特許第6670880号(P6670880)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6670880
(24)【登録日】2020年3月4日
(45)【発行日】2020年3月25日
(54)【発明の名称】酸素貯蔵材料及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   C01G 51/00 20060101AFI20200316BHJP
   B01J 23/83 20060101ALI20200316BHJP
   B01J 37/08 20060101ALI20200316BHJP
   B01J 20/08 20060101ALI20200316BHJP
   B01J 20/30 20060101ALI20200316BHJP
【FI】
   C01G51/00 A
   B01J23/83 A
   B01J37/08
   B01J20/08 C
   B01J20/30
【請求項の数】5
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2018-83064(P2018-83064)
(22)【出願日】2018年4月24日
(65)【公開番号】特開2019-189485(P2019-189485A)
(43)【公開日】2019年10月31日
【審査請求日】2019年5月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003609
【氏名又は名称】株式会社豊田中央研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001047
【氏名又は名称】特許業務法人セントクレスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】後藤 能宏
(72)【発明者】
【氏名】森川 彰
(72)【発明者】
【氏名】三浦 真秀
(72)【発明者】
【氏名】高木 信之
【審査官】 手島 理
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−041946(JP,A)
【文献】 特開2009−131774(JP,A)
【文献】 特開2014−223587(JP,A)
【文献】 特開2000−140635(JP,A)
【文献】 特開2003−117395(JP,A)
【文献】 特開平07−289903(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01G 25/00− 47/00
C01G 49/10− 99/00
B01J 21/00− 38/74
JSTPlus(JDreamIII)
JST7580(JDreamIII)
JSTChina(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ランタン、コバルト及びアルミニウムを含むLa−Co−Al系複合酸化物からなる酸素貯蔵材料であって、
前記La−Co−Al系複合酸化物が、ペロブスカイト型構造を有するLa−Co複合酸化物に前記アルミニウムの少なくとも一部が固溶した形態となっており、かつ、以下の化学式(1):
LaCoAlδ (1)
(化学式(1)中、x及びyはそれぞれ、0<x<1、0<y<1、x+y=0.5〜1.5の条件を満たす数であり、δは1.5〜4.5の数である。)
で表される組成を有していることを特徴とする酸素貯蔵材料。
【請求項2】
前記化学式(1)中、x及びyはそれぞれ、x=0.1〜0.5、y=0.5〜0.9、x+y=1の条件を満たす数であり、δは3であることを特徴とする請求項1に記載の酸素貯蔵材料。
【請求項3】
前記La−Co複合酸化物に前記アルミニウムの90at%以上が固溶していることを特徴とする請求項1又は2に記載の酸素貯蔵材料。
【請求項4】
前記La−Co−Al系複合酸化物が、下記式(2):
t=(r+r)/{21/2×(r+r)} (2)
(式(2)中、tはトレランスファクター、rはLaのイオン半径、rはCo及びAlのイオン半径の相加平均、rは酸化物イオン(O2−)のイオン半径である。)
で定義されるトレランスファクター(t)が0.975〜1.007の範囲内にある、ペロブスカイト型構造を有する複合酸化物であることを特徴とする請求項1〜3のうちのいずれか一項に記載の酸素貯蔵材料。
【請求項5】
原料金属塩としてのランタン塩、コバルト塩及びアルミニウム塩と、ヒドロキシカルボン酸と、グリコールとを含む溶液中で金属ヒドロキシカルボン酸錯体を形成させる工程と、
前記溶液中でエステル化反応により前記金属ヒドロキシカルボン酸錯体が分散した高分子ゲルを形成させる工程と、
前記高分子ゲルを熱分解せしめて金属酸化物前駆体を得る工程と、
前記金属酸化物前駆体を焼成せしめて請求項1〜4のうちのいずれか一項に記載の前記La−Co−Al系複合酸化物からなる酸素貯蔵材料を得る工程と、
を含むことを特徴とする酸素貯蔵材料の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、酸素貯蔵材料及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車エンジンなどの内燃機関から排出される排ガス中の一酸化炭素(CO)及び炭化水素(HC)を酸化すると同時に、窒素酸化物(NOx)を還元できる排ガス浄化触媒としていわゆる三元触媒が知られている。
【0003】
そして、排ガス浄化触媒を用いて排ガスを浄化するにあたって、排ガス中の酸素濃度の変動を吸収して排ガス浄化能力を高めるために、排ガス中の酸素濃度が高いときに酸素を吸蔵でき、排ガス中の酸素濃度が低いときに酸素を放出できる酸素貯蔵能(Oxygen Storage Capacity(OSC))を有する材料を、排ガス浄化触媒の担体や助触媒として用いることが知られている。
【0004】
このようなOSCを有する酸素貯蔵材料としては、従来からセリアが好適に用いられてきたが、近年では、セリアや他のランタノイド元素などを含有する様々な種類の複合酸化物が開発されている。例えば、特開2000−42368号公報(特許文献1)には、室温から200℃の温度域で排気ガス中から酸素を選択的に分離・吸着する酸素貯蔵能を有しかつ200℃〜400℃の温度域で酸素放出能を有する酸素吸着材を含有する触媒として、次の組成式:[A][B]O(式中、AはLa、Sr、Ba、Pb、Nd及びCeからなる群より選ばれた一種以上の元素、BはAl、Ti、Cr、Mn、Co、Fe及びNiからなる群より選ばれた一種以上の元素、Oは酸素を示し、yは各元素の原子価を満足するのに必要な酸素原子数を示す。)で表されるペロブスカイト型構造の複合酸化物を含有するものが開示されている。
【0005】
しかしながら、近年は、排ガス浄化用触媒に対する要求特性が益々高まっており、本発明者らの知見によれば、約400℃という比較的低温において酸素貯蔵能(OSC)を有していることに加えて優れた酸素放出速度を発揮することができ、かつ、約600℃〜約1000℃という高温条件下においても安定している耐熱性にも優れている酸素貯蔵材料が求められるようになっており、前記特許文献1に記載のような従来の酸素貯蔵材料では必ずしも十分なものではなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−42368号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、前記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、約400℃という比較的低温においても優れた酸素放出速度を発揮することができ、かつ、約600℃〜約1000℃という高温条件下における熱分解が十分に抑制されており耐熱性にも優れている酸素貯蔵材料、並びに、そのような酸素貯蔵材料を効率良くかつ確実に得ることが可能な製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、ペロブスカイト型構造を有するLa−Co複合酸化物にアルミニウムを固溶させて所定の組成を有するLa−Co−Al系複合酸化物とすることによって、約400℃という比較的低温においても優れた酸素放出速度を発揮することができ、かつ、約600℃〜約1000℃という高温条件下における熱分解が十分に抑制されており耐熱性にも優れている酸素貯蔵材料が得られるようになることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明の酸素貯蔵材料は、ランタン、コバルト及びアルミニウムを含むLa−Co−Al系複合酸化物からなる酸素貯蔵材料であって、
前記La−Co−Al系複合酸化物が、ペロブスカイト型構造を有するLa−Co複合酸化物に前記アルミニウムの少なくとも一部が固溶した形態となっており、かつ、以下の化学式(1):
LaCoAlδ (1)
(化学式(1)中、x及びyはそれぞれ、0<x<1、0<y<1、x+y=0.5〜1.5の条件を満たす数であり、δは1.5〜4.5の数である。)
で表される組成を有していることを特徴とするものである。
【0010】
また、本発明の酸素貯蔵材料の製造方法は、
原料金属塩としてのランタン塩、コバルト塩及びアルミニウム塩と、ヒドロキシカルボン酸と、グリコールとを含む溶液中で金属ヒドロキシカルボン酸錯体を形成させる工程と、
前記溶液中でエステル化反応により前記金属ヒドロキシカルボン酸錯体が分散した高分子ゲルを形成させる工程と、
前記高分子ゲルを熱分解せしめて金属酸化物前駆体を得る工程と、
前記金属酸化物前駆体を焼成せしめて前記La−Co−Al系複合酸化物からなる本発明の酸素貯蔵材料を得る工程と、
を含むことを特徴とする方法である。
【0011】
本発明の酸素貯蔵材料及びその製造方法においては、前記化学式(1)中、x及びyはそれぞれ、x=0.1〜0.5、y=0.5〜0.9、x+y=1の条件を満たす数であることが好ましく、また、δは3であることが好ましい。
【0012】
また、本発明の酸素貯蔵材料及びその製造方法においては、前記La−Co複合酸化物に前記アルミニウムの90at%以上が固溶していることが好ましい。
【0013】
さらに、本発明の酸素貯蔵材料及びその製造方法においては、前記La−Co−Al系複合酸化物が、下記式(2):
t=(r+r)/{21/2×(r+r)} (2)
(式(2)中、tはトレランスファクター、rはLaのイオン半径、rはCo及びAlのイオン半径の相加平均、rは酸化物イオン(O2−)のイオン半径である。)
で定義されるトレランスファクター(t)が0.975〜1.007の範囲内にある、ペロブスカイト型構造を有する複合酸化物であることが好ましい。
【0014】
なお、このような本発明の酸素貯蔵材料によって、約400℃という比較的低温においても優れた酸素放出速度が発揮されるようになると共に、約600℃〜約1000℃という高温条件下における熱分解が十分に抑制されて高い耐熱性を有するものとなる理由は必ずしも定かではないが、本発明者らは以下のように推察する。すなわち、本発明の酸素貯蔵材料を構成する前記La−Co−Al系複合酸化物においては、ペロブスカイト型構造を有するLa−Co複合酸化物にアルミニウムが固溶することによってペロブスカイト構造の歪が緩和され、ペロブスカイト相が安定化するため、約600℃〜約1000℃という高温条件下における熱分解が十分に抑制されるようになると本発明者らは推察する。さらに、本発明の酸素貯蔵材料においては、ペロブスカイト型構造を有するLa−Co複合酸化物にアルミニウムが固溶することによって、酸素放出の際の活性化エネルギーが低下するため、約400℃という比較的低温においても優れた酸素放出速度が発揮されるようになると本発明者らは推察する。
【0015】
また、本発明の酸素貯蔵材料の製造方法によれば、前述の本発明の酸素貯蔵材料を効率良くかつ確実に得ることが可能となるが、その理由について本発明者らは以下のように推察する。すなわち、本発明の酸素貯蔵材料の製造方法はいわゆる錯体重合法により前記La−Co−Al系複合酸化物を得る方法であり、先ず、原料金属塩としてのランタン塩、コバルト塩及びアルミニウム塩と、ヒドロキシカルボン酸と、グリコールとを含む溶液中で金属ヒドロキシカルボン酸錯体(ランタン、コバルト及びアルミニウムを含有するヒドロキシカルボン酸錯体)が形成される。次いで、前記溶液中でヒドロキシカルボン酸とグリコールとのエステル化反応により前記金属ヒドロキシカルボン酸錯体が分散した高分子ゲルが形成され、さらにそのようにして形成された高分子ゲルを熱分解せしめることにより、金属元素(ランタン、コバルト及びアルミニウム)が均一分散した金属酸化物前駆体が得られる。そして、そのような金属酸化物前駆体を焼成せしめることにより、ペロブスカイト型構造を有するLa−Co複合酸化物にアルミニウムが十分に固溶した形態となっているペロブスカイト相が単相として得られるようになると本発明者らは推察する。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、約400℃という比較的低温においても優れた酸素放出速度を発揮することができ、かつ、約600℃〜約1000℃という高温条件下における熱分解が十分に抑制されており耐熱性にも優れている酸素貯蔵材料、並びに、そのような酸素貯蔵材料を効率良くかつ確実に得ることが可能な製造方法を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】実施例1〜4及び比較例1〜2で得られた複合酸化物のX線回折パターンを示すグラフであり、(a)はXRDの全角パターン、(b)は2θ=32〜35°のパターンである。
図2】実施例1〜4及び比較例1〜2で得られた複合酸化物の格子定数の解析結果を示すグラフである。
図3】実施例2及び比較例1で得られた複合酸化物の耐熱性試験後のX線回折パターンを示すグラフである。
図4】実施例1〜4及び比較例1〜2で得られた複合酸化物の400℃における酸素吸放出量(OSC)を示すグラフである。
図5】実施例1〜4及び比較例1〜2で得られた複合酸化物の400℃における酸素放出速度(O放出速度)を示すグラフである。
図6】実施例1〜4及び比較例1〜2で得られた複合酸化物のトレランスファクターを示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明をその好適な実施形態に即して詳細に説明する。
【0019】
先ず、本発明の酸素貯蔵材料について説明する。すなわち、本発明の酸素貯蔵材料は、ランタン、コバルト及びアルミニウムを含むLa−Co−Al系複合酸化物からなる酸素貯蔵材料であって、
前記La−Co−Al系複合酸化物が、ペロブスカイト型構造を有するLa−Co複合酸化物に前記アルミニウムの少なくとも一部が固溶した形態となっており、かつ、以下の化学式(1):
LaCoAlδ (1)
(化学式(1)中、x及びyはそれぞれ、0<x<1、0<y<1、x+y=0.5〜1.5の条件を満たす数であり、δは1.5〜4.5の数である。)
で表される組成を有していることを特徴とするものである。
【0020】
本発明にかかるLa−Co−Al系複合酸化物は、ランタン(La)、コバルト(Co)及びアルミニウム(Al)を含む複合酸化物であり、ペロブスカイト型構造を有するLa−Co複合酸化物に前記アルミニウムの少なくとも一部が固溶した形態となってる。La−Co複合酸化物は基本的にペロブスカイト型構造を有しているが、そのようなLa−Co複合酸化物のままでは、比較的低温では優れた酸素貯蔵能(OSC)を有しているものの耐熱性が低く、さらに酸素放出速度も十分なものではない。また、La−Co複合酸化物に単にアルミナを添加(例えば、物理混合)しても、耐熱性の向上や酸素放出速度の向上には寄与しない。それに対して、本発明にかかるLa−Co−Al系複合酸化物においては、ペロブスカイト型構造を有するLa−Co複合酸化物にアルミニウムの少なくとも一部が固溶した形態となっており、そのようなペロブスカイト型構造が維持された状態でCoサイトの一部がAlに置き換わることによって、ペロブスカイト構造の歪が緩和されてペロブスカイト相が安定化することによって耐熱性が向上すると共に、酸素放出の際の活性化エネルギーが低下することによって酸素放出速度が向上すると本発明者らは推察している。
【0021】
なお、La−Co複合酸化物におけるペロブスカイト型構造の空間群は一般的にR−3cであり、このようなペロブスカイト型構造の空間群を仮定した場合にベガード則に従ってアルミニウムの固溶量の増加に伴って格子定数変化が直線性を示すことによって、ペロブスカイト型構造を有するLa−Co複合酸化物にアルミニウムが固溶して固溶相が形成されていることを確認することができる。
【0022】
本発明の酸素貯蔵材料においては、前記アルミニウムのうちの少なくとも一部が前記La−Co複合酸化物に固溶していればよいが、酸素放出速度及び耐熱性がより向上するという観点から、前記La−Co複合酸化物に前記アルミニウムの90at%以上が固溶していることが好ましく、95at%以上が固溶していることが特に好ましい。なお、このように前記La−Co複合酸化物に前記アルミニウムの90at%以上(特に好ましくは95at%以上)が固溶していることは、後述するX線回折(XRD)測定において、固溶していないアルミナ(Al)に相当するピーク(CuKαを用いたX線回折パターンの2θ角が35.2°、57.5°に現れるピーク)の存在が認められない、すなわち固溶していないアルミナの量が検出限界以下となっていることによって確認することができる。なお、このようなX線回折(XRD)測定としては、測定装置として理学電機社製の商品名「RINT−Ultima」を用いて、CuKα線を用い、40KV、40mA、2θ=5°/minの条件で測定する方法を採用することができる。また、回折線の「ピーク」とは、ベースラインからピークトップまでの高さが30cps以上のものをいう。
【0023】
このような本発明にかかるLa−Co−Al系複合酸化物の組成は、以下の化学式(1):
LaCoAlδ (1)
(化学式(1)中、x及びyはそれぞれ、0<x<1、0<y<1、x+y=0.5〜1.5の条件を満たす数であり、δは1.5〜4.5の数である。)
で表される組成を有するものである。Alの含有量(x)が0(ゼロ)では、前述の通り、比較的低温では優れた酸素貯蔵能(OSC)を有しているものの耐熱性が低く、さらに酸素放出速度も十分なものではない。また、Coの含有量(y)が0(ゼロ)では、OSCが得られなくなる。さらに、Al及びCoの合計含有量(x+y)が前記下限未満では十分なOSCが得られなくなり、他方、前記上限を超えると単相として得ることができなくなる。また、酸素放出速度及び耐熱性がより向上するという観点から、xは、より好ましくは0.1〜0.5であり、yは、より好ましくは0.5〜0.9であり、x+yは、より好ましくは1である。
【0024】
また、化学式(1)中のδは酸素原子(O)の組成であって、含まれる元素の量と価数から算出することによって1.5〜4.5の範囲内で変動するが、δは、2〜4であることが好ましく、3であることが特に好ましい。
【0025】
本発明にかかるLa−Co−Al系複合酸化物においては、前述の通り、ペロブスカイト型構造を有するLa−Co複合酸化物にアルミニウムが固溶することによってペロブスカイト構造の歪が緩和されることから、ペロブスカイト構造の歪に関する下記式(2):
t=(r+r)/{21/2×(r+r)} (2)
(式(2)中、tはトレランスファクター、rはLaのイオン半径(1.36Å)、rはCoのイオン半径(0.61Å)及びAlのイオン半径(0.535Å)の相加平均、rは酸化物イオン(O2−)のイオン半径(1.4Å)である。)
で定義されるトレランスファクター(t)が0.975〜1.007の範囲内にあることが好ましく、0.977〜0.990の範囲内にあることが特に好ましい。前記トレランスファクター(t)が前記下限未満ではペロブスカイト構造の安定性が低下して酸素放出速度及び耐熱性の向上が十分に得られにくくなる傾向にあり、他方、前記上限を超えても同様にペロブスカイト構造の安定性が低下して酸素放出速度及び耐熱性の向上が十分に得られにくくなる傾向にある。
【0026】
また、本発明にかかるLa−Co−Al系複合酸化物の比表面積は、特に制限されるものではないが、2〜20m/gであることが好ましい。このような比表面積が前記下限未満では十分なOSCが得られにくくなる傾向にあり、他方、前記上限を超えると十分な耐熱性が得られにくくなる傾向にある。なお、このような比表面積は吸着等温線からBET等温吸着式を用いてBET比表面積として算出することができ、例えば、市販の全自動比表面積測定装置(マイクロデータ社製、マイクロソープ MODEL−4232)を用いて得ることができる。
【0027】
さらに、本発明にかかるLa−Co−Al系複合酸化物の平均結晶子径は、特に制限されるものではないが、20〜200nmであることが好ましい。このような平均結晶子径が前記下限未満では十分な耐熱性が得られにくくなる傾向にあり、他方、前記上限を超えると十分なOSCが得られにくくなる傾向にある。なお、このような平均結晶子径は、X線回折測定により得られるCuKαを用いたX線回折パターンから市販の解析ソフト(例えば、リートベルト解析ソフト「Jana2006」)を用いて算出することができる。
【0028】
また、本発明にかかるLa−Co−Al系複合酸化物においては、ランタン以外の希土類元素及びアルカリ土類元素からなる群から選択される少なくとも一種の元素を更に含有していてもよい。このような元素を含有させることで、本発明にかかるLa−Co−Al系複合酸化物を排ガス浄化用触媒の担体として用いた場合に、より高い排ガス浄化能が発揮される傾向にある。このようなランタン以外の希土類元素としては、セリウム(Ce)、スカンジウム(Sc)、イットリウム(Y)、プラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)、サマリウム(Sm)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、イッテルビウム(Yb)、ルテチウム(Lu)などが挙げられ、中でも、貴金属を担持させた際に、貴金属との相互作用が強くなり、親和性が大きくなる傾向にあるという観点から、Ce、Nd、Pr、Y、Scが好ましく、Ce、Y、Ndがより好ましい。また、アルカリ土類金属元素としては、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、バリウム(Ba)、ラジウム(Ra)が挙げられ、中でも、貴金属を担持させた際に、貴金属との相互作用が強くなり、親和性が大きくなる傾向にあるという観点から、Mg、Ca、Baが好ましい。このような電気陰性度の低いランタン以外の希土類元素及びアルカリ土類金属元素は、貴金属との相互作用が強いため、酸化雰囲気において酸素を介して貴金属と結合し、貴金属の蒸散やシンタリングを抑制し、排ガス浄化の際の活性点である貴金属の劣化を十分に抑制することができる傾向にある。
【0029】
さらに、ランタン以外の希土類元素及びアルカリ土類元素からなる群から選択される少なくとも一種の元素を更に含有する場合においては、前記元素の含有量が、La−Co−Al系複合酸化物中に1〜20質量%であることが好ましく、3〜10質量%であることがより好ましい。このような元素の含有量が前記下限未満では、得られた複合酸化物に貴金属を担持させた場合に、貴金属との相互作用を十分に向上させることが困難となる傾向にあり、他方、前記上限を超えると、酸素貯蔵能が低下してしまう傾向にある。
【0030】
本発明の酸素貯蔵材料は、前記La−Co−Al系複合酸化物からなるものであり、約400℃という比較的低温においても優れた酸素放出速度を発揮することができ、かつ、約600℃〜約1000℃という高温条件下における熱分解が十分に抑制されており耐熱性にも優れている。そのため、本発明の酸素貯蔵材料は、排ガス浄化触媒の担体や助触媒として好適に用いられる。このような本発明の酸素貯蔵材料を用いた好適な例としては、前記本発明の酸素貯蔵材料からなる担体と、前記担体に担持された貴金属とからなる排ガス浄化用触媒が挙げられる。このような貴金属としては、白金、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、金、銀等が挙げられる。また、他の例としては、他の触媒担体微粒子に貴金属が担持された排ガス浄化触媒の周囲に、前記本発明の酸素貯蔵材料を配置してなるものが挙げられる。
【0031】
次に、前記本発明の酸素貯蔵材料を製造するための方法について説明する。
【0032】
前述の本発明にかかるLa−Co−Al系複合酸化物を製造する方法は、特に制限されるものではなく、いわゆる共沈法、逆共沈法、固相合成法、水熱合成法といった周知の手法により本発明にかかるLa−Co−Al系複合酸化物を得ることが可能であるが、酸素放出速度及び耐熱性がより向上した酸素貯蔵材料が得られる傾向にあるという観点から、以下に説明するいわゆる錯体重合法による本発明の酸素貯蔵材料の製造方法を採用することが好ましい。
【0033】
本発明の酸素貯蔵材料の製造方法は、
原料金属塩としてのランタン塩、コバルト塩及びアルミニウム塩と、ヒドロキシカルボン酸と、グリコールとを含む溶液中で金属ヒドロキシカルボン酸錯体を形成させる工程(錯体形成工程)と、
前記溶液中でエステル化反応により前記金属ヒドロキシカルボン酸錯体が分散した高分子ゲルを形成させる工程(高分子ゲル形成工程)と、
前記高分子ゲルを熱分解せしめて金属酸化物前駆体を得る工程(前駆体形成工程)と、
前記金属酸化物前駆体を焼成せしめて前記La−Co−Al系複合酸化物からなる本発明の酸素貯蔵材料を得る工程(焼成工程)と、
を含むことを特徴とする方法である。
【0034】
原料金属塩として用いるランタン塩、コバルト塩及びアルミニウム塩としては、ランタン、コバルト及びアルミニウムのそれぞれの硝酸塩、塩化物、硫酸塩、酢酸塩などが挙げられる。また、ヒドロキシカルボン酸としては、クエン酸、イソクエン酸などが挙げられる。さらに、グリコールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコールなどが挙げられる。
【0035】
本発明の製造方法においては、先ず、前記錯体形成工程において、前記原料金属塩とヒドロキシカルボン酸とグリコールとを含む溶液中で金属ヒドロキシカルボン酸錯体(ランタン、コバルト及びアルミニウムを含有するヒドロキシカルボン酸錯体)が形成される。その際、目的とするLa−Co−Al系複合酸化物の組成(ターゲット組成)に応じて金属原子が化学量論比となるように前記原料金属塩を混合することが好ましい。また、前記溶液中のヒドロキシカルボン酸の量は、溶液中の全カチオン量(金属イオンの総量)に対して4〜8当量となる量であることが好ましい。さらに、前記溶液の溶媒はグリコールのみでもよいが、前記原料金属塩を最少量に近い量(好ましくは最少量の1〜2倍程度)の純水に予め溶解させておいた後にヒドロキシカルボン酸及びグリコールとの溶液を得るようにしてもよい。
【0036】
次いで、前記高分子ゲル形成工程において、前記溶液中でヒドロキシカルボン酸のカルボキシル基とグリコールのヒドロキシル基との間でエステル化反応を連鎖的に進行させることにより、前記金属ヒドロキシカルボン酸錯体が分散した高分子ゲルが形成される。このような高分子ゲル形成工程における熱処理(エステル化処理)の温度及び時間は、特に制限されないが、100〜200℃の温度範囲で5〜60分程度であることが好ましい。
【0037】
続いて、前記前駆体形成工程において、前記高分子ゲルを熱分解せしめることにより、金属元素(ランタン、コバルト及びアルミニウム)が均一分散した金属酸化物前駆体が得られる。このような前駆体形成工程における熱処理の温度及び時間は、特に制限されないが、300〜500℃の温度範囲で1〜5時間程度であることが好ましい。さらに、熱処理の際の雰囲気は、特に制限されず、大気中であってもよいが、アルゴン、窒素、ヘリウムなどの不活性雰囲気であってもよい。
【0038】
そして、前記焼成工程において、前記金属酸化物前駆体を焼成せしめることにより、前述の本発明にかかるLa−Co−Al系複合酸化物が単相として得られる。このような焼成工程における焼成温度及び時間は、特に制限されないが、600〜900℃の温度範囲で1〜10時間程度であることが好ましい。さらに、焼成処理の際の雰囲気は、特に制限されず、大気中であってもよいが、アルゴン、窒素、ヘリウムなどの不活性雰囲気であってもよい。
【実施例】
【0039】
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0040】
試薬としては以下のものを用いた。
(1)ランタン硝酸塩:La(NO・6HO(純度99.9%、和光純薬工業社製)
(2)コバルト硝酸塩:Co(NO・6HO(純度99.9%、和光純薬工業社製)
(3)アルミニウム硝酸塩:Al(NO・9HO(純度98%、和光純薬工業社製)
(4)クエン酸(純度98%、和光純薬工業社製)
(5)エチレングリコール(純度99%、和光純薬工業社製)。
【0041】
(実施例1)
ターゲット組成をLaCo0.8Al0.2(組成式:LaCo1−xAl中のx=0.2)として以下のようにして錯体重合法により前記組成を有するLa−Co−Al複合酸化物を得た。
【0042】
すなわち、先ず、前記ターゲット組成となるように化学量論比のランタン硝酸塩とコバルト硝酸塩とアルミニウム硝酸塩とを表1に示す仕込み量で表1に示す最少量の純水に常温下にて溶解し、溶液が透明になったことを確認した後、全カチオン量に対して6当量に相当する表1に示す量のクエン酸と表1に示す量のエチレングリコールとを溶解して混合し、金属クエン酸錯体を含有する溶液を得た。次に、前記金属クエン酸錯体を含有する溶液を150℃に加熱して30分間維持し、前記金属クエン酸錯体が分散した高分子ゲルを得た。次いで、得られた高分子ゲルをアルミナ坩堝に移し、脱脂炉にて400℃で2時間大気中で熱処理し、前記高分子ゲルを熱分解せしめることにより、金属元素(ランタン、コバルト及びアルミニウム)が均一分散した金属酸化物前駆体を得た。そして、得られた金属酸化物前駆体を電気炉に移し、800℃で5時間大気中で焼成することにより、前記組成を有するLa−Co−Al複合酸化物の多結晶の粉末を得た。得られた粉末の平均粒子径は約5μmであった。
【0043】
(実施例2〜4)
ターゲット組成を、それぞれ、
実施例2:LaCo0.6Al0.4(組成式:LaCo1−xAl中のx=0.4)
実施例3:LaCo0.4Al0.6(組成式:LaCo1−xAl中のx=0.6)
実施例4:LaCo0.2Al0.8(組成式:LaCo1−xAl中のx=0.8)
とし、各試薬の量を表1に示す量としたこと以外は実施例1と同様にして前記組成を有するLa−Co−Al複合酸化物の粉末を得た。
【0044】
(比較例1)
ターゲット組成をLaCoO(組成式:LaCo1−xAl中のx=0)とし、各試薬の量を表1に示す量としたこと以外は実施例1と同様にして前記組成を有するLa−Co複合酸化物の粉末を得た。
【0045】
(比較例2)
ターゲット組成をLaAlO(組成式:LaCo1−xAl中のx=1)とし、各試薬の量を表1に示す量としたこと以外は実施例1と同様にして前記組成を有するLa−Al複合酸化物の粉末を得た。
【0046】
(比較例3)
LaとCoとAlの原子比(La:Co:Al)が1:1:0となるように、La粉末(和光純薬工業社製、平均粒子径:3μm)1.00gとCoO粉末(和光純薬工業社製、平均粒子径:5μm)0.46gとをメノウ乳鉢を用いて物理混合してLaとCoOとの混合粉末を得た。
【0047】
(比較例4)
LaとCoとAlの原子比(La:Co:Al)が1:1:0.2となるように、比較例1で得られたLaCoO粉末1.00gとAl粉末(和光純薬工業社製、平均粒子径:2μm)0.0415gとをメノウ乳鉢を用いて物理混合してLaCoOとAlとの混合粉末を得た。
【0048】
【表1】
【0049】
<X線回折(XRD)測定>
実施例1〜4及び比較例1〜2で得られた複合酸化物の結晶相をX線回折法により測定した。なお、X線回折装置として理学電機社製の商品名「RINT−Ultima」を用いて、CuKα線を用い、40KV、40mA、2θ=5°/minの条件でX線回折パターンを測定した。
【0050】
得られたX線回折パターンを図1に示す。図1において、(a)はXRDの全角パターン、(b)は2θ=32〜35°のパターンである。
【0051】
また、得られたX線回折パターンから、リートベルト解析ソフト「Jana2006」を用いて格子定数(Cell volume[Å])の解析と平均結晶子径(Crystal size)を算出し、得られた結果を表2及び図2に示す。なお、図2は空間群がR−3cの場合の格子定数である。
【0052】
<比表面積の測定>
実施例1〜4及び比較例1〜2で得られた複合酸化物について、全自動比表面積測定装置(マイクロデータ社製、マイクロソープ MODEL−4232)を用いてBET1点法により比表面積(SSA)を測定した。得られた結果を表2に示す。
【0053】
【表2】
【0054】
<酸素吸放出量(OSC)及び酸素放出速度の測定>
実施例1〜4及び比較例1〜4で得られた複合酸化物について以下のようにして酸素吸放出量及び酸素放出速度を測定した。すなわち、測定装置として熱重量測定装置「TGA‐50」(島津製作所社製)を用い、試料粉末20mgに対して400℃の条件下においてリーンガス(O(5容量%)+N(残量))とリッチガス(H(5容量%)+N(残量))とを5分毎に交互に切り替えて流し、複合酸化物の質量上昇値の3回平均から酸素吸放出量及び酸素放出速度を求めた。得られた結果を表3、図4及び図5に示す。
【0055】
<耐熱性試験>
実施例2及び比較例1で得られた複合酸化物について、それぞれ、還元雰囲気(H(5容量%)+N(残量))中、800℃で5時間保持して耐熱性試験後の試料を得た。そして、耐熱性試験後の試料のX線回折パターンを、前記X線回折(XRD)測定と同様にX線回折法により測定した。得られたX線回折パターンを図3に示す。また、耐熱性試験後の試料の酸素吸放出量及び酸素放出速度を、前記酸素吸放出量(OSC)及び酸素放出速度の測定と同様に求めた。得られた結果を表3に示す。
【0056】
【表3】
【0057】
<トレランスファクター>
実施例1〜4及び比較例1〜2で得られた複合酸化物について、それぞれ、前述の式(2)で定義されるトレランスファクター(t)を求めた。得られた結果を表2及び図6に示す。
【0058】
<複合酸化物の評価結果>
図1に示した結果から明らかなように、実施例1〜4で得られた本発明のLa−Co−Al複合酸化物、比較例1で得られたLa−Co複合酸化物、比較例2で得られたLa−Al複合酸化物のいずれにおいても、ペロブスカイト構造を有する複合酸化物が単相として得られていることが確認された。
【0059】
また、図2に示した結果から明らかなように、実施例1〜4で得られた本発明のLa−Co−Al複合酸化物の格子定数は、ベガード則に従ってアルミニウムの固溶量の増加に伴って格子定数変化が直線性を示していることから、いずれのLa−Co−Al複合酸化物においても、ペロブスカイト型構造を有するLa−Co複合酸化物にアルミニウムが固溶して固溶相が形成された形態、すなわち、組成式:LaCo1−xAlで表される固溶体が形成されていることが確認された。
【0060】
さらに、実施例1〜4で得られた本発明のLa−Co−Al複合酸化物のいずれにおいても、X線回折(XRD)測定において固溶していないアルミナ(Al)に相当するピークの存在が認められなかったことから、固溶していないアルミナの量が検出限界以下となっていることが確認された。
【0061】
また、図4及び図5に示した結果から明らかなように、本発明のLa−Co−Al複合酸化物においては、ペロブスカイト型構造を有するLa−Co複合酸化物に前記組成式中のxが0.2〜0.4に相当する量のアルミニウムが固溶することによって酸素貯蔵能(OSC)及び酸素放出速度が顕著に向上していることが確認された。また、ペロブスカイト型構造を有するLa−Co複合酸化物に前記組成式中のxが0.6〜0.8に相当する量のアルミニウムが固溶すると、Co含有量の減少に伴って酸素貯蔵能(OSC)は減少する傾向にあるものの、酸素放出速度は優れていることが確認された。それに対して、比較例1で得られたLa−Co複合酸化物においては酸素放出速度が劣っており、また、比較例2で得られたLa−Al複合酸化物においてはOSCが得られなくなっており、さらに、比較例3で得られたLaとCoOとの混合粉末及び比較例4で得られたLaCoOとAlとの混合粉末においても酸素放出速度が劣っていることが確認された。このような結果から、本発明の酸素貯蔵材料においては、ペロブスカイト型構造を有するLa−Co複合酸化物にアルミニウムが固溶することによって、アルミニウム原子の置換により酸素が切れ易くなって酸素放出の際の活性化エネルギーが低下するため、約400℃という比較的低温においても優れた酸素放出速度が発揮されるようになると本発明者らは推察している。
【0062】
さらに、図3に示した結果から明らかなように、比較例1で得られたLa−Co複合酸化物においては、800℃の耐熱性試験により熱分解してLa相及びCo相の形成が確認されたが、実施例2で得られた本発明のLa−Co−Al複合酸化物においては、800℃の耐熱性試験でも熱分解せずにペロブスカイト型構造を有するLa−Co−Al複合酸化物の単相が保持されていることが確認された。さらに、表3に示した結果から明らかなように、比較例1で得られたLa−Co複合酸化物においては、800℃の耐熱性試験により酸素貯蔵能(OSC)及び酸素放出速度が大幅に減少することが確認されたが、実施例2で得られた本発明のLa−Co−Al複合酸化物においては、800℃の耐熱性試験により酸素貯蔵能(OSC)及び酸素放出速度は殆ど減少せずに優れたOSC及び酸素放出速度が維持されていることが確認された。このような結果から、本発明のLa−Co−Al複合酸化物は高い耐熱性を有していることが確認されたが、かかる耐熱性の向上は、ペロブスカイト型構造を有するLa−Co複合酸化物にアルミニウムが固溶することによってペロブスカイト構造の歪が緩和され、ペロブスカイト相が安定化されたことによるものと本発明者らは推察している。このような本発明者らの推察は、図6に示す通り、La−Co複合酸化物へのアルミニウムの固溶量の増加に伴ってトレランスファクター(t)が1に近付いていくことからも裏付けられる。
【産業上の利用可能性】
【0063】
以上説明したように、本発明によれば、約400℃という比較的低温においても優れた酸素放出速度を発揮することができ、かつ、約600℃〜約1000℃という高温条件下における熱分解が十分に抑制されており耐熱性にも優れている酸素貯蔵材料、並びに、そのような酸素貯蔵材料を効率良くかつ確実に得ることが可能な製造方法を提供することが可能となる。
【0064】
したがって、本発明の酸素貯蔵材料は、車両などの排ガス浄化用触媒の担体や助触媒、触媒雰囲気調整材などとして好適に利用されるものである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6