(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下の実施の形態においては便宜上その必要があるときは、複数のセクションまたは実施の形態に分割して説明するが、特に明示した場合を除き、それらはお互いに無関係なものではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、詳細、補足説明等の関係にある。
【0023】
また、以下の実施の形態において、要素の数等(個数、数値、量、範囲等を含む)に言及する場合、特に明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でもよい。
【0024】
さらに、以下の実施の形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。
【0025】
同様に、以下の実施の形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは特に明示した場合および原理的に明らかにそうではないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似または類似するもの等を含むものとする。このことは、上記数値および範囲についても同様である。
【0026】
また、実施の形態を説明するための全図において、同一の部材には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0028】
(実施の形態1)
〈概要〉
本実施の形態1によれば、非接触送電装置は、無線通信による受電電力と送電電力差による検出、送電アンプの電源電圧を変えたときの受電端末の整流回路からの基本波および高調波レベルおよび送電アンプの電流値を計測する。
【0029】
〈非接触送電装置の構成例〉
図1は、本実施の形態1による非接触送電装置100における構成の一例を示す説明図である。
【0030】
非接触送電装置100は、
図1に示すように、電流値検出器101、可変電圧電源102、電界効果トランジスタ104、チョークコイル105、静電容量111,113,114,116、インダクタ112,115、共振容量121、送電コイル123、ピックアップコイル124、通信回路131、制御回路132、検波回路133,134,135、およびバンドパスフィルタ136,137,138を有する。
【0031】
電界効果トランジスタ104のドレインには、チョークコイル105を介して電流値検出器101、および可変電圧電源102が接続されている。電界効果トランジスタ104のドレイン−ソース間には、静電容量111が並列に接続されており、該電界効果トランジスタ104のドレインには、インダクタ112と静電容量113とが接続されている。
【0032】
また、電界効果トランジスタ104、チョークコイル105、静電容量111、インダクタ112、および静電容量113によって、E級のスイッチングアンプが構成されている。
【0033】
さらに、E級のスイッチングアンプの出力には、静電容量114、インダクタ115、および静電容量116から構成されるローパスフィルタが接続されている。このローパスフィルタは、第3のフィルタ部となる。
【0034】
静電容量114、インダクタ115、および静電容量116から構成されるローパスフィルタには、共振容量121が接続されており、該共振容量121には、送電コイル123が接続されている。また、共振容量121および送電コイル123によって直列共振回路が構成されている。なお、共振容量121は、送電コイル123と送電周波数によって共振するように値を選んでいる。
【0035】
送電コイル123およびピックアップコイル124は、図示しない充電パッドの表面あるいは充電パッドに埋め込まれるようにそれぞれ設けられている。充電パッドは、無接点の四角形状のパッドであり、例えば携帯端末125を該充電パッドに搭載することによって充電が行われる。
【0036】
送電コイル123は、充電パッドの外周部近傍に設けられており、ピックアップコイル124は、送電コイル123よりも内側に設けられており、例えば充電パッドの中心部近傍、言い換えれば送電コイル123の中心部近傍に設けられている。
【0037】
信号検出部であるピックアップコイル124の出力部は、第1のフィルタ部となるバンドパスフィルタ136,137,138が並列にそれぞれ接続されている。バンドパスフィルタ136,137,138は、送電周波数をMHz帯として、例えば、6.78MHzとした場合、基本波の6.78MHz、2倍高調波の13.56MHz、および3倍高調波の20.34MHzの周波数をそれぞれ通過させる。
【0038】
バンドパスフィルタ136,137,138を通過した信号は、検波回路133,134,135に入力されてそれぞれ検波されて検波電圧に変換される。これら検波回路133,134,135によって検波された検波電圧は、制御回路132にそれぞれ入力される。ピックアップコイル124、バンドパスフィルタ136〜138、検波回路133〜135、および制御回路132によって異物検出部が構成されている。
【0039】
ここで、
図1に示す携帯端末125は、非接触送電装置100の充電対象機器であり、例えばスマートフォンなどの携帯電話やタブレットなどの携帯型電子機器からなる。同じく
図1に示すICカード127は、充電対象機器ではなく、誤って充電パッドの近傍に配置された機器、すなわち非充電対象機器であり、異物であることを示している。
【0040】
充電対象機器である携帯端末125は、通信回路126が備えられている。通信回路126は、非接触送電装置100が有する通信回路131と通信を行う。通信回路131は、通信部となる。通信回路126と通信回路131との通信は、例えば充電対象機器であるか否かの認証や充電制御などに用いられる。
【0041】
電流検出部である電流値検出器101は、給電中に電界効果トランジスタ104に流れる電流を計測する。可変電源部である可変電圧電源102は、制御信号に基づいて、任意の電圧レベルの電源電圧を出力する。制御回路132は、電流値検出器101の計測結果や通信回路126を介し、現在、携帯端末125が受電している電力量などの受電の状態を受信し、その結果に基づいて、上述した制御信号を生成して可変電圧電源102に出力する。
【0042】
〈E級スイッチングアンプの動作例〉
続いて、上述した電界効果トランジスタ104、チョークコイル105、電流値検出器101、可変電圧電源102、静電容量111、インダクタ112、 および静電容量113によって構成されるE級のスイッチングアンプの動作について説明する。
【0043】
送電周波数として6.78MHzとした場合、チョークコイル105は、6.78MHzにてインピーダンスがかなり高くなるように値を選んである。そのため、チョークコイル105には、ほぼ一定の値の高周波電流が流れる。
【0044】
ここで、電界効果トランジスタ104のゲートを送電周波数にてオン/オフするドライブ信号103を印加する。このドライブ信号103は、制御回路132から出力される。
【0045】
電界効果トランジスタがオン状態のとき、静電容量111は、ショート状態になるため、インダクタ112と静電容量113とによる共振回路を構成する。電界効果トランジスタ104がオフ状態のときは、静電容量111、インダクタ112および静電容量113による共振回路を形成する。
【0046】
このとき、インダクタ112と静電容量113との共振回路による共振周波数と、静電容量111、インダクタ112、および静電容量113の共振回路による共振周波数とは、静電容量111の有り、なしによって若干値が異なる。
【0047】
しかし、送電周波数がこれらの共振周波数の間にあるように、静電容量111、インダクタ112、および静電容量113の値を選ぶことによって、E級スイッチングアンプからは高効率で送電電力が出力される。
【0048】
また、E級スイッチングアンプの出力電力は、電界効果トランジスタ104のドレインに加える電源電圧を高くすると送電の振幅が大きくなり送電電力は高くなるので、電源電圧により調整が可能となる。
【0049】
〈E級スイッチングアンプのフィルタ回路について〉
ここで、静電容量114、インダクタ115、および静電容量116によって構成されるローパスフィルタについて説明する。
【0050】
静電容量114、インダクタ115、および静電容量116によって構成されるフィルタ回路は、3次のローパスフィルタとなっている。これは、後段に接続される送電コイル123が共振容量121と直列共振回路となっているためであり、もし、携帯端末125がない場合、送電コイル123および共振容量121は、直列共振によりショート状態となる。
【0051】
そのため、フィルタ回路は、静電容量114およびインダクタ115による並列回路となり、さらに、これらの共振周波数は、送電周波数に近い値で設計されるため、送電アンプである電界効果トランジスタ104の負荷のインピーダンスは高くなる。これによって、充電対象機器となる携帯端末125がない場合には、電界効果トランジスタ104に不要な過電流が流れないようにしている。
【0052】
以上のような3次のローパスフィルタは、送電コイル側が低いインピーダンスの場合は、電界効果トランジスタ104の負荷としてはインピーダンスが高くなる。一方、送電コイル側が高いインピーダンスの場合には、インダクタ115と静電容量116とによる直列回路によってインピーダンスが下がる。
【0053】
このため、3次のローパスフィルタは、負荷のインピーダンス値を反転させる働きを持っていること分かる。以上は、3次のローパスフィルタであったが、3次のローパスフィルタを2段接続した5次のローパスフィルタでは、インピーダンスの反転が元に戻る。
【0054】
この場合、携帯端末125がない場合、電界効果トランジスタ104の出力の負荷インピーダンスが下がるので、該電界効果トランジスタ104には過電流か流れて、動作としては不安定となる。
【0055】
このことから、フィルタ回路には、3次、7次、または11次のローパスフィルタを用いることによって、充電対象機器の携帯端末125がない場合に、電界効果トランジスタ104の過電流が流れない構成とすることができる。
【0056】
〈充電のシーケンス〉
次に、非接触送電装置100による充電のシーケンスについて説明する。
【0057】
図2は、
図1の非接触送電装置100による充電シーケンスの一例を示すフローチャートである。この
図2は、携帯端末125の充電中における異物のシーケンスについて示したものである。
【0058】
まず、制御回路132は、電界効果トランジスタ104にドライブ信号103を出力してE級アンプを動作させ、送電コイル123に充電対象機器である携帯端末125の通信回路126がオンとなる程度の弱い電力の送電を開始する(ステップS101)。
【0059】
制御回路132は、携帯端末125との通信が開始されたか否かの判定を行う(ステップS102)。ステップS102の処理において、充電対象機器の携帯端末125が充電パッドの近傍に配置されると、送電電力を受電した電力によって該携帯端末125の通信回路126がオンとなり、通信が開始される。また、携帯端末125との通信が開始されない場合、すなわち携帯端末125が充電パッドの近傍に置かれていない場合には、ステップS101の処理に戻る。
【0060】
続いて、携帯端末125との通信が開始されると、該携帯端末125の充電を開始せずに送電を開始する(ステップS103)。そして、その時の電界効果トランジスタ104に流れる電流および各高調波の計測を行う(ステップS104)。電流値は、上述のように電流値検出器101によって測定され、各高調波は、検波回路133〜135によって測定される。
【0061】
制御回路132は、計測した電流および各高調波の値がそれぞれ定められた設定しきい値の範囲内にあるか否かを判定する(ステップS105)。ステップS105の処理において、計測した電流および各高調波の値がそれぞれ定められた設定しきい値の範囲内であった場合、制御回路132は、携帯端末125の充電を開始する(ステップS107)。
【0062】
また、ステップS105の処理にて、計測した電流および各高調波の値がそれぞれ設定しきい値の範囲内を超える場合、制御回路132は、アラートを出力して送電をストップして携帯端末125の充電動作を停止させる(ステップS106)。
【0063】
ここで、上記の設定しきい値の判定について一例を示すと、2倍の高調波レベルが設定しきい値よりも高い場合や、基本波レベルが設定しきい値よりも高い場合、あるいはアンプの電流が設定しきい値範囲よりも高い場合、ICカード127などの異物が近傍に置かれている可能性が高いと考えられるので、送電をストップするなどの対応を図る。
【0064】
このステップS106の処理では、制御回路132は、アラートとして、例えば異物を検出したことを示すメッセージ情報を通信回路131から送信する。携帯端末125の通信回路126は、通信回路131から送信されたメッセージ情報を受信すると、該携帯端末125が有するモニタなどにメッセージを表示する。このとき、警告音などを出力するようにしてもよい。
【0065】
ステップS107の処理において、携帯端末125の充電が開始されると、制御回路132は、可変電圧電源102に制御信号を出力して、ある一定間隔にて電界効果トランジスタ104における電源電圧の電圧レベルを上下させて、電界効果トランジスタ104に流れる電流値を計測する(ステップS108)。
【0066】
そして、制御回路132は、測定した電流値がそれぞれ定められた設定しきい値の範囲内であるか否かを判定する(ステップS109)。電流値が設定しきい値の範囲内を超える場合、制御回路132は、アラートを出して送電をストップする(ステップS110)。あるいは、携帯端末125の充電動作を停止して(ステップS111)、ステップS104の処理に戻り電流値と各高調波の値を再度測定し直してもよい。
【0067】
ここで、上記の設定しきい値の判定について一例を示すと、電源電圧増加に対するアンプの電流変化量が設定しきい値よりも少ない場合は、充電中にICカード127などの異物が近傍に置かれた可能性が高いと考えられるので送電をストップするなどの対応を図る。
【0068】
また、ステップS109の処理において、計測した電流値が設定しきい値以下であれば、携帯端末125の充電が完了するまで充電を続ける(ステップS112)。
【0069】
以上の動作により、充電対象機器を検出してから充電が完了するまでの異物検知を含めた充電動作が終了となる。
【0070】
ここで、ステップS108の処理では、ある一定間隔にて電界効果トランジスタ104の電源電圧の電圧レベルを上下させて、電界効果トランジスタ104に流れる電流値を計測していたが、これに加えて、携帯端末125の受電電力と非接触送電装置100が送信する送電電力との差を比較し、この差がある設定しきい値以上であると、異物があると検出するようにしてもよい。この送電電力との差の比較は、ステップS108の処理の代わりもしくは並行して行うようにしてもよいし、さらに、ステップS108にて高調波レベルの計測を行ってもよい。
【0071】
また、受電電力は、携帯端末125が有する図示しない受電電力計測部によって計測され、計測された受電電力は、携帯端末125の通信回路126から通信回路131に送信される。
【0072】
そして、受電電力を受け取った制御回路132は、受電電力と送電電力との差を算出して、その差が設定しきい値以上であるか否かを判定する。この受電電力と送電電力との差による異物検出技術については、例えば金属異物などの検出に有効であり、後述にて詳しく説明する。
【0073】
〈非接触送電装置の異物検出動作例〉
続いて、
図1の非接触送電装置100の異物検出動作について説明する。
【0074】
ここでは、非接触送電装置100による送電が開始されるまでの動作および
図1のICカード127などの異物を検出する動作につい説明する。
【0075】
まず、非接触送電装置100は、通信回路131によって携帯端末125の通信回路126との通信を行うことによって、充電対象機器である携帯端末125か否かの認証を行った後、充電を開始する。
【0076】
この時、携帯端末125が有する図示しない整流回路からは、受電周波数の高調波成分が同じく携帯端末125が有する図示しない受電コイルから逆に放射される。受電コイルは、送電コイル123から送電された信号を受信する。整流回路は、受電コイルが受電した信号を整流して直流電圧に変換する。
【0077】
ピックアップコイル124は、放射された高調波成分を検出して、検出した該高調波成分をバンドパスフィルタ136〜138に入力する。バンドパスフィルタ136は、ピックアップコイル124が検出した高調波成分から基本波を分離する。バンドパスフィルタ137は、検出した高調波成分から2倍の高調波成分を分離する。バンドパスフィルタ138は、検出した高調波成分から3倍の高調波成分を分離する。
【0078】
そして、バンドパスフィルタ136〜138により、基本波、2倍の高調波成分、および3倍の高調波成分に分離された信号は、検波回路133〜135によってそれぞれ検波される。
【0079】
このとき、異物であるICカード127などが誤って送電コイル123、すなわち充電パッド上の近傍に置かれた場合には、該ICカード127からも高調波成分が発生し、その高調波成分がピックアップコイル124により検出される。
【0080】
ICカード127などが誤って充電パッド上の近傍に置かれて、その高調波成分を検出した場合、制御回路132は、通信回路131によって携帯端末125の通信回路126を介して携帯端末125に搭載されたバッテリへの充電動作を一時的にオフ状態とするコマンドを出力する。
【0081】
これにより、携帯端末125の整流回路に流れる電流が減ることから、高調波の発生レベルが小さくなるので、ICカード127などの異物が誤って置かれていた際に発生する該ICカード127からの高調波を検出しやすくすることができる。これにより、ICカード127など異物の検出精度を向上させることができる。
【0082】
なお、携帯端末125のバッテリへの充電をオフ状態とする動作は、携帯端末125が充電パッドに置かれて認証が完了して充電が開始される時や、あるいは携帯端末125の充電中に定期的に充電をオフ状態としてもよい。
【0083】
また、異物の検出は、電界効果トランジスタ104に流れる電流値によっても検出される。
【0084】
例えば、ICカード127などの異物が置かれた場合、ICカード127の受電アンテナには、送電電力により起電力が発生して該ICカード側の回路に電流が流れる、そのため、電界効果トランジスタ104に流れる電流も変化することから、その変化量も測定して異物検出を行う。
【0085】
具体的には、携帯端末125の充電中に、制御回路132が定期的に可変電圧電源102の電源電圧を上下させるように制御信号を出力する。そのときに電界効果トランジスタ104に流れる電流を電流値検出器101によって計測する。
【0086】
この時の電圧変化時の電流変化量がある一定値以下となると、ICカード127などによる異物によって送電電力の一部が消費されている可能性が考えられる。この電圧変化時の電流変化量の関係については後で詳しく説明するが、電圧変化に対する電流変化量が、充電対象機器のみのときとICカード127などの異物があった場合に異なるためである。その際、制御回路132は、異物を検出したと判定して、通信回路131によって携帯端末125の通信回路126を介して携帯端末125に搭載されたバッテリへの充電動作を一時的にオフ状態とするコマンドを出力する。
【0087】
以上、携帯端末125のバッテリへの充電をオフ状態として高調波レベルを検知する技術に加えて、充電中に送電アンプである電界効果トランジスタ104の電源電圧を変化したときの該電界効果トランジスタ104に流れる電流の変化を検出する技術を用いることで、ICカード127などの異物検出精度をより向上させることができる。
【0088】
なお、本実施の形態では、上述した高調波レベルを検知する技術と電流の変化を検出する技術とを用いた場合について記載したが、いずれか1つの技術を用いた場合であっても、高精度な異物検出を行うことのできる非接触送電装置100を実現することができる。
【0089】
〈異物検出技術について〉
続いて、
図1の非接触送電装置100による異物検出技術について説明する。
【0090】
送電周波数が6.78MHz帯の非接触給電を考えた場合、100kHz帯の非接触給電に見られるような表皮効果による金属発熱はほとんどない。むしろ、コイルの磁界の変化を遮ることによる共振周波数ずれによる効率劣化や、共振周波数が比較的近い13.6MHz帯のICカードと結合することでICカードが発熱して故障するなど他の無線機器への干渉が考えられる。
【0091】
金属異物による共振周波数ずれについては、受電側の機器で受電される電力値データを無線通信により非接触送電装置100に伝送し、送電電力と送信された受電電力値とを比較し、送電と受電の電力差がある値以上であると、金属異物による共振周波数ずれが発生しているものと推定できるので、金属異物の検出は行うことが可能である。
【0092】
しかし、ICカードなど共振周波数が近い機器に対しては、ある程度検出感度を高くしておかないと機器を壊してしまう恐れがある。一方、ICカードなどでは、該ICカードが有する受電用のアンテナにて受電した電力をダイオードなどによる整流回路によって整流することで動作電源としているが、整流の際には、ダイオードの非線形特性により、高調波成分が発生する。
【0093】
この高調波の場合は、特に2倍高調波や3倍の高調波成分が高く発生する。このとき、受電側の機器により、整流回路に用いられるダイオードの電流容量が異なることなどから特性が異なるため、高調波レベルの発生にも差が発生する。
【0094】
また、ICカードの場合、その動作周波数は、13.56MHzであるため、2倍の高調波は、27.12MHz、3倍の高調波は、40.68MHzとなる。一方、送電周波数が6.78MHzの場合、2倍の高調波は13.56MHz、3倍は20.34MHzとなる。
【0095】
ここで、6.78MHzの3倍は、20.34MHzであるが、動作周波数として13.56MHzを用いるICカードでは、発生しない周波数である。
【0096】
以上のことから、受電側の機器からの高調波をピックアップするピックアップコイル124を設けるとともに、バンドパスフィルタ136〜138により各高調波成分を分離して、その後、検波回路133〜135により検波することで各高調波レベルを検出することができる。
【0097】
〈高調波検出技術例〉
続いて、
図1の非接触送電装置100における高調波検出の具体的な検討技術について説明する。
【0098】
図3は、
図1の非接触送電装置100が有する電界効果トランジスタ104に流れる電流値およびピックアップコイル124が検出する基本波/高調波の一例を示す説明図である。
【0099】
この
図3は、
図1の送電コイル123の略中心にピックアップコイル124を実装した際に、該ピックアップコイル124の5mm程度上方の位置に受電機器である携帯端末125を置いた場合の測定結果の一例を示している。
【0100】
また、異物としては、ISO(International Organization for Standardization)/IEC(International Electrotechnical Commission)18092規格のTypeAおよびFeliCa(登録商標)のICカードについても同様に計測を行っている。TypeAは、例えばtaspoや住民基本台帳カードなどに用いられているICカードである。
【0101】
なお、測定に用いた送電コイル123は、縦12.5cm程度、横14.8cm程度であり、巻き数は、5ターンである。また、ピックアップコイル124は、直径20mm程度であり、巻き数は、3ターンである。
【0102】
図3に示すように、FeliCaについては、送電アンプ、すなわち電界効果トランジスタ104に流れる電流が小さいにもかかわらず、特に2倍の高調波レベルが高いことから、FeliCaにて発生する高調波のうち、2倍の高調波の検出と送電アンプに流れる電流値とを検出することで検出が可能と考えられる。
【0103】
一方、TypeAは、2倍および3倍の高調波レベルは比較的低い値であり、受電端末、すなわち携帯端末125との識別は難しいと考えられる。一方、基本波レベルと送電アンプの電流については、受電端末とTypeAとで差がみられる。このことから、これら基本波レベルおよび送電アンプの電流の値によって検出可能と考えられる。
【0104】
ただし、これらは単独にて存在した場合であるため、例えば、充電対象機器と非充電対象機器のICカードが同時に置かれた場合、受電対象機器は、様々な充電の仕様が存在すると考えられることから、充電対象機器が無線充電されているときにICカードの検出は難しいと考えられる。
【0105】
このため、高調波検出のときは、前述したように非接触送電装置100から充電対象機器側、すなわち携帯端末125に対して受電動作を一旦停止するように制御するコマンドを送信して充電動作を停止させた後に、高調波および送電アンプの電流を計測する。
【0106】
なお、
図3の結果からも分かるように、3次高調波を検出しなくても異物の判定は、2次高調波まで検出すれば判定は可能であることが分かる。
【0107】
また、もう1つの精度向上技術である電界効果トランジスタ104の送電電圧を制御して送電電力を変えた場合の該電界効果トランジスタ104に流れる電流値を検出する技術について検討する。
【0108】
図4は、
図1の送電コイル123を用いた際の電界効果トランジスタ104の電源電圧に対する電流の測定結果の一例を示す説明図である。この
図4における送電コイル123およびピックアップコイル124の測定条件は、
図3と同様である。
【0109】
また、受電端末である携帯端末125は、
図3と同様に送電コイル123の5mm程度上方に置き、該受電端末の隣には、異物としてTypeAタイプのICカードがあった場合とない場合の電流値を測定したものである。
【0110】
図4において、受電端末のみの場合は、送電電圧を上げて送電電力を高くすると送電アンプである電界効果トランジスタ104に流れる電流が小さくなることが分かる。これは、受電端末が有する整流回路の後段に接続されるDC−DCコンバータは、受電側の負荷が一定となるように、負荷に対して出力電圧を一定にするよう動作する。
【0111】
そのため、送電電力を高くすると、受電側電力が過剰となるため、DC−DCコンバータの入力抵抗が大きくなることで、送電アンプに流れる電流が小さくなるからである。これに対し、ICカードなどの異物は、伝送周波数が異なるため回路としては動作せず、また、ICカードの受電アンテナであるコイルに接続される整流回路に付加された過入力時の保護用ダイオードなどに電流が流れるので、送電電力が大きくなるにしたがって、送電アンプに流れる電流は増加する。
【0112】
図において、電源電圧を4.5V程度から8V程度まで増やした場合、受電端末のみの場合は、アンプに流れる電流が110mA程度減少するのに対し、受電端末に加えICカードがある場合、アンプに流れる電流の減少が95mA程度とICカードがある場合の変化量が小さくなることが分かる。
【0113】
このため、充電中に送電電圧を変えたときの送電アンプの消費電流の変化を見れば、送電中であっても異物検知を可能にすることができる。
【0114】
ここで、ICカードにて消費される電流は、送電コイル123に受電端末のみを載せた場合の送電アンプの電流と、受電端末およびTypAを載せた場合の電流特性との差となる。
【0115】
以上により、受電端末が充電中の時でも充電動作を停止しなくともICカード127などの異物の検知精度を向上させることができる。また、トロイダルコアが不要となるため、そこでの損失がなく低損失な非接触送電装置100を実現することができる。さらに、トロイダルコアなどの大型の電子部品が不要となり、非接触送電装置100を小型化することができる。
【0116】
なお、以上は、非充電対象機器がICカード127の場合であるが、例えばICカード機能を搭載した非接触充電に対応していない携帯端末などについても、非充電対象機器となる。この場合、ICカード機能を搭載しているので、携帯電話は、ICカード127と同様の回路構成を有する。そのため、上記した携帯電話なども、ICカード127と同様に、異物検出を行うことができる。
【0117】
(実施の形態2)
〈概要〉
前記実施の形態1の
図1におけるピックアップコイルは、例えば巻き数が3ターン程度を想定していたが、本実施の形態2では、巻き数が1ターンのピックアップコイルを用いた場合について説明する。
【0118】
〈非接触送電装置の構成例および動作〉
図5は、本実施の形態2による非接触送電装置100における構成の一例を示す説明図である。
【0119】
図5において、前記実施の形態1の
図1と同様の動作を行うものは同じ符号を付し、説明を省略する。
【0120】
図5の非接触送電装置100が前記実施の形態1の
図1と異なる点は、発振器202、可変分周回路203、ミキサ回路205、およびローパスフィルタ206が新たに追加されているところである。
【0121】
さらに、バンドパスフィルタ204、および検波回路201が、それぞれ1つになっている点である。また、ピックアップコイル124は、送電コイル123の外周側に設けられており、巻き数は、1ターンである。ローパスフィルタ206は、第2のフィルタ部である。また、発振器202、可変分周回路203、およびミキサ回路205によって信号変換部が構成される。
【0122】
ピックアップコイル124の一端には、ローパスフィルタ206の入力部が接続され、該ローパスフィルタ206の出力部には、ミキサ回路205が接続されている。また、ミキサ回路205には、可変分周回路203の出力部、およびバンドパスフィルタ204の入力部がそれぞれ接続されている。
【0123】
発振器202は、クロック信号を生成する。発振器202が生成したクロック信号は、可変分周回路203に入力される。可変分周回路203は、クロック信号を分周して出力する。可変分周回路203は、クロック信号を分周する。可変分周回路203は、制御回路132から出力される分周制御信号に基づいて、分周比が任意に設定される。
【0124】
ピックアップコイル124が検出した高調波成分は、ローパスフィルタ206によってフィルタリングされた後、ミキサ回路205において、ローカル信号によりある一定の中間周波信号に変換される。ローカル信号は、発振器202が生成するクロック信号を可変分周回路203が分周した信号である。
【0125】
ミキサ回路205によって変換された中間周波信号は、バンドパスフィルタ204を介し、検波回路201により検波される。これによって、ピックアップコイル124がピックアップした高調波をミキサ回路205によって、略一定の周波数に変換することができるので、3倍以上の高調波であっても検出することができる。
【0126】
以上により、巻き数が1ターンのピックアップコイル124を送電コイル123よりも外側に設けることにより、より広い範囲において高調波を検出することができる。
【0127】
(実施の形態3)
〈概要〉
本実施の形態3においては、複数のピックアップコイルを備え、これらのピックアップコイルから高調波の測定に最適なピックアップコイルを選択する技術について説明する。
【0128】
この構成によって、充電対象機器の携帯端末および異物の検出範囲を広げることができる。また。携帯端末が充電エリアのどのあたりに置かれているか推測も可能とすることができる。
【0129】
なお、ピックアップコイルは、送電コイルとの結合度が低くて検出レベルが小さくとも検出できるので、複数のピックアップコイルを備えた場合であっても損失は小さい。
【0130】
〈非接触送電装置の構成例および動作〉
図6は、本実施の形態3による非接触送電装置100における構成の一例を示す説明図である。
図6において、前記実施の形態2の
図5と同様の動作を行うものは同じ符号を付し、説明を省略する。
【0131】
図6の非接触送電装置100が
図5の非接触送電装置100と異なるところは、4つのピックアップコイル301a,301b,301c,301dおよびスイッチ回路304が新たに設けられている点である。
【0132】
なお、
図6では、4つのピックアップコイルを設けた構成としたが、該ピックアップコイルの数は、これに制限されるものではなく、例えば5以上であってもよい。
【0133】
送電コイル123よりも内側の左側には、ピックアップコイル301aおよびピックアップコイル301cが上下方向にそれぞれ配置されている。また、送電コイル123よりも内側の右には、ピックアップコイル301bおよびピックアップコイル301dが上下方向にそれぞれ配置されている。
【0134】
各々のピックアップコイル301a,301b,301c,301dは、スイッチ回路304にそれぞれ接続されている。スイッチ回路304は、制御回路132から出力されるスイッチ制御信号に基づいて、ピックアップコイル301a,301b,301c,301dのうち、いずれか1つのピックアップコイルを選択してローパスフィルタ206に接続する。
【0135】
制御回路132は、スイッチ制御信号によって、ローパスフィルタ206に接続するピックアップコイルを順次切り替える。スイッチ回路304によって選択されたピックアップコイルよりピックアップされた高調波は、
図5と同様に、ローパスフィルタ206、ミキサ回路205、およびバンドパスフィルタ204を介して検波回路201により検波される。
【0136】
そして、制御回路132は、検波回路201が検出した検波電圧を比較して、最も大きい検波電圧を検出したピックアップコイルを判定することができる。これにより、制御回路132は、ピックアップコイルの判定結果から非充電対象機器のICカード127が充電パッドのどの位置にあるのかを推測することも可能となる。同様に、充電パッドの置かれた携帯端末125の位置についても推測することができる。
【0137】
以上により、複数のピックアップコイルを設けた構成とすることによって、異物の検出精度を、より向上させることができる。また、充電パッドの置かれた携帯端末125や非充電対象機器であるICカード127の位置についても推測することができる。
【0138】
(実施の形態4)
〈概要〉
本実施の形態4では、複数の非接触送電装置および複数の携帯端末を有する場合に、正しい組み合わせの充電(以下、正規充電という)が行われているかを知らせる技術について説明する。
【0139】
〈充電例〉
図7は、本実施の形態4による2つの非接触送電装置100a,100bおよび2つの携帯端末125a,125bによる充電の一例を示す説明図である。
【0140】
この
図7は、2つの非接触送電装置100a,100bによって、2つの携帯端末125a,125bをそれぞれ充電する場合を示したものである。携帯端末125aは、非接触送電装置100aによって充電される機器であり、携帯端末125bは、非接触送電装置100bによって充電される機器である。また、非接触送電装置100a,100bにおける構成は、前記実施の形態1の
図1と同様であるので、説明は省略する。
【0141】
図7において、正しい組み合わせである携帯端末125aを非接触送電装置100aにて充電、すなわち正規充電しようとしたとき、携帯端末125aと非接触送電装置100aとは、双方で無線データ通信を行い、相手の機器を認証して制御のためのデータ通信ができるようになる。
【0142】
携帯端末125aと非接触送電装置100aとが認証を行った後、携帯端末125aを非接触送電装置100bに置いた場合、携帯端末125aと非接触送電装置100bとの間では、認証が行われていないため、携帯端末125aに対して正しく充電がなされない。この場合には、充電がなされないことを示すアラートが携帯端末125aが有するディスプレイなどに表示されることによって判別することができる。
【0143】
しかし、携帯端末125aと非接触送電装置100aとの認証および携帯端末125bと非接触送電装置100bとの認証がそれぞれ確立された後、携帯端末125bが誤って非接触送電装置100aに置かれた場合には、双方で充電が可能な状態となり、充電が開始されることになる。
【0144】
これによって、携帯端末125aは、非接触送電装置100bによって充電され、携帯端末125bは、非接触送電装置100aによって充電される状態が発生してしまう。この状態において、携帯端末125aの充電が完了すると、非接触送電装置100bは、充電の完了を知ることができず、充電を継続する。その一方で、非接触送電装置100aにおいては、携帯端末125bの充電が完了していなくて、充電を終了してしまう。
【0145】
このような不具合が生じないようにするために、充電対象機器である携帯端末と非接触送電装置との認証が終了した後、それぞれの携帯端末に相手側の機器の名称などを表示するようにすることで、正しい組み合わせによって充電がされているかを知ることが可能となる。
【0146】
非接触送電装置100aの制御回路132は、携帯端末125aとの認証が終了すると、例えば認証した携帯端末125aの機器名称の情報を通信回路131から該携帯端末125aに送信する。
【0147】
携帯端末125aは、受信した機器名称などの情報を該携帯端末125aが有する図示しないモニタなどに表示する。非接触送電装置100bおよび携帯端末125bについても同様の動作を行うものとする。これによって、ユーザは、目視によって正規充電が行われていることを確認することができる。
【0148】
また、
図7に示すように、携帯端末125a,125bおよび非接触送電装置100a,100bに、例えばLED901などの簡易な発光部を装着するようにしてもよい。そして、LED901を同時に点滅させたり、呼応させるように点滅させることで、ユーザは正しい携帯端末と非接触送電装置との組み合わせを知ることができる。
【0149】
〈正規充電の判定例〉
続いて、正規充電されているかを判定する技術について説明する。
【0150】
図8は、
図7の携帯端末125aと非接触送電装置100aとのデータ通信および非接触送電装置からの送電電力のタイミングの一例を示した説明図である。なお、
図8では、携帯端末125aおよび非接触送電装置100aの例について示しているが、携帯端末125bおよび非接触送電装置100bについても同様である。
【0151】
以下に説明する処理は、
図1に示す制御回路132が主体となって動作する。
【0152】
まず、非接触送電装置100aが充電を開始する時には、携帯端末125aと非接触送電装置100aとの間にてデータ通信による認証が行われる。ここで認証が確立されると、非接触送電装置100aと携帯端末125aとの間で情報の受け渡しが可能となる。非接触送電装置100aと携帯端末125aとの通信は、前記実施の形態1の
図1における通信回路131と通信回路126とによって行われる。
【0153】
認証が確立した後、非接触送電装置100aは、設定されたタイミングによって送電の入り切りを行う。送電の入り切りは、
図8に示したように複数回行ってもよいし、あるいは、送電の強弱を変えて行ってもよい。
【0154】
非接触送電装置100aの制御回路132は、送電の期間と合わせて、開始と終了のタイミングの情報をデータ通信により送る。携帯端末125aは、そのタイミングに合わせて、適正に受電できたかを確認する。この確認結果は、非接触送電装置100aにも送信される。
【0155】
あるいは非接触送電装置100aが送電の入り切りを行った際に、受電装置側の携帯端末125aにて送電を受けたタイミングにて応答信号を非接触送電装置100aに返すようにしてもよい。
【0156】
制御回路132は、応答信号が送電の入り切りのタイミングに応じて返信されているか否かを判定し、応答信号のタイミングが正しければ、認証した携帯端末125aが正しく充電パッドの近傍に置かれていると判定する。
【0157】
また、非接触送電装置100aが送電の強さの情報を送信して、受電装置側の携帯端末125aにて受電された電力の強さを計測して、受電する電力の強さが目標値となるように送電の強さを適切に制御するようにしてもよい。
【0158】
以上により、非正規充電を低減することができる。また、適切な電力にて送受電を行うことができるので、効率よく短時間で充電を完了することが可能となる。
【0159】
(実施の形態5)
〈概要〉
本実施の形態5では、非接触送電装置100が複数の受電装置350に対して送電を行う場合について説明する。
【0160】
〈非接触送電装置の構成例〉
図9は、本実施の形態5による非接触送電装置100における構成の一例を示す説明図である。
【0161】
なお、この
図9では、非接触送電装置100が2つの受電装置に給電が可能であり、該非接触送電装置100によって、2つの受電装置350,351に給電する例を示している。
【0162】
非接触送電装置100は、
図9に示すように、電流値検出器101、可変電圧電源102、電界効果トランジスタ104、チョークコイル105、静電容量111,113,114,116、インダクタ112,115、共振容量121、送電コイル123、通信回路131、および制御回路132を有する。
【0163】
また、電流値検出器101、可変電圧電源102、電界効果トランジスタ104、チョークコイル105、静電容量111,113,114,116、インダクタ112,115、共振容量121、送電コイル123、およびピックアップコイル124により、電源部が構成される。
【0164】
図9に示す非接触送電装置100が、前記実施の形態1の
図1に示す非接触送電装置100と異なる点は、
図1に示すピックアップコイル124、検波回路133,134,135、およびバンドパスフィルタ136,137,138を有していないところである。その他の構成については、
図1の非接触送電装置100と同様であるので説明は省略する。
【0165】
受電装置350は、
図1に示す充電対象機器である携帯端末125などが有するものである。受電装置350は、図示するように、通信回路126、制御回路352、および電源回路353を有する。
【0166】
通信回路126は、
図1において説明したように、非接触送電装置100が有する通信回路131と通信を行う。制御回路352は、通信回路126を通じて充電対象機器であるか否かの認証や後述する電源回路353の充電制御などを行う。
【0167】
電源回路353は、非接触送電装置100から送電された信号を整流して直流電圧に変換して該携帯端末125が有する図示しないバッテリの充電電源として供給する。
【0168】
ここでは、受電装置350について説明したが、受電装置351についても受電装置350と同様に、通信回路126、制御回路352、および電源回路353を有する構成からなる。
【0169】
〈充電動作例〉
続いて、非接触送電装置100による充電動作について説明する。
【0170】
まず、受電装置350が非接触送電装置100の通信回路131の通信範囲内に入ると該受電装置350の制御回路352は、通信回路126を通じて、非接触送電装置100の通信回路131を通じて制御回路132とデータ通信を行う。
【0171】
ここで、受電装置350、すなわち携帯端末125は、充電が必要な状態であるとする。その情報を通信により受電装置350から得た送電装置1は、該受電装置2に対して給電を行う。
【0172】
通信回路131は、例えば時分割などにより複数の通信回路と通信することが可能であり、通信回路126と通信中の状態であっても、他の受電装置との通信を行うことができる。例えば、通信回路126と通信中に、通信回路131の通信範囲内に新たに受電装置351が入ってきた際に、受電装置351の通信回路126との通信が可能となる。
【0173】
上述したように、非接触送電装置100は、2つの受電装置に電力をそれぞれ給電することができるので、受電装置351の通信回路126を通じた通信によって受電装置351の充電が必要と判断された場合、非接触送電装置100は、受電装置351に対しても給電を行う。
【0174】
ここで、非接触送電装置100は、受電装置350および受電装置351に対して、略同時に給電を行ってもよいし、時分割にて、受電装置350と受電装置351とに対して給電を切り替えて行うようにしてもよい。
【0175】
図10は、
図9の非接触送電装置100における他の構成例を示す説明図である。
【0176】
図10においては、2つの受電装置350,351に対して時分割にて通信を行うのではなく、2つの受電装置350,351に対して略同時に通信を行い、2つの受電装置350,351に略同時に給電を行うことのできる例を示している。
【0177】
この場合、非接触送電装置100は、2つの送電部140,141を有する。これら送電部140,141の構成は、
図9の非接触送電装置100とそれぞれ同様の構成からなる。
【0178】
すなわち、送電部140,141は、電流値検出器101、可変電圧電源102、電界効果トランジスタ104、チョークコイル105、静電容量111,113,114,116、インダクタ112,115、共振容量121、送電コイル123、通信回路131、および制御回路132をそれぞれ有する。
【0179】
このように、2つの送電部140,141をそれぞれ設けることにより、2つの受電装置350,351に対して略同時に通信を行うことが可能となり、それに加えて、2つの受電装置350,351に対して、略同時に給電を行うことができる。なお、非接触送電装置100における送電部の数は、特に制限なく、例えば3つ以上の送電部を有する構成であってもよい。
【0180】
送電部140,141がそれぞれ有する通信回路131を通じて非接触送電装置100の制御回路132とそれぞれ通信することによって、受電装置350,351の充電状況をそれぞれ確認し、必要であれば受電装置350,351に給電を行うことができる。
【0181】
このような構成にすることで、上述したように受電装置350,351に対して略同時に給電を行うことができる。また、それぞれの受電装置350,351に応じた給電を個別に行うことができる。これにより、短時間で効率よく充電を行うことができる。なお、送電部140,141は、図示しない制御部によって給電動作が制御される。
【0182】
図11は、
図9の非接触送電装置100による使用の一例を示す説明図である。
【0183】
この
図11において、非接触送電装置100は、2台の充電対象機器を給電することができるものであり、該非接触送電装置100に対して、給電可能台数を上回る3台の充電対象機器である携帯端末125a〜125cが充電を要求している場合について示している。また、携帯端末125a〜125cには、
図9の受電装置350をそれぞれ有しているものとする。
【0184】
非接触送電装置100において、充電の際に携帯端末125を載置する給電パッド355の表面には、例えばタッチパネルや液晶ディスプレイなどの表示部356が設けられている。
【0185】
ここで、充電対象機器である携帯端末125については、携帯電話やスマートフォン、タブレットなどの通信機器以外であってもよく、例えばスマートウォッチ、補聴器などの医療サポート機器、工具や充電池など、特に限定はない。
【0186】
上述したように、
図11に示す非接触送電装置100は、2台の携帯端末に給電をすることができる。例えば給電パッド355に携帯端末125aおよび携帯端末125bが載置されると、非接触送電装置100は、携帯端末125aおよび携帯端末125bとの通信を行うことにより、携帯端末125a,125bにそれぞれ給電が可能な状態となる。
【0187】
その後、それに加えて携帯端末125cが充電のために給電パッド355に載置されると、非接触送電装置100は、携帯端末125cと通信することにより、該携帯端末125cの充電が必要な状態であることを把握する。
【0188】
しかし、すでに非接触送電装置100の給電可能な台数を越えているため、携帯端末125cには給電ができない。そこで、非接触送電装置100は、どの携帯端末に給電するかを選択する選択処理を行う。
【0189】
〈充電対象機器の選択処理例〉
図12は、
図9の非接触送電装置100による給電可能台数を超えた際の携帯端末の選択処理の一例を示したフローチャートである。
【0190】
まず、非接触送電装置100の制御回路132は、給電パッド355に載置された携帯端末125の台数を検出する(ステップS201)。これは、制御回路132が携帯端末125の受電装置350がそれぞれ有する制御回路352と通信して、非接触送電装置100と携帯端末125との認証を行うことにより、検出される。
【0191】
制御回路132は、ステップS201の処理における検出結果から給電可能な台数であるか否かを判定する(ステップS202)。ステップS202の処理にて、給電パッド355に載置された携帯端末125の台数が予め設定された給電可能な台数である場合には、処理が終了となる。
【0192】
一方、ステップS202の処理において、給電可能な台数を超えている場合には、給電可能な台数の携帯端末、この場合、2台の携帯端末を選択して、残り1台の携帯端末については充電をオフする(ステップS203)。携帯端末125の充電オフは、例えば制御回路132が充電オフの対象となる携帯端末125の制御回路352に対して、充電動作をオフさせる制御信号を送信する。
【0193】
〈優先充電例〉
ここで、給電可能な台数を超えている際に、選択した携帯端末の給電動作の例について説明する。
【0194】
給電する携帯端末の選択は、携帯端末の優先順位などに基づいて判定する。例えば携帯端末125a〜125cが有するバッテリの残量が少ないものから優先的に充電を行うものとする。
【0195】
バッテリの残量は、例えば通信回路131および通信回路126を通じて、制御回路132が携帯端末125a〜125cの制御回路352に対してそれぞれバッテリ残量を問い合わせることによって確認することができる。よって、携帯端末125a〜125cのうち、最もバッテリ残量の多い携帯端末の充電が中止される。
【0196】
あるいは、バッテリ残量ではなく、バッテリの充電時間によって給電する携帯端末を選択するようにしてもよい。例えば通信回路131および通信回路126を通じて、制御回路132が各制御回路352からバッテリの充電終了時間の情報を収集する。
【0197】
制御回路132は、収集した結果に基づいて、携帯端末125a〜125cのうち、最も充電時間の短い携帯端末の充電を中止する。すなわち、バッテリの充電時間が長い携帯端末を優先する。
【0198】
また、優先順位の高い携帯端末の充電が終了すると、制御回路132は、充電が終了した受電装置350の充電動作を終了させた後、充電されていない残りの携帯端末に対して給電処理を開始する。
【0199】
この場合、制御回路132は、優先順位の高い携帯端末の充電が終了した受電装置350の制御回路352に対して充電動作を終了させる制御信号を送信する。また、充電されていない残りの携帯端末が有する受電装置350の制御回路352に対しては、充電動作を開始させる制御信号を送信する。
【0200】
ここで、表示部356には、各携帯端末125a〜125cにおけるバッテリの電力残量や、該バッテリの充電に必要な時間などを表示するようにしてもよい。また、充電中には、どの携帯端末に対して給電を行っているのかなどを示す情報を表示するようにしてもよい。これにより、ユーザが希望する携帯端末に対して給電されているかを容易に確認することができる。
【0201】
また、バッテリ残量が少ないものからではなく、バッテリ残量の多い携帯端末を優先して給電するようにしてもよい。もしくは充電時間の短いものから給電するようにしてもよい。
【0202】
このような優先順位とすることによって、早期に携帯端末の充電を完了させることができるので、短時間で携帯端末を使用可能な状態にすることができる。
【0203】
また、充電対象機器をクラス分けして、クラス分けに基づいた優先順位に従って充電するようにしてもよい。充電対象機器には、優先順位を示すクラスがそれぞれ割り当てられている。
【0204】
非接触送電装置100は、通信によって優先順位を示すクラスの情報を各々の充電対象機器から得ることにより、非接触送電装置100がどの充電対象機器に対して給電を行うかをクラスの情報に基づいて決める。
【0205】
例えば、携帯電話はクラス1、スマートウォッチはクラス2、ゲーム機はクラス3などと充電対象機器の種別毎にクラス分けを行い、クラスの数字の小さいほうを優先順位が高い機器とすることが考えられる。
【0206】
充電対象機器のクラスの設定は、最初に非接触送電装置100が充電対象機器を認証した際にユーザが設定するようにしてもよい。あるいは、予め充電対象機器に対してクラスが割り当てられていてもよい。
【0207】
そして、どの充電対象機器が給電中であるかを表示部356に表示することにより、ユーザは、希望の機器に給電されているかを容易に確認することができる。
【0208】
図13は、
図11の非接触送電装置100による携帯端末125の登録の一例を示す説明図である。以下の処理は、非接触送電装置100が有する制御回路132が主体となって行われる処理である。
【0209】
この
図13は、非接触送電装置100が携帯端末125を初めて認識した際に、該携帯端末125を登録する際の例を示したものである。
【0210】
給電パッド355に携帯端末125が載置されると、非接触送電装置100および携帯端末125の受電装置350は、通信回路131,126を通じて通信を開始し、携帯端末125が充電対象機器であるか否かの認証を行う。
【0211】
この際、携帯端末125の認証が初めてであると判定されると、該携帯端末125の登録処理を実行する。
【0212】
まず、非接触送電装置100の制御回路132および受電装置350の制御回路352は、通信回路131,126による通信にて双方の機器の情報をそれぞれ送信する。
ここで、携帯端末125は、
図13の右上方に示すように、スマートフォンとする。また、スマートフォンの右側には、該スマートフォンの表示部に表示される情報400の一例を示している。この情報400は、スマートフォンから送信される機器の情報などである。給電パッド355に載置されたスマートフォンは、○○社製スマーフォンであり、型式はxxx-yyy、機器IDは、www-zzzであることを示している。
【0213】
さらに、スマートフォンの表示部に表示される情報400には、該スマートフォンに対する充電の優先順位のクラスを設定できる項目が表示される。ユーザは、スマートフォンの表示部に表示されるソフトウェアキーなどからクラスを入力することによって、充電の優先順位のクラスを任意に設定することができる。
図13の情報400では、ユーザが充電の優先順位クラスを“1”に設定した例を示している。
【0214】
ユーザが設定した優先順位クラスのデータは、受電装置350の制御回路352が有する図示しないメモリなどに格納されるとともに、通信回路131,126を通じて非接触送電装置100の制御回路132に送信される。制御回路132は、該制御回路132が有する図示しないメモリなどに受信した優先順位クラスのデータを情報400に紐付けて格納する。
【0215】
図13の例では、ユーザが優先順位クラスを設定する例を示したが、上述したように予め携帯端末125の受電装置350に充電の優先順位クラスが割り付けられている場合には、それを表示するだけでもよい。あるいは、予め設定された優先順位クラスをユーザが任意に変更できるようにしてもよい。
【0216】
この場合、優先順位クラスのデータは、例えば受電装置350の制御回路352が有する図示しないメモリなどに格納される。あるいは受電装置350に優先順位クラスのデータを格納するメモリを新たに設けるようにしてもよい。
【0217】
初回の通信時に携帯端末の機器IDに紐付けて情報400を登録することにより、2回目以降に携帯端末を充電する際には、その充電端末の機器IDを確認することによって、非接触送電装置100が携帯端末の優先順位クラスを認識することができる。また、優先順位クラスを含む機器の情報を携帯端末、
図13の例ではスマートフォンの表示部に表示することが可能となる。
【0218】
上述した情報400は、スマートフォン側に表示するのではなく、例えば非接触送電装置100に表示させるようにしてもよい。その場合、非接触送電装置100には、認識したスマートフォンなどの充電対象機器の情報を表示する表示部およびタッチ操作などの何らかの入力方法によって、該充電対象機器の優先順位クラスを設定できるものを備えていればよい。
【0219】
〈充電動作例〉
図14は、
図9の非接触送電装置100による充電動作の一例を示す説明図である
この
図14では、
図9の非接触送電装置100により、3台の携帯端末125を充電する際の動作を示したものである。
【0220】
図14に示すグラフにおいて、縦軸は、非接触送電装置100から3つの携帯端末に送る電力の合計を示しており、該非接触送電装置100から3つの携帯端末の受電装置に送る最大の電力は、maxにて示した電力である。横軸は、時間の推移を示す。
【0221】
ここでは、説明のし易さから時間mの単位によって送電動作を行う例を示している。ここで、第1の携帯端末が有する受電装置aを充電するために必要な電力はα、第2の携帯端末が有する受電装置bを充電するために必要な電力はβであり、第3の携帯端末が有する受電装置cを充電するために必要な電力は、γとする。
【0222】
α+βがmaxより小さい場合には、非接触送電装置100から送ることができる電力の範囲であるため、α+βの電力を送電する。電力γが必要な受電装置cが追加され、α+β+γの合計がmaxより大きくなった場合には、非接触送電装置100から必要な電力を送ることができない。
【0223】
そのため、受電装置cの充電動作を停止させて受電ができないようにして、受電装置aおよび受電装置bに電力を送るようにする。受電装置cの停止は、例えば制御回路132が受電装置cに対して受電装置cの動作を停止させる制御信号を送信することによって行われる。
【0224】
そして、受電装置bの充電が完了して電力βが不要になり、α+γがmaxより小さくなった場合には、受電装置aおよび受電装置cに対して電力α+γを送電する。さらに、受電装置aの充電が終了した後は、受電装置cのみに対して充電を行う。
【0225】
このような制御を行うことによって、非接触送電装置100の送電可能な範囲にて、多数の携帯端末に対して効率よく充電を行うことが可能となる。
【0226】
図15は、
図9の非接触送電装置100による充電動作の一例を示す説明図である。
【0227】
この
図15の場合には、非接触送電装置100が3台までの携帯端末の充電を行うことができるものであり、3台の携帯端末に対して給電を行う場合を示したている。図中の受電装置a〜cは、3台の携帯端末がそれぞれ有する受電装置である。
【0228】
図15のグラフにおいて、横軸は、充電動作の時間経緯を示しており、縦軸は、受電電力の大きさを示している。ここで、各受電装置a〜cの受電電力は、それぞれの受電装置a〜cに対して最も効率が高い電力にて給電していることを示しているものとする。
【0229】
この場合、充電動作としては、当初は、
図15の左側に示すように、受電装置aおよび受電装置bに対して時分割により給電を行っており、その後、第3の新たな受電装置cによる充電が加わった場合を示している。
【0230】
ここで、受電装置aは、最も受電電力が大きく、受電装置bは、受電電力が最も小さく、受電装置cは、受電電力が受電装置aよりも小さく、受電装置cよりも大きいものとする。
【0231】
また、受電装置a〜cの給電時間は、それぞれ時間mである。この時間mの中において、非接触送電装置100は、受電装置a,b,cと通信を行い、それぞれの受電装置a,b,cを切り替えながら、同等の時間ずつ、すなわち時間mずつ充電が行われている例を示している。
【0232】
図16は、
図11の非接触送電装置100が有する表示部356による充電情報の表示の一例を示した説明図である。
【0233】
この
図16は、
図15の左側に示す時間帯において非接触送電装置100が有する表示部356に表示される充電情報の表示例を示している。
【0234】
図15の左側に示す時間帯では、受電装置aおよび受電装置bに給電が行われており、表示部356には、充電情報として、
図16に示すように、受電装置a、すなわち第2の携帯端末における充電完了までの時間および受電装置a,bに対して給電されているか否かを示すon/offの情報が表示される。
【0235】
図16では、第1の携帯端末、すなわち受電装置aの充電完了までの時間が60分であり、第2の携帯端末、すなわち受電装置bの充電完了までの時間が30分であることを示している。
【0236】
また、それぞれの受電装置a,bには、給電されていることを示す“on”が表示されている。その他にも、例えば携帯端末125のバッテリの充電の残量を表示するようにしてもよい。
【0237】
続いて、
図15の右側に示すように、第3の携帯端末、すなわち受電装置cが新たに追加されると、非接触送電装置100は、受電装置cと通信を行い、給電が必要であることを把握すると、受電装置a,bと同じように時間mにて給電を開始する。
【0238】
図17は、
図16に続く充電情報の表示の一例を示した説明図であり、3つ目の携帯端末の充電が開始された際における表示部356による充電情報の表示例を示したものである。
【0239】
表示部356には、図示するように、3つ目の受電装置c、すなわち第3の携帯端末の給電が開始されると、受電装置cの充電完了までの時間である15分とともに給電されていることを示す“on”が表示される。
【0240】
ここで、第4の携帯端末、すなわち受電装置dが追加された際には、非接触送電装置100の給電可能台数を超えるために、該受電装置dについては、給電されず、表示部356には、
図17に示すように、受電装置dに給電されていないことを示す“off”が表示される。
【0242】
この
図18の左側においては、受電装置cへの給電完了して受電装置dの給電が開始されたところを示している。
【0243】
また、
図19は、
図11の非接触送電装置100が有する表示部356による受電装置cの給電が完了した際の充電情報の表示の一例を示した説明図である。
図20は、
図19に続く充電情報の表示例を示した説明図である。
【0244】
受電装置cの給電が完了すると、非接触送電装置100は、受電装置a,b,dに給電が可能となる。そこで、受電装置cの給電が完了すると、受電装置dの給電が開始される。
【0245】
受電装置cの給電が完了する際、表示部356の表示は、
図19に示すように、受電装置cの充電残り時間が“0”分となり、給電状態もonからoffに遷移したことを示す“on→off”が表示される。
【0246】
その後、受電装置dに対する給電が開始されると、表示部356の表示は、
図20に示すように、受電装置dの充電残り時間が“10”分、および給電がoffからonに遷移したことを示す“off→on”が表示される。
【0247】
このように、充電する携帯端末の数が非接触送電装置100の給電台数を上回っていても、効率よく、すべての受電装置に対して給電を行うことができる。
【0248】
図21は、
図9の非接触送電装置100による充電動作の他の例を示す説明図である。
【0249】
図21では、3つの携帯端末のうち、ユーザが任意の受電装置、すなわち任意の携帯端末を選択して、選択した携帯端末に優先的に充電を行う例を示したものである。
【0250】
図では、3つの携帯端末にそれぞれ充電が必要な状態、すなわち3つの携帯端末がそれぞれ有する受電装置a,b,cに給電が必要な状態であり、それぞれの受電装置a〜cに対して同じ時間m分だけ、給電が行われている状態を示している。
【0251】
ここで、ユーザが、たとえば表示部356の表示をタッチするなどして、受電装置bを優先的に充電することを選択したとする。この場合、表示部356は、タッチパネルであり、選択部となる。
【0252】
非接触送電装置100の制御回路132は、優先的に充電することが選択されていない受電装置a,cに対して、該受電装置a,cの動作を停止させる制御信号を送信する。これにより、受電装置a,cの充電動作は停止し、受電装置bに対してのみ連続的に給電が行われることになる。
【0253】
図22は、
図11の非接触送電装置100が有する表示部356による優先的に給電する受電装置を選択した際における充電情報の表示例を示した説明図である。
図23は、
図22に続く表示例を示した説明図である。
【0254】
ユーザにより、優先的に給電する受電装置である受電装置bが選択されると、表示部356には、受電装置bが選択されてことを示す表示がなされる。
図22では、優先的に選択されたことを示すため、受電装置bのNo.が(2)と表示された例を示している。
【0255】
その後、表示部356は、
図23に示すように、受電装置bに給電していることを示す“on”、および残りの受電装置a,cの給電が停止していることを示す“off”がそれぞれ表示される。
【0256】
図24は、
図21の続きを示す説明図である。
図25は、
図11の非接触送電装置100が有する表示部356による受電装置bの充電が完了した際における充電情報の表示例を示した説明図である。
図26は、
図25に続く充電情報の表示例を示した説明図である。
【0257】
図24の左側に示すように、ユーザによって選択された受電装置bの充電が完了すると、表示部356には、
図25に示すように、受電装置bの充電時間が“0”分、給電状態がonからoffに遷移したことを示す“on→off”が表示される。
【0258】
受電装置bの充電が完了した際、制御回路132は、受電装置a,bに対して充電動作を開始させる制御信号を出力する。これを受けて、受電装置a,bは、充電動作を開始する。
【0259】
受電装置bの充電が完了して、受電装置a,bの充電動作が開始すると、表示部356の表示は、
図26に示すように、受電装置bは“off”、受電装置a,cの給電は、それぞれ“on”となり、受電装置a,cの充電完了までの時間がそれぞれ表示される。
【0260】
ここでは、ユーザが優先的に給電する受電装置、すなわち携帯端末を選択する例を示したが、ユーザによる受電装置の選択はなくてもよい。例えば給電パッド355に載置された順番などによって給電する優先順位を決定するようにしてもよい。給電パッド355に載置された順番は、例えば非接触送電装置100と受電装置との認証の順番などによって制御回路132が判定する。
【0261】
図27は、
図9の非接触送電装置100による充電動作のさらに他の例を示す説明図である。この
図27は、2つの受電装置a,bに給電する際の充電動作について示したものである。
【0262】
図27の左側は、2つの携帯端末、すなわち2つの携帯端末がそれぞれ有する受電装置a,bに優先順位がなく、給電が行われている場合を示している。また、
図27の右側は、ユーザの選択によって受電装置aの給電が優先的に行われている場合を示している。
【0263】
図28は、
図11の非接触送電装置100が有する表示部356による受電装置a,bに給電されている際の充電情報の表示例を示した説明図である。
図29は、
図28に続く充電情報の表示例を示した説明図である。
【0264】
受電装置a,bに優先順位がない場合、
図27の左側に示すように、受電装置a,bは、それぞれ同じ時間mにて給電が行われている。その際、表示部356には、
図28に示すように、受電装置aの充電完了時間である“60”分、受電装置bの充電完了時間である“30”分、受電装置aの給電状態である“on”、および受電装置bの給電状態である“on”が表示されている。
【0265】
その後、ユーザにより受電装置aの給電を優先的に行うように選択されると、受電装置aの給電は、時間mよりも長い時間である時間nにて給電が行われる。よって、ここでは、選択された受電装置のみに対して給電するのではなく、選択されていない受電装置の給電を行いながら、選択された給電装置の給電時間を長くする。その結果、選択された給電装置が優先的に給電されることになる。
【0266】
ユーザにより優先的に給電する受電装置aが選択されると、表示部356には、受電装置aが選択されてことを示す表示がなされる。
図29では、優先的に選択されたことを示すため、受電装置aのNo.が(1)と表示された例を示している。
【0267】
図23では、受電装置aに対する給電時間が時間mよりも長い時間nとなったために、受電装置aにおける充電完了時間が
図28の“60”分から“40”分に短縮されたことを示す表示がなされている例を示している。
【0268】
また、ユーザにより、受電装置aの充電完了時間を設定できるようにしてもよい。例えば優先的に給電する受電装置aを選択した際に、ユーザが所望する充電完了時間を入力する。この入力は、例えば表示部356に表示される図示しないソフトウェアキーなどから入力する。
【0269】
制御回路132は、表示部356のソフトウェアキーから入力された充電完了時間に基づいて給電時間nを算出する。そして、算出した給電時間nによって優先的に給電する受電装置の給電を行う。制御回路132では、受電電力と充電完了までの時間から、必要な給電時間nを求めることができる。
【0270】
ユーザが所望する充電完了時間の入力は、ソフトウェアキー以外であってもよく、例えば充電完了の時間(分数)を、給電パッド355に設けられた図示しないボタンなどによって入力するようにしてもよい。
【0271】
ボタンによるアップ/ダウンの操作にて入力することにより、ユーザの指定する時間で充電を完了するように指定することができる。
【0272】
なお、ここまでの説明では、受電装置の制限を台数としたが、この制限は必ずしも台数である必要はなく、例えば複数の受電装置を充電するために必要な電力の合計が、非接触送電装置100の送電電力の最大定格を超えた場合などに上述した充電動作を適用するようにしてもよい。
【0273】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【0274】
なお、本発明は上記した実施の形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施の形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。
【0275】
また、ある実施の形態の構成の一部を他の実施の形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施の形態の構成に他の実施の形態の構成を加えることも可能である。また、各実施の形態の構成の一部について、他の構成の追加、削除、置換をすることが可能である。
【0276】
〈付記〉
その他、実施の形態に記載された内容の一部を以下に記載する。
(1)複数の充電対象機器に非接触にて電力を送電する非接触送電装置であって、該非接触送電装置は、充電対象機器に送電する電力を生成する電源部と、該電源部の動作を制御する制御部と、充電対象機器との通信を行う通信部と、を有し、制御部は、通信部により充電する充電対象機器と通信を行い、充電する充電対象機器の台数を検出して、検出した充電対象機器の台数が予め設定された設定充電台数以下であるか否かを判定し、検出した充電対象機器の台数が設定充電台数よりも多いと判定すると、設定充電台数と同じ台数の充電対象機器を優先して充電するように制御する。
(2)(1)の非接触送電装置において、制御部は、検出した充電対象機器の台数が設定充電台数よりも多いと判定した際に、充電対象機器のバッテリ残量が多いあるいはバッテリ残量が少ない充電対象機器を優先して充電し、バッテリ残量は、通信部が検出した充電対象機器との通信により取得する。
(3)(1)の非接触送電装置において、制御部は、検出した充電対象機器の台数が設定充電台数よりも多いと判定した際に、充電時間の長いあるいは充電時間の短い充電対象機器を優先して充電し、充電時間は、通信部が検出した充電対象機器との通信により取得する。
(4)(1)の非接触送電装置において、制御部は、優先された充電対象機器の充電が終了すると、充電されていない充電対象機器に対して充電動作を開始させる制御信号を送信して、充電対象機器を充電するように制御する。