特許第6759566号(P6759566)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6759566
(24)【登録日】2020年9月7日
(45)【発行日】2020年9月23日
(54)【発明の名称】非水系二次電池
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/0587 20100101AFI20200910BHJP
   H01M 4/62 20060101ALI20200910BHJP
   H01M 10/0566 20100101ALI20200910BHJP
   H01M 10/0585 20100101ALI20200910BHJP
   H01M 4/13 20100101ALI20200910BHJP
   C09J 133/04 20060101ALI20200910BHJP
   C09J 133/02 20060101ALI20200910BHJP
   C09J 7/20 20180101ALI20200910BHJP
【FI】
   H01M10/0587
   H01M4/62 Z
   H01M10/0566
   H01M10/0585
   H01M4/13
   C09J133/04
   C09J133/02
   C09J7/20
【請求項の数】6
【全頁数】29
(21)【出願番号】特願2015-232302(P2015-232302)
(22)【出願日】2015年11月27日
(65)【公開番号】特開2017-98204(P2017-98204A)
(43)【公開日】2017年6月1日
【審査請求日】2018年10月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】000229117
【氏名又は名称】日本ゼオン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】100150360
【弁理士】
【氏名又は名称】寺嶋 勇太
(74)【代理人】
【識別番号】100204401
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 睦美
(72)【発明者】
【氏名】秋池 純之介
【審査官】 福井 晃三
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−028842(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/073647(WO,A1)
【文献】 国際公開第2014/017651(WO,A1)
【文献】 国際公開第2014/203767(WO,A1)
【文献】 国際公開第2014/148064(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/05−10/0587
H01M 4/00− 4/62
C09J 133/02
C09J 133/04
C09J 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極、負極、セパレータ、電解液、および接着層を備え、
前記負極が、負極活物質と、(メタ)アクリル酸エステル単量体単位を70質量%以上93質量%以下およびエチレン性不飽和カルボン酸単量体単位を1質量%以上5質量%以下含有する負極用結着材Aとを含み、
前記接着層が、前記負極と前記セパレータとの間に配置され、かつ、ガラス転移温度110℃以下の粒子状重合体を含み、且つ、
前記負極用結着材Aが、ブチルアクリレートを75質量%以上93質量%以下含む、
非水系二次電池。
【請求項2】
前記粒子状重合体のガラス転移温度が10℃以上である、請求項1に記載の非水系二次電池。
【請求項3】
前記接着層が、(メタ)アクリル酸エステル単量体単位を70質量%以上95質量%以下およびエチレン性不飽和カルボン酸単量体単位を1質量%以上5質量%以下含有する接着層用結着材を更に含む、請求項1又は2に記載の非水系二次電池。
【請求項4】
前記負極用結着材Aのテトラヒドロフラン不溶分率が70質量%以上95質量%以下である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の非水系二次電池。
【請求項5】
前記負極用結着材Aの含有割合が、前記負極活物質100質量部に対し、0.01質量部以上1.0質量部以下である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の非水系二次電池。
【請求項6】
捲回型または積層型である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の非水系二次電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は非水系二次電池に関するものである。
【背景技術】
【0002】
リチウムイオン二次電池などの非水系二次電池(以下、単に「二次電池」と略記する場合がある。)は、小型で軽量、且つエネルギー密度が高く、さらに繰り返し充放電が可能という特性があり、幅広い用途に使用されている。そのため、近年では、非水系二次電池の更なる高性能化を目的として、電池部材の改良が検討されている。
【0003】
ここで、二次電池の電池部材としては、一般に、正極および負極などの電極、並びに正極と負極とを隔離して正極と負極との間の短絡を防ぐセパレータなどが挙げられる。そして、二次電池は、通常、これらの電池部材を組み立てた組立体に電解液を注入することにより製造される。加えて、電極およびセパレータの間には、電池部材間の接着性の向上を目的とした接着層などが設けられることがある。
【0004】
また、リチウムイオン二次電池などの二次電池用の電極は、通常、集電体と、集電体上に形成された電極合材層とを備えている。そして、電極合材層は、例えば、電極活物質と、結着材を含むバインダー組成物などとを分散媒に分散させてなるスラリー組成物を集電体上に塗布し、乾燥させることにより形成される。
【0005】
そこで、近年では、二次電池の更なる性能向上を達成すべく、電極およびセパレータの間に設けられる接着層、並びに、電極合材層の形成に用いられる結着材などの改良が試みられている。
【0006】
例えば特許文献1には、メタクリル酸エステル単量体およびエチレン性不飽和カルボン酸単量体を含有するコア部と、当該コア部の外表面を部分的に覆うシェル部とを備えるコアシェル構造を有する粒子状重合体を、リチウムイオン二次電池用セパレータ側の接着層の形成に用いる技術が開示されている。また、特許文献1では、当該接着層と対向して接触する負極合材層に含まれる結着材として、スチレン−ブタジエン共重合体を用いている。そして、特許文献1に記載の技術では、当該接着層を負極とセパレータとの間に設けることにより、電解液中における電極およびセパレータ間の接着性を高め、低温出力特性および高温サイクル特性に優れたリチウムイオン二次電池の製造を実現させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】国際公開第2015/005145号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ここで、二次電池の更なる性能向上の達成には、電極およびセパレータ間の接着性をより高めることが求められるところ、特許文献1に記載のリチウムイオン二次電池には、電極およびセパレータなどの電池部材間の接着性に更なる改善の余地があった。
【0009】
そこで、本発明は、電極およびセパレータなどの電池部材間の接着性が高く、サイクル特性および出力特性などの電池性能に優れる非水系二次電池を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は、上記課題を解決することを目的として鋭意検討を行った。そして、本発明者は、負極およびセパレータの間に設ける接着層と、負極の形成に用いる結着材とに、それぞれ所定の重合体を用いて組み合わせることにより、負極およびセパレータ間の接着性が良好になることを見出した。具体的には、接着層の形成には所定のガラス転移温度を有する粒子状重合体を用い、負極に含まれる結着材には所定の2種類の単量体単位を所定量用いることにより、電池部材間に良好な接着性が得られることを確認した。そして、本発明者は、上記結着材を含む負極、上記接着層、およびセパレータを、当該接着層が所定の位置に存在するように配置することにより、製造される非水系二次電池に優れたサイクル特性および出力特性などの電池性能を発揮させることができることを見出し、本発明を完成させた。
【0011】
即ち、この発明は、上記課題を有利に解決することを目的とするものであり、本発明の非水系二次電池は、正極、負極、セパレータ、電解液、および接着層を備え、前記負極が、負極活物質と、(メタ)アクリル酸エステル単量体単位を70質量%以上95質量%以下およびエチレン性不飽和カルボン酸単量体単位を1質量%以上5質量%以下含有する負極用結着材Aとを含み、前記接着層が、前記負極と前記セパレータとの間に配置され、かつ、ガラス転移温度110℃以下の粒子状重合体を含むことを特徴とする。このように、所定の含有割合の単量体単位を所定量用いて調製した結着材を含む負極と、所定値以下のガラス転移温度を有する粒子状重合体を用いて形成した接着層とを用い、当該接着層が当該負極およびセパレータの間に位置するように配置すれば、電極およびセパレータ間の接着性を良好なものとすることができる。また、製造される非水系二次電池のサイクル特性および出力特性などの電池性能を優れたものとすることができる。
なお、本発明において、「(メタ)アクリル」とはアクリルおよび/またはメタクリルを意味する。
また、本発明において、「ガラス転移温度」は、示差熱分析測定装置(基準物質:アルミニウム)を用いて得られる示差走査熱量分析(DSC)曲線より求めることができ、具体的には、本明細書の実施例に記載の測定方法を用いて測定することができる。
更に、本発明において、負極用結着材中の「(メタ)アクリル酸エステル単量体単位の含有割合」および「エチレン性不飽和カルボン酸単量体単位の含有割合」は、1H−NMRなどの核磁気共鳴(NMR)法を用いて測定することができる。
【0012】
そして、本発明の非水系二次電池は、前記粒子状重合体のガラス転移温度が10℃以上であることが好ましい。このように、接着層の形成に用いられる粒子状重合体のガラス転移温度が10℃以上であれば、粒子状重合体としての強度が適度に高まり、電極およびセパレータの間の接着性を更に高めることができるからである。また、その結果、製造される非水系二次電池のサイクル特性を更に向上させ得るからである。
【0013】
ここで、前記接着層は、(メタ)アクリル酸エステル単量体単位を70質量%以上95質量%以下およびエチレン性不飽和カルボン酸単量体単位を1質量%以上5質量%以下含有する接着層用結着材を更に含むことが好ましい。接着層が上述の粒子状重合体に加えて接着層用結着材を更に含めば、当該接着層を介した電池部材間の接着性を更に向上させつつ、当該接着層を備える二次電池の出力特性などを更に向上させ得るからである。
【0014】
また、前記負極用結着材Aは、テトラヒドロフラン(THF)不溶分率が70質量%以上95質量%以下であることが好ましい。このように、負極用結着材A中のTHF不溶分率を上記範囲とすれば、電池内において負極用結着材成分が電解液に溶出することに起因する電池抵抗の上昇を抑制しつつ、サイクル特性を更に向上させることができるからである。
なお、本発明において、「THF不溶分率」は、本明細書の実施例に記載の測定方法を用いて測定することができる。
【0015】
更に、前記負極用結着材Aの含有割合は、前記負極活物質100質量部に対し、0.01質量部以上1.0質量部以下であることが好ましい。負極における負極用結着材Aの含有割合を上記範囲とすることで、当該負極用結着材Aを含む負極用結着材の、負極活物質、集電体、および電池部材(電極、セパレータ)に対する接着性をより高めることができ、二次電池のサイクル特性をより向上させ得るからである。
【0016】
そして、本発明の非水系二次電池は、捲回型または積層型であることが好ましい。捲回型または積層型であれば、電池部材間の高い接着性を十分に発揮させつつ、出力特性およびサイクル特性に優れた二次電池を容易に製造できるからである。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、電極およびセパレータなどの電池部材間の接着性が高く、サイクル特性および出力特性などの電池性能に優れる非水系二次電池を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
【0019】
(非水系二次電池)
本発明の非水系二次電池は、正極、負極、セパレータ、電解液、および接着層を備え、負極およびセパレータの間に、ガラス転移温度が110℃以下の粒子状重合体を含む接着層が介在されていることを特徴とする。また、本発明の非水系二次電池は、所定量の(メタ)アクリル酸エステル単量体単位および所定量のエチレン性不飽和カルボン酸単量体単位を含有する負極用結着材Aを用いて形成された負極を備えることを特徴とする。
そして、本発明の非水系二次電池は上述の負極と接着層とを備えているため、負極およびセパレータなどの電池部材間の接着性が高く、優れた出力特性およびサイクル特性を発揮することができる。
なお、本発明の非水系二次電池が備える接着層は、好適には、セパレータ上に形成され得る。また、以下では、一例として二次電池がリチウムイオン二次電池である場合について説明するが、本発明は下記の一例に限定されるものではない。
【0020】
<負極>
本発明の非水系二次電池が備える負極は、少なくとも、負極活物質と、所定の単量体単位を所定量含有する負極用結着材Aとを含むことを必要とする。具体的には、負極は、負極活物質と、(メタ)アクリル酸エステル単量体単位を70質量%以上95質量%以下およびエチレン性不飽和カルボン酸単量体単位を1質量%以上5質量%以下含有する負極用結着材Aを含むことを必要とする。
ここで、負極は、通常、集電体と、集電体上に形成された負極合材層とを備えている。負極合材層は、特に限定されることなく、例えば、負極活物質と、上記負極用結着材Aを含む負極用結着材とを、溶媒に分散させることにより得られる負極用スラリー組成物を集電体上に塗布、乾燥させることにより形成することができる。
そして、本発明の非水系二次電池が備える負極は、当該負極用結着材Aを用いて形成されるため、負極活物質同士、負極活物質および集電体、並びに、負極および負極と接し得る電池部材(接着層、セパレータなど)間において、高い接着性(ピール強度)を発揮する。
【0021】
<<負極活物質>>
負極活物質は、二次電池の電極において電子の受け渡しをする物質である。そして、リチウムイオン二次電池用の負極活物質としては、通常は、リチウムを吸蔵および放出し得る物質を用いる。また、負極活物質としては、具体的には、特に限定されることなく、例えば、炭素系負極活物質、金属系負極活物質、およびこれらを組み合わせた負極活物質などが挙げられる。
【0022】
そして、炭素質材料としては、例えば、易黒鉛性炭素や、ガラス状炭素に代表される非晶質構造に近い構造を持つ難黒鉛性炭素などが挙げられる。
ここで、易黒鉛性炭素としては、例えば、石油または石炭から得られるタールピッチを原料とした炭素材料が挙げられる。具体例を挙げると、コークス、メソカーボンマイクロビーズ(MCMB)、メソフェーズピッチ系炭素繊維、熱分解気相成長炭素繊維などが挙げられる。
また、難黒鉛性炭素としては、例えば、フェノール樹脂焼成体、ポリアクリロニトリル系炭素繊維、擬等方性炭素、フルフリルアルコール樹脂焼成体(PFA)、ハードカーボンなどが挙げられる。
【0023】
更に、黒鉛質材料としては、例えば、天然黒鉛、人造黒鉛などが挙げられる。
ここで、人造黒鉛としては、例えば、易黒鉛性炭素を含んだ炭素を主に2800℃以上で熱処理した人造黒鉛、MCMBを2000℃以上で熱処理した黒鉛化MCMB、メソフェーズピッチ系炭素繊維を2000℃以上で熱処理した黒鉛化メソフェーズピッチ系炭素繊維などが挙げられる。
【0024】
また、金属系負極活物質とは、金属を含む活物質であり、通常は、リチウムの挿入が可能な元素を構造に含み、リチウムが挿入された場合の単位質量当たりの理論電気容量が500mAh/g以上である活物質をいう。金属系活物質としては、例えば、リチウム金属、リチウム合金を形成し得る単体金属(例えば、Ag、Al、Ba、Bi、Cu、Ga、Ge、In、Ni、P、Pb、Sb、Si、Sn、Sr、Zn、Tiなど)およびその合金、並びに、それらの酸化物、硫化物、窒化物、ケイ化物、炭化物、燐化物などが用いられる。これらの中でも、金属系負極活物質としては、ケイ素を含む活物質(シリコン系負極活物質)が好ましい。シリコン系負極活物質を用いることにより、リチウムイオン二次電池を高容量化することができるからである。
【0025】
シリコン系負極活物質としては、例えば、ケイ素(Si)、ケイ素を含む合金、SiO、SiOx、Si含有材料を導電性カーボンで被覆または複合化してなるSi含有材料と導電性カーボンとの複合化物などが挙げられる。なお、これらのシリコン系負極活物質は、1種類を単独で用いてもよいし、2種類上を組み合わせて用いてもよい。
中でも、負極活物質としては、炭素系活物質が好ましく、黒鉛質材料がより好ましく、人造黒鉛が更に好ましい。
【0026】
<<負極用結着材>>
負極用結着材は、負極活物質などの負極合材層に含まれる成分が負極合材層から脱離しないように保持し得る成分である。また、負極用結着材は、集電体と負極合材層とを良好なピール強度をもって接着して、電極の接着性および密着性を高め得る成分である。
ここで、本発明の非水系二次電池が備える負極は、負極用結着材として少なくとも負極用結着材Aを含むことを必要とする。つまり、負極は、負極用結着材Aのみを含んでもよく、負極用結着材A以外のその他の負極用結着材を更に含んでもよく、その他の負極用結着材を更に含むことが好ましい。
【0027】
[負極用結着材A]
負極用結着材Aは、(メタ)アクリル酸エステル単量体単位を70質量%以上95質量%以下およびエチレン性不飽和カルボン酸単量体単位を1質量%以上5質量%以下含有する以外は特に限定されない。つまり、負極用結着材Aは、当該所定量の(メタ)アクリル酸エステル単量体単位およびエチレン性不飽和カルボン酸単量体単位のみを含有してもよく、(メタ)アクリル酸エステル単量体単位およびエチレン性不飽和カルボン酸単量体単位以外のその他の単量体単位を更に含有してもよい。
【0028】
[[(メタ)アクリル酸エステル単量体単位]]
(メタ)アクリル酸エステル単量体単位とは、(メタ)アクリル酸エステル単量体を重合して形成される構造を有する構造単位である。
【0029】
−含有量−
そして、負極用結着材A中の(メタ)アクリル酸エステル単量体単位の含有量は、70質量%以上95質量%以下である必要がある。また、負極用結着材A中の(メタ)アクリル酸エステル単量体単位の含有量は、75質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましく、94.5質量%以下であることが好ましく、94質量%以下であることがより好ましい。負極用結着材Aが70質量%以上の(メタ)アクリル酸エステル単量体単位を含有すれば、負極用結着材Aの柔軟性が高まり、負極用結着材Aを用いて形成される負極合材層および集電体の接着性、並びに、作製される負極および負極に接触する電池部材の接着性が良好になる。その結果、製造される二次電池に良好なサイクル特性を発揮させることができる。また、負極用結着材A中の(メタ)アクリル酸エステル単量体単位が95質量%以下であれば、電池において電解液中に負極用結着材成分が溶出することを抑制し、また、二次電池の出力特性をより向上することができる。
【0030】
−種類−
ここで、(メタ)アクリル酸エステル単量体単位を形成し得る(メタ)アクリル酸エステル単量体の例としては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n−ブチルアクリレートおよびt−ブチルアクリレートなどのブチルアクリレート、ペンチルアクリレート、ヘキシルアクリレート、ヘプチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレートなどのオクチルアクリレート、ノニルアクリレート、デシルアクリレート、ラウリルアクリレート、n−テトラデシルアクリレート、ステアリルアクリレート等のアクリル酸アルキルエステル;並びにメチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレートおよびt−ブチルメタクリレートなどのブチルメタクリレート、ペンチルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、ヘプチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレートなどのオクチルメタクリレート、ノニルメタクリレート、デシルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、n−テトラデシルメタクリレート、ステアリルメタクリレート等のメタクリル酸アルキルエステルなどが挙げられる。中でも、アクリル酸アルキルエステルが好ましく、ブチルアクリレートおよび2−エチルヘキシルアクリレートがより好ましく、ブチルアクリレートが更に好ましい。(メタ)アクリル酸エステル単量体は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
【0031】
[[エチレン性不飽和カルボン酸単量体単位]]
エチレン性不飽和カルボン酸単量体単位とは、エチレン性不飽和カルボン酸単量体を重合して形成される構造を有する構造単位である。
【0032】
−含有量−
そして、負極用結着材A中のエチレン性不飽和カルボン酸単量体単位の含有量は、1質量%以上5質量%以下である必要がある。また、負極用結着材A中のエチレン性不飽和カルボン酸単量体単位の含有量は、1.3質量%以上であることが好ましく、1.6質量%以上であることがより好ましく、4質量%以下であることが好ましく、3質量%以下であることがより好ましい。負極用結着材Aが、上述の(メタ)アクリル酸エステル単量体単位に加えて1質量%以上のエチレン性不飽和カルボン酸単量体単位を含有すれば、重合反応を安定化させて粗大粒子発生を抑制することにより、負極としての接着性を高めることができる。その結果、製造される二次電池に良好なサイクル特性を発揮させることができる。また、負極用結着材A中のエチレン性不飽和カルボン酸単量体単位が5質量%以下であれば、凝集作用のある水溶性成分が重合中に発生することを抑制できるため、粗大粒子の重合を抑制することにより、負極としての接着性を高めることができる。その結果、製造される二次電池に良好なサイクル特性を発揮させることができる。
【0033】
−種類−
ここで、エチレン性不飽和カルボン酸単量体単位を形成し得るエチレン性不飽和カルボン酸単量体の例としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸などのモノまたはジカルボン酸(無水物)などが挙げられる。中でも、メタクリル酸が好ましい。エチレン性不飽和カルボン酸単量体は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の比率で組み合わせてもよい。
【0034】
[[その他の単量体単位]]
上述した(メタ)アクリル酸エステル単量体単位およびエチレン性不飽和カルボン酸単量体単位以外のその他の単量体単位としては、(メタ)アクリル酸エステル単量体単位およびエチレン性不飽和カルボン酸単量体単位と併用し得、かつ結着材として機能し得る単量体単位であれば特に限定されない。
その他の単量体単位を形成し得る単量体としては、例えば、シアン化ビニル系単量体、不飽和カルボン酸アミド単量体、ヒドロキシアルキル基を含有する不飽和単量体、ジ(メタ)アクリル酸エステル単量体、芳香族ビニル単量体、脂肪族共役ジエン単量体等が挙げられる。
シアン化ビニル系単量体としては、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α−クロロアクリロニトリル、α−エチルアクリロニトリルなどが挙げられる。中でも、アクリロニトリル、メタクリロニトリルが好ましく、アクリロニトリルがより好ましい。なお、これらは、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
不飽和カルボン酸アミド単量体としては、例えば、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド等が挙げられる。中でも、アクリルアミド、メタクリルアミドが好ましく、アクリルアミドおよびメタクリルアミドを併せて用いることがより好ましい。なお、これらは、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
ヒドロキシアルキル基を含有する不飽和単量体としては、例えば、β−ヒドロキシエチルアクリレート、β−ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、ヒドロキシブチルアクリレート、ヒドロキシブチルメタクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、ジ−(エチレングリコール)マレエート、ジ−(エチレングリコール)イタコネート、2−ヒドロキシエチルマレエート、ビス(2−ヒドロキシエチル)マレエート、2−ヒドロキシエチルメチルフマレートなどが挙げられる。なお、これらは、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
ジ(メタ)アクリル酸エステル単量体としては、例えば、エチレンジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレートなどが挙げられる。なお、これらは、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
芳香族ビニル単量体としては、特に限定されることなく、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、ジビニルベンゼン等が挙げられる。なお、芳香族ビニル単量体は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
更に、脂肪族共役ジエン単量体としては、特に限定されることなく、1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−クロル−1,3−ブタジエン、置換直鎖共役ペンタジエン類、置換および側鎖共役ヘキサジエン類などが挙げられる。なお、脂肪族共役ジエン単量体は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
【0035】
[[重合方法]]
負極用結着材Aに用いられる上述した単量体の重合方法は、特に限定はされず、例えば、溶液重合法、懸濁重合法、塊状重合法、乳化重合法などのいずれの方法を用いてもよい。また、重合反応としては、イオン重合、ラジカル重合、リビングラジカル重合などの付加重合を用いることができる。そして、重合に使用される乳化剤、分散剤、重合開始剤、連鎖移動剤などは、一般に用いられるものを使用することができ、その使用量も、一般に使用される量とすることができる。
【0036】
例えば、負極用結着材Aの調製に用い得る乳化剤としては、特に制限されることなく、既知の乳化剤、例えば、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤のいずれであってもよい。アニオン性界面活性剤の具体例としては、ラウリル硫酸ナトリウムといったドデシル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウムといったドデシル硫酸アンモニウム、オクチル硫酸ナトリウム、デシル硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、ヘキサデシル硫酸ナトリウム、オクタデシル硫酸ナトリウムなどの高級アルコールの硫酸エステル塩;ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、コハク酸ジアルキルエステルスルホン酸ナトリウム、ラウリルベンゼンスルホン酸ナトリウムといったドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ヘキサデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムなどのアルキルベンゼンスルホン酸塩;ラウリルスルホン酸ナトリウムといったドデシルスルホン酸ナトリウム、テトラデシルスルホン酸ナトリウムなどの脂肪族スルホン酸塩;などが挙げられ、不飽和結合を有するいわゆる反応性乳化剤であってもよい。中でも、ラウリル硫酸ナトリウムを用いることが好ましい。これらは、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
【0037】
分散剤としては、特に制限されることなく、既知の分散剤、例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムを使用することができる。分散剤は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
【0038】
重合開始剤としては、既知の重合開始剤、例えば、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウムが挙げられる。中でも、過硫酸アンモニウムを用いることが好ましい。これらは、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
【0039】
連鎖移動剤としては、特に制限されることなく、例えば、n−ヘキシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、t−オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、n−ステアリルメルカプタン等のアルキルメルカプタン;ジメチルキサントゲンジサルファイド、ジイソプロピルキサントゲンジサルファイド等のキサントゲン化合物;ターピノレンや、テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラメチルチウラムモノスルフィド等のチウラム系化合物;2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、スチレン化フェノール等のフェノール系化合物;アリルアルコール等のアリル化合物;ジクロルメタン、ジブロモメタン、四臭化炭素等のハロゲン化炭化水素化合物;チオグリコール酸、チオリンゴ酸、2−エチルヘキシルチオグリコレート、ジフェニルエチレン、α−メチルスチレンダイマーなどが挙げられる。これらのなかでも、副反応抑制という観点から、アルキルメルカプタンが好ましく、t−ドデシルメルカプタンがより好ましい。これらは1種類を単独で使用してもよく、2種以上組み合わせて使用してもよい。
【0040】
[[性状]]
負極用結着材Aは、テトラヒドロフラン(THF)不溶分率が70質量%以上であることが好ましく、75質量%以上であることがより好ましく、80質量%以上であることが更に好ましく、95質量%以下であることが好ましく、93質量%以下であることがより好ましく、90質量%以下であることが更に好ましい。負極用結着材AのTHF不溶分率が70質量%以上であれば、電池内において電解液中に負極用結着材成分が溶出することを抑制し、電池抵抗をさらに良好にすることができるからである。また、負極用結着材AのTHF不溶分率が95質量%以下であれば、電極としての電解液膨潤度が良好となり、製造される二次電池のサイクル特性をより向上させることができるからである。
なお、負極用結着材AのTHF不溶分率は、例えば、重合反応に用いる単量体の種類や配合量によって調節することができる。
【0041】
[その他の負極用結着材]
ここで、負極が含み得るその他の負極用結着材には、上述の負極用結着材Aと良好に併用され得る結着材成分であれば特に限定されることなく、例えば、共役ジエン系重合体などの任意の重合体を用いることができる。
ここで、共役ジエン系重合体とは、共役ジエン単量体単位を含む重合体である。そして、共役ジエン系重合体の具体例としては、特に限定されることなく、スチレン−ブタジエン共重合体(SBR)などの芳香族ビニル単量体単位および脂肪族共役ジエン単量体単位を含む共重合体、ブタジエンゴム(BR)、アクリルゴム(NBR)(アクリロニトリル単位およびブタジエン単位を含む共重合体)、並びに、それらの水素化物などが挙げられる。中でも、スチレン−ブタジエン共重合体(SBR)などの芳香族ビニル単量体単位および脂肪族共役ジエン単量体単位を含む共重合体が好ましい。なお、その他の負極用結着材として用いられる重合体は、負極用結着材中に任意の割合で配合され得る。
【0042】
<<負極用スラリー組成物の調製>>
負極用スラリー組成物は、上述した負極活物質、負極用結着材A、並びに、任意で、その他の負極用結着材、および増粘剤などの添加剤を、水および/または有機溶媒などの溶媒中に溶解または分散させることにより調製することができる。具体的には、ボールミル、サンドミル、ビーズミル、顔料分散機、らい潰機、超音波分散機、ホモジナイザー、プラネタリーミキサー、フィルミックスなどの混合機を用いて上記各成分と溶媒とを混合することにより、負極用スラリー組成物を調製することができる。
なお、負極用スラリー組成物の調製に用いる溶媒としては、上述した負極用結着材の分散液に含まれている溶媒を使用してもよく、増粘剤としては、既知の増粘剤、例えばカルボキシメチルセルロースナトリウム塩を使用することができる。
【0043】
[配合量]
ここで、負極用スラリー組成物の調製には、負極用結着材Aを、負極活物質100質量部に対して0.01質量部以上1.0質量部以下含有させることが好ましい。また、負極用スラリー組成物中の負極用結着材Aの含有割合は、負極活物質100質量部に対して0.05質量部以上がより好ましく、0.1質量部以上が更に好ましく、0.8質量部以下がより好ましく、0.5質量部以下が更に好ましい。負極用スラリー組成物中の負極用結着材Aの含有割合が上記下限以上であれば、負極活物質同士、並びに負極活物質および集電体間の接着性を高め、特に、充放電時における負極合材層の耐膨張収縮性を高め得るからである。その結果、製造される二次電池のサイクル特性をより向上させ得る。また、負極用スラリー組成物中の負極用結着材Aの含有割合が上記上限以下であれば、当該負極用スラリー組成物を用いて作製した負極と、当該負極に接する電池部材との間の接着性を更に高め、二次電池のサイクル特性を更に良好にし得るからである。
なお、負極用結着材として、その他の負極用結着材を用いる場合は、負極用スラリー組成物中の負極用結着材(負極用結着材A及びその他の負極用結着材)の割合が、負極活物質100質量部に対して0.1質量部以上が好ましく、0.5質量部以上がより好ましく、10質量部以下が好ましく、5質量部以下がより好ましい。
【0044】
<<集電体>>
ここで、集電体としては、電気導電性を有し、かつ、電気化学的に耐久性のある材料が用いられる。具体的には、集電体としては、例えば、鉄、銅、アルミニウム、ニッケル、ステンレス鋼、チタン、タンタル、金、白金などの金属材料からなる集電体を用い得る。なお、前記の材料は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。中でも、負極の作製に用いる集電体としては、銅からなる薄膜が好ましい。
【0045】
<<負極合材層の形成方法>>
負極合材層は、例えば、上述した負極用スラリー組成物を集電体上に塗布する工程(塗布工程)と、集電体上に塗布された負極用スラリー組成物を乾燥する工程(乾燥工程)とを経て形成される。
【0046】
[塗布工程]
上記負極用スラリー組成物を集電体上に塗布する方法としては、特に限定されず公知の方法を用いることができる。具体的には、塗布方法としては、ドクターブレード法、ディップ法、リバースロール法、ダイレクトロール法、グラビア法、エクストルージョン法、ハケ塗り法などを用いることができる。この際、負極用スラリー組成物を集電体の片面だけに塗布してもよいし、両面に塗布してもよい。塗布後乾燥前の集電体上のスラリー膜の厚みは、乾燥して得られる負極合材層の厚みに応じて適宜に設定しうる。
【0047】
[乾燥工程]
集電体上の負極用スラリー組成物を乾燥する方法としては、特に限定されず公知の方法を用いることができ、例えば温風、熱風、低湿風による乾燥法、真空乾燥法、赤外線や電子線などの照射による乾燥法が挙げられる。このように集電体上の負極用スラリー組成物を乾燥することで、集電体上に負極合材層を形成し、集電体と負極合材層とを備える二次電池用の負極を得ることができる。
【0048】
なお、乾燥工程の後、金型プレスまたはロールプレスなどを用い、負極合材層に加圧処理を施してもよい。加圧処理により、負極合材層と集電体との接着性を向上させることができる。また、負極合材層が硬化性の重合体を含む場合は、負極合材層の形成後に前記重合体を硬化させることが好ましい。
【0049】
<正極>
正極としては、既知の正極を用いることができる。具体的には、正極としては、特に限定されることなく、集電体と、集電体上に形成された正極合材層とを有する正極を用いることができる。そして、正極合材層は、通常、正極活物質、導電材、および結着材を含有する正極用スラリー組成物を用いて形成される。
ここで、集電体、正極合材層中の導電材および結着材には既知のものを用いることができ、例えば特開2013−145763号公報に記載のものを用いることができる。また、集電体上への正極合材層の形成方法としては、特に制限されることなく、上述の負極合材層の形成方法と同様の方法を挙げることができる。
【0050】
また、正極活物質としては、具体的には、特に限定されることなく、リチウム含有コバルト酸化物(LiCoO2)、マンガン酸リチウム(LiMn24)、リチウム含有ニッケル酸化物(LiNiO2)、Co−Ni−Mnのリチウム含有複合酸化物(Li(Co Mn Ni)O2)、Ni−Mn−Alのリチウム含有複合酸化物、Ni−Co−Alのリチウム含有複合酸化物、オリビン型リン酸鉄リチウム(LiFePO4)、オリビン型リン酸マンガンリチウム(LiMnPO4)、Li2MnO3−LiNiO2系固溶体、Li1+xMn2-x4(0<X<2)で表されるリチウム過剰のスピネル化合物、Li[Ni0.17Li0.2Co0.07Mn0.56]O2、LiNi0.5Mn1.54等の既知の正極活物質が挙げられる。
なお、正極活物質の配合量や粒子径は、特に限定されることなく、従来使用されている正極活物質と同様とすることができる。
【0051】
<接着層>
本発明の非水系二次電池が備える接着層は、負極とセパレータとの間に配置されることを必要とし、好ましくは、セパレータ上に形成される。また、本発明の非水系二次電池が備える接着層は、ガラス転移温度が110℃以下の粒子状重合体を含むことを特徴とする。
そして、本発明の非水系二次電池が備える接着層は上記所定の粒子状重合体を含んでいるため、当該接着層を介して向かい合う負極とセパレータとを良好に接着させることができる。そのため、当該接着層を備える非水系二次電池は、良好な出力特性(特に低温出力特性)および良好なサイクル特性(特に高温サイクル特性)を両立することができる。
【0052】
また、本発明の非水系二次電池が備える接着層は、少なくとも上記所定の粒子状重合体を含み、任意で、接着層用結着材を更に含み得る。つまり、接着層は、当該粒子状重合体のみを含んでもよく、当該粒子状重合体および接着層用結着材を含んでもよい。中でも、接着層は、粒子状重合体および接着層用結着材の双方を含むことが好ましい。
【0053】
<<粒子状重合体>>
[性状]
ここで、粒子状重合体は、ガラス転移温度110℃以下である必要がある。また、粒子状重合体のガラス転移温度は、90℃以下が好ましく、70℃以下がより好ましく、10℃以上が好ましく、30℃以上がより好ましく、40℃以上が更に好ましい。粒子状重合体のガラス転移温度が110℃以下であれば、当該粒子状重合体を含む接着層に十分な柔軟性を与え、接着層を介して向かい合う負極とセパレータとを良好に接着させることができる。その結果、製造される二次電池に良好なサイクル特性を発揮させる。また、粒子状重合体のガラス転移温度が10℃以上であれば、当該粒子状重合体の強度を十分なものとし、当該粒子状重合体を含む接着層を挟むように位置する負極とセパレータとを良好に接着させることができる。従って、二次電池のサイクル特性をより向上されることができるからである。
なお、粒子状重合体が、後述するコアシェル構造を有する場合には、当該コアシェル構造を構成するコア部およびシェル部の少なくとも一方が、上述した所定範囲のガラス転移温度を満たしていればよい。
【0054】
また、粒子状重合体の体積平均粒子径は、0.05μm以上0.7μm以下であることが好ましい。粒子状重合体の体積平均粒子径が0.05μm以上であれば電池抵抗の上昇を抑制することができ、また、粒子状重合体の体積平均粒子径が0.7μm以下であれば粒子状重合体の接着力を維持することができるからである。
なお、本発明において、粒子状重合体の「体積平均粒子径」は、レーザー回折式粒子径分布測定装置を用いて湿式測定された粒子径分布において、小径側から計算した累積体積が50%となる粒子径(μm)として求めることができる。
【0055】
[構造]
また、粒子状重合体は、ガラス転移温度が上述した範囲内であれば、特に限定されることなく、例えば、粒子形状を有する個々の重合体が個別に存在していてもよく、粒子形状を有する個々の重合体が接触して存在していてもよく、また、粒子形状を有する個々の重合体が複合化して存在していてもよい。
個々の粒子が接触または複合化して存在している場合としては、例えば、粒子形状を有するコア部と、当該コア部の外表面を部分的に覆い、かつ自身も粒子形状を有するシェル部とを備える、コアシェル構造を形成していてもよい。
なお、粒子状重合体は、通常、負極用スラリー組成物中では粒子形状で存在する。また、粒子状重合体は、通常、形成された接着層中でも粒子形状で存在するが、その他の任意の形状であってもよい。
【0056】
−コアシェル構造−
コアシェル構造においては、コア部は、シェル部よりも内側にある部分である。また、シェル部は、通常は、当該粒子状重合体において最も外にある部分である。また、シェル部の形態は特に制限されないが、シェル部は、重合体の粒子によって構成されていることが好ましい。シェル部が重合体の粒子によって構成されている場合、粒子状重合体の径方向にシェル部を構成する粒子が複数重なり合っていてもよい。ただし、粒子状重合体の径方向では、シェル部を構成する粒子同士が重なり合わず、それらの重合体の粒子が単層でシェル部を構成していることが好ましい。
そして、粒子状重合体は、コア部がシェル部に部分的に被覆されているコアシェル構造を有することが好ましい。粒子状重合体がコアシェル構造を有していれば、当該粒子状重合体を含む接着層を用いた際に、接着層を介して対向する負極とセパレータとがより良好に接着されるからである。それに伴い、当該接着層を備える二次電池がより良好な出力特性およびサイクル特性を発揮できるからである。ここで、粒子状重合体がコアシェル構造である場合に電極部材間の接着性、出力特性、およびサイクル特性がより向上する理由は明らかではないが、以下の通りであると推察される。
即ち、コアシェル構造である粒子状重合体は、例えば、接着力の異なる別個の成分をそれぞれコア部およびシェル部として多段階に調製して得ることができる。具体的には、後述するように、比較的粘度が低く接着性に勝る重合体をコア部としてまず生成させる。次に、シェル部として、比較的粘度が高く接着性に劣る重合体を、当該シェル部がコア部の表面を部分的に覆うように、さらに生成させることにより調製することができる。ここで、得られたコアシェル構造を有する粒子状重合体のうち、被覆されることなく部分的に外側に表れるコア部は、例えば、電池製造工程における熱プレスなどを経て負極用結着材と良好に結着する役割を担い得る。そのため、粒子状重合体の一構成部分として当該コア部を含む接着層を介した電極部材同士の接着力が高まる。そして、当該高い接着力に起因して二次電池がより良好なサイクル特性を示し得る。一方、得られたコアシェル構造を有する粒子状重合体のうち、部分的にコア部を被覆するシェル部は、上述のコア部と負極用結着材との高い結着力に対してスペーサーのように機能し得る。そのため、高い結着力を維持しつつ電池内におけるイオン伝導性を良好に保ち、電池抵抗が悪化することを抑制する。そして、当該低い電池抵抗に起因して二次電池がより良好な出力特性を示し得る。
【0057】
[組成]
粒子状重合体の調製に用いられる単量体の例としては、上記所定のガラス転移温度を有する重合体を調製することができれば特に制限されることなく、上述した(メタ)アクリル酸エステル単量体、エチレン性不飽和カルボン酸単量体、シアン化ビニル系単量体、不飽和カルボン酸アミド単量体、ヒドロキシアルキル基を含有する不飽和単量体、芳香族ビニル単量体、脂肪族共役ジエン単量体等が挙げられる。
中でも、粒子状重合体がコアシェル構造を有する場合は、コア部の調製に用いる単量体しては、(メタ)アクリル酸エステル単量体、エチレン性不飽和カルボン酸単量体、およびジ(メタ)アクリル酸エステル単量体が好ましい。とりわけ、メチルメタクリレート、ブチルアクリレート、メタクリル酸、およびエチレンジメタクリレートを併用することがより好ましい。
また、シェル部の調製に用いる単量体としては、芳香族ビニル単量体が好ましく、とりわけ、スチレンを用いることがより好ましい。
【0058】
[重合方法]
粒子状重合体の重合方法は、特に限定はされず、上述の負極用結着材Aの重合方法を挙げることができる。
また、コアシェル構造を有する粒子状重合体の重合方法としては、例えば、多段階乳化重合法が挙げられる。そして、多段階乳化重合法としては、例えば特許文献1に記載される既知の重合法を用いることができる。また、多段階乳化重合に使用される乳化剤、分散剤、重合開始剤、連鎖移動剤などは、一般に用いられるものを使用することができ、その使用量も、一般に使用される量とすることができる。
【0059】
具体的には、多段階乳化重合法の重合手順として、まず、溶媒である水に、コア部を形成する単量体および乳化剤を混合し、その後重合開始剤を入れ、乳化重合することによってコア部を構成する粒子状の重合体を得る。さらに、このコア部を構成する粒子状の重合体の存在下にシェル部を形成する単量体の重合を行うことによって、コアシェル構造を有する粒子状重合体を得ることができる。この際、コア部の外表面をシェル部によって部分的に覆う観点から、シェル部の重合体の単量体は複数回に分割して、または、連続で重合系に供給することが好ましい。シェル部の重合体の単量体を重合系に分割して、または、連続で供給することにより、シェル部を構成する重合体が粒子状に形成され、当該粒子がコア部と結合することで、コア部を部分的に覆うシェル部を形成することができる。
また、シェル部の重合体を形成する単量体は、重合溶媒に対して親和性の低い単量体を用いると、コア部を部分的に覆うシェル部を形成し易くなる傾向がある。重合溶媒が水の場合、シェル部の重合体を形成する単量体は、疎水性単量体を含むことが好ましく、上述した通り芳香族ビニル単量体を含むことが特に好ましい。
また、用いる乳化剤量を少なくすると、コア部を部分的に覆うシェル部を形成し易くなる傾向があり、適宜乳化剤量を調整することで、コア部を部分的に覆うシェル部を形成することができる。
【0060】
ここで、接着層の形成に用いられる全重合体の含有量に対する粒子状重合体の含有割合は、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上、更に好ましくは70質量%以上、特に好ましくは80質量%以上であり、好ましくは99.9質量%以下、より好ましくは99質量%以下、さらに好ましくは98質量%以下、特に好ましくは96質量%以下である。粒子状重合体の含有割合を上記下限以上にすれば、接着層を介した電池部材間の接着性を高め得るからである。また、粒子状重合体の含有割合を上記上限以下にすれば、電池内部におけるイオン拡散性を高めることができるからである。
【0061】
<<接着層用結着材>>
そして、接着層は、上述した粒子状重合体に加え、接着層用結着材を更に含むことが好ましい。接着層が粒子状重合体および接着層用結着材と共に含めば、当該接着層と負極用結着材とがより良好に接着され、製造される二次電池の出力特性およびサイクル特性をさらに向上させることができるからである。
【0062】
[組成]
ここで、接着層用結着材は、特に限定されることなく、例えば、(メタ)アクリル酸エステル単量体単位およびエチレン性不飽和カルボン酸単量体単位をそれぞれ所定の量含有することが好ましい。また、接着層用結着材は、(メタ)アクリル酸エステル単量体単位およびエチレン性不飽和カルボン酸単量体単位以外のその他の単量体単位を更に含有してもよい。
なお、接着層用結着材の調製に好適に用いられる(メタ)アクリル酸エステル単量体、エチレン性不飽和カルボン酸単量体、およびその他の単量体としては、上述した負極用結着材Aと同様の単量体を挙げることができる。中でも、(メタ)アクリル酸エステル単量体としてはブチルアクリレートおよび2−エチルヘキシルアクリレートが好ましく、ブチルアクリレートがより好ましい。また、エチレン性不飽和カルボン酸単量体としてはメタクリル酸が好ましい。更に、その他の単量体としては、例えば、アクリロニトリル、N−メチロールアクリルアミド、アクリルアミド、およびエチレンジメタクリレートが好ましい。これらは、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
【0063】
[含有量]
そして、接着層用結着材中の(メタ)アクリル酸エステル単量体単位の含有量は、70質量%以上が好ましく、75質量%以上がより好ましく、80質量%以上が更に好ましく、95質量%以下が好ましく、94.5質量%以下がより好ましく、94質量%以下が更に好ましい。接着層用結着材が70質量%以上の(メタ)アクリル酸エステル単量体単位を含有すれば、接着層の柔軟性が高まり、接着層を介した負極およびセパレータ間の接着性が良好になる。その結果、製造される二次電池に良好なサイクル特性を発揮させることができる。また、接着層用結着材中の(メタ)アクリル酸エステル単量体単位が95質量%以下であれば、電池において電解液中に接着層用結着材成分が溶出することを抑制し、また、二次電池の出力特性をより向上することができる。
【0064】
また、接着層用結着材中のエチレン性不飽和カルボン酸単量体単位は、1質量%以上が好ましく、1.3質量%以上がより好ましく、1.6質量%以上が更に好ましく、5質量%以下が好ましく、4質量%以下がより好ましく、3質量%以下であることが更に好ましい。接着層用結着材が上述の(メタ)アクリル酸エステル単量体単位に加えて1質量%以上のエチレン性不飽和カルボン酸単量体単位を含有すれば、重合反応を安定化して粗大粒子の重合を抑制することにより、電池部材間の接着性を高めることができる。その結果、製造される二次電池に良好なサイクル特性を発揮させることができる。また、接着層用結着材中のエチレン性不飽和カルボン酸単量体単位が5質量%以下であれば、上記同様に、粗大粒子の重合を抑制することにより、電池部材間の接着性を高めることができる。その結果、製造される二次電池に良好なサイクル特性を発揮させることができる。
【0065】
なお、接着層用結着材が上記所定の単量体単位を含むことにより、負極およびセパレータなどの電池部材間の接着性が更に向上する理由は明らかではないが、以下の通りであると推察される。
即ち、電池構造において互いに直接接触し合う、負極合材層に含まれる負極用結着材Aと接着層に含まれる接着層用結着材とが同様の成分を有することにより、当該負極用結着材Aと接着層用結着材とが良好な相性をもって一体化し易くなる。その結果、当該接着層用結着材を含む接着層を挟むように配置された負極およびセパレータが、より強固に接着し得る。そして、当該接着力は、負極およびセパレータを含む電池部材が熱プレスなどを経ることにより、さらに強固なものとなる。
【0066】
また、接着層用結着材のガラス転移温度は、好ましくは−100℃以上、より好ましくは−90℃以上、特に好ましくは−80℃以上であり、好ましくは0℃以下、より好ましくは−5℃以下、特に好ましくは−10℃以下である。接着層用結着材のガラス転移温度を上記下限値以上にすることにより、接着層の接着性を高めることができるからである。また、接着層用結着材のガラス転移温度を上記上限値以下にすることにより、接着層の柔軟性を高めることができるからである。
【0067】
なお、接着層用結着材の形態は、粒子状であってもよく、非粒子状であってもよい。中でも、接着層内に細孔を設けて電池内部におけるイオン拡散性を高くする観点からは、接着層用結着材の形態は粒子状であることが好ましい。
【0068】
ここで、接着層用結着材が粒子状の形態を有する場合、当該接着層用結着材の体積平均粒子径は、好ましくは0.01μm以上、より好ましくは0.02μm以上、特に好ましくは0.05μm以上であり、好ましくは1μm以下、より好ましくは0.9μm以下、特に好ましくは0.8μm以下である。接着層用結着材の体積平均粒子径を上記下限値以上にすることにより、当該接着層用結着材の後述する接着層用スラリー組成物中における分散性を高めることができるからである。また、接着層用結着材の体積平均粒子径を上記上限値以下にすることにより、接着層の接着性を高めることができるからである。
【0069】
また、接着層用結着材の含有量は、粒子状重合体100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは0.2質量部以上であり、好ましくは50質量部以下、より好ましくは40質量部以下、特に好ましくは30質量部以下である。接着層用結着材の含有量を上記下限値以上にすることにより、接着層の強度を高めることができるからである。また、接着層用結着材の含有量を上記上限値以下にすることにより、粒子状重合体が、電池内部におけるイオン拡散性を十分に促進することができるからである。
【0070】
[重合方法]
接着層用結着材の重合方法は、特に限定はされず、上述の負極用結着材Aの物と同様の重合方法を挙げることができる。
【0071】
<<接着層用スラリー組成物の調製>>
また、接着層用スラリー組成物は、上述した粒子状重合体、接着層用結着材、および必要に応じてエチレンオキサイド−プロピレンオキサイド共重合体などの界面活性剤を、水などの溶媒に分散させることにより、調製することができる。また、分散方法などは、上述の負極用結着材Aのものと同様の分散方法を挙げることができる。
【0072】
<<接着層の形成>>
そして、接着層は、特に限定はされず、上述した負極合材層の形成方法と同様に、例えば、塗布工程および乾燥工程を経て形成される。
また、接着層は、負極が備える負極合材層上に形成してもよく、および/またはセパレータ上に形成してもよく、セパレータ上に形成することが好ましい。また、接着層は、負極および/またはセパレータの片面のみに形成してもよく、両面に形成してもよいが、セパレータ上に形成する場合はセパレータの両面に形成することが好ましい。
【0073】
ここで、接着層の厚みは、好ましくは0.1μm以上、より好ましくは0.2μm以上、特に好ましくは0.5μm以上であり、好ましくは5μm以下、より好ましくは4μm以下、特に好ましくは3μm以下である。接着層の厚みを上記下限値以上にすることにより、接着層の接着性を高くできるからである。また、接着層の厚みを上記上限値以下にすることにより、接着層に起因した電池抵抗の上昇を抑制し、且つ、二次電池のサイクル特性が低下することを防止できるからである。
【0074】
<セパレータ>
セパレータとしては、特に限定されることなく、例えば、ポリオレフィン系(ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリ塩化ビニル)の樹脂を用いた微多孔膜、ポリエチレンテレフタレート、ポリシクロオレフィン、ポリエーテルスルフォン、ナイロンなどのポリアミド、ポリイミド、ポリイミドアミド、ポリアラミド、ポリシクロオレフィン、ポリテトラフルオロエチレン等の樹脂を用いた微多孔膜、ポリオレフィン系の繊維を用いた織布または不織布、絶縁性物質よりなる粒子の集合体等が挙げられる。これらの中でも、セパレータ全体の膜厚を薄くすることができ、これにより、非水系二次電池内の電極合材層の比率を高くして体積あたりの容量を高くすることができるという点より、ポリオレフィン系(ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリ塩化ビニル)の樹脂を用いた微多孔膜が好ましい。
なお、セパレータとして、上述した微多孔膜、織布、または不織布の上に、例えば、非導電性粒子および/または多孔膜用結着材を含む多孔膜を更に有するものを用いてもよい。
ここで、非導電性粒子としては、電気化学的に安定な材料で形成された粒子を用いることが好ましく、無機粒子を用いてもよく、有機粒子を用いてもよく、無機粒子および有機粒子を併用してもよい。また、多孔膜用結着材としては、特に制限されることなく、例えば、上述した接着層用結着材に用い得る重量体単位と同様のものを用い得る。
【0075】
<電解液>
電解液としては、通常、有機溶媒に支持電解質を溶解した有機電解液が用いられる。例えば、非水系二次電池がリチウムイオン二次電池である場合には、支持電解質としては、リチウム塩が用いられる。リチウム塩としては、例えば、LiPF6、LiAsF6、LiBF4、LiSbF6、LiAlCl4、LiClO4、CF3SO3Li、C49SO3Li、CF3COOLi、(CF3CO)2NLi、(CF3SO22NLi、(C25SO2)NLiなどが挙げられる。なかでも、溶媒に溶けやすく高い解離度を示すので、LiPF6、LiClO4、CF3SO3Liが好ましく、LiPF6が特に好ましい。なお、電解質は1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。通常は、解離度の高い支持電解質を用いるほどリチウムイオン伝導性が高くなる傾向があるので、支持電解質の種類によりリチウムイオン伝導性を調節することができる。
【0076】
また、電解液に使用する有機溶媒としては、支持電解質を溶解できるものであれば特に限定されないが、例えば、ジメチルカーボネート(DMC)、エチレンカーボネート(EC)、ジエチルカーボネート(DEC)、プロピレンカーボネート(PC)、ブチレンカーボネート(BC)、エチルメチルカーボネート(EMC)等のカーボネート類;γ−ブチロラクトン、ギ酸メチル等のエステル類;1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン等のエーテル類;スルホラン、ジメチルスルホキシド等の含硫黄化合物類;などが好適に用いられる。またこれらの溶媒の混合液を用いてもよい。中でも、誘電率が高く、安定な電位領域が広いのでカーボネート類を用いることが好ましく、エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートとの混合物を用いることが更に好ましい。
また、電解液には、既知の添加剤、例えば、ビニレンカーボネート(VC)、フルオロエチレンカーボネート(FEC)やエチルメチルスルホンなどを添加してもよい。
【0077】
<二次電池の組立て>
そして、本発明の非水系二次電池は、捲回型または積層型であることが好ましく、捲回型であることがより好ましい。捲回型または積層型であれば、電池の製造工程において、負極およびセパレータを、接着層を介して良好に熱プレスするため、電池部材間の接着性をより高めることができるからである。
【0078】
ここで、本発明の非水系二次電池が備える正極および負極等の電極、セパレータ、並びに接着層等の電池部材は、通常、セパレータの片側に正極が、セパレータの他方の片側に負極が接するように配置される。より具体的には、セパレータの片側に正極合材層側が、セパレータの他方の片側に負極合材層側が、それぞれセパレータと接するように配置される。また、本発明の非水系二次電池では、少なくとも、負極およびセパレータの間に接着層が配置される必要がある。つまり、本発明の非水系二次電池では、負極およびセパレータの間のみに接着層が存在していてもよく、更に、正極およびセパレータの間にも接着層が存在していてもよい。より具体的には、負極合材層およびセパレータの間のみに接着層が存在していてもよく、更に、正極合材層およびセパレータの間にも接着層が存在していてもよい。
【0079】
また、本発明の非水系二次電池は、特に制限されることなく、既知の組立方法を用いて製造され得る。具体的には、本発明の非水系二次電池は、例えば、上述のように、電極とセパレータとを、接着層を介して必要に応じて電池形状に巻く、折るなどして電池容器に入れ、電池容器に電解液を注入して封口することにより製造されることができる。ここで、非水系二次電池の内部圧力の上昇、過充放電等の発生を防止するために、必要に応じて、ヒューズ、PTC素子等の過電流防止素子、エキスパンドメタル、リード板などを設けてもよい。また、二次電池の形状は、例えば、コイン型、ボタン型、シート型、円筒型、角形、扁平型など、何れであってもよい。
【実施例】
【0080】
以下、本発明について実施例に基づき具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、以下の説明において、量を表す「%」および「部」は、特に断らない限り、質量基準である。
そして、負極用結着材AのTHF不溶分率、接着層に含まれる粒子状重合体のガラス転移温度、電池部材(負極およびセパレータ)間の接着性、二次電池の低温出力特性および高温サイクル特性は、下記の方法で算出、測定および評価した。
【0081】
<THF不溶分率>
負極用結着材Aのテトラヒドロフラン(THF)不溶分率は、負極用結着材Aに含まれる重合体の全固形分の重量に対する、THFに不溶な固形分の重量の割合(質量%)として求めることができる。具体的には、負極用結着材Aが水中に分散された水分散液Aを、湿度50%、温度23℃以上25℃以下の環境下で3日間乾燥させた後に、更に熱風オーブンを用いて、120℃環境下で1時間乾燥させることにより、乾燥分散体を得た。得られた乾燥分散体を、厚み3±0.3mmに成膜し、一辺が5mmの略正方形状に裁断することにより、乾燥フィルム片を用意した。
用意した乾燥フィルム片を精秤し、得られた乾燥フィルム片の重量をW0とした。
次に、乾燥フィルム片を、100gのTHFに23℃以上25℃以下にて24時間浸漬させ、溶解させた。THFから引き揚げた残留フィルム片を、105℃環境下で3時間真空乾燥した後に、乾燥させた残留フィルム片を精秤し、得られた残留フィルム片の重量をW1とした。
そして、得られた精秤値を用いて下記式(I):
THF不溶分率(%)=(W1/W0)×100 ・・・(I)
に従って、THF不溶分率を算出した。結果を表1に示す。
【0082】
<ガラス転移温度>
接着層に含まれる粒子状重合体のガラス転移温度は、示差熱分析測定装置(エスアイアイ・ナノテクノロジー社製、製品名「EXSTAR DSC6220」)を用いて測定した。具体的には、粒子状重合体を乾燥させた試料10mgをアルミニウムパンに入れ、計量した。なお、基準物質としては空のアルミニウムパンを用いた。当該試料を上記示差熱分析測定装置に入れ、温度25℃における相対湿度50%下、温度範囲−100℃〜500℃(昇温速度10℃/分)の間で測定し、示差走査熱量分析(DSC)曲線を得た。当該DSC曲線において、微分信号(DDSC)が0.05mW/分/mg以上となる吸熱ピークが出る直前のベースラインと、吸熱ピーク後に最初に現れる変曲点での接線との交点に対応する温度を、ガラス転移温度(℃)として求めた。結果を表1に示す。
なお、接着層用結着材のガラス転移温度は、測定温度を−50℃以上とすること以外は上述と同様の方法で測定した。
【0083】
<電池部材間の接着性>
電池部材(負極およびセパレータ)間の接着性は、以下の通りピール強度として測定した。具体的には、作製された負極と、接着層が形成されたセパレータとを、負極合材層および接着層が対向するように重ね合わせ、一辺が10mmの略正方形状に切り出すことにより、積層片とした。得られた積層片を、温度70℃下、圧力1.0MPa下にて8秒間プレスすることにより、負極とセパレータとを一体化させた試験片を得た。
得られた試験片の負極(集電体)側を下にして、集電体表面にセロハンテープを貼り付けた。この際、セロハンテープとしてはJIS Z1522に規定されるものを用い、セロハンテープは水平な試験台に固定した。そして、試験片のうちセパレータ側の一端を、50mm/分の速度で鉛直方向に引張って剥がしたときの応力を測定した。同様の測定を3回行い、測定結果の平均値をピール強度とし、以下の基準にて接着性を判定した。ピール強度が大きいほど、負極およびセパレータ間の接着性が高いことを示す。結果を表1に示す。
A:ピール強度が10N/m以上
B:ピール強度が5N/m以上10N/m未満
C:ピール強度が3N/m以上5N/m未満
D:ピール強度が3N/m未満
【0084】
<低温出力特性>
製造した800mAh捲回型リチウムイオン二次電池を、25℃の環境下で24時間静置した。その後、25℃の環境下で、0.1Cの充電レートで5時間の充電操作を行い、充電操作後の電圧V0を測定した。
次に、−10℃環境下で、1Cの放電レートにて放電操作を行い、放電開始から15秒後の電圧V1を測定した。そして、電圧変化ΔVを、ΔV=V0−V1の式にて計算した。当該電圧変化ΔVの値が小さいほど、二次電池の低温出力特性が優れていることを示す。結果を表1に示す。
A:電圧変化ΔVが350mV未満
B:電圧変化ΔVが350mV以上500mV未満
C:電圧変化ΔVが500mV以上650mV未満
D:電圧変化ΔVが650mV以上
【0085】
<高温サイクル特性>
製造した800mAh捲回型リチウムイオン二次電池を、25℃の環境下で24時間静置した。その後、25℃の環境下で、0.1Cのレートで4.35Vまで充電した。次に、充電後の二次電池を0.1Cのレートで2.75Vまで放電することにより、初期の充放電操作を行った。初期の充放電後の二次電池の容量を、初期容量C0として測定した。
続いて、60℃環境下にて、上述と同様の条件で充放電を1000サイクル繰り返した。1000サイクルを経た二次電池の容量をC1として測定した。そして、容量維持率ΔCを、ΔC=C1/C0×100(%)にて計算した。当該容量維持率ΔCの値が高いほど、リチウムイオン二次電池が高温サイクル特性に優れ、二次電池が長寿命であることを示す。結果を表1に示す。
A:容量維持率ΔCが84%以上
B:容量維持率ΔCが80%以上84%未満
C:容量維持率ΔCが75%以上80%未満
D:容量維持率ΔCが75%未満
【0086】
(実施例1)
<負極の作製>
<<負極用結着材の調製>>
[負極用結着材A]
撹拌機を備えた反応器に、イオン交換水70部、乳化剤としてラウリル硫酸ナトリウム(花王ケミカル社製、製品名「エマール2F」)0.15部、および重合開始剤として過硫酸アンモニウム0.5部をそれぞれ供給し、気相部を窒素ガスで置換し、60℃に昇温した。
一方、別の容器に、イオン交換水50部、分散剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.5部、(メタ)アクリル酸エステル単量体としてブチルアクリレート93部、エチレン性不飽和カルボン酸単量体としてメタクリル酸2部、並びに、その他の重合性単量体としてアクリロニトリル2部、N−メチロールアクリルアミド1部、およびアクリルアミド2部を供給し、混合することにより、単量体混合物を得た。当該単量体混合物を4時間かけて前記反応器に連続的に添加して重合を行った。なお、単量体混合物の添加中は、温度60℃下で重合反応を続けた。添加終了後、さらに温度70℃下で3時間撹拌して重合反応を終了し、負極用結着材Aとして、(メタ)アクリル酸エステル単量体単位およびエチレン性不飽和カルボン酸単量体単位を含有するアクリル系重合体を含む水分散液Aを調製した。なお、得られたアクリル系重合体のガラス転移温度は−45℃、体積平均粒子径D50は0.36μmであった。
そして、得られた負極用結着材Aとしてのアクリル系重合体を用いてTHF不溶分率を上述の方法で測定した。結果を表1に示す。
【0087】
[負極用結着材B]
芳香族ビニル単量体としてスチレン61.5部、脂肪族共役ジエン単量体として1,3−ブタジエン35部、エチレン性不飽和カルボン酸単量体としてイタコン酸3.5部、連鎖移動剤としてtert-ドデシルメルカプタン0.25部、乳化剤としてラウリル硫酸ナトリウム0.35部の混合液を、当該混合液の入った容器から別の耐圧容器へ添加した。当該添加と同時に、重合開始剤として過硫酸カリウム1部を耐圧容器へ添加することにより、重合反応を開始した。なお、重合反応温度は75℃を維持した。
重合開始から5時間半後、上記単量体の全量添加が完了し、その後、さらに85℃に加温して6時間重合反応を続けた。
重合転化率が97%になった時点で冷却し反応を停止することにより、粒子状重合体を含む混合物を得た。得られた粒子状重合体を含む混合物に5%水酸化ナトリウム水溶液を添加して、混合物をpH8に調整した。その後、加熱減圧蒸留によって未反応単量体の除去を行った。さらにその後冷却し、その他の負極用結着材である負極用結着材Bとして、スチレン−ブタジエン共重合体を含む水分散液B(固形分濃度:40%)を得た。
【0088】
<<負極用スラリー組成物の調製>>
負極活物質として人造黒鉛(体積平均粒子径:15.6μm)100部、および、増粘剤としてカルボキシメチルセルロースナトリウム塩(日本製紙社製、製品名「MAC350HC」)の2%水溶液を固形分相当で1部混合し、イオン交換水を加えて固形分濃度を68%に調整した後に、温度25℃下で60分間混合して混合液を得た。得られた混合液に、イオン交換水を更に加えて固形分濃度を62%に調整した後、さらに温度25℃下で15分間混合を加えた。当該混合液に、上述で得られた負極用結着材として、水分散液Aを固形分相当で0.20部および水分散液Bを固形分相当で1.30部加え、さらにイオン交換水を加えて最終固形分濃度が52%となるように調整し、さらに10分間混合を続けることにより重合体混合液を得た。そして、当該重合体混合液を減圧下で脱泡処理することにより、負極用スラリー組成物を得た。
【0089】
<<負極合材層の形成>>
上述で得られた負極用スラリー組成物を、集電体としての銅箔(厚さ20μm)上に、乾燥後の膜厚が150μm程度になるようにコンマコーターを用いて塗布した。次に、負極用スラリー組成物が塗布された銅箔を、0.5m/分の速度で温度60℃のオーブン内を2分間かけて搬送することにより、当該負極用スラリー組成物を乾燥させた。その後、負極用スラリー組成物が塗布された銅箔に対し、温度120℃下にて2分間更に加熱処理を行うことにより、プレス前の負極原反を得た。そして、当該プレス前の負極原反をロールプレスで圧延することにより、負極合材層の厚みが80μmである、プレス後の負極を得た。
【0090】
<正極の作製>
<<正極用スラリー組成物の調製>>
正極活物質としてLiCoO2(体積平均粒子径:12.0μm)を100部、導電材としてアセチレンブラック(電気化学工業社製、製品名「HS−100」)を2部、および正極用結着材としてポリフッ化ビニリデン(クレハ社製、製品名「#7208」)を固形分相当で2部混合し、当該混合物に溶媒としてN−メチルピロリドンを加え、全固形分濃度を70%に調整した混合液を得た。そして、当該混合液をプラネタリーミキサーにより混合することで、正極用スラリー組成物を得た。
【0091】
<<正極合材層の形成>>
上述で得られた正極用スラリー組成物を、集電体としてのアルミニウム箔(厚さ20μm)上に、乾燥後の膜厚が150μm程度になるようにコンマコーターを用いて塗布した。次に、正極用スラリー組成物が塗布されたアルミニウム箔を、0.5m/分の速度で温度60℃のオーブン内を2分間かけて搬送することにより、当該正極用スラリー組成物を乾燥させた。その後、正極用スラリー組成物が塗布されたアルミニウム箔に対し、温度120℃下にて2分間更に加熱処理を行うことにより、プレス前の正極原反を得た。そして、当該プレス前正極原反をロールプレスで圧延することにより、プレス後の正極を得た。
【0092】
<接着層の作製>
<<接着層用の粒子状重合体の調製>>
撹拌機付き5MPa耐圧容器に、コア部の製造に用いる(メタ)アクリル酸エステル単量体としてメチルメタクリレート65部およびブチルアクリレート30部、エチレン性不飽和カルボン酸単量体としてメタクリル酸4部、その他の重合性単量体としてエチレンジメタクリレート1部、乳化剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム1部、イオン交換水150部、並びに、重合開始剤として過硫酸カリウム0.5部を供給し、十分に撹拌した。その後、60℃に加温して重合を開始した。温度60℃下にて重合転化率が96%になるまで重合を継続させることにより、コア部を構成する粒子状重合体を含む水分散液を得た。
次いで、当該水分散液を70℃に加温した。そして、当該水分散液に、シェル部の製造に用いる重合性単量体としてスチレン20部を30分かけて連続供給することにより、温度70℃下にて重合を継続した。重合転化率が96%になった時点で冷却して反応を停止することにより、接着層の形成に用いる粒子状重合体を含む水分散液を得た。得られた粒子重合体の断面を観察したところ、シェル部自体も粒子状の重合体によって構成されていた。なお、得られた粒子状重合体の体積平均粒子径D50は、0.45μmであった。
そして、得られた粒子状重合体のコア部のガラス転移温度を測定した。結果を表1に示す。
【0093】
<<接着層用結着材の調製>>
撹拌機を備えた反応器に、イオン交換水70部、乳化剤としてラウリル硫酸ナトリウム(花王ケミカル社製、製品名「エマール2F」)0.15部、および重合開始剤として過硫酸アンモニウム0.5部をそれぞれ供給し、気相部を窒素ガスで置換し、60℃に昇温した。
一方、別の容器に、イオン交換水50部、分散剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.5部、並びに、重合性単量体としてブチルアクリレート93部、メタクリル酸2部、アクリロニトリル2部、N−メチロールアクリルアミド1部、およびアクリルアミド2部を供給し、混合することにより、単量体混合物を得た。当該単量体混合物を4時間かけて前記反応器に連続的に添加して重合を行った。なお、単量体混合物の添加中は、温度60℃下で重合反応を続けた。添加終了後、さらに温度70℃下で3時間撹拌して重合反応を終了し、接着層用結着材としてのアクリル系重合体を含む水分散液Cを調製した。
なお、得られたアクリル系重合体のガラス転移温度は−45℃、体積平均粒子径D50は0.36μmであった。
【0094】
<<接着層用スラリー組成物の調製>>
上述で得られた粒子状重合体を含む水分散液を固形分相当で100部、および、上述で得られた接着層用結着材としてのアクリル系重合体の水分散液Cを固形分相当で22部、および、エチレンオキサイド−プロピレンオキサイド共重合体2部を混合し、さらにイオン交換水を固形分濃度が20%になるように加え、撹拌することにより、接着層の形成に用いるための接着層用スラリー組成物を得た。
【0095】
<<接着層の形成>>
ポリエチレン製の有機多孔基材(厚み:16μm、ガーレー値:210s/100cc)をセパレータ基材として用意した。用意したセパレータ基材の両面に、上述で得られた接着層用スラリー組成物をスプレーコート法により塗布した。次に、接着層用スラリー組成物が塗布されたセパレータを、温度50℃下で1分間乾燥させることにより、セパレータの両面に接着層を形成した。なお、形成された接着層の片面1層当たりの厚みは1μmであった。上述の方法により、両面に接着層が形成された、接着層付きセパレータを得た。
そして、得られた負極および接着層付きセパレータを用いて、上述の方法にて電極部材間の接着性を評価した。結果を表1に示す。
【0096】
<二次電池の製造>
プレス後の正極を49cm×5.0cmに切り出した。切り出された正極の正極合材層上に、55cm×5.5cmに切り出した接着層付きセパレータを配置した。さらに、プレス後の負極を50cm×5.2cmに切り出し、当該切り出された負極を、セパレータの正極合材層と接していない方の面と負極合材層とが向かい合うように配置することにより、正極、セパレータ、負極を有する積層体を得た。ここで、正極およびセパレータ、並びに、負極およびセパレータの間には、それぞれ接着層が介在している。次に、得られた積層体を捲回機によって捲回することにより、正極、セパレータ、負極を有する捲回体を得た。更に、当該捲回体を温度70℃、圧力1.0MPaで8秒間プレスすることにより、扁平体とした。そして、当該扁平体を、電池の外装としてのアルミニウム包材外装で包み、電解液(電解質:濃度1MのLiPF6、溶媒:エチレンカーボネート(EC)/ジエチルカーボネート(DEC)/ビニレンカーボネート(VC)=68.5/30/1.5(体積比))を空気が残らないように注入した。さらに、アルミニウム包材の開口を150℃でヒートシールすることにより、アルミニウム外装を密封閉口し、800mAhの捲回型リチウムイオン二次電池を製造した。
そして、製造されたリチウムイオン二次電池について、上述の方法にて、低温出力特性および高温サイクル特性を評価した。結果を表1に示す。
【0097】
(実施例2)
負極用結着材の調製において、(メタ)アクリル酸エステル単量体として、ブチルアクリレートを78部に変更し、2−エチルヘキシルアクリレートを15部追加した以外は、実施例1と同様にして、負極用結着材、負極用スラリー組成物、負極、正極、接着層用の粒子状重合体、接着層用結着材、接着層用スラリー組成物、接着層、接着層付きセパレータ、および二次電池を製造した。
そして、実施例1と同様の方法により、THF不溶分率、ガラス転移温度、電池部材間の接着性、低温出力特性、およびサイクル特性の測定、評価を行った。結果を表1に示す。
【0098】
(実施例3)
負極用結着材の調製において、(メタ)アクリル酸エステル単量体として、ブチルアクリレートを71部に変更し、2−エチルヘキシルアクリレートを22部追加した以外は、実施例1と同様にして、負極用結着材、負極用スラリー組成物、負極、正極、接着層用の粒子状重合体、接着層用結着材、接着層用スラリー組成物、接着層、接着層付きセパレータ、および二次電池を製造した。
そして、実施例1と同様の方法により、THF不溶分率、ガラス転移温度、電池部材間の接着性、低温出力特性、およびサイクル特性の測定、評価を行った。結果を表1に示す。
【0099】
(実施例4)
負極用結着材の調製において、(メタ)アクリル酸エステル単量体としてのブチルアクリレートを94.8部に変更し、その他の重合性単量体としてのアクリロニトリルを0.2部に変更した以外は、実施例1と同様にして、負極用結着材、負極用スラリー組成物、負極、正極、接着層用の粒子状重合体、接着層用結着材、接着層用スラリー組成物、接着層、接着層付きセパレータ、および二次電池を製造した。
そして、実施例1と同様の方法により、THF不溶分率、ガラス転移温度、電池部材間の接着性、低温出力特性、およびサイクル特性の測定、評価を行った。結果を表1に示す。
【0100】
(実施例5)
負極用結着材の調製において、エチレン性不飽和カルボン酸単量体としてのメタクリル酸を3.5部に変更し、その他の重合性単量体としてのアクリロニトリルを0.5部に変更した以外は、実施例1と同様にして、負極用結着材、負極用スラリー組成物、負極、正極、接着層用の粒子状重合体、接着層用結着材、接着層用スラリー組成物、接着層、接着層付きセパレータ、および二次電池を製造した。
そして、実施例1と同様の方法により、THF不溶分率、ガラス転移温度、電池部材間の接着性、低温出力特性、およびサイクル特性の測定、評価を行った。結果を表1に示す。
【0101】
(実施例6)
負極用結着材の調製において、エチレン性不飽和カルボン酸単量体としてのメタクリル酸を4.5部に変更し、その他の重合性単量体として、アクリロニトリルを0.5部およびアクリルアミドを1部に変更した以外は、実施例1と同様にして、負極用結着材、負極用スラリー組成物、負極、正極、接着層用の粒子状重合体、接着層用結着材、接着層用スラリー組成物、接着層、接着層付きセパレータ、および二次電池を製造した。
そして、実施例1と同様の方法により、THF不溶分率、ガラス転移温度、電池部材間の接着性、低温出力特性、およびサイクル特性の測定、評価を行った。結果を表1に示す。
【0102】
(実施例7)
負極用結着材の調製において、エチレン性不飽和カルボン酸単量体としてのメタクリル酸を1.2部に変更し、その他の重合性単量体としてのアクリロニトリルを2.8部に変更した以外は、実施例1と同様にして、負極用結着材、負極用スラリー組成物、負極、正極、接着層用の粒子状重合体、接着層用結着材、接着層用スラリー組成物、接着層、接着層付きセパレータ、および二次電池を製造した。
そして、実施例1と同様の方法により、THF不溶分率、ガラス転移温度、電池部材間の接着性、低温出力特性、およびサイクル特性の測定、評価を行った。結果を表1に示す。
【0103】
(実施例8)
負極用結着材の調製において、その他の重合性単量体として、N−メチロールアクリルアミドを0.5部に変更し、アクリロニトリルを2.5部に変更した以外は、実施例1と同様にして、負極用結着材、負極用スラリー組成物、負極、正極、接着層用の粒子状重合体、接着層用結着材、接着層用スラリー組成物、接着層、接着層付きセパレータ、および二次電池を製造した。
そして、実施例1と同様の方法により、THF不溶分率、ガラス転移温度、電池部材間の接着性、低温出力特性、およびサイクル特性の測定、評価を行った。結果を表1に示す。
【0104】
(実施例9)
負極用結着材の調製において、その他の重合性単量体として、N−メチロールアクリルアミドを0.3部に変更し、アクリロニトリルを2.7部に変更した以外は、実施例1と同様にして、負極用結着材、負極用スラリー組成物、負極、正極、接着層用の粒子状重合体、接着層用結着材、接着層用スラリー組成物、接着層、接着層付きセパレータ、および二次電池を製造した。
そして、実施例1と同様の方法により、THF不溶分率、ガラス転移温度、電池部材間の接着性、低温出力特性、およびサイクル特性の測定、評価を行った。結果を表1に示す。
【0105】
(実施例10)
負極用結着材の調製において、その他の重合性単量体として、N−メチロールアクリルアミドを1.5部に変更し、アクリロニトリルを1.5部に変更した以外は、実施例1と同様にして、負極用結着材、負極用スラリー組成物、負極、正極、接着層用の粒子状重合体、接着層用結着材、接着層用スラリー組成物、接着層、接着層付きセパレータ、および二次電池を製造した。
そして、実施例1と同様の方法により、THF不溶分率、ガラス転移温度、電池部材間の接着性、低温出力特性、およびサイクル特性の測定、評価を行った。結果を表1に示す。
【0106】
(実施例11)
負極用スラリー組成物の調製において、負極用結着材として、のアクリル系重合体を含む水分散液Aを固形分相当で0.08部および水分散液Bを固形分相当で1.42部に変更した以外は、実施例1と同様にして、負極用結着材、負極用スラリー組成物、負極、正極、接着層用の粒子状重合体、接着層用結着材、接着層用スラリー組成物、接着層、接着層付きセパレータ、および二次電池を製造した。
そして、実施例1と同様の方法により、THF不溶分率、ガラス転移温度、電池部材間の接着性、低温出力特性、およびサイクル特性の測定、評価を行った。結果を表1に示す。
【0107】
(実施例12)
負極用スラリー組成物の調製において、負極用結着材としてのアクリル系重合体を含む水分散液を固形分相当で0.85部および水分散液Bを固形分相当で0.65部に変更した以外は、実施例1と同様にして、負極用結着材、負極用スラリー組成物、負極、正極、接着層用の粒子状重合体、接着層用結着材、接着層用スラリー組成物、接着層、接着層付きセパレータ、および二次電池を製造した。
そして、実施例1と同様の方法により、THF不溶分率、ガラス転移温度、電池部材間の接着性、低温出力特性、およびサイクル特性の測定、評価を行った。結果を表1に示す。
【0108】
(実施例13)
負極用スラリー組成物の調製において、負極用結着材としてのアクリル系重合体を含む水分散液を固形分相当で0.95部および水分散液Bを固形分相当で0.55部に変更した以外は、実施例1と同様にして、負極用結着材、負極用スラリー組成物、負極、正極、接着層用の粒子状重合体、接着層用結着材、接着層用スラリー組成物、接着層、接着層付きセパレータ、および二次電池を製造した。
そして、実施例1と同様の方法により、THF不溶分率、ガラス転移温度、電池部材間の接着性、低温出力特性、およびサイクル特性の測定、評価を行った。結果を表1に示す。
【0109】
(実施例14)
接着層用の粒子状重合体の調製において、(メタ)アクリル酸エステル単量体として、メチルメタクリレートを75部に変更し、ブチルアクリレートを20部に変更した以外は、実施例1と同様にして、負極用結着材、負極用スラリー組成物、負極、正極、接着層用の粒子状重合体、接着層用結着材、接着層用スラリー組成物、接着層、接着層付きセパレータ、および二次電池を製造した。
そして、実施例1と同様の方法により、THF不溶分率、ガラス転移温度、電池部材間の接着性、低温出力特性、およびサイクル特性の測定、評価を行った。結果を表1に示す。
【0110】
(実施例15)
接着層用の粒子状重合体の調製において、(メタ)アクリル酸エステル単量体としてメチルメタクリレートを95部に変更し、ブチルアクリレートを用いなかった以外は、実施例1と同様にして、負極用結着材、負極用スラリー組成物、負極、正極、接着層用の粒子状重合体、接着層用結着材、接着層用スラリー組成物、接着層、接着層付きセパレータ、および二次電池を製造した。
そして、実施例1と同様の方法により、THF不溶分率、ガラス転移温度、電池部材間の接着性、低温出力特性、およびサイクル特性の測定、評価を行った。結果を表1に示す。
【0111】
(実施例16)
接着層用の粒子状重合体の調製において、(メタ)アクリル酸エステル単量体として、メチルメタクリレートを40部に変更し、ブチルアクリレートを55部に変更した以外は、実施例1と同様にして、負極用結着材、負極用スラリー組成物、負極、正極、接着層用の粒子状重合体、接着層用結着材、接着層用スラリー組成物、接着層、接着層付きセパレータ、および二次電池を製造した。
そして、実施例1と同様の方法により、THF不溶分率、ガラス転移温度、電池部材間の接着性、低温出力特性、およびサイクル特性の測定、評価を行った。結果を表1に示す。
【0112】
(実施例17)
接着層用結着材の調製において、(メタ)アクリル酸エステル単量体として、ブチルアクリレートを78部に変更し、2−エチルヘキシルアクリレートを15部追加した以外は、実施例1と同様にして、負極用結着材、負極用スラリー組成物、負極、正極、接着層用の粒子状重合体、接着層用結着材、接着層用スラリー組成物、接着層、接着層付きセパレータ、および二次電池を製造した。
そして、実施例1と同様の方法により、THF不溶分率、ガラス転移温度、電池部材間の接着性、低温出力特性、およびサイクル特性の測定、評価を行った。結果を表1に示す。
【0113】
(実施例18)
接着層用結着材の調製において、(メタ)アクリル酸エステル単量体として、ブチルアクリレートを71部に変更し、2−エチルヘキシルアクリレートを22部追加した以外は、実施例1と同様にして、負極用結着材、負極用スラリー組成物、負極、正極、接着層用の粒子状重合体、接着層用結着材、接着層用スラリー組成物、接着層、接着層付きセパレータ、および二次電池を製造した。
そして、実施例1と同様の方法により、THF不溶分率、ガラス転移温度、電池部材間の接着性、低温出力特性、およびサイクル特性の測定、評価を行った。結果を表1に示す。
【0114】
(実施例19)
接着層用結着材の調製において、(メタ)アクリル酸エステル単量体として、ブチルアクリレートを94.8部に変更し、その他の重合性単量体としてのアクリロニトリルを0.2部に変更した以外は、実施例1と同様にして、負極用結着材、負極用スラリー組成物、負極、正極、接着層用の粒子状重合体、接着層用結着材、接着層用スラリー組成物、接着層、接着層付きセパレータ、および二次電池を製造した。
そして、実施例1と同様の方法により、THF不溶分率、ガラス転移温度、電池部材間の接着性、低温出力特性、およびサイクル特性の測定、評価を行った。結果を表1に示す。
【0115】
(実施例20)
接着層用結着材の調製において、エチレン性不飽和カルボン酸単量体としてのメタクリル酸を3.5部に変更し、その他の重合性単量体としてのアクリロニトリルを0.5部に変更した以外は、実施例1と同様にして、負極用結着材、負極用スラリー組成物、負極、正極、接着層用の粒子状重合体、接着層用結着材、接着層用スラリー組成物、接着層、接着層付きセパレータ、および二次電池を製造した。
そして、実施例1と同様の方法により、THF不溶分率、ガラス転移温度、電池部材間の接着性、低温出力特性、およびサイクル特性の測定、評価を行った。結果を表1に示す。
【0116】
(実施例21)
接着層用結着材の調製において、エチレン性不飽和カルボン酸単量体としてのメタクリル酸を4.5部に変更し、その他の重合性単量体として、アクリロニトリルを0.5部およびアクリルアミドを1部に変更した以外は、実施例1と同様にして、負極用結着材、負極用スラリー組成物、負極、正極、接着層用の粒子状重合体、接着層用結着材、接着層用スラリー組成物、接着層、接着層付きセパレータ、および二次電池を製造した。
そして、実施例1と同様の方法により、THF不溶分率、ガラス転移温度、電池部材間の接着性、低温出力特性、およびサイクル特性の測定、評価を行った。結果を表1に示す。
【0117】
(実施例22)
接着層用結着材の調製において、エチレン性不飽和カルボン酸単量体としてのメタクリル酸を1.2部に変更し、その他の重合性単量体としてのアクリロニトリルを2.8部に変更した以外は、実施例1と同様にして、負極用結着材、負極用スラリー組成物、負極、正極、接着層用の粒子状重合体、接着層用結着材、接着層用スラリー組成物、接着層、接着層付きセパレータ、および二次電池を製造した。
そして、実施例1と同様の方法により、THF不溶分率、ガラス転移温度、電池部材間の接着性、低温出力特性、およびサイクル特性の測定、評価を行った。結果を表1に示す。
【0118】
(比較例1)
負極用結着材の調製において、(メタ)アクリル酸エステル単量体としてのブチルアクリレートを99部に変更し、エチレン性不飽和カルボン酸単量体としてのメタクリル酸を1部に変更し、並びに、その他の重合性単量体として、アクリロニトリル、N−メチロールアクリルアミド、およびアクリルアミドを用いなかった以外は、実施例1と同様にして、負極用結着材、負極用スラリー組成物、負極、正極、接着層用の粒子状重合体、接着層用結着材、接着層用スラリー組成物、接着層、接着層付きセパレータ、および二次電池を製造した。
そして、実施例1と同様の方法により、THF不溶分率、ガラス転移温度、電池部材間の接着性、低温出力特性、およびサイクル特性の測定、評価を行った。結果を表1に示す。
【0119】
(比較例2)
負極用結着材の調製において、エチレン性不飽和カルボン酸単量体としてのメタクリル酸を0.3部に変更し、その他の重合性単量体としてのアクリロニトリルを3.7部に変更した以外は、実施例1と同様にして、負極用結着材、負極用スラリー組成物、負極、正極、接着層用の粒子状重合体、接着層用結着材、接着層用スラリー組成物、接着層、接着層付きセパレータ、および二次電池を製造した。
そして、実施例1と同様の方法により、THF不溶分率、ガラス転移温度、電池部材間の接着性、低温出力特性、およびサイクル特性の測定、評価を行った。結果を表1に示す。
【0120】
(比較例3)
接着層用の粒子状重合体の調製において、コア部の製造に用いるエチレン性不飽和カルボン酸単量体としてのメタクリル酸を2部に変更し、シェル部の製造に用いる重合性単量体としてのスチレンを97部に変更した以外は、実施例1と同様にして、負極用結着材、負極用スラリー組成物、負極、正極、接着層用の粒子状重合体、接着層用結着材、接着層用スラリー組成物、接着層、接着層付きセパレータ、および二次電池を製造した。
そして、実施例1と同様の方法により、THF不溶分率、ガラス転移温度、電池部材間の接着性、低温出力特性、およびサイクル特性の測定、評価を行った。結果を表1に示す。
【0121】
【表1】
【0122】
表1より、(メタ)アクリル酸エステル単量体単位を95質量%超含有する負極用結着材を用いた比較例1では、(メタ)アクリル酸エステル単量体単位を70質量%以上95質量%以下含有する負極用結着材を用いた実施例1〜22と比較し、負極における電極部材間の接着性および二次電池の低温出力特性が顕著に悪化していることが分かる。また、二次電池のサイクル出力特性が悪化していることが分かる。
また、エチレン性不飽和カルボン酸単量体単位を1質量%未満含有する負極用結着材を用いた比較例2では、エチレン性不飽和カルボン酸単量体単位を1質量%以上5質量%以下含有する負極用結着材を用いた実施例1〜22と比較し、負極における電極部材間の接着性および二次電池のサイクル特性が顕著に悪化していることが分かる。また、二次電池の低温出力特性が悪化していることが分かる。
更に、ガラス転移温度110℃超の粒子状重合体を含む接着層を用いた比較例3では、ガラス転移温度110℃以下の粒子状重合体を含む接着層を用いた実施例1〜22と比較し、負極における電極部材間の接着性および二次電池のサイクル特性が顕著に悪化していることが分かる。
【産業上の利用可能性】
【0123】
本発明によれば、電極およびセパレータなどの電池部材間の接着性が高く、かつサイクル特性および出力特性などの電池性能に優れる非水系二次電池を提供することができる。