特許第6776515号(P6776515)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6776515
(24)【登録日】2020年10月12日
(45)【発行日】2020年10月28日
(54)【発明の名称】架橋性ゴム組成物
(51)【国際特許分類】
   C08L 15/00 20060101AFI20201019BHJP
   C08K 3/06 20060101ALI20201019BHJP
   C08K 5/3415 20060101ALI20201019BHJP
   B60C 1/00 20060101ALI20201019BHJP
   C08C 19/20 20060101ALN20201019BHJP
   C08C 19/22 20060101ALN20201019BHJP
【FI】
   C08L15/00
   C08K3/06
   C08K5/3415
   B60C1/00 A
   B60C1/00 Z
   !C08C19/20
   !C08C19/22
【請求項の数】8
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2015-163514(P2015-163514)
(22)【出願日】2015年8月21日
(65)【公開番号】特開2017-39877(P2017-39877A)
(43)【公開日】2017年2月23日
【審査請求日】2018年3月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000229117
【氏名又は名称】日本ゼオン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000486
【氏名又は名称】とこしえ特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】古江 夕紀子
(72)【発明者】
【氏名】坂東 文明
(72)【発明者】
【氏名】武山 慶久
【審査官】 前田 孝泰
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−029943(JP,A)
【文献】 特開2001−097002(JP,A)
【文献】 特開2000−239444(JP,A)
【文献】 特開2002−146101(JP,A)
【文献】 特開2000−001529(JP,A)
【文献】 特開2014−084413(JP,A)
【文献】 特開2016−069447(JP,A)
【文献】 特開2016−108434(JP,A)
【文献】 特開2016−166261(JP,A)
【文献】 特開2014−034615(JP,A)
【文献】 特表2014−533772(JP,A)
【文献】 特表2013−542273(JP,A)
【文献】 特開昭61−279536(JP,A)
【文献】 特開2012−052114(JP,A)
【文献】 特開平08−239421(JP,A)
【文献】 中国特許出願公開第104628895(CN,A)
【文献】 中国特許出願公開第104193852(CN,A)
【文献】 米国特許第5200469(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 1/00−101/16
C08F 2/00−299/08
C08G 2/00− 85/00
C08C 19/00− 19/44
B60C 1/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
変性共役ジエン系重合体(A)と、多官能性の熱可逆性を示す化合物(B)と、硫黄(C)とを混合してなる架橋性ゴム組成物であって、
前記多官能性の熱可逆性を示す化合物(B)が、官能性基としてのマレイミド構造を有する化合物であり、
前記変性共役ジエン系重合体(A)が、重合体鎖の少なくとも一方の末端に、窒素原子を含有する変性基と、重合側鎖に、前記多官能性の熱可逆性を示す化合物(B)の前記官能性基との間で、温度変化によって可逆的に架橋構造の形成および解離が可能な基である熱可逆性結合基とを有し、
前記窒素原子を含有する変性基が、N−置換環状アミド類、N−置換環状尿素類、N−置換アミノケトン類、芳香族イソシアネート類、N,N−ジ置換アミノアルキルメタクリルアミド類、N−置換アミノアルデヒド類、アミノアルコキシシラン類、N−置換カルボジイミド類、シッフ塩基類、およびピリジル基含有ビニル化合物から選択される窒素含有化合物に由来の基であり、
前記熱可逆性結合基が、ベースポリマーとなる共役ジエン系重合体を構成する共役ジエン単量体単位の二重結合に、下記一般式(1)で表される化合物を反応させることにより導入された基であり、
前記変性共役ジエン系重合体(A)に含有されている共役ジエン単量体単位100モルに対する、前記熱可逆性結合基の含有割合が、0.01モル以上、1モル未満である架橋性ゴム組成物。
【化7】
(上記一般式(1)中、R〜Rは、互いに独立に、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基、ハロゲン原子、または、ベースポリマーとなる共役ジエン系重合体を構成する共役ジエン単量体単位の二重結合と反応する官能基であり、R〜Rのうち、少なくとも一つは、ベースポリマーとなる共役ジエン系重合体を構成する共役ジエン単量体単位の二重結合と反応する官能基である。また、Yは、−O−、−S−、−S(=O)−、−SO−、−NH−、−C(=O)−、または−OC(=O)−である。)
【請求項2】
カーボンブラックをさらに含有する請求項1に記載の架橋性ゴム組成物。
【請求項3】
カーボンブラックおよびシリカをさらに含有し、前記カーボンブラックと前記シリカとの合計の含有量を100重量%とした場合に、前記カーボンブラックの含有量が90重量%以上である請求項1に記載の架橋性ゴム組成物。
【請求項4】
前記カーボンブラックとシリカとの合計の含有量を100重量%とした場合に、前記カーボンブラックの含有量が100重量%である請求項に記載の架橋性ゴム組成物。
【請求項5】
前記変性共役ジエン系重合体(A)以外のゴムをさらに含有する請求項1〜4のいずれかに記載の架橋性ゴム組成物。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載の架橋性ゴム組成物を架橋してなるゴム架橋物。
【請求項7】
請求項6に記載のゴム架橋物を含んでなるタイヤ。
【請求項8】
大型車両用のタイヤである請求項7に記載のタイヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、架橋性ゴム組成物、ゴム架橋物およびタイヤに関し、より詳細には、加工性に優れ、かつ、引張強度、破断伸び、低発熱性およびウエットグリップ性に優れたゴム架橋物を与えることのできる架橋性ゴム組成物、ならびに、該架橋性ゴム組成物を用いて得られるゴム架橋物およびタイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、環境問題および資源の問題から、自動車用のタイヤには低発熱性が強く求められている。このような低発熱性の要求はトラックやバスなどの大型車両に使用される重荷重用空気入りタイヤにおいても求められており、たとえば、タイヤ重量のうち約50%を占めるタイヤトレッド部の厚みを薄くすることによってタイヤ重量の大幅な軽量化を行うことで、低発熱性を向上させる方法が知られている。しかしながら、タイヤトレッド部の厚みを単に薄くするだけでは、タイヤの強度物性が低下してしまうという課題がある。
【0003】
これに対し、タイヤトレッド部を構成する材料自体の強度物性を向上されるために、タイヤトレッド部に用いるゴム材料として、充填剤としてシリカよりも高い強度特性を有するカーボンブラックを用いる方法、具体的には、小粒径のカーボンブラックを用いる方法や、ストラクチャーの高いカーボンブラックを用いる方法が提案されている。また、カーボンブラックの添加量を増加させる方法なども提案されている。
【0004】
しかしながら、高い強度特性を有するカーボンブラックを用いる方法や、カーボンブラックの添加量を増加させる方法を用いた場合には、強度特性の向上は期待できるものの、混練り工程における加工性が悪化するという問題や、重荷重用タイヤのタイヤトレッド部として必要とされる低発熱性が低下するという問題や、引張強度が低下してしまい、これにより耐カット・チップ性に劣るものとなってしまうという問題がある。
【0005】
タイヤトレッド部を形成するためのゴム組成物として、たとえば、特許文献1では、共役ジオレフィン、あるいは共役ジオレフィンと芳香族ビニル化合物の重合体ゴムであって、該重合体中にプロトン性アミノ基を有する重合ゴムを含むゴム成分に、特定のビスマレイミド化合物を配合してなるゴム組成物が開示されている。この特許文献1によれば、リサイクル性に優れているゴム組成物が提供できると記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第4125452号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献1に開示された技術は、一部に摩耗や破損が生じた場合に、その部分のみを容易に交換できるタイヤを提供することを目的とするものであり、特許文献1に開示されたゴム組成物は、低発熱性が十分なものでなかった。また、特許文献1に開示されたゴム組成物は、トラックやバスなどの大型車両に使用されることを想定したものではなく、そのため、大型車両に使用される場合に特に重要となる、引張強度や破断伸びなどの機械特性についても十分なものではなかった。その一方で、本発明者等の知見によると、この特許文献1の技術において、引張強度や破断伸びなどの機械特性の向上を目的として、高い強度特性を有するカーボンブラックを配合すると、ゴム組成物としての加工性が著しく低下してしまい、カーボンブラックを十分に分散させることができず、結果として、機械特性に劣るものとなるという不具合があった。
【0008】
本発明は、このような実状に鑑みてなされたものであり、その目的は、加工性に優れ、かつ、引張強度、破断伸び、低発熱性およびウエットグリップ性に優れたゴム架橋物を与えることのできる架橋性ゴム組成物、ならびに、該架橋性ゴム組成物を用いて得られるゴム架橋物およびタイヤを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者等は、上記目的を達成するために鋭意研究した結果、熱可逆性結合基を特定の割合で含有する変性共役ジエン系重合体に、多官能性の熱可逆性を示す化合物と、硫黄とを混合することにより得られる架橋性ゴム組成物が、加工性に優れ、しかも、引張強度、破断伸び、低発熱性およびウエットグリップ性に優れたゴム架橋物を与えることができることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0010】
すなわち、本発明によれば、変性共役ジエン系重合体(A)と、多官能性の熱可逆性を示す化合物(B)と、硫黄(C)とを混合してなる架橋性ゴム組成物であって、前記変性共役ジエン系重合体(A)が、熱可逆性結合基を有し、前記変性共役ジエン系重合体(A)に含有されている共役ジエン単量体単位100モルに対する、前記熱可逆性結合基の含有割合が、0.01モル以上、1モル未満である架橋性ゴム組成物が提供される。
【0011】
本発明の架橋性ゴム組成物において、前記変性共役ジエン系重合体(A)が、重合体鎖の少なくとも一方の末端に、窒素素原子を含有する変性基を備えていることが好ましい。
本発明の架橋性ゴム組成物において、前記変性共役ジエン系重合体(A)が、ベースポリマーとなる共役ジエン系重合体を、下記一般式(1)で表される化合物により変性させることにより得られたものであることが好ましい。
【化1】
(上記一般式(1)中、R〜Rは、互いに独立に、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基、ハロゲン原子、または、ベースポリマーの共役ジエン単量体単位の二重結合と反応する官能基であり、R〜Rのうち、少なくとも一つは、前記ベースポリマーの共役ジエン単量体単位の二重結合と反応する官能基である。また、Yは、−O−、−S−、−S(=O)−、−SO−、−NH−、−C(=O)−、または−OC(=O)−である。)
本発明の架橋性ゴム組成物において、前記多官能性の熱可逆性を示す化合物(B)が、マレイミド構造を有する化合物であることが好ましい。
本発明の架橋性ゴム組成物は、カーボンブラックをさらに含有することが好ましい。
本発明の架橋性ゴム組成物は、前記変性共役ジエン系重合体(A)以外のゴムをさらに含有することが好ましい。
【0012】
また、本発明によれば、上記記載の架橋性ゴム組成物を架橋してなるゴム架橋物、および該ゴム架橋物を含んでなるタイヤが提供される。
本発明のタイヤは、大型車両用のタイヤであることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、加工性に優れ、かつ、引張強度、破断伸び、低発熱性およびウエットグリップ性に優れたゴム架橋物を与えることのできる架橋性ゴム組成物、ならびに、該架橋性ゴム組成物を用いて得られるゴム架橋物およびタイヤを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の架橋性ゴム組成物は、変性共役ジエン系重合体(A)と、多官能性の熱可逆性を示す化合物(B)と、硫黄(C)とを混合してなり、前記変性共役ジエン系重合体(A)が、熱可逆性結合基を有し、前記変性共役ジエン系重合体(A)に含有されている共役ジエン単量体単位100モルに対する、前記熱可逆性結合基の含有割合が、0.01モル以上、1モル未満である、ゴム組成物である。
【0015】
<変性共役ジエン系重合体(A)>
本発明で用いる変性共役ジエン系重合体(A)は、熱可逆性結合基を、変性共役ジエン系重合体(A)に含有されている共役ジエン単量体単位100モルに対し、0.01モル以上、1モル未満の範囲で有するものである。
【0016】
本発明で用いる変性共役ジエン系重合体(A)は、たとえば、少なくとも共役ジエン単量体を含有する単量体混合物を重合することでベースポリマーとなる共役ジエン系重合体を得て、得られたベースポリマーに、熱可逆性結合基を導入することで得ることができる。このような熱可逆性結合基の導入位置としては、特に限定されず、重合側鎖および重合末端のいずれであってもよいが、その導入効果をより高めることができるという観点より、重合側鎖であることが好ましい。
【0017】
本発明の架橋性ゴム組成物は、このような変性共役ジエン系重合体(A)を、多官能性の熱可逆性を示す化合物(B)および硫黄(C)とともに含有するものであるため、優れた加工性を実現しながら、ゴム架橋物とした際における、引張強度、破断伸び、低発熱性およびウエットグリップ性に優れたものとするこことができるものである。特に、本発明の架橋性ゴム組成物は、このような変性共役ジエン系重合体(A)を、多官能性の熱可逆性を示す化合物(B)とともに含有するものであるため、優れた加工性を備えるものであり、具体的には、架橋剤としての硫黄(C)、およびシリカやカーボンブラックなどの充填剤を配合する前のムーニー粘度(ポリマー・ムーニー粘度)と、これらを配合した後のムーニー粘度(コンパウンド・ムーニー粘度)との差を小さくすることができ、これにより、配合剤の種類によらず、ムーニー粘度の変動を小さく抑えることが可能となるため、配合設計がし易いものであり、しかも、ペイン効果(動歪に対する貯蔵弾性率の変化)を低く抑えることができ、これにより、シリカやカーボンブラックなどの充填剤の分散性に優れたものである。ここで、熱可逆性結合基は、温度変化により架橋構造の形成と解離とを可逆的に起こし得る基であり、架橋構造の形成と解離とを可逆的に起こすことにより、上記効果を奏するものである。
【0018】
なお、従来において、共役ジエン系重合体をシラン変性してなるものが知られており、このような従来技術では、シラン変性により、シリカやカーボンブラックなどの充填剤に対する相互作用を高めることで、シリカやカーボンブラックの再凝集を抑制させることが試みられている。しかしその一方で、従来技術においては、シリカやカーボンブラックなどの充填剤の初期分散性が十分ではなく、ゴム架橋物とした場合における、タイヤとしての性能(たとえば、引張強度や低燃費性等)を十分に得ることができないものであった。これに対し、たとえば、共役ジエン系重合体を高分子量ポリマーとすることにより、シリカやカーボンブラックなどの充填剤の初期分散性を向上させる方法も考えられるが、このような手法では、高分子量としているために、シリカやカーボンブラックの再凝集を抑制させる効果が不十分となり、この場合においても、ゴム架橋物とした場合における、タイヤとしての性能(たとえば、低燃費性等)を十分に得ることができないものであった。
【0019】
これに対し、本発明で用いる変性共役ジエン系重合体(A)は、分子内に熱可逆性結合基を備え、しかも、熱可逆性結合基の含有量を上記所定量とすることにより、混練初期においては、このような熱可逆性結合基が、多官能性の熱可逆性を示す化合物(B)とともに架橋構造を形成することで、高分子量ポリマーとしての挙動を示すことで、これにより、シリカやカーボンブラックなどの充填剤の初期分散性を向上させることができるものである。そして、その一方で、混練後期においては、熱可逆性結合基が解離することで、低分子量ポリマーとしての挙動を示すことで、シリカやカーボンブラックなどの充填剤の再凝集を良好に抑制することができ、これにより、シリカシリカやの分散性を向上させることができものである。また、これに加えて、熱可逆性結合基を備えることで、高温時の流動性も向上させることができるものである。そして、本発明によれば、これらの作用により、ゴム架橋物とした場合における、タイヤとしての性能(具体的には、引張強度、破断伸び、低発熱性およびウエットグリップ性等)を飛躍的に向上させることができるものである。特に、本発明においては、変性共役ジエン系重合体(A)に含有される熱可逆性結合基を、変性共役ジエン系重合体(A)に含有されている共役ジエン単量体単位100モルに対し、0.01モル以上、1モル未満の範囲とすることにより、このような効果を適切に奏するものである。一方で、熱可逆性結合基の含有割合が少なすぎると、熱可逆性結合基を導入することによる効果が得られなくなり、逆に、熱可逆性結合基の含有割合が多すぎると、ゲル分が増加してしまい、これにより加工性が低下してしまうため、このような効果が得られなくなってしまう。
【0020】
共役ジエン単量体としては、特に限定されないが、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−クロロ−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエンなどが挙げられる。これらの中でも、低発熱性およびウエットグリップ性に特に優れたゴム架橋物を得ることができるという点より、1,3−ブタジエンが好ましい。
【0021】
本発明で用いる変性共役ジエン系重合体(A)中における、共役ジエン単量体単位(熱可逆性結合基で変性されているものも含む)の含有割合は、好ましくは50〜100重量%であり、より好ましくは55〜90重量%、さらに好ましくは55〜85重量%である。共役ジエン単量体単位の含有割合を上記範囲とすることにより、最終的に得られるタイヤのウエットグリップ性および耐摩耗性をより高めることができる。
【0022】
本発明で用いる変性共役ジエン系重合体(A)中に含有される共役ジエン単量体単位のビニル結合含有量は、好ましくは0〜80重量%であり、より好ましくは5〜70重量%、さらに好ましくは10〜65重量%である。共役ジエン単量体単位のビニル結合含有量を上記範囲とすることにより、最終的に得られるタイヤの低発熱性をより高めることができる。
【0023】
また、本発明で用いる変性共役ジエン系重合体(A)を構成するベースポリマーは、共役ジエン単量体と共重合可能な他の単量体を共重合したものであってもよい。このような他の単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、2−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、2−エチルスチレン、3−エチルスチレン、4−エチルスチレン、2,4−ジイソプロピルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、4−t−ブチルスチレン、5−t−ブチル−2−メチルスチレン、ビニルナフタレン、ジメチルアミノメチルスチレン、ジメチルアミノエチルスチレンなどの芳香族ビニル単量体;アクリロニトリル、およびメタクリロニトリルなどのα,β−不飽和ニトリル単量体;アクリル酸、メタクリル酸、および無水マレイン酸などの不飽和力ルボン酸単老体または酸無水物;メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、およびアクリル酸ブチルなどの不飽和カルボン酸エステル単量体;1,5−ヘキサジエン、1,6−ヘプタジエン、1,7−オクタジエン、ジシクロペンタジエン、および5−エチリデン−2−ノルボルネンなどの非共役ジエン単量体;などが挙げられる。これらのなかでも、芳香族ビニル単量体が好ましく、スチレンが特に好ましい。
【0024】
本発明で用いる変性共役ジエン系重合体(A)中における、他の単量体の単位の含有割合は、好ましくは0〜50重量%であり、より好ましくは10〜45重量%、さらに好ましくは15〜45重量%である。
【0025】
本発明で用いる変性共役ジエン系重合体(A)に含有される、熱可逆性結合基は、温度変化により架橋構造の形成と解離とを可逆的に起こし得る基であり、このような基であれば何でもよいが、本発明においては、下記一般式(1)で表される化合物を、ベースポリマーの共役ジエン単量体単位の二重結合と反応させることにより得られる基であることが好ましい。下記一般式(1)で表される化合物を、ベースポリマーの共役ジエン単量体単位の二重結合と反応させることにより、熱可逆性結合基を備える、変性共役ジエン系重合体(A)を得ることができる。また、本発明で用いる変性共役ジエン系重合体(A)に含有される、下記一般式(1)で表される化合物を用いて形成される熱可逆性結合基は、多官能性の熱可逆性を示す化合物(B)と、ディールズアルダー反応により付加反応することで、温度変化により架橋構造の形成と解離とを可逆的に起こし得るものである。
【化2】
上記一般式(1)中、R〜Rは、互いに独立に、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基、ハロゲン原子、または、ベースポリマーの共役ジエン単量体単位の二重結合と反応する官能基であり、R〜Rのうち、少なくとも一つは、前記共役ジエン系重合体を形成する共役ジエン単量体単位の二重結合と反応する官能基である。また、Yは、−O−、−S−、−S(=O)−、−SO−、−NH−、−C(=O)−、または−OC(=O)−である。
【0026】
上記一般式(1)で表される化合物のなかでも、Yが、−O−であるフラン骨格を有する化合物が好ましい。また、ベースポリマーの共役ジエン単量体単位の二重結合と反応する官能基としては、特に限定されないが、炭素数1〜10のメルカプト基を有するアルキル基、ビニル基を有するアルキル基、ヒドロキシ基を有するアルキル基などが挙げられ、これらの中でも、ベースポリマーの共役ジエン単量体単位の二重結合との反応性の観点より、炭素数1〜10のメルカプト基を有するアルキル基が好ましい。
【0027】
本発明で用いる共役ジエン系重合体(A)中における、熱可逆性結合基の含有割合は、共役ジエン系重合体(A)に含有されているジエン単量体単位(熱可逆性結合基で変性されているものも含む)100モルに対して、0.01モル以上、1モル未満であり、より好ましくは0.02〜0.9モル、さらに好ましくは0.03〜0.8モルである。熱可逆性結合基の含有割合が少なすぎると、熱可逆性結合基を導入することによる効果、すなわち、シリカやカーボンブラックなどの充填剤の分散性を高め、これにより、タイヤとしての性能、具体的には、引張強度、破断伸び、低発熱性およびウエットグリップ性を向上させる効果が得られなくなる。一方、熱可逆性結合基の含有割合が多すぎると、ゲル分が増加してしまい、これにより加工性が低下してしまう。
【0028】
また、本発明で用いる変性共役ジエン系重合体(A)は、重合体鎖末端に、窒素素原子を含有する変性基を含有していることが好ましい。変性共役ジエン系重合体(A)の重合体鎖末端に、窒素素原子を含有する変性基を含有させる方法としては、たとえば、ベースポリマーは活性末端を有するものとし、該活性末端に、窒素含有化合物を反応させることにより導入することができる。
【0029】
この際に用いられる窒素含有化合物としては、特に限定されないが、たとえば、N−メチル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピロリドン、N−フェニル−2−ピロリドン、N−メチル−ε−カプロラクタムなどのN−置換環状アミド類;1,3−ジメチルエチレン尿素、1,3−ジエチル−2−イミダゾリジノンなどのN−置換環状尿素類;4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンなどのN−置換アミノケトン類;ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネートなどの芳香族イソシアネート類;N,N−ジメチルアミノプロピルメタクリルアミドなどのN,N−ジ置換アミノアルキルメタクリルアミド類;4−N,N−ジメチルアミノベンズアルデヒドなどのN−置換アミノアルデヒド類;N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルトリエトキシシラン、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルメチルジエトキシシラン、1−トリメチルシリル−2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタンなどのアミノアルコキシシラン類;ジシクロヘキシルカルボジイミドなどのN−置換カルボジイミド類;N−エチルエチリデンイミン、N−メチルベンジリデンイミンなどのシッフ塩基類;4−ビニルピリジンなどのピリジル基含有ビニル化合物;などが挙げられる。
【0030】
上述した窒素含有化合物は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらのなかでも、N−置換環状アミド類が好ましく、N−メチル−2−ピロリドン、N−フェニル−2−ピロリドンが好ましい。
【0031】
本発明で用いる変性共役ジエン系重合体(A)の重量平均分子量(Mw)は、特に限定されないが、ポリスチレン換算のゲルパーミエーションクロマトグラフィで測定される値として、通常、100,000〜3,000,000、好ましくは、150,000〜1,000,000、より好ましくは、200,000〜600,000の範囲で適宜選択される。重量平均分子量を上記範囲とすることにより、加工性を良好なものとしながら、得られるゴム架橋物の低発熱性およびウエットグリップ性を良好に高めることができる。
【0032】
本発明で用いる変性共役ジエン系重合体(A)の製造方法としては特に限定されないが、不活性溶媒中で、共役ジエン単量体を含有する単量体混合物を重合開始剤を用いて重合することで、ベースポリマーを得て、得られたベースポリマーに、上記一般式(1)で表される化合物を反応させる方法などが挙げられる。
【0033】
共役ジエン単量体を含有する単量体混合物の重合は、通常、不活性溶媒中で行われる。用いられる不活性溶媒としては、溶液重合において通常使用され、重合反応を阻害しないものであれば、特に制限なく使用できる。その具体例としては、たとえば、ブタン、ペンタン、ヘキサン、2−ブテンなどの脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロへキサン、シクロヘキセンなどの脂環式炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素;が挙げられる。不活性溶媒の使用量は、単量体濃度が、通常、1〜50重量%となるような割合であり、好ましくは10〜40重量%となるような割合である。
【0034】
重合開始剤としては、共役ジエン単量体を含有する単量体混合物を重合させることができるものであれば特に限定されないが、得られるベースポリマーを活性末端を有するものとすることができるという点より、有機アルカリ金属化合物および有機アルカリ土類金属化合物や、ランタン系列金属化合物を主触媒とする重合開始剤が好ましく使用される。有機アルカリ金属化合物の具体例としては、たとえば、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、t−ブチルリチウム、ヘキシルリチウム、フェニルリチウム、スチルベンリチウムなどの有機モノリチウム化合物;ジリチオメタン、1,4−ジリチオブタン、1,4−ジリチオ−2−エチルシクロヘキサン、1,3,5−トリリチオベンゼンなどの有機多価リチウム化合物;ナトリウムナフタレンなどの有機ナトリウム化合物;カリウムナフタレンなどの有機カリウム化合物が挙げられる。また、有機アルカリ土類金属化合物としては、n−ブチルマグネシウム、n−ヘキシルマグネシウム、エトキシカルシウム、ステアリン酸カルシウム、t−ブトキシストロンチウム、エトキシバリウム、イソプロポキシバリウム、エチルメルカプトバリウム、t−ブトキシバリウム、フェノキシバリウム、ジエチルアミノバリウム、ステアリン酸バリウム、ケチルバリウムなどが挙げられる。ランタン系列金属化合物を主触媒とする重合開始剤としては、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、サマリウム、ガドリニウムなどのランタン系列金属とカルボン酸、リン含有有機酸などからなるランタン系列金属の塩を主触媒とし、これと、アルキルアルミニウム化合物、有機アルミニウムハイドライド化合物、有機アルミニウムハライド化合物などの助触媒とからなる重合開始剤が挙げられる。これらの重合開始剤のなかでも、有機リチウム化合物、特に有機モノリチウム化合物を用いることが好ましい。なお、有機アルカリ金属化合物は、予め、ジブチルアミン、ジヘキシルアミン、ジベンジルアミン、ピロリジン、ヘキサメチレンイミン、ヘプタメチレンイミン(好ましくは、ピロリジン、ヘキサメチレンイミン、ヘプタメチレンイミン)などの第2級アミンと反応させて、有機アルカリ金属アミド化合物として使用してもよい。これらの重合開始剤は、それぞれ単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0035】
重合開始剤の使用量は、重合に用いる単量体混合物1000g当り、通常、1〜50ミリモル、好ましくは2〜20ミリモル、より好ましくは4〜15ミリモルの範囲である。
【0036】
また、共役ジエン単量体単位のビニル結合含有量を調節するために、単量体混合物を重合する際には、その重合に用いる不活性溶媒に極性化合物を添加することが好ましい。極性化合物としては、たとえば、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジテトラヒドロフリルプロパンなどのエーテル化合物;テトラメチルエチレンジアミンなどの三級アミン;アルカリ金属アルコキシド;ホスフィン化合物などが挙げられる。なかでも、エーテル化合物および三級アミンが好ましく、三級アミンがより好ましく、テトラメチルエチレンジアミンが特に好ましく使用される。極性化合物の使用量は、重合開始剤1モルに対して、好ましくは0.01〜100モル、より好ましくは0.3〜30モルの範囲である。極性化合物の使用量がこの範囲にあると、共役ジエン単量体単位のビニル結合含有量の調節が容易であり、かつ重合開始剤の失活による不具合も発生し難い。
【0037】
重合温度は、通常、−78〜150℃、好ましくは0〜100℃、より好ましくは30〜90℃の範囲である。重合様式は、回分式、連続式などいずれの様式も採用可能である。
【0038】
次いで、必要に応じて、得られたベースポリマーの活性末端に、上述した窒素含有化合物を反応させることで、窒素素原子を含有する変性基を導入する。
【0039】
窒素含有化合物の使用量は、使用した重合開始剤1モルに対して、通常、0.001モルを超え、0.1モル未満であり、好ましくは、0.005モルを超え、0.09モル未満であり、より好ましくは、0.01モルを超え、0.08モル未満である。
【0040】
窒素含有化合物は、重合系内に添加すると、重合で使用する不活性溶媒に溶解して、活性末端を有するベースポリマーの活性末端と窒素含有化合物が均一に反応しやすくなるので好ましい。その溶液濃度は、1〜50重量%であることが好ましい。活性末端を有するベースポリマーに窒素含有化合物を反応させる時期は、重合反応がほぼ完結した時点が好ましく、重合反応がほぼ完結した後、活性末端を有するベースポリマーが副反応でゲル化したり、重合系中の不純物による連鎖移動反応を受けたりする前であることが好ましい。なお、活性末端を有するベースポリマーに窒素含有化合物を反応させる前に、本発明の効果を阻害しない範囲で、通常使用される重合停止剤、重合末端変性剤およびカップリング剤などを重合系内に添加して、ベースポリマーの活性末端の一部を不活性化してもよい。
【0041】
このとき用いられうる重合末端変性剤およびカップリング剤としては、たとえば、ジメチルジメトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、トリフェノキシメチルシラン、ビス(トリメトキシシリル)エタン、ビス(トリメトキシシリル)ヘキサン、メチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、トリエトキシクロロシラン、3−グリシドキシエチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシブチルプロピルトリメトキシシラン、ビス(3−グリシドキシプロピル)ジメトキシシラン、ビス(3−(トリエトキシシリル)プロピル)ジスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)メチルアミン、トリス(3−トリメトキシリルプロピル)イソシアヌレート)、ジブチルジクロロシラン、メチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、メチルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン、テトラクロロシラン、3−(ベンジルメチルアミノ)プロピルトリメトキシシラン、ポリオルガノシロキサンなどのシラン化合物;プロピレンオキサイド、テトラグリシジル−1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、エポキシ化ポリブタジエンなどのエポキシ基含有化合物;ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラサルファイド、ビス(トリブトキシシリルプロピル)テトラサルファイド、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシタン、メチルトリフェノキシシラン、テトラメトキシシラン、ジメチルジフェノキシシラン、ジエチルジフェノキシシラン、ビス(トリメトキシシリル)メタン、ビス(トリメトキシシリル)エタン、ビス(トリメトキシシリル)プロパン、ビス(トリメトキシシリル)ヘキサン、ビス(トリメトキシシリル)ノナン、ビス(トリエトキシシリル)メタン、ビス(トリエトキシシリル)エタン、ビス(トリエトキシシリル)プロパン、ビス(トリエトキシシリル)ヘキサン、ビス(トリエトキシシリル)ノナンなどのアルコキシル基含有化合物;四塩化錫、四塩化ケイ素、トリフェノキシクロロシラン、ヘキサクロロシラン、ビス(トリクロロシリル)メタン、ビス(トリクロロシリル)エタン、ビス(トリクロロシリル)プロパン、ビス(トリクロロシリル)ヘキサン、ビス(トリクロロシリル)ノナンなどのハロゲン化金属化合物;などが挙げられる。
【0042】
ベースポリマーの活性末端に窒素含有化合物を反応させる際の条件としては、反応温度が、通常0〜100℃、好ましくは30〜90℃の範囲であり、反応時間が、通常1〜120分、好ましくは2〜60分の範囲である。
【0043】
ベースポリマーに窒素含有化合物を反応させた後は、メタノール、イソプロパノールなどのアルコールまたは水を添加して活性末端を失活させることが好ましい。なお、活性末端を有するベースポリマーに窒素含有化合物を反応させた後においても、活性末端を有するベースポリマーが残存している場合、活性末端を失活させる前に、所望により、通常使用される重合末端変性剤およびカップリング剤などを重合系内に添加して反応させてもよい。あるいは、ベースポリマーに窒素含有化合物を反応させない場合(すなわち、重合体鎖末端に、窒素素原子を含有する変性基を導入しない場合)には、ベースポリマーに窒素含有化合物を反応させずに、メタノール、イソプロパノールなどのアルコールまたは水を添加して活性末端を失活させればよい。
【0044】
次いで、上記一般式(1)で表される化合物を、上記にて得られたベースポリマーの共役ジエン単量体単位の二重結合に反応させることで、熱可逆性結合基を導入することで、変性共役ジエン系重合体(A)を得る。
【0045】
上記一般式(1)で表される化合物を反応させる方法としては、特に限定されないが、不活性溶媒中において、ラジカル発生剤を用いて反応させる方法などが挙げられる。不活性溶媒としては、たとえば、上述したものを用いることができる。ラジカル発生剤としては、特に限定されないが、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム、過リン酸カリウム、過酸化水素等の無機過酸化物;t−ブチルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、p−メンタンハイドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、アセチルパーオキサイド、イソブチリルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、ジベンゾイルパーオキサイド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシイソブチレート等の有機過酸化物;2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル、アゾビスイソ酪酸メチル等のアゾ化合物;などが挙げられる。
【0046】
上記一般式(1)で表される化合物を反応させる際の条件は、反応温度が、通常0〜100℃、好ましくは30〜90℃の範囲であり、反応時間が、通常1〜600分、好ましくは2〜500分の範囲である。
【0047】
そして、上記一般式(1)で表される化合物を反応させた後、所望により、フェノール系安定剤、リン系安定剤、イオウ系安定剤などの老化防止剤、クラム化剤、スケール防止剤などを反応溶液に添加した後、直接乾燥やスチームストリッピングにより反応溶液から反応溶媒を分離して、目的の変性共役ジエン系重合体(A)を回収する。なお、反応溶液から反応溶媒を分離する前に、反応溶液に伸展油を混合し、変性共役ジエン系重合体(A)を油展ゴムとして回収してもよい。
【0048】
変性共役ジエン系重合体(A)を油展ゴムとして回収する場合に用いる伸展油としては、ゴム工業において通常使用されるものが使用でき、パラフィン系、芳香族系、ナフテン系の石油系軟化剤、植物系軟化剤、脂肪酸などが挙げられる。石油系軟化剤を用いる場合には、多環芳香族の含有量が3%未満であることが好ましい。この含有量は、IP346の方法(英国のTHE INSTITUTE PETROLEUMの検査方法)により測定される。伸展油を使用する場合、その使用量は、変性共役ジエン系重合体(A)100重量部に対して、通常5〜100重量部、好ましくは10〜60重量部、より好ましくは、20〜50重量部である。
【0049】
<多官能性の熱可逆性を示す化合物(B)>
本発明で用いられる多官能性の熱可逆性を示す化合物(B)としては、特に限定されないが、上述した変性共役ジエン系重合体(A)に備えられる熱可逆性結合基に対して、温度変化により架橋構造の形成と解離とを可逆的に起こし得る基を2以上有する化合物であり、より具体的には、ディールズアルダー反応により付加反応することで、温度変化により架橋構造の形成と解離とを可逆的に起こし得る基を2以上有する化合物であることが好ましい。
【0050】
このような多官能性の熱可逆性を示す化合物としては、特に限定されないが、反応性等の観点より、マレイミド構造を有する化合物であることが好ましく、マレイミド構造を2つ有するビスマレイミド化合物であることがより好ましく、下記一般式(2)で示されるビスマレイミド化合物であることが特に好ましい。
【化3】
上記一般式(2)中、R〜Rは、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基、または、ハロゲン原子であり、これらは互いに同一であっても相違していてもよい。また、Yは、任意の結合基である。
【0051】
なお、上記一般式(2)中、Yは、任意の結合基であるが、Yとしては、炭素数1〜100の直鎖または分岐状のアルキレン基、または、下記一般式(3)〜(6)で表されるいずれかの基であることが好ましい。
【化4】
上記一般式(3)〜(6)中、R〜R18は、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基、または、ハロゲン原子であり、これらは互いに同一であっても相違していてもよい。Y〜Yは、化学的な単結合、炭素数1〜10の分岐または直鎖状のアルキレン基、−O−、−S−、−SO−、−C(=O)−、または、−S(=O)−であり、これらは互いに同一であっても相違していてもよい。
【0052】
上記一般式(2)で表される化合物として、Yが、炭素数1〜100の直鎖または分岐状のアルキレン基であるものは、上述した変性共役ジエン系重合体(A)の重合体鎖との相溶性に特に優れるため、温度変化により遊離した際における均一性の観点より、好ましい。
【0053】
また、上記一般式(2)で表される化合物として、Yが、上記一般式(3)〜(6)のいずれかであるものは、フェニル基の電子吸引性のために、マレイミド構造に含まれる炭素−炭素二重結合の電子密度を低くすることができ、これにより、ディールズアルダー反応による付加反応をより起こしやすくすることができるという点より好ましい。
【0054】
そして、本発明においては、加熱および冷却を行うことにより、上述した変性共役ジエン系重合体(A)に備えられる熱可逆性結合基と、多官能性の熱可逆性を示す化合物(B)とが、下記式(7)に示すように、ディールズアルダー反応により、可逆的に架橋構造の形成および解離を行うものである。なお、下記式(7)においては、上記一般式(1)で表される化合物として、フルフリルチオール(上記一般式(1)において、Rが−CHSHで表される基、R〜Rが水素原子、Yが−O−である化合物)を、上記一般式(2)で表される化合物として、R〜Rが水素原子である化合物を、それぞれ使用した場合を例示して示している。
【化5】
【0055】
本発明の架橋性ゴム組成物中における、多官能性の熱可逆性を示す化合物(B)の配合量は、変性共役ジエン系重合体(A)に含有される熱可逆性結合基の量および種類に応じて適宜選択すればよいが、変性共役ジエン系重合体(A)に含有される熱可逆性結合基1モルに対して、好ましくは0.01〜20モルであり、より好ましくは0.05〜15モル、さらに好ましくは0.1〜10モルである。多官能性の熱可逆性を示す化合物(B)の配合量を上記範囲とすることにより、加工性を良好なものとしながら、得られるゴム架橋物の低発熱性およびウエットグリップ性をより向上させることができる。
【0056】
なお、本発明の架橋性ゴム組成物は、得られるゴム架橋物の引張強度、破断伸び、低発熱性およびウエットグリップ性をより高めることができるという点より、変性共役ジエン系重合体(A)と、多官能性の熱可逆性を示す化合物(B)とを含むゴム組成物を得て、得られたゴム組成物に硫黄(C)を配合することにより製造することが好ましい。
【0057】
この際における、変性共役ジエン系重合体(A)と、多官能性の熱可逆性を示す化合物(B)とを含むゴム組成物において、ゴム成分のトルエン不溶解分量は、30重量%以下であることが好ましく、より好ましくは25重量%以下、さらに好ましくは20重量%以下である。ゴム成分のトルエン不溶解分量が上記範囲にあることにより、加工性をより高めることができる。なお、ゴム成分のトルエン不溶解分量を上記範囲とする方法としては、特に限定されないが、たとえば、変性共役ジエン系重合体(A)中に含有される熱可逆性結合基の含有割合を、上記した範囲内に制御する方法などが挙げられる。ゴム成分のトルエン不溶解分量は、たとえば、#150メッシュカゴに、ゴム組成物(重量:Wa[g])を入れ、トルエン中に100℃で2時間浸漬し、次いで、#150メッシュカゴに残ったゴムの乾燥重量(重量:Wb[g])を測定し、「トルエン不溶解分量=(Wb/Wa)×100(重量%)」に従って求めることができる。
【0058】
また、変性共役ジエン系重合体(A)と、多官能性の熱可逆性を示す化合物(B)とを含むゴム組成物のムーニー粘度(ML1+4,100℃)は、好ましくは20〜100、より好ましくは30〜90、特に好ましくは35〜80である。
【0059】
さらに、変性共役ジエン系重合体(A)と、多官能性の熱可逆性を示す化合物(B)とを含むゴム組成物を調製するに際しては、次のような方法を採用してもよい。すなわち、まず、変性共役ジエン系重合体(A)に熱可逆性結合基を導入されるために用いられる上記一般式(1)で表される化合物と、多官能性の熱可逆性を示す化合物(B)とを、ディールズアルダー反応により付加反応させることで縮合ヘテロ環含有化合物を得る。そして、得られた縮合ヘテロ環含有化合物と、変性共役ジエン系重合体(A)を形成するためのベースポリマーとを反応させることにより、変性共役ジエン系重合体(A)と、多官能性の熱可逆性を示す化合物(B)とを含むゴム組成物を調製する方法を採用してもよい。このような方法を採用することにより、変性共役ジエン系重合体(A)に含まれる熱可逆性結合基と、多官能性の熱可逆性を示す化合物(B)とを近接させた状態で含ませることができ、架橋構造をより形成させやすくなるため、本発明の作用効果をより一層顕著なものとすることできる。
【0060】
なお、上記一般式(1)で表される化合物と、多官能性の熱可逆性を示す化合物(B)とを反応させることで縮合ヘテロ環含有化合物の一例を挙げると、多官能性の熱可逆性を示す化合物(B)として上記一般式(2)を用いて得られる、下記一般式(8)で表される化合物などが挙げられる。また、得られた縮合ヘテロ環含有化合物と、変性共役ジエン系重合体(A)を形成するためのベースポリマーとを反応させる方法としては、特に限定されないが、たとえば、上記一般式(1)で表される化合物と、変性共役ジエン系重合体(A)を形成するためのベースポリマーとを反応させる方法と同様とすることができる。
【化6】
(上記一般式(8)中、R〜R、Yは、上記一般式(1)と同様であり、R〜R、Yは、上記一般式(2)と同様である。)
【0061】
<硫黄(C)>
また、本発明の架橋性ゴム組成物は、上述した変性共役ジエン系重合体(A)および多官能性の熱可逆性を示す化合物(B)に加えて、硫黄(C)を含有する。本発明の架橋性ゴム組成物中において、硫黄(C)は架橋剤として作用する。
【0062】
硫黄(C)としては、たとえば、粉末硫黄、硫黄華、脱酸硫黄、沈降硫黄、コロイド硫黄、高分散性硫黄、不溶性硫黄などのいずれをも用いることができ、これらは単独で、又は二種以上併せて使用することができる。
【0063】
ここで、本発明においては、上述した変性共役ジエン系重合体(A)として、熱可逆性結合基の含有割合が、ジエン単量体単位100モルに対して、0.01モル以上、1モル未満と比較的少ないものを用いるものであるが、これは次の理由による。すなわち、本発明においては、シリカやカーボンブラックなどを配合して混練を行う際に、混練初期において、変性共役ジエン系重合体(A)の熱可逆性結合基と、多官能性の熱可逆性を示す化合物(B)との間で架橋構造を形成させ、高分子量ポリマーとしての挙動を示させることで、これにより、シリカやカーボンブラックなどの充填剤の初期分散性を向上させるものであるが、本発明者等の知見によると、このような効果を適切に奏するためには、熱可逆性結合基の含有割合を上記のように比較的少ないものとすることが特に有効であり、これに対し、熱可逆性結合基の含有割合が、多すぎるとゲル分が増加してしまい、初期分散性が低下してしまうこととなってしまうこととなる。そのため、本発明においては、上述した変性共役ジエン系重合体(A)として、熱可逆性結合基の含有割合が、上記のように比較的少ないものとするものである。
【0064】
その一方で、本発明の架橋性ゴム組成物について架橋を行い、ゴム架橋物とする際には、変性共役ジエン系重合体(A)に含まれる熱可逆性結合基と、多官能性の熱可逆性を示す化合物(B)との間で架橋構造が形成されることとなるが、上記理由により、変性共役ジエン系重合体(A)として、熱可逆性結合基の含有割合が比較的少ないものを用いるものであり、そのため、このような架橋構造のみでは、得られるゴム架橋物の機械特性が不十分となるため、機械特性を十分なものとするために、架橋剤としての硫黄(C)を配合するものである。
【0065】
本発明の架橋性ゴム組成物中における、硫黄(C)の配合量は、架橋性ゴム組成物中に含有されるゴム成分100重量部に対して、好ましくは0.1〜5重量部、より好ましくは0.3〜4重量部、さらに好ましくは0.5〜3重量部である。硫黄(C)の配合量を上記範囲とすることにより、低発熱性およびウエットグリップ性を良好なものとしながら、引張強度および破断伸びを適切に向上させることができる。
【0066】
<カーボンブラック>
本発明の架橋性ゴム組成物は、上述した各成分に加えて、カーボンブラックを含有していることが好ましい。
【0067】
カーボンブラックとしては、たとえば、ファーネスブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、チャンネルブラック、グラファイトなどが挙げられる。これらの中でも、ファーネスブラックが好ましく、その具体例としては、SAF、ISAF、ISAF−HS、ISAF−LS、IISAF−HS、HAF、HAF−HS、HAF−LS、FEFなどが挙げられる。これらのカーボンブラックは、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0068】
カーボンブラックの算術平均粒子径は、好ましくは5〜50μm、より好ましくは10〜40μmである。また、カーボンブラックの窒素吸着比表面積(NSA)は、好ましくは40〜200m/g、より好ましくは50〜180m/gである。算術平均粒子径および窒素吸着比表面積が上記範囲にあるカーボンブラックを用いることにより、カーボンブラックを配合することによる効果、すなわち、引張強度および破断伸びなどの機械特性の向上効果をより高めることができる。
【0069】
本発明の架橋性ゴム組成物中における、カーボンブラックの配合量は、架橋性ゴム組成物中に含有されるゴム成分100重量部に対して、好ましくは20〜100重量部、より好ましくは25〜90重量部、さらに好ましくは30〜80重量部である。カーボンブラックの配合量を上記範囲とすることにより、引張強度および破断伸びなどの機械特性を適切に向上させることができる。
【0070】
また、本発明の架橋性ゴム組成物には、カーボンブラック以外の充填剤、たとえば、シリカなどを配合してもよい。ただし、シリカを配合する場合には、引張強度および破断伸びなどの機械特性を適切に向上させるという観点より、シリカとカーボンブラックとの合計を100重量%とした場合に、カーボンブラックが90重量%以上となるように配合することが好ましく、カーボンブラックが100重量%となるように配合することがより好ましい。
【0071】
<その他の配合剤>
また、本発明の架橋性ゴム組成物には、架橋促進剤や架橋活性化剤を配合することが好ましい。
架橋促進剤としては、たとえば、スルフェンアミド系架橋促進剤;グアニジン系架橋促進剤;チオウレア系架橋促進剤;チアゾール系架橋促進剤;チウラム系架橋促進剤;ジチオカルバミン酸系架橋促進剤;キサントゲン酸系架橋促進剤;などが挙げられる。これらのなかでも、スルフェンアミド系架橋促進剤を含むものが好ましい。これらの架橋促進剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いられる。架橋促進剤の配合量は、架橋性ゴム組成物中のゴム成分100重量部に対して、好ましくは0.1〜15重量部、より好ましくは0.5〜5重量部、特に好ましくは1〜4重量部である。
架橋活性化剤としては、たとえば、ステアリン酸などの高級脂肪酸;酸化亜鉛;などを挙げることができる。これらの架橋活性化剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いられる。架橋活性化剤の配合量は、架橋性ゴム組成物中のゴム成分100重量部に対して、好ましくは0.05〜20重量部、特に好ましくは0.5〜15重量部である。
【0072】
また、本発明の架橋性ゴム組成物には、上述した変性共役ジエン系重合体(A)以外のその他のゴムを配合してもよい。その他のゴムとしては、たとえば、天然ゴム、ポリイソプレンゴム、乳化重合スチレン−ブタジエン共重合ゴム、溶液重合スチレン−ブタジエン共重合ゴム、ポリブタジエンゴム(高シス−BR、低シスBRであってもよい。また、1,2−ポリブタジエン重合体からなる結晶繊維を含むポリブタジエンゴムであってもよい)、スチレン−イソプレン共重合ゴム、ブタジエン−イソプレン共重合ゴム、スチレン−イソプレン−ブタジエン共重合ゴム、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム、アクリロニトリル−スチレン−ブタジエン共重合ゴムなどのうち、上述した変性共役ジエン系重合体(A)以外のものをいう。これらのなかでも、天然ゴム、ポリイソプレンゴム、ポリブタジエンゴム、溶液重合スチレン−ブタジエン共重合ゴムが好ましい。これらのゴムは、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0073】
本発明の架橋性ゴム組成物において、変性共役ジエン系重合体(A)は、架橋性ゴム組成物中のゴム成分の10〜100重量%を占めることが好ましく、50〜100重量%を占めることが特に好ましい。このような割合で、変性共役ジエン系重合体(A)をゴム成分中に含めることにより、得られるゴム架橋物の低発熱性をより高めることができる。
【0074】
本発明の架橋性ゴム組成物を得るためには、常法に従って各成分を混練すればよく、たとえば、上述した変性共役ジエン系重合体(A)および多官能性の熱可逆性を示す化合物(B)を含有する組成物に、硫黄(C)や架橋促進剤などの熱に不安定な成分を除く成分を配合し、ミキサーなどで混練し、次いで、得られた混練物に硫黄(C)や架橋促進剤などの熱に不安定な成分を混合して目的の組成物を得ることができる。この際において、本発明では、熱に不安定な成分を除く成分の混練温度を、好ましくは80〜200℃、より好ましくは100〜180℃とする。
【0075】
<ゴム架橋物>
本発明のゴム架橋物は、上述した本発明の架橋性ゴム組成物を架橋してなるものである。
本発明のゴム架橋物は、本発明の架橋性ゴム組成物を用い、たとえば、所望の形状に対応した成形機、たとえば、押出機、射出成形機、圧縮機、ロールなどにより成形を行い、加熱することにより架橋反応を行い、架橋物として形状を固定化することにより製造することができる。この場合においては、予め成形した後に架橋しても、成形と同時に架橋を行ってもよい。成形温度は、通常、10〜200℃、好ましくは25〜120℃である。架橋温度は、通常、100〜200℃、好ましくは130〜190℃であり、架橋時間は、通常、1分〜24時間、好ましくは2分〜12時間、特に好ましくは3分〜6時間である。
【0076】
また、ゴム架橋物の形状、大きさなどによっては、表面が架橋していても内部まで十分に架橋していない場合があるので、さらに加熱して二次架橋を行ってもよい。
【0077】
加熱方法としては、プレス加熱、スチーム加熱、オーブン加熱、熱風加熱などのゴムの架橋に用いられる一般的な方法を適宜選択すればよい。
【0078】
このようにして得られる本発明のゴム架橋物は、上述した本発明の架橋性ゴム組成物を用いて得られるものであるため、引張強度、破断伸び、低発熱性およびウエットグリップ性に優れるものである。そして、本発明のゴム架橋物は、このような特性を活かし、たとえば、タイヤにおいて、キャップトレッド、ベーストレッド、カーカス、サイドウォール、ビード部などのタイヤ各部位の材料;ホース、ベルト、マット、防振ゴム、その他の各種工業用品の材料;樹脂の耐衝撃性改良剤;樹脂フィルム緩衝剤;靴底;ゴム靴;ゴルフボール;玩具;などの各種用途に用いることができる。特に、本発明のゴム架橋物は、発熱性およびウエットグリップ性に加えて、引張強度および破断伸びなどの機械特性にも優れるものであるため、このような機械特性が特に必要とされる用途、具体的には、トラックやバスなどの大型車両用のタイヤ用途、とりわけ、トラックやバスなどの大型車両用のタイヤのトレッド用として、特に好適に用いることができる。
【実施例】
【0079】
以下、本発明を、さらに詳細な実施例に基づき説明するが、本発明は、これら実施例に限定されない。なお、以下において、「部」および「%」は、特に断りのない限り重量基準である。また、試験および評価は下記に従った。
【0080】
〔重量平均分子量、数平均分子量、分子量分布〕
重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)および分子量分布(Mw/Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィにより、ポリスチレン換算の分子量に基づくチャートを得て、そのチャートに基づいて求めた。なお、ゲルパーミエーションクロマトグラフィの具体的な測定条件は、以下の通りとした。
測定器 :高速液体クロマトグラフ(東ソー社製、商品名「HLC−8220」
カラム :東ソー社製、商品名「GMH−HR−H」を二本直列に連結した。
検出器 :示差屈折計(東ソー社製、商品名「RI−8020」)
溶離液 :テトラヒドロフラン
カラム温度:40℃
【0081】
〔スチレン単位含有量およびビニル結合含有量〕
スチレン単位含有量、およびビニル結合含有量は、ブルカー・バイオスピン社製FT−NMR装置(製品名:ADVANCEIII 500)を用いてH−NMRにより測定した。
【0082】
〔熱可逆性結合基の含有割合〕
熱可逆性結合基の含有割合は、ブルカー・バイオスピン社製FT−NMR装置(製品名:ADVANCEIII 500)を用いてH−NMRにより測定した。
【0083】
〔トルエン不溶解分量〕
#150メッシュカゴに、変性共役ジエン系重合体(A)と、多官能性の熱可逆性を示す化合物(B)とを含有するゴム組成物(重量:Wa[g])を1mm角程度に裁断して入れ、トルエン中に100℃で1時間浸漬し、引き上げた。次いで、#150メッシュカゴに残ったゴムを真空乾燥して乾燥後の重量(Wb[g])を秤量した。そして、得られた秤量値から、トルエン不溶解分量を、「トルエン不溶解分量=(Wb/Wa)×100(%)」により求めた。なお、トルエン不溶解分量が低いほど、加工性に優れると判断できる。
【0084】
[ムーニー粘度(ML1+4,100℃)の変化量]
変性共役ジエン系重合体(A)と、多官能性の熱可逆性を示す化合物(B)とを含有するゴム組成物のムーニー粘度(ポリマー・ムーニー粘度)と、これに硫黄(C)を含む配合剤を配合した架橋性ゴム組成物のムーニー粘度(コンパウンド・ムーニー粘度)とを、JIS K6300に従い、ムーニー粘度計(島津製作所社製)を用いて測定し、得られた結果より、ムーニー粘度の変化量を、「ムーニー粘度の変化量=(コンパウンド・ムーニー粘度)−(ポリマー・ムーニー粘度)」にしたがって、算出した。ムーニー粘度の変化量が小さいほど、加工性に優れると判断できる。
【0085】
〔ペイン効果〕
ペイン効果は、架橋性ゴム組成物を用い、粘弾性測定装置(アルファテクノロジーズ社製、製品名「RPA−2000」)により、60℃、1Hzの条件で、動的歪み1%および10%における貯蔵粘弾率G’を測定し、動的歪み1%における貯蔵粘弾率G’と動的歪み10%における貯蔵粘弾率G’との差分(ΔG’=G’(1%)−G’(10%))を算出することにより求めた。得られた差分について、比較例3を基準サンプルとし、比較例3の測定値を100とする指数で示した。この指数が小さいほど、カーボンブラックやシリカなどの充填剤の分散性に優れるため、加工性に優れると判断できる。
【0086】
〔ゴム架橋物の引張強度および破断伸び〕
架橋性ゴム組成物を、160℃、20分間プレス架橋することで、長さ50mm、幅12.7mm、厚さ2mmの試験片を得た。そして、得られた試験片を用いて、JIS K6301にしたがって、引張試験を行い、引張強度および破断伸びを測定した。なお、引張強度および破断伸びが大きいほど、機械強度に優れると判断できる。
【0087】
〔ウエットグリップ性〕
架橋性ゴム組成物を、160℃、20分間プレス架橋することで、長さ50mm、幅12.7mm、厚さ2mmの試験片を得た。そして得られた試験片について、ティー・エイ・インスツルメント社製ARES−G2を用い、動的歪み0.5%、10Hzの条件で0℃におけるtanδを測定した。このtanδの値について、比較例3を基準サンプルとし、比較例3の測定値を100とする指数で示した。この指数が大きいものほど、ゴム架橋物をタイヤに用いた際のウエットグリップ性に優れると判断できる。
【0088】
〔低発熱性〕
架橋性ゴム組成物を、160℃、20分間プレス架橋することで、長さ50mm、幅12.7mm、厚さ2mmの試験片を得た。そして得られた試験片について、ティー・エイ・インスツルメント社製ARES−G2を用い、動的歪み2.0%、10Hzの条件で60℃におけるtanδを測定した。このtanδの値について、比較例3を基準サンプルとし、比較例3の測定値を100とする指数で示した。この指数が小さいものほど、ゴム架橋物をタイヤに用いた際の低発熱性に優れると判断できる。
【0089】
〔製造例1:変性共役ジエン系重合体aと、4,4’−ビスマレイミドジフェニルメタンとを含有するゴム組成物Aの製造〕
攪拌機付きオートクレーブに、窒素雰囲気下、シクロヘキサン700g、1,3−ブタジエン61.3g、およびスチレン22.7gを仕込んだ後、n−ブチルリチウム0.46mmol加え、40℃で重合を開始した。重合を開始してから10分経過後、1,3−ブタジエン33.5g、およびスチレン2.5gを60分かけて連続的に添加した。重合反応中の最高温度は60℃であった。連続添加終了後、さらに20分間重合反応を継続し、重合転化率が95%から100%の範囲になったことを確認してから、N−フェニル−2−ピロリドン(NPP)0.46mmolを20%濃度のキシレン溶液の状態で添加し、30分間反応させた。その後、重合停止剤として、メタノール0.93mmolを添加して、共役ジエン系重合体Iを含有する溶液を得た。
【0090】
次いで、この溶液に、フルフリルチオール1.006g(8.82mmol)、および2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.482g(2.94mmol)を加え、70℃で5時間撹拌した後、老化防止剤として、イルガノックス1520L(チバスペシャリティーケミカルズ社製)を、重合体100部に対して0.15部添加した後、スチームストリッピングにより溶媒を除去し、60℃で24時間真空乾燥して、末端および側鎖が変性された変性共役ジエン系重合体aを得た。
【0091】
得られた変性共役ジエン系重合体aについて、H−NMRを測定した結果、フラン構造に由来するシグナルが観測され、側鎖にフラン構造が導入されていることが確認された。変性共役ジエン系重合体aのブタジエン単位100モル%に対するフラン構造の導入率は、0.12モル%であった。また、得られた変性共役ジエン系重合体aのスチレン含有量は20.9%、ブタジエン単量体単位中のビニル結合含有量は64.3%であった。また、GPC測定において、全体としてMnが223,000、Mwが301,000、分子量分布(Mw/Mn)が1.35であった。また、得られた共役ジエン系重合体aのムーニー粘度は49、トルエン不溶解分量は、5.0%であった。
【0092】
次に、得られた変性共役ジエン系重合体a 120gをトルエン550mlに溶解し、多官能性の熱可逆性を示す化合物(B)としての4,4’−ビスマレイミドジフェニルメタン0.244g(0.682mmol)を添加した後、スチームストリッピングにより溶媒を除去し、60℃で24時間真空乾燥して、固形状のゴム組成物Aを得た。得られたゴム組成物Aについて、H−NMRを測定した結果、4,4’−ビスマレイミドジフェニルメタンのフラン付加体のピークが確認された。また、ゴム組成物Aのムーニー粘度は78、トルエン不溶解分量は、7.2%であった。
【0093】
〔製造例2:変性共役ジエン系重合体bと、4,4’−ビスマレイミドジフェニルメタンとを含有するゴム組成物Bの製造〕
製造例1において、フルフリルチオールの配合量を3.351g(29.36mmol)に変更した以外は、製造例1と同様にして、末端および側鎖が変性された変性共役ジエン系重合体bを得た。
【0094】
得られた変性共役ジエン系重合体bについて、H−NMRを測定した結果、フラン構造に由来するシグナルが観測され、側鎖にフラン構造が導入されていることが確認された。変性共役ジエン系重合体bのブタジエン単位100モル%に対するフラン構造の導入率は、0.29モル%であった。また、得られた変性共役ジエン系重合体bのスチレン含有量は20.9%、ブタジエン単量体単位中のビニル結合含有量は64.3%であった。また、GPC測定において、全体としてMnが233,000、Mwが349,500、分子量分布(Mw/Mn)が1.50であった。
【0095】
次に、得られた変性共役ジエン系重合体b 120gをトルエン550mlに溶解し、多官能性の熱可逆性を示す化合物(B)としての4,4’−ビスマレイミドジフェニルメタン0.588g(1.64mmol)を添加した後、スチームストリッピングにより溶媒を除去し、60℃で24時間真空乾燥して、固形状のゴム組成物Bを得た。得られたゴム組成物Bについて、H−NMRを測定した結果、4,4’−ビスマレイミドジフェニルメタンのフラン付加体のピークが確認された。また、ゴム組成物Bのムーニー粘度は107、トルエン不溶解分量は、24.4%であった。
【0096】
〔製造例3:変性共役ジエン系重合体cと、4,4’−ビスマレイミドジフェニルメタンとを含有するゴム組成物Cの製造〕
製造例1において、N−フェニル−2−ピロリドン(NPP)0.46mmolの代わりに、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)0.46mmolを使用した以外には、製造例1と同様にして、末端および側鎖が変性された変性共役ジエン系重合体cを得た。
【0097】
得られた変性共役ジエン系重合体cについて、H−NMRを測定した結果、フラン構造に由来するシグナルが観測され、側鎖にフラン構造が導入されていることが確認された。変性共役ジエン系重合体cのブタジエン単位100モル%に対するフラン構造の導入率は、0.13モル%であった。また、変性共役ジエン系重合体cのスチレン含有量は21.3%、ブタジエン単量体単位中のビニル結合含有量は63.5%であった。また、GPC測定において、全体としてMnが223,000、Mwが301,000、分子量分布(Mw/Mn)が1.35のものであった。
【0098】
次に、得られた変性共役ジエン系重合体c 120gをトルエン550mlに溶解し、多官能性の熱可逆性を示す化合物(B)としての4,4’−ビスマレイミドジフェニルメタン0.244g(0.682mmol)を添加した後、スチームストリッピングにより溶媒を除去し、60℃で24時間真空乾燥して、固形状のゴム組成物Cを得た。得られたゴム組成物Cについて、H−NMRを測定した結果、4,4’−ビスマレイミドジフェニルメタンのフラン付加体のピークが確認された。また、ゴム組成物Cのムーニー粘度は77、トルエン不溶解分量は、14.9%であった。
【0099】
〔製造例4:変性共役ジエン系重合体aの製造〕
製造例4では、製造例1と同様にして、変性共役ジエン系重合体aを得た。
【0100】
〔製造例5:変性共役ジエン系重合体dと、4,4’−ビスマレイミドジフェニルメタンとを含有するゴム組成物Dの製造〕
製造例1において、フルフリルチオールの配合量を11.5g(100.8mmol)、および2,2’−アゾビスイソブチロニトリルの配合量を1.767g(10.77mmol)とした以外は、製造例1と同様にして、末端および側鎖が変性された変性共役ジエン系重合体dを得た。
【0101】
得られた変性共役ジエン系重合体dについて、H−NMRを測定した結果、フラン構造に由来するシグナルが観測され、側鎖にフラン構造が導入されていることが確認された。変性共役ジエン系重合体のブタジエン単位100モル%に対するフラン構造の導入率は、1.98モル%であった。また、得られた変性共役ジエン系重合体dのスチレン含有量は21.3%、ブタジエン単量体単位中のビニル結合含有量は63.5%であった。また、GPC測定において、全体としてMnが264,500、Mwが431,000、分子量分布(Mw/Mn)が1.63のものであった。
【0102】
次に、得られた変性共役ジエン系重合体d 120gをトルエン550mlに溶解し、多官能性の熱可逆性を示す化合物(B)としての4,4’−ビスマレイミドジフェニルメタン3.935g(10.98mmol)を添加した後、スチームストリッピングにより溶媒を除去し、60℃で24時間真空乾燥して、固形状のゴム組成物Dを得た。得られたゴム組成物Dについて、H−NMRを測定した結果、4,4’−ビスマレイミドジフェニルメタンのフラン付加体のピークが確認された。また、ゴム組成物のムーニー粘度は125、トルエン不溶解分量は、37.8%であった。
【0103】
〔製造例6:変性共役ジエン系重合体e〕
製造例1において、フルフリルチオール1.006g(8.82mmol)、および2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.482g(2.94mmol)を添加しなかった以外は、製造例1と同様にして、末端のみ変性された変性共役ジエン系重合体eを得た。
【0104】
得られた変性共役ジエン系重合体eについて、H−NMRを測定した結果、フラン構造に由来するシグナルが観測されず、フラン構造が導入されていないものであった。また、得られた変性共役ジエン系重合体eのスチレン含有量は20.9%、ブタジエン単量体単位中のビニル結合含有量は64.3%であった。また、GPC測定において、全体としてMnが202,000、Mwが313,000、分子量分布(Mw/Mn)が1.55であった。また、変性共役ジエン系重合体eのムーニー粘度は45、トルエン不溶解分量は、0%であった。
【0105】
〔製造例7:変性共役ジエン系重合体eと、4,4’−ビスマレイミドジフェニルメタンとを含有するゴム組成物Eの製造〕
製造例で得られた末端を変性した共役ジエン系重合体e 120gをトルエン550mlに溶解し、4,4’−ビスマレイミドジフェニルメタン0.244g(0.682mmol)を添加した後、スチームストリッピングにより溶媒を除去し、60℃で24時間真空乾燥して、固形状のゴム組成物を得た。得られたゴム組成物Eのムーニー粘度は47、トルエン不溶解分量は、2.0%であった。
【0106】
【表1】
【0107】
〔実施例1〕
容量250mlのバンバリーミキサーを用いて、製造例1で得られた変性共役ジエン系重合体aと、4,4’−ビスマレイミドジフェニルメタンとを含有するゴム組成物A 70部、および天然ゴム30部を素練りした。次いで、標準カーボンブラックIRB#8(算術平均粒子径28μm、窒素吸着比表面積(BET法):79m/g)50部、プロセスオイル(商品名「フッコール エラミック30」、新日本石油社製)5部、酸化亜鉛(亜鉛華1号)3.0部、ステアリン酸(商品名「ビーズステアリン酸つばき」、日油社製)2部、および老化防止剤(N−フェニル−N’−(1,3−ジメチルブチル)−p−フェニレンジアミン、商品名「ノクラック6C」、大内新興化学工業社製)1部を添加して、80℃を開始温度として3.5分間混練して、バンバリーミキサーから混練物を排出させた。混練終了時の混練物の温度は123℃であった。次いで、50℃のオープンロールを用いて、得られた混練物と、硫黄(硫黄#325)1.5部および架橋促進剤(N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(商品名「ノクセラーCZ−G」、大内新興化学工業社製)1.1部とを混練した後、シート状の架橋性ゴム組成物を取り出した。
【0108】
得られた架橋性ゴム組成物を用いて、上記各評価を行った。結果を表2に示す。
【0109】
〔実施例2〕
製造例1で得られた変性共役ジエン系重合体aと、4,4’−ビスマレイミドジフェニルメタンとを含有するゴム組成物Aの代わりに、製造例2で得られた変性共役ジエン系重合体bと、4,4’−ビスマレイミドジフェニルメタンとを含有するゴム組成物Bを使用した以外は、実施例1と同様にして架橋性ゴム組成物を調製し、同様に評価を行った。結果を表2に示す。
【0110】
〔実施例3〕
製造例1で得られた変性共役ジエン系重合体aと、4,4’−ビスマレイミドジフェニルメタンとを含有するゴム組成物Aの代わりに、製造例3で得られた変性共役ジエン系重合体cと、4,4’−ビスマレイミドジフェニルメタンとを含有するゴム組成物Cを使用した以外は、実施例1と同様にして架橋性ゴム組成物を調製し、同様に評価を行った。結果を表2に示す。
【0111】
〔比較例1〕
製造例1で得られた変性共役ジエン系重合体aと、4,4’−ビスマレイミドジフェニルメタンとを含有するゴム組成物Aの代わりに、製造例4で得られた変性共役ジエン系重合体aを使用した以外は、実施例1と同様にして架橋性ゴム組成物を調製し、同様に評価を行った。結果を表2に示す。
【0112】
〔比較例2〕
製造例1で得られた変性共役ジエン系重合体aと、4,4’−ビスマレイミドジフェニルメタンとを含有するゴム組成物Aの代わりに、製造例5で得られた変性共役ジエン系重合体dと、4,4’−ビスマレイミドジフェニルメタンとを含有するゴム組成物Dを使用した以外は、実施例1と同様にして架橋性ゴム組成物を調製し、同様に評価を行った。結果を表2に示す。
【0113】
〔比較例3〕
製造例1で得られた変性共役ジエン系重合体aと、4,4’−ビスマレイミドジフェニルメタンとを含有するゴム組成物Aの代わりに、製造例6で得られた共役ジエン系重合体eを使用した以外は、実施例1と同様にして架橋性ゴム組成物を調製し、同様に評価を行った。結果を表2に示す。
【0114】
〔比較例4〕
製造例1で得られた変性共役ジエン系重合体aと、4,4’−ビスマレイミドジフェニルメタンとを含有するゴム組成物Aの代わりに、製造例7で得られた共役ジエン系重合体eと、4,4’−ビスマレイミドジフェニルメタンとを含有するゴム組成物Eを使用した以外は、実施例1と同様にして架橋性ゴム組成物を調製し、同様に評価を行った。結果を表2に示す。
【0115】
〔比較例5〕
硫黄および架橋促進剤を添加しなかった以外は実施例2と同様にして架橋性ゴム組成物を調製し、同様に評価を行った。結果を表2に示す。
【0116】
【表2】
【0117】
<実施例1〜3、比較例1〜5の評価>
表1、表2より、熱可逆性結合基を所定量有する変性共役ジエン系重合体(A)と、多官能性の熱可逆性を示す化合物(B)と、硫黄(C)とを含む場合には、ムーニー粘度変化(コンパウンド・ムーニー粘度と、ポリマー・ムーニー粘度との差)が小さく、また、ペイン効果の値も低く、そのため、加工性に優れていると判断でき、さらには、得られるゴム架橋物は、引張強度および破断伸びに優れ、しかも、低発熱性およびウエットグリップ性に優れるものであった(実施例1〜3)。
【0118】
一方、多官能性の熱可逆性を示す化合物(B)を配合しない場合、あるいは、変性共役ジエン系重合体として、熱可逆性結合基を含有しないものを用いた場合には、ムーニー粘度変化が大きく、さらには、ペイン効果の値も高く、加工性に劣るものであり、さらには、得られるゴム架橋物は、低発熱性およびウエットグリップ性のいずれにも劣るものであった(比較例1,3,4)。
【0119】
また、変性共役ジエン系重合体として、熱可逆性結合基の含有量が、本発明所定の量よりも多いものを用いた場合には、トルエン不溶解分量が多く、ゲル含量が多いものであり、そのため、コンパウンド・ムーニー粘度およびポリマー・ムーニー粘度がともに高く、さらには、ペイン効果の値も高く、そのため、加工性に劣るものであり、しかも、得られるゴム架橋物は、引張強度および破断伸びに劣るものであった(比較例2)。
【0120】
また、熱可逆性結合基を所定量有する変性共役ジエン系重合体(A)と、多官能性の熱可逆性を示す化合物(B)とを含油するものの、硫黄(C)を含有しない場合には、得られるゴム架橋物は、引張強度に著しく劣るものであり、低発熱性およびウエットグリップ性を評価できるような架橋物を得ることができず、タイヤとして使用できないものであった(比較例5)。