特許第6648771号(P6648771)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6648771
(24)【登録日】2020年1月20日
(45)【発行日】2020年2月14日
(54)【発明の名称】タイヤの製造方法
(51)【国際特許分類】
   B29D 30/16 20060101AFI20200203BHJP
【FI】
   B29D30/16
【請求項の数】3
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2018-26477(P2018-26477)
(22)【出願日】2018年2月16日
(65)【公開番号】特開2019-142040(P2019-142040A)
(43)【公開日】2019年8月29日
【審査請求日】2018年12月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006714
【氏名又は名称】横浜ゴム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001368
【氏名又は名称】清流国際特許業務法人
(74)【代理人】
【識別番号】100129252
【弁理士】
【氏名又は名称】昼間 孝良
(74)【代理人】
【識別番号】100155033
【弁理士】
【氏名又は名称】境澤 正夫
(72)【発明者】
【氏名】高梨 雄太
(72)【発明者】
【氏名】岡 美早紀
【審査官】 増田 亮子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−202804(JP,A)
【文献】 特開2016−215584(JP,A)
【文献】 特開2012−171183(JP,A)
【文献】 特表2003−514695(JP,A)
【文献】 国際公開第99/017920(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29D 30/00−30/72
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
幅方向位置で周長が変化するプロファイルを有する外周面を備えた剛性コアの外周側に位置する成形面に、多数のストリップ材を順次、前記剛性コアの周方向に対して斜め方向で前記剛性コアの幅方向に延在させて前記周方向に並べて貼り付けることにより、前記周方向に隣り合って貼り付けられた前記ストリップ材どうしを接合して前記ベルト層を形成して前記ベルト層を有するグリーンタイヤを成形し、このグリーンタイヤを加硫するタイヤの製造方法において、予め把握している前記プロファイルに基づいて、前記成形面に貼り付けられる前記ストリップ材に対して前記成形面を近接させるように前記剛性コアを相対的に移動させつつ、前記周方向に隣り合って貼り付けられた前記ストリップ材どうしの前記剛性コアの幅方向位置による接合しろのばらつきが小さくなるように、この貼り付けられるストリップ材の長手方向に対する前記周方向の角度が変化する方向に前記剛性コアを相対的に旋回させながら、かつ、このストリップ材の前記成形面に貼り付けられる直前部分のストリップ幅方向への動きをガイドによって規制しながら、このストリップ材を前記長手方向に延在させて前記成形面に圧着ローラによって押圧して貼り付け、その際に、前記貼り付けられるストリップ材の長手方向中央部を、前記剛性コアの幅方向中央部で前記成形面に貼り付けた後、前記長手方向中央部から長手方向両端に向かって前記貼り付けられるストリップ材を前記成形面に貼り付けることを特徴とするタイヤの製造方法。
【請求項2】
幅方向位置で周長が変化するプロファイルを有する外周面を備えた剛性コアの外周側に位置する成形面に、多数のストリップ材を順次、前記剛性コアの周方向に対して斜め方向で前記剛性コアの幅方向に延在させて前記周方向に並べて貼り付けることにより、前記周方向に隣り合って貼り付けられた前記ストリップ材どうしを接合して前記ベルト層を形成して前記ベルト層を有するグリーンタイヤを成形し、このグリーンタイヤを加硫するタイヤの製造方法において、予め把握している前記プロファイルに基づいて、前記成形面に貼り付けられる前記ストリップ材に対して前記成形面を近接させるように前記剛性コアを相対的に移動させつつ、前記周方向に隣り合って貼り付けられた前記ストリップ材どうしの前記剛性コアの幅方向位置による接合しろのばらつきが小さくなるように、この貼り付けられるストリップ材の長手方向に対する前記周方向の角度が変化する方向に前記剛性コアを相対的に旋回させながら、この貼り付けられるストリップ材を前記長手方向に延在させて前記成形面に貼り付け、その際に、前記貼り付けられるストリップ材の長手方向中央部を、前記剛性コアの幅方向中央部で前記成形面に貼り付けた後、前記長手方向中央部から長手方向一端に向かって前記貼り付けられるストリップ材を前記成形面に貼り付け、次いで、前記長手方向中央部から長手方向他端に向かって前記貼り付けられるストリップ材を前記成形面に貼り付けることを特徴とするタイヤの製造方法。
【請求項3】
前記貼り付けられるストリップ材の前記成形面に貼り付けられる直前部分のストリップ幅方向への動きをガイドによって規制しながら、このストリップ材を圧着ローラによって押圧して貼り付ける請求項2に記載のタイヤの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はタイヤの製造方法に関し、さらに詳しくは、多数のストリップ材を順次、剛性コアの外周に周方向に並べて配置して貼り付けて、周方向に隣り合うストリップ材どうしを接合してベルト層を形成する際に、剛性コアの幅方向位置によって変化する剛性コアの外周面の周長に起因するストリップ材どうしの接合乱れを抑制できるタイヤの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
空気入りタイヤは、円筒状の成形ドラムの外周の成形面にタイヤ構成部材を積層して成形した未加硫のグリーンタイヤを加硫することにより製造される。タイヤ構成部材となるベルト層では、タイヤ周方向に対して所定の傾斜角度で引き揃えられた多数本の補強コードが未加硫ゴムでコーティングされている。このベルト層は例えば、引き揃えられた複数本の補強コードが未加硫ゴムでコーティングされた多数のストリップ材を成形ドラムの外周の成形面に周方向に並べて貼り付けて、周方向に隣り合うストリップ材どうしを接合して形成される(特許文献1参照)。
【0003】
グリーンタイヤを成形する方法の一つとして、完成タイヤのタイヤ内周面形状に対応した外周面形状を有する剛性コアの外周にタイヤ構成部材を順次積層する方法が知られている(例えば、特許文献2参照)。タイヤは一般的に、タイヤ幅方向位置によって周長が変化するプロファイルを有している。これに伴い、剛性コアの外周面も幅方向位置によって周長が変化するプロファイルを有している。そのため、ベルト層を形成するストリップ材を順次、単純に剛性コアの周方向に対して所定の傾斜角度で剛性コアの幅方向に延在させて剛性コアの周方向に並べて貼り付けると、剛性コアの幅方向位置に応じて、周方向に隣接するストリップ材どうしのオーバーラップ量が過大になったり、過小になったりして、隣接するストリップ材どうしの接合しろにばらつきが生じる。この接合しろのばらつきに伴い、製造されたタイヤの品質に悪影響が生じるので改善の余地がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−99564号公報
【特許文献2】特開2012−171183号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、多数のストリップ材を順次、剛性コアの外周に周方向に並べて配置して貼り付けて、周方向に隣り合うストリップ材どうしを接合してベルト層を形成する際に、剛性コアの幅方向位置によって変化する剛性コアの外周面の周長に起因するストリップ材どうしの接合乱れを抑制できるタイヤの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため本発明のタイヤの製造方法は、幅方向位置で周長が変化するプロファイルを有する外周面を備えた剛性コアの外周側に位置する成形面に、多数のストリップ材を順次、前記剛性コアの周方向に対して斜め方向で前記剛性コアの幅方向に延在させて前記周方向に並べて貼り付けることにより、前記周方向に隣り合って貼り付けられた前記ストリップ材どうしを接合して前記ベルト層を形成して前記ベルト層を有するグリーンタイヤを成形し、このグリーンタイヤを加硫するタイヤの製造方法において、予め把握している前記プロファイルに基づいて、前記成形面に貼り付けられる前記ストリップ材に対して前記成形面を近接させるように前記剛性コアを相対的に移動させつつ、前記周方向に隣り合って貼り付けられた前記ストリップ材どうしの前記剛性コアの幅方向位置による接合しろのばらつきが小さくなるように、この貼り付けられるストリップ材の長手方向に対する前記周方向の角度が変化する方向に前記剛性コアを相対的に旋回させながら、かつ、このストリップ材の前記成形面に貼り付けられる直前部分のストリップ幅方向への動きをガイドによって規制しながら、このストリップ材を前記長手方向に延在させて前記成形面に圧着ローラによって押圧して貼り付け、その際に、前記貼り付けられるストリップ材の長手方向中央部を、前記剛性コアの幅方向中央部で前記成形面に貼り付けた後、前記長手方向中央部から長手方向両端に向かって前記貼り付けられるストリップ材を前記成形面に貼り付けることを特徴とする。
また、本発明の別のタイヤの製造方法は、幅方向位置で周長が変化するプロファイルを有する外周面を備えた剛性コアの外周側に位置する成形面に、多数のストリップ材を順次、前記剛性コアの周方向に対して斜め方向で前記剛性コアの幅方向に延在させて前記周方向に並べて貼り付けることにより、前記周方向に隣り合って貼り付けられた前記ストリップ材どうしを接合して前記ベルト層を形成して前記ベルト層を有するグリーンタイヤを成形し、このグリーンタイヤを加硫するタイヤの製造方法において、予め把握している前記プロファイルに基づいて、前記成形面に貼り付けられる前記ストリップ材に対して前記成形面を近接させるように前記剛性コアを相対的に移動させつつ、前記周方向に隣り合って貼り付けられた前記ストリップ材どうしの前記剛性コアの幅方向位置による接合しろのばらつきが小さくなるように、この貼り付けられるストリップ材の長手方向に対する前記周方向の角度が変化する方向に前記剛性コアを相対的に旋回させながら、この貼り付けられるストリップ材を前記長手方向に延在させて前記成形面に貼り付け、その際に、前記貼り付けられるストリップ材の長手方向中央部を、前記剛性コアの幅方向中央部で前記成形面に貼り付けた後、前記長手方向中央部から長手方向一端に向かって前記貼り付けられるストリップ材を前記成形面に貼り付け、次いで、前記長手方向中央部から長手方向他端に向かって前記貼り付けられるストリップ材を前記成形面に貼り付けることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、予め把握している剛性コアの外周面の幅方向のプロファイルに基づいて、成形面に貼り付けられるストリップ材に対して成形面を近接させるように剛性コアを相対的に移動させつつ、このストリップ材の長手方向に対する剛性コアの周方向の角度が変化する方向に剛性コアを相対的に旋回させながら、このストリップ材を長手方向に延在させて成形面に貼り付ける際に、成形面に周方向に隣り合って貼り付けられたストリップ材どうしの剛性コアの幅方向位置による接合しろのばらつきが小さくなるようにするので、周方向に隣接するストリップ材どうしが過大にオーバーラップしたり、隣接するストリップ材どうしの間に隙間が生じる不具合を防止するには有利になる。そのため、幅方向位置によって変化する剛性コアの外周面の周長に起因するストリップ材どうしの接合乱れを抑制できる。これに伴い、製造されたタイヤの品質向上に寄与する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明に用いる成形装置を正面視で例示する説明図である。
図2図1の成形装置を平面視で例示する説明図である。
図3図1の剛性コアの上半分を横断面視で例示する説明図である。
図4】一部のタイヤ構成部材が貼り付けられた成形途中のグリーンタイヤの上半分を横断面視で例示する説明図である。
図5図4のグリーンタイヤにストリップ材を貼り付ける工程を成形装置の平面視で例示する説明図である。
図6図5のグリーンタイヤにストリップ材の長手方向中央部を貼り付けている状態を成形装置の正面視で例示する説明図である。
図7図6のグリーンタイヤにストリップ材を長手方向に延在させて貼り付けている状態を成形装置の平面視で例示する説明図である。
図8】ストリップ材を成形面に貼り付ける際の剛性コアの旋回角度を例示する説明図である。
図9】ベルト層が形成された成形途中のグリーンタイヤをタイヤ正面視で例示する説明図である。
図10】成形されたグリーンタイヤの上半分を横断面視で例示する説明図である。
図11】グリーンタイヤを加硫する工程を加硫装置の断面視で例示する説明図である。
図12】加硫後の製造されたタイヤの上半分を横断面視で例示する説明図である。
図13】貼り付けユニットの下方に剛性コアが配置される成形装置を正面視で例示する説明図である。
図14】本発明に用いる別の成形装置を正面視で例示する説明図である。
図15図14の成形装置を平面視で例示する説明図である。
図16図14の成形装置により、グリーンタイヤにストリップ材の長手方向中央部を貼り付けている状態を成形装置の正面視で例示する説明図である。
図17図16のグリーンタイヤにストリップ材を長手方向に延在させて貼り付けている状態を成形装置の平面視で例示する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明のタイヤの製造方法を図に示した実施形態に基づいて説明する。
【0010】
本発明は、図1図2に例示する成形装置1を使用してグリーンタイヤ19を成形し、成形したグリーンタイヤ19を加硫することによりタイヤ20を製造する。尚、本発明は、一般的な空気入りタイヤに限らず、ソリッドタイヤなど様々なタイヤ20を製造する際に適用できる。グリーンタイヤ19の成形には、金属等によって形成された図1図3に例示する剛性コア2が用いられる。剛性コア2は、完成したタイヤ20のタイヤ内周面形状に対応した外周面形状を有している。そのため、図3に例示するように剛性コア2の外周面2bは、剛性コア2の幅方向位置によって周長が変化するプロファイルになっている。一般的には、剛性コア2の幅方向中央部が両端部よりも外周側に突出したプロファイルになる。剛性コア2は例えば中心軸2aを中心にして周方向に分割された複数のセグメントと、セグメントの内側を支える支持棒とにより構成される。
【0011】
尚、剛性コア2の幅方向W、周方向Lはそれぞれ、グリーンタイヤ19および完成タイヤ20の幅方向、周方向に対応する。図中の一点鎖線CLはタイヤ軸(中心軸2aの軸心)を示し、一点鎖線Zは一点鎖線CLと直交して剛性コア2の幅方向Wの中心を通る旋回軸を示している。
【0012】
成形装置1は、剛性コア2を任意の位置に移動させる自在アーム3と、ストリップ材16の貼り付けを行う貼り付けユニット4と、自在アーム3および貼り付けユニット4の動作を制御する制御部10とを有している。自在アーム3としては産業用ロボット等を例示できる。自在アーム3の先端部には剛性コア2の中心軸2aが保持されて、剛性コア2は中心軸2aを中心に回転可能になっている。また、剛性コア2は旋回軸Zを中心にして回転可能になっている。
【0013】
この実施形態では、貼り付けユニット4(ベースフレーム5)が床面に固定状態で設置され、剛性コア2が移動可能になっているが、貼り付けユニット4を移動可能にして剛性コア2を所定位置に固定状態で設置することもできる。或いは、貼り付けユニット4および剛性コア2を移動可能に設置することもできる。即ち、本発明では、貼り付けユニット4と剛性コア2が相対的に移動可能であればよい。
【0014】
貼り付けユニット4は、ベースフレーム5と、ベースフレーム5に取り付けられた一対の圧着ローラ6と、互いの圧着ローラ6を近接離反する方向に水平移動させる移動機構7とを有している。移動機構7は例えば、ボールねじとボールねじを回転させるサーボモータとで構成される。或いは、流体シリンダ等を移動機構7として用いることもできる。それぞれの圧着ローラ6を単独で水平移動させる構成にすることも、互いを同期させて水平移動させる構成にすることもできる。
【0015】
貼り付けユニット4は、さらに、圧着ローラ6どうしの間で上下移動する押圧体8と、それぞれの圧着ローラ6の近傍に配置されたガイド9とを備えている。それぞれのガイド9は、回転軸の軸方向に離間して外嵌されたガイドローラを有している。それぞれのガイド9は、近傍する圧着ローラ6に対して外側(互いの圧着ローラ6が離反する方向側)の位置に設置されていて、近接する圧着ローラ6とともに水平移動可能になっている。
【0016】
次に、本発明によりタイヤ20を製造する手順を説明する。
【0017】
図1、2に例示する剛性コア2の外周面2bには順次、図4に例示するように所定のタイヤ構成部材(インナーライナ12やカーカス層14など)を貼り付けておく。具体的には、剛性コア2の外周面2bに順次、インナーライナ12、カーカス層14を積層して貼り付けてそれぞれを円筒状にする。剛性コア2の幅方向両側面では、カーカス層14の上にリング状のビード部材13を配置して、それぞれのビード部材13のビードコア13aの周りでカーカス層14を折り返した状態にしておく。また、カーカス層14の幅方向両端部には未加硫のサイドゴム17を積層して貼り付けておく。必要に応じてその他のタイヤ構成部材も貼り付けておく。尚、図5図8では、ベルト層15(ストリップ材16)以外のタイヤ構成部材を省略して図示していない。
【0018】
次いで、剛性コア2の外周側に貼り付けられている円筒状のカーカス層14の外周面(成形面14a)に円筒状のベルト層15を形成する。図5に例示するように、ベルト層15は、多数のストリップ材16を接合して形成される。ベルト層15は、タイヤ周方向に対して所定の傾斜角度で引き揃えられた多数本の補強コード16aが未加硫ゴムでコーティングされている。このベルト層15を形成するために成形装置1を使用する。
【0019】
それぞれのストリップ材16は、平行に引き揃えられた複数本の補強コード16aが未加硫ゴムでコーティングされて形成されている。そこで、まず、ストリップ材16を1本ずつ順次、一対の圧着ローラ6の上に掛け渡して配置する。この時、図1に例示するように、一対の圧着ローラ6は互いに近接した位置にあり、押圧体8はそれぞれの圧着ローラ6よりも上方に突出しない位置にある。
【0020】
それぞれのガイド9は、隣接する圧着ローラ6に対して外側(互いの圧着ローラ6が離反する方向側)の位置にある。配置されるストリップ材16は、圧着ローラ6とガイド9との上下間に挿通して一対の圧着ローラ6の間に掛け渡された状態になる。このストリップ材16の長手方向中央部Mは押圧体9の上方に設定され、それぞれのガイド9のガイドローラどうしの間にストリップ材16が配置される。それぞれのガイド部9のガイドローラどうしの離間距離は、ストリップ材16のストリップ幅Hより若干大きく設定されているが両者は概ね同じ寸法である。
【0021】
制御部10には、剛性コア2の形状データが入力されていて、幅方向位置で周長が変化する外周面2bのプロファイルのデータも入力されている。また、使用するタイヤ構成部材(12、13、14、15など)の形状データ(長さ、幅、厚さ)や、成形するグリーンタイヤ19の仕様データなど、種々のデータが入力されている。
【0022】
次いで、剛性コア2と貼り付けユニット4とを協働させることで、剛性コア2の外周側に積層されているカーカス層14の外周面14aに、このストリップ材16を貼り付ける。即ち、このカーカス層14の外周面が、これからストリップ材16を貼り付ける成形面14aになる。
【0023】
ベルト層15を形成するには、この成形面14aに、多数のストリップ材16を順次、剛性コア2の周方向に対して斜めの方向(傾斜角度a)で剛性コア2の幅方向に延在させて周方向に並べて貼り付ける。そして、周方向に隣り合って成形面14aに貼り付けられたストリップ材16どうしを接合してベルト層15を形成する。
【0024】
ここで、剛性コア2の外周面2bは上述したように幅方向位置で周長が変化するプロファイルを有している。そして、外周面2bに順次貼り付けられるインナーライナ12やカーカス層14は一定厚さの部材なので、ストリップ材16を貼り付ける成形面14aも外周面2bと同様に幅方向位置で周長(周方向長さ)が変化するプロファイルを有している。
【0025】
そこで、制御部11に入力されて予め把握している剛性コア2の外周面2bのプロファイルに基づいて、剛性コア2および貼り付けユニット4を作動させてベルト層15を形成する。まず図6に例示するように、一対の圧着ローラ6の間に掛け渡された状態のストリップ材16に対して押圧体8を上方移動させる。これにより、ストリップ材16の長手方向中央部Mを剛性コア2の幅方向中央部で成形面14aに押圧して貼り付ける。
【0026】
次いで、成形面14aに貼り付けられるストリップ材16に対して成形面14aを近接させるように剛性コア2を下方移動させるとともに、剛性コア2を旋回軸Zを中心にして旋回させながら、ストリップ材16を長手方向に延在させて成形面14aに貼り付ける。詳述すると、剛性コア2のこの下方移動とともに、成形面14aの周方向に隣り合って貼り付けられるストリップ材16どうしの剛性コア2の幅方向位置による接合しろ(周方向に隣接するストリップ材16の対向する端面どうしの周方向の接合長さ)のばらつきが小さくなるように、この貼り付けられるストリップ材16の長手方向に対する剛性コア2の周方向の角度が変化する方向に剛性コア2を旋回させる。隣接するストリップ材16どうしは基本的に突き合わせて接合させるので、この接合しろはプラスでもマイナスでもなくゼロに近づける。
【0027】
剛性コア2のトレッドに相当する範囲の幅方向両端部では、幅方向中央部に比して成形面14a周長が短い。そのため、ストリップ材16を貼り付ける際に、この幅方向両端部では、幅方向中央部に比して傾斜角度aが大きくなるように剛性コア2を旋回させる。
【0028】
そして、剛性コア2のこの旋回とともに、一対の圧着ローラ6を互いが離反する方向に水平移動させる。これにより、貼り付けられるストリップ材16を成形面14aと圧着ローラ6との間で挟んだ状態にして、このストリップ材16を長手方向に延在させて成形面14aに押圧して貼り付ける。
【0029】
例えばベルト層15を形成するために同じ仕様のストリップ材16(ストリップ幅H)をN枚使用することが予め設定されている場合には以下のように剛性コア2を旋回させる。図8に示す剛性コア2の幅方向位置での成形面14aの周長Kは予め把握できる。そして、ストリップ材16を剛性コア2の周方向に対して傾斜角度aで貼り付けた場合にこの幅方向位置におけるこのストリップ材16の剛性コア2の周方向に対する長さtはt=H/Sin(a)になる。そして、周長K=長さt×N枚になるので整理すると以下(1)式が導ける。
傾斜角度a=Sin-1(H・N/K)・・・(1)
【0030】
そこで、それぞれのストリップ材16を成形面14aに貼り付ける際には、剛性コア2の幅方向位置に応じてストリップ材16の傾斜角度aが上記(1)式を満足するように剛性コア2を旋回させる。
【0031】
この実施形態では、剛性コア2のプロファイルが幅方向中心に対して対称形状なので、貼り付けられるストリップ材16の長手方向中央部Mを、剛性コア2の幅方向中央部で成形面14aに貼り付けた後、長手方向中央部Mから長手方向両端に向かってストリップ材16を貼り付けている。これにより、より短時間でストリップ材16の貼り付けを完了させるには有利になる。
【0032】
剛性コア2のプロファイルが幅方向中心に対して非対称形状の場合は、例えば、貼り付けられるストリップ材16の長手方向中央部Mを、剛性コア2の幅方向中央部で成形面14aに貼り付けた後、長手方向中央部Mから長手方向一端に向かってストリップ材16を成形面14aに貼り付ける。その後、長手方向中央部Mから長手方向他端に向かってストリップ材16を成形面14aに貼り付けるとよい。
【0033】
このようにして多数のストリップ材16を成形面14aに貼り付けることで、図9に例示するベルト層15が形成される。グリーンタイヤ19に複数層のベルト層15を形成する場合は、同様の工程を行うことで、ベルト層15の外周側に別のベルト層15を形成する。
【0034】
この実施形態では、ストリップ材16の成形面14aに貼り付けられる直前部分は、それぞれのガイド9によってストリップ幅方向への動きがを規制されている。そのため、剛性コア2を旋回させつつストリップ材16を成形面14aに貼り付けても、このストリップ材16が、既に成形面14aに貼り付けられているストリップ材16をずれ移動させるような不具合を防止するには有利になっている。
【0035】
次いで、図10に例示するグリーンタイヤ19を成形するには、ベルト層15の外周面に順次、ベルト補強層や未加硫のトレッドゴム18等の必要なタイヤ構成部材を貼り付ける。このようにしてベルト層15を有するグリーンタイヤ19を成形する。
【0036】
次いで、図11に例示するようにグリーンタイヤ19を剛性コア2とともに、加硫装置11に設置された加硫用モールド11aの内部に配置して加硫用モールド11aを閉型する。次いで、閉型した加硫用モールド11aの内部でグリーンタイヤ19を所定条件で加硫することで図12に例示するタイヤ20(この実施形態では空気入りタイヤ20)が完成する。加硫用モールド11aから取り出した後で、完成したタイヤ20から剛性コア2から分離させる。
【0037】
ホイールと一体化させたタイヤ20を製造する場合は、例えば、そのホイールを剛性コア2として利用することも可能である。このような仕様のタイヤ20を製造する場合には、グリーンタイヤ19を加硫した後に、完成したタイヤ20を剛性コア2(ホイール)から分離させる必要はない。
【0038】
上述した成形装置1では、貼り付けユニット4の上方に剛性コア2を配置した状態で、ベルト層15を形成するが、図13に例示する成形装置1のように、貼り付けユニット4の下方に剛性コア2を配置してベルト層15を形成することもできる。この成形装置1では、貼り付けユニット4(ベースフレーム5)が支持面から下方に吊り下げられて固定状態で設置され、剛性コア2が自在アーム3によって移動可能になっている。
【0039】
この成形装置1は、図1に例示した成形装置1の剛性コア2と貼り付けユニット4の上下関係を逆にした構成であり、その他の構成は実質的に同じである。ただし、この成形装置1は、それぞれのガイド9の外側に支持ローラ9aを有している。ストリップ材16は、圧着ローラ6とガイド9との間を挿通して一対の圧着ローラ6の間に掛け渡された状態になり、ストリップ材16の長手方向両端部はそれぞれ支持ローラ9aによって支持される。
【0040】
また、この成形装置1では一対の圧着ローラ6は上下移動可能になっている。一対の圧着ローラ6を上下移動可能にする仕様は必須ではないので、必要に応じて採用すればよい。
【0041】
この成形装置1を用いて、ベルト層15を形成するには、先の実施形態で説明した方法と同様にすればよい。ストリップ材16を、剛性コア2の外周側に貼り付けられているカーカス層14の外周面14aに貼り付ける際には、必要に応じて一対の圧着ローラ6を下方移動させる。これにより、ストリップ材16を外周面14aにより密着させ易くなる。
【0042】
図14図15に例示する別の成形装置1では、剛性コア2は床面に立設された支柱2cに固定された中心軸2aを中心に回転可能になっている。即ち、剛性コア2は床面に固定状態(平面移動できない状態)で設置されている。貼り付けユニット4は自在アーム3によって任意の位置に移動可能に設置されている。貼り付けユニット4は、平面視で押圧体8の中心を上下に延在する旋回軸Zを中心にして旋回可能になっている。尚、剛性コア2は旋回軸Zを中心にして旋回できずに固定されている。
【0043】
この成形装置1を用いてタイヤ20を製造する手順は、先の実施形態と同様に、制御部11に入力されて予め把握している剛性コア2の外周面2bのプロファイルに基づいて、剛性コア2および貼り付けユニット4を作動させてベルト層15を形成するが、この実施形態では主に貼り付けユニット4を移動させる。そこで、図16に例示するように、一対の圧着ローラ6の間に掛け渡された状態のストリップ材16に対して押圧体8を上方移動させる。これにより、ストリップ材16の長手方向中央部Mを剛性コア2の幅方向中央部で成形面14aに押圧して貼り付ける。
【0044】
次いで、成形面14aに貼り付けられるストリップ材16に対して成形面14aを近接させるように貼り付けユニット4を上方移動させるとともに、貼り付けユニット4を剛性コア2の旋回軸Zを中心にして旋回させながら、ストリップ材16を長手方向に延在させて成形面14aに貼り付ける。詳述すると、貼り付けユニット4のこの上方移動とともに、成形面14aの周方向に隣り合って貼り付けられるストリップ材16どうしの剛性コア2の幅方向位置による接合しろ(周方向に隣接するストリップ材16の対向する端面どうしの周方向の接合長さ)のばらつきが小さくなるように、この貼り付けられるストリップ材16の長手方向に対する剛性コア2の周方向の角度が変化する方向に貼り付けユニット4の旋回軸Zを剛性コア2の旋回軸Zに一致させて、その旋回軸Zを中心にして旋回させる。隣接するストリップ材16どうしは基本的に突き合わせて接合させるので、この接合しろはプラスでもマイナスでもなくゼロに近づける。
【0045】
剛性コア2のトレッドに相当する範囲の幅方向両端部では、幅方向中央部に比して成形面14a周長が短い。そのため、ストリップ材16を貼り付ける際に、この幅方向両端部では、幅方向中央部に比して傾斜角度aが大きくなるように貼り付けユニット4を旋回させる。
【0046】
そして、図17に例示するように、貼り付けユニット2のこの旋回とともに、一対の圧着ローラ6を互いが離反する方向に水平移動させる。これにより、貼り付けられるストリップ材16を成形面14aと圧着ローラ6との間で挟んだ状態にして、このストリップ材16を長手方向に延在させて成形面14aに押圧して貼り付ける。
【0047】
このようにして多数のストリップ材16を成形面14aに貼り付けることで、図9に例示するベルト層15が形成される。その後の工程は先の実施形態と同様である。尚、この実施形態においても、先の実施形態で説明したアレンジを同様に適用することができる。
【0048】
本発明では上述したように、ストリップ材16に対して成形面14aを近接させるように剛性コア2を相対的に移動させつつ、剛性コア2を相対的に旋回させながら、このストリップ材16を長手方向に延在させて成形面14aに貼り付ける際に、成形面14aに周方向に隣り合って貼り付けられたストリップ材16どうしの剛性コア2の幅方向位置による接合しろのばらつきが小さくなるようにする。そのため、成形面14aに貼り付けられて周方向に隣接するストリップ材16どうしが過大に周方向にオーバーラップしたり、隣接するストリップ材16どうしの間に周方向隙間が生じる不具合を防止するには有利になる。それ故、幅方向位置によって変化する剛性コア2の外周面2aの周長に起因するストリップ材16どうしの接合乱れを抑制することが可能になる。これに伴い、製造されたタイヤ20の品質向上にも寄与する。
【符号の説明】
【0049】
1 成形装置
2 剛性コア
2a 中心軸
2b 外周面
2c 支柱
3 自在アーム
4 貼り付けユニット
5 ベースフレーム
6 圧着ローラ
7 移動機構
8 押圧体
9 ガイド
9a 支持ローラ
10 制御部
11 加硫装置
11a 加硫用モールド
12 インナーライナ
13 ビード部材
13a ビードコア
14 カーカス層
14a 成形面
15 ベルト層
16 ストリップ材
16a 補強コード
17 サイドゴム
18 トレッドゴム
19 グリーンタイヤ
20 タイヤ(完成タイヤ)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
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図13
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図15
図16
図17