特許第6756161号(P6756161)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6756161
(24)【登録日】2020年8月31日
(45)【発行日】2020年9月16日
(54)【発明の名称】オイルポンプユニット
(51)【国際特許分類】
   F04C 15/00 20060101AFI20200907BHJP
   F04C 2/10 20060101ALI20200907BHJP
【FI】
   F04C15/00 A
   F04C2/10 341A
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-114247(P2016-114247)
(22)【出願日】2016年6月8日
(65)【公開番号】特開2017-218981(P2017-218981A)
(43)【公開日】2017年12月14日
【審査請求日】2019年5月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】アイシン精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】特許業務法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】加藤 博史
【審査官】 山崎 孔徳
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−052525(JP,A)
【文献】 特開平11−173280(JP,A)
【文献】 特開2014−062483(JP,A)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動軸部と、
前記駆動軸部により回転駆動され外歯を有するインナロータと、前記外歯と噛合する内歯を有するアウタロータとからなるポンプロータと、
前記ポンプロータを内周側に収容する環状のスペーサと、
前記スペーサの内周側において互いに噛合する前記外歯と前記内歯との間に形成されるポンプ室と、
前記駆動軸部に沿う方向における前記スペーサの一端側及び他端側から夫々外嵌された状態で前記スペーサ及び前記ポンプロータを保持する第1カバー部材及び第2カバー部材と、
前記スペーサの外周側に配置され、前記第1カバー部材と前記第2カバー部材との境界部分をシールするシール部と、を備え
前記第1カバー部材及び前記第2カバー部材の各々には、前記駆動軸部に沿う方向において前記ポンプロータの前記ポンプ室を挟んで互いに対向する位置に、前記ポンプ室にオイルを吸入する吸入ポートと、前記ポンプ室のオイルを吐出する吐出ポートとが夫々形成され、
前記境界部分は、前記スペーサの外周面と前記第1カバー部材との間の隙間と、前記駆動軸部に沿う方向に直交する前記スペーサの端面と前記第1カバー部材との間の隙間とを介して、前記第1カバー部材に形成された前記吸入ポート及び前記吐出ポートに連通し、且つ、前記スペーサの外周面と前記第2カバー部材との間の隙間と、前記駆動軸部に沿う方向に直交する前記スペーサの端面と前記第2カバー部材との間の隙間とを介して、前記第2カバー部材に形成された前記吸入ポート及び前記吐出ポートに連通するオイルポンプユニット。
【請求項2】
前記第1カバー部材及び前記第2カバー部材の外周側において両カバー部材に亘って設けられ前記シール部の外周側を覆う第3カバー部材を備える請求項1に記載のオイルポンプユニット。
【請求項3】
前記第1カバー部材及び前記第2カバー部材の一方が、前記シール部の外周側と前記第1カバー部材及び前記第2カバー部材の他方の外周側とを覆う延長カバー部を有する請求項1に記載のオイルポンプユニット。
【請求項4】
前記第3カバー部材において、前記駆動軸部に垂直な方向視で、前記第1カバー部材、前記第2カバー部材、及び前記シール部を介して前記スペーサの外周面に対向する領域を重複領域としたときに、
前記重複領域における前記駆動軸部に沿う方向において、前記シール部が前記第3カバー部材の先端側よりも前記第3カバー部材の基端側に近くなるよう配置されている請求項2記載のオイルポンプユニット。
【請求項5】
記スペーサが、前記駆動軸部に沿って貫通し、前記第1カバー部材及び前記第2カバー部材に形成された夫々の前記吸入ポートを連通させる肉抜き部を有する請求項1から4のいずれか一項に記載のオイルポンプユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動軸部からの駆動力を受けて回転駆動されるオイルポンプユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
オイルポンプは、例えば車両の各種可動機構に対して作動油(オイル)を供給する際に用いられる。オイルポンプは、ポンプ部とモータ部とを備え、モータ部によって回転軸が駆動され、その駆動力を受けて回転駆動されるものや、内燃機関によって駆動される回転部の回転力を利用して回転駆動されるものが存在する。
【0003】
特許文献1には、内燃機関のクランク軸に連結された駆動軸によって回転駆動されるオイルポンプ(ベーンポンプ)のポンプユニットが開示されている。このポンプユニットは、カム面を有するカムリングと、カムリングを挟持する一対のサイドプレートとを有し、カムリングとサイドプレートとによって挟まれた空間にポンプ室が形成される。カムリングとサイドプレートとは、ポンプボディの凹部に収容され、凹部の開口にポンプカバーが配置されている。ポンプボディの凹部の開口と当該開口に対向するポンプカバーとの間にシールプレートが配置され、ポンプボディに対してシールプレート及びポンプカバーがボルトによって固定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−21742号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のポンプユニットでは、ポンプ室がカムリング及びサイドプレートによって形成され、ポンプカバーとサイドプレートとの合わせ面がシールされている。しかし、合わせ面の周囲はポンプユニットの外方に対して露出しているため、Oリングを用いてシールした場合には外方から合わせ面に水が浸入することがある。合わせ面に水が浸入すると、その水がポンプ室に浸入する可能性が高まるため、ポンプ室に対するシール性が低下する。
【0006】
そこで、外方からの浸水をより効果的に防止できるポンプユニットが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るオイルポンプユニットの特徴構成は、駆動軸部と、前記駆動軸部により回転駆動され外歯を有するインナロータと、前記外歯と噛合する内歯を有するアウタロータとからなるポンプロータと、前記ポンプロータを内周側に収容する環状のスペーサと、前記スペーサの内周側において互いに噛合する前記外歯と前記内歯との間に形成されるポンプ室と、前記駆動軸部に沿う方向における前記スペーサの一端側及び他端側から夫々外嵌された状態で前記スペーサ及び前記ポンプロータを保持する第1カバー部材及び第2カバー部材と、前記スペーサの外周側に配置され、前記第1カバー部材と前記第2カバー部材との境界部分をシールするシール部と、を備え、前記第1カバー部材及び前記第2カバー部材の各々には、前記駆動軸部に沿う方向において前記ポンプロータの前記ポンプ室を挟んで互いに対向する位置に、前記ポンプ室にオイルを吸入する吸入ポートと、前記ポンプ室のオイルを吐出する吐出ポートとが夫々形成され、前記境界部分は、前記スペーサの外周面と前記第1カバー部材との間の隙間と、前記駆動軸部に沿う方向に直交する前記スペーサの端面と前記第1カバー部材との間の隙間とを介して、前記第1カバー部材に形成された前記吸入ポート及び前記吐出ポートに連通し、且つ、前記スペーサの外周面と前記第2カバー部材との間の隙間と、前記駆動軸部に沿う方向に直交する前記スペーサの端面と前記第2カバー部材との間の隙間とを介して、前記第2カバー部材に形成された前記吸入ポート及び前記吐出ポートに連通する点にある。
【0008】
本構成によれば、ポンプロータを内周側に収容する環状のスペーサが、第1カバー部材及び第2カバー部材によって駆動軸部に沿う方向で外嵌された状態で、スペーサの外周側であって第1カバー部材と第2カバー部材との境界部分にシール部が配置されている。これにより、境界部分は外方からスペーサの外周面に向けて形成されることとなり、境界部分に存在する浸水経路にスペーサの外周面が対向する。こうして、外方からポンプ室への浸水経路が複雑になるため、外方からシール部を通過して境界部分に水が浸入したとしても、スペーサの外周面によってさらなる浸水を抑制することができる。その結果、ポンプ室に対するシール性を安定的に維持することができる。
【0009】
本発明に係るオイルポンプユニットの他の特徴構成は、前記第1カバー部材及び前記第2カバー部材の外周側において両カバー部材に亘って設けられ前記シール部の外周側を覆う第3カバー部材を備える点にある。
【0010】
本構成によれば、第1カバー部材と第2カバー部材との境界部分をシールするシール部の外周側に第3カバー部材が備えられる。第3カバー部材は、第1カバー部材と第2カバー部材の外周側において両カバー部材に亘って設けられているので、シール部の外周側は第3カバー部材によって全体が覆われた状態となる。これにより、外方からシール部の外周側への直接的な水の浸入が第3カバー部材によって遮られるため、ポンプ室に対するシール性が十分に確保される。
【0011】
本発明に係るオイルポンプユニットの他の特徴構成は、前記第1カバー部材及び前記第2カバー部材の一方が、前記シール部の外周側と前記第1カバー部材及び前記第2カバー部材の他方の外周側とを覆う延長カバー部を有する点にある。
【0012】
本構成によれば、第1カバー部材及び第2カバー部材の一方が有する延長カバー部が、シール部の外周側と第1カバー部材及び第2カバー部材の他方の外周側とを覆う。これにより、外方からシール部の外周側への直接的な水の浸入が延長カバー部によって遮られるため、ポンプ室に対するシール性が十分に確保される。また、第1カバー部材及び第2カバー部材の一方が延長カバー部を有する構成であるため、シール部の外周側を覆う部材を個別に設ける必要はない。
【0013】
本発明に係るオイルポンプユニットの他の特徴構成は、前記第3カバー部材において、前記駆動軸部に垂直な方向視で、前記第1カバー部材、前記第2カバー部材、及び前記シール部を介して前記スペーサの外周面に対向する領域を重複領域としたときに、前記重複領域における前記駆動軸部に沿う方向において、前記シール部が前記第3カバー部材の先端側よりも前記第3カバー部材の基端側に近くなるよう配置されている点にある。
【0014】
シール部の外周側を覆う第3カバー部材が存在することで、シール部の外周側に対する直接的な水の浸入が防止される。このとき、本構成では、第3カバー部材において、第1カバー部材、第2カバー部材、及びシール部を介してスペーサの外周面に対向する領域を重複領域としたときに、重複領域における駆動軸部に沿う方向において、シール部が第3カバー部材の先端側よりも第3カバー部材の基端側に近くなるよう配置されている。これにより、シール部は第3カバー部材の先端側から離れた位置に設けることができるため、ポンプ室に対するシール性がさらに高まる。
【0015】
本発明に係るオイルポンプユニットの他の特徴構成は、記スペーサが、前記駆動軸部に沿って貫通し、前記第1カバー部材及び前記第2カバー部材に形成された夫々の前記吸入ポートを連通させる肉抜き部を有する点にある。
【0016】
本構成の如く、スペーサが、駆動軸部に沿って貫通し、第1カバー部材及び前記第2カバー部材に形成された夫々の吸入ポートを連通させる肉抜き部を有することで、肉抜き部をポンプ部の吸入油路として利用することできる。これにより、ポンプ部の吸入油路の領域が増すため、吸入ポートにおける負圧を低減させることができ、キャビテーション(局部的な負圧による気泡の発生)を抑制することができる。また、吸入ポートにおける負圧が低減することで、ポンプ部が回転するための駆動力を小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】第1実施形態に係るオイルポンプの縦断面図である。
図2図1のII−II矢視断面図である。
図3図1のIII−III矢視断面図である。
図4図2のIV−IV矢視部分断面図である。
図5図2のV−V矢視部分断面図である。
図6】第2実施形態に係るオイルポンプユニットの縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
【0019】
〔第1実施形態〕
図1図5を参照して、オイルポンプユニット2の構成について説明する。オイルポンプユニット2を有するオイルポンプ1は、例えば車両のトランスミッションに配設され、トランスミッション内へ作動油(オイル)を圧送するものである。図1に示すオイルポンプ1は、ポンプ部10とモータ部30とを有する。
【0020】
図1に示すように、ポンプ部10は、ポンプハウジング11(第1カバー部材の一例)とポンプカバー12(第2カバー部材の一例)とを備える。ポンプハウジング11には、端面に円柱状の第1収容凹部13が形成されている。ポンプカバー12には、端面において第1収容凹部13に対向する位置に円柱状の第2収容凹部14が形成されている。ポンプハウジング11には第1収容凹部13に対して偏心する位置に軸受孔15が形成されている。回転軸16(駆動軸部の一例)は軸受孔15に挿入された状態で回転自在に支持されている。ポンプハウジング11において第1収容凹部13の外周側に位置し基部から突出する第1周壁部17と、ポンプカバー12において第2収容凹部14の外周側に位置し基部から突出する第2周壁部18とは、回転軸16に沿う方向において対向する。
【0021】
第1収容凹部13及び第2収容凹部14には、環状のスペーサ20が配置される。スペーサ20の内周側に、外歯を有するインナロータ22(ポンプロータの一例)と、インナロータ22と噛合する内歯を有するアウタロータ23(ポンプロータの一例)とが配置されている。アウタロータ23は外周面がスペーサ20に支持されて回転自在である。インナロータ22は回転軸16と同軸芯となるように回転軸16のポンプ側端部16aに圧入固着されている。回転軸16のインナロータ22とは反対側の端部16bは、モータ部30に位置する。インナロータ22は回転軸16により回転駆動される。
【0022】
図1図3図5に示すように、互いに噛合するインナロータ22、アウタロータ23の歯部の間には、ポンプ室24が形成されている。ポンプ室24の容積が増大する範囲に沿って吸入室25が形成されており、吸入室25は吸入ポート26が連通している。ポンプ室24の容積が減少する範囲に沿って吐出室27が形成されており、吐出室27は吐出ポート29と連通している。
【0023】
図1に示すように、モータ部30は、環状のステータ31と、ステータ31の内側に隙間を有して配置される円筒状のロータ32とにより構成されている。ステータ31とロータ32とはいずれも回転軸16と同軸芯である。ロータ32は、電磁鋼板を積層した円筒状のロータヨークの内部にマグネットを埋め込んで固着したものである。ロータ32は、ロータヨークが回転軸16の端部16bに圧入されることにより固着されている。ステータ31は電磁鋼板を積層したステータコア33とコイル支持枠34に巻回されたコイル35から構成されている。
【0024】
オイルポンプ1の作動について説明する。図示しないドライバ部により制御される電流がコイル35に印加されて回転磁界が生じることによりロータ32が回転する。ロータ32の回転は回転軸16を介してインナロータ22に伝達され、インナロータ22が回転する。これにより、作動油は、吸入ポート26(26b)から吸入室25を経てポンプ室24内に吸入され、吐出室27を経て吐出ポート29から吐出される。
【0025】
スペーサ20は、回転軸16に沿う方向において、モータ部30の側(スペーサ20の一端側)がポンプハウジング11によって外嵌された状態になり、モータ部30とは反対側(スペーサ20の他端側)がポンプカバー12によって外嵌された状態になる。こうして、スペーサ20は、ポンプハウジング11及びポンプカバー12によって保持される。
【0026】
図2図4に示すように、スペーサ20は、ポンプハウジング11及びポンプカバー12に対してノックピン19A及びボルト19Bを用いて固定される。複数のボルト孔41(図3では4つ)が、スペーサ20の周方向に分散されて回転軸16に沿う方向に貫通して形成されている。スペーサ20には、ボルト孔41の他に別に回転軸16に沿う方向にノックピン孔42が1つ形成されている。また、ポンプハウジング11及びポンプカバー12には、スペーサ20と同数のボルト孔11a,12aと、1つのノックピン孔11b、12bが設けられている。
【0027】
ポンプハウジング11及びポンプカバー12にスペーサ20を組付けるには、まず、ノックピン19Aをポンプカバー12に設けられたノックピン孔12bに圧入する。次に、ノックピン19Aをスペーサ20のノックピン孔42に挿入しつつポンプカバー12の第2収容凹部14とスペーサ20の外周とを位置合わせする。同様にして、ノックピン19Aをポンプハウジング11に設けられたノックピン孔11bに挿入しつつポンプハウジング11の第1収容凹部13とスペーサ20の外周とを位置合わせする。その後、ポンプハウジング11の側からボルト19Bを締結する。これにより、スペーサ20をポンプハウジング11及びポンプカバー12に固定する。こうして、スペーサ20がポンプハウジング11及びポンプカバー12に固定されると、スペーサ20に収容されるポンプロータ22,23が安定的に支持されるため、ポンプ室24からの作動油の漏出を抑制することができる。
【0028】
図1図4、及び図5に示すように、スペーサ20の外周側に存在する、ポンプハウジング11とポンプカバー12との境界部分Bには、境界部分Bをシールするシール部28が配置される。シール部28は例えばOリングによって構成されている。境界部分Bは外方からスペーサ20の外周面20cに向けて形成され、境界部分Bに存在する浸水経路にスペーサ20の外周面20cが対向する。これにより、外方からポンプ室24への浸水経路が複雑になるため、外方からシール部28を通過して境界部分Bに水が浸入したとしても、スペーサ20の外周面20cによってさらなる浸水を抑制することができる。その結果、ポンプ室24に対するシール性を安定的に維持することができる。
【0029】
モータ部30はモータケース36(第3カバー部材の一例)を備える(図1参照)。モータケース36は、モータ部30からポンプ部10に向けて延長され、ポンプハウジング11及びポンプカバー12に亘って設けられる。これにより、ポンプハウジング11及びポンプカバー12の外周側と、境界部分Bに配置されるシール部28の外周側とが、モータケース36によって覆われる。これにより、外方からシール部28の外周側への直接的な水の浸入がモータケース36によって遮られるため、ポンプ室24に対するシール性が十分に確保される。
【0030】
モータケース36は、回転軸16に沿う方向においてポンプカバー12に固着される。
モータケース36の固着部位36aはポンプカバー12の外縁部分である。境界部分Bに配置されるシール部28は、外方からの水の浸入を抑制する上で、固着部位36aから離れている方が好ましい。
【0031】
そこで、本実施形態では、モータケース36において、ポンプハウジング11、ポンプカバー12、及びシール部28を介してスペーサ20の外周面20cに対向する領域を重複領域Dとしたときに、重複領域Dにおける回転軸16に沿う方向において、シール部28がモータケース36の先端側である固着部位36aよりもモータケース36の基端側の部位36bに近くなるよう配置されている。これにより、シール部28は当該固着部位36a(モータケース36の先端側)から離れた位置に設けることができるため、ポンプ室24に対するシール性がさらに高まる。
【0032】
図3及び図5に示すように、スペーサ20には、ボルト孔41及びノックピン孔42とは重ならない位置に複数の肉抜き部43が形成されている。肉抜き部43は、スペーサ20において回転軸16に沿う方向に形成されて貫通する。肉抜き部43は、例えば図3に示すように、スペーサ20において周方向に隣接するボルト孔41の間に設けられ、周方向に延びる長孔状に形成されている。肉抜き部43は長孔以外の形状であってもよい。スペーサ20に肉抜き部43を設けることでスペーサ20の軽量化を図ることができる。
【0033】
図1及び図5に示すように、吸入ポート26a,26bが、ポンプハウジング11及びポンプカバー12のうち回転軸16に沿う方向においてインナロータ22及びアウタロータ23に対向する位置に夫々形成されている。吸入ポート26a,26bにおいて、インナロータ22及びアウタロータ23の駆動により吸入される作動油が貯留される。図5に示すように、複数の肉抜き部43のうちの1つ(43A)は、ポンプハウジング11の吸入ポート26aとポンプカバー12の吸入ポート26bとに連通されている。
【0034】
こうすることで、スペーサ20に形成された肉抜き部43Aをポンプ部10の吸入油路として利用することができる。これにより、ポンプ部10は吸入油路の領域が増加するため、吸入ポート26における負圧を低減させることができ、キャビテーション(局部的な負圧による気泡の発生)を抑制することができる。また、吸入ポート26における負圧が低減することで、ポンプ部10が回転するための駆動力を小さくすることができる。また、肉抜き部43Aはスペーサ20の内周側近くに形成され、肉抜き部43Aを除く複数の肉抜き部43はスペーサ20の外周側近くに形成されている。スペーサ20の両端面20a,20bにおいて、肉抜き部43,43Aの周囲は、ポンプハウジング11及びポンプカバー12の何れかとの当接領域である。これにより、スペーサ20の径方向において肉抜き部43Aからスペーサ20の外周側に向けて十分な当接領域が確保されるため、肉抜き部43Aを流れる作動油がスペーサ20の外方に漏出し難くなる。
【0035】
〔第2実施形態〕
本実施形態では、図6に示すように、モータケース36はポンプ部10を被覆していない。モータケース36に代えて、ポンプ部10は、ポンプハウジング11の第1周壁部17が、シール部28の外周側及びポンプカバー12の第2周壁部18の外周側を覆う延長カバー部44を有する。これにより、外方からシール部28の外周側への直接的な水の浸入が延長カバー部44によって遮られるため、ポンプ室24に対するシール性が十分に確保される。また、ポンプハウジング11が延長カバー部44を有する構成であるため、シール部28の外周側を覆う部材を個別に設ける必要はない。
【0036】
延長カバー部44とポンプカバー12との間にシール部が配設されていてもよい。また、延長カバー部44はポンプカバー12に直接固着されていてもよい。さらに、図示しないが、上記構成に代えて、ポンプカバー12の第2周壁部18が、シール部28の外周側及びポンプハウジング11の第1周壁部17の外周側を覆う延長カバー部を有する構成でもよい。
【0037】
〔別実施形態〕
(1)上記の実施形態では、モータ部30によってポンプ部10の回転軸16が回転する例を示したが、ポンプ部10の回転軸16は、エンジンのクランク軸等の他の回転軸に連結されて回転するものでもよい。
【0038】
(2)上記の実施形態では、ノックピン19Aを用いてポンプハウジング11及びポンプカバー12に対してスペーサ20の位置決めを行う例を示したが、ノックピン19Aを用いずにボルト19B及びボルト孔11a,12aによってスペーサ20の位置決めを行ってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明は、車両及び車両以外に搭載されるオイルポンプユニットに広く用いることができる。
【符号の説明】
【0040】
1 :オイルポンプ
2 :オイルポンプユニット
10 :ポンプ部
11 :ポンプハウジング(第1カバー部材)
12 :ポンプカバー(第2カバー部材)
13 :第1収容凹部
14 :第2収容凹部
16 :回転軸(駆動軸部)
17 :第1周壁部
18 :第2周壁部
20 :スペーサ
20c :外周面
22 :インナロータ(ポンプロータ)
23 :アウタロータ(ポンプロータ)
24 :ポンプ室
26,26a,26b :吸入ポート
28 :シール部
30 :モータ部
36 :モータケース(第3カバー部材)
36a :固着部位(先端側の部位)
36b :基端側の部位
43,43A :肉抜き部
44 :延長カバー部
B :境界部分
D :重複領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6