【文献】
LEE, Sang-Yub, et al.,MOST Network System Supporting Full-Duplexing Communication,In: Advanced Communication Technology (ICACT), 2012 14th International Conference on,2012年 2月19日,pp. 1272-1275
【文献】
ZENG, Weiying, KHALID, Mohammed AS, and CHOWDHURY, Sazzadur,In-Vehicle Networks Outlook: Achievements and Challenges,IEEE Communications Surveys & Tutorials Vol.18 No.3,2016年 1月27日,pp.1552-1571
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1のスイッチ装置、前記第2のスイッチ装置および前記第3のスイッチ装置の各々は、他のスイッチ装置における通信ポートの受信信号品質および前記対応関係を取得し、取得した前記受信信号品質および前記対応関係にさらに基づいて前記切り替え処理を行う、請求項1または請求項2に記載の車載通信システム。
【発明を実施するための形態】
【0015】
最初に、本発明の実施形態の内容を列記して説明する。
【0016】
(1)本発明の実施の形態に係る車載通信システムは、車両に搭載される車載通信システムであって、各々が、第1の通信ポートおよび第2の通信ポートを有する第1のスイッチ装置、第2のスイッチ装置および第3のスイッチ装置を備え、前記第1のスイッチ装置の第1の通信ポートおよび第2の通信ポートが、前記第2のスイッチ装置の第1の通信ポートおよび前記第3のスイッチ装置の第1の通信ポートにそれぞれ接続され、前記第2のスイッチ装置の第2の通信ポートおよび前記第3のスイッチ装置の第2の通信ポートが接続され、前記第1のスイッチ装置、前記第2のスイッチ装置および前記第3のスイッチ装置の各々は、自己の第1の通信ポートの受信信号品質および自己の第2の通信ポートの受信信号品質を測定し、前記第1のスイッチ装置、前記第2のスイッチ装置および前記第3のスイッチ装置の各々は、自己の第1の通信ポートおよび第2の通信ポートのうち、使用すべき通信ポートとして選択している使用ポートの受信信号品質に基づいて、前記使用ポートを他の通信ポートに切り替えるか否かを判断する切り替え処理を行う。
【0017】
このように、各スイッチ装置において第1の通信ポートおよび第2の通信ポートの受信信号品質を測定する構成により、たとえば、使用ポートの信号についてノイズレベルの上昇による受信信号品質の低下を検知した場合に、使用ポートを他の通信ポートに切り替えるべきと適切に判断し、使用ポートを他の通信ポートに切り替えることができる。これにより、使用ポートを経由する通信経路を、他の通信ポートを経由する通信経路に切り替える冗長切り替えを適切に行うことができるので、通信が困難な状況が継続してしまうことを防ぐことができる。したがって、車載ネットワークにおける冗長切り替えを適切に行うことができる。
【0018】
(2)好ましくは、前記第1のスイッチ装置、前記第2のスイッチ装置および前記第3のスイッチ装置の各々は、自己の複数の温度と前記受信信号品質についての前記切り替え処理における判断基準との対応関係を保持し、自己の温度を取得し、取得した前記温度および前記対応関係にさらに基づいて前記切り替え処理を行う。
【0019】
このような構成により、たとえば、受信信号の信号処理を良好に行うことが可能なSNR(Signal−to−Noise Ratio)の下限が温度に応じて変化する場合において、スイッチ装置の温度に応じた判断基準を上記対応関係から取得することができる。これにより、たとえば、上記信号処理を良好に行うことが困難な場合に、使用ポートを他の通信ポートに切り替えるべきと判断することができる。
【0020】
(3)より好ましくは、前記第1のスイッチ装置、前記第2のスイッチ装置および前記第3のスイッチ装置の各々は、通信ポートごとの前記対応関係を保持する。
【0021】
このような構成により、たとえば、受信信号の信号処理を良好に行うことが可能なSNRの下限の温度変化が通信ポートごとに異なる場合において、スイッチ装置の温度および通信ポートの別に応じた判断基準を上記対応関係から取得することができる。
【0022】
(4)より好ましくは、前記第1のスイッチ装置、前記第2のスイッチ装置および前記第3のスイッチ装置の各々は、他のスイッチ装置における通信ポートの受信信号品質および前記対応関係を取得し、取得した前記受信信号品質および前記対応関係にさらに基づいて前記切り替え処理を行う。
【0023】
このような構成により、他のスイッチ装置における受信信号の信号処理が良好に行われるか否かを判断することができるので、当該他のスイッチ装置を経由して対象のスイッチ装置へ至る通信経路と当該他のスイッチ装置を経由せずに対象のスイッチ装置へ至る通信経路との優劣を総合的に判断することができる。
【0024】
(5)より好ましくは、前記第1のスイッチ装置、前記第2のスイッチ装置および前記第3のスイッチ装置の通信ポート間は、イーサネット(登録商標)通信用のケーブルで接続され、前記第1のスイッチ装置、前記第2のスイッチ装置および前記第3のスイッチ装置間は、さらにシリアル通信用のケーブルで接続される。
【0025】
このような構成により、他のスイッチ装置における通信ポートの受信信号品質および上記対応関係を専用のシリアル通信用のケーブルから確実に取得することができるので、切り替え処理を迅速に行うことができる。
【0026】
(6)本発明の実施の形態に係るスイッチ装置は、車両に搭載されるスイッチ装置であって、複数の通信ポートと、各前記通信ポートの受信信号品質を測定する測定部と、前記測定部によって測定された、使用すべき通信ポートとして選択されている使用ポートの前記受信信号品質に基づいて、前記使用ポートを他の前記通信ポートに切り替えるか否かを判断する切り替え処理を行う切り替え処理部とを備える。
【0027】
このように、スイッチ装置において各通信ポートの信号の受信信号品質を測定する構成により、たとえば、使用ポートの信号についてノイズレベルの上昇による受信信号品質の低下を検知した場合に、使用ポートを他の通信ポートに切り替えるべきと適切に判断し、使用ポートを他の通信ポートに切り替えることができる。これにより、使用ポートを経由する通信経路を、他の通信ポートを経由する通信経路に切り替える冗長切り替えを適切に行うことができるので、通信が困難な状況が継続してしまうことを防ぐことができる。したがって、車載ネットワークにおける冗長切り替えを適切に行うことができる。
【0028】
(7)本発明の実施の形態に係る車載通信方法は、車両に搭載される車載通信システムにおける車載通信方法であって、前記車載通信システムは、各々が、第1の通信ポートおよび第2の通信ポートを有する第1のスイッチ装置、第2のスイッチ装置および第3のスイッチ装置を備え、前記第1のスイッチ装置の第1の通信ポートおよび第2の通信ポートが、前記第2のスイッチ装置の第1の通信ポートおよび前記第3のスイッチ装置の第1の通信ポートにそれぞれ接続され、前記第2のスイッチ装置の第2の通信ポートおよび前記第3のスイッチ装置の第2の通信ポートが接続され、前記第1のスイッチ装置、前記第2のスイッチ装置および前記第3のスイッチ装置の各々が、自己の第1の通信ポートの受信信号品質および自己の第2の通信ポートの受信信号品質を測定するステップと、前記第1のスイッチ装置、前記第2のスイッチ装置および前記第3のスイッチ装置の各々が、自己の第1の通信ポートおよび第2の通信ポートのうち、使用すべき通信ポートとして選択している使用ポートの受信信号品質に基づいて、前記使用ポートを他の通信ポートに切り替えるか否かを判断する切り替え処理を行うステップとを含む。
【0029】
このように、各スイッチ装置において第1の通信ポートおよび第2の通信ポートの受信信号品質を測定する構成により、たとえば、使用ポートの信号についてノイズレベルの上昇による受信信号品質の低下を検知した場合に、使用ポートを他の通信ポートに切り替えるべきと適切に判断し、使用ポートを他の通信ポートに切り替えることができる。これにより、使用ポートを経由する通信経路を、他の通信ポートを経由する通信経路に切り替える冗長切り替えを適切に行うことができるので、通信が困難な状況が継続してしまうことを防ぐことができる。したがって、車載ネットワークにおける冗長切り替えを適切に行うことができる。
【0030】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。また、以下に記載する実施の形態の少なくとも一部を任意に組み合わせてもよい。
【0031】
<第1の実施の形態>
[構成および基本動作]
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る車載通信システムの構成を示す図である。
【0032】
図1を参照して、車載通信システム301は、スイッチ装置101A,101B,101Cを備える。以下、スイッチ装置101A,101B,101Cの各々をスイッチ装置101とも称する。
【0033】
車載通信システム301は、車両に搭載される。また、たとえば、複数の車内通信デバイス111、車外通信デバイス112、セントラルゲートウェイ113および制御デバイス114は、車両に搭載される。
【0034】
なお、車両では、複数の車内通信デバイス111が搭載される構成に限らず、1つの車内通信デバイス111が搭載される構成であってもよい。また、車両では、1つの車外通信デバイス112が搭載される構成に限らず、複数の車外通信デバイス112が搭載される構成であってもよい。
【0035】
車内通信デバイス111は、たとえば、ヒューマンマシンインタフェース、カメラ、センサおよびナビゲーション装置等であり、スイッチ装置101と通信を行うことが可能である。
【0036】
車外通信デバイス112は、たとえば、LTE(Long Term Evolution)または3G等の通信規格に従って、図示しない無線基地局装置と無線通信を行うことが可能であり、かつスイッチ装置101Aと通信を行うことが可能である。
【0037】
制御デバイス114は、たとえば、エンジン制御部、AT(Automatic Transmission)制御部、HEV(Hybrid Electric Vehicle)制御部、ブレーキ制御部、シャーシ制御部およびステアリング制御部等である。
【0038】
セントラルゲートウェイ113は、CAN(Controller Area Network)経由で制御デバイス114と通信を行うことが可能であり、かつスイッチ装置101Aと通信を行うことが可能である。
【0039】
セントラルゲートウェイ113は、制御デバイス114と車内通信デバイス111および車外通信デバイス112との間でやり取りされる情報の中継処理を行う。
【0040】
なお、車載通信システム301では、車外通信デバイス112およびセントラルゲートウェイ113がスイッチ装置101Aに直接接続される構成であるとしたが、これに限定するものではない。車外通信デバイス112およびセントラルゲートウェイ113が、それぞれ別のスイッチ装置101に直接接続される構成であってもよい。
【0041】
スイッチ装置101A〜101Cは、たとえば、車載のイーサネット通信用のケーブル(以下、イーサネットケーブルとも称する。)10により互いに接続されている。また、スイッチ装置101は、たとえば、イーサネットケーブル10により車内通信デバイス111、車外通信デバイス112およびセントラルゲートウェイ113と接続されている。
【0042】
スイッチ装置101は、自己に直接接続された車内通信デバイス111、車外通信デバイス112およびセントラルゲートウェイ113と通信を行うことが可能であり、かつ他のスイッチ装置101と通信を行うことが可能である。
【0043】
スイッチ装置101、および当該スイッチ装置101と直接接続された他の装置間では、たとえば、イーサネットフレームを用いて情報のやり取りが行われる。
【0044】
スイッチ装置101A〜101Cの環境は、たとえばそれぞれ異なる。より詳細には、スイッチ装置101A〜101Cは、たとえば、車両のダッシュボード、ならびに車両の前部および後部等の異なる場所に設けられており、周囲温度がそれぞれ異なる。
【0045】
[課題]
各スイッチ装置101間を接続するイーサネットケーブル10は、たとえば、エンジンからの低周波ノイズ、および各デバイスからのクロックノイズ等の影響を受ける。これらのノイズは突発的であったり定常的であったりする。
【0046】
イーサネットケーブル10は、ノイズ源と自己との配置に応じてノイズを受信することがある。このため、各スイッチ装置101間で伝送される信号にノイズが重畳し、定常的な、または突発的な信号品質の低下が発生することがある。
【0047】
信号線の断線を検出するために通常用いられるインピーダンス測定法では、上記のようなノイズ増加による信号品質の低下を検出することが困難であるので、信号品質が低下した場合に、通信経路を切り替える冗長化を実現することが困難である。
【0048】
そこで、本発明の実施の形態に係る車載通信システムでは、以下のような構成および動作により、このような課題を解決する。
【0049】
[スイッチ装置101の構成]
図2は、本発明の第1の実施の形態に係る車載通信システムにおけるスイッチ装置の構成を示す図である。
【0050】
図2を参照して、スイッチ装置101は、スイッチ部(測定部)31と、制御部(切り替え処理部)32と、記憶部33と、複数の通信ポート34と、温度センサ35とを備える。
【0051】
スイッチ部31、制御部32、記憶部33および温度センサ35は、基板36に設けられる。なお、スイッチ部31、制御部32、記憶部33および温度センサ35のうちの少なくともいずれか1つが、異なる基板に設けられてもよい。
【0052】
温度センサ35は、基板36の温度Taを計測し、計測結果を示す温度情報を制御部32へたとえば定期的に出力する。
【0053】
通信ポート34は、たとえば、イーサネットケーブル10を接続可能な端子である。なお、通信ポート34は、集積回路の端子であってもよい。
【0054】
各通信ポート34には、イーサネットケーブル10が接続されている。より詳細には、通信ポート34である通信ポート34Aは、イーサネットケーブル10を介して他のスイッチ装置101における通信ポート34に接続されている。通信ポート34である通信ポート34Bは、イーサネットケーブル10を介して当該他のスイッチ装置101と異なる別のスイッチ装置101における通信ポート34に接続されている。
【0055】
図3は、本発明の第1の実施の形態に係る車載通信システムにおける各スイッチ装置間の接続の詳細を示す図である。
図3では、スイッチ装置101A〜101Cの各々において、スイッチ装置101間の通信に用いる通信ポート34A,34Bが示される。また、
図3では、車内通信デバイス111の一部、車外通信デバイス112、セントラルゲートウェイ113および制御デバイス114が図示されていない。
【0056】
図3を参照して、スイッチ装置101Aの通信ポート34Aおよび通信ポート34Bが、スイッチ装置101Bの通信ポート34Aおよびスイッチ装置101Cの通信ポート34Aにイーサネットケーブル10を介してそれぞれ接続されている。
【0057】
スイッチ装置101Bの通信ポート34Bおよびスイッチ装置101Cの通信ポート34Bがイーサネットケーブル10を介して接続されている。
【0058】
すなわち、スイッチ装置101A〜101Cによってリング型ネットワークが形成される。
【0059】
再び
図2を参照して、通信ポート34A,34B以外の複数の通信ポート34の各々は、イーサネットケーブル10を介して車内通信デバイス111、車外通信デバイス112およびセントラルゲートウェイ113のうちのいずれか1つに接続されている。
【0060】
スイッチ部31は、具体的にはレイヤ2(L2)スイッチであり、通信ポート34ごとの信号処理回路を有する。各信号処理回路には、固有のアドレス、たとえばMAC(Media Access Control)アドレスが割り当てられている。各信号処理回路は、対応の通信ポート34を介して、他のスイッチ装置101、車内通信デバイス111、車外通信デバイス112およびセントラルゲートウェイ113と通信可能である。
【0061】
また、スイッチ装置101Aにおけるスイッチ部31は、たとえば、レイヤ3(L3)ルーティングを行うことも可能である。なお、スイッチ装置101B,101Cにおけるスイッチ部31がL3ルーティングを行うことが可能な構成であってもよい。
【0062】
スイッチ部31は、ある装置から受信したイーサネットフレームをその宛先に応じて他の装置へ送信する。
【0063】
より詳細には、スイッチ部31は、制御部32から受ける経路指定情報、ならびにイーサネットフレームに含まれる送信元アドレスおよび宛先アドレスに基づいて、受信したイーサネットフレームを他の装置へ送信する。
【0064】
再び
図3を参照して、スイッチ装置101Aにおけるスイッチ部31は、送信元アドレスとして自己に直接接続された車内通信デバイス111である車内通信デバイス111Aのアドレス、および宛先アドレスとしてスイッチ装置101Cに直接接続された車内通信デバイス111である車内通信デバイス111Cのアドレスを含むイーサネットフレームを受信すると、以下の処理を行う。
【0065】
すなわち、スイッチ装置101Aにおけるスイッチ部31は、車内通信デバイス111Aから111Cへ送信されるイーサネットフレームについてスイッチ装置101Cへ直接送信すべき旨を経路指定情報が含む場合、イーサネットフレームを通信ポート34B経由でスイッチ装置101Cへ送信する。
【0066】
一方、スイッチ装置101Aにおけるスイッチ部31は、車内通信デバイス111Aから111Cへ送信されるイーサネットフレームについてスイッチ装置101Bを介してスイッチ装置101Cへ送信すべき旨を経路指定情報が含む場合、イーサネットフレームを通信ポート34A経由でスイッチ装置101Bへ送信する。
【0067】
再び
図2を参照して、スイッチ部31は、各通信ポート34の受信信号品質を測定する。より詳細には、スイッチ部31は、受信信号品質の一例であるイーサネットフレームを含む受信信号のSNRを通信ポート34ごとに測定し、測定結果を示すSNR情報を制御部32へたとえば定期的に出力する。この例では、SNRの値が大きいほどノイズが小さく、受信信号品質がよい。
【0068】
図4は、本発明の第1の実施の形態に係るスイッチ装置における記憶部が保持するSNRテーブルの一例を示す図である。
【0069】
図4を参照して、記憶部33は、たとえば、不揮発性メモリであり、自己の複数の温度と受信信号品質についての切り替え処理における判断基準との対応関係を保持する。この切り替え処理については後述する。
【0070】
より詳細には、記憶部33には、たとえば、上記対応関係の一例であるSNRテーブルST1が通信ポート34ごとに登録されている。
【0071】
SNRテーブルST1には、たとえば、基板36の温度Taと温度Taにおいて切り替え処理を行うべきしきい値Th1との対応関係が含まれる。
【0072】
SNRテーブルST1は、たとえば、以下の方法により作成される。すなわち、開発者は、たとえば、対象の通信ポート34経由で受信したイーサネットフレームに含まれるデータに基づいてCRC(Cyclic Redundancy Check)値を計算する。開発者は、計算したCRC値と当該イーサネットフレームにおけるFCS(Frame Check Sequence)フィールドに含まれる値(以下、FCS値とも称する。)とを比較する。
【0073】
開発者は、たとえば、ある温度Taにおいて、SNRを変化させながらCRC値とFCS値との不一致の発生確率を記録する。そして、開発者は、不一致の発生確率が所定値を超えるSNRを当該温度Taにおける対象の通信ポート34のしきい値Th1として採用する。
【0074】
開発者は、他の温度Taにおいても同様にしきい値Th1を決定することによりSNRテーブルST1を完成させる。
【0075】
また、記憶部33には、たとえば、車載通信システム301における各装置の接続トポロジを示す経路情報が登録されている。
【0076】
制御部32は、スイッチ部31によって測定された、使用すべき通信ポート34として選択されている使用ポートの受信信号品質に基づいて、使用ポートを他の通信ポート34に切り替えるか否かを判断する切り替え処理を行う。
【0077】
ここで、使用ポートは、たとえば、経路指定情報により指定された通信ポート34である。具体的には、
図3に示すスイッチ装置101Aにおいて、車内通信デバイス111Aから111Cへ送信されるイーサネットフレームについてスイッチ装置101Cへ直接送信すべき旨を経路指定情報が含む場合、通信ポート34Bが使用ポートとなる。
【0078】
また、車内通信デバイス111Aから111Cへ送信されるイーサネットフレームについてスイッチ装置101Bを介してスイッチ装置101Cへ送信すべき旨を経路指定情報が含む場合、通信ポート34Aが使用ポートとなる。
【0079】
なお、使用ポートは、固定的に運用されてもよいし、流動的に運用されてもよい。使用ポートが流動的に運用される場合、たとえば、イーサネットフレームの送信元および宛先に応じて使用ポートを変更してもよい。具体的には、車内通信デバイス111Aから111Cへ送信されるイーサネットフレームに対しては、通信ポート34Bを使用ポートに用いるとともに、車内通信デバイス111Aからスイッチ装置101Cに直接接続された車内通信デバイス111である車内通信デバイス111Dへ送信されるイーサネットフレームに対しては、通信ポート34Aを使用ポートに用いてもよい。
【0080】
制御部32は、たとえば、自己のスイッチ装置101の温度を取得する。具体的には、制御部32は、温度情報を温度センサ35から受ける。
【0081】
制御部32は、たとえば、使用ポートの受信信号品質、取得した温度、およびSNRテーブルST1に基づいて上記切り替え処理を行う。言い換えると、制御部32は、たとえば、使用ポートの受信信号品質、および温度Taに対応する上記判断基準を用いて上記切り替え処理を行う。
【0082】
制御部32は、温度センサ35から受けた温度情報の示す温度Taの計測結果、およびSNRテーブルST1に基づいて、通信ポート34ごとのしきい値Th1を認識する。
【0083】
また、制御部32は、たとえば、スイッチ部31から受けるSNR情報に基づいて、スイッチ部31が各通信ポート34経由で受信する信号のSNRを監視し、監視結果を示すステータス情報を更新する。
【0084】
制御部32は、たとえば、監視しているSNRが所定条件C1を満たした場合、他のスイッチ装置101における通信ポート34の受信信号品質およびSNRテーブルST1を取得する。
【0085】
ここで、所定条件C1は、たとえば、監視しているSNRが対応のしきい値Th1を下回った場合、監視しているSNRが対応のしきい値Th1を下回る恐れがある場合、および監視しているSNRが対応のしきい値Th1より小さい状態が所定時間継続した場合等である。
【0086】
制御部32は、たとえば、所定条件C1を満たすSNRが存在する場合、以下の切り替え処理を開始する。
【0087】
以下では、スイッチ装置101Aの制御部32において行われる切り替え処理について説明するが、スイッチ装置101B,101Cの制御部32においても同様の切り替え処理が行われる。
【0088】
ここで、たとえば、スイッチ装置101Aにおける通信ポート34Bの受信信号のSNRが所定条件C1を満たす状況を想定する(
図3参照)。
【0089】
また、スイッチ装置101Aおよび101C間でやり取りされるイーサネットフレームは、スイッチ装置101Aにおける通信ポート34Bおよびスイッチ装置101Cにおける通信ポート34Aを介して行われる状況を想定する。
【0090】
したがって、スイッチ装置101Aおよび101Cにおける使用ポートは、それぞれ通信ポート34Bおよび34Aである。
【0091】
以下、スイッチ装置101Aにおける通信ポート34B、およびスイッチ装置101Cにおける通信ポート34Aを経由する、スイッチ装置101Aおよびスイッチ装置101C間の経路を、使用経路とも称する。
【0092】
スイッチ装置101Aにおいて、制御部32は、記憶部33における経路情報に基づいて、スイッチ装置101Aにおける通信ポート34A、スイッチ装置101Bにおける通信ポート34A,34Bおよびスイッチ装置101Cにおける通信ポート34Bを経由する、スイッチ装置101Aおよびスイッチ装置101C間の経路を代替経路として認識する。
【0093】
そして、制御部32は、送信元アドレスおよび宛先アドレスとして、それぞれスイッチ装置101Aにおける通信ポート34Bに対応するアドレス、およびスイッチ装置101Cにおける通信ポート34Aに対応するアドレスを含むヘルスチェックパケットHCP1を作成する。
【0094】
同様に、制御部32は、送信元アドレスおよび宛先アドレスとして、それぞれスイッチ装置101Aにおける通信ポート34Aに対応するアドレス、およびスイッチ装置101Cにおける通信ポート34Bに対応するアドレスを含むヘルスチェックパケットHCP2を作成する。
【0095】
制御部32は、作成したヘルスチェックパケットHCP1およびHCP2をそれぞれ通信ポート34Bおよび34A経由で送信する。
【0096】
スイッチ装置101Bにおいて、制御部32は、通信ポート34Aおよびスイッチ部31経由でスイッチ装置101AからヘルスチェックパケットHCP2を受信すると、受信したときのSNR、通信ポート34Aのアドレス、温度Taおよび対応のSNRテーブルST1をヘルスチェックパケットHCP2におけるデータフィールドに書き込む。そして、制御部32は、ヘルスチェックパケットHCP2をスイッチ部31および通信ポート34B経由で送信する。
【0097】
スイッチ装置101Cにおいて、制御部32は、通信ポート34Bおよびスイッチ部31経由でスイッチ装置101BからヘルスチェックパケットHCP2を受信すると、受信したときのSNR、通信ポート34Bに対応するアドレス、温度Taおよび対応のSNRテーブルST1をヘルスチェックパケットHCP2におけるデータフィールドに書き込む。
【0098】
そして、制御部32は、ヘルスチェックパケットHCP2の送信元アドレスおよび宛先アドレスを、それぞれスイッチ装置101Cにおける通信ポート34Bに対応するアドレス、およびスイッチ装置101Aにおける通信ポート34Aに対応するアドレスに書き換えた後、ヘルスチェックパケットHCP2をスイッチ部31および通信ポート34B経由で送信する。
【0099】
スイッチ装置101Bにおいて、制御部32は、通信ポート34Bおよびスイッチ部31経由でスイッチ装置101CからヘルスチェックパケットHCP2を受信すると、受信したときのSNR、通信ポート34Bに対応するアドレス、温度Taおよび対応のSNRテーブルST1をヘルスチェックパケットHCP2におけるデータフィールドに書き込む。そして、制御部32は、ヘルスチェックパケットHCP2をスイッチ部31および通信ポート34A経由で送信する。
【0100】
また、スイッチ装置101Cにおいて、制御部32は、通信ポート34Aおよびスイッチ部31経由でスイッチ装置101AからヘルスチェックパケットHCP1を受信すると、受信したときのSNR、通信ポート34Aに対応するアドレス、温度Taおよび対応のSNRテーブルST1をヘルスチェックパケットHCP1におけるデータフィールドに書き込む。
【0101】
そして、制御部32は、ヘルスチェックパケットHCP1の送信元アドレスおよび宛先アドレスを、それぞれスイッチ装置101Cにおける通信ポート34Aに対応するアドレス、およびスイッチ装置101Aにおける通信ポート34Bに対応するアドレスに書き換えた後、ヘルスチェックパケットHCP1をスイッチ部31および通信ポート34A経由で送信する。
【0102】
スイッチ装置101Aにおいて、制御部32は、通信ポート34Aおよびスイッチ部31経由でヘルスチェックパケットHCP2を受信し、また、通信ポート34Bおよびスイッチ部31経由でヘルスチェックパケットHCP1を受信する。
【0103】
制御部32は、たとえば、取得した他のスイッチ装置101における通信ポート34のSNR、温度TaおよびSNRテーブルST1にさらに基づいて切り替え処理を行う。
【0104】
より詳細には、制御部32は、ヘルスチェックパケットHCP1およびHCP2におけるデータフィールドにそれぞれ書き込まれた内容に基づいて、使用経路および代替経路のいずれの通信品質が優れているかを判断する。
【0105】
具体的には、制御部32は、たとえば、使用経路におけるヘルスチェックパケットHCP2の受信時のSNRと温度Taに対応するしきい値Th1との差を集計することにより使用経路の通信品質を点数化する。
【0106】
同様に、制御部32は、たとえば、代替経路におけるヘルスチェックパケットHCP1の受信時のSNRと温度Taに対応するしきい値Th1との差を集計することにより代替経路の通信品質を点数化する。
【0107】
制御部32は、使用経路の点数が代替経路の点数以上である場合、使用経路の通信品質が代替経路の通信品質より優れていると判定し、使用ポートを通信ポート34Bのまま維持すべきと判断する。
【0108】
一方、制御部32は、使用経路の点数が代替経路の点数より小さい場合、代替経路の通信品質が使用経路の通信品質より優れていると判定し、使用ポートを通信ポート34Bから通信ポート34Aに切り替えるべきと判断する。
【0109】
そして、制御部32は、車内通信デバイス111Aから111Cへ送信されるイーサネットフレームについてスイッチ装置101Bを介してスイッチ装置101Cへ送信すべき旨を含む経路指定情報を作成し、作成した経路指定情報をスイッチ部31へ出力する。
【0110】
また、制御部32は、たとえば、切り替え処理を行うごとに、処理内容をログに記録する。
【0111】
[動作]
車載通信システム301における各装置は、コンピュータを備え、当該コンピュータにおけるCPU等の演算処理部は、以下のシーケンス図またはフローチャートの各ステップの一部または全部を含むプログラムを図示しないメモリからそれぞれ読み出して実行する。これら複数の装置のプログラムは、それぞれ、外部からインストールすることができる。これら複数の装置のプログラムは、それぞれ、記録媒体に格納された状態で流通する。
【0112】
図5は、本発明の第1の実施の形態に係る監視システムにおけるスイッチ装置が切り替え処理を行う際の動作手順を定めたフローチャートである。
【0113】
図5を参照して、まず、スイッチ装置101は、イーサネットフレームを他の装置から受信するまで待機する(ステップS102でNO)。
【0114】
そして、スイッチ装置101は、イーサネットフレームを他の装置から受信すると(ステップS102でYES)、イーサネットフレームの受信信号のSNRを測定する(ステップS104)。
【0115】
次に、スイッチ装置101は、測定した受信信号のSNRが所定条件C1を満たす場合(ステップS106でYES)、ヘルスチェックパケットを他のスイッチ装置101へ送信することにより、他のスイッチ装置101におけるSNR、温度TaおよびSNRテーブルST1を取得する(ステップS108)。
【0116】
次に、スイッチ装置101は、自己の受信信号のSNR、温度TaおよびSNRテーブルST1、ならびに他のスイッチ装置101のSNR、温度TaおよびSNRテーブルST1に基づいて切り替え処理を行う(ステップS110)。
【0117】
次に、スイッチ装置101は、使用ポートを他の通信ポート34に切り替えるべきと判断した場合(ステップS112でYES)、使用ポートを当該他の通信ポート34へ切り替える(ステップS114)。
【0118】
次に、スイッチ装置101は、測定した受信信号のSNRが所定条件C1を満たさないか(ステップS106でNO)、使用ポートを他の通信ポート34に切り替えるべきと判断しないか(ステップS112でNO)、または使用ポートを当該他の通信ポート34へ切り替えると(ステップS114)、新たなイーサネットフレームを他の装置から受信するまで待機する(ステップS102でNO)。
【0119】
なお、本発明の第1の実施の形態に係る車載通信システムは、スイッチ装置101A,101B,101Cを備える構成であるとしたが、これに限定するものではない。車載通信システム301は、4つ以上のスイッチ装置101を備える構成であってもよい。
【0120】
また、本発明の第1の実施の形態に係るスイッチ装置は、3つ以上の通信ポート34を備える構成であるとしたが、これに限定するものではない。スイッチ装置101は、2つの通信ポート34を備える構成であってもよい。
【0121】
また、本発明の第1の実施の形態に係るスイッチ装置では、制御部32は、使用ポートの受信信号のSNR、温度TaおよびSNRテーブルST1、ならびに他のスイッチ装置101における各通信ポート34の受信信号のSNR、温度TaおよびSNRテーブルST1に基づいて切り替え処理を行う構成であるとしたが、これに限定するものではない。制御部32は、使用ポートの受信信号のSNRに基づいて切り替え処理を行う構成であってもよい。具体的には、制御部32は、たとえば、使用ポートの受信信号のSNRと所定のしきい値との大小関係に基づいて切り替え処理を行う。また、制御部32は、使用ポートの受信信号のSNR、温度TaおよびSNRテーブルST1に基づいて切り替え処理を行う構成であってもよい。
【0122】
また、本発明の第1の実施の形態に係るスイッチ装置では、SNRテーブルST1が通信ポート34ごとに記憶部33に登録される構成であるとしたが、これに限定するものではない。スイッチ装置101では、各通信ポート34について共通のSNRテーブルST1が記憶部33に登録される構成であってもよい。
【0123】
また、本発明の第1の実施の形態に係るスイッチ装置では、基板36の温度Taを切り替え処理に用いる構成であるとしたが、これに限定するものではない。スイッチ装置101では、制御部32の温度およびスイッチ部31の温度等を切り替え処理に用いる構成であってもよい。
【0124】
ところで、たとえば、特許文献1に記載の冗長構成を車載ネットワークに適用する構成が考えられる。しかしながら、車両では、スペースに制約があるため、エンジンおよびモータ等の雑音源と信号線とが近接する配置となることがある。
【0125】
このような配置となる場合、雑音源の動作に応じて通信環境が急激に悪化するため、たとえば信号線よって伝送される信号のノイズレベルが急激に上昇し、通信品質が低下する。この場合、通信が困難になることもあり、好ましくない。車載ネットワークにおける冗長切り替えを通信環境に応じて適切に行うことが可能な技術が求められる。
【0126】
これに対して、本発明の第1の実施の形態に係る車載通信システムは、車両に搭載される。スイッチ装置101A、101Bおよび101Cの各々は、通信ポート34Aおよび34Bを有する。スイッチ装置101Aの通信ポート34Aおよび34Bが、スイッチ装置101Bの通信ポート34Aおよびスイッチ装置101Cの通信ポート34Aにそれぞれ接続される。スイッチ装置101Bの通信ポート34Bおよびスイッチ装置101Cの通信ポート34Bが接続される。スイッチ装置101A、101Bおよび101Cの各々は、自己の通信ポート34Aの受信信号品質および自己の通信ポート34Bの受信信号品質を測定する。そして、スイッチ装置101A、101Bおよび101Cの各々は、自己の通信ポート34Aおよび34Bのうち、使用すべき通信ポート34として選択している使用ポートの受信信号品質に基づいて、使用ポートを他の通信ポート34に切り替えるか否かを判断する切り替え処理を行う。
【0127】
このように、各スイッチ装置101において通信ポート34Aおよび34Bの受信信号品質を測定する構成により、たとえば、使用ポートの信号についてノイズレベルの上昇による受信信号品質の低下を検知した場合に、使用ポートを他の通信ポート34に切り替えるべきと適切に判断し、使用ポートを他の通信ポート34に切り替えることができる。これにより、使用ポートを経由する通信経路を、他の通信ポート34を経由する通信経路に切り替える冗長切り替えを適切に行うことができるので、通信が困難な状況が継続してしまうことを防ぐことができる。したがって、車載ネットワークにおける冗長切り替えを適切に行うことができる。
【0128】
また、本発明の第1の実施の形態に係る車載通信システムでは、スイッチ装置101A、101Bおよび101Cの各々は、自己の複数の温度Taと受信信号品質についての切り替え処理における判断基準との対応関係を保持する。そして、スイッチ装置101A、101Bおよび101Cの各々は、自己の温度を取得し、取得した温度および当該対応関係にさらに基づいて切り替え処理を行う。
【0129】
このような構成により、たとえば、受信信号の信号処理を良好に行うことが可能なSNRの下限が温度に応じて変化する場合において、スイッチ装置101の温度に応じた判断基準を上記対応関係から取得することができる。これにより、たとえば、上記信号処理を良好に行うことが困難な場合に、使用ポートを他の通信ポート34に切り替えるべきと判断することができる。
【0130】
また、本発明の第1の実施の形態に係る車載通信システムでは、スイッチ装置101A、101Bおよび101Cの各々は、通信ポート34ごとの対応関係を保持する。
【0131】
このような構成により、たとえば、受信信号の信号処理を良好に行うことが可能なSNRの下限の温度変化が通信ポート34ごとに異なる場合において、スイッチ装置101の温度および通信ポート34の別に応じた判断基準を上記対応関係から取得することができる。
【0132】
また、本発明の第1の実施の形態に係る車載通信システムでは、スイッチ装置101A、101Bおよび101Cの各々は、他のスイッチ装置101における通信ポート34の受信信号品質および対応関係を取得し、取得した受信信号品質および対応関係にさらに基づいて切り替え処理を行う。
【0133】
このような構成により、他のスイッチ装置101における受信信号の信号処理が良好に行われるか否かを判断することができるので、当該他のスイッチ装置101を経由して対象のスイッチ装置101へ至る通信経路と当該他のスイッチ装置101を経由せずに対象のスイッチ装置101へ至る通信経路との優劣を総合的に判断することができる。
【0134】
また、本発明の第1の実施の形態に係るスイッチ装置101は、車両に搭載される。スイッチ部31は、複数の通信ポート34の受信信号品質を測定する。そして、制御部32は、スイッチ部31によって測定された、使用すべき通信ポート34として選択されている使用ポートの受信信号品質に基づいて、使用ポートを他の通信ポート34に切り替えるか否かを判断する切り替え処理を行う。
【0135】
このように、スイッチ装置101において各通信ポート34の信号の受信信号品質を測定する構成により、たとえば、使用ポートの信号についてノイズレベルの上昇による受信信号品質の低下を検知した場合に、使用ポートを他の通信ポート34に切り替えるべきと適切に判断し、使用ポートを他の通信ポート34に切り替えることができる。これにより、使用ポートを経由する通信経路を、他の通信ポート34を経由する通信経路に切り替える冗長切り替えを適切に行うことができるので、通信が困難な状況が継続してしまうことを防ぐことができる。したがって、車載ネットワークにおける冗長切り替えを適切に行うことができる。
【0136】
次に、本発明の他の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0137】
<第2の実施の形態>
本実施の形態は、第1の実施の形態に係る車載通信システムと比べてイーサネットケーブルとは別のケーブルがスイッチ装置間をさらに接続する車載通信システムに関する。以下で説明する内容以外は第1の実施の形態に係る車載通信システムと同様である。
【0138】
図6は、本発明の第2の実施の形態に係る車載通信システムの構成を示す図である。
【0139】
図6を参照して、車載通信システム302は、スイッチ装置102A,102B,102Cを備える。以下、スイッチ装置102A,102B,102Cの各々をスイッチ装置102とも称する。
【0140】
図6に示す車内通信デバイス111、車外通信デバイス112、セントラルゲートウェイ113および制御デバイス114の動作は、
図1に示す車内通信デバイス111、車外通信デバイス112、セントラルゲートウェイ113および制御デバイス114とそれぞれ同様である。
【0141】
スイッチ装置102A、スイッチ装置102Bおよびスイッチ装置102Cの通信ポート34間は、たとえばイーサネットケーブル10で接続される。
【0142】
また、スイッチ装置102A、スイッチ装置102Bおよびスイッチ装置102C間は、たとえば、シリアル通信用のケーブル(以下、シリアルケーブルとも称する。)11でさらに接続される。
【0143】
[スイッチ装置102の構成]
図7は、本発明の第2の実施の形態に係る車載通信システムにおけるスイッチ装置の構成を示す図である。
【0144】
図7を参照して、スイッチ装置102は、スイッチ部(測定部)31と、制御部(切り替え処理部)42と、記憶部33と、複数の通信ポート34と、温度センサ35とを備える。
【0145】
スイッチ装置102におけるスイッチ部31、記憶部33、通信ポート34および温度センサ35の動作は、
図2に示すスイッチ装置101におけるスイッチ部31、記憶部33、通信ポート34および温度センサ35とそれぞれ同様である。
【0146】
制御部42には、シリアルケーブル11が接続されている。より詳細には、制御部42は、シリアルケーブル11を介して他のスイッチ装置102における制御部42に接続されている。
【0147】
制御部42は、シリアルケーブル11を介して他のスイッチ装置102における制御部42とシリアル通信を行う。
【0148】
具体的には、制御部42は、記憶部33におけるステータス情報、温度TaおよびSNRテーブルST1を含む切り替え判断用情報をシリアルケーブル11経由で他のスイッチ装置102に送信するとともに、他のスイッチ装置102の切り替え判断用情報をシリアルケーブル11経由で当該他のスイッチ装置102から取得する。
【0149】
より詳細には、制御部42は、たとえば、ステータス情報の示す監視対象のSNRが所定条件C1を満たした場合、他のスイッチ装置102から切り替え判断用情報をシリアルケーブル11経由で取得する。
【0150】
制御部42は、たとえば、自己のスイッチ装置102の切り替え判断用情報、および他のスイッチ装置102から取得した切り替え判断用情報に基づいて切り替え処理を行う。
【0151】
以上のように、本発明の第2の実施の形態に係る車載通信システムでは、スイッチ装置102A、102Bおよび102Cの通信ポート間は、イーサネット通信用のケーブルで接続される。そして、スイッチ装置102A、102Bおよび102C間は、さらにシリアル通信用のケーブルで接続される。
【0152】
このような構成により、他のスイッチ装置102における通信ポート34の受信信号品質および対応関係を専用のシリアル通信用のケーブルから確実に取得することができるので、切り替え処理を迅速に行うことができる。
【0153】
その他の構成および動作は第1の実施の形態に係る車載通信システムと同様であるため、ここでは詳細な説明を繰り返さない。
【0154】
なお、本発明の第1の実施の形態および第2の実施の形態に係る各装置の構成要素および動作のうち、一部または全部を適宜組み合わせることも可能である。
【0155】
上記実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0156】
以上の説明は、以下に付記する特徴を含む。
【0157】
[付記1]
車両に搭載される車載通信システムであって、
各々が、第1の通信ポートおよび第2の通信ポートを有する第1のスイッチ装置、第2のスイッチ装置および第3のスイッチ装置を備え、
前記第1のスイッチ装置の第1の通信ポートおよび第2の通信ポートが、前記第2のスイッチ装置の第1の通信ポートおよび前記第3のスイッチ装置の第1の通信ポートにそれぞれ接続され、
前記第2のスイッチ装置の第2の通信ポートおよび前記第3のスイッチ装置の第2の通信ポートが接続され、
前記第1のスイッチ装置、前記第2のスイッチ装置および前記第3のスイッチ装置の各々は、自己の第1の通信ポートの受信信号品質および自己の第2の通信ポートの受信信号品質を測定し、
前記第1のスイッチ装置、前記第2のスイッチ装置および前記第3のスイッチ装置の各々は、自己の第1の通信ポートおよび第2の通信ポートのうち、使用すべき通信ポートとして選択している使用ポートの受信信号品質に基づいて、前記使用ポートを他の通信ポートに切り替えるか否かを判断する切り替え処理を行い、
前記第1のスイッチ装置、前記第2のスイッチ装置および前記第3のスイッチ装置の各々は、自己の第1の通信ポートのSNR(Signal−to−Noise Ratio)および自己の第2の通信ポートのSNRを測定し、前記使用ポートのSNRに基づいて前記切り替え処理を行う、車載通信システム。
【0158】
[付記2]
車両に搭載されるスイッチ装置であって、
複数の通信ポートと、
各前記通信ポートの受信信号品質を測定する測定部と、
前記測定部によって測定された、使用すべき通信ポートとして選択されている使用ポートの前記受信信号品質に基づいて、前記使用ポートを他の前記通信ポートに切り替えるか否かを判断する切り替え処理を行う切り替え処理部とを備え、
前記測定部は、前記各通信ポートのSNRを測定し、
前記切り替え処理部は、前記使用ポートのSNRに基づいて前記切り替え処理を行う、スイッチ装置。