(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態における蓄電素子について説明する。なお、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示したものではない。
【0026】
また、以下で説明する実施の形態及びその変形例は、それぞれ本発明の一具体例を示すものである。以下の実施の形態及び変形例で示される形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、製造工程の順序などは一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態及び変形例における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0027】
まず、
図1〜
図3を用いて、実施の形態における蓄電素子10の全般的な説明を行う。
【0028】
図1は、実施の形態に係る蓄電素子10の外観を示す斜視図である。
図2は、実施の形態に係る蓄電素子10の分解斜視図である。
図3は、実施の形態に係る蓋板構造体180の分解斜視図である。なお、
図3では、蓋板構造体180が有する正極集電体140及び負極集電体150に接合される正極リード板145及び負極リード板155は、点線で図示されている。
【0029】
また、
図1及び以降の図について、説明の便宜のため、Z軸方向を上下方向として説明しているが、実際の使用態様において、Z軸方向と上下方向とが一致しない場合もある。
【0030】
蓄電素子10は、電気を充電し、また、電気を放電することのできる二次電池であり、より具体的には、リチウムイオン二次電池などの非水電解質二次電池である。蓄電素子10は、例えば、電気自動車(EV)、ハイブリッド電気自動車(HEV)またはプラグインハイブリッド電気自動車(PHEV)等に適用される。なお、蓄電素子10は、非水電解質二次電池には限定されず、非水電解質二次電池以外の二次電池であってもよいし、キャパシタであってもよい。
【0031】
図1及び
図2に示すように、蓄電素子10は、電極体400と、電極体400を収容する容器100と、電極体400と電気的に接続された導電部材とを備える。本実施の形態では、当該導電部材として、正極集電体140及び負極集電体150等が蓄電素子10に備えられており、電極体400の上方に、正極集電体140及び負極集電体150を含む蓋板構造体180が配置されている。
【0032】
蓋板構造体180は、容器100の蓋板110、正極端子200、負極端子300、上部絶縁部材125及び135、下部絶縁部材120及び130、並びに、正極集電体140及び負極集電体150を有する。
【0033】
正極端子200は、正極集電体140を介して電極体400の正極と電気的に接続され、負極端子300は、負極集電体150を介して電極体400の負極と電気的に接続される。これら正極集電体140等の、電極体400と電気的に接続される導電部材のそれぞれは、下部絶縁部材120等の絶縁部材によって容器100と絶縁されている。
【0034】
上部絶縁部材125及び135並びに下部絶縁部材120及び130のそれぞれは、容器100の壁部と導電部材との間に配置された絶縁部材である。本実施の形態では、略直方体の外形を有する容器100を形成する6つの壁部のうちの、上壁部を形成する蓋板110に沿って各絶縁部材が配置されている。
【0035】
本実施の形態に係る蓄電素子10は上記構成に加え、蓋板構造体180と、電極体400との間に配置された、上部スペーサ500と緩衝シート600とを有する。
【0036】
上部スペーサ500は、電極体400の、タブ部410及び420が設けられた側と蓋板110との間に配置され、蓋板構造体180の一部に係止される係止部510を有している。言い換えると、上部スペーサ500は、蓋板構造体180の一部に引っ掛かる部分である係止部510を有している。
【0037】
具体的には、上部スペーサ500は全体として平板状であり、かつ、2つの係止部510と、タブ部410及び420が挿入される(タブ部410及び420を貫通させる)2つの開口部520とを有している。本実施の形態では、開口部520は、上部スペーサ500において切り欠き状に設けられている。上部スペーサ500は、例えば、ポリカーボネート(PC)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、または、ポリフェニレンサルファイド樹脂(PPS)等の絶縁性を有する素材によって形成されている。
【0038】
上部スペーサ500は、例えば、電極体400の上方(蓋板110の方向)への移動を直接的もしくは間接的に規制する部材、または、蓋板構造体180と電極体400との間における短絡を防止する部材として機能する。上部スペーサ500は、2つの係止部510を有し、2つの係止部510のそれぞれは、蓋板構造体180が有する取付部122または132に係止される。緩衝シート600は、発泡ポリエチレンなどの、柔軟性の高い多孔質の素材で形成されており、電極体400と上部スペーサ500との間の緩衝材として機能する部材である。
【0039】
また、本実施の形態では、電極体400の、電極体400と蓋板110との並び方向(Z軸方向)と交差する方向の側面(本実施の形態ではX軸方向の両側面)と、容器100の内面との間にサイドスペーサ700が配置されている。サイドスペーサ700は、例えば、電極体400の位置を規制する役割を果たしている。サイドスペーサ700は、例えば上部スペーサ500と同様に、PC、PP、PE、またはPPS等の絶縁性を有する素材によって形成されている。
【0040】
なお、蓄電素子10は、
図1〜
図3に図示された要素に加え、例えば電極体400を包み込む絶縁フィルム、電極体400と容器100(本体111)の底面との間に配置された緩衝シートなど、他の要素を備えてもよい。また、蓄電素子10の容器100の内部には電解液(非水電解質)が封入されているが、電解液の図示は省略する。
【0041】
容器100は、矩形筒状で底を備える本体111と、本体111の開口を閉塞する板状部材である蓋板110とで構成されている。容器100は、全体として直方体の形状であり、上述のように6つの壁部で形成されている。具体的には、蓋板110によって形成される上壁部と、上壁部に対向する下壁部と、上壁部及び下壁部を接続する4つの側壁部とを有する。つまり、本体111により下壁部と4つの側壁部とが形成されている。
【0042】
また、容器100は、電極体400等を内部に収容後、蓋板110と本体111とが溶接等されることにより、内部を密封することができるものとなっている。なお、蓋板110及び本体111の材質は、特に限定されないが、例えばステンレス鋼、アルミニウム、アルミニウム合金など溶接可能な金属であるのが好ましい。
【0043】
蓋板110には、
図2及び
図3に示されるように、安全弁170、注液口117、貫通孔110a及び110b、並びに、突部である2つの膨出部160が形成されている。安全弁170は、容器100の内圧が上昇した場合に開放することで、容器100の内部のガスを放出する役割を有する。
【0044】
注液口117は、蓄電素子10の製造時に電解液を注液するための貫通孔である。また、
図1〜
図3に示すように、蓋板110には、注液口117を塞ぐように、注液栓118が配置されている。つまり、蓄電素子10の製造時に、注液口117から容器100内に電解液を注入し、注液栓118を蓋板110に溶接して注液口117を塞ぐことで、電解液が容器100内に収容される。
【0045】
なお、容器100に封入される電解液としては、蓄電素子10の性能を損なうものでなければその種類に特に制限はなく様々なものを選択することができる。
【0046】
2つの膨出部160のそれぞれは、容器100の壁部(本実施の形態では蓋板110)に設けられ、下部絶縁部材120または130とは反対側に膨出(突出)して形成された部分(突部)である。つまり、本実施の形態では、2つの膨出部160のそれぞれは、容器100の外部に向けて膨出して形成されている。膨出部160は、膨出部160が設けられた壁部である蓋板110の剛性を向上させるともに、少なくとも1つの絶縁部材の位置を規制する部分として機能する。本実施の形態では、膨出部160は、上部絶縁部材125(135)の位置決め(位置規制)に利用される。また、膨出部160の裏側(電極体400に対向する側)には上方に凹状の部分である凹部が形成されており、凹部の一部に、下部絶縁部材120(130)の係合部120b(130b)が係合する。これにより、下部絶縁部材120(130)も位置決めされ、その状態で蓋板110に固定される。蓄電素子10における、膨出部160に関する構造の詳細については、
図6〜
図9を用いて後述する。
【0047】
上部絶縁部材125は、正極端子200と蓋板110とを電気的に絶縁する部材であり、下部絶縁部材120は、正極集電体140と蓋板110とを電気的に絶縁する部材である。上部絶縁部材135は、負極端子300と蓋板110とを電気的に絶縁する部材であり、下部絶縁部材130は、負極集電体150と蓋板110とを電気的に絶縁する部材である。上部絶縁部材125及び135は、例えば上部パッキンと呼ばれる場合もあり、下部絶縁部材120及び130は、例えば下部パッキンと呼ばれる場合もある。つまり、本実施の形態では、上部絶縁部材125及び135並びに下部絶縁部材120及び130は、電極端子(200または300)と容器100との間を封止する機能も有している。
【0048】
なお、上部絶縁部材125及び135、並びに、下部絶縁部材120及び130は、例えば上部スペーサ500と同様に、PC、PP、PE、またはPPS等の絶縁性を有する素材によって形成されている。また、下部絶縁部材120の、注液口117の直下に位置する部分には、注液口117から流入する電解液を電極体400の方向に導く貫通孔121が設けられている。
【0049】
正極端子200は、正極集電体140を介して、電極体400の正極に電気的に接続された電極端子であり、負極端子300は、負極集電体150を介して、電極体400の負極に電気的に接続された電極端子である。つまり、正極端子200及び負極端子300は、電極体400に蓄えられている電気を蓄電素子10の外部空間に導出し、また、電極体400に電気を蓄えるために蓄電素子10の内部空間に電気を導入するための金属製の電極端子である。なお、正極端子200及び負極端子300は、アルミニウムまたはアルミニウム合金などで形成されている。
【0050】
また、正極端子200には、容器100と正極集電体140とを締結する締結部210が設けられ、負極端子300には、容器100と負極集電体150とを締結する締結部310が設けられている。
【0051】
締結部210は、正極端子200から下方に延設された部材(リベット)であり、正極集電体140の貫通孔140aに挿入されてかしめられる。具体的には、締結部210は、上部絶縁部材125の貫通孔125a、蓋板110の貫通孔110a、下部絶縁部材120の貫通孔120a、及び、正極集電体140の貫通孔140aに挿入されてかしめられる。これにより、正極端子200と正極集電体140とが電気的に接続され、正極集電体140は、正極端子200、上部絶縁部材125及び下部絶縁部材120とともに、蓋板110に固定される。
【0052】
締結部310は、負極端子300から下方に延設された部材(リベット)であり、負極集電体150の貫通孔150aに挿入されてかしめられる。具体的には、締結部310は、上部絶縁部材135の貫通孔135a、蓋板110の貫通孔110b、下部絶縁部材130の貫通孔130a、及び、負極集電体150の貫通孔150aに挿入されてかしめられる。これにより、負極端子300と負極集電体150とが電気的に接続され、負極集電体150は、負極端子300、上部絶縁部材135及び下部絶縁部材130とともに、蓋板110に固定される。
【0053】
なお、締結部210は、正極端子200との一体物として形成されていてもよく、正極端子200とは別部品として作製された締結部210が、かしめまたは溶接などの手法によって正極端子200に固定されていてもかまわない。締結部310と負極端子300との関係についても同様である。
【0054】
正極集電体140は、電極体400と容器100との間に配置され、電極体400と正極端子200とを電気的に接続する部材である。正極集電体140は、アルミニウムまたはアルミニウム合金などで形成されている。本実施の形態では、正極集電体140は、正極リード板145を介して電極体400の正極側のタブ部410と電気的に接続される。
【0055】
負極集電体150は、電極体400と容器100との間に配置され、電極体400と負極端子300とを電気的に接続する部材である。負極集電体150は、銅または銅合金などで形成されている。本実施の形態では、負極集電体150は、負極リード板155を介して電極体400の負極側のタブ部420と電気的に接続される。
【0056】
なお、リード板を介した集電体とタブ部との接続部分の詳細については、
図5を用いて後述する。
【0057】
次に、電極体400の構成について、
図4を用いて説明する。
図4は、実施の形態に係る電極体400の構成を示す斜視図である。なお、
図4では、電極体400の巻回状態を一部展開して図示している。
【0058】
電極体400は、電気を蓄えることができる発電要素であり、
図4に示すように、正極450及び負極460と、セパレータ470a及び470bとが交互に積層されかつ巻回されることで形成されている。つまり、電極体400は、正極450と、セパレータ470aと、負極460と、セパレータ470bとがこの順に積層され、かつ、断面が長円形状になるように巻回されることで形成されている。また、電極体400は、セパレータ470a及び470bが巻回軸方向側(Z軸方向プラス側及びマイナス側)に突出して形成されている。これにより、当該巻回軸方向側において電極体400が他の導電部材と短絡することを抑制することができている。
【0059】
正極450は、アルミニウムまたはアルミニウム合金などからなる長尺帯状の金属箔である正極基材層の表面に、正極活物質層が形成された電極板である。なお、正極活物質層に用いられる正極活物質としては、リチウムイオンを吸蔵放出可能な正極活物質であれば、適宜公知の材料を使用できる。例えば、正極活物質として、LiMPO
4、LiMSiO
4、LiMBO
3(MはFe、Ni、Mn、Co等から選択される1種または2種以上の遷移金属元素)等のポリアニオン化合物、チタン酸リチウム、マンガン酸リチウム等のスピネル化合物、LiMO
2(MはFe、Ni、Mn、Co等から選択される1種または2種以上の遷移金属元素)等のリチウム遷移金属酸化物等を用いることができる。
【0060】
負極460は、銅または銅合金などからなる長尺帯状の金属箔である負極基材層の表面に、負極活物質層が形成された電極板である。なお、負極活物質層に用いられる負極活物質としては、リチウムイオンを吸蔵放出可能な負極活物質であれば、適宜公知の材料を使用できる。例えば、負極活物質として、リチウム金属、リチウム合金(リチウム−アルミニウム、リチウム−鉛、リチウム−錫、リチウム−アルミニウム−錫、リチウム−ガリウム、及びウッド合金等のリチウム金属含有合金)の他、リチウムを吸蔵・放出可能な合金、炭素材料(例えば黒鉛、難黒鉛化炭素、易黒鉛化炭素、低温焼成炭素、非晶質カーボン等)、金属酸化物、リチウム金属酸化物(Li
4Ti
5O
12等)、ポリリン酸化合物などが挙げられる。
【0061】
セパレータ470a及び470bは、樹脂からなる微多孔性のシートである。なお、蓄電素子10に用いられるセパレータ470a及び470bの素材としては、蓄電素子10の性能を損なうものでなければ適宜公知の材料を使用できる。
【0062】
正極450は、巻回軸方向の一端において外方に突出する複数の突出部411を有する。負極460も同様に、巻回軸方向の一端において外方に突出する複数の突出部421を有する。これら、複数の突出部411及び複数の突出部421は、活物質が塗工されず基材層が露出した部分(活物質未塗工部)である。
【0063】
なお、巻回軸とは、正極450及び負極460等を巻回する際の中心軸となる仮想的な軸であり、本実施の形態では、電極体400の中心を通るZ軸方向に平行な直線である。
【0064】
複数の突出部411と複数の突出部421とは、巻回軸方向の同一側の端(
図4におけるZ軸方向プラス側の端)に配置され、正極450及び負極460が積層されることにより、電極体400の所定の位置で積層される。具体的には、複数の突出部411は、正極450が巻回によって積層されることにより、巻回軸方向の一端において周方向の所定の位置で積層される。また、複数の突出部421は、負極460が巻回によって積層されることにより、巻回軸方向の一端において、複数の突出部411が積層される位置とは異なる周方向の所定の位置で積層される。
【0065】
その結果、電極体400には、複数の突出部411が積層されることで形成されたタブ部410と、複数の突出部421が積層されることで形成されたタブ部420とが形成される。タブ部410は、例えば積層方向の中央に向かって寄せ集められて、正極リード板145と、例えば超音波溶接によって接合される。また、タブ部420は、例えば積層方向の中央に向かって寄せ集められて、負極リード板155と、例えば超音波溶接によって接合される。タブ部410と接合された正極リード板145は、正極集電体140と接合され、タブ部420と接合された負極リード板155は負極集電体150と接合される。
【0066】
なお、タブ部(410、420)は、電極体400において、電気の導入及び導出を行う部分であり、「リード(部)」、「集電部」等の他の名称が付される場合もある。
【0067】
ここで、タブ部410は、基材層が露出した部分である突出部411が積層されることで形成されているため、発電に寄与しない部分となる。同様に、タブ部420は、基材層が露出した部分である突出部421が積層されることで形成されているため、発電に寄与しない部分となる。一方、電極体400のタブ部410及び420と異なる部分は、基材層に活物質が塗工された部分が積層されることで形成されているため、発電に寄与する部分となる。以降、当該部分を発電部分430と称する。
【0068】
次に、リード板を介した集電体とタブ部との接続部分の構成例について
図5を用いて説明する。
【0069】
図5は、実施の形態に係る正極リード板145及びその周辺の構造を示す断面概要図である。なお、
図5には、
図3におけるV−V線を通るYZ平面で切断した場合の蓄電素子10の一部の断面が図示されており、X軸方向マイナス側のサイドスペーサ700(
図2参照)の図示は省略されている。また、電極体400は簡略化されて図示されている。
【0070】
図5に示すように、電極体400のタブ部410と、正極集電体140とは、断面がU字状の正極リード板145を介して電気的に接続されている。このような接続構造は、例えば以下の手順で作製される。
【0071】
平板状の正極リード板145の端部(第一端部)と電極体400のタブ部410とを、例えば超音波溶接によって接合する。さらに、正極リード板145の第一端部とは反対側の端部(第二端部)を、蓋板構造体180に組み込まれた正極集電体140と、例えばレーザー溶接によって接合する。その後、正極リード板145を、第一端部と第二端部との間の所定の位置で折り曲げることでU字状に変形させる。その結果、
図5に示すように、断面がU字状の正極リード板145を介した、電極体400のタブ部410と正極集電体140との接続構造が形成される。
【0072】
また、電極体400の、タブ部410が設けられた側と蓋板110との間に上部スペーサ500が配置されている。より詳細には、上部スペーサ500によって、タブ部410と正極リード板145との接合部分と、電極体400の発電部分430とが仕切られている。タブ部410は、上部スペーサ500に設けられた開口部520に挿入されて配置されている。また、上部スペーサ500と電極体400の発電部分430との間には、
図5に示すように、緩衝シート600が挟まれている。
【0073】
なお、
図5では正極リード板145周辺の構造について図示し、その説明を行ったが、負極リード板155周辺の構造も同様である。すなわち、電極体400のタブ部420と、負極集電体150とは、断面がU字状の負極リード板155(例えば
図2参照)を介して電気的に接続されている。また、上部スペーサ500によって、タブ部420と負極リード板155との接合部分と、電極体400の発電部分430とが仕切られており、タブ部420は、上部スペーサ500に設けられた開口部520に挿入されて配置される。
【0074】
このように、電極体400と、正極集電体140及び負極集電体150とを、正極リード板145及び負極リード板155とを介して接続することで、電極体400のタブ部410及び420の長さ(巻回軸方向(Z軸方向)の長さ)を比較的短くすることができる。
【0075】
つまり、電極体400の製造に必要な、正極450及び負極460の電極板の幅(巻回軸方向(Z軸方向)の長さ)を比較的短くすることができる。このことは、例えば電極体400の製造効率の観点から有利である。
【0076】
また、電極体400の発電部分430と蓋板110との間に上部スペーサ500を配置することで、発電部分430と蓋板110とを、上部スペーサ500を挟んで近づけることが可能となる。これにより、例えば、容器100の容積に占める電極体400の割合を増加させることが可能となる。
【0077】
ここで、本実施の形態に係る蓄電素子10では、正極集電体140等の導電部材と、容器100の蓋板110との間には、例えば樹脂で形成された絶縁部材が配置されており、蓋板110の膨出部160を利用して絶縁部材の位置規制がなされている。また、膨出部160は、蓋板110の剛性を向上させる部分としても機能する。これらの特徴を、
図6〜
図9を用いて説明する。
【0078】
図6は、実施の形態に係る蓋板110と、下部絶縁部材120及び130との構造上の関係を示す分解斜視図である。
図7は、実施の形態に係る蓋板110と、上部絶縁部材125及び135との構造上の関係を示す分解斜視図である。
【0079】
なお、
図6では、蓋板110において膨出部160の裏側に形成された凹部162を図示するために、蓋板110について、下部絶縁部材120及び130から離して、かつ、X軸回りに90度回転させて図示している。また、
図7では、上部絶縁部材125及び135が有する係合部126及び136を図示するために、上部絶縁部材125及び135について、蓋板110から離して、かつ、X軸回りに90度回転させて図示している。
【0080】
図6に示すように、下部絶縁部材120の少なくとも一部は、正極集電体140と蓋板110との間に配置され、下部絶縁部材130の少なくとも一部は、導電部材の一例である負極集電体150と蓋板110との間に配置される。なお、本実施の形態において、下部絶縁部材120及び130のそれぞれは第一絶縁部材の一例であり、正極集電体140及び負極集電体150のそれぞれは、第一絶縁部材の絶縁対象物である導電体の一例である。
【0081】
これら下部絶縁部材120及び130のそれぞれは、蓋板110において膨出部160の裏側に形成された凹部162の一部である規制部163と係合する係合部を有する。具体的には、下部絶縁部材120は、蓋板110側に突出して形成された係合部120bを有し、下部絶縁部材130は、蓋板110側に突出して形成された係合部130bを有する。
【0082】
ここで、膨出部160は、例えば金属板である蓋板110の一部を、プレス加工等によって膨出状に形成することで得られた部分であり、例えば「ビード」と呼ばれる部分である。つまり、蓋板110は、1以上の膨出部160を有していることで、蓋板110の剛性が向上されている。
【0083】
また、凹部162は、膨出部160が、蓋板110の厚み方向における一方の側に膨出しているために、その裏側に形成された部分であり、凹部162の一部である規制部163が下部絶縁部材120(130)との係合に利用されている。
【0084】
つまり、凹部162は、下部絶縁部材120(130)の位置を規制する規制部163以外の、凹状の部分を有している。すなわち、凹部162(反対側から見た場合の膨出部160)は、その一部によって下部絶縁部材120(130)の位置を規制しつつ、全体として蓋板110の剛性を向上させる部分として機能する。言い換えると、凹部162は、下部絶縁部材120(130)との係合に用いられる部分以外に、当該係合に用いられない、凹状に形成された部分を余剰に有している。これにより、凹部162(膨出部160)による、蓋板110の剛性の向上効果が高められている。さらに、下部絶縁部材120(130)には、凹部の一部である規制部にしか係合しない係合部120b(130b)を設けるだけでよいので、下部絶縁部材120(130)を軽量化することができる。
【0085】
このような機能を有する凹部162(膨出部160)は、上述のように、例えば蓋板110の一部に対するプレス加工等によって形成することができるため、比較的容易に蓄電素子10に備えさせることができる。
【0086】
このように、本態様の蓄電素子10は、導電部材と容器100の壁部である蓋板110との間に配置された絶縁部材を備える蓄電素子10であって、簡易な構造で剛性が向上された蓋板110を備える蓄電素子10である。
【0087】
また、
図7に示すように、本実施の形態に係る蓋板110において、下部絶縁部材120及び130が配置された面とは反対側の面に上部絶縁部材125及び135が配置されている。なお、本実施の形態では、上部絶縁部材125及び135のそれぞれは第二絶縁部材の一例である。
【0088】
また、蓋板110において、2つの膨出部160のそれぞれは、下部絶縁部材120及び130とは反対側(
図6におけるZ軸方向プラス側)に膨出して形成されている。つまり、蓋板110において、2つの膨出部160のそれぞれは、上部絶縁部材125及び135が配置された側に膨出状に形成されている。
【0089】
上記構成において、2つの膨出部160のそれぞれは、平面視(膨出方向(突出方向)から見た場合)の形状が非円形であり、上部絶縁部材125は、膨出部160と係合する係合部126を有する。また、上部絶縁部材135は、膨出部160と係合する係合部136を有する。
【0090】
このように、容器100の1つの壁部である蓋板110の剛性を向上させる膨出部160が、上部絶縁部材125(135)の位置規制に利用される。また、膨出部160は、平面視(膨出方向(突出方向)から見た場合)の形状が非円形であるため、膨出部160と係合する上部絶縁部材125(135)の膨出部160を中心とする回動を規制することができる。従って、例えば蓄電素子10の製造時において、膨出部160を、上部絶縁部材125(135)の位置及び姿勢の決定及び維持に利用することができる。また、その後も、膨出部160と上部絶縁部材125(135)との係合状態は維持されるため、使用時における、上部絶縁部材125(135)の正規の位置または姿勢の安定性が向上される。
【0091】
より詳細には、本実施の形態では、膨出部160は、容器100の外部に向けて(
図7におけるZ軸方向プラスの向きに)膨出して形成されている。また、正極端子200と、蓋板110の膨出部160が形成された面(外面)との間には、上部絶縁部材125の少なくとも一部が配置され、負極端子300と、蓋板110の外面との間には、上部絶縁部材135の少なくとも一部が配置される。また、正極集電体140と、蓋板110の内面との間には、下部絶縁部材120の少なくとも一部が配置され、負極集電体150と、蓋板110の内面との間には、下部絶縁部材130の少なくとも一部が配置される。
【0092】
このように、膨出部160は、容器100の外部に向けて膨出して形成されているため、例えば膨出部160が存在することによって、容器100の容積が削減されることがない。つまり、蓄電素子10の容量を犠牲にせずに、蓋板110の剛性の向上、及び、下部絶縁部材120(130)の位置規制等の機能を有する膨出部160を容器100に設けることができる。
【0093】
具体的には、本実施の形態に係る蓄電素子10は、容器100の内面に配置された下部絶縁部材120(130)と、容器100の外面に配置された上部絶縁部材125(135)とを、蓋板110の剛性を向上させる膨出部160の表側及び裏側の形状を利用して、正規の位置または姿勢に維持することができる。
【0094】
ここで、本実施の形態に係る電極体400は、正極450及び負極460が巻回されることで形成されている(
図4参照)。また、膨出部160は、容器100における、電極体400の巻回軸方向に存在する蓋板110において、電極体400とは反対側に膨出して形成されている。
【0095】
そのため、例えば、蓋板110に比較的に近い位置まで電極体400の発電部分430を配置することができ、これにより、蓄電素子10の容量の増加が図られ、かつ、膨出部160によって蓋板110の剛性が向上される。つまり、蓄電素子10の容量を増加させ、かつ、安全性を維持または向上させることが可能となる。
【0096】
なお、本実施の形態では、上部スペーサ500及び緩衝シート600が、発電部分430の上方に配置される。そのため、仮に、容器100内において、微小な金属片等の異物が存在する場合であっても、積層方向に並ぶセパレータ470a及び470bの端縁の隙間から発電部分430の内方への当該異物の侵入が、上部スペーサ500または緩衝シート600によって抑制される。
【0097】
また、本実施の形態では、例えば
図7に示されるように、膨出部160は、当該膨出方向(突出方向)から見た場合の形状が、蓋板110の短手方向(Y軸方向)に長尺状である。
【0098】
ここで、本実施の形態に係る蓋板110は、全体としてX軸方向に長尺状の矩形の形状を有しており、容器100の内圧が向上した場合、短手方向の中央が上方に膨らむように変形する。この変形を抑制しない場合、蓋板110において、例えば、予期せぬ位置での破断等が発生し得る。がそこで、本実施の形態に係る蓄電素子10では、膨出部160を、蓋板110の短手方向に長尺状に形成することで、膨出部160を過大なサイズにすることなく、膨出部160の存在範囲を蓋板110の短手方向の両端部に近い位置まで広げている。その結果、容器100の内圧上昇時における、蓋板110の短手方向に沿った断面(YZ断面)の変形(外方への膨らみ)が抑制される。つまり、膨出部160による蓋板110の補強がより効果的になされる。
【0099】
また、本実施の形態に係る蓄電素子10は、凹部162に関する構造についても、いくつかの特徴を有しており、これら特徴について
図8及び
図9を用いて説明する。
図8は、実施の形態に係る凹部162の平面視における形状の一例を示す図である。なお、
図8は、蓋板110を、下側(Z軸方向マイナス側)から見た場合の図である。
図9は、実施の形態に係る蓋板110の、
図8におけるIX−IX断面の概要を示す図である。
【0100】
図8及び
図9に示すように、規制部163は、凹部162の一部であって、深さ方向(本実施の形態ではZ軸方向)に交差する方向(本実施の形態ではX軸方向)の幅W1が、他の部分の幅W2よりも大きく形成された部分である。なお、本実施の形態では、規制部163は、内径がW1の丸穴を形成するように、凹部162の一部に設けられている。
【0101】
つまり、本実施の形態において、蓋板110の短手方向(Y軸方向)に長尺状の溝として設けられた凹部162の、長手方向の一部分の幅が広く形成されており、この一部分が規制部163として機能する。
【0102】
すなわち、
図8及び
図9に図示される規制部163と係合する、下部絶縁部材120の係合部120bのX軸方向の幅は、W1以下であってW2よりも大きい。そのため、係合部120bが規制部163に挿入されることで係合部120bが規制部163に係合した場合、下部絶縁部材120のXY平面における位置は、規制部163によって規制される。
【0103】
なお、本実施の形態では、負極側の規制部163の形状は、
図8及び
図9に示される規制部163の左右を反転させた形状であり、実質的に、
図8及び
図9に示される規制部163と同じである。つまり、係合部130bが規制部163に挿入されることで係合部130bが規制部163に係合した場合、下部絶縁部材130のXY平面における位置は、規制部163によって規制される。
【0104】
本実施の形態では、凹部162(膨出部160)を形成する際に、一部の横幅が他よりも大きくなるように形成することで、規制部163が、凹部162の一部として設けられる。例えば、凹部162(膨出部160)を形成するための1回のプレス加工によって、規制部163を有する凹部162を蓋板110に形成することが可能である。従って、蓋板110の剛性の向上と、下部絶縁部材120(130)の位置規制とを行う凹部162の形成を容易に行うことができる。
【0105】
また、本実施の形態に係る蓋板110は、
図9に示すように、薄肉部114を有し、
図8及び
図9に示すように、膨出部160(凹部162)は、薄肉部114の一部に設けられている。薄肉部114は、蓋板110において、厚みT1が他の部分の厚みT2よりも小さい部分であり、例えば、蓋板110を成形する際のプレス加工によって、蓋板110の一部に設けられる。
【0106】
このように、蓋板110が薄肉部114を有することで、容器100の容積の増加が図られる。例えば、下部絶縁部材120及び正極集電体140等の、容器100の内部に配置される要素の少なくとも一部を、薄肉部114が存在することで増加した空間に収容することができる。これにより、例えば、容器100の容積に占める電極体400の割合を増加させることができ、その結果、蓄電素子10の容量が増加する。また、このような効果を生じ得る薄肉部114に膨出部160(凹部162)を設けることで、蓋板110全体としての剛性の低下が抑制される。
【0107】
なお、蓄電素子10は、
図6〜
図9に示す膨出部160(凹部162)とは異なる態様の膨出部(凹部)を有してもよい。そこで、以下に、実施の形態における膨出部160(凹部162)に関する各種の変形例を説明する。
【0108】
(変形例1)
図10は、実施の形態の変形例1に係る凹部164の平面視における形状を示す図である。なお、
図10は、蓋板110を、下側(Z軸方向マイナス側)から見た場合の図である。
図11は、実施の形態の変形例1に係る下部絶縁部材120の外観を示す斜視図である。
【0109】
図10に示す凹部164は、規制部165を有し、規制部165は、凹部164の一部であって、深さ方向(本変形例ではZ軸方向)に交差する方向(本変形例ではX軸方向)の幅W3が、他の部分の幅W4よりも大きく形成された部分である。この点については、例えば、
図8に示す実施の形態に係る凹部162と共通している。
【0110】
しかし、本変形例に係る規制部165は、平面視(
図10におけるZ軸方向マイナス側から見た場合)において非円形の穴を形成するように、凹部164の一部に設けられている。つまり、この規制部165に挿入されることで規制部165と係合する、下部絶縁部材120が有する係合部120cは、
図11に示されるように、平面視(
図11におけるZ軸方向プラス側から見た場合)の形状が非円形である。具体的には、
図11では、当該形状が長円状である。
【0111】
そのため、規制部165に挿入された係合部120cは、Z軸回りの回動が許容されない。つまり、係合部120cが規制部165と係合することで、下部絶縁部材120のZ軸回りの回動が規制される。そのため、本変形例に係る規制部165及び係合部120cによれば、下部絶縁部材120の位置規制だけでなく、下部絶縁部材120の姿勢の決定及び維持もなされる。
【0112】
(変形例2)
図12は、実施の形態の変形例2に係る蓋板110の断面の概要を示す図である。なお、
図12では、本変形例に係る蓋板110の断面であって、
図8におけるIX−IX断面に相当する位置の断面が図示されている。
図13は、実施の形態の変形例2に係る下部絶縁部材120の外観を示す斜視図である。
【0113】
図12に示す蓋板110は、膨出部161を有する。膨出部161は、全体として、容器100の外部に向けて(
図12ではZ軸方向プラス側に向けて)膨出した形状を有している。この点については、実施の形態に係る膨出部160と共通している。そのため、膨出部161を、蓋板110の上面に配置される上部絶縁部材の一部に係合させることで、上部絶縁部材の位置を規制することは可能である。
【0114】
なお、膨出部161の平面視における形状に特に限定はないが、例えば円形である。この場合であっても、上部絶縁部材125が膨出部161に係合することによる、上部絶縁部材125の位置の規制は可能である。
【0115】
また、膨出部161の裏側には、全体として凹状の凹部166が形成されており、凹部166の一部と、下部絶縁部材120とが係合することで、これにより、下部絶縁部材120の位置が規制される。
【0116】
具体的には、本変形例に係る膨出部161は、
図12に示すように、一部に、容器100の内部に向けて(
図12ではZ軸方向マイナス側に向けて)窪んだ窪み部161aが設けられている。これにより、凹部166の一部(窪み部161aの裏側の位置)に、容器100の内部に向けて突出する凸部が形成されており、この凸部が、規制部167として機能する。より詳細には、本変形例に係る下部絶縁部材120が有する係合部120dは、
図12及び
図13に示すように、規制部167が挿入される穴を有する。係合部120dが有する穴に規制部167が挿入されることで、係合部120dは、凹部166の一部である規制部167に係合する。
【0117】
つまり、上記実施の形態では、凹状の規制部163に、下部絶縁部材120において突出状に形成された係合部120bが挿入されることで、係合部120bと規制部163とが係合するのに対し、本変形例では規制部と係合部との挿入/被挿入の関係が逆である。
【0118】
このように、蓋板110に凹状に形成された凹部166の一部を、容器100の内部に向けて突出させることで、この突出した部分(本変形例では規制部167)を、下部絶縁部材120に係合させることで、下部絶縁部材120の位置が規制されてもよい。
【0119】
なお、膨出部161の一部に設けられた窪み部161aに、上部絶縁部材を係合させることで、上部絶縁部材の位置を規制してもよい。つまり、上部絶縁部材は、窪み部161aに挿入可能なサイズおよび形状の凸部を係合部として有してもよい。
【0120】
また、例えば、膨出部161において、窪み部161aに相当する部分を上方(
図12ではZ軸方向プラス側)に膨出させることで、膨出部161に、さらに膨出した部分を形成してもよい。この場合、凹部166の一部に、さらに凹んだ部分(副凹部)が形成される。そこで、凹部166の一部である副凹部に、下部絶縁部材120に突出状に設けられた係合部が挿入されることで、下部絶縁部材120の位置が規制されてもよい。
【0121】
(他の実施の形態)
以上、本発明に係る蓄電素子について、実施の形態に基づいて説明した。しかしながら、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではない。本発明の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を上記実施の形態に施したものも、あるいは、上記説明された複数の構成要素を組み合わせて構築される形態も、本発明の範囲内に含まれる。
【0122】
例えば、蓄電素子10が備える電極体400の個数は1には限定されず、2以上であってよい。蓄電素子10が複数の電極体400を備える場合、同一体積(容積)の容器100に単数の電極体400を収容する場合に比べ、容器100のコーナー部のデッドスペースを減らすことができる。このため、容器100の容積に占める電極体400の割合を増加させることが可能となり、その結果、蓄電素子10の容量の増加が図られる。
【0123】
また、蓄電素子10が備える電極体400は巻回型である必要はない。蓄電素子10は、例えば平板状極板を積層した積層型の電極体を備えてもよい。また、蓄電素子10は、例えば、長尺帯状の極板を山折りと谷折りとの繰り返しによって蛇腹状に積層した構造を有する電極体を備えてもよい。
【0124】
また、電極体400が有する正極側のタブ部410と負極側のタブ部420との位置関係は特に限定されない。例えば、巻回型の電極体400において、タブ部410とタブ部420とが巻回軸方向の互いに反対側に配置されていてもよい。また、蓄電素子10が、積層型の電極体を備える場合、積層方向から見た場合において、正極側のタブ部と負極側のタブ部とが異なる方向に突出して設けられていてもよい。
【0125】
また、容器100において、膨出部160は、蓋板110以外の壁部に設けられてもよい。例えば、容器100の下壁部(本体111の底面を形成する壁部)に、導電部材である正極端子200または正極集電体140が配置される場合、下壁部に膨出部160が設けられてもよい。この場合、例えば、下壁部と正極端子200または正極集電体140との間に配置された絶縁部材を、膨出部160、または、膨出部160の裏側に形成された凹部162の一部(規制部163)と係合させることで、当該絶縁部材の位置等を規制することができる。
【0126】
また、膨出部160の平面視における形状が非円形である場合において、膨出部160の形状は、例えば
図6に示される形状以外の形状であってもよい。膨出部160の平面視における形状は、例えば、多角形または楕円などであってもよい。いずれの場合であっても、上部絶縁部材125(135)が膨出部160に係合することによる、上部絶縁部材125(135)の位置及び姿勢の規制は可能である。
【0127】
また、本実施の形態では、膨出部160は、容器100の外部に向けて膨出して形成されているとしたが、膨出部160は、容器100の内部に向けて膨出して形成されてもよい。つまり、蓋板110に、蓋板110の外面から容器100の内部に向けて凹状に形成された凹部162が設けられてもよい。
【0128】
この場合、例えば上部絶縁部材125が、蓋板110側に突起を有し、この突起が係合部として、凹部162の一部である規制部163に係合することで、上部絶縁部材125の位置を規制部163によって規制させることができる。
【0129】
また、例えば下部絶縁部材120が、蓋板110側に開口する凹部を有し、この凹部が、係合部として膨出部160に係合することで、下部絶縁部材120の位置を膨出部160によって規制させることができる。
【0130】
すなわち、上部絶縁部材125が、凹部162の一部である規制部163と係合する第一係合部を有する第一絶縁部材であって、下部絶縁部材120が、膨出部160と係合する第二係合部を有する第二絶縁部材であってもよい。
【0131】
また、蓋板110に膨出部が設けられておらず、蓋板110の一部を薄くして凹部を形成したものの一部に規制部が配置されている構成でもよい。この構成によれば、当該凹部が下部絶縁部材の位置を規制しつつ、下部絶縁部材には、凹部の一部である規制部にしか係合しない係合部を設けるだけでよいので、下部絶縁部材を軽量化することができる。
【0132】
また、電極体400は、タブ部410、420を有していない構成であってもかまわない。つまり、例えば、電極体400は、巻回軸方向側に活物質未塗布部が突出して形成されており、当該活物質未塗布部と電極端子とが集電体で接続されている構成でもかまわない。この場合でも、上記実施の形態と同様の効果を奏することができる。