特許第6761385号(P6761385)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6761385フルハーネス型安全帯用の中継器具及び二重安全対策方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6761385
(24)【登録日】2020年9月8日
(45)【発行日】2020年9月23日
(54)【発明の名称】フルハーネス型安全帯用の中継器具及び二重安全対策方法
(51)【国際特許分類】
   A62B 35/00 20060101AFI20200910BHJP
   E02D 17/20 20060101ALI20200910BHJP
【FI】
   A62B35/00 Z
   E02D17/20 101
【請求項の数】9
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2017-156751(P2017-156751)
(22)【出願日】2017年8月15日
(65)【公開番号】特開2019-33875(P2019-33875A)
(43)【公開日】2019年3月7日
【審査請求日】2019年6月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】392012261
【氏名又は名称】東興ジオテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095267
【弁理士】
【氏名又は名称】小島 高城郎
(74)【代理人】
【識別番号】100124176
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 典子
(72)【発明者】
【氏名】吉田 寛
【審査官】 内山 隆史
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−093486(JP,A)
【文献】 特開2009−024355(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A62B 35/00
E02D 17/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フルハーネス型安全帯(30)を着用して高所作業を行う作業員(M)と、二重安全対策のためのライフラインとしての安全ブロック(42)との間に接続される中継器具(10A,10B,10C,10D)であって、
フルハーネス型安全帯(30)の背部D環(36)に接続可能な安全帯接続部(2)と、
前記安全ブロック(42)に接続可能な安全ブロック接続部(3)と、
前記安全帯接続部(2)と前記安全ブロック接続部(3)の間に設けられかつ作業員(M)を迂回して接触せずに延在可能な形状を具備する迂回形状部(1A,1B,1C,1D)と、を有することを特徴とする
中継器具。
【請求項2】
前記迂回形状部が使用時にかかる負荷によって変形しない程度の剛性を有し、かつ前記安全帯接続部(2)と前記安全ブロック接続部(3)の間で全体的に湾曲した湾曲棒体(1A)から形成されていることを特徴とする請求項1に記載の中継器具。
【請求項3】
前記迂回形状部が使用時にかかる負荷によって変形しない程度の剛性を有し、かつ前記安全帯接続部(2)側に位置する環状のリング枠(1B1)と、前記安全ブロック接続部(3)側に位置する湾曲した湾曲棒体(1B2)とを具備することを特徴とする
請求項1に記載の中継器具。
【請求項4】
前記迂回形状部が、三角形の一辺を構成する剛性の直線棒体(1C1)と、三角形の他の二辺を構成する柔軟な一対の線材(1C2,1C3)とを具備し、前記直線棒体(1C1)の中央に前記安全帯接続部(2)が位置し、前記一対の線材(1C2,1C3)同士の接続点に前記安全ブロック接続部(3)が位置することを特徴とする
請求項1に記載の中継器具。
【請求項5】
前記迂回形状部が、環状枠体(1D)から形成されており、前記環状枠体(1D)上の一箇所に前記安全帯接続部(2)が位置し、それに略対向する別の箇所に前記安全ブロック接続部(3)が位置することを特徴とする
請求項1に記載の中継器具。
【請求項6】
高所作業において、作業員(M)がフルハーネス型安全帯(30)を着用しかつ二重安全対策のためにライフラインとしての安全ブロック(42)を使用する二重安全対策方法において、
請求項1〜5のいずれかに記載の中継器具(10A,10B,10C,10D)を用い、作業員(M)のフルハーネス型安全帯(30)の背部D環(36)に前記中継器具(10A,10B,10C,10D)の安全帯接続部(2)を接続すると共に、安全ブロック(42)に前記中継器具(10A,10B,10C,10D)の安全ブロック接続部(3)を接続して作業を行うことを特徴とする
高所作業の二重安全対策方法。
【請求項7】
吹付作業である高所作業において、作業員(M)がフルハーネス型安全帯(30)を着用しかつ二重安全対策のためにライフラインとしての安全ブロック(42)を使用する二重安全対策方法において、
請求項2に記載の中継器具(10A)を用い、作業員(M)のフルハーネス型安全帯(30)の背部D環(36)に前記中継器具(10A)の安全帯接続部(2)を接続すると共に、安全ブロック(42)に前記中継器具(10A)の安全ブロック接続部(3)を接続し、材料圧送ホース(20)を、作業員(M)の背面から前記中継器具(10A)の外側を通過させ前方の傾斜面に向けて吹付作業を行うことを特徴とする
高所作業の二重安全対策方法。
【請求項8】
吹付作業である高所作業において、作業員(M)がフルハーネス型安全帯(30)を着用しかつ二重安全対策のためにライフラインとしての安全ブロック(42)を使用する二重安全対策方法において、
一対の請求項2に記載の中継器具(10A,10A)を用い、作業員(M)のフルハーネス型安全帯(30)の背部D環(36)に一対の前記中継器具(10A,10A)の各々の安全帯接続部(2,2)を接続すると共に、安全ブロック(42)に一対の前記中継器具(10A,10A)の各々の安全ブロック接続部(3,3)を接続し、材料圧送ホース(20)を、作業員(M)の背面から一対の前記中継器具(10A,10A)の間に通して前方の傾斜面に向けて吹付作業を行うことを特徴とする
高所作業の二重安全対策方法。
【請求項9】
吹付作業である高所作業において、作業員(M)がフルハーネス型安全帯(30)を着用しかつ二重安全対策のためにライフラインとしての安全ブロック(42)を使用する二重安全対策方法において、
請求項3〜5のいずれかに記載の中継器具(10B,10C,10D)を用い、作業員のフルハーネス型安全帯(30)の背部D環(36)に前記中継器具(10B,10C,10D)の安全帯接続部(2)を接続すると共に、安全ブロック(42)に前記中継器具(10B,10C,10D)の安全ブロック接続部(3)を接続し、かつ材料圧送ホース(20)を作業員(M)の背面から前記中継器具(10B,10C,10D)の前記迂回形状部における前記リング枠(1B1)の孔、前記直線棒体(1C1)と前記一対の線材(1C2,1C3)からなる三角形の孔、又は、前記環状枠体(1D)の孔に通して前方の傾斜面に向けて吹付作業を行うことを特徴とする
高所作業の二重安全対策方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、傾斜面作業等の高所作業において、フルハーネス型安全帯を着用した作業員とライフラインとしてのセイフティブロックとを接続するための中継器具、及び、この中継器具を用いた二重安全対策方法に関する。
【背景技術】
【0002】
地上から2m以上の場所で通常の高所作業を行う場合や、法面保護工に代表される地上から2m以上の傾斜面で昇降器具を用いて身体を保持して傾斜面作業(法面ロープ高所作業ともいう)を行う場合、メインロープ(親綱ともいう)に加えてライフラインとして安全ブロックを使用する二重安全対策が講じられている。作業員が胴ベルト型安全帯(傾斜面用ベルト)を着用した場合は、胴ベルトのD環に安全ブロックを接続する方法が広く採用されている。胴ベルト型安全帯を使用した場合、作業員の前方に存在するメインロープと安全ブロックを略平行状態にするための中継装置と、それを用いた二重安全対策方法が提示されている(特許文献1)。
【0003】
図9は、作業員がフルハーネス型安全帯を着用した場合の安全ブロックを使用した傾斜面100での作業状況の一例を概略的に示す図である。作業員Mは、フルハーネス型安全帯30を着用している。メインロープ41は傾斜面用ランヤード43を介して胴ベルトのD環37に接続されている。また、図9には示していないが、メインロープ41は、傾斜面用ランヤード43を介して胴ベルト本体ではなく、胴ベルトに吊りベルトを介して接続されたバックサイドベルトのD環に接続される場合もある。これらの接続方法は、フルハーネス型安全帯の構造や種類によって適宜選定されるので、本明細書ではバックサイドベルトを付随していないフルハーネス型安全帯を着用した場合をベースとして説明する。作業員Mが、フルハーネス型安全帯30を着用した場合、通常、背中の略中央に位置するD環36に安全ブロック42を接続する。この場合、垂直面作業であれば特に大きな支障は生じない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016−93486号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、図9に示すように法面等の傾斜面作業では、安全ブロック42が角度的に作業員Mの顔面や頭部(ヘルメット)に接触する形となる。これは、一般にメインロープ41と安全ブロック42のなす角度が30度を超えないように安全ブロック42の支点が設置されていることによる。安全ブロック42の作業員Mへの接触は作業の大きな支障となり、傾斜面における作業環境を著しく悪化させる問題となっていた。
【0006】
さらに、法面等にモルタル・コンクリートや緑化のための植生基材等を吹き付ける吹付作業の場合、作業員Mは、通常、材料圧送ホース20を背負うようにして行う。吹付作業では、作業員Mがメインロープ41に体重を預けた状態で、材料圧送ホース20を左右に持ち替えたりしながら傾斜面100に向かって所定の厚さの植生基材等の吹き付けを行う。例えば作業員Mが、自身が吊り下がったメインロープ41の左側から右側に吹付箇所を変える場合、作業員Mは左手で把持していた材料圧送ホース20を、頭部の後方を左から右に移動させて自身がホースの下をくぐるようにして右手で持ち替える必要がある。作業員Mの右手から左手に移行する場合はこの逆の動作となる。吹付作業時には、作業員Mは、通常、腰の部分でホース20を身体にバンド21等で固定するようにして作業することから、ホース20を左右に持ち替える際の支点は概ね作業員Mの腰付近となる。
【0007】
また、作業員Mはメインロープ41に体重を預けた状態で極力合理的に吹付作業を行う必要があることから、吊り下がった一定箇所において左右水平方向に腕を伸ばして吹付を行うことが多い。この場合、通常は左右いずれかの肩に担いだ状態の材料圧送ホース20を、肩幅を超えてさらに左右に広く振らなければならない。
【0008】
しかし従来は、フルハーネス型安全帯30の背中略中央に位置するD環36に接続された安全ブロック42が障害となって、作業員Mは材料圧送ホース20を背中に添わせて左右に容易に持ち替えることができないので、吹付作業の大きな支障となっていた。
【0009】
以上の現状に鑑み本発明は、二重安全対策のためにライフラインとしての安全ブロックを使用し、フルハーネス型安全帯を着用して高所作業を行う作業員が、安全ブロックによって支障を来すことなく効率的に吹付作業等を行うことができるように、フルハーネス型安全帯と安全ブロックを接続する中継器具及びこれを用いた二重安全対策方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するために、本発明は、以下の構成を提供する。括弧内の数字は後述する図面中の符号であり、参考のために付するものである。
【0011】
(i) 本発明の一態様は、フルハーネス型安全帯(30)を着用して高所作業を行う作業員(M)と、二重安全対策のためのライフラインとしての安全ブロック(42)との間に接続される中継器具(10A,10B,10C,10D)であって、
フルハーネス型安全帯(30)の背部D環(36)に接続可能な安全帯接続部(2)と、
前記安全ブロック(42)に接続可能な安全ブロック接続部(3)と、
前記安全帯接続部(2)と前記安全ブロック接続部(3)の間に設けられかつ作業員(M)と接触せずに迂回して延在可能な形状を具備する迂回形状部(1A,1B,1C,1D)と、を有することを特徴とする。
(ii) 上記態様において、前記迂回形状部が使用時にかかる負荷によって変形しない程度の剛性を有し、かつ前記安全帯接続部(2)と前記安全ブロック接続部(3)の間で全体的に湾曲した湾曲棒体(1A)を具備することが、好適である。
(iii) 上記態様において、前記迂回形状部が使用時にかかる負荷によって変形しない程度の剛性を有し、かつ前記安全帯接続部(2)側に位置する環状のリング枠(1B1)と、前記安全ブロック接続部(3)側に位置する湾曲した湾曲棒体(1B2)とを具備することが、好適である。
(iv) 上記態様において、前記迂回形状部が、三角形の一辺を構成する剛性の直線棒体(1C1)と、三角形の他の二辺を構成する柔軟な一対の線材(1C2,1C3)とを具備し、前記直線棒体(1C1)の中央に前記安全帯接続部(2)が位置し、前記一対の線材(1C2,1C3)同士の接続点に前記安全ブロック接続部(3)が位置することが、好適である。
(v) 上記態様において、前記迂回形状部が剛性の環状枠体(1D)を具備し、前記環状枠体(1D)上の一箇所に前記安全帯接続部(2)が位置し、それに略対向する別の箇所に前記安全ブロック接続部(3)が位置することが、好適である。
(vi) 本発明の別の態様は、高所作業において、作業員(M)がフルハーネス型安全帯(30)を着用しかつ二重安全対策のためにライフラインとしての安全ブロック(42)を使用する二重安全対策方法において、
上記の中継器具(10A,10B,10C,10D)を用い、作業員(M)のフルハーネス型安全帯(30)の背部D環(36)に前記中継器具(10A,10B,10C,10D)の安全帯接続部(2)を接続すると共に、安全ブロック(42)に前記中継器具(10A,10B,10C,10D)の安全ブロック接続部(3)を接続して作業を行うことを特徴とする。
(vii) 本発明のさらに別の態様は、吹付作業である高所作業において、作業員(M)がフルハーネス型安全帯(30)を着用しかつ二重安全対策のためにライフラインとしての安全ブロック(42)を使用する二重安全対策方法において、
上記の中継器具(10A)を用い、作業員(M)のフルハーネス型安全帯(30)の背部D環(36)に前記中継器具(10A)の安全帯接続部(2)を接続すると共に、安全ブロック(42)に前記中継器具(10A)の安全ブロック接続部(3)を接続し、材料圧送ホース(20)を、作業員(M)の背面から前記中継器具(10A)の外側を通過させ前方の傾斜面に向けて吹付作業を行うことを特徴とする。
(viii) 本発明のさらに別の態様は、吹付作業である高所作業において、作業員(M)がフルハーネス型安全帯(30)を着用しかつ二重安全対策のためにライフラインとしての安全ブロック(42)を使用する二重安全対策方法において、
一対の上記の中継器具(10A,10A)を用い、作業員(M)のフルハーネス型安全帯(30)の背部D環(36)に一対の前記中継器具(10A,10A)の各々の安全帯接続部(2,2)を接続すると共に、安全ブロック(42)に一対の前記中継器具(10A,10A)の各々の安全ブロック接続部(3,3)を接続し、材料圧送ホース(20)を、作業員(M)の背面から一対の前記中継器具(10A,10A)の間に通して前方の傾斜面に向けて吹付作業を行うことを特徴とする。
(ix) 本発明のさらに別の態様は、吹付作業である高所作業において、作業員(M)がフルハーネス型安全帯(30)を着用しかつ二重安全対策のためにライフラインとしての安全ブロック(42)を使用する二重安全対策方法において、
請求項3〜5のいずれかに記載の中継器具(10B,10C,10D)を用い、作業員のフルハーネス型安全帯(30)の背部D環(36)に前記中継器具(10B,10C,10D)の安全帯接続部(2)を接続すると共に、安全ブロック(42)に前記中継器具(10B,10C,10D)の安全ブロック接続部(3)を接続し、かつ材料圧送ホース(20)を作業員(M)の背面から前記中継器具(10B,10C,10D)の前記迂回形状部における前記リング枠(1B1)の孔、前記直線棒体(1C1)と前記一対の線材(1C2,1C3)からなる三角形の孔、又は、前記環状枠体(1D)の孔に通して前方の傾斜面に向けて吹付作業を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明により、ライフラインとして安全ブロックを使用する高所作業において、作業員の着用したフルハーネス型安全帯の背部D環と安全ブロックとを接続する中継器具を設け、その中継器具は、作業員と接触せずに迂回することができる形状をもつ迂回形状部を有するので、作業員は安全ブロックが支障となることなく効率的に高所作業を行うことができる。本発明は、高所作業の中でも傾斜面作業に好適である。さらに、傾斜面作業として、法面整形や金網張工、法枠工などの型枠組立作業はもちろんであるが、特に、作業員が材料圧送ホースを取り扱う吹付作業において本発明の大きな作用効果が発揮される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、本発明による中継器具の第1の実施例を概略的に示した側面図である。
図2A図2Aは、図1に示した中継器具を用いた傾斜面作業の一例を概略的に示した側面図である。
図2B図2Bは、図1に示した中継器具を用いた傾斜面作業の別の例を概略的に示した側面図である。
図3図3は、本発明による中継器具の第2の実施例を概略的に示した斜視図である。
図4図4は、図3に示した中継器具を用いた傾斜面作業の一例を概略的に示した側面図である。
図5図5は、本発明による中継器具の第3の実施例を概略的に示した平面図である。
図6図6は、図5に示した中継器具を用いた傾斜面作業の一例を概略的に示した側面図である。
図7図7は、本発明による中継器具の第4の実施例を概略的に示した平面図である。
図8図8は、図7に示した中継器具を用いた傾斜面作業の一例を概略的に示した側面図である。
図9図9は、作業員がフルハーネス型安全帯を着用した場合の安全ブロックを使用した傾斜面での作業状況の一例を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、実施例を示した図面を参照して本発明の実施形態を説明する。各実施例の図面においては、同一又は類似の構成要素には同一の符号を付している。
【0015】
本発明における中継器具は、フルハーネス型安全帯の背部D環と、安全ブロックのワイヤーロープやベルト先端との間に接続されるものである。また、本発明による二重安全対策方法は、本発明の中継器具を用いた高所作業に適用されるものである。
【0016】
以下では、本発明の中継器具及びそれを用いた二重安全対策方法について、法面等で施工することが多い傾斜面作業を例として説明するが、本発明は垂直面作業においても同様に有効である。
【0017】
また以下では、傾斜面作業として、本発明の中継器具を好適に適用される吹付作業を例として説明するが、本発明の中継器具は、吹付作業以外の法面整形や金網張工、法枠工などの型枠組立作業等の傾斜面作業においても同様に有効である。
【0018】
(1)中継器具の第1の実施例及びその作業例
図1は、本発明による中継器具の第1の実施例を概略的に示した側面図である。図2Aは、図1に示した中継器具を用いた傾斜面作業の一例を概略的に示した側面図である。図2Bは、図1に示した中継器具を用いた傾斜面作業の別の例を概略的に示した側面図である。
【0019】
図1に示す第1の実施例の中継器具10Aは、その一端に、D環に接続可能な安全帯接続部2を具備し、その他端に、安全ブロックに接続可能な安全ブロック接続部3を具備する。安全帯接続部2は、例えばカラビナ又はフック等であり、本発明では特にフルハーネス型安全帯の背部D環に接続可能である。安全ブロック接続部3は、例えばリング等であり、本発明では安全ブロックのワイヤーロープやベルト先端のフック等に接続可能である。
【0020】
中継器具10Aの安全帯接続部2と安全ブロック接続部3の間には、迂回形状部1Aが設けられている。迂回形状部1Aは、中継器具10Aの使用時に作業員と接触することなく作業員を迂回して延在することが可能な形状を具備する(以下の他の実施例の迂回形状部についても同じ)。本発明の中継器具の各実施例に共通する点として、迂回形状部が例えば湾曲した部分や屈曲した部分を具備することにより、中継器具が作業員に接触せずに迂回して延在することができる。
【0021】
中継器具10Aの迂回形状部は、安全帯接続部2と安全ブロック接続部3の間を接続する一本の全体的に湾曲した湾曲棒体1Aから形成されている。湾曲棒体1Aは、安全帯接続部2に近い側が大きく湾曲(曲率半径が小さい)し、安全ブロック接続部3に近い側の湾曲は小さい(曲率半径が大きい)ことが好適である。全体としてひらかなの「し」又は「つ」のような形状である。但し、湾曲棒体1Aの湾曲形状は、図示の例に限定しない。例えば半円形又は半楕円形でもよい。
【0022】
この中継器具10Aを用いた傾斜面作業時には、この湾曲した部分の内側に作業者(特にその頭部)及び/又は材料圧送ホースが位置し、この中で材料圧送ホースを一方の肩から他方の肩に移す動作を行うことが想定されている。この点を考慮して、湾曲した部分の内側領域の大きさが設定される。
【0023】
中継器具10Aの迂回形状部である湾曲棒体1Aは、使用時にかかる負荷によって変形しない程度の剛性を有する。なお、墜落時に衝撃が加わった際に変形することは差し支えなく、所定の安全基準を満足する強度を有する材料であればよい。例えば、鋼棒を加工することにより作製できるが、できる限り軽量の素材が好適である。
【0024】
図2Aは、図1に示した中継器具10Aを用いた傾斜面作業(この場合は吹付作業)の一例を概略的に示した側面図である。先ず、図2Aを参照して、傾斜面作業における安全対策方法について説明する(以下の他の実施例を用いた場合も同様である)。
【0025】
作業員Mは、フルハーネス型安全帯30を着用している。一般にフルハーネス型安全帯30は、腰で身体を保持する胴ベルト31と、左右の脚を挿入する一対の腿ベルト32と、左右の肩の上を通る一対の肩ベルト33と、一対の肩ベルト33同士を胸の前で連結する胸ベルト35とを具備する。一対の肩ベルト33は背中の中央で交差しており、その交差部34に背部D環36が取り付けられている。胴ベルト31の両脇には一対の胴部D環37が、胴ベルト31の背側には腰部D環38が取り付けられ、腿ベルト32には腿部D環39が取り付けられている。
【0026】
フルハーネス型安全帯30の胴ベルト31の一対の胴部D環37には、傾斜面用ランヤード43の両端が接続され、傾斜面用ランヤード43の中央部がメインロープ41に接続されている。メインロープ41の上端は傾斜面の頂上近傍に設けた支点に固定されている。これが第1の安全対策となる。
【0027】
二重安全対策として、メインロープ41に加え、ライフラインとしての安全ブロック42が用いられる。安全ブロック42は、急激な下向きの力が加わるとロックがかかるもので、ワイヤーロープ巻き取り式又はベルト巻き取り式等がある。作業員転落の最大リスクであるメインロープ41の切断が発生した場合、安全ブロック42がロックされることで転落を回避できる。一般に、作業員よりも上方の位置では、メインロープ41と安全ブロック42とのなす角度が30度を超えないように設置される。
【0028】
本発明では、安全ブロック42は、中継器具10Aを介してフルハーネス型安全帯30と接続される。中継器具10Aの安全帯接続部2をフルハーネス型安全帯30の背部D環36に接続すると共に、安全ブロック接続部3を安全ブロック42に接続する。
【0029】
中継器具10Aの迂回形状部である湾曲棒体1Aは、安全帯接続部2から一旦後方に延在してから上方に向かいUターンするように前方に向きを変え、下向きの弧を描いて湾曲しつつ安全ブロック接続部3まで前方に延在している。この湾曲形状によって、作業員Mの頭部に接触せずに迂回することができる。
【0030】
図1に示す中継器具10Aの大凡の長さL1は、図2Aに示す作業員Mの背部D環36と頭頂部との距離Dの約2倍程度が好適である。
【0031】
材料圧送ホース20は、一般に作業員Mの腰の部分に固定される。一例として、材料圧送ホース20は、バンド21によりフルハーネス型安全帯30の腰部D環38取り付けられる。さらに、材料圧送ホース20の重量が作業員Mの肩部へ集中することを抑制するため、材料圧送ホース20は、バンド22とロープ23等により腿部D環39に取り付けられる。あるいは、図2Aには示していないが、材料圧送ホース20は、胴ベルトに吊りベルトを介して接続されたバックサイドベルトの吊り環に接続して吊り下げるように取り付けられる。
【0032】
作業員Mは、材料圧送ホース20を背面から左右いずれかの肩に担ぎ、その先端を前方の傾斜面に向けて吹付作業を行う。材料圧送ホース20を一方の肩から他方の肩に持ち替える場合は、材料圧送ホース20における作業員Mの腰に固定された位置を支点として、材料圧送ホース20を左右に振ることとなる。
【0033】
材料圧送ホース20を一方の肩から他方の肩に移す動作においては、作業員Mが材料圧送ホース20を自身の頭部の後ろを左から右へ又は右から左へ移動させ、自身はその下をくぐるようにする。その場合、材料圧送ホース20が迂回形状部(湾曲棒体)1Aに触れると、中継器具10Aは安全帯接続部2と安全ブロック接続部3を支点として回動することに加え、中継器具10Aの湾曲棒体1Aの湾曲形状によって、作業員Mは中継器具10Aと接触しない。
【0034】
中継器具10Aを介在させることにより、傾斜面作業に支障を来すことなくフルハーネス型安全帯30の背部D環36と安全ブロック42を接続することができ、傾斜面作業に影響を及ぼさない二重安全対策方法を実現できる。
【0035】
次に、図2Bは、図1に示した中継器具10Aを用いた傾斜面作業の別の例を概略的に示した側面図である。この場合は、一対の中継器具10A、10Aを用いる。一対の中継器具10A、10Aを並列に配置し、各々の安全帯接続部2、2をフルハーネス型安全帯30の背部D環36に接続すると共に、各々の安全ブロック接続部3、3を安全ブロック42に接続する。
【0036】
作業員Mは、材料圧送ホース20を、背面から一対の中継器具10A、10Aの間に通して一方の肩に担ぎ、前方の傾斜面に向けて吹付作業を行う。材料圧送ホース20を一方の肩から他方の肩に移す動作においては、作業員Mが材料圧送ホース20を自身の頭部の後ろを左右方向に移動させ、自身はその下をくぐるようにする。上述した、中継器具10Aを単体で用いる図2Aでは、材料圧送ホース20が迂回形状部(湾曲棒体)1Aに触れると中継器具10Aが安全帯接続部2と安全ブロック接続部3を支点として回動することにより迂回形状部(湾曲棒体)1Aが作業員Mの正面にまで回って邪魔になる状態が生じることがあるのに対し、図2Bのように一対の中継器具10A、10Aとして用いることにより互いに回動を抑制し合うことができるので、作業員Mの邪魔になるような状態を回避又は少なくすることができる。
【0037】
(2)中継器具の第2の実施例及びその作業例
図3は、本発明による中継器具の第2の実施例を概略的に示した斜視図である。図4は、図3に示した中継器具を用いた傾斜面作業の一例を概略的に示した側面図である。
【0038】
中継器具10Bの両端にそれぞれ設けられた安全帯接続部2及び安全ブロック接続部3については、上述した第1の実施例の中継器具10Aと基本的に同じである。中継器具10Bは、第1の実施例とは迂回形状部1Bの形状が異なる。
【0039】
中継器具10Bの迂回形状部1Bは、安全帯接続部2の側に位置する環状のリング枠1B1と、安全ブロック接続部3の側に位置する湾曲した湾曲棒体1B2とを具備する。略円形のリング枠1B1上の一箇所に安全帯接続部2が設けられている。湾曲棒体1B2の基端はリング枠1B1と一体に接続されており、その接続点は安全帯接続部2に略対向する位置にある。湾曲棒体1B2は、基端から先端に向かって湾曲しつつ延在し、先端に安全ブロック接続部3が設けられる。
【0040】
中継器具10Bの迂回形状部1Bは、使用時にかかる負荷によって変形しない程度の剛性を有する。なお、墜落時に衝撃が加わった際に変形することは差し支えなく、所定の安全基準を満足する強度を有する材料であればよい。例えば、鋼棒を加工することにより形成されるが、できる限り軽量の素材が好適である。
【0041】
リング枠1B1の内側は、材料圧送ホースを通すための孔である。リング枠1B1は、図示の例では略円形であるが、楕円形でも多角形でもよい。湾曲棒体1B2の湾曲形状の内側に作業者(特にその頭部)及び/又は材料圧送ホースが位置し、この中で材料圧送ホースを一方の肩から他方の肩に移す動作を行うことが想定されている。
【0042】
図4は、図3に示した中継器具を用いた傾斜面作業の一例を概略的に示した側面図である。中継器具10Bの安全帯接続部2を、フルハーネス型安全帯30の背部D環36に接続すると共に、安全ブロック接続部3を、安全ブロック42に接続する。中継器具10Bの迂回形状部を構成するリング枠1B1は安全帯接続部2から斜め上後方に起立し、その上端から湾曲棒体1B2が下向きの弧を描いて湾曲しつつ安全ブロック接続部3まで前方に延在している。これらリング枠1B1及び湾曲棒体1B2の全体の湾曲形状によって、作業員Mの頭部に接触せずに迂回することができる。
【0043】
図3に示す中継器具10Bの大凡の長さL1は、図4に示す作業員Mの背部D環36と頭頂部との距離Dの約2倍程度が好適である。また、図3に示す中継器具10Bのリング枠1B1の大凡の幅L2は、材料圧送ホースの左右の持ち替え動作を考慮すると、作業員Mの肩幅程度又はそれよりやや広いことが好適である。
【0044】
作業員Mは、材料圧送ホース20を背面から中継器具10Bのリング枠1B1の中を通して左右いずれかの肩に担ぎ、その先端を前方の傾斜面に向けて吹付作業を行う。
【0045】
材料圧送ホース20を一方の肩から他方の肩に移す場合は、作業員Mが材料圧送ホース20を自身の頭部の後ろを左右方向に移動させ、自身はその下をくぐるようにする。その場合、中継器具10Bの湾曲棒体1B2の形状によって、材料圧送ホース20及び作業員Mは湾曲棒体1B2と接触しない。図4の作業例では材料圧送ホース20が迂回形状部1Bのリング枠1B1の孔を通るので、図2A図2Bの作業例に比べて作業環境が大幅に改善される。これは、図4の作業例では、図2A図2Bの作業例のように材料圧送ホース20が迂回形状部(湾曲棒体)1Aに触れて中継器具10Aが両端の接続部2、3を支点として回動し迂回形状部(湾曲棒体)1Aが作業員Mの正面にまで回ってしまう状態を生じないからである。
【0046】
(3)中継器具の第3の実施例及びその作業例
図5は、本発明による中継器具の第3の実施例を概略的に示した平面図である。図6は、図5に示した中継器具を用いた傾斜面作業の一例を概略的に示した側面図である。
【0047】
中継器具10Cの両端にそれぞれ設けられた安全帯接続部2及び安全ブロック接続部3については、上述した第1の実施例の中継器具10Aと基本的に同じである。中継器具10Cは、第1の実施例とは迂回形状部1Cの形状が異なる。
【0048】
中継器具10Cの迂回形状部1Cは、三角形の一辺を構成する剛性の直線棒体1C1と、三角形の他の二辺を構成する柔軟な一対の線材1C2、1C3とを具備する。一辺を構成する直線棒体1C1の中央に安全帯接続部2が位置し、他の二辺を構成する一対の線材1C2、1C3同士の接続点に安全ブロック接続部3が位置する。
【0049】
迂回形状部1Cの直線棒体1C1は、使用時にかかる負荷によって変形しない程度の剛性を有する。例えば鋼棒により形成できるが、できる限り軽量の素材が好適である。迂回形状部1Cの線材1C2、1C3は、ロープやテープ等により形成でき、これにより中継器具10Cがより軽量化できる。それらのロープやテープ等は、ランヤードに使用される所定の安全基準を満足する強度を有するものであれば特に限定されない。
【0050】
迂回形状部1Cの三角形の内側は、作業員及び材料圧送ホースを通すための孔であり、またこの中で材料圧送ホースを一方の肩から他方の肩に移す動作を行うことが想定されているので、十分な大きさとすることが好適である。
【0051】
図6は、図5に示した中継器具を用いた傾斜面作業の一例を概略的に示した側面図である。中継器具10Cの安全帯接続部2を、フルハーネス型安全帯30の背部D環36に接続すると共に、安全ブロック接続部3を、安全ブロック42に接続する。中継器具10Cの迂回形状部1Cは、直線棒体1C1が作業員Mの後ろで水平方向に左右に延在し、その左右各端から線材1C2、1C3がそれぞれ斜め上前方に延在する。迂回形状部1Cの三角形の各辺が作業員Mの頭部に接触せずにこれを囲むように配置される。
【0052】
図5に示す中継器具10Cの大凡の長さL1は、三角形の底辺を構成する直線棒体1C1から頂点ヘ向かって次第に幅が狭くなるので、上述した実施例1又は2の場合のL1に比べて2倍程度とすることが好適である。また、図5に示す中継器具10Cの大凡の幅L2は、材料圧送ホースの左右の持ち替え動作を考慮すると、作業員Mの肩幅程度又はそれよりも広いことが好適である。
【0053】
作業員Mは、材料圧送ホース20を背面から中継器具10Cの迂回形状部1Cの三角形に通して左右いずれかの肩に担ぎ、その先端を前方の傾斜面に向けて吹付作業を行う。
【0054】
材料圧送ホース20を一方の肩から他方の肩に移す場合は、作業員Mが材料圧送ホース20を自身の頭部の後ろを左右方向に移動させ、自身はその下をくぐるようにする。その場合、中継器具10Cの迂回形状部1Cの三角形の形状によって、材料圧送ホース20及び作業員Mは迂回形状部1Cと接触しない。上述した図4の作業例と同様に、図5の作業例でも材料圧送ホース20が迂回形状部(三角形)1Cの孔を通るので、図2A図2Bの作業例に比べて作業環境が大幅に改善される。これは、図5の作業例では、図2A図2Bの作業例のように材料圧送ホース20が迂回形状部(湾曲棒体)1Aに触れて中継器具10Aが両端の接続部2、3を支点として回動し迂回形状部(湾曲棒体)1Aが作業員Mの正面にまで回ってしまう状態を生じないからである。
【0055】
(4)中継器具の第4の実施例及びその作業例
図7は、本発明による中継器具の第4の実施例を概略的に示した平面図である。図8は、図7に示した中継器具を用いた傾斜面作業の一例を概略的に示した側面図である。
【0056】
中継器具10Dの両端にそれぞれ設けられた安全帯接続部2及び安全ブロック接続部3については、上述した第1の実施例の中継器具10Aと基本的に同じである。中継器具10Dは、第1の実施例とは迂回形状部1Dの形状が異なる。
【0057】
中継器具10Dの迂回形状部は、閉じた環を形成する環状枠体1Dにより形成される。環状枠体1D上の一箇所に安全帯接続部2が位置する。環状枠体1D上において、安全帯接続部2に略対向する箇所に安全ブロック接続部3が位置する。環状枠体1Dが円形の場合は、一直径の両端に安全帯接続部2と安全ブロック接続部3がそれぞれ位置する。環状枠体1Dは、図示の円形に限らず、楕円形又は多角形(三角形、四角形等)でもよい。
【0058】
迂回形状部を形成する環状枠体1Dは、使用時にかかる負荷によって変形しない程度の剛性を有する。例えば鋼棒により形成できる。環状枠体1Dの内側は、作業員及び材料圧送ホースを通すための孔であり、またこの中で材料圧送ホースを一方の肩から他方の肩に移す動作を行うことが想定されているので、十分な大きさとすることが好適である。
【0059】
図8は、図7に示した中継器具を用いた傾斜面作業の一例を概略的に示した側面図である。中継器具10Dの安全帯接続部2を、フルハーネス型安全帯30の背部D環36に接続すると共に、安全ブロック接続部3を、安全ブロック42に接続する。中継器具10Dの迂回形状部である環状枠体1Dは、円形の枠により作業員Mの頭部の周囲を囲むように配置される。
【0060】
図7に示す中継器具10Dの大凡の長さL1及び幅L2は、材料圧送ホースの左右の持ち替え動作を考慮すると、作業員Mの肩幅程度又はそれよりも広いことが好適である。
【0061】
作業員Mは、材料圧送ホース20を背面から中継器具10Dの迂回形状部の環状枠体1Dに通して左右いずれかの肩に担ぎ、その先端を前方の傾斜面に向けて吹付作業を行う。
【0062】
材料圧送ホース20を一方の肩から他方の肩に移す場合は、作業員Mが材料圧送ホース20を自身の頭部の後ろを左右方向に移動させ、自身はその下をくぐるようにする。その場合、中継器具10Dの迂回形状部の環状枠体1Dの形状によって、材料圧送ホース20及び作業員Mは迂回形状部と接触しない。上述した図4及び図5の作業例と同様に、図6の作業例でも材料圧送ホース20が迂回形状部(環状枠体)1Dの孔を通るので、図2A図2Bの作業例に比べて作業環境が大幅に改善される。これは、図6の作業例では、図2A図2Bの作業例のように材料圧送ホース20が迂回形状部(湾曲棒体)1Aに触れて中継器具10Aが両端の接続部2、3を支点として回動し迂回形状部(湾曲棒体)1Aが作業員Mの正面にまで回ってしまう状態を生じないからである。
【符号の説明】
【0063】
10A、10B、10C、10D 中継器具
1A 迂回形状部(湾曲棒体)
1B 迂回形状部
1B1 リング枠
1B2 湾曲棒体
1C 迂回形状部
1C1 直線棒体
1C2、1C3 線材
1D 迂回形状部(環状枠体)
2 安全帯接続部
3 安全ブロック接続部
30 フルハーネス型安全帯
31 胴ベルト
32 腿ベルト
33 肩ベルト
34 肩ベルト交差部
35 胸ベルト
36 背部D環
37 銅部D環
38 腰部D環
39 腿部D環
41 メインロープ
42 安全ブロック
43 傾斜面用ランヤード
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9