特許第6766870号(P6766870)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日本ゼオン株式会社の特許一覧
特許6766870光学異方性層及びその製造方法、光学異方性積層体及びその製造方法、光学異方性転写体、偏光板、並びに画像表示装置
<>
  • 特許6766870-光学異方性層及びその製造方法、光学異方性積層体及びその製造方法、光学異方性転写体、偏光板、並びに画像表示装置 図000051
  • 特許6766870-光学異方性層及びその製造方法、光学異方性積層体及びその製造方法、光学異方性転写体、偏光板、並びに画像表示装置 図000052
  • 特許6766870-光学異方性層及びその製造方法、光学異方性積層体及びその製造方法、光学異方性転写体、偏光板、並びに画像表示装置 図000053
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6766870
(24)【登録日】2020年9月23日
(45)【発行日】2020年10月14日
(54)【発明の名称】光学異方性層及びその製造方法、光学異方性積層体及びその製造方法、光学異方性転写体、偏光板、並びに画像表示装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/30 20060101AFI20201005BHJP
   H01L 51/50 20060101ALI20201005BHJP
   H01L 27/32 20060101ALI20201005BHJP
   H05B 33/02 20060101ALI20201005BHJP
   G02F 1/13363 20060101ALI20201005BHJP
   G09F 9/00 20060101ALI20201005BHJP
   G09F 9/30 20060101ALI20201005BHJP
【FI】
   G02B5/30
   H05B33/14 A
   H01L27/32
   H05B33/02
   G02F1/13363
   G09F9/00 313
   G09F9/30 365
   G09F9/00 342
【請求項の数】21
【全頁数】80
(21)【出願番号】特願2018-508018(P2018-508018)
(86)(22)【出願日】2017年3月27日
(86)【国際出願番号】JP2017012486
(87)【国際公開番号】WO2017170455
(87)【国際公開日】20171005
【審査請求日】2019年10月7日
(31)【優先権主張番号】特願2016-68385(P2016-68385)
(32)【優先日】2016年3月30日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000229117
【氏名又は名称】日本ゼオン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 学
【審査官】 廣田 健介
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−200861(JP,A)
【文献】 特開2008−129465(JP,A)
【文献】 特開2009−098618(JP,A)
【文献】 特開2015−014712(JP,A)
【文献】 特開2015−057646(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/013982(WO,A1)
【文献】 特開2010−126583(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 5/30
B32B 1/00−43/00
G02F 1/1335−1/13363
H01L 51/50
H05B 33/00−33/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
重合体と、配向状態が固定されていてもよいメソゲン骨格を有する化合物とを含む光学異方性層であって、
前記重合体は、前記重合体の溶液を用いた塗工法により前記重合体の膜を形成した場合に、前記膜の面内方向であって最大の屈折率を与える方向の屈折率nx(P)、前記膜の前記面内方向であって前記nx(P)の方向に垂直な方向の屈折率ny(P)、及び、前記膜の厚み方向の屈折率nz(P)が、nz(P)>nx(P)≧ny(P)を満たすものであり、
前記メソゲン骨格を有する化合物が;液晶性を示し、且つ、ホモジニアス配向した場合に逆波長分散性の面内レターデーションを示す第一化合物;並びに、単独では液晶性を示さない第二化合物;からなる群より選ばれる少なくとも1種類の化合物であり、
前記第二化合物が、評価用液晶化合物に前記第二化合物を、前記評価用液晶化合物及び前記第二化合物の合計100重量部に対して30重量部〜70重量部の少なくともいずれかの割合で混合した混合物が、液晶性を示し、且つ、前記混合物がホモジニアス配向した場合に前記第二化合物が逆波長分散性の面内レターデーションを示すものであり、
前記光学異方性層の面内方向であって最大の屈折率を与える方向の屈折率nx(A)、前記光学異方性層の前記面内方向であって前記nx(A)の方向に垂直な方向の屈折率ny(A)、及び、前記光学異方性層の厚み方向の屈折率nz(A)が、nz(A)>nx(A)≧ny(A)を満たし、
波長450nmにおける前記光学異方性層の厚み方向のレターデーションRth(A450)、波長550nmにおける前記光学異方性層の厚み方向のレターデーションRth(A550)、及び、波長650nmにおける前記光学異方性層の厚み方向のレターデーションRth(A650)が、下記式(1)及び(2):
0.50<Rth(A450)/Rth(A550)<1.00 (1)
1.00≦Rth(A650)/Rth(A550)<1.25 (2)
を満たし、
前記評価用液晶化合物が、下記式(E1)で表される、光学異方性層。
【化1】
【請求項2】
前記メソゲン骨格を有する化合物が、前記メソゲン骨格を有する化合物の分子中に、主鎖メソゲン骨格と、前記主鎖メソゲン骨格に結合した側鎖メソゲン骨格とを含む、請求項1記載の光学異方性層。
【請求項3】
前記メソゲン骨格を有する化合物が、下記式(I)で表される、請求項1又は2記載の光学異方性層。
【化2】
(前記式(I)において、
〜Yは、それぞれ独立して、化学的な単結合、−O−、−S−、−O−C(=O)−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−O−、−NR−C(=O)−、−C(=O)−NR−、−O−C(=O)−NR−、−NR−C(=O)−O−、−NR−C(=O)−NR−、−O−NR−、又は、−NR−O−を表す。ここで、Rは、水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を表す。
及びGは、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい、炭素数1〜20の二価の脂肪族基を表す。また、前記脂肪族基には、1つの脂肪族基当たり1以上の−O−、−S−、−O−C(=O)−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−O−、−NR−C(=O)−、−C(=O)−NR−、−NR−、又は、−C(=O)−が介在していてもよい。ただし、−O−又は−S−がそれぞれ2以上隣接して介在する場合を除く。ここで、Rは、水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を表す。
及びZは、それぞれ独立して、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数2〜10のアルケニル基を表す。
は、芳香族炭化水素環及び芳香族複素環からなる群から選ばれる少なくとも一つの芳香環を有する、炭素数2〜30の有機基を表す。
は、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアルケニル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜12のシクロアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアルキニル基、−C(=O)−R、−SO−R、−C(=S)NH−R、又は、芳香族炭化水素環及び芳香族複素環からなる群から選ばれる少なくとも一つの芳香環を有する、炭素数2〜30の有機基を表す。ここで、Rは、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアルケニル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜12のシクロアルキル基、又は、炭素数5〜12の芳香族炭化水素環基を表す。Rは、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、フェニル基、又は、4−メチルフェニル基を表す。Rは、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアルケニル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜12のシクロアルキル基、又は、置換基を有していてもよい炭素数5〜20の芳香族基を表す。前記A及びAが有する芳香環は、置換基を有していてもよい。また、前記AとAは、一緒になって、環を形成していてもよい。
は、置換基を有していてもよい三価の芳香族基を表す。
及びAは、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい炭素数3〜30の二価の脂環式炭化水素基を表す。
及びAは、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい、炭素数6〜30の二価の芳香族基を表す。
は、水素原子、又は、置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基を表す。
mは、それぞれ独立に、0又は1を表す。)
【請求項4】
前記メソゲン骨格を有する化合物が、前記メソゲン骨格を有する化合物の分子中に、ベンゾチアゾール環、並びに、シクロヘキシル環及びフェニル環の組み合わせ、からなる群より選ばれる少なくとも1種を含有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の光学異方性層。
【請求項5】
前記重合体が、ポリビニルカルバゾール、ポリフマル酸エステル及びセルロース誘導体からなる群より選ばれる少なくとも1種類の重合体である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の光学異方性層。
【請求項6】
前記光学異方性層の全固形分における前記メソゲン骨格を有する化合物の比率が、20重量%〜60重量%である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の光学異方性層。
【請求項7】
波長590nmにおける前記光学異方性層の面内レターデーションRe(A590)、及び、波長590nmにおける前記光学異方性層の厚み方向のレターデーションRth(A590)が、下記式(3)及び(4):
Re(A590)≦10nm (3)
−200nm≦Rth(A590)≦−10nm (4)
を満たす、請求項1〜6のいずれか一項に記載の光学異方性層。
【請求項8】
基材と、請求項1〜7のいずれか一項に記載の光学異方性層とを備えた、光学異方性転写体。
【請求項9】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の光学異方性層と、位相差層とを備え、
前記位相差層の面内方向であって最大の屈折率を与える方向の屈折率nx(B)、前記位相差層の前記面内方向であって前記nx(B)の方向に垂直な方向の屈折率ny(B)、及び、前記位相差層の厚み方向の屈折率nz(B)が、nx(B)>ny(B)≧nz(B)を満たす、光学異方性積層体。
【請求項10】
前記位相差層が、脂環式構造含有重合体を含む延伸フィルム層である、請求項9記載の光学異方性積層体。
【請求項11】
前記位相差層が、斜め延伸フィルム層である、請求項10記載の光学異方性積層体。
【請求項12】
前記位相差層が、複層構造を有する延伸フィルム層である、請求項9〜11のいずれか一項に記載の光学異方性積層体。
【請求項13】
波長450nmにおける前記位相差層の面内レターデーションRe(B450)、波長550nmにおける前記位相差層の面内レターデーションRe(B550)、及び、波長650nmにおける前記位相差層の面内レターデーションRe(B650)が、下記式(5)及び(6):
0.75<Re(B450)/Re(B550)<1.00 (5)
1.01<Re(B650)/Re(B550)<1.25 (6)
を満たす、請求項9記載の光学異方性積層体。
【請求項14】
前記位相差層が、配向状態が固定されていてもよい、下記式(II)で表される位相差層用液晶化合物を含む、請求項9又は13記載の光学異方性積層体。
【化3】
(前記式(II)において、
〜Yは、それぞれ独立して、化学的な単結合、−O−、−S−、−O−C(=O)−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−O−、−NR−C(=O)−、−C(=O)−NR−、−O−C(=O)−NR−、−NR−C(=O)−O−、−NR−C(=O)−NR−、−O−NR−、又は、−NR−O−を表す。ここで、Rは、水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を表す。
及びGは、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい、炭素数1〜20の二価の脂肪族基を表す。また、前記脂肪族基には、1つの脂肪族基当たり1以上の−O−、−S−、−O−C(=O)−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−O−、−NR−C(=O)−、−C(=O)−NR−、−NR−、又は、−C(=O)−が介在していてもよい。ただし、−O−又は−S−がそれぞれ2以上隣接して介在する場合を除く。ここで、Rは、水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を表す。
及びZは、それぞれ独立して、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数2〜10のアルケニル基を表す。
は、芳香族炭化水素環及び芳香族複素環からなる群から選ばれる少なくとも一つの芳香環を有する、炭素数2〜30の有機基を表す。
は、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアルケニル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜12のシクロアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアルキニル基、−C(=O)−R、−SO−R、−C(=S)NH−R、又は、芳香族炭化水素環及び芳香族複素環からなる群から選ばれる少なくとも一つの芳香環を有する、炭素数2〜30の有機基を表す。ここで、Rは、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアルケニル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜12のシクロアルキル基、又は、炭素数5〜12の芳香族炭化水素環基を表す。Rは、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、フェニル基、又は、4−メチルフェニル基を表す。Rは、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアルケニル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜12のシクロアルキル基、又は、置換基を有していてもよい炭素数5〜20の芳香族基を表す。前記A及びAが有する芳香環は、置換基を有していてもよい。また、前記AとAは、一緒になって、環を形成していてもよい。
は、置換基を有していてもよい三価の芳香族基を表す。
及びAは、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい炭素数3〜30の二価の脂環式炭化水素基を表す。
及びAは、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい、炭素数6〜30の二価の芳香族基を表す。
は、水素原子、又は、置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基を表す。
mは、それぞれ独立に、0又は1を表す。)
【請求項15】
波長590nmにおける前記位相差層の面内レターデーションRe(B590)、波長590nmにおける前記光学異方性層の面内レターデーションRe(A590)、及び、波長590nmにおける前記光学異方性層の厚み方向のレターデーションRth(A590)が、下記式(7)、(8)及び(9):
110nm≦Re(B590)≦170nm (7)
Re(A590)≦10nm (8)
−110nm≦Rth(A590)≦−20nm (9)
を満たす、請求項9〜14のいずれか一項に記載の光学異方性積層体。
【請求項16】
直線偏光子と、
請求項1〜7のいずれか一項に記載の光学異方性層、請求項8記載の光学異方性転写体、又は、請求項9〜15のいずれか一項に記載の光学異方性積層体と、を備える、偏光板。
【請求項17】
請求項16記載の偏光板を備える、画像表示装置。
【請求項18】
請求項9〜15のいずれか一項に記載の光学異方性積層体と、
直線偏光子と、
画像表示素子と、を、この順に備え、
前記画像表示素子が、液晶セル又は有機エレクトロルミネッセンス素子である、画像表示装置。
【請求項19】
直線偏光子と、
請求項9〜15のいずれか一項に記載の光学異方性積層体と、
有機エレクトロルミネッセンス素子と、を、この順に備える、画像表示装置。
【請求項20】
重合体、メソゲン骨格を有する化合物及び溶媒を含む塗工液を、支持面上に塗工して、塗工液層を得る工程と、
前記塗工液層を乾燥させる工程と、を含む、光学異方性層の製造方法であって、
前記重合体は、前記重合体の溶液を用いた塗工法により前記重合体の膜を形成した場合に、前記膜の面内方向であって最大の屈折率を与える方向の屈折率nx(P)、前記膜の前記面内方向であって前記nx(P)の方向に垂直な方向の屈折率ny(P)、及び、前記膜の厚み方向の屈折率nz(P)が、nz(P)>nx(P)≧ny(P)を満たすものであり、
前記メソゲン骨格を有する化合物が;液晶性を示し、且つ、ホモジニアス配向した場合に逆波長分散性の面内レターデーションを示す第一化合物;並びに、単独では液晶性を示さない第二化合物;からなる群より選ばれる少なくとも1種類の化合物であり、
前記第二化合物が、評価用液晶化合物に前記第二化合物を、前記評価用液晶化合物及び前記第二化合物の合計100重量部に対して30重量部〜70重量部の少なくともいずれかの割合で混合した混合物が、液晶性を示し、且つ、前記混合物がホモジニアス配向した場合に前記第二化合物が逆波長分散性の面内レターデーションを示すものであり、
前記光学異方性層の面内方向であって最大の屈折率を与える方向の屈折率nx(A)、前記光学異方性層の前記面内方向であって前記nx(A)の方向に垂直な方向の屈折率ny(A)、及び、前記光学異方性層の厚み方向の屈折率nz(A)が、nz(A)>nx(A)≧ny(A)を満たし、
波長450nmにおける前記光学異方性層の厚み方向のレターデーションRth(A450)、波長550nmにおける前記光学異方性層の厚み方向のレターデーションRth(A550)、及び、波長650nmにおける前記光学異方性層の厚み方向のレターデーションRth(A650)が、下記式(1)及び(2):
0.50<Rth(A450)/Rth(A550)<1.00 (1)
1.00≦Rth(A650)/Rth(A550)<1.25 (2)
を満たし、
前記評価用液晶化合物が、下記式(E1)で表される、光学異方性層の製造方法。
【化4】
【請求項21】
請求項8記載の光学異方性転写体の光学異方性層と、位相差層とを、貼り合わせる工程と、
前記光学異方性転写体の基材を剥離する工程と、を含む、光学異方性積層体の製造方法であって、
前記位相差層の面内方向であって最大の屈折率を与える方向の屈折率nx(B)、前記位相差層の前記面内方向であって前記nx(B)の方向に垂直な方向の屈折率ny(B)、及び、前記位相差層の厚み方向の屈折率nz(B)が、nx(B)>ny(B)≧nz(B)を満たす、光学異方性積層体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学異方性層及びその製造方法;前記の光学異方性層を備えた光学異方性積層体及びその製造方法;並びに、前記の光学異方性層を備えた光学異方性転写体、偏光板及び画像表示装置;に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置、有機エレクトロルミネッセンス表示装置等の画像表示装置には、様々な光学フィルムが設けられる。以下、「有機エレクトロルミネッセンス」のことを、適宜「有機EL」ということがある。このような光学フィルムに係る技術について、特許文献1〜10に示すように、従来から検討がなされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015−14712号公報
【特許文献2】特開2015−57646号公報
【特許文献3】特表2014−513323号公報
【特許文献4】特表2014−520192号公報
【特許文献5】特表2014−520288号公報
【特許文献6】特開2010−20269号公報
【特許文献7】特開2010−195858号公報
【特許文献8】特開2010−235878号公報
【特許文献9】特開2010−254949号公報
【特許文献10】特開2008−268336号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
画像表示装置の表示面には、円偏光板が設けられることがある。ここで、用語「円偏光板」には、狭義の円偏光板だけでなく、楕円偏光板も含む。前記の円偏光板としては、通常、直線偏光子と、光学異方性層とを備える光学フィルムが用いられる。画像表示装置の表示面に円偏光板を設けることにより、表示面を正面方向から見た場合に、外光の反射を抑制したり、画像を表示する光が偏光サングラスを透過できるようにしたりできるので、画像の視認性を高めることが可能である。
【0005】
しかし、従来の一般的な円偏光板を画像表示装置の表示面に設けても、表示面を傾斜方向から見た場合には、外光の反射の抑制が難しく、また、画像を表示する光に偏光サングラスを透過させることが難しかった。
【0006】
そこで、円偏光板に、ポジティブCフィルムを設けることが考えられる。ポジティブCフィルムとは、屈折率nx、ny及びnzが、nz>nx≧nyを満たすフィルムである。ポジティブCフィルムを円偏光板に設けることにより、表示面を傾斜方向から見た場合に、外光の反射を抑制したり、画像を表示する光に偏光サングラスを透過させたりすることができる。
【0007】
さらに、前記のポジティブCフィルムとしては、厚み方向のレターデーションRthが逆波長分散性を示すフィルムが好ましい。ここで、厚み方向のレターデーションRthが逆波長分散性を示す、とは、波長450nm及び550nmにおける厚み方向のレターデーションRth(450)及びRth(550)が、Rth(450)/Rth(550)<1.00を満たすことをいう。このように厚み方向のレターデーションRthが逆波長分散性を示すポジティブCフィルムを円偏光板に設けることにより、表示面を傾斜方向から見た場合に、広い波長範囲において、外光の反射を抑制したり、画像を表示する光に偏光サングラスを透過させたりすることができる。そのため、表示面に表示される画像の視認性を、特に効果的に向上させることができる。
【0008】
ところが、従来の技術では、厚み方向のレターデーションRthが逆波長分散性を示すポジティブCフィルムを製造することは、容易ではなかった。例えば、特許文献1及び2に記載のように、液晶化合物を用いた製造方法が考えられる。ところが、特許文献1及び2に記載のように配向膜を用いる方法では、配向膜と液晶化合物との相性を調整することが求められるので、その調整が煩雑である。さらに、配向膜を基材上に塗工する工程が増えるため、配向膜の使用は、コストの上昇を招く可能性がある。
【0009】
本発明は、前記の課題に鑑みて創案されたもので、配向膜を用いることなく製造可能な、厚み方向のレターデーションRthが逆波長分散性を示すポジティブCプレートとして用いることができる光学異方性層及びその製造方法;前記の光学異方性層を備えた光学異方性積層体及びその製造方法;並びに、前記の光学異方性層を備えた光学異方性転写体、偏光板及び画像表示装置;を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、下記のとおりである。
〔1〕 重合体と、配向状態が固定されていてもよいメソゲン骨格を有する化合物とを含む光学異方性層であって、
前記重合体は、前記重合体の溶液を用いた塗工法により前記重合体の膜を形成した場合に、前記膜の面内方向であって最大の屈折率を与える方向の屈折率nx(P)、前記膜の前記面内方向であって前記nx(P)の方向に垂直な方向の屈折率ny(P)、及び、前記膜の厚み方向の屈折率nz(P)が、nz(P)>nx(P)≧ny(P)を満たすものであり、
前記メソゲン骨格を有する化合物が;液晶性を示し、且つ、ホモジニアス配向した場合に逆波長分散性の面内レターデーションを示す第一化合物;並びに、単独では液晶性を示さない第二化合物;からなる群より選ばれる少なくとも1種類の化合物であり、
前記第二化合物が、ホモジニアス配向した場合に順波長分散性の面内レターデーションを示す評価用液晶化合物に前記第二化合物を、前記評価用液晶化合物及び前記第二化合物の合計100重量部に対して30重量部〜70重量部の少なくともいずれかの割合で混合した混合物が、液晶性を示し、且つ、前記混合物がホモジニアス配向した場合に前記第二化合物が逆波長分散性の面内レターデーションを示すものであり、
前記光学異方性層の面内方向であって最大の屈折率を与える方向の屈折率nx(A)、前記光学異方性層の前記面内方向であって前記nx(A)の方向に垂直な方向の屈折率ny(A)、及び、前記光学異方性層の厚み方向の屈折率nz(A)が、nz(A)>nx(A)≧ny(A)を満たし、
波長450nmにおける前記光学異方性層の厚み方向のレターデーションRth(A450)、波長550nmにおける前記光学異方性層の厚み方向のレターデーションRth(A550)、及び、波長650nmにおける前記光学異方性層の厚み方向のレターデーションRth(A650)が、下記式(1)及び(2):
0.50<Rth(A450)/Rth(A550)<1.00 (1)
1.00≦Rth(A650)/Rth(A550)<1.25 (2)
を満たす、光学異方性層。
〔2〕 前記メソゲン骨格を有する化合物が、前記メソゲン骨格を有する化合物の分子中に、主鎖メソゲン骨格と、前記主鎖メソゲン骨格に結合した側鎖メソゲン骨格とを含む、〔1〕記載の光学異方性層。
〔3〕 前記メソゲン骨格を有する化合物が、下記式(I)で表される、〔1〕又は〔2〕記載の光学異方性層。
【化1】
(前記式(I)において、
〜Yは、それぞれ独立して、化学的な単結合、−O−、−S−、−O−C(=O)−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−O−、−NR−C(=O)−、−C(=O)−NR−、−O−C(=O)−NR−、−NR−C(=O)−O−、−NR−C(=O)−NR−、−O−NR−、又は、−NR−O−を表す。ここで、Rは、水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を表す。
及びGは、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい、炭素数1〜20の二価の脂肪族基を表す。また、前記脂肪族基には、1つの脂肪族基当たり1以上の−O−、−S−、−O−C(=O)−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−O−、−NR−C(=O)−、−C(=O)−NR−、−NR−、又は、−C(=O)−が介在していてもよい。ただし、−O−又は−S−がそれぞれ2以上隣接して介在する場合を除く。ここで、Rは、水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を表す。
及びZは、それぞれ独立して、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数2〜10のアルケニル基を表す。
は、芳香族炭化水素環及び芳香族複素環からなる群から選ばれる少なくとも一つの芳香環を有する、炭素数2〜30の有機基を表す。
は、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアルケニル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜12のシクロアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアルキニル基、−C(=O)−R、−SO−R、−C(=S)NH−R、又は、芳香族炭化水素環及び芳香族複素環からなる群から選ばれる少なくとも一つの芳香環を有する、炭素数2〜30の有機基を表す。ここで、Rは、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアルケニル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜12のシクロアルキル基、又は、炭素数5〜12の芳香族炭化水素環基を表す。Rは、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、フェニル基、又は、4−メチルフェニル基を表す。Rは、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアルケニル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜12のシクロアルキル基、又は、置換基を有していてもよい炭素数5〜20の芳香族基を表す。前記A及びAが有する芳香環は、置換基を有していてもよい。また、前記AとAは、一緒になって、環を形成していてもよい。
は、置換基を有していてもよい三価の芳香族基を表す。
及びAは、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい炭素数3〜30の二価の脂環式炭化水素基を表す。
及びAは、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい、炭素数6〜30の二価の芳香族基を表す。
は、水素原子、又は、置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基を表す。
mは、それぞれ独立に、0又は1を表す。)
〔4〕 前記メソゲン骨格を有する化合物が、前記メソゲン骨格を有する化合物の分子中に、ベンゾチアゾール環、並びに、シクロヘキシル環及びフェニル環の組み合わせ、からなる群より選ばれる少なくとも1種を含有する、〔1〕〜〔3〕のいずれか一項に記載の光学異方性層。
〔5〕 前記重合体が、ポリビニルカルバゾール、ポリフマル酸エステル及びセルロース誘導体からなる群より選ばれる少なくとも1種類の重合体である、〔1〕〜〔4〕のいずれか一項に記載の光学異方性層。
〔6〕 前記光学異方性層の全固形分における前記メソゲン骨格を有する化合物の比率が、20重量%〜60重量%である、〔1〕〜〔5〕のいずれか一項に記載の光学異方性層。
〔7〕 波長590nmにおける前記光学異方性層の面内レターデーションRe(A590)、及び、波長590nmにおける前記光学異方性層の厚み方向のレターデーションRth(A590)が、下記式(3)及び(4):
Re(A590)≦10nm (3)
−200nm≦Rth(A590)≦−10nm (4)
を満たす、〔1〕〜〔6〕のいずれか一項に記載の光学異方性層。
〔8〕 基材と、〔1〕〜〔7〕のいずれか一項に記載の光学異方性層とを備えた、光学異方性転写体。
〔9〕 〔1〕〜〔7〕のいずれか一項に記載の光学異方性層と、位相差層とを備え、
前記位相差層の面内方向であって最大の屈折率を与える方向の屈折率nx(B)、前記位相差層の前記面内方向であって前記nx(B)の方向に垂直な方向の屈折率ny(B)、及び、前記位相差層の厚み方向の屈折率nz(B)が、nx(B)>ny(B)≧nz(B)を満たす、光学異方性積層体。
〔10〕 前記位相差層が、脂環式構造含有重合体を含む延伸フィルム層である、〔9〕記載の光学異方性積層体。
〔11〕 前記位相差層が、斜め延伸フィルム層である、〔10〕記載の光学異方性積層体。
〔12〕 前記位相差層が、複層構造を有する延伸フィルム層である、〔9〕〜〔11〕のいずれか一項に記載の光学異方性積層体。
〔13〕 波長450nmにおける前記位相差層の面内レターデーションRe(B450)、波長550nmにおける前記位相差層の面内レターデーションRe(B550)、及び、波長650nmにおける前記位相差層の面内レターデーションRe(B650)が、下記式(5)及び(6):
0.75<Re(B450)/Re(B550)<1.00 (5)
1.01<Re(B650)/Re(B550)<1.25 (6)
を満たす、〔9〕記載の光学異方性積層体。
〔14〕 前記位相差層が、配向状態が固定されていてもよい、下記式(II)で表される位相差層用液晶化合物を含む、〔9〕又は〔13〕記載の光学異方性積層体。
【化2】
(前記式(II)において、
〜Yは、それぞれ独立して、化学的な単結合、−O−、−S−、−O−C(=O)−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−O−、−NR−C(=O)−、−C(=O)−NR−、−O−C(=O)−NR−、−NR−C(=O)−O−、−NR−C(=O)−NR−、−O−NR−、又は、−NR−O−を表す。ここで、Rは、水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を表す。
及びGは、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい、炭素数1〜20の二価の脂肪族基を表す。また、前記脂肪族基には、1つの脂肪族基当たり1以上の−O−、−S−、−O−C(=O)−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−O−、−NR−C(=O)−、−C(=O)−NR−、−NR−、又は、−C(=O)−が介在していてもよい。ただし、−O−又は−S−がそれぞれ2以上隣接して介在する場合を除く。ここで、Rは、水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を表す。
及びZは、それぞれ独立して、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数2〜10のアルケニル基を表す。
は、芳香族炭化水素環及び芳香族複素環からなる群から選ばれる少なくとも一つの芳香環を有する、炭素数2〜30の有機基を表す。
は、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアルケニル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜12のシクロアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアルキニル基、−C(=O)−R、−SO−R、−C(=S)NH−R、又は、芳香族炭化水素環及び芳香族複素環からなる群から選ばれる少なくとも一つの芳香環を有する、炭素数2〜30の有機基を表す。ここで、Rは、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアルケニル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜12のシクロアルキル基、又は、炭素数5〜12の芳香族炭化水素環基を表す。Rは、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、フェニル基、又は、4−メチルフェニル基を表す。Rは、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアルケニル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜12のシクロアルキル基、又は、置換基を有していてもよい炭素数5〜20の芳香族基を表す。前記A及びAが有する芳香環は、置換基を有していてもよい。また、前記AとAは、一緒になって、環を形成していてもよい。
は、置換基を有していてもよい三価の芳香族基を表す。
及びAは、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい炭素数3〜30の二価の脂環式炭化水素基を表す。
及びAは、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい、炭素数6〜30の二価の芳香族基を表す。
は、水素原子、又は、置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基を表す。
mは、それぞれ独立に、0又は1を表す。)
〔15〕 波長590nmにおける前記位相差層の面内レターデーションRe(B590)、波長590nmにおける前記光学異方性層の面内レターデーションRe(A590)、及び、波長590nmにおける前記光学異方性層の厚み方向のレターデーションRth(A590)が、下記式(7)、(8)及び(9):
110nm≦Re(B590)≦170nm (7)
Re(A590)≦10nm (8)
−110nm≦Rth(A590)≦−20nm (9)
を満たす、〔9〕〜〔14〕のいずれか一項に記載の光学異方性積層体。
〔16〕 直線偏光子と、
〔1〕〜〔7〕のいずれか一項に記載の光学異方性層、〔8〕記載の光学異方性転写体、又は、〔9〕〜〔15〕のいずれか一項に記載の光学異方性積層体と、を備える、偏光板。
〔17〕 〔16〕記載の偏光板を備える、画像表示装置。
〔18〕 〔9〕〜〔15〕のいずれか一項に記載の光学異方性積層体と、
直線偏光子と、
画像表示素子と、を、この順に備え、
前記画像表示素子が、液晶セル又は有機エレクトロルミネッセンス素子である、画像表示装置。
〔19〕 直線偏光子と、
〔9〕〜〔15〕のいずれか一項に記載の光学異方性積層体と、
有機エレクトロルミネッセンス素子と、を、この順に備える、画像表示装置。
〔20〕 重合体、メソゲン骨格を有する化合物及び溶媒を含む塗工液を、支持面上に塗工して、塗工液層を得る工程と、
前記塗工液層を乾燥させる工程と、を含む、光学異方性層の製造方法であって、
前記重合体は、前記重合体の溶液を用いた塗工法により前記重合体の膜を形成した場合に、前記膜の面内方向であって最大の屈折率を与える方向の屈折率nx(P)、前記膜の前記面内方向であって前記nx(P)の方向に垂直な方向の屈折率ny(P)、及び、前記膜の厚み方向の屈折率nz(P)が、nz(P)>nx(P)≧ny(P)を満たすものであり、
前記メソゲン骨格を有する化合物が;液晶性を示し、且つ、ホモジニアス配向した場合に逆波長分散性の面内レターデーションを示す第一化合物;並びに、単独では液晶性を示さない第二化合物;からなる群より選ばれる少なくとも1種類の化合物であり、
前記第二化合物が、ホモジニアス配向した場合に順波長分散性の面内レターデーションを示す評価用液晶化合物に前記第二化合物を、前記評価用液晶化合物及び前記第二化合物の合計100重量部に対して30重量部〜70重量部の少なくともいずれかの割合で混合した混合物が、液晶性を示し、且つ、前記混合物がホモジニアス配向した場合に前記第二化合物が逆波長分散性の面内レターデーションを示すものであり、
前記光学異方性層の面内方向であって最大の屈折率を与える方向の屈折率nx(A)、前記光学異方性層の前記面内方向であって前記nx(A)の方向に垂直な方向の屈折率ny(A)、及び、前記光学異方性層の厚み方向の屈折率nz(A)が、nz(A)>nx(A)≧ny(A)を満たし、
波長450nmにおける前記光学異方性層の厚み方向のレターデーションRth(A450)、波長550nmにおける前記光学異方性層の厚み方向のレターデーションRth(A550)、及び、波長650nmにおける前記光学異方性層の厚み方向のレターデーションRth(A650)が、下記式(1)及び(2):
0.50<Rth(A450)/Rth(A550)<1.00 (1)
1.00≦Rth(A650)/Rth(A550)<1.25 (2)
を満たす、光学異方性層の製造方法。
〔21〕 〔8〕記載の光学異方性転写体の光学異方性層と、位相差層とを、貼り合わせる工程と、
前記光学異方性転写体の基材を剥離する工程と、を含む、光学異方性積層体の製造方法であって、
前記位相差層の面内方向であって最大の屈折率を与える方向の屈折率nx(B)、前記位相差層の前記面内方向であって前記nx(B)の方向に垂直な方向の屈折率ny(B)、及び、前記位相差層の厚み方向の屈折率nz(B)が、nx(B)>ny(B)≧nz(B)を満たす、光学異方性積層体の製造方法。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、配向膜を用いることなく製造可能な、厚み方向のレターデーションRthが逆波長分散性を示すポジティブCプレートとして用いることができる光学異方性層及びその製造方法;前記の光学異方性層を備えた光学異方性積層体及びその製造方法;並びに、前記の光学異方性層を備えた光学異方性転写体、偏光板及び画像表示装置;を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、本発明の第一実施形態に係る画像表示装置としての有機EL表示装置を模式的に示す断面図である。
図2図2は、本発明の第二実施形態に係る画像表示装置としての有機EL表示装置を模式的に示す断面図である。
図3図3は、本発明の第三実施形態に係る画像表示装置としての液晶表示装置を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明について実施形態及び例示物を示して詳細に説明する。ただし、本発明は以下に示す実施形態及び例示物に限定されるものではなく、本発明の請求の範囲及びその均等の範囲を逸脱しない範囲において任意に変更して実施しうる。
【0014】
以下の説明において、ある面の正面方向とは、別に断らない限り、当該面の法線方向を意味し、具体的には前記面の極角0°且つ方位角0°の方向を指す。
【0015】
以下の説明において、ある面の傾斜方向とは、別に断らない限り、当該面に平行でも垂直でもない方向を意味し、具体的には前記面の極角が0°より大きく90°より小さい範囲の方向を指す。
【0016】
以下の説明において、別に断らない限り、ある層の面内レターデーションReは、Re=(nx−ny)×dで表される値を示し、また、ある層の厚み方向のレターデーションRthとは、Rth=[{(nx+ny)/2}−nz]×dで表される値を示す。ここで、nxは、層の面内方向であって最大の屈折率を与える方向の屈折率を表し、nyは、層の前記面内方向であってnxの方向に直交する方向の屈折率を表し、nzは、層の厚み方向の屈折率を表し、dは、層の厚みを表す。また、面内方向とは、厚み方向に垂直な方向を示す。
【0017】
以下の説明において、別に断らない限り、屈折率の測定波長は、590nmである。
【0018】
以下の説明において、「長尺」のものとは、幅に対して、通常5倍以上の長さを有するものをいい、好ましくは10倍若しくはそれ以上の長さを有し、具体的にはロール状に巻き取られて保管又は運搬される程度の長さを有するものをいう。
【0019】
以下の説明において、「偏光板」及び「波長板」とは、剛直な部材だけでなく、例えば樹脂製のフィルムのように可撓性を有する部材も含む。
【0020】
以下の説明において、別に断らない限り、「(メタ)アクリル」は、「アクリル」、「メタクリル」及びこれらの組み合わせを包含する用語である。
【0021】
以下の説明において、要素の方向が「平行」及び「垂直」とは、別に断らない限り、本発明の効果を損ねない範囲内、例えば±5°の範囲内での誤差を含んでいてもよい。
【0022】
以下の説明において、正の固有複屈折値を有する樹脂とは、延伸方向の屈折率がそれに直交する方向の屈折率よりも大きくなる樹脂を意味する。また、負の固有複屈折値を有する樹脂とは、延伸方向の屈折率がそれに直交する方向の屈折率よりも小さくなる樹脂を意味する。固有複屈折値は、誘電率分布から計算しうる。
【0023】
[1.光学異方性層]
本発明の光学異方性層は、所定の重合体と、メソゲン骨格を有する所定の化合物とを含み、所定の光学特性を有する。光学異方性層が含む前記の重合体を、以下、適宜「ポジC重合体」ということがある。また、光学異方性層が含むメソゲン骨格を有する化合物を、以下、適宜「メソゲン化合物」ということがある。
【0024】
〔1.1.ポジC重合体〕
ポジC重合体は、当該ポジC重合体の溶液を用いた塗工法によりポジC重合体の膜を形成した場合に、その膜の屈折率nx(P)、ny(P)及びnz(P)が、nz(P)>nx(P)≧ny(P)を満たす重合体である。ここで、nx(P)は、前記膜の面内方向であって最大の屈折率を与える方向の屈折率を表し、ny(P)は、前記膜の前記面内方向であって前記nx(P)の方向に垂直な方向の屈折率を表し、nz(P)は、前記膜の厚み方向の屈折率を表す。このようなポジC重合体を、所定のメソゲン化合物と組み合わせて用いることにより、配向膜を用いることなく製造可能な、厚み方向のレターデーションRthが逆波長分散性を示すポジティブCプレートとして用いられる光学異方性層を実現できる。
【0025】
ある重合体が、ポジC重合体に該当するか否かは、下記の方法によって確認できる。
まず、試料としての重合体を、メチルエチルケトン(MEK)、1,3−ジオキソラン、N−メチルピロリドン(NMP)等の溶媒に、重合体の濃度が10重量%〜20重量%になるように加え、室温にて溶解させて、重合体溶液を得る。
この重合体溶液を、樹脂からなる未延伸フィルム上に、アプリケーターを用いて塗工して、重合体溶液の層を形成する。その後、85℃オーブンで10分ほど乾燥させて、溶媒を蒸発させることにより、厚み10μm程度の重合体膜を得る。
そして、この重合体膜の屈折率nx(P)、屈折率ny(P)及び屈折率nz(P)が、nz(P)>nx(P)≧ny(P)を満たすか否かを評価し、満たす場合に、その試料としての重合体は、ポジC重合体に該当すると判定できる。
【0026】
中でも、前記の屈折率nx(P)と屈折率ny(P)とは、値が同じであるか近いことが好ましい。具体的には、屈折率nx(P)と屈折率ny(P)の差nx(P)−ny(P)は、好ましくは0.00000〜0.00100、より好ましくは0.00000〜0.00050、特に好ましくは0.00000〜0.00020である。屈折率差nx(P)−ny(P)が前記の範囲に収まることにより、本発明の光学異方性層を容易に得ることができる。
【0027】
ポジC重合体としては、前記の式nz(P)>nx(P)≧ny(P)を満たす屈折率を有する任意の重合体を用いうる。中でも、ポジC重合体としては、ポリビニルカルバゾール、ポリフマル酸エステル及びセルロース誘導体からなる群より選ばれる少なくとも1種類の重合体が好ましい。これらの重合体をポジC重合体として用いることにより、塗工によって厚み方向のレターデーションRthが大きい光学異方性層を、容易に得ることができる。
【0028】
ポジC重合体の具体例としては、ポリ(9−ビニルカルバゾール);フマル酸ジイソプロピルとアクリル酸3−エチル−3−オキセタニルメチルとの共重合体;フマル酸ジイソプロピルとケイ皮酸エステルとの共重合体;などが挙げられる。
また、ポジC重合体は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
【0029】
光学異方性層の全固形分におけるポジC重合体の比率は、好ましくは40重量%以上、より好ましくは45重量%以上、更に好ましくは50重量%以上、特に好ましくは55重量%以上であり、好ましくは80重量%以下、より好ましくは70重量%以下、更に好ましくは65重量%以下、特に好ましくは60重量%以下である。ポジC重合体の比率が、前記範囲の下限値以上であることにより、光学異方性層において、メソゲン化合物を均一に分散させたり、光学異方性層の機械的強度を高くしたりでき、また、前記範囲の上限値以下であることにより、光学異方性層の厚み方向のレターデーションRthの波長分散性を逆分散性に近づけ易くできる。ここで、ある層の固形分とは、その層を乾燥した場合に残留する成分のことをいう。
【0030】
〔1.2.メソゲン化合物〕
メソゲン化合物は、メソゲン骨格を有する化合物である。ここで、メソゲン骨格とは、その引力及び斥力的相互作用の異方性によって、低分子量又は高分子量の物質中で、液晶(LC:liquid−crystalline)相の発生に本質的に寄与する分子骨格を意味する。メソゲン骨格を含有するメソゲン化合物は、それ自身では、必ずしも液晶相への相転移を生じうる液晶性を有していなくてもよい。よって、メソゲン化合物は、単独で液晶相への相転移を生じうる液晶化合物であってもよく、単独では液晶相への相転移を生じない非液晶化合物であってもよい。メソゲン骨格の例としては、剛直な棒状又は円盤状の形状のユニットが挙げられる。メソゲン骨格については、Pure Appl.Chem.2001、73巻(5号)、888頁およびC.Tschierske、G.Pelzl、S.Diele、Angew.Chem.2004年、116巻、6340〜6368頁を参照しうる。
【0031】
光学異方性層において、メソゲン化合物は、その配向状態が固定されていてもよい。例えば、メソゲン化合物は、重合によって、当該メソゲン化合物の配向状態が固定されていてもよい。通常、重合により、メソゲン化合物は、そのメソゲン化合物の配向状態を維持したまま重合体となりうるので、前記の重合により、メソゲン化合物の配向状態が固定される。よって、用語「配向状態が固定されたメソゲン化合物」には、メソゲン化合物の重合体が包含される。したがって、メソゲン化合物が液晶性を有する液晶化合物である場合、この液晶化合物は、光学異方性層において、液晶相を呈していてもよく、配向状態が固定化されることによって液晶相を呈していなくてもよい。
【0032】
前記の所定のメソゲン化合物としては、第一化合物としての逆波長分散液晶化合物、及び、第二化合物としての逆波長メソゲン化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種類の化合物を用いる。
【0033】
ここで、逆波長分散液晶化合物とは、下記の要件(i)及び(ii)を全て満たす化合物を意味する。
(i)逆波長分散液晶化合物は、液晶性を示す。
(ii)逆波長分散液晶化合物は、ホモジニアス配向した場合に逆波長分散性の面内レターデーションを示す。
【0034】
また、逆波長メソゲン化合物とは、下記の要件(iii)、要件(iv)及び要件(v)を全て満たす化合物を意味する。
(iii)逆波長メソゲン化合物は、単独では液晶性を示さない。
(iv)逆波長メソゲン化合物を含む所定の評価用混合物が、液晶性を示す。
(v)前記評価用混合物がホモジニアス配向した場合に、逆波長メソゲン化合物が逆波長分散性の面内レターデーションを示す。
前記の評価用混合物とは、ホモジニアス配向した場合に順波長分散性の面内レターデーションを示す評価用液晶化合物に、前記の逆波長メソゲン化合物を、評価用液晶化合物及び逆波長メソゲン化合物の合計100重量部に対して30重量部〜70重量部の少なくともいずれかの割合で混合した混合物である。
【0035】
このような逆波長分散液晶化合物及び逆波長メソゲン化合物からなる群より選ばれるメソゲン化合物を、ポジC重合体と組み合わせて用いることにより、配向膜を用いることなく製造可能な、厚み方向のレターデーションRthが逆波長分散性を示すポジティブCプレートとして用いられる光学異方性層を実現できる。
【0036】
以下、逆波長分散液晶化合物について説明する。
逆波長分散液晶化合物は、ホモジニアス配向した場合に、逆波長分散性の面内レターデーションを示す。ここで、液晶化合物をホモジニアス配向させる、とは、当該液晶化合物を含む層を形成し、その層における液晶化合物の分子のメソゲン骨格の長軸方向を、前記層の面に平行なある一の方向に配向させることをいう。液晶化合物が配向方向の異なる複数種類のメソゲン骨格を含む場合は、それらのうち最も長い種類のメソゲンが配向する方向が、前記の配向方向となる。液晶化合物がホモジニアス配向しているか否か、及びその配向方向は、AxoScan(Axometrics社製)に代表されるような位相差計を用いた遅相軸方向の測定と、遅相軸方向における入射角毎のレターデーション分布の測定とにより確認しうる。
【0037】
また、面内レターデーションReが逆波長分散性を示す、とは、波長450nm及び550nmにおける面内レターデーションRe(450)及びRe(550)が、Re(450)/Re(550)<1.00を満たすことをいう。
【0038】
よって、逆波長分散液晶化合物を含む液晶層を形成し、その液晶層における液晶化合物の分子のメソゲン骨格の長軸方向を、前記液晶層の面に平行なある一の方向に配向させた場合には、その液晶層の波長450nm及び550nmにおける面内レターデーションRe(L450)及びRe(L550)は、通常、Re(L450)/Re(L550)<1.00を満たす。
【0039】
さらに、波長450nm、550nm及び650nmにおける前記の液晶層の面内レターデーションRe(L450)、Re(L550)及びRe(L650)は、本発明の所望の効果をより良好に発現させる観点から、Re(L450)<Re(L550)≦Re(L650)を満たすことがより好ましい。
【0040】
逆波長分散液晶化合物としては、例えば、当該逆波長分散液晶化合物の分子中に、主鎖メソゲン骨格と、前記主鎖メソゲン骨格に結合した側鎖メソゲン骨格とを含む化合物を用いうる。主鎖メソゲン骨格及び側鎖メソゲン骨格を含む前記の逆波長分散液晶化合物は、当該逆波長分散液晶化合物が配向した状態において、側鎖メソゲン骨格が主鎖メソゲン骨格と異なる方向に配向しうる。このような場合、複屈折は主鎖メソゲン骨格に対応する屈折率と側鎖メソゲン骨格に対応する屈折率との差として発現するので、結果として、逆波長分散液晶化合物は、ホモジニアス配向した場合に、逆波長分散性の面内レターデーションを示すことができる。
【0041】
例えば主鎖メソゲン骨格及び側鎖メソゲン骨格を有する前記化合物のように、逆波長分散液晶化合物は、通常、一般的な順波長分散液晶化合物の立体形状とは異なる特異的な立体形状を有する。ここで、「順波長分散液晶化合物」とは、ホモジニアス配向した場合に、順波長分散性の面内レターデーションを示しうる液晶化合物をいう。また、順波長分散性の面内レターデーションとは、測定波長が大きいほど面内レターデーションが小さくなる面内レターデーションを表す。逆波長分散液晶化合物がこのように特異的な立体形状を有することが、本発明の効果が得られる一因になっているものと推察される。
【0042】
さらに、逆波長分散液晶化合物は、重合性を有することが好ましい。よって、逆波長分散液晶化合物は、重合性基を有することが好ましい。このように重合性を有する逆波長分散液晶化合物を用いれば、重合によって逆波長分散液晶化合物の配向状態を容易に固定することが可能である。そのため、安定な光学特性を有する光学異方性層を容易に得ることができる。
【0043】
逆波長分散液晶化合物のCN点は、好ましくは25℃以上、より好ましくは45℃以上、特に好ましくは60℃以上であり、好ましくは120℃以下、より好ましくは110℃以下、特に好ましくは100℃以下である。ここで、「CN点」とは、結晶−ネマチック相転移温度のことをいう。前記の範囲にCN点を有する逆波長分散液晶化合物を用いることにより、光学異方性層を容易に製造することが可能である。
【0044】
逆波長分散液晶化合物の分子量は、単量体である場合は、好ましくは300以上、より好ましくは700以上、特に好ましくは1000以上であり、好ましくは2000以下、より好ましくは1700以下、特に好ましくは1500以下である。逆波長分散液晶化合物が前記のような分子量を有することにより、光学異方性層を形成するための塗工液の塗工性を特に良好にできる。
【0045】
前記の逆波長分散液晶化合物は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
【0046】
逆波長分散液晶化合物としては、例えば特開2014−123134号公報に記載されたものが挙げられる。また、逆波長分散液晶化合物としては、例えば、下記式(Ia)で表される化合物のうち、液晶性を示す化合物が挙げられる。以下の説明において、式(Ia)で表される化合物を、適宜「化合物(Ia)」ということがある。
【0047】
【化3】
【0048】
前記式(Ia)において、A1aは、芳香族炭化水素環および芳香族複素環からなる群より選ばれる少なくとも1つの芳香環を有する炭素数1〜67の有機基を置換基として有する芳香族炭化水素環基;または、芳香族炭化水素環および芳香族複素環からなる群より選ばれる少なくとも1つの芳香環を有する炭素数1〜67の有機基を置換基として有する芳香族複素環基;を表す。
【0049】
1aの具体例としては、式:−RC(=N−NR)、あるいは式:−RC(=N−N=Rf1)で表される基で置換されたフェニレン基;1−ベンゾフラン−2−イル基で置換されたベンゾチアゾール−4,7−ジイル基;5−(2−ブチル)−1−ベンゾフラン−2−イル基で置換されたベンゾチアゾール−4,7−ジイル基;4,6−ジメチル−1−ベンゾフラン−2−イル基で置換されたベンゾチアゾール−4,7−ジイル基;6−メチル−1−ベンゾフラン−2−イル基で置換されたベンゾチアゾール−4,7−ジイル基;4,6,7−トリメチル−1−ベンゾフラン−2−イル基で置換されたベンゾチアゾール−4,7−ジイル基;4,5,6−トリメチル−1−ベンゾフラン−2−イル基で置換されたベンゾチアゾール−4,7−ジイル基;5−メチル−1−ベンゾフラン−2−イル基で置換されたベンゾチアゾール−4,7−ジイル基;5−プロピル−1−ベンゾフラン−2−イル基で置換されたベンゾチアゾール−4,7−ジイル基;7−プロピル−1−ベンゾフラン−2−イル基で置換されたベンゾチアゾール−4,7−ジイル基;5−フルオロ−1−ベンゾフラン−2−イル基で置換されたベンゾチアゾール−4,7−ジイル基;フェニル基で置換されたベンゾチアゾール−4,7−ジイル基;4−フルオロフェニル基で置換されたベンゾチアゾール−4,7−ジイル基;4−ニトロフェニル基で置換されたベンゾチアゾール−4,7−ジイル基;4−トリフルオロメチルフェニル基で置換されたベンゾチアゾール−4,7−ジイル基;4−シアノフェニル基で置換されたベンゾチアゾール−4,7−ジイル基;4−メタンスルホニルフェニル基で置換されたベンゾチアゾール−4,7−ジイル基;チオフェン−2−イル基で置換されたベンゾチアゾール−4,7−ジイル基;チオフェン−3−イル基で置換されたベンゾチアゾール−4,7−ジイル基;5−メチルチオフェン−2−イル基で置換されたベンゾチアゾール−4,7−ジイル基;5−クロロチオフェン−2−イル基で置換されたベンゾチアゾール−4,7−ジイル基;チエノ[3,2−b]チオフェン−2−イル基で置換されたベンゾチアゾール−4,7−ジイル基;2−ベンゾチアゾリル基で置換されたベンゾチアゾール−4,7−ジイル基;4−ビフェニル基で置換されたベンゾチアゾール−4,7−ジイル基;4−プロピルビフェニル基で置換されたベンゾチアゾール−4,7−ジイル基;4−チアゾリル基で置換されたベンゾチアゾール−4,7−ジイル基;1−フェニルエチレン−2−イル基で置換されたベンゾチアゾール−4,7−ジイル基;4−ピリジル基で置換されたベンゾチアゾール−4,7−ジイル基;2−フリル基で置換されたベンゾチアゾール−4,7−ジイル基;ナフト[1,2−b]フラン−2−イル基で置換されたベンゾチアゾール−4,7−ジイル基;5−メトキシ−2−ベンゾチアゾリル基で置換された1H−イソインドール−1,3(2H)−ジオン−4,7−ジイル基;フェニル基で置換された1H−イソインドール−1,3(2H)−ジオン−4,7−ジイル基;4−ニトロフェニル基で置換された1H−イソインドール−1,3(2H)−ジオン−4,7−ジイル基;または、2−チアゾリル基で置換された1H−イソインドール−1,3(2H)−ジオン−4,7−ジイル基;等が挙げられる。ここで、RおよびRf1は、それぞれ独立して、後述するQと同じ意味を表す。Rは、後述するAと同じ意味を表し、Rは、後述するAと同じ意味を表す。
【0050】
前記式(Ia)において、Y1a〜Y8aは、それぞれ独立して、化学的な単結合、−O−、−S−、−O−C(=O)−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−O−、−NR−C(=O)−、−C(=O)−NR−、−O−C(=O)−NR−、−NR−C(=O)−O−、−NR−C(=O)−NR−、−O−NR−、又は、−NR−O−を表す。ここで、Rは、水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を表す。
【0051】
前記式(Ia)において、G1a及びG2aは、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい、炭素数1〜20の二価の脂肪族基を表す。また、前記脂肪族基には、1つの脂肪族基当たり1以上の−O−、−S−、−O−C(=O)−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−O−、−NR−C(=O)−、−C(=O)−NR−、−NR−、又は、−C(=O)−が介在していてもよい。ただし、−O−又は−S−がそれぞれ2以上隣接して介在する場合を除く。ここで、Rは、水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を表す。
【0052】
前記式(Ia)において、Z1a及びZ2aは、それぞれ独立して、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数2〜10のアルケニル基を表す。
【0053】
前記式(Ia)において、A2a及びA3aは、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい炭素数3〜30の二価の脂環式炭化水素基を表す。
【0054】
前記式(Ia)において、A4a及びA5aは、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい、炭素数6〜30の二価の芳香族基を表す。
【0055】
前記式(Ia)において、k及びlは、それぞれ独立に、0又は1を表す。
【0056】
逆波長分散液晶化合物の特に好適な具体例としては、下記式(I)で表される化合物のうち、液晶性を示す化合物が挙げられる。以下の説明において、式(I)で表される化合物を、適宜「化合物(I)」ということがある。
【0057】
【化4】
【0058】
化合物(I)は、通常、下記式で表すように、基−Y−A−(Y−A−Y−A−Y−(A−Y−A−Y−からなる主鎖メソゲン骨格1a、及び、基>A−C(Q)=N−N(A)Aからなる側鎖メソゲン骨格1bの2つのメソゲン骨格を含む。また、これらの主鎖メソゲン骨格1a及び側鎖メソゲン骨格1bは、互いに交差している。上記の主鎖メソゲン骨格1a及び側鎖メソゲン骨格1bをあわせて1つのメソゲン骨格とすることもできるが、本発明では、2つのメソゲン骨格に分けて表記する。
【0059】
【化5】
【0060】
主鎖メソゲン骨格1aの長軸方向における屈折率をn1、側鎖メソゲン骨格1bの長軸方向における屈折率をn2とする。この際、屈折率n1の絶対値及び波長分散性は、通常、主鎖メソゲン骨格1aの分子構造に依存する。また、屈折率n2の絶対値及び波長分散性は、通常、側鎖メソゲン骨格1bの分子構造に依存する。ここで、液晶相において化合物(I)は、通常、主鎖メソゲン骨格1aの長軸方向を回転軸として回転運動を行うので、ここでいう屈折率n1及びn2とは、回転体としての屈折率を表している。
【0061】
主鎖メソゲン骨格1a及び側鎖メソゲン骨格1bの分子構造に由来して、屈折率n1の絶対値は屈折率n2の絶対値より大きい。さらに、屈折率n1及びn2は、通常、順波長分散性を示す。ここで、順波長分散性の屈折率とは、測定波長が大きいほど当該屈折率の絶対値が小さくなる屈折率を表す。主鎖メソゲン骨格1aの屈折率n1は、小さい程度の順波長分散性を示す。よって、長波長で測定した屈折率n1は、短波長で測定した屈折率よりも小さくなるが、それらの差は小さい。これに対し、側鎖メソゲン骨格1bの屈折率n2は、大きな程度の順波長分散性を示す。よって、長波長で測定した屈折率n2は、短波長で測定した屈折率n2よりも小さくなり、且つ、それらの差は大きい。そのため、測定波長が短いと屈折率n1と屈折率n2との差Δnは小さく、測定波長が長いと屈折率n1と屈折率n2との差Δnが大きくなる。このようにして、主鎖メソゲン骨格1a及び側鎖メソゲン骨格1bに由来して、化合物(I)は、ホモジニアス配向した場合に、逆波長分散性の面内レターデーションを示しうる。
【0062】
前記式(I)において、Y〜Yは、それぞれ独立して、化学的な単結合、−O−、−S−、−O−C(=O)−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−O−、−NR−C(=O)−、−C(=O)−NR−、−O−C(=O)−NR−、−NR−C(=O)−O−、−NR−C(=O)−NR−、−O−NR−、又は、−NR−O−を表す。
【0063】
ここで、Rは、水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を表す。
の炭素数1〜6のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−へキシル基が挙げられる。
としては、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基が好ましい。
【0064】
化合物(I)においては、Y〜Yは、それぞれ独立して、化学的な単結合、−O−、−O−C(=O)−、−C(=O)−O−、又は、−O−C(=O)−O−であることが好ましい。
【0065】
前記式(I)において、G及びGは、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい、炭素数1〜20の二価の脂肪族基を表す。
炭素数1〜20の二価の脂肪族基としては、例えば、炭素数1〜20のアルキレン基、炭素数2〜20のアルケニレン基等の鎖状構造を有する二価の脂肪族基;炭素数3〜20のシクロアルカンジイル基、炭素数4〜20のシクロアルケンジイル基、炭素数10〜30の二価の脂環式縮合環基等の二価の脂肪族基;が挙げられる。
【0066】
及びGの二価の脂肪族基の置換基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子;メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、t−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、n−へキシルオキシ基等の炭素数1〜6のアルコキシ基;が挙げられる。なかでも、フッ素原子、メトキシ基及びエトキシ基が好ましい。
【0067】
また、前記脂肪族基には、1つの脂肪族基当たり1以上の−O−、−S−、−O−C(=O)−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−O−、−NR−C(=O)−、−C(=O)−NR−、−NR−、又は、−C(=O)−が介在していてもよい。ただし、−O−又は−S−がそれぞれ2以上隣接して介在する場合を除く。ここで、Rは、水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を表し、水素原子又はメチル基であることが好ましい。
前記脂肪族基に介在する基としては、−O−、−O−C(=O)−、−C(=O)−O−、−C(=O)−が好ましい。
【0068】
これらの基が介在する脂肪族基の具体例としては、例えば、−CH−CH−O−CH−CH−、−CH−CH−S−CH−CH−、−CH−CH−O−C(=O)−CH−CH−、−CH−CH−C(=O)−O−CH−CH−、−CH−CH−C(=O)−O−CH−、−CH−O−C(=O)−O−CH−CH−、−CH−CH−NR−C(=O)−CH−CH−、−CH−CH−C(=O)−NR−CH−、−CH−NR−CH−CH−、−CH−C(=O)−CH−が挙げられる。
【0069】
これらの中でも、本発明の所望の効果をより良好に発現させる観点から、G及びGは、それぞれ独立して、炭素数1〜20のアルキレン基、炭素数2〜20のアルケニレン基等の鎖状構造を有する二価の脂肪族基が好ましく、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、プロピレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、オクタメチレン基、デカメチレン基〔−(CH10−〕等の、炭素数1〜12のアルキレン基がより好ましく、テトラメチレン基〔−(CH−〕、ヘキサメチレン基〔−(CH−〕、オクタメチレン基〔−(CH−〕、及び、デカメチレン基〔−(CH10−〕が特に好ましい。
【0070】
前記式(I)において、Z及びZは、それぞれ独立して、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数2〜10のアルケニル基を表す。
該アルケニル基の炭素数としては、2〜6が好ましい。Z及びZのアルケニル基の置換基であるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等が挙げられ、塩素原子が好ましい。
【0071】
及びZの炭素数2〜10のアルケニル基の具体例としては、CH=CH−、CH=C(CH)−、CH=CH−CH−、CH−CH=CH−、CH=CH−CH−CH−、CH=C(CH)−CH−CH−、(CHC=CH−CH−、(CHC=CH−CH−CH−、CH=C(Cl)−、CH=C(CH)−CH−、CH−CH=CH−CH−が挙げられる。
【0072】
なかでも、本発明の所望の効果をより良好に発現させる観点から、Z及びZとしては、それぞれ独立して、CH=CH−、CH=C(CH)−、CH=C(Cl)−、CH=CH−CH−、CH=C(CH)−CH−、又は、CH=C(CH)−CH−CH−が好ましく、CH=CH−、CH=C(CH)−、又は、CH=C(Cl)−がより好ましく、CH=CH−が特に好ましい。
【0073】
前記式(I)において、Aは、芳香族炭化水素環及び芳香族複素環からなる群から選ばれる少なくとも一つの芳香環を有する、炭素数2〜30の有機基を表す。「芳香環」は、Huckel則に従う広義の芳香族性を有する環状構造、すなわち、π電子を(4n+2)個有する環状共役構造、及びチオフェン、フラン、ベンゾチアゾール等に代表される、硫黄、酸素、窒素等のヘテロ原子の孤立電子対がπ電子系に関与して芳香族性を示す環状構造を意味する。
【0074】
の、芳香族炭化水素環及び芳香族複素環からなる群から選ばれる少なくとも一つの芳香環を有する、炭素数2〜30の有機基は、芳香環を複数個有するものであってもよく、芳香族炭化水素環及び芳香族複素環の両方を有するものであってもよい。
【0075】
前記芳香族炭化水素環としては、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環等が挙げられる。前記芳香族複素環としては、ピロール環、フラン環、チオフェン環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、ピラゾール環、イミダゾール環、オキサゾール環、チアゾール環等の単環の芳香族複素環;ベンゾチアゾール環、ベンゾオキサゾール環、キノリン環、フタラジン環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾピラゾール環、ベンゾフラン環、ベンゾチオフェン環、チアゾロピリジン環、オキサゾロピリジン環、チアゾロピラジン環、オキサゾロピラジン環、チアゾロピリダジン環、オキサゾロピリダジン環、チアゾロピリミジン環、オキサゾロピリミジン環等の縮合環の芳香族複素環;が挙げられる。
【0076】
が有する芳香環は置換基を有していてもよい。かかる置換基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子;シアノ基;メチル基、エチル基、プロピル基等の炭素数1〜6のアルキル基;ビニル基、アリル基等の炭素数2〜6のアルケニル基;トリフルオロメチル基等の炭素数1〜6のハロゲン化アルキル基;ジメチルアミノ基等の置換アミノ基;メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基等の炭素数1〜6のアルコキシ基;ニトロ基;フェニル基、ナフチル基等のアリール基;−C(=O)−R;−C(=O)−OR;−SO;等が挙げられる。ここで、Rは炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、又は、炭素数3〜12のシクロアルキル基を表し、Rは後述するRと同様の、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、フェニル基、又は、4−メチルフェニル基を表す。
【0077】
また、Aが有する芳香環は、同一又は相異なる置換基を複数有していてもよく、隣り合った二つの置換基が一緒になって結合して環を形成していてもよい。形成される環は単環であってもよく、縮合多環であってもよく、不飽和環であってもよく、飽和環であってもよい。
さらに、Aの炭素数2〜30の有機基の「炭素数」は、置換基の炭素原子を含まない有機基全体の総炭素数を意味する(後述するAにて同じである。)。
【0078】
の、芳香族炭化水素環及び芳香族複素環からなる群から選ばれる少なくとも一つの芳香環を有する、炭素数2〜30の有機基としては、例えば、ベンゼン環基、ナフタレン環基、アントラセン環基等の芳香族炭化水素環基;ピロール環基、フラン環基、チオフェン環基、ピリジン環基、ピリダジン環基、ピリミジン環基、ピラジン環基、ピラゾール環基、イミダゾール環基、オキサゾール環基、チアゾール環基、ベンゾチアゾール環基、ベンゾオキサゾール環基、キノリン環基、フタラジン環基、ベンゾイミダゾール環基、ベンゾピラゾール環基、ベンゾフラン環基、ベンゾチオフェン環基、チアゾロピリジン環基、オキサゾロピリジン環基、チアゾロピラジン環基、オキサゾロピラジン環基、チアゾロピリダジン環基、オキサゾロピリダジン環基、チアゾロピリミジン環基、オキサゾロピリミジン環基等の芳香族複素環基;芳香族炭化水素環及び複素環の組み合わせを含む基;芳香族炭化水素環及び芳香族複素環からなる群から選ばれる少なくとも一つの芳香環を有する、炭素数3〜30のアルキル基;芳香族炭化水素環及び芳香族複素環からなる群から選ばれる少なくとも一つの芳香環を有する、炭素数4〜30のアルケニル基;芳香族炭化水素環及び芳香族複素環からなる群から選ばれる少なくとも一つの芳香環を有する、炭素数4〜30のアルキニル基;が挙げられる。
【0079】
の好ましい具体例を以下に示す。但し、Aは以下に示すものに限定されるものではない。なお、下記式中、「−」は環の任意の位置からのびる結合手を表す(以下にて同じである。)。
(1)芳香族炭化水素環基
【0080】
【化6】
【0081】
【化7】
【0082】
(2)芳香族複素環基
【0083】
【化8】
【0084】
【化9】
【0085】
上記式中、Eは、NR6a、酸素原子又は硫黄原子を表す。ここで、R6aは、水素原子;又は、メチル基、エチル基、プロピル基等の炭素数1〜6のアルキル基を表す。
【0086】
【化10】
【0087】
上記式中、X及びYは、それぞれ独立して、NR、酸素原子、硫黄原子、−SO−、又は、−SO−を表す(ただし、酸素原子、硫黄原子、−SO−、−SO−が、それぞれ隣接する場合を除く。)。Rは、前記R6aと同様の、水素原子;又は、メチル基、エチル基、プロピル基等の炭素数1〜6のアルキル基を表す。
【0088】
【化11】
【0089】
(上記式中、Xは前記と同じ意味を表す。)
【0090】
【化12】
【0091】
〔各式中、Xは、−CH−、−NR−、酸素原子、硫黄原子、−SO−または−SO−を表し、Eは、−NR−、酸素原子または硫黄原子を表す。ここで、Rは、水素原子、または、メチル基、エチル基、プロピル基等の炭素数1〜6のアルキル基を表す。(但し、各式中において酸素原子、硫黄原子、−SO−、−SO−は、それぞれ隣接しないものとする。)〕
【0092】
(3)芳香族炭化水素環及び複素環の組み合わせを含む基
【0093】
【化13】
【0094】
(上記式中、X、及びYは、それぞれ独立して、前記と同じ意味を表す。また、上記式中、Zは、NR、酸素原子、硫黄原子、−SO−、又は、−SO−を表す(ただし、酸素原子、硫黄原子、−SO−、−SO−が、それぞれ隣接する場合を除く。)。)
【0095】
(4)芳香族炭化水素環及び芳香族複素環からなる群から選ばれる少なくとも一つの芳香環を有する、アルキル基
【0096】
【化14】
【0097】
(5)芳香族炭化水素環及び芳香族複素環からなる群から選ばれる少なくとも一つの芳香環を有する、アルケニル基
【0098】
【化15】
【0099】
(6)芳香族炭化水素環及び芳香族複素環からなる群から選ばれる少なくとも一つの芳香環を有する、アルキニル基
【0100】
【化16】
【0101】
上記したAの中でも、炭素数6〜30の芳香族炭化水素環基、炭素数4〜30の芳香族複素環基、又は、芳香族炭化水素環及び複素環の組み合わせを含む炭素数4〜30の基であることが好ましく、下記に示すいずれかの基であることがより好ましい。
【0102】
【化17】
【0103】
【化18】
【0104】
さらに、Aは、下記に示すいずれかの基であることが更に好ましい。
【0105】
【化19】
【0106】
が有する環は、置換基を有していてもよい。かかる置換基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子;シアノ基;メチル基、エチル基、プロピル基等の炭素数1〜6のアルキル基;ビニル基、アリル基等の炭素数2〜6のアルケニル基;トリフルオロメチル基等の炭素数1〜6のハロゲン化アルキル基;ジメチルアミノ基等の置換アミノ基;メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基等の炭素数1〜6のアルコキシ基;ニトロ基;フェニル基、ナフチル基等のアリール基;−C(=O)−R;−C(=O)−OR;−SO;が挙げられる。ここでRは、メチル基、エチル基等の炭素数1〜6のアルキル基;又は、フェニル基等の炭素数6〜14のアリール基;を表す。なかでも、置換基としては、ハロゲン原子、シアノ基、炭素数1〜6のアルキル基、及び炭素数1〜6のアルコキシ基が好ましい。
【0107】
が有する環は、同一又は相異なる置換基を複数有していてもよく、隣り合った二つの置換基が一緒になって結合して環を形成していてもよい。形成される環は、単環であってもよく、縮合多環であってもよい。
の炭素数2〜30の有機基の「炭素数」は、置換基の炭素原子を含まない有機基全体の総炭素数を意味する(後述するAにて同じである。)。
【0108】
前記式(I)において、Aは、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアルケニル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜12のシクロアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアルキニル基、−C(=O)−R、−SO−R、−C(=S)NH−R、又は、芳香族炭化水素環及び芳香族複素環からなる群から選ばれる少なくとも一つの芳香環を有する、炭素数2〜30の有機基を表す。ここで、Rは、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアルケニル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜12のシクロアルキル基、又は、炭素数5〜12の芳香族炭化水素環基を表す。Rは、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、フェニル基、又は、4−メチルフェニル基を表す。Rは、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアルケニル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜12のシクロアルキル基、又は、置換基を有していてもよい炭素数5〜20の芳香族基を表す。
【0109】
の、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基の炭素数1〜20のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、1−メチルペンチル基、1−エチルペンチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、n−へキシル基、イソヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、n−トリデシル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、n−ヘプタデシル基、n−オクタデシル基、n−ノナデシル基、n−イコシル基が挙げられる。置換基を有してもよい炭素数1〜20のアルキル基の炭素数は、1〜12であることが好ましく、4〜10であることが更に好ましい。
【0110】
の、置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアルケニル基の炭素数2〜20のアルケニル基としては、例えば、ビニル基、プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基、イソブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、デセニル基、ウンデセニル基、ドデセニル基、トリデセニル基、テトラデセニル基、ペンタデセニル基、ヘキサデセニル基、ヘプタデセニル基、オクタデセニル基、ノナデセニル基、イコセニル基が挙げられる。置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアルケニル基の炭素数は、2〜12であることが好ましい。
【0111】
の、置換基を有していてもよい炭素数3〜12のシクロアルキル基の炭素数3〜12のシクロアルキル基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基が挙げられる。
【0112】
の、置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアルキニル基の炭素数2〜20のアルキニル基としては、例えば、エチニル基、プロピニル基、2−プロピニル基(プロパルギル基)、ブチニル基、2−ブチニル基、3−ブチニル基、ペンチニル基、2−ペンチニル基、ヘキシニル基、5−ヘキシニル基、ヘプチニル基、オクチニル基、2−オクチニル基、ノナニル基、デカニル基、7−デカニル基が挙げられる。
【0113】
の、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、及び置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアルケニル基の置換基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子;シアノ基;ジメチルアミノ基等の置換アミノ基;メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基等の炭素数1〜20のアルコキシ基;メトキシメトキシ基、メトキシエトキシ基等の、炭素数1〜12のアルコキシ基で置換された炭素数1〜12のアルコキシ基;ニトロ基;フェニル基、ナフチル基等のアリール基;シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の炭素数3〜8のシクロアルキル基;シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等の炭素数3〜8のシクロアルキルオキシ基;テトラヒドロフラニル基、テトラヒドロピラニル基、ジオキソラニル基、ジオキサニル基等の炭素数2〜12の環状エーテル基;フェノキシ基、ナフトキシ基等の炭素数6〜14のアリールオキシ基;トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、−CHCF等の、少なくとも1個がフッ素原子で置換された炭素数1〜12のフルオロアルコキシ基;ベンゾフリル基;ベンゾピラニル基;ベンゾジオキソリル基;ベンゾジオキサニル基;−C(=O)−R7a;−C(=O)−OR7a;−SO8a;−SR10;−SR10で置換された炭素数1〜12のアルコキシ基;水酸基;が挙げられる。ここで、R7a及びR10は、それぞれ独立して、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、炭素数3〜12のシクロアルキル基、又は、炭素数6〜12の芳香族炭化水素環基を表す。R8aは、前記Rと同様の、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、フェニル基、又は、4−メチルフェニル基を表す。
【0114】
の、置換基を有していてもよい炭素数3〜12のシクロアルキル基の置換基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子;シアノ基;ジメチルアミノ基等の置換アミノ基;メチル基、エチル基、プロピル基等の炭素数1〜6のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基等の炭素数1〜6のアルコキシ基;ニトロ基;フェニル基、ナフチル基等のアリール基;シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の炭素数3〜8のシクロアルキル基;−C(=O)−R7a;−C(=O)−OR7a;−SO8a;水酸基;が挙げられる。ここでR7a及びR8aは、前記と同じ意味を表す。
【0115】
の、置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアルキニル基の置換基としては、例えば、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、及び、置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアルケニル基の置換基と同様な置換基が挙げられる。
【0116】
の、−C(=O)−Rで表される基において、Rは、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアルケニル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜12のシクロアルキル基、又は、炭素数5〜12の芳香族炭化水素環基を表す。これらの具体例は、前記Aの、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアルケニル基、及び、置換基を有していてもよい炭素数3〜12のシクロアルキル基;並びに、前記Aで説明した芳香族炭化水素環基のうち炭素数が5〜12のものの例として挙げたものと同様のものが挙げられる。
【0117】
の、−SO−Rで表される基において、Rは、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、フェニル基、又は、4−メチルフェニル基を表す。Rの、炭素数1〜20のアルキル基、及び炭素数2〜20のアルケニル基の具体例は、前記Aの、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基の例として挙げたものと同様のものが挙げられる。
【0118】
の、−C(=S)NH−Rで表される基において、Rは、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアルケニル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜12のシクロアルキル基、又は、置換基を有していてもよい炭素数5〜20の芳香族基を表す。これらの具体例は、前記Aの、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアルケニル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜12のシクロアルキル基;並びに、前記Aで説明した芳香族炭化水素環基及び芳香族複素環基等の芳香族基のうち炭素数が5〜20のものの例として挙げたものと同様のものが挙げられる。
【0119】
の、芳香族炭化水素環及び芳香族複素環からなる群から選ばれる少なくとも一つの芳香環を有する、炭素数2〜30の有機基としては、前記Aで説明したのと同様のものが挙げられる。
【0120】
これらの中でも、Aとしては、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアルケニル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜12のシクロアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアルキニル基、−C(=O)−R、−SO−R、又は、芳香族炭化水素環及び芳香族複素環からなる群から選ばれる少なくとも一つの芳香環を有する、炭素数2〜30の有機基で表される基が好ましい。さらに、Aとしては、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアルケニル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜12のシクロアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアルキニル基、置換基を有してもよい炭素数6〜12の芳香族炭化水素環基、置換基を有していてもよい炭素数3〜9の芳香族複素環基、置換基を有していてもよく芳香族炭化水素環及び複素環の組み合わせを含む炭素数3〜9の基、−C(=O)−R、−SO−Rで表される基が更に好ましい。ここで、R、Rは前記と同じ意味を表す。
【0121】
の、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアルケニル基、置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアルキニル基の置換基としては、ハロゲン原子、シアノ基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数1〜12のアルコキシ基で置換された炭素数1〜12のアルコキシ基、フェニル基、シクロヘキシル基、炭素数2〜12の環状エーテル基、炭素数6〜14のアリールオキシ基、水酸基、ベンゾジオキサニル基、フェニルスルホニル基、4−メチルフェニルスルホニル基、ベンゾイル基、−SR10が好ましい。ここで、R10は前記と同じ意味を表す。
【0122】
の、置換基を有していてもよい炭素数3〜12のシクロアルキル基、置換基を有してもよい炭素数6〜12の芳香族炭化水素環基、置換基を有していてもよい炭素数3〜9の芳香族複素環基、置換基を有していてもよく芳香族炭化水素環及び複素環の組み合わせを含む炭素数3〜9の基の置換基としては、フッ素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、シアノ基が好ましい。
【0123】
また、AとAは、一緒になって、環を形成していてもよい。かかる環としては、例えば、置換基を有していてもよい、炭素数4〜30の不飽和複素環、炭素数6〜30の不飽和炭素環が挙げられる。
【0124】
前記炭素数4〜30の不飽和複素環、及び、炭素数6〜30の不飽和炭素環は、特に制約はなく、芳香族性を有していても有していなくてもよい。
とAが一緒になって形成される環としては、例えば、下記に示す環が挙げられる。なお、下記に示す環は、式(I)中の
【0125】
【化20】
【0126】
として表される部分を示すものである。
【0127】
【化21】
【0128】
【化22】
【0129】
【化23】
【0130】
(式中、X、Y、Zは、前記と同じ意味を表す。)
また、これらの環は置換基を有していてもよい。かかる置換基としては、Aが有する芳香環の置換基として説明したのと同様のものが挙げられる。
【0131】
とAに含まれるπ電子の総数は、本発明の所望の効果をより良好に発現させる観点から、4以上24以下であるのが好ましく、6以上20以下であるのがより好ましく、6以上18以下であるのが更により好ましい。
【0132】
とAの好ましい組み合わせとしては、下記の組み合わせ(α)及び組み合わせ(β)が挙げられる。
(α)Aが炭素数4〜30の、芳香族炭化水素環基、芳香族複素環基、又は、芳香族炭化水素環及び複素環の組み合わせを含む基であり、Aが水素原子、炭素数3〜8のシクロアルキル基、(ハロゲン原子、シアノ基、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、若しくは炭素数3〜8のシクロアルキル基)を置換基として有していてもよい炭素数6〜12の芳香族炭化水素環基、(ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、シアノ基)を置換基として有していてもよい炭素数3〜9の芳香族複素環基、(ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、シアノ基)を置換基として有していてもよく芳香族炭化水素環及び複素環の組み合わせを含む炭素数3〜9の基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルケニル基、又は、置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアルキニル基であり、当該置換基が、ハロゲン原子、シアノ基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数1〜12のアルコキシ基で置換された炭素数1〜12のアルコキシ基、フェニル基、シクロヘキシル基、炭素数2〜12の環状エーテル基、炭素数6〜14のアリールオキシ基、水酸基、ベンゾジオキサニル基、ベンゼンスルホニル基、ベンゾイル基及び−SR10のいずれかである組み合わせ。
(β)AとAが一緒になって不飽和複素環又は不飽和炭素環を形成している組み合わせ。
ここで、R10は前記と同じ意味を表す。
【0133】
とAのより好ましい組み合わせとしては、下記の組み合わせ(γ)が挙げられる。
(γ)Aが下記構造を有する基のいずれかであり、Aが水素原子、炭素数3〜8のシクロアルキル基、(ハロゲン原子、シアノ基、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、若しくは炭素数3〜8のシクロアルキル基)を置換基として有していてもよい炭素数6〜12の芳香族炭化水素環基、(ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、シアノ基)を置換基として有していてもよい炭素数3〜9の芳香族複素環基、(ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、シアノ基)を置換基として有していてもよく芳香族炭化水素環及び複素環の組み合わせを含む炭素数3〜9の基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルケニル基、又は、置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアルキニル基であり、当該置換基が、ハロゲン原子、シアノ基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数1〜12のアルコキシ基で置換された炭素数1〜12のアルコキシ基、フェニル基、シクロヘキシル基、炭素数2〜12の環状エーテル基、炭素数6〜14のアリールオキシ基、水酸基、ベンゾジオキサニル基、ベンゼンスルホニル基、ベンゾイル基、−SR10のいずれかである組み合わせ。
ここで、R10は前記と同じ意味を表す。
【0134】
【化24】
【0135】
【化25】
【0136】
(式中、X、Yは、前記と同じ意味を表す。)
とAの特に好ましい組み合わせとしては、下記の組み合わせ(δ)が挙げられる。
(δ)Aが下記構造を有する基のいずれかであり、Aが水素原子、炭素数3〜8のシクロアルキル基、(ハロゲン原子、シアノ基、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、若しくは炭素数3〜8のシクロアルキル基)を置換基として有していてもよい炭素数6〜12の芳香族炭化水素環基、(ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、シアノ基)を置換基として有していてもよい炭素数3〜9の芳香族複素環基、(ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、シアノ基)を置換基として有していてもよく芳香族炭化水素環及び複素環の組み合わせを含む炭素数3〜9の基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルケニル基、又は、置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアルキニル基であり、当該置換基が、ハロゲン原子、シアノ基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数1〜12のアルコキシ基で置換された炭素数1〜12のアルコキシ基、フェニル基、シクロヘキシル基、炭素数2〜12の環状エーテル基、炭素数6〜14のアリールオキシ基、水酸基、ベンゾジオキサニル基、ベンゼンスルホニル基、ベンゾイル基、及び、−SR10のいずれかである組み合わせ。
下記式中、Xは前記と同じ意味を表す。ここで、R10は前記と同じ意味を表す。
【0137】
【化26】
【0138】
前記式(I)において、Aは、置換基を有していてもよい三価の芳香族基を表す。三価の芳香族基としては、三価の炭素環式芳香族基であってもよく、三価の複素環式芳香族基であってもよい。本発明の所望の効果をより良好に発現させる観点から、三価の炭素環式芳香族基が好ましく、三価のベンゼン環基又は三価のナフタレン環基がより好ましく、下記式に示す三価のベンゼン環基又は三価のナフタレン環基がさらに好ましい。なお、下記式においては、結合状態をより明確にすべく、置換基Y、Yを便宜上記載している(Y、Yは、前記と同じ意味を表す。以下にて同じ。)。
【0139】
【化27】
【0140】
これらの中でも、Aとしては、下記に示す式(A11)〜(A25)で表される基がより好ましく、式(A11)、(A13)、(A15)、(A19)、(A23)で表される基がさらに好ましく、式(A11)、(A23)で表される基が特に好ましい。
【0141】
【化28】
【0142】
の、三価の芳香族基が有していてもよい置換基としては、前記Aの芳香環の置換基として説明したのと同様のものが挙げられる。Aとしては、置換基を有さないものが好ましい。
【0143】
前記式(I)において、A及びAは、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい炭素数3〜30の二価の脂環式炭化水素基を表す。炭素数3〜30の二価の脂環式炭化水素基としては、例えば、炭素数3〜30のシクロアルカンジイル基、炭素数10〜30の二価の脂環式縮合環基が挙げられる。
【0144】
炭素数3〜30のシクロアルカンジイル基としては、例えば、シクロプロパンジイル基;シクロブタン−1,2−ジイル基、シクロブタン−1,3−ジイル基等のシクロブタンジイル基;シクロペンタン−1,2−ジイル基、シクロペンタン−1,3−ジイル基等のシクロペンタンジイル基;シクロヘキサン−1,2−ジイル基、シクロヘキサン−1,3−ジイル基、シクロヘキサン−1,4−ジイル基等のシクロへキサンジイル基;シクロヘプタン−1,2−ジイル基、シクロヘプタン−1,3−ジイル基、シクロヘプタン−1,4−ジイル基等のシクロへプタンジイル基;シクロオクタン−1,2−ジイル基、シクロオクタン−1,3−ジイル基、シクロオクタン−1,4−ジイル基、シクロオクタン−1,5−ジイル基等のシクロオクタンジイル基;シクロデカン−1,2−ジイル基、シクロデカン−1,3−ジイル基、シクロデカン−1,4−ジイル基、シクロデカン−1,5−ジイル基等のシクロデカンジイル基;シクロドデカン−1,2−ジイル基、シクロドデカン−1,3−ジイル基、シクロドデカン−1,4−ジイル基、シクロドデカン−1,5−ジイル基等のシクロドデカンジイル基;シクロテトラデカン−1,2−ジイル基、シクロテトラデカン−1,3−ジイル基、シクロテトラデカン−1,4−ジイル基、シクロテトラデカン−1,5−ジイル基、シクロテトラデカン−1,7−ジイル基等のシクロテトラデカンジイル基;シクロエイコサン−1,2−ジイル基、シクロエイコサン−1,10−ジイル基等のシクロエイコサンジイル基;が挙げられる。
【0145】
炭素数10〜30の二価の脂環式縮合環基としては、例えば、デカリン−2,5−ジイル基、デカリン−2,7-ジイル基等のデカリンジイル基;アダマンタン−1,2−ジイル基、アダマンタン−1,3−ジイル基等のアダマンタンジイル基;ビシクロ[2.2.1]へプタン−2,3−ジイル基、ビシクロ[2.2.1]へプタン−2,5-ジイル基、ビシクロ[2.2.1]へプタン−2,6−ジイル基等のビシクロ[2.2.1]へプタンジイル基;が挙げられる。
【0146】
これらの二価の脂環式炭化水素基は、任意の位置に置換基を有していてもよい。置換基としては、前記Aの芳香環の置換基として説明したものと同様のものが挙げられる。
【0147】
これらの中でも、A及びAとしては、炭素数3〜12の二価の脂環式炭化水素基が好ましく、炭素数3〜12のシクロアルカンジイル基がより好ましく、下記式(A31)〜(A34)で表される基がさらに好ましく、下記式(A32)で表される基が特に好ましい。
【0148】
【化29】
【0149】
前記炭素数3〜30の二価の脂環式炭化水素基は、Y及びY(又はY及びY)と結合する炭素原子の立体配置の相違に基づく、シス型及びトランス型の立体異性体が存在しうる。例えば、シクロヘキサン−1,4−ジイル基の場合には、下記に示すように、シス型の異性体(A32a)とトランス型の異性体(A32b)が存在し得る。
【0150】
【化30】
【0151】
前記炭素数3〜30の二価の脂環式炭化水素基は、シス型であってもよく、トランス型であってもよく、シス型及びトランス型の異性体混合物であってもよい。中でも、配向性が良好であることから、トランス型あるいはシス型であるのが好ましく、トランス型がより好ましい。
【0152】
前記式(I)において、A及びAは、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい、炭素数6〜30の二価の芳香族基を表す。A及びAの芳香族基は、単環のものであっても、多環のものであってもよい。A及びAの好ましい具体例としては、下記のものが挙げられる。
【0153】
【化31】
【0154】
上記A及びAの二価の芳香族基は、任意の位置に置換基を有していてもよい。当該置換基としては、例えば、ハロゲン原子、シアノ基、ヒドロキシル基、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、ニトロ基、−C(=O)−OR8b基;が挙げられる。ここでR8bは、炭素数1〜6のアルキル基である。なかでも、置換基としては、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、アルコキシ基が好ましい。また、ハロゲン原子としては、フッ素原子がより好ましく、炭素数1〜6のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基がより好ましく、アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基がより好ましい。
【0155】
これらの中でも、本発明の所望の効果をより良好に発現させる観点から、A及びAは、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい、下記式(A41)、(A42)又は(A43)で表される基がより好ましく、置換基を有していてもよい式(A41)で表される基が特に好ましい。
【0156】
【化32】
【0157】
前記式(I)において、Qは、水素原子、又は、置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基を示す。置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基としては、前記Aで説明した置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基のうち、炭素数が1〜6のものが挙げられる。これらの中でも、Qは、水素原子及び炭素数1〜6のアルキル基が好ましく、水素原子及びメチル基がより好ましい。
【0158】
前記式(I)において、mは、それぞれ独立に、0又は1を表す。中でも、mは好ましくは1である。
【0159】
化合物(I)は、例えば、国際公開第2012/147904号に記載される、ヒドラジン化合物とカルボニル化合物との反応により製造しうる。
【0160】
次に、逆波長メソゲン化合物について説明する。
逆波長メソゲン化合物は、単独では液晶性を示さず、評価用液晶化合物と所定の混合割合で混合した評価用混合物が液晶性を示す化合物である。評価用液晶化合物としては、ホモジニアス配向した場合に順波長分散性の面内レターデーションを示す液晶化合物である順波長分散液晶化合物を用いる。評価用液晶化合物として順波長分散液晶化合物を用いることにより、評価用混合物をホモジニアス配向させた場合の逆波長メソゲン化合物の面内レターデーションの波長分散性の評価を容易に行うことができる。中でも、評価用液晶化合物としては、100℃において液晶相となりうる棒状構造を有する液晶化合物が好ましい。特に好ましい評価用液晶化合物の具体例としては、下記式(E1)に示す構造を有する順波長分散液晶化合物「LC242」、下記式(E2)に示す構造を有する順波長分散液晶化合物等が挙げられる。下記の式において、Meはメチル基を表す。
【0161】
【化33】
【0162】
【化34】
【0163】
また、前記の評価用混合物を得るために評価用液晶化合物と混合する逆波長メソゲン化合物の混合割合は、評価用液晶化合物及び逆波長メソゲン化合物の合計100重量部に対して、通常、30重量部〜70重量部の少なくともいずれかである。よって、評価用液晶化合物及び逆波長メソゲン化合物の合計100重量部に対して逆波長メソゲン化合物を30重量部〜70重量部の範囲に含まれる少なくとも一の混合割合で混合して、液晶性を示す評価用混合物が得られる限り、評価用液晶化合物及び逆波長メソゲン化合物の合計100重量部に対して逆波長メソゲン化合物を30重量部〜70重量部の範囲に含まれる別の混合割合で混合して得た混合物が、液晶性を示さなくてもよい。
【0164】
評価用混合物が液晶性を示すことは、下記の方法によって確認しうる。
基材上に評価用混合物を塗布及び乾燥させて、基材及び評価用混合物の層を備えるサンプルフィルムを得る。このサンプルフィルムをホットステージ上に設置する。偏光顕微鏡によってサンプルフィルムを観察しながら、サンプルフィルムを昇温させる。評価用混合物の層の液晶相への相転移が観察された場合、評価用混合物が液晶性を示すと判定できる。
【0165】
また、前記の評価用混合物をホモジニアス配向させた場合に、その評価用混合物中の逆波長メソゲン化合物は、逆波長分散性の面内レターデーションを示す。ここで、評価用混合物をホモジニアス配向させる、とは、当該評価用混合物の層を形成し、その層における評価用液晶化合物をホモジニアス配向させることをいう。よって、ホモジニアス配向した評価用混合物において、評価用液晶化合物の分子のメソゲン骨格の長軸方向は、通常、前記層の面に平行なある一の方向に配向している。
【0166】
また、ホモジニアス配向した評価用混合物中の逆波長メソゲン化合物が逆波長分散性の面内レターデーションを示す、とは、評価用混合物に含まれる逆波長メソゲン化合物の波長450nm及び550nmにおける面内レターデーションRe(450)及びRe(550)が、Re(450)/Re(550)<1.00を満たすことをいう。
【0167】
ただし、評価用混合物の層において、逆波長メソゲン化合物の面内レターデーションだけを選択的に測定することは、難しい。そこで、評価用液晶化合物が順波長分散液晶化合物であることを利用して、下記の確認方法により、評価用混合物中の逆波長メソゲン化合物が逆波長分散性の面内レターデーションを示すことを確認しうる。
順波長分散液晶化合物としての評価用液晶化合物を含む液晶層を形成し、その液晶層において評価用液晶化合物をホモジニアス配向させる。そして、その液晶層の波長450nm及び550nmにおける面内レターデーションRe(X450)及びRe(X550)の比Re(X450)/Re(X550)を測定する。
また、前記の評価用液晶化合物及び逆波長メソゲン化合物を含む評価用混合物の層を形成し、その評価用混合物の層において評価用混合物をホモジニアス配向させる。そして、その評価用混合物の層の波長450nm及び550nmにおける面内レターデーションRe(Y450)及びRe(Y550)の比Re(Y450)/Re(Y550)を測定する。
測定の結果、逆波長メソゲン化合物を含まない液晶層のレターデーション比Re(X450)/Re(X550)よりも、逆波長メソゲン化合物を含む評価用混合物の層のレターデーション比Re(Y450)/Re(Y550)が小さい場合、その逆波長メソゲン化合物は、逆波長分散性の面内レターデーションを示すと判定できる。
また、本発明の所望の効果をより良好に発現させる観点から、前記の確認方法において、液晶層の波長550nm及び650nmにおける面内レターデーションRe(X550)及びRe(X650)の比Re(X650)/Re(X550)よりも、評価用混合物の層の波長550nm及び650nmにおける面内レターデーションRe(Y550)及びRe(Y650)の比Re(Y650)/Re(Y550)の方が、大きいことが好ましい。
【0168】
逆波長メソゲン化合物としては、例えば、当該逆波長メソゲン化合物の分子中に、主鎖メソゲン骨格と、前記主鎖メソゲン骨格に結合した側鎖メソゲン骨格とを含む化合物を用いうる。
【0169】
さらに、逆波長メソゲン化合物は、重合性を有することが好ましい。よって、逆波長メソゲン化合物は、重合性基を有することが好ましい。このように重合性を有する逆波長メソゲン化合物を用いれば、重合によって逆波長メソゲン化合物の配向状態を容易に固定することが可能である。そのため、安定な光学特性を有する光学異方性層を容易に得ることができる。
【0170】
逆波長メソゲン化合物の分子量は、単量体である場合は、好ましくは300以上、より好ましくは700以上、特に好ましくは1000以上であり、好ましくは2000以下、より好ましくは1700以下、特に好ましくは1500以下である。逆波長メソゲン化合物が前記のような分子量を有することにより、光学異方性層を形成するための塗工液の塗工性を特に良好にできる。
【0171】
前記の逆波長メソゲン化合物は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
【0172】
逆波長メソゲン化合物としては、例えば、前記式(Ia)で表される化合物のうち、液晶性を示さない化合物が挙げられる。逆波長メソゲン化合物の好ましい例としては、前記式(I)で表される化合物のうち、液晶性を示さない化合物が挙げられる。中でも特に好ましい逆波長メソゲン化合物としては、下記の化合物が挙げられる。
【0173】
【化35】
【0174】
上述したメソゲン化合物の中でも、本発明の所望の効果をより良好に発現させる観点から、当該メソゲン化合物の分子中に、ベンゾチアゾール環(下記式(10A)の環);並びに、シクロヘキシル環(下記式(10B)の環)及びフェニル環(下記式(10C)の環)の組み合わせ;からなる群より選ばれる少なくとも1種を含有するものが好ましい。
【0175】
【化36】
【0176】
光学異方性層の全固形分におけるメソゲン化合物の比率は、好ましくは20重量%以上、より好ましくは30重量%以上、更に好ましくは35重量%以上、特に好ましくは40重量%以上であり、好ましくは60重量%以下、より好ましくは55重量%以下、更に好ましくは50重量%以下、特に好ましくは45重量%以下である。メソゲン化合物の比率が、前記範囲の下限値以上であることにより、光学異方性層の厚み方向のレターデーションRthの波長分散性を逆分散性に近づけ易くでき、また、前記範囲の上限値以下であることにより、光学異方性層において、メソゲン化合物を均一に分散させたり、光学異方性層の機械的強度を高くしたりできる。
【0177】
〔1.3.任意の成分〕
光学異方性層は、ポジC重合体及びメソゲン化合物に組み合わせて、更に、任意の成分を含みうる。
【0178】
〔1.4.光学異方性層の特性〕
光学異方性層は、その屈折率nx(A)、ny(A)及びnz(A)が、nz(A)>nx(A)≧ny(A)を満たす。ここで、nx(A)は、光学異方性層の面内方向であって最大の屈折率を与える方向の屈折率を表し、ny(A)は、光学異方性層の前記面内方向であって前記nx(A)の方向に垂直な方向の屈折率を表し、nz(A)は、光学異方性層の厚み方向の屈折率を表す。このような屈折率nx(A)、ny(A)及びnz(A)を有する光学異方性層は、ポジティブCフィルムとして用いうる。そのため、この光学異方性層を円偏光板に組み込んで画像表示装置に適用した場合に、画像表示装置の表示面の傾斜方向において、外光の反射を抑制したり、画像を表示する光が偏光サングラスを透過できるようにしたりできる。さらに、画像表示装置が液晶表示装置である場合には、通常、視野角を広げることができる。そのため、画像表示装置の表示面を傾斜方向から見た場合に、画像の視認性を高めることができる。
【0179】
中でも、光学異方性層の屈折率nx(A)と屈折率ny(A)とは、値が同じであるか近いことが好ましい。具体的には、屈折率nx(A)と屈折率ny(A)の差nx(A)−ny(A)は、好ましくは0.00000〜0.00100、より好ましくは0.00000〜0.00050、特に好ましくは0.00000〜0.00020である。屈折率差nx(A)−ny(A)が前記の範囲に収まることにより、光学異方性層を画像表示装置に設ける場合の光学設計をシンプルにすることができ、かつ他の位相差フィルムとの貼合時に貼り合せ方向の調整を不要にできる。
【0180】
波長450nmにおける光学異方性層の厚み方向のレターデーションRth(A450)、波長550nmにおける光学異方性層の厚み方向のレターデーションRth(A550)、及び、波長650nmにおける光学異方性層の厚み方向のレターデーションRth(A650)は、通常、下記式(1)及び(2)を満たす。
0.50<Rth(A450)/Rth(A550)<1.00 (1)
1.00≦Rth(A650)/Rth(A550)<1.25 (2)
【0181】
前記式(1)を詳細に説明すると、Rth(A450)/Rth(A550)は、通常0.50より大きく、好ましくは0.60より大きく、より好ましくは0.65より大きく、また、通常1.00未満、好ましくは0.90未満、より好ましくは0.85未満である。
【0182】
さらに、前記式(2)を詳細に説明すると、Rth(A650)/Rth(A550)は、通常1.00以上、好ましくは1.01以上、より好ましくは1.02以上であり、通常1.25未満、好ましくは1.15未満、より好ましくは1.10未満である。
【0183】
前記の式(1)及び式(2)を満たす厚み方向のレターデーションRth(A450)、Rth(A550)及びRth(A650)を有する光学異方性層は、その厚み方向のレターデーションRthが逆波長分散性を示す。このように厚み方向のレターデーションRthが逆波長分散性を示す光学異方性層は、円偏光板に組み込んで画像表示装置に適用した場合に、画像表示装置の表示面の傾斜方向において、外光の反射を抑制したり、画像を表示する光に偏光サングラスを透過させたりする機能を、広い波長範囲において発揮できる。さらに、画像表示装置が液晶表示装置である場合には、通常、視野角を効果的に広げることができる。そのため、表示面に表示される画像の視認性を、特に効果的に向上させることができる。
【0184】
ポジC重合体及びメソゲン化合物を組み合わせて含む光学異方性層が、上述した光学特性を発揮できる仕組みは、本発明者の検討によれば、下記のとおりであると推察される。ただし、本発明の技術的範囲は、下記に説明する仕組みによって制限されるものでは無い。
【0185】
一般に、液晶化合物を含む液晶層の複屈折は、その液晶層における液晶化合物の分子の配向状態に依存する。そのため、厚み方向に大きい屈折率を有するフィルムであるポジティブCフィルムを得ようとする場合、液晶化合物の分子を、液晶層の厚み方向に配向させることが多い。このように厚み方向に液晶化合物の分子を配向させたい場合には、従来、垂直配向剤が用いられてきた。
【0186】
垂直配向剤を用いて液晶層を形成する場合、通常は、液晶化合物及び垂直配向剤を含む塗工液を用意し、この塗工液を塗布及び乾燥して、液晶層を得る。ところが、逆波長分散液晶化合物の分子は、特異的な立体形状を有するので、垂直配向剤を用いた従来の方法で液晶層を形成しても、液晶化合物の分子のチルト角にムラが生じ、良好な液晶層を得ることが難しかった。具体的には、従来の製造方法で製造された液晶層では、同じチルト角の液晶化合物の集合として複数の液晶ドメインが形成されるが、液晶ドメイン間のチルト角が異なるため、液晶層全体として光の反射、屈折又は分散を生じ、液晶層の白濁を生じていた。ここで、チルト角とは、ある基準面に対して液晶化合物の分子の配向軸がなす角をいう。
【0187】
これに対して、本発明の光学異方性層が含むポジC重合体は、一般に、主鎖に対して交差したナフタレン環及びビフェニル基等の剛直な構造を有する側鎖を含む。そして、ポジC重合体を含む光学異方性層では、ポジC重合体の主鎖が光学異方性層の面内方向に平行に横たわり、その側鎖が光学異方性層の厚み方向に立つ。そのため、ポジC重合体とメソゲン化合物とを組み合わせると、ポジC重合体の側鎖によってメソゲン化合物の分子の向きが矯正されることにより、メソゲン化合物の分子は、分子の長軸方向が光学異方性層の厚み方向と平行になるように配向する。よって、光学異方性層の厚み方向に大きな屈折率が発現するので、本発明の光学異方性層は、ポジティブCフィルムとして機能できる屈折率を示す。
【0188】
さらに、逆波長分散液晶化合物及び逆波長メソゲン化合物といったメソゲン化合物は、逆波長分散性の面内レターデーションを示しうるものである。そのため、分子が厚み方向に配向したメソゲン化合物を含む光学異方性の厚み方向のレターデーションは、逆波長分散性を示すことができる。
このような仕組みにより、本発明の光学異方性層は、上述した光学特性を発揮できると考えられる。
【0189】
波長590nmにおける光学異方性層の面内レターデーションRe(A590)は、下記式(3)を満たすことが好ましい。
Re(A590)≦10nm (3)
前記式(3)を詳細に説明すると、Re(A590)は、好ましくは0nm〜10nm、より好ましくは0nm〜5nm、特に好ましくは0nm〜2nmである。Re(A590)が前記の範囲に収まることにより、光学異方性層を画像表示装置に設ける場合の光学設計をシンプルにすることができ、かつ、他の位相差フィルムとの貼合時に貼り合せ方向の調整を不要にできる。
【0190】
波長590nmにおける光学異方性層の厚み方向のレターデーションRth(A590)は、下記式(4)を満たすことが好ましい。
−200nm≦Rth(A590)≦−10nm (4)
前記式(4)を詳細に説明すると、Rth(A590)は、好ましくは−200nm以上、より好ましくは−130nm以上、特に好ましくは−100nm以上であり、好ましくは−10nm以下、より好ましくは−30nm以下、特に好ましくは−50nm以下である。このようなRth(A590)を有する光学異方性層は、円偏光板に組み込んで画像表示装置に適用した場合に、画像表示装置の表示面の傾斜方向において、外光の反射を抑制し、反射光の色味変化を小さくできたり、画像を表示する光が偏光サングラスを透過できるようにしたりできる。さらに、画像表示装置が液晶表示装置である場合には、通常は、視野角を広げることができる。そのため、画像表示装置の表示面を傾斜方向から見た場合に、画像の視認性を高めることができる。
【0191】
光学異方性層の全光線透過率は、好ましくは80%以上、より好ましくは85%以上、特に好ましくは90%以上である。全光線透過率は、紫外・可視分光計を用いて、波長400nm〜700nmの範囲で測定しうる。
【0192】
光学異方性層のヘイズは、好ましくは5%以下、より好ましくは3%以下、特に好ましくは1%以下であり、理想的には0%である。ここで、ヘイズは、JIS K7361−1997に準拠して、日本電色工業社製「濁度計 NDH−300A」を用いて、5箇所測定し、それから求めた平均値を採用しうる。
【0193】
光学異方性層は、液晶性を示さないことが好ましい。光学異方性層が液晶性を示さないことにより、光学異方性層においてポジC重合体及びメソゲン化合物の分散を良好にできる。また、液晶性を有さない光学異方性層は、塗工液を用いて光学異方性層を製造する際に、乾燥風等の空気の揺らぎの影響による、メソゲン化合物の配向ムラの発生を抑制できる。
【0194】
光学異方性層の厚みは、所望のレターデーションが得られるように、適切に調整しうる。光学異方性層の具体的な厚みは、好ましくは1.0μm以上、より好ましくは3.0μm以上であり、好ましくは50μm以下、より好ましくは40μm以下、特に好ましくは30μm以下である。
【0195】
〔1.5.光学異方性層の製造方法〕
光学異方性層は、ポジC重合体、メソゲン化合物及び溶媒を含む塗工液を用意する工程と;この塗工液を支持面上に塗工して、塗工液層を得る工程と;塗工液層を乾燥させる工程と;を含む製造方法によって、製造しうる。
【0196】
塗工液を用意する工程では、通常、ポジC重合体、メソゲン化合物及び溶媒を混合して、塗工液を得る。塗工液の全固形分におけるポジC重合体及びメソゲン化合物の比率は、光学異方性層の全固形分におけるポジC重合体及びメソゲン化合物の比率と同様の範囲に調整しうる。
【0197】
溶媒としては、通常、有機溶媒を用いる。かかる有機溶媒の例としては、シクロペンタン、シクロヘキサン等の炭化水素溶媒;シクロペンタノン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、アセトン、メチルイソブチルケトン、N−メチルピロリドン等のケトン溶媒;酢酸ブチル、酢酸アミル等の酢酸エステル溶媒;クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素溶媒;1,4−ジオキサン、シクロペンチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,3−ジオキソラン、1,2−ジメトキシエタン等のエーテル溶媒;トルエン、キシレン、メシチレン等の芳香族炭化水素溶媒;及びこれらの混合物が挙げられる。溶媒の沸点は、取り扱い性に優れる観点から、60℃〜250℃であることが好ましく、60℃〜150℃であることがより好ましい。また、溶媒は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
【0198】
溶媒の量は、塗工液の固形分濃度を所望の範囲にできるように調整することが好ましい。塗工液の固形分濃度は、好ましくは6重量%以上、より好ましくは8重量%以上、特に好ましくは10重量%以上であり、好ましくは20重量%以下、より好ましくは18重量%以下、特に好ましくは15重量%以下である。塗工液の固形分濃度を前記の範囲に収めることにより、所望の光学特性を有する光学異方性層を容易に形成できる。
【0199】
光学異方性層を形成するための塗工液は、ポジC重合体、メソゲン化合物及び溶媒に組み合わせて、任意の成分を含んでいてもよい。また、任意の成分は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
【0200】
塗工液は、例えば、任意の成分として、可塑剤を含みうる。可塑剤としては、リン酸トリフェニル、グリセリルトリアセテート等が挙げられる。また、可塑剤は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
【0201】
可塑剤の量は、ポジC重合体100重量部に対して、好ましくは2重量部以上、より好ましくは5重量部以上、特に好ましくは8重量部以上であり、好ましくは15重量部以下、より好ましくは12重量部以下、特に好ましくは10重量部以下である。可塑剤の量を前記の範囲に調整することにより、光学異方性層の脆化を抑制して、機械的強度を高めることができる。
【0202】
塗工液は、例えば、任意の成分として、重合開始剤を含みうる。重合開始剤の種類は、塗工液中の重合性化合物が有する重合性基の種類に応じて適宜選択しうる。ここで、重合性化合物とは、重合性を有する化合物の総称である。中でも、光重合開始剤が好ましい。光重合開始剤としては、ラジカル重合開始剤、アニオン重合開始剤、カチオン重合開始剤などが挙げられる。市販の光重合開始剤の具体的な例としては、BASF社製の、商品名:Irgacure907、商品名:Irgacure184、商品名:Irgacure369、品名:Irgacure651、商品名:Irgacure819、商品名:Irgacure907、商品名:Irgacure379、商品名:Irgacure379EG、及び商品名:Irgacure OXE02;ADEKA社製の、商品名:アデカオプトマーN1919等が挙げられる。また、重合開始剤は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
【0203】
重合開始剤の量は、重合性化合物100重量部に対し、好ましくは0.1重量部以上、より好ましくは0.5重量部以上であり、好ましくは30重量部以下、より好ましくは10重量部以下である。
【0204】
塗工液は、任意の成分として、金属、金属錯体、染料、顔料、蛍光材料、燐光材料、レベリング剤、チキソ剤、ゲル化剤、多糖類、界面活性剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、抗酸化剤、イオン交換樹脂、酸化チタン等の金属酸化物等の任意の添加剤を含みうる。かかる任意の添加剤の割合は、ポジC重合体100重量部に対し、好ましくは、各々0.1重量部〜20重量部である。
【0205】
塗工液は、液晶性を示さないことが好ましい。液晶性を示さない塗工液を用いることにより、光学異方性層においてポジC重合体及びメソゲン化合物の分散を良好にできる。また、液晶性を有さない塗工液を用いることにより、乾燥風等の空気の揺らぎの影響による、メソゲン化合物の配向ムラの発生を抑制できる。
【0206】
前記のような塗工液を用意した後で、この塗工液を支持面上に塗工して、塗工液層を得る工程を行う。支持面としては、塗工液層を支持できる任意の面を用いうる。この支持面としては、光学異方性層の面状態を良好にする観点から、通常、凹部及び凸部の無い平坦面を用いる。前記の支持面としては、長尺の基材の表面を用いることが好ましい。長尺の基材を用いる場合、連続的に搬送される基材上に、塗工液を連続的に塗工することが可能である。よって、長尺の基材を用いることにより、光学異方性層を連続的に製造できるので、生産性を向上させることが可能である。
【0207】
塗工液を基材上に塗工する場合、基材に適度の張力(通常、100N/m〜500N/m)を掛けて、基材の搬送ばたつきを少なくし、平面性を維持したまま塗布することが好ましい。平面性とは、基材の幅方向および搬送方向に垂直な上下方向の振れ量であり、理想的には0mmであるが、通常、1mm以下である。
【0208】
基材としては、通常、基材フィルムを用いる。基材フィルムとしては、光学的な積層体の基材として用いうるフィルムを、適切に選択して用いうる。中でも、基材フィルム及び光学異方性層を備える複層フィルムを光学フィルムとして利用可能にして、基材フィルムからの光学異方性層の剥離を不要にする観点から、基材フィルムとしては透明なフィルムが好ましい。具体的には、基材フィルムの全光線透過率は、好ましくは80%以上、より好ましくは85%以上、特に好ましくは88%以上である。
【0209】
基材フィルムの材料は、特に限定されず、種々の樹脂を用いうる。樹脂の例としては、各種の重合体を含む樹脂が挙げられる。当該重合体としては、脂環式構造含有重合体、セルロースエステル、ポリビニルアルコール、ポリイミド、UV透過アクリル、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、エポキシ重合体、ポリスチレン、及びこれらの組み合わせが挙げられる。これらの中でも、透明性、低吸湿性、寸法安定性及び軽量性の観点から、脂環式構造含有重合体及びセルロースエステルが好ましく、脂環式構造含有重合体がより好ましい。
【0210】
脂環式構造含有重合体は、繰り返し単位中に脂環式構造を有する重合体であり、通常は非晶質の重合体である。脂環式構造含有重合体としては、主鎖中に脂環式構造を含有する重合体及び側鎖に脂環式構造を含有する重合体のいずれも用いうる。
脂環式構造としては、例えば、シクロアルカン構造、シクロアルケン構造等が挙げられるが、熱安定性等の観点からシクロアルカン構造が好ましい。
1つの脂環式構造の繰り返し単位を構成する炭素数に特に制限はないが、好ましくは4個以上、より好ましくは5個以上、特に好ましくは6個以上であり、好ましくは30個以下、より好ましくは20個以下、特に好ましくは15個以下である。
【0211】
脂環式構造含有重合体中の脂環式構造を有する繰り返し単位の割合は、使用目的に応じて適宜選択されうるが、好ましくは50重量%以上、より好ましくは70重量%以上、特に好ましくは90重量%以上である。脂環式構造を有する繰り返し単位を前記のように多くすることにより、基材フィルムの耐熱性を高くできる。
【0212】
脂環式構造含有重合体は、例えば、(1)ノルボルネン重合体、(2)単環の環状オレフィン重合体、(3)環状共役ジエン重合体、(4)ビニル脂環式炭化水素重合体、及びこれらの水素添加物などが挙げられる。これらの中でも、透明性及び成形性の観点から、ノルボルネン重合体がより好ましい。
【0213】
ノルボルネン重合体としては、例えば、ノルボルネンモノマーの開環重合体、ノルボルネンモノマーと開環共重合可能なその他のモノマーとの開環共重合体、及びそれらの水素添加物;ノルボルネンモノマーの付加重合体、ノルボルネンモノマーと共重合可能なその他のモノマーとの付加共重合体などが挙げられる。これらの中でも、透明性の観点から、ノルボルネンモノマーの開環重合体水素添加物が特に好ましい。
【0214】
上記の脂環式構造含有重合体は、例えば特開2002−321302号公報等に開示されている公知の重合体から選ばれる。
【0215】
脂環式構造含有重合体のガラス転移温度は、好ましくは80℃以上、より好ましくは100℃〜250℃の範囲である。ガラス転移温度がこのような範囲にある脂環式構造含有重合体は、高温下での使用における変形及び応力を生じ難く、耐久性に優れる。
【0216】
脂環式構造含有重合体の重量平均分子量(Mw)は、好ましくは10,000〜100,000、より好ましくは25,000〜80,000、さらにより好ましくは25,000〜50,000である。重量平均分子量がこのような範囲にあるときに、基材フィルムの機械的強度及び成形加工性が高度にバランスされ好適である。前記の重量平均分子量は、溶媒としてシクロヘキサンを用いたゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(以下、「GPC」と略す。)により、ポリイソプレン換算の値で測定しうる。また、樹脂がシクロヘキサンに溶解しない場合には、前記の重量平均分子量は、溶媒としてトルエンを用いたGPCにより、ポリスチレン換算の値で測定しうる。
【0217】
脂環式構造含有重合体の分子量分布(重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn))は、好ましくは1以上、より好ましくは1.2以上であり、好ましくは10以下、より好ましくは4以下、特に好ましくは3.5以下である。
【0218】
基材フィルムの材質として脂環式構造含有重合体を含む樹脂を用いた場合の、基材フィルムの厚みは、生産性の向上、薄型化及び軽量化を容易にする観点から、好ましくは1μm〜1000μm、より好ましくは5μm〜300μm、特に好ましくは30μm〜100μmである。
【0219】
脂環式構造含有重合体を含む樹脂は、脂環式構造含有重合体のみからなってもよいが、本発明の効果を著しく損なわない限り、任意の配合剤を含んでもよい。脂環式構造含有重合体を含む樹脂中の、脂環式構造含有重合体の割合は、好ましくは70重量%以上、より好ましくは80重量%以上である。
脂環式構造含有重合体を含む樹脂の好適な具体例としては、日本ゼオン社製「ゼオノア1420」、「ゼオノア1420R」を挙げうる。
【0220】
セルロースエステルとしては、セルロースの低級脂肪酸エステル(例:セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレートおよびセルロースアセテートプロピオネート)が代表的である。低級脂肪酸は、1分子あたりの炭素原子数6以下の脂肪酸を意味する。セルロースアセテートには、トリアセチルセルロース(TAC)及びセルロースジアセテート(DAC)が含まれる。
【0221】
セルロースアセテートの酢化度は、50%〜70%が好ましく、特に55%〜65%が好ましい。重量平均分子量は、70000〜120000が好ましく、特に80000〜100000が好ましい。また、上記セルロースアセテートは、酢酸だけでなく、一部プロピオン酸、酪酸等の脂肪酸でエステル化されていてもよい。また、基材フィルムを構成する樹脂は、セルロースアセテートと、セルロースアセテート以外のセルロースエステル(セルロースプロピオネート及びセルロースブチレート等)とを組み合わせて含んでもよい。その場合、これらのセルロースエステルの全体が、上記酢化度を満足することが好ましい。
【0222】
基材フィルムとして、トリアセチルセルロースのフィルムを用いる場合、かかるフィルムとしては、トリアセチルセルロースを低温溶解法あるいは高温溶解法によってジクロロメタンを実質的に含まない溶媒に溶解することで調製されたトリアセチルセルロースドープを用いて作製されたトリアセチルセルロースフィルムが、環境保全の観点から特に好ましい。トリアセチルセルロースのフィルムは、共流延法により作製しうる。共流延法は、トリアセチルセルロースの原料フレーク及び溶媒並びに必要に応じて任意の添加剤を含む溶液(ドープ)を調製し、当該ドープをドープ供給器(ダイ)から支持体の上に流延し、流延物をある程度乾燥して剛性が付与された時点でフィルムとして支持体から剥離し、当該フィルムをさらに乾燥して溶媒を除去することにより行いうる。原料フレークを溶解する溶媒の例としては、ハロゲン化炭化水素溶媒(ジクロロメタン等)、アルコール溶媒(メタノール、エタノール、ブタノール等)、エステル溶媒(蟻酸メチル、酢酸メチル等)、エーテル溶媒(ジオキサン、ジオキソラン、ジエチルエーテル等)等が挙げられる。ドープが含む添加剤の例としては、レターデーション上昇剤、可塑剤、紫外線吸収剤、劣化抑制剤、滑り剤、剥離促進剤等が挙げられる。ドープを流延する支持体の例としては、水平式のエンドレスの金属ベルト、及び回転するドラムが挙げられる。流延に際しては、単一のドープを単層流延することもできるが、複数の層を共流延することもできる。複数の層を共流延する場合、例えば、低濃度のセルロースエステルドープの層と、そのおもて面及び裏面に接して設けられた高濃度のセルロースエステルドープの層が形成されるよう、複数のドープを順次流延しうる。フィルムを乾燥して溶媒を除去する方法の例としては、フィルムを搬送して、内部を乾燥に適した条件に設定した乾燥部を通過させる方法が挙げられる。
【0223】
トリアセチルセルロースのフィルムの好ましい例としては、富士写真フィルム社製「TAC−TD80U」、及び、発明協会公開技報公技番号2001−1745号にて公開されたものが挙げられる。トリアセチルセルロースのフィルムの厚みは特に限定されないが、20μm〜150μmが好ましく、40μm〜130μmがより好ましく、70μm〜120μmが更に好ましい。
【0224】
塗工液の塗工方法の例としては、カーテンコーティング法、押し出しコーティング法、ロールコーティング法、スピンコーティング法、ディップコーティング法、バーコーティング法、スプレーコーティング法、スライドコーティング法、印刷コーティング法、グラビアコーティング法、ダイコーティング法、ギャップコーティング法、及びディッピング法が挙げられる。塗工される塗工液の厚みは、光学異方性層に求められる所望の厚さに応じて適切に設定しうる。
【0225】
塗工液を支持面上に塗工して塗工液層を得た後で、塗工液層を乾燥させる工程を行う。乾燥により、塗工液層から溶媒が除去されて、光学異方性層が得られる。乾燥方法としては、加熱乾燥、減圧乾燥、加熱減圧乾燥、自然乾燥など、任意の乾燥方法を採用しうる。
【0226】
上述した光学異方性層の製造方法は、ポジC重合体及びメソゲン化合物を組み合わせて含む塗工液を塗工し、乾燥するというシンプルな操作によって、光学異方性層を製造できる。そのため、特許文献1に記載のような配向膜が不要である。したがって、逆波長分散液晶と配向膜との相性の調整、配向膜の形成、といった操作が必要ないので、光学異方性層を容易に製造できる。
【0227】
さらに、ポジC重合体及びメソゲン化合物を組み合わせて含む塗工液は、乾燥の際、空気の揺らぎの影響による、メソゲン化合物の配向ムラの発生を抑制できる。そのため、面内方向の広い範囲において配向状態が均一な光学異方性層を容易に得ることができるので、面状態に優れる光学異方性層を得やすい。よって、光学異方性層の配向ムラによる白濁を抑制することが可能である。
【0228】
光学異方性層の製造方法は、上述した工程に加えて、更に任意の工程を含みうる。例えば、光学異方性層の製造方法は、乾燥後に得られた光学異方性層において、メソゲン化合物の配向状態を固定する工程を行ってもよい。この工程では、通常、メソゲン化合物を重合させることにより、メソゲン化合物の配向状態を固定する。
【0229】
メソゲン化合物の重合は、重合性化合物及び重合開始剤等の、塗工液が含む成分の性質に適合した方法を適切に選択しうる。例えば、光を照射する方法が好ましい。ここで、照射される光には、可視光線、紫外線、及び赤外線等の光が含まれうる。なかでも、操作が簡便なことから、紫外線を照射する方法が好ましい。紫外線照射強度は、好ましくは0.1mW/cm〜1000mW/cmの範囲、より好ましくは0.5mW/cm〜600mW/cmの範囲である。紫外線照射時間は、好ましくは1秒〜300秒の範囲、より好ましくは5秒〜100秒の範囲である。紫外線積算光量(mJ/cm)は、紫外線照射強度(mW/cm)×照射時間(秒)で求められる。紫外線照射光源としては、高圧水銀灯、メタルハライドランプ、低圧水銀灯を用いることができる。メソゲン化合物の重合は、窒素雰囲気下等の不活性ガス雰囲気下で行ったほうが、残留モノマー割合が低減される傾向にあるので、好ましい。
【0230】
また、光学異方性層の製造方法は、例えば、光学異方性層を基材から剥離する工程を含んでいてもよい。
【0231】
[2.光学異方性転写体]
本発明の光学異方性転写体は、基材と、上述した光学異方性層とを備える。ここで、光学異方性転写体とは、複数の層を含む部材であって、かかる複数の層のうち一部の層を転写して、かかる一部の層を含む製品の製造に供するものである。本発明の光学異方性転写体においては、光学異方性層が、前記の製品の製造に供される。
【0232】
基材としては、光学異方性層の製造方法において説明した基材と同様のものを用いうる。中でも、基材としては、剥離可能なものが好ましい。このような基材を備える光学異方性転写体は、基材を用いた前記の光学異方性層の製造方法を行うことにより、製造しうる。
【0233】
光学異方性転写体は、光学フィルムの製造に用いうる。例えば、光学異方性転写体の光学異方性層と樹脂フィルムとを貼り合わせた後、基材を剥離することにより、光学異方性層及び樹脂フィルムを備えた光学フィルムを製造できる。
【0234】
[3.光学異方性積層体]
本発明の光学異方性積層体は、上述した光学異方性層と、位相差層とを備える。
【0235】
〔3.1.光学異方性積層体における光学異方性層〕
光学異方性積層体の光学異方性層としては、上述したものを用いる。ただし、光学異方性積層体においては、波長590nmにおける光学異方性層の面内レターデーションRe(A590)、及び、波長590nmにおける光学異方性層の厚み方向のレターデーションRth(A590)が、下記式(8)及び(9)を満たすことが好ましい。
Re(A590)≦10nm (8)
−110nm≦Rth(A590)≦−20nm (9)
【0236】
前記式(8)を詳細に説明すると、Re(A590)は、好ましくは0nm〜10nm、より好ましくは0nm〜5nm、特に好ましくは0nm〜2nmである。Re(A590)が前記の範囲に収まることにより、光学異方性積層体を画像表示装置に設ける場合の光学設計をシンプルにすることができる。
【0237】
また、前記式(9)を詳細に説明すると、Rth(A590)は、好ましくは−110nm以上、より好ましくは−100nm以上であり、好ましくは−20nm以下、より好ましくは−40nm以下、特に好ましくは−50nm以下である。このようなRth(A590)を有する光学異方性層を備えた光学異方性積層体は、円偏光板に組み込んで画像表示装置に適用した場合に、画像表示装置の表示面の傾斜方向において、外光の反射を抑制したり、画像を表示する光が偏光サングラスを透過させたりする機能を、効果的に発揮できる。そのため、画像表示装置の表示面を傾斜方向から見た場合に、画像の視認性を効果的に高めることができる。
【0238】
〔3.2.光学異方性積層体における位相差層〕
(3.2.1.位相差層の光学特性)
位相差層は、その屈折率nx(B)、ny(B)及びnz(B)が、nx(B)>ny(B)≧nz(B)を満たす層である。ここで、nx(B)は、位相差層の面内方向であって最大の屈折率を与える方向の屈折率を表し、ny(B)は、位相差層の面内方向であって前記nx(B)の方向に垂直な方向の屈折率を表し、nz(B)は、位相差層の厚み方向の屈折率を表す。このような位相差層を備える光学異方性積層体は、直線偏光子と組み合わせることによって円偏光板を製造できる。この円偏光板は、画像表示装置の表示面に設けることにより、表示面を正面方向から見た場合に、外光の反射を抑制したり、画像を表示する光が偏光サングラスを透過できるようにしたりできるので、画像の視認性を高めることが可能である。
【0239】
中でも、位相差層の屈折率ny(B)と屈折率nz(B)とは、値が同じであるか近いことが好ましい。具体的には、屈折率ny(B)と屈折率nz(B)の差の絶対値|ny(B)−nz(B)|は、好ましくは0.00000〜0.00100、より好ましくは0.00000〜0.00050、特に好ましくは0.00000〜0.00020である。屈折率差の絶対値|ny(B)−nz(B)|が前記の範囲に収まることにより、光学異方性積層体を画像表示装置に設ける場合の光学設計をシンプルにすることができる。
【0240】
波長590nmにおける位相差層の面内レターデーションRe(B590)は、下記式(7)を満たすことが好ましい。
110nm≦Re(B590)≦170nm (7)
【0241】
前記式(7)を詳細に説明すると、Re(B590)は、好ましくは110nm以上、より好ましくは120nm以上、特に好ましくは130nm以上であり、好ましくは170nm以下、より好ましくは160nm以下、特に好ましくは150nm以下である。このようなRe(B590)を有する位相差層を備えた光学異方性積層体は、直線偏光子と組み合わせて円偏光板を得ることができる。この円偏光板を画像表示装置の表示面に設けることにより、表示面を正面方向から見た場合に、外光の反射を抑制したり、画像を表示する光が偏光サングラスを透過できるようにしたりできるので、画像の視認性を高めることが可能である。
【0242】
波長450nmにおける位相差層の面内レターデーションRe(B450)、波長550nmにおける位相差層の面内レターデーションRe(B550)、及び、波長650nmにおける位相差層の面内レターデーションRe(B650)は、下記の式(5)及び(6)を満たすことが好ましい。
0.75<Re(B450)/Re(B550)<1.00 (5)
1.01<Re(B650)/Re(B550)<1.25 (6)
【0243】
前記式(5)を詳細に説明すると、Re(B450)/Re(B550)は、好ましくは0.75より大きく、より好ましくは0.78より大きく、特に好ましくは0.80より大きく、また、好ましくは1.00未満、より好ましくは0.95未満、特に好ましくは0.90未満である。
【0244】
前記式(6)を詳細に説明すると、Re(B650)/Re(B550)は、好ましくは1.01より大きく、好ましくは1.02より大きく、特に好ましくは1.04より大きく、また、好ましくは1.25未満、より好ましくは1.22未満、特に好ましくは1.19未満である。
【0245】
前記の式(5)及び式(6)を満たす面内レターデーションRe(B450)、Re(B550)及びRe(B650)を有する位相差層は、その面内レターデーションReが逆波長分散性を示す。このように面内レターデーションReが逆波長分散性を示す位相差層を備える光学異方性積層体は、円偏光板に組み込んで画像表示装置に適用した場合に、画像表示装置の表示面の正面方向において、外光の反射を抑制したり、画像を表示する光に偏光サングラスを透過させたりする機能を、広い波長範囲において発揮できる。そのため、表示面に表示される画像の視認性を、特に効果的に向上させることができる。
【0246】
位相差層の面内の遅相軸方向は、任意であり、光学異方性積層体の用途に応じて任意に設定しうる。中でも、光学異方性積層体が長尺のフィルムである場合、位相差層の遅相軸とフィルム幅方向とがなす角度は、0°超90°未満であることが好ましい。また、ある態様において、位相差層の面内の遅相軸とフィルム幅方向とがなす角度は、好ましくは15°±5°、22.5°±5°、45°±5°、又は75°±5°、より好ましくは15°±4°、22.5°±4°、45°±4°、又は75°±4°、さらにより好ましくは15°±3°、22.5°±3°、45°±3°、又は75°±3°といった特定の範囲としうる。このような角度関係を有することにより、長尺の直線偏光子に光学異方性積層体をロールツーロールで貼り合わせて、円偏光板の効率的な製造が可能となる。
【0247】
位相差層の全光線透過率は、好ましくは80%以上、より好ましくは85%以上、特に好ましくは90%以上である。また、位相差層のヘイズは、好ましくは5%以下、より好ましくは3%以下、特に好ましくは1%以下であり、理想的には0%である。
【0248】
(3.2.2.位相差層としての延伸フィルム層)
前記のような位相差層としては、延伸フィルム層を用いうる。位相差層として延伸フィルム層を用いる場合、当該延伸フィルム層は、光学異方性層の製造方法において説明した基材フィルムの材料である樹脂を含みうる。このような樹脂を含むフィルム層は、延伸処理を施すことにより、レターデーション等の光学特性を発現しうる。中でも、前記の延伸フィルム層は、脂環式構造含有重合体を含むことが好ましい。
【0249】
延伸フィルム層の延伸方向は、任意である。よって、延伸方向は、長手方向でもよく、幅方向でもよく、斜め方向でもよい。さらに、これらの延伸方向のうち、2以上の方向に延伸が施されていてもよい。ここで、斜め方向とは、フィルムの面内方向であって、長手方向及び幅方向のいずれとも非平行な方向をいう。
【0250】
中でも、延伸フィルム層は、斜め延伸フィルム層であることが好ましい。すなわち、延伸フィルム層は、長尺のフィルムであり、且つフィルムの長手方向及び幅方向のいずれとも非平行な方向に延伸されたフィルムであることが好ましい。斜め延伸フィルム層である場合の、フィルム幅方向と延伸方向とがなす角度は、具体的には0°超90°未満としうる。このような斜め延伸フィルム層を位相差層として用いることにより、長尺の直線偏光子に光学異方性積層体をロールツーロールで貼り合わせて、円偏光板の効率的な製造が可能となる。
【0251】
延伸方向とフィルム幅方向とがなす角度は、好ましくは15°±5°、22.5±5°、45°±5°、又は75°±5°、より好ましくは15°±4°、22.5°±4°、45°±4°、又は75°±4°、さらにより好ましくは15°±3°、22.5°±3°、45°±3°、又は75°±3°といった特定の範囲としうる。このような角度関係を有することにより、光学異方性積層体を、円偏光板の効率的な製造を可能にする材料とすることができる。
【0252】
さらに、前記の延伸フィルム層は、複数の層を含む複層構造を有することが好ましい。複層構造を有する延伸フィルム層は、延伸フィルム層に含まれる各層の機能の組み合わせによって、多様な特性を発揮できる。例えば、延伸フィルム層は、重合体を含む樹脂からなる第一外側層、重合体及び紫外線吸収剤を含む樹脂からなる中間層、及び、重合体を含む樹脂からなる第二外側層を、この順に備えることが好ましい。この際、各層に含まれる重合体は、異なっていてもよいが、同じであることが好ましい。このような第一外側層、中間層及び第二外側層を備える延伸フィルム層は、紫外線の透過を抑制できる。また、中間層の両側に第一外側層及び第二外側層が設けられているので、紫外線吸収剤のブリードアウトを抑制できる。
【0253】
中間層に含まれる樹脂における紫外線吸収剤の量は、好ましくは3重量%以上、より好ましくは4重量%以上、特に好ましくは5重量%以上であり、好ましくは20重量%以下、より好ましくは18重量%以下、特に好ましくは16重量%以下である。紫外線吸収剤の量が、前記範囲の下限値以上であることにより、紫外線の透過を妨げる延伸フィルム層の能力を特に高めることができ、前記範囲の上限値以下であることにより、延伸フィルム層の可視光に対する透明性を高めることができる。
【0254】
中間層の厚みは、「中間層の厚み」/「延伸フィルム層全体の厚み」で表される比が、所定の範囲に収まるように設定することが好ましい。前記の所定の範囲は、好ましくは1/5以上、より好ましくは1/4以上、特に好ましくは1/3以上であり、好ましくは80/82以下、より好ましくは79/82以下、特に好ましくは78/82以下である。前記の比が、前記範囲の下限値以上であることにより、紫外線の透過を妨げる延伸フィルム層の能力を特に高めることができ、前記範囲の上限値以下であることにより、延伸フィルム層の厚みを薄くできる。
【0255】
位相差層としての延伸フィルム層の厚みは、好ましくは10μm以上、より好ましくは13μm以上、特に好ましくは15μm以上であり、好ましくは60μm以下、より好ましくは58μm以下、特に好ましくは55μm以下である。延伸フィルム層の厚みが、前記範囲の下限値以上であることにより所望のレターデーションの発現ができ、また、前記範囲の上限値以下であることにより薄膜化ができる。
【0256】
延伸フィルム層は、例えば、延伸前フィルム層を用意する工程と、用意した延伸前フィルム層を延伸する工程と、を含む方法により、製造しうる。
【0257】
延伸前フィルム層は、例えば、適切な成形方法によって延伸フィルム層の材料となる樹脂を成形することにより、製造しうる。成形方法としては、例えば、キャスト成形法、押出成形法、インフレーション成形法などが挙げられる。中でも、溶媒を使用しない溶融押出法が、残留揮発成分量を効率よく低減させることができ、地球環境及び作業環境の観点、並びに製造効率に優れる観点から好ましい。溶融押出法としては、ダイスを用いるインフレーション法などが挙げられ、中でも生産性や厚み精度に優れる点でTダイを用いる方法が好ましい。
【0258】
複層構造を有する延伸フィルム層を製造する場合、通常は、延伸前フィルム層として、複層構造を有するものを用意する。このように複層構造を有する延伸前フィルム層は、例えば、共押出法及び共流延法などの成形方法によって、複層構造に含まれる各層に対応する樹脂を成形することで製造しうる。これらの成形方法の中でも、共押出法は、製造効率に優れ、フィルム中に揮発性成分を残留させ難いので、好ましい。共押出法としては、例えば、共押出Tダイ法、共押出インフレーション法、共押出ラミネーション法等が挙げられる。中でも、共押出Tダイ法が好ましい。共押出Tダイ法には、フィードブロック方式及びマルチマニホールド方式があり、厚みのばらつきを少なくできる点で、マルチマニホールド方式が特に好ましい。
【0259】
前記のように樹脂を成形することにより、長尺の延伸前フィルムが得られる。この延伸前フィルムを延伸することにより、延伸フィルム層が得られる。延伸は、通常、延伸前フィルムを長手方向に搬送しながら、連続的に行う。この際、延伸方向は、フィルムの長手方向でもよく、幅方向でもよいが、斜め方向であることが好ましい。また、延伸は、延伸方向以外に拘束力の加わらない自由一軸延伸であってもよく、延伸方向以外にも拘束力が加わる延伸であってもよい。これらの延伸は、ロール延伸機、テンター延伸機等の任意の延伸機を用いて行いうる。
【0260】
延伸倍率は、好ましくは1.1倍以上、より好ましくは1.15倍以上、特に好ましくは1.2倍以上であり、好ましくは3.0倍以下、より好ましくは2.8倍以下、特に好ましくは2.6倍以下である。延伸倍率を前記範囲の下限値以上にすることにより、延伸方向の屈折率を大きくできる。また、上限値以下にすることにより、延伸フィルム層の遅相軸方向を容易に制御することができる。
【0261】
延伸温度は、好ましくはTg−5℃以上、より好ましくはTg−2℃以上、特に好ましくはTg℃以上であり、好ましくはTg+40℃以下、より好ましくはTg+35℃以下、特に好ましくはTg+30℃以下である。ここで「Tg」は、延伸前フィルム層に含まれる重合体のガラス転移温度のうち、最も高い温度を表す。延伸温度を前記の範囲にすることにより、延伸前フィルム層に含まれる分子を確実に配向させることができるので、所望の光学特性を有する位相差層として機能できる延伸フィルム層を、容易に得ることができる。
【0262】
(3.2.3.位相差層としての液晶層)
前記のような位相差層としては、配向状態が固定されていてもよい液晶化合物(以下、適宜「位相差層用液晶化合物」ということがある。)を含む液晶層を用いうる。この際、位相差層用液晶化合物としては、ホモジニアス配向した前記の逆波長分散液晶化合物を用いることが好ましい。これにより、光学異方性層の項において説明したのと同様の利点を、位相差層においても得ることができる。中でも、位相差層としての液晶層は、配向状態が固定されていてもよい下記式(II)で表される液晶化合物を含むことが、特に好ましい。
【0263】
【化37】
【0264】
前記式(II)において、Y〜Y、G、G、Z、Z、A、A、A〜A、Q、及びmは、式(I)における意味と同様の意味を表す。よって、式(II)で表される液晶化合物は、式(I)で表される液晶化合物と同様の化合物を表す。
【0265】
位相差層としての液晶層の厚みは、特に限定されず、レターデーションなどの特性を所望の範囲とできるように適切に調整しうる。液晶層の具体的な厚みは、好ましくは0.5μm以上、より好ましくは1.0μm以上であり、好ましくは10μm以下、より好ましくは7μm以下、特に好ましくは5μm以下である。
【0266】
位相差層としての液晶層は、例えば、位相差層用液晶化合物を含む液晶組成物を用意する工程;支持体上に液晶組成物を塗工して、液晶組成物の層を得る工程;及び、液晶組成物の層に含まれる位相差層用液晶化合物を配向させる工程;を含む方法によって、製造しうる。
【0267】
液晶組成物を用意する工程では、通常、位相差層用液晶化合物と、必要に応じて用いられる任意の成分とを混合して、液晶組成物を得る。
【0268】
液晶組成物は、任意の成分として、重合性モノマーを含みうる。「重合性モノマー」とは、重合能を有しモノマーとして働きうる化合物のうち、特に、上述した位相差層用液晶化合物以外の化合物をいう。重合性モノマーとしては、例えば、1分子当たり1以上の重合性基を有するものを用いうる。重合性モノマーが1分子当たり2以上の重合性基を有する架橋性モノマーである場合、架橋的な重合を達成することができる。かかる重合性基の例としては、化合物(I)中の基Z−Y−及びZ−Y−と同様の基を挙げることができ、より具体的には例えば、アクリロイル基、メタクリロイル基、及びエポキシ基を挙げることができる。また、重合性モノマーは、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
液晶組成物において、重合性モノマーの割合は、位相差層用液晶化合物100重量部に対し、好ましくは1重量部〜100重量部、より好ましくは5重量部〜50重量部である。
【0269】
液晶組成物は、任意の成分として、光重合開始剤を含みうる。重合開始剤としては、例えば、光学異方性層の製造のための塗工液が含みうる重合開始剤と同様のものが挙げられる。また、重合開始剤は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
液晶組成物において、重合開始剤の割合は、重合性化合物100重量部に対し、好ましくは0.1重量部〜30重量部、より好ましくは0.5重量部〜10重量部である。
【0270】
液晶組成物は、任意の成分として、界面活性剤を含みうる。界面活性剤としては、ノニオン系界面活性剤が好ましい。ノニオン系界面活性剤としては、市販品を用いうる。例えば、分子量が数千程度のオリゴマーであるノニオン系界面活性剤を用いうる。これらの界面活性剤の具体例としては、OMNOVA社PolyFoxの「PF−151N」、「PF−636」、「PF−6320」、「PF−656」、「PF−6520」、「PF−3320」、「PF−651」、「PF−652」;ネオス社フタージェントの「FTX−209F」、「FTX−208G」、「FTX−204D」、「601AD」;セイミケミカル社サーフロンの「KH−40」、「S−420」等を用いることができる。また、界面活性剤は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
液晶組成物において、界面活性剤の割合は、重合性化合物100重量部に対し、好ましくは0.01重量部〜10重量部、より好ましくは0.1重量部〜2重量部である。
【0271】
液晶組成物は、任意の成分として、溶媒を含みうる。溶媒としては、例えば、光学異方性層の製造のための塗工液が含みうる溶媒と同様のものが挙げられる。また、溶媒は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
液晶組成物において、溶媒の割合は、重合性化合物100重量部に対し、好ましくは100重量部〜1000重量部である。
【0272】
液晶組成物は、さらに、任意の成分として、金属、金属錯体、染料、顔料、蛍光材料、燐光材料、レベリング剤、チキソ剤、ゲル化剤、多糖類、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、抗酸化剤、イオン交換樹脂、酸化チタン等の金属酸化物等の添加剤を含みうる。かかる添加剤の割合は、重合性化合物100重量部に対し、好ましくは、各々0.1重量部〜20重量部である。
【0273】
前記のような液晶組成物を用意した後で、この液晶組成物を、支持体上に塗工して、液晶組成物の層を得る工程を行う。支持体としては、長尺の支持体を用いることが好ましい。長尺の支持体を用いる場合、連続的に搬送される支持体上に、液晶組成物を連続的に塗工することが可能である。よって、長尺の支持体を用いることにより、位相差層としての液晶層を連続的に製造できるので、生産性を向上させることが可能である。
【0274】
液晶組成物を支持体上に塗工する場合、支持体に適度の張力(通常、100N/m〜500N/m)を掛けて、支持体の搬送ばたつきを少なくし、平面性を維持したまま塗布することが好ましい。平面性とは、支持体の幅方向および搬送方向に垂直な上下方向の振れ量であり、理想的には0mmであるが、通常、1mm以下である。
【0275】
支持体としては、通常、支持体フィルムを用いる。支持体フィルムとしては、光学的な積層体の支持体として用いうるフィルムを、適切に選択して用いうる。中でも、支持体フィルム、位相差層及び光学異方性層を備える光学異方性積層体を光学フィルムとして利用可能にして、支持体フィルムの剥離を不要にする観点から、支持体フィルムとしては透明なフィルムが好ましい。具体的には、支持体フィルムの全光線透過率は、好ましくは80%以上、より好ましくは85%以上、特に好ましくは88%以上である。
【0276】
支持体フィルムの材料は、特に限定されず、種々の樹脂を用いうる。樹脂の例としては、光学異方性層の形成に用いうる基材の材料として説明した重合体を含む樹脂が挙げられる。これらの中でも、透明性、低吸湿性、寸法安定性及び軽量性の観点から、樹脂が含む重合体としては、脂環式構造含有重合体及びセルロースエステルが好ましく、脂環式構造含有重合体がより好ましい。
【0277】
支持体としては、配向規制力を有するものを用いうる。支持体の配向規制力とは、支持体の上に塗工された液晶組成物中の位相差層用液晶化合物を配向させうる、支持体の性質をいう。
【0278】
配向規制力は、支持体の材料となるフィルム等の部材に、配向規制力を付与する処理を施すことにより付与しうる。かかる処理の例としては、延伸処理及びラビング処理が挙げられる。
【0279】
好ましい態様において、支持体は延伸フィルムである。かかる延伸フィルムとすることにより、延伸方向に応じた配向規制力を有する支持体としうる。
【0280】
延伸フィルムの延伸方向は、任意である。よって、延伸方向は、長手方向でもよく、幅方向でもよく、斜め方向でもよい。さらに、これらの延伸方向のうち、2以上の方向に延伸が施されていてもよい。延伸倍率は、支持体の表面に配向規制力が生じる範囲で適宜設定しうる。支持体の材料が正の固有複屈折値を有する樹脂である場合、延伸方向に分子が配向して延伸方向に遅相軸が発現する。延伸は、テンター延伸機などの既知の延伸機を用いて行いうる。
【0281】
更に好ましい態様において、支持体は斜め延伸フィルムである。支持体が斜め延伸フィルムである場合の、延伸方向と延伸フィルムの幅方向とがなす角度は、具体的には0°超90°未満としうる。このような斜め延伸フィルムを支持体として用いることにより、光学異方性積層体を、円偏光板の効率的な製造を可能にする材料とすることができる。
【0282】
また、ある態様において、延伸方向と延伸フィルムの幅方向とがなす角度を、好ましくは15°±5°、22.5±5°、45°±5°、又は75°±5°、より好ましくは15°±4°、22.5°±4°、45°±4°、又は75°±4°、さらにより好ましくは15°±3°、22.5°±3°、45°±3°、又は75°±3°といった特定の範囲としうる。このような角度関係を有することにより、光学異方性積層体を、円偏光板の効率的な製造を可能にする材料とすることができる。
【0283】
液晶組成物の塗工方法の例としては、カーテンコーティング法、押し出しコーティング法、ロールコーティング法、スピンコーティング法、ディップコーティング法、バーコーティング法、スプレーコーティング法、スライドコーティング法、印刷コーティング法、グラビアコーティング法、ダイコーティング法、ギャップコーティング法、及びディッピング法が挙げられる。塗工される液晶組成物の層の厚みは、位相差層としての液晶層に求められる所望の厚さに応じて適切に設定しうる。
【0284】
支持体上に液晶組成物を塗工して液晶組成物の層を得た後で、液晶組成物の層に含まれる位相差層用液晶化合物を配向させる工程を行う。これにより、液晶組成物の層に含まれる位相差層用液晶化合物は、支持体の配向規制力に応じた配向方向に配向する。例えば、支持体として延伸フィルムを用いた場合、延伸フィルムの延伸方向と平行に、液晶組成物の層に含まれる位相差層用液晶化合物が配向する。
【0285】
位相差層用液晶化合物の配向は、塗工により直ちに達成される場合もありえるが、必要に応じて、塗工の後に、加温などの配向処理を施すことにより達成される場合もありえる。配向処理の条件は、使用する液晶組成物の性質に応じて適宜設定しうるが、例えば、50℃〜160℃の温度条件において30秒間〜5分間処理する条件としうる。
【0286】
上述したように液晶組成物の層において位相差層用液晶化合物を配向させることで、液晶組成物の層において所望の光学特性が発現するので、位相差層として機能しうる液晶層が得られる。
【0287】
上述した位相差層としての液晶層の製造方法は、更に、任意の工程を含みうる。液晶層の製造方法は、例えば、液晶組成物の層又は液晶層を乾燥させる工程を行なってもよい。かかる乾燥は、自然乾燥、加熱乾燥、減圧乾燥、減圧加熱乾燥等の乾燥方法で達成しうる。
【0288】
また、位相差層としての液晶層の製造方法は、例えば、液晶組成物に含まれる位相差層用液晶化合物を配向させた後で、位相差層用液晶化合物の配向状態を固定する工程を行ってもよい。この工程では、通常、位相差層用液晶化合物を重合させることにより、位相差層用液晶化合物の配向状態を固定する。また、位相差層用液晶化合物を重合させることにより、液晶層の剛性を高めて、機械的強度を向上させることができる。
【0289】
位相差層用液晶化合物の重合は、液晶組成物の成分の性質に適合した方法を適切に選択しうる。例えば、光を照射する方法が好ましい。なかでも、操作が簡便なことから、紫外線を照射する方法が好ましい。紫外線照射強度、紫外線照射時間、紫外線積算光量、及び、紫外線照射光源などの照射条件は、光学異方性層の製造方法における照射条件と同様の範囲に調整しうる。
【0290】
重合の際、位相差層用液晶化合物は、通常、その分子の配向を維持したままで重合する。よって、前記の重合により、重合前の液晶組成物に含まれていた位相差層用液晶化合物の配向方向と平行な方向に配向した位相差層用液晶化合物の重合体を含む液晶層が得られる。したがって、例えば、支持体として延伸フィルムを用いた場合には、延伸フィルムの延伸方向と平行な配向方向を有する液晶層を得ることができる。ここで平行とは、延伸フィルムの延伸方向と位相差層用液晶化合物の重合体の配向方向のズレが、通常±3°、好ましくは±1°、理想的には0°をいう。
【0291】
上述した製造方法で製造された位相差層としての液晶層において、位相差層用液晶化合物から得られた重合体の分子は、好ましくは、支持体フィルムに対して水平配向した配向規則性を有する。例えば、支持体フィルムとして配向規制力を有するものを用いた場合、液晶層において位相差層用液晶化合物の重合体の分子を水平配向させることができる。ここで、位相差層用液晶化合物の重合体の分子が支持体フィルムに対して「水平配向」するとは、重合体が含む位相差層用液晶化合物由来の構造単位のメソゲン骨格の長軸方向の平均方向が、フィルム面と平行又は平行に近い(例えばフィルム面となす角度が5°以内)、ある一の方向に配向することをいう。位相差層用液晶化合物として式(II)で表される化合物を用いた場合のように、液晶層中に、配向方向の異なる複数種類のメソゲン骨格が存在する場合は、通常、それらのうち最も長い種類のメソゲン骨格の長軸方向が配向する方向が、当該配向方向となる。
【0292】
さらに、位相差層としての液晶層の製造方法は、液晶層を得た後で、支持体を剥離する工程を含んでいてもよい。
【0293】
〔3.3.光学異方性積層体における任意の層〕
光学異方性積層体は、光学異方性層及び位相差層に組み合わせて、更に任意の層を備えうる。任意の層としては、例えば、接着層、ハードコート層等が挙げられる。
【0294】
〔3.4.光学異方性積層体の製造方法〕
光学異方性積層体は、例えば、下記の製造方法1又は2によって製造しうる。
【0295】
・製造方法1:
位相差層を製造する工程と、
前記位相差層を基材として用いて、上述した光学異方性層の製造方法を行うことにより、位相差層上に光学異方性層を形成して、光学異方性積層体を得る工程と、を含む、製造方法。
【0296】
製造方法1のように位相差層上に塗工液を塗工した場合は、塗工液層の乾燥によって、位相差層上に光学異方性層が形成されて、光学異方性積層体が得られる。
【0297】
・製造方法2:
位相差層を製造する工程と、
光学異方性転写体を製造する工程と、
光学異方性転写体の光学異方性層と、位相差層とを、貼り合わせて、光学異方性積層体を得る工程と、
光学異方性転写体の基材を剥離する工程と、を含む、製造方法。
【0298】
製造方法2のように、光学異方性層と位相差層とを貼り合わせて光学異方性積層体を製造する場合、貼り合わせには、適切な接着剤を用いうる。この接着剤としては、例えば、後述する偏光板において用いるのと同様の接着剤を用いうる。
【0299】
また、前記の光学異方性積層体の製造方法は、上述した工程に加えて、任意の工程を含んでいてもよい。例えば、前記の製造方法は、ハードコート層等の任意の層を設ける工程、を含んでいてもよい。
【0300】
[4.偏光板]
本発明の偏光板は、直線偏光子と、上述した光学異方性層、光学異方性転写体又は光学異方性積層体と、を備える。このような偏光板は、画像表示装置に設けることにより、画像表示装置を傾斜方向から見た場合の画像の視認性を高めることができる。
【0301】
直線偏光子としては、液晶表示装置、及びその他の光学装置等の装置に用いられている既知の直線偏光子を用いうる。直線偏光子の例としては、ポリビニルアルコールフィルムにヨウ素又は二色性染料を吸着させた後、ホウ酸浴中で一軸延伸することによって得られるフィルム;ポリビニルアルコールフィルムにヨウ素又は二色性染料を吸着させ延伸しさらに分子鎖中のポリビニルアルコール単位の一部をポリビニレン単位に変性することによって得られるフィルム;が挙げられる。また、直線偏光子の他の例としては、グリッド偏光子、多層偏光子、コレステリック液晶偏光子などの、偏光を反射光と透過光に分離する機能を有する偏光子が挙げられる。これらのうち、直線偏光子としては、ポリビニルアルコールを含有する偏光子が好ましい。
【0302】
直線偏光子に自然光を入射させると、一方の偏光だけが透過する。この直線偏光子の偏光度は特に限定されないが、好ましくは98%以上、より好ましくは99%以上である。
また、直線偏光子の厚みは、好ましくは5μm〜80μmである。
【0303】
偏光板は、更に、直線偏光子と、光学異方性層、光学異方性転写体又は光学異方性積層体とを貼り合わせるための、接着層を備えていてもよい。接着層としては、硬化性接着剤を硬化させてなる層を用いうる。硬化性接着剤としては、熱硬化性接着剤を用いてもよいが、光硬化性接着剤を用いることが好ましい。光硬化性接着剤としては、重合体又は反応性の単量体を含んだものを用いうる。また、接着剤は、必要に応じて溶媒、光重合開始剤、その他の添加剤等を含みうる。
【0304】
光硬化性接着剤は、可視光線、紫外線、及び赤外線等の光を照射すると硬化しうる接着剤である。中でも、操作が簡便なことから、紫外線で硬化しうる接着剤が好ましい。
【0305】
接着層の厚みは、好ましくは0.5μm以上、より好ましくは1μm以上であり、好ましくは30μm以下、より好ましくは20μm以下、さらに好ましくは10μm以下である。接着層の厚みを前記範囲内とすることにより、光学異方性層の光学的性質を損ねずに、良好な接着を達成しうる。
【0306】
また、偏光板が光学異方性積層体を備える場合、その偏光板は、円偏光板として機能しうる。このような円偏光板は、直線偏光子、光学異方性層及び位相差層を、この順で備えていてもよい。また、このような円偏光板は、直線偏光子、位相差層及び光学異方性層を、この順で備えていてもよい。
【0307】
前記のような円偏光板において、直線偏光子の偏光吸収軸に対して位相差層の遅相軸がなす角度は、45°またはそれに近い角度であることが好ましい。前記の角度は、具体的には、好ましくは45°±5°、より好ましくは45°±4°、特に好ましくは45°±3°である。
【0308】
上述した偏光板は、更に、任意の層を含みうる。任意の層としては、例えば、偏光子保護フィルム層が挙げられる。偏光子保護フィルム層としては、任意の透明フィルム層を用いうる。中でも、透明性、機械的強度、熱安定性、水分遮蔽性等に優れる樹脂のフィルム層が好ましい。そのような樹脂としては、トリアセチルセルロース等のアセテート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、鎖状オレフィン樹脂、環式オレフィン樹脂、(メタ)アクリル樹脂等が挙げられる。さらに、偏光板が含みうる任意の層としては、例えば、耐衝撃性ポリメタクリレート樹脂層などのハードコート層、フィルムの滑り性を良くするマット層、反射抑制層、防汚層等が挙げられる。これらの任意の層は、1層だけを設けてもよく、2層以上を設けてもよい。
【0309】
偏光板は、直線偏光子と、光学異方性層、光学異方性転写体又は光学異方性積層体とを、必要に応じて接着剤を用いて、貼り合わせることによって、製造しうる。
【0310】
[5.画像表示装置]
本発明の画像表示装置は、画像表示素子と、上述した本発明の偏光板とを備える。画像表示装置において、偏光板は、通常、画像表示素子の視認側に設けられる。この際、偏光板の向きは、その偏光板の用途に応じて任意に設定しうる。よって、画像表示装置は、光学異方性層、光学異方性転写体又は光学異方性積層体と;偏光子と;画像表示素子と;を、この順に備えていてもよい。また、画像表示装置は、偏光子と;光学異方性層、光学異方性転写体又は光学異方性積層体と;画像表示素子と;を、この順に備えていてもよい。
【0311】
画像表示装置としては、画像表示素子の種類に応じて様々なものがあるが、代表的な例としては、画像表示素子として液晶セルを備える液晶表示装置、及び、画像表示素子として有機EL素子を備える有機EL表示装置が挙げられる。
以下、画像表示装置の好ましい実施形態について、図面を示して説明する。
【0312】
図1は、本発明の第一実施形態に係る画像表示装置としての有機EL表示装置100を模式的に示す断面図である。
図1に示すように、有機EL表示装置100は、画像表示素子としての有機EL素子110;位相差層121及び光学異方性層122を備える光学異方性積層体120;並びに、直線偏光子130を、この順に備える。図1には、有機EL素子110側から位相差層121及び光学異方性層122がこの順に設けられた例を示したが、逆に、有機EL素子110側から光学異方性層122及び位相差層121がこの順に設けられていてもよい。
【0313】
有機EL表示装置100において、位相差層121は、直線偏光子130の偏光吸収軸に対して位相差層121の遅相軸がなす角度が、45°またはそれに近い角度となるように設けられる。前記の45°またはそれに近い角度は、例えば、好ましくは45°±5°、より好ましくは45°±4°、特に好ましくは45°±3°である。これにより、位相差層121と直線偏光子130との組み合わせによって、円偏光板の機能が発現して、外光の反射による表示面100Uのぎらつきを抑制できる。
【0314】
具体的には、装置外部から入射した光は、その一部の直線偏光のみが直線偏光子130を通過し、次にそれが位相差層121を含む光学異方性積層体120を通過することにより、円偏光となる。円偏光は、表示装置内の光を反射する構成要素(有機EL素子110中の反射電極(図示せず)等)により反射され、再び光学異方性積層体120を通過することにより、入射した直線偏光の振動方向と直交する振動方向を有する直線偏光となり、直線偏光子130を通過しなくなる。ここで、直線偏光の振動方向とは、直線偏光の電場の振動方向を意味する。これにより、反射抑制の機能が達成される(有機EL表示装置における反射抑制の原理は、特開平9-127885号公報参照)。
【0315】
さらに、有機EL表示装置100は、光学異方性積層体120がポジティブCフィルムとして機能しうる光学異方性層122を備えるので、前記の反射抑制の機能を、表示面100Uの正面方向だけでなく、傾斜方向においても発揮できる。さらに、光学異方性層122は、その厚み方向のレターデーションRthが逆波長分散性を示すので、広い波長範囲の光の反射を抑制することが可能である。さらに、厚み方向のレターデーションが順波長分散性を示すポジティブCフィルムを用いた有機EL表示装置に比べて、表示面100Uの傾斜方向から見た場合の反射光の色味変化を抑制できる。したがって、有機EL表示装置100は、表示面100Uの正面方向及び傾斜方向の両方において外光の反射を効果的に抑制して、画像の視認性を高めることが可能である。
【0316】
図2は、本発明の第二実施形態に係る画像表示装置としての有機EL表示装置200を模式的に示す断面図である。
図2に示すように、有機EL表示装置200は、画像表示素子としての有機EL素子210;λ/4波長板220;直線偏光子230;並びに、位相差層241及び光学異方性層242を備える光学異方性積層体240;を、この順に備える。図2には、有機EL素子210側から位相差層241及び光学異方性層242がこの順に設けられた例を示したが、逆に、有機EL素子210側から光学異方性層242及び位相差層241がこの順に設けられていてもよい。
【0317】
λ/4波長板220としては、直線偏光子230を透過した直線偏光を円偏光に変換しうる部材を用いうる。このようなλ/4波長板220としては、例えば、位相差層241が有しうる面内レターデーションReの範囲と同様の範囲の面内レターデーションReを有するフィルムを用いうる。また、λ/4波長板220は、直線偏光子230の偏光吸収軸に対してλ/4波長板220の遅相軸がなす角度が、45°またはそれに近い角度となるように設けられる。前記の45°またはそれに近い角度は、例えば、好ましくは45°±5°、より好ましくは45°±4°、特に好ましくは45°±3°である。これにより、λ/4波長板220と直線偏光子230との組み合わせによって、円偏光板の機能が発現して、外光の反射による表示面200Uのぎらつきを抑制できる。
【0318】
また、有機EL表示装置200において、位相差層241は、直線偏光子230の偏光吸収軸に対して位相差層241の遅相軸がなす角度が、45°またはそれに近い角度となるように設けられる。前記の45°またはそれに近い角度は、例えば、好ましくは45°±5°、より好ましくは45°±4°、特に好ましくは45°±3°である。
【0319】
このような有機EL表示装置200においては、有機EL素子210から発せられ、λ/4波長板220、直線偏光子230及び光学異方性積層体240を通過した光によって、画像が表示される。よって、画像を表示する光は、直線偏光子230を通過した時点では直線偏光であるが、位相差層241を含む光学異方性積層体240を通過することによって、円偏光に変換される。したがって、前記の有機EL表示装置200では、円偏光によって画像が表示されるので、偏光サングラスを通して表示面200Uを見た場合に、画像を視認することが可能である。
【0320】
さらに、有機EL表示装置200は、光学異方性積層体240がポジティブCフィルムとして機能しうる光学異方性層242を備えるので、画像を表示する光は、表示面200Uの正面方向だけでなく、傾斜方向においても、偏光サングラスを透過できる。さらに、光学異方性層242は、その厚み方向のレターデーションRthが逆波長分散性を示すので、広い波長範囲の光が、偏光サングラスを透過できる。したがって、有機EL表示装置200は、表示面200Uの正面方向及び傾斜方向の両方において、偏光サングラスを通した画像の視認性を高めることが可能である。
【0321】
前記の有機EL素子110及び210は、透明電極層、発光層及び電極層をこの順に備え、透明電極層及び電極層から電圧を印加されることにより発光層が光を生じうる。有機発光層を構成する材料の例としては、ポリパラフェニレンビニレン系、ポリフルオレン系、およびポリビニルカルバゾール系の材料を挙げることができる。また、発光層は、複数の発光色が異なる層の積層体、あるいはある色素の層に異なる色素がドーピングされた混合層を有していてもよい。さらに、有機EL素子110及び210は、正孔注入層、正孔輸送層、電子注入層、電子輸送層、等電位面形成層、電荷発生層等の機能層を備えていてもよい。
【0322】
図3は、本発明の第三実施形態に係る画像表示装置としての液晶表示装置300を模式的に示す断面図である。
図3に示すように、液晶表示装置300は、光源310;光源側直線偏光子320;画像表示素子としての液晶セル330;視認側直線偏光子340;並びに、位相差層351及び光学異方性層352を備える光学異方性積層体350;を、この順に備える。図3には、液晶セル330側から位相差層351及び光学異方性層352がこの順に設けられた例を示したが、逆に、液晶セル330側から光学異方性層352及び位相差層351がこの順に設けられていてもよい。
【0323】
液晶表示装置300において、位相差層351は、視認側直線偏光子340の偏光吸収軸に対して位相差層351の遅相軸がなす角度が、45°またはそれに近い角度となるように設けられる。45°またはそれに近い角度は、例えば、好ましくは45°±5°、より好ましくは45°±4°、特に好ましくは45°±3°である。
【0324】
このような液晶表示装置300においては、光源310から発せられ、光源側直線偏光子320、液晶セル330、視認側直線偏光子340、及び光学異方性積層体350を通過した光によって、画像が表示される。よって、画像を表示する光は、視認側直線偏光子340を通過した時点では直線偏光であるが、位相差層351を含む光学異方性積層体350を通過することによって、円偏光に変換される。したがって、前記の液晶表示装置300では、円偏光によって画像が表示されるので、偏光サングラスを通して表示面300Uを見た場合に、画像を視認することが可能である。
【0325】
さらに、液晶表示装置300は、光学異方性積層体350がポジティブCフィルムとして機能しうる光学異方性層352を備えるので、画像を表示する光は、表示面300Uの正面方向だけでなく、傾斜方向においても、偏光サングラスを透過できる。さらに、光学異方性層352は、その厚み方向のレターデーションRthが逆波長分散性を示すので、広い波長範囲の光が、偏光サングラスを透過できる。したがって、液晶表示装置300は、表示面300Uの正面方向及び傾斜方向の両方において、偏光サングラスを通した画像の視認性を高めることが可能である。
【0326】
液晶セル330は、例えば、インプレーンスイッチング(IPS)モード、バーチカルアラインメント(VA)モード、マルチドメインバーチカルアラインメント(MVA)モード、コンティニュアスピンホイールアラインメント(CPA)モード、ハイブリッドアラインメントネマチック(HAN)モード、ツイステッドネマチック(TN)モード、スーパーツイステッドネマチック(STN)モード、オプチカルコンペンセイテッドベンド(OCB)モードなど、任意のモードの液晶セルを用いうる。中でも、IPSモードの液晶セル330は、光学異方性層352によって視野角を効果的に広くでき、更には表示面300Uを傾斜方向から見たときのコントラスト及び色味変化に改善効果があることから、好ましい。
【実施例】
【0327】
以下、実施例を示して本発明について具体的に説明する。ただし、本発明は以下に示す実施例に限定されるものではなく、本発明の請求の範囲及びその均等の範囲を逸脱しない範囲において任意に変更して実施しうる。以下の説明において、量を表す「%」及び「部」は、別に断らない限り、重量基準である。また、以下に説明する操作は、別に断らない限り、常温常圧大気中において行った。
【0328】
[評価方法]
〔レタデーション及び屈折率の測定方法、及び、それらの逆波長分散性の評価方法〕
あるフィルム(基材フィルム;支持体フィルム;支持体フィルム及び位相差層からなる複層フィルム;等)上に形成された試料層(光学異方性層、位相差層等)のレターデーション及び逆波長分散特性は、下記の方法で測定した。
【0329】
評価対象となる試料層を、粘着剤付スライドガラス(粘着剤は、日東電工社製「CS9621T」)に貼り合せた。その後、フィルムを剥離し、スライドガラス及び試料層を備えるサンプルを得た。このサンプルを、位相差計(Axometrics社製)のステージに設置して、試料層の面内レターデーションReの波長分散を測定した。ここで、面内レターデーションReの波長分散とは、波長毎の面内レターデーションReを表すグラフであり、例えば、横軸を波長、縦軸を面内レターデーションReとした座標においてグラフとして示される。こうして得られた試料層の面内レターデーションReの波長分散から、波長450nm、550nm、590nm及び650nmにおける試料層の面内レターデーションRe(450)、Re(550)、Re(590)及びRe(650)を求めた。
【0330】
また、試料層の遅相軸を回転軸として、ステージを40°傾けて、試料層の厚み方向に対して40°の角度をなす傾斜方向での試料層のレタデーションRe40の波長分散を測定した。ここで、レターデーションRe40の波長分散とは、波長毎のレターデーションRe40を表すグラフであり、例えば、横軸を波長、縦軸を面内レターデーションRe40とした座標においてグラフとして示される。
【0331】
さらに、プリズムカプラ(Metricon社製)を用いて、試料層の、面内方向であって最大の屈折率を与える方向の屈折率nx、前記面内方向であって前記nxの方向に垂直な方向の屈折率ny、及び、厚み方向の屈折率nzを、波長407nm、532nm及び633nmで測定し、コーシーフィッティングすることにより、屈折率nx、ny及びnzの波長分散を得た。ここで、屈折率の波長分散とは、波長毎の屈折率を表すグラフであり、例えば、横軸を波長、縦軸を屈折率とした座標においてグラフとして示される。
【0332】
その後、レターデーションRe40及び屈折率の波長分散のデータを基に、試料層の厚み方向のレタデーションRthの波長分散を計算した。ここで、厚み方向のレタデーションRthの波長分散とは、波長毎の厚み方向のレタデーションRthを表すグラフであり、例えば、横軸を波長、縦軸を厚み方向のレタデーションRthとした座標においてグラフとして示される。そして、こうして求められた試料層の厚み方向のレターデーションRthの波長分散から、波長450nm、550nm、590nm及び650nmにおける試料層の厚み方向のレターデーションRth(450)、Rth(550)、Rth(590)及びRth(650)を求めた。
【0333】
〔厚みの測定方法〕
あるフィルム(基材フィルム;支持体フィルム;支持体フィルム及び位相差層からなる複層フィルム;等)上に形成された試料層(光学異方性層、位相差層等)の厚みは、膜厚測定装置(フィルメトリクス社製「フィルメトリクス」)を用いて、測定した。
【0334】
〔面状態の評価方法〕
光学粘着剤(日東電工社製CS9621)付きの平板ガラスを用意した。この平板ガラスに、光学異方性転写体(実施例1〜2、4〜5及び7〜8、並びに、比較例1〜4)又は光学異方性積層体(実施例3)の光学異方性層を転写し、ヘイズ測定用積層体を得た。このヘイズ測定用積層体を用いて、光学異方性層のヘイズを、ヘイズメーター(東洋精機製作所製「ヘイズガードII」)により測定した。測定の結果、ヘイズが0.3%未満であれば面状態が「良好」と判定し、ヘイズが0.3%以上1.0%未満であれば面状態が「少し白濁」と判定し、ヘイズが1.0%以上であれば面状態が「白濁」であると判定した。
また、実施例6では、光学異方性層の面状態を、蛍光灯下で目視観察し、フィルムの収縮シワ及び白濁が観察されない場合は「良好」、観察された場合は「不良」と判断した。
【0335】
[実施例1]
下記式(B1)で表される光重合性の逆波長分散液晶化合物(CN点は96℃)67重量部、可塑剤としてのリン酸トリフェニル(Wako社製)10重量部、及び、ポジC重合体としてのポリ(9−ビニルカルバゾール)90重量部を、固形分濃度が12%となるようにN−メチル−2−ピロリドン(NMP)に溶解させて、塗工液を作製した。
【0336】
【化38】
【0337】
基材フィルムとして、脂環式構造含有重合体を含む樹脂からなる未延伸フィルム(日本ゼオン社製、樹脂のガラス転移温度(Tg)163℃、厚み100μm)を用意した。前記の基材フィルムの面上に、塗工液を、アプリケーターを用いて塗工して、塗工液層を形成した。塗工液層の厚みは、得られる光学異方性層の厚みが10μm程度になるように調整した。
【0338】
その後、塗工液層を、85℃オーブンで10分ほど乾燥させて、塗工液層中の溶媒を蒸発させた。これにより、基材フィルム上に光学異方性層が形成されて、基材フィルム及び光学異方性層を備える光学異方性転写体を得た。こうして得られた光学異方性転写体を用いて、上述した方法により、光学異方性層の評価を行った。
【0339】
[実施例2]
ポジC重合体の種類を、フマル酸ジイソプロピルとケイ皮酸エステルの共重合体に変更した。この共重合体は、下記式(P1)で表される繰り返し単位及び下記式(P2)で表される繰り返し単位を有するポリフマル酸エステル(重量平均分子量72,000)であった。また、下記の式(P1)及び式(P2)において、Rはイソプロピル基を表し、繰り返し単位の数m及びnの比率は、m:n=85:15であった。
【0340】
【化39】
【0341】
【化40】
【0342】
以上の事項以外は、実施例1と同様にして、基材フィルム及び光学異方性層を備える光学異方性転写体の製造、並びに、光学異方性層の評価を行った。
【0343】
[実施例3]
支持体フィルム及び位相差層を備える複層フィルムを、下記の方法で製造した。
【0344】
前記式(B1)で表される光重合性の逆波長分散液晶化合物(CN点は96℃)100重量部、光重合開始剤(BASF社製「Irgacure379EG」)3重量部、及び、界面活性剤(DIC社製「メガファックF−562」)0.3重量部を混合し、更に、溶媒としてシクロペンタノン及び1,3−ジオキソランの混合溶媒(重量比シクロペンタノン:1,3−ジオキソラン=4:6)を、固形分が22重量%になるように加え、50℃に加温し溶解させた。得られた混合物を、孔径0.45μmのメンブレンフィルターでろ過して、液状の液晶組成物を得た。
【0345】
支持体フィルムとして、脂環式構造含有重合体を含む樹脂からなる長尺の斜め延伸フィルム(日本ゼオン社製「ゼオノアフィルム」、樹脂のガラス転移温度(Tg)126℃、厚み47μm、波長550nmにおける面内レターデーション141nm、延伸方向は、幅方向に対して45°の方向)を用意した。
【0346】
前記の支持体フィルム上に、前記の液状の液晶組成物を、ダイコーターで塗工し、液晶組成物の層を形成した。液晶組成物の層の厚みは、得られる位相差層の厚みが2.3μm程度になるように調整した。
【0347】
その後、液晶組成物の層を、110℃オーブンで4分ほど乾燥させて、液晶組成物の層中の溶媒を蒸発させると同時に、液晶組成物の層に含まれる液晶化合物を、支持体フィルムの延伸方向にホモジニアス配向させた。
【0348】
その後、液晶組成物の層に、紫外線照射装置を用いて紫外線を照射した。この紫外線の照射は、窒素雰囲気下において、60℃に加熱されたSUS板に支持体フィルムをテープで固定した状態で行った。紫外線の照射により液晶組成物の層を硬化させて、支持体フィルム上に位相差層を形成した。これにより、支持体フィルム及び位相差層を備える複層フィルムを得た。
【0349】
得られた複層フィルムの位相差層のレターデーションを上述した方法で測定したところ、波長450nm、550nm、590nm及び650nmにおける面内レターデーションRe(B450)、Re(B550)、Re(B590)及びRe(B650)は、下記表1のとおりであった。また、前記の位相差層の屈折率を上述した方法で測定したところ、位相差層の面内方向であって最大の屈折率を与える方向の屈折率nx(B)、位相差層の面内方向であって前記nx(B)の方向に垂直な方向の屈折率ny(B)、及び、位相差層の厚み方向の屈折率nz(B)は、下記表1のとおりであった。
【0350】
【表1】
【0351】
基材フィルムとして、実施例1で用いた未延伸フィルムの代わりに、支持体フィルム及び位相差層を備える複層フィルムを用いた。以上の事項以外は、実施例1と同様にして、支持体フィルム、位相差層及び光学異方性層をこの順に備える光学異方性積層体の製造を行った。こうして得られた光学異方性積層体を用いて、上述した方法により、光学異方性層の評価を行った。
【0352】
[実施例4]
基材フィルムとして、実施例1で用いた未延伸フィルムの代わりに、脂環式構造含有重合体を含む樹脂からなる長尺の斜め延伸フィルム(日本ゼオン社製「ゼオノアフィルム」、樹脂のガラス転移温度(Tg)126℃、厚み47μm、波長550nmにおける面内レターデーション141nm、延伸方向は、幅方向に対して45°の方向)を用いた。以上の事項以外は、実施例1と同様にして、基材フィルム及び光学異方性層をこの順に備える光学異方性転写体の製造、並びに、光学異方性層の評価を行った。
【0353】
[実施例5]
前記式(B1)で表される光重合性の逆波長分散液晶化合物の代わりに、下記式(B2)で表される光重合性の逆波長メソゲン化合物を用いた。以上の事項以外は、実施例1と同様にして、基材フィルム及び光学異方性層を備える光学異方性転写体の製造、並びに、光学異方性層の評価を行った。
【0354】
【化41】
【0355】
[実施例6]
位相差層としての延伸フィルム層として、斜め延伸フィルム(日本ゼオン社製「ゼオノアフィルム」、樹脂のガラス転移温度(Tg)126℃、厚み47μm、波長550nmにおける面内レターデーション141nm、屈折率nx(B)>ny(B)≧nz(B)、延伸方向は、幅方向に対して45°の方向)を用意した。
【0356】
実施例1で作製した光学異方性転写体の光学異方性層側の面と、前記の斜め延伸フィルムの一方の面とを、粘着層(日東電工製「CS9621T」)を介して貼合し、基材フィルム、光学異方性層、粘着層及び斜め延伸フィルムをこの順に備える積層体を得た。この際、貼合には、ラミネーターを用いた。
【0357】
続いて、前記積層体から基材フィルムを剥離することにより、光学異方性層、粘着層及び斜め延伸フィルムをこの順に備える光学異方性積層体を得た。こうして得られた光学異方性積層体の面状態を、上述した方法によって評価したところ、結果は良好であった。
【0358】
[実施例7]
式(B1)で表される光重合性の逆波長分散液晶化合物の量を、67重量部から100重量部に変更した。以上の事項以外は、実施例1と同様にして、基材フィルム及び光学異方性層を備える光学異方性転写体の製造、並びに、光学異方性層の評価を行った。
【0359】
[実施例8]
式(B1)で表される光重合性の逆波長分散液晶化合物の量を、67重量部から122重量部に変更した。以上の事項以外は、実施例1と同様にして、基材フィルム及び光学異方性層を備える光学異方性転写体の製造、並びに、光学異方性層の評価を行った。
【0360】
[比較例1]
塗工液の作製に際し、前記式(B1)で表される光重合性の逆波長分散液晶化合物を用いなかった。
また、基材フィルムとして、樹脂のガラス転移温度以外は実施例1で用いた未延伸フィルムと同様のフィルム{脂環式構造含有重合体を含む樹脂からなる未延伸フィルム(日本ゼオン社製、樹脂のガラス転移温度(Tg)126℃、厚み100μm)}を用いた。
以上の事項以外は、実施例1と同様にして、基材フィルム及び光学異方性層を備える光学異方性転写体の製造、並びに、光学異方性層の評価を行った。
【0361】
[比較例2]
前記式(B1)で表される光重合性の逆波長分散液晶化合物(CN点は96℃)100重量部及び光重合開始剤(BASF社製「Irgacure379EG」)3重量部を混合し、さらに、溶媒としてシクロペンタノン及び1,3−ジオキソランの混合溶媒(重量比シクロペンタノン:1,3−ジオキソラン=4:6)を、固形分が22重量%になるように加え、50℃に加温し溶解させた。得られた混合物を、孔径0.45μmのメンブレンフィルターでろ過して、塗工液を得た。
【0362】
実施例1で用いたのと同様の未延伸フィルムの表面に、コロナ処理を施した。コロナ処理を施した未延伸フィルムの表面上に、垂直配向膜用のシランカップリング系材料(JNC社製「DMOAP」)を、バーコーターで塗布し、100℃で1時間焼成した。これにより、延伸フィルム及び垂直配向膜を備える垂直配向基材フィルムを得た。
【0363】
得られた垂直配向基材フィルムに、バーコーターを用いて、塗工液を塗布し、110℃で4分乾燥した。その後、乾燥した塗工液層に、紫外線照射装置を用いて紫外線を照射した。この紫外線の照射は、窒素雰囲気下において、SUS板に垂直配向基材フィルムをテープで固定した状態で行った。紫外線の照射により、塗工液層を硬化させた。これにより、垂直配向基材フィルム上に光学異方性層が形成されて、垂直配向基材フィルム及び光学異方性層を備える光学異方性転写体を得た。こうして得られた光学異方性転写体を用いて、上述した方法により、光学異方性層の評価を行った。
【0364】
[比較例3]
前記式(B1)で表される光重合性の逆波長分散液晶化合物(CN点は96℃)50重量部、支持体フィルムに対して強い垂直配向性を示す液晶性モノマー化合物としての6−(4−cyanobiphenyl−4−yloxy)hexyl methacrylate(DKSH社製「ST03474」)50重量部、及び、光重合開始剤(BASF社製「Irgacure379EG」)3重量部を混合し、更に、溶媒としてシクロペンタノン及び1,3−ジオキソランの混合溶媒(重量比シクロペンタノン:1,3−ジオキソラン=4:6)を、固形分が22重量%になるように加え、50℃に加温し溶解させた。得られた混合物を、孔径0.45μmのメンブレンフィルターでろ過して、塗工液を得た。
【0365】
実施例1で用いたのと同様の基材フィルム上に、塗工液を、スピンコーターで塗工し、塗工液層を形成した。塗工液層の厚みは、得られる光学異方性層の厚みが2.3μm程度になるように調整した。
【0366】
その後、塗工液層を、110℃オーブンで4分ほど乾燥させて、塗工液層中の溶媒を蒸発させると同時に、塗工液層に含まれる液晶化合物を、基材フィルムの面に対して垂直に配向させた。
【0367】
その後、塗工液層に、紫外線照射装置を用いて紫外線を照射した。この紫外線の照射は、窒素雰囲気下において、SUS板に基材フィルムをテープで固定した状態で行った。紫外線の照射により、塗工液層を硬化させた。これにより、基材フィルム上に光学異方性層が形成されて、基材フィルム及び光学異方性層を備える光学異方性転写体を得た。こうして得られた光学異方性転写体を用いて、上述した方法により、光学異方性層の評価を行った。
【0368】
[比較例4]
前記式(B1)で表される光重合性の逆波長分散液晶化合物の代わりに、光重合性の順波長分散液晶化合物「LC242」(CN点は66℃)を用いた。以上の事項以外は、実施例1と同様にして、基材フィルム及び光学異方性層を備える光学異方性転写体の製造、並びに、光学異方性層の評価を行った。
【0369】
[結果]
上述した実施例及び比較例の結果を、下記の表2及び表3に示す。表2及び表3において、略称の意味は、下記のとおりである。
未延伸フィルム:脂環式構造含有重合体を含む樹脂からなる未延伸フィルム。
斜め延伸フィルム:脂環式構造含有重合体を含む樹脂からなる斜め延伸フィルム。
ポジAフィルム:支持体フィルム及び位相差層を備える複層フィルム。
PVC:ポリ(9−ビニルカルバゾール)。
PFDE:フマル酸ジイソプロピルとケイ皮酸エステルの共重合体。
化合物B1:前記式(B1)で示される光重合性の逆波長分散液晶化合物。
化合物B2:前記式(B2)で示される逆波長メソゲン化合物。
LC242:光重合性の順波長分散液晶化合物「LC242」。
メソゲン化合物比率:塗工液の全固形分におけるメソゲン化合物の比率。
ブレンド塗工:ポジC重合体及びメソゲン化合物を含む塗工液の塗工による成膜。
重合体塗工:ポジC重合体を含みメソゲン化合物を含まない塗工液の塗工による成膜。
配向膜上への塗工:配向膜上への、メソゲン化合物を含みポジC重合体を含まない塗工液の塗工による成膜。
垂直配向剤塗工:メソゲン化合物及び強い垂直配向性を示す液晶性モノマー化合物を含み、ポジC重合体を含まない塗工液の塗工による成膜。
ポジC:屈折率nx(A)、ny(A)及びnz(A)が、nz(A)>nx(A)≧ny(A)を満たす。
波長分散性:厚み方向のレターデーションRthの波長分散性。
【0370】
【表2】
【0371】
【表3】
【0372】
比較例2及び3における面状評価においては、光学異方性層において液晶化合物の分子は、基材フィルムの面に対して垂直に配向していたが、液晶化合物の分子のチルト角にムラがあり、光学異方性層が白濁していた。
【0373】
比較例3から分かるように、逆波長分散液晶化合物は、支持体フィルムに対して強い垂直配向性を示す液晶性モノマー化合物を用いても、配向の均一な液晶層を得ることが難しかった。これは、順波長分散液晶化合物が、一般に、支持体フィルムに対して強い垂直配向性を示す液晶性モノマー化合物と組み合わせれば配光の均一な液晶層を形成できていたこととは、対照的である。
【0374】
また、比較例2から分かるように、逆波長分散液晶化合物は、配向膜を用いても、その配向膜と逆波長分散液晶化合物との相性の調整が行われていないと、配向の均一な液晶層を得ることが難しかった。そのため、厚み方向に平行に配向した逆波長分散液晶化合物を含む液晶層により、ポジティブCフィルムを得ようとしても、従来の製造方法では、その実現は困難であった。
【0375】
これに対し、実施例1〜4、7及び8では、逆波長分散液晶化合物とポジC重合体とを組み合わせることにより、配向の均一な液晶層を光学異方性層として得ることができ、また、この光学異方性層は、ポジティブCフィルムとして機能できる。
また、実施例5から分かるように、逆波長分散液晶化合物の代わりに逆波長メソゲン化合物を用いた場合にも、配向の均一な光学異方性層を得ることができ、また、この光学異方性層は、ポジティブCフィルムとして機能できる。
【0376】
よって、上記の実施例からは、本発明により、配向膜を用いることなく製造可能な、厚み方向のレターデーションRthが逆波長分散性を示すポジティブCプレートとして用いることができる光学異方性層を実現できることが確認された。
【0377】
[参考例1:前記式(B1)で表される逆波長分散液晶化合物の波長分散性の確認]
前記式(B1)で表される光重合性の逆波長分散液晶化合物100重量部、光重合開始剤(BASF社製「Irgacure379EG」)3重量部、及び、界面活性剤(DIC社製「メガファックF−562」)0.3重量部を混合し、更に、希釈溶媒としてシクロペンタノン及び1,3−ジオキソランの混合溶媒(重量比シクロペンタノン:1,3−ジオキソラン=4:6)を、固形分が22重量%になるように加え、50℃に加温し溶解させた。得られた混合物を、孔径0.45μmのメンブレンフィルターでろ過して、液晶組成物を得た。
【0378】
脂環式構造含有重合体を含む樹脂からなる未延伸フィルム(日本ゼオン社製「ゼオノアフィルム」)を用意した。この未延伸フィルムにラビング処理を施すことにより、配向基材を用意した。
【0379】
前記の配向基材上に、液晶組成物をバーコーターで塗工し、液晶組成物の層を形成した。液晶組成物の層の厚みは、硬化後に得られる光学異方性層の厚みが2.3μm程度になるように調整した。
【0380】
その後、液晶組成物の層を、110℃オーブンで4分ほど乾燥させて、液晶組成物中の溶媒を蒸発させると同時に、液晶組成物に含まれる逆波長分散液晶化合物をホモジニアス配向させた。
【0381】
その後、液晶組成物の層に、紫外線照射装置を用いて、紫外線を照射した。この紫外線の照射は、窒素雰囲気下において、SUS板に配向基材をテープで固定した状態で行った。紫外線の照射により液晶組成物の層を硬化させて、光学異方性層及び配向基材を備える試料フィルムを得た。
【0382】
この試料フィルムについて、位相差計(Axometrics社製)により、面内レターデーションの波長分散を測定した。配向基材は、面内レターデーションを有さないので、前記の測定によって得られる面内レターデーションは、光学異方性層の面内レターデーションを示す。測定の結果、波長450nm、550nm及び650nmにおける面内レターデーションRe(450)、Re(550)及びRe(650)は、Re(450)<Re(550)<Re(650)を満たしていた。よって、前記式(B1)で表される光重合性の逆波長分散液晶化合物が、ホモジニアス配向した場合に逆波長分散性の面内レターデーションを示すものであることが確認された。
【0383】
[参考例2:順波長分散液晶化合物「LC242」の波長分散性の確認]
前記式(B1)で表される光重合性の逆波長分散液晶化合物の代わりに、光重合性の順波長分散液晶化合物「LC242」を用いた。以上の事項以外は参考例1と同様にして、光学異方性層を含む試料フィルムを作製し、その面内レターデーションの波長分散を測定した。
【0384】
測定の結果、波長450nm、550nm及び650nmにおける面内レターデーションRe(450)、Re(550)及びRe(650)は、Re(450)>Re(550)>Re(650)を満たしていた。よって、順波長分散液晶化合物「LC242」が、ホモジニアス配向した場合に順波長分散性の面内レターデーションを示すものであることが確認された。
【0385】
[参考例3:ポリ(9−ビニルカルバゾール)がポジC重合体に該当することの確認]
ポリ(9−ビニルカルバゾール)を、N−メチルピロリドンに、固形分濃度が12重量%となるように加え、室温にて溶解させて、重合体溶液を得た。
【0386】
脂環式構造含有重合体を含む樹脂からなる未延伸フィルム(日本ゼオン社製「ゼオノアフィルム」)を用意した。この未延伸フィルム上に、前記の重合体溶液を、アプリケーターを用いて塗工して、重合体溶液の層を形成した。その後、85℃オーブンで10分ほど乾燥させて、溶媒を蒸発させることにより、厚み10μm程度の重合体膜と未延伸フィルムとを備える試料フィルムを得た。
【0387】
この試料フィルムを位相差計(Axometrics社製)のステージに設置し、測定波長590nmにおいて試料フィルムの面内レターデーションRe0を測定した。未延伸フィルムは光学的に等方性のフィルムであるので、測定される面内レターデーションRe0は、重合体膜の面内レターデーションRe0を表す。測定の結果、面内レターデーションRe0はRe0≦1nmであったので、nx(P)≧ny(P)を満たすと確認できた。
【0388】
その後、重合体膜の遅相軸をステージの回転軸としてステージを40°傾けて、試料フィルムの厚み方向に対して40°の角度をなす傾斜方向でのレターデーションRe40を測定した。そして、この測定により、重合体膜の遅相軸方向を測定した。「遅相軸方向」が「ステージの回転軸」と垂直であれば、nz(P)>nx(P)であると判定でき、逆に、「遅相軸方向」が「ステージの回転軸」と平行であれば、ny(P)>nz(P)であると判定できる。測定の結果、遅相軸方向は、ステージの回転軸に垂直であったため、重合体膜の屈折率nx(P)及びnz(P)はnz(P)>nx(P)を満たすと判定できた。
【0389】
したがって、ポリ(9−ビニルカルバゾール)は、このポリ(9−ビニルカルバゾール)の溶液を用いた塗工法により重合体膜を形成した場合に、その重合体膜の屈折率がnz(P)>nx(P)≧ny(P)を満たすことが確認された。したがって、ポリ(9−ビニルカルバゾール)は、ポジC重合体に該当することが確認された。
【0390】
[参考例4:フマル酸ジイソプロピルとケイ皮酸エステルの共重合体がポジC重合体に該当することの確認]
ポリ(9−ビニルカルバゾール)の代わりに、フマル酸ジイソプロピルとケイ皮酸エステルの共重合体を用いた。以上の事項以外は、参考例3と同様にして、重合体膜を形成し、その重合体膜の屈折率がnz(P)>nx(P)≧ny(P)を満たすことを確認した。したがって、フマル酸ジイソプロピルとケイ皮酸エステルの共重合体は、ポジC重合体に該当することが確認された。
【0391】
[参考例5〜9]
評価用液晶化合物としての光重合性の順波長分散液晶化合物「LC242」(CN点は66℃)、前記式(B2)で表される光重合性の逆波長メソゲン化合物、光重合開始剤(BASF社製「Irgacure379EG」)3重量部、及び、界面活性剤(DIC社製「メガファックF−562」)0.3重量を混合し、更に、溶媒としてシクロペンタノン及び1,3−ジオキソランの混合溶媒(重量比シクロペンタノン:1,3−ジオキソラン=4:6)を、固形分が22重量%になるように加え、50℃に加温し溶解させた。この際、順波長分散液晶化合物「LC242」の量、及び、前記式(B2)で表される逆波長メソゲン化合物の量は、下記表4に示す通りにした。得られた混合物を、孔径0.45μmのメンブレンフィルターでろ過して、液状の評価用混合物を得た。
【0392】
基材上に、前記の評価用混合物を塗布及び乾燥させて、基材及び評価用混合物の層を備えるサンプルフィルムを得た。このサンプルフィルムをホットステージ(メトラートレンド社製)上に設置した。偏光顕微鏡によってサンプルフィルムを観察しながら、サンプルフィルムを昇温させた。そして、評価用混合物の層の液晶相への相転移が観察された場合、評価用混合物が液晶性を示すと判定し、相転移が観察されない場合、評価用混合物が液晶性を示さないと判定した。
【0393】
さらに、液状の液晶組成物の代わりに前記の評価用混合物を用いたこと以外は、実施例3で説明した支持体フィルム及び位相差層を備える複層フィルムの製造方法と同様にして、前記の評価用混合物から形成された位相差層を備える複層フィルムを得た。得られた複層フィルムの位相差層のレターデーションを、上述した方法で測定した。
【0394】
前記の参考例5〜9の結果を、下記の表4に示す。表4において、略称の意味は、下記のとおりである。
Re(450)/Re(550):波長450nm及び550nmにおける面内レターデーションRe(450)及びRe(550)の比。
Re(650)/Re(550):波長550nm及び650nmにおける面内レターデーションRe(650)及びRe(550)の比。
【0395】
【表4】
【0396】
参考例9から分かるように、前記式(B2)で表される逆波長メソゲン化合物は、単独では液晶性を示さない化合物である。
また、逆波長メソゲン化合物を含まない参考例5の位相差層のレターデーション比Re(450)/Re(550)よりも、逆波長メソゲン化合物を含む参考例6〜8の位相差層のレターデーション比Re(450)/Re(550)の方が小さいことから、式(B2)で表される逆波長メソゲン化合物は、ホモジニアス配向した評価用混合物において逆波長分散性の面内レターデーションを示すことが確認された。
【符号の説明】
【0397】
100 有機EL表示装置
110 有機EL素子
120 光学異方性積層体
121 位相差層
122 光学異方性層
130 直線偏光子
200 有機EL表示装置
210 有機EL素子
220 λ/4波長板
230 直線偏光子
240 光学異方性積層体
241 位相差層
242 光学異方性層
300 液晶表示装置
310 光源
320 光源側直線偏光子
330 液晶セル
340 視認側直線偏光子
350 光学異方性積層体
351 位相差層
352 光学異方性層
図1
図2
図3