特許第6775032号(P6775032)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特許6775032油圧制御弁及び内燃機関のバルブタイミング制御装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6775032
(24)【登録日】2020年10月7日
(45)【発行日】2020年10月28日
(54)【発明の名称】油圧制御弁及び内燃機関のバルブタイミング制御装置
(51)【国際特許分類】
   F16K 11/07 20060101AFI20201019BHJP
   F16K 3/26 20060101ALI20201019BHJP
   F01L 1/356 20060101ALI20201019BHJP
【FI】
   F16K11/07 J
   F16K11/07 C
   F16K11/07 D
   F16K3/26 A
   F01L1/356 E
【請求項の数】20
【全頁数】27
(21)【出願番号】特願2018-553705(P2018-553705)
(86)(22)【出願日】2017年10月19日
(86)【国際出願番号】JP2017037777
(87)【国際公開番号】WO2018100909
(87)【国際公開日】20180607
【審査請求日】2019年4月26日
(31)【優先権主張番号】特願2016-232314(P2016-232314)
(32)【優先日】2016年11月30日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】509186579
【氏名又は名称】日立オートモティブシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086232
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 博通
(74)【代理人】
【識別番号】100092613
【弁理士】
【氏名又は名称】富岡 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100205682
【弁理士】
【氏名又は名称】高嶋 一彰
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼田 保英
【審査官】 加藤 昌人
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2016/021328(WO,A1)
【文献】 特開2012−107677(JP,A)
【文献】 特許第5759654(JP,B2)
【文献】 特開2010−157237(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 11/00−11/24
F01L 1/34− 1/356
F16K 3/00− 3/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
径方向に複数のポートが貫通形成された筒状のバルブボディと、
前記バルブボディの内部に配置されて、内部軸方向に作動油供給用と作動油排出用の2系統の油通路を有するスリーブと、
前記バルブボディの内周と前記スリーブの外周との間に前記バルブボディの軸方向へ移動可能に配置された円筒状のスプール弁であって、内周面が前記スリーブの外周面を軸方向へ摺動可能に設けられ、前記内周面の前記スリーブの外周面に対する軸方向の移動位置に応じて前記2系統の油通路と前記複数のポートのいずれかと連通させるかあるいは連通を遮断するスプール弁と、
を有することを特徴とする油圧制御弁。
【請求項2】
請求項1に記載の油圧制御弁であって、
前記2系統の油通路は、前記スリーブの内部に前記バルブボディの軸方向に沿って形成された第1油通路と、該第1油通路とは仕切られた状態で前記スリーブの内部に前記バルブボディの軸方向に沿って形成された第2油通路とを含むことを特徴とする油圧制御弁。
【請求項3】
請求項2に記載の油圧制御弁であって、
前記第1油通路は、軸方向の一端側が軸方向に開口され、他端側に前記スリーブの径方向外側へ折曲形成された第1開口孔が形成されている一方、
前記第2油通路は、軸方向の一端側に前記スリーブの径方向外側へ折曲形成された第2開口孔が形成され、他端側が軸方向に開口されていることを特徴とする油圧制御弁。
【請求項4】
請求項3に記載の油圧制御弁であって、
前記第1油通路の一端側の開口は、作動油を導入する導入口である一方、
前記第2油通路の他端側の開口は、作動油を排出する排出口であることを特徴とする油圧制御弁。
【請求項5】
請求項3に記載の油圧制御弁であって、
前記第1油通路は、前記他端側から前記第1開口孔の径方向の折曲部位に、作動油を第1開口孔方向へ案内する第1傾斜面が形成されている一方、前記第2油通路は、一端側から第2開口孔の径方向の折曲部位に、作動油を第2開口孔方向へ案内する第2傾斜面が形成されていることを特徴とする油圧制御弁。
【請求項6】
請求項3に記載の油圧制御弁であって、
前記スプール弁は、円筒状に形成され、外周面に環状の第1凹溝が形成されていると共に、内周面の前記第1凹溝と対応した位置に環状の第2凹溝が形成され、前記第1凹溝と第2凹溝を連通する連通孔が貫通されていることを特徴とする油圧制御弁。
【請求項7】
請求項に記載の油圧制御弁であって、
前記バルブボディの複数のポートは、第1ポートと第2ポートからなり、前記スプール弁の軸方向への移動位置のうち、第1移動位置において前記第1ポートと第1開口孔が前記連通孔を介して連通し、第2移動位置において前記第2ポートと第1開口孔が前記連通孔を介して連通し、さらに第3移動位置において、前記スプール弁に有する2つのランド部によって前記第1ポートと第2ポートを閉止することを特徴とする油圧制御弁。
【請求項8】
請求項7に記載の油圧制御弁であって、
前記スプール弁の第1移動位置において、前記第2ポートが前記バルブボディの内周面とスリーブの外周面との間に形成された環状の隙間通路を介して前記第2開口孔から第2油通路に連通していることを特徴とする油圧制御弁。
【請求項9】
請求項2に記載の油圧制御弁であって、
前記第1油通路と第2油通路は、スリーブの内部に軸方向に沿って設けられた仕切壁を介して径方向で対向する位置にそれぞれ2ずつ形成されていることを特徴とする油圧制御弁。
【請求項10】
請求項2に記載の油圧制御弁であって、
前記スリーブは、中実な円柱状に形成されて、該円柱状の内部軸方向に前記第1、第2油通路が形成されていることを特徴とする油圧制御弁。
【請求項11】
請求項2に記載の油圧制御弁であって、
前記スリーブは、円筒状の第1部材と、該第1部材の内部に収容配置されて、前記第1部材の内周面と協働して前記第1油通路と第2油通路を形成する第2部材と、を有することを特徴とする油圧制御弁。
【請求項12】
請求項4に記載の油圧制御弁であって、
前記スリーブの軸方向一端側の内部にバルブ収容凹部が形成されていると共に、該バルブ収容凹部に、前記導入口から第1油通路側への作動油の流入のみを許容する逆止弁が設けられていることを特徴とする油圧制御弁。
【請求項13】
請求項12に記載の油圧制御弁において、
前記スリーブは、軸方向の一端にフランジ部を有し、
前記バルブボディは、内周に軸方向の一端部の内周に段差大径状の環状溝を有し、該環状溝内に前記逆止弁の弁体が離着座するバルブシートの外周部が保持されると共に、該バルブシートと前記環状溝の段差面との間に、前記フランジ部を配置したことを特徴とする油圧制御弁。
【請求項14】
請求項13に記載の油圧制御弁であって、
前記スリーブのフランジ部は、外周縁と前記環状溝の内周面との間にクリアランスが形成されて、前記スリーブが径方向へ移動可能になっていることを特徴とする油圧制御弁。
【請求項15】
請求項13に記載の油圧制御弁であって、
前記スリーブのフランジ部は、両側面と前記バルブシート及び環状溝の段差面との間にクリアランスが形成されて、前記スリーブが軸方向へ移動可能になっていることを特徴とする油圧制御弁。
【請求項16】
請求項13に記載の油圧制御弁であって、
前記環状溝に有底円筒状のリテーナが保持され、
該リテーナは、前記環状溝の内周面に固定される筒状部と、前記環状溝の段差面に当接する円環状の底部と、を有し、
前記筒状部は、前記底部と反対側の端縁に前記バルブシートが軸方向から当接して軸方向の移動が規制されていることを特徴とする油圧制御弁。
【請求項17】
クランクシャフトからの回転力が伝達され、内部に作動室が形成されたハウジングと、
カムシャフトに固定され、前記ハウジングの作動室を第1作動室と第2作動室に仕切ると共に、前記ハウジングに相対回転可能に設けられたベーンロータと、
オイルポンプから圧送された作動油を、前記第1作動室と第2作動室に選択的に給排する油圧制御弁と、を備え、
前記油圧制御弁は、
前記ベーンロータの内部に収容固定され、それぞれ径方向に貫通形成されて前記第1作動室に連通する第1ポート及び前記第2作動室に連通する第2ポートを有する筒状のバルブボディと、
前記バルブボディの内部に収容保持されて、内部軸方向に作動油供給用と作動油排出用の2系統の油通路を有するスリーブと、
前記バルブボディの内周と前記スリーブの外周との間に前記バルブボディの軸方向へ移動可能に配置された円筒状のスプール弁であって、内周面が前記スリーブの外周面を軸方向へ摺動可能に設けられ、前記内周面の前記スリーブの外周面に対する軸方向の移動位置に応じて前記2系統の油通路と前記第1ポートあるいは第2ポートと連通させるかあるいは連通を遮断するスプール弁と、を有することを特徴とする内燃機関のバルブタイミング制御装置。
【請求項18】
請求項17に記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置であって、
前記2系統の油通路は、前記スリーブの内部軸方向に沿って形成された第1油通路と、該第1油通路とは仕切られた状態で前記スリーブの内部軸方向に形成された第2油通路とによって構成されていることを特徴とする内燃機関のバルブタイミング制御装置。
【請求項19】
請求項18に記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置であって、
前記第1油通路は、軸方向の一端側が軸方向に開口され、他端側に前記スリーブの径方向外側へ折曲された第1開口孔が形成されている一方、
前記第2油通路は、軸方向の一端側に前記スリーブの径方向外側へ折曲された第2開口孔が形成され、他端側が軸方向に開口されていることを特徴とする内燃機関のバルブタイミング制御装置。
【請求項20】
請求項19に記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置であって、
前記第1油通路の一端側の開口は、作動油を導入する導入口である一方、
前記第2油通路の他端側の開口は、作動油を排出する排出口であることを特徴とする内燃機関のバルブタイミング制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油圧制御弁及び内燃機関のバルブタイミング制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来における油圧制御弁としては、例えば内燃機関のバルブタイミング制御装置に用いられた以下の特許文献1に記載されたものがある。
【0003】
この油圧制御弁は、周壁に複数のポートを有するバルブボディと、該バルブボディの内部軸方向に収容配置されたスリーブと、該スリーブとバルブボディとの間に軸方向へ摺動自在に設けられた中空ピストンと、を備えている。
【0004】
そして、内燃機関によって機械的に駆動されるオイルポンプから圧送された油圧は、前記スリーブの軸方向の一端部に形成された供給ポートからスリーブ内部に供給される。この油圧は、中空ピストンの軸方向の移動位置に応じてスリーブの貫通開口部からバルブボディの遅角側ポートあるいは進角側ポートからハウジング内の遅角作動室や進角作動室に選択的に供給されてスプロケットに対するカムシャフトの相対回転位相を変更するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第5759654号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の油圧制御弁にあっては、オイルポンプから圧送された作動油は、前記スリーブの供給ポートからいずれか一方の圧力室に供給されるが、他方の圧力室の作動油はバルブボディの径方向に形成された複数のタンクポートから排出させるようになっている。つまり、バルブボディの径方向にワーキングポート以外に、排出用の複数のタンクポートがバルブボディの軸方向に沿って並び設けられている。
【0007】
このため、バルブボディの軸方向の長さが大きくなって、油圧制御弁全体の大型化や重量の増加が余儀なくされている。
【0008】
本発明は、前記従来の油圧制御弁の技術的課題に鑑みて案出されたもので、全体の小型化と軽量化を図り得る油圧制御弁を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の好ましい態様によれば、径方向に複数のポートが貫通形成された筒状のバルブボディと、前記バルブボディの内部に配置されて、内部軸方向に作動油供給用と作動油排出用の2系統の油通路を有するスリーブと、前記バルブボディの内周と前記スリーブの外周との間に前記バルブボディの軸方向へ移動可能に配置された円筒状のスプール弁であって、内周面が前記スリーブの外周面を軸方向へ摺動可能に設けられ、前記内周面の前記スリーブの外周面に対する軸方向の移動位置に応じて前記2系統の油通路と前記複数のポートのいずれかと連通させるかあるいは連通を遮断するスプール弁と、を有することを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、油圧制御弁の小型化と軽量化が図れる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明に係る内燃機関の吸気側カムシャフトに適用したバルブタイミング制御装置を断面して示す第1実施形態の全体構成図である。
図2】本実施形態に供されるベーンロータが最進角位相の回転位置に制御された状態を示すバルブタイミング制御装置の全体概略図である。
図3】本実施形態に供される油圧制御弁の分解斜視図である。
図4】本実施形態に供されるスリーブを一部断面して示し、Aは後方からの俯瞰図、Bは前方からの俯瞰図である。
図5】本実施形態の要部拡大断面図である。
図6】本実施形態に供されるストッパ部材を示し、Aは背面側からみた斜視図、Bは正面からみた斜視図である。
図7】本実施形態に供される油圧制御弁のバルブボディなどの各構成部品の縦断面図であって、スプール弁の第1ポジションを示している。
図8】本実施形態の油圧制御弁に作動油が供給された状態におけるスプール弁の第1ポジションを示す縦断面図である。
図9】本実施形態の油圧制御弁のスプール弁の第2ポジションを示す縦断面図である。
図10】本実施形態の油圧制御弁のスプール弁の第3ポジションを示す縦断面図である。
図11】本発明の第2実施形態に供される油圧制御弁の分解斜視図である。
図12図13のA−A線断面図である。
図13】本実施形態に供される油圧制御弁のバルブボディなどの各構成部品の縦断面図であって、スプール弁の第1ポジションを示している。
図14】本実施形態の油圧制御弁に作動油が供給された状態におけるスプール弁の第1ポジションを示す縦断面図である。
図15】本実施形態の油圧制御弁のスプール弁の第3ポジションを示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係る油圧制御弁及び内燃機関のバルブタイミング制御装置の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0013】
図1は内燃機関の吸気側に適用した第1実施形態のバルブタイミング制御装置の断面図、図2は同バルブタイミング制御装置の全体構成図、図3は油圧制御弁の分解斜視図、図4は本実施形態の要部拡大断面図、図5は本実施形態に供されるスリーブの一部を断面して示す斜視図である。
【0014】
バルブタイミング制御装置は、図1及び図2に示すように、機関のクランクシャフトにより図外のタイミングチェーンを介して回転駆動される駆動回転体であるタイミングスプロケット1と、機関前後方向に沿って配置されて、タイミングスプロケット1に対して相対回転可能に設けられた吸気側のカムシャフト2と、タイミングスプロケット1とカムシャフト2との間に配置されて、該両者1,2の相対回転位相を変換する位相変更機構3と、該位相変更機構3を最遅角位相位置でロックさせるロック機構4と、位相変更機構3とロック機構4を作動させる油圧回路5と、を備えている。なお、駆動回転体としては、タイミングベルトによって回転力が伝達されるタイミングプーリであっても良い。
【0015】
タイミングスプロケット1は、円盤状に形成されて、外周にタイミングチェーンが巻回される歯車部1aと、中央に貫通形成されて、カムシャフト2の一端部2aの外周に回転自在に支持される軸受孔1bとを有している。また、タイミングスプロケット1は、外周部の円周方向4箇所に雌ねじ1cが周方向の等間隔位置に形成されている。
また、このタイミングスプロケット1は、後述するハウジング6の後端開口を、液密的に閉塞するリアカバーとして構成されている。
【0016】
カムシャフト2は、図外のシリンダヘッド上に複数のカム軸受を介して回転自在に支持され、外周面には図外の機関弁である吸気弁を開作動させる複数の卵型の回転カムが軸方向の位置に一体的に固定されている。また、カムシャフト2の一端部2aの内部軸心方向には、後述するカムボルト(バルブボディ27)が螺着される雌ねじ孔2bが形成されている。
【0017】
位相変更機構3は、図1及び図2に示すように、タイミングスプロケット1に軸方向から一体的に設けられ、内部の作動室が形成されたハウジング6と、カムシャフト2の一端部2aに後述するバルブボディ27を介して軸方向から固定され、ハウジング6内に回転自在に収容された従動回転体であるベーンロータ7と、ハウジング6の内部の作動室が、後述するハウジング本体6aの内周面に突設された4つのシュー8とベーンロータ7とによって仕切られたそれぞれ4つの第1作動室である遅角作動室9及び第2作動室である進角作動室10と、を備えている。
【0018】
ハウジング6は、圧粉金属を焼結して成形されたいわゆる焼結金属材によって一体に形成された円筒状のハウジング本体11と、プレス成形によって形成され、ハウジング本体11の前端開口を閉塞するフロントカバー12と、後端開口を閉塞するタイミングスプロケット1と、から構成されている。
【0019】
ハウジング本体11は、ほぼ円筒状に形成されて、内周面に4つのシュー8が突設されていると共に、該各シュー8の内部軸方向に4つのボルト挿入孔11aが貫通形成されている。
【0020】
フロントカバー12は、中央に比較的大径な挿入孔12aが貫通形成されていると共に、該挿入孔12aを除く内周面とベーンロータ7の対向一側面との間で各遅角、進角作動室9,10内をシールするようになっている。また、フロントカバー12は、外周部の周方向4箇所にそれぞれボルト13が挿入されるボルト挿通孔12bが貫通形成されている。
【0021】
そして、タイミングスプロケット1とハウジング本体11及びフロントカバー12は、前記各ボルト挿通孔12bや各ボルト挿入孔10aを挿入して前記雌ねじ1cに螺着する4本のボルト13によって軸方向から結合されている。
【0022】
ベーンロータ7は、同じく焼結金属材によって一体に形成され、カムシャフト2の一端部2aにバルブボディ27によって固定されたロータ部14と、該ロータ部14の外周面に円周方向のほぼ90°等間隔位置に放射状に突設された4つのベーン15a〜15dと、から構成されている。
【0023】
ロータ部14は、比較的大径な円筒状に形成され、中央の内部軸方向にカムシャフト2の雌ねじ孔2bと連続するボルト挿入孔14aが貫通形成されている。また、ロータ部14の後端面に形成された円形状の嵌合溝14bには、カムシャフト2の一端部2aの先端部が回転軸方向から嵌合している。
【0024】
各ベーン15a〜15dは、その径方向の突出長さが比較的短く形成されて、それぞれが各シュー8の間に配置されている。また、1つのベーン15a以外の3つのベーン15b〜15dは、円周方向の巾がほぼ同一に設定されて比較的薄肉なプレート状に形成されている。前記一つのベーン15aは、周方向の幅が大きく形成されて、内部にロック機構4の一部が設けられている。
【0025】
各ベーン15a〜15dの外周面と各シュー8の先端には、それぞれハウジング本体11の内周面とロータ部14の外周面との間をシールするシール部材16a、16bがそれぞれ設けられている。
【0026】
また、ベーンロータ7は、図2に示すように、遅角側(反時計方向)へ相対回転すると、第1ベーン15aの一側面が対向する前記一つのシュー8の対向側面8aに当接して最大遅角側の回転位置が規制されるようになっている。また、進角側(時計方向)へ相対回転すると、同じく第1ベーン15aの他側面が対向する他のシュー8の段差状の対向側面8bに当接して最大進角側の回転位置が規制されるようになっている。
【0027】
このとき、他のベーン15b〜15dは、両側面が円周方向から対向する各シュー8の対向面に当接せずに離間状態にある。したがって、ベーンロータ7とシュー8との当接精度が向上すると共に、後述する各作動室9,10への油圧の供給速度が速くなってベーンロータ7の正逆回転の応答性が良好になる。
【0028】
各ベーン15a〜15dの正逆回転方向の両側面と各シュー8の両側面との間に、前述した各遅角作動室9と各進角作動室10が設けられている。各遅角作動室9と各進角作動室10は、前記ロータ部14の内部にほぼ径方向に沿って形成されたそれぞれ4つの遅角通路孔17と進角通路孔18を介して油圧回路5にそれぞれに連通している。
【0029】
ロック機構4は、ハウジング6に対してベーンロータ7を最遅角側の回転位置(図2に示す位置)に保持するものである。
【0030】
すなわち、このロック機構4は、図1及び図2に示すように、タイミングスプロケット1の内側面の所定位置に形成されたロック穴19と、ベーンロータ7の第1ベーン15aの内部軸方向に形成されたピン収容孔20に進退動自在に設けられ、小径な先端部がロック穴19に係脱するロックピン21と、該ロックピン21をロック穴19方向へ付勢する図外のコイルスプリング22と、ロック穴19の内部に形成され、供給された油圧によってロックピン21をコイルスプリング22のばね力に抗してロック穴19から後退移動させて係合を解除する図外の解除用受圧室と、該解除用受圧室に油圧を供給するロック通路23と、から主として構成されている。
【0031】
ロック穴19は、ロックピン21の小径な先端部の外径よりも十分に大径な円形状に形成されていると共に、タイミングスプロケット1の内側面のベーンロータ7の最遅角側の回転位置に対応した位置に形成されている。
【0032】
ロックピン21は、先端部の受圧面に解除用受圧室に供給された油圧を受けて後退移動してロック穴19から抜け出してロックが解除される。また、ロックピン21の後端側に設けられたコイルスプリング22のばね力によって先端部がロック穴19の内部に係入してベーンロータ7をハウジング6に対してロックするようになっている。このロック位置は、前述したように、ハウジング6に対してベーンロータ7の最遅角側の回転位置となる。
【0033】
油圧回路5は、図1及び図2に示すように、カムシャフト2の内部軸方向及びロータ部14の内部軸方向などに形成された供給通路24と、該供給通路24の下流側に設けられて、吐出通路25aから供給通路24に作動油圧を吐出するオイルポンプ25と、ロータ部14の内部軸方向に設けられて、機関運転状態に応じて供給通路24に対して前記各遅角通路孔17と各進角通路孔18の流路を切り換える油圧制御弁26と、該油圧制御弁26に連通し、各遅角、進角作動室9、10からの作動油をオイルパン51に排出する排出通路43と、を備えている。
【0034】
供給通路24は、カムシャフト2の軸受部やカムシャフト2の内部軸方向に形成されて、下流端部がオイルポンプ25の吐出通路25aと連通している。また、この供給通路24は、上流端部がカムシャフト2の雌ねじ孔2bの底部2cに連通している。
【0035】
オイルポンプ25は、一般的な例えばベーンタイプあるいはトロコイドタイプのものが用いられている。
【0036】
油圧制御弁26は、図1及び図3図7などに示すように、ベーンロータ7をカムシャフト2の一端部2aに軸方向から固定するカムボルトである鉄系金属材からなるバルブボディ27と、該バルブボディ27の内部軸方向に貫通形成されたバルブ孔27a内に収容配置されたスリーブ28と、該スリーブ28の外周面とバルブ孔27aの内周面との間に配置されたスプール弁29と、該スプール弁29を図1の左方向へ付勢するバルブスプリング30と、スプール弁29を前記バルブスプリング30のばね力に抗して他方向へ押し出すアクチュエータである電磁アクチュエータ31と、から主として構成されている。
【0037】
バルブボディ27は、バルブ孔27aによって内部中空状の円筒状に形成されており、外周面が六角面に形成された頭部27bと、ベーンロータ7のロータ部14のボルト挿入孔14aに挿通する軸部27cと、該軸部27cの先端部外周に形成されて、カムシャフト2の雌ねじ孔2bに螺着する雄ねじ部27dと、から構成されている。
【0038】
頭部27bは、バルブボディ27がカムシャフト2に締結された状態では、フロントカバー12の挿入孔12a内に配置されて、軸部27cの付け根側のフランジ部27eの着座面27fがロータ部14のボルト挿入孔14aの開口縁側の周面に着座している。
【0039】
軸部27cは、図3にも示すように、軸方向のほぼ頭部27b寄りの位置に第1ポートである遅角ポート32が周壁の十字径方向へ4つ貫通形成されている。また、軸部27cの各遅角ポート32の先端部寄り側部には、第2ポートである進角ポート33が周壁の十字径方向へ4つ貫通形成されている。
【0040】
前記各遅角ポート32と各進角ポート33は、図1に示すように、それぞれの内側開口がバルブ孔27aに臨み、外側開口が各遅角通路孔17と各進角通路孔18にそれぞれグルーブ溝17a、18aを介して径方向から連通している。
【0041】
また、軸部27cの先端部の内周には、図4にも示すように、円環状の環状溝34が形成されている。この環状溝34は、所定の軸方向長さに形成されていると共に、バルブ孔27aの内周面の内径よりも大径に形成されて、内端に径方向に沿った段差面34aが形成されている。
【0042】
前記スリーブ28は、例えば、合成樹脂材あるいは金属材によって一体に形成され、図3図4A,Bに示すように、内部中実な円柱状のスリーブ本体28aと、該スリーブ本体28aの軸方向の一端部に一体に有するフランジ部28bと、から構成されている。
【0043】
前記スリーブ本体28aは、図4に示すように、内部に一体に設けられた仕切壁35によって第1油通路36と第2油通路37が仕切られていると共に、前記フランジ部28b側の内部にバルブ収容凹部38が形成されている。つまり、スリーブ本体28aの中実な内部を切り欠いて第1、第2油通路36,37が軸方向に沿って形成されている。また、前記スリーブ本体28aは、前記フランジ部28b側の軸方向の一端部28cの前記バルブ収容凹部38に対応する部位の外径がやや大径状に形成されている。さらに、一端部28cの内周面に複数の案内溝28dが軸方向に沿って形成されている。この各案内溝28dは、後述するボール弁体45の外周面との間を通流する作動油をスリーブ本体28aの内部に案内する機能を有している。
【0044】
前記仕切壁35は、軸直角方向の断面が十字形状に形成されて、中央軸部35aを中心として4つの仕切部35b、35c、35d、35eによって構成されている。また、仕切壁35のバルブ収容凹部38と軸方向で反対側の端部には、第1油通路36の軸方向端部を閉塞する第1端壁39aが一体に設けられている。また、前記バルブ収容凹部38側の端部には、第2油通路37の軸方向端部を閉塞する第2端壁39bが一体に設けられている。さらに、仕切壁35の第2端壁39b側の中心位置には、中央軸部35aを延長した形でバルブ収容凹部38方向へ突出した突部40が設けられている。
【0045】
前記第1油通路36と第2油通路37は、スリーブ本体28aの軸方向に沿って並行に形成されて、前記十字状の仕切壁35を介して互いに径方向の対称位置、つまり180°の対称位置に2つずつ形成されている。また、各油通路36,37は前記仕切壁35によってそれぞれが断面扇状に形成されている。
【0046】
前記第1油通路36は、スリーブ本体28aの第1端壁39a付近に矩形状の第1開口孔36aが貫通形成されている。この第1開口孔36aは、スプール弁29の後述する連通孔29cを介して各遅角ポート32あるいは各進角ポート33に適宜連通するようになっている。また、第1油通路36の第1端壁39aと軸方向で反対側の導入口36bには、前記バルブ収容凹部38が臨んでいる。
【0047】
前記第2油通路37は、スリーブ本体28aの第2端壁39b付近に矩形状の第2開口孔37aが貫通形成されている。この第2開口孔37aは、スリーブ本体28aの外周面とバルブボディ27のバルブ孔27aの内周面との間に形成された隙間通路である第1筒状通路41aを介して進角ポート33に適宜連通するようになっている。また、第2油通路36の第2端壁39bと反対側の端部には、排出口37bが形成され、この排出口37bが後述する円筒部材50を介して排出通路43とオイルパン51に開口している。
【0048】
また、前記第1端壁39aは、第1油通路36側の内面に該第1油通路36から第1開口孔36aに作動油を案内する第1傾斜面39cが形成されている。一方、第2端壁39bは、第2油通路37側の内面に前記第1筒状通路41aから第2油通路37へ作動油を案内する第2傾斜面39dが形成されている。
【0049】
さらに、各遅角ポート32は、スプール弁29が最大右方向の移動位置に保持されている状態では、前記円筒部材50の外周面とバルブボディ27の内周面との間に形成された第2筒状通路41bを介してオイルパン51に連通している。
【0050】
フランジ部28bは、図5に示すように、環状溝34の内部に配置されていると共に、バルブスプリング30の軸方向の一端部が弾持されるスプリングリテーナ42と後述するバルブシート46との間に軸方向から挟み込まれるように配置されている。
【0051】
具体的に説明すれば、スプリングリテーナ42は、金属プレートで円環状に形成されて、外周部42aが軸方向に沿って断面ほぼL字形状に折曲形成されていると共に、中央に大径な挿入孔42bが貫通形成されている。前記外周部42aは、外周面が環状溝34の内周面に圧入されていると共に、環状の前端壁42cが環状溝34の段差面34aに軸方向から当接している。フランジ部28bは、外径がスプリングリテーナ42の外周部42aの内径よりも小さく形成されている。
【0052】
したがって、組み付け後において、フランジ部28bの外周面とスプリングリテーナ42の外周部42aとの間に、例えば0.4mm程度の径方向クリアランスC1が形成されている。また、フランジ部28bの前端面と該前端面と軸方向で対向するバルブシート46の対向面との間には、約0.02mm程度の軸方向クリアランスC2が形成されている。これらの各クリアランスC1,C2の存在によって、スリーブ28全体が、バルブボディ27に対して径方向及び軸方向へ僅かに移動可能に保持されている。
【0053】
前記バルブ収容凹部38には、逆止弁44が収容配置されている。この逆止弁44は、ボール弁体45と、該ボール弁体45が離着座するバルブシート46と、ボール弁体45をバルブシート46方向へ付勢するチェックスプリング47と、から構成されている。
【0054】
前記ボール弁体45は、金属材によって球状に形成されていると共に、外径がバルブ収容凹部38の内径よりも十分小さく形成されて、外面とバルブ収容凹部38の内周面との間に比較的大きな隙間が形成されている。
【0055】
前記バルブシート46は、円板プレート状に形成されて、ボール弁体45の方向へ膨出変形した中央部位に通路孔46aが貫通形成されている。また、外周部46bは、環状溝34の内周側に軸方向から挿入配置されていると共に、環状溝34に固定された固定部48の軸方向の押圧力によって外周部46bの前端面がスプリングリテーナ42の外周部42aの軸方向端縁に当接配置されている。
【0056】
前記ボール弁体45は、前記通路孔46aの孔縁に離着座して通路孔46aを開閉するようになっている。
【0057】
前記チェックスプリング47は、ボール弁体45を通路孔46aの孔縁に着座する方向へ付勢しているが、そのばね力は通路孔46aからボール弁体45に作用する所定の作動油圧によって圧縮変形してボール弁体45を後退移動させて通路孔46aを開く程度の大きさに設定されている。
【0058】
前記固定部48は、金属材あるいは合成樹脂材によって形成されて、外周面が環状溝34の内周面に軸方向から圧入されている。また、固定部48の中央には、カムシャフト2の雌ねじ孔2bの底部2c側と通路孔46aとを連通する通孔48aが貫通形成されている。なお、前記固定部48は、環状溝34に対して雌雄ねじによるねじ込みにより固定することも可能である。
【0059】
また、バルブシート46と固定部48との間に濾過フィルタ49が挟み込まれて固定されている。
【0060】
濾過フィルタ49は、一般的なもので、外周部49aが固定部48とバルブシート46との間に挟まれて固定され、中央部のフィルタ部49bを通過する作動油内の塵等を捕集するようになっている。
【0061】
前記スプール弁29は、図3及び図7に示すように、ほぼ円筒状に形成されて、内周面が前記スリーブ本体28aの外周面を軸方向へ摺動可能に設けられていると共に、軸方向の両端部外周に円環状の第1ランド部29aと第2ランド部29bが設けられている。また、該両ランド部29a、29bの間には、前記遅角ポート32と第1油通路36とを適宜連通させる4つの連通孔29cが径方向に貫通形成されている。
【0062】
各連通孔29cは、スプール弁29の周壁をほぼクロス状に径方向から貫通形成されている。また、この4つの連通孔29cが位置するスプール弁29の外周面には、第1凹溝である第1グルーブ溝29dが形成されている。また、前記連通孔29cが位置する内周面には、第2凹溝である第2グルーブ溝29eが形成されている。この第2グルーブ溝29eは、各連通孔29cの外側開口に臨んで形成されて、その軸方向の幅長さが前記両ランド部29a、29bの形成位置まで大きく形成されている。この幅の大きな第2グルーブ溝29eによって、スプール弁29の所定移動範囲の間において、スリーブ28の第1開口孔36aと各連通孔29cとの連通性を確保するようになっている。
【0063】
前記バルブスプリング30は、軸方向の一端部が前述したようにスプリングリテーナ42の前端壁42cに弾接している。一方、軸方向の他端部は、スプール弁29の第2ランド部29b側の軸方向端面に弾接して、スプール弁29を電磁アクチュエータ31方向へ付勢している。
【0064】
前記スプール弁29の第1ランド部29a側の軸方向端面には、電磁アクチュエータ31からの図1中、右方向からの押圧力を受けてスプール弁29に伝達する円筒部材50が設けられている。
【0065】
この円筒部材50は、金属材によって一体に形成され、図3及び図7に示すように、外径が軸方向で大小径状に形成され、ほぼ中央に有する段差部50cを挟んでスプール弁29側の大径筒部50aと、電磁アクチュエータ31側の小径筒部50bと、を有している。
【0066】
大径筒部50aは、軸方向の一端部がスプール弁29の軸方向端面に軸方向から当接していると共に、スリーブ本体28aのスプール弁29が設けられた軸方向の端部外周に摺動可能に嵌合している。
【0067】
小径筒部50bは、有底状に形成されて、底壁50dの先端面に電磁アクチュエータ31のプッシュロッド57が軸方向から当接して、電磁アクチュエータ31に通電されない場合は、スプール弁29を、バルブスプリング30のばね力と協働して軸方向の所定位置(図7に示す第1移動位置)に保持している。
【0068】
また、大径筒部50aと段差部50cの一部には、第2油通路37内を通った作動油を外部に排出する複数の排出用孔50eが径方向に沿って貫通形成されている。この各排出用孔50eは、軸方向に長い矩形状に形成されて、円筒部材50の円周方向の90°位置に等間隔で4つ有している。
【0069】
前記バルブボディ27の頭部27b側の他端部内には、円筒部材50を図7中、最大左方向の移動規制するストッパ部材52が圧入固定されている。
【0070】
このストッパ部材52は、図6A,Bにも示すように、金属材あるいは合成樹脂材によってカップ状に形成され、所定肉厚の円筒部52aと、該円筒部52aの軸方向一端部に有する円盤状の底壁52bと、から構成されている。
【0071】
円筒部52aは、外径がバルブボディ27の内径より僅かに大きく形成されて、バルブボディ27の軸方向他端部の内周面に圧入固定されている。
【0072】
底壁52bは、円筒部52aとの結合箇所の外面に傾斜面52cが形成されていると共に、中央部に円筒部材50の小径筒部50bが挿入可能な円形孔52dが貫通形成されている。また、この円形孔52dの孔縁の円周方向の約120°位置には、それぞれ半円形状の3つのドレン孔52eが切欠形成されている。
【0073】
底壁52bは、円筒部材50の小径筒部50bが円形孔52dに最大挿入された状態で、円形孔52dの孔縁部に段差部50cの外面が当接してストッパとして機能するようになっている。
【0074】
傾斜面52cは、ストッパ部材52をバルブボディ27内に圧入する際のガイドとして機能するようになっている。
【0075】
各ドレン孔52eは、円筒部材50の各排出用孔50eを介して第2油通路37とオイルパン51とを連通している。
【0076】
なお、このストッパ部材52の役割は、バルブボディ27内に各構成部品を組み込んだ際のスプール弁29や円筒部材50の抜けだしを規制するものである。つまり、バルブボディ27内にスリーブ28やスプール弁29、円筒部材50及び逆止弁44などの各構成部品を収容した状態では、バルブスプリング30のばね力でスプール弁29及び円筒部材50がバルブボディ27の頭部27b側の他端部内から外側へ抜け出てしまう。そこで、各構成部材を収容した状態でストッパ部材52をバルブボディ27の他端部内に圧入することによって円筒部材50の抜けだし方向の移動を規制するものである。各構成部品の組み立て後は、ストッパとして機能しなくなる。
【0077】
前記電磁アクチュエータ31は、図1に示すように、合成樹脂材のケーシング53と、該ケーシング53の内部に磁性材のボビン54を介して収容されたソレノイド55と、ボビン54の内部に軸方向へ摺動可能に設けられた円柱状の可動鉄心56と、該可動鉄心56の先端部に一体的に結合されて、先端部の押圧部57aが円筒部材50の小径筒部50bの底壁50dに軸方向から当接するプッシュロッド57と、を備えている。
【0078】
前記ケーシング53は、下端部にシリンダヘッドに固定されるブラケット53aを一体に有すると共に、上端部にECUであるコントロールユニット58に電気的に接続されるコネクタ部53bが設けられている。このコネクタ部53bは、ほぼ全体がケーシング53内に埋設された一対の端子片53cの各一端部が前記ソレノイド55に接続されている一方、外部に露出した各他端部がコントロールユニット58側の雄コネクタの端子に接続されている。なお、このケーシング53は、前端部側に設けられたシールリング59によってシリンダヘッドの保持溝に液密的に支持されている。
【0079】
可動鉄心56は、ソレノイド55への非通電時には、バルブスプリング30のばね力によってスプール弁29と円筒部材50、プッシュロッド57を介して後退移動するようになっている。
【0080】
ソレノイド55は、コントロールユニット58から通電されることによって励磁されて可動鉄心56を進出移動、つまりスプール弁29をバルブスプリング30のばね力に抗して図1の右方向へ移動させるようになっている。なお、スプール弁29は、ソレノイド55への非通電と通電中の通電量に応じて前記スプール弁29は図1の最大左方向位置(第1移動位置)と右方向の中間移動位置(保持位置)と最大右方向位置(第2移動位置)に移動制御される。
【0081】
すなわち、ソレノイド55に対するコントロールユニット58から非通電あるいは通電量に応じて可動鉄心56及びプッシュロッド57をバルブスプリング30のばね力に抗して図1の右方向(前方)へ押圧してスプール弁29の移動位置を、図8図10に示す第1ポジション〜第3ポジションに移動させるようになっている。
【0082】
コントロールユニット58は、内部のコンピュータが図外のクランク角センサ(機関回転数検出)やエアーフローメータ、機関水温センサ、機関温度センサ、スロットルバルブ開度センサおよびカムシャフト2の現在の回転位相を検出するカム角センサなどの各種センサ類からの情報信号を入力して現在の機関運転状態を検出するようになっている。また、コントロールユニット58は、前述したように、電磁アクチュエータ31のソレノイド55への通電を遮断してスプール弁29を第1移動位置(ポジション)に制御するか、ソレノイド55へパルス信号を出力して通電量(デューティ比)を制御して、第1ポジション〜第3ポジションとなるように連続的に可変制御するようになっている。
〔本実施形態の作用効果〕
すなわち、イグニッションスイッチがオフされて機関停止状態になると、オイルポンプ25も停止されて吐出通路25aから作動油が供給されないと共に、コントロールユニット58からソレノイド55への通電もなく非通電状態となっている。
【0083】
したがって、スプール弁29は、図7に示すように、バルブスプリング30のばね力で最大右方向の第1ポジションの移動位置に保持されている。この最大左方向の移動位置は、後退移動した可動鉄心56がケーシング53の底壁に皿ばねを介して弾接することによって規制される。
【0084】
このとき、逆止弁44は、ボール弁体45がチェックスプリング47のばね力によってバルブシート46に着座して通路孔46aを閉塞している。
【0085】
次に、イグニッションスイッチがオンされて機関が始動を開始すると、オイルポンプ25も駆動して吐出通路25aに作動油を圧送する。つまり、始動初期の作動油は、図8の矢印で示すように、逆止弁44のボール弁体45がチェックスプリング47のばね力に抗して後退移動して、バルブシート46から離間しつつ通路孔46aを開く。このとき、ボール弁体45は、油圧によって突部40に当接するまで最大に後退移動して供給作動油の十分な流量を確保する。
【0086】
このため、オイルポンプ25から吐出通路25aを介して供給通路24内に流入した作動油は、通孔48aと濾過フィルタ49を通って2つの第1油通路36に流入する。さらに、ここから第1開口孔36aとスプール弁29の各グルーブ溝29d、29eと連通孔29cを通って遅角ポート32に流入して各遅角通路孔17から各遅角作動室9内に供給される。
【0087】
同時に、スプール弁29は、各進角ポート33と第1筒状通路41aを連通させることから、各進角作動室10の作動油は、図中矢印で示すように、各進角ポート33と第1筒状通路41aを通って第2開口孔37aから第2油通路37に流入する。さらに、ここから円筒部材50内を通って各排出用孔50e及び各ドレン孔52eから排出通路43を介してオイルパン51内に排出される。
【0088】
したがって、ベーンロータ7は、最遅角の相対回転位置に維持されていることから、吸気弁のバルブタイミングが遅角側に制御された状態になる。これによって、機関の始動性が良好になる。
【0089】
また、この時点では、ロック通路23を介して解除用受圧室に遅角作動室9と同じ油圧が供給されるが、クランキング初期の時点では解除用受圧室内の油圧が上昇しないことから、ロックピン21はロック穴19内に係入してロックされた状態となる。したがって、カムシャフト2に発生する交番トルクによるベーンロータ7のばたつきなどを抑制することできる。
【0090】
その後、ロック通路23を介して解除用受圧室に供給された油圧が高くなると、ロックピン21が、コイルスプリングのばね力に抗して後退移動してロック穴19とのロック状態が解除されて、ベーンロータ7はフリーな状態になる。
【0091】
なお、このとき、前記各進角作動室10は、前述したように低圧状態が維持されている。
【0092】
次に、機関運転状態の変化に伴って、コントロールユニット58からソレノイド55への通電量が大きくなると、スプール弁29は、図9に示す第2ポジションまで僅かに右方向へ移動する。この状態では、第1ランド部29aと第2ランド部29bによって遅角ポート32と進角ポート33が塞がれて(閉止されて)、各遅角作動室9や各進角作動室10の作動油の供給あるいは排出が停止される。したがって、各遅角作動室9と各進角作動室10内に作動油が保持された状態になる。
【0093】
この第2ポジションは、機関運転状態を検出したコントロールユニット58によって第1ポジションから移行される場合や、第3ポジションから移行される場合であって、前記各遅角、進角作動室9、10内の油圧変動がなくなる。このため、ベーンロータ7は、最遅角と最進角の間の所定位置に保持される。
【0094】
したがって、吸気弁は、バルブタイミングが最遅角と最進角の間の中間位相位置に制御されるので、例えば、定常運転時の機関回転の安定化と燃費の向上が図れる。
【0095】
さらに、コントロールユニット58からソレノイド55への通電量がさらに大きくなると、スプール弁29は、図10に示すように、さらに僅かに右方向へ移動する(第3ポジション)。この状態では、スプール弁29の第1ランド部29aが遅角ポート32を開いて、該遅角ポート32に対してバルブボディ27の内周面と円筒部材50の外周面との間に形成された第2筒状通路41bとを連通させる。と同時に、スプール弁29は、各グルーブ溝29d、29eを介して連通孔29cと進角ポート33を連通させる。
【0096】
このため、各遅角作動室9内の作動油は、図中矢印で示すように、各遅角通路孔17から遅角ポート32を通って第2筒状通路41bに流入し、ここからストッパ部材52の円形孔52d及び各ドレン孔52eを通って速やかにオイルパン51内に排出される。
【0097】
同時に、オイルポンプ25から圧送された作動油は、矢印で示すように、供給通路24の作動油圧によって予め押し開かれた逆止弁44を介して各第1油通路36に流入する。ここからスプール弁29の各グルーブ溝29d、29eを介して各連通孔29cから各進角ポート33に流入して各進角通路孔18から各進角作動室10に供給される。したがって、各遅角作動室9の内圧が低下する一方、各進角作動室10の内圧が上昇する。
【0098】
よって、ベーンロータ7は、図2の実線位置から、時計方向へ回転して最大進角側へ相対回転する。これによって、吸気弁のバルブタイミングが最進角位相になって排気弁とのバルブオーバーラップが大きくなり、吸気充填効率が高くなって機関の出力トルクの向上が図れる。
【0099】
これらの制御は、コントロールユニット58からの通電量(デューティ比)を制御してスプール弁29の移動位置を第1から第3ポジションの間で適宜変更することにより、各遅角作動室9あるいは各進角作動室10に対してオイルポンプ25の吐出圧を供給通路24から第1油通路36から選択的に供給することにより、ベーンロータ7の相対回転位相を変更する、いわゆる通常制御であるOPA制御を行うようになっている。
【0100】
特に、前記第2ポジションの制御は、第1ポジションと第3ポジションの間のいずれかの中間位置に保持できる。これによって、ベーンロータ7を最遅角位置と最進角位置の間のいずれの位置にも保持することができる。つまり、例えば、最遅角位置寄りとか最進角位置寄り、さらには最遅角位置と最進角位置のほぼ中間位置などに自由に制御することが可能である。
【0101】
この結果、機関運転状態の変化に応じて吸気弁の開閉タイミングを自由に設定できるので、燃費の向上や高い機関性能を引き出すことが可能になる。
【0102】
そして、本実施形態の油圧制御弁26は、スリーブ28の内部に作動油供給用の第1油通路36と作動油排出用の第2油通路37を設けると共に、この第2油通路37に連通する排出流路をバルブボディ27の内部軸方向に形成した。つまり、各進角作動室10から排出された作動油を、第2油通路37から円筒部材50、排出用孔50e及び円形孔52d、ドレン孔52eを介してバルブボディ27の内部軸方向から排出通路43を介してオイルパン51に排出するようにした。このため、バルブボディ27には、遅角ポート32,進角ポート33以外に排出ポートなどの特別なポートを形成する必要がなくなる。したがって、バルブボディ27の軸方向の長さを十分に短くすることが可能になる。
【0103】
このように、バルブボディ27の軸方向長さの短尺化が図れることによって、バルブタイミング制御装置全体の小型化と軽量化を図ることができる。
【0104】
しかも、前記スリーブ28は、主として第1油通路36,第2油通路37が軸方向に沿って形成されているだけであるから、その外径を大きく取る必要がない。また、スプール弁29も、一つの連通孔29cが形成されているだけであるから、剛性を大きくする必要がないので、肉厚も可及的に薄肉にすることができる。したがって、バルブボディ27全体の外径を十分に小さくすることができる。
【0105】
このように、バルブボディ27の軸方向長さの短尺化の他に、外径の縮径化によってバルブタイミング制御装置全体の小型化と軽量化をさらに促進することができる。
【0106】
また、本実施形態では、第1油通路36の作動油は、第1傾斜面39cに沿って案内されながら各遅角、進角ポート32、33へ速やかに供給される。また、第1筒状通路41a内の作動油も、第2傾斜面39dに沿って案内されながら各第2油通路37へ速やかに流入させることができる。したがって、作動油の良好な流動抵抗が抑制されて円滑な流動性が得られことから、この点でもバルブタイミングの制御精度が向上する。
【0107】
また、機関停止時には、逆止弁44がバルブシート46に着座して通路孔46aを閉塞して、各遅角作動室9からの作動油の逆流を阻止することから各遅角作動室9内に作動油を保持することが可能になる。したがって、機関の再始動時における各遅角作動室9の油圧の立ち上がりが良好になり、ベーンロータ7を最遅角側へ速やかに相対回転させることできる。
【0108】
また、前記スプール弁29は、スリーブ28が図5に示す各クリアランスC1,C2を介して径方向及び軸方向へ僅かに移動できることから、左右軸方向への移動中にスリーブ28の外周面に引っ掛かることなく、スムーズに移動することができる。よって、各ポート32,33の開閉制御精度の低下を抑制できる。
〔第2実施形態〕
図11図13は本発明の第2実施形態を示し、主として第1実施形態におけるスリーブ28の内部油路構造や逆止弁44の構造などを変更したものである。また、ストッパ部材52などを廃止した。なお、以下では図外のものであっても第1実施形態と同じ符番を付して説明する。
【0109】
すなわち、バルブボディ27は、頭部27bや軸部27c、雄ねじ部27d、フランジ部27eなどの基本構造は第1実施形態のものとほぼ同じであって、軸部27cに4つの遅角ポート32と進角ポート33が径方向に沿って形成されている。頭部27bは、有底状に形成されて、底壁27gの中央にガイド孔27hが軸方向に貫通形成されている。
【0110】
スリーブ28は、例えば合成樹脂材からなる第1部材であるスリーブ本体60と、該スリーブ本体60の内部に圧入固定された例えば合成樹脂材からなる第2部材である通路構成部61と、に分割形成されている。
【0111】
スリーブ本体60は、有底円筒状に形成されて軸方向の一端部に大径部60aが形成されていると共に、該大径部60aの先端側外端縁にフランジ部60bを一体に有している。このスリーブ本体60は、軸方向のほぼ中央位置に作動油供給用の第1開口孔60cが径方向に貫通形成されていると共に、一端部の大径部60a付近に第2開口孔60dが径方向に貫通形成されている。また、スリーブ本体60の他端部に有する底壁60eには、作動油排出用の油孔60fが軸方向に貫通形成されている。前記大径部60aの内部には、逆止弁44が収容されるバルブ収容凹部64が形成されている。
【0112】
通路構成部61は、スリーブ本体60の内部に収容固定された状態で、このスリーブ本体60の内周面との間などに通路を形成するものである。また、通路構成部61の軸方向の長さは、底壁60eの内底面から大径部60a付近までの長さに形成されている。この通路構成部61は、図12に示すように、軸直角方向の断面がほぼ十字形状の仕切壁61aを有している。この仕切壁61aは、軸方向に延びてスリーブ本体60の内周面との間にそれぞれ2つの第1油通路62と第2油通路63を仕切っている。
【0113】
また、仕切壁61aは、各第1油通路62の電磁アクチュエータ31側の軸方向一端部にスリーブ本体60の底壁60eに軸方向から当接する第1端壁61bが一体に設けられている。また、この第1端壁61bの外面には、スリーブ本体60の底壁60eに形成された小孔60gに軸方向から係入する小突起61cが設けられている。この小突起61cが、小孔60gに軸方向から係入することによってスリーブ本体60に対する通路構成部61の周方向の位置決めがなされている。また、仕切壁61aは、第2油通路63の大径部60a側の軸方向一端部に第2油通路63を閉塞する第2端壁61dが一体に設けられている。
【0114】
また、通路構成部61は、第1油通路62の外周部を構成する周壁には、第1開口孔60cと連通する透孔61eが径方向へ貫通形成されている。
【0115】
各第1油通路62と第2油通路63は、仕切壁61aを挟んでそれぞれ径方向の対称位置に2つずつ設けられている。つまり、第1油通路62と第2油通路63は、第1実施形態と同じくスリーブ本体60の軸方向に沿って並行に形成されて、十字状の仕切壁35を介して互いに径方向の対称位置、つまり180°の対称位置に2つずつ形成されている。また、各油通路62,63は仕切壁61aによってそれぞれが断面扇状に形成されている。
【0116】
前記逆止弁44は、ボール弁体に代えて縦断面横U字形状のカップ状弁体65が用いられ、また、バルブシート66が比較的肉厚な円盤状に形成されている。
【0117】
カップ状弁体65は、外周に軸方向に沿った複数の通路部65aが切欠形成されていると共に、中央部65bの外面が平坦状に形成されている。また、このカップ状弁体65は、バルブスプリング67によってバルブシート66方向へ付勢されている。
【0118】
バルブシート66は、中央にカップ状弁体65の中央部65b外面によって開閉される通路孔66aが貫通形成されていると共に、外周部66bがバルブボディ27の環状溝34の内周面に圧入固定されている。
【0119】
また、スリーブ本体60のフランジ部60bは、バルブシート66と環状溝34の段差面34aとの間に微小隙間を介して径方向及び軸方向へ僅かに移動可能に挟み込まれている。これによって、第1実施形態と同じくスプール弁68の良好な摺動性を確保している。
【0120】
なお、バルブシート66の前端側には、濾過フィルタ49が設けられている。
【0121】
スプール弁68は、第1実施形態と同じく円筒状に形成されているが、径方向の肉厚がやや大きく形成されて、軸方向の両端部に第1ランド部68aと第2ランド部68bが一体に設けられている。このスプール弁68は、フランジ部60bとの間に弾装されたバルブスプリング69によってバルブボディ27の頭部底壁27g方向に付勢されている。
【0122】
第1、第2ランド部68a、68bの間には、スプール弁68の軸方向の所定の移動位置において、遅角ポート32と進角ポート33に適宜連通する連通孔68cが径方向に沿って貫通形成されている。また、この連通孔68cが位置する外周面には、幅が狭い第1グルーブ溝68dが形成されていると共に、内周面には、幅の広い第2グルーブ溝68eが形成されている。また、スプール弁68は、内周面68fがスリーブ本体60の外周面に摺接可能に設けられている。
【0123】
また、スプール弁68の電磁アクチュエータ31側の軸方向一端部には、円筒部材70が軸方向から当接している。この円筒部材70は、全体の肉厚が第1実施形態のものよりも大きく形成されており、スプール弁68に軸方向から当接する大径筒部70aと、その反対側の小径筒部70bと、大径筒部70aと小径筒部70bの間に設けられた段差部70cと、から構成されている。
【0124】
大径筒部70aは、スリーブ本体60の外周面に摺動可能に配置されている。一方、小径筒部70bは、バルブボディ27のガイド孔27h内に軸方向へ摺動案内可能に設けられている。
【0125】
大径筒部70aと段差部70cとの間には、排出用孔70dが形成され、小径筒部70bの先端部周壁には、排出用孔70dと連通するドレン孔70eが径方向に沿って貫通形成されている。
【0126】
小径筒部70bは、先端部の開口端には円板状の閉塞板71がカシメ固定されている。この閉塞板71の前端面には、電磁アクチュエータ31のプッシュロッド57の押圧部57aが軸方向から当接している。
【0127】
なお、前記電磁アクチュエータ31は、第1実施形態と同じ構成であり、ソレノイド55に対するコントロールユニット58から非通電あるいは通電量に応じて可動鉄心56及びプッシュロッド57をバルブスプリング69のばね力に抗して図13の右方向(前方)へ押圧してスプール弁68の移動位置を、図13図15に示す第1ポジションと第3ポジションに移動させるようになっている。
【0128】
なお、本実施形態では、図示は省略しているが、第1実施形態と同じくスプール弁68の移動位置を、第1ポジションと第3ポジションの中間位置である第2ポジションの位置にも制御可能になっている。
〔第2実施形態の作用効果〕
この第2実施形態の油圧制御弁26も第1実施形態とほぼ同じ作動であるから簡単に説明する。
【0129】
イグニッションスイッチがオフされて機関停止状態になると、オイルポンプ25の駆動が停止されると共に、コントロールユニット58からソレノイド55へも通電されない。
【0130】
したがって、スプール弁68は、図13に示すように、バルブスプリング69のばね力で最大左方向の第1ポジションに保持されている。このとき、逆止弁44は、カップ状弁体65の中央部65b外面がバルブスプリング67のばね力によってバルブシート66に着座して通路孔66aを閉塞している。
【0131】
次に、イグニッションスイッチがオンされると、オイルポンプ25も駆動し、この機関始動初期の作動油は、図14の矢印で示すように、逆止弁44のカップ状弁体65をバルブスプリング67のばね力に抗して押し戻して通路孔66aを開く。このとき、カップ状弁体65は、油圧によってスリーブ本体60の大径部60aとの間の段差部に当接するまで最大に後退移動して供給作動油の十分な流量を確保する。
【0132】
このため、オイルポンプ25から供給通路24内に流入した作動油は、濾過フィルタ49と通路孔66aを通って各第1油通路62に流入する。ここから、透孔61e、第1開口孔60cとスプール弁68の第1グルーブ溝68d、連通孔68c及び第2グルーブ溝68eを通って遅角ポート32に流入して各遅角通路孔17から各遅角作動室9内に供給される。
【0133】
同時に、スプール弁68は、各進角ポート33と第1筒状通路41aを連通させる。このため、各進角作動室10の作動油は、図中矢印で示すように、各進角ポート33と第1筒状通路41aを通って第2開口孔60dから第2油通路63に流入する。さらに、油孔60fから排出用孔70dを通って各ドレン孔70e、排出通路43からオイルパン51内に排出される。
【0134】
したがって、ベーンロータ7は、最遅角の位置に相対回転した状態が維持されて、吸気弁のバルブタイミングが遅角側に制御された状態になる。これによって、機関の始動性が良好になる。
【0135】
また、この時点では、ロックピン21はロック穴19内に係入してロックされた状態になっている。したがって、カムシャフト2に発生する交番トルクによるベーンロータ7のばたつきなどを抑制することできる。
【0136】
その後、ロック通路23を介して解除用受圧室に供給された油圧が高くなると、ロックピン21が後退移動してロック穴19から抜けだして、ベーンロータ7はフリーな状態になる。なお、このとき、前記各進角作動室10は、低圧状態が維持されている。
【0137】
さらに、コントロールユニット58からソレノイド55への通電量が大きくなると、スプール弁68は、図15に示すように、さらに右方向へ移動する(第3ポジション)。この状態では、スプール弁68の第1ランド部68aが遅角ポート32を開いて、この遅角ポート32をバルブボディ27の内周面と円筒部材50の外周面との間に形成された第2筒状通路41bと連通させる。同時に、スプール弁68は、第1、第2グルーブ溝68d、68eを介して連通孔68cと進角ポート33を連通させる。
【0138】
このため、各遅角作動室9内の作動油は、図中矢印で示すように、各遅角通路孔17から遅角ポート32を通って第2筒状通路41bに流入する。ここから、排出用孔70dから一旦小径筒部70b内に流入してドレン孔70e及び排出通路43を通って速やかにオイルパン51内に排出される。
【0139】
同時に、オイルポンプ25から圧送された作動油は、矢印で示すように、逆止弁44を介して各第1油通路36に流入する。ここから、透孔61eを含む第1開口孔60cを通って各グルーブ溝68d、68eを介して各連通孔68c、各進角ポート33を通って各進角通路孔18に流入して各進角作動室10に供給される。
【0140】
したがって、各遅角作動室9の内圧が低下する一方、各進角作動室10の内圧が上昇する。
【0141】
よって、ベーンロータ7は、最大進角側へ相対回転して、吸気弁のバルブタイミングが最進角位相になって排気弁とのバルブオーバーラップが大きくなり、吸気充填効率が高くなって機関の出力トルクの向上が図れる。
【0142】
なお、前述したように、コントロールユニット58からソレノイド55への通電量を変化させることによって、スプール弁68を最大左位置と最大右位置の間の所望の中間位置(第2ポジション)に保持できることから、例えば、定常運転時の機関回転の安定化と燃費の向上が図れる。
【0143】
以上のように、本実施形態は、第1実施形態と同じ作用効果が得られるが、特に、この実施形態では、スリーブ28を分割形成したことから、スリーブ本体60と通路構成部61をそれぞれ別個に成形できるので、例えば、射出成形が容易になる。
【0144】
さらに、ストッパ部材などの構成部品を廃止することによって、製造作業が容易になる。
【0145】
本発明は、前記実施形態の構成に限定されるものではなく、吸気弁側ばかりか排気弁側に適用することも可能である。また、油圧制御弁を、バルブタイミング制御装置以外の他の機器類に適用することも可能である。さらに、アクチュエータとしては、電磁アクチュエータの他に、油圧アクチュエータであっても良い。
【0146】
また、スプール弁と円筒部材を一体に形成することも可能である。
【0147】
なお、本実施形態における遅角、進角ポート32,33の閉止や連通が遮断されている状態とは、スプール弁29,68の各ランド部38a、38b、68a、68bによって遅角、進角ポート32,33が塞がれている状態を言い、各ランド部とバルブ孔27aの間のクリアランスを介して若干連通している状態も含む。
【0148】
以上説明した実施形態に基づく内燃機関のバルブタイミング制御装置としては、例えば、以下に述べる態様のものが考えられる。
【0149】
その一つの態様において、径方向に複数のポートが貫通形成された円筒状のバルブボディと、前記バルブボディの内部に収容保持されて、内部に2系統の油通路を有するスリーブと、前記バルブボディの内周と前記スリーブの外周との間に前記バルブボディの軸方向へ移動可能に配置され、該軸方向の移動位置に応じて前記2系統の油通路と前記複数のポートのいずれかと連通させるかあるいは連通を遮断するスプール弁と、を有している。
【0150】
さらに好ましくは、前記2系統の油通路は、前記スリーブの内部軸方向に沿って形成された第1油通路と、該第1油通路とは仕切られた状態で前記スリーブの内部軸方向に形成された第2油通路とによって構成されている。
【0151】
さらに好ましくは、前記第1油通路は、軸方向の一端側が軸方向に開口され、他端側に前記スリーブの径方向外側へ折曲形成された第1開口孔が形成されている一方、前記第2油通路は、軸方向の一端側に前記スリーブの径方向外側へ折曲形成された第2開口孔が形成され、他端側が軸方向に開口されている。
【0152】
さらに好ましくは、前記第1油通路の一端側の開口は、作動油を導入する導入口である一方、前記第2油通路の他端側の開口は、作動油を排出する排出口である。
【0153】
さらに好ましくは、前記第1油通路は、前記他端側から前記第1開口孔の径方向の折曲部位に、作動油を第1開口孔方向へ案内する第1傾斜面が形成されている一方、前記第2油通路は、一端側から第2開口孔の径方向の折曲部位に、作動油を第2開口孔方向へ案内する第2傾斜面が形成されている。
【0154】
さらに好ましくは、前記スプール弁は、円筒状に形成され、外周面に環状の第1凹溝が形成されていると共に、内周面の前記第1凹溝と対応した位置に環状の第2凹溝が形成され、前記第1凹溝と第2凹溝を連通する連通孔が貫通されている。
【0155】
さらに好ましくは、前記バルブボディの複数のポートは、第1ポートと第2ポートからなり、前記スプール弁の軸方向への移動位置のうち、第1移動位置において前記第1ポートと第1開口孔が前記連通孔を介して連通し、第2移動位置において前記第2ポートと第1開口孔が前記連通孔を介して連通し、さらに第3移動位置において、前記スプール弁に有する2つのランド部によって前記第1ポートと第2ポートを閉止している。
【0156】
さらに好ましくは、前記スプール弁の第1移動位置において、前記第2ポートが前記バルブボディの内周面とスリーブの外周面との間に形成された環状の隙間通路を介して前記第2開口孔から第2油通路に連通している。
【0157】
さらに好ましくは、前記第1油通路と第2油通路は、スリーブの内部に軸方向に沿って設けられた仕切壁を介して径方向の対称位置にそれぞれ2ずつ形成されている。
【0158】
さらに好ましくは、前記仕切壁は、前記スリーブの軸直角方向の断面が十字形状に形成されて、前記各2つの第1油通路と第2油通路は、それぞれが扇状に形成されている。
【0159】
さらに好ましくは、前記スリーブは、中実な円柱部に形成されて、該円柱部の内部軸方向に前記第1、第2油通路が形成されている。
【0160】
さらに好ましくは、前記スリーブは、円筒状の第1部材と、該第1部材の内部に収容配置されて、前記第1部材の内周面と協働して前記第1油通路と第2油通路を形成する第2部材と、を有している。
【0161】
さらに好ましくは、前記スリーブの軸方向一端側の内部にバルブ収容凹部が形成されていると共に、該バルブ収容凹部に、前記導入口から第1油通路側への作動油の流入のみを許容する逆止弁が設けられている。
【0162】
さらに好ましくは、前記スリーブは、軸方向の一端にフランジ部を有し、前記バルブボディは、内周に軸方向の一端部の内周に段差大径状の環状溝を有し、該環状溝内に前記逆止弁の弁体が離着座するバルブシートの外周部が保持されると共に、該バルブシートと前記環状溝の段差面との間に、前記フランジ部を配置した。
【0163】
さらに好ましくは、前記スリーブのフランジ部は、外周縁と前記環状溝の内周面との間にクリアランスが形成されて、前記スリーブが径方向へ移動可能になっている。
【0164】
さらに好ましくは、前記スリーブのフランジ部は、両側面と前記バルブシート及び環状溝の段差面との間にクリアランスが形成されて、前記スリーブが軸方向へ移動可能になっている。
【0165】
さらに好ましくは、前記環状溝に有底円筒状のリテーナが保持され、該リテーナは、前記環状溝の内周面に固定される筒状部と、前記環状溝の段差面に当接する円環状の底部と、を有し、前記筒状部は、前記底部と反対側の端縁に前記バルブシートが軸方向から当接して軸方向の移動が規制されている。
【0166】
さらに好ましくは、前記バルブシートに濾過フィルタが設けられている。
【0167】
さらに好ましくは、前記リテーナの底部と前記スプール弁との間に、該スプール弁を前記スリーブの軸方向の他端方向へ付勢するばね部材が配置されている。
【0168】
さらに好ましくは、前記スプール弁を前記第1移動位置方向へ付勢するばね部材と、前記スプール弁を前記ばね部材のばね力に抗して前記第2移動位置方向へ押圧するアクチュエータと、を有している。
【0169】
さらに好ましくは、前記スプール弁と前記アクチュエータとの間に配置された円筒部材を有し、該円筒部材の周壁に、前記スリーブの第2油通路の排出口と外部とを連通する排出用孔が形成されている。
【0170】
さらに好ましくは、前記円筒部材は、外径が段差部を介して大小径状に形成されており、前記スリーブの外周に摺動可能に設けられて、前記スプール弁の軸方向の一端縁に軸方向から当接する大径筒部と、該大径筒部の先端部に段差部を介して一体に設けられ、底壁に前記アクチュエータのプッシュロッドに軸方向から当接する小径筒部と、から構成され、前記大径筒部の周壁に前記排出用孔が形成されている。 さらに好ましくは、前記バルブボディの軸方向の一端部内周に、前記円筒部材の段差部を介して前記スプール弁の軸方向の最大一方向への移動位置を規制するストッパ部材が固定されている。
【0171】
さらに好ましくは、前記ストッパ部材は、中央に前記円筒部材の先端部が挿入可能な挿入孔が貫通形成されていると共に、該挿入孔の孔縁にドレン孔が少なくとも一つ形成されている。
【0172】
別の好ましい態様として、クランクシャフトからの回転力が伝達され、内部に作動室が形成されたハウジングと、カムシャフトに固定され、前記ハウジングの作動室を第1作動室と第2作動室に仕切ると共に、前記ハウジングに相対回転可能に設けられたベーンロータと、オイルポンプから圧送された作動油を、前記第1作動室と第2作動室に選択的に給排する油圧制御弁と、を備え、前記油圧制御弁は、前記ベーンロータの内部に収容固定され、それぞれ径方向に貫通形成されて前記第1作動室に連通する第1ポート及び前記第2作動室に連通する第2ポートを有する筒状のバルブボディと、前記バルブボディの内部に収容保持されて、内部に2系統の油通路を有するスリーブと、前記バルブボディの内周と前記スリーブの外周との間に前記バルブボディの軸方向へ移動可能に配置され、該軸方向の移動位置に応じて前記2系統の油通路と前記第1ポートあるいは第2ポートと連通させるかあるいは連通を遮断するスプール弁と、を有している。
【0173】
さらに好ましくは、前記2系統の油通路は、前記スリーブの内部軸方向に沿って形成された第1油通路と、該第1油通路とは仕切られた状態で前記スリーブの内部軸方向に形成された第2油通路とによって構成されている。
【0174】
さらに好ましくは、前記第1油通路は、軸方向の一端側が軸方向に開口され、他端側に前記スリーブの径方向外側へ折曲された第1開口孔が形成されている一方、前記第2油通路は、軸方向の一端側に前記スリーブの径方向外側へ折曲された第2開口孔が形成され、他端側が軸方向に開口されている。
【0175】
さらに好ましくは、前記第1油通路の一端側の開口は、作動油を導入する導入口である一方、前記第2油通路の他端側の開口は、作動油を排出する排出口である。
【0176】
さらに好ましくは、前記第1作動室は、油圧が作用することによって前記ハウジングに対するベーンロータの相対回転位相を遅角側に変更する遅角作動室であり、第2作動室は、油圧が作用することによって前記ハウジングに対するベーンロータの相対回転位相を進角側に変更する進角作動室である。
【0177】
さらに好ましくは、前記バルブボディは、前記ベーンロータをカムシャフトに固定するカムボルトによって構成され、外周に前記カムシャフト内に形成された雌ねじに螺着する雄ねじが形成されていると共に、該雄ねじ側の内周に前記スリーブを前記バルブボディの軸直角方向へ移動可能に保持する保持部材を有している。
て前記ハウジングに対するベーンロータの相対回転位相を遅角側に変更する遅角作動室であり、第2作動室は、油圧が作用することによって前記ハウジングに対するベーンロータの相対回転位相を進角側に変更する進角作動室である。
【0178】
さらに好ましくは、前記バルブボディは、前記ベーンロータをカムシャフトに固定するカムボルトによって構成され、外周に前記カムシャフト内に形成された雌ねじに螺着する雄ねじが形成されていると共に、該雄ねじ側の内周に前記スリーブを前記バルブボディの軸直角方向へ移動可能に保持する保持部材を有している。
【0179】
さらに好ましくは、前記バルブ収容凹部と前記第1油通路が常時連通している。
【0180】
さらに好ましくは、前記バルブシートは、中央に通路孔が貫通形成された円板プレート状に形成され、外周部が環状溝の内周面に圧入された円環状の固定部によって前記リテーナの筒状部に軸方向から当接している。
【0181】
さらに好ましくは、前記濾過フィルタは、前記バルブシートと固定部との間に挟まれた状態で固定されている。
【0182】
さらに好ましくは、前記逆止弁は、前記バルブシートに離着座するカップ状の弁体と、該弁体を前記バルブシート方向へ付勢するスプリングとから構成されている。
【0183】
さらに好ましくは、前記バルブシートは、中央に通路孔が形成された肉厚円盤状に形成され、外周面が前記環状溝の内周面に圧入固定されている。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15