ペンタン、n−ヘキサン等の炭素数5〜12の脂肪族炭化水素系溶媒;
トルエン、キシレン等の炭素数6〜16の芳香族炭化水素系溶媒等が挙げられる。
【0080】
エステル系溶媒としては多価アルコール部分エーテルカルボキシレート系溶媒が好ましく、多価アルコール部分アルキルエーテルアセテートが更に好ましく、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートが特に好ましい。ケトン系溶媒としては環状ケトン系溶媒が好ましく、シクロアルカノンが更に好ましく、シクロヘキサノンが特に好ましい。アルコール系溶媒としては、1価アルコールが好ましく、炭素数4〜10の1価アルコールが更に好ましく、4−メチル−2−ペンタノールが特に好ましい。エーテル系溶媒としては、炭素数4〜10の脂肪族エーテル類又は環状エーテル類が好ましく、ジイソアミルエーテルが特に好ましい。これらの溶媒は1種で用いても、2種以上混合して用いてもよい。
【0081】
[C]溶媒として、炭素数4〜10の1価アルコール類及び炭素数4〜10のアルキル鎖を有する脂肪族エーテル類を含む場合には、炭素数4〜10の1価アルコール類と炭素数4〜10のアルキル鎖を有する脂肪族エーテル類の混合比(質量)としては、10:90〜90:10であることが好ましく、30:70〜80:20であることがより好ましく、40:60〜70:30であることが更に好ましい。
【0082】
<その他の成分>
本実施形態に係るレジスト上層膜形成用組成物は、[A]重合体以外に、本発明の効果を損なわない範囲で、その他の成分を含有していてもよい。上記その他の任意成分としては、例えば[A]重合体以外のフッ素原子、ケイ素原子又はこれらの組み合わせを有する重合体、界面活性剤、脂環式骨格含有化合物等が挙げられる。これらのその他の任意成分は、それぞれ1種又は2種以上を併用してもよい。
【0083】
界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンn−オクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンn−ノニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート等のノニオン系界面活性剤の他、以下商品名として、KP341〔信越化学工業社製〕、ポリフローNo.75、同No.95〔以上、共栄社化学社製〕、エフトップEF301、同EF303、同EF352〔以上、トーケムプロダクツ社製〕、メガファックF171、同F173〔以上、大日本インキ化学工業社製〕、フロラードFC430、同FC431〔以上、住友スリーエム社製〕、アサヒガードAG710、サーフロンS−382、同SC−101、同SC−102、同SC−103、同SC−104、同SC−105、同SC−106〔以上、旭硝子社製〕等が挙げられる。
【0084】
<レジスト上層膜形成用組成物の調製方法>
本実施形態に係るレジスト上層膜形成用組成物は、例えば、[A]重合体、[C]溶媒、及び、必要に応じて、[B]重合体やその他の成分を所定の割合で混合することにより調製できる。調製したレジスト上層膜形成用組成物は、例えば、孔径0.2μm程度のフィルターを用いてろ過したものを好適に用いることができる。
【0085】
<レジスト上層膜>
本実施形態に係るレジスト上層膜形成用組成物により形成されるレジスト上層膜は、液浸露光に用いた場合、後述する実施例に示すように、高い撥水性を維持しつつも、優れた残渣欠陥抑制性を示す。また、EUV、電子線等の露光におけるコート剤等として用いた場合、レジスト膜からのアウトガス遮断に優れた効果を発揮し、さらに残渣欠陥抑制性にも優れる。
したがって、本実施形態に係るレジスト上層膜形成用組成物は、リソグラフィープロセスにおいて好適に用いることができる。また、リソグラフィープロセスの中でも、90nmよりも微細な領域(ArF、液浸露光でのArF、F、EUV、ナノインプリント)でのリソグラフィープロセスを用いたパターン形成において、特に好適に用いることができる。
【0086】
また、前記レジスト上層膜は、前記数式(1)で示される膜厚変化率が、80%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましい。膜厚変化率を80%以上とすることで、現像後の残渣欠陥を抑制することができる。
【0087】
2.パターン形成方法
本実施形態に係るパターン形成方法は、(1)フォトレジスト組成物を用いて基板の上面側にフォトレジスト膜を形成する工程(以下、「工程(1)」ともいう。)、(2)本実施形態に係るレジスト上層膜形成用組成物を用いて前記フォトレジスト膜上にレジスト上層膜を形成する工程(以下、「工程(2)」ともいう。)、(3)前記フォトレジスト膜及び前記レジスト上層膜を露光する工程(以下、「工程(3)」ともいう。)、及び(4)アルカリ性液を用いて、前記露光されたフォトレジスト膜の少なくとも一部及び前記露光されたレジスト上層膜を除去する工程(以下、「工程(4)」ともいう。)、を少なくとも行う。
【0088】
本実施形態に係るパターン形成方法では、本実施形態に係るレジスト上層膜形成用組成物を用いている。したがって、残渣欠陥の発生を抑制でき、良好なレジストパターンの形成が可能である。以下、各工程について、詳細に説明する。
【0089】
<工程(1)>
工程(1)は、フォトレジスト組成物を用いて基板の上面側にフォトレジスト膜を形成する工程である。
【0090】
基板としては、例えば、シリコンウェハ、アルミニウムで被覆されたウェハ等の従来公知の基板等が挙げられる。
また、前記基板として、配線溝(トレンチ)、プラグ溝(ビア)等のパターン化された基板を用いてもよい。
【0091】
フォトレジスト組成物としては、例えば、ポジ型化学増幅型レジスト組成物、アルカリ可溶性樹脂を含有するポジ型レジスト組成物、ネガ型化学増幅型レジスト組成物、アルカリ可溶性樹脂を含有するネガ型レジスト組成物等が挙げられる。
また、フォトレジスト組成物として、市販のフォトレジスト組成物をそのまま用いてもよい。
【0092】
フォトレジスト組成物としては、孔径0.2μm程度のフィルターを用いてろ過したものを好適に用いることができる。
【0093】
フォトレジスト組成物の塗布方法は特に限定されず、例えば、スピンコート法等により塗布することができる。なお、塗布する際には、形成されるフォトレジスト膜が所望の膜厚となるように、塗布するフォトレジスト組成物の量を調整する。
【0094】
また、フォトレジスト組成物を基板上に塗布した後、溶媒を揮発させるためにプレベーク(以下、「PB」ともいう。)を行なってもよい。なお、PBの温度は、使用されるフォトレジスト組成物の種類等に応じて、適宜設定することができるが、PBの温度としては、[A]重合体のガラス転移温度(Tg)以上とすることが好ましい。
【0095】
<工程(2)>
工程(2)は、本実施形態に係るレジスト上層膜形成用組成物を用いて前記フォトレジスト膜上にレジスト上層膜を形成する工程である。
【0096】
工程(2)では、本実施形態に係るレジスト上層膜形成用組成物を塗布した後、焼成することが好ましい。液浸露光の場合には、このようにレジスト膜上にレジスト上層膜を形成することによって、液浸媒体とフォトレジスト膜とが直接接触しなくなるため、液浸媒体がフォトレジスト膜に浸透することに起因するフォトレジスト膜のリソグラフィー性能が低下したり、フォトレジスト膜から液浸媒体に溶出した成分によって投影露光装置のレンズが汚染されたりすることを効果的に防止できる。また、EUV、電子線等の露光の場合には、レジスト膜上にレジスト上層膜を形成することによって、レジスト膜からのアウトガスを効果的に抑制できる。
【0097】
レジスト上層膜を形成する方法は、前記フォトレジスト組成物に代えて本実施形態に係るレジスト上層膜形成用組成物を用いること以外は、前述したフォトレジスト膜を形成する方法と同様の方法を採用することができる。
【0098】
レジスト上層膜の厚さは、λ/4m(ただし、λ:放射線の波長、m:保護膜の屈折率とする。)の奇数倍にできる限り近づけることが好ましい。これにより、フォトレジスト膜の上側界面における反射抑制効果を大きくすることができる。
【0099】
<工程(3)>
工程(3)は、前記フォトレジスト膜及び前記レジスト上層膜を露光する工程である。
【0100】
工程(3)に用いる露光光としては、求めるパターンのサイズや形状、レジスト膜種類に応じて適宜選択することができ、例えば、可視光線;g線、i線等の紫外線;エキシマレーザ光等の遠紫外線;シンクロトロン放射線等のX線;EUV(13.5nm);電子線等の荷電粒子線等が挙げられる。これらの中でも、遠紫外線、EUV、電子線が好ましく、ArFエキシマレーザ光(波長193nm)、KrFエキシマレーザ光(波長248nm)、EUV、電子線が好ましく、ArFエキシマレーザ光がより好ましい。露光量等の露光条件も、必要に応じて、適宜選択することができる。
【0101】
工程(3)の露光では、露光光の種類等に応じて、液浸露光とすることができる。
工程(3)の露光が液浸露光の場合、例えば、レジスト上層膜とレンズとの間に液浸露光用液体を配置し、この液浸露光用液体と所定のパターンを有するマスクとを介して、露光光をフォトレジスト膜及びレジスト上層膜に照射し、レジスト膜及びレジスト上層膜を露光する。液浸露光用液体としては、例えば、水、フッ素化合物、長鎖又は環状の脂肪族化合物等が挙げられる。液浸露光用液体は、露光波長に対して透明であり、且つ膜上に投影される光学像の歪みを最小限に留めるよう屈折率の温度係数ができる限り小さい液体が好ましい。露光光がArFエキシマレーザー光である場合の液浸露光用液体としては、入手の容易さ、取り扱いのし易さといった観点から、水を用いるのが好ましい。使用する水としては蒸留水、超純水がより好ましい。
【0102】
更に、露光後は、ポストエクスポージャーベーク(以下、「PEB」ともいう。)を行うことが好ましい。これにより、フォトレジスト膜の解像度等を向上させることができる。なお、PEBの温度は、使用されるフォトレジスト組成物の種類等に応じて、適宜設定することができる。
【0103】
<工程(4)>
工程(4)は、アルカリ性液を用いて、前記露光されたフォトレジスト膜の少なくとも一部及び前記露光されたレジスト上層膜を除去する工程である。前記レジスト上層膜は、アルカリ性液に対する溶解性が高いため、工程(4)において、容易に除去することができる。
【0104】
アルカリ性液としては、アルカリ性である限り特に限定されず、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、珪酸ナトリウム、メタ珪酸ナトリウム、アンモニア、エチルアミン、n−プロピルアミン、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(以下、「TMAH」ともいう。)、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、ピロール、ピペリジン、コリン、1,8−ジアザビシクロ−[5.4.0]−7−ウンデセン、1,5−ジアザビシクロ−[4.3.0]−5−ノナン等を少なくとも1種以上溶解させた、アルカリ性水溶液等が挙げられる。
この中でも特に、TMAH水溶液が好ましい。
【0105】
アルカリ性水溶液は、水溶性有機溶媒、界面活性剤等を適量添加したものであってもよい。
水溶性有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロプロパノール、i−プロパノール、n−ブタノール、t−ブタノール、シクロペンタノール、シクロヘキサノール、1,4−ヘキサンジオール、1,4−ヘキサンジメタノール等のアルコール類が挙げられる。
【0106】
また、露光されたフォトレジスト膜の少なくとも一部及びレジスト上層膜を除後にリンス液等を用いて洗浄することが好ましい。
リンス液としては、水が好ましく、超純水がより好ましい。
【実施例】
【0107】
以下、実施例を説明する。なお、以下に示す実施例は、本実施形態の代表的な実施例の一例を示したものであり、これにより本発明の範囲が狭く解釈されることはない。
【0108】
1.重合体の合成
下記化学式(M−1)〜(M−9)で表される化合物を用いて、[A]重合体及び[B]重合体を合成した。
【0109】
【化7】
【0110】
[重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)及び分散度(Mw/Mn)]
重合体のMw及びMnは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により決定した。東ソー社製のGPCカラム(G2000HXL 2本、G3000HXL 1本、G4000HXL 1本)を使用し、以下の条件により測定した。また、分散度(Mw/Mn)は、Mw及びMnの測定結果より算出した。
溶離液:テトラヒドロフラン
流量:1.0mL/分
試料濃度:1.0質量%
試料注入量:100μL
カラム温度:40℃
検出器:示差屈折計
標準物質:単分散ポリスチレン
【0111】
H−NMR分析及び13C−NMR分析]
H−NMR分析及び13C−NMR分析は、日本電子社製JNM−EX270を使用し、測定溶媒として、アセトン−dを使用して行った。
【0112】
[[A]重合体の合成]
<重合例1>
化合物(M−1)5.0g(50モル%)を25gのアセトニトリルに溶解し5℃以下に冷却した。化合物(M−4)19.9g(50モル%)を25gのアセトニトリルに溶解した溶液をゆっくり滴下した。ピリジン6.2gを30分かけて滴下し、滴下完了後室温まで昇温し3時間攪拌した。5℃以下に冷却し1NHCl水溶液300mLを加えて30分間攪拌した。反応溶液を1L分液漏斗に移液し、トルエン300mLを加えて混合した。上層を回収し純水300mLを加え混合した。上層を回収し硫酸ナトリウムで乾燥後、溶剤置換によりプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液とした(収率58%)。
得られた重合体(A−1)のMwは12,100であり、Mw/Mnは3.1であった。
【0113】
<重合例2〜4>
下記表1に示す種類及び量の単量体を用いた以外は重合例1と同様に操作して、各重合体をした。また、合成した各重合体の収率(%)、Mw及びMw/Mnを下記表1に合わせて示す。
【0114】
<重合例5>
化合物(M−7)23.7g及び化合物(M−8)29.4gを31.9gの2−ブタノンに溶解し、ジメチル2,2’−アゾビスイソブチレート1.2gを溶解させて単量体溶液を調製した。引き続き、74.3gの2−ブタノンを入れた1,000mLの三口フラスコを30分窒素パージした後、攪拌しながら80℃に加熱し、上記調製した単量体溶液を滴下漏斗にて3時間かけて滴下した。滴下開始を重合反応の開始時間とし、重合反応を6時間実施した。重合反応終了後、重合溶液を水冷して30℃以下に冷却した。次いで、得られた共重合液を分液漏斗に移した。この分液漏斗にメタノール160.5g及びn−ヘキサン802.5gを投入し、分離精製を実施した。分離後、下層液を回収した。回収した下層液にメタノール160.5g及びn−ヘキサン802.5gを投入し、分離精製を実施した。分離後、下層液を回収した。回収した下層液を4−メチル−2−ペンタノールに置換し、重合体(a−1)を含む溶液を得た。その重合体溶液0.5gをアルミ皿にのせ、155℃に加熱したホットプレート上で30分間加熱した後の残渣の質量から、重合体(a−1)を含む溶液の固形分濃度を算出し、その固形分濃度の値をその後のレジスト上層膜形成用組成物溶液の調製と収率計算に用いた。
得られた重合体(a−1)のMwは7600、Mw/Mnは2.4、収率は67%であった。また、19F−NMR分析の結果、化合物(M−7)、化合物(M−8)に由来する各構造単位の含有率が41:59(モル%)であった。
【0115】
[[B]重合体の合成]
<重合例6>
化合物(M−8)47.8g(85モル%)及び重合開始剤 2,2’−アゾビス−(2−メチルプロピオン酸メチル)4.5gをイソプロパノール40.00gに溶解させた単量体溶液を準備した。
一方、温度計及び滴下漏斗を備えた200mLの三つ口フラスコにイソプロパノール50gを投入し、30分間窒素パージした。窒素パージの後、フラスコ内をマグネティックスターラーで攪拌しながら、80℃になるように加熱し、滴下漏斗を用い、予め準備しておいた単量体溶液を2時間かけて滴下した。滴下終了後、更に1時間反応を行い、構造単位(II)を与える化合物(M−9)3.2g(15モル%)のイソプロパノール溶液10gを30分かけて滴下した。その後、更に1時間反応を行った後、30℃以下になるまで冷却することにより重合液を得た。
得られた上記重合液を150gに濃縮した後、分液漏斗に移した。この分液漏斗にメタノール50gとn−ヘキサン600gを投入し、分離精製を実施した。分離後、下層液を回収した。この下層液をイソプロパノールで希釈して100gとし、再度、分液漏斗に移した。その後、メタノール50gとn−ヘキサン600gを上記分液漏斗に投入して、分離精製を実施し、分離後、下層液を回収した。回収した下層液を4−メチル−2−ペンタノールに置換し、全量を250gに調整した。調整後、水250gを加えて分離精製を実施し、分離後、上層液を回収した。回収した上層液は、4−メチル−2−ペンタノールに置換し、重合体(B−1)を含む溶液を得た。
得られた重合体(B−1)のMwは8,000、Mw/Mnは1.5であり、収率は80%であった。また、(M−8)及び(M−9)に由来する各構造単位の含有率は、それぞれ、98モル%、2モル%であった。
【0116】
【表1】
【0117】
2.レジスト上層膜形成用組成物の調製
各レジスト上層膜形成用組成物の調製に用いた[C]溶媒は以下の通りである。
[[C]溶媒]
(C−1):4−メチル−2−ペンタノール
(C−2):ジイソアミルエーテル
【0118】
<実施例4>
[A]重合体としての(A−1)60質量部、[B]重合体としての(B−1)40質量部、[C]溶媒としての(C−1)2,940質量部、及び(C−2)1960質量部を混合し、レジスト上層膜組成物を調製した。
【0119】
<実施例1〜3、5並びに比較例1及び2>
下記表2に記載した種類及び量の各成分を混合した以外は、実施例4と同様にして、各レジスト上層膜形成用組成物を得た。
【0120】
3.フォトレジスト組成物の調製
フォトレジスト膜形成のためのフォトレジスト組成物を以下の方法により調製した。
【0121】
[フォトレジスト組成物用重合体の合成]
<重合例7>
下記化合物(M−10)53.93g(50モル%)、化合物(M−11)35.38g(40モル%)、及び化合物(M−12)10.69g(10モル%)を2−ブタノン200gに溶解し、更にジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)5.58gを投入した単量体溶液を準備し、100gの2−ブタノンを投入した500mLの三口フラスコを30分窒素パージした。窒素パージの後、反応釜を攪拌しながら80℃に加熱し、事前に準備した上記単量体溶液を、滴下漏斗を用いて3時間かけて滴下した。滴下開始を重合開始時間とし、重合反応を6時間実施した。重合終了後、重合溶液は水冷することにより30℃以下に冷却し、2,000gのメタノールへ投入し、析出した白色粉末をろ別した。ろ別された白色粉末を2回400gずつのメタノールを用いてスラリー状にして洗浄した後、ろ別し、50℃にて17時間乾燥し、白色粉末の重合体(P−1)を得た(74g、収率74%)。
この重合体(P−1)はMwが6,900、Mw/Mn=1.70、13C−NMR分析の結果、化合物(M−10)、化合物(M−11)、及び化合物(M−12)に由来する各構造単位の含有割合が53.0:37.2:9.8(モル%)の共重合体であった。なお、この重合体中の各単量体由来の低分子量成分の含有量は、この重合体100質量%に対して、0.03質量%であった。
【0122】
【化8】
【0123】
[フォトレジスト組成物の調製]
<合成例7>
重合体(P−1)100質量部、酸発生剤としてトリフェニルスルホニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート 1.5質量部及び1−(4−n−ブトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート 6質量部、酸拡散制御剤としてR−(+)−(tert−ブトキシカルボニル)−2−ピペリジンメタノール 0.65質量部を混合し、この混合物に、溶媒として、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 2,900質量部、シクロヘキサノン 1,250質量部及びγ−ブチロラクトン 100質量部を加えて、全固形分濃度を5質量%に調整し、孔径30nmのフィルターでろ過することにより、フォトレジスト組成物(α)を調製した。
【0124】
4.評価
上記実施例1〜5並びに比較例1及び2で得られた各レジスト上層膜形成用組成物を用いてレジスト上層膜を形成し、以下に示す各種評価を行った。評価結果は、下記表2に合わせて示す。
【0125】
[後退接触角(RCA)(°)]
8インチシリコンウエハ上に、各レジスト上層膜形成用組成物をスピンコートし、ホットプレート上で90℃、60秒PBを行い、膜厚30nmのレジスト上層膜を形成した。その後、DSA−10(KRUS社製)を使用して、速やかに、23℃、湿度45%、常圧の環境下で、後退接触角を測定した。すなわち、DSA−10のウェハステージ位置を調整し、この調整したステージ上に上記ウェハをセットした。次に、針に水を注入し、上記セットしたウェハ上に水滴を形成可能な初期位置に針の位置を微調整した。その後、この針から水を排出させてウェハ上に25μLの水滴を形成し、一旦、この水滴から針を引き抜き、再び初期位置に針を引き下げて水滴内に配置した。続いて、10μL/minの速度で90秒間、針によって水滴を吸引すると同時に接触角を毎秒1回、合計90回測定した。このうち、接触角の測定値が安定した時点から20秒間の接触角についての平均値を算出して後退接触角(RCA)(°)とした。後退接触角(RCA)が90°に近い程、レジスト上層膜の撥水性が高いことを示す。
【0126】
[膜厚変化率(%)]
8インチシリコンウエハ上に、各レジスト上層膜形成用組成物をスピンコートし、ホットプレート上で90℃、60秒PBを行い、膜厚280nmのレジスト上層膜を形成した。その後、M−2000D(ジェー・エー・ウーラム・ジャパン社製)を使用して、速やかに、23℃、湿度45%、常圧の環境下で、膜厚を測定し現像前膜厚Tとした。次いで2.38%TMAH水溶液を現像液としてパドル現像を10秒間行い、超純水でリンスした。2,000rpm、15秒間振り切りでスピンドライすることにより現像後評価用基板を得た。この基板の膜厚を同様に測定し現像後膜厚Tとした。膜厚変化率(%)は、前記数式(1)に従い算出した。
【0127】
[残渣欠陥]
12インチシリコンウエハ表面に、下層反射防止膜(ARC66、日産化学社製)をLithius Pro−i(東京エレクトロン社製)を使用してスピンコートした後、PB(205℃、60秒)を行うことにより膜厚105nmの下層反射防止膜を形成した。次いで、CLEAN TRACK ACT12を使用してフォトレジスト組成物(α)をスピンコートし、100℃、60秒でPBを行い、23℃で30秒間冷却することにより膜厚100nmのレジスト膜を形成した。その後、レジスト膜上に、各レジスト上層膜形成用組成物を塗布してレジスト上層膜を形成した。
次に、ArF液浸露光装置(S610C、NIKON社製)を使用し、NA:1.30、Crosspoleの光学条件にて、45nmライン/90nmピッチのパターンを投影するためのマスクを介して露光した(以下、マスクによって投影されるパターンの寸法をそのマスクの「パターン寸法」と呼ぶ。例えば、パターン寸法が40nmライン/84nmピッチのマスクとは40nmライン/84nmピッチのパターンを投影するためのマスクのことを指す。)。Lithius Pro−iのホットプレート上で100℃、60秒の条件でPEBを行い、23℃で30秒間冷却した後、現像カップのGPノズルにて、2.38%TMAH水溶液を現像液としてパドル現像を10秒間行い、超純水でリンスした。2,000rpm、15秒間振り切りでスピンドライすることにより、レジストパターンが形成された評価用基板を得た。このとき、パターン寸法が45nmライン/90nmピッチのマスクにおいて、45nmライン/90nmピッチのレジストパターンが形成される露光量を最適露光量とした。45nm/90nmピッチのレジストパターンが形成される際、残渣欠陥が見られなかった場合を「A」、残渣欠陥がほとんど見られなかった場合を「B」、残渣欠陥が見られた場合を「C」とした。
【0128】
【表2】
【0129】
5.考察
上記表2から明らかなように、実施例1〜5のレジスト上層膜形成用組成物を用いて形成されるレジスト上層膜は、高い撥水性を維持しつつも、優れた残渣欠陥抑制性を示すことが判明した。これは、本実施形態に係るレジスト上層膜形成用組成物が、アルカリ性液に対して優れた溶解性を示すことに起因する。
【0130】
一方で、比較例1のレジスト上層膜形成用組成物を用いて形成されるレジスト上層膜は、膜厚変化率が15.4%と少なく、また、残渣欠陥が見られた。比較例2のレジスト上層膜形成用組成物を用いて形成されるレジスト上層膜は、残渣欠陥が見られた。
【0131】
以上のことから、本実施形態に係るレジスト上層膜形成用組成物は、アルカリ性液を用いて現像を行う工程を含むリソグラフィープロセスに対して好適に用いられ、本実施形態に係るレジスト上層膜形成用組成物を用いて形成されるレジスト上層膜は、高い撥水性を維持しつつも、優れた残渣欠陥抑制性を示すことが判明した。
【産業上の利用可能性】
【0132】
本実施形態に係るレジスト上層膜形成用組成物は、アルカリ性液に対して優れた溶解性を示し、該レジスト上層膜形成用組成物を用いて形成されるレジスト上層膜は、高い撥水性を維持しつつも、優れた残渣欠陥抑制性を示す。
したがって、本実施形態に係るレジスト上層膜形成用組成物及び該組成物を用いたパターン形成方法は、アルカリ性液を用いて現像を行う工程を含むリソグラフィープロセスに対して、好適に用いることができる。