特許第6773398号(P6773398)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6773398シート床材の敷設方法及びシート床材の敷設構造
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6773398
(24)【登録日】2020年10月5日
(45)【発行日】2020年10月21日
(54)【発明の名称】シート床材の敷設方法及びシート床材の敷設構造
(51)【国際特許分類】
   E04F 15/16 20060101AFI20201012BHJP
【FI】
   E04F15/16 G
   E04F15/16 E
【請求項の数】6
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2015-187351(P2015-187351)
(22)【出願日】2015年9月24日
(65)【公開番号】特開2017-61796(P2017-61796A)
(43)【公開日】2017年3月30日
【審査請求日】2018年5月17日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】240000327
【弁護士】
【氏名又は名称】弁護士法人クレオ国際法律特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】雨宮 栞
(72)【発明者】
【氏名】堀田 昌紀
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 文岳
【審査官】 西村 隆
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭55−161163(JP,A)
【文献】 特開平11−270115(JP,A)
【文献】 特開2011−157694(JP,A)
【文献】 特開2006−249827(JP,A)
【文献】 特開平05−163825(JP,A)
【文献】 特開平06−307051(JP,A)
【文献】 特開2006−249688(JP,A)
【文献】 特開2004−100379(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04F 15/16
E04F 15/10
E04F 13/08
E04D 5/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
床下地面上にシート床材を固定して敷設するためのシート床材の敷設方法であって、
前記床下地面上の前記シート床材の端部同士の継目となる位置の下方に表された基準線の上に、両面粘着テープを貼り付け、
前記両面粘着テープの上面に前記シート床材の端部を固定し、
前記シート床材をめくり上げて、前記床下地面上の残る箇所に接着剤を塗布し、その上に前記シート床材の残りの部分を貼り付け固定して、前記床下地面上に前記シート床材を固定して敷設することを特徴とするシート床材の敷設方法。
【請求項2】
前記両面粘着テープとして、前記床下地面に貼り付けた際に、前記基準線が透けて見えるものを用いることを特徴とする請求項1に記載のシート床材の敷設方法。
【請求項3】
前記床下地面上に張り付けられた前記両面粘着テープの側面に接着材を塗布することを特徴とする請求項1又は2に記載のシート床材の敷設方法。
【請求項4】
前記両面粘着テープとして、前記床下地面上に塗布される前記接着剤の厚さと略同じ厚さの薄いものを用いることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のシート床材の敷設方法。
【請求項5】
前記両面粘着テープとして、上面側に剥離シートが設けられたものを用いることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のシート床材の敷設方法。
【請求項6】
前記両面粘着テープとして、アクリル構造を含む材料から成るものを用いることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のシート床材の敷設方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、床下地面上にシート床材を固定して敷設するためのシート床材の敷設方法及びシート床材の敷設構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、床下地面上にシート床材を固定して敷設するための技術は、数多く提案され、実施に供されている。
【0003】
例えば、特許文献1では、シート床材同士間の継目を容易且つ精度良く施工することができるシート床材の敷設方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平09−125666号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の多くのシート床材の敷設方法では、継目の部分の下側が接着剤なので、長期間経つと、徐々に剥がれてきて、特に防水性が低下してしまう。
【0006】
なお、特許文献1に開示されたシート床材の敷設方法では、防水性を保つためにシート床材の継目を溶接してしまっているが、貼り替えの際に大変手間が掛かるという問題がある。
【0007】
そこで、本発明は、熟練者でなくても容易且つ精度良く施工することができ、シート床材間の継目の防水性を長期間保つことができるうえに、貼り替えの際に手間が掛からないシート床材の敷設方法及びシート床材の敷設構造を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するために、本発明のシート床材の敷設方法は、床下地面上にシート床材を固定して敷設するためのシート床材の敷設方法であって、前記床下地面上の前記シート床材の端部同士の継目となる位置の下方に表された基準線の上に、両面粘着テープを貼り付け、前記両面粘着テープの上面に前記シート床材の端部を固定し、前記床下地面上の残る箇所に接着剤を塗布し、その上に前記シート床材の残りの部分を貼り付け固定して、前記床下地面上に前記シート床材を固定して敷設することを特徴とする。
【0009】
ここで、前記両面粘着テープとして、前記床下地面に貼り付けた際に、前記基準線が透けて見えるものを用いるとよい。
【0010】
また、前記両面粘着テープとして、前記床下地面上に塗布される前記接着剤の厚さと略同じ厚さの薄いものを用いるとよい。
【0011】
さらに、前記両面粘着テープとして、上面側に剥離シートが設けられたものを用いるとよい。
【0012】
また、前記両面粘着テープとして、防水性の高い材料から成るものを用いるとよい。
【0013】
本発明のシート床材の敷設構造は、床下地面上にシート床材を固定して敷設するためのシート床材の敷設構造であって、前記床下地面上に両面粘着テープが貼り付けられ、該両面粘着テープの上面に一対の前記シート床材の端部が対向するように固定され、継目が形成されており、前記床下地面上の残る部分と前記シート床材の残る部分との間に接着剤が充填され、前記床下地面上に前記シート床材が固定して敷設されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
このような本発明のシート床材の敷設方法は、床下地面上にシート床材を固定して敷設するためのシート床材の敷設方法であって、床下地面上のシート床材の端部同士の継目となる位置の下方に表された基準線の上に、両面粘着テープを貼り付け、両面粘着テープの上面にシート床材の端部を固定し、床下地面上の残る箇所に接着剤を塗布し、その上にシート床材の残りの部分を貼り付け固定して、床下地面上にシート床材を固定して敷設する構成とされている。
【0015】
上記した構成なので、床下地面上の基準線の上に両面粘着テープを貼り付け、シート床材の端部を両面粘着テープに貼り付けて固定してから残る部分を接着剤で貼り付け固定するだけの手順で、熟練者でなくても容易且つ精度良く施工することができる。
また、シート床材間の継目の下方が両面粘着テープなので、シート床材間の継目の防水性を長期間保つことができる。
そのうえ、シート床材間の継目は溶接しないので、この部分から剥がすことができ、貼り替えの際に手間が掛からない。
【0016】
ここで、両面粘着テープとして、床下地面に貼り付けた際に、基準線が透けて見えるものを用いる場合は、透けて見える基準線を沿って、シート床材の端部をより正確に貼り付け固定することができる。
【0017】
また、両面粘着テープとして、床下地面上に塗布される接着剤の厚さと略同じ厚さの薄いものを用いる場合は、シート床材間の継目とその他の部分との段差を無くすことができる。
【0018】
さらに、両面粘着テープとして、上面側に剥離シートが設けられたものを用いる場合は、シート床材を貼り付ける前に両面粘着テープの上面の粘着性が低下するのを防止することができる。
【0019】
また、両面粘着テープとして、防水性の高い材料から成るものを用いる場合は、シート床材間の継目の防水性をより高めることができる。
【0020】
このような本発明のシート床材の敷設構造は、床下地面上にシート床材を固定して敷設するためのシート床材の敷設構造であって、床下地面上に両面粘着テープが貼り付けられ、両面粘着テープの上面に一対のシート床材の端部が対向するように固定され、継目が形成されており、床下地面上の残る部分とシート床材の残る部分との間に接着剤が充填され、床下地面上にシート床材が固定して敷設された構成とされている。
【0021】
上記した構成なので、床下地面上の基準線の上に両面粘着テープを貼り付け、シート床材の端部を両面粘着テープに貼り付けて固定してから残る部分を接着剤で貼り付け固定するだけの手順で、熟練者でなくても容易且つ精度良く施工することができる。
また、シート床材間の継目の下方が両面粘着テープなので、シート床材間の継目の防水性を長期間保つことができる。
そのうえ、シート床材間の継目は溶接しないので、この部分から剥がすことができ、貼り替えの際に手間が掛からない。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】実施例のシート床材の敷設方法の段階を示す図である。
図2】実施例のシート床材の敷設方法の段階を示す図である。
図3】実施例のシート床材の敷設方法の段階を示す図である。
図4】実施例のシート床材の敷設方法の段階を示す図である。
図5図4におけるA−A線矢視拡大断面図であって、実施例のシート床材の敷設構造の概略構造を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明を実施するための形態を、図面に示す実施例に基づいて説明する。
【実施例】
【0024】
先ず、実施例のシート床材の敷設方法について説明する。
初めに、図1に示したように、床下地1の面上に、この床下地1の長手方向の中心部に基準線Kを引く。
【0025】
続いて、図2に示したように、この基準線Kの上から両面粘着テープ2を貼り付ける。
なお、この両面粘着テープ2には、基準線Kが透けて見える透明又は半透明のものを用いる。
また、この両面粘着テープ2には、アクリル構造等の防水性の高い材料から成り、その上面には、図示省略の剥離シートが設けられている。
さらに、この両面粘着テープ2には、後述する接着剤4の塗布する厚さと略同じ厚さの薄いものを用いる。
なお、この両面粘着テープ2は、基準線Kが略中央となるように貼り付ける。
【0026】
続いて、図3に示したように、両面粘着テープ2の上面の図示省略の剥離シートを剥がし、まず手前側から、二点鎖線で示したように、ロール状に巻いたシート床材3の左側端部を床下地1の左側端部に合わせ、シート床材3の奥側端部は、基準線Kに合わせて、両面粘着テープ2の上面に貼り付ける。
そして、シート床材3をめくりあげて接着剤4で床下地1の面上に貼り付けた後、床下地1の面上の残る部分にも接着剤4を塗布し、図示省略の圧着ローラーで空気を抜きながら矢印の方向へ貼り付けていく。
【0027】
こうして、奥側の床下地1の面上にも、同様に施工すると、図4に示したように、この実施例のシート床材の敷設方法が完了し、図5に示したような実施例のシート床材の敷設構造となる。
なお、基準線Kの上側が、シート床材3,3の継目となる。
【0028】
次に、実施例の作用効果について説明する。
このような実施例のシート床材の敷設方法は、床下地1の面上にシート床材3,3を固定して敷設するためのシート床材の敷設方法であって、床下地1の面上のシート床材3,3の端部同士の継目となる位置の下方に表された基準線Kの上に、両面粘着テープ2を貼り付け、両面粘着テープ2の上面にシート床材3の端部を固定し、床下地1の面上の残る箇所に接着剤4を塗布し、その上にシート床材3の残りの部分を貼り付け固定して、床下地1の面上にシート床材3,3を固定して敷設する構成とされている。
【0029】
上記した構成なので、床下地1の面上の基準線Kの上に両面粘着テープ2を貼り付け、シート床材3の端部を両面粘着テープに貼り付けて固定してから残る部分を接着剤4で貼り付け固定するだけの手順で、熟練者でなくても容易且つ精度良く施工することができる。
また、シート床材3,3間の継目の下方が両面粘着テープ2なので、シート床材3,3間の継目の防水性を長期間保つことができる。
そのうえ、シート床材3,3間の継目は溶接しないので、この部分から剥がすことができ、貼り替えの際に手間が掛からない。
【0030】
ここで、両面粘着テープ2として、床下地1の面上に貼り付けた際に、基準線Kが透けて見えるものを用いる。
このため、透けて見える基準線Kを沿って、シート床材3,3の端部をより正確に貼り付け固定することができる。
【0031】
また、両面粘着テープ2として、床下地1の面上に塗布される接着剤4の厚さと略同じ厚さの薄いものを用いる。
このため、シート床材3,3間の継目とその他の部分との段差を無くすことができる。
【0032】
さらに、両面粘着テープ2として、上面側に図示省略の剥離シートが設けられたものを用いる。
このため、シート床材3,3を貼り付ける前に両面粘着テープ2の上面の粘着性が低下するのを防止することができる。
【0033】
また、両面粘着テープ2として、アクリル構造等の防水性の高い材料から成るものを用いる。
このため、シート床材3,3間の継目の防水性をより高めることができる。
【0034】
このような実施例のシート床材の敷設構造は、床下地1の面上にシート床材3,3を固定して敷設するためのシート床材の敷設構造であって、床下地1の面上に両面粘着テープ2が貼り付けられ、両面粘着テープ2の上面に一対のシート床材3,3の端部が対向するように固定され、継目が形成されており、床下地1の面上の残る部分とシート床材3,3の残る部分との間に接着剤4が充填され、床下地1の面上にシート床材3,3が固定して敷設された構成とされている。
【0035】
上記した構成なので、床下地1の面上の基準線Kの上に両面粘着テープ2を貼り付け、シート床材3の端部を両面粘着テープ2に貼り付けて固定してから残る部分を接着剤4で貼り付け固定するだけの手順で、熟練者でなくても容易且つ精度良く施工することができる。
また、シート床材3,3間の継目の下方が両面粘着テープ2なので、シート床材3,3間の継目の防水性を長期間保つことができる。
そのうえ、シート床材3,3間の継目は溶接しないので、この部分から剥がすことができ、貼り替えの際に手間が掛からない。
【0036】
以上、図面を参照して、本発明を実施するための形態を実施例に基づいて詳述してきたが、具体的な構成は、この実施例に限らず、本発明の要旨を逸脱しない程度の設計的変更は、本発明に含まれる。
【0037】
例えば、上記した実施例では、シート床材3,3間の継目を溶接せずに実施したが、これに限定されず、例えば、両面粘着テープ2に耐熱性のものを用いれば、溶接して実施してもよい。
【符号の説明】
【0038】
1 床下地
2 両面粘着テープ
3 シート床材
4 接着剤
K 基準線
図1
図2
図3
図4
図5