【課題を解決するための手段】
【0020】
この課題は、独立特許請求項の特徴を有する検出器、ヒューマン−マシンインターフェース、追跡システム、方法により解決される。単独でまたは任意の組み合わせで実現することができる好ましい実施形態は、従属請求項に記載されている。
【0021】
以下で使用される場合、用語「有する(have)」、「備える(comprise)」、または「含む(include)」、またはそれらのあらゆる任意の文法的変異形は、非排他的な様式で使用される。したがって、こうした用語は、この状況で記載される実体に、こうした用語により導入される特徴の他には更なる特徴が存在しない場合、および1つまたは複数の更なる特徴が存在する場合を両方とも指すことができる。一例として、「AはBを有する」、「AはBを備える」、および「AはBを含む」という表現は、Bの他には他の要素がAに存在しない場合(つまり、完全におよび排他的にBからなる場合)、ならびにBの他に、要素C、要素CおよびD、またはなお更なる要素等の、1つまたは複数の更なる要素が、実体Aに存在する場合を指すことができる。
【0022】
更に、以下で使用される場合、用語「好ましくは」、「より好ましくは」、「より好ましくは」、「特に」、「より詳しくは」、「具体的には」、「より具体的には」、または類似の用語は、随意の特徴と共に使用されるが、他の可能性を制限しない。したがって、これらの用語により導入される特徴は、随意の特徴であり、いかなる点でも特許請求の範囲を限定することは意図されていない。当業者であれば認識するように、本発明は、他の特徴を使用することにより実施することができる。同様に、「本発明の一実施形態では」または類似の表現により導入される特徴は、随意の特徴であり、本発明の他の実施形態に関していかなる限定も加えるものではなく、本発明の範囲に関していかなる限定も加えるものではなく、本発明の他の随意のまたは非随意の特徴と共にそのような様式で導入される特徴を組み合わせる可能性に関していかなる限定も加えるものではない。
【0023】
本発明の第1の態様では、少なくとも1つの物体の位置を決定するための検出器が提案される。上記検出器は、以下を含む:
物体を画像平面に画像化するための、焦平面を有する少なくとも1つの転送デバイス、
少なくとも1つのセンサ領域を有し、少なくとも部分的に透過性であり、物体から検出器に進行する少なくとも1つの光ビームによるセンサ領域の照明に依存する様式で少なくとも1つの縦方向センサ信号を生成し、照明の合計出力が同じである場合、縦方向センサ信号が、センサ領域の光ビームのビーム断面に依存するように設計されている少なくとも1つの縦方向光学センサ、および
縦方向センサ信号を評価することにより物体の縦方向位置に関する少なくとも1項目の情報を生成するように設計されている、少なくとも1つの評価デバイス。
【0024】
上記検出器では、少なくとも1つの縦方向光学センサは、合焦縦方向光学センサを含む。合焦縦方向光学センサは、少なくとも実質的に焦平面に配置されている。
【0025】
本明細書で使用される場合、検出器は、一般的に、1つまたは複数の照明源による照明に応じて、および/または検出器の周囲の光学的特性に応じて、少なくとも1つの検出器シグナルおよび/または少なくとも1つの画像を生成することが可能なデバイスを指す。したがって、検出器は、光学的測定および画像処理の少なくとも1つを実施するように構成されている任意のデバイスであってもよい。
【0026】
具体的には、検出器は、少なくとも1つの物体の位置を決定するように構成されている。本明細書で使用される場合、位置という用語は、一般的に、空間における物体および/または物体の少なくとも一部分の位置および/または向きに関する少なくとも1項目の情報を指す。少なくとも1項目の情報は、物体の少なくとも1点と少なくとも1つの検出器との間の少なくとも1つの距離を指していてもよい。下記で更に詳細に概説されるように、距離は、縦方向座標であってもよく、または物体の一点の縦方向座標を決定するために寄与するものであってもよい。それに加えてまたはその代わりに、物体および/または物体の少なくとも一部分の位置および/または向きに関する1つまたは複数の他の項目の情報が決定されてもよい。一例として、物体および/または物体の少なくとも一部分の少なくとも1つの横方向座標が決定されてもよい。したがって、物体の位置は、物体および/または物体の少なくとも一部分の少なくとも1つの縦方向座標を指していてもよい。それに加えてまたはその代わりに、物体の位置は、物体および/または物体の少なくとも一部分の少なくとも1つの横方向座標を指していてもよい。それに加えてまたはその代わりに、物体の位置は、空間における物体の向きを示す、物体の少なくとも1つの向き情報を指していてもよい。位置は、物体全体、またはそうでなければ一部分のみ、例えば、物体の一点、区域、または領域に関していてもよい。上記一部分は、物体の表面に配置されていてもよく、またはそうでなければ少なくとも部分的に物体内に配置されていてもよい。
【0027】
そのために、一例として、1つまたは複数の座標系を使用してもよく、物体の位置は、1つ、2つ、または3つ以上の座標を使用することにより決定してもよい。一例として、1つまたは複数のデカルト座標系、および/または他のタイプの座標系を使用してもよい。1つの例では、座標系は、そこで検出器が所定の位置および/または向きを有する、検出器の座標系であってもよい。下記で更に詳細に概説されるように、検出器は、光軸を有していてもよく、光軸は、検出器の主視方向を構成していてもよい。光軸は、z軸等の、座標系の軸を形成してもよい。更に、好ましくはz軸に垂直である1つまたは複数の更なる軸が提供されていてもよい。
【0028】
したがって、一例として、検出器は、光軸がz軸を形成する座標系、およびz軸に垂直であり、互いに垂直であるx軸およびy軸が更に提供されている座標系を構成していてもよい。一例として、検出器および/または検出器の一部は、この座標系の原点等の、この座標系における特定の地点に位置していてもよい。この座標系では、z軸と平行または逆平行の方向を、縦方向とみなすことができ、z軸に沿った座標を、縦方向座標とみなすことができる。縦方向に垂直な任意の方向を、横方向とみなすことができ、x座標および/またはy座標を、横方向座標とみなすことができる。
【0029】
あるいは、他のタイプの座標系を使用してもよい。したがって、一例として、光軸がz軸を形成し、更なる座標としてz軸からの距離および極角を使用することができる極座標系を使用してもよい。この場合も、z軸と平行または逆平行の方向を、縦方向とみなすことができ、z軸に沿った座標を、縦方向座標とみなすことができる。z軸と垂直な任意の方向を横方向とみなすことができ、極座標および/または極角を横方向座標とみなすことができる。
【0030】
物体は、一般的に、いかなる物体でもよい。1つの実施形態では、物体は、剛性物体であってもよい。物体が、非剛性の物体またはその形状を変更することができる物体である実施形態等の、他の実施形態が実施可能である。物体は、完全にまたは部分的に検出器により検出することができる。物体は、一般的に、生体物体および非生体物体から選択される任意の物体であってもよい。したがって、一例として、少なくとも1つの物体は、1つまたは複数の物品および/または1つまたは複数の物品の部分を含んでいてもよい。それに加えてまたはその代わりに、物体は、人間、例えばユーザおよび/または動物の1つまたは複数の身体部分等の、1つまたは複数の生物および/またはその1つまたは複数の部分であってもよくまたはそれを含んでいてもよい。
【0031】
下記で更に詳細に概説されるように、特に、本発明は、機械、ゲーム、またはスポーツのシミュレーションを制御する目的等で、人の位置および/または動きを追跡するために使用することができる。この実施形態または他の実施形態では、特に、物体は、以下のものからなる群から選択されてもよい:スポーツ用具、好ましくは、ラケット、クラブ、バットからなる群から選択される物品;衣類;帽子;靴。
【0032】
検出器は、物体を画像平面に画像化するための少なくとも1つの転送デバイスを含む。本明細書で使用される場合、一般的に、転送デバイスは、少なくとも1つの物体に由来する光、例えば、1つまたは複数の照明源による照明によるおよび/または物体の周囲の光学特性に応答した、少なくとも1つの物体からの光に対するフォーカス効果またはデフォーカス効果の1つまたは両方を有するデバイス、特に光学デバイスである。光学デバイスは、レンズ、特にフォーカスレンズおよび/またはデフォーカスレンズ;フォーカスミラー;デフォーカスミラーからなる群から選択される少なくとも1つの要素を含んでいてもよい。少なくとも1つの転送デバイスは、縦方向光学センサと物体との間のビーム経路に完全にまたは部分的に位置していてもよく、物体から検出器に進行する光ビームが転送デバイスを通過するように構成されていてもよい。本明細書で使用される場合、用語「ビーム経路」は、光ビームが進行または伝搬する経路を指す。
【0033】
更に、本明細書で使用される場合、一般的に、画像平面は、好ましくは転送デバイスおよび/または縦方向光学センサの光軸に対して垂直に位置しており、転送デバイスにより物体が画像化される平面である。したがって、画像平面は、物体の画像を含む。光軸は、z軸と平行であってもよく、および/または検出器の主視方向と平行であってもよい。厳密に言えば、この規定は、二次元の物体にのみ該当し、物体距離の次元には拡張されない。三次元の物体に関しては、画像平面は、一般的に、転送デバイスおよび/または縦方向光学センサの光軸に対して垂直であり、物体の、特に物体の表面の少なくとも1地点が画像化される平面である。本明細書で使用される場合、「物体を画像化する」は、物体、特に少なくとも1つの物体に由来する光、例えば、1つまたは複数の照明源による照明によるおよび/または物体の周囲の光学特性に応答した少なくとも1つの物体からの光を投影、合焦、および脱焦することの1つまたは複数を指す。
【0034】
転送デバイスは、焦平面を有する。本明細書で使用される場合、「焦平面」は、転送デバイスの焦点(フォーカルポイントとも言う)を含み、好ましくは、転送デバイスおよび/または縦方向光学センサの光軸と直交する平面を指す。本明細書で使用される場合、「焦点」または「画像点」は、光、特に物体の少なくとも1点に由来する光線が収れんする点を指す。
【0035】
写真分野では、「焦平面」および「画像平面」という用語は同義的に使用されることが多いが、本状況では、レンズまたはレンズの組み合わせ等の転送デバイスの焦平面は、検出器の画像平面と必ずしも同一である必要がないことが、注意深く留意されるべきである。焦平面は、好ましくは転送デバイスの光軸および/または検出器の光軸と直交する、転送デバイスの焦点を含む平面である。これに反して、画像平面は、少なくとも1つの物体の実際の画像が転送デバイスにより生成される平面である。物体が転送デバイスから無限遠に向かって移動する場合、画像平面は、焦平面に向かって移動する。
【0036】
検出器は、少なくとも1つの縦方向光学センサを含む。本明細書で使用される場合、縦方向光学センサは、一般的に、物体から検出器に進行する少なくとも1つの光ビームによるセンサ領域の照明に依存する様式で、少なくとも1つの縦方向センサ信号を生成するように設計されているデバイスである。縦方向センサ信号は、照明の合計出力が同じである場合、センサ領域の光ビームのビーム断面に依存する。少なくとも1つの縦方向光学センサの考え得る構成は、国際公開第2012/110924号パンフレットおよび/または国際公開第2014/097181号パンフレットを参照することができる。また、他の実施形態も実施可能である。
【0037】
縦方向光学センサは、少なくとも1つの合焦縦方向光学センサを含む。例えば、縦方向光学センサは、正確に1つの合焦縦方向光学センサを含んでいてもよい。本明細書で使用される場合、「合焦縦方向光学センサ」は、少なくとも実質的に転送デバイスの焦平面に配置されている縦方向光学センサを指す。合焦縦方向光学センサは、好ましくは焦平面内に位置する。しかしながら、合焦縦方向光学センサは、距離±ε分だけ焦平面から離間されていてもよく、|ε|≦0.2・fであり、fは、転送デバイスの焦点距離である。距離は、|ε|≦0.1・fであってもよく、好ましくは|ε|≦0.05・fであってもよく、より好ましくは|ε|≦0.02・fであってもよく、および最も好ましくは|ε|≦0.01・fであってもよい。合焦縦方向光学センサは、合焦縦方向光学センサのセンサ領域が、検出器の光軸と本質的に垂直な向きに配置されていてもよい。したがって、本明細書で使用される場合、「少なくとも実質的に焦平面に配置されている」という用語は、概して、±εの公差で焦平面に配置されており、|ε|≦0.2・fであることを指す。
【0038】
少なくとも1つの縦方向光学センサは、合焦縦方向光学センサの他に、少なくとも1つの更なる縦方向光学センサを含んでいてもよい。少なくとも1つの縦方向光学センサは、縦方向光学センサのセンサ集積体を含んでいてもよい。合焦縦方向光学センサは、縦方向光学センサの集積体の一部を形成していてもよい。縦方向光学センサの集積体は、3つ以下の縦方向光学センサを含んでいてもよい。センサ集積体は、縦方向光学センサのセンサ領域が、検出器の光軸と本質的に垂直な向きに配置されている縦方向光学センサで構成されていてもよい。
【0039】
複数の縦方向光学センサ、例えば、縦方向光学センサの集積体が含まれている場合、縦方向光学センサは、同一であってもよく、または異なっていてもよく、少なくとも2つの異なるタイプの光学センサが含まれていてもよい。下記で更に詳細に概説されるように、少なくとも1つの縦方向光学センサは、無機光学センサおよび有機光学センサの少なくとも1つを含んでいてもよい。本明細書で使用される場合、有機光学センサは、概して、本明細書に記載の少なくとも1つの有機材料、好ましくは少なくとも1つの有機感光性材料を有する光学センサを指す。更に、無機材料および有機材料を両方とも含むハイブリッド光学センサを使用してもよい。
【0040】
縦方向光学センサの考え得る実施形態は、国際公開第2012/110924号パンフレットに開示されている光学センサを参照することができる。しかしながら、好ましくは、下記で更に詳細に概説されるように、本発明による検出器は、好ましくはセンサ集積体としての、国際公開第2012/110924号パンフレットに開示されている複数の光学センサ等の、複数の光学センサを含んでいてもよい。したがって、一例として、本発明による検出器は、国際公開第2012/110924号パンフレットに開示されている光学センサの集積体を含んでいてもよい。
【0041】
検出器が光学センサの少なくとも1つの集積体を含み、上記集積体が少なくとも2つの縦方向光学センサを含む場合、上記集積体は、随意に、油;界面での反射を回避および/または減少させる液体;樹脂、ポリマーの1つまたは複数等の1つまたは複数の浸漬液体等の、1つまたは複数の透過性浸漬マトリックスに部分的にまたは完全に浸漬されていてもよい。浸漬マトリックスは、一般的に、界面での反射を回避および/または減少させるように構成されていてもよく、および/または集積体を完全にまたは部分的に機械的に安定化させるように構成されていてもよく、および/または集積体を、機械的、化学的、または環境的影響等の外部影響から完全にまたは部分的に保護するように構成されていてもよい。したがって、集積体の光学センサの少なくとも1つは、少なくとも1つの浸漬マトリックスに完全にまたは部分的に浸漬されていてもよく、および/または少なくとも1つの浸漬マトリックスに完全にまたは部分的に埋め込まれていてもよい。
【0042】
下記で更に概説されるように、好ましくは、縦方向光学センサは、1つまたは複数の光検出器、好ましくは1つまたは複数の有機光検出器、および最も好ましくは1つまたは複数の固体色素増感有機太陽電池(s−DSC)等の、1つまたは複数の色素増感有機太陽電池(DSC、色素太陽電池とも呼ばれる)を含んでいてもよい。したがって、好ましくは、検出器は、少なくとも1つの縦方向光学センサとして作動する1つまたは複数のDSC(1つまたは複数のsDSC等)、および少なくとも1つの縦方向光学センサとして作動する1つまたは複数のDSC(1つまたは複数のsDSC等)、好ましくは少なくとも1つの縦方向光学センサとして作動する複数のDSCの集積体(好ましくは複数のsDSCの集積体)を含んでいてもよい。
【0043】
縦方向光学センサは、少なくとも1つのセンサ領域を有する。好ましくは、縦方向光学センサのセンサ領域は、1デバイス当たり1つの連続センサ領域または連続センサ表面等の、1つの連続センサ領域により形成されていてもよい。したがって、好ましくは、縦方向光学センサのセンサ領域は、または複数の縦方向光学センサ(縦方向光学センサの集積体等)が設けられている場合は、縦方向光学センサの各センサ領域は、正確に1つの連続センサ領域により形成されていてもよい。
【0044】
少なくとも1つの縦方向光学センサは、5mm
2〜1000cm
2のセンサ面積、好ましくは7mm
2〜100cm
2のセンサ面積、より好ましくは1cm
2のセンサ面積等の、少なくとも1mm
2の、好ましくは少なくとも5mm
2の、センサ面積とも呼ばれる感知面積を提供するセンサ領域を有していてもよい。センサ領域は、好ましくは、正方形形状等の矩形形状を有する。しかしながら、他の形状および/またはセンサ面積も実施可能である。
【0045】
好ましくは、縦方向光学センサは、電極および光起電力材料を含む層の層構成であり、好ましくは1mm以下の、より好ましくは最大で100μmの、最大で5μmの、または更に薄い厚さを有する層構成を有する薄膜デバイスであってもよい。したがって、縦方向光学センサのセンサ領域は、好ましくは、物体に向かって対向するそれぞれのデバイスの表面により形成されていてもよいセンサ面積であってもよく、またはセンサ面積を含んでいてもよい。
【0046】
縦方向光学センサは、少なくとも部分的に透過性である。したがって、一般的に、縦方向光学センサは、光ビームが縦方向光学センサを少なくとも部分的に通過することができるような、少なくとも1つの少なくとも部分的に透過性の光学センサを含んでいてもよい。本明細書で使用される場合、「少なくとも部分的に透過性」という用語は、縦方向光学センサ全体が透過性である場合、または縦方向光学センサの一部(感知領域等)が透過性である場合、および/または縦方向光学センサもしくは縦方向光学センサの少なくとも透過性部分が、減衰する様式でまたは減衰しない様式で光ビームを伝達することができる場合を両方とも指すことができる。したがって、一例として、透過性の縦方向光学センサは、少なくとも10%、好ましくは少なくとも20%、少なくとも40%、少なくとも50%、または少なくとも70%の透過度を有していてもよい。一般的に、感知効果を提供するために、縦方向光学センサは、典型的には、光ビームと縦方向光学センサとの間になんらかの相互作用を提供しなければならないが、それは、典型的には透過度の喪失をもたらす。縦方向光学センサの透過度は、光ビームの波長に依存する場合があり、それにより、縦方向光学センサの感度、吸収、または透過度に関するスペクトル特性が決まる。縦方向光学センサの集積体等の、複数の縦方向光学センサが設けられている場合、好ましくは、複数のおよび/または集積体の縦方向光学センサは全て透過性である。
【0047】
上記で概説されているように、複数の縦方向光学センサが設けられている場合、光学センサのスペクトル特性は、必ずしも同一であるとは限らない。したがって、縦方向光学センサの1つは、赤色スペクトル領域で強い吸収(吸収ピーク等)を示してもよく、縦方向光学センサの別の1つは、緑色スペクトル領域で強い吸収を示してもよく、別のものは、青色スペクトル領域で強い吸収を示してもよい。他の実施形態も実施可能である。本明細書で使用される場合、「光」という用語は、概して、可視スペクトル範囲、紫外スペクトル範囲、および赤外スペクトル範囲の1つまたは複数の電磁放射線を指す。その場合、「可視スペクトル範囲」という用語は、一般的に、380nm〜780nmのスペクトル範囲を指す。「赤外スペクトル範囲」という用語は、概して、780nm〜1mmの範囲の、好ましくは780nm〜3.0マイクロメートルの範囲の電磁放射線を指す。「紫外スペクトル範囲」という用語は、概して、1nm〜380nmの範囲の、好ましくは100nm〜380nmの範囲の電磁放射線を指す。更に、600nm〜780nmのスペクトル範囲を、赤色スペクトル範囲と定義してもよく、490nm〜600nmの範囲を、緑色スペクトル範囲と定義してもよく、380nm〜490nmの範囲を、青色スペクトル範囲と定義してもよい。
【0048】
縦方向センサ信号は、好ましくは、電流(光電流等)および電圧(光電圧等)からなる群から選択してもよい。更に、縦方向センサ信号を、平均および/またはフィルタリング等により前処理して、生センサ信号から精密なセンサ信号を導き出してもよい。それに加えてまたはその代わりに、縦方向センサ信号は、光ビームの幅等の、光ビームの他の特性に依存してもよい。縦方向センサ信号は、好ましくは、電流および/または電圧等の電気的信号であってもよい。縦方向センサ信号は、連続的信号であってもよく、または非連続的信号であってもよい。更に、縦方向センサ信号は、アナログ信号であってもよく、またはデジタル信号であってもよい。更に、縦方向光学センサは、単独でもおよび/または縦方向光学センサの他の部品と一緒であっても、処理された縦方向センサ信号をもたらすために、フィルタリングおよび/または平均等により縦方向センサ信号を処理または前処理するように構成されていてもよい。したがって、一例として、特定の周波数範囲の縦方向センサ信号のみを送信するために、バンドパスフィルタを使用してもよい。他のタイプの前処理も実施可能である。以下において、縦方向センサ信号を参照する場合、生の縦方向センサ信号が使用される場合と、前処理された縦方向センサ信号が更なる評価に使用される場合との間に違いはないだろう。
【0049】
本明細書で使用される場合、「光ビーム」は、概して、多かれ少なかれ同じ方向に進行するある量の光である。したがって、好ましくは、光ビームは、当業者に知られているガウス光ビームを指していてもよい。しかしながら、非ガウス光ビーム等の、他の光ビームも可能である。下記で更に詳細に概説されるように、光ビームは、物体により放射および/または反射されてもよい。更に、光ビームは、反射および/または放射されてもよい。光ビームは、少なくとも部分的に、検出器の光軸と実質的に平行に伝搬してもよい。本明細書で使用される場合、「実質的に平行」は、光軸から、±20°以下、好ましくは±10°以下、より好ましくは±5°以下しか逸脱しないビーム軸を指す。
【0050】
上記で概説されているように、少なくとも1つの縦方向センサ信号は、光ビームによる照明の合計出力が同じであれば、少なくとも1つの縦方向光学センサのセンサ領域の光ビームのビーム断面に依存する。本明細書で使用される場合、「ビーム断面」という用語は、概して、光ビームの側方伸長、または特定位置にて光ビームにより生じる光スポットを指す。円形の光スポットが生成される場合、半径、直径、またはガウスビームウエスト、またはガウスビームウエストの2倍が、ビーム断面の尺度としての役割を果たすことができる。非円形の光スポットが生成される場合、断面は、非円形の光スポットと同じ面積を有する円の断面を決定すること等の、任意の他の実施可能な方法で決定することができ、それを、ビーム断面相当と呼ぶ場合もある。
【0051】
したがって、光ビームによるセンサ領域の照明の合計出力が同じであれば、第1のビーム直径またはビーム断面を有する光ビームは、第1の縦方向センサ信号を生成することができるが、第1のビーム直径またはビーム断面とは異なる第2のビーム直径またはビーム断面を有する光ビームは、第1の縦方向センサ信号とは異なる第2の縦方向センサ信号を生成する。したがって、縦方向センサ信号を比較することにより、ビーム断面、特にビーム直径に関する情報または少なくとも1項目の情報を生成することができる。この効果の詳細は、国際公開第2012/110924号パンフレットを参照することができる。
【0052】
以下において、この効果は、一般的にFiP効果と呼ばれることになる。それは、照明の合計出力pが同じであれば、センサ信号iは、光子のフラックスF、つまり単位面積当たりの光子の数に依存するためである。
【0053】
この効果は、米国特許仮出願第61/739,173号明細書および第61/749,964号明細書に更に開示されており、光ビームが検出器に向かって進行する物体の縦方向位置を決定するために使用することができる。したがって、縦方向光学センサのセンサ信号は、センサ領域の光ビームの、直径または半径等の幅に依存し、それは次いで検出器と物体との距離に依存するため、縦方向センサ信号は、物体の縦方向座標を決定するために使用することができる。センサ領域は、好ましくは、非画素化センサ領域であってもよい。したがって、一例として、評価デバイスは、縦方向座標を決定するために、物体の縦方向座標とセンサ信号との間の所定の関係性を使用するように構成されていてもよい。所定の関係性は、経験的な較正測定を使用することにより、および/またはガウスビーム伝搬特性等の公知のビーム伝搬特性を使用することにより導き出すことができる。更なる詳細は、国際公開第2012/110924号パンフレットおよび/または米国特許仮出願第61/739,173号明細書および第61/749,964号明細書を参照することができる。
【0054】
このFiP効果の詳細は、2012年12月19日に出願された国際公開第2012/110924号パンフレットまたは米国特許仮出願第61/739,173号明細書、2013年1月8日に出願された米国特許仮出願第61/749,964号明細書、および2013年8月19日に出願された米国特許仮出願第61/867,169号明細書、および国際公開第2014/097181号パンフレットの1つまたは複数を参照することができる。具体的には、特に物体から検出器に伝搬する光ビームの1つまたは複数のビーム特性が既知である場合、物体の縦方向位置に関する少なくとも1項目の情報は、少なくとも1つの縦方向センサ信号と物体の縦方向位置との間にある既知の関係性から導き出すことができる。既知の関係性は、アルゴリズムとして、および/または1つもしくは複数の検量線として、評価デバイスに保存されていてもよい。一例として、特にガウスビームの場合、ビーム直径またはビームウエストと物体の位置との間の関係性は、ビームウエストと縦方向座標との間のガウス関係性を使用することにより容易に導き出すことができる。
【0055】
検出器は、少なくとも1つの縦方向光学センサを含む。したがって、検出器は、縦方向光学センサの1つまたは複数を含んでいてもよい。2つ以上の縦方向光学センサが複数設けられている場合、縦方向光学センサは、縦方向光学センサの2つ以上を積み重ね様式で含むセンサ集積体を設けること等、種々の様式で配置することができる。
【0056】
検出器は、少なくとも1つの縦方向光学センサの他に、随意に、本明細書で規定した縦方向光学センサではない1つまたは複数の更なる光学センサを含んでいてもよい。したがって、一例として、検出器は、光学センサの集積体を含んでいてもよく、光学センサの少なくとも1つは、縦方向光学センサであり、光学センサの少なくとも別の1つは、横方向光学センサ等の異なるタイプの光学センサ、ならびに/またはCCDチップおよび/もしくはCMOSチップのような有機撮像センサおよび/または無機撮像センサ等の撮像デバイスである。
【0057】
したがって、検出器は、少なくとも1つの横方向光学センサを更に含んでいてもよく、横方向光学センサは、物体から検出器に進行する少なくとも1つの光ビームの横方向位置を決定するように構成されており、横方向位置は、検出器の光軸と垂直な少なくとも1つの次元での位置であり、横方向光学センサは、少なくとも1つの横方向センサ信号を生成するように構成されている。評価デバイスは、横方向センサ信号を評価することにより、物体の横方向位置に関する少なくとも1項目の情報を生成するように設計されていてもよい。
【0058】
本明細書で使用される場合、「横方向光学センサ」という用語は、概して、物体から検出器に進行する少なくとも1つの光ビームの横方向位置を決定するように構成されているデバイスを指す。「横方向位置」という用語に関しては、上記に示されている定義を参照することができる。したがって、好ましくは、横方向位置は、検出器の光軸に垂直な少なくとも1つの次元における少なくとも1つの座標であってもよく、またはそれを含んでいてもよい。一例として、横方向位置は、横方向光学センサの光感知センサ表面等の、光軸に垂直な平面に光ビームにより生成される光スポットの位置であってもよい。一例として、平面における位置は、デカルト座標および/または極座標で示すことができる。他の実施形態も実施可能である。
【0059】
横方向光学センサの考え得る実施形態は、米国特許第6,995,445号明細書および米国特許出願公開第2007/0176165号明細書に開示されている位置感知有機検出器を参照することができる。更に、国際公開第2014/097181号パンフレットを参照してもよく、この文献で開示されている横方向光学センサの実施形態の1つまたは複数も、本発明の状況で使用することができる。しかしながら、他の実施形態も実施可能であり、それらは、下記で更に詳細に概説されるだろう。
【0060】
少なくとも1つの随意の横方向光学センサは、少なくとも1つの縦方向光学センサとは別の独立した部品を形成していてもよい、検出器の少なくとも1つの個別の部品として具現化されていてもよい。しかしながら、それに加えてまたはその代わりに、少なくとも1つの横方向光学センサもまた、完全にまたは部分的に、少なくとも1つの縦方向光学センサと同一に具現化されていてもよく、および/または少なくとも1つの縦方向光学センサと完全にまたは部分的に一体化されていてもよい。
【0061】
少なくとも1つの横方向センサ信号は、一般的に、横方向位置を示す任意の信号であってもよい。一例として、横方向センサ信号は、デジタル信号および/またはアナログ信号であってもよく、またはデジタル信号および/またはアナログ信号を含んでいてもよい。一例として、横方向センサ信号は、電圧信号および/または電流信号であってもよく、または電圧信号および/または電流信号を含んでいてもよい。それに加えてまたはその代わりに、横方向センサ信号は、デジタルデータであってもよく、またはデジタルデータを含んでいてもよい。横方向センサ信号は、単一の信号値および/または一連の信号値を含んでいてもよい。横方向センサ信号は、下記で更に詳細に概説されるように、2つ以上の信号を平均することおよび/または2つ以上の信号の商を取ること等により、2つ以上の個々の信号を組み合わせることにより導き出される任意の信号を更に含んでいてもよい。
【0062】
したがって、一例として、本発明による検出器は、1つまたは複数の横方向光学センサと組み合わせた、国際公開第2012/110924号パンフレットに開示されている光学センサの集積体を含んでいてもよい。一例として、1つまたは複数の横方向光学センサは、縦方向光学センサの集積体の、物体に向かって対向する側に配置されていてもよい。その代わりにまたはそれに加えて、1つまたは複数の横方向光学センサは、縦方向光学センサの集積体の、物体の反対側に対向する側に配置されていてもよい。また、それに加えてまたはその代わりに、1つまたは複数の横方向光学センサは、集積体の縦方向光学センサ間に挿入されていてもよい。
【0063】
下記で更に概説されるように、好ましくは、少なくとも1つの横方向光学センサ縦方向光学センサおよび少なくとも1つの縦方向光学センサは両方とも、1つまたは複数の光検出器、好ましくは1つまたは複数の有機光検出器、および最も好ましくは1つまたは複数の固体色素増感有機太陽電池(sDSC)等の、1つまたは複数の色素増感有機太陽電池(DSC、色素太陽電池とも呼ばれる)を含んでいてもよい。したがって、好ましくは、検出器は、少なくとも1つの横方向光学センサとして作動する1つまたは複数のDSC(1つまたは複数のsDSC等)、および少なくとも1つの縦方向光学センサとして作動する1つまたは複数のDSC(1つまたは複数のsDSC等)、好ましくは少なくとも1つの縦方向光学センサとして作動する複数のDSCの集積体(好ましくは複数のsDSCの集積体)を含んでいてもよい。
【0064】
少なくとも1つの横方向光学センサが設けられている場合、横方向光学センサは、好ましくは、少なくとも1つの第1の電極、少なくとも1つの第2の電極、および少なくとも1つの光起電力材料を有し、光起電力材料が、第1の電極と第2の電極との間に埋め込まれている光検出器である。本明細書で使用される場合、光起電力材料は、概して、光起電力材料を光で照らすと電荷を生成するように構成されている材料または材料の組み合わせである。
【0065】
好ましくは、横方向光学センサの第2の電極は、少なくとも2つの部分電極を有し、横方向光学センサがセンサ領域を有し、少なくとも1つの横方向センサ信号が、センサ領域での光ビームの位置を示す分離電極であってもよい。したがって、上記で概説されているように、横方向光学センサは、1つまたは複数の光検出器、好ましくは1つまたは複数の有機光検出器、より好ましくは1つまたは複数のDSCまたはsDSCであってもよく、またはそれを含んでいてもよい。センサ領域は、物体に向かって対向する光検出器の表面であってもよい。センサ領域は、好ましくは、光軸と垂直な向きであってもよい。したがって、横方向センサ信号は、横方向光学センサのセンサ領域の平面に光ビームにより生成される光スポットの位置を示すことができる。
【0066】
概して、本明細書で使用される場合、「部分電極」という用語は、少なくとも1つの電流および/または電圧信号を、好ましくは他の部分電極から独立して測定するように構成されている、複数の電極のうちの1つの電極を指す。したがって、複数の部分電極が設けられている場合、第2の電極は、少なくとも2つの部分電極を介して、独立して測定および/または使用することができる複数の電位および/または電流および/または電圧を提供するように構成されている。
【0067】
2つ以上の部分電極を有する少なくとも1つの分離電極を第2の電極として有する少なくとも1つの横方向光学センサを使用する場合、部分電極からの電流は、センサ領域での光ビームの位置に依存する場合がある。これは、一般的に、部分電極に衝突した光により電荷が発生した位置からの途上で、抵抗損または抵抗損失が生じ得るという事実に基づく場合がある。したがって、第2の電極は、部分電極の他に、部分電極に接続されており、電気抵抗をもたらす1つまたは複数の更なる電極材料を含んでいてもよい。1つまたは複数の更なる電極材料を介して電荷発生位置から部分電極へと向かう途上で抵抗損が起こることにより、部分電極からの電流は、電荷発生位置に、およびしたがってセンサ領域での光ビームの位置に依存する。センサ領域での光ビームの位置を決定するためのこの原理の詳細は、下記の好ましい実施形態、ならびに/または例えば米国特許第6,995,445号明細書および/もしくは米国特許出願公開第2007/0176165号明細書に開示されている物理法則およびデバイスオプションを参照することができる。
【0068】
横方向光学センサは、部分電極からの電流に従って横方向センサ信号を生成するように更に構成されていてもよい。したがって、2つの水平部分電極からの電流の比率を形成することによりX座標を生成することができ、および/または垂直の部分電極からの電流の比率を形成することによりy座標を生成することができる。検出器、好ましくは横方向光学センサおよび/または評価デバイスは、部分電極からの電流の少なくとも1つの比率から物体の横方向位置に関する情報を導き出すように構成されていてもよい。部分電極からの電流を比較することにより位置座標を生成する他の方法も実施可能である。
【0069】
部分電極は、一般的に、センサ領域での光ビームの位置を決定するために、種々の様式に規定することができる。したがって、水平座標またはx座標を決定するために2つ以上の水平部分電極が設けられていてもよく、垂直座標またはy座標を決定するために2つ以上の垂直部分電極が設けられていてもよい。したがって、部分電極は、センサ領域の縁部に設けられていてもよく、センサ領域の内部空間は空きのままであり、1つまたは複数の更なる電極材料により覆われていてもよい。下記で更に詳細に概説されるように、更なる電極材料は、好ましくは、透過性金属および/または透過性導電性酸化物および/または最も好ましくは透過性導電性ポリマー等の、透過性の更なる電極材料であってもよい。
【0070】
更なる好ましい実施形態は、光起電力材料に関していてもよい。したがって、横方向光学センサの光起電力材料は、少なくとも1つの有機光起電力材料を含んでいてもよい。したがって、一般的に、横方向光学センサは、有機光検出器であってもよい。好ましくは、有機光検出器は、色素増感太陽電池であってもよい。色素増感太陽電池は、好ましくは、第1の電極と第2の電極との間に埋め込まれている層構成を含む固体色素増感太陽電池であってもよく、層構成は、少なくとも1つのn−半導体金属酸化物、少なくとも1つの色素、および少なくとも1つの固体p−半導体有機材料を含む。色素増感太陽電池(DSC)の更なる詳細および随意の実施形態が、下記に開示されるだろう。
【0071】
横方向光学センサの少なくとも1つの第1の電極は、好ましくは透過性である。本発明で使用される場合、「透過性」という用語は、概して、透過性の物体を透過した光の強度が、透過性の物体を透過する前の光の強度の10%以上、好ましくは40%以上、およびより好ましくは60%以上であるという事実を指す。より好ましくは、横方向光学センサの少なくとも1つの第1の電極は、完全にまたは部分的に、少なくとも1つの透過性導電性酸化物(TCO)で作られていてもよい。一例として、インジウムドープ酸化スズ(ITO)および/またはフッ素ドープ酸化スズ(FTO)を挙げることができる。更なる例が、下記で示されるだろう。
【0072】
更に、横方向光学センサの少なくとも1つの第2の電極は、好ましくは、完全にまたは部分的に透過性であってもよい。したがって、特に、少なくとも1つの第2の電極は、2つ以上の部分電極、および2つ以上の部分電極と接触する少なくとも1つの更なる電極材料を含んでいてもよい。2つ以上の部分電極は、不透過性であってもよい。最後の電極を不透過性にすることは、この電極をその後最適化して残りの光を全てセンサ信号に変換することができるため、特に好ましい場合がある。本明細書では、「最後の」電極は、物体の反対側に対向する少なくとも1つの横方向光学センサの電極であってもよい。一般的に、不透過性電極は、透過性電極よりも効率的である。したがって、透過性センサの数および/または透過性電極の数を最低限に減らすことは、一般的に有益である。この状況では、一例として、国際公開第2014/097181号パンフレットに示されている少なくとも1つの横方向光学センサの考え得る構成を参照することができる。しかしながら、他の構成も実施可能である。
【0073】
一例として、2つ以上の部分電極は、完全にまたは部分的に金属で作られていてもよい。したがって、2つ以上の部分電極は、好ましくはセンサ領域の縁部に位置する。しかしながら、2つ以上の部分電極は、好ましくは透過性の少なくとも1つの更なる電極材料により電気的に接続されていてもよい。したがって、第2の電極は、2つ以上の部分電極を有する不透過性の縁部、および少なくとも1つの透過性の更なる電極材料を有する透過性の内側区域を含んでいてもよい。より好ましくは、上述の少なくとも1つの更なる電極材料等の、横方向光学センサの少なくとも1つの第2の電極は、完全にまたは部分的に、少なくとも1つの導電性ポリマー、好ましくは透過性の導電性ポリマーで作られていてもよい。一例として、少なくとも0.01S/cmの、好ましくは少なくとも0.1S/cmの、またはより好ましくは少なくとも1S/cmの、または更に少なくとも10S/cmの、または少なくとも100S/cmの導電率を有する導電性ポリマーを使用することができる。一例として、少なくとも1つの導電性ポリマーは、以下のものからなる群から選択することができる:ポリ−3,4−エチレンジオキシチオフェン(PEDOT)、好ましくは少なくとも1つの対イオンで電気的にドープされているPEDOT、より好ましくはポリスチレンスルホン酸ナトリウムでドープされているPEDOT(PEDOT:PSS);ポリアニリン(PANI);ポリチオフェン。
【0074】
上記で概説されているように、導電性ポリマーは、少なくとも2つの部分電極間の電気的接続をもたらすることができる。導電性ポリマーは、オーム抵抗をもたらすことができ、電荷発生位置を決定することを可能にする。好ましくは、導電性ポリマーは、部分電極間に、0.1〜20kΩの電気抵抗率、好ましくは0.5〜5.0kΩの電気抵抗率、およびより好ましくは1.0〜3.0kΩの電気抵抗率をもたらす。
【0075】
概して、本明細書で使用される場合、導電性材料は、10
4Ωm未満、10
3Ωm未満、10
2Ωm未満、または10Ωm未満の比電気抵抗を有する材料であってもよい。好ましくは、導電性材料は、10
−1Ωm未満、10
−2Ωm未満、10
−3Ωm未満、10
−5Ωm未満、または10
−6Ωm未満の比電気抵抗を有する。最も好ましくは、導電性材料の比電気抵抗は、5×10
−7Ωm未満であり、または1×10
−7Ωm未満であり、特にアルミニウムの比電気抵抗の範囲である。
【0076】
上記で概説されているように、好ましくは、横方向光学センサおよび縦方向光学センサの少なくとも1つは、透過性光学センサである。したがって、少なくとも1つの横方向光学センサは、透過性横方向光学センサであってもよく、および/または少なくとも1つの透過性横方向光学センサを含んでいてもよい。それに加えてまたはその代わりに、少なくとも1つの縦方向光学センサは、透過性縦方向光学センサであってもよく、および/または少なくとも1つの透過性縦方向光学センサを含んでいてもよい。縦方向光学センサの集積体等の、複数の縦方向光学センサが設けられている場合、好ましくは、複数のおよび/もしくは集積体の縦方向光学センサは全てが透過性であるか、または複数のおよび/もしくは集積体の縦方向光学センサは、1つの縦方向光学センサを除いて全てが透過性である。一例として、縦方向光学センサの集積体が設けられている場合、縦方向光学センサは、検出器の光軸に沿って配置されており、好ましくは、物体の反対側に対向する最後の縦方向光学センサを除く全ての縦方向光学センサが、透過性縦方向光学センサであってもよい。最後の縦方向光学センサ、つまり物体の反対側に対向する集積体の側にある縦方向光学センサは、透過性縦方向光学センサであってもよく、または不透過性縦方向光学センサであってもよい。例示的実施形態が、下記に示されるだろう。
【0077】
光ビームは、横方向光学センサおよび縦方向光学センサの他方に衝突する前に、透過性光学センサを通過することができる。したがって、物体からの光ビームは、横方向光学センサおよび縦方向光学センサに引き続き到達することができる。またはその逆も同様である。
【0078】
好ましくは、特に縦方向光学センサの1つまたは複数が上述のFiP効果をもたらす場合、少なくとも1つの縦方向光学センサは、または複数の縦方向光学センサが設けられている場合は、縦方向光学センサの1つまたは複数は、DSC、好ましくはsDSCであってもよく、またはDSC、好ましくはsDSCを含んでいてもよい。本明細書で使用される場合、DSCは、概して、少なくとも2つの電極を有し、電極の少なくとも1つが、少なくとも部分的に透過性であり、少なくとも1つのn−半導体金属酸化物、少なくとも1つの色素、および少なくとも1つの電解質またはp−半導体材料が、電極間に埋め込まれている構成を指す。sDSCでは、電解質またはp−半導体材料は、固体材料である。一般的に、本発明内にある光学センサの1つまたは複数に使用することもできるsDSCの考え得る構成は、国際公開第2012/110924号パンフレット、米国特許仮出願第61/739,173号明細書および米国特許仮出願第61/749,964号明細書、欧州特許出願第13171898.3号明細書、欧州特許出願第13171900.7号明細書、または欧州特許出願第13171901.5号明細書の1つまたは複数を参照することができる。他の実施形態も実施可能である。上述のFiP効果は、国際公開第2012/110924号パンフレットに示されているように、特にsDSCに存在する。
【0079】
したがって、一般的に、少なくとも1つの縦方向光学センサは、層構成を有する少なくとも1つの縦方向光学センサを含んでいてもよい。縦方向光学センサは、少なくとも1つの第1の電極、少なくとも1つのn−半導体金属酸化物、少なくとも1つの色素、少なくとも1つのp−半導体有機材料、好ましくは固体p−半導体有機材料、および少なくとも1つの第2の電極を含んでいてもよい。第1の電極および第2の電極は両方とも、透過性であってもよい。
【0080】
上記で概説されているように、少なくとも1つの縦方向光学センサは、または複数の縦方向光学センサが設けられている場合は、縦方向光学センサの少なくとも1つは、少なくとも2つの電極およびこれら電極間に埋め込まれている少なくとも1つの光起電力材料を有する感光層構成を含む有機光学センサであってもよい。感光層構成の好ましい構成の例は、特に、この感光層構成内に使用することができる材料に関して、以下で示されることになる。感光層構成は、好ましくは太陽電池の、より好ましくは有機太陽電池および/または色素増感太陽電池(DSC)、より好ましくは固体色素増感太陽電池(sDSC)の感光層構成である。しかしながら、他の実施形態も実施可能である。
【0081】
好ましくは、感光層構成は、第1の電極と第2の電極との間に挟まれている、少なくとも2つの層を含む少なくとも1つの光起電力層構成等の、少なくとも1つの光起電力材料を含む。好ましくは、感光層構成および光起電力材料は、n−半導体金属酸化物、少なくとも1つの色素、および少なくとも1つのp−半導体有機材料の少なくとも1つの層を含む。一例として、光起電力材料は、二酸化チタン等のn−半導体金属酸化物の少なくとも1つの緻密層;二酸化チタンの少なくとも1つのナノ多孔層等の、n−半導体金属酸化物の緻密層と接触しているn−半導体金属酸化物の少なくとも1つのナノ多孔層;n−半導体金属酸化物のナノ多孔層を増感する少なくとも1つの色素、好ましくは有機色素;ならびに色素および/またはn−半導体金属酸化物のナノ多孔層と接触している少なくとも1つのp−半導体有機材料の少なくとも1つの層を有する層構成を含んでいてもよい。
【0082】
n−半導体金属酸化物の緻密層は、下記で更に詳細に説明されるように、第1の電極とナノ多孔性n−半導体金属酸化物の少なくとも1つの層との間に少なくとも1つの障壁層を形成していてもよい。しかしながら、他のタイプの緩衝層を有する実施形態等の、他の実施形態が実施可能であることが留意されるべきである。
【0083】
少なくとも2つの電極は、少なくとも1つの第1の電極および少なくとも1つの第2の電極を含む。第1の電極は、陽極または陰極の一方、好ましくは陽極であってもよい。第2の電極は、陽極または陰極の他方、好ましくは陰極であってもよい。第1の電極は、好ましくは、n−半導体金属酸化物の少なくとも1つの層と接触しており、第2の電極は、好ましくは、p−半導体有機材料の少なくとも1つの層と接触している。第1の電極は、基材と接触している底部電極であってもよく、第2の電極は、基材の反対側に対向する上部電極であってもよい。あるいは、第2の電極は、基材と接触している底部電極であってもよく、第1の電極は、基材の反対側に対向する上部電極であってもよい。好ましくは、第1の電極および第2の電極は、両方とも透過性である。
【0084】
第1の電極、第2の電極、および光起電力材料、好ましくは2つ以上の光起電力材料を含む層構成に関する幾つかの選択肢が、以下に開示されることになる。しかしながら、他の実施形態も実施可能であることに留意すべきである。
【0085】
a)基材、第1の電極、およびn−半導体金属酸化物
一般的に、第1の電極およびn−半導体金属酸化物の好ましい実施形態は、国際公開第2012/110924号パンフレット、米国特許仮出願第61/739,173号明細書、または米国特許仮出願第61/708,058号明細書を参照することができる。これら文献の全ての内容は全て、参照により本明細書に含まれる。他の実施形態も実施可能である。
【0086】
以下では、第1の電極は、直接または間接的に基材と接触している底部電極であるものと仮定する。しかしながら、第1の電極が上部電極である他の構成も実施可能であることに留意すべきである。
【0087】
n−半導体金属酸化物の少なくとも1つの緻密膜(中実膜とも呼ばれる)および/またはn−半導体金属酸化物の少なくとも1つのナノ多孔膜(ナノ粒子膜とも呼ばれる)等の感光層構成で使用することができるn−半導体金属酸化物は、単一金属酸化物または異なる酸化物の混合物であってもよい。混合酸化物を使用することも可能である。n−半導体金属酸化物は、特に多孔性であってもよく、および/またはナノ粒子酸化物の形態で使用してもよく、ナノ粒子は、この状況では、0.1マイクロメートル未満の平均粒径を有する粒子を意味すると理解される。ナノ粒子酸化物は、典型的には、焼結法により、導電性基材(つまり、第1の電極としての導電性層を有する担体)に、広い表面積を有する薄い多孔膜として施される。
【0088】
好ましくは、縦方向光学センサには、少なくとも1つの透過性基材が使用される。基材は、剛性であってもよく、またはそうでなければ可撓性であってもよい。好適な基材(以下、担体とも呼ばれる)は、金属ホイルだけでなく、特にプラスチック板または膜、および中でもガラス板またはガラス膜である。特に上述の好ましい構造による第1の電極の、特に好適な電極材料は、例えば、導電性材料、例えば透過性の導電性酸化物(TCO)、例えば、フッ素ドープ酸化スズおよび/またはインジウムドープ酸化スズ(FTOまたはITO)、および/またはアルミニウムドープ酸化亜鉛(AZO)、カーボンナノチューブ、または金属膜である。しかしながら、その代わりにまたはそれに加えて、十分な透過度を依然として有する薄い金属膜を使用することも可能であろう。
【0089】
基材は、こうした導電性材料に覆われていてもよく、またはコーティングされていてもよい。一般的に、提案されている構造には単一の基材があればよいだけであるため、可撓性セルの形成も可能である。これにより、剛性基材では達成が不可能とまでは言わないが困難であると考えられる多くの最終用途、例えば銀行カード、衣類等での使用が可能になる。
【0090】
第1の電極、特にTCO層は、p型半導体がTCO層と直接接触するのを防止するために、中実のまたは緻密な金属酸化物緩衝層(例えば、厚さ10〜200nmの)で更に覆われていてもよくまたはコーティングされていてもよい(Peng et al.,Coord.Chem.Rev.248,1479(2004)を参照)。しかしながら、固体p−半導体電解質を使用すると、電解質と第1の電極との接触が、液体またはゲル形態の電解質と比較して大幅に低減され、この緩衝層が不必要となる場合が多く、電流制限効果も有しており、n−半導体金属酸化物と第1の電極との接触を悪化させることもあるこの層を省くことが可能である場合が多い。これにより、部品の効率が増強される。その一方で、そのような緩衝層は、その後、色素太陽電池の電流成分を有機太陽電池の電流成分と一致させるために、適切に制御して使用することができる。加えて、緩衝層が省かれているセルの場合、特に固体セルでは、荷電粒子の望ましくない再結合という問題が頻繁に生じる。この点で、緩衝層は、特に固体セルでは有利であることが多い。
【0091】
周知のように、金属酸化物の薄い層または膜は、一般的に、安価な固体半導体材料(n型半導体)であるが、その吸収は、バンドギャップが大きいため、典型的には電磁スペクトルの可視領域内ではなく、むしろ通常は紫外スペクトル領域で起こる。したがって、太陽電池で使用する場合、金属酸化物は、一般的に、色素太陽電池の場合と同様に、日光の波長範囲、つまり300〜2000nmにおいて吸収を起こし、電子的に励起した状態では半導体の伝導帯に電子を注入する、光増感剤としての色素と組み合わせなければならない。後に対電極で還元される電解質として、セルに更に使用される固体p型半導体の助けを借りて、電子を増感剤に再利用して、増感剤を再生することができる。
【0092】
有機太陽電池で使用するのに特に有益なものは、半導体酸化亜鉛、二酸化スズ、二酸化チタン、またはこれら金属酸化物の混合物である。金属酸化物は、ナノ結晶性多孔層の形態で使用することができる。こうした層は、日光の高度吸収が達成されるように、増感剤として色素でコーティングされている広い表面積を有する。構造化されている金属酸化物層、例えばナノロッドには、電子移動度が高くなること、または色素による細孔充填が向上すること等の利点がある。
【0093】
金属酸化物半導体は、単独でまたは混合物の形態で使用することができる。1つまたは複数の他の金属酸化物で金属酸化物をコーティングすることも可能である。加えて、金属酸化物は、コーティングとして、別の半導体、例えば、GaP、ZnP、またはZnSに施すこともできる。
【0094】
特に好ましい半導体は、好ましくはナノ結晶形態で使用されるアナターゼ多形体の酸化亜鉛および二酸化チタンである。
【0095】
加えて、増感剤には、こうした太陽電池に典型的に使用が見出されるあらゆるn型半導体と組み合わせることができるという利点がある。好ましい例としては、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ(IV)、酸化タングステン(VI)、酸化タンタル(V)、酸化ニオブ(V)、酸化セシウム、チタン酸ストロンチウム、スズ酸亜鉛、ペロブスカイト型錯体酸化物、例えば、チタン酸バリウム、ならびにナノ結晶性形態であってもよく、または非晶質形態であってもよい二元および三元酸化鉄等の、セラミックスに使用される金属酸化物が挙げられる。
【0096】
従来の有機色素、ならびにルテニウム、フタロシアニン、およびポルフィリンは、強い吸収を示すため、n−半導体金属酸化物の薄い層または膜であっても、必要とされる量の色素を吸収するのに十分である。薄い金属酸化膜は、ひいては、望ましくない再結合プロセスの可能性を低下させ、色素サブセルの内部抵抗が低減されるという利点を有する。n−半導体金属酸化物は、好ましくは、100nmから最大20マイクロメートルの、より好ましくは500nm〜約3マイクロメートルの範囲の層厚を使用することが可能である。
【0097】
b)色素
本発明の状況では、特にDSCの場合と同様に、「色素」、「増感剤色素」、および「増感剤」という用語は、本質的に同義的に使用され、考え得る構成は一切限定されない。本発明の状況で使用可能な多数の色素が従来技術で知られており、したがって、考え得る材料の例は、色素太陽電池に関する従来技術に関する上記の記載も参照することができる。好ましい例としては、国際公開第2012/110924号パンフレット、米国特許仮出願第61/739,173号明細書、または米国特許仮出願第61/708,058号明細書に開示されている色素の1つまたは複数を使用することができる。これら文献の全ての内容は全て、参照により本明細書に含まれる。それに加えてまたはその代わりに、国際公開第2007/054470号パンフレット、および/または国際公開第2012/085803号パンフレットに開示されている色素の1つまたは複数を使用することができる。これら文献もその全ての内容は全て、参照により本明細書に含まれる。
【0098】
半導体材料としての二酸化チタンに基づく色素増感太陽電池は、例えば、US−A−4 927 721、Nature 353,p.737−740(1991)、およびUS−A−5 350 644、および更にNature 395,p.583−585(1998)、およびEP−A−1 176 646に記載されている。これら文献に記載されている色素も、原理的には、本発明の状況で有利に使用することができる。こうした色素太陽電池は、好ましくは、酸性基を介して二酸化チタン層に増感剤として結合される、遷移金属錯体、特にルテニウム錯体の単分子膜を含む。
【0099】
提案されている多くの増感剤としては、金属を含まない有機色素が挙げられ、それらも同様に本発明の状況で使用可能である。例えばインドリン色素を使用すると、特に固体色素太陽電池では4%を超える高効率を達成することができる(例えば、Schmidt−Mende et al.,Adv.Mater.2005,17,813を参照)。US−A―6 359 211には、二酸化チタン半導体に固定するための、アルキレンラジカルを介して結合されているカルボキシル基を有するシアニン色素、オキサジン色素、チアジン色素、およびアクリジン色素の使用が記載されており、これは本発明の状況でも実施可能である。
【0100】
提案されている色素太陽電池の特に好ましい増感剤色素は、ドイツ特許出願公開第10 2005 053 995号明細書または国際公開第2007/054470号パンフレットに記載のペリレン誘導体、テリレン誘導体、およびクアテリレン誘導体である。更に、上記で概説されているように、国際公開第2012/085803号パンフレットに開示されている色素の1つまたは複数を使用することができる。それに加えてまたはその代わりに、国際公開第2013/144177号パンフレットに開示されている色素の1つまたは複数を使用することができる。国際公開第2013/144177号パンフレットおよび/または欧州特許出願第12162526.3号明細書の内容は全て、参照により本明細書に含まれる。特に、色素D−5および/または色素R−3を使用することができる。これはID1338とも呼ばれる。
【0101】
【化1】
【0102】
色素D−5の調製および特性は、国際公開第2013/144177号パンフレットに開示されている。
これら色素の使用は、本発明の状況でも可能であり、効率が高く同時に安定性も高い光起電力要素がもたらされる。
【0103】
リレンは、日光の波長範囲で強い吸収を示し、共役系の長さに応じて、約400nm(ドイツ特許出願公開第10 2005 053 995号明細書のペリレン誘導体I)から最大約900nm(ドイツ特許出願公開第10 2005 053 995号明細書のクアテリレン誘導体I)までの範囲をカバーすることができる。テリレンに基づくリレン誘導体Iは、二酸化チタンに吸着されて固体状態にあるその組成に応じて、約400から800nmまでの範囲内で吸収を示す。可視領域から近赤外領域までの入射日光の非常に高度な利用を達成するには、様々なリレン誘導体Iの混合物を使用することが有利である。場合によっては、様々なリレン同族体を使用することが望ましい場合もある。
【0104】
リレン誘導体Iは、n−半導体金属酸化物膜に容易におよび恒久的に固定することができる。結合は、無水物官能基(x1)、またはカルボキシル基−COOHもしくは原位置で形成される−COO−により、またはイミドに存在する酸性基Aもしくは縮合ラジカル((x2)または(x3))により達成される。ドイツ特許出願公開第10 2005 053 995号明細書に記載のリレン誘導体Iは、本発明の状況における色素増感太陽電池での使用に良好な適合性を有する。
【0105】
特に好ましいリレン色素は、ID1187:
【化2】
および/またはID1167:
【化3】
である。
【0106】
色素が、n型半導体膜へのその固定を可能にする係留基を、分子の一方の末端に有することが特に好ましい。色素は、分子の他方の末端に、n型半導体への電子供与後の色素の再生を容易にし、また半導体に既に供与されている電子との再結合を防止する電子供与体Yを含むことが好ましい。
【0107】
好適な色素の考え得る選択に関する更なる詳細は、この場合も、ドイツ特許出願公開第10 2005 053 995号明細書を参照することが可能である。例として、特に、ルテニウム錯体、ポルフィリン、他の有機増感剤、および好ましくはリレンを使用することが可能である。
【0108】
色素は、ナノ多孔性n−半導体金属酸化物層等のn−半導体金属酸化物膜上にまたは膜内に、単純な様式で固定することができる。例えば、焼結したばかりの(まだ暖かい)状態のn−半導体金属酸化物膜を、好適な有機溶媒中の色素の溶液または懸濁液と十分な期間にわたって(例えば、約0.5〜24時間)接触させてもよい。これは、例えば、金属酸化物でコーティングした基材を色素の溶液に浸漬することにより達成することができる。
【0109】
様々な色素の組み合わせが使用される場合、それらは、例えば、色素の1つまたは複数を含む1つまたは複数の溶液または懸濁液を用いて順次施すことができる。また、例えばCuSCNの層により隔てられている2つの色素を使用することが可能である(この件については、例えば、Tennakone,K.J.,Phys.Chem.B.2003,107,13758を参照)。最も便利な方法は、個々の場合に応じて比較的容易に決定することができる。
【0110】
色素、およびn−半導体金属酸化物の酸化物粒子のサイズを選択する際は、最大量の光が吸収されるように有機太陽電池を構成すべきである。酸化物層は、固体p型半導体が効率的に細孔を充填することができるように構造化されるべきである。例えば、より小さな粒子は、より広い表面積を有するため、大量の色素を吸着することが可能である。その一方で、より大きな粒子は、一般的により大きな細孔を有し、それによりp−導体へのより良好な浸透が可能になる。
【0111】
c)p−半導体有機材料
上述のように、DSCまたはsDSCの感光層構成等の少なくとも1つの感光層構成は、特に、以下ではp型半導体またはp型導体とも表わされている、少なくとも1つのp−半導体有機材料、好ましくは少なくとも1つの固体p−半導体材料を含んでいてもよい。以下では、個々にまたはそうでなければ任意の所望の組み合わせで、例えば、それぞれp型半導体を有する複数の層を組み合わせて、および/または1つの層に複数のp型半導体を組み合わせて使用することができるそのような有機p型半導体の一連の好ましい例が説明される。
【0112】
n−半導体金属酸化物の電子が固体p−導体と再結合するのを防止するために、n−半導体金属酸化物とp型半導体との間に、不動態化材料を有する少なくとも1つ不動態化層を使用することが可能である。この層は、非常に薄くなければならず、可能な限り、n−半導体金属酸化物の未被覆部位のみを被覆すべきである。また、幾つかの状況下では、不動態化材料が、色素の前に金属酸化物に施されていてもよい。好ましい不動態化材料は、特に、以下の材料の1つまたは複数である:Al
2O
3;シラン、例えばCH
3SiCl
3;Al
3+;4−tert−ブチルピリジン(TBP);MgO;GBA(4−グアニジノ−酪酸)および類似の誘導体;アルキル酸;ヘキサデシルマロン酸(HDMA)。
【0113】
上述のように、好ましくは、1つまたは複数の固体有機p型半導体は、単独でまたはそうでなければ、性質が有機または無機である1つまたは複数の更なるp型半導体と組み合わせて使用される。本発明の状況では、p型半導体は、一般的に、孔を伝導することが可能な材料、特に有機材料、すなわち陽電荷担体を意味すると理解される。より詳しくは、p型半導体は、少なくとも1回は安定的に酸化されて、例えばフリーラジカル陽イオンと呼ばれるものを形成することができる、広範なπ電子系を有する有機材料であってもよい。例えば、p型半導体は、言及した特性を有する少なくとも1つの有機マトリックス材料を含んでいてもよい。更に、p型半導体は、随意に、p−半導体特性を強化する1つまたは複数のドーパントを含んでいてもよい。p型半導体の選択に影響を及ぼす重要なパラメータは、正孔移動度であり、それは、正孔移動度が孔拡散距離を部分的に決定するからである(Kumara,G.,Langmuir,2002,18,10493−10495を参照)。様々なスピロ化合物の電荷担体移動度の比較は、例えば、T.Saragi,Adv.Funct.Mater.2006,16,966−974に見出すことができる。
【0114】
好ましくは、本発明の状況では、有機半導体が使用される(つまり、低分子量のオリゴマーまたはポリマー半導体の1つまたは複数、またはそのような半導体の混合物)。液相から加工することができるp型半導体が特に好ましい。その例は、ポリチオフェンおよびポリアリールアミン等のポリマー、または冒頭のスピロビフルオレン等の、非晶質で可逆的に酸化可能な非ポリマー有機化合物に基づくp型半導体である(例えば、米国特許出願公開第2006/0049397号明細書、およびp型半導体としてこの文献に開示されているスピロ化合物を参照されたい。これらは、本発明の状況でも使用可能である)。国際公開第2012/110924号パンフレットに開示されている低分子量p型半導体材料、好ましくはスピロ−MeOTAD、および/またはLeijtens et al.,ACS Nano,VOL.6,NO.2,1455−1462(2012)に開示されているp型半導体材料の1つまたは複数等の、低分子量有機半導体を使用することも好ましい。それに加えてまたはその代わりに、国際公開第2010/094636号パンフレットに開示されているp型半導体材料の1つまたは複数を使用することができる。この文献の内容は全て、参照により本明細書に含まれる。加えて、従来技術に関して上述されているp−半導体材料およびドーパントに関する備考も参照することができる。
【0115】
p型半導体は、好ましくは、少なくとも1つのp−導体有機材料を少なくとも1つの担体要素に塗布することにより生産可能であるかまたは生産され、上記塗布は、例えば、少なくとも1つのp−導体有機材料を含む液相からの堆積により達成される。この場合もまた、堆積は、原理的には、任意の所望の堆積法により、例えば、スピンコーティング法、ドクターブレード法、ナイフコーティング法、印刷、または前述のものおよび/もしくは他の堆積法の組み合わせにより達成することができる。
【0116】
有機p型半導体は、特に、スピロ−MeOTAD等の少なくとも1つのスピロ化合物、および/または以下の構造式を有する少なくとも1つの化合物を含んでいてもよく、
【化4】
式中、
A
1、A
2、A
3は、各々独立して随意に置換されているアリール基またはヘテロアリール基であり、
R
1、R
2、R
3は、置換基−R、−OR、−NR
2、−A
4−OR、および−A
4−NR
2からなる群から各々独立して選択され、
Rは、アルキル、アリール、およびへテロアリールからなる群から選択され、
A
4は、アリール基またはヘテロアリール基であり、
式Iのnは、各出現において、独立して0、1、2、または3の値であり、
但し、個々のn値の合計は、少なくとも2であり、R
1ラジカル、R
2ラジカル、およびR
3ラジカルの少なくとも2つは、−ORおよび/または−NR
2である。
【0117】
好ましくは、A
2およびA
3は同じであり、したがって、式(I)の化合物は、好ましくは以下の構造(Ia)を有する。
【0118】
【化5】
【0119】
より詳しくは、上記で説明されているように、p型半導体は、このように少なくとも1つの低分子量有機p型半導体を有していてもよい。低分子量材料は、一般的に、単量体の、非ポリマーの、または非オリゴマーの形態で存在する材料を意味すると理解される。この状況で使用される「低分子量」という用語は、好ましくは、p型半導体が、100から25000g/molまでの範囲の分子量を有することを意味する。好ましくは、低分子量材料は、500〜2000g/molの分子量を有する。
【0120】
一般的に、本発明の状況では、p−半導体特性は、材料、特に有機分子が孔を形成し、これら孔を輸送し、および/またはそれらを隣接する分子に送達する特性を意味すると理解される。より詳しくは、これら分子の安定的酸化が可能であるべきである。加えて、言及した低分子量有機p型半導体は、特に、広範なπ電子系を有していてもよい。より詳しくは、少なくとも1つの低分子量p型半導体は、溶液から加工可能である。低分子量p型半導体は、特に、少なくとも1つのトリフェニルアミンを含んでいてもよい。低分子量有機p型半導体が少なくとも1つのスピロ化合物を含む場合が、特に好ましい。スピロ化合物は、その環が、スピロ原子とも呼ばれる1つの原子にのみ結合されている多環式有機化合物を意味すると理解される。より詳しくは、スピロ原子は、スピロ原子により互いに接続されているスピロ化合物の部分が、例えば、互いに対して異なる平面に配置されるように、sp
3−混成されていてもよい。
【0121】
より好ましくは、スピロ化合物は、以下の式の構造を有する。
【0122】
【化6】
【0123】
式中、aryl
1ラジカル、aryl
2ラジカル、aryl
3ラジカル、aryl
4ラジカル、aryl
5ラジカル、aryl
6ラジカル、aryl
7ラジカル、およびaryl
8ラジカルは、各々独立して、置換アリールラジカルおよびヘテロアリールラジカルから、特に置換フェニルラジカルから選択され、アリールラジカルおよびヘテロアリールラジカル、好ましくはフェニルラジカルは、好ましくは各々の場合で、−O−アルキル、−OH、−F、−Cl、−Br、および−Iからなる群から選択され、アルキルが、好ましくはメチル、エチル、プロピル、またはイソプロピルである1つまたは複数の置換基により、各々独立して置換されている。より好ましくは、フェニルラジカルは、各々の場合で、−O−Me、−OH、−F、−Cl、−Br、および−Iからなる群から選択される1つまたは複数の置換基により、各々独立して置換されている。
【0124】
更に好ましくは、スピロ化合物は、以下の式の化合物である。
【0125】
【化7】
【0126】
式中、R
r、R
s、R
t、R
u、R
v、R
w、R
x、およびR
yは、各々独立して、−O−アルキル、−OH、−F、−Cl、−Br、および−Iからなる群から選択され、アルキルは、好ましくはメチル、エチル、プロピル、またはイソプロピルである。より好ましくは、R
r、R
s、R
t、R
u、R
v、R
w、R
x、およびR
yは、各々独立して、−O−Me、−OH、−F、−Cl、−Br、および−Iからなる群から選択される。
【0127】
より詳しくは、p型半導体は、スピロ−MeOTADを含んでいてもよく、またはスピロ−MeOTADからなっていてもよく、つまり、Merck KGaA社、ダルムシュタット、ドイツから市販されている下記式の化合物であってもよい。
【0128】
【化8】
【0129】
その代わりにまたはそれに加えて、他のp−半導体化合物、特に低分子量p−半導体化合物および/またはオリゴマーp−半導体化合物および/またはポリマーp−半導体化合物を使用することも可能である。
【0130】
別の実施形態では、低分子量有機p型半導体は、前述の一般式Iの1つまたは複数の化合物を含み、それについては、例えば、PCT出願番号PCT/EP2010/051826号を参照することができる。p型半導体は、上述のスピロ化合物に加えてまたはその代わりに、前述の一般式Iの少なくとも1つの化合物を含んでいてもよい。
【0131】
「アルキル」または「アルキル基」または「アルキルラジカル」という用語は、本発明の状況で使用される場合、一般的に、置換または非置換C
1〜C
20アルキルラジカルを意味すると理解される。C
1〜C
10アルキルラジカルが好ましく、C
1〜C
8アルキルラジカルが特に好ましい。アルキルラジカルは、直鎖または分岐のいずれであってもよい。加えて、アルキルラジカルは、同様に置換または非置換であってもよいC
1〜C
20アルコキシ、ハロゲン、好ましくはF、およびC
6〜C
30アリールからなる群から選択される1つまたは複数の置換基により置換されていてもよい。好適なアルキル基の例は、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、およびオクチル、ならびに更にイソプロピル、イソブチル、イソペンチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ネオペンチル、3,3−ジメチルブチル、2−エチルヘキシル、ならびに更にC
6〜C
30アリール、C
1〜C
20アルコキシ、および/またはハロゲン、特にF、例えばCF
3により置換されている上記のアルキル基の誘導体である。
【0132】
「アリール」または「アリール基」または「アリールラジカル」という用語は、本発明の状況で使用される場合、単環式、二環式、三環式、またはそうでなければ多環式である、環ヘテロ原子を一切含まない芳香環に由来する随意に置換されているC
6〜C
30アリールラジカルを意味すると理解される。アリールラジカルは、好ましくは、5員および/または6員芳香環を含む。アリールが単環系でない場合、第2の環の「アリール」という用語は、飽和形態(ペルヒドロ形態)または部分的に不飽和の形態(例えばジヒドロ形態またはテトラヒドロ形態)も、特定の形態が既知および安定している限り可能である。したがって、「アリール」という用語は、本発明の状況では、例えば、両ラジカルまたは3つ全てのラジカルのいずれかが芳香族である二環式または三環式ラジカルも含み、1つの環のみが芳香族である二環式または三環式ラジカルも含み、2つの環が芳香族である三環式ラジカルも含む。アリールの例は、フェニル、ナフチル、インダニル、1,2−ジヒドロナフテニル、1,4−ジヒドロナフテニル、フルオレニル、インデニル、アントラセニル、フェナントレニル、または1,2,3,4−テトラヒドロナフチルである。C
6〜C
10アリールラジカル、例えば、フェニルまたはナフチルが特に好ましく、C
6アリールラジカル、例えばフェニルが非常に特に好ましい。加えて、「アリール」という用語は、単結合または二重結合により互いに結合されている少なくとも2つの単環式、二環式、または多環式の芳香環を含む環系も含む。1つの例は、ビフェニル基の環系である。
【0133】
「へテロアリール」または「へテロアリール基」または「へテロアリールラジカル」という用語は、本発明の状況で使用される場合、随意に置換されている5員または6員芳香環および多環式環、例えば、少なくとも1つの環に少なくとも1つのヘテロ原子を有する二環式および三環式化合物を意味すると理解される。へテロアリールは、本発明の状況では、好ましくは5〜30個の環原子を含む。へテロアリールは、単環式、二環式、または三環式であってもよく、あるものは、アリール基本骨格の少なくとも1つの炭素原子をヘテロ原子に置き換えることにより、前述のアリールから誘導することができる。好ましいヘテロ原子は、N、O、およびSである。ヘタリールラジカルは、より好ましくは、5〜13個の環原子を有する。へテロアリールラジカルの基本骨格は、特に好ましくは、ピリジン、およびチオフェン、ピロール、イミダゾール、またはフラン等の5員ヘテロ芳香族等の系から選択される。こうした基本骨格は、1つまたは2つの6員芳香族ラジカルと随意に融合していてもよい。加えて、「ヘテロアリール」という用語は、単結合または二重結合により互いに結合されており、少なくとも1つの環がヘテロ原子を含む、少なくとも2つの単環式、二環式、または多環式の芳香環を含む環系も含む。ヘテロアリールが単環系でない場合、少なくとも1つの環の「ヘテロアリール」という用語は、飽和形態(ペルヒドロ形態)または部分的に不飽和の形態(例えばジヒドロ形態またはテトラヒドロ形態)も、特定の形態が既知および安定している限り可能である。したがって、「ヘテロアリール」という用語は、本発明の状況では、例えば、両ラジカルまたは3つ全てのラジカルのいずれかが芳香族である二環式または三環式ラジカルも含み、1つの環のみが芳香族である二環式または三環式ラジカルも含み、2つの環が芳香族であり、それら環の少なくとも1つ、つまり少なくとも1つの芳香環または1つの非芳香環がヘテロ原子を有する三環式ラジカルも含む。好適な融合ヘテロ芳香族は、例えば、カルバゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンゾフリル、ジベンゾフリル、またはジベンゾチオフェニルである。基本骨格は、1つの、2つ以上の、または全ての置換可能部位で置換されていてもよく、好適な置換基は、C
6〜C
30アリールを定義した際に既に指定されているものと同じである。しかしながら、ヘタリールラジカルは、好ましくは置換されていない。好適なヘタリールラジカルは、例えば、ピリジン−2−イル、ピリジン−3−イル、ピリジン−4−イル、チオフェン−2−イル、チオフェン−3−イル、ピロール−2−イル、ピロール−3−イル、フラン−2−イル、フラン−3−イル、およびイミダゾール−2−イル、および対応するベンゼン融合ラジカル、特に、カルバゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンゾフリル、ジベンゾフリル、またはジベンゾチオフェニルである。
【0134】
本発明の状況では、「随意に置換されている」という用語は、アルキル基、アリール基、またはヘテロアリール基の少なくとも1つの水素ラジカルが、置換基により置き換えられているラジカルを指す。この置換基のタイプに関しては、以下のものが好ましい:アルキルラジカル、例えばメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、およびオクチル、ならびに更にイソプロピル、イソブチル、イソペンチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ネオペンチル、3,3−ジメチルブチル、および2−エチルヘキシル、アリールラジカル、例えば、C
6〜C
10アリールラジカル、特に、フェニルまたはナフチル、最も好ましくは、C
6アリールラジカル、例えば、フェニルおよびヘタリールラジカル、例えば、ピリジン−2−イル、ピリジン−3−イル、ピリジン−4−イル、チオフェン−2−イル、チオフェン−3−イル、ピロール−2−イル、ピロール−3−イル、フラン−2−イル、フラン−3−イル、およびイミダゾール−2−イル、ならびに更に対応するベンゼン融合ラジカル、特に、カルバゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンゾフリル、ジベンゾフリル、またはジベンゾチオフェニル。更なる例としては、以下の置換基:アルケニル、アルキニル、ハロゲン、ヒドロキシルが挙げられる。
【0135】
この場合、置換度は、一置換から、考え得る最大数の置換基までの範囲であってもよい。
【0136】
本発明により使用される式Iの好ましい化合物は、R
1ラジカル、R
2ラジカル、およびR
3ラジカルの少なくとも2つが、パラ−OR置換基および/または−NR
2置換基であるという点が注目に値する。上記少なくとも2つのラジカルは、この場合、−ORラジカルのみ、−NR
2ラジカルのみ、または少なくとも1つの−ORラジカルおよび少なくとも1つの−NR
2ラジカルであってもよい。
【0137】
本発明により使用される式Iの特に好ましい化合物は、R
1ラジカル、R
2ラジカル、およびR
3ラジカルの少なくとも4つが、パラ−ORおよび/または−NR
2置換基であるという点が注目に値する。上記少なくとも4つのラジカルは、この場合、−ORラジカルのみ、−NR
2ラジカルのみ、または−ORラジカルおよび−NR
2ラジカルの混合物であってもよい。
【0138】
本発明により使用される式Iの非常に特に好ましい化合物は、R
1ラジカル、R
2ラジカル、およびR
3ラジカルの全てが、パラ−OR置換基および/または−NR
2置換基であるという点が注目に値する。上記ラジカルは、−ORラジカルのみ、−NR
2ラジカルのみ、または−ORラジカルおよび−NR
2ラジカルの混合物であってもよい。
【0139】
全ての場合において、−NR
2ラジカル中の2つのRは、互いに異なっていてもよいが、それらは好ましくは同じである。
【0140】
好ましくは、A
1、A
2、およびA
3は、各々独立して、以下のものからなる群から選択される。
【0141】
【化9】
【0142】
式中、
mは、1から18までの整数であり、
R
4は、アルキル、アリール、またはヘテロアリールであり、R
4は、好ましくはアリールラジカルであり、より好ましくはフェニルラジカルであり、
R
5、R
6は、各々独立して、H、アルキル、アリール、またはヘテロアリールであり、
示されている構造の芳香環およびヘテロ芳香環は、随意に更なる置換を有していてもよい。この場合、芳香環およびヘテロ芳香環の置換度は、一置換から、考え得る最大数の置換基までの範囲であってもよい。
【0143】
芳香環およびヘテロ芳香環が更に置換される場合の好ましい置換基としては、随意に一置換、二置換、または三置換された芳香族基またはヘテロ芳香族基の、既に上記で言及されている置換基が挙げられる。
【0144】
好ましくは、示されている構造の芳香環およびヘテロ芳香環は、更なる置換を有していない。
【0145】
より好ましくは、A
1、A
2、およびA
3は、各々独立して、
【化10】
であり、より好ましくは、
【化11】
である。
【0146】
より好ましくは、式(I)の少なくとも1つの化合物は、以下の構造の1つを有する。
【0147】
【化12】
【0148】
別の実施形態では、有機p型半導体は、以下の構造を有するタイプID322の化合物を含む。
【0149】
【化13】
【0150】
本発明により使用される化合物は、当業者に知られている従来の有機合成法により調製することができる。関連(特許)文献への言及は、下記に示されている合成例において更に見出すことができる。
【0151】
d)第2の電極
第2の電極は、基材に対向する底部電極であってもよく、またはそうでなければ基材の反対側に対向する上部電極であってもよい。上記で概説されているように、第2の電極は、完全にまたは部分的に透過性であってもよい。本明細書で使用される場合、「部分的に透過性」という用語は、第2の電極が、透過性領域および不透過性領域を含んでいてもよいという事実を指す。
【0152】
以下の群の材料の1つまたは複数の材料を使用することができる:少なくとも1つの金属材料、好ましくは、アルミニウム、銀、白金、金からなる群から選択される金属材料;少なくとも1つの非金属無機材料、好ましくはLiF;少なくとも1つの有機導電体または半導体材料、好ましくは少なくとも1つの導電性ポリマー、およびより好ましくは少なくとも1つの透過性の導電性ポリマー。
【0153】
第2の電極は、少なくとも1つの金属電極を含んでいてもよく、純粋な形態の1つまたは複数の金属、または特にアルミニウムもしくは銀等の混合物/合金としての1つまたは複数の金属が使用されていてもよい。
【0154】
それに加えてまたはその代わりに、無機材料および/または有機材料等の非金属材料を、単独および金属電極との組み合わせの両方で使用することができる。一例として、無機/有機混合電極または多層電極の使用、例えばLiF/Al電極の使用が可能である。それに加えてまたはその代わりに、導電性ポリマーを使用することができる。したがって、光学センサの第2の電極は、好ましくは、1つまたは複数の導電性ポリマーを含んでいてもよい。
【0155】
したがって、一例として、第2の電極は、金属の1つまたは複数の層と組み合わせて、1つまたは複数の導電性ポリマーを含んでいてもよい。好ましくは、少なくとも1つの導電性ポリマーは、透過性の導電性ポリマーである。この組み合わせにより、第2の電極に透過性および高度な導電性の両方を付与するために、依然として十分な導電度を提供することにより、非常に薄く、したがって透過性の金属層を設けることが可能になる。したがって、一例として、1つまたは複数の金属層は、各々または組み合わせて、50nm未満の、好ましくは40nm未満の、または更に30nm未満の厚さを有していてもよい。
【0156】
一例として、以下のものからなる群から選択される1つまたは複数の導電性ポリマーを使用することができる:ポリアナリン(PANI)および/またはその化学的関連物質;ポリチオフェン、ならびに/またはポリ(3−ヘキシルチオフェン(P3HT)および/もしくはPEDOT:PSS(ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)ポリ(スチレンスルホナート)等のその化学的関連物質。それに加えてまたはその代わりに、欧州特許出願公開第2507286号明細書、欧州特許出願公開第2205657号明細書、または欧州特許出願公開第2220141号明細書に開示されている導電性ポリマーの1つまたは複数。更なる例示的実施形態は、米国特許仮出願第61/739,173号明細書または米国特許仮出願第61/708,058号明細書を参照することができる。これら文献の全ての内容は全て、参照により本明細書に含まれる。
【0157】
それに加えてまたはその代わりに、グラファイト、グラフェン、カーボンナノチューブ、カーボンナノワイヤからなる群から選択される炭素材料等の無機導電性炭素材料等の無機導電性材料を使用してもよい。
【0158】
加えて、光子を適切に反射させて、少なくとも2回吸収層を通過させることにより、成分の量子効率を増加させる電極設計を使用することも可能である。そのような層状構造は、「コンセントレータ」とも呼ばれ、例えば、国際公開第02/101838号パンフレット(特に23〜24頁)にも記載されている。
【0159】
上記で概説されているように、評価デバイスは、縦方向センサ信号を評価することにより、物体の縦方向位置に関する少なくとも1項目の情報を生成するように設計されている。しかしながら、ガウス光ビームは、焦点前後の距離zではビーム幅が同じである場合があり、ビーム特性に多義性が生じる場合がある。
【0160】
一般的に、例えば、国際公開第2012/110924号パンフレット、または2012年12月19日に出願された米国特許仮出願第61/739,173号明細書、2013年1月8日に出願された第61/749,964号明細書、および2013年8月19日に出願された第61/867,169号明細書、および国際公開第2014/097181号パンフレットからは、FiP効果を提供するように構成されている複数の縦方向光学センサ、例えば縦方向光学センサの集積体等の少なくとも2つの縦方向光学センサを設けることにより、多義性の発生を克服することが知られている。したがって、センサ集積体のその次の縦方向光学センサ等の、その次に光ビームにより照らされる縦方向光学センサからの信号を評価することにより、ビーム特性の多義性を解決することができる。この多義性は、少なくとも2つの位置に沿ってビーム幅を測定し、光ビームが更に狭くなっていくかまたは幅広になっていくかを決定することより解決することができる。FiP効果を有する2つ以上の縦方向光学センサを設けることにより、より高い正確性をもたらすことができる。評価デバイスは、少なくとも2つの光学センサのセンサ領域での光ビームの幅を決定するように構成されていてもよく、評価デバイスは、幅を評価することにより、光ビームがそこからの光学検出器に向かって伝搬する物体の縦方向位置に関する少なくとも1項目の情報を生成するように更に構成されていてもよい。
【0161】
本発明による検出器は、多義性を解決するのに必要な縦方向光学センサの量を低減する可能性を提供することができる。ビーム光学に関する以下の式は、「Fundamentals of Photonics」、Bahaa E.A.Saleh,Malvin Carl Teich,1991 John Wiley & Sons,Inc.、第3章を参照することができる。一般的に、縦方向光学センサの効率η、特に電流変換効率に対する出力は、入射光の強度Iに依存する場合がある:
【数1】
【0162】
式中、C
ηは定数であり、Pは入射光の出力であり、Aは照射面積である。更に、効率は、j=η・Pと規定され、jは、縦方向光学センサ信号電流である。したがって、縦方向光学センサ信号電流は、以下の数式により求められる。
【0163】
【数2】
【0164】
ガウスビームの出力は、転送デバイスがz=0に位置し、Z軸に沿ってアラインされている光学系の場合、ビーム面積Aを積分することにより求められる。
【0165】
【数3】
【0166】
少なくとも1つの物体は、距離z
tに位置していてもよい。zは、軸方向距離であってもよく、ρは、径方向距離であってもよく、ρ=(x
2+y
2)
1/2である。
【0167】
したがって、強度Iのガウスビームにより誘導される縦方向光学センサ信号電流は、以下の数式により求められる。
【0168】
【数4】
【0169】
【数5】
【0170】
集束ビームの強度、I
fは、以下の数式により求められる。
【0171】
【数6】
【0172】
式中、I
0fおよびW
0fは、焦点における強度および幅であり、W
fは、集束ビームのz依存性幅である。強度I
0fは、物体の距離に依存する。
【0173】
ガウスビームの場合、ビーム幅は、以下の数式により求められる。
【0174】
【数7】
【0175】
式中、z
fは、焦点のZ座標であり、z
0は、レイリー範囲である。光線光学に関する同様の数式は、例えば、「Fundamentals of Photonics」、Bahaa E.A.Saleh,Malvin Carl Teich,1991 John Wiley & Sons,Inc.、第3章を参照することができる。
【0176】
したがって、焦点における縦方向光学センサ信号電流は、以下の数式により求められる。
【0177】
【数8】
【0178】
光線光学では、これらの数式は、以下の数式により求められる。
【0179】
【数9】
【0180】
【数10】
【0181】
式中、θは、ヘビサイドステップ関数である。
【0182】
したがって、ガウスビームおよび古典的ビームの場合、縦方向光学センサ信号電流は、以下の数式により求められる。
【0183】
【数11】
【0184】
式中、C
FiPは、定数である。焦点における縦方向光学センサ信号電流は、以下の数式により求められる。
【0185】
【数12】
【0186】
したがって、一般的に、縦方向光学センサ信号電流は、以下の数式で表現することができる。
【0187】
【数13】
【0188】
縦方向光学センサ信号電流は、焦点z
fからの距離が大きくなると共に減少する場合がある。
【0189】
2つの異なる距離z
fおよびz’
fにおける、それらの焦点電流j
focal(z
f)およびj
focal(z’
f)に対してそれぞれ正規化された、同じ物体の2つの縦方向光学センサ信号電流j(z、z
f)およびj(z、z’
f)を考慮することができる。これら曲線は、以下の場合、z=z
crossで交差する場合がある。
【0190】
【数14】
【0191】
【数15】
【0192】
ガウスビームの場合、この数式は、以下のように単純化される。
【0193】
【数16】
【0194】
【数17】
【0195】
曲線の交差は、依然として各曲線の焦点位置に依存するが、驚くべきことに、所与の光学系では、異なる焦点距離の差異z
crossは小さく、z
crossは、縦方向光学センサ電流がそれほどz依存性ではない領域にあることが見出された。更に、一般的に、所与の光学系は、ある光学範囲に限定される。驚くべきことに、正規化された電流曲線が全て交差する、焦点、焦点距離、または焦平面に近い狭いz範囲または地点が、光学系の典型的な範囲内に見出された。したがって、この位置のまたはこの交差範囲内の縦方向光学センサ電流を測定することにより、曲線の正規化を得ることができる。それが、j
focalである。上記で概説されているように、合焦縦方向光学センサは、距離±ε分だけ焦平面から離間されていてもよく、|ε|≦0.2・fであり、fは、転送デバイスの焦点距離である。例えば、|ε|≦0.1・fであり、好ましくは|ε|≦0.05・fであり、より好ましくは|ε|≦0.02・fであり、および最も好ましくは|ε|≦0.01・fである。少なくとも1つの合焦縦方向光学センサは、少なくとも1つの合焦縦方向光学センサが、曲線が交差する範囲または地点内に位置するように、焦平面に配置されていてもよい。更に、交差範囲は、系依存性に過ぎない場合があるため、少なくとも1つの合焦縦方向光学センサをこの交差範囲内に設置することにより、物体の移動に伴う焦点変化によるアラインメントおよび調整を回避することができる。
【0196】
評価デバイスは、合焦縦方向光学センサの少なくとも1つの縦方向センサ信号j
focalを評価し、画像平面おける仮想縦方向光学センサの理論的縦方向センサ信号j
imageを導き出すように構成されていてもよい。評価デバイスは、理論的縦方向センサ信号j
imageを決定するために、理論的縦方向センサ信号j
imageが、合焦縦方向光学センサの縦方向センサ信号j
focalに比例するという仮定を使用するように構成されていてもよい。評価デバイスは、理論的縦方向センサ信号j
imageを決定するために、以下の関係性を使用するように構成されていてもよい。
【0197】
【数18】
【0198】
式中、const.は、所定のまたは決定可能な定数である。評価デバイスは、理論的縦方向センサ信号j
imageを決定するために、以下の関係性を使用するように構成されていてもよい。
【0199】
【数19】
【0200】
式中、c(h
target,f
lens,l
lens)は、特にある直径を有する光点の場合、その光点の直径であってもよい物体のサイズh
target、転送デバイスの焦点距離f
lens、および転送デバイスの口径l
lensに依存する所定のまたは決定可能な関数である。合焦縦方向光学センサ電流j
focalが決定され、c(h
target,f
lens,l
lens)が既知であれば、理論的センサ信号j
imageを決定することができる。したがって、画像平面へのまたは画像平面付近への縦方向光学センサの設置を回避して、画像平面のセンサ信号を決定することができる。更に、多義性を解決するのに必要な縦方向光学センサの量を低減することが可能であり得る。物体のサイズh
target、転送デバイスの焦点距離f
lens、および転送デバイスの口径l
lensに依存する所定のまたは決定可能な関数が既知である場合、少なくとも1つの物体の縦方向位置を決定するには、合焦縦方向光学センサを含む1つ、2つ、または3つの縦方向光学センサがあれば十分である。したがって、基本的には、3つ以下の縦方向光学センサを含む縦方向光学センサの集積体であれば、少なくとも1つの物体の縦方向位置を精密に測定するのに十分である。しかしながら、3つを超える縦方向光学センサを使用することも可能である。
【0201】
他のセンサ集積体と比較して、縦方向光学センサの数を低減することは、幾つかの点で有利である。したがって、部品の全体数を低減することができるため、システムのコストを低減することができる。更に、一般的に検出器の複雑さを低減することができ、それにより検出器の全体的サイズならびに検出器の全体的誤差率を低減する可能性がもたらされる。更に、センサ集積体内の縦方向光学センサの数を低減することにより、より低い透過度を有し、したがってより高い量子効率を有する縦方向光学センサを使用することができるため、光学品質を向上させることができる。これは、多数の光学センサを有するセンサ集積体の場合、集積体内の最後の光学センサにまで光ビームを到達させるためには、高透過性を有する光学センサを使用しなければならないだろうという事実による。集積体内の縦方向光学センサの数を低減することにより、各縦方向光学センサは、より多くの量の光を吸収するように設計することができ、したがって、より高い縦方向光学センサ信号を生成することができる。それにより、信号雑音比を向上させることができ、少なくとも1つの物体の位置決定の正確性を向上させることができる。センサ集積体は、縦方向光学センサの他に、1つまたは複数の他のタイプのセンサ、および/または少なくとも1つの横方向光学センサ等の1つまたは複数の他の要素、および/またはレンズ等の少なくとも1つの他のタイプの光学要素を含んでいてもよいことが更に留意されるべきである。更に、集積体は、例えばCCDチップおよび/またはCMOSチップのような画像検出器等の、少なくとも1つの撮像デバイスを含んでいてもよい。
【0202】
縦方向光学センサ信号電流の曲線全体を決定するためには、および特に焦点位置z
fを決定するためには、縦方向光学センサ信号電流の少なくとも2つの測定値が必要であり得る。一般的に、焦点位置z
fが完全に未知である場合、曲線の対称性により各縦方向光学センサ信号電流に2つのz値を割り当てることができるため、2つの測定値が必要である。しかしながら、考え得るz
f値の範囲が既知の場合、つまり、測定値が常にz
fと転送デバイスとの間にあることが判明している場合、1つの測定値で十分な場合がある。これにより、集積体中の光学センサの数を更に低減することができる。
【0203】
一般的な物体の場合、物体のサイズh
targetは、未知であってもよい。物体のサイズは、画素化CMOS検出器および/または非画素化無機ダイオードにより決定することができる。画素化CMOS検出器では、ピクセルを計数して、物体のサイズを決定することができる。非画素化ダイオード、例えば非画素化Si−ダイオードでは、ダイオード電流は、光子の数のみに依存し得る。物体のサイズは、ダイオード電流と強度依存性縦方向光学センサ信号電流との比により求めることができる。
【0204】
1つの実施形態では、検出器は、ハイブリッド有機/無機検出器を含んでいてもよい。ハイブリッド有機/無機検出器は、以下のものからなる群からの検出器の組み合わせを含んでいてもよい:縦方向光学センサ、特に有機縦方向光学センサ、およびCMOS検出器の組み合わせ;縦方向検出器、特に有機縦方向光学センサ、およびダイオード、特に光ダイオード、例えばSi−、Ge−等の光ダイオードの組み合わせ;センサ集積体およびCMOS検出器を含む縦方向光学センサ。
【0205】
例えば、検出器は、少なくとも1つの縦方向光学センサおよびCMOS検出器を含んでいてもよい。この実施形態では、光学特性f
lensおよびl
lensは既知であってもよいが、物体のサイズは、既知ではなく、画素化CMOS検出器のピクセルを計数することにより決定することができる。例えば、検出器は、センサ集積体およびCMOS検出器を含んでいてもよく、それらを使用して物体サイズを決定することができる。しかしながら、この場合、従来技術で使用されるセンサ集積体に関しては、集積体内のセンサの数を低減することが必要である場合がある。
【0206】
更なる実施形態では、検出器は、純粋に有機的な検出器を含んでいてもよい。有機検出器は、以下のものからなる群からの検出器の組み合わせを含んでいてもよい:センサ集積体;画素化縦方向光学センサおよび非画素化縦方向光学センサの組み合わせ;明視野カメラ、画素化合焦縦方向光学センサ、および焦平面から離間して設置されている更なる画素化縦方向光学センサの組み合わせ。例えば、検出器は、画素化縦方向光学センサおよび非画素化縦方向光学センサの組み合わせを含んでいてもよく、物体サイズは、画素化縦方向光学センサを使用して決定してもよい。
【0207】
更なる実施形態では、検出器は、転送デバイスの後に、幾つかの画素化CMOSチップに基づくカメラを含んでいてもよい。例えば、ビームスプリッティング要素により、画像を転送デバイスから様々な距離のCMOSチップに送ることができる。CMOSチップの1つは、転送デバイスの焦平面に配置されていてもよい。物体の距離は、例えばピクセル計数により決定された、信号強度および物体のサイズから単位面積当たりの光子を計算することにより決定することができる。この配置では、画像平面の更なる情報を計算することが可能であってもよい。更なる実施形態が原理的に実施可能である。
【0208】
検出器は、物体を照らすための少なくとも1つの照明源を含んでいてもよい。照明源は、種々の方法で具現化することができる。したがって、照明源は、例えば、検出器筺体内の検出器の一部であってもよい。しかしながら、その代わりにまたはそれに加えて、少なくとも1つの照明源は、例えば個別の光源として検出器筺体外部に配置することもできる。照明源は、物体から離間して配置され、ある距離から物体を照射することができる。しかしながら、物体が、それに加えてまたはその代わりに、周囲光により照らされている実施形態が実施可能である。周囲光は、人工光源または自然光源等の光源が更にあることにより、存在していてもよい。光源は、光ビームホモジナイザおよび/または光導波路ホモジナイザを更に含んでいてもよい。光源は、少なくとも1つの均質光源であってもよくまたは少なくとも1つの均質光源を含んでいてもよく、ならびに/または少なくとも1つの立体照明光源および/もしくはパターン化光源であってもよくまたはそれを含んでいてもよい。一例として、構造またはパターン化光源は、液晶空間光変調器、および/またはDLP(登録商標)技術等を使用した1つまたは複数のマイクロメカニカルミラーデバイスの1つまたは複数等の、1つまたは複数の空間光変調器(SLM)を使用するにより提供することができる。
【0209】
照明光は、好ましくは、赤外スペクトル範囲の波長を有していてもよい。照明源は、特に、以下の照明源の1つまたは複数を含んでいてもよい:レーザ、特にレーザダイオード、例えば電磁スペクトルの赤外部分の出力波長を有するIRレーザダイオード、しかしながら、その代わりにまたはそれに加えて、原理的には、他のタイプのレーザも使用することができる;発光ダイオード;白熱灯;有機光源、特に有機発光ダイオード。電磁スペクトルの赤外部分とは、好ましくは、780nm〜1mmの、好ましくは780nm〜3.0μmのスペクトル範囲を指す。その代わりにまたはそれに加えて、他の照明源も使用することができる。照明源は、例えば数多くのレーザでは少なくとも近似的にそうであるような、ガウスビーム特性を有する1つまたは複数の光ビームを発生するように設計されている場合が特に好ましい。しかしながら、他の実施形態も原理的に可能である。
【0210】
本明細書で使用される場合、「評価デバイス」という用語は、一般的に、縦方向センサ信号を評価することにより、物体の縦方向位置に関する少なくとも1項目の情報を生成するように設計されている任意のデバイスを指す。一例として、評価デバイスは、1つまたは複数のコンピュータ、好ましくは1つまたは複数のマイクロコンピュータおよび/またはマイクロコントローラ等の、1つもしくは複数の特定用途向け集積回路(ASIC)および/または1つもしくは複数のデータ処理デバイス等の1つまたは複数の集積回路であってもよく、またはそれを含んでいてもよい。1つもしくは複数のADコンバーターおよび/または1つもしくは複数のフィルタ等の横方向センサ信号および/または縦方向センサ信号を受信および/または前処理するための1つまたは複数のデバイス等の、1つまたは複数の前処理デバイスおよび/またはデータ取得デバイス等の更なる部品が含まれていてもよい。更に、評価デバイスは、1つまたは複数のデータ記憶デバイスを含んでいてもよい。更に、上記で概説されているように、評価デバイスは、1つもしくは複数の無線インターフェースおよび/または1つもしくは複数の有線インターフェース等の、1つまたは複数のインターフェースを含んでいてもよい。
【0211】
更に、少なくとも1つの評価デバイスは、少なくとも1つの縦方向光学センサから独立した個別の評価デバイスとして形成されていてもよいが、好ましくは、縦方向センサ信号を受信するために、少なくとも1つの縦方向光学センサに接続されていてもよい。あるいは、少なくとも1つの評価デバイスは、少なくとも1つの縦方向光学センサと完全にまたは部分的に一体化されていてもよい。
【0212】
少なくとも1つの評価デバイスは、縦方向位置に関する少なくとも1項目の情報の生成を実施または支援する少なくとも1つのコンピュータプログラム等の、少なくとも1つのコンピュータプログラムを実施するように構成されていてもよい。一例として、入力変数として縦方向センサ信号を使用することにより、物体の縦方向位置への所定の変換を実施することができる1つまたは複数のアルゴリズムが実装されていてもよい。評価デバイスは、少なくとも1つのマイクロコントローラまたはプロセッサ等の、少なくとも1つのデータ処理デバイスを含んでいてもよい。したがって、一例として、少なくとも1つの評価デバイスは、幾つかのコンピュータコマンドを含むソフトウェアコードがそこに記憶されている少なくとも1つのデータ処理デバイスを含んでいてもよい。
【0213】
評価デバイスは、光学センサによりおよび/または評価デバイスにより得られる情報等の情報の表示、視覚化、分析、分配、通信、または更なる処理の1つまたは複数のために使用することができる少なくとも1つの更なるデータ処理デバイスに接続することができるか、またはそれを含んでいてもよい。データ処理デバイスは、一例として、ディスプレイ、プロジェクタ、モニター、LCD、TFT、拡声器、多チャンネル音響システム、LEDパターン、または更なる可視化デバイスの少なくとも1つに接続されていてよく、またはそれを組み込んでいてもよい。更に、データ処理デバイスは、電子メール、テキストメッセージ、電話、ブルートゥース(登録商標)、ラジオ、Wi−Fi、赤外線またはインターネットのインターフェース、ポート、または接続の1つまたは複数を使用して、暗号化または非暗号化情報を送信することが可能な、通信デバイス、または通信インターフェース、データリンク、timexデータリンク、コネクタ、またはポートの少なくとも1つに接続されていてもよく、またはそれを組み込んでいてもよい。更に、データ処理デバイスは、プロセッサ、グラフィックプロセッサ、CPU、オープンマルチメディアアプリケーションプラットフォーム(OMAP(商標))、集積回路、アップルAシリーズまたはサムスンS3C2シリーズの製品等のシステムオンチップ、マイクロコントローラ、またはマイクロプロセッサ、ROM、RAM、EEPROM、またはフラッシュメモリ等の1つまたは複数のメモリブロック、オシレータまたはフェーズロックドループ等のタイミングソース、カウンタタイマ、リアルタイムタイマ、またはパワーオンリセットジェネレータ、電圧調整器、電源管理回路、またはDMAコントローラの少なくとも1つに接続されていてもよく、またはそれを組み込んでいてもよい。個々のユニットは、更に、AMBAバス等のバスで接続されていてもよく、ならびに/または1つもしくは複数の送信器および/もしくは受信器を含んでいてもよい。
【0214】
評価デバイスおよび/またはデータ処理デバイスは、シリアルもしくはパラレルインターフェースもしくはポート、USB、セントロニクスポート、FireWire、HDMI(登録商標)、イーサネット(登録商標)、ブルートゥース(登録商標)、RFID、無線、データリンク、Wi−Fi、USART、もしくはSPIの1つもしくは複数等の更なる外部インターフェースもしくはポート、またはADCもしくはDACの1つもしくは複数等のアナログインターフェースもしくはポート、またはCameraLink等のRGBインターフェースを使用した2Dカメラデバイス等の更なるデバイスとの標準インターフェースもしくはポートにより接続されていてもよく、またはそれを有していてもよい。評価デバイスおよび/またはデータ処理デバイスは、更に、プロセッサ間インターフェースもしくはポート、FPGA−FPGAインターフェース、またはシリアルもしくはパラレルインターフェースもしくはポートの1つまたは複数により接続されていてもよい。評価デバイスおよびデータ処理デバイスは、更に、光ディスクドライブ、CD−RWドライブ、DVD+RWドライブ、フラッシュドライブ、メモリカード、ディスクドライブ、ハードディスクドライブ、ソリッドステートディスク、またはソリッドステートハードディスクの1つまたは複数に接続されていてもよい。
【0215】
評価デバイスおよび/またはデータ処理デバイスは、1つまたは複数の電話コネクタ、RCAコネクタ、VGAコネクタ、雌雄同体コネクタ、USBコネクタ、HDMI(登録商標)コネクタ、8P8Cコネクタ、BCNコネクタ、IEC60320C14コネクタ、光ファイバーコネクタ、D−Subコネクタ、RFコネクタ、共軸コネクタ、SCARTコネクタ、XLRコネクタの1つまたは複数等の更なる外部コネクタにより接続されていてもよくまたはそれを有していてもよく、および/またはこれらコネクタの1つまたは複数の少なくとも1つの好適なソケットを組み込んでいてもよい。
【0216】
光学センサ、光学系、評価デバイス、通信デバイス、データ処理デバイス、インターフェース、システムオンチップ、ディスプレイデバイス、または更なる電子デバイスの1つまたは複数を組み込む等、本発明による検出器、評価デバイス、またはデータ処理デバイスの1つまたは複数が組み込まれている単一デバイス等のデバイスの考え得る実施形態は、携帯電話、パソコン、タブレットPC、テレビ、ゲーム機、または更なる娯楽デバイスである。更なる実施形態では、下記で更に詳細に概説されることになる3Dカメラ機能が、デバイスの筺体または外観に顕著な違いを示さずに、従来の2Dデジタルカメラで利用可能なデバイスと一体化されていてもよく、その場合、ユーザにとっての顕著な違いは、3D情報を取得および/または処理する機能のみであってもよい。
【0217】
特に、評価デバイスおよび/またはデータ処理デバイス等の、検出器および/またはその一部が組み込まれている実施形態は、ディスプレイデバイス、データ処理デバイス、光学センサ、随意にセンサ光学部、および3Dカメラ機能の評価デバイスが組み込まれている携帯電話であってもよい。本発明による検出器は、娯楽デバイスおよび/または携帯電話等の通信デバイスに組み込むのに特に好適であってもよい。
【0218】
本発明の更なる実施形態は、自動車に使用される、自動運転に使用される、またはダイムラー社のインテリジェントドライブシステム等の自動車安全システムに使用されるデバイス用の評価デバイスおよび/またはデータ処理デバイス等の、検出器またはその一部の組み込みであってもよく、一例として、光学センサ、随意に1つまたは複数の光学系、評価デバイス、随意に通信デバイス、随意にデータ処理デバイス、随意に1つまたは複数のインターフェース、随意にシステムオンチップ、随意に1つまたは複数のディスプレイデバイス、または随意に更なる電子デバイスの1つまたは複数が組み込まれているデバイスは、車両、自動車、トラック、列車、自転車、飛行機、船、オートバイの一部であってもよい。自動車用途では、自動車設計への上記デバイスの組み込みは、光学センサ、随意に光学部、または外部もしくは内部からの可視性が最小限であるデバイスの組み込みを必要とする。評価デバイスおよび/またはデータ処理デバイス等の、検出器またはその一部は、自動車設計へのそのような組み込みに特に好適であり得る。本発明によるデバイスは、特に、従来の3D検出技術と比較してデータ生成量を低減させる可能性があるため、自動車用途での組み込みに特に好適であり得る。
【0219】
上記で概説されているように、少なくとも1つの照明源は、少なくとも1つの物体を照明光で照らすように構成されている。例えば、少なくとも1つの物体は、縦方向光学センサを通過する光で照らされてもよい。それに加えてまたはその代わりに、少なくとも1つの縦方向光学センサを通過しない照明光による等、他の方法で、少なくとも1つの物体を照らすように更に構成されていてもよい。したがって、少なくとも1つの照明源は、少なくとも1つの物体を軸外の様式で照らすために、検出器のビーム経路の外側に設置されていてもよい。
【0220】
照明光は、概して、縦方向光学センサを介した照明が生じる場合および/または異なるタイプの照明が使用される場合、照明光が少なくとも1つの物体を照らす前に、少なくとも1回反射されることが随意に含意されていてもよい。したがって、概して、検出器は、物体を照らす前に照明光を反射するように構成されている少なくとも1つの反射要素を更に含んでいてもよい。少なくとも1つの反射要素の使用は、一般的に、幾つかの利点を示唆する。したがって、概して、少なくとも1つの反射要素を使用することによる、照明光ビーム等の照明光の向きの調整は、少なくとも1つの反射要素を調整することにより実施することができる。更に、少なくとも1つの反射要素は、下記で更に詳細に概説されるように、反射特性が波長に依存し得る波長選択的反射要素であってもよい。したがって、一般的に、波長選択的反射要素は、赤外スペクトル領域で反射特性を示すが、可視スペクトル領域等の他のスペクトル領域では反射特性がないか、または赤外スペクトル領域と比較して著しくより低い反射特性しかない、少なくとも1つの赤外線反射要素であってもよく、またはそれを含んでいてもよい。したがって、一般的に、少なくとも1つの照明源は、少なくとも1つの物体を赤外線照明光で照らすための少なくとも1つの赤外線照明源を含んでいてもよく、少なくとも1つの反射要素は、いわゆる「ホット」ミラー等の、赤外スペクトル領域で反射特性を示す少なくとも1つの反射要素を含んでいてもよい。
【0221】
少なくとも1つの物体を照明光で照らす場合、少なくとも1つの縦方向光学センサを介してであっても、および/または異なる様式であっても、少なくとも1つの照明光は、方向的および/もしくは空間的に固定されていてもよく、ならびに/または方向的および/もしくは空間的に調整可能もしくは移動可能であってもよい。したがって、一例として、反射要素は、少なくとも2つの異なる位置に調整されるように構成されている少なくとも1つの可動性反射要素であってもよく、またはそれを含んでいてもよく、照明光は、少なくとも2つの異なる位置で異なる方向に反射される。本明細書で使用される場合、「位置」という用語は、概して、可動性ミラーの任意のタイプの絶対位置および/または任意のタイプの向きを指すことができる。したがって、可動性ミラーの少なくとも1つの縦方向移動、および/または少なくとも1つの可動性ミラーの少なくとも1つの回転運動が実施可能であってもよい。
【0222】
したがって、一例として、少なくとも1つの可動性反射要素は、その向きを、少なくとも1つの第1の向き、および少なくとも1つの第1の向きとは異なる少なくとも1つの第2の向きに調整することができる反射要素であってもよい。調整は、段階的な様式で生じてもよく、または連続的な様式で生じてもよい。
【0223】
少なくとも1つの反射要素が、少なくとも1つの可動性反射要素を含む場合、可動性反射要素は、単一の可動性反射要素であってもよく、または複数の可動性反射要素であってもよくもしくはそれを含んでいてもよい。したがって、少なくとも1つの反射要素は、複数の可動性ミラー、好ましくは複数のマイクロミラー等の、複数の可動性反射要素を含んでいてもよい。したがって、一例として、少なくとも1つの可動性反射要素は、複数のマイクロミラー、特に、ピアゾ技術に基づくマイクロミラー等のマイクロミラーの領域を含んでいてもよい。一例として、ビーマー(beamer)または他のタイプのプロジェクタに使用可能なマイクロミラー等の、投影技術に使用されるマイクロミラーを使用することができる。一例として、テキサスインスツルメンツ社から入手可能なライトプロセシング技術等のデジタルライトプロセシング(DLP(商標登録))技術を使用することができる。より詳しくは、少なくとも1つのDLP(商標登録)チップを使用することができる。より一般的には、反射空間光変調器を使用してもよく、および/または少なくとも1つの可動性反射要素は、少なくとも1つの反射空間光変調器を含んでいてもよい。
【0224】
複数の可動性反射要素を使用することにより、照明光を、複数の照明光ビームに分割することができ、その位置/向きは、好ましくは、複数の可動性反射要素により個々に制御することができる。それにより、一例として、照明光ビームの種々のパターンの投影ならびに/または照明光ビームの点および/もしくはパターンの調節が実施可能である。複数の可動性反射要素が使用される場合、様々な制御周波数で個々に制御する等の、可動性反射要素の個々の制御が生じてもよい。それにより、複数の照明光ビームによる、および/または様々な周波数の照明光ビームのパターンによる、少なくとも1つの物体の照明が、実施可能である。結果的に、照明は、可動性反射要素を様々な変調周波数で周期的に制御すること等により、変調された様式で生じてもよい。その後、照明は、検出器信号の1つまたは複数を復調したり、および/または周波数分析を行ったり等、そこに含まれている1つまたは複数のFiPセンサによって等、検出器により分解することができる。
【0225】
複数の、特に可動性反射要素のアレイ、特にミラーのアレイ、および/または反射空間光変調器、およびより具体的にはDLP(登録商標)アレイを使用することにより、検出器の完全なまたは部分的な測定空間をカバーする等のために、一般的なパターンおよび/または特殊なパターンを検出器の観察野に投影する等のために、照明光パターンの投影を実施することができる。
【0226】
更に、複数の可動性反射要素、より詳しくはミラーのアレイ等の可動性反射要素のアレイ、反射空間光変調器、および/またはDLP(登録商標)アレイを使用することにより、具体的には、四肢、玩具、または他の物体、またはそれらの一部を追跡するため等、空間中にある1つまたは複数の特定の物体を追跡するために、複数の可動性反射要素を使用して、照明光の点および/またはパターンを、空間に、具体的には、例えばカメラの画像等の、検出器の観察野に投影することができる。
【0227】
1つまたは複数のDLP(登録商標)チップ等の、可動性反射要素のパターンおよび/またはアレイが使用される場合、パターンそれ自体は、一般的なパターンであってもよく、またはRGBカメラ画像に応じたパターン等の、検出器専用のパターンであってもよい。
【0228】
少なくとも1つの反射要素が、少なくとも1つの可動性反射要素であるか、または少なくとも1つの可動性反射要素を含む場合、少なくとも1つの可動性反射要素は、空間の少なくとも1つのスキャン領域にわたって照明光を走査するように構成されていてもよい。この場合も、走査プロセスは、連続的な様式で生じてもよく、または段階的な様式で生じてもよい。したがって、一例として、少なくとも1つの可動性反射要素は、その位置および/または向きを調整することができる、ガルボスキャナまたは任意の他のタイプの可動性ミラー等の、少なくとも1つの可動性ミラーを含んでいてもよい。
【0229】
少なくとも1つの可動性反射要素が使用される場合、少なくとも1つの可動性反射要素の調整は、手動様式で生じてもよく、および/または自動的様式で生じてもよい。したがって、一例として、少なくとも1つの検出器は、少なくとも1つの可動性ミラーの位置を調節するように構成されている少なくとも1つのアクチュエータを含んでいてもよい。一例として、少なくとも1つのアクチュエータは、少なくとも1つの調整ネジ、および/または少なくとも1つのピエゾアクチュエータ等の少なくとも1つの他のタイプのアクチュエータであってもよく、またはそれを含んでいてもよい。
【0230】
少なくとも1つの随意の可動性反射要素は、一例として、可動性反射要素のマトリックスを含んでいてもよい。したがって、一例として、テキサスインスツルメンツ社のいわゆるDLP(登録商標)技術を使用すること等により、可動性マイクロミラーのアレイを含む、マイクロメカニカルミラーデバイスを使用してもよい。1つまたは複数の可動性反射要素を使用することにより、1つまたは複数のパターンおよび/または縞模様を生成および/または投影することができる。
【0231】
上記で概説されているように、照明源は、一般的におよび具体的に、可視スペクトル範囲、赤外スペクトル範囲、および紫外スペクトル範囲の1つまたは複数の照明光を放射するように構成されていてもよい。特に、照明光は、赤外スペクトル範囲の照明光であってもよい。したがって、上記で概説されているように、反射要素は、赤外スペクトル範囲の光を反射するように構成されていてもよく、その場合、可視スペクトル範囲の光は透過する。様々なスペクトル範囲の反射特性の他の組み合わせが実施可能である。特に、少なくとも1つの反射要素は、可動性赤外線ミラー、特に可動性「ホット」ミラー等の、赤外スペクトル範囲の反射特性を有する少なくとも1つの可動性反射要素を含んでいてもよい。
【0232】
少なくとも1つの反射要素は、一般的に、照明光を完全にまたは部分的に空間に反射または方向転換するように構成されている任意の要素であってもよい。当業者であれば認識するように、種々のタイプの反射要素が、一般的に知られており、本明細書で使用することができる。特に、反射要素は、以下のものからなる群から選択することができる:ミラー;半透過性ミラー;赤外スペクトル範囲の光等の、特定のスペクトル領域のみを反射するミラーまたは半透過性ミラー;プリズム;二色性ミラー;ビームスプリッターキューブ。記載されている要素および/または他のタイプの反射要素の組み合わせが実施可能である。特に、下記で更に詳細に概説されるように、少なくとも1つの反射要素は、ビームスプリット特性を示すことができ、したがって、少なくとも1つの反射要素は、不動の反射要素であろうとまたは可動性の反射要素であろうと、検出器内に存在していてもよい少なくとも1つのビームスプリッティングデバイスと完全にまたは部分的に同一であってもよい。
【0233】
少なくとも1つの反射要素の使用、特に少なくとも1つの可動性反射要素の使用、より詳しくは、赤外スペクトル範囲で反射特性を有する少なくとも1つの可動性反射要素の使用には、上記で部分的に概説されているように、多くの利点がある。したがって、一例として、例えば、ゲーム分野で市販されている現行の距離センサは、一般的に、分析しようとする空間に点パターンを投影することができる。点パターンは、少なくとも1つのカメラを使用することによりモニターすることができ、適切な測定アルゴリズムを適用することができる。このプロセスには、かなりの量の演算能力が必要である。対照的に、本発明による検出器は、検出プロセスを単純化する簡単な方法を提供する。赤外照明光等の照明光、より詳しくは単一の赤外線ビームは、可動性赤外線ミラー等の可動性反射要素を使用することにより、分析しようとする空間にわたって移動させることができる。この構成では、従来の検出器と比較して、必要な計算資源を著しく削減することができる。
【0234】
したがって、上記で概説されているように、走査プロセスを適用してもよい。可動性ミラーにより、例えば、線パターン、四角パターン、または他のパターンの読み取りが可能になる。したがって、検出器、特に、1つまたは複数の縦方向光学センサを含む、より詳しくは1つまたは複数の有機太陽電池および/またはDSCおよび/またはsDSCを含む検出器は、距離情報等の直接的で迅速な縦方向情報を提供することができる。可動性ミラー等の可動性反射要素は、一般的に、物体の位置に応じて、少なくとも1つの可動性反射要素の少なくとも1つの位置を調整することにより、少なくとも1つの物体を追跡するように構成されていてもよい。それにより、検出器は、人間、顔、四肢、または他の可動性物体、または可動性物体の組み合わせ等の、特定の物体を追跡および/または分析するように構成されていてもよい。
【0235】
少なくとも1つの物体は、少なくとも1つの光ビームを放射し、および/または少なくとも1つの光ビームを検出器に向けて伝達するように構成されていてもよい、目標デバイスとも呼ばれる少なくとも1つのビーコンデバイスを含んでいてもよく、またはそれと組み合わされていてもよい。少なくとも1つのビーコンデバイスの考え得る実施形態は、例えば、国際公開第2012/110924号パンフレットを参照することができる。他の実施形態も実施可能である。したがって、一般的に、少なくとも1つのビーコンデバイスは、照明光等の光を反射するように構成されている少なくとも1つの受動ビーコンデバイスであってもよく、またはそれを含んでいてもよく、および/または光を放射するように構成されている少なくとも1つの能動デバイスであってもよく、またはそれを含んでいてもよい。したがって、一般的に、1つまたは複数の能動的放射目標デバイスおよび/または反射目標デバイスを、特に可動性反射デバイスと組み合わせて使用することができる。この構成では、一例として、可動性赤外線ビームを、照明光および/または照明光の一部として使用してもよく、検出器は、空間のパターンおよび/または特定領域を測定するように構成されていてもよく、および/または特定の物体を追跡するように構成されていてもよい。
【0236】
下記で更に詳細に概説されるように、検出器は、少なくとも1つのカメラ、より詳しくはRGBカメラ等のフルカラーカメラ等の、少なくとも1つの撮像デバイスを更に含んでいてもよい。この構成では、移動および/または変化する物体等の、特に重要であると考えられるRGB画像の領域を分析するために、可動性赤外線ビーム等の可動性赤外照明光を使用することができる。この特徴は、簡単な画像分析アルゴリズムにより達成することができる。それにより、顔、四肢、または他の可動性物体を迅速におよび簡単に追跡することが実施可能であり得る。
【0237】
下記で詳細に概説されるように、ゲーム機および/または拡張現実用途の状況等のゲームの状況では、特に、少なくとも1つの可動性反射要素を有する本発明による検出器には、更なる利点がある。すなわち、現行の画像センサは、一般的に、空間における物体の距離を分析することができない。結果的に、こうしたタイプのセンサは、一般的に、拡張現実情報の解釈に限定される。このように、市販の画像センサおよび検出器は、一般的に、奥行き情報の分析ができない。こうしたセンサまたは検出器は、2D位置を検出することが可能である。しかしながら、手、足、または他の身体部分等の物体の奥行き情報が入手可能ではないため、拡張現実は、一般的に、2D画像により影響を受けるに過ぎない。対照的に、本発明の状況では、空間における物体の追跡は、特に、機械制御、ゲーム、または拡張現実の状況で実施可能である。更に、上記で概説されているように、本発明は、標準的な計算資源または概して少ない計算資源を使用することにより実施することができる。
【0238】
検出器は、少なくとも1つの撮像デバイスを更に含んでいてもよく、撮像デバイスは、物体から検出器に進行する光ビームが、撮像デバイスに衝突する前に縦方向光学センサを通過するように構成されていてもよい。
【0239】
本明細書で使用される場合、撮像デバイスは、一般的に、物体またはその一部の一次元画像、二次元画像、または三次元画像を生成することができるデバイスとして理解される。特に、撮像デバイスは、全面的にまたは部分的にカメラとして使用することができる。例えば、撮像デバイスは、以下のものからなる群から選択されるカメラであってもよい:RGBカメラ、つまり、赤、緑、および青と指定される三原色を3つの別個の接続で送達するように設計されているカメラ;IRカメラ、つまり赤外スペクトル範囲の光ビームの部分を記録するように設計されているカメラ;しかしながら、その代わりにまたはそれに加えて、原理的には他のタイプのカメラも使用することができる。また、撮像デバイスの他の実施形態が可能である。
【0240】
撮像デバイスは、物体の複数の部分的領域を連続的におよび/または同時に画像化するように設計されていてもよい。例としては、物体の部分的領域は、例えば撮像デバイスの分解能限界により画定され、そこから電磁放射線が出現する、物体の一次元領域、二次元領域、または三次元領域であってもよい。
【0241】
この状況では、画像化は、物体のそれぞれの部分的領域から出現する電磁放射線が、例えば検出器の少なくとも1つの随意の転送デバイスにより、撮像デバイスに供給されることを意味すると理解されるべきである。
【0242】
特に、撮像デバイスは、例えば、特に少なくとも1つの列方向スキャンおよび/または行方向スキャンを使用した連続走査法により、複数の部分的領域を連続的に画像化するように設計することができる。しかしながら、他の実施形態、例えば、複数の部分的領域が同時に画像化される実施形態も可能である。撮像デバイスは、物体の部分的領域がこのように画像化している間に、部分的領域に関連する信号、好ましくは電子信号を生成するように設計されている。信号は、アナログ信号であってもよく、および/またはデジタル信号であってもよい。例として、電子信号は、各部分的領域に関連していてもよい。したがって、電子信号は、同時にまたはそうでなければ時間的ずらした様式で生成されてもよい。例として、列方向スキャンまたは行方向スキャン中に、例えば、共に一列に並んでいる試料の部分的領域に対応する一連の電子信号を生成することが可能である。更に、撮像デバイスは、電子信号を処理および/または前処理するための1つまたは複数のフィルタおよび/またはアナログデジタル変換器等の、1つまたは複数の信号処理デバイスを含んでいてもよい。
【0243】
撮像デバイスは、カメラチップ、例えばCCDチップおよび/またはCMOSチップを含んでいてもよい。好ましくは、撮像デバイスは、無機撮像デバイスを含んでいてもよい。撮像デバイスは、ピクセルのマトリックスを含んでいてもよい。本明細書で使用される場合、ピクセルは、一般的に、撮像デバイスの感光性要素を指す。本明細書で使用される場合、「マトリックス」は、一般的に、空間における複数のピクセルの配置を指し、線形的配置であってもよくまたは領域的配置であってもよい。したがって、一般的に、マトリックスは、好ましくは、一次元マトリックス;二次元マトリックスの群から選択することができる。最も好ましくは、マトリックスは、行および列の様式に配置されたピクセルを有する矩形マトリックスである。撮像デバイスは、CMOSチップおよびCCDチップからなる群から選択されるチップを含んでいてもよい。更に、撮像デバイスは、色を分解するように設計されていてもよい。少なくとも1つの撮像デバイスは、少なくとも1つのフルカラーCCDチップおよび/または少なくとも1つのフルカラーCMOSチップであってもよく、またはそれを含んでいてもよい。好ましい実施形態では、撮像デバイスは、RGBカメラおよび/またはIRカメラであってもよい。
【0244】
検出器は、少なくとも1つのビームスプリッティングデバイスを更に含んでいてもよく、ビームスプリッティングデバイスは、縦方向光学センサを通過する前の照明源により放射された照明光を、縦方向光学センサを通過した後の物体から検出器に進行する光ビームから分離するように構成されていてもよい。本明細書で使用される場合、ビームスプリッティングデバイスは、照明デバイスにより放射された光を2つ以上の光ビームに分割し、光ビームを光軸の方向に、特に光軸の方向と平行に逸らすように構成されているデバイスである。ビームスプリッティングデバイスは、以下のものからなる群から選択することができる:半透過性ミラー;赤外スペクトル範囲の光等、特定のスペクトル領域のみを反射するミラーまたは半透過性ミラー;プリズム;二色性ミラー;ビームスプリッターキューブ。
【0245】
上記で概説されているように、少なくとも1つの随意のビームスプリッティングデバイスは、少なくとも1つの随意の反射成要素と完全にまたは部分的に同一であってもよい。したがって、上記で概説されているように、ビームスプリッティングデバイスは、少なくとも2つの異なる位置に調整されるように構成されている少なくとも1つの可動性反射要素であってもよく、またはそれを含んでいてもよく、照明光は、少なくとも2つの異なる位置で異なる方向に反射される。特に、少なくとも1つのビームスプリッティングデバイスは、少なくとも1つの赤外線反射要素、より詳しくは、少なくとも1つの可動性赤外線反射要素であってもよく、またはそれを含んでいてもよい。
【0246】
その場合、縦方向光学センサを通過した後で物体から検出器に進行する少なくとも1つの光ビームの位置および/または向きは、少なくとも1つの反射要素を通過しても、特に少なくとも1つの可動性反射要素を通過しても、少なくとも実質的に無変化のままであり得る。したがって、特に、少なくとも1つの可動性反射要素は、可動性反射要素が移動する場合、照明光の位置および/または向きが、可動性反射要素の移動により変更されるように構成されていてよいが、光ビームの位置および/または向きは、可動性反射要素の移動とは少なくとも実質的に無関係のままであってもよい。
【0247】
縦方向センサ信号は、更に、光ビームの変調周波数に依存してもよい。特に、国際公開第2012/110924号パンフレットに開示されているように、FiP効果は、光ビームの適切な変調に依存してもよく、または光ビームの適切な変調により強調されてもよい。特に少なくとも1つの縦方向光学センサが前述のFiP効果をもたらす場合、縦方向光学センサのセンサ信号は、光ビームの変調周波数に依存してもよい。一例として、FiP効果は、0.1Hz〜10kHzの変調周波数で使用することができる。
【0248】
照明源は、照明光の少なくとも1つの光学的特性を周期的に変調するように構成されていてもよい。したがって、照明源は、変調された様式で光ビームを放射するように構成されていてもよく、および/または照明光の少なくとも1つの光学的特性を周期的に変調するように構成されていてもよい更なる変調デバイスが使用されてもよい。それに加えてまたはその代わりに、検出器は、照明光の少なくとも1つの光学的特性を周期的に変調するための少なくとも1つの変調デバイスを含んでいてもよい。例えば、少なくとも1つの光学的特性は、照明光の振幅および位相からなる群から選択することができる。変調デバイスは、一例として、空間光変調器、好ましくはマイクロミラーデバイス、およびより好ましくはDLP(登録商標)デバイスを含んでいてもよい。他の変調デバイスを使用してもよい。変調は、FiP効果を増強および/または可能にするため、および/または特定の変調周波数で放射する1つまたは複数の照明源を識別するため等の、1つまたは複数の異なる目的に使用してもよい。後者の目的では、変調周波数が異なる2つ以上の異なる変調光ビームを識別するために使用してもよい。更なる詳細は、2013年6月13日に出願された欧州特許出願第13171900.7号明細書を参照することができる。
【0249】
照明源は、異なる光学的特性を有する少なくとも2つの光ビームを送り出すように構成されている。例えば、少なくとも2つの光ビームは、異なるスペクトル特性を有していてもよい。例えば、光ビームのスペクトル特性は、光ビームの部分の色および/または分極であってもよい。好ましくは、少なくとも2つの光ビームは、様々な変調周波数で変調されている。
【0250】
少なくとも1つの縦方向センサ信号は、更に、光ビームの変調周波数に依存してもよい。評価デバイスは、好ましくは、様々な変調周波数を有する縦方向センサ信号を復調することにより、周波数解析を実施するように構成されていてもよい。照明源により送り出される光ビームの変調、および評価デバイスによる縦方向センサ信号の復調は、好ましくは、同じ一組の変調周波数で生じる。この目的のため、評価デバイスは、1つもしくは複数の周波数混合デバイス等の1つもしくは複数の復調デバイス、1つもしくは複数のローパスフィルタ等の1つもしくは複数の周波数フィルタ、または1つもしくは複数のロックイン増幅器、および/またはフーリエ解析器を含んでいてもよい。評価デバイスは、好ましくは、所定のおよび/または調整可能な周波数の範囲にわたって、離散フーリエ解析または連続フーリエ解析を実施するように構成されていてもよい。
【0251】
評価デバイスは、1つもしくは複数のバンドパスフィルタおよび/または1つもしくは複数のローパスフィルタ等の、1つもしくは複数のフィルタ周波数混合デバイスおよび/または1つもしくは複数のフィルタ等の、1つまたは複数の電子部品を含んでいてもよい。したがって、一例として、評価デバイスは、周波数分析を実施するための少なくとも1つのロックイン増幅器または好ましくは一組のロックイン増幅器を含んでいてもよい。したがって、一例として、一組の変調周波数が提供される場合、評価デバイスは、一組の変調周波数の各変調周波数用の個別のロックイン増幅器を含んでいてもよく、または変調周波数の2つ以上の周波数分析を、連続的にまたは同時に等で実施するように構成されている1つまたは複数のロックイン増幅器を含んでいてもよい。このタイプのロックイン増幅器は、当技術分野で一般的に知られている。
【0252】
評価デバイスは、光ビームによるセンサ領域の照明の形状と、検出器に対する物体の相対的位置との間の少なくとも1つの所定の関係性から、物体の縦方向位置に関する少なくとも1項目の情報を生成するように設計されていてもよい。光ビームによるセンサ領域の照明の形状と、検出器に対する物体の相対的位置との間の所定の関係性は、照明の既知出力を考慮に入れることができる。既知の関係性は、アルゴリズムとして、および/または1つもしくは複数の検量線として、評価デバイスに保存されていてもよい。一例として、特にガウスビームの場合、ビーム直径またはビームウエストと物体の位置との関係性は、ビームウエストと縦方向座標との間のガウス関係性を使用することにより容易に導き出すことができる。光ビームによるセンサ領域の照明の形状と、検出器に対する物体の相対的位置との間の所定の関係性は、照明が変調される変調周波数を考慮に入れることができる。
【0253】
検出器は、少なくとも1つの更なる光学デバイスを含んでいてもよく、光学デバイスは、照明光および光ビームの少なくとも1つに対してフォーカス効果またはデフォーカス効果の1つまたは両方を有する少なくとも1つの要素を含む。少なくとも1つの更なる光学デバイスは、以下の位置の1つまたは複数に完全にまたは部分的に位置決めされていてもよい:
・照明源と縦方向光学センサとの間のビーム経路に;
・縦方向光学センサと物体との間のビーム経路に;
・縦方向光学センサと撮像デバイスとの間のビーム経路に。少なくとも1つの更なる光学デバイスは、物体から検出器に進行する光ビームが、光学デバイスを通過して、撮像デバイスに衝突する前に、縦方向光学センサを通過するように構成されていてもよい。
【0254】
照明光は、少なくとも部分的に、検出器の光軸と実質的に平行に進行してもよい。本明細書で使用される場合、「実質的に平行」という用語は、光軸から、±20°以下、好ましくは±10°以下、より好ましくは±5°以下しか逸脱しないビーム軸を指す。縦方向光学センサ、照明源、および随意に撮像デバイスは、検出器の光軸に対して同軸に配置されている。
【0255】
少なくとも1つの縦方向光学センサ、好ましくは少なくとも1つの合焦縦方向光学センサは、少なくとも1つの半導体検出器を含んでいてもよい。半導体検出器は、少なくとも1つの有機材料を含む有機半導体であってもよい。半導体検出器は、有機太陽電池、色素太陽電池、色素増感太陽電池、固体色素太陽電池、固体色素増感太陽電池からなる群から選択することができる。複数の縦方向光学センサが設けられている場合、縦方向光学センサの1つまたは複数は、好ましくは、少なくとも1つの有機半導体検出器および/または少なくとも1つの無機半導体検出器であってもよくまたはそれを含んでいてもよい。最も好ましくは、半導体検出器は、少なくとも1つの有機材料を含む有機半導体検出器であってもよい。また、他の実施形態も実施可能である。したがって、1つもしくは複数の有機半導体検出器および/または1つもしくは複数の無機半導体検出器の組み合わせが実施可能である。
【0256】
縦方向光学センサ、特に合焦縦方向光学センサ、および例えば少なくとも1つの更なる縦方向光学センサ、および転送デバイスは、特に、1つの共通光軸上に配置されていてもよい。例えば、少なくとも1つの物体は、これもまた共通光軸上に配置されていてもよく、または共通光軸から離して配置されていてもよい少なくとも1つの照明源により照らされてもよい。縦方向光学センサおよび転送デバイスは、照らされている少なくとも1つの物体に由来する光が、縦方向光学センサに衝突する前に転送デバイスを通過して進行することができるように配置されていてもよい。少なくとも1つの転送デバイスと縦方向光学センサとの間には、1つまたは複数の反射要素が、例えば、共通光軸から、例えばCMOS検出器またはカメラ等の更なる検出器へと光を部分的に反射することができる1つまたは複数のビームスプリッターが配置されていてもよい。
【0257】
1つの実施形態では、照明源、転送デバイス、および縦方向光学センサ、および/または縦方向光学センサの集積体が、1つの軸上に配置されていてもよい。このアラインメントは、検出器の小型化および低価格化を可能にすることができる。照明源から物体に進行する光は、縦方向光学センサと衝突および縦方向光学センサを通過することができ、それにより縦方向センサ信号を生成することができる。その後、光は、物体により反射されてもよく、少なくとも1つの転送デバイスを通過して進行してもよく、再び縦方向光学センサに衝突することになる。縦方向センサ信号は、物体から縦方向光学センサに進行する衝突光により変化する場合がある。縦方向センサ信号の変化は、少なくとも1つの物体の位置決定を可能にすることができる。
【0258】
少なくとも1つの物体の位置決定および画像記録、例えばカラービデオ撮影を同時に行うため、縦方向光学センサは、撮像デバイス、例えばRGBカメラの前に配置されていてもよい。この実施形態では、照明源、例えば合焦IRランプは、撮像デバイスおよび照明源が不透過性であるため、共通光軸から外れて配置されていてもよい。照明光は、電磁スペクトルの赤外範囲の光を反射するように構成されていてもよく、電磁スペクトルの可視領域の光については光透過性であるミラーにより共通軸へと伝達することができる。電磁スペクトルの赤外部分とは、一般的に、780nm〜1mmの、好ましくは780nm〜3.0μmのスペクトル範囲を指す。電磁スペクトルの可視範囲とは、一般的に、380nm〜780nmの、好ましくは380nm〜640nmのスペクトル範囲を指す。
【0259】
検出器を使用して、1つまたは複数の物体の複数の位置を決定することができる。照明源は、各々が異なる変調周波数で変調されている幾つかの集中光ビームを放射するように構成されていてもよい。決定された縦方向センサ信号は、フーリエ変換により評価してもよい。したがって、フーリエ変換を使用することにより、同じ縦方向光学センサを用いて、物体の各照明地点および/または領域の寄与を決定することが可能であり得る。
【0260】
更に、検出器、特に縦方向光学センサは、物体のx座標および/またはy座標を決定するように構成されていてもよい。したがって、上記で概説されているように、検出器は、1つまたは複数の横方向光学センサを含んでいてもよい。
【0261】
本発明の更なる態様では、ユーザと機械との間で少なくとも1項目の情報を交換するためのヒューマン−マシンインターフェースが開示される。ヒューマン−マシンインターフェースは、上記に開示されているか、または下記で更に詳細に開示される実施形態の1つまたは複数による等の、本発明による少なくとも1つの検出器を含む。ヒューマン−マシンインターフェースは、検出器により、ユーザの少なくとも1項目の幾何学的情報を生成するように設計されている。ヒューマン−マシンインターフェースは、幾何学的情報に、少なくとも1項目の情報、特に少なくとも1つの制御コマンドを割り当てるように設計されている。
【0262】
本明細書で使用される場合、「ヒューマン−マシンインターフェース」という用語は、一般的に、ユーザと、少なくとも1つのデータ処理デバイスを有する機械等の機械との間で、少なくとも1項目の情報の交換、特に少なくとも1項目の電子情報を交換するように構成されている任意のデバイスまたはデバイスの組み合わせを指す。1項目の情報の生成は、ユーザの体位および/または動きにより達成されてもよい。情報の交換は、一方向の様式および/または双方向の様式で実施されてもよい。特に、ヒューマン−マシンインターフェースは、ユーザが、1つまたは複数のコマンドを機械可読様式で機械に提供することを可能にするように構成されていてもよい。
【0263】
本発明の更なる態様では、少なくとも1つの娯楽機能を実施するための娯楽デバイスが開示される。娯楽デバイスは、上記で開示されているか、または下記で更に詳細に開示されている実施形態の1つまたは複数で開示されているもの等の、本発明による少なくとも1つのヒューマン−マシンインターフェースを含む。娯楽デバイスは、少なくとも1項目の情報が、プレーヤ、つまり、情報に従って娯楽機能を変化させるように設計されている娯楽デバイスを、ヒューマン−マシンインターフェースにより娯楽目的に使用するユーザにより入力可能なように設計されている。
【0264】
本明細書で使用される場合、「娯楽デバイス」は、下記では1人または複数のプレーヤとも称される1人または複数のユーザの余暇および/または娯楽の役割を果たすことができるデバイスである。一例として、娯楽デバイスは、ゲーム、好ましくはコンピュータゲームの目的を果たすことができる。それに加えてまたはその代わりに、娯楽デバイスは、一般的に、運動、スポーツ、理学療法、または動作追跡等の、他の目的に使用することもできる。したがって、娯楽デバイスは、コンピュータ、コンピュータネットワーク、またはコンピュータシステムに実装されていてもよく、または1つもしくは複数のゲームソフトウェアプログラムを実行するコンピュータ、コンピュータネットワーク、またはコンピュータシステムを含んでいてもよい。
【0265】
娯楽デバイスは、上記で開示されている実施形態の1つもしくは複数および/または下記で開示される実施形態の1つもしくは複数による等の、本発明による少なくとも1つのヒューマン−マシンインターフェースを含む。娯楽デバイスは、プレーヤが、少なくとも1項目の情報をヒューマン−マシンインターフェースにより入力可能なように設計されている。少なくとも1項目の情報は、娯楽デバイスのコントローラおよび/もしくはコンピュータに送信されてよく、ならびに/または娯楽デバイスのコントローラおよび/もしくはコンピュータにより使用されてもよい。
【0266】
少なくとも1項目の情報は、好ましくは、ゲームの経過に影響を及ぼすように構成されている少なくとも1つのコマンドを含んでいてもよい。したがって、一例として、少なくとも1項目の情報は、プレーヤの少なくとも1つの向きおよび/またはプレーヤの1つもしくは複数の身体部分の向きに関する少なくとも1項目の情報を含んでいてもよく、それにより、プレーヤは、ゲームに必要な特定位置および/または向きおよび/または動作をシミュレートすることが可能になる。一例として、以下の動きの1つまたは複数をシミュレートし、娯楽デバイスのコントローラおよび/またはコンピュータに伝達することができる:ダンス;ランニング;ジャンプ;ラケットを振ること;バットを振ること;クラブを振ること;玩具の銃を標的に向けること等、ある物体を別の物体に向けること。
【0267】
部分または全体としての娯楽デバイス、好ましくは娯楽デバイスのコントローラおよび/またはコンピュータは、情報に従って娯楽機能を変化させるように設計されている。したがって、上記で概説されているように、少なくとも1項目の情報によりゲームの経過に影響を及ぼすことができる。したがって、娯楽デバイスは、少なくとも1つの検出器の評価デバイスとは別々であってもよく、および/または少なくとも1つの評価デバイスと完全にまたは部分的に同一であってもよく、または少なくとも1つの評価デバイスを含んでいてさえもよい、1つまたは複数のコントローラを含んでいてもよい。好ましくは、少なくとも1つのコントローラは、1つまたは複数のコンピュータおよび/またはマイクロコントローラ等の1つまたは複数のデータ処理デバイスを含んでいてもよい。
【0268】
本発明の更なる態様では、少なくとも1つの可動性物体の位置を追跡するための追跡システムが開示される。追跡システムは、上述のまたは下記で更に詳述される実施形態の1つまたは複数に開示されているもの等の、本発明による少なくとも1つの検出器を含む。追跡システムは、特定の時点における物体の一連の位置を追跡するように構成されている少なくとも1つの追跡コントローラを更に含む。例えば、物体の一連の位置は、データまたはデータ対のグループを記録することにより追跡することができ、データまたはデータ対の各グループは、少なくとも1つの位置情報および少なくとも1つの時間情報を含む。追跡コントローラは、一連の位置から物体の動きを決定するように構成されていてもよい。
【0269】
本明細書で使用される場合、「追跡システム」は、少なくとも1つの物体および/または物体の少なくとも1つの部分の一連の過去の位置に関する情報を収集するように構成されているデバイスである。加えて、追跡システムは、少なくとも1つの物体または物体の少なくとも1つの部分の少なくとも1つの予想される未来の位置および/または向きに関する情報を提供するように構成されていてもよい。追跡システムは、電子デバイスとして、好ましくは少なくとも1つのデータ処理デバイスとして、より好ましくは少なくとも1つのコンピュータまたはマイクロコントローラとして、完全にまたは部分的に具現化されていてもよい少なくとも1つの追跡コントローラを有していてもよい。この場合も、少なくとも1つの追跡コントローラは、完全にまたは部分的に少なくとも1つの評価デバイスを含んでいてもよく、および/または少なくとも1つの評価デバイスの一部であってもよく、および/または少なくとも1つの評価デバイスと完全にまたは部分的に同一であってもよい。
【0270】
追跡システムは、追跡システム自体の、および/または1つもしくは複数の個別のデバイスの1つまたは複数の作動を開始させるように構成されていてもよい。後者の目的の場合、追跡システムは、好ましくは追跡コントローラは、少なくとも1つの作動を開始させるための1つまたは複数の無線および/または有線のインターフェース、および/または他のタイプの制御接続を有していてもよい。好ましくは、少なくとも1つの追跡コントローラは、物体の少なくとも1つの実際の位置に従って、少なくとも1つの作動を開始させるように構成されていてもよい。一例として、作動は、以下のものからなる群から選択することができる:物体の将来位置の予測;少なくとも1つのデバイスを物体に向けること;少なくとも1つのデバイスを検出器に向けること;物体を照らすこと;検出器を照らすこと。
【0271】
追跡システムの用途の例として、追跡システムは、第1の物体および/または第2の物体が移動し得る場合であっても、少なくとも1つの第1の物体を、少なくとも1つの第2の物体に向け続けるために使用することができる。考え得る例は、この場合も、ロボット工学、および/または製造ラインもしくは組立ラインでの製造中等で物品が移動している場合でも物品に対して継続的に作業を行うため等の、産業用途に見出すことができる。それに加えてまたはその代わりに、追跡システムは、たとえ物体が移動している場合であっても、照明源を継続的に物体に向けることにより物体を継続的に照らすため等の、照明目的に使用することができる。更なる用途は、移動している物体に送信器を向けることにより、移動している物体の情報を継続的に送信するため等の、通信システムに見出すことができる。
【0272】
追跡システムは、特に、局地または全地球測位システムの一部であってもよい。それに加えてまたはその代わりに、追跡システムは、可視光通信システムの一部であってもよい。他の使用も実施可能である。
【0273】
本発明によるデバイス、つまり検出器、ヒューマン−マシンインターフェース、娯楽デバイス、追跡システム、またはカメラは、特に、屋内または屋外でのナビゲーション等のため、局地または全地球測位システムと組み合わせて使用してもよい。一例として、本発明による1つまたは複数のデバイスは、Google Maps(登録商標)またはGoogle Street View(登録商標)等の、統合型ソフトウェア/データベースと組み合わせてもよい。本発明によるデバイスは、更に、データベースにその位置を見出すことができる物体の周辺環境における距離を分析するために使用することができる。既知物体の位置に対する距離から、ユーザの局地または全地球位置を計算することができる。
【0274】
本発明の更なる態様では、少なくとも1つの物体を画像化するためのカメラが開示される。カメラは、上述のまたは下記で更に詳述される実施形態の1つまたは複数に開示されているもの等の、本発明による少なくとも1つの検出器を含む。
【0275】
したがって、特に、本出願は、写真撮影の分野に応用することができる。したがって、検出器は、写真デバイス、特にデジタルカメラの一部であってもよい。特に、検出器は、3D写真撮影、特にデジタル3D写真撮影に使用することができる。したがって、検出器は、デジタル3Dカメラを形成してもよく、またはデジタル3Dカメラの一部であってもよい。本明細書で使用される場合、「写真撮影」という用語は、一般的に、少なくとも1つの物体の画像情報を取得するための技術を指す。更に、本明細書で使用される場合、「カメラ」は、一般的に、写真撮影を実施するように構成されているデバイスである。更に、本明細書で使用される場合、「デジタル写真撮影」という用語は、一般的に、照明の強度および/または色を示す電気信号、好ましくはデジタル電気信号を生成するように構成されている複数の感光性要素を使用することにより、少なくとも1つの物体の画像情報を取得するための技術を指す。更に、本明細書で使用される場合、「3D写真撮影」という用語は、一般的に、3つの空間次元における、少なくとも1つの物体の画像情報を取得するための技術を指す。したがって、3Dカメラは、3D写真撮影を実施するように構成されているデバイスである。カメラは、一般的に、単一の3D画像等の単一の画像を取得するように構成されていてもよく、または連続した画像等の複数の画像を取得するように構成されていてもよい。したがって、また、カメラは、デジタルビデオシーケンスを取得するため等の、ビデオ応用に適したビデオカメラであってもよい。
【0276】
したがって、一般的に、本発明は、更に、少なくとも1つの物体を画像化するためのカメラ、特にデジタルカメラ、より詳しくは3Dカメラ、またはデジタル3Dカメラを指す。上記で概説されているように、画像化という用語は、本明細書で使用される場合、一般的に、少なくとも1つの物体の画像情報を取得することを指す。カメラは、本発明による少なくとも1つの検出器を含む。カメラは、上記で概説されているように、単一の画像を取得するように、または画像シーケンス等の複数の画像を取得するように、好ましくはデジタルビデオシーケンスを取得するように構成されていてもよい。したがって、一例として、カメラは、ビデオカメラであってもよく、またはビデオカメラを含んでいてもよい。後者の場合、カメラは、好ましくは、画像シーケンスを保存するためのデータメモリを含む。
【0277】
本発明内に使用される場合、「位置」という表現は、一般的に、物体の1つまたは複数の地点の絶対位置および向きの1つまたは複数に関する、少なくとも1項目の情報を指す。したがって、特に、位置は、デカルト座標系等の、検出器の座標系で決定することができる。しかしながら、それに加えてまたはその代わりに、極座標系および/または球座標系等の、他のタイプの座標系を使用することができる。
【0278】
本発明の更なる態様では、少なくとも1つの物体の位置を決定するための方法、特に少なくとも1つの物体の位置を決定するための方法が開示される。上記方法は、下記のステップを含み、下記のステップは、示されている順序で実施してもよく、または異なる順序で実施してもよい。更に、方法ステップの2つ以上または更に全ては、同時におよび/または時間的に重複して実施してもよい。更に、方法ステップの1つ、2つ以上、または更に全ては、繰り返して実施してもよい。上記方法は、追加の方法ステップを更に含んでいてもよい。
【0279】
上記方法は、以下の方法ステップ:
・焦平面を有する少なくとも1つの転送デバイスを使用することにより、物体を画像平面に画像化するステップ、
・少なくとも1つのセンサ領域を有し、少なくとも部分的に透過性である、検出器の少なくとも1つの縦方向光学センサを準備し、少なくとも1つの縦方向センサ信号を生成し、少なくとも1つの縦方向センサ信号が、物体から検出器に進行する少なくとも1つの光ビームによるセンサ領域の照明に依存し、照明の合計出力が同じである場合は、縦方向センサ信号が、センサ領域の光ビームのビーム断面に依存するステップ、および
・縦方向センサ信号を評価することにより、物体の縦方向位置に関する少なくとも1項目の情報を生成するステップを含み、
少なくとも1つの縦方向光学センサは、合焦縦方向光学センサを含み、合焦縦方向光学センサは、少なくとも実質的に焦平面に配置されている。
【0280】
上記方法は、上述のまたは下記で更に詳述される実施形態の1つまたは複数に開示されているもの等の、本発明による検出器を使用することを含む。したがって、上記方法の定義および考え得る実施形態に関して、本検出器が参照される場合がある。また、他の実施形態も実施可能である。
【0281】
上記で概説されているように、(15)および(16)を参照すると、それらの焦点電流j
focal(z
f)およびj
focal(z’
f)に対してそれぞれ正規化された、2つの異なる距離z
fおよびz’
fにおける、同じ物体の2つの縦方向光学センサ信号電流j(z、z
f)およびj(z、z’
f)を考慮する場合、これら曲線は、以下の場合、z=z
crossで交差する場合がある。
【0282】
【数20】
【0283】
上記で概説されているように、(17)および(18)を参照すると、ガウスビームの場合、これらは、以下のように単純化される。
【0284】
【数21】
【0285】
更に、上記で概説されているように、上記曲線の交差は、依然として各曲線の焦点位置に依存するが、驚くべきことに、所与の光学系では、異なる焦点距離の差異z
crossは小さく、z
crossは、縦方向光学センサ電流がそれほどz依存性ではない領域にあることが見出された。一般的に、所与の光学系は、ある光学範囲に限定される。驚くべきことに、正規化された電流曲線が全て交差する、焦点に近い狭いz範囲または地点が、光学系の典型的な範囲内に見出された。したがって、この位置でまたはこの交差範囲内で縦方向光学センサ電流を測定することにより、曲線の正規化を得ることができる。それが、j
focalである。合焦縦方向光学センサは、距離±ε分だけ焦平面から離間されていてもよく、|ε|≦0.2・fであり、fは、転送デバイスの焦点距離である。例えば、縦方向光学センサは、|ε|≦0.1・f、好ましくは|ε|≦0.05・f、より好ましくは|ε|≦0.02・f、および最も好ましくは|ε|≦0.01・fだけ、焦平面から離間されていてもよい。少なくとも1つの合焦縦方向光学センサは、少なくとも1つの合焦縦方向光学センサが、曲線の交差する範囲内または地点内に位置するように、焦平面に配置されていてもよい。更に、交差範囲は、系依存性に過ぎない場合があるため、少なくとも1つの合焦縦方向光学センサをこの交差範囲内に設置することにより、物体の移動に伴う焦点変化によるアラインメントおよび調整を回避することができる。
【0286】
上記方法は、合焦縦方向光学センサの少なくとも1つの縦方向センサ信号j
focalを評価して、画像平面おける仮想縦方向光学センサの理論的縦方向センサ信号j
imageを導き出すことを更に含んでいてもよい。理論的縦方向センサ信号j
imageを決定するために、合焦縦方向光学センサの縦方向センサ信号j
focalと理論的縦方向センサ信号j
imageとの間の所定のまたは決定可能な関係性を使用することができる。特に、理論的縦方向センサ信号j
imageを決定するために、理論的縦方向センサ信号j
imageが、合焦縦方向光学センサの縦方向センサ信号j
focalに比例するという仮定を使用することができることが見出された。例えば、理論的縦方向センサ信号j
imageを決定するために、前述の数式(19)を使用することができる。
【0287】
【数22】
【0288】
式中、const.は、所定のまたは決定可能な定数である。例えば、理論的縦方向センサ信号j
imageを決定するために、前述の数式(20)を使用することができる。
【0289】
【数23】
【0290】
式中、c(h
target,f
lens,l
lens)は、物体のサイズh
target、転送デバイスの焦点距離f
lens、および転送デバイスの口径l
lensに依存する所定のまたは決定可能な関数である。合焦縦方向光学センサ電流j
focalが決定され、c(h
target,f
lens,l
lens)が既知であれば、理論的センサ信号j
imageを決定することができる。したがって、画像平面でのセンサ信号を決定するために、画像平面へのまたは画像平面付近への縦方向光学センサの設置を回避することができない。更に、多義性を解決するのに必要な縦方向光学センサの量を低減することが可能であり得る。物体のサイズh
target、転送デバイスの焦点距離f
lens、および転送デバイスの口径l
lensに依存する所定のまたは決定可能な関数が既知である場合、少なくとも1つの縦方向光学センサは、少なくとも1つの物体の位置を測定すれば十分であり得る。
【0291】
上記で概説されているように、縦方向光学センサの数を減らす可能性があるか、またはセンサ集積体内の縦方向光学センサの数を少なく保つ可能性があることにより、システム安定性の向上、測定結果の向上、システムの複雑さの低減、およびコスト削減を含む複数の利点がもたらされる。
【0292】
縦方向光学センサ信号電流の曲線全体を決定するためには、および特に焦点位置z
fを決定するためには、縦方向光学センサ信号電流の少なくとも2つの測定値が必要であり得る。一般的に、焦点位置z
fが完全に未知である場合、曲線の対称性により各縦方向光学センサ信号電流に2つのz値を割り当てることができるため、2つの測定値が必要である。しかしながら、考え得るz
f値の範囲が既知の場合、つまり、測定値が常にz
fと転送デバイスとの間にあることが判明している場合、1つの測定値で十分な場合がある。
【0293】
一般的な物体の場合、物体のサイズh
targetは、未知であってもよい。物体のサイズは、画素化CMOS検出器および/または非画素化無機ダイオードにより決定することができる。画素化CMOS検出器では、ピクセルを計数して、物体のサイズを決定することができる。非画素化ダイオード、例えば非画素化Si−ダイオードでは、ダイオード電流は、光子の数のみに依存し得る。物体のサイズは、ダイオード電流と強度依存性の縦方向光学センサ信号電流との比率により求めることができる。更に、センサ信号は、物体のサイズにより影響を受ける場合があり、物体のコントラストに更に依存する場合がある。したがって、一般的な物体の場合、h
targetの値は、CMOS検出器でのピクセル値の数および強度を分析することにより得ることができる。
【0294】
特に合焦縦方向光学センサおよび上記で概説されている数式の導出の更なる詳細および実施形態は、検出器の記載を参照することができる。また、他の実施形態も実施可能である。
【0295】
生成ステップでは、照明源の入力信号を考慮することにより、縦方向位置に関する1項目の情報を生成することができる。照明光は、照明源から物体に進行することができ、その経路において、照明源に対向する縦方向光学センサの側に衝突してもよい。縦方向検出器は、照明源の入力信号とみなされる衝突照明光の出力に依存する縦方向センサ信号を生成することができる。照明光は、縦方向光学センサを通過してもよく、照明光を反射してもよい少なくとも1つの物体を照らしてもよい。反射光は、縦方向光学センサに戻るように進行してもよく、その経路において、物体と対向する縦方向光学センサの他方側に衝突してもよい。縦方向検出器は、衝突反射光の出力に依存する縦方向センサ信号を生成してもよい。物体の縦方向位置に関する少なくとも1項目の情報は、縦方向センサ信号から生成されてもよい。この場合、照明源の入力信号を、縦方向センサ信号から差し引いてもよい。
【0296】
本発明の更なる態様では、上記で考察されている実施形態の1つまたは複数に開示されているもの、および/または下記で更に詳細に示されている実施形態の1つまたは複数に開示されているもの等の、本発明による検出器の使用は、以下のものからなる群から選択される使用目的が開示される:交通技術での位置測定;娯楽用途;セキュリティ用途;ヒューマン−マシンインターフェース用途;追跡用途;写真用途;画像化用途またはカメラ用途;部屋、建物、および街路の群から選択される少なくとも1つの空間等の、少なくとも1つの空間の地図を生成するための地図製作用途;少なくとも1つの飛行時間測定と組み合わせた使用。
【0297】
したがって、一般的に、本発明による検出器は、種々の使用分野に応用することができる。特に、検出器は、以下のものからなる群から選択される使用目的に応用することができる:交通技術での位置測定;娯楽用途;セキュリティ用途;ヒューマン−マシンインターフェース用途;追跡用途;写真用途;部屋、建物、および街路の群から選択される少なくとも1つの空間等の、少なくとも1つの空間の地図を生成するための地図製作用途;モバイル用途;光学的頭部装着型ディスプレイ;ウェブカム;音響デバイス;ドルビーサラウンド音響システム;コンピュータ周辺機器;ゲーム用途;カメラまたはビデオ用途;セキュリティ用途;監視用途;自動車用途;運輸用途;医療用途;スポーツ用途;マシンビジョン用途;車両用途;飛行機用途;船舶用途;宇宙船用途;建物用途;建築用途;地図作成用途;製造用途;少なくとも1つの飛行時間型検出器と組み合わせた使用。それに加えてまたはその代わりに、局地および/または全地球測位システムでの応用、特に自動車または他の車両(列車、オートバイ、自転車、貨物運送用トラック等の)、ロボットに使用するための、または歩行者が使用するための、特に陸標に基づく測位および/またはナビゲーションでの応用が挙げられる。更に、考え得る応用として、家庭用途、および/または製造技術で使用されるロボット用等の、屋内測位システムを挙げることができる。
【0298】
したがって、国際公開第2012/110924号パンフレットまたは2012年12月19日に出願された米国特許仮出願第61/739,173号明細書、2013年1月8日に出願された第61/749,964号明細書、および2013年8月19日に出願された第61/867,169号明細書、および国際公開第2014/097181号パンフレットに開示されている光学検出器および光学デバイスに関しては、本発明による検出器、検出器システム、ヒューマン−マシンインターフェース、娯楽デバイス、追跡システムまたはカメラ(以下では、単に「本発明によるデバイス」と呼ばれる)を、以下で更に詳細に開示される目的の1つまたは複数等の、複数の応用(用途)目的に使用することができる。
【0299】
したがって、まず第1に、本発明によるデバイスは、携帯電話、タブレットコンピュータ、ウエアラブルコンピュータ、ラップトップ、スマートパネル、または他の据置き型もしくはモバイルコンピュータもしくは通信用途に使用することができる。したがって、本発明によるデバイスは、性能を増強するために、可視領域または赤外スペクトル範囲の光を放射する光源等の、少なくとも1つの活性光源と組み合わせてもよい。少なくとも1つの随意の活性光源は、少なくとも1つの常時放射光源であってもよく、または少なくとも1つの常時放射光源を含んでいてもよく、または少なくとも1つの不連続放射光源であってもよく、または少なくとも1つの不連続放射光源を含んでもよい。後者の場合は、一例として、少なくとも1つのフラッシュを使用することにより実現することができる。一例として、本発明によるデバイスは、環境、物体、および生物を走査するためのモバイルソフトウェア等と組み合わせた、カメラおよび/またはセンサとして使用することができる。本発明によるデバイスは、撮像効果を増加させるために、従来のカメラ等の2Dカメラと組み合わせることさえできる。更に、本発明によるデバイスは、特に音声認識および/またはジェスチャー認識および/または視線追跡と組み合わせて、監視および/または記録目的ために、またはモバイルデバイスを制御する入力デバイスとして使用することができる。したがって、特に、入力デバイスとも呼ばれるヒューマン−マシンインターフェースとして作動する、本発明によるデバイスは、携帯電話等のモバイルデバイスにより、他の電子デバイスまたは部品を制御するため等の、モバイル用途に使用することができる。一例として、本発明による少なくとも1つのデバイスを含むモバイル用途は、テレビ、ゲーム機、音楽プレーヤ、または音楽デバイス、または他の娯楽デバイスを制御するために使用することができる。
【0300】
更に、本発明によるデバイスは、ウェブカム、またはコンピュータ用途のための他の周辺機器に使用することができる。したがって、一例として、本発明によるデバイスは、撮像、記録、監視、走査、または動作検出用のソフトウェアと組み合わせて使用することができる。ヒューマン−マシンインターフェースおよび/または娯楽デバイスの状況で概説したように、本発明によるデバイスは、表情および/または身体表現によるコマンド指図に特に有用である。本発明によるデバイスは、例えば、マウス、キーボード、タッチパッド、マイクロホン、視線追跡装置等の、他の入力生成デバイスと組み合わせることができる。更に、本発明によるデバイスは、ウェブカム等の使用によるゲーム用途に使用することができる。更に、本発明によるデバイスは、仮想トレーニング用途および/またはビデオ会議に使用することができる。
【0301】
更に、本発明によるデバイスは、上記で部分的に説明されているように、モバイル音響デバイス、テレビデバイス、およびゲームデバイスに使用することができる。特に、本発明によるデバイスは、電子デバイスまたは娯楽デバイス等の制御装置または制御デバイスとして使用することができる。更に、本発明によるデバイスは、2Dおよび3Dディスプレイ技法等の、特に、仮想現実および/または拡張現実用途のための、および/またはディスプレイが見られているか否かを認識するための、および/またはディスプレイが見られている方向を認識するための、透明ディスプレイでの視線検出または視線追跡に使用することができる。
【0302】
更に、本発明によるデバイスは、デジタルカメラに使用してもよく、またはデジタルカメラとして使用してもよい。本発明による1つまたは複数のデバイスを使用することができる考え得る実施形態の一例として、デジタルスチルカメラおよび/またはSLRカメラ等のレフレックスカメラを使用することができる。それに加えてまたはその代わりに、国際公開第2014/097181号パンフレットに開示されている1つまたは複数のデバイス等の、1つまたは複数の色素増感太陽電池が使用されているカメラを実現することができる。こうした応用の場合、上記に開示されているような、携帯電話および/またはスマートフォン等のモバイル用途における、本発明によるデバイスの使用を参照することができる。
【0303】
更に、本発明によるデバイスは、セキュリティ用途または監視用途に使用することができる。したがって、一例として、本発明による少なくとも1つのデバイスは、物体が所定の区域内に存在する場合にまたは所定の区域外に存在する場合に信号を発することになる1つまたは複数のデジタルおよび/またはアナログ電子機器と組み合わせることができる(例えば、銀行または博物館での監視用途)。特に、本発明によるデバイスは、光学暗号化に使用することができる。本発明による少なくとも1つのデバイスを使用することによる検出は、IR、x線、UV−VIS、レーダー、または超音波検出器等の、補完波長に対する他の検出デバイスと組み合わせることができる。本発明によるデバイスは、少なくとも1つの活性赤外線光源および/または少なくとも1つの活性立体照明光源と更に組み合わせて、低照度環境での検出を可能にすることができる。
【0304】
更に、本発明によるデバイスを使用することによる3D検出の容易さおよび正確性を考慮すると、本発明によるデバイスは、一般的に、顔認証、身体認証、および個人認証に使用することができる。その場合、本発明によるデバイスは、パスワード、指紋、虹彩検出、音声認識、または他の手段等の、身元確認目的または個別化目的用の他の検出手段と組み合わせることができる。したがって、一般的に、本発明によるデバイスは、セキュリティデバイスおよび他の個別化用途に使用することができる。
【0305】
更に、本発明によるデバイスは、製品を識別するための3Dバーコードリーダとして使用することができる。
【0306】
上記で言及したセキュリティ用途および監視用途に加えて、本発明によるデバイスは、一般的に、空間および区域の監視およびモニタリングに使用することができる。したがって、本発明によるデバイスは、例えば、禁止区域が侵害された場合に警報を作動または実行するための、空間および区域の監視およびモニタリングに使用することができる。したがって、一般的に、本発明によるデバイスは、随意に、モーションセンサまたは熱センサと組み合わせて、画像増幅器または画像増強デバイスおよび/または光電子増倍管と組み合わせて等、他のタイプのセンサと組み合わせて、建物監視または博物館の監視目的に使用することができる。
【0307】
更に、本発明によるデバイスは、ビデオおよびカムコーダ用途等のカメラ用途に応用することが有利であり得る。したがって、本発明によるデバイスは、モーションキャプチャおよび3D映画記録に使用することができる。その場合、本発明によるデバイスは、一般的に、従来の光学デバイスよりも多くの点で有利である。したがって、本発明によるデバイスは、一般的に、光学部品に関して必要とされる複雑さがより低下する。したがって、一例として、レンズを1つしか有していない本発明によるデバイスを提供すること等により、従来の光学デバイスと比較して、レンズの数を低減することができる。複雑さが低下することにより、モバイル使用のため等の、非常に小型のデバイスが可能になる。2つ以上の高品質レンズを有する従来の光学系は、一般的に大型のビームスプリッターが必要である等のため、一般的に大型である。モーションキャプチャ用の本発明によるデバイスの考え得る応用における更なる利点として、場面を網羅するために幾つかのカメラを単純に組み合わせることを挙げることができる。それは、絶対3D情報を得ることができるためである。また、これは、2台以上の3Dカメラにより記録された場面を単に合成することであってもよい。更に、本発明によるデバイスは、一般的に、オートフオーカスカメラ等の、合焦/オートフォーカスデバイスに使用することができる。更に、本発明によるデバイスは、光学顕微鏡に、特に共焦点顕微鏡に使用することもできる。
【0308】
更に、本発明によるデバイスは、一般的に、自動車技術および運輸技術の技術分野に応用可能である。したがって、一例として、本発明によるデバイスは、適応走行制御、緊急ブレーキアシスト、車線逸脱警報、サラウンドビュー、死角検知、リアクロストラフィックアラート、および他の自動車および交通用途等の、距離および監視センサとして使用することができる。
【0309】
更に、本発明によるデバイスは、本発明による検出器を使用することにより得られる位置情報の一次および二次時間導関数を分析すること等により、速度測定および/または加速度測定に使用することもできる。この特徴は、一般的に、自動車技術、運輸技術、または総合交通技術に応用可能であってもよい。他の技術分野における応用も実施可能である。屋内測位システムにおける特定の応用は、より詳しくは、エアバッグ等の安全装置の使用を電子的に制御するために、車両の中にいる乗客の位置を検出することであってもよい。エアバッグが使用されると重傷を引き起こすと予想されるような位置に乗客がいる場合、エアバッグの使用を防止することができる。他の技術分野における応用も実施可能である。自動車システムに使用する場合、本発明によるデバイスは、車両の1つまたは複数の電子制御ユニットに接続されていてもよく、コントローラエリアネットワーク等による更なる接続を可能にしてもよい。特に、更なるセンサおよび/またはアクチュエータと組み合わせて使用するための、自動車用途または他の複雑な用途を試験する目的で、ハードウェアインザループシミュレーション(hardware−in−the−loop simulation)システムに統合することが可能である。
【0310】
これらのまたは他の応用では、一般的に、本発明によるデバイスは、独立型デバイスとして、またはレーダーおよび/もしくは超音波デバイスと組み合わせて等、他のセンサデバイスと組み合わせて使用することができる。特に、本発明によるデバイスは、自動運転および安全課題に使用することができる。更に、こうした応用では、本発明によるデバイスは、赤外線センサ、音響センサであるレーダーセンサ、二次元カメラ、または他のタイプのセンサと組み合わせて使用することができる。本発明によるデバイスは、特に、標準的な画像認識ソフトウェア等の認識ソフトウェアと組み合わせて使用することができる。したがって、本発明によるデバイスによりもたらされる信号およびデータは、典型的には直ちに処理可能であるため、一般的に、LIDAR等の確立されている立体映像システムよりも、必要とされる計算パワーが少なくてすむ。空間的要求が少ないことを考慮すると、カメラ等の本発明によるデバイスは、フロントガラス、フロントボンネット、バンパー、ライト、ミラー、または他の場所等の、車両の事実上あらゆる場所に設置することができる。本発明内に開示されている効果に基づく1つまたは複数の検出器等の、本発明による種々の検出器を、自動運転車両を可能にするために、またはアクティブセーフティ概念の性能を増加させるため等のために、組み合わせることができる。したがって、本発明による種々のデバイスは、リヤウインドウ、サイドウインドウ、またはフロントウインドウ等のウインドウ、バンパー、またはライト等において、本発明による1つまたは複数の他のデバイスおよび/または従来のセンサと組み合わせてもよい。
【0311】
また、本発明による少なくとも1つの検出器等の、本発明による少なくとも1つのデバイスを、1つまたは複数の雨検出センサと組み合わせることが可能である。これは、本発明によるデバイスが、特に大雨の場合、レーダー等の従来のセンサ技術よりも一般的に有利であるという事実による。本発明による少なくとも1つのデバイスを、レーダー等の少なくとも1つの従来の検知技法と組み合わせることにより、天候条件に応じてソフトウェアが、正しい組み合わせの信号を選択することが可能になり得る。
【0312】
更に、本発明によるデバイスは、一般的に、ブレーキ支援および/または駐車支援および/または速度測定用として使用することができる。速度測定器は、交通管制中の他の自動車の速度を測定する等のために、車両と一体化されていてもよく、または車両の外側に使用されてもよい。更に、本発明によるデバイスは、駐車場の空き駐車空間を発見するために使用してもよい。
【0313】
更に、本発明によるデバイスは、医療システムおよびスポーツの分野に使用することができる。したがって、医療技術の分野では、例えば、内視鏡に使用するための外科手術ロボットを挙げることができる。それは、上記で概説されているように、本発明によるデバイスは、少ない容積しか必要とせず、他のデバイス内に一体化することができるためである。特に、最大で1つのレンズを有する本発明によるデバイスは、内視鏡等の医療デバイスで3D情報をキャプチャするために使用することができる。更に、本発明によるデバイスは、動きの追跡および分析を可能にするために、適切なモニタリングソフトウェアと組み合わせることができる。こうした応用は、例えば治療および遠隔診断および遠隔医療に、特に価値がある。更に、断層撮影または放射線治療で患者の身体の位置を決定するための、または手術前に患者の体形を測定して疾患等を検出するための応用が可能である。
【0314】
更に、本発明によるデバイスは、トレーニング、遠隔指導、または競技目的等の、スポーツおよび運動の分野に応用することができる。特に、本発明によるデバイスは、ダンス、エアロビックス、フットボール、サッカー、バスケットボール、野球、クリケット、ホッケー、陸上競技、水泳、ポロ、ハンドボール、バレーボール、ラグビー、相撲、柔道、フェンシング、ボクシング等の分野に応用することができる。本発明によるデバイスは、スポーツでも、ゲームでも、ボール、バット、剣、挙動等の位置を検出して、ゲームをモニターすること、判定、特に、得点またはゴールが実際になされたか否かを判定するため等のスポーツにおける特定の状況の自動判定ができるように審判を支援すること等のために使用することができる。
【0315】
更に、本発明によるデバイスは、トレーニングを促すために、および/または動作を観察および矯正するために、リハビリテーションおよび理学療法に使用することができる。その場合、本発明によるデバイスは、遠隔診断に応用することもできる。
【0316】
更に、本発明によるデバイスは、マシンビジョンの分野に応用することができる。したがって、本発明によるデバイスの1つまたは複数は、例えば、自律運転および/またはロボット作業の制御ユニットとして使用することができる。本発明によるデバイスは、移動ロボットと組み合わせると、自律移動および/または部品故障の自律検出を可能にすることができる。また、本発明によるデバイスは、ロボット、生産部品、および生物間の衝突を含むがそれらに限定されない事故を回避するため等の、製造監視および安全監視に使用することができる。ロボット工学では、ロボットは、人間を認識しないと重症を負わせる場合があるため、人間とロボットとが安全におよび直接的に相互作用することが問題となることが多い。本発明によるデバイスは、ロボットが、物体および人間の位置をより良好におよびより迅速に決定することを支援し、安全な相互作用を可能にすることができる。本発明によるデバイスの1つの具体的な利点は、信号干渉の可能性が低いことである。したがって、複数のセンサを、信号干渉の恐れなく、同じ環境で同時に作動させることができる。したがって、一般的に、本発明によるデバイスは、例えば、これらに限定されないが、自動車、採掘、鉄鋼等のような、高度に自動化された生産環境に有用であってもよい。また、本発明によるデバイスは、例えば、2D撮像、レーダー、超音波、IR等のような、品質管理または他の目的のため等の他のセンサと組み合わせて、生産の品質管理に使用することができる。更に、本発明によるデバイスは、マイクロメートル範囲からメートル範囲までの、製品の表面平滑性または規定寸法の順守を調査するため等の、表面品質の評価に使用することができる。他の品質管理用途も実施可能である。製造環境では、本発明によるデバイスは、食物または木材等の天然産物を複雑な三次元構造に加工し、大量の廃棄物を回避するのに特に有用である。更に、本発明によるデバイスは、タンク、サイロ等の充填レベルをモニターするために使用することができる。更に、本発明によるデバイスは、可視光通信のため等の、通信目的に使用することができる。
【0317】
更に、本発明によるデバイスは、投票(poll)、飛行機、船舶、宇宙船、および他の交通用途に使用することができる。したがって、交通用途の状況で上述されている応用に加えて、航空機および車両等の追跡システムを挙げることができる。移動物体の速度および/または方向をモニターするための、本発明による少なくとも1つの検出器等の本発明による少なくとも1つのデバイスの使用が、実施可能である。特に、陸上、海上、および宇宙を含む空中での高速移動物体の追跡を挙げることができる。本発明による少なくとも1つの検出器等の本発明による少なくとも1つのデバイスは、特に、静置デバイスおよび/または移動デバイスに設置することができる。本発明による少なくとも1つのデバイスの出力信号は、例えば、別の物体の自律移動または誘導移動のための誘導機構と組み合わせることができる。したがって、追跡物体と操縦物体との衝突を回避するための、または衝突を可能にするための応用が、実施可能である。本発明によるデバイスは、一般的に、必要とされる計算パワーが低いため、および検出システムが即時に応答するため、有用であり、有利である。本発明によるデバイスは、これらに限定されないが、例えば、速度制御デバイスおよび航空交通管制デバイスに特に有用である。
【0318】
本発明によるデバイスは、一般的に、船舶を港内でまたは危険区域で誘導すること、および航空機の着陸またはスタートを誘導することを含む、種々の用途に使用することができる。その場合、精密に誘導するために、固定されている既知の能動的および/または受動的目標物を使用してもよい。これと同じものは、危険だが明確に規定されている経路で、採掘車両等の車両を走行させるためにも使用することができる。
【0319】
更に、上記で概説されているように、本発明によるデバイスは、ゲームの分野に使用することができる。したがって、本発明によるデバイスは、移動がそのコンテンツに組み込まれているソフトウェアと組み合わせて移動を検出するため等に、サイズ、色、形状等が同じかまたは異なる複数の物体と共に使用することができる。特に、移動をグラフ出力として示す応用が、実施可能である。更に、コマンドを指図するための本発明によるデバイスの応用は、身振りまたは顔認識のための本発明によるデバイスの1つまたは複数を使用すること等により、実施可能である。本発明によるデバイスは、例えば、低照明条件下でまたは周囲条件の改善が必要な他の状況下での作業のために、アクティブシステムと組み合わせてもよい。それに加えてまたはその代わりに、本発明によるデバイスの1つまたは複数と、1つまたは複数のIR光源またはVIS光源との組み合わせも可能である。また、本発明による検出器を、例えば、限定ではないが、特殊な色、形状、他のデバイスに対する相対的位置、移動の速度、光、デバイスの光源を調節するための周波数、表面特性、使用される材料、反射特性、透明度、吸収特性等を、システムおよびそのソフトウェアにより容易に識別することができる特殊なデバイスと組み合わせることが可能である。デバイスは、他の可能性の中でも、ステッキ、ラケット、クラブ、銃、ナイフ、車輪、リング、ハンドル、ボトル、ボール、コップ、花瓶、スプーン、フォーク、立方体、サイコロ、彫像、操り人形、テディ(teddy)、ビーカー、ペダル、帽子、眼鏡、ヘルメット、スイッチ、グローブ、宝石、楽器、またはピックもしくはドラムスティック等の楽器を演奏するための補助デバイスと似通っていてもよい。他の選択肢も実施可能である。
【0320】
更に、本発明によるデバイスは、一般的に、建物、建築、および地図製作の分野に使用することができる。したがって、一般的に、本発明による1つまたは複数のデバイスは、環境区域、例えば田舎または建物を測定および/またはモニターするために使用することができる。その場合、本発明によるデバイスの1つまたは複数は、建築プロジェクト、変化する物体、家屋等の進行および正確さをモニターするために、他の方法およびデバイスと組み合わせて使用してもよく、または単独で使用してもよい。本発明によるデバイスを使用して、地上または上空の両方から部屋、街路、家屋、集落、または景観の地図を作成するために、走査された環境の三次元モデルを作成することができる。考え得る応用分野は、建築、地図製作、不動産管理、または測量等であってもよい。
【0321】
更に、本発明による1つまたは複数のデバイスは、積層造形および/または3Dプリンティング等のために、CADまたは同様のソフトウェア等と組み合わせて、物体を走査するために使用することができる。その場合、本発明によるデバイスは、例えば、x方向、y方向、またはz方向における寸法正確性、またはこれら方向の任意のあらゆる組み合わせにおける寸法正確性が、例えば同時に高いことを活用することができる。更に、本発明によるデバイスは、パイプライン検査ゲージ等の検査および維持管理に使用することができる。
【0322】
上記で概説されているように、本発明によるデバイスは、更に、製造、品質管理、または製品特定もしくはサイズ特定等の特定するための応用(用途)に(最適な場所または包装を見出すために、廃棄物を削減するために等)使用することができる。更に、本発明によるデバイスは、物流用途に使用することができる。したがって、本発明によるデバイスは、容器または車両の積載量または充填量を最適化するために使用することができる。更に、本発明によるデバイスは、製造分野における表面損傷をモニターまたは管理するために、レンタル車両等のレンタル物体をモニターまたは管理するために、および/または損傷を評価するため等の保険用途のために使用することができる。更に、本発明によるデバイスは、物質の取り扱いを最適化する等のために、特にロボットと組み合わせて、物質、物体、または道具のサイズを特定するために、および/または製品サイズまたは容積の正確性、または製造したレンズの光学精度等の、製造工程での品質または正確性を保証するために使用することができる。更に、本発明によるデバイスは、生産のプロセス制御に、例えばタンクの充填レベルを観察するために使用することができる。更に、本発明によるデバイスは、これらに限定されないが、タンク、パイプ、反応器、道具等の、生産用資産の維持管理に使用することができる。更に、本発明によるデバイスは、3D品質マークの分析に使用することができる。更に、本発明によるデバイスは、歯のインレー、歯列矯正具、義肢、または衣服等の、注文生産品の製造に使用することができる。また、本発明によるデバイスは、迅速な試作品製作、3Dコピー等のための1つまたは複数の3Dプリンタと組み合わせてもよい。更に、本発明によるデバイスは、著作権侵害対策目的および偽造防止目的等のために、1つまたは複数の物品の形状を検出するために使用することができる。
【0323】
上述の知見を要約すると、好ましくは、以下の実施形態が本発明内にある。
【0324】
実施形態1:少なくとも1つの物体の位置を決定するための検出器であって、
・物体を画像平面に画像化するための、焦平面を有する少なくとも1つの転送デバイス、
・少なくとも1つのセンサ領域を有し、少なくとも部分的に透過性であり、物体から検出器に伝搬する少なくとも1つの光ビームによるセンサ領域の照明に依存する様式で少なくとも1つの縦方向センサ信号を生成し、照明の合計出力が同じである場合、縦方向センサ信号が、センサ領域の光ビームのビーム断面に依存するように設計されている少なくとも1つの縦方向光学センサ、および
・縦方向センサ信号を評価することにより物体の縦方向位置に関する少なくとも1項目の情報を生成するように設計されている、少なくとも1つの評価デバイスを含み、
少なくとも1つの縦方向光学センサが、合焦縦方向光学センサを含み、合焦縦方向光学センサが、少なくとも実質的に焦平面に配置されている検出器。
【0325】
実施形態2:合焦縦方向光学センサが、距離±ε分だけ焦平面から離間されており、|ε|≦0.2・fであり、fが、転送デバイスの焦点距離である、実施形態1に記載の検出器。
【0326】
実施形態3:|ε|≦0.1・fであり、好ましくは|ε|≦0.05・fであり、より好ましくは|ε|≦0.02・fであり、および最も好ましくは|ε|≦0.01・fである、実施形態2に記載の検出器。
【0327】
実施形態4:評価デバイスが、合焦縦方向光学センサの少なくとも1つの縦方向センサ信号j
focalを評価し、画像平面おける仮想縦方向光学センサの理論的縦方向センサ信号j
imageを導き出すように構成されている、実施形態1〜3のいずれか1つに記載の検出器。
【0328】
実施形態5:評価デバイスが、理論的縦方向センサ信号j
imageを決定するために、合焦縦方向光学センサの縦方向センサ信号j
focalと理論的縦方向センサ信号j
imageとの間の所定のまたは決定可能な関係性を使用するように構成されている、実施形態4に記載の検出器。
【0329】
実施形態6:評価デバイスが、理論的縦方向センサ信号j
imageを決定するために、理論的縦方向センサ信号j
imageが、合焦縦方向光学センサの縦方向センサ信号j
focalに比例するという仮定を使用するように構成されている、実施形態4〜5のいずれか1つに記載の検出器。
【0330】
実施形態7:評価デバイスが、理論的縦方向センサ信号j
imageを決定するために、以下の関係性を使用するように構成されている、実施形態6に記載の検出器。
【0331】
【数24】
【0332】
式中、const.は、所定のまたは決定可能な定数である。
【0333】
実施形態8:評価デバイスが、理論的縦方向センサ信号j
imageを決定するために、以下の関係性を使用するように構成されている、実施形態6〜7のいずれか1つに記載の検出器。
【0334】
【数25】
【0335】
式中、c(h
target,f
lens,l
lens)は、物体のサイズh
target、転送デバイスの焦点距離f
lens、および転送デバイスの口径l
lensに依存する所定のまたは決定可能な関数である。
【0336】
実施形態9:少なくとも1つの縦方向光学センサが、合焦縦方向光学センサの他に、少なくとも1つの更なる縦方向光学センサを含む、実施形態1〜8のいずれか1つに記載の検出器。
【0337】
実施形態10:少なくとも1つの縦方向光学センサが、縦方向光学センサの集積体を含む、実施形態9に記載の検出器。
【0338】
実施形態11:合焦縦方向光学センサが、縦方向光学センサの集積体の一部を形成する、実施形態10に記載の検出器。
【0339】
実施形態12:縦方向光学センサの集積体が、3つ以下の縦方向光学センサを含む、実施形態10〜11のいずれか1つに記載の検出器。
【0340】
実施形態13:集積体が、縦方向光学センサのセンサ領域が、検出器の光軸と本質的に垂直の向きに配置されている縦方向光学センサで構成されている、実施形態10〜12のいずれか1つに記載の検出器。
【0341】
実施形態14:転送デバイスが、レンズ、フォーカスミラー、デフォーカスミラーからなる群から選択される少なくとも1つの光学要素を含む、実施形態9〜13のいずれか1つに記載の検出器。
【0342】
実施形態15:検出器が、少なくとも1つの撮像デバイスを更に含み、撮像デバイスが、物体から検出器に進行する光ビームが、撮像デバイスと衝突する前に縦方向光学センサを通過するように構成されている、実施形態1〜14のいずれか1つに記載の検出器。
【0343】
実施形態16:撮像デバイスがカメラチップを含む、実施形態15に記載の検出器。
【0344】
実施形態17:撮像デバイスが、無機撮像デバイスを含む、実施形態15〜16のいずれか1つに記載の検出器。
【0345】
実施形態18:撮像デバイスが、ピクセルのマトリックスを含む、実施形態15〜17のいずれか1つに記載の検出器。
【0346】
実施形態19:撮像デバイスが、CMOSチップおよびCCDチップからなる群から選択されるチップを含む、実施形態15〜18のいずれか1つに記載の検出器。
【0347】
実施形態20:撮像デバイスが、色を分解するように構成されている、実施形態15〜19のいずれか1つに記載の検出器。
【0348】
実施形態21:撮像デバイスが、フルカラーのCCDまたはCMOSチップを含む、実施形態20に記載の検出器。
【0349】
実施形態22:縦方向センサ信号が、光ビームの変調周波数に更に依存する、実施形態1〜21のいずれか1つに記載の検出器。
【0350】
実施形態23:検出器が、物体を照らすための少なくとも1つの照明源を更に含む、実施形態1〜22のいずれか1つに記載の検出器。
【0351】
実施形態24:照明源が、照明光の少なくとも1つの光学的特性を周期的に変調するように構成されている、実施形態23に記載の検出器。
【0352】
実施形態25:少なくとも1つの光学的特性が、照明光の振幅および位相からなる群から選択される、実施形態24に記載の検出器。
【0353】
実施形態26:検出器が、照明光の少なくとも1つの特性を周期的に変調するための少なくとも1つの変調デバイスを含む、実施形態23〜25のいずれか1つに記載の検出器。
【0354】
実施形態27:変調デバイスが、空間光変調器、好ましくはマイクロミラーデバイス、およびより好ましくはDLP(登録商標)デバイスを含む、実施形態26に記載の検出器。
【0355】
実施形態28:光ビームが、少なくとも部分的に、検出器の光軸と実質的に平行に伝搬する、実施形態1〜27のいずれか1つに記載の検出器。
【0356】
実施形態29:少なくとも1つの縦方向光学センサ、好ましくは少なくとも1つの合焦縦方向光学センサが、少なくとも1つの半導体検出器を含む、実施形態1から28のいずれか1つに記載の検出器。
【0357】
実施形態30:半導体検出器が、少なくとも1つの有機材料を含む有機半導体検出器である、実施形態29に記載の検出器。
【0358】
実施形態31:半導体検出器が、有機太陽電池、色素太陽電池、色素増感太陽電池、固体色素太陽電池、固体色素増感太陽電池からなる群から選択される、実施形態29〜30のいずれか1つに記載の検出器。
【0359】
実施形態32:少なくとも1つの縦方向光学センサ、好ましくは少なくとも1つの有機半導体検出器が、少なくとも1つの第1の電極、少なくとも1つのn−半導体金属酸化物、少なくとも1つの色素、少なくとも1つのp−半導体有機材料、好ましくは固体p−半導体有機材料、および少なくとも1つの第2の電極を含む、実施形態1〜31に記載のいずれか1つに記載の検出器。
【0360】
実施形態33:第1の電極および第2の電極が両方とも透過性である、実施形態32に記載の検出器。
【0361】
実施形態34:評価デバイスが、光ビームによるセンサ領域の照明の形状と、検出器に対する物体の相対的位置との間の、少なくとも1つの所定の関係性から、物体の縦方向位置に関する少なくとも1項目の情報を生成するように設計されている、実施形態1〜33のいずれか1つに記載の検出器。
【0362】
実施形態35:光ビームによるセンサ領域の照明の形状と検出器に対する物体の相対的位置との間の所定の関係性が、照明の既知出力を考慮に入れている、実施形態34に記載の検出器。
【0363】
実施形態36:光ビームによるセンサ領域の照明の形状と、検出器に対する物体の相対的位置との間の所定の関係性が、光ビームが変調される変調周波数を考慮に入れている、実施形態34〜35のいずれか1つに記載の検出器。
【0364】
実施形態37:ユーザと機械との間で少なくとも1項目の情報を交換するためのヒューマン−マシンインターフェースであって、実施形態1〜36のいずれか1つに記載の少なくとも1つの検出器を含み、検出器によりユーザの少なくとも1項目の幾何学的情報を生成するように設計されており、幾何学的情報に、少なくとも1項目の情報、特に少なくとも1つの制御コマンドを割り当てるように設計されている、ヒューマン−マシンインターフェース。
【0365】
実施形態38:上記1項目の情報の生成が、ユーザの体位および/または動きにより達成される、実施形態37に記載のヒューマン−マシンインターフェース。
【0366】
実施形態39:少なくとも1つの娯楽機能を実施するための娯楽デバイスであって、実施形態37〜38のいずれか1つに記載の少なくとも1つのヒューマン−マシンインターフェースを含み、プレーヤがヒューマン−マシンインターフェースにより少なくとも1項目の情報を入力することができるように設計されており、その情報に従って娯楽機能を変化させるように設計されている娯楽デバイス。
【0367】
実施形態40:少なくとも1つの可動性物体の位置を追跡するための追跡システムであって、検出器に関する(検出器として)実施形態1〜36のいずれか1つに記載の検出器を含み、特定の時点における物体の一連の位置を追跡するように構成されている少なくとも1つの追跡コントローラを更に含む追跡システム。
【0368】
実施形態41:追跡コントローラが、一連の位置から物体の移動を決定するように構成されている、実施形態40に記載の追跡システム。
【0369】
実施形態42:追跡システムが、局地または全地球測位システムの一部である、実施形態40〜41のいずれか1つに記載の追跡システム。
【0370】
実施形態43:追跡システムが、可視光通信システムの一部である、実施形態40〜42のいずれか1つに記載の追跡システム。
【0371】
実施形態44:少なくとも1つの物体を画像化するためのカメラであって、検出器に関する(検出器として)実施形態1〜36のいずれか1つに記載の少なくとも1つの検出器を含むカメラ。
【0372】
実施形態45:少なくとも1つの物体の位置を決定するための方法であって、
焦平面を有する少なくとも1つの転送デバイスを使用することにより、物体を画像平面に画像化すること、
少なくとも1つのセンサ領域を有し、少なくとも部分的に透過性である少なくとも1つの縦方向光学センサを準備し、少なくとも1つの縦方向光学センサを使用することにより、少なくとも1つの縦方向センサ信号を生成し、少なくとも1つの縦方向センサ信号が、物体から縦方向光学センサに、特に少なくとも1つの縦方向光学センサを含む検出器に伝搬する少なくとも1つの光ビームによるセンサ領域の照明に依存し、照明の合計出力が同じである場合、縦方向センサ信号が、センサ領域の光ビームのビーム断面に依存すること、および
縦方向センサ信号を評価することにより、物体の縦方向位置に関する少なくとも1項目の情報を生成することを含み、
少なくとも1つの縦方向光学センサが、合焦縦方向光学センサを含み、合焦縦方向光学センサが、少なくとも実質的に焦平面に配置されている方法。
【0373】
実施形態46:検出器に関する(検出器として)実施形態1〜36のいずれか1つに記載の検出器を使用することを含む、実施形態45に記載の方法。
【0374】
実施形態47:合焦縦方向光学センサが、距離±ε分だけ焦平面から離間されており、|ε|≦0.2・fであり、fが、転送デバイスの焦点距離である、方法に関する実施形態45〜46のいずれか1つに記載の方法。
【0375】
実施形態48:|ε|≦0.1・fであり、好ましくは|ε|≦0.05・fであり、より好ましくは|ε|≦0.02・fであり、および最も好ましくは|ε|≦0.01・fである、実施形態47に記載の方法。
【0376】
実施形態49:合焦縦方向光学センサの少なくとも1つの縦方向センサ信号j
focalを評価し、画像平面おける仮想縦方向光学センサの理論的縦方向センサ信号j
imageを導き出すことを更に含む、方法に関する実施形態45〜48のいずれか1つに記載の方法。
【0377】
実施形態50:理論的縦方向センサ信号j
imageを決定するために、合焦縦方向光学センサの縦方向センサ信号j
focalと理論的縦方向センサ信号j
imageとの間の所定のまたは決定可能な関係性が使用される、実施形態49に記載の方法。
【0378】
実施形態51:理論的縦方向センサ信号j
imageを決定するために、理論的縦方向センサ信号j
imageが、合焦縦方向光学センサの縦方向センサ信号j
focalに比例するという仮定が使用される、実施形態49〜50のいずれか1つに記載の方法。
【0379】
実施形態52:理論的縦方向センサ信号j
imageを決定するために、以下の関係性が使用される、実施形態51に記載の方法。
【0380】
【数26】
【0381】
式中、const.は、所定のまたは決定可能な定数である。
【0382】
実施形態53:理論的縦方向センサ信号j
imageを決定するために、以下の関係性が使用される、実施形態51〜52のいずれか1つに記載の方法。
【0383】
【数27】
【0384】
式中、c(h
target,f
lens,l
lens)は、物体のサイズh
target、転送デバイスの焦点距離f
lens、および転送デバイスの口径l
lensに依存する所定のまたは決定可能な関数である。
【0385】
実施形態54:少なくとも1つの縦方向光学センサが、合焦縦方向光学センサの他に、少なくとも1つの更なる縦方向光学センサを含む、方法に関する実施形態45〜53のいずれか1つに記載の方法。
【0386】
実施形態55:少なくとも1つの縦方向光学センサが、縦方向光学センサの集積体を含む、実施形態54に記載の方法。
【0387】
実施形態56:合焦縦方向光学センサが、縦方向光学センサの集積体の一部を形成する、実施形態55に記載の方法。
【0388】
実施形態57:縦方向光学センサの集積体が、3つ以下の縦方向光学センサを含む、実施形態55〜56のいずれか1つに記載の方法。
【0389】
実施形態58:集積体が、縦方向光学センサのセンサ領域が、光軸と、特に本方法で使用される検出器の光軸と本質的に垂直の向きに配置されている縦方向光学センサで構成されている、実施形態55〜57のいずれか1つに記載の方法。
【0390】
実施形態59:転送デバイスが、レンズ、フォーカスミラー、デフォーカスミラーからなる群から選択される少なくとも1つの光学要素を含む、方法に関する実施形態45〜58のいずれか1つに記載の方法。
【0391】
実施形態60:少なくとも1つの撮像デバイスを使用することを更に含み、撮像デバイスが、物体から検出器に進行する光ビームが、撮像デバイスに衝突する前に縦方向光学センサを通過するように構成されている、方法に関する実施形態45〜59のいずれか1つに記載の方法。
【0392】
実施形態61:撮像デバイスがカメラチップを含む、実施形態60に記載の方法。
【0393】
実施形態62:撮像デバイスが、無機撮像デバイスを含む、実施形態60〜61のいずれか1つに記載の方法。
【0394】
実施形態63:撮像デバイスが、ピクセルのマトリックスを含む、実施形態60〜62のいずれか1つに記載の方法。
【0395】
実施形態64:撮像デバイスが、CMOSチップおよびCCDチップからなる群から選択されるチップを含む、実施形態60〜63のいずれか1つに記載の方法。
【0396】
実施形態65:撮像デバイスが、色を分解するように構成されている、実施形態60〜64のいずれか1つに記載の方法。
【0397】
実施形態66:撮像デバイスが、フルカラーのCCDまたはCMOSチップを含む、実施形態65に記載の方法。
【0398】
実施形態67:縦方向センサ信号が、光ビームの変調周波数に更に依存する、方法に関する実施形態45〜66のいずれか1つに記載の方法。
【0399】
実施形態68:物体を照らすための少なくとも1つの照明源を使用することを更に含む、方法に関する実施形態45〜67のいずれか1つに記載の方法。
【0400】
実施形態69:照明源が、照明光の少なくとも1つの光学的特性を周期的に変調するように構成されている、実施形態68に記載の方法。
【0401】
実施形態70:少なくとも1つの光学的特性が、照明光の振幅および位相からなる群から選択される、実施形態69に記載の方法。
【0402】
実施形態71:光ビームが、少なくとも部分的に、光軸と、特に本方法で使用される検出器の光軸と実質的に平行に伝搬する、方法に関する実施形態45〜70のいずれか1つに記載の方法。
【0403】
実施形態72:少なくとも1つの縦方向光学センサ、好ましくは少なくとも1つの合焦縦方向光学センサが、少なくとも1つの半導体検出器を含む、方法に関する実施形態45から71のいずれか1つに記載の方法。
【0404】
実施形態73:半導体検出器が、少なくとも1つの有機材料を含む有機半導体検出器である、実施形態72に記載の方法。
【0405】
実施形態74:半導体検出器が、有機太陽電池、色素太陽電池、色素増感太陽電池、固体色素太陽電池、固体色素増感太陽電池からなる群から選択される、実施形態72〜73のいずれか1つに記載の方法。
【0406】
実施形態75:少なくとも1つの縦方向光学センサが、少なくとも1つの第1の電極、少なくとも1つのn−半導体金属酸化物、少なくとも1つの色素、少なくとも1つのp−半導体有機材料、好ましくは固体p−半導体有機材料、および少なくとも1つの第2の電極を含む、方法に関する実施形態45〜74のいずれか1つに記載の方法。
【0407】
実施形態76:第1の電極および第2の電極が両方とも透過性である、実施形態75に記載の方法。
【0408】
実施形態77:光ビームによるセンサ領域の照明の形状と、縦方向光学センサおよび/または縦方向光学センサを含む検出器に対する物体の相対的位置との間の、少なくとも1つの所定の関係性を使用することにより、物体の縦方向位置に関する少なくとも1項目の情報が生成される、方法に関する実施形態45〜76のいずれか1つに記載の方法。
【0409】
実施形態78:光ビームによるセンサ領域の照明の形状と、縦方向光学センサおよび/または縦方向光学センサを含む検出器に対する物体の相対的位置との間の所定の関係性が、照明の既知出力を考慮に入れている、実施形態77に記載の方法。
【0410】
実施形態79:光ビームによるセンサ領域の照明の形状と、縦方向光学センサおよび/または縦方向光学センサを含む検出器に対する物体の相対的位置との間の所定の関係性が、光ビームが変調される変調周波数を考慮に入れている、実施形態77〜78のいずれか1つに記載の方法。
【0411】
実施形態80:交通技術における位置測定;娯楽用途;セキュリティ用途;安全用途;ヒューマン−マシンインターフェース用途;追跡用途;写真用途;画像化用途またはカメラ用途;少なくとも1つの空間の地図を生成するための地図製作用途;少なくとも1つの飛行時間測定と組み合わせた使用;測位システム、特に局地または全地球測位システム;通信システム、特に可視光通信システムからなる群から選択される使用目的のための、検出器に関する(検出器として)実施形態1〜36のいずれか1つに記載の検出器の使用。
【0412】
本発明の更なる随意の詳細および特徴は、好ましい例示的実施形態の記載、および以下に記載の従属クレームから明白である。本状況では、特定の特徴を、単独でまたは任意の合理的な組み合わせで実施することができる。本発明は、例示的実施形態に限定されない。例示的実施形態は、図面に概略的に示されている。個々の図面で符号が同じ場合、それらは、同一の機能を有する同一の1つまたは複数の要素、またはそれらの機能に関して互いに対応する要素を指す。