特許第6672750号(P6672750)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6672750
(24)【登録日】2020年3月9日
(45)【発行日】2020年3月25日
(54)【発明の名称】物体検出装置
(51)【国際特許分類】
   G01S 13/72 20060101AFI20200316BHJP
   G01S 13/931 20200101ALI20200316BHJP
   G08G 1/16 20060101ALI20200316BHJP
【FI】
   G01S13/72
   G01S13/93 220
   G08G1/16 A
【請求項の数】1
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2015-236623(P2015-236623)
(22)【出願日】2015年12月3日
(65)【公開番号】特開2017-102054(P2017-102054A)
(43)【公開日】2017年6月8日
【審査請求日】2018年6月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100187311
【弁理士】
【氏名又は名称】小飛山 悟史
(74)【代理人】
【識別番号】100161425
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 鉄平
(72)【発明者】
【氏名】松原 利之
(72)【発明者】
【氏名】近藤 瑛貴
【審査官】 安井 英己
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−347489(JP,A)
【文献】 特開2009−042999(JP,A)
【文献】 特開2014−160007(JP,A)
【文献】 特開2003−233900(JP,A)
【文献】 米国特許第09097800(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 7/00− 7/51,
G01S 13/00−13/95,
G01S 17/00−17/95,
G08G 1/00− 1/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両に搭載されたレーダセンサと、
前記レーダセンサの検出結果に基づいて、前記自車両周辺の第1物体及び第2物体を追跡する追跡部と、
前記追跡部で追跡している前記第2物体の領域の過去に辿った道筋である軌跡が、前記追跡部で追跡している前記第1物体の領域の一部と重なるとき、少なくとも当該重なり部分を当該第1物体の領域から除去する重なり除去部と、を備える、物体検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物体検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の物体検出装置として、例えば特許文献1には、自車両の周辺に電磁波を送信し、その反射波から自車両の周辺の物体を検出する装置が記載されている。特許文献1に記載された物体検出装置では、電磁波が反射した反射点同士の距離が所定範囲内となる反射点群が存在する実空間上の範囲を、自車両周辺の物体の領域としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−180300号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来技術では、物体(例えば、先行車両)と当該物体からの水しぶきや排気ガス等とを区別することが困難な場合がある。そのため、物体の領域を実際よりも大きく認識してしまう可能性がある。
【0005】
本発明は、物体の領域が実際よりも大きく認識されることを抑制できる物体検出装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る物体検出装置は、自車両に搭載されたレーダセンサと、レーダセンサの検出結果に基づいて、自車両周辺の第1物体及び第2物体を追跡する追跡部と、追跡部で追跡している第2物体の領域の軌跡が、追跡部で追跡している第1物体の領域の一部と重なるとき、少なくとも当該重なり部分を当該第1物体の領域から除去する重なり除去部と、を備える。
【0007】
ある物体が過去に存在した領域には、別の物体が存在する可能性が低いと判断できる。そこで、本発明に係る物体検出装置では、追跡している第2物体の領域の軌跡が、追跡している第1物体の領域の一部と重なるとき、当該重なり部分に第1物体が存在する可能性は低いと判断し、少なくとも当該重なり部分を第1物体の領域から除去する。これにより、第1物体の領域が実際よりも大きく認識されることを抑制できる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、物体の領域が実際よりも大きく認識されることを抑制できる物体検出装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態に係る物体検出装置の構成を示すブロック図である。
図2】(a)は、図1の重なり除去部の処理を説明する模式図である。(b)は、図1の重なり除去部の処理を説明する他の模式図である。
図3図1の重なり除去部による重なり除去処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて詳細に説明する。なお、以下の説明において、同一又は相当要素には同一符号を用い、重複する説明は省略する。
【0011】
図1は、実施形態に係る物体検出装置1の構成を示すブロック図である。図2は、図1の重なり除去部28の処理を説明する模式図である。図1に示すように、物体検出装置1は、自動車等の自車両V0に搭載されている。物体検出装置1は、自車両V0周辺の物体を検出する。物体検出装置1は、レーダセンサ10及びECU[Electronic Control Unit]20を備えている。物体検出装置1による検出結果は、例えば、自動運転等の運転支援又は走行支援に用いられる。
【0012】
物体は、障害物を含み、特に移動障害物(移動物)を含む。物体としては、歩行者、動物、自転車及び他車両等である。ここでの検出対象となる物体は、自車両V0の前方を走行する第1先行車両である第1物体V1、及び、自車両V0の前方を走行する第2先行車両である第2物体V2である(図2参照)。図2に示す例では、第2物体V2は、第1物体V1とっての先行車両でもある。なお、第1物体V1及び第2物体V2は、図2に示す例に限定されず、要は、第1物体V1は自車両V0周囲における2つの物体のうちの一方であり、第2物体V2は自車両V0周囲における2つの物体のうちの他方である。
【0013】
レーダセンサ10は、自車両V0の周囲に電磁波を送信し、当該電磁波の反射波を受信するセンサである。レーダセンサ10は、例えばレーザレーダ又はミリ波レーダである。レーザレーダは、光を自車両Vの周囲に送信し、物体で反射された光を受信することで反射点までの距離を計測する。ミリ波レーダは、ミリ波を自車両Vの周囲に送信し、物体で反射されたミリ波を受信する。レーダセンサ10は、検出結果をECU20へ送信する。
【0014】
ECU20は、CPU[Central ProcessingUnit]、ROM[Read OnlyMemory]、RAM[RandomAccess Memory]等を有する電子制御ユニットである。ECU20では、ROMに記憶されているプログラムをRAMにロードし、CPUで実行することで、各種の制御を実行する。ECU20は、複数の電子制御ユニットから構成されていてもよい。ECU20は、追跡部22、記憶部24、サイズ確定部26及び重なり除去部28を有する。
【0015】
追跡部22は、レーダセンサ10の検出結果に基づいて、自車両V0周辺の物体を追跡する。追跡部22は、自車両V0周辺に第1物体V1及び第2物体V2が存在する場合には、レーダセンサ10の検出結果に基づき第1物体V1及び第2物体V2を追跡する。
【0016】
追跡部22は、レーダセンサ10の検出結果をセグメント化し、第1物体V1及び第2物体V2の領域(セグメント)を認識する。具体的には、追跡部22は、レーダセンサ10における電磁波の送信タイミングから受信タイミングまでの時間をカウントする。追跡部22は、カウントした時間に基づいて、第1物体V1及び第2物体V2上の反射点までの距離を算出し、第1物体V1及び第2物体V2上での反射点を示す実空間ベクトルを算出する。追跡部22は、第1物体V1の実空間ベクトルとして算出された複数の反射点うち互いの距離が所定範囲内となる複数の反射点を、1つの反射点群として分類する。追跡部22は、第2物体V2の実空間ベクトルとして算出された複数の反射点うち互いの距離が所定範囲内となる複数の反射点を、1つの反射点群として分類する。そして追跡部22は、分類した反射点群の存在する実空間上の範囲を含む矩形領域を、第1物体V1及び第2物体V2の領域とする。なお、セグメント化の手法は特に限定されず、種々の公知の手法を用いることができる。認識する第1物体V1の領域及び第2物体V2の領域は、XY座標系における矩形領域とすることができる。
【0017】
追跡部22は、過去の処理周期で認識した第1物体V1及び第2物体V2に対して、現在の処理周期で認識した第1物体V1及び第2物体V2が同一か否かを判定する物体同一判定処理を実施する。物体同一判定処理では、記憶部24に蓄積された過去の処理周期における認識結果から、現在の処理周期における第1物体V1及び第2物体V2の領域を推定する。物体同一判定処理では、当該推定結果を現在の処理周期における認識結果と照らし、予め設定された同一判定条件を満たす場合には、過去の処理周期で認識した第1物体V1及び第2物体V2に対して現在の処理周期で認識した第1物体V1及び第2物体V2が同一と判定する。なお、物体同一判定処理の手法は特に限定されず、種々の公知の手法を用いることができる。
【0018】
追跡部22は、物体同一判定処理により同一と判定された場合、現在の処理周期で認識した第1物体V1の領域及び第2物体V2の領域を、過去の処理周期の認識結果に関連付けて時系列で、物体追跡情報として記憶部24に記憶する。以上により、追跡部22は、第1物体V1及び第2物体V2を追跡する。追跡部21における障害物の追跡手法は特に限定されず、公知の手法を用いることができる。
【0019】
記憶部24は、追跡部22で追跡している物体の領域を、物体追跡情報として記憶して蓄積する。記憶部24は、追跡部22で追跡している第1物体V1の各処理周期における領域を、互いに関連付けて時系列で記憶して蓄積する。記憶部24は、追跡部22で追跡している第2物体V2の各処理周期における領域を、互いに関連付けて時系列で記憶して蓄積する。
【0020】
サイズ確定部26は、記憶部24に蓄積されたデータに基づいて、物体の領域の大きさ(サイズ)を確定サイズとして確定する。具体的には、サイズ確定部26は、記憶部24に蓄積された第1物体V1及び第2物体V2の領域の大きさのそれぞれについて、確率的信頼度を求める。サイズ確定部26は、予め設定された所定信頼度よりも高い確率的信頼度を有する当該大きさが存在する場合、当該大きさを確定サイズとする。確率的信頼度は、複数のデータから確率的に得られる確からしさの度合であり、公知の手法を用いて算出できる。
【0021】
あるいは、サイズ確定部26は、記憶部24に蓄積された第1物体V1の領域のうち、データ数が所定数以上存在する領域の大きさを確定サイズとしてもよい。サイズ確定部26は、記憶部24に蓄積された第2物体V2の領域のうち、データ数が所定数以上存在する領域の大きさを確定サイズとしてもよい。サイズ確定部26における確定サイズの算出手法は特に限定されず、種々の手法を用いて確定サイズを算出してもよい。領域の大きさは、XY座標系におけるX方向及びY方向の大きさとすることができる。所定信頼度及び所定数は、サイズ確定部25において確定サイズを特定するために予め設定された閾値であり、その値は特に限定されず、固定値であってもよいし変動値であってもよい。
【0022】
重なり除去部28は、追跡部22により複数の物体を追跡している場合、これら複数の物体それぞれについて、重なり判定及びサイズ修正処理を含む重なり除去処理を実行する。重なり判定では、判定対象の物体の領域における一部が、当該物体とは異なる他の物体の領域における軌跡と重なっているか否かを判定する。サイズ修正処理では、重なり判定で重なっていると判定されとき、判定対象の物体の領域から少なくとも当該重なり部分を除去する。
【0023】
すなわち、図2(a)及び図2(b)に示すように、重なり除去部28は、追跡部22で追跡している第2物体V2の領域R2の軌跡R2Pが、追跡部22で追跡している第1物体V1の領域R1の一部と重なるか否かを判定する。第2物体V2の軌跡R2Pは、記憶部24に蓄積された第2物体V2の領域R2の履歴から、公知の手法により求められる。例えば第2物体V2の軌跡R2Pは、記憶部24に蓄積された第2物体V2の過去の領域R2を繋ぐように求められる。軌跡とは、過去に辿った(移り変わった)道筋である。軌跡とは、通った跡である。
【0024】
そして、重なり除去部28は、追跡部22で追跡している第2物体V2の領域R2の軌跡R2Pが、追跡部22で追跡している第1物体V1の領域R1の一部と重なるとき、少なくとも当該重なり部分OLを当該第1物体V1の領域R1から除去する。ここでは、重なり部分OLに対して横方向(車幅方向)の除去マージンMを加えた除去部分Zを、第1物体V1の領域R1から除去する。これにより、第1物体V1の修正領域R1Tを導出する。除去マージンMは、運転者が最低限確保するであろう横方向の車間距離である。なお、例えば重なり除去部28は、第1物体V1の修正領域R1Tを、過去の第1物体V1の領域R1と関連付けて時系列で記憶部24に記憶し、物体追跡情報を更新する。
【0025】
重なり除去部28は、物体の領域の大きさがサイズ確定部26で確定された確定サイズ以下の場合、その物体についての重なり除去処理を行わない。換言すると、重なり除去部28は、物体の領域の大きさが確定サイズよりも大きい場合、又は、物体の領域の大きさがサイズ確定部26で未確定の場合、その物体について重なり除去処理を行う。
【0026】
次に、重なり除去部28による重なり除去処理について、図3のフローチャートを参照しつつ具体的に説明する。以下の説明では、自車両V0周辺に第1物体V1及び第2物体V2が存在する場合において、第1物体V1に重なり除去処理を行う場合を例示して説明する。
【0027】
まず、記憶部24から、第1物体V1及び第2物体V2の物体追跡情報を取得する(S1)。続いて、物体追跡情報及びサイズ確定部26の処理結果に基づいて、第1物体V1の領域R1の大きさが確定サイズよりも大きいか否か、又は、第1物体V1の領域R1の大きさがサイズ確定部26で未確定か否かを判定する(S2)。
【0028】
上記S2でYesの場合、物体追跡情報に基づいて、第2物体V2の軌跡R2Pが第1物体V1の領域R1の一部と重なるか否かを判定する(S3)。上記S3でYesの場合、第2物体V2の軌跡R2Pと第1物体V1の領域R1の一部との重なり部分OLを計算する(S4)。上記S4における計算の手法として、種々の公知の演算手法を用いることができる。続いて、計算した重なり部分OLに基づいて、第1物体V1の領域R1を修正する(S5)。つまり、重なり部分OLに除去マージンMを加えた除去部分Zを、第1物体V1の領域R1から除去する。
【0029】
上記S2でNo、上記S3でNo又は上記S5の処理終了後、上記S1に戻り、処理を繰り返し実行する。なお、上述した重なり除去処理は、例えば自車両V0の自動運転開始又はイグニッションON等の所定の開始条件が満たされた場合に、開始される。一方、上述した重なり除去処理は、例えば自車両V0の自動運転終了又はイグニッションOFF等の所定の終了条件が満たされた場合に、終了される。
【0030】
ところで、レーダセンサ10を用いた物体検出を行う際、大気中の粉塵や水滴を観測する場合がある。そのため、レーダセンサ10を使用して、自車両V0周辺の他車両としての物体を検出する場合、当該物体が巻き上げた水しぶき3(図2参照)や粉塵を観測してしまい、物体との区別が行えず、物体の領域を実際よりも大きく誤認識してしまう可能性がある。
【0031】
ここで、ある物体が過去(特に、直近の過去)に存在した領域には、別の物体が存在する可能性が低いと判断できる。そこで、物体検出装置1では、追跡している第2物体V2の領域R2の軌跡R2Pが、追跡している第1物体V1の領域R1の一部と重なるとき、当該重なり部分OLに第1物体V1が存在する可能性は低いと判断し、当該重なり部分OLを含む除去部分Zを第1物体V1の領域R1から除去する。これにより、第1物体V1の領域R1が実際よりも大きく認識されることを抑制できる。
【0032】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されることなく様々な形態で実施される。
【0033】
上記実施形態では、重なり部分OLに除去マージンMを加えた除去部分Zを、第1物体V1の領域R1から除去したが、除去マージンMを加えずに、重なり部分OLのみを第1物体V1の領域R1から除去してもよい。要は、少なくとも重なり部分OLを第1物体V1の領域R1から除去すればよい。
【0034】
上記実施形態において、追跡部22、記憶部23、サイズ確定部26及び重なり除去部28の少なくとも何れかは、自車両V0と通信可能な情報処理センター等の施設のコンピュータにおいて実行されてもよい。
【符号の説明】
【0035】
1…物体検出装置、10…レーダセンサ、20…ECU、22…追跡部、24…記憶部、26…サイズ確定部、28…重なり除去部、OL…重なり部分、R1…第1物体の領域、R2…第2物体の領域、R2P…軌跡、V0…自車両、V1…第1物体、V2…第2物体。
図1
図2
図3