特許第6645182号(P6645182)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6645182
(24)【登録日】2020年1月14日
(45)【発行日】2020年2月14日
(54)【発明の名称】空気入りタイヤ
(51)【国際特許分類】
   B60C 15/00 20060101AFI20200203BHJP
   B60C 15/024 20060101ALI20200203BHJP
   B60C 15/06 20060101ALI20200203BHJP
【FI】
   B60C15/00 L
   B60C15/024 B
   B60C15/06 Q
【請求項の数】4
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-255262(P2015-255262)
(22)【出願日】2015年12月25日
(65)【公開番号】特開2017-114453(P2017-114453A)
(43)【公開日】2017年6月29日
【審査請求日】2018年12月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006714
【氏名又は名称】横浜ゴム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 貴之
【審査官】 市村 脩平
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−228746(JP,A)
【文献】 特開2005−329796(JP,A)
【文献】 特開2002−254908(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60C1/00−19/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
15[°]テーパーの規定リムに装着される空気入りタイヤであって、
タイヤ赤道面のタイヤ幅方向両側に配設される一対のビード部と、
一対の前記ビード部のそれぞれに設けられるビードコアと、
一対の前記ビードコアに支持され、カーカス本体部及び前記ビードコアで折り返されることにより形成されるカーカス折り返し部を有するカーカスと、
前記ビードコアで折り返された前記カーカスの外面に配置されるスチールコード補強層と、
少なくとも一部が前記カーカス本体部と前記カーカス折り返し部との間に配置されるビードゴム層と、を備え、
前記規定リムに装着されない状態において、
前記ビードコアの最もタイヤ幅方向外側の突出点を通り前記ビードコアの最長辺と平行な第1線分と、
前記ビード部のうち前記規定リムと接触するビードベース部のビードヒール側の辺と、
前記ビード部のうち前記ビードベース部よりもタイヤ幅方向外側のタイヤ外表面の曲線と、
前記辺と前記曲線との第1交点と、
前記第1交点を通り前記第1線分に垂直な第2線分と、
前記突出点を通り前記第1線分に垂直な第3線分と、が規定され、
前記第2線分と前記第3線分との距離は、4[mm]以上8[mm]以下であり、
前記ビードベース部のビードトウにおけるタイヤ半径R2と、ビードヒールにおけるタイヤ半径R1との比R2/R1は、0.935以上0.975以下であ
前記ビードコアにおけるタイヤ半径R3と、前記ビードヒールにおけるタイヤ半径R1との比R1/R3は、0.985以上0.995以下である、
ことを特徴とする空気入りタイヤ。
【請求項2】
前記ビードベース部は、ビードヒールを含む外側部分と、ビードトウを含む内側部分とを含み、
前記タイヤ赤道面に垂直な線に対する前記外側部分の辺の角度は、18[°]以上23[°]以下であり、前記内側部分の辺の角度は、27[°]以上33[°]以下である、
ことを特徴とする請求項に記載の空気入りタイヤ。
【請求項3】
前記タイヤ赤道面に垂直な線に対するビードベース部の前記辺の角度は、15[°]以上20[°]以下である、
ことを特徴とする請求項に記載の空気入りタイヤ。
【請求項4】
15[°]テーパーの規定リムに装着される空気入りタイヤであって、
タイヤ赤道面のタイヤ幅方向両側に配設される一対のビード部と、
一対の前記ビード部のそれぞれに設けられるビードコアと、
一対の前記ビードコアに支持され、カーカス本体部及び前記ビードコアで折り返されることにより形成されるカーカス折り返し部を有するカーカスと、
前記ビードコアで折り返された前記カーカスの外面に配置されるスチールコード補強層と、
少なくとも一部が前記カーカス本体部と前記カーカス折り返し部との間に配置されるビードゴム層と、を備え、
前記規定リムに装着されない状態において、
前記ビードコアの最もタイヤ幅方向外側の突出点を通り前記ビードコアの最長辺と平行な第1線分と、
前記ビード部のうち前記規定リムと接触するビードベース部のビードヒール側の辺と、
前記ビード部のうち前記ビードベース部よりもタイヤ幅方向外側のタイヤ外表面の曲線と、
前記辺と前記曲線との第1交点と、
前記第1交点を通り前記第1線分に垂直な第2線分と、
前記突出点を通り前記第1線分に垂直な第3線分と、が規定され、
前記第2線分と前記第3線分との距離は、4[mm]以上8[mm]以下であり、
前記ビードベース部のビードトウにおけるタイヤ半径R2と、ビードヒールにおけるタイヤ半径R1との比R2/R1は、0.935以上0.975以下であ
前記ビードベース部は、ビードヒールを含む外側部分と、ビードトウを含む内側部分とを含み、
前記タイヤ赤道面に垂直な線に対する前記外側部分の辺の角度は、18[°]以上23[°]以下であり、前記内側部分の辺の角度は、27[°]以上33[°]以下である、
ことを特徴とする空気入りタイヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気入りタイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
空気入りタイヤは、タイヤ幅方向両側にビードコアを含むビード部を有する。ビード部にリムホイールが嵌合することにより、空気入りタイヤがリムホイールにリム組みされる。特許文献1には、ビードコア(ビードワイヤ)とビードベース部との関係を規定して、ビード部の耐久性向上を図る技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第2855327号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
空気入りタイヤにおいて、ビード部がリムホイールに正確に位置決めされた状態で嵌合されず、偏芯して嵌合されてしまった場合、偏摩耗が発生する可能性がある。特に、ロングホール(長距離輸送)のような摩耗速度が遅い使用条件下においては、偏心嵌合された空気入りタイヤの偏摩耗は顕著に発生する可能性がある。
【0005】
本発明は、リムホイールに対するビード部の偏心嵌合を抑制できる空気入りタイヤを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る空気入りタイヤは、15[°]テーパーの規定リムに装着される空気入りタイヤであって、タイヤ赤道面のタイヤ幅方向両側に配設される一対のビード部と、一対の前記ビード部のそれぞれに設けられるビードコアと、一対の前記ビードコアに支持され、カーカス本体部及び前記ビードコアで折り返されることにより形成されるカーカス折り返し部を有するカーカスと、前記ビードコアで折り返された前記カーカスの外面に配置されるスチールコード補強層と、少なくとも一部が前記カーカス本体部と前記カーカス折り返し部との間に配置されるビードゴム層と、を備え、前記規定リムに装着されない状態において、前記ビードコアの最もタイヤ幅方向外側の突出点を通り前記ビードコアの最長辺と平行な第1線分と、前記ビード部のうち前記規定リムと接触するビードベース部のビードヒール側の辺と、前記ビード部のうち前記ビードベース部よりもタイヤ幅方向外側のタイヤ外表面の曲線と、前記辺と前記曲線との第1交点と、前記第1交点を通り前記第1線分に垂直な第2線分と、前記突出点を通り前記第1線分に垂直な第3線分と、が規定され、前記第2線分と前記第3線分との距離は、4[mm]以上8[mm]以下であり、前記ビードベース部のビードトウにおけるタイヤ半径R2と、ビードヒールにおけるタイヤ半径R1との比R2/R1は、0.935以上0.975以下である、ことを特徴とする。
【0007】
本発明に係る空気入りタイヤにおいて、前記ビードコアにおけるタイヤ半径R3と、前記ビードヒールにおけるタイヤ半径R1との比R1/R3は、0.985以上0.995以下である、ことが好ましい。
【0008】
本発明に係る空気入りタイヤにおいて、前記ビードベース部は、ビードヒールを含む外側部分と、ビードトウを含む内側部分とを含み、前記タイヤ赤道面に垂直な線に対する前記外側部分の辺の角度は、18[°]以上23[°]以下であり、前記内側部分の辺の角度は、27[°]以上33[°]以下である、ことが好ましい。
【0009】
本発明に係る空気入りタイヤにおいて、前記タイヤ赤道面に垂直な線に対するビードベース部の前記辺の角度は、15[°]以上20[°]以下である、ことが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、リムホイールに対するビード部の偏心嵌合を抑制できる空気入りタイヤが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本実施形態に係る空気入りタイヤの要部を示す子午断面図である。
図2図2は、図1のG部詳細図である。
図3図3は、図2の一部を拡大した図である。
図4図4は、本実施形態に係る空気入りタイヤの変形例を示す子午断面図である。
図5図5は、本実施形態に係る空気入りタイヤの性能試験の結果を示す図である。
図6図6は、本実施形態に係る空気入りタイヤの性能試験の結果を示す図である。
図7図7は、本実施形態に係る空気入りタイヤの性能試験の結果を示す図である。
図8図8は、本実施形態に係る空気入りタイヤの性能試験の結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明するが、本発明はこれに限定されない。また、以下の実施形態で説明する構成要素は組み合わせることができるし、一部の構成要素を用いないこともできる。
【0013】
以下の説明において、タイヤ幅方向とは、空気入りタイヤのタイヤ回転軸と平行な方向をいい、タイヤ幅方向内側とは、タイヤ幅方向においてタイヤ赤道面に向かう方向をいい、タイヤ幅方向外側とは、タイヤ幅方向においてタイヤ赤道面から離れる方向をいう。また、タイヤ径方向とは、タイヤ回転軸と直交する方向をいい、タイヤ径方向内側とは、タイヤ径方向においてタイヤ回転軸に向かう方向をいい、タイヤ径方向外側とは、タイヤ径方向においてタイヤ回転軸から離れる方向をいう。また、タイヤ周方向とは、タイヤ回転軸を中心として回転する方向をいう。
【0014】
タイヤ赤道面とは、タイヤ回転軸と直交しタイヤ幅方向の中心を通る平面をいい、タイヤ赤道線とは、タイヤ赤道面と空気入りタイヤのトレッド部の表面とが交差するセンターラインをいう。
【0015】
図1は、実施形態に係るタイヤ1の要部を示す子午断面図である。子午断面とは、タイヤ回転軸を通る断面をいう。タイヤ1は、空気入りタイヤであり、チューブレスタイヤである。タイヤ1は、トラック及びバスに装着される重荷重用タイヤである。トラック及びバス用タイヤ(重荷重用タイヤ)とは、日本自動車タイヤ協会(japan automobile tire manufacturers association:JATMA)から発行されている「日本自動車タイヤ協会規格(JATMA YEAR BOOK)」のC章に定められるタイヤをいう。なお、タイヤ1は、乗用車に装着されてもよいし、小型トラックに装着されてもよい。
【0016】
図1に示すタイヤ1は、子午面断面で見た場合、タイヤ径方向の最も外側となる部分にトレッド部2が配設されており、トレッド部2の表面、即ち、タイヤ1が装着される車両の走行時に路面と接触する部分は、トレッド面3として形成されている。トレッド面3には、タイヤ周方向に延びる周方向主溝15が複数形成されており、周方向主溝15に交差するラグ溝(図示省略)が複数形成されている。トレッド面3には、これらの複数の周方向主溝15やラグ溝によって複数の陸部10が画成されている。なお、周方向主溝15の本数やタイヤ周方向におけるラグ溝の間隔、ラグ溝の長さや角度、各溝の溝幅や溝深さ等は、適宜設定されるのが好ましい。即ち、トレッド面3に形成される、いわゆるトレッドパターンは、適宜設定されるのが好ましい。
【0017】
タイヤ幅方向におけるトレッド部2の両端は、ショルダー部4として形成されており、ショルダー部4から、タイヤ径方向内側の所定の位置までは、サイドウォール部5が配設されている。つまり、サイドウォール部5は、タイヤ幅方向における空気入りタイヤ1の両側2ヶ所に配設されている。
【0018】
さらに、それぞれのサイドウォール部5のタイヤ径方向内側には、ビード部20が位置しており、ビード部20は、サイドウォール部5と同様に、タイヤ赤道面CLの両側2ヶ所に配設されている。即ち、一対のビード部20が、タイヤ赤道面CLのタイヤ幅方向両側に配設されている。一対のビード部20のそれぞれにはビードコア21が設けられている。ビードコア21は、スチールワイヤであるビードワイヤをリング状に巻くことにより形成されている。
【0019】
ビード部20は、15[°]テーパーの規定リムに装着することができるように構成されている。ここでいう規定リムとは、JATMAに規定される「適用リム」、TRAに規定される「Design Rim」、或いはETRTOに規定される「Measuring Rim」をいう。即ち、本実施形態に係るタイヤ1は、ビード部20と嵌合する部分が回転軸に対して15[°]の傾斜角で傾斜する規定リムに装着することが可能になっている。
【0020】
トレッド部2のタイヤ径方向内側には、ベルト層7が設けられている。ベルト層7は、例えば、4層のベルト71,72,73,74を積層した多層構造をなし、スチール、またはポリエステルやレーヨンやナイロン等の有機繊維材から成る複数のベルトコードをコートゴムで被覆して圧延加工して構成される。また、ベルト71,72,73,74は、タイヤ周方向に対するベルトコードの繊維方向の傾斜角として定義されるベルトコードが互いに異なっており、ベルトコードの繊維方向を相互に交差させて積層される、いわゆるクロスプライ構造として構成される。
【0021】
このベルト層7のタイヤ径方向内側、及びサイドウォール部5のタイヤ赤道面CL側にラジアルプライのコードを内包するカーカス6が連続して設けられている。このカーカス6は、一対のビードコア21に支持される。カーカス6は、1枚のカーカスプライから成る単層構造、或いは複数のカーカスプライを積層して成る多層構造を有し、タイヤ幅方向の両側に配設されるビードコア21間にトロイダル状に架け渡されてタイヤの骨格を構成する。詳しくは、カーカス6は、タイヤ幅方向における両側に位置する一対のビード部20のうち、一方のビード部20から他方のビード部20にかけて配設されており、ビードコア21を包み込むようにビード部20でビードコア21に沿ってタイヤ幅方向外側に巻き返されている。即ち、カーカス6は、ビードコア21のタイヤ幅方向内側からビードコア21のタイヤ径方向内側を通り、ビードコア21のタイヤ幅方向外側にかけて配設されるように、ビード部20でビードコア21周りに折り返されている。このように配設されるカーカス6のカーカスプライは、スチール、或いはアラミド、ナイロン、ポリエステル、レーヨン等の有機繊維材から成る複数のカーカスコードをコートゴムで被覆して圧延加工して構成されている。
【0022】
以下の説明において、ビードコア21で折り返されるビード部20のカーカス6のうち、ビードコア21よりもタイヤ幅方向内側に配置される部分を適宜、カーカス本体部61、と称し、ビードコア21で折り返されることにより形成され、ビードコア21よりもタイヤ幅方向外側に配置される部分を適宜、カーカス折り返し部62、と称する。
【0023】
また、カーカス6の内側、或いは、カーカス6の、タイヤ1における内部側には、インナーライナ8がカーカス6に沿って形成されている。
【0024】
図2は、図1のG部詳細図である。カーカス6におけるビードコア21周りに折り返されている部分には、スチールコードからなるスチールコード補強層35が配設されている。スチールコード補強層35は、ビードコア21で折り返されたカーカス6の外面に接触するように配置され、カーカス6を補強する。スチールコード補強層35は、カーカス6における折り返されている部分のカーカス6の外側でカーカス6に重ねられて配設され、カーカス6と同様にビードコア21周りにタイヤ幅方向内側から外側に折り返されてタイヤ周方向に連続的に配設されている。つまり、スチールコード補強層35は、カーカス6がビードコア21よりもタイヤ幅方向内側に位置している部分ではカーカス6のタイヤ幅方向内側に位置し、カーカス6がビードコア21よりもタイヤ幅方向外側に位置している部分ではカーカス6のタイヤ幅方向外側に位置している。
【0025】
また、ビードワイヤをリング状に巻くことにより形成されているビードコア21は、タイヤ子午断面で見た場合における形状が、略六角形の形状で形成されている。具体的には、ビードコア21は、ビードコア21全体で見た場合における内周面22と外周面23とが、タイヤ幅方向外側から内側に向かうに従ってタイヤ径方向内側に向かう方向に傾斜する向きで略平行に形成されており、タイヤ幅方向外側の位置にタイヤ幅方向外側に突出する角部24を有し、タイヤ幅方向内側の位置にタイヤ幅方向内側に突出する角部25を有する、略六角形の形状で形成されている。なお、内周面22は、ビードコア21のうちタイヤ径方向内側を向く面であり、外周面23は、ビードコア21のうちタイヤ径方向外側を向く面である。
【0026】
本実施形態においては、タイヤ1の子午断面において六角形のビードコア21の6つの辺のうち、外周面23によって規定される辺が最も長い。なお、内周面22によって規定される辺が最も長くてもよいし、外周面23によって規定される辺の長さと内周面22によって規定される辺の長さとが同じでもよい。
【0027】
また、ビード部20の内周面であるビードベース部26も同様に、タイヤ幅方向外側から内側に向かうに従って、タイヤ径方向内側に向かう方向に傾斜している。なお、ビード部20の内周面は、ビード部20のうちタイヤ径方向内側を向く面である。つまり、ビードベース部26は、ビードベース部26におけるタイヤ幅方向外側の端部であるビードヒール27よりも、ビードベース部26におけるタイヤ幅方向内側の先端部であるビードトウ28の方が、タイヤ径方向内側に位置する方向に傾斜している。このビードベース部26は、本実施形態に係るタイヤ1を規定リムに装着する際に、規定リムに嵌合して規定リムと接触する嵌合部として設けられている。
【0028】
ビードベース部26は、リムクッションゴム29を含む。リムクッションゴム29は、ビードコア21及びカーカス6の折り返し部62のタイヤ径方向内側及びタイヤ幅方向外側に配置された、規定リムに対する接触面を構成するゴム層である。ビードベース部26は、リムクッションゴム29によって形成される。
【0029】
また、ビード部20では、タイヤ外表面40が、タイヤ幅方向外側に凸となる方向に湾曲して形成されている。換言すると、タイヤ1における外気に露出する側の面であるタイヤ外表面40は、ビード部20の部分では、タイヤ幅方向外側に凸となる方向に湾曲している。ビードベース部26の一方の端部であるビードヒール27は、このタイヤ外表面40とビードベース部26との交点になっている。
【0030】
また、ビード部20では、タイヤ内表面50が、タイヤ幅方向内側に凸となる方向に湾曲して形成されている。換言すると、タイヤ1における空気が充填される側の面であるタイヤ内表面50は、ビード部20の部分では、タイヤ幅方向内側に凸となる方向に湾曲している。ビードベース部26の他方の端部であるビードトウ28は、このタイヤ内表面50とビードベース部26との交点になっている。
【0031】
また、ビード部20において、少なくとも一部がカーカス本体部61とカーカス折り返し部62との間に配置されるビードゴム層Kが設けられる。ビードゴム層Kはビードフィラーとも呼ばれる。
【0032】
図3は、図2の一部を拡大した図である。以下、図2及び図3を参照しながら、本実施形態に係るビード部20の構成要素の寸法等の規定値について説明する。以下で説明する規定値は、タイヤ1が規定リムに装着されない状態における規定値である。すなわち、規定値は、規定リムに組み付けられる前の姿勢でのタイヤ1の規定値であり、換言すると、モールドによる加硫成形後のタイヤ1の子午断面における規定値である。便宜的には、タイヤ単体を立てたときの後述する仮想交点H同士の直線距離(一対のビード部20の仮想交点H間の距離)で固定されたタイヤ1の子午断面における規定値である。
【0033】
図3に示すように、ビード部20の子午断面において、ビードコア21の最もタイヤ幅方向外側の突出点Eを通りビードコア21の最長辺と平行な第1線分Dと、ビード部20のうち規定リムと接触するビードベース部26のビードヒール27側の辺Pと、ビード部20のうちビードベース部26よりもタイヤ幅方向外側のタイヤ外表面40の曲線Gと、辺Pと曲線Gとの第1交点Hと、第1交点Hを通り第1線分Dに垂直な第2線分Jと、突出点Eを通り第1線分Dに垂直な第3線分Fと、が規定される。
【0034】
突出点Eは、角部24を含む。突出点Eは、子午断面において、ビードコア21のビードワイヤのうち、最もタイヤ幅方向外側に位置するビードワイヤの中心を通り、ビードコア21の最長辺と平行な第1線分Dがビードワイヤの輪郭と交わる点である。最長辺は、外周面23によって規定される。第1交点Hは、ビードヒール27を含む。
【0035】
本実施形態において、第2線分Jと第3線分Fとの距離Aは、4[mm]以上8[mm]以下である。
【0036】
また、本実施形態においては、ビードベース部26は、ビードヒール27を含む外側部分26Aと、ビードトウ28を含む内側部分26Bとを含む。子午断面における外側部分26Aの辺が辺Pである。子午断面における内側部分26Bの辺は辺Mである。
【0037】
辺Pと辺Mとは変曲点Lを介して接続される。すなわち、タイヤ回転軸に対する辺Pの角度と辺Mの角度とは異なり、辺Pと辺Mとは変曲点Lにおいて屈曲する。変曲点Lは、タイヤ幅方向において第1交点Hから8[mm]以上18[mm]以下の範囲に存在する。
【0038】
タイヤ赤道面CLに垂直な線AX(タイヤ回転軸と平行な線)に対する外側部分26Aの辺Pの角度θ1は、18[°]以上23[°]以下であり、線AXに対する内側部分26Bの辺Mの角度θ2は、27[°]以上33[°]以下である。
【0039】
図2に示すように、ビードベース部26のビードトウ28におけるタイヤ半径R2と、ビードヒール27におけるタイヤ半径R1との比R2/R1は、0.935以上0.975以下である。タイヤ半径R1は、タイヤ回転軸とビードヒール27とのタイヤ径方向の距離である。タイヤ半径R2は、タイヤ回転軸とビードトウ28とのタイヤ径方向の距離である。
【0040】
また、ビードコア21におけるタイヤ半径R3と、ビードヒール27におけるタイヤ半径R1との比R1/R3は、0.985以上0.995以下である。ビードコア21におけるタイヤ半径R3とは、子午断面において多角形(本実施形態では六角形)のビードコア21の複数(本実施形態では6つ)の頂点のうち、タイヤ径方向で最も内側の頂点に位置するビードワイヤとタイヤ回転軸とのタイヤ径方向の距離である。
【0041】
以上説明したように、本実施形態によれば、距離Aを4[mm]以上8[mm]以下とすることで、カーカス本体部61とビードコア21の外周面23とがなす角度α(図3参照)を小さくすることができる。つまり、距離Aを4[mm]以上8[mm]以下として、ビードコア21の位置をタイヤ幅方向内側にシフトさせる。その結果、タイヤ1に対する空気の充填前後でのビード部20におけるカーカス6の位置の変化量が少なくなる。さらに、ビードトウ28におけるタイヤ半径R2とビードヒール27におけるタイヤ半径R1との比率を適正化することで、空気充填後における偏芯嵌合を抑制することができる。
【0042】
距離Aが8[mm]よりも長い場合、ビードゴム層Kの体積が大きくなって発熱性が悪化してしまいビード部20の耐久性が悪化する。距離Aが4[mm]よりも短い場合、角度αを十分に小さくすることができず、偏心嵌合を効果的に抑制することが困難となる。そのため、距離Aは4[mm]以上8[mm]以下が好ましく、5[mm]以上7[mm]以下がより好ましい。
【0043】
本実施形態においては、R2/R1は、0.935以上0.975以下である。R2/R1が0.935よりも小さい場合、タイヤ1のリム組み作業性が悪化する。R2/R1が0.975よりも大きい場合、偏芯嵌合する可能性が高い。そのため、R2/R1は、0.935以上0.975以下が好ましい。
【0044】
また、本実施形態においては、ビードコア21におけるタイヤ半径R3と、ビードヒール27におけるタイヤ半径R1との比R1/R3は、0.985以上0.995以下である。これにより、偏芯嵌合をより抑制することができる。R1/R3が0.985よりも小さい場合、偏芯嵌合を改善する効果が十分に得られず、R1/R3が0.995よりも大きい場合、リム組み作業性が悪化する。そのため、R1/R3は、0.985以上0.995以下が好ましい。
【0045】
また、本実施形態においては、ビードベース部26は、変曲点Lにおいて屈曲する辺Pと辺Mとを含む2段テーパー構造であり、外側部分26Aの辺Pの角度θ1は、18[°]以上23[°]以下であり、内側部分26Bの辺Mの角度θ2は、27[°]以上33[°]以下である。角度θ1が18[°]よりも小さく且つ角度θ2が27[°]よりも小さい場合、偏芯嵌合を改善する効果が十分得られず、θ1が23[°]よりも大きく且つ角度θ2が33[°]よりも大きい場合、リム組み作業性が悪化する。そのため、角度θ1は18[°]以上23[°]以下であり、角度θ2は27[°]以上33[°]以下であることが好ましい。
【0046】
なお、本実施形態においては、ビードベース部26が2段テーパー構造であることとした。図4に示すように、ビードベース部26がシングルテーパー構造でもよい。図4に示すビードベース部26に変曲点Lは存在せず、子午断面においてビードベース部26の辺は直線状である。この場合、偏心嵌合を抑制するために、タイヤ赤道面CLに垂直な線AXに対するビードベース部26の辺の角度θは、15[°]以上20[°]以下が好ましい。角度θが15[°]よりも小さい場合、偏芯嵌合を改善する効果が十分に得られず。角度θが20[°]よりも大きい場合、リム組み作業性が悪化する。そのため、角度θは、15[°]以上20[°]以下が好ましい。
【0047】
〔実施例〕
図5から図8は、タイヤ1の性能試験の結果を示す図表である。以下、上記のタイヤ1について、従来例及び比較例のタイヤ1と、本発明に係るタイヤ1とについて行なった性能の評価試験について説明する。性能評価試験は、リムホイールに対してビード部が偏心して嵌合されている度合いを示す偏心嵌合と、タイヤ1をリムに装着するときの作業のし易さを示すリム組み作業性について行った。
【0048】
図5から図8に示すように、評価試験は、従来例のタイヤ1と、比較例1〜4のタイヤ1と、本発明に係るタイヤ1である実施例1〜16のタイヤ1にて行った。
【0049】
偏芯嵌合の性能評価試験においては、11R22.5サイズのタイヤ1を22.5“×7.50”のリムホイールに装着し、規格最大空気圧(700[kPa])を充填して、片側周上8箇所のリムフランジから周方向ベントまでの距離を測定し、1タイヤ分のレンジで比較評価を実施した。レンジが小さいほど偏心嵌合は優れており、偏心嵌合の度合いは小さい。
【0050】
リム組み作業性の評価試験においては、11R22.5サイズのタイヤ1を22.5“×7.50”のリムホイールに2本のレバーを使用して手組みを行い、リム組みに掛かった時間及び組みやすさについて評価した。リム組み作業性の評価は、指数評価により行われ、その数値が大きいほどリム組み作業性は優れている。
【0051】
図5に示すように、従来例のタイヤ1は、距離A及びR2/R1が本発明の技術的範囲に属さない。比較例1〜4のタイヤ1も、本発明の技術的範囲のいずれかの構成要素を満足しない。
【0052】
図5に示すように、実施例1〜4のタイヤ1は、従来例及び比較例のタイヤ1よりも、偏心嵌合が優れている。つまり、実施例1〜4に係るタイヤ1は、ビード部がリムホイールに正確に位置決めされた状態で嵌合され、偏摩耗が発生する可能性が低い。
【0053】
図6に示すように、実施例5〜8のタイヤは、R3/R1の値を変えたものである。R3/R1の値を0.985以上0.995以下とすることにより、偏心嵌合及びリム組み作業性はより優れた性能となる。
【0054】
図7は、2段テーパー構造のビードベース部26において、角度θ1、θ2の値を変えたものである。実施例9〜12に示すように、角度θ1を18[°]以上23[°]以下とし、角度θ2を27[°]以上33[°]以下とすることにより、偏心嵌合及びリム組み作業性はより優れた性能となる。
【0055】
図8は、シングルテーパー構造のビードベース部26において、角度θの値を変えたものである。実施例13〜16に示すように、角度θを15[°]以上20[°]以下とすることにより、偏心嵌合及びリム組み作業性はより優れた性能となる。
【符号の説明】
【0056】
1 タイヤ(空気入りタイヤ)
2 トレッド部
3 トレッド面
4 ショルダー部
5 サイドウォール部
6 カーカス
7 ベルト層
8 インナーライナ
10 陸部
15 周方向主溝
20 ビード部
21 ビードコア
22 内周面
23 外周面
24 角部
25 角部
26 ビードベース部
27 ビードヒール
28 ビードトウ
35 スチールコード補強層
40 タイヤ外表面
50 タイヤ内表面
61 カーカス本体部
62 カーカス折り返し部
71,72,73,74 ベルト
A 距離
CL タイヤ赤道面
D 第1線分
F 第3線分
G 曲線
H 第1交点
J 第2線分
K ビードゴム層
L 変曲点
P 辺
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8