特許第6677001号(P6677001)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特許6677001画像形成装置、制御方法、および制御プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6677001
(24)【登録日】2020年3月17日
(45)【発行日】2020年4月8日
(54)【発明の名称】画像形成装置、制御方法、および制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/14 20060101AFI20200330BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20200330BHJP
【FI】
   G03G21/14
   G03G21/00 384
【請求項の数】11
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2016-24726(P2016-24726)
(22)【出願日】2016年2月12日
(65)【公開番号】特開2017-142434(P2017-142434A)
(43)【公開日】2017年8月17日
【審査請求日】2018年10月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】北村 一矢
(72)【発明者】
【氏名】万袋 裕介
(72)【発明者】
【氏名】中山 寛治
(72)【発明者】
【氏名】木村 誠人
【審査官】 松本 泰典
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−219238(JP,A)
【文献】 特開2003−098906(JP,A)
【文献】 特開2012−022057(JP,A)
【文献】 特開2007−052211(JP,A)
【文献】 特開2010−224395(JP,A)
【文献】 特開2012−013718(JP,A)
【文献】 特開2012−083588(JP,A)
【文献】 特開2014−113752(JP,A)
【文献】 特開2013−193387(JP,A)
【文献】 特開2001−194909(JP,A)
【文献】 特開2008−268287(JP,A)
【文献】 特開2015−004731(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 21/14
G03G 21/00
G03G 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷機能を有する画像形成装置であって、
感光体と、
前記感光体に接触しており、前記感光体を帯電するための帯電ローラーと、
前記帯電ローラーによって帯電された前記感光体上に入力画像に応じた静電潜像を形成するための露光装置と、
前記感光体上に形成された前記静電潜像を現像するための現像装置と、
前記感光体の回転を制御するための制御装置とを備え、
印刷開始前における前記感光体の回転数は、デフォルト回転数として予め定められており、
前記制御装置は、前記入力画像において、画素値が所定範囲内に属する中間濃度部分を検知し、当該中間濃度部分の面積が所定値よりも小さい場合は、印刷開始前における前記感光体の回転を実行せず、当該中間濃度部分の面積が前記所定値以上である場合は、当該中間濃度部分の面積が少ないほど前記デフォルト回転数を下げる、画像形成装置。
【請求項2】
前記制御装置は、複数の入力画像の印刷指示を受け付けた場合、前記デフォルト回転数の分だけ前記感光体を仮に回転させた場合に印刷され得る入力画像のそれぞれについて前記中間濃度部分の面積を検知し、検知された面積の全てが前記所定値よりも小さい場合に、印刷開始前における前記感光体の回転を実行しない、請求項に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御装置は、前記中間濃度部分の面積が前記所定値よりも小さい入力画像が印刷1枚目から連続している場合、当該連続している入力画像を印刷するのに必要な前記感光体の回転数を算出し、前記デフォルト回転数から当該回転数を差分した分だけ印刷開始前における前記感光体の回転を実行する、請求項またはに記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記現像装置は、前記感光体上に形成された前記静電潜像をトナー像として現像し、
前記制御装置は、
前記トナー像から前記中間濃度部分に対応する像部分を特定し、
印刷開始前における前記感光体と前記帯電ローラーとの間のニップ部分の隣接領域が印刷開始後に前記像部分に当たるか否かを判断し、
前記像部分が前記隣接領域に当たらないと判断した場合には、印刷開始前における前記感光体の回転を実行しない、請求項1〜のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記制御装置は、前記像部分が前記隣接領域に当たると判断した場合には、前記像部分が前記隣接領域に当たらないように前記感光体を回転させた上で前記トナー像を前記感光体上に形成する、請求項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記制御装置は、前記入力画像における画素値が大きいほど、印刷開始前における前記感光体の回転数を少なくする、請求項1〜のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記制御装置は、前回の印刷が終了してから今回の印刷が開始されるまでの時間が短いほど、印刷開始前における前記感光体の回転数を少なくする、請求項1〜のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記制御装置は、過去一定期間の印刷枚数が少ないほど、印刷開始前における前記感光体の回転数を少なくする、請求項1〜のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記画像形成装置は、当該画像形成装置の内部の湿度を検知するためのセンサをさらに備え、
前記制御装置は、前記センサによって検知される湿度が小さいほど、印刷開始前における前記感光体の回転数を少なくする、請求項1〜のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項10】
印刷機能を有する画像形成装置の制御方法であって、
前記画像形成装置は、
感光体と、
前記感光体に接触しており、前記感光体を帯電するための帯電ローラーと、
前記帯電ローラーによって帯電された前記感光体上に入力画像に応じた静電潜像を形成するための露光装置と、
前記感光体上に形成された前記静電潜像を現像するための現像装置とを備え、
印刷開始前における前記感光体の回転数は、デフォルト回転数として予め定められており、
前記制御方法は、
前記入力画像において、画素値が所定範囲内に属する中間濃度部分を検知するステップと、
前記中間濃度部分の面積が所定値よりも小さい場合は、印刷開始前における前記感光体の回転を実行せず、当該中間濃度部分の面積が前記所定値以上である場合は、当該中間濃度部分の面積が少ないほど前記デフォルト回転数を下げるステップとを備える、制御方法。
【請求項11】
印刷機能を有する画像形成装置の制御プログラムであって、
前記画像形成装置は、
感光体と、
前記感光体に接触しており、前記感光体を帯電するための帯電ローラーと、
前記帯電ローラーによって帯電された前記感光体上に入力画像に応じた静電潜像を形成するための露光装置と、
前記感光体上に形成された前記静電潜像を現像するための現像装置とを備え、
印刷開始前における前記感光体の回転数は、デフォルト回転数として予め定められており、
前記制御プログラムは、前記画像形成装置に、
前記入力画像において、画素値が所定範囲内に属する中間濃度部分を検知するステップと、
前記中間濃度部分の面積が所定値よりも小さい場合は、印刷開始前における前記感光体の回転を実行せず、当該中間濃度部分の面積が前記所定値以上である場合は、当該中間濃度部分の面積が少ないほど前記デフォルト回転数を下げるステップとを実行させる、制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、画像形成装置の制御に関し、特に、電子写真方式の画像形成装置の制御に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置が普及している。電子写真方式の画像形成装置は、印刷工程として、感光体を一様に帯電させる工程と、感光体を露光して静電潜像を形成する工程と、感光体上の静電潜像をトナー像として現像する工程と、感光体上のトナー像を用紙に転写する工程とを実行する。
【0003】
感光体を帯電する工程は、帯電装置によって実現される。帯電装置には、帯電ローラーが設けられている。帯電ローラーは、感光体に接触しており、回転することにより感光体を一様に帯電させる。
【0004】
図15は、感光体10と、帯電ローラー12とを表わす図である。前回の印刷から長時間が経過すると、感光体10および帯電ローラー12のニップ部分Nに隣接するニップ隣接領域A,Bにおいて放電生成物が生じる。放電生成物は、吸湿性を有し、感光体上に対するトナーの吸着力を低下する。その結果、印刷された画像において、帯状のノイズが生じる。
【0005】
図16は、帯状のノイズが生じている画像60を示す図である。画像60の領域60Nは、感光体10のニップ部分Nに対応する部分である。画像60の領域60Aは、感光体10のニップ隣接領域Aに対応する部分である。画像60の領域60Bは、感光体10のニップ隣接領域Bに対応する部分である。放電物質が感光体10に生じた場合には、画像60に示されるように、領域60A,60Bにおいてトナーが付着しない。その結果、白色の帯状のノイズが領域60A,60Bに現れ、黒色の帯状のノイズが領域60Nに現れる。帯状のノイズは、特に、高温高湿下で顕著に表れる。
【0006】
帯状のノイズを抑制するための方法として、印刷開始前に感光体を回転する方法が知られている。以下では、印刷開始前に感光体を回転することを「空回転」ともいう。感光体が空回転することにより、感光体上の放電生成物が除去される。
【0007】
感光体の空回転に関し、特開2007−316141号公報(特許文献1)は、高温高湿下で空回転を実行する画像形成装置を開示している。より具体的には、当該画像形成装置は、温度および湿度を検知するセンサを有する。当該画像形成装置は、センサによって検知される温度および湿度が所定値以上である場合に、感光体の空回転を実行する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2007−316141号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1に開示される画像形成装置は、センサによって検知される温度および湿度が所定値以上である場合には、常に、感光体の空回転を実行する。感光体および帯電ローラーは接触しているため、感光体は、回転するにつれて摩耗していく。そのため、感光体が余分に空回転すると、感光体が摩耗するペースが速まり、感光体の寿命が短くなる。そのため、空回転による感光体の摩耗を抑制することが可能な画像形成装置が望まれている。このとき、印刷品質が低下しないことも望まれている。
【0010】
本開示は上述のような問題点を解決するためになされたものであって、ある局面における目的は、印刷品質の低下を抑えつつ感光体の摩耗を抑制することが可能な画像形成装置を提供することである。他の局面における目的は、印刷品質の低下を抑えつつ感光体の摩耗を抑制することが可能な制御方法を提供することである。さらに他の局面における目的は、印刷品質の低下を抑えつつ感光体の摩耗を抑制することが可能な制御プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
ある局面に従うと、印刷機能を有する画像形成装置は、感光体と、上記感光体に接触しており、上記感光体を帯電するための帯電ローラーと、上記帯電ローラーによって帯電された上記感光体上に入力画像に応じた静電潜像を形成するための露光装置と、上記感光体上に形成された上記静電潜像を現像するための現像装置と、上記感光体の回転を制御するための制御装置とを備える。上記制御装置は、上記入力画像において、画素値が所定範囲内に属する中間濃度部分を検知し、当該中間濃度部分の面積が少ないほど印刷開始前における上記感光体の回転数を少なくする。
【0012】
好ましくは、上記制御装置は、上記中間濃度部分の面積が所定値よりも小さい場合、印刷開始前における上記感光体の回転を実行しない。
【0013】
好ましくは、印刷開始前における上記感光体の回転数は、デフォルト回転数として予め定められている。上記制御装置は、上記中間濃度部分の面積が少ないほど上記デフォルト回転数を下げる。
【0014】
好ましくは、上記制御装置は、複数の入力画像の印刷指示を受け付けた場合、上記デフォルト回転数の分だけ上記感光体を仮に回転させた場合に印刷され得る入力画像のそれぞれについて上記中間濃度部分の面積を検知し、検知された面積の全てが上記所定値よりも小さい場合に、印刷開始前における上記感光体の回転を実行しない。
【0015】
好ましくは、上記制御装置は、上記中間濃度部分の面積が上記所定値よりも小さい入力画像が印刷1枚目から連続している場合、当該連続している入力画像を印刷するのに必要な上記感光体の回転数を算出し、上記デフォルト回転数から当該回転数を差分した分だけ印刷開始前における上記感光体の回転を実行する。
【0016】
好ましくは、上記現像装置は、上記感光体上に形成された上記静電潜像をトナー像として現像する。上記制御装置は、上記トナー像から上記中間濃度部分に対応する像部分を特定し、印刷開始前における上記感光体と上記帯電ローラーとの間のニップ部分の隣接領域が印刷開始後に上記像部分に当たるか否かを判断し、上記像部分が上記隣接領域に当たらないと判断した場合には、印刷開始前における上記感光体の回転を実行しない。
【0017】
好ましくは、上記制御装置は、上記像部分が上記隣接領域に当たると判断した場合には、上記像部分が上記隣接領域に当たらないように上記感光体を回転させた上で上記トナー像を上記感光体上に形成する。
【0018】
好ましくは、上記制御装置は、上記入力画像における画素値が大きいほど、印刷開始前における上記感光体の回転数を少なくする。
【0019】
好ましくは、上記制御装置は、前回の印刷が終了してから今回の印刷が開始されるまでの時間が短いほど、印刷開始前における上記感光体の回転数を少なくする。
【0020】
好ましくは、上記制御装置は、過去一定期間の印刷枚数が少ないほど、印刷開始前における上記感光体の回転数を少なくする。
【0021】
好ましくは、上記画像形成装置は、当該画像形成装置の内部の湿度を検知するためのセンサをさらに備える。上記制御装置は、上記センサによって検知される湿度が小さいほど、印刷開始前における上記感光体の回転数を少なくする。
【0022】
他の局面に従うと、印刷機能を有する画像形成装置の制御方法が提供される。上記画像形成装置は、感光体と、上記感光体に接触しており、上記感光体を帯電するための帯電ローラーと、上記帯電ローラーによって帯電された上記感光体上に入力画像に応じた静電潜像を形成するための露光装置と、上記感光体上に形成された上記静電潜像を現像するための現像装置とを備える。上記制御方法は、上記入力画像において、画素値が所定範囲内に属する中間濃度部分を検知するステップと、上記中間濃度部分の面積が少ないほど印刷開始前における上記感光体の回転数を少なくするステップとを備える。
【0023】
さらに他の局面に従うと、印刷機能を有する画像形成装置の制御プログラムが提供される。上記画像形成装置は、感光体と、上記感光体に接触しており、上記感光体を帯電するための帯電ローラーと、上記帯電ローラーによって帯電された上記感光体上に入力画像に応じた静電潜像を形成するための露光装置と、上記感光体上に形成された上記静電潜像を現像するための現像装置とを備える。上記制御プログラムは、上記画像形成装置に、上記入力画像において、画素値が所定範囲内に属する中間濃度部分を検知するステップと、上記中間濃度部分の面積が少ないほど印刷開始前における上記感光体の回転数を少なくするステップとを実行させる。
【発明の効果】
【0024】
ある局面において、印刷品質の低下を抑えつつ感光体の摩耗を抑制することができる。
本発明の上記および他の目的、特徴、局面および利点は、添付の図面と関連して理解される本発明に関する次の詳細な説明から明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】画像形成装置の内部構造の一例を示す図である。
図2】濃度が異なる3つの出力画像を示す図である。
図3】帯状のノイズを抑制するために必要な感光体の空回転数を調べるための実験結果を示す図である。
図4】画像形成装置が実行する処理を表わすフローチャートである。
図5】感光体の制御例1を説明するための図である。
図6】感光体の制御例2を説明するための図である。
図7】感光体の制御例2を表わすフローチャートである。
図8】感光体の制御例3を説明するための図である。
図9】感光体の制御例3を表わすフローチャートである。
図10】感光体の制御例4を説明するための図である。
図11】感光体の制御例5を説明するための図である。
図12】感光体の制御例6を説明するための図である。
図13】感光体の制御例7を説明するための図である。
図14】画像形成装置の主要なハードウェア構成を示すブロック図である。
図15】感光体と帯電ローラーとを表わす図である。
図16】帯状のノイズが生じている画像を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面を参照しつつ、本発明に従う各実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品および構成要素には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、これらについての詳細な説明は繰り返さない。なお、以下で説明される各実施の形態および各変形例は、適宜選択的に組み合わされてもよい。
【0027】
<第1の実施の形態>
[画像形成装置100の内部構造]
図1を参照して、実施形態に従う画像形成装置100について説明する。図1は、画像形成装置100の内部構造の一例を示す図である。
【0028】
図1には、カラープリンタとしての画像形成装置100が示されている。以下では、カラープリンタとしての画像形成装置100について説明するが、画像形成装置100は、カラープリンタに限定されない。たとえば、画像形成装置100は、モノクロプリンタであってもよいし、ファックスであってもよいし、モノクロプリンタ、カラープリンタおよびファックスの複合機(MFP:Multi-Functional Peripheral)であってもよい。
【0029】
画像形成装置100は、画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kと、中間転写ベルト30と、一次転写ローラー31と、二次転写ローラー33と、カセット37と、従動ローラー38と、駆動ローラー39と、タイミングローラー40と、クリーニング装置42と、定着装置50と、制御装置101とを備える。
【0030】
画像形成ユニット1Yは、トナーボトル15Yからトナーの供給を受けてイエロー(Y)のトナー像を感光体10に形成する。画像形成ユニット1Mは、トナーボトル15Mからトナーの供給を受けてマゼンタ(M)のトナー像を感光体10に形成する。画像形成ユニット1Cは、トナーボトル15Cからトナーの供給を受けてシアン(C)のトナー像を感光体10に形成する。画像形成ユニット1Kは、トナーボトル15Kからトナーの供給を受けてブラック(BK)のトナー像を感光体10に形成する。すなわち、感光体10は、特定の色のトナー像を形成するために設けられている。
【0031】
画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kは、それぞれ、中間転写ベルト30に沿って中間転写ベルト30の回転方向の順に配置されている。画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kは、それぞれ、回転可能な感光体10と、帯電装置11と、露光装置13と、現像装置14と、クリーニング装置17とを備える。
【0032】
帯電装置11は、感光体10の表面を所定電位に一様に帯電させる。帯電装置11による帯電方式として、たとえば、帯電ローラー方式が採用される。帯電装置11は、回転可能な帯電ローラー12を含む。帯電ローラー12は、感光体10に接触している。これにより、感光体10と帯電ローラー12との間にニップ部分Nが形成される。
【0033】
露光装置13は、制御装置101からの制御信号に応じて感光体10にレーザー光を照射し、入力された画像情報に従って感光体10の表面を露光する。すなわち、露光装置13は、帯電装置11によって帯電された感光体10上に入力画像の画像情報に応じた静電潜像を形成する。これにより、入力画像に応じた静電潜像が感光体10上に形成される。
【0034】
現像装置14は、感光体10上に形成された静電潜像をトナー像として現像する。より具体的には、現像装置14は、現像ローラー15を回転させながら、現像ローラー15に現像バイアスを印加し、現像ローラー15の表面にトナーを付着させる。これにより、トナーが現像ローラー15から感光体10に転写され、静電潜像に応じたトナー像が感光体10の表面に現像される。
【0035】
感光体10と中間転写ベルト30とは、一次転写ローラー31を設けている部分で互いに接触している。トナー像と反対極性の転写電圧が一次転写ローラー31に印加されることによって、トナー像が感光体10から中間転写ベルト30に転写される。イエロー(Y)のトナー像、マゼンタ(M)のトナー像、シアン(C)のトナー像、およびブラック(BK)のトナー像が順に重ねられて感光体10から中間転写ベルト30に転写される。これにより、カラーのトナー像が中間転写ベルト30上に形成される。
【0036】
中間転写ベルト30は、従動ローラー38と駆動ローラー39とに張架されている。駆動ローラー39はモーター(図示しない)に接続されている。制御装置101が当該モーターを制御することにより、駆動ローラー39は回転する。中間転写ベルト30および従動ローラー38は、駆動ローラー39に連動して回転する。これにより、中間転写ベルト30上のトナー像が二次転写ローラー33に搬送される。
【0037】
クリーニング装置17は、感光体10から中間転写ベルト30へのトナー像の転写後に感光体10の表面に残留するトナーを回収する。
【0038】
カセット37には、用紙Sがセットされる。用紙Sは、カセット37から1枚ずつタイミングローラー40によって搬送経路41に沿って二次転写ローラー33に送られる。制御装置101は、用紙Sが送り出されるタイミングに合わせて、二次転写ローラー33に印加する転写電圧を制御する。
【0039】
二次転写ローラー33は、トナー像と反対極性の転写電圧を搬送中の用紙Sに印加する。これにより、トナー像は、中間転写ベルト30から二次転写ローラー33に引き付けられ、中間転写ベルト30上のトナー像が転写される。二次転写ローラー33への用紙Sの搬送タイミングは、中間転写ベルト30上のトナー像の位置に合わせてタイミングローラー40によって制御される。その結果、中間転写ベルト30上のトナー像は、用紙Sの適切な位置に転写される。
【0040】
定着装置50は、自身を通過する用紙Sを加圧および加熱する。これにより、トナー像は用紙Sに定着する。その後、用紙Sは、トレー48に排紙される。
【0041】
クリーニング装置42は、中間転写ベルト30から用紙Sへのトナー像の転写後に中間転写ベルト30の表面に残留するトナーを回収する。回収されたトナーは、搬送スクリュー(図示しない)で搬送され、廃トナー容器(図示しない)に貯められる。
【0042】
[空回転の制御]
図2を参照して、感光体10の制御方法について説明する。以下では、印刷対象として画像形成装置100に入力された画像を「入力画像」ともいい、印刷結果としての出力される画像を「出力画像」ともいう。図2は、濃度が異なる3つの出力画像を示す図である。
【0043】
前回の印刷から長時間が経過すると、ニップ部分N(図1参照)に隣接するニップ隣接領域A,B(図1参照)において放電生成物が生じる。放電生成物が生じると、出力画像において、帯状のノイズが生じる。
【0044】
図2(A)には、出力画像61Aが示されている。出力画像61Aには、帯状のノイズが生じている。出力画像61Aの領域62Nは、感光体10のニップ部分Nに対応する部分である。出力画像61Aの領域62Aは、感光体10のニップ隣接領域Aに対応する部分である。出力画像61Aの領域62Bは、感光体10のニップ隣接領域Bに対応する部分である。放電物質が感光体10に生じた場合には、白色の帯状のノイズが領域62A,62Bに現れ、黒色の帯状のノイズが領域62Nに現れる。帯状のノイズは、感光体の10の円周Wごとに現れる。
【0045】
このような帯状のノイズは、感光体10を空回転することで解消される。ここでいう、空回転とは、感光体10にトナー像が形成される前における印刷開始前の感光体10の回転のことをいう。
【0046】
図2(B)には、出力画像61Bが示されている。出力画像61Bの濃度は、出力画像61Aよりも高い。出力画像61Bに示されるように、濃度が高くなると、帯状のノイズが生じていない。そのため、濃度が高い画像が印刷される場合には、感光体10の空回転が実行される必要はない。
【0047】
図2(C)には、出力画像61Cが示されている。出力画像61Cは、白色の画像である。出力画像61Cに示されるように、トナー像が形成されない場合には、帯状のノイズは生じない。そのため、白色の画像が印刷される場合には、感光体10の空回転が実行される必要はない。
【0048】
したがって、中間濃度部分が入力画像に多い場合には、空回転数が実行される必要はない。この点に着目して、画像形成装置100は、印刷対象の入力画像において、画素値が所定範囲(以下、「中間範囲」ともいう。)内に属する中間濃度部分を検知し、当該中間濃度部分の面積が少ないほど感光体10の空回転数を少なくする。これにより、画像形成装置100は、感光体10の空回転数を少なくすることができ、結果として、感光体10の寿命が延びる。また、中間濃度部分が少ない場合には帯状のノイズが発生しないので、感光体10の空回転の数が少なくなったとしても、印刷品質は低下しない。
【0049】
以下では、感光体10のより具体的な処理について説明する。印刷対象の入力画像の各画素には、画素値が対応付けられている。各画素値の大きさは、トナーの付着量に相関する。すなわち、入力画像の画素値が大きいほど、出力画像の対応する画素におけるトナー濃度が高くなる。画像形成装置100の制御装置101は、入力画像の各画素が中間範囲内であるか否かを判断する。中間範囲は、下限の画素値と上限の画素値で表わされる。下限の画素値および上限の画素値は、予め規定されている。制御装置101は、入力画像の各画素の内、中間範囲内に属する画素を中間濃度部分として検知する。
【0050】
その後、制御装置101は、中間濃度部分の面積を算出する。中間濃度部分の面積の算出方法の一例として、制御装置101は、入力画像の中間濃度部分における画素数をカウントし、カウント結果を中間濃度部分の面積として算出する。
【0051】
制御装置101は、中間濃度部分の面積が少ないほど感光体10の空回転数を少なくする。好ましくは、制御装置101は、算出された中間濃度部分の面積が所定値よりも小さい場合には、感光体10の空回転を実行しない。当該所定値の大きさは、実験などにより予め決定されている。これにより、感光体10の摩耗がより確実に抑制され得る。
【0052】
なお、印刷対象の入力画像が文字や直線などで構成される線画像である場合には、中間濃度部分は入力画像に存在しない。そのため、制御装置101は、入力画像が線画像であるか否かを判断し、入力画像が線画像であると判断した場合には、感光体10の空回転を実行しなくともよい。線画像の検知方法の一例として、制御装置101は、入力画像からエッジ部分を検知する。エッジ部分の面積が所定値よりも多い場合に、入力画像が線画像であると判断する。
【0053】
[デフォルト回転数]
帯状のノイズを抑制するために必要な感光体10の空回転数は、デフォルト回転数として予め定められている。画像形成装置100は、デフォルト回転数を基準にして、中間濃度部分の面積に応じて空回転数を減らし、調整後のデフォルト回転数の分だけ感光体10の空回転を実行する。
【0054】
図3を参照して、デフォルト回転数について説明する。図3は、帯状のノイズを抑制するために必要な感光体10の空回転数を調べるための実験結果80を示す図である。当該実験は、以下の条件(1)〜(4)の元で行なわれた。
【0055】
絶対湿度:26(温度30℃、湿度85%)・・・(1)
画像濃度:最大濃度の25%・・・(2)
印刷開始前の放置時間:1時間・・・(3)
印刷開始前の印刷枚数:20枚・・・(4)
実験結果80における「×」は、帯状のノイズが出力画像に表れていることを示す。実験結果80における「△」は、帯状のノイズが出力画像において少し表れていることを示す。実験結果80における「○」は、帯状のノイズが出力画像において表れていないことを示す。
【0056】
実験結果80から、帯状のノイズを抑制するためには、24回転の空回転が実行される必要がある。すなわち、上記条件下では、印刷開始前に24回転の空回転が実行されれば、帯状のノイズが確実に発生しない。そのため、上記条件下では、デフォルト回転数は24回に設定される。
【0057】
上述したように、入力画像において中間濃度部分が少ない場合には、帯状のノイズが生じない。そのため、画像形成装置100の制御装置101は、入力画像の中間濃度部分の面積が少ないほどデフォルト回転数を下げる。これにより、画像形成装置100は、印刷品質の低下をより正確に抑えつつ空回転数を下げることができる。
【0058】
なお、上述では、デフォルト回転数が24回に設定される例について説明を行ったが、デフォルト回転数は24回以外に設定されてもよい。デフォルト回転数は、実験などにより決定されるため、任意の値に設定され得る。
【0059】
[画像形成装置100の制御構造]
図4を参照して、画像形成装置100の制御構造について説明する。図4は、画像形成装置100が実行する処理を表わすフローチャートである。図4の処理は、制御装置101がプログラムを実行することにより実現される。他の局面において、処理の一部または全部が、回路素子またはその他のハードウェアによって実行されてもよい。
【0060】
ステップS10において、制御装置101は、印刷指示を受け付けたか否かを判断する。制御装置101は、印刷指示を受け付けたと判断した場合(ステップS10においてYES)、制御をステップS12に切り替える。そうでない場合には(ステップS10においてNO)、ステップS10の処理を再び実行する。
【0061】
ステップS12において、制御装置101は、印刷対象の入力画像から中間濃度部分を検知する。より具体的には、制御装置101は、入力画像の各画素の内から画素値が所定範囲内の画素を検知し、当該画素群を中間濃度部分として検知する。
【0062】
ステップS14において、制御装置101は、入力画像の中間濃度部分における面積を算出する。一例として、当該面積は、中間濃度部分における画素数に相当する。
【0063】
ステップS20において、制御装置101は、入力画像の中間濃度部分が所定値よりも小さいか否かを判断する。当該所定値の大きさは、実験などにより予め決められている。制御装置101は、入力画像の中間濃度部分が所定値よりも小さいと判断した場合(ステップS20においてYES)、制御をステップS50に切り替える。そうでない場合には(ステップS20においてNO)、制御装置101は、制御をステップS40に切り替える。
【0064】
ステップS40において、制御装置101は、上記デフォルト回転数の分だけ感光体10の空回転を実行する。上述のように、デフォルト回転数は、実験などにより予め決められている。制御装置101は、感光体10の空回転により帯状のノイズが出力画像に発生することを防ぐ。
【0065】
ステップS50において、制御装置101は、入力画像の印刷を実行する。すなわち、ステップS20において、入力画像の中間濃度部分が所定値よりも小さいと判断された場合には、制御装置101は、ステップS40における空回転を実行せずに、ステップS50における印刷処理を実行する。そのため、制御装置101は、余分な空回転を抑制することができ、結果として、感光体10が摩耗するペースを遅らせることができる。
【0066】
[感光体10の制御例]
図5図13を参照して、感光体10の空回転における具体的な制御例1〜7について説明する。
【0067】
なお、以下では、帯状のノイズが発生しない入力画像として、「線画像」や「白画像」を例に挙げて説明を行なう。帯状のノイズが発生する入力画像として、「中間濃度画像」を例に挙げて説明を行なう。
【0068】
線画像は、文字や直線などで構成されている画像のことをいう。線画像は、中間濃度部分画像の面積が少ない。そのため、線画像においては、帯状のノイズが発生しない。
【0069】
白画像は、トナー像が形成されないため、中間濃度部分画像の面積が少ない。そのため、白画像においては、帯状のノイズが発生しない。
【0070】
中間濃度画像は、中間濃度部分の面積が所定値以上である画像のことをいう。そのため、中間濃度画像においては、帯状のノイズが発生し得る。
【0071】
(空回転の制御例1)
図5を参照して、感光体10の空回転の制御例1について説明する。図5は、感光体10の制御例1を説明するための図である。
【0072】
図5において、複数の入力画像が時系列に並べられている。画像形成装置100は、当該複数の入力画像の印刷指示を受け付けたとする。このことに基づいて、画像形成装置100の制御装置101は、上記デフォルト回転数の分だけ感光体10を仮に回転させた場合に印刷され得る入力画像の数を算出する。図5の例では、上記デフォルト回転数はN回転である。感光体10を3回転させるごとに1枚の入力画像が印刷され得る場合、上記デフォルト回転数で印刷可能な入力画像の数は、「N回転÷3回転」となる。
【0073】
制御装置101は、上記デフォルト回転数で印刷可能な入力画像のそれぞれについて中間濃度部分の面積を検知する。制御装置101は、検知された面積のそれぞれが所定値よりも小さいか否かを判断する。制御装置101は、検知された面積の全てが上記所定値よりも小さいと判断した場合に、印刷開始前における感光体10の空回転を実行しない。
【0074】
一例として、印刷指示を受け付けた入力画像が全て線画像であったとする。入力画像が全て線画像である場合、全ての入力画像において中間濃度部分の面積が所定値よりも小さくなる。線画像には帯状のノイズが生じない。そのため、制御装置101は、入力画像の全てが線画像である場合、印刷開始前における感光体10の回転を実行しない。
【0075】
(空回転の制御例2)
図6を参照して、感光体10の空回転の制御例2について説明する。図6は、感光体10の制御例2を説明するための図である。
【0076】
図6において、複数の入力画像が時系列に並べられている。画像形成装置100は、当該複数の入力画像の印刷指示を受け付けたとする。このことに基づいて、画像形成装置100の制御装置101は、印刷1枚目の入力画像から順に中間濃度部分の面積が所定値よりも小さいか否かを判断する。制御装置101は、中間濃度部分の面積が所定値よりも小さい入力画像の連続数を検知する。その後、制御装置101は、当該連続数に相当する入力画像を印刷するのに必要な感光体10の回転数を算出する。当該連続している入力画像においては帯状のノイズが生じないので、制御装置101は、当該連続している入力画像の分については感光体10の空回転を実行する必要がない。そのため、制御装置101は、上記デフォルト回転数から上記算出された回転数を差分した分だけ感光体10の空回転を実行する。
【0077】
たとえば、図6に示されるように、印刷1枚目から線画像が複数枚続いているとする。帯状のノイズは線画像には生じないので、印刷1枚目から連続している線画像の分については感光体10の空回転が実行される必要がない。制御装置101は、連続している線画像を印刷するのに必要な感光体10の回転数を算出する。制御装置101は、上記デフォルト回転数から、算出された回転数を差分した分だけ印刷開始前における感光体10の空回転を実行する。
【0078】
図6の例では、線画像は、感光体10の1回転目からM−1回転目まで続いている。感光体10のM回転目から中間濃度画像が印刷される。上記デフォルト回転数がN回転である場合、制御装置101は、N回転からM回転を差分したN−M回転だけ空回転を実行する。これにより、画像形成装置100は、入力画像に中間濃度画像が含まれている場合であっても、感光体10の空回転数を抑えることができる。
【0079】
図7を参照して、感光体10の制御例2についてさらに説明する。図7は、感光体10の制御例2を表わすフローチャートである。図7の処理は、制御装置101がプログラムを実行することにより実現される。他の局面において、処理の一部または全部が、回路素子またはその他のハードウェアによって実行されてもよい。なお、ステップS10,S12,S14,S50の処理は図4で説明した通りであるので、それらの説明については繰り返さない。
【0080】
ステップS20Aにおいて、制御装置101は、印刷対象の全ての入力画像おいて中間濃度部分の面積が所定値よりも小さいか否かを判断する。制御装置101は、印刷対象の全ての入力画像おいて中間濃度部分の面積が所定値よりも小さいと判断した場合(ステップS20AにおいてYES)、制御をステップS50に切り替える。そうでない場合には(ステップS20AにおいてNO)、制御装置101は、制御をステップS30に切り替える。
【0081】
ステップS30において、制御装置101は、印刷1枚目の入力画像の中間濃度部分が所定値よりも小さいか否かを判断する。制御装置101は、印刷1枚目の入力画像の中間濃度部分が所定値よりも小さいと判断した場合に、印刷1枚目の入力画像が線画像または白画像であると判断する。制御装置101は、印刷1枚目の入力画像が線画像または白画像であると判断した場合に(ステップS30においてYES)、制御をステップS40に切り替える。そうでない場合には(ステップS30においてNO)、制御装置101は、制御をステップS32に切り替える。
【0082】
ステップS32において、制御装置101は、白画像および線画像が印刷1枚目から何枚目まで連続しているかを検知する。制御装置101は、1枚目から連続している白画像および線画像を印刷するのに必要な感光体10の回転数を算出する。
【0083】
ステップS34において、制御装置101は、上記デフォルト回転数からステップS32で算出された回転数を差分する。すなわち、制御装置101は、ステップS32で算出された回転数の分だけ上記デフォルト回転数を減らす。
【0084】
ステップS40において、制御装置101は、現在のデフォルト回転数の分だけ感光体10の空回転を実行する。
【0085】
(空回転の制御例3)
図8を参照して、感光体10の空回転の制御例3について説明する。図8は、感光体10の制御例3を説明するための図である。
【0086】
図8には、感光体10上に形成されたトナー像71が示されている。トナー像71は、入力画像における画像パターンに応じて形成されたものである。トナー像71は、像部分72を有する。像部分72は、入力画像における中間濃度部分に対応する。
【0087】
また、図8には、ニップ隣接領域73A〜73Dが示されている。ニップ隣接領域73A〜73Dは、印刷開始前における感光体10と帯電ローラー12との間のニップ部分に隣接する領域に相当する。印刷が開始された場合に、像部分72がニップ隣接領域73A〜73Dに当たると、帯状のノイズが出力画像に現れる。像部分72がニップ隣接領域73A〜73Dに当たらなければ、帯状のノイズは出力画像に現れない。この点に着目して、画像形成装置100は、像部分72がニップ隣接領域73A〜73Dに当たる場合には、像部分72がニップ隣接領域73A〜73Dに当たらないように印刷開始前に感光体10の回転をずらす。
【0088】
より具体的な処理として、画像形成装置100の制御装置101は、トナー像71から、入力画像の中間濃度部分に対応する像部分72を特定する。その後、制御装置101は、像部分72が形成される感光体10上の位置を特定する。感光体10上における像部分72の位置は、印刷指示の受付け時に生成される画像情報に基づいて特定される。
【0089】
制御装置101は、印刷開始前におけるニップ隣接領域73A〜73Dが印刷開始後に像部分72に当たるか否かを判断する。制御装置101は、像部分72がニップ隣接領域73A〜73Dに当たらないと判断した場合には、印刷開始前における感光体10の空回転を実行しない。像部分72がニップ隣接領域73A〜73Dに当たらない場合には、帯状のノイズが出力画像に生じないためである。余分な空回転が抑制されることで、画像形成装置100は、感光体10が摩耗するペースを遅らせることができる。
【0090】
制御装置101は、像部分72がニップ隣接領域73A〜73Dに当たると判断した場合には、像部分72がニップ隣接領域73A〜73Dに当たらないように感光体10を回転した上で印刷を開始する。すなわち、当該回転が実行された場合には、制御装置101は、感光体10の空回転を実行しない。これにより、制御装置101は、感光体10の空回転の回数をさらに抑えることができる。
【0091】
図9を参照して、感光体10の制御例3についてさらに説明する。図9は、感光体10の制御例3を表わすフローチャートである。図9の処理は、制御装置101がプログラムを実行することにより実現される。他の局面において、処理の一部または全部が、回路素子またはその他のハードウェアによって実行されてもよい。なお、ステップS22,S24,S26以外の処理は図4で説明した通りであるので、それらの説明については繰り返さない。
【0092】
ステップS22において、制御装置101は、仮に印刷を開始した場合に入力画像の中間濃度部分がニップ隣接領域に当たるか否かを判断する。制御装置101は、仮に印刷を開始した場合に入力画像の中間濃度部分がニップ隣接領域に当たると判断した場合(ステップS22においてYES)、制御をステップS24に切り替える。そうでない場合には(ステップS22においてNO)、制御装置101は、制御をステップS50に切り替える。
【0093】
ステップS24において、制御装置101は、入力画像の中間濃度部分がニップ隣接領域に当たらないように感光体10を回転できるか否かを判断する。一例として、制御装置101は、中間濃度部分の幅が感光体10の円周よりも短い場合に、入力画像の中間濃度部分がニップ隣接領域に当たらないように感光体10を回転できると判断する。制御装置101は、入力画像の中間濃度部分がニップ隣接領域に当たらないように感光体10を回転できると判断した場合(ステップS24においてYES)、制御をステップS26に切り替える。そうでない場合には(ステップS24においてNO)、制御装置101は、制御をステップS40に切り替える。
【0094】
ステップS26において、制御装置101は、入力画像の中間濃度部分がニップ隣接領域に当たらないように感光体10を回転する。これにより、制御装置101は、中間濃度部分が入力画像に含まれている場合であっても、感光体10の空回転数を少なくすることができる。
【0095】
(空回転の制御例4)
図10を参照して、感光体10の空回転の制御例4について説明する。図10は、感光体10の制御例4を説明するための図である。
【0096】
図10には、実験結果82が示されている。実験結果82は、帯状のノイズが発生しない出力画像の濃度と空回転数との関係を調べた結果である。当該実験は、以下の条件(5)〜(7)の元で行なわれた。
【0097】
絶対湿度:26(温度30℃、湿度85%)・・・(5)
印刷開始前の放置時間:1時間・・・(6)
印刷開始前の印刷枚数:20枚・・・(7)
実験結果82に示される画像濃度は、たとえば出力画像の各画素の平均濃度である。実験結果82における「×」は、帯状のノイズが出力画像に表れていることを示す。実験結果82における「△」は、帯状のノイズが出力画像において少し表れていることを示す。実験結果82における「○」は、帯状のノイズが出力画像において表れていないことを示す。
【0098】
実験結果82に示されるように、画像濃度が高いほど、空回転数は少なくてもよい。この理由は、画像濃度が高くなると、コントラストの差が小さくなるためである。この点に着目して、画像形成装置100の制御装置101は、入力画像における画素値が大きいほど、印刷開始前における感光体10の空回転数を少なくする。入力画像における画素値は、濃度に相関する。
【0099】
一例として、出力画像の濃度が、75%よりも大きく、100%以下である場合には、画像形成装置100は、上記デフォルト回転数を0回に設定する。出力画像の濃度が、50%よりも大きく、75%以下である場合には、画像形成装置100は、上記デフォルト回転数を12回に設定する。出力画像の濃度が、25%よりも大きく、50%以下である場合には、画像形成装置100は、上記デフォルト回転数を20回に設定する。出力画像の濃度が、0%以上であり、25%以下である場合には、画像形成装置100は、上記デフォルト回転数を24回に設定する。
【0100】
(空回転の制御例5)
図11を参照して、感光体10の空回転の制御例5について説明する。図11は、感光体10の制御例5を説明するための図である。
【0101】
図11には、実験結果84が示されている。実験結果84は、帯状のノイズが発生しない感光体10の放置時間と空回転数との関係を調べた結果である。当該実験は、以下の条件(8)〜(10)の元で行なわれた。
【0102】
絶対湿度:26(温度30℃、湿度85%)・・・(8)
画像濃度:最大濃度の25%・・・(9)
印刷開始前の印刷枚数:20枚・・・(10)
実験結果84に示される放置時間は、前回の印刷が終了してから今回の印刷が開始されるまでの間の時間である。異なる言い方をすれば、実験結果84に示される放置時間は、感光体10が停止してから感光体10の回転が次に開始されるまでの時間を表わす。実験結果84における「×」は、帯状のノイズが出力画像に表れていることを示す。実験結果84における「△」は、帯状のノイズが出力画像において少し表れていることを示す。実験結果84における「○」は、帯状のノイズが出力画像において表れていないことを示す。
【0103】
実験結果84に示されるように、感光体10の放置時間が短いほど、空回転数は少なくてもよい。この理由は、感光体10の放置時間が短いほど、感光体10上に生成される放電生成物の量が少なくなるためである。この点に着目して、画像形成装置100の制御装置101は、前回の印刷が終了してから今回の印刷が開始されるまでの時間(すなわち、感光体10の放置時間)が短いほど、印刷開始前における感光体10の空回転数を少なくする。
【0104】
より具体的には、制御装置101は、印刷が終了した時点で時間のカウントを開始する。一例として、時間のカウントには、制御装置101に備えられる時計機能が用いられる。制御装置101は、新たな印刷指示を受け付けたことに基づいて、時間のカウントを停止する。制御装置101は、時間のカウント結果を感光体10の放置時間として検知する。
【0105】
一例として、感光体10の放置時間が10分以下である場合には、画像形成装置100は、上記デフォルト回転数を0回に設定する。感光体10の放置時間が、10分よりも長く、1時間以下である場合には、画像形成装置100は、上記デフォルト回転数を24回に設定する。感光体10の放置時間が、1時間よりも長く、24時間以下である場合には、画像形成装置100は、上記デフォルト回転数を28回に設定する。感光体10の放置時間が、24時間よりも長い場合には、画像形成装置100は、上記デフォルト回転数を32回に設定する。
【0106】
(空回転の制御例6)
図12を参照して、感光体10の空回転の制御例6について説明する。図12は、感光体10の制御例6を説明するための図である。
【0107】
図12には、実験結果86が示されている。実験結果86は、帯状のノイズが発生しない前回の印刷枚数と空回転数との関係を調べた結果である。当該実験は、以下の条件(11)〜(113)の元で行なわれた。
【0108】
絶対湿度:26(温度30℃、湿度85%)・・・(11)
画像濃度:最大濃度の25%・・・(12)
印刷開始前の放置時間:1時間・・・(13)
実験結果86に示される過去一定期間の印刷枚数は、今回の印刷時から過去一定期間(たとえば、1時間)において印刷された入力画像の枚数を示す。実験結果86における「×」は、帯状のノイズが出力画像に表れていることを示す。実験結果86における「△」は、帯状のノイズが出力画像において少し表れていることを示す。実験結果86における「○」は、帯状のノイズが出力画像において表れていないことを示す。
【0109】
実験結果86に示されるように、過去一定期間における印刷枚数が少ないほど、空回転数は少なくてもよい。この理由は、過去一定期間における印刷枚数が少ないほど、感光体10上に生成される放電生成物の量が少なくなるためである。この点に着目して、画像形成装置100の制御装置101は、過去一定期間の印刷枚数が少ないほど、印刷開始前における感光体10の空回転数を少なくする。
【0110】
一例として、過去一定期間における印刷枚数が20枚以下である場合には、画像形成装置100は、上記デフォルト回転数を0回に設定する。過去一定期間における印刷枚数が、20枚よりも多く、100枚以下である場合には、画像形成装置100は、上記デフォルト回転数を24回に設定する。過去一定期間における印刷枚数が、100枚よりも多く、500枚以下である場合には、画像形成装置100は、上記デフォルト回転数を28回に設定する。過去一定期間における印刷枚数が、500枚よりも多い場合には、画像形成装置100は、上記デフォルト回転数を32回に設定する。
【0111】
(空回転の制御例7)
図13を参照して、感光体10の空回転の制御例7について説明する。図13は、感光体10の制御例7を説明するための図である。
【0112】
図13には、実験結果88が示されている。実験結果88は、帯状のノイズが発生しない絶対湿度と空回転数との関係を調べた結果である。当該実験は、以下の条件(14)〜(16)の元で行なわれた。
【0113】
画像濃度:最大濃度の25%・・・(14)
印刷開始前の放置時間:1時間・・・(15)
印刷開始前の印刷枚数:20枚・・・(16)
実験結果88に示される絶対湿度は、画像形成装置100の内部に設けられる湿度センサ108(図14参照)によって検知される。実験結果88における「×」は、帯状のノイズが出力画像に表れていることを示す。実験結果88における「△」は、帯状のノイズが出力画像において少し表れていることを示す。実験結果88における「○」は、帯状のノイズが出力画像において表れていないことを示す。
【0114】
実験結果88に示されるように、絶対湿度が小さいほど、空回転数は少なくてもよい。この理由は、絶対湿度が小さいほど、感光体10上に生成される放電生成物の量が少なくなるためである。この点に着目して、画像形成装置100の制御装置101は、湿度センサによって検知される湿度が小さいほど、印刷開始前における感光体10の空回転数を少なくする。
【0115】
一例として、絶対湿度が「10」以下である場合には、画像形成装置100は、上記デフォルト回転数を0回に設定する。絶対湿度が、「10」よりも大きく、「16」以下である場合には、画像形成装置100は、上記デフォルト回転数を16回に設定する。絶対湿度が、「16」よりも大きく、「26」以下である場合には、画像形成装置100は、上記デフォルト回転数を20回に設定する。絶対湿度が「26」よりも大きい場合には、画像形成装置100は、上記デフォルト回転数を24回に設定する。
【0116】
[画像形成装置100のハードウェア構成]
図14を参照して、画像形成装置100のハードウェア構成の一例について説明する。図14は、画像形成装置100の主要なハードウェア構成を示すブロック図である。
【0117】
図14に示されるように、画像形成装置100は、定着装置50と、制御装置101と、ROM(Read Only Memory)102と、RAM(Random Access Memory)103と、ネットワークインターフェイス104と、操作パネル107と、湿度センサ108と、記憶装置120とを含む。
【0118】
制御装置101は、たとえば、少なくとも1つの集積回路によって構成される。集積回路は、たとえば、少なくとも1つのCPU(Central Processing Unit)、少なくとも1つのASIC(Application Specific Integrated Circuit)、少なくとも1つのFPGA(Field Programmable Gate Array)、またはそれらの組み合わせなどによって構成される。
【0119】
制御装置101は、本実施の形態に従う制御プログラム122などの各種プログラムを実行することで画像形成装置100の動作を制御する。制御装置101は、制御プログラム122の実行命令を受け付けたことに基づいて、記憶装置120からROM102に制御プログラム122を読み出す。RAM103は、ワーキングメモリとして機能し、制御プログラム122の実行に必要な各種データを一時的に格納する。
【0120】
ネットワークインターフェイス104には、アンテナ(図示しない)などが接続される。画像形成装置100は、アンテナを介して、外部の通信機器との間でデータをやり取りする。外部の通信機器は、たとえば、スマートフォンなどの携帯通信端末、サーバーなどを含む。画像形成装置100は、アンテナを介して制御プログラム122をサーバーからダウンロードできるように構成されてもよい。
【0121】
操作パネル107は、ディスプレイとタッチパネルとで構成されている。ディスプレイおよびタッチパネルは互いに重ねられており、操作パネル107は、たとえば、画像形成装置100に対する印刷操作やスキャン操作などを受け付ける。
【0122】
湿度センサ108は、画像形成装置100の内部に設けられており、画像形成装置100の内部の絶対湿度を検知する。好ましくは、湿度センサ108は、感光体10と帯電ローラー12とのニップ部分の近傍に設けられている。
【0123】
記憶装置120は、たとえば、ハードディスクや外付けの記憶装置などの記憶媒体である。記憶装置120は、本実施の形態に従う制御プログラム122などを格納する。制御プログラム122の格納場所は記憶装置120に限定されず、制御プログラム122は、制御装置101の記憶領域(たとえば、キャッシュなど)、ROM102、RAM103、外部機器(たとえば、サーバー)などに格納されていてもよい。
【0124】
制御プログラム122は、単体のプログラムとしてではなく、任意のプログラムの一部に組み込まれて提供されてもよい。この場合、本実施の形態に従う制御処理は、任意のプログラムと協働して実現される。このような一部のモジュールを含まないプログラムであっても、本実施の形態に従う制御プログラム122の趣旨を逸脱するものではない。さらに、制御プログラム122によって提供される機能の一部または全部は、専用のハードウェアによって実現されてもよい。さらに、少なくとも1つのサーバーが制御プログラム122の処理の一部を実行する所謂クラウドサービスのような形態で画像形成装置100が構成されてもよい。
【0125】
[まとめ]
以上のようにして、画像形成装置100は、印刷対象の入力画像において中間濃度部分を検知し、当該中間濃度部分の面積が少ないほど感光体10の空回転数を少なくする。中間濃度部分が少ない場合には帯状のノイズが発生しないので、画像形成装置100は、感光体10の空回転数を少なくすることができる。結果として、画像形成装置100は、印刷品質の低下を抑制しつつ感光体10が摩耗するペースを遅らせることができる。
【0126】
今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0127】
1C,1K,1M,1Y 画像形成ユニット、10 感光体、11 帯電装置、12 帯電ローラー、13 露光装置、14 現像装置、15 現像ローラー、15C,15K,15M,15Y トナーボトル、17,42 クリーニング装置、30 中間転写ベルト、31 一次転写ローラー、33 二次転写ローラー、37 カセット、38 従動ローラー、39 駆動ローラー、40 タイミングローラー、41 搬送経路、48 トレー、50 定着装置、60 画像、60A,60B,60N,62A,62B,62N 領域、61A,61B,61C 出力画像、70 押圧機構、71 トナー像、72 像部分、73A,73D ニップ隣接領域、80,82,84,86,88 実験結果、100 画像形成装置、101 制御装置、102 ROM、103 RAM、104 ネットワークインターフェイス、107 操作パネル、108 湿度センサ、120 記憶装置、122 制御プログラム。
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