(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
(実施例1)
本発明を具体的に説明する前に、まず概要を述べる。本発明の実施例1は、デバイスに搭載されたソフトウェアプログラム(以下、「ソフトウェア」あるいは「プログラム」ということもある)を実行させるためのライセンスを管理する管理装置に関する。デバイスの一例は、パーソナルコンピュータ(PC)である。ソフトウェアを使用する際にライセンス認証が必要であり、かつソフトウェアが有償である場合、ユーザは、事業者から正規版ライセンスを購入した後に、オンライン経由でライセンス管理サーバ(以下、「管理装置」という)との間で認証処理を実行する。
【0014】
具体的には、デバイスが管理装置に認証要求を送信する。認証要求には、購入したライセンスに関する情報(以下、「ライセンスID」という)、使用するデバイスの個別識別子(以下、「デバイスID」という)、ユーザ名、グループ名(会社、学校等)の情報が含まれる。管理装置は、認証要求に含まれた情報をもとに実行した認証処理が成功した場合に、ライセンスを登録するとともに、ソフトウェアの起動が可能となる使用許可情報をデバイスに送信する。使用許可情報はデバイス内部に保存され、ソフトウェアの制御に使用される。管理装置は、ライセンスID、デバイスID、ユーザ情報を紐付けて管理する。
【0015】
また、ユーザの利便性を考慮し、ライセンス登録の取消が可能になっている場合もある。デバイスは管理装置に取消要求を送信する。取消要求には、取消の対象となるライセンスのライセンスID、ソフトウェア使用を止めるデバイスのデバイスID、ユーザ名、グループ名(会社、学校等)の情報が含まれる。管理装置は、デバイスにおいて使用されているライセンス登録を取り消し、デバイス内の使用許可情報を無効化する。ライセンス登録が取り消されて、使用許可情報の無効化が確認されると、管理装置は、取り消したライセンス登録に紐付けられたユーザ情報を解除する。ライセンス登録が取り消されたライセンスは、この後、別のデバイスで再登録することが可能である。その際、管理装置では、ライセンスID、新規のデバイスのデバイスID、ユーザ名、グループ名等の情報が新たに紐付けて管理される。
【0016】
このように、ライセンス登録、取消、再登録がユーザによって自由になされることによって、ユーザの利便性は向上する。しかしながら、頻繁に取消、再登録がなされているライセンスは、ユーザ間、あるいはデバイス間で使い回しをされているおそれがある。これは、ユーザが1つのライセンスを複数のデバイスIDで頻繁に取り消し、再登録を行っている場合や、グループ(会社、学校)内で多数のライセンスを多数のデバイスIDで頻繁に取り消し、再登録を行っている場合などである。これにより、事業者のライセンス販売機会が損なわれてしまう。一方、取消可能な時期を制限すると、ユーザの利便性が低下する。そのため、ユーザの利便性を向上しながら、事業者のライセンス販売機会の損失を抑制することが求められる。
【0017】
本実施例に係る管理装置は、取消対象のライセンス登録単体ではなく、過去のライセンス登録の取消履歴を参照することにより、複数のライセンスの情報に基づいて、ライセンス登録を取り消すか否かを総合的に判定する。具体的に説明すると管理装置は、ライセンスに付随した複数のパラメータ(ライセンスID、デバイスID、ユーザ情報、グループ情報など)を用いて、総合的なスコアを計算し、スコアがしきい値未満である場合に、ライセンス登録の取消を決定する。また、管理装置は、複数のパラメータのそれぞれに、ライセンス登録の取消処理における重要度を設定し、スコアを計算する場合に重要度を反映させる。このように、ライセンス登録、取消、再登録に関する処理について、パラメータを使用した制限が設けられる。このような制限によりユーザの利便性を向上しながら、事業者のライセンス販売機会の損失を抑制することができる。
【0018】
図1は、本発明の実施例1に係る管理システム100の構成を示す。管理システム100は、管理装置10、ネットワーク12、デバイス14と総称される第1デバイス14a、第2デバイス14b、第3デバイス14c、第Nデバイス14nを含む。
【0019】
デバイス14は、前述のPCに相当するが、スマートホン、携帯電話、無線機などの端末装置であってもよい。デバイス14には、1つ以上のソフトウェアが実装されている。ここでのソフトウェアは、使用する際にライセンス登録が必要になるものを示す。このライセンスは有償であり、デバイス14のユーザ等によって購入される。また、デバイス14は、通信機能を備えており、ネットワーク12に接続される。ネットワーク12は、複数のデバイス14を接続する。ネットワーク12は、例えば、無線回線、有線回線、無線回線と有線回線との組合せ等によって構成される。ネットワーク12には、管理装置10も接続される。
【0020】
管理装置10は、デバイス14に実装されたソフトウェアに対するライセンスを管理する。具体的に説明すると、管理装置10は、ネットワーク12を介してデバイス14におけるライセンスの認証処理を実行することによって、ライセンスを登録する。ライセンス登録によって、デバイス14におけるソフトウェアの使用が可能になる。また、管理装置10は、デバイス14におけるライセンス登録の取消処理も実行する。
【0021】
図2は、管理装置10の構成を示す。管理装置10は、通信部20、認証部22、管理部24、登録情報記憶部26、取消履歴記憶部28、受付部30、決定部32、指示部34を含む。通信部20は、図示しないネットワーク12に接続されることによって、デバイス14との通信を実行する。通信部20における通信には、ライセンスの認証処理を実行してライセンスを登録するための通信、登録したライセンスを取り消すための通信が含まれる。
【0022】
認証部22は、通信部20を介してデバイス14との通信を実行することによって、デバイス14におけるソフトウェアに対するライセンスの認証処理を実行する。認証処理には公知の技術が使用されればよい。例えば、事業者がライセンスを販売した場合に、認証部22には、ライセンスの識別情報(以下、「ライセンスID」という)、ライセンスの対象となるデバイス14の識別情報(以下、「デバイスID」という)が設定される。これらの設定後、認証部22は、通信部20を介してデバイス14からの認証要求を受けつける。認証要求には、ライセンスID、デバイスID、ユーザ名、グループ名が含まれる。なお、ユーザが個人としてライセンスを使用するような場合には、認証要求に含まれるグループ名を省略し、以下においてグループ名を省略した処理を行ってもよい。
【0023】
認証部22は、認証要求に含まれたデバイスIDとライセンスIDが、予め設定したデバイスIDとライセンスIDにそれぞれ一致する場合、ライセンスに対する認証処理が成功したと判定する。認証処理が成功した場合、認証部22は、認証処理に成功したライセンスを登録するために、ライセンスID、デバイスID、ユーザ名、グループ名を管理部24に出力する。また、認証部22は、管理部24においてライセンスが登録された場合、あるいは認証処理が成功した場合、ライセンスに対応したソフトウェアの使用許可情報を通信部20経由でデバイス14に送信する。
【0024】
管理部24は、認証部22から、ライセンスID、デバイスID、ユーザ名、グループ名を入力する。管理部24は、ライセンスID、デバイスID、ユーザ名、グループ名を登録情報記憶部26に記憶させる。また、管理部24は、これらを記憶させるときの日付を「登録日」として登録情報記憶部26に記憶させる。このような認証部22における認証処理に成功したライセンスを登録情報記憶部26に記憶することが、ライセンスを登録することに相当する。
【0025】
登録情報記憶部26は、管理部24からの入力にしたがって、登録されたライセンスに関する情報を記憶する。前述のごとく、登録情報記憶部26には、ライセンスID、デバイスID、ユーザ名、グループ名、登録日の組合せ(以下、これらを「登録情報」と総称する)が記憶される。
【0026】
取消履歴記憶部28は、ライセンス登録が取り消された場合に、ライセンス登録の取消の履歴をデータベースとして記憶する。つまり、取消履歴記憶部28は、ライセンスに対する登録取消の履歴を記憶する。ここでは、管理装置10によって複数のライセンスが管理される場合を想定するので、取消履歴記憶部28は、複数のライセンスのそれぞれに対する登録取消の履歴を記憶する。また、このデータベースには、ライセンス登録の取消に関する操作の履歴が保存されているともいえる。なお、ライセンス登録の取消処理の詳細は後述する。
【0027】
図3は、取消履歴記憶部28に記憶される取消履歴のデータベースのデータ構造を示す。登録されたライセンスに対する取消要求を受付部30が受けつけ、かつ決定部32がライセンス登録を取消可能と決定した場合に、取消履歴のデータベースには、
図3の1行によって示されるレコードが追加される。つまり、取消履歴記憶部28に記憶した取消履歴には、ライセンス登録の取消毎のレコードが含まれている。各レコードには、「取消実行日」、「ライセンスID」、「デバイスID」、「ユーザ名」、「グループ名」と示されるパラメータ(属性)が含まれる。
【0028】
「取消実行日」は、ライセンス登録の取消が実行された日を示し、「ライセンスID」は、ライセンス登録の取消がなされたライセンスの情報を示す。また、「デバイスID」は、ライセンス登録の取消がなされたデバイス14の個別識別子を示し、ライセンスが使用されるデバイス14の情報であるといえる。また、「ユーザ名」、「グループ名」は、ライセンスの取消者の情報を示す。「ユーザ名」、「グループ名」は、ライセンスを使用している使用者(使用主体、利用主体)に関する情報であるともいえる。ここで、「デバイスID」、「ユーザ名」、「グループ名」の各パラメータは、ライセンスに付随した情報であって、かつ取消時点での使用状況に関する情報である。また、各レコードには複数のパラメータが含まれる。これらは、前述の登録情報に対応する。
図2に戻る。
【0029】
受付部30は、通信部20を介してデバイス14から、ライセンス登録の取消要求を受けつける。取消要求には、ライセンスID、デバイスID、ユーザ名、グループ名が含まれる。ここで、デバイスID、ユーザ名、グループ名は、ライセンスに付随し、かつ取消時点での使用状況に関する情報である。また、取消要求は、登録情報記憶部26に登録情報が記憶されたデバイス14、すなわちライセンスが登録されているデバイス14から送信されている。受付部30は、取消要求を決定部32に出力する。
【0030】
決定部32は、受付部30から取消要求を入力すると、ライセンスID、デバイスID、ユーザ名、グループ名を取消要求から抽出する。決定部32は、抽出したライセンスID、デバイスID、ユーザ名、グループ名を含んだ登録情報が登録情報記憶部26に記憶されているかを管理部24経由で確認する。記憶されていない場合、決定部32は処理を終了する。一方、記憶されている場合、決定部32は、受付部30において受けつけた取消要求に対して、取消履歴記憶部28に記憶した取消履歴を参照しながら、ライセンス登録を取り消すか否かを決定する。なお、取消履歴記憶部28に記憶した取消履歴を参照する処理は管理部24を介してなされるが、ここでは管理部24を省略して説明する。
【0031】
具体的に説明すると、決定部32は、取消履歴記憶部28に記憶した取消履歴の複数のパラメータの値から、取消要求に含まれるパラメータの値に一致する値を抜き出す。決定部32は、抜き出した値の件数をパラメータ毎に算出する。決定部32は、パラメータ毎に算出した件数に、パラメータ毎に規定された重要度を乗算し、乗算結果を総和することによってスコアを導出する。パラメータ毎に規定された重要度を乗算することは、パラメータ毎に算出した件数を重み付けすることに相当する。ここで、パラメータ毎に規定された重要度は、パラメータ重要度テーブルとして決定部32に記憶される。
【0032】
図4は、決定部32に記憶されるテーブルのデータ構造を示す。図示のごとく、各パラメータに対する重要度が示される。本図に示す例において、重要度は、ライセンスIDに対して「10」、デバイスIDに対して「8」、ユーザ名に対して「5」、グループ名に対して「2」のように規定される。ここで、重要度は、ライセンス登録の取消処理において重要なパラメータほど大きくなるように設定される。例えば、ライセンスIDに対して一致した件数に対して、「10」が乗算されることによって重み付けがなされる。また、デバイスIDに対して一致した件数に対して、「8」が乗算されることによって重み付けがなされる。このような重要度は、スコアに与える影響度ともいえる。
図2に戻る。
【0033】
決定部32は、スコアとしきい値とを比較し、スコアがしきい値未満である場合、ライセンス登録の取消を決定する(許可する)。一方、決定部32は、スコアがしきい値以上である場合、ライセンス登録の取消を拒否する(不許可にする)。しきい値は、例えば、「100」のように設定される。このように決定部32は、取消要求に含まれたパラメータの値と、取消履歴に含まれたパラメータの値とが一致した件数から導出したスコアをもとに、ライセンス登録を取り消すか否かを決定する。スコアを導出する際に、決定部32は、取消履歴のうち、ライセンスに付随した複数種類のパラメータを使用する。前述のごとく、このようなパラメータは、取消時点での使用状況に関する情報であるともいえる。
【0034】
決定部32は、取消要求に含まれたライセンスIDと、取消履歴に含まれたライセンスIDが異なっていても、ライセンスID以外のパラメータが一致する場合に、当該パラメータをスコアの導出に使用している。そのため、決定部32は、取消履歴のうち、取消要求の対象とされるライセンスに関連した他のライセンスの情報も使用しているといえる。このような処理のために、取消履歴記憶部28に記憶した取消履歴には、取消要求の対象とされるライセンスに関連した他のライセンスの情報も含まれる。
【0035】
ここでは、5つの具体的なケースを取り上げながら、決定部32の処理を説明する。
(1)ケース1
図5は、決定部32における処理の概要を示す。ケース1における取消要求に含まれる各パラメータの値は次のとおりである。
・ライセンスID「AAA−AAA−AAA」
・デバイスID「Device_sato_01」
・ユーザ名「Mr.sato」
・グループ名「株式会社 XXX」
【0036】
決定部32は、このようなパラメータの値と、
図3に示した取消履歴のパラメータの値が一致する部分を抜き出す。抜き出した結果が
図5に示される。ここで、一致する部分は斜線で示される。決定部32は、一致した件数と、
図4に示した重要度をもとにスコアを計算する。ここでは、図示のごとく、「124」になる。このスコアはしきい値「100」以上であるので、決定部32はライセンス登録の取消を拒否する。
【0037】
(2)ケース2
図6は、決定部32における別の処理の概要を示す。ケース2における取消要求に含まれる各パラメータの値は次のとおりである。
・ライセンスID「BBB−BBB−BBB」
・デバイスID「Device_sato_01」
・ユーザ名「Mr.sato」
・グループ名「株式会社 XXX」
【0038】
決定部32は、このようなパラメータの値と、
図3に示した取消履歴のパラメータの値が一致する部分を抜き出す。抜き出した結果が
図6に示される。ここで、一致する部分は斜線で示される。決定部32は、一致した件数と、
図4に示した重要度をもとにスコアを計算する。ここでは、図示のごとく、「84」になる。このスコアはしきい値「100」未満であるので、決定部32はライセンス登録の取消を決定する。
【0039】
(3)ケース3
図7は、決定部32におけるさらに別の処理の概要を示す。ケース3における取消要求に含まれる各パラメータの値は次のとおりである。
・ライセンスID「BBB−BBB−BBB」
・デバイスID「Device_suzuki_01」
・ユーザ名「Mr.suzuki」
・グループ名「株式会社 XXX」
【0040】
決定部32は、このようなパラメータの値と、
図3に示した取消履歴のパラメータの値が一致する部分を抜き出す。抜き出した結果が
図7に示される。ここで、一致する部分は斜線で示される。決定部32は、一致した件数と、
図4に示した重要度をもとにスコアを計算する。ここでは、図示のごとく、「85」になる。このスコアはしきい値「100」未満であるので、決定部32はライセンス登録の取消を決定する。
【0041】
(4)ケース4
図8は、決定部32におけるさらに別の処理の概要を示す。ケース4における取消要求に含まれる各パラメータの値は次のとおりである。
・ライセンスID「DDD−DDD−DDD」
・デバイスID「Device_takeda_01」
・ユーザ名「Mr.takeda」
・グループ名「株式会社 ZZZ」あるいは「株式会社ααα」
【0042】
決定部32は、このようなパラメータの値と、
図3に示した取消履歴のパラメータの値が一致する部分を抜き出す。抜き出した結果が
図8に示される。ここで、一致する部分は斜線で示される。決定部32は、一致した件数と、
図4に示した重要度をもとにスコアを計算する。ここでは、図示のごとく、「138」になる。このスコアはしきい値「100」以上であるので、決定部32はライセンス登録の取消を拒否する。
【0043】
(5)ケース5
図9は、決定部32におけるさらに別の処理の概要を示す。ケース5における取消要求に含まれる各パラメータの値は次のとおりである。
・ライセンスID「III−III−III」
・デバイスID「Device_BBB_01」
・ユーザ名「St.BBB」
・グループ名「○○大学」
【0044】
決定部32は、このようなパラメータの値と、
図3に示した取消履歴のパラメータの値が一致する部分を抜き出す。抜き出した結果が
図9に示される。ここで、一致する部分は斜線で示される。グループ名が一致するデータがN件あるものとする。決定部32は、一致した件数と、
図4に示した重要度をもとにスコアを計算する。ここでは、図示のごとく、「2N+23」になる。Nが39以上である場合、このスコアはしきい値「100」以上であるので、決定部32はライセンス登録の取消を拒否する。
図2に戻る。
【0045】
指示部34は、決定部32がライセンス登録の取消を決定した場合、ライセンス登録の取消を取消履歴記憶部28に記憶する。これは、取消履歴記憶部28に記憶された取消履歴に、新たな取消に対応したレコードを追加することに相当する。また、指示部34は、取消に対応した登録情報を登録情報記憶部26から削除する。これらの処理は、管理部24を介してなされる。一方、指示部34は、決定部32がライセンス登録の取消を決定した場合、取消許可を生成する。指示部34は、通信部20を介してデバイス14に取消許可を送信する。取消許可を受信したデバイス14は、対応するソフトウェアを無効化する。
【0046】
この構成は、ハードウェア的には、任意のコンピュータのCPU、メモリ、その他のLSIで実現でき、ソフトウェア的にはメモリにロードされたプログラムなどによって実現されるが、ここではそれらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックがハードウェアのみ、ソフトウェアのみ、またはそれらの組合せによっていろいろな形で実現できることは、当業者には理解されるところである。
【0047】
以上の構成による管理システム100の動作を説明する。
図10は、管理装置10による取消手順を示すフローチャートである。決定部32は、取消履歴から対象レコードを検索する(S10)。決定部32は、ライセンスIDに対して、一致件数×重要度を計算する(S12)。決定部32は、デバイスIDに対して、一致件数×重要度を計算する(S14)。決定部32は、ユーザ名に対して、一致件数×重要度を計算する(S16)。決定部32は、グループ名に対して、一致件数×重要度を計算する(S18)。決定部32は、スコアを計算する(S19)。スコアがしきい値未満である場合(S20のY)、決定部32は、取消を許可する(S22)。一方、スコアがしきい値未満でない場合(S20のN)、決定部32は、取消を不許可にする(S24)。
【0048】
本実施例によれば、取消履歴のうち、取消要求の対象とされるライセンスに関連した他のライセンスの情報も使用して、ライセンス登録を取り消すか否かを決定するので、ライセンス登録の取消を決定する場合に、ユーザの利便性を向上できる。また、取消履歴のうち、取消要求の対象とされるライセンスに関連した他のライセンスの情報も使用して、ライセンス登録を取り消すか否かを決定するので、ライセンス登録の取消を拒否する場合に、ライセンスの使い回しを抑制できる。また、ライセンスの使い回しが抑制されるので、登録の取消、再登録の多用による事業者の販売機会の損失を低減できる。
【0049】
また、取消履歴のうち、ライセンスに付随した複数種類のパラメータを使用して、ライセンス登録を取り消すか否かを決定するので、ライセンス登録の取消を決定する場合に、ユーザの利便性を向上できる。また、取消履歴のうち、ライセンスに付随した複数種類のパラメータを使用して、ライセンス登録を取り消すか否かを決定するので、ライセンス登録の取消を拒否する場合に、ライセンスの使い回しを抑制できる。また、取消履歴のうち、ライセンスに付随し、かつ取消時点での使用状況に関するパラメータを使用して、ライセンス登録を取り消すか否かを決定するので、ライセンス登録の取消を決定する場合に、ユーザの利便性を向上できる。また、取消履歴のうち、ライセンスに付随し、かつ取消時点での使用状況に関するパラメータを使用して、ライセンス登録を取り消すか否かを決定するのでライセンス登録の取消を拒否する場合に、ライセンスの使い回しを抑制できる。
【0050】
また、取消時点での使用状況に関するパラメータは、デバイスIDおよびユーザ名の少なくとも1つを含むので、ライセンスID以外のパラメータによって使用状況を特定できる。また、取消要求に含まれたパラメータの値と、取消履歴に含まれたパラメータの値とが一致した数から導出したスコアをもとに、ライセンス登録を取り消すか否かを決定するので、処理を簡易にできる。また、スコアを導出する際に重要度を反映させるので、パラメータ毎の影響の大きさを調節できる。
【0051】
(実施例2)
次に実施例2を説明する。実施例2は、実施例1と同様に、デバイスに搭載されたソフトウェアを実行させるためのライセンスを管理する管理装置に関する。実施例1では、取消要求と取消履歴との間において、各パラメータの一致した件数を総和することによってスコアが計算され、スコアとしきい値とを比較することによって、ライセンス登録を取り消すか否かが決定される。一方、実施例2では、パラメータ毎にスコアが計算され、各スコアとしきい値とを比較することによって、ライセンス登録を取り消すか否かが決定される。実施例2に係る管理システム100、管理装置10は、
図1、
図2と同様のタイプである。ここでは、これまでとの差異を中心に説明する。
【0052】
図2の決定部32は、取消履歴記憶部28に記憶した取消履歴に複数のパラメータの値から、取消要求に含まれるパラメータの値に一致する値を抜き出す。決定部32は、抜き出した値の件数をパラメータ毎に算出する。決定部32は、パラメータ毎に算出した件数に、パラメータ毎に規定された重要度を乗算する。パラメータ毎の乗算結果がスコアに相当する。つまり、スコアはパラメータ毎に導出される。決定部32は、すべてのスコアがしきい値未満である場合に、ライセンス登録の取消を決定する。一方、決定部32は、いずれかのスコアがしきい値以上である場合に、ライセンス登録の取消を拒否する。ここで、各パラメータに対するしきい値は同一の値であってもよく、異なった値であってもよい。また、決定部32は、しきい値未満であるスコアの数が所定数以上である場合に、ライセンス登録の取消を決定してもよい。また、しきい値未満であるスコアの数が、パラメータ(パラメータの種類)の総数に占める割合が所定値以上である場合に、ライセンス登録の取消を決定してもよい。つまり、決定部32は、取消要求に含まれたパラメータの値と取消履歴に含まれたパラメータの値とが一致した数から導出したパラメータ毎のスコアをもとに、ライセンス登録を取り消すか否かを決定する。
【0053】
ここでは、
図11を使用しながら、決定部32の処理を説明する。
図11は、本発明の実施例2に係る決定部32における処理の概要を示す図である。取消要求に含まれる各パラメータの値は次のとおりである。
・ライセンスID「DDD−DDD−DDD」
・デバイスID「Device_takeda_01」
・ユーザ名「Mr.takeda」
・グループ名「株式会社 ZZZ」あるいは「株式会社ααα」
【0054】
決定部32は、このようなパラメータの値と、
図3に示した取消履歴のパラメータの値が一致する部分を抜き出す。抜き出した結果が
図11に示される。ここで、一致する部分は斜線で示される。決定部32は、パラメータ毎に、一致した件数と
図4に示した重要度をもとにスコアを計算する。ここでは、図示のごとく、「ライセンスID」、「デバイスID」、「ユーザ名」、「グループ名」に対して「20」、「48」、「50」、「20」になる。すべてのスコアはしきい値「100」未満であるので、決定部32はライセンス登録の取消を決定する。一方、各スコアのいずれかがしきい値「100」以上である場合、決定部32は、ライセンス登録の取消を拒否する。
【0055】
なお、パラメータ毎のスコアを用いる場合、あるパラメータの重要度を「1」に設定すると、そのパラメータのスコアは、取消対象のライセンス数と一致する件数になる。すなわち、あるパラメータについて、取消対象のライセンスと取消履歴との一致件数を算出し、それに基づいて取消の可否が判定されてもよい。
【0056】
以上の構成による管理システム100の動作を説明する。
図12は、本発明の実施例2に係る管理装置10による取消手順を示すフローチャートである。決定部32は、取消履歴から対象レコードを検索する(S50)。決定部32は、ライセンスIDに対するスコアを集計する(S52)。スコア集計がしきい値未満である場合(S54のY)、決定部32は、デバイスIDに対するスコアを集計する(S56)。スコア集計がしきい値未満である場合(S58のY)、決定部32は、ユーザ名に対するスコアを集計する(S60)。スコア集計がしきい値未満である場合(S62のY)、決定部32は、グループ名に対するスコアを集計する(S64)。スコア集計がしきい値未満である場合(S66のY)、決定部32は、取消を許可する(S68)。一方、スコアがしきい値未満でない場合(S54のN、S58のN、S62のN、S66のN)、決定部32は、取消を不許可にする(S70)。
【0057】
本実施例によれば、パラメータ毎のスコアをもとに、ライセンス登録を取り消すか否かを決定するので、ライセンス登録の取消を決定する場合に、ユーザの利便性を向上できる。また、パラメータ毎のスコアをもとに、ライセンス登録を取り消すか否かを決定するので、ライセンス登録の取消を拒否する場合に、ライセンスの使い回しを抑制できる。
【0058】
以上、本発明を実施例をもとに説明した。この実施例は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0059】
実施例1、2において決定部32はスコアを導出する際に重要度による重み付けを実行している。しかしながらこれに限らず例えば、決定部32は、スコアを導出する際に重要度による重み付けを実行しなくてもよい。本変形例によれば、処理を簡易にできる。
【0060】
実施例1、2においてデバイス14はPCであるとされている。しかしながらこれに限らず例えば、デバイス14はPC以外の電子機器であってもよい。本変形例によれば、構成の自由度を向上できる。